説明

アンテナ装置およびそれを備える電気機器

【課題】アンテナの利得および放射効率を向上する。
【解決手段】回路基板120と、回路基板120の1つの主表面上に位置するアンテナ110と、回路基板120の主表面と対向する誘電体板130と、回路基板120と誘電体板130との間に介在する誘電体層190とを備える。誘電体板130は、回路基板120の比誘電率以下の比誘電率を有する。誘電体層190は、誘電体板130の比誘電率より小さい比誘電率を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンテナ装置およびそれを備える電気機器に関する。
【背景技術】
【0002】
基板の1つの主表面上にアンテナが形成された平面アンテナを開示した先行文献として、特許文献1がある。特許文献1に記載された平面アンテナにおいては、マイクロストリップアンテナ(MSA(microstrip antenna))の上部に、それぞれ厚さが4分の1実効波長である外側の高誘電率誘電体層と内側の低誘電率誘電体層とが積層されている。この構成により、放射素子から外側を見た空間の入力インピーダンスを高インピーダンス化して、放射電力を増幅させてアンテナ特性を広帯域化している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−29723号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の平面アンテナにおいては、回路的には広帯域化できるが、電波が放射される平面アンテナの外側に、高誘電率誘電体層を配置しているため、高誘電率誘電体層と接地導体間の束縛が強くなる。その結果、平面アンテナとその周囲の空気との整合が不十分となって電波の放射が妨げられるため、アンテナの利得および放射効率が実質的に低下する。
【0005】
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであって、アンテナの利得および放射効率を向上できる、アンテナ装置およびそれを備える電気機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に基づくアンテナ装置は、基板と、基板の1つの主表面上に位置するアンテナと、基板の主表面と対向する誘電体板と、基板と誘電体板との間に介在する誘電体層とを備える。誘電体板は、基板の比誘電率以下の比誘電率を有する。誘電体層は、誘電体板の比誘電率より小さい比誘電率を有する。
【0007】
本発明の一形態においては、誘電体層が気体からなる。または、誘電体層が樹脂で構成されている。
【0008】
好ましくは、誘電体層が空気からなり、アンテナから放射された高周波信号が空気中を伝搬する際の波長をλ、互いに対向している基板の主表面と誘電体板との間の距離をSとした場合、0.7λ/2≦S≦1.3λ/2の関係を満たす。
【0009】
本発明の一形態においては、誘電体板の厚さをd、誘電体板の比誘電率をεrとした場合、0.4λ/(4εr1/2)≦d≦1.6λ/(4εr1/2)の関係を満たす。または、誘電体板の厚さをd、誘電体板の比誘電率をεrとした場合、0.8(3λ)/(4εr1/2)≦d≦1.2(3λ)/(4εr1/2)の関係を満たす。
【0010】
本発明の一形態においては、誘電体板は、アンテナと対向する部分にアンテナに近接するように突出した突出部を有する。
【0011】
好ましくは、突出部とアンテナとの間に誘電体層が介在している。
本発明の一形態においては、突出部が円柱形状を有する。または、突出部が四角柱形状を有する。
【0012】
本発明の一形態においては、アンテナが、マイクロストリップパッチアンテナまたはスロットアンテナである。
【0013】
好ましくは、アンテナ装置が複数のアンテナを有する。複数のアンテナが、フェーズドアレイアンテナとして動作する。
【0014】
本発明に基づく電気機器は、第1の局面においては、上記のいずれかに記載のアンテナ装置を備える電気機器であって、基板を収納する筐体を有する。誘電体板は、筐体の一部を構成している。
【0015】
本発明に基づく電気機器は、第2の局面においては、それぞれ室内で使用される受信装置および送信装置を備える電気機器であって、受信装置および送信装置の各々は、上記のいずれかに記載のアンテナ装置を含む。送信装置は、室内の壁を介して高周波信号を受信装置に送信する。
【0016】
好ましくは、上記の電気機器に備えられるアンテナ装置において、基板の主表面上に発光部が設けられる。発光部は、誘電体板に向けて発光する。誘電体板は、発光部により発光された光を透過する。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、アンテナの利得および放射効率を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施形態1に係るアンテナ装置の構成を示す断面図である。
【図2】図1のアンテナ装置を矢印IIから見た図である。
【図3】同実施形態に係るアンテナ装置の一部を拡大して示す断面図である。
【図4】電磁界シミュレーションによる解析結果を示す図である。
【図5】誘電体板の厚さを一定にした条件下における電磁界シミュレーションによる解析結果を示す図である。
【図6】比較例として、誘電体層および誘電体板が設けられていないアンテナ装置におけるアンテナの放射パターンを示す図である。
【図7】同実施形態に係るアンテナ装置におけるアンテナの放射パターンを示す図である。
【図8】本発明の実施形態2に係るアンテナ装置の一部を拡大して示す断面図である。
【図9】図8のアンテナ装置をIX−IX線矢印方向から見た図である。
【図10】同実施形態の複数のアンテナに対応して突出部が形成されているアンテナ装置の構成を示す断面図である。
【図11】図10のアンテナ装置を矢印XIから見た図である。
【図12】同実施形態の変形例として、四角柱状の突出部を有する誘電体板を備えるアンテナ装置の一部を拡大して示す断面図である。
【図13】図12のアンテナ装置をXIII−XIII線矢印方向から見た図である。
【図14】変形例において複数のアンテナに対応して突出部が形成されているアンテナ装置の構成を示す断面図である。
【図15】図14の変形例のアンテナ装置を矢印XVから見た図である。
【図16】同実施形態の円柱形状の突出部を有する誘電体板を備えるアンテナ装置の解析結果を示す図である。
【図17】変形例の四角柱形状の突出部を有する誘電体板を備えるアンテナ装置の解析結果を示す図である。
【図18】同実施形態の円柱形状の突出部を有する誘電体板を備えたアンテナ装置のアンテナの放射パターンを示す図である。
【図19】変形例の四角柱形状の突出部を有する誘電体板を備えたアンテナ装置のアンテナの放射パターンを示す図である。
【図20】誘電体板が設けられていないアンテナ装置、実施形態1に係るアンテナ装置、本実施形態に係るアンテナ装置および変形例のアンテナ装置のアンテナ1素子当たりのアンテナ利得(dBi)をまとめた図である。
【図21】本発明の実施形態3に係る電気機器の使用態様を示す模式図である。
【図22】同実施形態に係る電気機器の構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態1に係るアンテナ装置について図面を参照して説明する。以下の実施形態の説明においては、図中の同一または相当部分には同一符号を付して、その説明は繰返さない。
【0020】
実施形態1
図1は、本発明の実施形態1に係るアンテナ装置の構成を示す断面図である。図2は、図1のアンテナ装置を矢印IIから見た図である。図3は、本実施形態に係るアンテナ装置の一部を拡大して示す断面図である。
【0021】
図1,2に示すように、本実施形態のアンテナ装置100においては、回路基板120の上側の主表面上に複数のアンテナ110が形成されている。本実施形態においては、回路基板120として、セラミック基板を用いた。
【0022】
複数のアンテナ110は、互いに間隔を置いて格子状に配置されている。本実施形態においては、アンテナ110は、マイクロストリップパッチアンテナであり、59GHz以上62GHz以下の周波数の信号が放射される。アンテナ110としては、マイクロストリップパッチアンテナに限られず、スロットアンテナなどの他のアンテナを用いてもよい。
【0023】
マイクロストリップパッチアンテナおよびスロットアンテナは、基板上に形成できるため、多層基板を用いた場合、アンテナと高周波回路とを一体に構成することができる。そのため、アンテナと回路との結合損失を低減して放射効率を向上でき、また、アンテナ装置を小型モジュール化することができる。
【0024】
回路基板120の板厚方向の中央部には、導電性材料からなる接地導体140が設けられており、コンタクト141を介して回路基板120の下側の主表面に繋がっている。回路基板120の下側の主表面には、高周波IC(Integrated Circuit)チップが実装されている。
【0025】
回路基板120は、回路基板120の下側の主表面の一部が支持基板180の上面と接するように、支持基板180上に載置されている。支持基板180の上面には、接地導体160が設けられている。接地導体160は、回路基板120の下側の主表面に露出しているコンタクト141と接続されている。回路基板120は、図示しない筐体に収納されている。
【0026】
回路基板120のアンテナ110が形成された側の主表面と対向するように誘電体板130が配置されている。本実施形態においては、誘電体板130の材料として、ポリプロピレンを用いた。誘電体板130は、下面の周囲を側壁部170により支持されている。
【0027】
回路基板120と誘電体板130との間には、誘電体層190が形成されている。本実施形態においては、誘電体層190は、空気で構成されているが、窒素などの気体から構成されていてもよい。また、誘電体層190は、後述するように、誘電体板130の比誘電率より低い比誘電率を有する樹脂で構成されていてもよい。
【0028】
図3に示すように、互いに対向している、回路基板120のアンテナ110が形成されている側の主表面と、誘電体板130の下面との間には、距離Sの隙間が存在している。この隙間に空気が存在することにより、誘電体層190が構成されている。
【0029】
誘電体板130は、厚さdで形成されている。誘電体板130は、比誘電率εrを有している。本実施形態では、誘電体板130がポリプロピレンで構成されているため、比誘電率εr=2.3である。セラミック基板からなる回路基板120の比誘電率は、7.5である。なお、空気の比誘電率は1とする。よって、誘電体板130は、回路基板120の比誘電率より小さい比誘電率εrを有する。誘電体層190は、誘電体板130の比誘電率εrより小さい比誘電率を有する。
【0030】
上記の構成を有するアンテナ装置100において、誘電体層190の厚さSと誘電体板130の厚さdとを変化させた際のアンテナの相対利得ΔdBを、電磁界シミュレーションにより解析した。なお、アンテナ110の厚さは、回路基板120の主表面と誘電体板130との間の距離に比較して十分に小さいため、誘電体層190の厚さを実質的にSとする。
【0031】
図4は、電磁界シミュレーションによる解析結果を示す図である。図4においては、縦軸にアンテナの相対利得ΔdBを示し、横軸に誘電体板130の厚さd(mm)を示している。なお、アンテナの相対利得ΔdBにおいては、誘電体板130および誘電体層190が設けられていない状態におけるアンテナ装置のアンテナの利得を0dBとしている。
【0032】
また、図4においては、誘電体層190の厚さS=2.419mmのデータを実線、S=1.815mmのデータをピッチの短い点線、S=1.210mmのデータを一点鎖線、S=0.605mmのデータを二点鎖線、S=0.001mmのデータをピッチの長い点線で示している。
【0033】
図4に示すように、誘電体層190の厚さSが2.419mmの場合に、アンテナの相対利得ΔdBが最も大きくなっている。本実施形態のアンテナ装置100から放射される高周波信号の平均周波数を60.5GHzとすると、高周波信号が空気中を伝搬する際の秒速は30万kmであるため、高周波信号が空気中を伝搬する際の波長λ(mm)は、300/60.5=4.95mmとなる。よって、誘電体層190の厚さSがλ/2の近傍であるときに、アンテナの相対利得ΔdBが最大になっていることが分かる。
【0034】
アンテナの相対利得ΔdBは、誘電体板130の厚さdに対して周期性を有している。誘電体板130中を高周波信号が伝搬する際の実効波長λgは、λ/εr1/2=4.95/2.31/2=3.26となる。アンテナの相対利得ΔdBが最大となった誘電体層190の厚さSが2.419mmである場合において、誘電体板130の厚さdが、図中の二点鎖線の丸印で囲んだ位置である、λg/4の奇数の自然数倍となっているときに、アンテナの相対利得ΔdBが高くなっている。具体的には、誘電体板130の厚さdが、λg/4=3.26/4=0.8の近傍のとき、および、3λg/4=2.4の近傍のときに、アンテナの相対利得ΔdBが高くなっている。
【0035】
このように、誘電体板130の厚さdがλg/2変化するごとに、アンテナの相対利得ΔdBはピーク値を示すが、誘電体板130が厚くなるにつれて誘電体損失が発生して、アンテナの相対利得ΔdBのピーク値は低下する。
【0036】
次に、誘電体板130の厚さdを0.7mmに固定して、誘電体層190の厚さSを変化させた場合のアンテナの相対利得ΔdBの変化を電磁界シミュレーションにより解析した。
【0037】
図5は、誘電体板の厚さを一定にした条件下における電磁界シミュレーションによる解析結果を示す図である。図5においては、縦軸にアンテナの相対利得ΔdBを示し、横軸に誘電体層190の厚さS(mm)を示している。なお、アンテナの相対利得ΔdBにおいては、誘電体板130および誘電体層190が設けられていない状態におけるアンテナ装置のアンテナの利得を0dBとしている。
【0038】
図5に示すように、誘電体層190の厚さSがλ/2の近傍である2.4mmのとき、アンテナの相対利得ΔdBがピーク値となり、アンテナの相対利得ΔdBは約2.7dBとなっている。これは、誘電体層190の厚さSが高周波信号の半波長付近であることにより、誘電体板130の下面で反射して回路基板120の主表面に到達した信号と、アンテナ110から放射される信号とが、同位相となって共振するためである。この動作は、直接的に、回路基板120の比誘電率には依存しない。
【0039】
誘電体層190の厚さSが2.2mm以上2.5mm以下においては、アンテナの相対利得ΔdBは2.1dB以上であり、その範囲においてはアンテナの相対利得ΔdBは緩やかに変化している。
【0040】
よって、アンテナの相対利得ΔdBを2.1dB以上とするために、誘電体層190の厚さSを2.2mm以上2.5mm以下となるように設計した場合、誘電体層190の厚さSは0.3mmの許容範囲を有しているため、誘電体層190の厚さSに関連する部品の寸法精度をそれほど厳しく管理しなくてもよくなり、それらの部品の製作が容易となる。
【0041】
図4に示すように、誘電体層190の厚さSが1.815mmの場合において、アンテナの相対利得ΔdBが1dB以上大きい部分がある。1.815mmは、λ/2である2.475mmの−30%の値であるため、アンテナの相対利得ΔdBの周期性から、この反対の+30%の範囲も含めて、誘電体層190の厚さSがλ/2の±30%の範囲内において、アンテナの利得を向上することができることが分かる。よって、誘電体層190の厚さSが、0.7λ/2≦S≦1.3λ/2の関係を満たす場合には、アンテナの利得を向上することができる。
【0042】
図4に示すように、誘電体層190の厚さSが2.419mmの場合において、誘電体板の厚さdが0.3mm以上1.3mm以下においては、アンテナの相対利得ΔdBは0dB以上である。0.3mmは、λg/4である0.8mmの−60%であり、1.3mmは0.8mmの+60%である。よって、誘電体板130の厚さdがλg/4の±60%の範囲内において、アンテナの利得を向上することができることが分かる。言い換えると、0.4λ/(4εr1/2)≦d≦1.6λ/(4εr1/2)の関係を満たす場合には、アンテナの利得を向上することができる。
【0043】
図4から分かるように、アンテナの利得を向上することができる誘電体板130の厚さdのレンジは、1つの範囲について約1mmである。すなわち、誘電体板130の厚さdが、0.3mm以上1.3mm以下の範囲、および、1.9mm以上2.9mm以下の範囲において、周期的に約1mmの範囲においてアンテナの利得が向上される。
【0044】
よって、誘電体板130の厚さdが3λg/4の±20%の範囲内において、アンテナの利得を向上することができる。言い換えると、0.8(3λ)/(4εr1/2)≦d≦1.2(3λ)/(4εr1/2)の関係を満たす場合には、アンテナの利得を向上することができる。
【0045】
同様に、誘電体板130の厚さdが5λg/4の±12%の範囲内において、アンテナの利得を向上することができる。言い換えると、0.88(5λ)/(4εr1/2)≦d≦1.12(5λ)/(4εr1/2)の関係を満たす場合には、アンテナの利得を向上することができる。
【0046】
同じく、誘電体板130の厚さdが7λg/4の±8%の範囲内において、アンテナの利得を向上することができる。言い換えると、0.92(7λ)/(4εr1/2)≦d≦1.08(7λ)/(4εr1/2)の関係を満たす場合には、アンテナの利得を向上することができる。
【0047】
このように、誘電体板130の厚さdを、誘電体板130中での高周波信号の実効波長の4分の1の奇数の自然数倍とすることにより、誘電体板130と誘電体層190との境界面において、誘電体板130内を偶数回多重反射した信号と、アンテナ110から放射されて誘電体層190中を伝搬した信号とが同位相となり、上記の誘電体層190における共振効果を高めることができる。
【0048】
ただし、誘電体板130の厚さdの設定寸法が大きくなるほど、誘電体板130の厚さdの許容範囲が小さくなるため、製造時の部品寸法精度を管理する観点からは、誘電体板130の厚さdを小さく設定した方が好ましい。具体的には、誘電体板130の厚さdをλ/4εr1/2に設定することが好ましい。
【0049】
上記のように構成したアンテナ装置100において、アンテナ110の1素子当たりの指向特性を評価した。図6は、比較例として、誘電体層および誘電体板が設けられていないアンテナ装置におけるアンテナの放射パターンを示す図である。図7は、本実施形態に係るアンテナ装置におけるアンテナの放射パターンを示す図である。
【0050】
図6に示すように、比較例のアンテナにおいては、H面(垂直面)およびE面(水平面)において0°方向のアンテナ利得(dBi)が4dBiである。図7に示すように、本実施形態に係るアンテナ110においては、H面およびE面において0°方向のアンテナ利得(dBi)が6.5dBiである。よって、誘電体層190および誘電体板130を設けることにより、H面およびE面における0°方向においてアンテナ利得(dBi)が約2.5dB向上されている。
【0051】
また、図6と図7とを比較すると分かるように、本実施形態に係るアンテナ110の放射パターンは、比較例のアンテナの放射パターンに比べて指向性が強くなっており、H面およびE面における0°方向に対して鋭くなっている。
【0052】
本実施形態のアンテナ装置100においては、ポリプロピレンからなる誘電体板130の比誘電率εrは2.3であり、アンテナ装置100の周囲に存在する空気の比誘電率である1と、セラミック基板からなる回路基板120の比誘電率である7.5と比較して、誘電体板130は、空気と回路基板120との中間の値で、かつ、空気の誘電率に近い値の比誘電率を有している。
【0053】
よって、誘電体板130は、アンテナ110から放射される高周波信号に対して緩衝層として機能し、アンテナ装置100の周囲の空気との整合性を改善する。そのため、アンテナ装置100からの高周波信号の放射効率およびアンテナ利得が向上する。また、回路基板120の比誘電率を高くしておくことで、回路を小さくしてアンテナ装置を小型化することができる。
【0054】
ただし、誘電体板130を構成する材料はポリプロピレンに限られず、また、回路基板120を構成する材料はセラミックに限られない。誘電体板130の比誘電率εrが、回路基板120の比誘電率以下で、かつ、誘電体層190の比誘電率が誘電体板130の比誘電率より小さくなるような材料で、誘電体板130、誘電体層190および回路基板120がそれぞれ構成されていればよい。
【0055】
本実施形態のアンテナ装置100に設けられた複数のアンテナ110は、各々が放射する高周波信号の位相が電気回路により制御されることにより、アンテナ110からの高周波信号が合成されて、旋回および俯仰するように走査するフェーズドアレイアンテナとして動作する。本実施形態においては、複数のアンテナ110をフェーズドアレイアンテナとして動作するように構成したが、アンテナ装置100のアンテナとして、高周波信号の位相を制御しない1つまたは複数のアンテナを設けてもよい。
【0056】
本実施形態においては、複数のアンテナ110をフェーズドアレイアンテナとして動作させることにより、主ビームのビーム走査範囲が±数十度に限定されて、走査範囲内における主ビームの利得が向上されている。図7に示すように、H面においては、±20度の範囲内において5dBi以上のアンテナ利得が得られている。このアンテナ利得(dBi)の向上効果は、アンテナ110の素子数に依存するため、多くのアンテナ110を配置するほど高いアンテナ利得(dBi)を得ることができる。
【0057】
以下、本発明の実施形態2に係るアンテナ装置について説明する。
実施形態2
図8は、本発明の実施形態2に係るアンテナ装置の一部を拡大して示す断面図である。図9は、図8のアンテナ装置をIX−IX線矢印方向から見た図である。
【0058】
図8,9に示すように、本実施形態のアンテナ装置は、誘電体板230が平板部231と突出部232とから構成されている。他の構成については、実施形態1のアンテナ装置100と同様であるため説明を繰返さない。
【0059】
図8に示すように、突出部232は、平板部231のアンテナ110と対向する部分において、アンテナ110に近接するように突出している。本実施形態においては、平板部231および突出部232は、ポリプロピレンを材料として一体で形成されている。ただし、平板部231と突出部232とが、それぞれ異なる比誘電率を有する材料から形成されていてもよい。
【0060】
図9に示すように、突出部232は円柱形状を有しており、その断面は直径Rの円形状を有している。直径Rは、上方から突出部232を回路基板120に投影した際に、その投影領域がアンテナ110を包含する大きさ以上の直径であればよい。
【0061】
図8に示すように、回路基板120の主表面と平板部231の下面との間には、距離Sの隙間が存在している。この隙間に空気が存在することにより、誘電体層190が構成されている。
【0062】
本実施形態においては、突出部232とアンテナ110との間に誘電体層190が介在している。言い換えると、図8に示すように、回路基板120の主表面と突出部232の下面との間に、アンテナ110の厚さより大きなギャップgが形成されている。
【0063】
図10は、本実施形態の複数のアンテナに対応して突出部が形成されているアンテナ装置の構成を示す断面図である。図11は、図10のアンテナ装置を矢印XIから見た図である。
【0064】
図10,11に示すように、本実施形態においては、複数のアンテナ110が形成されている位置に対応して、平板部231の下面に突出部232が設けられている。たとえば、隣接するアンテナ110同士が2.8mm以下の間隔で形成されている場合、直径が2.0mmの円柱形状を有する突出部232を設けることにより、隣接する突出部232同士の間隔は0.8mm以下となる。
【0065】
本実施形態においては、突出部232の形状を円柱形状としたが、突出部232の形状はこれに限られず、楕円形の断面を有する柱状などでもよい。
【0066】
図12は、本実施形態の変形例として、四角柱状の突出部を有する誘電体板を備えるアンテナ装置の一部を拡大して示す断面図である。図13は、図12のアンテナ装置をXIII−XIII線矢印方向から見た図である。
【0067】
図12,13に示すように、変形例のアンテナ装置の誘電体板330においては、平板部331から突出した突出部332は四角柱形状を有しており、その断面は一辺の長さがTである正方形状を有している。一辺の長さTは、上方から突出部332を回路基板120に投影した際に、その投影領域がアンテナ110を包含する大きさ以上の長さであればよい。変形例においては、突出部332の断面形状を正方形としたが、突出部332の断面形状は長方形でもよい。
【0068】
図14は、変形例において複数のアンテナに対応して突出部が形成されているアンテナ装置の構成を示す断面図である。図15は、図14の変形例のアンテナ装置を矢印XVから見た図である。
【0069】
図14,15に示すように、本実施形態においては、複数のアンテナ110が形成されている位置に対応して、平板部331の下面に突出部332が設けられている。たとえば、隣接するアンテナ110同士が2.8mm以下の間隔で形成されている場合、一辺の長さが2.0mmの四角柱形状を有する突出部332を設けることにより、隣接する突出部332同士の間隔は0.8mm以下となる。
【0070】
上記のように構成したアンテナ装置において、アンテナ110の1素子当たりの利得とギャップgとの関係を電磁界シミュレーションを用いて解析した。
【0071】
図16は、本実施形態の円柱形状の突出部を有する誘電体板を備えるアンテナ装置の解析結果を示す図である。図17は、変形例の四角柱形状の突出部を有する誘電体板を備えるアンテナ装置の解析結果を示す図である。図16,17において、ギャップgが0μmとは、突出部とアンテナとが接触している状態のことである。
【0072】
図16,17に示すように、円柱形状の突出部232を有する誘電体板230を備えたアンテナ装置のアンテナ、および、四角柱形状の突出部332を有する誘電体板330を備えたアンテナ装置のアンテナのいずれにおいても、ギャップgが300μmおよび400μmであるときに、高いアンテナ利得(dBi)が得られている。400μmは、λg/8に相当する。なお、アンテナ110の厚さは、20μmとした。
【0073】
円柱形状の突出部232を有する誘電体板230を備えたアンテナ装置のアンテナ、および、四角柱形状の突出部332を有する誘電体板330を備えたアンテナ装置のアンテナのいずれも、ギャップgが0μmである場合において、図6で示す誘電体層および誘電体板が設けられていないアンテナ装置のアンテナより高いアンテナ利得(dBi)を有している。よって、誘電体板230,330においては、突出部232,332の下面とアンテナ110の上面とが接触するように構成されていてもよい。
【0074】
ただし、誘電体板230,330において、突出部232,332の下面とアンテナ110の上面とが接触しないように構成することにより、誘電体板230,330を介してアンテナ装置の外部から外力がアンテナ110に負荷されることを抑制することができる。その結果、外力により回路基板120が破損することを低減できる。
【0075】
本実施形態および変形例のアンテナ装置において、ギャップgを300μmとして、アンテナ110の1素子当たりの指向特性を評価した。図18は、本実施形態の円柱形状の突出部を有する誘電体板を備えたアンテナ装置のアンテナの放射パターンを示す図である。図19は、変形例の四角柱形状の突出部を有する誘電体板を備えたアンテナ装置のアンテナの放射パターンを示す図である。
【0076】
図18に示すように、本実施形態に係るアンテナ110においては、H面およびE面において0°方向のアンテナ利得(dBi)が8.0dBiである。図19に示すように、変形例に係るアンテナ110においては、H面およびE面において0°方向のアンテナ利得(dBi)が8.6dBiである。
【0077】
よって、図7に示す平板状の誘電体板130を備えたアンテナ装置のアンテナ110と比較して、突出部232,332を有する誘電体板230,330を備えたアンテナ装置のアンテナ110は、H面およびE面における0°方向においてアンテナ利得(dBi)が1dB〜1.6dB向上されている。
【0078】
また、図7と図18,19とを比較すると分かるように、本実施形態および変形例に係るアンテナ110の放射パターンは、実施形態1のアンテナ110の放射パターンに比べて指向性が強くなっており、H面およびE面における0°方向に対して鋭くなっている。特に、E面では狭いメインローブとなっている。
【0079】
このように、本実施形態のアンテナ装置においては、主ビームの利得を向上させることができるとともに、主ビームが引き締まることによって、ビームの広がりから生ずる不要な反射波成分を低減することができる。
【0080】
本実施形態においては、平板部231,331と突出部232,332とを同一の材料を用いて一体で誘電体板230,330を形成しているため、誘電体板230,330は金型を用いて容易に製造可能であり、量産性に優れている。
【0081】
図20は、誘電体板が設けられていないアンテナ装置、実施形態1に係るアンテナ装置、本実施形態に係るアンテナ装置および変形例のアンテナ装置のアンテナ1素子当たりのアンテナ利得(dBi)をまとめた図である。
【0082】
図20に示すように、実施形態1の誘電体板130、実施形態2の誘電体板230および変形例の誘電体板330を有するアンテナ装置は、誘電体板を有さないアンテナ装置より高いアンテナ利得(dBi)を有している。
【0083】
以下、実施形態1または実施形態2のアンテナ装置を備える電気機器について説明する。本実施形態においては、電気機器として、室内で使用されるAV(audio/visual)機器間の無線伝送を行なう電気機器について説明するが、電気機器はこれに限られず、室外で使用される高周波信号の送受信機などが含まれる。
【0084】
実施形態3
図21は、本発明の実施形態3に係る電気機器の使用態様を示す模式図である。図22は、本実施形態に係る電気機器の構成を示す断面図である。
【0085】
図21に示すように、本実施形態の電気機器は、室内において使用されるブルーレイおよびHDD(Hard disk drive)レコーダー400とテレビ500との間で無線伝送を行なう、送信装置410と受信装置510とから構成されている。
【0086】
送信装置410は、ブルーレイおよびHDDレコーダー400と接続されており、ブルーレイおよびHDDレコーダー400から信号が送信装置410に伝送される。受信装置510は、テレビ500と接続されており、受信装置510が受信した信号はテレビ500に伝送される。
【0087】
本実施形態の電気機器においては、送信装置410が室内の壁を介して高周波信号を受信装置510に送信する。通常、室内において、テレビ500は壁際に配置され、ブルーレイおよびHDDレコーダー400は視聴者の近くのテーブルなどに配置される。そのため、ブルーレイおよびHDDレコーダー400とテレビ500との間に、信号の送受信の障害となる人などの障害物が介在する場合がある。
【0088】
そのような場合に障害物の影響を低減して高周波信号の送受信を行なうために、本実施形態においては、送信装置410は天井600に向けて高周波信号430を送信し、受信装置510は天井600により反射された高周波信号430を受信する。このように信号を伝送することを見通し外伝送という。これに対して、送信装置410が受信装置510へ対面方向に高周波信号を直接送信することを見通し内伝送という。
【0089】
送信装置410および受信装置510は、フェーズドアレイアンテナを有しているため、送信装置410は、図21中の矢印440で示す範囲を走査しつつ高周波信号を送信する。受信装置510は、図21中の矢印540で示す範囲を走査しつつ高周波信号を受信する。送信装置410および受信装置510は、各々図示しない制御部を有しており、制御部により走査範囲内において高周波信号の最も感度の高い位置において送信または受信するように制御されている。
【0090】
具体的には、受信装置510の制御部は、高周波信号430の受信感度をフィードバック信号として送信装置410に送信する。送信装置410の制御部は、そのフィードバック信号を受信して、最適伝送路を割り出す。最適伝送路が決定された後、送信装置410および受信装置510のそれぞれのアンテナのビームの方向が、各々の制御部により、その最適伝送路を構築するように調整される。その結果、送信装置410と受信装置510との間の伝送損失が低減される。
【0091】
図22に示すように、本実施形態の送信装置410および受信装置510においては、回路基板430,530の主表面上にアンテナ420,520が形成されている。回路基板430,530は、筐体450,550に収納されている。回路基板430,530と対向するように配置された誘電体板440,540は、筐体450,550の一部を構成している。高周波信号430は、アンテナ420,520から放射されて、誘電体板440,540を透過して伝搬する。
【0092】
本実施形態においては、回路基板430,530の主表面上にLED(Light Emitting Diode)からなる発光部460,560が設けられている。発光部460,560は、誘電体板440,540に向けて赤色および緑色などの可視光470,570を発光する。誘電体板440,540は、発光部460,560により発光された光を透過する。
【0093】
本実施形態においては、誘電体板440,540は、ポリプロピレンから構成されているため、誘電体板440,540の比誘電率εrが2.3である。高周波信号430の平均周波数を60.5GHzとすると、誘電体板440,540中の実効波長λgは3.26mmである。アンテナ420,520のアンテナ利得(dBi)が高くなるように、誘電体板440,540の厚さは、λg/4=0.8mm、または、3λg/4=2.4mmの近傍にすることが好ましい。
【0094】
0.8mmまたは2.4mm程度の厚さのポリプロピレンにより誘電体板440,540を構成することにより、発光部460,560から発光射された光は、誘電体板440,540を透過することが可能である。
【0095】
送信装置410および受信装置510が高周波信号430を送受信しているときに、発光部460,560が発光するようにすることにより、電気機器の使用者に高周波信号430が送受信されていることを認識させることができる。その結果、使用者に対して、送信装置410と受信装置510との間の伝送経路に障害物等が存在しないように、装置の設置時および使用時に注意喚起することができる。
【0096】
本実施形態の電気機器においては、誘電体板440,540が筐体450,550の一部となっているため、誘電体板440,540はアンテナカバーとしての機能を有している。そのため、誘電体板440,540をポリプロピレンから形成する場合には、0.8mmの厚さで形成した場合よりも2.4mmの厚さで形成した場合の方が、誘電体板440,540の機械的強度が増加して、アンテナ420,520の保護機能が向上される。
【0097】
また、電気機器が室外で使用される場合においても、誘電体板440,540を2.4mmの厚さで形成した方が、0.8mmの厚さで形成した場合よりも耐候性に優れ、電気機器の長寿命化を図ることができる。
【0098】
なお、今回開示した上記実施形態はすべての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。したがって、本発明の技術的範囲は、上記した実施形態のみによって解釈されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて画定される。また、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0099】
100 アンテナ装置、110,420,520 アンテナ、120,430,530 回路基板、130,230,330,440,540 誘電体板、140,160 接地導体、141 コンタクト、170 側壁部、180 支持基板、190 誘電体層、231,331 平板部、232,332 突出部、400 ブルーレイおよびHDDレコーダー、410 送信装置、430 高周波信号、450,550 筐体、460,560 発光部、470,570 可視光、500 テレビ、510 受信装置、600 天井。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板の1つの主表面上に位置するアンテナと、
前記基板の前記主表面と対向する誘電体板と、
前記基板と前記誘電体板との間に介在する誘電体層と
を備え、
前記誘電体板は、前記基板の比誘電率以下の比誘電率を有し、
前記誘電体層は、前記誘電体板の比誘電率より小さい比誘電率を有する、アンテナ装置。
【請求項2】
前記誘電体層が気体からなる、請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項3】
前記誘電体層が樹脂で構成されている、請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項4】
前記誘電体層が空気からなり、
前記アンテナから放射された高周波信号が空気中を伝搬する際の波長をλ、互いに対向している前記基板の前記主表面と前記誘電体板との間の距離をSとした場合、0.7λ/2≦S≦1.3λ/2の関係を満たす、請求項2に記載のアンテナ装置。
【請求項5】
前記誘電体板の厚さをd、前記誘電体板の比誘電率をεrとした場合、0.4λ/(4εr1/2)≦d≦1.6λ/(4εr1/2)の関係を満たす、請求項4に記載のアンテナ装置。
【請求項6】
前記誘電体板の厚さをd、前記誘電体板の比誘電率をεrとした場合、0.8(3λ)/(4εr1/2)≦d≦1.2(3λ)/(4εr1/2)の関係を満たす、請求項4に記載のアンテナ装置。
【請求項7】
前記誘電体板は、前記アンテナと対向する部分に前記アンテナに近接するように突出した突出部を有する、請求項1から6のいずれかに記載のアンテナ装置。
【請求項8】
前記突出部と前記アンテナとの間に前記誘電体層が介在している、請求項7に記載のアンテナ装置。
【請求項9】
前記突出部が円柱形状を有する、請求項7または8に記載のアンテナ装置。
【請求項10】
前記突出部が四角柱形状を有する、請求項7または8に記載のアンテナ装置。
【請求項11】
前記アンテナが、マイクロストリップパッチアンテナまたはスロットアンテナである、請求項1から10のいずれかに記載のアンテナ装置。
【請求項12】
複数の前記アンテナを有し、
前記複数のアンテナが、フェーズドアレイアンテナとして動作する、請求項1から10のいずれかに記載のアンテナ装置。
【請求項13】
請求項1から12のいずれかに記載のアンテナ装置を備える電気機器であって、
前記基板を収納する筐体を有し、
前記誘電体板は、前記筐体の一部を構成している、電気機器。
【請求項14】
それぞれ室内で使用される受信装置および送信装置を備える電気機器であって、
前記受信装置および送信装置の各々は、請求項1から12のいずれかに記載のアンテナ装置を含み、
前記送信装置は、室内の壁を介して高周波信号を前記受信装置に送信する、電気機器。
【請求項15】
前記アンテナ装置において、前記基板の前記主表面上に発光部が設けられ、
前記発光部は、前記誘電体板に向けて発光し、
前記誘電体板は、前記発光部により発光された光を透過する、請求項13または14に記載の電気機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2012−44402(P2012−44402A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−183101(P2010−183101)
【出願日】平成22年8月18日(2010.8.18)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】