インクジェット印刷可能なエッチングインク及び関連する方法
本発明は、半導体装置の表面上への新規なエッチング組成物の非接触堆積方法、さらにはその後に行われる、これら半導体装置の最上部に位置する機能層のエッチングに関する。前記機能層は、表面パッシベーション層及び/又は反射防止コーティング(ARC)として提供され得る。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の表面上への新規なエッチング組成物の非接触堆積方法、さらにはその後に行われる、これら半導体装置の最上部に位置する機能層のエッチングに関する。前記機能層及び層スタック(layer stacks)は、表面パッシベーション層及び/又は反射防止挙動(いわゆる反射防止コーティング(ARC))の目的で提供され得る。
【0002】
半導体の表面パッシベーション層は、多くの場合、二酸化ケイ素(SiO2)及び窒化ケイ素(SiNx)の使用を含み、さらには、交互に二酸化ケイ素及び窒化ケイ素の層を含むスタック(NO及びONOスタックとして一般に知られている)の使用を含む([1]、[2]、[3]、[4]、[5])。表面パッシベーション層は、化学気相堆積(CVD)、プラズマ化学気相堆積(PECVD)、スパッタリングなどの周知の最先端堆積技術を用いて、さらには、特徴的なガス及び/又はその混合物を含む雰囲気に半導体をさらしながらの熱処理することで、半導体上に形成することができる。より詳細には、熱処理は、ケイ素の「乾式」及び「湿式」酸化、さらには酸化ケイ素の窒化や、その反対の窒化ケイ素の酸化のような各種方法を含む。さらに、表面パッシベーション層は、前述した具体例であるNO及びONOスタック以外の層スタックを含んでいてもよい。このようなパッシベーションスタックは、酸化ケイ素(SiOx)の層又は窒化ケイ素(SiNx)のいずれかで被覆された半導体表面上に直接堆積させたアモルファスシリコン(a−Si)の薄い層(10〜50nm)を含んでいてもよい([6]、[7])。表面パッシベーションに典型的に用いられる他のスタックは、ALD技術を適用した低温堆積(→低温パッシベーション)により半導体表面上に形成された酸化アルミニウム(AlOx)(これが最終の層でもよく、酸化ケイ素(SiOx)でキャップされていてもよい)を含む([8]、[9])。ただし、代わりとなるキャップ層として窒化ケイ素も考えられる。しかし、効果的な表面パッシベーションは、ALDで堆積された酸化アルミニウムを含む前述の低温パッシベーションを単独で用いたときも達成される。
【0003】
反射防止層は、最先端太陽電池の典型的な部分であり、太陽電池内部で入射光をトラップする能力(光閉じ込め)向上の達成により生じる太陽電池の変換効率の増加をもたらす。典型的なARCは、化学量論量の、さらには非化学量論量の窒化ケイ素(SiNx)、酸化チタン(TiOx)を含み、また二酸化ケイ素(SiOx)を含む([1]、[2]、[3]、[10])。
【0004】
加えて、アモルファスシリコン(a−Si)を含めた全ての個々に言及された材料は、部分的に水素添加されていてもよく、すなわち水素を含んでいてもよい。言及された材料における個別の水素含有量は、個別の堆積パラメータに依存する。特に、アモルファスシリコン(a−Si)は、インターカレートした又は別の方法で組み込まれたアンモニア(NH3)を部分的に含んでいてもよい。
【0005】
革新的な太陽電池のコンセプトは、ある構造上の特徴を作り上げるため及び/又は種々の電子・電気的な特性を持つ領域を定めるために、しばしば、表面パッシベーション層又は反射防止層が局所的に開口されていることを要求する。一般に、そのような層は、エッチングペーストの局所的な堆積により、フォトリソグラフィにより、一般的なエッチングレジストの「ポジ型」マスクの堆積(堆積の方法はスクリーン印刷でもインクジェットでもよい。)により、さらには材料の局所的なレーザー誘起アブレーションにより構築することができる。前述した技術の各々は特有の効果を提供するものの、明確な欠点をも持つ。例えば、フォトリソグラフィは、非常に高い精度で、かつ最も小さい形状を可能とする。しかし、それは、時間を消費するプロセス技術であることから、非常に高価なものとなる。結果として、工業的に高容積及び高スループット製造のニーズに対しては適用されないので、特に、結晶シリコン太陽電池の製造の明確なニーズに対応しない。レーザーアブレーションによる表層構築は、レーザー光によりもたらされる熱が放散する間、レーザーで誘発された局所的な表面損傷という欠点を持つ。結果として、表面は溶融及び再結晶プロセスにより変わってしまい、例えば表面テクスチャーが局所的に破壊されることで、表面モルフォロジーに著しい影響を及ぼす。後者の望ましくない効果の他に、その表面は、最も一般的には湿式化学ポストレーザー処理が原因となるレーザーで誘発された表面損傷(例えば、KOH及び/又は他のアルカリ性エッチング液を含む溶液を用いたエッチングによる)から開放されなければならない。一方で、インクジェットによる材料の堆積は、最初のアプローチによる非常に局所的で限られた堆積技術である。その解像度は、スクリーン印刷よりいくらか良好である。しかし、解像度は、プリントヘッドから噴き出す液滴の直径に強く影響される。例えば、容積10plの液滴は、結果として、ほぼ30μmの液滴直径になり、それは、衝突による減速及び表面湿潤の相互作用により、衝撃が加えられると表面上で広がることもある。インクジェットの魅力的な利点の1つは、機能材料の非接触堆積に加えて、プロセス薬品の低消費量とともに、局所的堆積である。原則として、いかなる種類の複雑なレイアウトも、まさしくコンピュータを使ったデザイン(CAD)を取り込み、プリンターと基板にそれぞれデジタル化された印刷レイアウトを転送することにより、表面上に印刷することができる。フォトリソグラフィと比べたインクジェット印刷の他の利点は、表面構築に基本的に必要なプロセス工程数を減らす驚異的なポテンシャルである。フォトリソグラフィでは少なくとも8つのプロセス工程を必要とするのに対し、インクジェットは、3つの主要なプロセス工程のみを有する。その主要な3つの工程は、a)インクの堆積、b)エッチング、及びc)基板の洗浄である。
【0006】
本発明は、太陽光発電装置の局所的構築に関するが、この分野への適用には決して限られない。一般に、電子装置の製造には、限定されないが酸化ケイ素及び窒化ケイ素を含む表面上の典型的な層とともに、あらゆる種類の表層の構築を必要とする。このように、インクジェットシステム(すなわち、プリントヘッド)は、二酸化ケイ素及び/又は窒化ケイ素のエッチングのために使用する典型的な化学薬品に適合する材料で製造されなければならない。あるいは、インクは、周囲温度及びわずかに高い温度(例えば80℃)において、化学的に不活性となるように組成しなければならない。そして、インクは、被加熱基板上のみでエッチング機能を発揮しなければならない。
【0007】
<参考文献>
[1]M.A.Green,Solar Cells,The University of New South Wales,Kensington,Australia,1998
[2]M.A.Green,Silicon Solar Cells:Advanced Principles & Practice,Centre for Photovoltaic engineering,The University of New SouthWales,Sydney Australia,1995
[3]A.G.Aberle,Crystalline Silicon Solar Cells:Advanced Surface Passivation and Analysis,Centre for Photovoltaic engineering,The University of New South Wales,Sydney Australia,2nd edition,2004
[3]I.Eisele,Grundlagen der Silicium−Halbleitertechnologie,Vorlesungsscript,Universitat der Bundeswehr,Neubiberg,revised edition 2000
[4]M.Hofmann,S.Kambor,C.Schmidt,D.Grambole,J.Rentsch,S.W.Glunz,R.Preu,Advances in Optoelectronics (2008),doi:10.1155/2008/485467
[5]B.Bitnar,Oberflachenpassivierung von kristallinen Silicium−Solarzellen,PhD thesis,University of Konstanz,Germany,1998
[6]S.Gatz,H.Plagwitz,P.P.altermatt,B.Terheiden,R.Brendel,Proceedings of the 23rd European Photovoltaic Solar Energy Conference,2008,1033
[7]M.Hofmann,C.Schmidt,N.Kohn,J.rentsch,s.W.Glunz,R.Preu,Prog.Photovolt:Res.Appl.2008,16,509−518
[8]J.Schmidt,A.Merkle,R.Bock,P.P.Altermatt,A.Cuevas,N.Harder,B.Hoex,R.van de Sanden,E.Kessels,R.Brendel,Proceedings of the 23rd European Photovoltaic Solar Energy Conference,2008,Valencia,Spain
[9]J.Schmidt,a.Merkle,R.Brendel,B.Hoex,C.M.van de Sanden,W.M.M.Kessels,Prog.Photovolt:Res.Appl.2008,16,461−466
[10]B.S.Richards,J.E.Cotter,C.B.Honsberg,Applied Physics Letters(2002),80,1123
<目的>
J.org.Chem 48,2112−4(1983)に開示されているように、テトラアルキルアンモニウムフッ化物塩(TAAF)は、熱的に分解して、テトラアルキルアンモニウム2フッ化物塩になることは公知である。特に適切なテトラアルキルアンモニウムフッ化物塩は、アルキルが好ましくは少なくとも第2級アルキル基(揮発性オレフィン及び活性HFに分解され得る)を意味するアンモニウムフッ化物塩である。
【0008】
これらのテトラアルキルアンモニウムフッ化物塩は、シリコン酸化物、窒化物、酸化窒化物又は類似の表面を有する表面エッチングのための水溶液中で非常に適していることを見出した。ただし、TAAFは非腐食性洗浄浴への添加剤として知られている(US2008/0004197A)。
【0009】
シリコン窒化物/酸化物の膜を通してエッチングするために、インクジェット印刷可能なフッ化物をベースとするエッチング液を使用することは知られている。この場合、インクジェット印刷は、これらの材料を堆積させる好ましい技術である。その理由は、以下の通りである。
・それは、非接触の方法であり、そのため脆い基板をパターニングするために有利である。
・デジタル技術として、イメージは容易にコントロールすることができ、プリンターは種々のパターンの範囲を迅速に印刷するために用いることができる。
・この方法は、スクリーン印刷より良好な解像度を提供することができる。
・それは、材料の使用において効率的であり、コストを削減でき、環境に優しい。
【0010】
インクジェット(IJ)印刷としては、限定されないが、ピエゾ式ドロップオンデマンド(DOD)IJ、熱DOD IJ、静電DOD IJ、トーンジェットDOD、連続IJ、エアロゾルジェット、電気流体力学ジェッティング又はディスペンシング、及び例えば超音波スプレーのような他の制御可能なスプレー法が挙げられる。
【0011】
しかし、SiOx又はSiNxベースの表面のエッチングに適している公知のエッチング組成物は、通常、酸性のフッ化物溶液をベースとしている。常に安定したエッチングの結果を達成するために、表面への腐食性インクのインクジェットが、確実にされなければならず、効果的にかつ長時間にわたって起こらなければならない。
【0012】
インクジェット:
・インクは、プリントヘッドに適合していなければならない;単純な酸性のフッ化物エッチング液は、大部分のプリントヘッドを通じて供給しないかもしれない。なぜなら、それらの構造は、主に、一般には酸性のフッ化物によって腐食するケイ素及び金属的な成分で作られているからである。
・これらのインクの物理的性質(表面張力、粘度又は粘弾性等)は、噴き出しに要求される範囲内になければならない。
【0013】
エッチングプロセス:
・エッチング液は、少ない容積において効果がでることに適していなければならない(エッチング物の濃度は、少ない容量において急速に上がる;このことがエッチングプロセスに対して否定的な影響を及ぼしてはならない)。
・エッチング液は、他のセル材料と適合する条件下でエッチングしなければならない(すなわち、ケイ素を事実上エッチングしない)。
・インクは、物理的に、表面上で位置決め可能でなければならない(すなわち、インクの粘度は、表面エネルギー及び表面張力とともにバランスがとれていなければならない)。
・エッチング組成物は、意図しないでセルにドープされる成分を含んではならない(例えば金属カチオン)。
・エッチングプロセスによって構築される生成物は、後の洗浄工程で容易に取り除かれなければならない。
・幾つかの適用においては、エッチングは、結果的に、パターン全体にわたって一定の深さをもたらさなければならない。
【0014】
したがって、本発明の目的は、特に一般的なプリントヘッドに適合する適切なインク組成物を提供することにある。
【0015】
<発明の詳細な説明>
実験によれば、予想外に、新規な酸性のフッ化物含有エッチング組成物が見出され、これによって、一般的な組成物が酸性であること(プリントヘッドの腐食の原因となる)に関連する問題を克服する。
【0016】
本発明に係るエッチング組成物は、少なくとも、一般式:
R1R2R3R4N+F−
(ここで、
R1は、2、3又は4つの窒素結合基が環又は環システムの一部を形成する基からなる−CHYa−CHYbYcであり、
Ya、Yb、及びYcは、H、アルキル、アリール、ヘテロアリールであり、
R2、R3及びR4は、互いに独立して、R1と同一であるか、アルキル、フッ化アルキルアンモニウム、アリール、ヘテロアリール又は−CHYa−CHYbYcであり、
ただし、−CHYa−CHYbYcのHを除去することで揮発性分子が生じる。)
を有する第4級アンモニウムフッ化物塩の水溶液を含む。
【0017】
前記第4級アンモニウムフッ化物塩において、1を超えるN+F−官能基が存在してもよい。
【0018】
好ましい実施形態において、本発明に係るエッチング組成物は、N−CHYa−CHYbYcの窒素がピリジニウム又はイミダゾリウムの環システムの一部を形成する第4級アンモニウムフッ化物塩を含む。良好なエッチング結果は、活性エッチング化合物として添加された少なくとも1つのテトラアルキルアンモニウムフッ化物塩を含むエッチング組成物により得ることができる。特に好ましくは、第4級アンモニウムフッ化物塩が、エチル若しくはブチル基、又は8つまでの炭素原子を有するより大きな炭化水素基であるアルキル基を少なくとも1つ含む組成物である。適切な第4級アンモニウムフッ化物塩は、EtMe3N+F−、Et2Me2N+F−、Et3MeN+F−、Et4N+F−、MeEtPrBuN+F−、iPr4N+F−、nBu4N+F−、sBu4N+F−、Pentyl4N+F−、OctylMe3N+F−、PhEt3N+F−、Ph3EtN+F−、PhMe2EtN+F−、Me3N+CH2CH2N+Me3F−2、
【0019】
【化1】
【0020】
のグループから選択することができる。
【0021】
一般に、本発明に係るエッチング組成物は、少なくとも1つの第4級アンモニウムフッ化物塩を、>20%(w/w)から>80%(w/w)の範囲の濃度で含む。エッチング組成物は、極性溶媒として水と一緒に少なくともアルコールを含み、又は他の極性溶媒を含み、任意選択的に表面張力制御剤を含む。
【0022】
適切な溶媒は、エタノール、ブタノール、エチレングリコール、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、及びメチルn−アミルケトン(MAK)、γ−ブチロラクトン(GBL)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、及び2−P(いわゆる安全な溶媒#2−P)のグループから選択され、又はそれらの混合物から選択される。
【0023】
組成物の特性を高めるため、他の化合物をインク組成物に添加することができる。これらの化合物は、界面活性剤(特に揮発性界面活性剤又は共溶媒)でもよく、これは、インクの表面張力を調整して基板へのぬれ性、エッチング速度、及びフィルム乾燥を高めるために適している。
【0024】
pHの調整のため、そしてヘッドの腐食を減らすために適切な緩衝剤は、特にアミンのような揮発性の緩衝剤であり、特に活性エッチング液を生成させるアミン(例えば、Et4N+F−のためのEt3N)である。
【0025】
非常に好適な実施形態において、本発明に係るエッチング組成物は、純粋な塩を含む印刷可能な「ホットメルト」材料であり、印刷工程において加熱により流動化する。
【0026】
一般に、エッチング組成物は、室温〜300℃の範囲の温度で印刷可能であり、好ましくは室温〜150℃の範囲であり、特に好ましくは室温〜100℃の範囲であり、とりわけ好ましくは室温〜70℃の範囲である。
【0027】
この新しく設計されたインクは、タンクやプリントヘッド中に保管されているとき、又は構築される表面上に噴出されるときには、エッチング機能を示さないか、極めて低いエッチング機能を示す。しかし、基板が加熱されたとき、分解することで望ましいエッチング液が生じる。これは、印刷されたインク組成物の化合物が活性エッチング剤に分解し、その活性エッチング剤がシリコン酸化物、窒化物、酸窒化物、又は同じような表面(ガラスを含む)をエッチングすることを意味する。有利なエッチング結果は、完全に予想外であった。なぜなら、初期の実験では、非常に遅いエッチング速度のため不十分なエッチング結果を示していたからである。
【0028】
エチル基又はより大きな炭化水素基であるアルキル基を少なくとも1つ含む第4級アンモニウムフッ化物塩(TAAFを含む)は、加熱による脱離によって、活性エッチング液としてのテトラアルキルアンモニウム化合物、3置換アミン(芳香族窒素、トリアルキルアミン等を含む)、及びアルケンを含む第4級アンモニウム水素2フッ化物塩に導かれる。
【0029】
したがって、活性エッチング液が生じて、高いエッチング速度で基板表面を構築することができる。
【0030】
例えば、含有する第4級アンモニウムフッ化物塩の全てのアルキル基がブチル基である組成物が塗布される場合、有利なエッチング結果を達成することができる。例えば、特別な実施形態では、テトラブチルアンモニウムフッ化物塩を加熱することで、トリブチルアミン及び1−ブテンが生じ、気相に蒸発する。これにより、基板上に活性エッチング液としてのテトラブチルアンモニウム水素2フッ化物だけが残る。
【0031】
このことは、Bu4N+F−が非エッチング性であるのに対し、第4級アンモニウム水素2フッ化物塩のような、特にBu4N+HF2−のような分解生成物のエッチング活性が優秀であることを意味する。これらの化合物は、活性エッチング液として有用である。開示された反応において、CH3CH2CH=CH2(揮発性)及びBu3N(揮発性)のような揮発性の副生物が生じる。
【0032】
この反応は、例えばホットプレートで下側から、又はIRヒーターによる照射で上側から、さらにはオーブンで周囲全体から加熱することで、基板の表面において誘発することができる。
【0033】
エッチング反応に必要とされるHFの生成は、必要に応じて誘発されることができる。エッチング反応で生成した水素2フッ化物部分からのHFの消費後、残留する第4級アンモニウムフッ化物は同じ分解サイクルに用いることができる。このように、出発フッ化物塩からHFの定量的生成が実現し、必要である限りこの反応をサポートすることができる。
【0034】
インクの堆積は、いわゆるバンク構造の考え方により促進/補助/サポートすることができる。バンク構造は、運河のような配列を形成する表面の構成であり、それによりインクが容易に堆積する。インクの堆積は、インク、及び特性を排除する反対側のバンク材料の両方を与える表面エネルギーの相互作用により促進されて、インクは、バンク自体はぬれずに、バンク材料によって区切られたチャネルに強制的に充填される。望まれる場合、バンク材料は、エッチングプロセス自体に要求される温度より高い沸点を有していてもよい。エッチングプロセスが完了した後、バンクは、適切な洗浄剤によって容易に洗い落とすことができ、あるいは、バンクが完全に蒸発するまで基板を加熱することもできる。典型的なバンク材料は、以下の化合物及び/又はその混合物を含むことができる:ノニルフェノール、メントール、α−テルピネオール、オクタン酸、ステアリン酸、安息香酸、ドコサン、ペンタメチルベンゼン、テトラヒドロ−1−ナフトール、ドデカノール等、さらにはフォトリソグラフィのレジスト、例えば−(CH2CH2)n−、ポリスチレン等のポリ炭化水素のようなポリマー、及び他のタイプのポリマー。
【0035】
したがって、本発明の目的は、太陽光発電装置又は半導体装置の製造において無機層をエッチングする方法であって、
a)エッチングされる表面上への請求項1〜11の1項以上に記載のエッチング組成物の非接触塗布工程と、
b)前記塗布されたエッチング組成物を加熱して、活性エッチング液を生じさせ又は活性化し、機能層の露出した表面領域をエッチングする工程と
を含む方法でもある。
【0036】
好ましくは、エッチング組成物は、印刷又はコーティング工程の前に、室温〜100°(好ましくは70℃まで)の範囲の温度に加熱され、エッチング組成物が表面に塗布されたとき、70〜300℃の範囲の温度に加熱され、活性エッチング液を生じさせ又は活性化させる。そして、その結果、70〜300℃の範囲の温度に加熱された後、機能層の露出した表面領域のエッチングのみが開始する。加熱されたエッチング組成物は、スピン又はディップコーティング、滴下キャスティング、カーテン又はスロットダイコーティング、スクリーン又はフレキソ印刷、グラビア又はインクジェットエアロゾルジェット印刷、オフセット印刷、マイクロ接触印刷、電気流体力学ディスペンシング、ローラー又はスプレーコーティング、超音波スプレーコーティング、パイプジェッティング、レーザー転写印刷、パッド又はオフセット印刷により塗布される。好都合なことに、本発明に係る方法は、酸化ケイ素(SiOx)、窒化ケイ素(SiNx)、酸窒化ケイ素(SixOyNz)、酸化アルミニウム(AlOx)、酸化チタン(TiOx)及びアモルファスシリコン(a−Si)からなる機能層又は層スタックのエッチングに適用してもよい。
【0037】
結果として、本発明の方法を実施することにより製造される改良された性能を有する半導体装置又は太陽光発電装置も、本発明の目的である。
【0038】
<好ましい実施形態>
開示されたエッチングプロセスに利用可能な適切な第4級アンモニウムフッ化物塩は、一般式:
R1R2R3R4N+F−
(ここで、
R1は、2、3又は4つの窒素結合基が環又は環システムの一部を形成する基からなる−CHYa−CHYbYcであり、
Ya、Yb、及びYcは、H、アルキル、アリール、ヘテロアリールであり、
R2、R3及びR4は、互いに独立して、R1と同一であるか、アルキル、フッ化アルキルアンモニウム、アリール、ヘテロアリール又は−CHYa−CHYbYcであり、
ただし、−CHYa−CHYbYcのHを除去することで揮発性分子が生じる。)
である。
【0039】
前記第4級アンモニウムフッ化物塩において、1を超えるN+F−官能基が存在してもよい。
【0040】
−CHYa−CHYbYcは、2、3又は4つの窒素結合基が環又は環システムの一部を形成する基からなってもよい。また、ピリジウム塩又はイミダゾリウム塩のように窒素が芳香環の一部を形成するN−アルキルへテロ芳香族アンモニウムフッ化物塩も含まれる。
【0041】
対応する基の具体例は、以下に例示される。
【0042】
適切なアンモニウム塩の具体例としては、限定されるものではないが、
EtMe3N+F−
Et2Me2N+F−
Et3MeN+F−
Et4N+F−
MeEtPrBuN+F−
iPr4N+F−
nBu4N+F−
sBu4N+F−
Pentyl4N+F−
OctylMe3N+F−
PhEt3N+F−
Ph3EtN+F−
PhMe2EtN+F−
【0043】
【化2】
【0044】
【化3】
【0045】
【化4】
【0046】
【化5】
【0047】
【化6】
【0048】
【化7】
【0049】
【化8】
【0050】
【化9】
【0051】
【化10】
【0052】
【化11】
【0053】
が挙げられる。
【0054】
本発明に係る適切なインクジェット可能な組成物において、TAAF塩は、高濃度(典型的には>20%(w/w)の濃度、特に>80%(w/w)の濃度)で溶媒中に溶解させる。理想的には、できる限り最高の濃度でアンモニウムフッ化物が添加されて、沈殿しにくい噴出可能な溶液を形成する。
【0055】
本発明に係る組成物は、溶媒を含むことができる。好ましくは、水と一緒にアルコールのような極性溶媒を含み、さらには有利な特性を有する他の溶媒を含んでもよい。したがって、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、t−ブタノール、iso−ブタノール、sec−ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、及びより大きい炭素数を有する1価又は多価アルコール、及びケトン(例えば、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルn−アミルケトン(MAK)等)のような他の溶媒、及びそれらの混合物のような溶媒を添加することができる。最も好ましい溶媒は、水である。
【0056】
組成物は、アンモニウム塩、溶媒及び任意選択的に印刷特性に影響を与える化合物の1つ以上を組み合わせて、均一な組成物を形成するためにこれらの化合物を一緒に混合することで、簡単に調製される。
【0057】
本発明の特別な実施形態において、組成物は、100%「ホットメルト」材料としての印刷可能な材料又は化合物の混合物からなってもよい。例えば、組成物は、加熱により流動化し、加熱により必要な粘度となる純粋な塩を含んでいてもよい。適切な混合物は、低融点で液体を形成する種々のTAAFを含むことができ、又は液体と固体の混合物を形成する種々のTAAFを含むことができる。一般に、種々の鎖長のアルキル鎖を持つTAAFは、低い融点を有する。
【0058】
適切なTAAFは、式(R)4NFを有しており、テトラアルキルアンモニウムイオンのフッ化物塩と表現することができる。アンモニウム塩の各アルキル基Rは、少なくとも1つ、そして約22個もの炭素原子を持っていてもよく、すなわちC1−22のアルキル基であり、ただし、4つのRのうち少なくとも1つは、少なくとも2以上の炭素原子を有する基である。各R基の炭素原子は、直鎖、分岐鎖、環状、及びこれらの組み合わせにより配列されていてもよい。TAAFの4つのR基はそれぞれ独立に選択され、すなわち、もしR基の1つが、1つを超える炭素原子を持っているとしても、TAAFに存在する各Rの配列又は炭素原子数が同じである必要はない。例えば、R基の1つが22個の炭素原子を持っており、一方で残りの3つのR基はそれぞれ1個の炭素原子を持っていてもよい。テトラエチルアンモニウムフッ化物(TEAF)が好ましいTAAFである。好ましい種類のTAAFは、2〜約4個の炭素原子を持つアルキル基を有し、すなわち、RはC2−4のアルキル基である。TAAFは混合物(例えばTMAF及びTEAFの混合物)でもよい。
【0059】
テトラメチルアンモニウムフッ化物(TMAF)は、融点が39°〜42℃であり、4水和物として市販されている。テトラエチルアンモニウムフッ化物(TEAF)の水和物も、アルドリッチ社から入手できる。これらの材料のそれぞれは、単に例示に過ぎないが、本発明の実施において用いることができる。市販されていないテトラアルキルアンモニウムフッ化物は、TMAF及びTEAFの合成するために用いられる当業者に公知の既に発表された合成方法に準じた方法で調製することができる。
【0060】
良好なエッチング結果となるために、十分な材料が加工されるべき層上に堆積されなければならない。SiNx層を完全にエッチングすることは、下にあるシリコンと低抵抗で接続するためには義務的である。これは、多くの印刷パスを加熱とともに行うことを要求することができる。経済的なプロセスのため、印刷パスの回数は少なければならない。
【0061】
加工されるべき表面は、種々の方法でコーティングされてもよく、印刷されてもよい。その方法としては、特に限定されないが、次のような具体例が挙げられる:スピン又はディップコーティング、滴下キャスティング、カーテン又はスロットダイコーティング等、スクリーン又はフレキソ印刷、グラビア又はインクジェットエアロゾルジェット印刷、オフセット印刷、マイクロ接触印刷、電気流体力学ディスペンシング、ローラー及びスプレーコーティング、超音波スプレーコーティング、パイプジェッティング、レーザー転写印刷、パッド及びオフセット印刷。エッチングプロセスの性質及び表面に応じて、適切なエッチング液の塗布のための様々な方法が選択される。いずれの場合においても、最適化されたエッチング組成物が、特別な方法に用いられなければならない。
【0062】
印刷されエッチングされる表面上の構成の区切り及び解像度は、それぞれ、必要に応じて、堆積したインクの液滴をその位置に保つバンク構造の適用によって有利にサポートすることができる。
【0063】
本発明によれば、好ましいIJインクは以下の物性を示すものが適用される:
・インク組成物の表面張力は、>20dyne/cm及び<70dyne/cm、より好ましくは>25dyne/cm及び<65dyne/cm;
・インクは、好ましくは1μm未満、より好ましくは0.5μm未満まで濾過される;
・インク組成物の粘度は、噴出温度で>2cps及び<20cpsの範囲でなければならない;
・噴出温度は、好ましくは室温〜300℃の範囲、より好ましくは室温〜150℃の範囲、最も好ましくは室温〜70℃の範囲である;
・エッチング温度は、好ましくは70℃〜300℃の範囲、より好ましくは100℃〜250℃の範囲、最も好ましくは150℃〜210℃の範囲である;
・噴出温度において、インクは「ホットメルト」タイプ(液体だが室温では固体)でもよい[ホットメルトインクは、エッチング液を表面に固定し、より正確にエッチング領域を定めるために用いる。]。
【0064】
これらのIJインクは、以下を含んでいてもよい:
・界面活性剤、低表面張力共溶媒(フッ素化溶媒、又はインクの表面張力を減らすのに適した他のものを含む)のような添加物;
・乾燥によりエッチング液を固定し、エッチング領域をより正確に定めるバインダー;
・基板上にインクを固定するための熱的及び/又は光化学的に架橋可能なバインダー;
・インクを組成し、乾燥及び粘度変化の速度に影響を与える様々のキャリア溶媒又は溶媒混合物(ここでは、強いコーヒー染みを持つ構成のような印刷構造の形成は、インクの2回の堆積を保持するようにプログラムされていてもよい)。
【0065】
インクを塗布する他の方法では、良好なエッチング結果を達成するために、理想的な流動特性が必要とされる。
【0066】
本発明に係るエッチングプロセスは、太陽光発電装置の典型的な層又は層スタックを、表面パッシベーション及び/又は反射防止層及び層スタックの局所的で選択的な開口を目的として加工しなければならない場合にも、適用される。典型的には、そのような層及びスタックは、次の材料を含む:
・酸化ケイ素(SiOx)
・窒化ケイ素(SiNx)
・酸窒化ケイ素(SixOyNz)
・酸化アルミニウム(AlOx)
・酸化チタン(TiOx)
・酸化ケイ素(SiOx)と窒化ケイ素(SiNx)のスタック、いわゆるNOスタック
・酸化ケイ素(SiOx)と窒化ケイ素(SiNx)と酸化ケイ素のスタック(ONOスタック)
・酸化アルミニウム(AlOx)と酸化ケイ素(SiOx)のスタック
・酸化アルミニウム(AlOx)と窒化ケイ素(SiNx)のスタック
・アモルファスシリコン(a−Si)と酸化ケイ素(SiOx)のスタック
・アモルファスシリコン(a−Si)と窒化ケイ素(SiNx)のスタック。
【0067】
アモルファスシリコン(a−Si)を含めた全ての個々に言及された材料は、さらに部分的に水素添加されていてもよく、すなわち水素を含んでいてもよい。言及された材料における個別の水素含有量は、個別の堆積パラメータに依存する。特に、アモルファスシリコン(a−Si)は、インターカレートした又は別の方法で組み込まれたアンモニア(NH3)を部分的に含んでいてもよい。
【0068】
<目的とする装置の加工>
先行する段落で言及された材料さらには層スタック(そこで明確に言及されたものに限定されないが)は、標準の又は従来の太陽電池、さらに発展していわゆる高効率装置の製造において適用することができる。「標準の太陽電池」という用語は、図1に示される特徴を含む装置を意味する。ただし、概説された各品目のバリエーションも知られている。図1は、高度な太陽電池装置を製造するために誘電層を構築する必要性を示している簡略化フローチャートを示す。
【0069】
構築工程には、以下が必要である。
・テクスチャード前面及び背面;特定の状況下でのフラット及びポリッシュト背面;すなわち、役立ち得る特定のテクスチャー地形から導き出された表面;
・エミッタは、通常、太陽電池の端部に囲まれ、完全に背面を被覆する前面上/前面中に位置する。
・エミッタは、通常、PECVD堆積(PECVD=プラズマ化学気相堆積)より生ずるSiNx層によりキャップされる。この層は、表面パッシベーションとして供給され、加えて装置の反射率の減少に関与する(ARC)。
・ARCの最上部には、事実上、通常厚膜堆積により何らかの形で金属コンタクトが形成され、電荷キャリアは、金属コンタクトがARC層を突き抜けた後には、装置を離れて外部回路を進む。
・背面は、通常、残余のnドープ層により、さらにはあまり正確に区切られていない層スタックにより特徴づけられる。その層スタックは、Al合金シリコン、Si合金アルミニウム、さらには焼結アルミニウムフレークからなり、後者の層スタックは、いわゆるバックサーフェスフィールド(フルBSF)及び背面電極として供給される。
・太陽電池装置は、オーミックシャントを消すことによって、前面に露出するエミッタを、電極を支える背面電極から短絡させるための端部隔離として機能するものによって完成する。このシャントの消去は、太陽電池の設計に関する前述の一般的な記載に影響を与える種々の加工技術により達成することができる。したがって、前述された装置の記載は、プロセスを変更させやすい。
【0070】
最先端技術の又は前述した「標準の」太陽電池の製造において、金属ペーストを印刷することを除き、(表層の)構築の二次元加工の必要はない。しかし、太陽光装置の変換効率において大きな利益を得るための改良は、一般に構築プロセスの差し迫った必要性を表している。設計が構築工程に固有である太陽電池の取り組みは、以下に言及するものに限定されないが、
1.以下を含む選択的エミッタ太陽電池
a)ワンステップ選択エミッタ、又は
b)ツーステップ選択エミッタ
2.「直接金属法(direct metal approach)」又は「直接金属化(direct metallization)」により金属化された太陽電池
3.局所的なバックサーフェスフィールドを含む太陽電池
4.PERL太陽電池(passivated emitter rear locally diffused)
5.PERC太陽電池(passivated emitter rear contact)
6.PERT(passivated emitter rear totally diffused)
7.くし形裏面電極電池(interdigitated back contact cell)
8.両面受光型太陽電池(bifacial solar cell)
以下の文脈では、構築プロセスの必要性を明らかにするため、前述の太陽電池設計に関する技術的特徴の簡単な記載のみがされている。さらなる表示は、当業者であれば容易に見つけられる。
【0071】
選択的エミッタ太陽電池のコンセプトは、異なるエミッタドーピングレベルの調整から生じる有益な効果の利用法を作り出すことである。原則として、従来に製造された太陽電池は、この表面領域における比較的高いエミッタドーピングレベルを必要とする。ここで、後者の金属化したコンタクトを形成することで、ショットキー関連の半導体金属コンタクトよりはむしろ良好なオーミック、すなわち接触抵抗(contact resistance)が達成される。これは、低エミッターシート抵抗(すなわちドーパント高含有エミッタ)により達成することができる。一方で、比較的低いドーピングレベル(高シート抵抗)は、太陽電池のスペクトル応答を強化するため、さらにはエミッタ内の少数キャリアの寿命を改善するために要求され、両者は装置の転換性能に良い影響を及ぼす。両方のニーズは基本的に互いに排除し合い、接触抵抗のスペクトル応答コストの観点での最適化とその反対との間で常に妥協を要求する。一連の装置製造プロセスの範囲内での構築プロセスの実施とともに、高い及び低いシート抵抗を持つ領域形成のための領域の区切りが、マスキング(例えば、SiOx、SiNx、TiOx等による)に関する周知の技術による援助によって容易に達成される。ただし、マスキングの技術は、構築されたマスク堆積又は堆積されたマスク構築の可能性を前提としており、それは本発明に関連する。
【0072】
「直接金属化」のコンセプトは、例えばエミッタドープシリコンに直接実行される金属化プロセスの適用に関する。最近では、従来の金属コンタクトの作製は、厚膜技術(すなわち主にスクリーン印刷)により達成され、金属含有ペーストが、ARCでキャップされたシリコンウエハ表面上へ印刷される。このコンタクトは、熱処理(すなわち焼結プロセス)により形成され、そこにおいて、金属ペーストは、前面キャップ層へ浸入せざるを得ない。実際のところ、前面及び背面の金属化、又はより正確なコンタクト形成は、通常、「共燃焼(co−firing)」と呼ばれる1プロセス工程により実施される。特に、前面におけるコンタクト形成の能力は、主に特別なペーストの成分(ガラスフリット)に起因する。この成分は、必要不可欠であるという一面もあるが、一方でペーストのより低い金属充填密度、すなわち他に影響を与えている要因とともに、例えば、電気メッキにより堆積させたコンタクトに比べてより低い導電率の原因となる。太陽電池の前面は、通常、選択的な開口された高度な前面金属化のための窓(window)が欠落しているので、ペースト焼結プロセスを省略することができない。そして、本発明に関連して、誘電層で被覆された前面の局所的開口が、簡単に、そして汎用的に達成され、すなわち「直接金属化」方法を技術的に手軽で利用しやすいものにする。それらの方法は、構築された誘電層の開口への金属シード層の無電流堆積のような技術を含むことができ、その誘電層は、アニール及びそれに続く電気メッキ又はガラスフリットなしでの金属ペーストの印刷のような方法により補強された第1コンタクトとしての金属ケイ素化合物を形成する。
【0073】
局所的なバックサーフェスフィールドのコンセプトは、背面誘電体に点のような及び縞のような、又は他の幾何学的な構造の開口を可能とする利点を利用するものであり、背面誘電体は、後に、ベース自体と同一の「極性」により高ドープされる。これらの構成(後者のベースコンタクト)は、例えばSiO2を含むようなパッシベーション半導体表面層又はスタックにおいて作製される。パッシベーション層により適切な表面キャップがなされ、さもなければ表面は電荷キャリアを消失させることになる。このパッシベーション層内に、電荷キャリアの外部回路への横断を達成するためにコンタクト窓が形成されなければならない。このような窓は(金属)導体に接続していることが必要であるので、しかし一方では、金属コンタクトは強力な再結合活性(電荷キャリアの消失)であることが知られているので、直接金属化されるシリコン表面をできる限り少なくし、一方で全体の導電性に影響を及ぼしてはならない。表面全体の5%又はさらに少ない範囲でのコンタクト領域で、半導体材料への適切なコンタクト形成には十分であることが知られている。ショットキー関連のものよりはむしろ良好なオーミックコンタクトを達成するために、コンタクトの下のベースドーパントのドーピングレベル(シート抵抗)は、できる限り高くなければならない。加えて、ベースドーパントの増加したドーピングレベルは、少数電荷キャリアのミラー(バックサーフェスフィールド)のように機能し、それらはベースコンタクトから反射するので、半導体表面又は特にベース金属コンタクトでの再結合活性が著しく減少する。局所的なバックサーフェスフィールドを達成するために、背面の最上部のパッシベーション層は、局所的に開口していなければならず、そして、それは本発明の主題に関連する。
【0074】
PERC太陽電池、PERL太陽電池、及びPERT太陽電池のコンセプトは、いずれも、前述した選択的エミッタ、局所的なバックサーフェスフィールド、さらには「直接金属化」の個々のコンセプトを含む。これらのコンセプトの全ては、一緒になって、最高変換効率達成に専用の太陽電池の設計に統合される。それらのサブコンセプトの統合の程度は、電池のタイプにより、さらには工業的大量生産により製造可能な比率によって変化する。同じことが、くし形裏面電極電池のコンセプトにも有効である。
【0075】
両面受光型太陽電池は、半導体の両側に入射する光を集めることが可能な太陽電池である。このような太陽電池は、「標準の」太陽電池のコンセプトを適用して製造することができる。性能向上の進歩により、前述のコンセプトの利用を必要とすることもある。
【0076】
よりよい理解のため、そして本発明を例示するために、以下に、本発明の保護範囲内での実施例が示される。これらの実施例は、可能性のあるバリエーションを例示する役割も持っている。ただし、記載された本発明の原理の一般的な妥当性のために、実施例は本発明の保護範囲をこれらに減縮するのには適していない。
【0077】
実施例において示される温度は、常に℃での表記である。さらに、明細書及び実施例の両方において、組成物に添加された成分量は、常に合計で100%までで添加されていることは言うまでもない。
【0078】
本明細書によれば、当業者が本発明を総合的に使用できるようになる。何か不明確である場合、引用された文献や特許文献を用いることになることは言うまでもない。それに応じて、これらの文書は、本明細書の開示された内容の一部とみなされ、引用された文献、特許出願及び特許の開示は、全ての目的のために完全に本明細書に組み込まれる。
【0079】
<実施例>
(実施例1)
テトラエチルアンモニウムフッ化物を用いたポリッシュトウエハ上への線の印刷
脱イオン水中に62.5%のテトラエチルアンモニウムフッ化物を含むインクが調製される。次いで、このインクは、10plのIJヘッドを用いたDimatix DMPにより、約80nmのSiNx層を有するポリッシュトSiウエハ上に印刷される。基板は175℃に加熱され、その後に40μmの液滴間隔で線が印刷された。さらに6回適用分のインクが1分間隔で印刷される。最後の堆積の後、基板はさらに1分間175℃に維持され、その後にリンス水を用いて残留物が除去される。
【0080】
図2に示された写真は、その後に行われるエッチングインクの堆積により増加したエッチング深さを表す。写真は、左から右に、水洗浄後のポリッシュトウエハ上への1、2、3、4、及び5回目の印刷パスを示す。印刷は、基板温度175℃、液滴間隔40μm、印刷パス間が1分間隔で行われた。
【0081】
図3は、エッチング液の7回の堆積後に得られた、エッチングされたSiNxウエハの表面形状を示し、またエッチングの達成度合いを示す。
【0082】
(実施例2)
テトラエチルアンモニウムフッ化物を用いたテクスチャードウエハ上への線の印刷
水中に62.5%のテトラエチルアンモニウムフッ化物を含むインクが調製される。次いで、このインクは、Dimatix DMPにより、約80nmのSiNx層を有するテクスチャードSiウエハ上に印刷される。基板は175℃に加熱され、その後に40μmの液滴間隔で線が印刷される。さらに4回適用分のインクが1分間隔で印刷される。最後の堆積の後、基板はさらに1分間175℃に維持され、その後にリンス水を用いて残留物が除去される。
【0083】
図4には、その後に行われるエッチングインクの堆積により増加したエッチング深さが示されている。写真は、左から右に、水洗浄後のポリッシュトウエハ上への、実施例2に係る組成物を用いた1、2、3、4、及び5回目の印刷パスの効果を示す。印刷は、基板温度175℃、液滴間隔40μm、各印刷パス間が1分間隔で行われた。
【0084】
(実施例3)
テトラエチルアンモニウムフッ化物を用いたポリッシュトウエハ上への孔の印刷
水中に62.5%のテトラエチルアンモニウムフッ化物を含むインクが調製される。次いで、このインクは、Dimatix DMPを用いて、約80nmのSiNx層を有するポリッシュトSiウエハ上に印刷される。基板は175℃に加熱され、その後に一列の液滴が基板上に落とされる。さらに6回適用分のインクが1分間隔で印刷される。最後の堆積の後、基板はさらに1分間175℃に維持され、その後にリンス水を用いて残留物が除去される。
【0085】
図5における写真は、実施例3に係る組成物を用いた7回の印刷パス後に得られたエッチングを表す。7回の印刷パス及び水洗浄後にポリッシュトウエハ上のSiNx層にエッチングされた一列の孔が示されている。印刷は、基板温度175℃、印刷パス間が1分間隔で行われた。
【0086】
(実施例4)
テトラブチルアンモニウムフッ化物を用いたポリッシュトウエハ上への線の印刷
水中に62.5%のテトラブチルアンモニウムフッ化物を含むインクが調製される。次いで、このインクは、Dimatix DMPにより、約80nmのSiNx層を有するテクスチャードSiウエハ上に印刷される。基板は175℃に加熱され、その後に40μmの液滴間隔で線が印刷される。さらに4回適用分のインクが1分間隔で印刷される。最後の堆積の後、基板はさらに1分間175℃に維持され、その後にリンス水を用いて残留物が除去される。
【0087】
図6における写真は、ポリッシュトウエハ上のSiNxにエッチングされたトラックが示されている。エッチングは、5回の印刷パス後にテトラブチルアンモニウムフッ化物を用いて達成された。ウエハは水を用いて洗浄された。印刷は、基板温度175℃、液滴間隔40μm、印刷パス間が1分間隔で行われた。
【0088】
(比較実施例5)
テトラメチルアンモニウムフッ化物を用いたポリッシュトウエハ上でのエッチングの試み(HF2−塩への化学変換においてアルケンを排除する必要性を示す。)
水中に62.5%のテトラメチルアンモニウムフッ化物を含むインクが調製される。次いで、このインクは、約80nmのSiNx層を有するテクスチャードSiウエハ上に塗布される。基板は175℃まで5分間で加熱され、その後にリンス水を用いて残留物が除去される。
【0089】
図7は、実施例5に開示された組成物中のテトラメチルアンモニウムフッ化物を用いても、効果的なエッチングは達成されなかったことを表す。写真は、基板温度175℃で5分間のエッチングの試みの後に「染みのついた」SiNx層を有するテクスチャードウエハ示す。インクは、ドクターブレードにより基板上に配置された。ウエハは水でリンスすることで洗浄された。
【0090】
(実施例6)
N,N’−ジメチル−1,4−ジアゾニウムビシクロ[2.2.2]オクタンジフッ化物を用いたポリッシュトウエハ上への線の印刷
脱イオン水中に50%のN,N’−ジメチル−1,4−ジアゾニウムビシクロ[2.2.2]オクタンジフッ化物を含むインクが調製される。次いで、このインクは、10plのIJヘッドを用いたDimatix DMPにより、約80nmのSiNx層を有するポリッシュトSiウエハ上に印刷される。基板は180℃に加熱され、その後に40μmの液滴間隔で線が印刷される。さらに4回適用分のインクが1分間隔で印刷される。最後の堆積の後、基板はさらに1分間180℃に維持され、その後にリンス水を用いて残留物が除去される。
【0091】
図8における写真は、その後に行われる実施例6に開示されたエッチングインクの堆積により増加したエッチング深さを表す。写真は、左から右に、水洗浄後のポリッシュトウエハ上への1、2、3、4、及び5回目の印刷パスを示す。印刷は、基板温度180℃、液滴間隔40μm、印刷パス間が1分間隔で行われた。
【0092】
図9は、エッチング液の3回の堆積及び残留物の除去後に得られた、エッチングされたSiNxウエハの表面形状を示す。
【0093】
(実施例7)
Ν,Ν,Ν’,Ν’−テトラメチルジエチレンジアンモニウムジフッ化物を用いたポリッシュトウエハ上への線の印刷
脱イオン水中に30%のΝ,Ν,Ν’,Ν’−テトラメチルジエチレンジアンモニウムジフッ化物を含むインクが調製される。次いで、このインクは、10plのIJヘッドを用いたDimatix DMPにより、約80nmのSiNx層を有するポリッシュトSiウエハ上に印刷される。基板は180℃に加熱され、その後に40μmの液滴間隔で線が印刷される。さらに3回適用分のインクが1分間隔で印刷される。最後の堆積の後、基板はさらに1分間180℃に維持され、その後にリンス水を用いて残留物が除去される。
【0094】
図10における写真は、左から右に、水洗浄後のポリッシュトウエハ上への1、2、3、及び4回目の印刷パス後に行われる、エッチングインクの堆積により増加したエッチング深さを表す。印刷は、基板温度180℃、液滴間隔40μm、印刷パス間が1分間隔で行われた。
【0095】
図11は、実施例7のエッチング組成物の4回の堆積及び残留物の除去後に達成された、エッチングされたSiNxウエハの表面形状とエッチングの程度を示す。
【0096】
(実施例8)
N−エチルピリジニウムフッ化物を用いたポリッシュトウエハ上への線の印刷
脱イオン水中に75%のN−エチルピリジニウムフッ化物を含むインクが調製される。次いで、このインクは、10plのIJヘッドを用いたDimatix DMPにより、約80nmのSiNx層を有するポリッシュトSiウエハ上に印刷される。基板は180℃に加熱され、その後に40μmの液滴間隔で線が印刷される。さらに4回適用分のインクが1分間隔で印刷される。最後の堆積の後、基板はさらに1分間180℃に維持され、その後にRCA−1洗浄液を用いて残留物が除去される。
【0097】
図12における写真は、左から右に、RCA−1洗浄によるインク残留物の除去後のポリッシュトウエハ上への1、2、3、4、及び5回目の印刷パス後に行われる、実施例8のエッチングインクの堆積により増加したエッチング深さを表す。印刷は、基板温度180℃、液滴間隔40μm、印刷パス間が1分間隔で行われた。
【0098】
(実施例9)
6−アゾニア−スピロ[5,5]ウンデカンフッ化物を用いたポリッシュトウエハ上への線の印刷
水中に56%の6−アゾニア−スピロ[5,5]ウンデカンフッ化物を含むインクが調製される。次いで、このインクは、10plのIJヘッドを用いたDimatix DMPにより、約80nmのSiNx層を有するポリッシュトSiウエハ上に印刷される。基板は180℃に加熱され、その後に40μmの液滴間隔で線が印刷される。さらに4回適用分のインクが1分間隔で印刷される。最後の堆積の後、基板はさらに1分間180℃に維持され、その後にリンス水を用いて残留物が除去される。
【0099】
図13における写真は、左から右に、水洗浄後のポリッシュトウエハ上への1、2、3、及び4回目の印刷パス後に行われる、実施例9のエッチングインクの堆積により増加したエッチング深さを表す。印刷は、基板温度180℃、液滴間隔40μm、印刷パス間が1分間隔で行われた。
【0100】
(実施例10)
ヘキサメチルエチレンジアンモニウムジフッ化物を用いたポリッシュトウエハ上への線の印刷
脱イオン水中に55%のヘキサメチルエチレンジアンモニウムジフッ化物を含むインクが調製される。次いで、このインクは、10plのIJヘッドを用いたDimatix DMPにより、約80nmのSiNx層を有するポリッシュトSiウエハ上に印刷される。基板は180℃に加熱され、その後に40μmの液滴間隔で線が印刷される。さらに4回適用分のインクが1分間隔で印刷される。最後の堆積の後、基板はさらに1分間180℃に維持され、その後にリンス水を用いて残留物が除去される。
【0101】
図14における写真は、水洗浄後のポリッシュトウエハ上への1、2、3、4、及び5回目の印刷パス後に行われる、実施例10に記載されたエッチングインクの堆積により増加したエッチング深さを表す。印刷は、基板温度180℃、液滴間隔40μm、印刷パス間が1分間隔で行われた。
【0102】
(実施例11)
ペンタメチルトリエチルジエチレントリアンモニウムトリフッ化物を用いたポリッシュトウエハ上への線の印刷
脱イオン水中に50%のペンタメチルトリエチルジエチレントリアンモニウムトリフッ化物を含むインクが調製される。次いで、このインクは、10plのIJヘッドを用いたDimatix DMPにより、約80nmのSiNx層を有するポリッシュトSiウエハ上に印刷される。基板は180℃に加熱され、その後に20μmの液滴間隔で線が印刷される。さらに2回適用分のインクが1分間隔で印刷される。最後の堆積の後、基板はさらに1分間180℃に維持され、その後にリンス水を用いて残留物が除去される。
【0103】
図15における写真は、左から右に、水洗浄後のポリッシュトウエハ上への1、2、及び3回目の印刷パス後に行われる、実施例11のエッチングインクの堆積により増加したエッチング深さを表す。印刷は、基板温度180℃、液滴間隔20μm、印刷パス間が1分間隔で行われた。
【0104】
(実施例12)
ジエチルジメチルアンモニウムフッ化物を用いたポリッシュトウエハ上への線の印刷
脱イオン水中に60%のジエチルジメチルアンモニウムフッ化物を含むインクが調製される。次いで、このインクは、10plのIJヘッドを用いたDimatix DMPにより、約80nmのSiNx層を有するポリッシュトSiウエハ上に印刷される。基板は180℃に加熱され、その後に40μmの液滴間隔で線が印刷される。さらに4回適用分のインクが1分間隔で印刷される。最後の堆積の後、基板はさらに1分間180℃に維持され、その後にリンス水を用いて残留物が除去される。
【0105】
図16における写真は、左から右に、水洗浄後のポリッシュトウエハ上への1、2、3、4、及び5回目の印刷パス後に行われる、実施例12に記載のように調製されたエッチングインクの堆積により増加したエッチング深さを表す。印刷は、基板温度180℃、液滴間隔40μm、印刷パス間が1分間隔で行われた。
【0106】
(実施例13)
イソプロピルトリメチルアンモニウムフッ化物を用いたポリッシュトウエハ上への線の印刷
水中に50%のイソプロピルトリメチルアンモニウムフッ化物を含むインクが調製される。次いで、このインクは、10plのIJヘッドを用いたDimatix DMPにより、約80nmのSiNx層を有するポリッシュトSiウエハ上に印刷される。基板は180℃に加熱され、その後に40μmの液滴間隔で線が印刷される。さらに4回適用分のインクが1分間隔で印刷される。最後の堆積の後、基板はさらに1分間180℃に維持され、その後にリンス水を用いて残留物が除去される。
【0107】
図17における写真は、左から右に、水洗浄後のポリッシュトウエハ上への1、2、3、4、及び5回目の印刷パス後に行われる、実施例13のエッチングインクの堆積により増加したエッチング深さを表す。印刷は、基板温度180℃、液滴間隔40μm、印刷パス間が1分間隔で行われた。
【0108】
<含まれる図面及び写真リスト>
【図面の簡単な説明】
【0109】
【図1】高度な太陽電池装置を製造するための誘電層を構築する必要性を表す簡易フローチャートを示す。
【図2】その後に行われる実施例1のエッチングインクの堆積により増加したエッチング深さ。
【図3】実施例1のエッチング組成物の7回の堆積後に得られた、エッチングされたSiNxウエハの表面形状を示し、またエッチングの達成度合いを示す。
【図4】その後に行われるエッチングインクの堆積により増加したエッチング深さ。写真は、左から右に、実施例2に係る組成物を用いた1、2、3、4、及び5回目の印刷パスの効果を示す。
【図5】実施例3に係る組成物を用いた7回の印刷パス後に得られたエッチングを表す。
【図6】ポリッシュトウエハ上のSiNxにエッチングされたトラックを表す。エッチングは、5回の印刷パス後にテトラブチルアンモニウムフッ化物を用いて達成された。
【図7】実施例5に開示された組成物中のテトラメチルアンモニウムフッ化物を用いても、効果的なエッチングは達成されなかったことを表す。
【図8】写真は、その後に行われる実施例6に開示されたエッチングインクの堆積により増加したエッチング深さを表す。
【図9】実施例6のエッチングインクの3回の堆積及び残留物の除去後に得られた、エッチングされたSiNxウエハの表面形状を示す。
【図10】その後に行われる実施例7のエッチングインクの堆積により増加したエッチング深さ。
【図11】エッチングされたSiNxウエハの表面形状とエッチング度合いを示す。
【図12】その後に行われる実施例8のエッチングインクの堆積により増加したエッチング深さ。
【図13】その後に行われる実施例9のエッチングインクの堆積により増加したエッチング深さ。
【図14】その後に行われる実施例10に記載されたエッチングインクの堆積により増加したエッチング深さ。
【図15】その後に行われる実施例11のエッチングインクの堆積により増加したエッチング深さ。
【図16】その後に行われる実施例12に係るエッチングインクの堆積により増加したエッチング深さ。
【図17】その後に行われる実施例13のエッチングインクの堆積により増加したエッチング深さ。
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の表面上への新規なエッチング組成物の非接触堆積方法、さらにはその後に行われる、これら半導体装置の最上部に位置する機能層のエッチングに関する。前記機能層及び層スタック(layer stacks)は、表面パッシベーション層及び/又は反射防止挙動(いわゆる反射防止コーティング(ARC))の目的で提供され得る。
【0002】
半導体の表面パッシベーション層は、多くの場合、二酸化ケイ素(SiO2)及び窒化ケイ素(SiNx)の使用を含み、さらには、交互に二酸化ケイ素及び窒化ケイ素の層を含むスタック(NO及びONOスタックとして一般に知られている)の使用を含む([1]、[2]、[3]、[4]、[5])。表面パッシベーション層は、化学気相堆積(CVD)、プラズマ化学気相堆積(PECVD)、スパッタリングなどの周知の最先端堆積技術を用いて、さらには、特徴的なガス及び/又はその混合物を含む雰囲気に半導体をさらしながらの熱処理することで、半導体上に形成することができる。より詳細には、熱処理は、ケイ素の「乾式」及び「湿式」酸化、さらには酸化ケイ素の窒化や、その反対の窒化ケイ素の酸化のような各種方法を含む。さらに、表面パッシベーション層は、前述した具体例であるNO及びONOスタック以外の層スタックを含んでいてもよい。このようなパッシベーションスタックは、酸化ケイ素(SiOx)の層又は窒化ケイ素(SiNx)のいずれかで被覆された半導体表面上に直接堆積させたアモルファスシリコン(a−Si)の薄い層(10〜50nm)を含んでいてもよい([6]、[7])。表面パッシベーションに典型的に用いられる他のスタックは、ALD技術を適用した低温堆積(→低温パッシベーション)により半導体表面上に形成された酸化アルミニウム(AlOx)(これが最終の層でもよく、酸化ケイ素(SiOx)でキャップされていてもよい)を含む([8]、[9])。ただし、代わりとなるキャップ層として窒化ケイ素も考えられる。しかし、効果的な表面パッシベーションは、ALDで堆積された酸化アルミニウムを含む前述の低温パッシベーションを単独で用いたときも達成される。
【0003】
反射防止層は、最先端太陽電池の典型的な部分であり、太陽電池内部で入射光をトラップする能力(光閉じ込め)向上の達成により生じる太陽電池の変換効率の増加をもたらす。典型的なARCは、化学量論量の、さらには非化学量論量の窒化ケイ素(SiNx)、酸化チタン(TiOx)を含み、また二酸化ケイ素(SiOx)を含む([1]、[2]、[3]、[10])。
【0004】
加えて、アモルファスシリコン(a−Si)を含めた全ての個々に言及された材料は、部分的に水素添加されていてもよく、すなわち水素を含んでいてもよい。言及された材料における個別の水素含有量は、個別の堆積パラメータに依存する。特に、アモルファスシリコン(a−Si)は、インターカレートした又は別の方法で組み込まれたアンモニア(NH3)を部分的に含んでいてもよい。
【0005】
革新的な太陽電池のコンセプトは、ある構造上の特徴を作り上げるため及び/又は種々の電子・電気的な特性を持つ領域を定めるために、しばしば、表面パッシベーション層又は反射防止層が局所的に開口されていることを要求する。一般に、そのような層は、エッチングペーストの局所的な堆積により、フォトリソグラフィにより、一般的なエッチングレジストの「ポジ型」マスクの堆積(堆積の方法はスクリーン印刷でもインクジェットでもよい。)により、さらには材料の局所的なレーザー誘起アブレーションにより構築することができる。前述した技術の各々は特有の効果を提供するものの、明確な欠点をも持つ。例えば、フォトリソグラフィは、非常に高い精度で、かつ最も小さい形状を可能とする。しかし、それは、時間を消費するプロセス技術であることから、非常に高価なものとなる。結果として、工業的に高容積及び高スループット製造のニーズに対しては適用されないので、特に、結晶シリコン太陽電池の製造の明確なニーズに対応しない。レーザーアブレーションによる表層構築は、レーザー光によりもたらされる熱が放散する間、レーザーで誘発された局所的な表面損傷という欠点を持つ。結果として、表面は溶融及び再結晶プロセスにより変わってしまい、例えば表面テクスチャーが局所的に破壊されることで、表面モルフォロジーに著しい影響を及ぼす。後者の望ましくない効果の他に、その表面は、最も一般的には湿式化学ポストレーザー処理が原因となるレーザーで誘発された表面損傷(例えば、KOH及び/又は他のアルカリ性エッチング液を含む溶液を用いたエッチングによる)から開放されなければならない。一方で、インクジェットによる材料の堆積は、最初のアプローチによる非常に局所的で限られた堆積技術である。その解像度は、スクリーン印刷よりいくらか良好である。しかし、解像度は、プリントヘッドから噴き出す液滴の直径に強く影響される。例えば、容積10plの液滴は、結果として、ほぼ30μmの液滴直径になり、それは、衝突による減速及び表面湿潤の相互作用により、衝撃が加えられると表面上で広がることもある。インクジェットの魅力的な利点の1つは、機能材料の非接触堆積に加えて、プロセス薬品の低消費量とともに、局所的堆積である。原則として、いかなる種類の複雑なレイアウトも、まさしくコンピュータを使ったデザイン(CAD)を取り込み、プリンターと基板にそれぞれデジタル化された印刷レイアウトを転送することにより、表面上に印刷することができる。フォトリソグラフィと比べたインクジェット印刷の他の利点は、表面構築に基本的に必要なプロセス工程数を減らす驚異的なポテンシャルである。フォトリソグラフィでは少なくとも8つのプロセス工程を必要とするのに対し、インクジェットは、3つの主要なプロセス工程のみを有する。その主要な3つの工程は、a)インクの堆積、b)エッチング、及びc)基板の洗浄である。
【0006】
本発明は、太陽光発電装置の局所的構築に関するが、この分野への適用には決して限られない。一般に、電子装置の製造には、限定されないが酸化ケイ素及び窒化ケイ素を含む表面上の典型的な層とともに、あらゆる種類の表層の構築を必要とする。このように、インクジェットシステム(すなわち、プリントヘッド)は、二酸化ケイ素及び/又は窒化ケイ素のエッチングのために使用する典型的な化学薬品に適合する材料で製造されなければならない。あるいは、インクは、周囲温度及びわずかに高い温度(例えば80℃)において、化学的に不活性となるように組成しなければならない。そして、インクは、被加熱基板上のみでエッチング機能を発揮しなければならない。
【0007】
<参考文献>
[1]M.A.Green,Solar Cells,The University of New South Wales,Kensington,Australia,1998
[2]M.A.Green,Silicon Solar Cells:Advanced Principles & Practice,Centre for Photovoltaic engineering,The University of New SouthWales,Sydney Australia,1995
[3]A.G.Aberle,Crystalline Silicon Solar Cells:Advanced Surface Passivation and Analysis,Centre for Photovoltaic engineering,The University of New South Wales,Sydney Australia,2nd edition,2004
[3]I.Eisele,Grundlagen der Silicium−Halbleitertechnologie,Vorlesungsscript,Universitat der Bundeswehr,Neubiberg,revised edition 2000
[4]M.Hofmann,S.Kambor,C.Schmidt,D.Grambole,J.Rentsch,S.W.Glunz,R.Preu,Advances in Optoelectronics (2008),doi:10.1155/2008/485467
[5]B.Bitnar,Oberflachenpassivierung von kristallinen Silicium−Solarzellen,PhD thesis,University of Konstanz,Germany,1998
[6]S.Gatz,H.Plagwitz,P.P.altermatt,B.Terheiden,R.Brendel,Proceedings of the 23rd European Photovoltaic Solar Energy Conference,2008,1033
[7]M.Hofmann,C.Schmidt,N.Kohn,J.rentsch,s.W.Glunz,R.Preu,Prog.Photovolt:Res.Appl.2008,16,509−518
[8]J.Schmidt,A.Merkle,R.Bock,P.P.Altermatt,A.Cuevas,N.Harder,B.Hoex,R.van de Sanden,E.Kessels,R.Brendel,Proceedings of the 23rd European Photovoltaic Solar Energy Conference,2008,Valencia,Spain
[9]J.Schmidt,a.Merkle,R.Brendel,B.Hoex,C.M.van de Sanden,W.M.M.Kessels,Prog.Photovolt:Res.Appl.2008,16,461−466
[10]B.S.Richards,J.E.Cotter,C.B.Honsberg,Applied Physics Letters(2002),80,1123
<目的>
J.org.Chem 48,2112−4(1983)に開示されているように、テトラアルキルアンモニウムフッ化物塩(TAAF)は、熱的に分解して、テトラアルキルアンモニウム2フッ化物塩になることは公知である。特に適切なテトラアルキルアンモニウムフッ化物塩は、アルキルが好ましくは少なくとも第2級アルキル基(揮発性オレフィン及び活性HFに分解され得る)を意味するアンモニウムフッ化物塩である。
【0008】
これらのテトラアルキルアンモニウムフッ化物塩は、シリコン酸化物、窒化物、酸化窒化物又は類似の表面を有する表面エッチングのための水溶液中で非常に適していることを見出した。ただし、TAAFは非腐食性洗浄浴への添加剤として知られている(US2008/0004197A)。
【0009】
シリコン窒化物/酸化物の膜を通してエッチングするために、インクジェット印刷可能なフッ化物をベースとするエッチング液を使用することは知られている。この場合、インクジェット印刷は、これらの材料を堆積させる好ましい技術である。その理由は、以下の通りである。
・それは、非接触の方法であり、そのため脆い基板をパターニングするために有利である。
・デジタル技術として、イメージは容易にコントロールすることができ、プリンターは種々のパターンの範囲を迅速に印刷するために用いることができる。
・この方法は、スクリーン印刷より良好な解像度を提供することができる。
・それは、材料の使用において効率的であり、コストを削減でき、環境に優しい。
【0010】
インクジェット(IJ)印刷としては、限定されないが、ピエゾ式ドロップオンデマンド(DOD)IJ、熱DOD IJ、静電DOD IJ、トーンジェットDOD、連続IJ、エアロゾルジェット、電気流体力学ジェッティング又はディスペンシング、及び例えば超音波スプレーのような他の制御可能なスプレー法が挙げられる。
【0011】
しかし、SiOx又はSiNxベースの表面のエッチングに適している公知のエッチング組成物は、通常、酸性のフッ化物溶液をベースとしている。常に安定したエッチングの結果を達成するために、表面への腐食性インクのインクジェットが、確実にされなければならず、効果的にかつ長時間にわたって起こらなければならない。
【0012】
インクジェット:
・インクは、プリントヘッドに適合していなければならない;単純な酸性のフッ化物エッチング液は、大部分のプリントヘッドを通じて供給しないかもしれない。なぜなら、それらの構造は、主に、一般には酸性のフッ化物によって腐食するケイ素及び金属的な成分で作られているからである。
・これらのインクの物理的性質(表面張力、粘度又は粘弾性等)は、噴き出しに要求される範囲内になければならない。
【0013】
エッチングプロセス:
・エッチング液は、少ない容積において効果がでることに適していなければならない(エッチング物の濃度は、少ない容量において急速に上がる;このことがエッチングプロセスに対して否定的な影響を及ぼしてはならない)。
・エッチング液は、他のセル材料と適合する条件下でエッチングしなければならない(すなわち、ケイ素を事実上エッチングしない)。
・インクは、物理的に、表面上で位置決め可能でなければならない(すなわち、インクの粘度は、表面エネルギー及び表面張力とともにバランスがとれていなければならない)。
・エッチング組成物は、意図しないでセルにドープされる成分を含んではならない(例えば金属カチオン)。
・エッチングプロセスによって構築される生成物は、後の洗浄工程で容易に取り除かれなければならない。
・幾つかの適用においては、エッチングは、結果的に、パターン全体にわたって一定の深さをもたらさなければならない。
【0014】
したがって、本発明の目的は、特に一般的なプリントヘッドに適合する適切なインク組成物を提供することにある。
【0015】
<発明の詳細な説明>
実験によれば、予想外に、新規な酸性のフッ化物含有エッチング組成物が見出され、これによって、一般的な組成物が酸性であること(プリントヘッドの腐食の原因となる)に関連する問題を克服する。
【0016】
本発明に係るエッチング組成物は、少なくとも、一般式:
R1R2R3R4N+F−
(ここで、
R1は、2、3又は4つの窒素結合基が環又は環システムの一部を形成する基からなる−CHYa−CHYbYcであり、
Ya、Yb、及びYcは、H、アルキル、アリール、ヘテロアリールであり、
R2、R3及びR4は、互いに独立して、R1と同一であるか、アルキル、フッ化アルキルアンモニウム、アリール、ヘテロアリール又は−CHYa−CHYbYcであり、
ただし、−CHYa−CHYbYcのHを除去することで揮発性分子が生じる。)
を有する第4級アンモニウムフッ化物塩の水溶液を含む。
【0017】
前記第4級アンモニウムフッ化物塩において、1を超えるN+F−官能基が存在してもよい。
【0018】
好ましい実施形態において、本発明に係るエッチング組成物は、N−CHYa−CHYbYcの窒素がピリジニウム又はイミダゾリウムの環システムの一部を形成する第4級アンモニウムフッ化物塩を含む。良好なエッチング結果は、活性エッチング化合物として添加された少なくとも1つのテトラアルキルアンモニウムフッ化物塩を含むエッチング組成物により得ることができる。特に好ましくは、第4級アンモニウムフッ化物塩が、エチル若しくはブチル基、又は8つまでの炭素原子を有するより大きな炭化水素基であるアルキル基を少なくとも1つ含む組成物である。適切な第4級アンモニウムフッ化物塩は、EtMe3N+F−、Et2Me2N+F−、Et3MeN+F−、Et4N+F−、MeEtPrBuN+F−、iPr4N+F−、nBu4N+F−、sBu4N+F−、Pentyl4N+F−、OctylMe3N+F−、PhEt3N+F−、Ph3EtN+F−、PhMe2EtN+F−、Me3N+CH2CH2N+Me3F−2、
【0019】
【化1】
【0020】
のグループから選択することができる。
【0021】
一般に、本発明に係るエッチング組成物は、少なくとも1つの第4級アンモニウムフッ化物塩を、>20%(w/w)から>80%(w/w)の範囲の濃度で含む。エッチング組成物は、極性溶媒として水と一緒に少なくともアルコールを含み、又は他の極性溶媒を含み、任意選択的に表面張力制御剤を含む。
【0022】
適切な溶媒は、エタノール、ブタノール、エチレングリコール、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、及びメチルn−アミルケトン(MAK)、γ−ブチロラクトン(GBL)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、及び2−P(いわゆる安全な溶媒#2−P)のグループから選択され、又はそれらの混合物から選択される。
【0023】
組成物の特性を高めるため、他の化合物をインク組成物に添加することができる。これらの化合物は、界面活性剤(特に揮発性界面活性剤又は共溶媒)でもよく、これは、インクの表面張力を調整して基板へのぬれ性、エッチング速度、及びフィルム乾燥を高めるために適している。
【0024】
pHの調整のため、そしてヘッドの腐食を減らすために適切な緩衝剤は、特にアミンのような揮発性の緩衝剤であり、特に活性エッチング液を生成させるアミン(例えば、Et4N+F−のためのEt3N)である。
【0025】
非常に好適な実施形態において、本発明に係るエッチング組成物は、純粋な塩を含む印刷可能な「ホットメルト」材料であり、印刷工程において加熱により流動化する。
【0026】
一般に、エッチング組成物は、室温〜300℃の範囲の温度で印刷可能であり、好ましくは室温〜150℃の範囲であり、特に好ましくは室温〜100℃の範囲であり、とりわけ好ましくは室温〜70℃の範囲である。
【0027】
この新しく設計されたインクは、タンクやプリントヘッド中に保管されているとき、又は構築される表面上に噴出されるときには、エッチング機能を示さないか、極めて低いエッチング機能を示す。しかし、基板が加熱されたとき、分解することで望ましいエッチング液が生じる。これは、印刷されたインク組成物の化合物が活性エッチング剤に分解し、その活性エッチング剤がシリコン酸化物、窒化物、酸窒化物、又は同じような表面(ガラスを含む)をエッチングすることを意味する。有利なエッチング結果は、完全に予想外であった。なぜなら、初期の実験では、非常に遅いエッチング速度のため不十分なエッチング結果を示していたからである。
【0028】
エチル基又はより大きな炭化水素基であるアルキル基を少なくとも1つ含む第4級アンモニウムフッ化物塩(TAAFを含む)は、加熱による脱離によって、活性エッチング液としてのテトラアルキルアンモニウム化合物、3置換アミン(芳香族窒素、トリアルキルアミン等を含む)、及びアルケンを含む第4級アンモニウム水素2フッ化物塩に導かれる。
【0029】
したがって、活性エッチング液が生じて、高いエッチング速度で基板表面を構築することができる。
【0030】
例えば、含有する第4級アンモニウムフッ化物塩の全てのアルキル基がブチル基である組成物が塗布される場合、有利なエッチング結果を達成することができる。例えば、特別な実施形態では、テトラブチルアンモニウムフッ化物塩を加熱することで、トリブチルアミン及び1−ブテンが生じ、気相に蒸発する。これにより、基板上に活性エッチング液としてのテトラブチルアンモニウム水素2フッ化物だけが残る。
【0031】
このことは、Bu4N+F−が非エッチング性であるのに対し、第4級アンモニウム水素2フッ化物塩のような、特にBu4N+HF2−のような分解生成物のエッチング活性が優秀であることを意味する。これらの化合物は、活性エッチング液として有用である。開示された反応において、CH3CH2CH=CH2(揮発性)及びBu3N(揮発性)のような揮発性の副生物が生じる。
【0032】
この反応は、例えばホットプレートで下側から、又はIRヒーターによる照射で上側から、さらにはオーブンで周囲全体から加熱することで、基板の表面において誘発することができる。
【0033】
エッチング反応に必要とされるHFの生成は、必要に応じて誘発されることができる。エッチング反応で生成した水素2フッ化物部分からのHFの消費後、残留する第4級アンモニウムフッ化物は同じ分解サイクルに用いることができる。このように、出発フッ化物塩からHFの定量的生成が実現し、必要である限りこの反応をサポートすることができる。
【0034】
インクの堆積は、いわゆるバンク構造の考え方により促進/補助/サポートすることができる。バンク構造は、運河のような配列を形成する表面の構成であり、それによりインクが容易に堆積する。インクの堆積は、インク、及び特性を排除する反対側のバンク材料の両方を与える表面エネルギーの相互作用により促進されて、インクは、バンク自体はぬれずに、バンク材料によって区切られたチャネルに強制的に充填される。望まれる場合、バンク材料は、エッチングプロセス自体に要求される温度より高い沸点を有していてもよい。エッチングプロセスが完了した後、バンクは、適切な洗浄剤によって容易に洗い落とすことができ、あるいは、バンクが完全に蒸発するまで基板を加熱することもできる。典型的なバンク材料は、以下の化合物及び/又はその混合物を含むことができる:ノニルフェノール、メントール、α−テルピネオール、オクタン酸、ステアリン酸、安息香酸、ドコサン、ペンタメチルベンゼン、テトラヒドロ−1−ナフトール、ドデカノール等、さらにはフォトリソグラフィのレジスト、例えば−(CH2CH2)n−、ポリスチレン等のポリ炭化水素のようなポリマー、及び他のタイプのポリマー。
【0035】
したがって、本発明の目的は、太陽光発電装置又は半導体装置の製造において無機層をエッチングする方法であって、
a)エッチングされる表面上への請求項1〜11の1項以上に記載のエッチング組成物の非接触塗布工程と、
b)前記塗布されたエッチング組成物を加熱して、活性エッチング液を生じさせ又は活性化し、機能層の露出した表面領域をエッチングする工程と
を含む方法でもある。
【0036】
好ましくは、エッチング組成物は、印刷又はコーティング工程の前に、室温〜100°(好ましくは70℃まで)の範囲の温度に加熱され、エッチング組成物が表面に塗布されたとき、70〜300℃の範囲の温度に加熱され、活性エッチング液を生じさせ又は活性化させる。そして、その結果、70〜300℃の範囲の温度に加熱された後、機能層の露出した表面領域のエッチングのみが開始する。加熱されたエッチング組成物は、スピン又はディップコーティング、滴下キャスティング、カーテン又はスロットダイコーティング、スクリーン又はフレキソ印刷、グラビア又はインクジェットエアロゾルジェット印刷、オフセット印刷、マイクロ接触印刷、電気流体力学ディスペンシング、ローラー又はスプレーコーティング、超音波スプレーコーティング、パイプジェッティング、レーザー転写印刷、パッド又はオフセット印刷により塗布される。好都合なことに、本発明に係る方法は、酸化ケイ素(SiOx)、窒化ケイ素(SiNx)、酸窒化ケイ素(SixOyNz)、酸化アルミニウム(AlOx)、酸化チタン(TiOx)及びアモルファスシリコン(a−Si)からなる機能層又は層スタックのエッチングに適用してもよい。
【0037】
結果として、本発明の方法を実施することにより製造される改良された性能を有する半導体装置又は太陽光発電装置も、本発明の目的である。
【0038】
<好ましい実施形態>
開示されたエッチングプロセスに利用可能な適切な第4級アンモニウムフッ化物塩は、一般式:
R1R2R3R4N+F−
(ここで、
R1は、2、3又は4つの窒素結合基が環又は環システムの一部を形成する基からなる−CHYa−CHYbYcであり、
Ya、Yb、及びYcは、H、アルキル、アリール、ヘテロアリールであり、
R2、R3及びR4は、互いに独立して、R1と同一であるか、アルキル、フッ化アルキルアンモニウム、アリール、ヘテロアリール又は−CHYa−CHYbYcであり、
ただし、−CHYa−CHYbYcのHを除去することで揮発性分子が生じる。)
である。
【0039】
前記第4級アンモニウムフッ化物塩において、1を超えるN+F−官能基が存在してもよい。
【0040】
−CHYa−CHYbYcは、2、3又は4つの窒素結合基が環又は環システムの一部を形成する基からなってもよい。また、ピリジウム塩又はイミダゾリウム塩のように窒素が芳香環の一部を形成するN−アルキルへテロ芳香族アンモニウムフッ化物塩も含まれる。
【0041】
対応する基の具体例は、以下に例示される。
【0042】
適切なアンモニウム塩の具体例としては、限定されるものではないが、
EtMe3N+F−
Et2Me2N+F−
Et3MeN+F−
Et4N+F−
MeEtPrBuN+F−
iPr4N+F−
nBu4N+F−
sBu4N+F−
Pentyl4N+F−
OctylMe3N+F−
PhEt3N+F−
Ph3EtN+F−
PhMe2EtN+F−
【0043】
【化2】
【0044】
【化3】
【0045】
【化4】
【0046】
【化5】
【0047】
【化6】
【0048】
【化7】
【0049】
【化8】
【0050】
【化9】
【0051】
【化10】
【0052】
【化11】
【0053】
が挙げられる。
【0054】
本発明に係る適切なインクジェット可能な組成物において、TAAF塩は、高濃度(典型的には>20%(w/w)の濃度、特に>80%(w/w)の濃度)で溶媒中に溶解させる。理想的には、できる限り最高の濃度でアンモニウムフッ化物が添加されて、沈殿しにくい噴出可能な溶液を形成する。
【0055】
本発明に係る組成物は、溶媒を含むことができる。好ましくは、水と一緒にアルコールのような極性溶媒を含み、さらには有利な特性を有する他の溶媒を含んでもよい。したがって、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、t−ブタノール、iso−ブタノール、sec−ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、及びより大きい炭素数を有する1価又は多価アルコール、及びケトン(例えば、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルn−アミルケトン(MAK)等)のような他の溶媒、及びそれらの混合物のような溶媒を添加することができる。最も好ましい溶媒は、水である。
【0056】
組成物は、アンモニウム塩、溶媒及び任意選択的に印刷特性に影響を与える化合物の1つ以上を組み合わせて、均一な組成物を形成するためにこれらの化合物を一緒に混合することで、簡単に調製される。
【0057】
本発明の特別な実施形態において、組成物は、100%「ホットメルト」材料としての印刷可能な材料又は化合物の混合物からなってもよい。例えば、組成物は、加熱により流動化し、加熱により必要な粘度となる純粋な塩を含んでいてもよい。適切な混合物は、低融点で液体を形成する種々のTAAFを含むことができ、又は液体と固体の混合物を形成する種々のTAAFを含むことができる。一般に、種々の鎖長のアルキル鎖を持つTAAFは、低い融点を有する。
【0058】
適切なTAAFは、式(R)4NFを有しており、テトラアルキルアンモニウムイオンのフッ化物塩と表現することができる。アンモニウム塩の各アルキル基Rは、少なくとも1つ、そして約22個もの炭素原子を持っていてもよく、すなわちC1−22のアルキル基であり、ただし、4つのRのうち少なくとも1つは、少なくとも2以上の炭素原子を有する基である。各R基の炭素原子は、直鎖、分岐鎖、環状、及びこれらの組み合わせにより配列されていてもよい。TAAFの4つのR基はそれぞれ独立に選択され、すなわち、もしR基の1つが、1つを超える炭素原子を持っているとしても、TAAFに存在する各Rの配列又は炭素原子数が同じである必要はない。例えば、R基の1つが22個の炭素原子を持っており、一方で残りの3つのR基はそれぞれ1個の炭素原子を持っていてもよい。テトラエチルアンモニウムフッ化物(TEAF)が好ましいTAAFである。好ましい種類のTAAFは、2〜約4個の炭素原子を持つアルキル基を有し、すなわち、RはC2−4のアルキル基である。TAAFは混合物(例えばTMAF及びTEAFの混合物)でもよい。
【0059】
テトラメチルアンモニウムフッ化物(TMAF)は、融点が39°〜42℃であり、4水和物として市販されている。テトラエチルアンモニウムフッ化物(TEAF)の水和物も、アルドリッチ社から入手できる。これらの材料のそれぞれは、単に例示に過ぎないが、本発明の実施において用いることができる。市販されていないテトラアルキルアンモニウムフッ化物は、TMAF及びTEAFの合成するために用いられる当業者に公知の既に発表された合成方法に準じた方法で調製することができる。
【0060】
良好なエッチング結果となるために、十分な材料が加工されるべき層上に堆積されなければならない。SiNx層を完全にエッチングすることは、下にあるシリコンと低抵抗で接続するためには義務的である。これは、多くの印刷パスを加熱とともに行うことを要求することができる。経済的なプロセスのため、印刷パスの回数は少なければならない。
【0061】
加工されるべき表面は、種々の方法でコーティングされてもよく、印刷されてもよい。その方法としては、特に限定されないが、次のような具体例が挙げられる:スピン又はディップコーティング、滴下キャスティング、カーテン又はスロットダイコーティング等、スクリーン又はフレキソ印刷、グラビア又はインクジェットエアロゾルジェット印刷、オフセット印刷、マイクロ接触印刷、電気流体力学ディスペンシング、ローラー及びスプレーコーティング、超音波スプレーコーティング、パイプジェッティング、レーザー転写印刷、パッド及びオフセット印刷。エッチングプロセスの性質及び表面に応じて、適切なエッチング液の塗布のための様々な方法が選択される。いずれの場合においても、最適化されたエッチング組成物が、特別な方法に用いられなければならない。
【0062】
印刷されエッチングされる表面上の構成の区切り及び解像度は、それぞれ、必要に応じて、堆積したインクの液滴をその位置に保つバンク構造の適用によって有利にサポートすることができる。
【0063】
本発明によれば、好ましいIJインクは以下の物性を示すものが適用される:
・インク組成物の表面張力は、>20dyne/cm及び<70dyne/cm、より好ましくは>25dyne/cm及び<65dyne/cm;
・インクは、好ましくは1μm未満、より好ましくは0.5μm未満まで濾過される;
・インク組成物の粘度は、噴出温度で>2cps及び<20cpsの範囲でなければならない;
・噴出温度は、好ましくは室温〜300℃の範囲、より好ましくは室温〜150℃の範囲、最も好ましくは室温〜70℃の範囲である;
・エッチング温度は、好ましくは70℃〜300℃の範囲、より好ましくは100℃〜250℃の範囲、最も好ましくは150℃〜210℃の範囲である;
・噴出温度において、インクは「ホットメルト」タイプ(液体だが室温では固体)でもよい[ホットメルトインクは、エッチング液を表面に固定し、より正確にエッチング領域を定めるために用いる。]。
【0064】
これらのIJインクは、以下を含んでいてもよい:
・界面活性剤、低表面張力共溶媒(フッ素化溶媒、又はインクの表面張力を減らすのに適した他のものを含む)のような添加物;
・乾燥によりエッチング液を固定し、エッチング領域をより正確に定めるバインダー;
・基板上にインクを固定するための熱的及び/又は光化学的に架橋可能なバインダー;
・インクを組成し、乾燥及び粘度変化の速度に影響を与える様々のキャリア溶媒又は溶媒混合物(ここでは、強いコーヒー染みを持つ構成のような印刷構造の形成は、インクの2回の堆積を保持するようにプログラムされていてもよい)。
【0065】
インクを塗布する他の方法では、良好なエッチング結果を達成するために、理想的な流動特性が必要とされる。
【0066】
本発明に係るエッチングプロセスは、太陽光発電装置の典型的な層又は層スタックを、表面パッシベーション及び/又は反射防止層及び層スタックの局所的で選択的な開口を目的として加工しなければならない場合にも、適用される。典型的には、そのような層及びスタックは、次の材料を含む:
・酸化ケイ素(SiOx)
・窒化ケイ素(SiNx)
・酸窒化ケイ素(SixOyNz)
・酸化アルミニウム(AlOx)
・酸化チタン(TiOx)
・酸化ケイ素(SiOx)と窒化ケイ素(SiNx)のスタック、いわゆるNOスタック
・酸化ケイ素(SiOx)と窒化ケイ素(SiNx)と酸化ケイ素のスタック(ONOスタック)
・酸化アルミニウム(AlOx)と酸化ケイ素(SiOx)のスタック
・酸化アルミニウム(AlOx)と窒化ケイ素(SiNx)のスタック
・アモルファスシリコン(a−Si)と酸化ケイ素(SiOx)のスタック
・アモルファスシリコン(a−Si)と窒化ケイ素(SiNx)のスタック。
【0067】
アモルファスシリコン(a−Si)を含めた全ての個々に言及された材料は、さらに部分的に水素添加されていてもよく、すなわち水素を含んでいてもよい。言及された材料における個別の水素含有量は、個別の堆積パラメータに依存する。特に、アモルファスシリコン(a−Si)は、インターカレートした又は別の方法で組み込まれたアンモニア(NH3)を部分的に含んでいてもよい。
【0068】
<目的とする装置の加工>
先行する段落で言及された材料さらには層スタック(そこで明確に言及されたものに限定されないが)は、標準の又は従来の太陽電池、さらに発展していわゆる高効率装置の製造において適用することができる。「標準の太陽電池」という用語は、図1に示される特徴を含む装置を意味する。ただし、概説された各品目のバリエーションも知られている。図1は、高度な太陽電池装置を製造するために誘電層を構築する必要性を示している簡略化フローチャートを示す。
【0069】
構築工程には、以下が必要である。
・テクスチャード前面及び背面;特定の状況下でのフラット及びポリッシュト背面;すなわち、役立ち得る特定のテクスチャー地形から導き出された表面;
・エミッタは、通常、太陽電池の端部に囲まれ、完全に背面を被覆する前面上/前面中に位置する。
・エミッタは、通常、PECVD堆積(PECVD=プラズマ化学気相堆積)より生ずるSiNx層によりキャップされる。この層は、表面パッシベーションとして供給され、加えて装置の反射率の減少に関与する(ARC)。
・ARCの最上部には、事実上、通常厚膜堆積により何らかの形で金属コンタクトが形成され、電荷キャリアは、金属コンタクトがARC層を突き抜けた後には、装置を離れて外部回路を進む。
・背面は、通常、残余のnドープ層により、さらにはあまり正確に区切られていない層スタックにより特徴づけられる。その層スタックは、Al合金シリコン、Si合金アルミニウム、さらには焼結アルミニウムフレークからなり、後者の層スタックは、いわゆるバックサーフェスフィールド(フルBSF)及び背面電極として供給される。
・太陽電池装置は、オーミックシャントを消すことによって、前面に露出するエミッタを、電極を支える背面電極から短絡させるための端部隔離として機能するものによって完成する。このシャントの消去は、太陽電池の設計に関する前述の一般的な記載に影響を与える種々の加工技術により達成することができる。したがって、前述された装置の記載は、プロセスを変更させやすい。
【0070】
最先端技術の又は前述した「標準の」太陽電池の製造において、金属ペーストを印刷することを除き、(表層の)構築の二次元加工の必要はない。しかし、太陽光装置の変換効率において大きな利益を得るための改良は、一般に構築プロセスの差し迫った必要性を表している。設計が構築工程に固有である太陽電池の取り組みは、以下に言及するものに限定されないが、
1.以下を含む選択的エミッタ太陽電池
a)ワンステップ選択エミッタ、又は
b)ツーステップ選択エミッタ
2.「直接金属法(direct metal approach)」又は「直接金属化(direct metallization)」により金属化された太陽電池
3.局所的なバックサーフェスフィールドを含む太陽電池
4.PERL太陽電池(passivated emitter rear locally diffused)
5.PERC太陽電池(passivated emitter rear contact)
6.PERT(passivated emitter rear totally diffused)
7.くし形裏面電極電池(interdigitated back contact cell)
8.両面受光型太陽電池(bifacial solar cell)
以下の文脈では、構築プロセスの必要性を明らかにするため、前述の太陽電池設計に関する技術的特徴の簡単な記載のみがされている。さらなる表示は、当業者であれば容易に見つけられる。
【0071】
選択的エミッタ太陽電池のコンセプトは、異なるエミッタドーピングレベルの調整から生じる有益な効果の利用法を作り出すことである。原則として、従来に製造された太陽電池は、この表面領域における比較的高いエミッタドーピングレベルを必要とする。ここで、後者の金属化したコンタクトを形成することで、ショットキー関連の半導体金属コンタクトよりはむしろ良好なオーミック、すなわち接触抵抗(contact resistance)が達成される。これは、低エミッターシート抵抗(すなわちドーパント高含有エミッタ)により達成することができる。一方で、比較的低いドーピングレベル(高シート抵抗)は、太陽電池のスペクトル応答を強化するため、さらにはエミッタ内の少数キャリアの寿命を改善するために要求され、両者は装置の転換性能に良い影響を及ぼす。両方のニーズは基本的に互いに排除し合い、接触抵抗のスペクトル応答コストの観点での最適化とその反対との間で常に妥協を要求する。一連の装置製造プロセスの範囲内での構築プロセスの実施とともに、高い及び低いシート抵抗を持つ領域形成のための領域の区切りが、マスキング(例えば、SiOx、SiNx、TiOx等による)に関する周知の技術による援助によって容易に達成される。ただし、マスキングの技術は、構築されたマスク堆積又は堆積されたマスク構築の可能性を前提としており、それは本発明に関連する。
【0072】
「直接金属化」のコンセプトは、例えばエミッタドープシリコンに直接実行される金属化プロセスの適用に関する。最近では、従来の金属コンタクトの作製は、厚膜技術(すなわち主にスクリーン印刷)により達成され、金属含有ペーストが、ARCでキャップされたシリコンウエハ表面上へ印刷される。このコンタクトは、熱処理(すなわち焼結プロセス)により形成され、そこにおいて、金属ペーストは、前面キャップ層へ浸入せざるを得ない。実際のところ、前面及び背面の金属化、又はより正確なコンタクト形成は、通常、「共燃焼(co−firing)」と呼ばれる1プロセス工程により実施される。特に、前面におけるコンタクト形成の能力は、主に特別なペーストの成分(ガラスフリット)に起因する。この成分は、必要不可欠であるという一面もあるが、一方でペーストのより低い金属充填密度、すなわち他に影響を与えている要因とともに、例えば、電気メッキにより堆積させたコンタクトに比べてより低い導電率の原因となる。太陽電池の前面は、通常、選択的な開口された高度な前面金属化のための窓(window)が欠落しているので、ペースト焼結プロセスを省略することができない。そして、本発明に関連して、誘電層で被覆された前面の局所的開口が、簡単に、そして汎用的に達成され、すなわち「直接金属化」方法を技術的に手軽で利用しやすいものにする。それらの方法は、構築された誘電層の開口への金属シード層の無電流堆積のような技術を含むことができ、その誘電層は、アニール及びそれに続く電気メッキ又はガラスフリットなしでの金属ペーストの印刷のような方法により補強された第1コンタクトとしての金属ケイ素化合物を形成する。
【0073】
局所的なバックサーフェスフィールドのコンセプトは、背面誘電体に点のような及び縞のような、又は他の幾何学的な構造の開口を可能とする利点を利用するものであり、背面誘電体は、後に、ベース自体と同一の「極性」により高ドープされる。これらの構成(後者のベースコンタクト)は、例えばSiO2を含むようなパッシベーション半導体表面層又はスタックにおいて作製される。パッシベーション層により適切な表面キャップがなされ、さもなければ表面は電荷キャリアを消失させることになる。このパッシベーション層内に、電荷キャリアの外部回路への横断を達成するためにコンタクト窓が形成されなければならない。このような窓は(金属)導体に接続していることが必要であるので、しかし一方では、金属コンタクトは強力な再結合活性(電荷キャリアの消失)であることが知られているので、直接金属化されるシリコン表面をできる限り少なくし、一方で全体の導電性に影響を及ぼしてはならない。表面全体の5%又はさらに少ない範囲でのコンタクト領域で、半導体材料への適切なコンタクト形成には十分であることが知られている。ショットキー関連のものよりはむしろ良好なオーミックコンタクトを達成するために、コンタクトの下のベースドーパントのドーピングレベル(シート抵抗)は、できる限り高くなければならない。加えて、ベースドーパントの増加したドーピングレベルは、少数電荷キャリアのミラー(バックサーフェスフィールド)のように機能し、それらはベースコンタクトから反射するので、半導体表面又は特にベース金属コンタクトでの再結合活性が著しく減少する。局所的なバックサーフェスフィールドを達成するために、背面の最上部のパッシベーション層は、局所的に開口していなければならず、そして、それは本発明の主題に関連する。
【0074】
PERC太陽電池、PERL太陽電池、及びPERT太陽電池のコンセプトは、いずれも、前述した選択的エミッタ、局所的なバックサーフェスフィールド、さらには「直接金属化」の個々のコンセプトを含む。これらのコンセプトの全ては、一緒になって、最高変換効率達成に専用の太陽電池の設計に統合される。それらのサブコンセプトの統合の程度は、電池のタイプにより、さらには工業的大量生産により製造可能な比率によって変化する。同じことが、くし形裏面電極電池のコンセプトにも有効である。
【0075】
両面受光型太陽電池は、半導体の両側に入射する光を集めることが可能な太陽電池である。このような太陽電池は、「標準の」太陽電池のコンセプトを適用して製造することができる。性能向上の進歩により、前述のコンセプトの利用を必要とすることもある。
【0076】
よりよい理解のため、そして本発明を例示するために、以下に、本発明の保護範囲内での実施例が示される。これらの実施例は、可能性のあるバリエーションを例示する役割も持っている。ただし、記載された本発明の原理の一般的な妥当性のために、実施例は本発明の保護範囲をこれらに減縮するのには適していない。
【0077】
実施例において示される温度は、常に℃での表記である。さらに、明細書及び実施例の両方において、組成物に添加された成分量は、常に合計で100%までで添加されていることは言うまでもない。
【0078】
本明細書によれば、当業者が本発明を総合的に使用できるようになる。何か不明確である場合、引用された文献や特許文献を用いることになることは言うまでもない。それに応じて、これらの文書は、本明細書の開示された内容の一部とみなされ、引用された文献、特許出願及び特許の開示は、全ての目的のために完全に本明細書に組み込まれる。
【0079】
<実施例>
(実施例1)
テトラエチルアンモニウムフッ化物を用いたポリッシュトウエハ上への線の印刷
脱イオン水中に62.5%のテトラエチルアンモニウムフッ化物を含むインクが調製される。次いで、このインクは、10plのIJヘッドを用いたDimatix DMPにより、約80nmのSiNx層を有するポリッシュトSiウエハ上に印刷される。基板は175℃に加熱され、その後に40μmの液滴間隔で線が印刷された。さらに6回適用分のインクが1分間隔で印刷される。最後の堆積の後、基板はさらに1分間175℃に維持され、その後にリンス水を用いて残留物が除去される。
【0080】
図2に示された写真は、その後に行われるエッチングインクの堆積により増加したエッチング深さを表す。写真は、左から右に、水洗浄後のポリッシュトウエハ上への1、2、3、4、及び5回目の印刷パスを示す。印刷は、基板温度175℃、液滴間隔40μm、印刷パス間が1分間隔で行われた。
【0081】
図3は、エッチング液の7回の堆積後に得られた、エッチングされたSiNxウエハの表面形状を示し、またエッチングの達成度合いを示す。
【0082】
(実施例2)
テトラエチルアンモニウムフッ化物を用いたテクスチャードウエハ上への線の印刷
水中に62.5%のテトラエチルアンモニウムフッ化物を含むインクが調製される。次いで、このインクは、Dimatix DMPにより、約80nmのSiNx層を有するテクスチャードSiウエハ上に印刷される。基板は175℃に加熱され、その後に40μmの液滴間隔で線が印刷される。さらに4回適用分のインクが1分間隔で印刷される。最後の堆積の後、基板はさらに1分間175℃に維持され、その後にリンス水を用いて残留物が除去される。
【0083】
図4には、その後に行われるエッチングインクの堆積により増加したエッチング深さが示されている。写真は、左から右に、水洗浄後のポリッシュトウエハ上への、実施例2に係る組成物を用いた1、2、3、4、及び5回目の印刷パスの効果を示す。印刷は、基板温度175℃、液滴間隔40μm、各印刷パス間が1分間隔で行われた。
【0084】
(実施例3)
テトラエチルアンモニウムフッ化物を用いたポリッシュトウエハ上への孔の印刷
水中に62.5%のテトラエチルアンモニウムフッ化物を含むインクが調製される。次いで、このインクは、Dimatix DMPを用いて、約80nmのSiNx層を有するポリッシュトSiウエハ上に印刷される。基板は175℃に加熱され、その後に一列の液滴が基板上に落とされる。さらに6回適用分のインクが1分間隔で印刷される。最後の堆積の後、基板はさらに1分間175℃に維持され、その後にリンス水を用いて残留物が除去される。
【0085】
図5における写真は、実施例3に係る組成物を用いた7回の印刷パス後に得られたエッチングを表す。7回の印刷パス及び水洗浄後にポリッシュトウエハ上のSiNx層にエッチングされた一列の孔が示されている。印刷は、基板温度175℃、印刷パス間が1分間隔で行われた。
【0086】
(実施例4)
テトラブチルアンモニウムフッ化物を用いたポリッシュトウエハ上への線の印刷
水中に62.5%のテトラブチルアンモニウムフッ化物を含むインクが調製される。次いで、このインクは、Dimatix DMPにより、約80nmのSiNx層を有するテクスチャードSiウエハ上に印刷される。基板は175℃に加熱され、その後に40μmの液滴間隔で線が印刷される。さらに4回適用分のインクが1分間隔で印刷される。最後の堆積の後、基板はさらに1分間175℃に維持され、その後にリンス水を用いて残留物が除去される。
【0087】
図6における写真は、ポリッシュトウエハ上のSiNxにエッチングされたトラックが示されている。エッチングは、5回の印刷パス後にテトラブチルアンモニウムフッ化物を用いて達成された。ウエハは水を用いて洗浄された。印刷は、基板温度175℃、液滴間隔40μm、印刷パス間が1分間隔で行われた。
【0088】
(比較実施例5)
テトラメチルアンモニウムフッ化物を用いたポリッシュトウエハ上でのエッチングの試み(HF2−塩への化学変換においてアルケンを排除する必要性を示す。)
水中に62.5%のテトラメチルアンモニウムフッ化物を含むインクが調製される。次いで、このインクは、約80nmのSiNx層を有するテクスチャードSiウエハ上に塗布される。基板は175℃まで5分間で加熱され、その後にリンス水を用いて残留物が除去される。
【0089】
図7は、実施例5に開示された組成物中のテトラメチルアンモニウムフッ化物を用いても、効果的なエッチングは達成されなかったことを表す。写真は、基板温度175℃で5分間のエッチングの試みの後に「染みのついた」SiNx層を有するテクスチャードウエハ示す。インクは、ドクターブレードにより基板上に配置された。ウエハは水でリンスすることで洗浄された。
【0090】
(実施例6)
N,N’−ジメチル−1,4−ジアゾニウムビシクロ[2.2.2]オクタンジフッ化物を用いたポリッシュトウエハ上への線の印刷
脱イオン水中に50%のN,N’−ジメチル−1,4−ジアゾニウムビシクロ[2.2.2]オクタンジフッ化物を含むインクが調製される。次いで、このインクは、10plのIJヘッドを用いたDimatix DMPにより、約80nmのSiNx層を有するポリッシュトSiウエハ上に印刷される。基板は180℃に加熱され、その後に40μmの液滴間隔で線が印刷される。さらに4回適用分のインクが1分間隔で印刷される。最後の堆積の後、基板はさらに1分間180℃に維持され、その後にリンス水を用いて残留物が除去される。
【0091】
図8における写真は、その後に行われる実施例6に開示されたエッチングインクの堆積により増加したエッチング深さを表す。写真は、左から右に、水洗浄後のポリッシュトウエハ上への1、2、3、4、及び5回目の印刷パスを示す。印刷は、基板温度180℃、液滴間隔40μm、印刷パス間が1分間隔で行われた。
【0092】
図9は、エッチング液の3回の堆積及び残留物の除去後に得られた、エッチングされたSiNxウエハの表面形状を示す。
【0093】
(実施例7)
Ν,Ν,Ν’,Ν’−テトラメチルジエチレンジアンモニウムジフッ化物を用いたポリッシュトウエハ上への線の印刷
脱イオン水中に30%のΝ,Ν,Ν’,Ν’−テトラメチルジエチレンジアンモニウムジフッ化物を含むインクが調製される。次いで、このインクは、10plのIJヘッドを用いたDimatix DMPにより、約80nmのSiNx層を有するポリッシュトSiウエハ上に印刷される。基板は180℃に加熱され、その後に40μmの液滴間隔で線が印刷される。さらに3回適用分のインクが1分間隔で印刷される。最後の堆積の後、基板はさらに1分間180℃に維持され、その後にリンス水を用いて残留物が除去される。
【0094】
図10における写真は、左から右に、水洗浄後のポリッシュトウエハ上への1、2、3、及び4回目の印刷パス後に行われる、エッチングインクの堆積により増加したエッチング深さを表す。印刷は、基板温度180℃、液滴間隔40μm、印刷パス間が1分間隔で行われた。
【0095】
図11は、実施例7のエッチング組成物の4回の堆積及び残留物の除去後に達成された、エッチングされたSiNxウエハの表面形状とエッチングの程度を示す。
【0096】
(実施例8)
N−エチルピリジニウムフッ化物を用いたポリッシュトウエハ上への線の印刷
脱イオン水中に75%のN−エチルピリジニウムフッ化物を含むインクが調製される。次いで、このインクは、10plのIJヘッドを用いたDimatix DMPにより、約80nmのSiNx層を有するポリッシュトSiウエハ上に印刷される。基板は180℃に加熱され、その後に40μmの液滴間隔で線が印刷される。さらに4回適用分のインクが1分間隔で印刷される。最後の堆積の後、基板はさらに1分間180℃に維持され、その後にRCA−1洗浄液を用いて残留物が除去される。
【0097】
図12における写真は、左から右に、RCA−1洗浄によるインク残留物の除去後のポリッシュトウエハ上への1、2、3、4、及び5回目の印刷パス後に行われる、実施例8のエッチングインクの堆積により増加したエッチング深さを表す。印刷は、基板温度180℃、液滴間隔40μm、印刷パス間が1分間隔で行われた。
【0098】
(実施例9)
6−アゾニア−スピロ[5,5]ウンデカンフッ化物を用いたポリッシュトウエハ上への線の印刷
水中に56%の6−アゾニア−スピロ[5,5]ウンデカンフッ化物を含むインクが調製される。次いで、このインクは、10plのIJヘッドを用いたDimatix DMPにより、約80nmのSiNx層を有するポリッシュトSiウエハ上に印刷される。基板は180℃に加熱され、その後に40μmの液滴間隔で線が印刷される。さらに4回適用分のインクが1分間隔で印刷される。最後の堆積の後、基板はさらに1分間180℃に維持され、その後にリンス水を用いて残留物が除去される。
【0099】
図13における写真は、左から右に、水洗浄後のポリッシュトウエハ上への1、2、3、及び4回目の印刷パス後に行われる、実施例9のエッチングインクの堆積により増加したエッチング深さを表す。印刷は、基板温度180℃、液滴間隔40μm、印刷パス間が1分間隔で行われた。
【0100】
(実施例10)
ヘキサメチルエチレンジアンモニウムジフッ化物を用いたポリッシュトウエハ上への線の印刷
脱イオン水中に55%のヘキサメチルエチレンジアンモニウムジフッ化物を含むインクが調製される。次いで、このインクは、10plのIJヘッドを用いたDimatix DMPにより、約80nmのSiNx層を有するポリッシュトSiウエハ上に印刷される。基板は180℃に加熱され、その後に40μmの液滴間隔で線が印刷される。さらに4回適用分のインクが1分間隔で印刷される。最後の堆積の後、基板はさらに1分間180℃に維持され、その後にリンス水を用いて残留物が除去される。
【0101】
図14における写真は、水洗浄後のポリッシュトウエハ上への1、2、3、4、及び5回目の印刷パス後に行われる、実施例10に記載されたエッチングインクの堆積により増加したエッチング深さを表す。印刷は、基板温度180℃、液滴間隔40μm、印刷パス間が1分間隔で行われた。
【0102】
(実施例11)
ペンタメチルトリエチルジエチレントリアンモニウムトリフッ化物を用いたポリッシュトウエハ上への線の印刷
脱イオン水中に50%のペンタメチルトリエチルジエチレントリアンモニウムトリフッ化物を含むインクが調製される。次いで、このインクは、10plのIJヘッドを用いたDimatix DMPにより、約80nmのSiNx層を有するポリッシュトSiウエハ上に印刷される。基板は180℃に加熱され、その後に20μmの液滴間隔で線が印刷される。さらに2回適用分のインクが1分間隔で印刷される。最後の堆積の後、基板はさらに1分間180℃に維持され、その後にリンス水を用いて残留物が除去される。
【0103】
図15における写真は、左から右に、水洗浄後のポリッシュトウエハ上への1、2、及び3回目の印刷パス後に行われる、実施例11のエッチングインクの堆積により増加したエッチング深さを表す。印刷は、基板温度180℃、液滴間隔20μm、印刷パス間が1分間隔で行われた。
【0104】
(実施例12)
ジエチルジメチルアンモニウムフッ化物を用いたポリッシュトウエハ上への線の印刷
脱イオン水中に60%のジエチルジメチルアンモニウムフッ化物を含むインクが調製される。次いで、このインクは、10plのIJヘッドを用いたDimatix DMPにより、約80nmのSiNx層を有するポリッシュトSiウエハ上に印刷される。基板は180℃に加熱され、その後に40μmの液滴間隔で線が印刷される。さらに4回適用分のインクが1分間隔で印刷される。最後の堆積の後、基板はさらに1分間180℃に維持され、その後にリンス水を用いて残留物が除去される。
【0105】
図16における写真は、左から右に、水洗浄後のポリッシュトウエハ上への1、2、3、4、及び5回目の印刷パス後に行われる、実施例12に記載のように調製されたエッチングインクの堆積により増加したエッチング深さを表す。印刷は、基板温度180℃、液滴間隔40μm、印刷パス間が1分間隔で行われた。
【0106】
(実施例13)
イソプロピルトリメチルアンモニウムフッ化物を用いたポリッシュトウエハ上への線の印刷
水中に50%のイソプロピルトリメチルアンモニウムフッ化物を含むインクが調製される。次いで、このインクは、10plのIJヘッドを用いたDimatix DMPにより、約80nmのSiNx層を有するポリッシュトSiウエハ上に印刷される。基板は180℃に加熱され、その後に40μmの液滴間隔で線が印刷される。さらに4回適用分のインクが1分間隔で印刷される。最後の堆積の後、基板はさらに1分間180℃に維持され、その後にリンス水を用いて残留物が除去される。
【0107】
図17における写真は、左から右に、水洗浄後のポリッシュトウエハ上への1、2、3、4、及び5回目の印刷パス後に行われる、実施例13のエッチングインクの堆積により増加したエッチング深さを表す。印刷は、基板温度180℃、液滴間隔40μm、印刷パス間が1分間隔で行われた。
【0108】
<含まれる図面及び写真リスト>
【図面の簡単な説明】
【0109】
【図1】高度な太陽電池装置を製造するための誘電層を構築する必要性を表す簡易フローチャートを示す。
【図2】その後に行われる実施例1のエッチングインクの堆積により増加したエッチング深さ。
【図3】実施例1のエッチング組成物の7回の堆積後に得られた、エッチングされたSiNxウエハの表面形状を示し、またエッチングの達成度合いを示す。
【図4】その後に行われるエッチングインクの堆積により増加したエッチング深さ。写真は、左から右に、実施例2に係る組成物を用いた1、2、3、4、及び5回目の印刷パスの効果を示す。
【図5】実施例3に係る組成物を用いた7回の印刷パス後に得られたエッチングを表す。
【図6】ポリッシュトウエハ上のSiNxにエッチングされたトラックを表す。エッチングは、5回の印刷パス後にテトラブチルアンモニウムフッ化物を用いて達成された。
【図7】実施例5に開示された組成物中のテトラメチルアンモニウムフッ化物を用いても、効果的なエッチングは達成されなかったことを表す。
【図8】写真は、その後に行われる実施例6に開示されたエッチングインクの堆積により増加したエッチング深さを表す。
【図9】実施例6のエッチングインクの3回の堆積及び残留物の除去後に得られた、エッチングされたSiNxウエハの表面形状を示す。
【図10】その後に行われる実施例7のエッチングインクの堆積により増加したエッチング深さ。
【図11】エッチングされたSiNxウエハの表面形状とエッチング度合いを示す。
【図12】その後に行われる実施例8のエッチングインクの堆積により増加したエッチング深さ。
【図13】その後に行われる実施例9のエッチングインクの堆積により増加したエッチング深さ。
【図14】その後に行われる実施例10に記載されたエッチングインクの堆積により増加したエッチング深さ。
【図15】その後に行われる実施例11のエッチングインクの堆積により増加したエッチング深さ。
【図16】その後に行われる実施例12に係るエッチングインクの堆積により増加したエッチング深さ。
【図17】その後に行われる実施例13のエッチングインクの堆積により増加したエッチング深さ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、一般式:
R1R2R3R4N+F−
(ここで、
R1は、2、3又は4つの窒素結合基が環又は環システムの一部を形成する基からなる−CHYa−CHYbYcであり、
Ya、Yb、及びYcは、H、アルキル、アリール、ヘテロアリールであり、
R2、R3及びR4は、互いに独立して、R1と同一であるか、アルキル、フッ化アルキルアンモニウム、アリール、ヘテロアリール又は−CHYa−CHYbYcであり、
ただし、−CHYa−CHYbYcのHを除去することで揮発性分子が生じる。)
を有する第4級アンモニウムフッ化物塩の水溶液を含むエッチング組成物。
【請求項2】
−CHYa−CHYbYcの窒素がピリジウム又はイミダゾリウムの環システムの一部を形成する第4級アンモニウムフッ化物塩を含む請求項1に記載のエッチング組成物。
【請求項3】
少なくとも1つのテトラアルキルアンモニウムフッ化物塩を含む請求項1に記載のエッチング組成物。
【請求項4】
前記第4級アンモニウムフッ化物塩が、エチル若しくはブチル基、又は8つまでの炭素原子を有するより大きな炭化水素基であるアルキル基を少なくとも1つ含む請求項3に記載のエッチング組成物。
【請求項5】
EtMe3N+F−、Et2Me2N+F−、Et3MeN+F−、Et4N+F−、MeEtPrBuN+F−、iPr4N+F−、nBu4N+F−、sBu4N+F−、Pentyl4N+F−、OctylMe3N+F−、PhEt3N+F−、Ph3EtN+F−、PhMe2EtN+F−、
【化1】
のグループから選択される、少なくとも1つの第4級アンモニウムフッ化物塩を含む前請求項1〜4の1項以上に記載のエッチング組成物。
【請求項6】
少なくとも1つの第4級アンモニウムフッ化物塩を、>20%(w/w)から>80%(w/w)の範囲の濃度で含む前請求項1〜5の1項以上に記載のエッチング組成物。
【請求項7】
溶媒として水と一緒に少なくともアルコールを含み、任意選択的に表面張力制御剤を含む前請求項1〜6の1項以上に記載のエッチング組成物。
【請求項8】
水、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、t−ブタノール、iso−ブタノール、sec−ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、より多くの炭素数を有する1価及び多価アルコール、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルn−アミルケトン(MAK)又はこれらの混合物のグループから選択される溶媒を含む前請求項1〜7の1項以上に記載のエッチング組成物。
【請求項9】
純粋な塩を含む印刷可能な「ホットメルト」材料であり、加熱により流動化する前請求項1〜5の1項以上に記載のエッチング組成物。
【請求項10】
50〜300℃の範囲(好ましくは70〜300℃の範囲)の温度で活性化するエッチング液を含み、室温〜150℃の範囲の温度で印刷可能である前請求項1〜9の1項以上に記載のエッチング組成物。
【請求項11】
保存時及び印刷時にはエッチング機能を示さないか、極めて低いエッチング機能を示す前請求項1〜10の1項以上に記載のエッチング組成物。
【請求項12】
太陽光発電装置又は半導体装置の製造において無機層をエッチングする方法であって、
a)エッチングされる表面上への請求項1〜11の1項以上に記載のエッチング組成物の非接触塗布工程と、
b)前記塗布されたエッチング組成物を加熱して、活性エッチング液を生じさせ又は活性化し、機能層の露出した表面領域をエッチングする工程と
を含む方法。
【請求項13】
a)印刷又はコーティングによるエッチング組成物の非接触塗布工程であって、ただし、前記エッチング組成物は室温〜100℃の範囲の温度に(好ましくは室温〜70℃までの範囲の温度に)加熱されている工程と、
b)前記塗布されたエッチング組成物を70〜300℃の範囲の温度に加熱して、活性エッチング液を生じさせ又は活性化し、機能層の露出した表面領域をエッチングする工程と
を含む請求項12の方法。
【請求項14】
前記エッチング組成物が、室温〜70℃の範囲の温度に加熱されて、スピン又はディップコーティング、滴下キャスティング、カーテン又はスロットダイコーティング、スクリーン又はフレキソ印刷、グラビア又はインクジェットエアロゾルジェット印刷、オフセット印刷、マイクロ接触印刷、電気流体力学ディスペンシング、ローラー又はスプレーコーティング、超音波スプレーコーティング、パイプジェッティング、レーザー転写印刷、パッド又はオフセット印刷により塗布される請求項12又は13に記載の方法。
【請求項15】
前記加熱されたエッチング組成物が塗布されて、酸化ケイ素(SiOx)、窒化ケイ素(SiNx)、酸窒化ケイ素(SixOyNz)、酸化アルミニウム(AlOx)、酸化チタン(TiOx)及びアモルファスシリコン(a−Si)からなる機能層又は層スタックがエッチングされる請求項12、13又は14に記載の方法。
【請求項16】
請求項12、13、14又は15に記載の方法を実施することにより製造される半導体装置又は太陽光発電装置。
【請求項1】
少なくとも、一般式:
R1R2R3R4N+F−
(ここで、
R1は、2、3又は4つの窒素結合基が環又は環システムの一部を形成する基からなる−CHYa−CHYbYcであり、
Ya、Yb、及びYcは、H、アルキル、アリール、ヘテロアリールであり、
R2、R3及びR4は、互いに独立して、R1と同一であるか、アルキル、フッ化アルキルアンモニウム、アリール、ヘテロアリール又は−CHYa−CHYbYcであり、
ただし、−CHYa−CHYbYcのHを除去することで揮発性分子が生じる。)
を有する第4級アンモニウムフッ化物塩の水溶液を含むエッチング組成物。
【請求項2】
−CHYa−CHYbYcの窒素がピリジウム又はイミダゾリウムの環システムの一部を形成する第4級アンモニウムフッ化物塩を含む請求項1に記載のエッチング組成物。
【請求項3】
少なくとも1つのテトラアルキルアンモニウムフッ化物塩を含む請求項1に記載のエッチング組成物。
【請求項4】
前記第4級アンモニウムフッ化物塩が、エチル若しくはブチル基、又は8つまでの炭素原子を有するより大きな炭化水素基であるアルキル基を少なくとも1つ含む請求項3に記載のエッチング組成物。
【請求項5】
EtMe3N+F−、Et2Me2N+F−、Et3MeN+F−、Et4N+F−、MeEtPrBuN+F−、iPr4N+F−、nBu4N+F−、sBu4N+F−、Pentyl4N+F−、OctylMe3N+F−、PhEt3N+F−、Ph3EtN+F−、PhMe2EtN+F−、
【化1】
のグループから選択される、少なくとも1つの第4級アンモニウムフッ化物塩を含む前請求項1〜4の1項以上に記載のエッチング組成物。
【請求項6】
少なくとも1つの第4級アンモニウムフッ化物塩を、>20%(w/w)から>80%(w/w)の範囲の濃度で含む前請求項1〜5の1項以上に記載のエッチング組成物。
【請求項7】
溶媒として水と一緒に少なくともアルコールを含み、任意選択的に表面張力制御剤を含む前請求項1〜6の1項以上に記載のエッチング組成物。
【請求項8】
水、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、t−ブタノール、iso−ブタノール、sec−ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、より多くの炭素数を有する1価及び多価アルコール、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルn−アミルケトン(MAK)又はこれらの混合物のグループから選択される溶媒を含む前請求項1〜7の1項以上に記載のエッチング組成物。
【請求項9】
純粋な塩を含む印刷可能な「ホットメルト」材料であり、加熱により流動化する前請求項1〜5の1項以上に記載のエッチング組成物。
【請求項10】
50〜300℃の範囲(好ましくは70〜300℃の範囲)の温度で活性化するエッチング液を含み、室温〜150℃の範囲の温度で印刷可能である前請求項1〜9の1項以上に記載のエッチング組成物。
【請求項11】
保存時及び印刷時にはエッチング機能を示さないか、極めて低いエッチング機能を示す前請求項1〜10の1項以上に記載のエッチング組成物。
【請求項12】
太陽光発電装置又は半導体装置の製造において無機層をエッチングする方法であって、
a)エッチングされる表面上への請求項1〜11の1項以上に記載のエッチング組成物の非接触塗布工程と、
b)前記塗布されたエッチング組成物を加熱して、活性エッチング液を生じさせ又は活性化し、機能層の露出した表面領域をエッチングする工程と
を含む方法。
【請求項13】
a)印刷又はコーティングによるエッチング組成物の非接触塗布工程であって、ただし、前記エッチング組成物は室温〜100℃の範囲の温度に(好ましくは室温〜70℃までの範囲の温度に)加熱されている工程と、
b)前記塗布されたエッチング組成物を70〜300℃の範囲の温度に加熱して、活性エッチング液を生じさせ又は活性化し、機能層の露出した表面領域をエッチングする工程と
を含む請求項12の方法。
【請求項14】
前記エッチング組成物が、室温〜70℃の範囲の温度に加熱されて、スピン又はディップコーティング、滴下キャスティング、カーテン又はスロットダイコーティング、スクリーン又はフレキソ印刷、グラビア又はインクジェットエアロゾルジェット印刷、オフセット印刷、マイクロ接触印刷、電気流体力学ディスペンシング、ローラー又はスプレーコーティング、超音波スプレーコーティング、パイプジェッティング、レーザー転写印刷、パッド又はオフセット印刷により塗布される請求項12又は13に記載の方法。
【請求項15】
前記加熱されたエッチング組成物が塗布されて、酸化ケイ素(SiOx)、窒化ケイ素(SiNx)、酸窒化ケイ素(SixOyNz)、酸化アルミニウム(AlOx)、酸化チタン(TiOx)及びアモルファスシリコン(a−Si)からなる機能層又は層スタックがエッチングされる請求項12、13又は14に記載の方法。
【請求項16】
請求項12、13、14又は15に記載の方法を実施することにより製造される半導体装置又は太陽光発電装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公表番号】特表2013−505558(P2013−505558A)
【公表日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−529136(P2012−529136)
【出願日】平成22年8月20日(2010.8.20)
【国際出願番号】PCT/EP2010/005133
【国際公開番号】WO2011/032629
【国際公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【出願人】(591032596)メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (1,043)
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
【住所又は居所原語表記】Frankfurter Str. 250,D−64293 Darmstadt,Federal Republic of Germany
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年8月20日(2010.8.20)
【国際出願番号】PCT/EP2010/005133
【国際公開番号】WO2011/032629
【国際公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【出願人】(591032596)メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (1,043)
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
【住所又は居所原語表記】Frankfurter Str. 250,D−64293 Darmstadt,Federal Republic of Germany
【Fターム(参考)】
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