説明

インサート成形用金型構造及びインサート成形方法

【課題】金型キャビティ内の必要な部分にのみ樹脂を充填させることが可能であり、脱型不良や成形品の寸法バラツキ等のないインサート成形を実施可能なインサート成形用金型構造及びインサート成形方法を提供する。
【解決手段】インサート部材本体9と、樹脂が充填される領域を制限可能な調整手段10とを具備したインサート部材2を、金型本体1の内部に形成された部材配置部7に配置する。このときインサート部材本体9と部材配置部7の間に形成される隙間12を調整手段10によって液密に封止する。そして、金型本体1の内部に形成された成形キャビティ5に溶融状又は液状の樹脂を注入し、成形キャビティ内に充填した前記樹脂を硬化させて所望の成形品を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として浴槽やキッチンカウンターのような水返し部材を一体に取付けた成形品の製造に関するものであり、より詳細には、そのような成形品を製造するためのインサート成形用金型構造及びインサート成形方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、浴槽、キッチンカウンター、洗面ボウル、樹脂シンクのような家屋内に配される水回り部材として、隣接する壁等との間に形成される隙間への水の浸入を防止するための水返し部材が取付けられた水回り部材が知られている。
【0003】
例えば、このような水回り部材として、特許文献1に開示されている浴槽(水回り部材)がある。特許文献1には、金型内の水返し突条(水返し部材)を形成する部分にガラス繊維材で形成される補強部材を配し、金型キャビティ全体に樹脂を充填して硬化させて浴槽を製造する方法が開示されている。即ち、インサート部材である補強部材を予め金型内に配してから、金型内に樹脂を充填させて成形を実施している。そのことにより、内部に補強部材を埋没させた水返し突条と浴槽本体とを一体的に成形している。つまり、この方法によって製造される浴槽は、浴槽本体と水返し突条が一体となっており、浴槽の一部である水返し突条の内部に補強部材が埋没している。
【0004】
このように、水返し突条の内部に補強部材を配することにより、水返し突条の肉厚を増加させることなく強度を向上させることができる。また水返し突条が一体となった浴槽は、別途に製造した水返し突条と浴槽本体とをビス等で取付けて製造する浴槽に比べて、製造工程を簡略化できると共に止水性を向上させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−153608号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、この方法によって、内部に補強部材が埋没した水返し突条を有する浴槽を成形する場合、水返し突条内における補強部材の位置が安定しないという問題が懸念される。即ち、金型内に補強部材を配した状態で樹脂を注入すると、予め配置した補強部材が樹脂に押されて移動してしまい、補強部材の位置がバラついてしまうという問題である。又、後加工により水返し部材を取り付ける場合には作業効率が悪いものであった。
【0007】
そこで本発明者らは、水返し突条そのものを浴槽本体とは別素材で形成し、水返し突条の一部のみを浴槽本体に埋没させる浴槽を考案した。このような浴槽は、水返し突条の一部が外部に露出しており、他の部分が浴槽本体に埋没した状態となる。換言すると、インサート部材である水返し突条は、樹脂に覆われる部分が一部のみであるため、樹脂で覆われない部分を金型に固定して成形を実施できる。そのため、樹脂によって水返し突条の一部が押されても、水返し突条が大きく移動することはない。又、後加工に比べてインサート成形であるために作業効率は良いものである。
【0008】
このような浴槽の製造方法について具体的に説明すると、図5で示されるように、金型本体100に設けた溝状のインサート部材配置部101にインサート部材であるところの水返し突条102を嵌めこみ、金型100の内部空間103に樹脂を充填する。そして、内部空間103に充填した樹脂を硬化させて浴槽を製造する。
【0009】
ここで、金型本体100内において、水返し突条102の上型よりの部分は内部空間103に位置しており、水返し突条102の下型よりの部分はインサート部材配置部101に嵌め込まれている。そのため、水返し突条102の上型よりの部分のみが樹脂に埋没する。このとき、水返し突条102の下型より部分が溝に嵌め込まれているため、内部空間103に注入した樹脂に水返し突条102の上型よりの部分が押されても、水返し突条102の位置が大きく変化しない。
【0010】
ところがこのような浴槽の製造方法によると、図5の矢印で示されるように、充填する樹脂の粘度が低い場合等において、インサート部材配置部101と水返し突条102との間に形成されるわずかな隙間に樹脂が入り込んでしまうというおそれがあった。即ち、本来は樹脂が入り込まない部分に樹脂が入り込んでしまうことにより、脱型不良や成形品の寸法バラツキが発生してしまうおそれがあった。
【0011】
そこで本発明は、上記した従来技術の問題に鑑み、インサート部材の周辺に形成されてしまう隙間への樹脂の浸入を確実に防止可能であり、脱型不良や成形品の寸法バラツキ等のない成形を実施可能なインサート成形用金型構造及びインサート成形方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するための請求項1に記載の発明は、金型本体と、金型本体の内部に形成された成形キャビティを有し、成形キャビティには部材配置部が形成されており、当該部材配置部にインサート部材を配した状態で成形キャビティ内に溶融状又は液状の樹脂を注入し、成形キャビティ内に充填した前記樹脂を硬化させて所望の成形品を形成するインサート成形用金型構造において、前記インサート部材は、インサート部材本体と、成形キャビティ内の樹脂が充填される領域を制限可能な調整手段とを具備しており、インサート部材を部材配置部に配した際、インサート部材本体と部材配置部の間に隙間が形成された場合に、前記調整手段が当該隙間を塞ぐことを特徴とするインサート成形用金型構造である。
【0013】
本発明のインサート成形用金型構造は、樹脂が充填される領域を制限可能な調整手段をインサート部材が具備しており、インサート部材本体と部材配置部の間に形成される隙間への樹脂の浸入をインサート部材の調整手段によって塞ぐことができる。このことにより、金型キャビティ内の必要な部分にのみ樹脂を充填させることができるため、脱型不良や成形品の寸法バラツキ等のないインサート成形を実施可能となる。
【0014】
請求項2に記載の発明は、浴槽本体の上縁よりインサート部材を上方に突出せしめてなる水返し部をインサート成形により形成してなる浴槽である。
前記部材配置部は、金型外部へと連続する異物排出路と連続しており、前記部材配置部と異物排出路の間に網状体が配されていることを特徴とする請求項1に記載のインサート成形用金型構造である。
【0015】
かかる構成によると、インサート部材を配置する部材配置部が異物排出路と連続しているため、成形終了後の金型清掃が容易となる。具体的に説明すると、成形終了後の清掃時においては、部材配置部へ廃物を流し込むだけで、廃物を異物排出路から金型の外部へと排出することができる。それに対して成形時においては、インサート部材の調整手段によって部材配置部側への樹脂の浸入を防止可能であるため、部材配置部及び異物排出路へ樹脂が流れない。このことにより、成形時において異物排出路を閉じる必要が無い。換言すると、成形時から成形終了後の清掃時へと移行するとき、異物排出路の開閉動作等が必要ないため、成形、脱型、清掃の一連の作業工程を簡易化することができる。
【0016】
さらに、かかる構成によると、金型の部材配置部と異物排出路の間に網状体が設けられているため、金型において成形時にインサート部材を配置する部分を、成形後の清掃時においては廃物を排出する排出口として使用することができる。具体的に説明すると、網状体はインサート部材を通過させないが廃物は通過させる。したがって、成形時においては網状体にインサート部材を載置可能であって、清掃時においては網状体の部分から異物排出路へ廃物を排出できる。即ち、成形時と清掃時において、金型内の同じ部分を別の用途で使用可能であるため、清掃時において廃物を排出しやすい金型構造を提供できる。
【0017】
請求項3に記載の発明は、金型本体の内部に形成された成形キャビティに部材配置部を設け、当該部材配置部にインサート部材を配した状態で成形キャビティ内に溶融状又は液状の樹脂を注入し、成形キャビティ内に充填した前記樹脂を硬化させて所望の成形品を形成するインサート成形方法において、インサート部材本体と、成形キャビティ内の樹脂が充填される領域を制限可能な調整手段とを具備したインサート部材を金型に配する工程と、前記調整手段によって制限された領域に樹脂を注入する工程を有することを特徴とするインサート成形方法である。
【0018】
本発明のインサート成形方法は、樹脂が充填される領域を制限可能な調整手段を具備したインサート部材を金型に配し、調整手段によって制限された領域に樹脂を注入する。このことにより、金型キャビティ内の必要な部分にのみ樹脂を充填させることができるため、脱型不良や成形品の寸法バラツキ等のないインサート成形を実施可能となる。
【発明の効果】
【0019】
本発明は、金型キャビティ内の必要な部分にのみ樹脂を充填させることが可能であるため、脱型不良や成形品の寸法バラツキ等のないインサート成形を実施できるという効果がある。又、後加工ではなくインサート成形で水返し部が形成されるために効率が良いものである。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の第1の実施形態にかかる金型構造を示す説明図である。
【図2】図1の下型にインサート部材を設置した状態を示す、一部破断斜視図である。
【図3】本発明の第1の実施形態にかかる金型構造で成形した浴槽を示す斜視図である。
【図4】本発明の第2の実施形態にかかる金型構造を示す説明図である。
【図5】従来のインサート成形用金型構造を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に、本発明の第1実施形態に係る金型構造について説明する。なお、以下の説明における上下方向は、特に断りのない限り成形型1の通常設置時を基準とする。
【0022】
本発明の第1の実施形態の金型装置(金型構造)は、予め成形型1(金型本体)内にインサート部材2を配した状態で樹脂を注入し、注入した樹脂を硬化させて成形品を成形する所謂インサート注型成形を実施するものである。なお本実施形態では、成形品は浴槽15(図3参照)であり、インサート部材2は浴槽に一体的に取付けられる水返し部材となっている。
【0023】
成形型1は、図1に示すように、上型3と下型4を備えた構成となっている。そして上型3と下型4とを合致させたとき、両者の間に成形キャビティ5が形成される。
【0024】
ここで、下型4には溝部7(部材配置部)が形成されている。この溝部7は周囲より窪んだ部分となっており、断面略台形で延びる溝である。このとき、溝部7は底部分に向かうにつれて狭まっている。そして、この溝部7の底部分は下型4において最も低い部分となっている。また、図2で示されるように、溝部7は下型4の成形キャビティ5を形成する部分の縁部分に設けられている。より詳細には、溝部7は、四方の縁部分の内の三方の縁部分に設けられ、それぞれ縁部分に沿って延びている。
【0025】
次に本実施形態の特徴的部材たるインサート部材2について詳細に説明する。
【0026】
インサート部材2は、図1に示されるように、インサート部材本体9と突起部10(調整手段)によって形成されている。また、特に限定されるものではないが、本実施形態のインサート部材2は二色成形で形成されている。より詳細には、インサート部材本体9は適宜の熱可塑性樹脂で形成され、突起部10はエラストマー等の弾性を有する材料で形成されている。即ち、インサート部材本体9と突起部10は別の材料から形成されている。
【0027】
インサート部材本体9は、図1,2で示されるように、断面が略長方形で延びる長板状の部材であり、外形が帯状となっている。
【0028】
突起部10は、断面が略正方形で延びる直方体であり、インサート部材本体9の側面から略垂直に突出している。
【0029】
次に、上記した第1の実施形態の金型構造を用いた成形品の成形方法について説明する。
【0030】
成形キャビティ5に樹脂を注入する前に、図1,2で示されるように、下型4の溝部7に予め製造したインサート部材2を嵌め込んだ状態とする。
【0031】
このとき、インサート部材2の突起部10は弾性を有する部材であるため、インサート部材本体9と突起部10の幅の合計(突起部10の突出方向におけるインサート部材2の長さ)L1が溝部7の溝幅よりやや大きい場合であっても、インサート部材2を溝部7に嵌め込むことができる。即ち、突起部10の形状がやや変形することにより、溝部7にインサート部材2を押し込むことができる。
【0032】
また、インサート部材2が溝部7に嵌めこまれた状態においては、変形した突起部10が元に戻ろうとする力が働き、突起部10がインサート部材本体9及び溝部7の側壁部分を押圧する。そして、図1に示されるように、インサート部材本体9と突起部10がそれぞれ溝部7の異なる側壁部分と密着する。換言すると、インサート部材2はその幅方向両端部分で溝部7の幅方向両端部分と密着する。つまり、インサート部材2が溝部7の幅方向を密に塞ぐ。このとき、インサート部材2は溝部7の上端近傍を塞いでおり、より詳細には、上端に位置する開口部分と当該開口部分よりやや下方に位置する部分を塞いでいる。
【0033】
このように、溝部7の上端近傍において溝部7の幅方向を密に塞ぐことにより、インサート部材本体9と溝部7の間に形成される隙間12の上方が塞がれる。そのため、成形キャビティ5に樹脂を注入しても、上方から隙間12内へ樹脂が浸入しない。
【0034】
また、図2で示されるように、溝部7に封止部材13を配置した状態としてもよい。
【0035】
封止部材13は、EPDM(エチレンプロピレンゴム)等の止水性及び弾性を有する部材で形成される外形が略直方体の部材である。
【0036】
この封止部材13は、図2で示されるように、インサート部材2の長手方向の端部と密着した状態に配されている。なお、図示を省略しているが、封止部材13はインサート部材2の長手方向の両端にそれぞれ位置している。
【0037】
このように、インサート部材2の長手方向の両端に封止部材13を配すことにより、インサート部材本体9と溝部7の間に形成される隙間12の長手方向の両端部分が塞がれる。そのため、成形キャビティ5に樹脂を注入しても、インサート部材2の側方から隙間12内へ樹脂が浸入しない。
【0038】
また、インサート部材2の長手方向の両端に封止部材13を配することにより、成形時にインサート部材2が熱膨張してしまった場合においても、熱膨張を吸収することができる。即ち、インサート部材2の熱膨張に伴って封止部材13が弾性変形することにより、インサート部材2の熱膨張による変形量が相殺される。
【0039】
そして、下型4にインサート部材2及び封止部材13を配した状態で、上型3と下型4を型締めすることにより、成形型1の内部に成形キャビティ5が形成される。そして成形キャビティ5に樹脂を充填し、充填した樹脂を硬化させることにより、浴槽15(図3参照)を成形する。なお封止部材13は、成形後に成形型1及び成形品たる浴槽15から除去される。
【0040】
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。なお、上記した第1の実施形態と同様の部分については、同じ番号を付して説明を省略する。
【0041】
第2の実施形態の成形型20は、図4に示すように、上型3と下型21を備えた構成となっている。
【0042】
本実施形態の下型21には溝部22(部材配置部)が形成されている。この溝部22は、上記した第1の実施形態の溝部7と略同じ形状であり、略同じ位置に形成されている。ここで、溝部22の下方には成形型の外部と連続する異物排出路23が設けられている。そして、溝部22と異物排出路23は連続している。即ち、図4に示されるように、溝部22の底部分は開放されており、溝部22と異物排出路23が成形型20の内外を連通する一連の流路を形成している。
【0043】
また、溝部22と異物排出路23の境界となる部分には、メッシュ部材24(網状体)が配されている。換言すると、本実施形態の溝部22の底部分はメッシュ部材24によって形成されている。なお、このメッシュ部材24の網目はインサート部材2より小さく、インサート部材2がメッシュ部材24を通過できない状態となっている。
【0044】
次に、上記した第2の実施形態の金型構造を用いた成形品の成形方法について説明する。なお、上記した第1の実施形態と同様の部分については、同じ説明を省略する。
【0045】
成形キャビティ5に樹脂を注入する前に、図4で示されるように、下型21の溝部22に予め製造したインサート部材2を嵌め込んだ状態とする。
【0046】
このとき、メッシュ部材24の網目はインサート部材2より小さいため、メッシュ部材24上にインサート部材2を載置することができる。そして、上記した第1の実施形態と同様に、インサート部材2が溝部22の幅方向を密に塞ぐ。このとき、インサート部材2は溝部22の上端近傍を塞いでおり、より詳細には、上端に位置する開口部分と当該開口部分よりやや下方に位置する部分を塞いでいる。
【0047】
このように、溝部22の上端近傍において溝部22の幅方向を密に塞ぐことにより、インサート部材本体9と溝部22の間に形成される隙間12の上方が塞がれる。そのため、成形キャビティ5に樹脂を注入しても、上方から隙間12内へ樹脂が浸入しない。つまり、成形キャビティ5に注入した樹脂は、異物排出路23に到達しない。このため、本実施形態の下型21は、溝部22の下方を開放したままで成形を実施することができる。
【0048】
次に、第2の実施形態の金型構造の成形後の清掃作業について説明する。本実施形態の金型構造によると、成形後の清掃作業を容易に行うことができる。
【0049】
成形終了後の清掃時においては、インサート部材2を下型21上に載置しないので、溝部22の上方が開放された状態となっている。加えて、上記したように溝部22は下型21の最も低い位置に設けられている。このことにより、例えばエアーブロー等によって下型21の表面に付着した微細なゴミ等(以下廃物とする)を流すと、廃物は溝部22側へと流れていく。ここで本実施形態においては、溝部22の上方が開放されているため、廃物が溝部22へ流れ込む。そして、溝部22へ流れ込んだ廃物はメッシュ部材24を通過して、異物排出路23へ流れ込み、外部へと排出される。即ち、本実施形態では、溝部22へ流れ込んだ廃物をそのまま外部へ排出することができる。そのため、廃物の排出口を金型の溝部22以外の部分に別途形成する構成に比べて、廃物が排出し易く、清掃作業が容易になる。
【0050】
上記した各実施形態では、インサート部材2が溝部7の上端近傍を塞いでいるが、溝部7を塞ぐ位置はこれに限るものではない。インサート部材2は、溝部7の深さ方向のいずれの部分を塞いでもよい。即ち、突起部10のインサート部材本体9に対する高さ方向の相対的な位置を変更することにより、溝部7を塞ぐ位置を変更することができる。
【0051】
本発明のインサート部材2、溝部7、封止部材13の形状は上記の形状に限るものではない。これらは適宜変更してよい。インサート部材によって、溝部とインサート部材本体に形成される隙間を溝部の幅方向で封止できればよい。また、封止部材も溝部の形状に応じて適宜形状を変更してよい。溝部とインサート部材本体に形成される隙間への樹脂の浸入を阻止できればよい。
【0052】
上記した各実施形態では、浴槽15を成形する例を示したが、本発明はこれに限らず、キッチンカウンター、洗面ボウル、樹脂シンク等、様々な成形品の成形に採用することができる。
【符号の説明】
【0053】
1,20 成形型(金型本体)
2 インサート部材
5 成形キャビティ
7,22 溝部(部材配置部)
10 突起部(調整手段)
12 隙間
23 異物排出路
24 メッシュ部材(網状体)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金型本体と、金型本体の内部に形成された成形キャビティを有し、
成形キャビティには部材配置部が形成されており、当該部材配置部にインサート部材を配した状態で成形キャビティ内に溶融状又は液状の樹脂を注入し、成形キャビティ内に充填した前記樹脂を硬化させて所望の成形品を形成するインサート成形用金型構造において、
前記インサート部材は、インサート部材本体と、成形キャビティ内の樹脂が充填される領域を制限可能な調整手段とを具備しており、
インサート部材を部材配置部に配した際、インサート部材本体と部材配置部の間に隙間が形成された場合に、前記調整手段が当該隙間を塞ぐことを特徴とするインサート成形用金型構造。
【請求項2】
浴槽本体の上縁よりインサート部材を上方に突出せしめてなる水返し部をインサート成形により形成してなる浴槽。
【請求項3】
金型本体の内部に形成された成形キャビティに部材配置部を設け、当該部材配置部にインサート部材を配した状態で成形キャビティ内に溶融状又は液状の樹脂を注入し、成形キャビティ内に充填した前記樹脂を硬化させて所望の成形品を形成するインサート成形方法において、
インサート部材本体と、成形キャビティ内の樹脂が充填される領域を制限可能な調整手段とを具備したインサート部材を金型に配する工程と、
前記調整手段によって制限された領域に樹脂を注入する工程を有することを特徴とするインサート成形方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−171206(P2012−171206A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−35335(P2011−35335)
【出願日】平成23年2月22日(2011.2.22)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】