説明

エッチング液供給装置、エッチング装置及びエッチング方法

【課題】ガラス基板を均一にエッチングすることができるエッチング液供給装置、エッチング装置及びエッチング方法を提供する。
【解決手段】本発明によるエッチング液供給装置は、エッチング槽でガラス基板をエッチングするエッチング装置に、水、フッ酸、及び無機酸を含む複数の構成成分からなるエッチング液を供給し、エッチング槽で用いられたエッチング液のフィードバックを受けるエッチング液タンクと、エッチング液タンクのエッチング液をエッチング槽に供給するエッチング液移送部と、エッチング液タンクのエッチング液における構成成分の少なくとも一部である制御構成成分の濃度を測定する濃度測定手段と、制御構成成分を各制御構成成分別にエッチング液タンクに供給する構成成分供給部と、濃度測定手段の測定結果に基づいて制御構成成分が供給されるように構成成分供給部を制御する制御部と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エッチング液供給装置、エッチング装置及びエッチング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置は液晶パネルを含み、液晶パネルは、薄膜トランジスタが形成されている第1基板と、第1基板に対向配置されている第2基板と、これらの間の液晶層とを含む。液晶パネルは非発光素子であるため、薄膜トランジスタ基板の後面には光を照射するためのバックライトユニットが配置される。バックライトユニットから照射した光は液晶層の配列状態によって透過量が調節される。
【0003】
最近、携帯電話のようなモバイル製品において、液晶パネルの薄形化に対する要求が大きくなっている。液晶パネルの厚さの大部分はガラス基板が占めており、ガラス基板の厚さを薄くする場合に取り扱いが難しいという問題がある。そのために、液晶パネルを完成した後にガラス基板をエッチングすることで厚さを減らす方法が適用されている。
ガラス基板をエッチングするためにはフッ酸を含むエッチング液を用いる。ところが、複数枚のガラス基板をエッチングすることによってエッチング液の組成が変化し、ガラス基板のエッチングが均一に行われないという問題がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、本発明は上記従来の問題点に鑑みてなされたものであって、本発明の目的は、ガラス基板を均一にエッチングすることができるエッチング液供給装置を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、ガラス基板を均一にエッチングすることができるエッチング装置を提供することにある。
さらに、本発明の他の目的は、ガラス基板を均一にエッチングすることができるエッチング方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するためになされた本発明によるエッチング液供給装置は、エッチング槽でガラス基板をエッチングするエッチング装置に、水、フッ酸、及び無機酸を含む複数の構成成分からなるエッチング液を供給するエッチング液供給装置において、前記エッチング槽で用いられたエッチング液のフィードバックを受けるエッチング液タンクと、前記エッチング液タンクのエッチング液を前記エッチング槽に供給するエッチング液移送部と、前記エッチング液タンクのエッチング液における前記構成成分の少なくとも一部である制御構成成分の濃度を測定する濃度測定手段と、前記制御構成成分を各制御構成成分別に前記エッチング液タンクに供給する構成成分供給部と、前記濃度測定手段の測定結果に基づいて前記制御構成成分が供給されるように前記構成成分供給部を制御する制御部と、を備えることを特徴とする。
前記制御構成成分はフッ酸を含むことが好ましい。
前記無機酸は硝酸及びリン酸を含み、前記制御構成成分は、硝酸、リン酸、及び水をさらに含むことが好ましい。
前記エッチング槽及び前記エッチング液タンクのうちの少なくともいずれか一つに連結されており、前記複数の構成成分をすべて含むエッチング原液を供給するエッチング原液供給部をさらに含むのが好ましい。
前記エッチング液タンクから前記エッチング槽に供給されるエッチング液は、フッ酸6〜25重量%、硝酸25〜43重量%、リン酸12〜32重量%、水25〜37.5重量%であることが好ましい。
【0006】
また、上記目的を達成するためになされた本発明によるエッチング装置は、水、フッ酸、及び無機酸を含む複数の構成成分からなるエッチング液を用いてガラス基板をエッチングするガラス基板エッチング装置において、前記ガラス基板を収容し、収容された前記ガラス基板にエッチング液を供給するエッチング槽と、前記エッチング槽で用いられたエッチング液のフィードバックを受けるエッチング液タンクと、前記エッチング液タンクのエッチング液を前記エッチング槽に供給するエッチング液移送部と、前記エッチング液タンクのエッチング液における前記構成成分の少なくとも一部である制御構成成分の濃度を測定する濃度測定手段と、前記制御構成成分を各制御構成成分別に前記エッチング液タンクに供給する構成成分供給部と、前記濃度測定手段の測定結果に基づいて前記制御構成成分が供給されるように前記構成成分供給部を制御する制御部と、を備えることを特徴とする。
前記制御構成成分はフッ酸を含むことが好ましい。
前記無機酸は硝酸及びリン酸を含み、前記制御構成成分は、硝酸、リン酸、及び水をさらに含むことが好ましい。
前記エッチング槽及び前記エッチング液タンクのうちの少なくともいずれか一つに連結されており、前記複数の構成成分をすべて含むエッチング原液を供給するエッチング原液供給部をさらに含むことが好ましい。
前記エッチング液タンクから前記エッチング槽に供給されるエッチング液は、フッ酸6〜25重量%、硝酸25〜43重量%、リン酸12〜32重量%、水25〜37.5重量%であることが好ましい。
前記エッチング槽は、下部に位置するバブル生成板をさらに含むことが好ましい。
前記エッチング槽と前記エッチング液タンクとの間に位置するスラッジ処理部をさらに含み、前記スラッジ処理部は、前記エッチング槽からフィードバックされるエッチング液を沈澱させる沈澱タンクと、前記沈澱タンクにスラッジ処理用酸を供給する酸供給部と、を含むことが好ましい。
前記スラッジ処理用酸は、硝酸と塩酸のうちの少なくともいずれか一つを含むことが好ましい。
前記エッチング槽は、供給を受けたエッチング液を前記ガラス基板にスプレーするスプレー部をさらに含むことが好ましい。
前記エッチング槽と前記エッチング液タンクとの間に位置するスラッジ処理部をさらに含み、前記スラッジ処理部は、前記エッチング槽からフィードバックされるエッチング液のうちのスラッジをろ過するフィルタを含むことが好ましい。
【0007】
また、上記目的を達成するためになされた本発明によるエッチング方法は、水、フッ酸、及び硝酸を含む複数の構成成分からなるエッチング液を用いてガラス基板をエッチングするガラス基板エッチング方法において、前記ガラス基板をエッチング槽に取り入れ、前記ガラス基板にエッチング液を供給する段階と、前記エッチング槽で用いられたエッチング液をエッチング液タンクにフィードバックする段階と、前記エッチング液タンクのエッチング液を前記エッチング槽に供給する段階と、前記エッチング液タンクのエッチング液における前記構成成分の少なくとも一部である制御構成成分の濃度を測定する段階と、前記濃度測定手段の測定結果に基づいて前記各制御構成成分別に前記エッチング液タンクに供給する段階と、を有することを特徴とする。
前記制御構成成分はフッ酸を含むことが好ましい。
前記無機酸は硝酸及びリン酸を含み、前記制御構成成分は、硝酸、リン酸、及び水をさらに含むことが好ましい。
前記エッチング槽及び前記エッチング液タンクのうちの少なくともいずれか一つに、前記複数の構成要素をすべて含むエッチング原液を供給する段階をさらに有することが好ましい。
前記エッチング液タンクから前記エッチング槽に供給されるエッチング液は、フッ酸6〜25重量%、硝酸25〜43重量%、リン酸12〜32重量%、水25〜37.5重量%であることが好ましい。
前記フィードバックする段階は、前記エッチング槽のエッチング液を沈澱タンクに移送する段階と、前記沈澱タンクで前記エッチング液のスラッジを沈澱させる段階と、前記沈澱タンクから前記スラッジを除いたエッチング液を前記エッチング液タンクに移送する段階と、を、含むことが好ましい。
前記フィードバックする段階は、前記沈澱タンクのスラッジにスラッジ処理用酸を加える段階をさらに含むことが好ましい。
【発明の効果】
【0008】
本発明のエッチング液供給装置と、これを含むエッチング装置及びエッチング方法によれば、ガラス基板を均一にエッチングすることができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明のエッチング液供給装置、エッチング装置及びエッチング方法を実施するための最良の形態の具体例を、添付した図面を参照しながら、詳細に説明する。
以下の実施形態において、同一の構成要素を示す参照番号は同一の番号を付けた。また、同一の構成要素については第1実施形態で代表的に説明し、他の実施形態では省略する。
【0010】
図1は、本発明の第1実施形態によるエッチング装置のブロック図である。
エッチング装置は、エッチング槽100、エッチング液供給装置200、及びスラッジ処理部300を含む。
【0011】
エッチング槽100ではガラス基板のエッチングが行われ、エッチング槽100で用いられたエッチング液は、スラッジ処理部300を通じてエッチング液供給装置200にフィードバックされる。エッチング液供給装置200は、フィードバックされたエッチング液の組成を変化させ、再びエッチング槽100に供給する。
【0012】
エッチング液は多くの構成成分からなっており、構成成分は、水、フッ酸、及び無機酸を含む。以下の実施形態においては、無機酸として、これに限定されないが、硝酸及びリン酸を例に挙げて説明する。
【0013】
エッチング液供給装置200は、エッチング液タンク210、濃度測定手段220、構成成分供給部230、エッチング原液供給部240、及び制御部250を含む。
【0014】
エッチング液タンク210は、スラッジ処理部300を通じてエッチング槽100のエッチング液のフィードバックを受ける。濃度測定手段220はエッチング液タンク210内のエッチング液のフッ酸の濃度を測定し、構成成分供給部230はエッチング槽100にフッ酸を供給する。制御部250は、濃度測定手段220で測定したフッ酸の濃度に基づいて構成成分供給部230で供給するフッ酸の量を制御する。エッチング液タンク210のエッチング液は、再びエッチング槽100に供給される。
【0015】
一方、エッチング原液供給部240では、所定の濃度に調剤されており、構成成分をすべて含むエッチング原液をエッチング槽100に供給する。供給されるエッチング原液の量は制御部250によって制御される。
【0016】
以下、図2を参照して本発明の第1実施形態によるエッチング装置を詳細に説明する。
エッチング槽100は、槽本体110とバブル板120とを含む。第1実施形態においては、液晶パネル400は槽本体110内に浸漬(dipping)されてエッチングされる。バブル板120は、外部から供給されるガス(空気または窒素)を利用してエッチング液内でバブルを生成させて、エッチングが均一に行われるようにする。
【0017】
第1実施形態においては、液晶パネル400のエッチングはバッチ処理形式で行われる。エッチング槽100に収容された液晶パネル400のエッチングが完了すれば、エッチング槽100から液晶パネル400を除去し、エッチング槽100のエッチング液をスラッジ処理部300に移送する。その後、新しいエッチング液をエッチング槽100に入れ、新しい液晶パネル400に対してエッチングを進める。
【0018】
エッチングの対象である液晶パネル400について図3及び図4を参照して説明する。図3は、エッチング前の液晶パネル400を示したものであり、図4は、エッチング後の液晶パネル400を示したものである。
【0019】
エッチングの対象である液晶パネル400は、薄膜トランジスタ(図示せず)が形成されている第1ガラス基板410、第1ガラス基板410に対向配置されている第2ガラス基板420、第1ガラス基板410及び第2ガラス基板420の両ガラス基板を接合させているパネル接合シーラント430、及び両ガラス基板410、420とパネル接合シーラント430が形成する空間に備えられている液晶層440を含む。両ガラス基板410、420の周縁には外郭シーラント450が備えられている。
【0020】
図示した液晶パネル400はマザー基板の状態を示したものであって、後に、一定の単位A別にカッティングして複数の液晶パネル400を製造することになる。カッティングにはレーザーカッティング機またはダイヤモンドカッティング機を利用することができる。
【0021】
外郭シーラント450は、アクリル樹脂のような紫外線硬化樹脂を含むことができる。また、熱硬化性樹脂のエポキシ樹脂、アミン系硬化剤、アルミニウムパウダーのような充填材(filler)、スペーサをさらに含むことができる。外郭シーラント450は、エッチング過程でエッチング液が外郭シーラント450の内部に流入することを防止する。
【0022】
エッチングによって両ガラス基板410、420の厚さが減少し、エッチング前のそれぞれのガラス基板410、420の厚さd1が約0.5mmの場合に、例えば、エッチング後のそれぞれのガラス基板410、420の厚さd2は約0.2mm程度となり得る。
【0023】
また、図2に示すように、液晶パネル400に対するエッチングが完了した後、エッチング槽110のエッチング液はスラッジ処理部300に移送される。
【0024】
スラッジ処理部300は、沈澱タンク310と酸供給部320とを含む。エッチング過程で両ガラス基板410、420から分離されたシリコンとフッ酸が結合してスラッジ(HSiF)が発生する。スラッジは、両ガラス基板410、420の均一なエッチングを邪魔するため、除去されなければならない。一方、エッチング液のうちの硝酸は、スラッジ発生量を減らす役割も果たす。
【0025】
沈澱タンク310でエッチング液はスラッジが下部に沈澱され、沈殿物が除去されたエッチング液だけがエッチング液タンク210に供給される。沈澱タンク310に供給されたエッチング液のうちの約55〜90重量%のエッチング液がエッチング液タンク210に供給される。
【0026】
沈澱タンク310に残ったスラッジには、酸供給部320からスラッジ処理用酸が加えられる。酸供給部320は、酸溶液が保存されている酸タンク321と、酸タンク321の酸溶液を沈澱タンク310に移送する酸移送部322とを含む。酸移送部322はポンプを含むことができる。
【0027】
スラッジ処理用酸はこれに限定されないが、塩酸、及び/又は硝酸を含む。スラッジに塩酸を加えれば、次のような反応が起こる。
SiF+HCl―>SiF(g)+2HF(l)+HCl(l)
つまり、スラッジ処理用酸によって、スラッジはガス状態のSiFと液体状態のHF及びHClに変化する。このうちのSiFは排気を通じて除去し、HFとHClはドレンさせて廃水処理をする。
【0028】
酸処理をしない場合には固体状のスラッジを処理することに費用が多く必要となるが、酸処理後に発生するHFとHClの廃水処理には多くの費用を必要としない。
【0029】
エッチング液タンク210は、沈澱タンク310からスラッジが除去されたエッチング液の供給を受ける。エッチング液タンク210に供給されるエッチング液は、エッチング初期のエッチング槽100のエッチング液とは組成が異なる。これは、エッチング過程で構成成分の一部が両ガラス基板410、420をエッチングしながら損失したからである。特に、構成成分のうちのフッ酸の濃度変化が大きく、本実施形態においては濃度測定手段220と構成成分供給部230を通じてフッ酸の濃度変化を補償する。
【0030】
図示していないが、エッチング液タンク210はエッチング液を混合するための撹拌装置をさらに含むことができる。
【0031】
図5〜図8は濃度測定手段220と構成成分供給部230を備えていない従来の場合に、エッチングの処理回数(バッチ処理の回数)による各構成成分の濃度変化を示したものである。
5回の処理が進められた場合を見れば、図5に示したフッ酸は、約5重量%から約3重量%に約40%減少した。図6に示した硝酸は、約28.5重量%から約26.5重量%に約7%減少した。図7に示したリン酸は、約34重量%から約34.25重量%に約0.7%増加した。図8に示した水は、約1重量%から約0.975重量%に約1.25%減少した。
【0032】
このように、エッチングにおいて最も重要な成分であるフッ酸の濃度が、エッチングの回数によって大きく変化する。したがって、エッチングの均一性を確保するためにはフッ酸の濃度を補償することが重要である。
【0033】
濃度測定手段220は、エッチングタンク210のエッチング液のうちのフッ酸の濃度を測定し、これを制御部250に伝達する。制御部250は、測定された濃度に基づいて構成成分供給部230からエッチングタンク210に供給されるフッ酸の量を制御する。構成成分供給部230は、フッ酸を保存している構成成分タンク231と、構成成分タンク231のフッ酸をエッチング液タンク210に移送する構成成分移送部232とを含む。構成成分移送部232はポンプを含むことができる。
【0034】
フッ酸の濃度が補償されたエッチング液タンク210のエッチング液は、エッチング液移送部261を通じてエッチング槽100に供給される。エッチング槽100に供給されるエッチング液の組成は、フッ酸6〜25重量%、硝酸25〜43重量%、リン酸12〜32重量%、水25〜37.5重量%であり得る。エッチング液の組成は、エッチングの条件、所望のエッチング程度などによって調節できる。
【0035】
一方、エッチング原液供給部240はエッチング槽100にエッチング原液を直接供給する。エッチング原液供給部240は、エッチング原液が保存されているエッチング原液タンク241と、エッチング原液タンク241のエッチング原液をエッチング槽100に移送するエッチング原液移送部242とを含む。
【0036】
エッチング原液には、水、フッ酸、リン酸、硝酸などエッチング液の構成成分が所定の組成比で混合されている。エッチング原液の組成は、フッ酸6〜25重量%、硝酸25〜43重量%、リン酸12〜32重量%、水25〜37.5重量%であり得る。
【0037】
制御部250は、エッチング原液の組成と供給量、エッチング液タンク210のエッチング液組成と供給量を調節することで、エッチング槽100内のエッチング液が一定の組成を維持するようにする。特に、フッ酸の濃度が一定になるように供給量を調節する。
【0038】
他の実施形態において、制御部250は、エッチング槽100のエッチングが進められる途中にエッチング槽100にエッチング原液を供給することもできる。また、他の実施形態における構成成分供給部230のフッ酸は、エッチング液タンク210を経ずにエッチング槽100に供給できる。
【0039】
図9を参照して本発明の第1実施形態によるエッチング装置を利用したエッチング方法について説明する。
先に、両ガラス基板410、420を含む液晶パネル400をエッチング槽100に取り入れ、エッチング槽100にエッチング液を供給してエッチングを進行する(S100)。エッチング液の供給と液晶パネル400の導入順序は限定されない。
【0040】
液晶パネル400は、エッチング液に浸漬(dipping)され、両ガラス基板410、420のエッチングが進行する。進行過程でエッチング液の組成が変化し、特に、フッ酸の濃度が大きく減少する。エッチング過程で両ガラス基板410、420から分離されたシリコンとフッ酸が反応してスラッジも発生する。
【0041】
エッチングが完了すれば、エッチング槽100のエッチング液をスラッジ処理部300に移送し、スラッジを分離する(S200)。
【0042】
次に、スラッジを除いたエッチング液をエッチング液タンク210に移送し、スラッジを酸処理する(S300)。本実施形態とは異なって、スラッジの酸処理はバッチ処理ごとに処理されないようにすることもできる。
【0043】
次に、エッチング液タンク210に移送されたエッチング液のフッ酸の濃度を測定し、測定結果に基づいてフッ酸の濃度を補償する(S400)。
【0044】
フッ酸の濃度を補償する方法としては、フッ酸の濃度が所定範囲を有するようにすることができる。例えば、フッ酸の濃度が12重量%〜15重量%となるようにすることである。他の例として、エッチング液タンク210のエッチング液のフッ酸の濃度が、エッチング原液のフッ酸の濃度の90%〜110%を有するように制御することもできる。
【0045】
次に、フッ酸の濃度が補償されたエッチング液とエッチング原液をエッチング槽100に供給する(S500)。以後、また、新しい液晶パネル400に対するエッチングを進める。新しい液晶パネル400のエッチングに用いられるエッチング液はフッ酸の濃度が補償されたので、液晶パネル400間のエッチングの品質は一定に維持できる。
【0046】
以上で説明した各段階の順序は限定されず、同時にいくつかの段階の作業を遂行することも可能である。
【0047】
上述した第1実施形態によるエッチング装置を利用したエッチングの効果は、次の通りである。
第一、バッチ処理ごとにエッチング槽100に供給されるエッチング液のフッ酸の濃度が一定であるので、エッチングの品質が安定する。
第二、硝酸はスラッジの発生量を減少させる。エッチング槽100で生成したスラッジは両ガラス基板410、420に不良を誘発するが、硝酸によってこのような問題が減少する。
第三、エッチングの品質が安定し、スラッジによる不良が減少して、両ガラス基板410、420をポリッシングする過程を省略することができる。エッチングの品質が不安定であれば両ガラス基板410、420の表面が粗くなって表示品質が低下し、カッティング作業で不良を招く。したがって、両ガラス基板410、420の表面を滑らかにするポリッシング過程が必要である。しかし、本発明によれば、両ガラス基板410、420は表面が滑らかにエッチングされるので、ポリッシング過程を省略することができる。
第四、スラッジを酸処理することで処理費用が節減される。つまり、処理費用が高い固体状のスラッジを処理することでなく、処理費用の安い液状の塩酸及びフッ酸を処理することである。
【0048】
第1実施形態においては、エッチング液タンク210における濃度を補償する構成成分(制御構成成分)はフッ酸であった。制御構成成分にはフッ酸以外に他の構成成分を加えることができ、これを第2実施形態で説明する。
【0049】
図10に示した第2実施形態を見れば、構成成分供給部230は4個の構成成分タンク231と4個の構成成分移送部232とを含む。
4個の構成成分タンク231は、フッ酸タンク231a、硝酸タンク231b、リン酸タンク231c、及び水タンク231dを含む。4個の構成成分移送部232は、フッ酸移送部232a、硝酸移送部232b、リン酸移送部232c、及び水移送部232dを含む。
【0050】
濃度測定手段220は、エッチング液タンク210内のエッチング液でフッ酸濃度、硝酸濃度、リン酸濃度、及び水濃度をそれぞれ測定する。制御部250は測定された結果によって、フッ酸、硝酸、リン酸、及び水の濃度を補償する。
【0051】
第2実施形態によれば、フッ酸だけでなく、硝酸、リン酸、水の濃度まで補償されることで、エッチングの品質をさらに均一にすることができる。
【0052】
図11は、本発明の第3実施形態によるエッチング装置のブロック図である。
第3実施形態によれば、エッチング原液供給部240はエッチング液タンク210にエッチング原液を供給する。
【0053】
エッチング液タンク210は、エッチング槽100からフィードバックされたエッチング液と、エッチング原液供給部240から供給されたエッチング原液とを混合してエッチング槽100に供給する。この過程で、濃度測定手段220、構成成分供給部230、及び制御部250によって構成成分の濃度補償が行われる。
【0054】
以下、図12、13を参照して本発明の第3実施形態によるエッチング装置について詳細に説明する。
エッチング槽100は、槽本体110、エッチング液供給パイプ130及びノズル140を含む。
【0055】
図12、13に示すように、エッチング液供給パイプ130は液晶パネル400の上部と下部に備えられている。ノズル140はエッチング液供給パイプ130に連結されており、液晶パネル400の上面と背面の全体にわたって形成されている。
【0056】
エッチング液はノズル140を通じて液晶パネル400にスプレーされ、両ガラス基板410、420をエッチングする。エッチングが完了すれば、液晶パネル400は移送手段(図示せず)によって他のエッチング槽100または洗浄槽(図示せず)に移送される。次に、他の液晶パネル400がエッチング槽100内に導入されてエッチングが進められる。他の実施形態においては、液晶パネル400が移送されながらエッチングが進められるようにすることができる。
【0057】
エッチング槽100でスプレーされたエッチング液は、スラッジ処理部300にドレンされて移送される。スラッジ処理部300はスラッジをろ過することができるフィルタを含む。スラッジ処理部300でスラッジが除去されたエッチング液は、エッチング液タンク210に移送される。
【0058】
スラッジ処理部300は、スラッジ処理能力が低下すれば、新しいスラッジ処理部300に交換される。スラッジ処理部300の交換による工程中断を防止するために、スラッジ処理部300は複数個が並列に備えられるようにすることができる。
【0059】
エッチング液タンク210は、スラッジ処理部300からスラッジが除去されたエッチング液の供給を受ける。エッチング液タンク210に供給されるエッチング液は、エッチング初期のエッチング槽100のエッチング液とは組成が異なる。これは、エッチング槽100でのエッチング過程で構成成分の一部が両ガラス基板410、420をエッチングしながら損失したからである。
【0060】
エッチング液タンク210のエッチング液は、濃度測定手段220、構成成分供給部230、エッチング原液供給部240、及び制御部250によって各構成成分の濃度が補償される。構成成分の濃度補償方法は、上述した第1実施形態及び第2実施形態と同一であり、繰り返される説明は省略する。
【0061】
図示していないが、エッチング液タンク210はエッチング液を混合するための撹拌装置をさらに含むことができる。
【0062】
図14は、本発明の第4実施形態によるエッチング装置におけるガラス基板のエッチングを説明するための図面である。
第4実施形態によれば、液晶パネル400はエッチング槽100で、起立状態で位置する。起立状態の液晶パネル400の両側からエッチング液がスプレーされる。第4実施形態によれば、液晶パネル400の両ガラス基板410、420のエッチングは、さらに均一になりうる。
【0063】
以上、本発明のいくつかの実施形態を図示して説明したが、本発明が属する技術分野の通常の知識を有する当業者であれば、本発明の原則や精神から逸脱せずに本実施形態を変形できることが分かる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の第1実施形態によるエッチング装置のブロック図である。
【図2】本発明の第1実施形態によるエッチング装置の構成図である。
【図3】本発明の第1実施形態によるエッチング装置によってエッチングされる前の液晶パネルの断面図である。
【図4】本発明の第1実施形態によるエッチング装置によってエッチングされた後の液晶パネルの断面図である。
【図5】従来のエッチング装置におけるエッチング液のフッ酸の濃度変化を示したグラフである。
【図6】従来のエッチング装置におけるエッチング液の硝酸の濃度変化を示したグラフである。
【図7】従来のエッチング装置におけるエッチング液のリン酸の濃度変化を示したグラフである。
【図8】従来のエッチング装置におけるエッチング液の水の濃度変化を示したグラフである。
【図9】本発明の第1実施形態によるエッチング装置を利用したエッチング方法を説明した手順図である。
【図10】本発明の第2実施形態によるエッチング装置の構成図である。
【図11】本発明の第3実施形態によるエッチング装置のブロック図である。
【図12】本発明の第3実施形態によるエッチング装置の構成図である。
【図13】本発明の第3実施形態によるエッチング装置におけるエッチング槽の斜視図である。
【図14】本発明の第4実施形態によるエッチング装置におけるガラス基板のエッチングを説明するための図面である。
【符号の説明】
【0065】
100 エッチング槽
110 槽本体
120 バブル板
130 エッチング液供給パイプ
140 ノズル
200 エッチング液供給装置
210 エッチング液タンク
220 濃度測定手段
230 構成成分供給部
231 構成成分タンク
232 構成成分移送部
240 エッチング原液供給部
241 エッチング原液タンク
242 エッチング原液移送部
250 制御部
261 エッチング液移送部
300 スラッジ処理部
310 沈澱タンク
320 酸供給部
321 酸タンク
322 酸移送部
400 液晶パネル
410 第1ガラス基板
420 第2ガラス基板
430 パネル接合シーラント
440 液晶層
450 外郭シーラント

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エッチング槽でガラス基板をエッチングするエッチング装置に、水、フッ酸、及び無機酸を含む複数の構成成分からなるエッチング液を供給するエッチング液供給装置において、
前記エッチング槽で用いられたエッチング液のフィードバックを受けるエッチング液タンクと、
前記エッチング液タンクのエッチング液を前記エッチング槽に供給するエッチング液移送部と、
前記エッチング液タンクのエッチング液における前記構成成分の少なくとも一部である制御構成成分の濃度を測定する濃度測定手段と、
前記制御構成成分を各制御構成成分別に前記エッチング液タンクに供給する構成成分供給部と、
前記濃度測定手段の測定結果に基づいて前記制御構成成分が供給されるように前記構成成分供給部を制御する制御部と、を備えることを特徴とするエッチング液供給装置。
【請求項2】
前記制御構成成分はフッ酸を含むことを特徴とする請求項1に記載のエッチング液供給装置。
【請求項3】
前記無機酸は硝酸及びリン酸を含み、
前記制御構成成分は、硝酸、リン酸、及び水をさらに含むことを特徴とする請求項2に記載のエッチング液供給装置。
【請求項4】
前記エッチング槽及び前記エッチング液タンクのうちの少なくともいずれか一つに連結されており、
前記複数の構成成分をすべて含むエッチング原液を供給するエッチング原液供給部をさらに含むことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のエッチング液供給装置。
【請求項5】
前記エッチング液タンクから前記エッチング槽に供給されるエッチング液は、フッ酸6〜25重量%、硝酸25〜43重量%、リン酸12〜32重量%、水25〜37.5重量%であることを特徴とする請求項3に記載のエッチング液供給装置。
【請求項6】
水、フッ酸、及び無機酸を含む複数の構成成分からなるエッチング液を用いてガラス基板をエッチングするガラス基板エッチング装置において、
前記ガラス基板を収容し、収容された前記ガラス基板にエッチング液を供給するエッチング槽と、
前記エッチング槽で用いられたエッチング液のフィードバックを受けるエッチング液タンクと、
前記エッチング液タンクのエッチング液を前記エッチング槽に供給するエッチング液移送部と、
前記エッチング液タンクのエッチング液における前記構成成分の少なくとも一部である制御構成成分の濃度を測定する濃度測定手段と、
前記制御構成成分を各制御構成成分別に前記エッチング液タンクに供給する構成成分供給部と、
前記濃度測定手段の測定結果に基づいて前記制御構成成分が供給されるように前記構成成分供給部を制御する制御部と、を備えることを特徴とするエッチング装置。
【請求項7】
前記制御構成成分はフッ酸を含むことを特徴とする請求項6に記載のエッチング装置。
【請求項8】
前記無機酸は硝酸及びリン酸を含み、
前記制御構成成分は、硝酸、リン酸、及び水をさらに含むことを特徴とする請求項7に記載のエッチング装置。
【請求項9】
前記エッチング槽及び前記エッチング液タンクのうちの少なくともいずれか一つに連結されており、
前記複数の構成成分をすべて含むエッチング原液を供給するエッチング原液供給部をさらに含むことを特徴とする請求項6乃至8のいずれか一項に記載のエッチング装置。
【請求項10】
前記エッチング液タンクから前記エッチング槽に供給されるエッチング液は、フッ酸6〜25重量%、硝酸25〜43重量%、リン酸12〜32重量%、水25〜37.5重量%であることを特徴とする請求項8に記載のエッチング装置。
【請求項11】
前記エッチング槽は、下部に位置するバブル生成板をさらに含むことを特徴とする請求項6乃至8のいずれか一項に記載のエッチング装置。
【請求項12】
前記エッチング槽と前記エッチング液タンクとの間に位置するスラッジ処理部をさらに含み、
前記スラッジ処理部は、
前記エッチング槽からフィードバックされるエッチング液を沈澱させる沈澱タンクと、
前記沈澱タンクにスラッジ処理用酸を供給する酸供給部と、を含むことを特徴とする請求項11に記載のエッチング装置。
【請求項13】
前記スラッジ処理用酸は硝酸と塩酸のうちの少なくともいずれか一つを含むことを特徴とする請求項12に記載のエッチング装置。
【請求項14】
前記エッチング槽は、供給を受けたエッチング液を前記ガラス基板にスプレーするスプレー部をさらに含むことを特徴とする請求項6乃至8のいずれか一項に記載のエッチング装置。
【請求項15】
前記エッチング槽と前記エッチング液タンクとの間に位置するスラッジ処理部をさらに含み、
前記スラッジ処理部は、
前記エッチング槽からフィードバックされるエッチング液のうちのスラッジをろ過するフィルタを含むことを特徴とする請求項14に記載のエッチング装置。
【請求項16】
水、フッ酸、及び硝酸を含む複数の構成成分からなるエッチング液を用いてガラス基板をエッチングするガラス基板エッチング方法において、
前記ガラス基板をエッチング槽に取り入れ、前記ガラス基板にエッチング液を供給する段階と、
前記エッチング槽で用いられたエッチング液をエッチング液タンクにフィードバックする段階と、
前記エッチング液タンクのエッチング液を前記エッチング槽に供給する段階と、
前記エッチング液タンクのエッチング液における前記構成成分の少なくとも一部である制御構成成分の濃度を測定する段階と、
前記濃度測定手段の測定結果に基づいて前記各制御構成成分別に前記エッチング液タンクに供給する段階と、を有することを特徴とするエッチング方法。
【請求項17】
前記制御構成成分はフッ酸を含むことを特徴とする請求項16に記載のエッチング方法。
【請求項18】
前記無機酸は硝酸及びリン酸を含み、
前記制御構成成分は、硝酸、リン酸、及び水をさらに含むことを特徴とする請求項17に記載のエッチング方法。
【請求項19】
前記エッチング槽及び前記エッチング液タンクのうちの少なくともいずれか一つに、前記複数の構成要素をすべて含むエッチング原液を供給する段階をさらに有することを特徴とする請求項16乃至18のいずれか一項に記載のエッチング方法。
【請求項20】
前記エッチング液タンクから前記エッチング槽に供給されるエッチング液は、フッ酸6〜25重量%、硝酸25〜43重量%、リン酸12〜32重量%、水25〜37.5重量%であることを特徴とする請求項17に記載のエッチング方法。
【請求項21】
前記フィードバックする段階は、
前記エッチング槽のエッチング液を沈澱タンクに移送する段階と、
前記沈澱タンクで前記エッチング液のスラッジを沈澱させる段階と、
前記沈澱タンクから前記スラッジを除いたエッチング液を前記エッチング液タンクに移送する段階と、を含むことを特徴とする請求項16乃至18のいずれか一項に記載のエッチング方法。
【請求項22】
前記フィードバックする段階は、前記沈澱タンクのスラッジにスラッジ処理用酸を加える段階をさらに含むことを特徴とする請求項21に記載のエッチング方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate


【公開番号】特開2008−66706(P2008−66706A)
【公開日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−152588(P2007−152588)
【出願日】平成19年6月8日(2007.6.8)
【出願人】(390019839)三星電子株式会社 (8,520)
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
【Fターム(参考)】