エッチング金属体の製造方法
【課題】歩留まりが向上する、エッチング金属体の製造方法を提供する。
【解決手段】エッチング金属体の製造方法は、活性エネルギー線照射によって接着力低下可能な感圧性接着剤層4を支持体3表面に担持する保護フィルム2と、被エッチング金属層1を含む金属箔貼付体10を用意し、
被エッチング金属層表面にレジスト膜5を形成する工程、及び活性エネルギー線の透過領域31bと非透過領域31aとを有する照射マスクシート31を介して接着剤層に活性エネルギー線を照射して、エッチング液接触領域を少なくとも照射して接着剤を硬化させ、エッチング液非接触領域の少なくとも一部を照射せずに接着剤を未硬化状態に維持する工程を任意の順序で実施し、
エッチング工程を実施し、活性エネルギー線照射によって未硬化接着剤を硬化させ、そして保護フィルムを剥離してエッチング金属体を形成する各工程を含む。
【解決手段】エッチング金属体の製造方法は、活性エネルギー線照射によって接着力低下可能な感圧性接着剤層4を支持体3表面に担持する保護フィルム2と、被エッチング金属層1を含む金属箔貼付体10を用意し、
被エッチング金属層表面にレジスト膜5を形成する工程、及び活性エネルギー線の透過領域31bと非透過領域31aとを有する照射マスクシート31を介して接着剤層に活性エネルギー線を照射して、エッチング液接触領域を少なくとも照射して接着剤を硬化させ、エッチング液非接触領域の少なくとも一部を照射せずに接着剤を未硬化状態に維持する工程を任意の順序で実施し、
エッチング工程を実施し、活性エネルギー線照射によって未硬化接着剤を硬化させ、そして保護フィルムを剥離してエッチング金属体を形成する各工程を含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エッチング金属体の製造方法に関する。本発明の製造方法によれば、エッチング金属体、例えば、配線層膜間接続用部材、回路部材、又は電磁波シールド性金属メッシュ部材を優れた歩留まりで製造することができる。
【背景技術】
【0002】
配線層膜間接続用部材や回路部材のようなエッチング金属体の従来の製造方法では、保護フィルムを用いる技術が知られている。すなわち、保護フィルム上に感圧性接着剤によって貼着されている被エッチング金属層をエッチングして、保護フィルム上に金属バンプを形成する工程(配線層膜間接続用部材の場合)、あるいは金属回路を形成する工程(回路部材の場合)を実施し、そのエッチング工程終了後に前記保護フィルムを剥離する手法が知られている。
【0003】
最初に、配線層膜間接続用部材を製造する際に保護フィルムを利用する従来法を、具体的に説明する。
半導体素子や液晶表示素子などの電子部品素子には、多層配線基板の使用が提案されており、各層に形成される回路間の層間接続手段として、金属バンプ群の採用が提案されている。こうした金属バンプを採用する試みは、導電性ペーストを層間接続手段とする配線回路基板の改良法として提案され、銅箔をエッチングしてバンプ群を形成し、その際に保護フィルムを用いる方法が提案されている(特許文献1)。
【0004】
前記のような保護フィルムを用いることにより、配線層膜間接続用部材を製造する従来技術の概要を図10及び図11に沿って以下に説明する。
図10(1a)〜(1f)及び図11(11g)〜(1l)は、従来の配線層膜間接続用部材の製造工程、及びその配線層膜間接続用部材を使用して配線回路基板を製造する工程を順に示す模式的断面図である。
【0005】
(1)工程(1a):
図10(1a)に示すように、金属箔貼付体10を用意する。前記金属箔貼付体10は、バンプ形成用金属層(例えば、銅層)1と、保護フィルム2とからなる。保護フィルム2は、支持体3とその一方の表面上に担持された感圧性接着剤層4とからなり、感圧性接着剤層4によってバンプ形成用金属層1と貼着している。また、感圧性接着剤層4を構成する感圧性接着剤としては、特許文献1の実施態様として記載されているとおり、通常の感圧性接着剤を用いることもできるが、活性エネルギー(例えば、紫外線又は電子線)硬化型接着剤を使用することも可能である。以下、活性エネルギー硬化型接着剤を使用する場合に沿って説明する。活性エネルギー硬化型接着剤は、活性エネルギー線照射前は、充分な接着力を有するのに対し、活性エネルギー線照射後では、接着力が低下して被着体から簡単に剥離することができる。この工程(1a)において、前記感圧性接着剤は、その全体が活性エネルギー線照射前であり、従って、前記保護フィルム2は、完全粘着状態の保護フィルムである。
【0006】
(2)工程(1b)〜(1c):
次に、図10(1b)に示すように、前記バンプ形成用金属層1の表面にレジスト膜5を選択的に形成する。このレジスト膜5はバンプを形成すべき部分のみを覆うように形成する。続いて、図10(1c)に示すように、前記レジスト膜5をマスク材として前記バンプ形成用金属層1をエッチングすることにより、多数のバンプ6を形成する。このエッチングは、例えば、ウェットエッチングにより実施することができ、使用するエッチング液は、バンプ形成用金属層1を侵食可能なエッチング液である。
【0007】
(3)工程(1d):
次に、図10(1d)に示すように、前記エッチングにおいてエッチングマスク材として用いたレジスト膜5を除去する。図10(1d)はエッチングマスク除去後の状態を示す。こうして、多数のバンプ6が、完全粘着状態保護フィルム2の上に形成された構造を有するバンプ群担持体11が形成される。
【0008】
(4)工程(1e)
続いて、図10(1e)に示すように、前記バンプ群担持体11における前記バンプ6のそれぞれの間隙に、絶縁性樹脂層7を挿入する。例えば、絶縁性接着剤シートを、前記バンプ群担持体11における前記バンプ6が形成された側の面に熱ローラで圧着することにより、前記接着剤シートからなる絶縁性樹脂層7を形成することができる。この際には、前記の絶縁性樹脂層7の形成後に、バンプ6の頂上部を絶縁性樹脂層7から突出させて、露出させることが必要である。従って、前記の接着剤シートとしては、そのバンプ6の高さよりも適宜薄いものを用いる。なお、バンプ6の上部が露出していないと、バンプ6による層間接続を確実に行うことができなくなる。この工程(1e)により、完全粘着状態保護フィルム2の上にバンプ群樹脂充填体を担持するバンプ群樹脂担持体12が形成される。
【0009】
(5)工程(1f):
次に、図10(1f)の矢印Zに示すように、支持体3を介して活性エネルギー線(例えば、紫外線又は電子線)を感圧性接着剤層4に照射すると、感圧性接着剤が硬化して粘着力が低下した感圧性接着剤層4Bに変換し、完全粘着状態保護フィルム2は剥離性保護フィルム2Bに変換する。なお、支持体3は、照射によって前記感圧性接着剤の接着力を低下させることができる活性エネルギー線を透過することのできる材料からなる。
【0010】
(6)工程(1g)〜(1h):
続いて、図11(1g)に示すように、バンプ群樹脂担持体12から剥離性保護フィルム2Bを剥離すると、図11(1h)に示すように、バンプ群樹脂充填体13を得ることができる。こうして得られたバンプ群樹脂充填体13は、図12(模式的平面図)に示すように、各バンプ6の両端6a,6bがそれぞれ露出していると共に、各バンプ6は、それぞれが絶縁性樹脂層7の絶縁性樹脂によって相互に隔離されている。また、このバンプ群樹脂充填体13を用いて、後述するように回路形成用基板14〔図11(1j)〕、又は配線回路基板15〔図11(1l)〕を製造し、更には多層配線回路基板を製造することができる。
【0011】
(6)工程(1i)〜(1j):
前記バンプ群樹脂充填体13を用いて、図11(1j)に示すような回路形成用基板14を製造するには、図11(1i)に示すように、導体回路形成用金属箔(例えば、銅箔)21,22を、前記バンプ群樹脂充填体13の両側から積層プレスにて熱圧着させる。この際に、導体回路形成用金属箔21,22は、前記バンプ群樹脂充填体13おける各バンプ6の露出表面6a,6bと接合させる。こうして得られる回路形成用基板14では、導体回路形成用金属層23,24が、それぞれ各バンプ6を介して電気的に接続し、また、各バンプ6は、絶縁性樹脂層7によって相互に電気的絶縁状態になる。なお、導体回路形成用金属箔21,22の厚さは、例えば、18μm程度である。
【0012】
(7)工程(1k)〜(l):
前記工程(1j)で得られる回路形成用基板14の導体回路形成用金属層23,24の各表面に、図11(1k)に示すように、エッチングマスクとなる導体回路用レジスト膜8を形成し、続いて、前記レジスト膜8をマスクとして導体回路形成用金属層23,24をエッチングすることにより、導体回路9を形成することができる。レジスト膜8を除去して、図11(1l)に示すように、配線回路基板15が形成される。この配線回路基板15は、両方の表面に導体回路9を有し、両表面の各回路が必要な部分においてバンプ6を介して電気的に接続しており、しかも、各バンプ6が、絶縁性樹脂層7によって相互に電気的絶縁状態になる。
【0013】
次に、回路部材を製造する際に保護フィルムを利用する従来法を、具体的に説明する。
従来より、高密度配線基板、例えば半導体素子を収納するパッケージに使用される高密度多層配線基板として、セラミック配線基板や樹脂製配線基板が知られている。前記のセラミック配線基板は、アルミナなどの絶縁性基板上に、タングステンやモリブテン等の高融点金属から成る配線導体を形成したものであり、この絶縁性基板の一部に凹部が形成されており、この凹部内に半導体素子を収納し、適当な蓋体によって凹部を気密に封止してパッケージとするものである。また、樹脂製配線基板は、有機樹脂を含む絶縁性基板の表面に銅等の金属層からなる回路パターンを形成したものであり、この樹脂製配線基板は、セラミック配線基板のように欠けやすく割れやすいなどの欠点がなく、また多層化に際しても、焼成のような高温での熱処理を必要としないという利点を有している。
こうした樹脂製配線基板として使用される回路部材を製造する際に保護フィルムを利用する従来法(例えば、特許文献2)の概要を、図13及び図14に沿って以下に具体的に説明する。図13(2a)〜(2e)及び図14(2f)〜(2g)は、従来の回路部材の製造方法を工程順に示す模式的断面図である。
【0014】
(1)工程(2a):
図13(2a)に示すように、金属箔貼付体40を用意する。前記金属箔貼付体40は、回路形成用金属層(例えば、銅層)41と、保護フィルム2とからなる。ここで、保護フィルム2は、前記図10及び図11に沿って説明した配線層膜間接続用部材の製造方法において使用した保護フィルムと基本的に同じ構造であり、支持体3とその一方の表面上に担持された感圧性接着剤層4とからなり、感圧性接着剤層4によって回路形成用金属層41と貼着している。また、感圧性接着剤層4を構成する感圧性接着剤は、活性エネルギー(例えば、紫外線又は電子線)硬化型接着剤であり、活性エネルギー線照射前は、充分な接着力を有するのに対し、活性エネルギー線照射後では、接着力が低下して被着体から簡単に剥離することができる。この工程(2a)において、前記感圧性接着剤は、その全体が活性エネルギー線照射前であり、従って、前記保護フィルム2は、完全粘着状態の保護フィルムである。
【0015】
(2)工程(2b)〜(2c)
次に、図13(2b)に示すように、前記回路形成用金属層41の表面にレジスト膜45を選択的に形成する。このレジスト膜45は回路を形成すべき部分のみを覆うように形成する。続いて、図13(2c)に示すように、前記レジスト膜45をマスク材として前記回路形成用金属層41をエッチングすることにより、完全粘着状態保護フィルム2の表面上に所望の回路パターンを有する回路層46が形成され、その回路層46を担持した回路担持体41Aが形成される。このエッチングは、例えば、ウェットエッチングにより実施することができ、使用するエッチング液は、回路形成用金属層41を侵食可能なエッチング液である。
【0016】
(3)工程(2d)
続いて、前記工程(2c)によって形成された回路担持体41Aの回路層46側の面に絶縁性シートを積層し、その絶縁性シート層47に回路層46を埋め込んでから固定することによって、回路基板担持体42Aを形成する。この埋め込み固定は、図13(2d)に示すように、回路層46の一部を埋め込む態様で実施することができるだけでなく、回路層46を絶縁性シート層47に完全に埋め込む態様で実施することもできる。前記の埋め込み固定工程は、例えば、回路担持体41Aと半硬化状態の絶縁性シート層47とを、回路層46が間になるように重ね合わせて圧着し、次いで必要により、絶縁性シート層47を硬化することによって行うことができる。こうして硬化された絶縁性シート層47は、配線基板の絶縁性基板に相当する。
【0017】
なお、前記回路層46上のレジスト膜45は、配線基板の絶縁性基板における特性や、回路層46と絶縁性シート層47との密着性に悪影響を与えることがない限り、図13(2d)に示すように、レジスト膜45を除去せずに残留させた状態で前記埋め込み固定工程(2d)を実施することができる。あるいは、レジスト膜45を除去してから前記埋め込み固定工程(2d)を実施してもよい。
【0018】
(5)工程(2e):
次に、図13(2e)の矢印Zに示すように、支持体3を介して活性エネルギー線(例えば、紫外線又は電子線)を感圧性接着剤層4に照射すると、感圧性接着剤が硬化して粘着力が低下した感圧性接着剤層4Bに変換し、完全粘着状態保護フィルム2は剥離性保護フィルム2Bに変換する。なお、支持体3は、照射によって前記感圧性接着剤の接着力を低下させることができる活性エネルギー線を透過することのできる材料からなる。
【0019】
(6)工程(2f)〜(2g)
続いて、図14(2f)に示すように、回路基板担持体42Aから剥離性保護フィルム2Bを剥離すると、図14(2g)に示すように、回路基板43Aを得ることができる。こうして得られた回路基板43Aは、図15(模式的平面図)に示すように、所望の回路パターンを有する回路層46が絶縁性シート層47に埋め込まれた構造を有している。
【0020】
【特許文献1】特開2003−309370号公報
【特許文献2】特開平10−173316号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
本発明者は、前記のような保護フィルムを用いることによりエッチング金属体(特に、配線層膜間接続用部材や回路部材)を製造する従来方法に関して鋭意研究を行っていたところ、或る共通の問題点を見出した。
すなわち、前記の図10及び図11に示す従来の配線回路基板の製造方法に関して鋭意研究を行っていたところ、図11(1h)に示すバンプ群樹脂充填体13から図11(1l)に示す配線回路基板15を製造すると、歩留まりが悪いことを見出し、その原因の1つは、図11(1h)に示すバンプ群樹脂充填体13の表面に感圧性接着剤が残留するためであることを見出した。
また、前記の図13及び図14に示す従来の回路部材の製造方法においても、図14(2g)に示す回路基板43Aから高密度多層配線基板を製造すると、同様に歩留まりが悪いことを見出し、その原因の1つは、図14(2g)に示す回路基板43Aの表面に感圧性接着剤が残留するためであることを見出した。
従って、本発明の課題は、保護フィルムを用いることによりエッチング金属体を製造する技術において、前記の感圧性接着剤が残留する欠点(すなわち、糊残りの欠点)を解消し、歩留まりを向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0022】
前記の課題は、本発明により、
(1)(a)活性エネルギー線を照射することによって接着力を低下させることができる感圧性接着剤からなる層を、支持体の一方の表面上に担持している保護フィルムと、(b)その保護フィルムに前記感圧性接着剤層を介して貼付されている被エッチング金属層とを含む、金属箔貼付体を用意し、
(2)(a)前記金属箔貼付体の前記被エッチング金属層の表面にレジスト膜を形成する工程、及び(b)前記活性エネルギー線を透過する透過領域と前記活性エネルギー線を透過しない非透過領域とを有する照射マスクシートを介して、前記感圧性接着剤層に前記活性エネルギー線を照射して、前記レジスト膜を介して行う前記被エッチング金属層のエッチング工程においてエッチング液と接触することになる接触領域を少なくとも照射して前記感圧性接着剤を硬化させ、前記エッチング液と接触することのない非接触領域の少なくとも一部を照射せずに前記感圧性接着剤を未硬化状態に維持する工程
を任意の順序で実施し、
(3)前記被エッチング金属層に対してエッチング工程を実施し、
(4)前記活性エネルギー線の照射によって、未硬化状態の前記感圧性接着剤を硬化させ、そして
(5)前記保護フィルムを剥離してエッチング金属体を形成する
各工程を含むことを特徴とする、前記エッチング金属体の製造方法によって解決することができる。
【0023】
本発明方法の好ましい態様によれば、前記エッチング金属体が、配線層膜間接続用部材、回路部材、又は電磁波シールド性金属メッシュ部材である。
本発明方法の別の好ましい態様によれば、前記工程(2)(b)において、前記エッチング液と接触することのない非接触領域の一部であって、前記エッチング液との接触領域に隣接する領域にも前記活性エネルギー線を照射して、前記感圧性接着剤を硬化させる。
本発明方法の更に別の好ましい態様によれば、前記感圧性接着剤の前記活性エネルギー線照射前の初期剥離力が、0.05〜30N/25mmである。
本発明方法の更に別の好ましい態様によれば、前記感圧性接着剤の前記活性エネルギー線照射後の剥離力が、0.05N/25mm未満である。
また、本発明は、前記の製造方法によって得られるエッチング金属体にも関する。
【0024】
好ましい態様の本発明方法は、
(1)(a)活性エネルギー線を照射することによって接着力を低下させることができる感圧性接着剤からなる層を、支持体の一方の表面上に担持している保護フィルムと、(b)その保護フィルムに前記感圧性接着剤層を介して貼付されているバンプ形成用金属層とを含む、金属箔貼付体を用意し、
(2)(a)前記金属箔貼付体の前記バンプ形成用金属層の表面にレジスト膜を形成する工程、及び(b)前記活性エネルギー線を透過する透過領域と前記活性エネルギー線を透過しない非透過領域とを有する照射マスクシートを介して、前記感圧性接着剤層に前記活性エネルギー線を照射して、前記レジスト膜を介して行う前記バンプ形成用金属層のエッチング工程においてエッチング液と接触することになる接触領域を少なくとも照射して前記感圧性接着剤を硬化させ、前記エッチング液と接触することのない非接触領域の少なくとも一部を照射せずに前記感圧性接着剤を未硬化状態に維持する工程
を任意の順序で実施し、
(3)前記バンプ形成用金属層に対してエッチング工程を実施し、
(4)前記レジスト膜を除去した後に、前記エッチング工程によって形成されるバンプ群層の間隙に絶縁性樹脂層を充填して、前記保護フィルム上にバンプ群樹脂充填体を形成し、
(5)前記保護フィルムに前記活性エネルギー線を照射して、未硬化状態の前記感圧性接着剤を硬化させ、そして
(6)前記保護フィルムを剥離して配線層膜間接続用部材を形成する
各工程を含むことを特徴とする、前記配線層膜間接続用部材の製造方法に関する。
【0025】
別の好ましい態様の本発明方法は、
(1)(a)活性エネルギー線を照射することによって接着力を低下させることができる感圧性接着剤からなる層を、支持体の一方の表面上に担持している保護フィルムと、(b)その保護フィルムに前記感圧性接着剤層を介して貼付されている回路形成用金属層とを含む、金属箔貼付体を用意し、
(2)(a)前記金属箔貼付体の前記回路形成用金属層の表面にレジスト膜を形成する工程、及び(b)前記活性エネルギー線を透過する透過領域と前記活性エネルギー線を透過しない非透過領域とを有する照射マスクシートを介して、前記感圧性接着剤層に前記活性エネルギー線を照射して、前記レジスト膜を介して行う前記回路形成用金属層のエッチング工程においてエッチング液と接触することになる接触領域を少なくとも照射して前記感圧性接着剤を硬化させ、前記エッチング液と接触することのない非接触領域の少なくとも一部を照射せずに前記感圧性接着剤を未硬化状態に維持する工程
を任意の順序で実施し、
(3)前記回路形成用金属層に対してエッチング工程を実施し、
(4)前記保護フィルムに前記活性エネルギー線を照射して、未硬化状態の前記感圧性接着剤を硬化させ、そして
(5)前記保護フィルムを剥離して回路部材を形成する
各工程を含むことを特徴とする、前記回路部材の製造方法に関する。
この態様においては、前記エッチング工程(3)によって形成される回路層を、絶縁性シートに埋め込んで固定する工程を更に実施することができる。
【0026】
更に別の好ましい態様の本発明方法は、
(1)(a)活性エネルギー線を照射することによって接着力を低下させることができる感圧性接着剤からなる層を、支持体の一方の表面上に担持している保護フィルムと、(b)その保護フィルムに前記感圧性接着剤層を介して貼付されている電磁波シールド性金属メッシュ形成用金属層とを含む、金属箔貼付体を用意し、
(2)(a)前記金属箔貼付体の前記金属メッシュ形成用金属層の表面にレジスト膜を形成する工程、及び(b)前記活性エネルギー線を透過する透過領域と前記活性エネルギー線を透過しない非透過領域とを有する照射マスクシートを介して、前記感圧性接着剤層に前記活性エネルギー線を照射して、前記レジスト膜を介して行う前記金属メッシュ形成用金属層のエッチング工程においてエッチング液と接触することになる接触領域を少なくとも照射して前記感圧性接着剤を硬化させ、前記エッチング液と接触することのない非接触領域の少なくとも一部を照射せずに前記感圧性接着剤を未硬化状態に維持する工程
を任意の順序で実施し、
(3)前記金属メッシュ形成用金属層に対してエッチング工程を実施し、
(4)前記保護フィルムに前記活性エネルギー線を照射して、未硬化状態の前記感圧性接着剤を硬化させ、そして
(5)前記保護フィルムを剥離して電磁波シールド性金属メッシュ部材を形成する
各工程を含むことを特徴とする、前記電磁波シールド性金属メッシュ部材の製造方法に関する。
この態様においては、前記エッチング工程(3)によって形成される電磁波シールド性金属メッシュ層の表面を黒化処理する工程を更に実施することができる。
また、この態様においては、前記エッチング工程(3)によって形成される電磁波シールド性金属メッシュ層を、感圧性接着剤層を有する被着体に貼付する工程を更に実施することができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明方法によって、例えば、配線層膜間接続用部材(バンプ群樹脂充填体)を製造すると、従来法と同様に、保護フィルムを用いることにより多層金属板の使用を回避することができるので、コストダウンを実現することができると共に、糊残りの欠点が解消されるので歩留まりを向上させることができる。
また、本発明方法によって、例えば、回路部材を製造すると、糊残りの欠点が解消されるので歩留まりを向上させることができる。
更に、保護フィルムを用いる本発明方法を電磁波シールド性金属メッシュ部材の製造に利用することができ、例えば、黒化処理の際に感圧性接着剤中の未反応物が溶出せず、黒化処理液のリピート回数を多くすることができるので、経済的に有利である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
最初に、従来法の問題点に関する本発明者の推定と、それを解消する本発明方法の原理を説明する。なお、本発明は、以下の推定に限定されるものではない。
例えば、前記の図10及び図11に示す従来方法では、工程(1c)のエッチング処理において、エッチング液が感圧性接着剤層4と直接に接触する。その接触により、感圧性接着剤に含まれている未反応重合性モノマーや光開始剤の一部も除去されてしまうことが推定される。未反応重合性モノマーや光開始剤の一部が除去されると、工程(1f)において活性エネルギー線を照射しても硬化反応が不充分になり、接着力の低下が不充分になる。このため、工程(1g)で剥離性保護フィルム2Bを剥離する際に、感圧性接着剤の一部がバンプ群樹脂充填体13の表面から脱離せずに、支持体3側に転写せず、その転写不良の結果として、バンプ群樹脂充填体13の表面に残留してしまう。すなわち、「糊残り」の現象が発生する。こうした「糊残り」状態のバンプ群樹脂充填体13を使用して図11(1l)に示す配線回路基板15を製造すると、絶縁不要が発生するため、歩留まりが低下することになる。
なお、前記の推論は、前記の図13及び図14に示す回路部材の従来の製造方法においても同様に当てはまる。
【0029】
これに対して、本発明方法では、感圧性接着剤層の内、エッチング液と接触することになる領域(すなわち接触領域)に予め活性エネルギー線を照射して、接触領域にエッチング液耐性を付与すると共に、エッチング液と接触しない領域(すなわち非接触領域)には活性エネルギー線を照射せずに、接着力を残留させる。この前処理後にエッチング処理を実施すると、エッチング液は、感圧性接着剤層の接触領域だけに接触し、非接触領域とは接触しないので、感圧性接着剤層の非接触領域からは未反応重合性モノマーや光開始剤の流出が防止される。また、保護フィルムを剥離する際に、感圧性接着剤層の非接触領域に活性エネルギー線を照射すると、重合反応が予定したとおりに進行し、粘着力が充分に低下するので、前記の転写不良による糊残り現象の発生を有効に防止することができる。
本発明者は、本発明方法によって、例えば、バンプ群樹脂充填体13を使用して図11(1l)に示す配線回路基板15を製造すると、歩留まりが向上することを実験的に確認しているが、その効果は、前記の機序に基づくものと思われる。
【0030】
次に、本発明方法の代表的実施態様を添付図面に沿って以下に順に説明する。最初に、本発明によって、配線層膜間接続用部材(バンプ群樹脂充填体)を製造する方法を図1及び図2に沿って説明する。
(1)工程(1A):
図1(1A)に示すように、金属箔貼付体10を用意する。この工程(1A)は、図10及び図11に示す従来法の工程(1a)と同じである。従って、前記金属箔貼付体10は、被エッチング金属層としてのバンプ形成用金属層(例えば、銅層)1と、保護フィルム2とからなる。バンプ形成用金属層1の厚さは、例えば3〜100μm程度である。また、保護フィルム2は、支持体3とその一方の表面上に担持された感圧性接着剤層4とからなり、感圧性接着剤層4によってバンプ形成用金属層1と貼着している。また、感圧性接着剤層4を構成する感圧性接着剤は、活性エネルギー(例えば、紫外線又は電子線)硬化型接着剤であり、活性エネルギー線照射前は、充分な接着力を有するのに対し、活性エネルギー線照射後では、接着力が低下して被着体から簡単に剥離することができる。この工程(1A)において、前記感圧性接着剤は、その全体が活性エネルギー線照射前であり、従って、前記保護フィルム2は、完全粘着状態の保護フィルムである。
【0031】
(2)工程(1B)
次に、図1(1B)に示すように、前記バンプ形成用金属層1の表面にレジスト膜5を選択的に形成する。この工程(1B)も、図10及び図11に示す従来法の工程(1b)と同じである。従って、このレジスト膜5はバンプを形成すべき部分のみを覆うように形成する。
【0032】
(3)工程(1C)〜(1D)
続いて、図1(1C)に示すように、支持体3の表面側に照射マスクシート31を載置して、図1(1C)の矢印Xに示すように、照射マスクシート31及び支持体3を介して、活性エネルギー線(例えば、紫外線又は電子線)を感圧性接着剤層4に照射する。この部分照射工程(1C)は、図10及び図11に示す従来法では実施しない工程である。前記照射マスクシート31は、前記活性エネルギー線を透過しない非透過領域31aと前記活性エネルギー線を透過する透過領域31bとからなるパターンを有する。なお、支持体3は、照射によって前記感圧性接着剤の接着力を低下させることができる活性エネルギー線を透過することのできる材料からなる。
【0033】
前記照射マスクシート31の前記透過領域31bは、後述するエッチング工程(1E)において、エッチング液と接触する前記感圧性接着剤層4の領域(接触領域)が、前記活性エネルギー線によって必ず照射され、硬化されることを保証するように設ける必要がある。また、非透過領域31aは、エッチング液と接触することのない前記感圧性接着剤層4の領域(非接触領域)に、前記活性エネルギー線が照射されることを防止するように設けられている。従って、照射マスクシート31における非透過領域31aのパターン形状と、レジスト膜5のパターン形状とは、必ずしも完全にではないが、おおむね一致する。なお、これらのパターン形状の関係については、図7〜図9に沿って後述する。
【0034】
このような照射マスクシート31(及び支持体3)を介して、前記感圧性接着剤層4に対して活性エネルギー線(例えば、紫外線又は電子線)を照射すると、図1(1D)に示すように、感圧性接着剤層4には、未硬化状態の領域4aと、硬化状態の領域4bとが形成され、この内、少なくとも接触領域は、硬化される。未硬化領域4aは接着力を維持しているのに対し、硬化領域4bでは接着力が低下するので、感圧性接着剤層4Aは部分粘着性となり、従って、保護フィルム2Aも部分粘着性となる。
なお、前記工程(1B)及び前記工程(1C)は、それぞれ任意の順序で実施することができる。すなわち、前記工程(1B)を先に実施し、前記工程(1C)を後から実施するか、前記工程(1C)を先に実施し、前記工程(1B)を後から実施するか、あるいは前記工程(1B)と前記工程(1C)とを同時に実施することもできる。
【0035】
(4)工程(1E)
続いて、図1(1E)に示すように、前記レジスト膜5をマスク材として前記バンプ形成用金属層1をエッチングすることにより、多数のバンプ6を形成する。このエッチングは、従来法と同様に、例えば、ウェットエッチングにより実施することができ、使用するエッチング液は、バンプ形成用金属層1を侵食可能なエッチング液である。また、このエッチングの際に、エッチング液は、部分粘着性感圧性接着剤層4Aの硬化領域4bと接触し、未硬化領域4aとは接触しない。硬化領域4bでは、既に硬化反応が実行されているので、エッチング液と接触しても剥離性に悪影響を及ぼすことはない。一方、未硬化領域4aは、エッチング液と接触せず、しかも硬化領域4bがエッチング液侵入に対するバリア層として作用するので、未反応重合性モノマーや光開始剤の一部が除去されることがなく、硬化反応が可能な状態が維持される。
【0036】
(5)工程(1F)
次に、図2(1F)に示すように、前記エッチングにおいてエッチングマスク材として用いたレジスト膜5を除去する。この工程(1F)も、従来法と全く同様に実施することができる。図2(1F)はエッチングマスク除去後の状態を示す。こうして、多数のバンプ6が、部分粘着性保護フィルム2Aの上に形成された構造を有するバンプ群担持体11Aが形成される。
【0037】
(6)工程(1G)
続いて、図2(1G)に示すように、前記バンプ群担持体11Aにおける前記バンプ6のそれぞれの間隙に、絶縁性樹脂層7を挿入する。この工程(1G)も、従来法と全く同様に実施することができる。例えば、絶縁性接着剤シートを、前記バンプ群担持体11Aにおける前記バンプ6が形成された側の面に熱ローラで圧着することにより、前記接着剤シートからなる絶縁性樹脂層7を形成することができる。この際には、前記の絶縁性樹脂層7の形成後に、バンプ6の頂上部を絶縁性樹脂層7から突出させて、露出させることが必要である。従って、前記の接着剤シートとしては、そのバンプ6の高さよりも適宜薄いものを用いる。なお、バンプ6の上部が露出していないと、バンプ6による層間接続を確実に行うことができなくなる。この工程(1G)により、部分粘着性保護フィルム2Aの上にバンプ群樹脂充填体を担持するバンプ群樹脂担持体12Aが形成される。
【0038】
(7)工程(1H):
次に、図2(1H)の矢印Yに示すように、支持体3を介して活性エネルギー線(例えば、紫外線又は電子線)を部分粘着性感圧性接着剤層4Aに照射すると、未硬化領域4aの感圧性接着剤も硬化して粘着力が低下するので、部分粘着性保護フィルム2Aは全体として剥離性保護フィルム2Bに変換する。こうして、剥離性保護フィルム2Bの上にバンプ群樹脂充填体を担持するバンプ群樹脂担持体12が形成される。なお、支持体3は、前記の通り、照射によって前記感圧性接着剤の接着力を低下させることができる活性エネルギー線を透過することのできる材料からなる。
【0039】
(8)工程(1I)〜(1J)
続いて、図2(1I)に示すように、バンプ群樹脂担持体12から剥離性保護フィルム2Bを剥離すると、図2(1J)に示すように、従来法と全く同様に、バンプ群樹脂充填体13を得ることができる。こうして得られたバンプ群樹脂充填体13は、図12(模式的平面図)に示すように、従来法によるバンプ群樹脂充填体と全く同様に、各バンプ6の両端6a,6bがそれぞれ露出していると共に、各バンプ6は、それぞれが絶縁性樹脂層7の絶縁性樹脂によって相互に隔離されている。また、このバンプ群樹脂充填体13を用いて、従来法と全く同様に、図11(1j)に示す回路形成用基板14、又は図11(1l)に示す配線回路基板15を製造し、更には多層配線回路基板を製造することができる。また、本発明方法によって得られる前記のバンプ群樹脂充填体13は、「転写不良」や「糊残り」が起こりにくいので、配線回路基板や多層配線回路基板を製造する場合の歩留まりが向上する。
【0040】
ところで、図1(1E)に示す前記エッチング工程(1E)において、バンプ形成用金属層1は、最初に表面側(レジスト膜側)がエッチング液に接触し、その後から徐々に感圧性接着剤層4の方向に向かってエッチングが進行するので、最終的に形成される各バンプは、その断面形状が図1(1E)や図7〜図9に示すように台形状になる。従って、本発明方法では、このようなエッチング工程(1E)においてエッチング液と接触することになる感圧性接着剤層の領域(接触領域)については、その全領域が硬化されている必要がある。一方、前記のようなエッチング工程(1E)においてエッチング液と接触しない領域(非接触領域)については、その全領域が未硬化状態であるか、あるいは後に形成されるバンプ群との接着力が全体として維持される限り、部分的に硬化されていてもよい。
【0041】
本発明方法において用いる照射マスクシートは、図1(1C)に示すとおり、前記活性エネルギー線を透過しない非透過領域31aと前記活性エネルギー線を透過する透過領域31bとからなるパターンを有する。前記透過領域31bは、エッチング液と接触する前記感圧性接着剤層4の全領域に前記活性エネルギー線が照射されることを保証するように設け、前記非透過領域31aは、エッチング液と接触しない前記感圧性接着剤層4の全領域又はその一部領域に前記活性エネルギー線が照射されることを防止することを保証するように設ける。
【0042】
図7は、部分粘着性感圧性接着剤層4Aにおける未硬化領域4aと硬化領域4bとの境界が、バンプ6のフモト部6cの輪郭と一致して形成される場合を示すものであり、本発明方法で用いる前記照射マスクシートは、図7に示すような未硬化領域4aと硬化領域4bとを形成するような非透過領域31aと透過領域31bとからなるパターンを有していることができる。
【0043】
一方、例えば、図8に示すように、部分粘着性感圧性接着剤層4Aにおける未硬化領域4aと硬化領域4bとの境界が、バンプ6のフモト部6cの輪郭よりも外側に形成されると、未硬化領域4aの露出部分4xがエッチング液と接触し、その露出部分4xから未硬化領域4aの全体の未反応重合性モノマーや光開始剤が流出するので、このような露出部分4xが発生するような非透過領域31aと透過領域31bとからなるパターンを有する前記照射マスクシートは、使用することができない。すなわち、前記のような露出部分4xが発生しないように、非透過領域31aと透過領域31bとからなるパターンを前記照射マスクシートに設ける必要がある。
【0044】
更に、図9に示すように、前記感圧性接着剤層4における未硬化領域4aと硬化領域4bとの境界が、バンプ6のフモト部6cの輪郭よりも内側に形成されると、硬化領域4bの非露出部分4yが、バンプ6の底面へのエッチング液侵入に対するバリア領域として作用し、未硬化領域4aからの未反応重合性モノマーや光開始剤の流出を有効に防止することができるので、このような非露出部分4yが形成されるように、非透過領域31aと透過領域31bとからなるパターンを前記照射マスクシートに設けることが好ましい。なお、この場合、非露出部分4yを拡大して部分粘着性感圧性接着剤層4Aの全体の接着力が不充分になることは避ける必要がある。
【0045】
本発明方法で用いる照射マスクシートは、前記活性エネルギー線(例えば、紫外線又は電子線)に関する非透過領域と透過領域とを設けることができる限り、任意の材料からなることができ、例えば、フォトマスクやドライフィルムなどの一般的なマスクを用いることができる。照射マスクシートの厚さも、特に限定されるものではなく、例えば、50〜200μmである。
【0046】
本発明方法で用いる保護フィルムは、支持体の一方の表面上に感圧性接着剤層を有している。この支持体としては、感圧性接着剤の担持が可能で、活性エネルギー線(例えば、紫外線又は電子線)の透過が可能で、エッチング耐性を有する限り、任意の合成樹脂フィルムを用いることができる。合成樹脂としては、好ましくは、ポリエチレンテレフタレート、又はポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリイミド、ポリフェニレンサルファイド、ポリ塩化ビニル、又はポリプロピレン等のポリオレフィンを使用することができる。特に限定されないが、前記合成樹脂フィルムには、高温時の寸法安定性を良くするため、アニール処理を施しても構わない。
【0047】
前記の支持体の厚さも、前記各工程における工程フィルムとしての作業性に悪影響を与えない限り特に限定されないが、例えば、100μm以下、好ましくは75μm以下、より好ましくは50μm以下である。一方、前記の支持体の厚さの下限も特に限定されないが、例えば、10μmである。支持体の厚さが100μmを超えると保護フィルムの柔軟性が損なわれ、保護フィルムの剥離工程において、剥離が困難となり、バンプ群樹脂充填体のようなエッチング金属体に折れや屈曲を生じることがあり、10μm未満になると保護フィルムの変形や折れ曲がりを生じ易い。
【0048】
感圧性接着剤層を形成する感圧性接着剤は、活性エネルギー線照射(例えば、紫外線又は電子線照射)によって粘着力が低下する感圧性接着剤である。具体的には、公知の活性エネルギー硬化型のアクリル樹脂系、シリコーン樹脂系、エポキシ樹脂系、スチレン−ブタジエン系、SBS若しくはSIS系、イソプレン系、クロロプレン系、又はアクリルブタジエン系等のエラストマー重合体や、天然ゴム若しくは再生ゴム等の接着剤を用いることができる。特に、アクリル樹脂系の感圧性接着剤が好ましい。必要に応じて、ポリテルペン樹脂、ガムロジン、ロジンエステル若しくはロジン誘導体、油溶性フェノール樹脂、クマロン・インデン樹脂、又は石油系炭化水素樹脂等の粘着付与剤を配合することもできる。また、溶剤型、エマルジョン型、又は無溶剤型等の任意のタイプの感圧性接着剤を用いることができる。
【0049】
前記の感圧性接着剤の貼着後の初期剥離力は、好ましくは0.05〜30N/25mm、より好ましくは0.1〜10N/25mmである。初期剥離力が30N/25mmを超えると、粘着力低下処理後の剥離力を0.05N/25mm未満とすることが困難になり、初期剥離力が0.05N/25mm未満になると粘着力が不足して、剥離工程を実施する前に剥離することがある。一方、粘着力低下処理後の剥離力は、好ましくは0.05N/25mm未満である。粘着力低下処理後の剥離力が0.05N/25mm以上になると剥離操作の際にバンプ群樹脂充填体のようなエッチング金属体に折れや屈曲を生じることがある。なお、本明細書において「剥離力」とは、JIS Z0237によって測定した値を意味する。また、「初期剥離力」とは、貼着処理後20分以内での剥離力を意味する。
【0050】
感圧性接着剤層の厚さは、前記の初期剥離力及び粘着力低下処理後の前記の剥離力を発現可能な厚さである限り特に限定されない。具体的には、使用する感圧性接着剤の種類によっても異なるが、好ましくは0.5〜20μm、より好ましくは0.5〜10μmである。感圧性接着剤層の厚さが20μmを超えると、形成されたバンプを絶縁性樹脂層に挿入する際に、バンプ底面の粘着剤が圧力によって流動するため、圧力を均一に加えることができない場合やバンプが傾く場合があり、こうした現象が起きると、最終的な回路接続が不良となる。一方、0.5μm未満になると感圧性接着剤の粘着力が不足して剥離工程を実施する前に剥離することがある。
【0051】
本発明方法は、前記バンプ群樹脂充填体(すなわち、配線層膜間接続用部材)の製造方法に適用することができるだけでなく、前記の通り、同種の構造を有する種々のエッチング金属体の製造に利用することができる。例えば、本発明方法によって、回路部材を製造する態様を図3及び図4に沿って説明する。
(1)工程(2A):
図3(2A)に示すように、金属箔貼付体40を用意する。この工程(2A)は、図13及び図14に示す従来法の工程(2a)と同じである。従って、前記金属箔貼付体40は、被エッチング金属層としての回路形成用金属層(例えば、銅層)41と、保護フィルム2とからなる。回路形成用金属層41の厚さは、例えば1〜200μm程度である。また、保護フィルム2は、支持体3とその一方の表面上に担持された感圧性接着剤層4とからなり、感圧性接着剤層4によって回路形成用金属層41と貼着している。また、感圧性接着剤層4を構成する感圧性接着剤は、活性エネルギー(例えば、紫外線又は電子線)硬化型接着剤であり、活性エネルギー線照射前は、充分な接着力を有するのに対し、活性エネルギー線照射後では、接着力が低下して被着体から簡単に剥離することができる。この工程(2A)において、前記感圧性接着剤は、その全体が活性エネルギー線照射前であり、従って、前記保護フィルム2は、完全粘着状態の保護フィルムである。
【0052】
(2)工程(2B)
次に、図3(2B)に示すように、前記回路形成用金属層41の表面にレジスト膜45を選択的に形成する。この工程(2B)も、図13及び図14に示す従来法の工程(2b)と同じである。従って、このレジスト膜45は、所望のパターンを有する回路を形成すべき部分のみを覆うように形成する。
【0053】
(3)工程(2C)〜(2D)
続いて、図3(2C)に示すように、支持体3の表面側に照射マスクシート31を載置して、図3(2C)の矢印Xに示すように、照射マスクシート31及び支持体3を介して、活性エネルギー線(例えば、紫外線又は電子線)を感圧性接着剤層4に照射する。この工程(2C)は、図13及び図14に示す従来法では実施しない工程である。前記照射マスクシート31は、前記活性エネルギー線を透過しない非透過領域31aと前記活性エネルギー線を透過する透過領域31bとからなるパターンを有する。なお、支持体3は、照射によって前記感圧性接着剤の接着力を低下させることができる活性エネルギー線を透過することのできる材料からなる。
【0054】
前記照射マスクシート31の前記透過領域31bは、後述するエッチング工程(2E)において、エッチング液と接触する前記感圧性接着剤層4の接触領域が、前記活性エネルギー線によって必ず照射され、硬化されることを保証するように設ける必要がある。また、非透過領域31aは、エッチング液と接触することのない前記感圧性接着剤層4の領域に、前記活性エネルギー線が照射されることを防止するように設けられている。従って、照射マスクシート31における非透過領域31aのパターン形状と、レジスト膜5のパターン形状とは、図7〜図9に沿って説明したとおり、必ずしも完全にではないが、おおむね一致する。
【0055】
このような照射マスクシート31(及び支持体3)を介して、前記感圧性接着剤層4に対して活性エネルギー線(例えば、紫外線又は電子線)を照射すると、図3(2D)に示すように、感圧性接着剤層4には、未硬化状態の領域4aと、硬化状態の領域4bとが形成される。未硬化領域4aは粘着力を維持しているのに対し、硬化領域4bでは粘着力が低下するので、感圧性接着剤層4Aは部分粘着性となり、従って、保護フィルム2Aも部分粘着性となる。
なお、前記工程(2B)及び前記工程(2C)は、それぞれ任意の順序で実施することができる。すなわち、前記工程(2B)を先に実施し、前記工程(2C)を後から実施するか、前記工程(2C)を先に実施し、前記工程(2B)を後から実施するか、あるいは前記工程(2B)と前記工程(2C)とを同時に実施することもできる。
【0056】
(4)工程(2E)
続いて、図3(2E)に示すように、前記レジスト膜45をマスク材として前記回路形成用金属層41をエッチングすることにより、所望のパターンを有する回路層46を形成する。こうして部分粘着性保護フィルム2A上に回路層46を担持した回路担持体41Bが形成される。このエッチングは、従来法と同様に、例えば、ウェットエッチングにより実施することができ、使用するエッチング液は、回路形成用金属層41を侵食可能なエッチング液である。また、このエッチングの際に、エッチング液は、部分粘着性感圧性接着剤層4Aの硬化領域4bと接触し、未硬化領域4aとは接触しない。硬化領域4bでは、既に硬化反応が実行されているので、エッチング液と接触しても剥離性に悪影響を及ぼすことはない。一方、未硬化領域4aは、エッチング液と接触しないので、未反応重合性モノマーや光開始剤の一部が除去されることがなく、硬化反応が可能な状態が維持される。
なお、前記レジスト膜45は、図13に示すように、除去せずに次の工程に進むこともできるが、除去してから次の工程に進むこともできる。以下の説明では、前記レジスト膜45を除去する場合に沿って説明する。なお、前記レジスト膜45を除去する工程は図示していない。
【0057】
(5)工程(2F)
続いて、図4(2F)に示すように、前記工程(2E)によって形成された回路担持体41Bの回路層46側の面に絶縁性シートを積層し、その絶縁性シート層47に回路層46を埋め込んでから固定することによって、回路基板担持体42Bを形成する。この埋め込み固定は、図4(2F)に示すように、回路層46の一部を埋め込む態様で実施することができるだけでなく、回路層46を絶縁性シート層47に完全に埋め込む態様で実施することもできる。前記の埋め込み固定工程は、例えば、回路担持体41Aと半硬化状態の絶縁性シート層47とを、回路層46が間になるように重ね合わせて圧着し、次いで必要により、絶縁性シート層47を硬化することによって行うことができる。こうして硬化された絶縁性シート層47は、配線基板の絶縁性基板に相当する。
【0058】
なお、前記回路層46上のレジスト膜45は、配線基板の絶縁性基板における特性や、回路層46と絶縁性シート層47との密着性に悪影響を与えることがない限り、図3(2F)に示すように、レジスト膜45を除去せずに残留させた状態で前記埋め込み固定工程(2F)を実施することができる。
【0059】
(6)工程(2G):
次に、図4(2G)の矢印Yに示すように、支持体3を介して活性エネルギー線(例えば、紫外線又は電子線)を部分粘着性感圧性接着剤層4Aに照射すると、未硬化領域4aの感圧性接着剤も硬化して粘着力が低下するので、全体として剥離性保護フィルム2Bに変換する。なお、支持体3は、照射によって前記感圧性接着剤の接着力を低下させることができる活性エネルギー線を透過することのできる材料からなる。
【0060】
(7)工程(2H)〜(2I)
続いて、図4(2H)に示すように、回路基板担持体42Aから剥離性保護フィルム2Bを剥離すると、図4(2I)に示すように、回路基板43Aを得ることができる。こうして得られた回路基板43Aは、従来技術によって得られる場合と同様に、図15(模式的平面図)に示すように、所望の回路パターンを有する回路層46が絶縁性シート層47に埋め込まれた構造を有している。
【0061】
前記の埋め込み固定工程(2F)で用いる絶縁性シートは、配線基板の絶縁性基板に相当し、従来法と同様の材料を用いることができる。絶縁性シートは、例えば、樹脂と無機質充填材又は繊維状基材とからなる。樹脂としては、例えば、PPE(ポリフェニレンエーテル)、BTレジン(ビスマレイミドトリアジン樹脂)、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、フッ素樹脂、又はフェノール樹脂等が好適であり、特に製造上の見地から、室温で液状の熱硬化性樹脂(未硬化状態)が望ましい。
【0062】
また、無機質充填材又は繊維状基材は、絶縁性基板に一定の強度を付与し、更に、膨張率等を適当な範囲に調整するために使用される。一般に、無機質充填材としては、シリカ、アルミナ、酸化ジルコニウム、ゼオライト、酸化チタン、窒化アルミニウム、炭化ケイ素、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、又はホウ酸アルミニウム等が代表的であり、これらは、平均粒径が20μm以下で略球形であるのが好ましい。また、平均アスペクト比が2以上の繊維状の粒子を使用することもできる。また、繊維状基材としては、例えば、紙、ガラス織布、ガラス不織布、又は合成繊維を挙げることができる。前記の樹脂と無機質充填材とは、体積比率で60:40乃至30:70の範囲で使用されるのがよく、また樹脂と繊維状基材とは、体積比率で60:40乃至40:60の割合で使用するのがよい。
【0063】
図4(2F)に示す埋め込み固定工程(2F)において、回路層46を絶縁性シート層47へ埋め込んで固定する場合は、例えば、回路担持体41Bと半硬化状態の絶縁性シートとを、回路層46が中間になるように重ね合わせて圧着し、次いで必要により、絶縁性シート層47を硬化することによって行うことができる。
【0064】
この場合、半硬化状態の絶縁性シートとして、ガラスの織布若しくは不織布、又は紙若しくは合成樹脂の基材にワニス状の硬化性樹脂を含浸乾燥させたブリブレグも用いることができる。また、前記熱硬化性樹脂を含む絶縁スラリーを用いて、ドクターブレード法、押出成形、あるいは射出成形等により、絶縁性シートを作成することもできる。
【0065】
圧着のための機械的圧力は、一般に、10〜500kg/cm2程度であるが、この圧力が小さければ、回路層46の一部が残存レジスト膜45と共に絶縁性シート層47に途中まで埋め込まれ〔図4(2F)参照〕、この圧力を高くすれば、回路層46全体を絶縁性シート層47内に完全に埋め込むことができる。
【0066】
更に、図3(E)に示す回路担持体41Bの回路層46側に、熱硬化性樹脂を含む絶縁性スラリーを、ドクターブレード法、押出成形、又は射出成形等により、回路層46の厚みよりも厚く、しかも絶縁性基板に対応する厚みに施し、その絶縁性スラリーの硬化を行うことによって、前記の埋め込み固定工程(2F)を行うことができる。この場合には、回路層46の全体が絶縁性シート層47に完全に埋め込まれる。なお、前記の絶縁性スラリーは、例えば、絶縁性基板を構成する前記熱硬化性有機樹脂と無機質フィラーとの複合材料に、トルエン、酢酸プチル、メチルエチルケトン、メタノール、メチルセロソルブアセテート、又はイソプロピルアルコール等の溶媒を添加して粘度調整することにより調製することができる。前記の絶縁性スラリーの粘度は成形方法にもよるが、一般に100〜3000ポイズ(25℃)が適当である。
【0067】
前記の図3及び図4に示す方法で得られる単層の配線基板43Aは、必要によりさらに熱処理を行って絶縁性シート層を完全硬化させ、更に所望により打ち抜き法やレーザーを用いた方法でビアホールを形成し、このバイアホール内に導電性樹脂又は金属フィラーを含有する導電性インク、あるいは金属ペースト等の導電性物質を充填し、これを別個に形成された所定枚数の回路基板と積層し、加圧若しくは加熱して密着して一体化することにより、多層配線基板を作成することができる。なお、バイアホールの形成及び導電性物質の充填は、絶縁性シートと回路担持体との圧着に先立って、あるいは圧着等の段階で行うこともできる。
【0068】
次に、本発明方法によって、電磁波シールド性金属メッシュ部材を製造する態様を説明する。
近年、各種ディスプレイの前面から発生する電磁波ノイズが問題になっている。CRT(陰極線管)、プラズマ、液晶、又はEL(エレクトロルミネッセンス)等の各種ディスプレイの前面から放射される電磁波を遮蔽するためには、電磁波シールド性と透明性とを併せもつ電磁波遮蔽構成体を各種ディスプレイの前面に取り付け、その電磁波遮蔽構成体を接地するための外部電極と接続することが行われている。このような電磁波シールド性金属メッシュ部材をエッチングによって製造する従来法も種々提案されている(例えば、特許第3480898号公報、特開2000−323890号公報、又は特開2000−323891号公報)が、以下に、本発明方法によって、電磁波シールド性金属メッシュ部材を製造する態様を図5及び図6に沿って説明する。
【0069】
(1)工程(3A):
図5(3A)に示すように、金属箔貼付体50を用意する。この工程(3A)は、図1(1A)や図2(2A)に示す本発明の前記各工程と同様であり、前記金属箔貼付体50は、被エッチング金属層としての金属メッシュ形成用金属層(例えば、銅層)51と、保護フィルム2とからなる。保護フィルム2は、前記のように、支持体3とその一方の表面上に担持された感圧性接着剤層4とからなり、感圧性接着剤層4によって金属メッシュ形成用金属層51と貼着している。また、感圧性接着剤層4を構成する感圧性接着剤は、活性エネルギー(例えば、紫外線又は電子線)硬化型接着剤であり、活性エネルギー線照射前は、充分な接着力を有するのに対し、活性エネルギー線照射後では、接着力が低下して被着体から簡単に剥離することができる。この工程(3A)において、前記感圧性接着剤は、その全体が活性エネルギー線照射前であり、従って、前記保護フィルム2は、完全粘着状態保護フィルムである。なお、金属メッシュ形成用金属層51の厚さは、例えば1〜50μm程度である。
【0070】
(2)工程(3B)
次に、図5(3B)に示すように、前記金属メッシュ形成用金属層51の表面にレジスト膜55を選択的に形成する。この工程(3B)も、図1(1B)や図2(2B)に示す本発明の前記各工程と同様である。すなわち、このレジスト膜55は、所望のパターンを有する金属メッシュを形成すべき部分のみを覆うように形成する。
【0071】
(3)工程(3C)〜(3D)
続いて、図5(3C)に示すように、支持体3の表面側に照射マスクシート31を載置して、図5(3C)の矢印Xに示すように、照射マスクシート31及び支持体3を介して、活性エネルギー線(例えば、紫外線又は電子線)を感圧性接着剤層4に照射する。前記照射マスクシート31は、前記活性エネルギー線を透過しない非透過領域31aと前記活性エネルギー線を透過する透過領域31bとからなるパターンを有する。なお、支持体3は、照射によって前記感圧性接着剤の接着力を低下させることができる活性エネルギー線を透過することのできる材料からなる。
【0072】
前記照射マスクシート31の前記透過領域31bは、後述するエッチング工程(3E)において、エッチング液と接触する前記感圧性接着剤層4の接触領域が、前記活性エネルギー線によって必ず照射され、硬化されることを保証するように設ける必要がある。また、非透過領域31aは、エッチング液と接触することのない前記感圧性接着剤層4の領域に、前記活性エネルギー線が照射されることを防止するように設けられている。従って、照射マスクシート31における非透過領域31aのパターン形状と、レジスト膜5のパターン形状とは、図7〜図9に沿って説明したとおり、必ずしも完全にではないが、おおむね一致する。
【0073】
このような照射マスクシート31(及び支持体3)を介して、前記感圧性接着剤層4に対して活性エネルギー線(例えば、紫外線又は電子線)を照射すると、図5(3D)に示すように、感圧性接着剤層4には、未硬化状態の領域4aと、硬化状態の領域4bとが形成される。未硬化領域4aは粘着力を維持しているのに対し、硬化領域4bでは粘着力が低下するので、感圧性接着剤層4Aは部分粘着性となり、従って、保護フィルム2Aも部分粘着性となる。
なお、前記工程(3B)及び前記工程(3C)は、それぞれ任意の順序で実施することができる。すなわち、前記工程(3B)を先に実施し、前記工程(3C)を後から実施するか、前記工程(3C)を先に実施し、前記工程(3B)を後から実施するか、あるいは前記工程(3B)と前記工程(3C)とを同時に実施することもできる。
【0074】
(4)工程(3E)
続いて、図5(3E)に示すように、前記レジスト膜55をマスク材として前記金属メッシュ形成用金属層51をエッチングすることにより、所望のパターンを有する金属メッシュ層56を形成する。このエッチングは、従来法と同様に、例えば、ウェットエッチングにより実施することができ、使用するエッチング液は、金属メッシュ形成用金属層51を侵食可能なエッチング液である。また、このエッチングの際に、エッチング液は、部分粘着性感圧性接着剤層4Aの硬化領域4bと接触し、未硬化領域4aとは接触しない。硬化領域4bでは、既に硬化反応が実行されているので、エッチング液と接触しても硬化反応に対して悪影響を受けることはない。一方、未硬化領域4aは、エッチング液と接触しないので、未反応重合性モノマーや光開始剤の一部が除去されることがなく、硬化反応が可能な状態が維持される。
【0075】
(5)工程(3F)
続いて、図5(3F)に示すように、前記エッチングにおいてエッチングマスク材として用いたレジスト膜55を除去する。図5(3F)はエッチングマスク除去後の状態を示す。こうして部分粘着性保護フィルム2A上に金属メッシュ層56を担持した金属メッシュ担持体51Aが形成される。
【0076】
(6)工程(3G)
次に、図6(3G)に示すように、金属メッシュ層56の露出面(すなわち、上面及び側面)を公知の方法で黒化処理し、黒化金属メッシュ層57を部分粘着性保護フィルム2Aの表面上に担持した黒化金属メッシュ担持体52Bを形成する。なお、図5(3A)に示す金属箔貼付体50において、黒化金属層を金属メッシュ形成用金属層51として用いることもでき、この場合は、黒化処理を省略することができる。
【0077】
(7)工程(3H)
続いて、図6(3H)に示すように、前記の黒化金属メッシュ担持体52Bの黒化金属メッシュ層57側の面で、剥離フィルム58に貼着させる。剥離フィルム58は、剥離処理を施した基板58a上に感圧性接着剤層58bを有し、その感圧性接着剤層58bによって黒化金属メッシュ層57を接着する。
【0078】
(8)工程(3I):
次に、図6(3I)の矢印Yに示すように、支持体3を介して活性エネルギー線(例えば、紫外線又は電子線)を部分粘着性感圧性接着剤層4Aに照射すると、未硬化領域4aの感圧性接着剤も硬化して粘着力が低下するので、部分粘着性保護フィルム2Aは全体として剥離性保護フィルム2Bに変換する。なお、支持体3は、照射によって前記感圧性接着剤の接着力を低下させることができる活性エネルギー線を透過することのできる材料からなる。
【0079】
(9)工程(3J)〜(3K)
続いて、図6(3J)に示すように、剥離性保護フィルム2Bを剥離すると、図6(3K)に示すように、電磁波シールド性金属メッシュ部材53Aを得ることができる。こうして得られた電磁波シールド性金属メッシュ部材53Aは、図16(模式的平面図)に示すように、所望のパターンを有する黒化金属メッシュ層57が剥離フィルム58上に担持された構造を有している。この電磁波シールド性金属メッシュ部材53Aは、被着体(例えば、電磁波遮蔽構成体や電磁波シールド性ディスプレイ用のプラスチック板)に貼着する前に基板58aを剥離し、残留させた感圧性接着剤層58bによって、前記被着体に貼着させることができる。なお、前記の電磁波遮蔽構成体や電磁波シールド性ディスプレイ用のプラスチック板とは、透明なプラスチック板の片面又は両面に、色調補正、熱線カット、反射防止、及び/又は傷つき防止等を目的とした積層(一般に光学フィルタと称される)を有する積層体を貼付したものである。
【0080】
前記金属箔貼付体50上に、被エッチング金属層として担持される金属メッシュ形成用金属層の金属箔としては、銅、アルミニウム、ニッケル、鉄、金、銀、ステンレス、タングステン、クロム、又はチタン等の金属からなる箔、あるいはそれらの2種以上を組み合わせた合金からなる箔を使用することができる。導電牲(電磁波シールド性)やメッシュパターン形成の容易さ、及び価格の点から銅、アルミニウム、又はニッケルの箔が適している。また、ニッケル、鉄、ステンレス、又はチタン等の常磁性金属からなる箔は、磁性シールド性にも優れるため好ましい。
【0081】
金属メッシュ形成用金属層の厚みは、0.5〜40μmが好ましい。40μmを越えると、細かいラインの形成が困難になったり、視野角が狭くなる。また、厚さが0.5μm未満では表面抵抗が大きくなり、電磁波シールド効果が劣る傾向にある。電磁波シールド性の観点からは、1〜20μmが更に好ましい。
【0082】
金属メッシュ形成用金属層の金属箔としては、通常、予め黒化処理した金属箔を用いることが多いが、本発明においては必ずしも予め黒化処理した金属箔を用いる必要はない。すなわち、本発明方法によって得られる電磁波シールド性金属メッシュ部材では、ディスプレイ(被着体)のコントラストを向上させるための金属の黒化処理面は、ディスプレイ(被着体)と貼付されるので、最初から黒化処理された金属箔を使う必要はない。もちろん、黒化処理した金属箔を用いることもできる。すなわち、本発明による電磁波シールド性金属メッシュ部材の製造方法では、電磁波シールド性金属メッシュ部材を製造してから黒化処理を行い、その後に最終的な被着体(例えば、ディスプレイ)に電磁波シールド性金属メッシュ部材を転写するので、電磁波シールド性金属メッシュ部材を被着体(例えば、ディスプレイ)に貼着させるための接着剤に、黒化処理に伴う凹凸が転写しないことが特徴である。
【0083】
前記の黒化処理工程(3G)において、金属メッシュ層56の露出表面の黒化処理は、プリント配線板分野で行われている通常の方法により、通常の黒化処理液を用いて行うことができる。黒化処理工程(3G)では、金属メッシュ層56の露出上面及び露出横面を黒化処理する。黒化処理は、例えば、亜塩素酸ナトリウム(31g/L)、水酸化ナトリウム(15g/L)、又はリン酸三ナトリウム(12g/L)の水溶液中、95℃で2分間処理することにより、行うことができる。
【0084】
本発明方法によって得られる電磁波シールド性金属メッシュ部材は、ディスプレイの一部として使用される被着体支持体に貼着させることができる。
被着体支持体は、ディスプレイの一部として使用されるので、透明性が高いことが好ましく、具体的には全光線透過率で70%以上であることが好ましい。また、被着体支持体は、可撓性を有するフィルム形状又はシート形状であっても、あるいは可撓性を有していない板状でもよい。
【0085】
被着体支持体としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、又はポリプチレンテレフタレート等のポリエステル類、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、又はエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)等のポリオレフィン類、ポリ塩化ビニル、又はポリ塩化ビニリデン等のビニル類、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリフェニレンサルファイド、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、シクロオレフィン樹脂、又はポリメチルメタアクリレート等のアクリル樹脂、ポリエーテルケトン、ポリアリレート、ポリアセタール、三酢酸セルロース、フッ素樹脂板、ポリメチルペンテン、ポリウレタン、フタル酸ジアリル樹脂等の熱可塑性樹脂や、熱硬化性樹脂等のプラスチックフィルムやプラスチック板が挙げられる。
【0086】
被着体支持体としては、前記樹脂を単層で用いることもできるが、2種以上を積層して多層樹脂として用いることもできる。前記支持体のうち、透明性、耐熱性、取扱い性、及び価格の点から、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、又はシクロオレフィン樹脂が好ましい。
【0087】
被着体支持体の厚みとしては、5〜5mmが好ましく、形状により適性厚みが異なり、フィルム形状の場合は10〜200μmが更に好ましい。厚みが5μm未満であると取扱い性が悪くなり、500μmを越えると、可視光線透過率が悪くなる。また板形状の場合は0.5mm〜5mmがディスプレイの保護や強度、取扱い性の点から好ましい。
【0088】
本発明方法によって得られる電磁波シールド性金属メッシュ部材と被着体支持体とを貼付する際に用いられる接着剤には、接着性と透明性が必要である。すなわち、金属メッシュ部材と被着体支持体とが接着剤を介して貼付されている電磁波シールドメッシュが、ディスプレイの表面に貼り合わされることから、接着剤と被着体支持体の屈折率の差は、可能な範囲で少ない方が好ましく、0.1程度が好ましい。前記の接着剤は、一般的に粘着剤(感圧接着剤)又は接着剤と言われるものであり、アクリル樹脂系、ウレタン樹脂系、その両者のブレンド系、あるいは複合樹脂系の粘着剤又は接着剤を使用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0089】
本発明方法は、配線層膜間接続用部材(バンプ群樹脂充填体)、回路部材、又は電磁波シールド性金属メッシュ部材などの製造に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】配線層膜間接続用部材を製造する本発明方法の工程(1A)〜工程(1E)を順に示す模式的断面図である。
【図2】配線層膜間接続用部材を製造する本発明方法の工程(1F)〜工程(1J)を順に示す模式的断面図である。
【図3】回路部材を製造する本発明方法の工程(2A)〜工程(2E)を順に示す模式的断面図である。
【図4】回路部材を製造する本発明方法の工程(2F)〜工程(2I)を順に示す模式的断面図である。
【図5】電磁波シールド性金属メッシュ部材を製造する本発明方法の工程(3A)〜工程(3F)を順に示す模式的断面図である。
【図6】電磁波シールド性金属メッシュ部材を製造する本発明方法の工程(3G)〜工程(3K)を順に示す模式的断面図である。
【図7】部分粘着性感圧性接着剤層における未硬化領域及び硬化領域と、バンプフモト部との臨界的状態を模式的に示す断面図である。
【図8】部分粘着性感圧性接着剤層における未硬化領域及び硬化領域と、バンプフモト部との望ましくない関係を模式的に示す断面図である。
【図9】部分粘着性感圧性接着剤層における未硬化領域及び硬化領域と、バンプフモト部との好ましい関係を模式的に示す断面図である。
【図10】従来の配線層膜間接続用部材及び配線回路基板の製造方法の工程(1a)〜工程(1f)を順に示す模式的断面図である。
【図11】従来の配線層膜間接続用部材及び配線回路基板の製造方法の工程(1g)〜工程(1l)を順に示す模式的断面図である。
【図12】本発明方法又は従来法によって製造されるバンプ群樹脂充填体の模式的平面図である。
【図13】従来の回路部材の製造方法の工程(2a)〜工程(2e)を順に示す模式的断面図である。
【図14】従来の回路部材の製造方法の工程(2f)〜工程(2g)を順に示す模式的断面図である。
【図15】本発明方法又は従来法によって製造される回路部材の模式的平面図である。
【図16】本発明方法又は従来法によって製造される電磁波シールド性金属メッシュ部材の模式的平面図である。
【符号の説明】
【0091】
1・・・バンプ形成用金属層;2・・・保護フィルム;
2A・・・部分粘着性保護フィルム;2B・・・剥離性保護フィルム;
3,63・・・支持体;4・・・感圧性接着剤層;4a・・・未硬化領域;
4b・・・硬化領域;4x・・・露出部分;4y・・・非露出部分;
4A・・・部分粘着性感圧性接着剤層;5,45,55・・・レジスト膜;
6・・・バンプ;6a,6b・・・バンプ端;6c・・・バンプフモト部;
7・・・絶縁性樹脂層;8・・・導体回路用レジスト膜;9・・・導体回路;
10・・・金属箔貼付体;11,11A・・・バンプ群担持体;
12,12A・・・バンプ群樹脂担持体;13・・・バンプ群樹脂充填体;
14・・・回路形成用基板;15・・・配線回路基板;
21,22・・・導体回路形成用金属箔;
23,24・・・導体金属メッシュ形成用金属層;31・・・照射マスクシート;
31a・・・非透過領域;31b・・・透過領域;40・・・金属箔貼付体;
41・・・回路形成用金属層;41A・・・回路担持体;42A・・・回路基板担持体;
43A・・・回路基板;46・・・回路層;47・・・絶縁性シート層;
50・・・金属箔貼付体;51・・・金属メッシュ形成用金属層;
51A・・・金属メッシュ担持体;
52B・・・黒化金属メッシュ担持体;
53A・・・電磁波シールド性金属メッシュ部材;
56・・・金属メッシュ層;57・・・黒化金属メッシュ層;
58・・・剥離フィルム;58a・・・基板;58b・・・感圧性接着剤層。
【技術分野】
【0001】
本発明は、エッチング金属体の製造方法に関する。本発明の製造方法によれば、エッチング金属体、例えば、配線層膜間接続用部材、回路部材、又は電磁波シールド性金属メッシュ部材を優れた歩留まりで製造することができる。
【背景技術】
【0002】
配線層膜間接続用部材や回路部材のようなエッチング金属体の従来の製造方法では、保護フィルムを用いる技術が知られている。すなわち、保護フィルム上に感圧性接着剤によって貼着されている被エッチング金属層をエッチングして、保護フィルム上に金属バンプを形成する工程(配線層膜間接続用部材の場合)、あるいは金属回路を形成する工程(回路部材の場合)を実施し、そのエッチング工程終了後に前記保護フィルムを剥離する手法が知られている。
【0003】
最初に、配線層膜間接続用部材を製造する際に保護フィルムを利用する従来法を、具体的に説明する。
半導体素子や液晶表示素子などの電子部品素子には、多層配線基板の使用が提案されており、各層に形成される回路間の層間接続手段として、金属バンプ群の採用が提案されている。こうした金属バンプを採用する試みは、導電性ペーストを層間接続手段とする配線回路基板の改良法として提案され、銅箔をエッチングしてバンプ群を形成し、その際に保護フィルムを用いる方法が提案されている(特許文献1)。
【0004】
前記のような保護フィルムを用いることにより、配線層膜間接続用部材を製造する従来技術の概要を図10及び図11に沿って以下に説明する。
図10(1a)〜(1f)及び図11(11g)〜(1l)は、従来の配線層膜間接続用部材の製造工程、及びその配線層膜間接続用部材を使用して配線回路基板を製造する工程を順に示す模式的断面図である。
【0005】
(1)工程(1a):
図10(1a)に示すように、金属箔貼付体10を用意する。前記金属箔貼付体10は、バンプ形成用金属層(例えば、銅層)1と、保護フィルム2とからなる。保護フィルム2は、支持体3とその一方の表面上に担持された感圧性接着剤層4とからなり、感圧性接着剤層4によってバンプ形成用金属層1と貼着している。また、感圧性接着剤層4を構成する感圧性接着剤としては、特許文献1の実施態様として記載されているとおり、通常の感圧性接着剤を用いることもできるが、活性エネルギー(例えば、紫外線又は電子線)硬化型接着剤を使用することも可能である。以下、活性エネルギー硬化型接着剤を使用する場合に沿って説明する。活性エネルギー硬化型接着剤は、活性エネルギー線照射前は、充分な接着力を有するのに対し、活性エネルギー線照射後では、接着力が低下して被着体から簡単に剥離することができる。この工程(1a)において、前記感圧性接着剤は、その全体が活性エネルギー線照射前であり、従って、前記保護フィルム2は、完全粘着状態の保護フィルムである。
【0006】
(2)工程(1b)〜(1c):
次に、図10(1b)に示すように、前記バンプ形成用金属層1の表面にレジスト膜5を選択的に形成する。このレジスト膜5はバンプを形成すべき部分のみを覆うように形成する。続いて、図10(1c)に示すように、前記レジスト膜5をマスク材として前記バンプ形成用金属層1をエッチングすることにより、多数のバンプ6を形成する。このエッチングは、例えば、ウェットエッチングにより実施することができ、使用するエッチング液は、バンプ形成用金属層1を侵食可能なエッチング液である。
【0007】
(3)工程(1d):
次に、図10(1d)に示すように、前記エッチングにおいてエッチングマスク材として用いたレジスト膜5を除去する。図10(1d)はエッチングマスク除去後の状態を示す。こうして、多数のバンプ6が、完全粘着状態保護フィルム2の上に形成された構造を有するバンプ群担持体11が形成される。
【0008】
(4)工程(1e)
続いて、図10(1e)に示すように、前記バンプ群担持体11における前記バンプ6のそれぞれの間隙に、絶縁性樹脂層7を挿入する。例えば、絶縁性接着剤シートを、前記バンプ群担持体11における前記バンプ6が形成された側の面に熱ローラで圧着することにより、前記接着剤シートからなる絶縁性樹脂層7を形成することができる。この際には、前記の絶縁性樹脂層7の形成後に、バンプ6の頂上部を絶縁性樹脂層7から突出させて、露出させることが必要である。従って、前記の接着剤シートとしては、そのバンプ6の高さよりも適宜薄いものを用いる。なお、バンプ6の上部が露出していないと、バンプ6による層間接続を確実に行うことができなくなる。この工程(1e)により、完全粘着状態保護フィルム2の上にバンプ群樹脂充填体を担持するバンプ群樹脂担持体12が形成される。
【0009】
(5)工程(1f):
次に、図10(1f)の矢印Zに示すように、支持体3を介して活性エネルギー線(例えば、紫外線又は電子線)を感圧性接着剤層4に照射すると、感圧性接着剤が硬化して粘着力が低下した感圧性接着剤層4Bに変換し、完全粘着状態保護フィルム2は剥離性保護フィルム2Bに変換する。なお、支持体3は、照射によって前記感圧性接着剤の接着力を低下させることができる活性エネルギー線を透過することのできる材料からなる。
【0010】
(6)工程(1g)〜(1h):
続いて、図11(1g)に示すように、バンプ群樹脂担持体12から剥離性保護フィルム2Bを剥離すると、図11(1h)に示すように、バンプ群樹脂充填体13を得ることができる。こうして得られたバンプ群樹脂充填体13は、図12(模式的平面図)に示すように、各バンプ6の両端6a,6bがそれぞれ露出していると共に、各バンプ6は、それぞれが絶縁性樹脂層7の絶縁性樹脂によって相互に隔離されている。また、このバンプ群樹脂充填体13を用いて、後述するように回路形成用基板14〔図11(1j)〕、又は配線回路基板15〔図11(1l)〕を製造し、更には多層配線回路基板を製造することができる。
【0011】
(6)工程(1i)〜(1j):
前記バンプ群樹脂充填体13を用いて、図11(1j)に示すような回路形成用基板14を製造するには、図11(1i)に示すように、導体回路形成用金属箔(例えば、銅箔)21,22を、前記バンプ群樹脂充填体13の両側から積層プレスにて熱圧着させる。この際に、導体回路形成用金属箔21,22は、前記バンプ群樹脂充填体13おける各バンプ6の露出表面6a,6bと接合させる。こうして得られる回路形成用基板14では、導体回路形成用金属層23,24が、それぞれ各バンプ6を介して電気的に接続し、また、各バンプ6は、絶縁性樹脂層7によって相互に電気的絶縁状態になる。なお、導体回路形成用金属箔21,22の厚さは、例えば、18μm程度である。
【0012】
(7)工程(1k)〜(l):
前記工程(1j)で得られる回路形成用基板14の導体回路形成用金属層23,24の各表面に、図11(1k)に示すように、エッチングマスクとなる導体回路用レジスト膜8を形成し、続いて、前記レジスト膜8をマスクとして導体回路形成用金属層23,24をエッチングすることにより、導体回路9を形成することができる。レジスト膜8を除去して、図11(1l)に示すように、配線回路基板15が形成される。この配線回路基板15は、両方の表面に導体回路9を有し、両表面の各回路が必要な部分においてバンプ6を介して電気的に接続しており、しかも、各バンプ6が、絶縁性樹脂層7によって相互に電気的絶縁状態になる。
【0013】
次に、回路部材を製造する際に保護フィルムを利用する従来法を、具体的に説明する。
従来より、高密度配線基板、例えば半導体素子を収納するパッケージに使用される高密度多層配線基板として、セラミック配線基板や樹脂製配線基板が知られている。前記のセラミック配線基板は、アルミナなどの絶縁性基板上に、タングステンやモリブテン等の高融点金属から成る配線導体を形成したものであり、この絶縁性基板の一部に凹部が形成されており、この凹部内に半導体素子を収納し、適当な蓋体によって凹部を気密に封止してパッケージとするものである。また、樹脂製配線基板は、有機樹脂を含む絶縁性基板の表面に銅等の金属層からなる回路パターンを形成したものであり、この樹脂製配線基板は、セラミック配線基板のように欠けやすく割れやすいなどの欠点がなく、また多層化に際しても、焼成のような高温での熱処理を必要としないという利点を有している。
こうした樹脂製配線基板として使用される回路部材を製造する際に保護フィルムを利用する従来法(例えば、特許文献2)の概要を、図13及び図14に沿って以下に具体的に説明する。図13(2a)〜(2e)及び図14(2f)〜(2g)は、従来の回路部材の製造方法を工程順に示す模式的断面図である。
【0014】
(1)工程(2a):
図13(2a)に示すように、金属箔貼付体40を用意する。前記金属箔貼付体40は、回路形成用金属層(例えば、銅層)41と、保護フィルム2とからなる。ここで、保護フィルム2は、前記図10及び図11に沿って説明した配線層膜間接続用部材の製造方法において使用した保護フィルムと基本的に同じ構造であり、支持体3とその一方の表面上に担持された感圧性接着剤層4とからなり、感圧性接着剤層4によって回路形成用金属層41と貼着している。また、感圧性接着剤層4を構成する感圧性接着剤は、活性エネルギー(例えば、紫外線又は電子線)硬化型接着剤であり、活性エネルギー線照射前は、充分な接着力を有するのに対し、活性エネルギー線照射後では、接着力が低下して被着体から簡単に剥離することができる。この工程(2a)において、前記感圧性接着剤は、その全体が活性エネルギー線照射前であり、従って、前記保護フィルム2は、完全粘着状態の保護フィルムである。
【0015】
(2)工程(2b)〜(2c)
次に、図13(2b)に示すように、前記回路形成用金属層41の表面にレジスト膜45を選択的に形成する。このレジスト膜45は回路を形成すべき部分のみを覆うように形成する。続いて、図13(2c)に示すように、前記レジスト膜45をマスク材として前記回路形成用金属層41をエッチングすることにより、完全粘着状態保護フィルム2の表面上に所望の回路パターンを有する回路層46が形成され、その回路層46を担持した回路担持体41Aが形成される。このエッチングは、例えば、ウェットエッチングにより実施することができ、使用するエッチング液は、回路形成用金属層41を侵食可能なエッチング液である。
【0016】
(3)工程(2d)
続いて、前記工程(2c)によって形成された回路担持体41Aの回路層46側の面に絶縁性シートを積層し、その絶縁性シート層47に回路層46を埋め込んでから固定することによって、回路基板担持体42Aを形成する。この埋め込み固定は、図13(2d)に示すように、回路層46の一部を埋め込む態様で実施することができるだけでなく、回路層46を絶縁性シート層47に完全に埋め込む態様で実施することもできる。前記の埋め込み固定工程は、例えば、回路担持体41Aと半硬化状態の絶縁性シート層47とを、回路層46が間になるように重ね合わせて圧着し、次いで必要により、絶縁性シート層47を硬化することによって行うことができる。こうして硬化された絶縁性シート層47は、配線基板の絶縁性基板に相当する。
【0017】
なお、前記回路層46上のレジスト膜45は、配線基板の絶縁性基板における特性や、回路層46と絶縁性シート層47との密着性に悪影響を与えることがない限り、図13(2d)に示すように、レジスト膜45を除去せずに残留させた状態で前記埋め込み固定工程(2d)を実施することができる。あるいは、レジスト膜45を除去してから前記埋め込み固定工程(2d)を実施してもよい。
【0018】
(5)工程(2e):
次に、図13(2e)の矢印Zに示すように、支持体3を介して活性エネルギー線(例えば、紫外線又は電子線)を感圧性接着剤層4に照射すると、感圧性接着剤が硬化して粘着力が低下した感圧性接着剤層4Bに変換し、完全粘着状態保護フィルム2は剥離性保護フィルム2Bに変換する。なお、支持体3は、照射によって前記感圧性接着剤の接着力を低下させることができる活性エネルギー線を透過することのできる材料からなる。
【0019】
(6)工程(2f)〜(2g)
続いて、図14(2f)に示すように、回路基板担持体42Aから剥離性保護フィルム2Bを剥離すると、図14(2g)に示すように、回路基板43Aを得ることができる。こうして得られた回路基板43Aは、図15(模式的平面図)に示すように、所望の回路パターンを有する回路層46が絶縁性シート層47に埋め込まれた構造を有している。
【0020】
【特許文献1】特開2003−309370号公報
【特許文献2】特開平10−173316号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
本発明者は、前記のような保護フィルムを用いることによりエッチング金属体(特に、配線層膜間接続用部材や回路部材)を製造する従来方法に関して鋭意研究を行っていたところ、或る共通の問題点を見出した。
すなわち、前記の図10及び図11に示す従来の配線回路基板の製造方法に関して鋭意研究を行っていたところ、図11(1h)に示すバンプ群樹脂充填体13から図11(1l)に示す配線回路基板15を製造すると、歩留まりが悪いことを見出し、その原因の1つは、図11(1h)に示すバンプ群樹脂充填体13の表面に感圧性接着剤が残留するためであることを見出した。
また、前記の図13及び図14に示す従来の回路部材の製造方法においても、図14(2g)に示す回路基板43Aから高密度多層配線基板を製造すると、同様に歩留まりが悪いことを見出し、その原因の1つは、図14(2g)に示す回路基板43Aの表面に感圧性接着剤が残留するためであることを見出した。
従って、本発明の課題は、保護フィルムを用いることによりエッチング金属体を製造する技術において、前記の感圧性接着剤が残留する欠点(すなわち、糊残りの欠点)を解消し、歩留まりを向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0022】
前記の課題は、本発明により、
(1)(a)活性エネルギー線を照射することによって接着力を低下させることができる感圧性接着剤からなる層を、支持体の一方の表面上に担持している保護フィルムと、(b)その保護フィルムに前記感圧性接着剤層を介して貼付されている被エッチング金属層とを含む、金属箔貼付体を用意し、
(2)(a)前記金属箔貼付体の前記被エッチング金属層の表面にレジスト膜を形成する工程、及び(b)前記活性エネルギー線を透過する透過領域と前記活性エネルギー線を透過しない非透過領域とを有する照射マスクシートを介して、前記感圧性接着剤層に前記活性エネルギー線を照射して、前記レジスト膜を介して行う前記被エッチング金属層のエッチング工程においてエッチング液と接触することになる接触領域を少なくとも照射して前記感圧性接着剤を硬化させ、前記エッチング液と接触することのない非接触領域の少なくとも一部を照射せずに前記感圧性接着剤を未硬化状態に維持する工程
を任意の順序で実施し、
(3)前記被エッチング金属層に対してエッチング工程を実施し、
(4)前記活性エネルギー線の照射によって、未硬化状態の前記感圧性接着剤を硬化させ、そして
(5)前記保護フィルムを剥離してエッチング金属体を形成する
各工程を含むことを特徴とする、前記エッチング金属体の製造方法によって解決することができる。
【0023】
本発明方法の好ましい態様によれば、前記エッチング金属体が、配線層膜間接続用部材、回路部材、又は電磁波シールド性金属メッシュ部材である。
本発明方法の別の好ましい態様によれば、前記工程(2)(b)において、前記エッチング液と接触することのない非接触領域の一部であって、前記エッチング液との接触領域に隣接する領域にも前記活性エネルギー線を照射して、前記感圧性接着剤を硬化させる。
本発明方法の更に別の好ましい態様によれば、前記感圧性接着剤の前記活性エネルギー線照射前の初期剥離力が、0.05〜30N/25mmである。
本発明方法の更に別の好ましい態様によれば、前記感圧性接着剤の前記活性エネルギー線照射後の剥離力が、0.05N/25mm未満である。
また、本発明は、前記の製造方法によって得られるエッチング金属体にも関する。
【0024】
好ましい態様の本発明方法は、
(1)(a)活性エネルギー線を照射することによって接着力を低下させることができる感圧性接着剤からなる層を、支持体の一方の表面上に担持している保護フィルムと、(b)その保護フィルムに前記感圧性接着剤層を介して貼付されているバンプ形成用金属層とを含む、金属箔貼付体を用意し、
(2)(a)前記金属箔貼付体の前記バンプ形成用金属層の表面にレジスト膜を形成する工程、及び(b)前記活性エネルギー線を透過する透過領域と前記活性エネルギー線を透過しない非透過領域とを有する照射マスクシートを介して、前記感圧性接着剤層に前記活性エネルギー線を照射して、前記レジスト膜を介して行う前記バンプ形成用金属層のエッチング工程においてエッチング液と接触することになる接触領域を少なくとも照射して前記感圧性接着剤を硬化させ、前記エッチング液と接触することのない非接触領域の少なくとも一部を照射せずに前記感圧性接着剤を未硬化状態に維持する工程
を任意の順序で実施し、
(3)前記バンプ形成用金属層に対してエッチング工程を実施し、
(4)前記レジスト膜を除去した後に、前記エッチング工程によって形成されるバンプ群層の間隙に絶縁性樹脂層を充填して、前記保護フィルム上にバンプ群樹脂充填体を形成し、
(5)前記保護フィルムに前記活性エネルギー線を照射して、未硬化状態の前記感圧性接着剤を硬化させ、そして
(6)前記保護フィルムを剥離して配線層膜間接続用部材を形成する
各工程を含むことを特徴とする、前記配線層膜間接続用部材の製造方法に関する。
【0025】
別の好ましい態様の本発明方法は、
(1)(a)活性エネルギー線を照射することによって接着力を低下させることができる感圧性接着剤からなる層を、支持体の一方の表面上に担持している保護フィルムと、(b)その保護フィルムに前記感圧性接着剤層を介して貼付されている回路形成用金属層とを含む、金属箔貼付体を用意し、
(2)(a)前記金属箔貼付体の前記回路形成用金属層の表面にレジスト膜を形成する工程、及び(b)前記活性エネルギー線を透過する透過領域と前記活性エネルギー線を透過しない非透過領域とを有する照射マスクシートを介して、前記感圧性接着剤層に前記活性エネルギー線を照射して、前記レジスト膜を介して行う前記回路形成用金属層のエッチング工程においてエッチング液と接触することになる接触領域を少なくとも照射して前記感圧性接着剤を硬化させ、前記エッチング液と接触することのない非接触領域の少なくとも一部を照射せずに前記感圧性接着剤を未硬化状態に維持する工程
を任意の順序で実施し、
(3)前記回路形成用金属層に対してエッチング工程を実施し、
(4)前記保護フィルムに前記活性エネルギー線を照射して、未硬化状態の前記感圧性接着剤を硬化させ、そして
(5)前記保護フィルムを剥離して回路部材を形成する
各工程を含むことを特徴とする、前記回路部材の製造方法に関する。
この態様においては、前記エッチング工程(3)によって形成される回路層を、絶縁性シートに埋め込んで固定する工程を更に実施することができる。
【0026】
更に別の好ましい態様の本発明方法は、
(1)(a)活性エネルギー線を照射することによって接着力を低下させることができる感圧性接着剤からなる層を、支持体の一方の表面上に担持している保護フィルムと、(b)その保護フィルムに前記感圧性接着剤層を介して貼付されている電磁波シールド性金属メッシュ形成用金属層とを含む、金属箔貼付体を用意し、
(2)(a)前記金属箔貼付体の前記金属メッシュ形成用金属層の表面にレジスト膜を形成する工程、及び(b)前記活性エネルギー線を透過する透過領域と前記活性エネルギー線を透過しない非透過領域とを有する照射マスクシートを介して、前記感圧性接着剤層に前記活性エネルギー線を照射して、前記レジスト膜を介して行う前記金属メッシュ形成用金属層のエッチング工程においてエッチング液と接触することになる接触領域を少なくとも照射して前記感圧性接着剤を硬化させ、前記エッチング液と接触することのない非接触領域の少なくとも一部を照射せずに前記感圧性接着剤を未硬化状態に維持する工程
を任意の順序で実施し、
(3)前記金属メッシュ形成用金属層に対してエッチング工程を実施し、
(4)前記保護フィルムに前記活性エネルギー線を照射して、未硬化状態の前記感圧性接着剤を硬化させ、そして
(5)前記保護フィルムを剥離して電磁波シールド性金属メッシュ部材を形成する
各工程を含むことを特徴とする、前記電磁波シールド性金属メッシュ部材の製造方法に関する。
この態様においては、前記エッチング工程(3)によって形成される電磁波シールド性金属メッシュ層の表面を黒化処理する工程を更に実施することができる。
また、この態様においては、前記エッチング工程(3)によって形成される電磁波シールド性金属メッシュ層を、感圧性接着剤層を有する被着体に貼付する工程を更に実施することができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明方法によって、例えば、配線層膜間接続用部材(バンプ群樹脂充填体)を製造すると、従来法と同様に、保護フィルムを用いることにより多層金属板の使用を回避することができるので、コストダウンを実現することができると共に、糊残りの欠点が解消されるので歩留まりを向上させることができる。
また、本発明方法によって、例えば、回路部材を製造すると、糊残りの欠点が解消されるので歩留まりを向上させることができる。
更に、保護フィルムを用いる本発明方法を電磁波シールド性金属メッシュ部材の製造に利用することができ、例えば、黒化処理の際に感圧性接着剤中の未反応物が溶出せず、黒化処理液のリピート回数を多くすることができるので、経済的に有利である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
最初に、従来法の問題点に関する本発明者の推定と、それを解消する本発明方法の原理を説明する。なお、本発明は、以下の推定に限定されるものではない。
例えば、前記の図10及び図11に示す従来方法では、工程(1c)のエッチング処理において、エッチング液が感圧性接着剤層4と直接に接触する。その接触により、感圧性接着剤に含まれている未反応重合性モノマーや光開始剤の一部も除去されてしまうことが推定される。未反応重合性モノマーや光開始剤の一部が除去されると、工程(1f)において活性エネルギー線を照射しても硬化反応が不充分になり、接着力の低下が不充分になる。このため、工程(1g)で剥離性保護フィルム2Bを剥離する際に、感圧性接着剤の一部がバンプ群樹脂充填体13の表面から脱離せずに、支持体3側に転写せず、その転写不良の結果として、バンプ群樹脂充填体13の表面に残留してしまう。すなわち、「糊残り」の現象が発生する。こうした「糊残り」状態のバンプ群樹脂充填体13を使用して図11(1l)に示す配線回路基板15を製造すると、絶縁不要が発生するため、歩留まりが低下することになる。
なお、前記の推論は、前記の図13及び図14に示す回路部材の従来の製造方法においても同様に当てはまる。
【0029】
これに対して、本発明方法では、感圧性接着剤層の内、エッチング液と接触することになる領域(すなわち接触領域)に予め活性エネルギー線を照射して、接触領域にエッチング液耐性を付与すると共に、エッチング液と接触しない領域(すなわち非接触領域)には活性エネルギー線を照射せずに、接着力を残留させる。この前処理後にエッチング処理を実施すると、エッチング液は、感圧性接着剤層の接触領域だけに接触し、非接触領域とは接触しないので、感圧性接着剤層の非接触領域からは未反応重合性モノマーや光開始剤の流出が防止される。また、保護フィルムを剥離する際に、感圧性接着剤層の非接触領域に活性エネルギー線を照射すると、重合反応が予定したとおりに進行し、粘着力が充分に低下するので、前記の転写不良による糊残り現象の発生を有効に防止することができる。
本発明者は、本発明方法によって、例えば、バンプ群樹脂充填体13を使用して図11(1l)に示す配線回路基板15を製造すると、歩留まりが向上することを実験的に確認しているが、その効果は、前記の機序に基づくものと思われる。
【0030】
次に、本発明方法の代表的実施態様を添付図面に沿って以下に順に説明する。最初に、本発明によって、配線層膜間接続用部材(バンプ群樹脂充填体)を製造する方法を図1及び図2に沿って説明する。
(1)工程(1A):
図1(1A)に示すように、金属箔貼付体10を用意する。この工程(1A)は、図10及び図11に示す従来法の工程(1a)と同じである。従って、前記金属箔貼付体10は、被エッチング金属層としてのバンプ形成用金属層(例えば、銅層)1と、保護フィルム2とからなる。バンプ形成用金属層1の厚さは、例えば3〜100μm程度である。また、保護フィルム2は、支持体3とその一方の表面上に担持された感圧性接着剤層4とからなり、感圧性接着剤層4によってバンプ形成用金属層1と貼着している。また、感圧性接着剤層4を構成する感圧性接着剤は、活性エネルギー(例えば、紫外線又は電子線)硬化型接着剤であり、活性エネルギー線照射前は、充分な接着力を有するのに対し、活性エネルギー線照射後では、接着力が低下して被着体から簡単に剥離することができる。この工程(1A)において、前記感圧性接着剤は、その全体が活性エネルギー線照射前であり、従って、前記保護フィルム2は、完全粘着状態の保護フィルムである。
【0031】
(2)工程(1B)
次に、図1(1B)に示すように、前記バンプ形成用金属層1の表面にレジスト膜5を選択的に形成する。この工程(1B)も、図10及び図11に示す従来法の工程(1b)と同じである。従って、このレジスト膜5はバンプを形成すべき部分のみを覆うように形成する。
【0032】
(3)工程(1C)〜(1D)
続いて、図1(1C)に示すように、支持体3の表面側に照射マスクシート31を載置して、図1(1C)の矢印Xに示すように、照射マスクシート31及び支持体3を介して、活性エネルギー線(例えば、紫外線又は電子線)を感圧性接着剤層4に照射する。この部分照射工程(1C)は、図10及び図11に示す従来法では実施しない工程である。前記照射マスクシート31は、前記活性エネルギー線を透過しない非透過領域31aと前記活性エネルギー線を透過する透過領域31bとからなるパターンを有する。なお、支持体3は、照射によって前記感圧性接着剤の接着力を低下させることができる活性エネルギー線を透過することのできる材料からなる。
【0033】
前記照射マスクシート31の前記透過領域31bは、後述するエッチング工程(1E)において、エッチング液と接触する前記感圧性接着剤層4の領域(接触領域)が、前記活性エネルギー線によって必ず照射され、硬化されることを保証するように設ける必要がある。また、非透過領域31aは、エッチング液と接触することのない前記感圧性接着剤層4の領域(非接触領域)に、前記活性エネルギー線が照射されることを防止するように設けられている。従って、照射マスクシート31における非透過領域31aのパターン形状と、レジスト膜5のパターン形状とは、必ずしも完全にではないが、おおむね一致する。なお、これらのパターン形状の関係については、図7〜図9に沿って後述する。
【0034】
このような照射マスクシート31(及び支持体3)を介して、前記感圧性接着剤層4に対して活性エネルギー線(例えば、紫外線又は電子線)を照射すると、図1(1D)に示すように、感圧性接着剤層4には、未硬化状態の領域4aと、硬化状態の領域4bとが形成され、この内、少なくとも接触領域は、硬化される。未硬化領域4aは接着力を維持しているのに対し、硬化領域4bでは接着力が低下するので、感圧性接着剤層4Aは部分粘着性となり、従って、保護フィルム2Aも部分粘着性となる。
なお、前記工程(1B)及び前記工程(1C)は、それぞれ任意の順序で実施することができる。すなわち、前記工程(1B)を先に実施し、前記工程(1C)を後から実施するか、前記工程(1C)を先に実施し、前記工程(1B)を後から実施するか、あるいは前記工程(1B)と前記工程(1C)とを同時に実施することもできる。
【0035】
(4)工程(1E)
続いて、図1(1E)に示すように、前記レジスト膜5をマスク材として前記バンプ形成用金属層1をエッチングすることにより、多数のバンプ6を形成する。このエッチングは、従来法と同様に、例えば、ウェットエッチングにより実施することができ、使用するエッチング液は、バンプ形成用金属層1を侵食可能なエッチング液である。また、このエッチングの際に、エッチング液は、部分粘着性感圧性接着剤層4Aの硬化領域4bと接触し、未硬化領域4aとは接触しない。硬化領域4bでは、既に硬化反応が実行されているので、エッチング液と接触しても剥離性に悪影響を及ぼすことはない。一方、未硬化領域4aは、エッチング液と接触せず、しかも硬化領域4bがエッチング液侵入に対するバリア層として作用するので、未反応重合性モノマーや光開始剤の一部が除去されることがなく、硬化反応が可能な状態が維持される。
【0036】
(5)工程(1F)
次に、図2(1F)に示すように、前記エッチングにおいてエッチングマスク材として用いたレジスト膜5を除去する。この工程(1F)も、従来法と全く同様に実施することができる。図2(1F)はエッチングマスク除去後の状態を示す。こうして、多数のバンプ6が、部分粘着性保護フィルム2Aの上に形成された構造を有するバンプ群担持体11Aが形成される。
【0037】
(6)工程(1G)
続いて、図2(1G)に示すように、前記バンプ群担持体11Aにおける前記バンプ6のそれぞれの間隙に、絶縁性樹脂層7を挿入する。この工程(1G)も、従来法と全く同様に実施することができる。例えば、絶縁性接着剤シートを、前記バンプ群担持体11Aにおける前記バンプ6が形成された側の面に熱ローラで圧着することにより、前記接着剤シートからなる絶縁性樹脂層7を形成することができる。この際には、前記の絶縁性樹脂層7の形成後に、バンプ6の頂上部を絶縁性樹脂層7から突出させて、露出させることが必要である。従って、前記の接着剤シートとしては、そのバンプ6の高さよりも適宜薄いものを用いる。なお、バンプ6の上部が露出していないと、バンプ6による層間接続を確実に行うことができなくなる。この工程(1G)により、部分粘着性保護フィルム2Aの上にバンプ群樹脂充填体を担持するバンプ群樹脂担持体12Aが形成される。
【0038】
(7)工程(1H):
次に、図2(1H)の矢印Yに示すように、支持体3を介して活性エネルギー線(例えば、紫外線又は電子線)を部分粘着性感圧性接着剤層4Aに照射すると、未硬化領域4aの感圧性接着剤も硬化して粘着力が低下するので、部分粘着性保護フィルム2Aは全体として剥離性保護フィルム2Bに変換する。こうして、剥離性保護フィルム2Bの上にバンプ群樹脂充填体を担持するバンプ群樹脂担持体12が形成される。なお、支持体3は、前記の通り、照射によって前記感圧性接着剤の接着力を低下させることができる活性エネルギー線を透過することのできる材料からなる。
【0039】
(8)工程(1I)〜(1J)
続いて、図2(1I)に示すように、バンプ群樹脂担持体12から剥離性保護フィルム2Bを剥離すると、図2(1J)に示すように、従来法と全く同様に、バンプ群樹脂充填体13を得ることができる。こうして得られたバンプ群樹脂充填体13は、図12(模式的平面図)に示すように、従来法によるバンプ群樹脂充填体と全く同様に、各バンプ6の両端6a,6bがそれぞれ露出していると共に、各バンプ6は、それぞれが絶縁性樹脂層7の絶縁性樹脂によって相互に隔離されている。また、このバンプ群樹脂充填体13を用いて、従来法と全く同様に、図11(1j)に示す回路形成用基板14、又は図11(1l)に示す配線回路基板15を製造し、更には多層配線回路基板を製造することができる。また、本発明方法によって得られる前記のバンプ群樹脂充填体13は、「転写不良」や「糊残り」が起こりにくいので、配線回路基板や多層配線回路基板を製造する場合の歩留まりが向上する。
【0040】
ところで、図1(1E)に示す前記エッチング工程(1E)において、バンプ形成用金属層1は、最初に表面側(レジスト膜側)がエッチング液に接触し、その後から徐々に感圧性接着剤層4の方向に向かってエッチングが進行するので、最終的に形成される各バンプは、その断面形状が図1(1E)や図7〜図9に示すように台形状になる。従って、本発明方法では、このようなエッチング工程(1E)においてエッチング液と接触することになる感圧性接着剤層の領域(接触領域)については、その全領域が硬化されている必要がある。一方、前記のようなエッチング工程(1E)においてエッチング液と接触しない領域(非接触領域)については、その全領域が未硬化状態であるか、あるいは後に形成されるバンプ群との接着力が全体として維持される限り、部分的に硬化されていてもよい。
【0041】
本発明方法において用いる照射マスクシートは、図1(1C)に示すとおり、前記活性エネルギー線を透過しない非透過領域31aと前記活性エネルギー線を透過する透過領域31bとからなるパターンを有する。前記透過領域31bは、エッチング液と接触する前記感圧性接着剤層4の全領域に前記活性エネルギー線が照射されることを保証するように設け、前記非透過領域31aは、エッチング液と接触しない前記感圧性接着剤層4の全領域又はその一部領域に前記活性エネルギー線が照射されることを防止することを保証するように設ける。
【0042】
図7は、部分粘着性感圧性接着剤層4Aにおける未硬化領域4aと硬化領域4bとの境界が、バンプ6のフモト部6cの輪郭と一致して形成される場合を示すものであり、本発明方法で用いる前記照射マスクシートは、図7に示すような未硬化領域4aと硬化領域4bとを形成するような非透過領域31aと透過領域31bとからなるパターンを有していることができる。
【0043】
一方、例えば、図8に示すように、部分粘着性感圧性接着剤層4Aにおける未硬化領域4aと硬化領域4bとの境界が、バンプ6のフモト部6cの輪郭よりも外側に形成されると、未硬化領域4aの露出部分4xがエッチング液と接触し、その露出部分4xから未硬化領域4aの全体の未反応重合性モノマーや光開始剤が流出するので、このような露出部分4xが発生するような非透過領域31aと透過領域31bとからなるパターンを有する前記照射マスクシートは、使用することができない。すなわち、前記のような露出部分4xが発生しないように、非透過領域31aと透過領域31bとからなるパターンを前記照射マスクシートに設ける必要がある。
【0044】
更に、図9に示すように、前記感圧性接着剤層4における未硬化領域4aと硬化領域4bとの境界が、バンプ6のフモト部6cの輪郭よりも内側に形成されると、硬化領域4bの非露出部分4yが、バンプ6の底面へのエッチング液侵入に対するバリア領域として作用し、未硬化領域4aからの未反応重合性モノマーや光開始剤の流出を有効に防止することができるので、このような非露出部分4yが形成されるように、非透過領域31aと透過領域31bとからなるパターンを前記照射マスクシートに設けることが好ましい。なお、この場合、非露出部分4yを拡大して部分粘着性感圧性接着剤層4Aの全体の接着力が不充分になることは避ける必要がある。
【0045】
本発明方法で用いる照射マスクシートは、前記活性エネルギー線(例えば、紫外線又は電子線)に関する非透過領域と透過領域とを設けることができる限り、任意の材料からなることができ、例えば、フォトマスクやドライフィルムなどの一般的なマスクを用いることができる。照射マスクシートの厚さも、特に限定されるものではなく、例えば、50〜200μmである。
【0046】
本発明方法で用いる保護フィルムは、支持体の一方の表面上に感圧性接着剤層を有している。この支持体としては、感圧性接着剤の担持が可能で、活性エネルギー線(例えば、紫外線又は電子線)の透過が可能で、エッチング耐性を有する限り、任意の合成樹脂フィルムを用いることができる。合成樹脂としては、好ましくは、ポリエチレンテレフタレート、又はポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリイミド、ポリフェニレンサルファイド、ポリ塩化ビニル、又はポリプロピレン等のポリオレフィンを使用することができる。特に限定されないが、前記合成樹脂フィルムには、高温時の寸法安定性を良くするため、アニール処理を施しても構わない。
【0047】
前記の支持体の厚さも、前記各工程における工程フィルムとしての作業性に悪影響を与えない限り特に限定されないが、例えば、100μm以下、好ましくは75μm以下、より好ましくは50μm以下である。一方、前記の支持体の厚さの下限も特に限定されないが、例えば、10μmである。支持体の厚さが100μmを超えると保護フィルムの柔軟性が損なわれ、保護フィルムの剥離工程において、剥離が困難となり、バンプ群樹脂充填体のようなエッチング金属体に折れや屈曲を生じることがあり、10μm未満になると保護フィルムの変形や折れ曲がりを生じ易い。
【0048】
感圧性接着剤層を形成する感圧性接着剤は、活性エネルギー線照射(例えば、紫外線又は電子線照射)によって粘着力が低下する感圧性接着剤である。具体的には、公知の活性エネルギー硬化型のアクリル樹脂系、シリコーン樹脂系、エポキシ樹脂系、スチレン−ブタジエン系、SBS若しくはSIS系、イソプレン系、クロロプレン系、又はアクリルブタジエン系等のエラストマー重合体や、天然ゴム若しくは再生ゴム等の接着剤を用いることができる。特に、アクリル樹脂系の感圧性接着剤が好ましい。必要に応じて、ポリテルペン樹脂、ガムロジン、ロジンエステル若しくはロジン誘導体、油溶性フェノール樹脂、クマロン・インデン樹脂、又は石油系炭化水素樹脂等の粘着付与剤を配合することもできる。また、溶剤型、エマルジョン型、又は無溶剤型等の任意のタイプの感圧性接着剤を用いることができる。
【0049】
前記の感圧性接着剤の貼着後の初期剥離力は、好ましくは0.05〜30N/25mm、より好ましくは0.1〜10N/25mmである。初期剥離力が30N/25mmを超えると、粘着力低下処理後の剥離力を0.05N/25mm未満とすることが困難になり、初期剥離力が0.05N/25mm未満になると粘着力が不足して、剥離工程を実施する前に剥離することがある。一方、粘着力低下処理後の剥離力は、好ましくは0.05N/25mm未満である。粘着力低下処理後の剥離力が0.05N/25mm以上になると剥離操作の際にバンプ群樹脂充填体のようなエッチング金属体に折れや屈曲を生じることがある。なお、本明細書において「剥離力」とは、JIS Z0237によって測定した値を意味する。また、「初期剥離力」とは、貼着処理後20分以内での剥離力を意味する。
【0050】
感圧性接着剤層の厚さは、前記の初期剥離力及び粘着力低下処理後の前記の剥離力を発現可能な厚さである限り特に限定されない。具体的には、使用する感圧性接着剤の種類によっても異なるが、好ましくは0.5〜20μm、より好ましくは0.5〜10μmである。感圧性接着剤層の厚さが20μmを超えると、形成されたバンプを絶縁性樹脂層に挿入する際に、バンプ底面の粘着剤が圧力によって流動するため、圧力を均一に加えることができない場合やバンプが傾く場合があり、こうした現象が起きると、最終的な回路接続が不良となる。一方、0.5μm未満になると感圧性接着剤の粘着力が不足して剥離工程を実施する前に剥離することがある。
【0051】
本発明方法は、前記バンプ群樹脂充填体(すなわち、配線層膜間接続用部材)の製造方法に適用することができるだけでなく、前記の通り、同種の構造を有する種々のエッチング金属体の製造に利用することができる。例えば、本発明方法によって、回路部材を製造する態様を図3及び図4に沿って説明する。
(1)工程(2A):
図3(2A)に示すように、金属箔貼付体40を用意する。この工程(2A)は、図13及び図14に示す従来法の工程(2a)と同じである。従って、前記金属箔貼付体40は、被エッチング金属層としての回路形成用金属層(例えば、銅層)41と、保護フィルム2とからなる。回路形成用金属層41の厚さは、例えば1〜200μm程度である。また、保護フィルム2は、支持体3とその一方の表面上に担持された感圧性接着剤層4とからなり、感圧性接着剤層4によって回路形成用金属層41と貼着している。また、感圧性接着剤層4を構成する感圧性接着剤は、活性エネルギー(例えば、紫外線又は電子線)硬化型接着剤であり、活性エネルギー線照射前は、充分な接着力を有するのに対し、活性エネルギー線照射後では、接着力が低下して被着体から簡単に剥離することができる。この工程(2A)において、前記感圧性接着剤は、その全体が活性エネルギー線照射前であり、従って、前記保護フィルム2は、完全粘着状態の保護フィルムである。
【0052】
(2)工程(2B)
次に、図3(2B)に示すように、前記回路形成用金属層41の表面にレジスト膜45を選択的に形成する。この工程(2B)も、図13及び図14に示す従来法の工程(2b)と同じである。従って、このレジスト膜45は、所望のパターンを有する回路を形成すべき部分のみを覆うように形成する。
【0053】
(3)工程(2C)〜(2D)
続いて、図3(2C)に示すように、支持体3の表面側に照射マスクシート31を載置して、図3(2C)の矢印Xに示すように、照射マスクシート31及び支持体3を介して、活性エネルギー線(例えば、紫外線又は電子線)を感圧性接着剤層4に照射する。この工程(2C)は、図13及び図14に示す従来法では実施しない工程である。前記照射マスクシート31は、前記活性エネルギー線を透過しない非透過領域31aと前記活性エネルギー線を透過する透過領域31bとからなるパターンを有する。なお、支持体3は、照射によって前記感圧性接着剤の接着力を低下させることができる活性エネルギー線を透過することのできる材料からなる。
【0054】
前記照射マスクシート31の前記透過領域31bは、後述するエッチング工程(2E)において、エッチング液と接触する前記感圧性接着剤層4の接触領域が、前記活性エネルギー線によって必ず照射され、硬化されることを保証するように設ける必要がある。また、非透過領域31aは、エッチング液と接触することのない前記感圧性接着剤層4の領域に、前記活性エネルギー線が照射されることを防止するように設けられている。従って、照射マスクシート31における非透過領域31aのパターン形状と、レジスト膜5のパターン形状とは、図7〜図9に沿って説明したとおり、必ずしも完全にではないが、おおむね一致する。
【0055】
このような照射マスクシート31(及び支持体3)を介して、前記感圧性接着剤層4に対して活性エネルギー線(例えば、紫外線又は電子線)を照射すると、図3(2D)に示すように、感圧性接着剤層4には、未硬化状態の領域4aと、硬化状態の領域4bとが形成される。未硬化領域4aは粘着力を維持しているのに対し、硬化領域4bでは粘着力が低下するので、感圧性接着剤層4Aは部分粘着性となり、従って、保護フィルム2Aも部分粘着性となる。
なお、前記工程(2B)及び前記工程(2C)は、それぞれ任意の順序で実施することができる。すなわち、前記工程(2B)を先に実施し、前記工程(2C)を後から実施するか、前記工程(2C)を先に実施し、前記工程(2B)を後から実施するか、あるいは前記工程(2B)と前記工程(2C)とを同時に実施することもできる。
【0056】
(4)工程(2E)
続いて、図3(2E)に示すように、前記レジスト膜45をマスク材として前記回路形成用金属層41をエッチングすることにより、所望のパターンを有する回路層46を形成する。こうして部分粘着性保護フィルム2A上に回路層46を担持した回路担持体41Bが形成される。このエッチングは、従来法と同様に、例えば、ウェットエッチングにより実施することができ、使用するエッチング液は、回路形成用金属層41を侵食可能なエッチング液である。また、このエッチングの際に、エッチング液は、部分粘着性感圧性接着剤層4Aの硬化領域4bと接触し、未硬化領域4aとは接触しない。硬化領域4bでは、既に硬化反応が実行されているので、エッチング液と接触しても剥離性に悪影響を及ぼすことはない。一方、未硬化領域4aは、エッチング液と接触しないので、未反応重合性モノマーや光開始剤の一部が除去されることがなく、硬化反応が可能な状態が維持される。
なお、前記レジスト膜45は、図13に示すように、除去せずに次の工程に進むこともできるが、除去してから次の工程に進むこともできる。以下の説明では、前記レジスト膜45を除去する場合に沿って説明する。なお、前記レジスト膜45を除去する工程は図示していない。
【0057】
(5)工程(2F)
続いて、図4(2F)に示すように、前記工程(2E)によって形成された回路担持体41Bの回路層46側の面に絶縁性シートを積層し、その絶縁性シート層47に回路層46を埋め込んでから固定することによって、回路基板担持体42Bを形成する。この埋め込み固定は、図4(2F)に示すように、回路層46の一部を埋め込む態様で実施することができるだけでなく、回路層46を絶縁性シート層47に完全に埋め込む態様で実施することもできる。前記の埋め込み固定工程は、例えば、回路担持体41Aと半硬化状態の絶縁性シート層47とを、回路層46が間になるように重ね合わせて圧着し、次いで必要により、絶縁性シート層47を硬化することによって行うことができる。こうして硬化された絶縁性シート層47は、配線基板の絶縁性基板に相当する。
【0058】
なお、前記回路層46上のレジスト膜45は、配線基板の絶縁性基板における特性や、回路層46と絶縁性シート層47との密着性に悪影響を与えることがない限り、図3(2F)に示すように、レジスト膜45を除去せずに残留させた状態で前記埋め込み固定工程(2F)を実施することができる。
【0059】
(6)工程(2G):
次に、図4(2G)の矢印Yに示すように、支持体3を介して活性エネルギー線(例えば、紫外線又は電子線)を部分粘着性感圧性接着剤層4Aに照射すると、未硬化領域4aの感圧性接着剤も硬化して粘着力が低下するので、全体として剥離性保護フィルム2Bに変換する。なお、支持体3は、照射によって前記感圧性接着剤の接着力を低下させることができる活性エネルギー線を透過することのできる材料からなる。
【0060】
(7)工程(2H)〜(2I)
続いて、図4(2H)に示すように、回路基板担持体42Aから剥離性保護フィルム2Bを剥離すると、図4(2I)に示すように、回路基板43Aを得ることができる。こうして得られた回路基板43Aは、従来技術によって得られる場合と同様に、図15(模式的平面図)に示すように、所望の回路パターンを有する回路層46が絶縁性シート層47に埋め込まれた構造を有している。
【0061】
前記の埋め込み固定工程(2F)で用いる絶縁性シートは、配線基板の絶縁性基板に相当し、従来法と同様の材料を用いることができる。絶縁性シートは、例えば、樹脂と無機質充填材又は繊維状基材とからなる。樹脂としては、例えば、PPE(ポリフェニレンエーテル)、BTレジン(ビスマレイミドトリアジン樹脂)、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、フッ素樹脂、又はフェノール樹脂等が好適であり、特に製造上の見地から、室温で液状の熱硬化性樹脂(未硬化状態)が望ましい。
【0062】
また、無機質充填材又は繊維状基材は、絶縁性基板に一定の強度を付与し、更に、膨張率等を適当な範囲に調整するために使用される。一般に、無機質充填材としては、シリカ、アルミナ、酸化ジルコニウム、ゼオライト、酸化チタン、窒化アルミニウム、炭化ケイ素、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、又はホウ酸アルミニウム等が代表的であり、これらは、平均粒径が20μm以下で略球形であるのが好ましい。また、平均アスペクト比が2以上の繊維状の粒子を使用することもできる。また、繊維状基材としては、例えば、紙、ガラス織布、ガラス不織布、又は合成繊維を挙げることができる。前記の樹脂と無機質充填材とは、体積比率で60:40乃至30:70の範囲で使用されるのがよく、また樹脂と繊維状基材とは、体積比率で60:40乃至40:60の割合で使用するのがよい。
【0063】
図4(2F)に示す埋め込み固定工程(2F)において、回路層46を絶縁性シート層47へ埋め込んで固定する場合は、例えば、回路担持体41Bと半硬化状態の絶縁性シートとを、回路層46が中間になるように重ね合わせて圧着し、次いで必要により、絶縁性シート層47を硬化することによって行うことができる。
【0064】
この場合、半硬化状態の絶縁性シートとして、ガラスの織布若しくは不織布、又は紙若しくは合成樹脂の基材にワニス状の硬化性樹脂を含浸乾燥させたブリブレグも用いることができる。また、前記熱硬化性樹脂を含む絶縁スラリーを用いて、ドクターブレード法、押出成形、あるいは射出成形等により、絶縁性シートを作成することもできる。
【0065】
圧着のための機械的圧力は、一般に、10〜500kg/cm2程度であるが、この圧力が小さければ、回路層46の一部が残存レジスト膜45と共に絶縁性シート層47に途中まで埋め込まれ〔図4(2F)参照〕、この圧力を高くすれば、回路層46全体を絶縁性シート層47内に完全に埋め込むことができる。
【0066】
更に、図3(E)に示す回路担持体41Bの回路層46側に、熱硬化性樹脂を含む絶縁性スラリーを、ドクターブレード法、押出成形、又は射出成形等により、回路層46の厚みよりも厚く、しかも絶縁性基板に対応する厚みに施し、その絶縁性スラリーの硬化を行うことによって、前記の埋め込み固定工程(2F)を行うことができる。この場合には、回路層46の全体が絶縁性シート層47に完全に埋め込まれる。なお、前記の絶縁性スラリーは、例えば、絶縁性基板を構成する前記熱硬化性有機樹脂と無機質フィラーとの複合材料に、トルエン、酢酸プチル、メチルエチルケトン、メタノール、メチルセロソルブアセテート、又はイソプロピルアルコール等の溶媒を添加して粘度調整することにより調製することができる。前記の絶縁性スラリーの粘度は成形方法にもよるが、一般に100〜3000ポイズ(25℃)が適当である。
【0067】
前記の図3及び図4に示す方法で得られる単層の配線基板43Aは、必要によりさらに熱処理を行って絶縁性シート層を完全硬化させ、更に所望により打ち抜き法やレーザーを用いた方法でビアホールを形成し、このバイアホール内に導電性樹脂又は金属フィラーを含有する導電性インク、あるいは金属ペースト等の導電性物質を充填し、これを別個に形成された所定枚数の回路基板と積層し、加圧若しくは加熱して密着して一体化することにより、多層配線基板を作成することができる。なお、バイアホールの形成及び導電性物質の充填は、絶縁性シートと回路担持体との圧着に先立って、あるいは圧着等の段階で行うこともできる。
【0068】
次に、本発明方法によって、電磁波シールド性金属メッシュ部材を製造する態様を説明する。
近年、各種ディスプレイの前面から発生する電磁波ノイズが問題になっている。CRT(陰極線管)、プラズマ、液晶、又はEL(エレクトロルミネッセンス)等の各種ディスプレイの前面から放射される電磁波を遮蔽するためには、電磁波シールド性と透明性とを併せもつ電磁波遮蔽構成体を各種ディスプレイの前面に取り付け、その電磁波遮蔽構成体を接地するための外部電極と接続することが行われている。このような電磁波シールド性金属メッシュ部材をエッチングによって製造する従来法も種々提案されている(例えば、特許第3480898号公報、特開2000−323890号公報、又は特開2000−323891号公報)が、以下に、本発明方法によって、電磁波シールド性金属メッシュ部材を製造する態様を図5及び図6に沿って説明する。
【0069】
(1)工程(3A):
図5(3A)に示すように、金属箔貼付体50を用意する。この工程(3A)は、図1(1A)や図2(2A)に示す本発明の前記各工程と同様であり、前記金属箔貼付体50は、被エッチング金属層としての金属メッシュ形成用金属層(例えば、銅層)51と、保護フィルム2とからなる。保護フィルム2は、前記のように、支持体3とその一方の表面上に担持された感圧性接着剤層4とからなり、感圧性接着剤層4によって金属メッシュ形成用金属層51と貼着している。また、感圧性接着剤層4を構成する感圧性接着剤は、活性エネルギー(例えば、紫外線又は電子線)硬化型接着剤であり、活性エネルギー線照射前は、充分な接着力を有するのに対し、活性エネルギー線照射後では、接着力が低下して被着体から簡単に剥離することができる。この工程(3A)において、前記感圧性接着剤は、その全体が活性エネルギー線照射前であり、従って、前記保護フィルム2は、完全粘着状態保護フィルムである。なお、金属メッシュ形成用金属層51の厚さは、例えば1〜50μm程度である。
【0070】
(2)工程(3B)
次に、図5(3B)に示すように、前記金属メッシュ形成用金属層51の表面にレジスト膜55を選択的に形成する。この工程(3B)も、図1(1B)や図2(2B)に示す本発明の前記各工程と同様である。すなわち、このレジスト膜55は、所望のパターンを有する金属メッシュを形成すべき部分のみを覆うように形成する。
【0071】
(3)工程(3C)〜(3D)
続いて、図5(3C)に示すように、支持体3の表面側に照射マスクシート31を載置して、図5(3C)の矢印Xに示すように、照射マスクシート31及び支持体3を介して、活性エネルギー線(例えば、紫外線又は電子線)を感圧性接着剤層4に照射する。前記照射マスクシート31は、前記活性エネルギー線を透過しない非透過領域31aと前記活性エネルギー線を透過する透過領域31bとからなるパターンを有する。なお、支持体3は、照射によって前記感圧性接着剤の接着力を低下させることができる活性エネルギー線を透過することのできる材料からなる。
【0072】
前記照射マスクシート31の前記透過領域31bは、後述するエッチング工程(3E)において、エッチング液と接触する前記感圧性接着剤層4の接触領域が、前記活性エネルギー線によって必ず照射され、硬化されることを保証するように設ける必要がある。また、非透過領域31aは、エッチング液と接触することのない前記感圧性接着剤層4の領域に、前記活性エネルギー線が照射されることを防止するように設けられている。従って、照射マスクシート31における非透過領域31aのパターン形状と、レジスト膜5のパターン形状とは、図7〜図9に沿って説明したとおり、必ずしも完全にではないが、おおむね一致する。
【0073】
このような照射マスクシート31(及び支持体3)を介して、前記感圧性接着剤層4に対して活性エネルギー線(例えば、紫外線又は電子線)を照射すると、図5(3D)に示すように、感圧性接着剤層4には、未硬化状態の領域4aと、硬化状態の領域4bとが形成される。未硬化領域4aは粘着力を維持しているのに対し、硬化領域4bでは粘着力が低下するので、感圧性接着剤層4Aは部分粘着性となり、従って、保護フィルム2Aも部分粘着性となる。
なお、前記工程(3B)及び前記工程(3C)は、それぞれ任意の順序で実施することができる。すなわち、前記工程(3B)を先に実施し、前記工程(3C)を後から実施するか、前記工程(3C)を先に実施し、前記工程(3B)を後から実施するか、あるいは前記工程(3B)と前記工程(3C)とを同時に実施することもできる。
【0074】
(4)工程(3E)
続いて、図5(3E)に示すように、前記レジスト膜55をマスク材として前記金属メッシュ形成用金属層51をエッチングすることにより、所望のパターンを有する金属メッシュ層56を形成する。このエッチングは、従来法と同様に、例えば、ウェットエッチングにより実施することができ、使用するエッチング液は、金属メッシュ形成用金属層51を侵食可能なエッチング液である。また、このエッチングの際に、エッチング液は、部分粘着性感圧性接着剤層4Aの硬化領域4bと接触し、未硬化領域4aとは接触しない。硬化領域4bでは、既に硬化反応が実行されているので、エッチング液と接触しても硬化反応に対して悪影響を受けることはない。一方、未硬化領域4aは、エッチング液と接触しないので、未反応重合性モノマーや光開始剤の一部が除去されることがなく、硬化反応が可能な状態が維持される。
【0075】
(5)工程(3F)
続いて、図5(3F)に示すように、前記エッチングにおいてエッチングマスク材として用いたレジスト膜55を除去する。図5(3F)はエッチングマスク除去後の状態を示す。こうして部分粘着性保護フィルム2A上に金属メッシュ層56を担持した金属メッシュ担持体51Aが形成される。
【0076】
(6)工程(3G)
次に、図6(3G)に示すように、金属メッシュ層56の露出面(すなわち、上面及び側面)を公知の方法で黒化処理し、黒化金属メッシュ層57を部分粘着性保護フィルム2Aの表面上に担持した黒化金属メッシュ担持体52Bを形成する。なお、図5(3A)に示す金属箔貼付体50において、黒化金属層を金属メッシュ形成用金属層51として用いることもでき、この場合は、黒化処理を省略することができる。
【0077】
(7)工程(3H)
続いて、図6(3H)に示すように、前記の黒化金属メッシュ担持体52Bの黒化金属メッシュ層57側の面で、剥離フィルム58に貼着させる。剥離フィルム58は、剥離処理を施した基板58a上に感圧性接着剤層58bを有し、その感圧性接着剤層58bによって黒化金属メッシュ層57を接着する。
【0078】
(8)工程(3I):
次に、図6(3I)の矢印Yに示すように、支持体3を介して活性エネルギー線(例えば、紫外線又は電子線)を部分粘着性感圧性接着剤層4Aに照射すると、未硬化領域4aの感圧性接着剤も硬化して粘着力が低下するので、部分粘着性保護フィルム2Aは全体として剥離性保護フィルム2Bに変換する。なお、支持体3は、照射によって前記感圧性接着剤の接着力を低下させることができる活性エネルギー線を透過することのできる材料からなる。
【0079】
(9)工程(3J)〜(3K)
続いて、図6(3J)に示すように、剥離性保護フィルム2Bを剥離すると、図6(3K)に示すように、電磁波シールド性金属メッシュ部材53Aを得ることができる。こうして得られた電磁波シールド性金属メッシュ部材53Aは、図16(模式的平面図)に示すように、所望のパターンを有する黒化金属メッシュ層57が剥離フィルム58上に担持された構造を有している。この電磁波シールド性金属メッシュ部材53Aは、被着体(例えば、電磁波遮蔽構成体や電磁波シールド性ディスプレイ用のプラスチック板)に貼着する前に基板58aを剥離し、残留させた感圧性接着剤層58bによって、前記被着体に貼着させることができる。なお、前記の電磁波遮蔽構成体や電磁波シールド性ディスプレイ用のプラスチック板とは、透明なプラスチック板の片面又は両面に、色調補正、熱線カット、反射防止、及び/又は傷つき防止等を目的とした積層(一般に光学フィルタと称される)を有する積層体を貼付したものである。
【0080】
前記金属箔貼付体50上に、被エッチング金属層として担持される金属メッシュ形成用金属層の金属箔としては、銅、アルミニウム、ニッケル、鉄、金、銀、ステンレス、タングステン、クロム、又はチタン等の金属からなる箔、あるいはそれらの2種以上を組み合わせた合金からなる箔を使用することができる。導電牲(電磁波シールド性)やメッシュパターン形成の容易さ、及び価格の点から銅、アルミニウム、又はニッケルの箔が適している。また、ニッケル、鉄、ステンレス、又はチタン等の常磁性金属からなる箔は、磁性シールド性にも優れるため好ましい。
【0081】
金属メッシュ形成用金属層の厚みは、0.5〜40μmが好ましい。40μmを越えると、細かいラインの形成が困難になったり、視野角が狭くなる。また、厚さが0.5μm未満では表面抵抗が大きくなり、電磁波シールド効果が劣る傾向にある。電磁波シールド性の観点からは、1〜20μmが更に好ましい。
【0082】
金属メッシュ形成用金属層の金属箔としては、通常、予め黒化処理した金属箔を用いることが多いが、本発明においては必ずしも予め黒化処理した金属箔を用いる必要はない。すなわち、本発明方法によって得られる電磁波シールド性金属メッシュ部材では、ディスプレイ(被着体)のコントラストを向上させるための金属の黒化処理面は、ディスプレイ(被着体)と貼付されるので、最初から黒化処理された金属箔を使う必要はない。もちろん、黒化処理した金属箔を用いることもできる。すなわち、本発明による電磁波シールド性金属メッシュ部材の製造方法では、電磁波シールド性金属メッシュ部材を製造してから黒化処理を行い、その後に最終的な被着体(例えば、ディスプレイ)に電磁波シールド性金属メッシュ部材を転写するので、電磁波シールド性金属メッシュ部材を被着体(例えば、ディスプレイ)に貼着させるための接着剤に、黒化処理に伴う凹凸が転写しないことが特徴である。
【0083】
前記の黒化処理工程(3G)において、金属メッシュ層56の露出表面の黒化処理は、プリント配線板分野で行われている通常の方法により、通常の黒化処理液を用いて行うことができる。黒化処理工程(3G)では、金属メッシュ層56の露出上面及び露出横面を黒化処理する。黒化処理は、例えば、亜塩素酸ナトリウム(31g/L)、水酸化ナトリウム(15g/L)、又はリン酸三ナトリウム(12g/L)の水溶液中、95℃で2分間処理することにより、行うことができる。
【0084】
本発明方法によって得られる電磁波シールド性金属メッシュ部材は、ディスプレイの一部として使用される被着体支持体に貼着させることができる。
被着体支持体は、ディスプレイの一部として使用されるので、透明性が高いことが好ましく、具体的には全光線透過率で70%以上であることが好ましい。また、被着体支持体は、可撓性を有するフィルム形状又はシート形状であっても、あるいは可撓性を有していない板状でもよい。
【0085】
被着体支持体としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、又はポリプチレンテレフタレート等のポリエステル類、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、又はエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)等のポリオレフィン類、ポリ塩化ビニル、又はポリ塩化ビニリデン等のビニル類、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリフェニレンサルファイド、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、シクロオレフィン樹脂、又はポリメチルメタアクリレート等のアクリル樹脂、ポリエーテルケトン、ポリアリレート、ポリアセタール、三酢酸セルロース、フッ素樹脂板、ポリメチルペンテン、ポリウレタン、フタル酸ジアリル樹脂等の熱可塑性樹脂や、熱硬化性樹脂等のプラスチックフィルムやプラスチック板が挙げられる。
【0086】
被着体支持体としては、前記樹脂を単層で用いることもできるが、2種以上を積層して多層樹脂として用いることもできる。前記支持体のうち、透明性、耐熱性、取扱い性、及び価格の点から、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、又はシクロオレフィン樹脂が好ましい。
【0087】
被着体支持体の厚みとしては、5〜5mmが好ましく、形状により適性厚みが異なり、フィルム形状の場合は10〜200μmが更に好ましい。厚みが5μm未満であると取扱い性が悪くなり、500μmを越えると、可視光線透過率が悪くなる。また板形状の場合は0.5mm〜5mmがディスプレイの保護や強度、取扱い性の点から好ましい。
【0088】
本発明方法によって得られる電磁波シールド性金属メッシュ部材と被着体支持体とを貼付する際に用いられる接着剤には、接着性と透明性が必要である。すなわち、金属メッシュ部材と被着体支持体とが接着剤を介して貼付されている電磁波シールドメッシュが、ディスプレイの表面に貼り合わされることから、接着剤と被着体支持体の屈折率の差は、可能な範囲で少ない方が好ましく、0.1程度が好ましい。前記の接着剤は、一般的に粘着剤(感圧接着剤)又は接着剤と言われるものであり、アクリル樹脂系、ウレタン樹脂系、その両者のブレンド系、あるいは複合樹脂系の粘着剤又は接着剤を使用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0089】
本発明方法は、配線層膜間接続用部材(バンプ群樹脂充填体)、回路部材、又は電磁波シールド性金属メッシュ部材などの製造に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】配線層膜間接続用部材を製造する本発明方法の工程(1A)〜工程(1E)を順に示す模式的断面図である。
【図2】配線層膜間接続用部材を製造する本発明方法の工程(1F)〜工程(1J)を順に示す模式的断面図である。
【図3】回路部材を製造する本発明方法の工程(2A)〜工程(2E)を順に示す模式的断面図である。
【図4】回路部材を製造する本発明方法の工程(2F)〜工程(2I)を順に示す模式的断面図である。
【図5】電磁波シールド性金属メッシュ部材を製造する本発明方法の工程(3A)〜工程(3F)を順に示す模式的断面図である。
【図6】電磁波シールド性金属メッシュ部材を製造する本発明方法の工程(3G)〜工程(3K)を順に示す模式的断面図である。
【図7】部分粘着性感圧性接着剤層における未硬化領域及び硬化領域と、バンプフモト部との臨界的状態を模式的に示す断面図である。
【図8】部分粘着性感圧性接着剤層における未硬化領域及び硬化領域と、バンプフモト部との望ましくない関係を模式的に示す断面図である。
【図9】部分粘着性感圧性接着剤層における未硬化領域及び硬化領域と、バンプフモト部との好ましい関係を模式的に示す断面図である。
【図10】従来の配線層膜間接続用部材及び配線回路基板の製造方法の工程(1a)〜工程(1f)を順に示す模式的断面図である。
【図11】従来の配線層膜間接続用部材及び配線回路基板の製造方法の工程(1g)〜工程(1l)を順に示す模式的断面図である。
【図12】本発明方法又は従来法によって製造されるバンプ群樹脂充填体の模式的平面図である。
【図13】従来の回路部材の製造方法の工程(2a)〜工程(2e)を順に示す模式的断面図である。
【図14】従来の回路部材の製造方法の工程(2f)〜工程(2g)を順に示す模式的断面図である。
【図15】本発明方法又は従来法によって製造される回路部材の模式的平面図である。
【図16】本発明方法又は従来法によって製造される電磁波シールド性金属メッシュ部材の模式的平面図である。
【符号の説明】
【0091】
1・・・バンプ形成用金属層;2・・・保護フィルム;
2A・・・部分粘着性保護フィルム;2B・・・剥離性保護フィルム;
3,63・・・支持体;4・・・感圧性接着剤層;4a・・・未硬化領域;
4b・・・硬化領域;4x・・・露出部分;4y・・・非露出部分;
4A・・・部分粘着性感圧性接着剤層;5,45,55・・・レジスト膜;
6・・・バンプ;6a,6b・・・バンプ端;6c・・・バンプフモト部;
7・・・絶縁性樹脂層;8・・・導体回路用レジスト膜;9・・・導体回路;
10・・・金属箔貼付体;11,11A・・・バンプ群担持体;
12,12A・・・バンプ群樹脂担持体;13・・・バンプ群樹脂充填体;
14・・・回路形成用基板;15・・・配線回路基板;
21,22・・・導体回路形成用金属箔;
23,24・・・導体金属メッシュ形成用金属層;31・・・照射マスクシート;
31a・・・非透過領域;31b・・・透過領域;40・・・金属箔貼付体;
41・・・回路形成用金属層;41A・・・回路担持体;42A・・・回路基板担持体;
43A・・・回路基板;46・・・回路層;47・・・絶縁性シート層;
50・・・金属箔貼付体;51・・・金属メッシュ形成用金属層;
51A・・・金属メッシュ担持体;
52B・・・黒化金属メッシュ担持体;
53A・・・電磁波シールド性金属メッシュ部材;
56・・・金属メッシュ層;57・・・黒化金属メッシュ層;
58・・・剥離フィルム;58a・・・基板;58b・・・感圧性接着剤層。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1)(a)活性エネルギー線を照射することによって接着力を低下させることができる感圧性接着剤からなる層を、支持体の一方の表面上に担持している保護フィルムと、(b)その保護フィルムに前記感圧性接着剤層を介して貼付されている被エッチング金属層とを含む、金属箔貼付体を用意し、
(2)(a)前記金属箔貼付体の前記被エッチング金属層の表面にレジスト膜を形成する工程、及び(b)前記活性エネルギー線を透過する透過領域と前記活性エネルギー線を透過しない非透過領域とを有する照射マスクシートを介して、前記感圧性接着剤層に前記活性エネルギー線を照射して、前記レジスト膜を介して行う前記被エッチング金属層のエッチング工程においてエッチング液と接触することになる接触領域を少なくとも照射して前記感圧性接着剤を硬化させ、前記エッチング液と接触することのない非接触領域の少なくとも一部を照射せずに前記感圧性接着剤を未硬化状態に維持する工程
を任意の順序で実施し、
(3)前記被エッチング金属層に対してエッチング工程を実施し、
(4)前記活性エネルギー線の照射によって、未硬化状態の前記感圧性接着剤を硬化させ、そして
(5)前記保護フィルムを剥離してエッチング金属体を形成する
各工程を含むことを特徴とする、前記エッチング金属体の製造方法。
【請求項2】
前記エッチング金属体が、配線層膜間接続用部材、回路部材、又は電磁波シールド性金属メッシュ部材である、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記工程(2)(b)において、前記エッチング液と接触することのない非接触領域の一部であって、前記エッチング液との接触領域に隣接する領域にも前記活性エネルギー線を照射して、前記感圧性接着剤を硬化させる、請求項1又は2に記載の製造方法。
【請求項4】
前記感圧性接着剤の前記活性エネルギー線照射前の初期剥離力が、0.05〜30N/25mmである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項5】
前記感圧性接着剤の前記活性エネルギー線照射後の剥離力が、0.05N/25mm未満である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の製造方法によって得られるエッチング金属体。
【請求項7】
(1)(a)活性エネルギー線を照射することによって接着力を低下させることができる感圧性接着剤からなる層を、支持体の一方の表面上に担持している保護フィルムと、(b)その保護フィルムに前記感圧性接着剤層を介して貼付されているバンプ形成用金属層とを含む、金属箔貼付体を用意し、
(2)(a)前記金属箔貼付体の前記バンプ形成用金属層の表面にレジスト膜を形成する工程、及び(b)前記活性エネルギー線を透過する透過領域と前記活性エネルギー線を透過しない非透過領域とを有する照射マスクシートを介して、前記感圧性接着剤層に前記活性エネルギー線を照射して、前記レジスト膜を介して行う前記バンプ形成用金属層のエッチング工程においてエッチング液と接触することになる接触領域を少なくとも照射して前記感圧性接着剤を硬化させ、前記エッチング液と接触することのない非接触領域の少なくとも一部を照射せずに前記感圧性接着剤を未硬化状態に維持する工程
を任意の順序で実施し、
(3)前記バンプ形成用金属層に対してエッチング工程を実施し、
(4)前記レジスト膜を除去した後に、前記エッチング工程によって形成されるバンプ群層の間隙に絶縁性樹脂層を充填して、前記保護フィルム上にバンプ群樹脂充填体を形成し、
(5)前記保護フィルムに前記活性エネルギー線を照射して、未硬化状態の前記感圧性接着剤を硬化させ、そして
(6)前記保護フィルムを剥離して配線層膜間接続用部材を形成する
各工程を含むことを特徴とする、前記配線層膜間接続用部材の製造方法。
【請求項8】
(1)(a)活性エネルギー線を照射することによって接着力を低下させることができる感圧性接着剤からなる層を、支持体の一方の表面上に担持している保護フィルムと、(b)その保護フィルムに前記感圧性接着剤層を介して貼付されている回路形成用金属層とを含む、金属箔貼付体を用意し、
(2)(a)前記金属箔貼付体の前記回路形成用金属層の表面にレジスト膜を形成する工程、及び(b)前記活性エネルギー線を透過する透過領域と前記活性エネルギー線を透過しない非透過領域とを有する照射マスクシートを介して、前記感圧性接着剤層に前記活性エネルギー線を照射して、前記レジスト膜を介して行う前記回路形成用金属層のエッチング工程においてエッチング液と接触することになる接触領域を少なくとも照射して前記感圧性接着剤を硬化させ、前記エッチング液と接触することのない非接触領域の少なくとも一部を照射せずに前記感圧性接着剤を未硬化状態に維持する工程
を任意の順序で実施し、
(3)前記回路形成用金属層に対してエッチング工程を実施し、
(4)前記保護フィルムに前記活性エネルギー線を照射して、未硬化状態の前記感圧性接着剤を硬化させ、そして
(5)前記保護フィルムを剥離して回路部材を形成する
各工程を含むことを特徴とする、前記回路部材の製造方法。
【請求項9】
前記エッチング工程(3)によって形成される回路層を、絶縁性シートに埋め込んで固定する工程を更に実施する、請求項8に記載の製造方法。
【請求項10】
(1)(a)活性エネルギー線を照射することによって接着力を低下させることができる感圧性接着剤からなる層を、支持体の一方の表面上に担持している保護フィルムと、(b)その保護フィルムに前記感圧性接着剤層を介して貼付されている電磁波シールド性金属メッシュ形成用金属層とを含む、金属箔貼付体を用意し、
(2)(a)前記金属箔貼付体の前記金属メッシュ形成用金属層の表面にレジスト膜を形成する工程、及び(b)前記活性エネルギー線を透過する透過領域と前記活性エネルギー線を透過しない非透過領域とを有する照射マスクシートを介して、前記感圧性接着剤層に前記活性エネルギー線を照射して、前記レジスト膜を介して行う前記金属メッシュ形成用金属層のエッチング工程においてエッチング液と接触することになる接触領域を少なくとも照射して前記感圧性接着剤を硬化させ、前記エッチング液と接触することのない非接触領域の少なくとも一部を照射せずに前記感圧性接着剤を未硬化状態に維持する工程
を任意の順序で実施し、
(3)前記金属メッシュ形成用金属層に対してエッチング工程を実施し、
(4)前記保護フィルムに前記活性エネルギー線を照射して、未硬化状態の前記感圧性接着剤を硬化させ、そして
(5)前記保護フィルムを剥離して電磁波シールド性金属メッシュ部材を形成する
各工程を含むことを特徴とする、前記電磁波シールド性金属メッシュ部材の製造方法。
【請求項11】
前記エッチング工程(3)によって形成される電磁波シールド性金属メッシュ層の表面を黒化処理する工程を更に実施する、請求項10に記載の製造方法。
【請求項12】
前記エッチング工程(3)によって形成される電磁波シールド性金属メッシュ層を、感圧性接着剤層を有する被着体に貼付する工程を更に実施する、請求項10又は11に記載の製造方法。
【請求項1】
(1)(a)活性エネルギー線を照射することによって接着力を低下させることができる感圧性接着剤からなる層を、支持体の一方の表面上に担持している保護フィルムと、(b)その保護フィルムに前記感圧性接着剤層を介して貼付されている被エッチング金属層とを含む、金属箔貼付体を用意し、
(2)(a)前記金属箔貼付体の前記被エッチング金属層の表面にレジスト膜を形成する工程、及び(b)前記活性エネルギー線を透過する透過領域と前記活性エネルギー線を透過しない非透過領域とを有する照射マスクシートを介して、前記感圧性接着剤層に前記活性エネルギー線を照射して、前記レジスト膜を介して行う前記被エッチング金属層のエッチング工程においてエッチング液と接触することになる接触領域を少なくとも照射して前記感圧性接着剤を硬化させ、前記エッチング液と接触することのない非接触領域の少なくとも一部を照射せずに前記感圧性接着剤を未硬化状態に維持する工程
を任意の順序で実施し、
(3)前記被エッチング金属層に対してエッチング工程を実施し、
(4)前記活性エネルギー線の照射によって、未硬化状態の前記感圧性接着剤を硬化させ、そして
(5)前記保護フィルムを剥離してエッチング金属体を形成する
各工程を含むことを特徴とする、前記エッチング金属体の製造方法。
【請求項2】
前記エッチング金属体が、配線層膜間接続用部材、回路部材、又は電磁波シールド性金属メッシュ部材である、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記工程(2)(b)において、前記エッチング液と接触することのない非接触領域の一部であって、前記エッチング液との接触領域に隣接する領域にも前記活性エネルギー線を照射して、前記感圧性接着剤を硬化させる、請求項1又は2に記載の製造方法。
【請求項4】
前記感圧性接着剤の前記活性エネルギー線照射前の初期剥離力が、0.05〜30N/25mmである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項5】
前記感圧性接着剤の前記活性エネルギー線照射後の剥離力が、0.05N/25mm未満である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の製造方法によって得られるエッチング金属体。
【請求項7】
(1)(a)活性エネルギー線を照射することによって接着力を低下させることができる感圧性接着剤からなる層を、支持体の一方の表面上に担持している保護フィルムと、(b)その保護フィルムに前記感圧性接着剤層を介して貼付されているバンプ形成用金属層とを含む、金属箔貼付体を用意し、
(2)(a)前記金属箔貼付体の前記バンプ形成用金属層の表面にレジスト膜を形成する工程、及び(b)前記活性エネルギー線を透過する透過領域と前記活性エネルギー線を透過しない非透過領域とを有する照射マスクシートを介して、前記感圧性接着剤層に前記活性エネルギー線を照射して、前記レジスト膜を介して行う前記バンプ形成用金属層のエッチング工程においてエッチング液と接触することになる接触領域を少なくとも照射して前記感圧性接着剤を硬化させ、前記エッチング液と接触することのない非接触領域の少なくとも一部を照射せずに前記感圧性接着剤を未硬化状態に維持する工程
を任意の順序で実施し、
(3)前記バンプ形成用金属層に対してエッチング工程を実施し、
(4)前記レジスト膜を除去した後に、前記エッチング工程によって形成されるバンプ群層の間隙に絶縁性樹脂層を充填して、前記保護フィルム上にバンプ群樹脂充填体を形成し、
(5)前記保護フィルムに前記活性エネルギー線を照射して、未硬化状態の前記感圧性接着剤を硬化させ、そして
(6)前記保護フィルムを剥離して配線層膜間接続用部材を形成する
各工程を含むことを特徴とする、前記配線層膜間接続用部材の製造方法。
【請求項8】
(1)(a)活性エネルギー線を照射することによって接着力を低下させることができる感圧性接着剤からなる層を、支持体の一方の表面上に担持している保護フィルムと、(b)その保護フィルムに前記感圧性接着剤層を介して貼付されている回路形成用金属層とを含む、金属箔貼付体を用意し、
(2)(a)前記金属箔貼付体の前記回路形成用金属層の表面にレジスト膜を形成する工程、及び(b)前記活性エネルギー線を透過する透過領域と前記活性エネルギー線を透過しない非透過領域とを有する照射マスクシートを介して、前記感圧性接着剤層に前記活性エネルギー線を照射して、前記レジスト膜を介して行う前記回路形成用金属層のエッチング工程においてエッチング液と接触することになる接触領域を少なくとも照射して前記感圧性接着剤を硬化させ、前記エッチング液と接触することのない非接触領域の少なくとも一部を照射せずに前記感圧性接着剤を未硬化状態に維持する工程
を任意の順序で実施し、
(3)前記回路形成用金属層に対してエッチング工程を実施し、
(4)前記保護フィルムに前記活性エネルギー線を照射して、未硬化状態の前記感圧性接着剤を硬化させ、そして
(5)前記保護フィルムを剥離して回路部材を形成する
各工程を含むことを特徴とする、前記回路部材の製造方法。
【請求項9】
前記エッチング工程(3)によって形成される回路層を、絶縁性シートに埋め込んで固定する工程を更に実施する、請求項8に記載の製造方法。
【請求項10】
(1)(a)活性エネルギー線を照射することによって接着力を低下させることができる感圧性接着剤からなる層を、支持体の一方の表面上に担持している保護フィルムと、(b)その保護フィルムに前記感圧性接着剤層を介して貼付されている電磁波シールド性金属メッシュ形成用金属層とを含む、金属箔貼付体を用意し、
(2)(a)前記金属箔貼付体の前記金属メッシュ形成用金属層の表面にレジスト膜を形成する工程、及び(b)前記活性エネルギー線を透過する透過領域と前記活性エネルギー線を透過しない非透過領域とを有する照射マスクシートを介して、前記感圧性接着剤層に前記活性エネルギー線を照射して、前記レジスト膜を介して行う前記金属メッシュ形成用金属層のエッチング工程においてエッチング液と接触することになる接触領域を少なくとも照射して前記感圧性接着剤を硬化させ、前記エッチング液と接触することのない非接触領域の少なくとも一部を照射せずに前記感圧性接着剤を未硬化状態に維持する工程
を任意の順序で実施し、
(3)前記金属メッシュ形成用金属層に対してエッチング工程を実施し、
(4)前記保護フィルムに前記活性エネルギー線を照射して、未硬化状態の前記感圧性接着剤を硬化させ、そして
(5)前記保護フィルムを剥離して電磁波シールド性金属メッシュ部材を形成する
各工程を含むことを特徴とする、前記電磁波シールド性金属メッシュ部材の製造方法。
【請求項11】
前記エッチング工程(3)によって形成される電磁波シールド性金属メッシュ層の表面を黒化処理する工程を更に実施する、請求項10に記載の製造方法。
【請求項12】
前記エッチング工程(3)によって形成される電磁波シールド性金属メッシュ層を、感圧性接着剤層を有する被着体に貼付する工程を更に実施する、請求項10又は11に記載の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2006−114779(P2006−114779A)
【公開日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−302037(P2004−302037)
【出願日】平成16年10月15日(2004.10.15)
【出願人】(000222118)東洋インキ製造株式会社 (2,229)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年10月15日(2004.10.15)
【出願人】(000222118)東洋インキ製造株式会社 (2,229)
【Fターム(参考)】
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