説明

エネルギー効率のよい送信のためのビット・レートおよび送信電力を選択する方法

伝搬時間距離決定方法は、ハンドセットからAPへとプローブ要求を送ることと、返りのACKを受信することとを含む。プローブ要求がAPへと伝搬するのにかかる時間と、ターンアラウンド時間と、ACKが伝搬してハンドセットへと返ってくるのにかかる時間とが、ハンドセットで測定される。ターンアラウンド時間が、測定された時間から減じられ、その結果が、距離決定を行うために使用される。電力の消費を減じるために、ハンドセットによってAP局へと送られたプローブ要求の許容可能な受信をもたらす「最低総送信エネルギー」設定が、決定される。最低総送信エネルギー設定は、ビット・レート設定と送信電力設定とを含む。最低総送信エネルギー設定は、伝搬時間距離決定トランザクションの実行にあたり、プローブ要求がハンドセットから送られる場合にプローブ要求を送るために使用される。

【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
本願は、Sridhara他による、「エネルギー効率のよいレンジングのためのプローブ・パケットのレートおよび変調を選択する方法」(Method of Selecting Rate and Modulation of Probe Packets for Energy Efficient Ranging)と題する、2010年1月18日に出願された米国仮出願番号第61/295,918号に関する、35U.S.C.§119の下での権利を主張するものであり、上記仮出願は、引用によって本明細書に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
開示された実施形態は、エネルギー効率のよいパケット送信のためのビット・レートおよび送信電力を決定することに関する。
【背景技術】
【0003】
ユーザが複数のAP(アクセス・ポイント)によってサービスされるエリア全体にわたって非AP局(たとえば、WiFi能力を有するセルラ電話ハンドセット)を携行する際に、そのハンドセットの位置をそのハンドセットで知ることは、有用であり、多くの応用例を有する。ハンドセットの位置を決定する1つの手法は、AP間の三角測量を含む。ハンドセットから多数のAPまでの距離が決定され、これらの距離と、APの位置についての他の情報とが、ハンドセットの位置を決定するために使用される。信号強度に基づいて距離を決定する方法が使用され得る。WiFi IEEE802.11ネットワークにおいて、ハンドセットは、異なるビット・レート設定と異なる送信電力設定とを使用して、APに送信し得る。ビット・レート設定と送信電力設定との組み合わせは、ある送信の、あるビットを送信するために必要とされる、総エネルギーを決定する。APは、ビーコンと呼ばれる送信を、定期的に送信する。APがビーコンを送信するのに用いる送信電力は、ハンドセットにより、経時的に推定され得る。ビーコンを受信するハンドセットは、ビーコンがハンドセットにおいて受信される際に、信号強度(RSSI)の評価を行うことができる。ビーコンが送信された際に用いられた既知の送信電力と、ビーコンが受信された際に測定されたRSSIとから、ハンドセットは、チャネル損失の評価を行うことができる。APからハンドセットまでのチャネル損失と、ハンドセットからAPまでのチャネル損失は、一般的に対称である。チャネル損失と距離との間には関連があるので、判定されたチャネル損失の情報から、ハンドセットは、ハンドセットとAPとの間の距離を概算することができる。不都合なことに、送信機と受信機との間の環境と障害物が、チャネル損失に影響を及ぼし得る。APとハンドセットとの間に存在し得る異なる周囲の状況と障害物とに依存して、ハンドセットとAPとの間の同一の距離に対し、異なる信号強度が受信機で検出され得る。結果的に、距離の決定は、実質的な誤りを有し、やや信頼性に欠け、環境に左右される。
【発明の概要】
【0004】
伝搬時間距離決定トランザクションおよび方法は、非AP局(たとえば、WiFi能力を有するセルラ電話ハンドセット)からAPへとプローブ要求送信を送ることと、APから返された、返りのアクノレッジメント送信(ACK)を受信することと、を含む。プローブ要求がハンドセットからAPへと伝搬するのにかかる伝搬時間と、APがプローブ要求を受信し、ACKを返送するのにかかるターンアラウンド時間と、ACKがAPから返されハンドセットへと伝搬するのにかかる伝搬時間とが、ハンドセットで測定される。ターンアラウンド時間は、往復の伝搬時間を決定するために、測定された時間から減じられる。往復の伝搬時間は、ハンドセットからAPまでの距離の距離決定を行うのに使用される。距離決定は、「レンジング」と呼ばれることもある。そのような伝搬時間トランザクションにおける電力消費を減じるために、ハンドセットによってAP局へと送られるプローブ要求の許容可能な受信をもたらす「最低総送信エネルギー」設定が決定される。許容可能な受信を達成することは、受信されているプローブ要求のある一定の信頼性が達成されるように、「最低総送信エネルギー」設定が絶対的に必要とされるエネルギーよりもわずかに大きい送信エネルギーを含むことを必要とし得る。
【0005】
最低総送信エネルギー設定を決定し得るいくつかの手法が考えられ得る。第1の手法では、ビーコンがハンドセットで受信され、この受信が、チャネル損失の判定を行うために使用される。そして、所定の総送信エネルギー設定が、所定のチャネル損失を補償するために調節され、それによって最低総送信エネルギー設定が生成される。第2の手法では、プローブ要求のシーケンスが、ハンドセットからAPへと送信される。第1のプローブ要求が、高い総送信エネルギー設定を使用して送信され、返りのACKが受信される。シーケンス中の連続するプローブ要求の各々は、より低い総送信エネルギーを使用して送られる。プローブ要求のうちの1つが、ACKが返されるという結果にならなかった場合、シーケンスは停止する。最低総送信エネルギー設定は、ACKが返されるという結果になった最後のプローブ要求を送信するために使用された設定である。第3の手法では、二分探索技法が使用され、一方の設定ではプローブ要求の送信がACKの返送という結果になり、もう一方の設定ではプローブ要求の送信がACKの返送という結果にならない、2つの隣り合う総送信エネルギー設定が決定される。二分探索が用いられる場合、ステップ204において、総送信エネルギー設定は連続的に減じられるのではなく、総送信エネルギー設定は2値パターンで変更される。最低総送信エネルギー設定は、ACKの返送という結果になる、2つの設定のうちの1つである。主要な目的は、チャネル損失に応じた最小エネルギー設定を学習することである。学習されると、手順は繰り返される必要がない。最低総送信エネルギー設定を決定する他の手法も考えられ得る。
【0006】
最低総送信エネルギー設定がどのように決定されるかに関わらず、その設定は、伝搬時間距離決定トランザクションにおいてハンドセットからAPへとプローブ要求を送るために使用される。一例において、伝搬時間距離決定トランザクションは、ハンドセットが、複数のAPによってサービスされるエリア内で、その位置を決定する、位置決定動作の一部である。
【0007】
決定された最低総送信エネルギー設定の使用は、上述したように、レンジングを最適化するのに使用可能であるが、決定された最低総送信エネルギー設定は、データ・フレーム、制御フレーム、および管理フレームの、エネルギー効率のよい送信を含むが、これらに限定されない、他の無線ローカル・エリア・ネットワーク(LAN)パケット送信を最適化するのにも使用可能である。最低総送信エネルギー設定を決定する方法は、プローブ要求を使用して実行されることができるが、この方法は、他のタイプの無線LANパケットを使用して実行されることもできる。
【0008】
上記は、概要であるため、必然的に簡潔化、一般化、および詳細の省略を含む。したがって、当業者は、この概要が単なる例示にすぎず、決して限定を意図するものではないということを理解するだろう。請求項によってのみ定義される、ここに説明されるデバイスおよび/または処理の他の態様、進歩的な構成、および利点は、ここで述べられる非限定的な発明の詳細な説明から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、低電力の伝搬時間距離決定トランザクションの図である。
【図2】図2は、最低総送信エネルギー設定が決定され得る第1の手法を示すフローチャートである。
【図3】図3は、最低総送信エネルギー設定が決定され得る第2の手法を示すフローチャートである。
【図4】図4は、図1の伝搬時間距離決定トランザクションにおけるエネルギー消費を減少させる方法のフローチャートである。
【図5】図5は、図1の低電力の伝搬時間距離決定トランザクションを位置決定の応用に使用した図である。
【図6】図6は、図5の非AP局3のブロック図である。
【図7】図7は、(送信電力設定が一定であると仮定して、)ビット・レート設定の変更がプローブ要求送信の総送信エネルギーをどのように変化させるかを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、低電力の伝搬時間距離決定トランザクションおよび方法1の図である。このトランザクションは、非AP局3(たとえば、セルラ電話ハンドセットのような移動通信デバイス)からAP局4へ「プローブ要求」2と呼ばれる送信を送ることを含む。プローブ要求を送る際、ビット・レートが低いと、プローブ要求の各ビットを送信するためにハンドセットの送信機で必要とされる時間はより長くなる。ビット・レートが高いと、プローブ要求の各ビットを送信するためにハンドセットの送信機で必要とされる時間の長さはより短くなる。すなわち、プローブ要求2を送信するのにどれほど長くかかるかは、ビット・レートに依存する。しかしながら、プローブ要求2がハンドセット3からAP4へと伝搬するのにかかる時間T1は、ハンドセット3とAP4との間の距離の関数であり、使用されるビット・レートに依存しない。
【0011】
次に、伝搬時間距離決定トランザクションには、ターンアラウンド時間T2がある。ターンアラウンド時間T2は一般的に、製造元ならびに適用可能なIEEE802.11規格の両方に依存する。ターンアラウンド時間T2は、AP4がプローブ要求2を受信し、ハンドセット3にアクノレッジメント送信(ACK)4を返送するのにかかる時間である。時間T3は、APからハンドセットへのACKの伝搬時間である。APがACKを返送するのに加え、AP4は、IEEE802.11規格にしたがって、後にハンドセットへ「プローブ応答」6を返送する。伝搬時間に基づいた距離決定トランザクションは、「プローブ応答」6の受信にも、それまでに送られたプローブ応答にも依存しない。距離決定トランザクションは、ACK5を使用して時間TMを測定する。図1に示されているように、時間TMは、プローブ要求の伝搬時間T1と、APのターンアラウンド時間T2と、APからハンドセットへと返されたACKの伝搬時間T3とを含む。
【0012】
IEEE802.11は、APがACKの返送を要求されるまでに費やすことを許容される最小の長さのターンアラウンド時間を規定している。しかしながら、ターンアラウンド時間T2の実際の長さは、APの種類および製造元によって異なる。とはいえ、APは普通、ハードウェアMAC処理回路を有するので、結果として、所与のAPのターンアラウンド時間は、ほぼ一定である。ハンドセットは、伝搬時間距離決定トランザクションにおいて、所与のAPのターンアラウンド時間T2を測定し、またはそうでなければ特徴づけることができ、ターンアラウンド時間を変数として除くことができる。ハンドセットがプローブ要求を送信するのにどれほど長くかかるかにビット・レートが影響を与えるのと同様に、ビット・レートは、ハンドセットがACKを受信するのにどれほど長くかかるかにも影響を与える。
【0013】
図1の伝搬時間に基づいた距離決定トランザクションでは、距離がハンドセット3で決定される。まず、時間TMが測定される。合成往復伝搬時間T1+T3を生成するために、ターンアラウンド時間T2が、測定された時間TMから減じられる。この往復の伝搬時間は、ハンドセットからAPまでの距離の距離決定を行うために使用される。
【0014】
この方法においてプローブ要求2を送る場合、ハンドセット3は、以下の規格、すなわち、802.11(a)、または(b)、または(g)、または(n)のうちの1つを使用するようにプログラムされ得る。どの規格が使用されるかが、使用され得る許容ビット・レート設定のセットを定義する。上述したように、低いビット・レートが使用されると、プローブ要求を送出するのに長時間かかる。したがって、ハンドセットの送信機は、長時間にわたってオン状態であり、これは多くのエネルギーを消費する。ハンドセットでACKを受信するのにも長時間かかるので、ハンドセットの受信機は、長時間にわたってオン状態であり、これは多くのエネルギーを消費する。このように、低いビット・レートを使用すると、比較的多くの量のエネルギーがハンドセットで消費される。高いビット・レートを使用すると、ハンドセットの送信機と受信機がオン状態である時間の長さを短くすることによってエネルギーの消費が減じられるが、APがプローブ要求を受信できないおそれがあり、および/または、ハンドセットがACKを受信できないおそれがある。所与の送信電力設定で、より高いビット・レートが使用されると、所与の距離にわたる雑音によってコンステレーションが損なわれている確率が高くなる。一般的に、より少ない雑音の量は信号を損ない得るので、APはプローブ要求を受信できない。
【0015】
1つの新規な態様によると、APで許容可能な受信信号強度のためのプローブ要求の送信に対する「最低総送信エネルギー」という結果になる、ビット・レート設定と送信電力設定との組み合わせが、(「伝搬時間に基づいた距離決定方法」における使用のために)選択される。この特定の例における「総送信エネルギー設定」という用語は、ビット・レート設定と送信電力設定との組み合わせのことを言う。プローブ要求の許容可能な受信を達成することは、ある一定の通信の信頼性が達成されるように、最低総送信エネルギー設定が絶対的に必要とされるエネルギーよりもわずかに大きい送信エネルギーを含むことを必要とし得る。伝搬時間に基づいた距離決定トランザクションの実行における最低総送信エネルギー設定の使用は、距離決定トランザクションのエネルギー消費を減じる。ハンドセットが最低総送信エネルギー設定を決定し得る複数の手法がある。例示のために、3つの手法を下記において説明する。
【0016】
最低総送信エネルギー設定を決定する第1の手法は、「テーブル」と呼ばれる、ある特定の情報の使用を含む。AP局のチップセットおよびハンドセットのチップセットの各ベンダーは一般的に、テーブルを提供する。このテーブルは、所与の規格の下で許容されるビット・レートのアレイの受信のために必要とされる最小信号強度を示す。このテーブルは基本的に、所与のチップセットの受信機の特性を表す。一般的に、AP局用に、そのようなテーブルがあり、ハンドセット用にも、そのような別のテーブルがある。ハンドセットは、必ずしもAP用のテーブルを分かっているわけではないが、ハンドセット用のテーブルとAP局用のテーブルは一般的に互いにそれほど異ならないので、ハンドセットは、下記のチャネル損失補償方法において、ハンドセット用のテーブルを使用する。ハンドセットが、上述した第2の手法または第3の手法、または任意の他の手法によって、ある時間期間にわたり、このテーブルを学習するということもまた考えられる。この情報は一般的にテーブルと呼ばれるが、この情報は、実際には、任意の適切な手法およびフォーマットで記憶されることができる。テーブルという用語は、記憶された情報の種類と情報との関係のことを言う。
【0017】
ハンドセットがAP局からビーコンを受信すると、ハンドセットは、AP局がビーコンを送信した際に用いた推定送信電力の知識を使用することと、ハンドセットがビーコンを受信した際に測定したRSSIを使用することとによって、上述した「チャネル損失」の評価を行う。最低総送信エネルギー設定は、所定の総送信エネルギー設定(一例では、この所定の総送信エネルギー設定は、テーブルから得られた最大許容ビット・レートを含む)を用いることと、判定されたチャネル損失を補償するために、この所定の総送信エネルギー設定を調節することとによって、決定される。送信エネルギーは、ビット・レート設定を下げることによって、または送信電力設定を上げることによって、またはその両方によって、増加し得る。チャネル損失を補償するための調節の結果は、ハンドセットが最低「総送信エネルギー」でAP局に送信するために使用し得る、ビット・レート設定と送信電力設定である。この決定を行うためにAP局から受信されなければならないビーコンは1つだけである。しかしながら、より望ましいチャネル損失平均値を得るために、複数のビーコンが使用されることもできる。
【0018】
図2は、最低総送信エネルギーを決定する第1の手法のフローチャートである。ハンドセットは、初期送信電力設定(たとえば、その最大送信電力設定である17dBm)を有する。(APからハンドセットへのビーコン送信の)受信信号強度(たとえば、−62dBm)が、ハンドセットで決定される。その送信がビーコンだったことをハンドセットは知っており、ビーコンを送信するために使用された送信電力も知っているので、その送信を行うためにAP局によって使用された送信電力は17dBmであると分かる。したがって、ハンドセットは、チャネル損失が79dB(17dBm+62dBm)であると判定することができる(ステップ101)。
【0019】
ハンドセットは、APが複数の許容ビット・レート設定の各々で受信するために必要とされる最小受信電力を示す最大許容ビット・レート・テーブル(下記のテーブル1を参照)を知っている。
【表1】

【0020】
テーブル1は、APが54Mbpsの送信を受信するために必要とされる最小RSSIが−71dBmであることを示している(54Mbpsは802.11における最大ビット・レート送信である)。しかしながら、ハンドセットが17dBmの送信電力設定を使用していた場合、APで受信される信号は、必要とされた−71dBmではなく、(17dBmの送信電力に79dBのチャネル損失を加えた)−62dBmという、より高い信号強度を有するだろう。ハンドセットが17dBmで送信しようとしていたのなら、ハンドセットは、必要な電力よりも9dBm大きい電力で送信することになるだろう。したがって、ハンドセットは、8dBmという下げられた送信電力設定で送信し得ることを決定し、APは、引き続き54MBpsで受信することができる。このように、最低総送信エネルギーのこの決定は、送信電力を調節して17dBmから8dBmの設定に下げ、総送信エネルギーを54MBpsのビット・レートを受信するのに必要な最低総送信エネルギーまで減少させることによって、総送信エネルギー設定を調節すること(ステップ102)を含む。最低総送信エネルギー設定は、54Mbpsのビット・レート設定と、8dBmの送信電力設定である。チャネルの非対称的な性質ゆえに不確定であり得るさらなる損失を考慮するために、送信電力設定を調節して8dBmに限りなく近づくように下げるのではなく、17dBmの初期送信電力設定を調節して、いくらかより少ない量に下げることができる。この例における最低総送信エネルギー設定は、たとえば、54Mbpsのビット・レート設定と、9dBmの送信電力設定であることができる。
【0021】
下記に、最低総送信エネルギー設定を決定することができる第1の手法の特定の例を示す。この特定の例において使用される変数は、次のような意味を有する。RTxは、RTTプローブの送信ビット・レートであり、Mbpsで表される。Pmaxは、最大許容送信電力であり、dBmで表される。Cは、ハンドセットとAPとの間のチャネル損失であり、dBで表される。Preqは、最小必要受信電力であり、dBmで表される。PTxは、RTTプローブのためのハンドセットのRF送信電力であり、dBmで表される。PRxは、プローブ・アクノレッジメントの受信電力である。Pminは、最小許容電力であり、dBmで表される。TTxは、RTTプローブのためのハンドセットのRF送信時間であり、マイクロ秒で表される。TRxは、受信されたRTTプローブのビット・レートであり、Mbpsで表される。Eは、RTTのためのハンドセットの合計RFエネルギーであり、nJで表される。インデクスiは、ループするインデクスであり、テーブル1のテーブルの行を指定するインデクスでもある。プローブ要求の送信電力PTxは、Pmin以上Pmax以下でなくてはならない。Pmaxの制約が生じるのは、ハンドセットの電力増幅器が最大出力能力を有する上に、FCC制限が無線規格によって課されるからである。Pminの制約が生じるのは、CSMA(キャリア・センス多元接続(carrier-sense multiple access))プロトコルが正常に動作するために、ハンドセットの送信が無線レンジで他のハンドセットにより受信されなくてはならないからである。
【0022】
まず、チャネル損失Cが判定される(ステップ101)。ハンドセットは、APからのビーコンの受信信号強度を測定することと、APのビーコン送信電力を知っていることとによって、このチャネル損失Cを推定することができる。次に、ハンドセットは、ループする下記の方法を使用して、最低総送信エネルギー設定を決定する(ステップ102)。最大送信ビット・レートRTx,iから始まり、(Pmax−C)がPreq,i以上かどうかの判定が行われる。答えが「はい」であれば、ビット・レートRTx,iは達成可能であると判定される。送信電力PTx,iが、max(Pmin,Preq,i+C)に設定される。これは、APにプローブ送信を受信させるための最小必要送信電力である。受信ビット・レートRRx,iが、RTx,iの関数であると推定される。RRx,iに基づいてPRx,iが推定される。たとえば、複数のストリーム、またはより高い帯域幅は、より大きな電力消費という結果になる。時間TTx,iおよび時間TRx,iが、所与のプローブの長さと、所与のACKの長さと、選択されたビット・レートとを使用して計算される。必要とされるエネルギーEiが計算される。一方、(Pmax−C)がPreq,iよりも小さい場合には、RTx,iは達成可能でないと判定され、テーブル1から次に大きいビット・レートRTx,iを使用して、処理が繰り返される。この表記法では、この処理が2度目に実行される際、インデクスiは、1から2へと増加する。テーブル1に示すように、考えられ得る送信ビット・レートRTx,iは、iが1だったこの方法における第1のパスでは、54Mbpsだったが、iが2であるこの方法における第2のパスでは、48Mbpsである。この方法のループは、ハンドセットの送信電力設定PTxとビット・レート設定RTx(合わせて最低総送信エネルギー設定であるPTxとRTx)が決定されるまで続く。
【0023】
このループする方法を使用して、ハンドセットは、最小エネルギーEiをもたらすビット・レート設定RTx,iを選択する。2つのビット・レート設定が同一のエネルギーをもたらす場合、より低いビット・レートは、雑音および干渉が存在しても、より確実に復号されることができるので、ハンドセットは、ロバスト性を高めるために、より低いビット・レート設定を選択することができる。あるいは、ハンドセットは、RTTレンジング持続時間を最小化するために、より高いビット・レート設定を選択することによって、総チャネル容量を増加させることができる。RTTレンジングでは大概そうであるように、プローブの長さおよびACKの長さLが一定ならば、ハンドセットは、考えられ得るチャネル損失Cの値(またはレンジ)の各々に対する、最適なビット・レートRTxと、最適な送信電力PTxとを事前計算することができる。するとハンドセットは、チャネル損失を推定した後、使用する最良のビット・レート設定および送信電力設定を、たとえばテーブルにおいて、ルック・アップするだけでよい。
【0024】
図3は、最低総送信エネルギー設定が決定され得る第2の手法を示すフローチャートである。総送信エネルギー設定は当初、高いレベルに設定されており(ステップ201)、プローブ要求は、この総送信エネルギー設定を使用して送信される(ステップ202)。AP局がACKを返送し(ステップ203)、総送信エネルギー設定が下げられる(ステップ204)。プローブ要求の送信(ステップ202)が繰り返される。このように、プローブ要求のシーケンスがハンドセットから送信され、ここにおいて、このシーケンスにおける連続するプローブ要求は、漸減する総送信エネルギーを有する。各プローブ要求に対し、AP局はACKを返送する。このシーケンスのあるポイントで、総送信エネルギーが非常に低いために、AP局がプローブ要求を受信しない。したがって、AP局は、ACKを返送しない。ACKが受信されない場合(ステップ203)、「最低総送信エネルギー」設定には、ACKが受信されるという結果になった最後の総送信エネルギー設定が割り当てられる(ステップ205)。この最低総送信エネルギー設定は、後に、「伝搬時間に基づいた距離決定トランザクション」においてプローブ要求を送るために使用される。
【0025】
第3の手法において、最低総送信エネルギー設定は、許容ビット・レート設定のアレイのインデクスの二分探索を使用して決定される。中間レベルの総送信エネルギー設定が、第1のプローブ要求を送るために使用される。ACKが受信された場合、第2のプローブ要求のための総送信エネルギーは、第1の中間レベルの総送信エネルギー設定の0.5倍になる。しかしながら、ACKが受信されなかった場合、第2のプローブ要求のための総送信エネルギーは、第1の中間レベルの総送信エネルギー設定の2.0倍になる。この処理は、一方の設定ではプローブ要求の送信がACKの返送という結果になり、もう一方の設定ではプローブ要求の送信がACKの返送という結果にならない、2つの隣り合う総送信エネルギー設定が見つかるまで、二分探索によって繰り返される。最低総送信エネルギー設定は、ACKが返送されるという結果になる、これらの2つの設定のうちの1つである。
【0026】
「最低総送信エネルギー」設定が決定される特定の手法に関わらず、この設定は、「伝搬時間距離決定トランザクション」において、後続の距離決定プローブ要求を送るために使用される。それらのプローブ要求を送るために「最低総送信エネルギー」設定を使用することによって、ハンドセットの総エネルギー消費が減じられる。これは、よりエネルギー効率のよい送信のためのテーブルを学習する手法である。
【0027】
図4は、伝搬時間に基づいた距離決定トランザクションにおける電力消費を減じる方法300の図である。第1のステップ301において、ハンドセット3によってAP4へと送られるプローブ要求の許容可能な受信をもたらす最低総送信エネルギー設定(たとえば、ビット・レート設定および送信電力設定)が決定される。第2のステップ302において、決定された最低総送信エネルギー設定が、伝搬時間距離決定トランザクションにおいてハンドセット3からAP4へとプローブ要求2を送出するために使用される。
【0028】
図5は、位置決定の応用例における低電力の伝搬時間距離決定トランザクションの使用図である。ハンドセット3は、いくつかのAP4、7、8の各々と、低電力の伝搬時間距離決定トランザクションを行うことによって、距離D1、D2、D3を決定する。これらのAPのうちの1つにプローブ要求を送るために使用された最低総送信エネルギー設定は、これらのAPのうちの別の1つにプローブ要求を送るために使用された最低総送信エネルギー設定とは異なり得る。距離D1、D2、D3の決定は、AP4、7、8についての位置情報L1、L2、L3とともに、三角測量によってハンドセット3の位置L4を決定するためにハンドセット3によって使用される。ハンドセット3は一般的に、ランダムな雑音源からのエラーを減じる平均結果を得るために、各AP局に複数のプローブ要求を送出する。位置決定は、位置に基づいたコンテキスト・アウェアな計算のために使用されることができる。そのような距離決定トランザクションがどれほど頻繁に実行されるかは、一般的に、ハンドセットで実行中のアプリケーション・プログラムに依存する。距離決定トランザクションは、ハンドセットが絶えずAPと「関連づけ」られなくても、ハンドセットが絶えずネットワークに接続されなくても、正しく実行されることができる。ハンドセット3が複数のAP4、7、8によってサービスされるエリアじゅうを移動する際、ハンドセット3は、低電力の距離決定トランザクションと三角測量による決定とを定期的に実行することにより、その位置情報L4を定期的に更新する。距離決定トランザクションは、毎秒1回といった比較的高い頻度で行われ得る。距離決定トランザクションは、ローミングのためにバックグラウンド・スキャニングが行われるよりも高い頻度で実行され得る。
【0029】
図6は、図5の非AP局3の簡潔なブロック図である。この例における非AP局3は、セルラ電話機能と802.11機能とを有する、セルラ電話ハンドセットである。セルラ電話機能は、アンテナ400と、無線周波数(RF)トランシーバ集積回路401と、デジタル・ベースバンド集積回路402と、ユーザ・インタフェース回路403とを含む。ユーザ・インタフェース回路は、たとえば、キーパッドと、ディスプレイ・スクリーンと、マイクロフォンと、スピーカとを含むことができる。セルラ電話機能は、セルラ電話通信を行うために使用可能である。802.11機能は、アンテナ404と、RFトランシーバ集積回路405と、802.11プロトコル処理ユニット406とを含む。プロトコル処理ユニット406は、図示されていない他のパーツの中でも特に、デジタル・プロセッサ407とメモリ408とを含む。メモリは、プロセッサによって実行可能な、(プログラムとも呼ばれる)プロセッサ実行可能命令のセットを記憶する。セルラ電話機能と802.11機能は、バス409を介して互いに伝達し合う。メモリ408におけるプログラム410のうちの1つは、最低総送信エネルギー設定を決定し、その最低総送信エネルギー設定を利用する距離決定トランザクションを開始し、制御するプログラムである。ブロック411は、プロセッサ407による、ビット・レート設定の決定と、記憶と、使用とを表す。矢印412は、プロセッサ407からトランシーバ405の送信部への、送信電力設定の伝達を表す。矢印413は、トランシーバ405の受信部からプロセッサ407への、受信信号強度の指示の伝達を表す。
【0030】
図7は、IEEE802.11(a)によるプローブ要求の送信に関し、ビット・レート設定を変更することが総送信エネルギーをどれほど変化させるかを示したグラフである。このグラフにおいて、総送信エネルギー値は正規化されている。54Mbps、48Mbps、36Mbpsのビット・レート設定が同一の概算総送信エネルギーをもたらす図7の例では、最低ビット・レート設定である36MbpsがSNR(信号対雑音比)を増大させるために使用される。
【0031】
このグラフにおける総送信エネルギー値の決定には、下記のパラメータと値が使用された。第一に、通信を受信した後、ハンドセットは、プローブ要求を送信するまでに、ある長さのdifs時間(MACパラメータdifs=34マイクロ秒)の間、待機する。difsとsifsの値は、ハンドセットとAPがどのようにチャネルを使用するかを決定する、MAC「キャリア検知多元接続」チャネル接続メカニズム・パラメータである。このdifs時間の間、ハンドセットの受信機はオン状態であり、一例では、375mW消費している。第二に、ハンドセットがプローブ要求を送る。プローブの長さは33バイトである。この時間の間、ハンドセットの送信機はオン状態であり、961mW消費している。第三に、ハンドセットは、リスニング・モードで、最大かつ最悪のケースの長さのsifs時間(MACパラメータsifs=16マイクロ秒)の間、待機し、375mWの受信電力を消費する。第四に、ハンドセットの受信機がACKを受信する。ACKの長さは14バイトである。ACKを受信するのに必要とされる時間の長さは、ビット・レート設定に依存する。ハンドセットの受信機は、この時間の間、オン状態であり、ハンドセットは、961mW消費している。
【0032】
1つ以上の例示的な実施形態において、説明された機能は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはそれらの任意の組み合わせで実現され得る。ソフトウェアで実現される場合、機能は、コンピュータ読取可能な媒体により、1つ以上の命令またはコードとして、記憶または伝送され得る。コンピュータ読取可能な媒体は、コンピュータ記憶媒体と、ある場所から別の場所へのコンピュータ・プログラムの転送を容易にする任意の媒体を含む通信媒体と、の両方を含む。記憶媒体は、コンピュータによってアクセスされ得る任意の入手可能な媒体であることができる。限定ではなく例として、そのようなコンピュータ読取可能な媒体は、所望のプログラムコードを命令またはデータ構造の形態で搬送または記憶するために使用され、コンピュータによってアクセスされ得る、RAM、ROM、EEPROM、CD−ROM、または他の光学ディスク記憶装置、磁気ディスク記憶装置または他の磁気記憶装置、または任意の他の媒体を含むことができる。さらに、いかなる接続も、コンピュータ読取可能な媒体と適切に称される。たとえば、ソフトウェアが、同軸ケーブル、光ファイバ・ケーブル、ツイスト・ペア、デジタル加入者線(DSL)、または、赤外線、無線、マイクロ波といった無線技術を使用して、ウェブサイト、サーバ、または他の遠隔ソースから伝送される場合、同軸ケーブル、光ファイバ・ケーブル、ツイスト・ペア、DSL、または、赤外線、無線、マイクロ波といった無線技術が、媒体の定義に含まれる。本明細書で使用されるディスク(diskおよびdisc)は、コンパクト・ディスク(CD)(disc)、レーザーディスク(登録商標)(disc)、光ディスク(disc)、デジタル多用途ディスク(DVD)(disc)、フロッピー(登録商標)ディスク(disk)、およびブルーレイ(登録商標)ディスク(disc)を含み、ディスク(disc)は、レーザーを用いてデータを光学的に再生するが、ディスク(disk)は、通常、データを磁気的に再生する。上記したものの組み合わせもまた、コンピュータ読取可能な媒体の範囲内に含まれるべきである。1つの特定の例では、図6のメモリ408が、コンピュータ実行可能命令であるプログラム410を記憶したコンピュータ読取可能な媒体であり、ここにおいて、プログラム410は、図6のプロセッサ407によってアクセスおよび実行され、プログラム410の実行により、図6の非AP局3は、図4の方法を実行する。
【0033】
ある特定の具体的な実施形態を教示のために上述したが、この特許明細書の教示は、一般的な応用性を有するものであり、上述した特定の実施形態に限定されない。最低総送信エネルギー設定の決定は、距離決定方法の一部として上述されたが、最低総送信エネルギー設定の決定は、距離決定方法の一部である必要はなく、むしろ、プローブ・パケット以外のパケットの送信や距離決定方法以外の応用例におけるエネルギー消費を減じることに、広く応用可能である。ビット・レートを調節する1つの手法は、MIMO送信機においてストリームの数を調節することである。このように、説明された特定の実施形態のさまざまな特徴の、さまざまな変更、適応、および組み合わせが、以下に示す特許請求の範囲から逸脱せずに実現されることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)ハンドセットによってアクセス・ポイント局(AP局)へと送られるプローブ要求の許容可能な受信をもたらす最低総送信エネルギー設定を決定することと、
(b)伝搬時間距離決定トランザクションにおいて、前記ハンドセットからプローブ要求を送出するために、前記(a)で決定された最低総送信エネルギー設定を使用することと
を備える方法。
【請求項2】
前記最低総送信エネルギー設定は、ビット・レート設定と送信電力設定とを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記(a)の決定することは、
前記ハンドセットで前記AP局からの信号を受信することと、ここにおいて、前記信号が特定の総送信エネルギーを用いて送信されたものであることを前記ハンドセットは知っている、
前記AP局から前記ハンドセットへの前記信号の送信に含まれたチャネル損失を判定することと、
所定の総送信エネルギー設定を用いることと、前記判定されたチャネル損失を補償するために前記所定の総送信エネルギー設定を調節することとによって、前記最低総送信エネルギー設定を決定することと
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記(a)の決定することは、
前記ハンドセットから前記AP局へ、漸減する総送信エネルギー設定を使用して、送信のシーケンスを送ることであって、送信がアクノレッジメント(ACK)の返受信なしに送られるまで、送信のシーケンスを送ることと、
前記(a)の最低総送信エネルギー設定を、最低総送信エネルギーを有し、かつ、ACKが返受信されるという結果になった、前記シーケンスにおいて使用された前記総送信エネルギー設定に決定することと
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記(a)の決定することは、
前記ハンドセットから前記APへ送信のシーケンスを送ること、ここにおいて、前記シーケンスの送信の総送信エネルギー設定が、二分探索パターンで変更され、アクノレッジメント(ACK)が返受信されるという結果になった送信の最低総送信エネルギー設定が決定される、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
(a)ハンドセットによってアクセス・ポイント局(AP局)へと送られるプローブ要求の許容可能な受信をもたらす、所定の送信電力に対する最大ビット・レートである、ビット・レートを決定することと、
(b)伝搬時間距離決定トランザクションにおいて、前記ハンドセットから前記AP局へとプローブ要求を送出するために、前記(a)で決定されたビット・レートを使用することと、ここにおいて、前記プローブ要求は、前記所定の送信電力を使用して送られる、
を備える方法。
【請求項7】
前記(a)で決定されたビット・レートは、複数の許容ビット・レート設定から選択されたビット・レートである、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記(a)の決定することは、
前記ハンドセットで前記AP局からの信号を受信することによって、チャネル損失を判定することと、
前記判定されたチャネル損失を補償するために総送信エネルギー設定のビット・レートを調節することによって、前記(a)のビット・レートを決定することと
を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記(a)の決定することは、
前記ハンドセットから前記AP局へ、漸増するビット・レートを使用して、送信のシーケンスを送ることであって、送信は送られたがアクノレッジメント(ACK)が返受信されなくなるまで、送信のシーケンスを送ることと、ここにおいて、前記シーケンスの送信はすべて、同一の送信電力設定を使用して送られる、
前記(a)のビット・レートを、ACKが返受信されるという結果になった、前記シーケンスにおいて使用された最大ビット・レートに決定することと
を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
(a)ハンドセットによってアクセス・ポイント局(AP局)へと送られるプローブ要求の許容可能な受信をもたらす、所定のビット・レートに対する最低送信電力設定である、送信電力設定を決定することと、
(b)伝搬時間距離決定トランザクションにおいて、前記ハンドセットから前記AP局へとプローブ要求を送出するために、前記(a)で決定された送信電力設定を使用することと、ここにおいて、前記プローブ要求は、前記所定のビット・レートを使用して送られる、
を備える方法。
【請求項11】
前記(a)の決定することは、
前記ハンドセットで前記AP局からの信号を受信することによって、チャネル損失を判定することと、
前記判定されたチャネル損失を補償するために総送信エネルギー設定の送信電力設定を調節することによって、前記(a)の送信電力設定を決定することと
を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記(a)の決定することは、
前記ハンドセットから前記AP局へ、漸減する送信電力設定を使用して、送信のシーケンスを送ることであって、送信は送られたがアクノレッジメント(ACK)が返受信されなくなるまで、送信のシーケンスを送ることと、ここにおいて、前記シーケンスの送信はすべて、同一のビット・レート設定を使用して送られる、
前記(a)の送信電力設定を、ACKが返受信されるという結果になった、前記シーケンスにおいて使用された最小送信電力設定に決定することと
を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記(a)の決定することは、
前記ハンドセットから前記APへ送信のシーケンスを送ること、ここにおいて、各送信は、総送信エネルギー設定を使用して送られ、前記シーケンスの送信の総送信エネルギー設定が、二分探索パターンで変更され、アクノレッジメント(ACK)が返受信されるという結果になった送信の最低総送信エネルギー設定が決定される、
を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
(a)非アクセス・ポイント局(非AP局)からアクセス・ポイント局(AP局)へとプローブ要求を送ることと、ここにおいて、前記プローブ要求は、複数の許容ビット・レートのうちの1つを使用して送られ、各ビット・レートは、プローブ要求を送るために使用されると、前記非AP局による対応する量のエネルギーの消費という結果になり、前記プローブ要求を送るために使用された前記1つのビット・レートは、前記非AP局による最大送信エネルギー消費量に対応するビット・レートではない、
(b)前記プローブ要求に応答して、前記非AP局でアクノレッジメント送信(ACK)を受信することと、
(c)前記(a)のプローブ要求を送ることと、前記(b)のACKを受信することとの間の時間長さを決定することと、
(d)前記非AP局と前記AP局との間の距離を示す距離情報を決定するために、前記時間長さを使用することと
を備える方法。
【請求項15】
アクセス・ポイント局(AP局)と伝搬時間距離決定トランザクションを行う非アクセス・ポイント局(非AP局)であって、
前記非AP局は、前記非AP局によって前記AP局へと送られるプローブ要求の許容可能な受信をもたらす最低総送信エネルギー設定を決定し、
前記非AP局は、前記伝搬時間距離決定トランザクションにおいて前記非AP局からプローブ要求を送出するために、前記決定された最低総送信エネルギー設定を使用する
非AP局。
【請求項16】
前記最低総送信エネルギー設定は、ビット・レート設定と送信電力設定とを含む、請求項15に記載の非AP局。
【請求項17】
前記非AP局は、IEEE802.11通信機能を有するセルラ電話であり、前記IEEE802.11通信機能は、前記伝搬時間距離決定トランザクションにおいて前記プローブ要求を送る、請求項15に記載の非AP局。
【請求項18】
前記伝搬時間距離決定トランザクションは、前記プローブ要求が前記非AP局から送られる時間と、それに応答してアクノレッジメント(ACK)が前記非AP局で受信される時間との間の時間差を測定することを含む、請求項15に記載の非AP局。
【請求項19】
装置であって、
アンテナと、
前記アンテナに結合された手段であって、
(a)非アクセス・ポイント局(非AP局)によってアクセス・ポイント局(AP局)へと送られるプローブ要求の許容可能な受信をもたらす最低総送信エネルギー設定を決定し、
(b)伝搬時間距離決定トランザクションにおいて、前記非AP局から前記アンテナによってプローブ要求を送出するために、前記(a)で決定された最低総送信エネルギー設定を使用する、
手段と
を備える装置。
【請求項20】
前記最低総送信エネルギー設定は、ビット・レート設定と送信電力設定とを含む、請求項19に記載の装置。
【請求項21】
前記手段は、さらに、
前記AP局から前記非AP局への信号の送信に含まれたチャネル損失を判定することと、
所定の総送信エネルギー設定を用いることと、前記判定されたチャネル損失を補償するために前記所定の総送信エネルギー設定を調節することとによって、前記最低総送信エネルギー設定を決定することと
によって、前記最低総送信エネルギーを決定する、請求項19に記載の装置。
【請求項22】
前記手段は、さらに、
前記非AP局に、前記非AP局から前記AP局へ、異なる総送信エネルギー設定を使用して、送信のシーケンスを送るようにさせることと、
前記(a)の最低総送信エネルギー設定を、ACKが返送されるという結果になった、前記シーケンスの送信において使用された総送信エネルギー設定に決定することと
によって、前記最低総送信エネルギー設定を決定する、請求項19に記載の装置。
【請求項23】
コンピュータ・プログラム製品であって、
非AP局(非AP局)によってアクセス・ポイント局(AP局)へと送られるプローブ要求の許容可能な受信をもたらす最低総送信エネルギー設定を決定するコードと、
伝搬時間距離決定トランザクションにおいて、前記非AP局からプローブ要求を送出するために、前記決定された最低総送信エネルギー設定が使用されるようにするコードと
を記録したコンピュータ読取可能な媒体
を備える、コンピュータ・プログラム製品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2013−517742(P2013−517742A)
【公表日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−550063(P2012−550063)
【出願日】平成23年1月18日(2011.1.18)
【国際出願番号】PCT/US2011/021572
【国際公開番号】WO2011/088466
【国際公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【出願人】(595020643)クゥアルコム・インコーポレイテッド (7,166)
【氏名又は名称原語表記】QUALCOMM INCORPORATED
【Fターム(参考)】