説明

エネルギー変換システムおよび方法

エネルギー変換システムは、静止構造体と、静止構造体に対し回転するよう構成され、回転軸を規定する回転可能な構造体とを含んでもよい。システムは、さらに、少なくとも一つのブレード部材と、少なくとも一つの軸受機構とを含んでもよい。少なくとも一つのブレード部材は、回転可能な構造体に取り付けられ、回転可能な構造体から半径方向外側に延び、回転軸と実質的に平行な方向に流れる流体流と相互作用し、回転可能な構造体を回転軸の回りに回転させるよう構成される。少なくとも一つの軸受機構は、回転可能な構造体が静止構造体の周りを回転するとき、回転可能な構造体および静止構造体の間の半径方向支持および軸方向支持の少なくとも一方を提供するよう、配置される。システムは、回転可能な構造体の回転を、電気および水素生成の少なくとも一つに変換するよう構成されてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2009年10月29日に出願された米国仮出願第61/256,009号と2010年4月19日に出願された米国仮出願第61/325,563の利益を主張し、これらの全体は参照により本願に含まれる。
【0002】
本教示は概して、例えば液体流といった流体流からの運動エネルギーを、例えば電気および/または水素生成といった他の形態のエネルギーに変換する、エネルギー変換システムに関する。
【背景技術】
【0003】
ここに使われるセクション見出しは、組織的目的のためだけであり、記述された主題をどのようにも限定しないと解釈されるべきである。
【0004】
例えば風または水流といった流体流からエネルギーを変換するシステムを用いる発電はよく知られている。潮流発電(tidal power)は、潮流によって引き起こされる水の動き、あるいは潮による海面レベルの昇降を利用する。水が上昇し、その後下降するとき、流れまたは電流が発生される。追加の形態の異なる圧力、例えばダムによって作られるものも、水を流れさせ、水の流れに関するエネルギーを他の有用な形態のエネルギーに変換するのを可能にするのに十分な水流速を作ることができる。
【0005】
液体塊(例えば水塊)の流れの自然的動作に依存する潮流発電は、再生可能エネルギー源として分類される。風力発電および太陽光発電のような他の再生可能エネルギー源と異なり、潮流発電は信頼性があり、予測可能である。水流は、クリーンで、信頼性があり、何年にも前に予測可能な再生可能な電力源であり、これにより既存のエネルギーグリッドとの統合を容易にする。さらに、水(例えば海水を含む)の基本的な物理的性質、すなわち、その密度(空気の密度の832倍であり得る)とその非圧縮性により、この媒体は、再生可能エネルギーを発生することに関し、他の再生可能エネルギー源と比較して、ユニークな「超高エネルギー密度」の可能性を持っている。この可能性は、要因に入れられる世界中での多くの沿岸地域および/または有用地域に存在する量と流量により、拡大される。
【0006】
潮流発電は、それ故、効率的で長期間の無公害電気、水素発生、および/または他の有用な形態のエネルギーの源を提供し、これは石油、天然ガスおよび石炭への世界的な現在の依存を減らすのを助ける。化石燃料リソースの減少された消費は、次いで、世界の大気中への温室効果ガスの排出を減らすのを助ける。
【0007】
幾つかの最近の潮流発電の計画は、タービンのような構造体を作動させるため、動いている水の運動エネルギーの使用に依存する。このようなシステムは水中の風車のように作用し、比較的低コストで環境に優しい影響を有する。幾つかのエネルギー変換システムにおいて、流体流が、軸の回りを回転するブレードと相互作用し、その回転は、電気または他の形態のエネルギーを作り出すために利用される。多くのこのようなエネルギー変換システムが、中心の回転シャフトに取り付けられたブレードまたは類似の構造を使用する一方、他のシステムは、他の手段によって支持されているブレードを有するシャフトレスの構成を使用する。このシャフトレス(または中心部が開放された(open-center))構成は、中心回転シャフトを使用するデザインによっては容易に提供されない数々の望ましい特徴を提供する。このようなシャフトレスデザインによって提供される特徴は、例えば、装置の全体抵抗を減少し、流れの中に装置を固定するための構造的要求を減らすこと;装置の中心部を流体流が自由に通れるようにし、その中を魚や他の海洋生物が通過するのを可能にする;より軽く強いブレードをもたらすブレードの構造的支持;装置毎のエネルギー回収の増大を可能にする、装置の寸法をスケールアップまたはダウンさせる能力;モジュラー部品を使う装置を製造する能力、これによりメンテナンス要求時にそれら部品を製造し交換するのを容易にする;を含む。
【0008】
エネルギー変換システムは、流体流(例えば動いている流れ)に関する比較的強い力の相互作用に起因するシステムの様々な部品への応力および/または歪みに関する課題を提起することができる。例えば、流体流(例えば潮流)がエネルギー変換システムと相互作用するとき、様々な部品に作用する一定量のスラストがあり、これは、一以上の部品、特に静止部品に対し動くよう構成された部品のずれを生じさせる。追加の課題が、エネルギーを発生する部品の相対回転動作に関するエネルギー変換システムの信頼性から生ずるかもしれない。例えば、このようなシステムの回転動作に関する摩擦および/または抵抗が、システムの効率を妨げるかもしれない。さらに、このような相対動作は、例えば、そのような部品の摩耗を生じさせ、これは、エネルギー変換システムが水中、例えば比較的厳しい劣化物質(例えば塩)を含む海または他の水塊の中に置かれたとき、悪化させられる。
【0009】
それ故、相互作用される流体流に関する力に対抗できるエネルギー変換システムおよび方法を提供することが望ましい。また、比較的低い摩擦および/または抵抗効果をもたらし、それによってエネルギー変換の全体的な効率を促進するエネルギー変換システムおよび方法を提供することが望ましい。また、可動部品の摩耗を減らすエネルギー変換システムおよび方法を提供することが望ましい。さらに、互いに相対移動し、電気を発生する機構としても機能する部品間の支持機構(例えば軸受)を提供するエネルギー変換システムおよび方法を提供することが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許第7453166号明細書
【発明の概要】
【0011】
本教示は、前述の課題の一つ以上を解決し、および/または、前述の望ましい特徴の一つ以上を達成する。他の特徴および/または利点は以下の説明から明らかになる。
【0012】
例示的実施形態に従い、本教示は、静止構造体と、静止構造体に対し回転するよう構成され、回転軸を規定する回転可能な構造体とを含むエネルギー変換システムを意図する。システムは、さらに、少なくとも一つのブレード部材と、少なくとも一つの軸受機構とを含む。少なくとも一つのブレード部材は、回転可能な構造体に取り付けられ、回転可能な構造体から半径方向外側に延び、回転軸と実質的に平行な方向に流れる流体流と相互作用し、回転可能な構造体を回転軸の回りに回転させるよう構成される。少なくとも一つの軸受機構は、回転可能な構造体が静止構造体の周りを回転するとき、回転可能な構造体および静止構造体の間の半径方向支持および軸方向支持の少なくとも一方を提供するよう、配置される。システムは、回転可能な構造体の回転を、電気および水素生成の少なくとも一つに変換するよう構成される。
【0013】
他の例示的実施形態に従い、本教示は、流体流の運動を他の形態のエネルギーに変換する方法を意図する。方法は、流体塊の中にエネルギー変換システムを配置するステップであって、エネルギー変換システムが、静止構造体と、静止構造体に対し回転するよう構成され、回転軸を規定する回転可能な構造体と、回転可能な構造体が静止構造体の周りを回転するとき、回転可能な構造体および静止構造体の間の半径方向支持および軸方向支持の少なくとも一方を提供するよう配置された、少なくとも一つの磁気軸受機構と、を備えるステップを含む。方法は、さらに、流体塊中の流体流が、回転軸と実質的に平行な方向に流れ、回転可能な構造体の回転を生じさせるよう、エネルギー変換システムを流体塊中で指向させるステップと、回転可能な構造体の回転中に、導電要素に対する少なくとも一つの磁気軸受機構の移動により、電気および水素の少なくとも一つを発生するステップと、を含む。
【0014】
追加の目的と利点が、一方では以下の説明に記載され、一方では当該説明から明らかであり、または本教示の実施によって理解される。本教示の目的と利点の少なくとも幾つかは、特に特許請求の範囲で指摘された要素および組み合わせによって、実現され、達成される。
【0015】
前述の一般的説明と、後述の詳細な説明との両方が、単に例示的で説明目的のものであり、特許請求の範囲に記載されたような発明を限定するものではないことが、理解されるべきである。本発明が、それらの例示的態様および実施形態の一以上の特徴を有しないで、最も広義の意味で実施され得ることが、理解されるべきである。
【0016】
本明細書に組み込まれ、本明細書の一部をなす添付図画は、本教示の幾つかの例示的実施形態を示し、説明と共に、ある特定の原理を説明するのに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本教示に従うエネルギー変換システムの例示的実施形態の平面図である。
【図2】図1のエネルギー変化システムの2−2線に沿った断面図である。
【図3】本教示の例示的実施形態と共に使用されるための、導電コイルを備えた一列の磁石の例示的実施形態の部分斜視図である。
【図4】本教示に従うエネルギー変換システムの追加の例示的実施形態の平面図である。
【図5】図4の5−5線に沿った図4のエネルギー変換システムの部分断面図である。
【図6】図5の磁気軸受機構の拡大図である。
【図7】図6の形態のような形態を有する例示的磁気軸受機構の磁力線(magnetization field plot)である。
【図8】比較例の磁気軸受機構の磁力線である。
【図9】本教示に従うエネルギー変換システムの追加の例示的実施形態の部分断面図である。
【図10】本教示に従うエネルギー変換システムの追加の例示的実施形態の部分断面図である。
【図11】本教示に従うエネルギー変換システムの追加の例示的実施形態の部分断面図である。
【図12】本教示に従うエネルギー変換システムの追加の例示的実施形態の部分断面図である。
【図13】図12の磁気軸受機構の拡大図である。
【図14】図13の形態のような形態を有する例示的磁気軸受機構の磁力線である。
【図15】図13の磁気軸受機構に関する復元力対鉛直ずれのグラフである。
【図16】本教示に従う磁気軸受機構の一形態の例示的実施形態の部分斜視図である。
【図17】磁気配向が示された図16の磁気軸受機構の拡大図である。
【図18】本教示に従う回転可能な構造体、静止構造体および軸受機構装置の様々な例示的実施形態の概略的な部分断面図である。
【図19】本教示に従う回転可能な構造体、静止構造体および軸受機構装置の様々な例示的実施形態の概略的な部分断面図である。
【図20】本教示に従う回転可能な構造体、静止構造体および軸受機構装置の様々な例示的実施形態の概略的な部分断面図である。
【図21】本教示に従う回転可能な構造体、静止構造体および軸受機構装置の様々な例示的実施形態の概略的な部分断面図である。
【図22】本教示に従う回転可能な構造体、静止構造体および軸受機構装置の様々な例示的実施形態の概略的な部分断面図である。
【図23】本教示に従う回転可能な構造体、静止構造体および軸受機構装置の様々な例示的実施形態の概略的な部分断面図である。
【図24】本教示に従う回転可能な構造体、静止構造体および軸受機構装置の様々な例示的実施形態の概略的な部分断面図である。
【図25】本教示に従う回転可能な構造体、静止構造体および軸受機構装置の様々な例示的実施形態の概略的な部分断面図である。
【図26】本教示に従う回転可能な構造体、静止構造体および軸受機構装置の様々な例示的実施形態の概略的な部分断面図である。
【図27】本教示に従う回転可能な構造体、静止構造体および軸受機構装置の様々な例示的実施形態の概略的な部分断面図である。
【図28】本教示に従う回転可能な構造体、静止構造体および軸受機構装置の様々な例示的実施形態の概略的な部分断面図である。
【図29】本教示に従う回転可能な構造体、静止構造体および軸受機構装置の様々な例示的実施形態の概略的な部分断面図である。
【図30】本教示に従う回転可能な構造体、静止構造体および軸受機構装置の様々な例示的実施形態の概略的な部分断面図である。
【図31】本教示に従う回転可能な構造体、静止構造体および軸受機構装置の様々な例示的実施形態の概略的な部分断面図である。
【図32】本教示に従う回転可能な構造体、静止構造体および軸受機構装置の様々な例示的実施形態の概略的な部分断面図である。
【図33】本教示に従う回転可能な構造体、静止構造体および軸受機構装置の様々な例示的実施形態の概略的な部分断面図である。
【図34】本教示に従う回転可能な構造体、静止構造体および軸受機構装置の様々な例示的実施形態の概略的な部分断面図である。
【図35】本教示に従う回転可能な構造体、静止構造体および軸受機構装置の様々な例示的実施形態の概略的な部分断面図である。
【図36】本教示に従う回転可能な構造体、静止構造体および軸受機構装置の様々な例示的実施形態の概略的な部分断面図である。
【図37】本教示に従う回転可能な構造体、静止構造体および軸受機構装置の様々な例示的実施形態の概略的な部分断面図である。
【図38】本教示に従う回転可能な構造体、静止構造体および軸受機構装置の様々な例示的実施形態の概略的な部分断面図である。
【図39】本教示に従う回転可能な構造体、静止構造体および軸受機構装置の様々な例示的実施形態の概略的な部分断面図である。
【図40】本教示に従う回転可能な構造体、静止構造体および軸受機構装置の様々な例示的実施形態の概略的な部分断面図である。
【図41】本教示に従う回転可能な構造体、静止構造体および軸受機構装置の様々な例示的実施形態の概略的な部分断面図である。
【図42】本教示に従う回転可能な構造体、静止構造体および軸受機構装置の様々な例示的実施形態の概略的な部分断面図である。
【図43】本教示に従う回転可能な構造体、静止構造体および軸受機構装置の様々な例示的実施形態の概略的な部分断面図である。
【図44】本教示に従う回転可能な構造体、静止構造体および軸受機構装置の様々な例示的実施形態の概略的な部分断面図である。
【図45】本教示に従う回転可能な構造体、静止構造体および軸受機構装置の様々な例示的実施形態の概略的な部分断面図である。
【図46】本教示に従う回転可能な構造体、静止構造体および軸受機構装置の様々な例示的実施形態の概略的な部分断面図である。
【図47】本教示に従う回転可能な構造体、静止構造体および軸受機構装置の様々な例示的実施形態の概略的な部分断面図である。
【図48】本教示に従う回転可能な構造体、静止構造体および軸受機構装置の様々な例示的実施形態の概略的な部分断面図である。
【図49】本教示に従う回転可能な構造体、静止構造体および軸受機構装置の様々な例示的実施形態の概略的な部分断面図である。
【図50】本教示に従う回転可能な構造体、静止構造体および軸受機構装置の様々な例示的実施形態の概略的な部分断面図である。
【図51】本教示に従う回転可能な構造体、静止構造体および軸受機構装置の様々な例示的実施形態の概略的な部分断面図である。
【図52】本教示に従う回転可能な構造体、静止構造体および軸受機構装置の様々な例示的実施形態の概略的な部分断面図である。
【図53】本教示に従う回転可能な構造体、静止構造体および軸受機構装置の様々な例示的実施形態の概略的な部分断面図である。
【図54】本教示に従う回転可能な構造体、静止構造体および軸受機構装置の様々な例示的実施形態の概略的な部分断面図である。
【図55】本教示に従う回転可能な構造体、静止構造体および軸受機構装置の様々な例示的実施形態の概略的な部分断面図である。
【図56】本教示に従う回転可能な構造体、静止構造体および軸受機構装置の様々な例示的実施形態の概略的な部分断面図である。
【図57】本教示に従う回転可能な構造体、静止構造体および軸受機構装置の様々な例示的実施形態の概略的な部分断面図である。
【図58】本教示に従う回転可能な構造体、静止構造体および軸受機構装置の様々な例示的実施形態の概略的な部分断面図である。
【図59】本教示に従う回転可能な構造体、静止構造体および軸受機構装置の様々な例示的実施形態の概略的な部分断面図である。
【図60】本教示に従う回転可能な構造体、静止構造体および軸受機構装置の様々な例示的実施形態の概略的な部分断面図である。
【図61】本教示に従う回転可能な構造体、静止構造体および軸受機構装置の様々な例示的実施形態の概略的な部分断面図である。
【図62】本教示に従う回転可能な構造体、静止構造体および軸受機構装置の様々な例示的実施形態の概略的な部分断面図である。
【図63】本教示に従う回転可能な構造体、静止構造体および軸受機構装置の様々な例示的実施形態の概略的な部分断面図である。
【図64】本教示に従う回転可能な構造体、静止構造体および軸受機構装置の様々な例示的実施形態の概略的な部分断面図である。
【図65】本教示に従う回転可能な構造体、静止構造体および軸受機構装置の様々な例示的実施形態の概略的な部分断面図である。
【図66】本教示に従う回転可能な構造体、静止構造体および軸受機構装置の様々な例示的実施形態の概略的な部分断面図である。
【図67】本教示に従う回転可能な構造体、静止構造体および軸受機構装置の様々な例示的実施形態の概略的な部分断面図である。
【図68】本教示に従う回転可能な構造体、静止構造体および軸受機構装置の様々な例示的実施形態の概略的な部分断面図である。
【図69】本教示に従う回転可能な構造体、静止構造体および軸受機構装置の様々な例示的実施形態の概略的な部分断面図である。
【図70】本教示に従う回転可能な構造体、静止構造体および軸受機構装置の様々な例示的実施形態の概略的な部分断面図である。
【図71】本教示に従う回転可能な構造体、静止構造体および軸受機構装置の様々な例示的実施形態の概略的な部分断面図である。
【図72】本教示に従う回転可能な構造体、静止構造体および軸受機構装置の様々な例示的実施形態の概略的な部分断面図である。
【図73】本教示に従う回転可能な構造体、静止構造体および軸受機構装置の様々な例示的実施形態の概略的な部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本教示の様々な例示的実施形態への参照が詳細になされ、それらの例が添付図面に描かれている。可能な限り、同一の参照符号が図面を通じて同一又は類似の部分を表すのに用いられる。
【0019】
本教示の様々な例示的実施形態は、例えば潮流等の流体流と相互に作用するよう構成されたエネルギー変換システムを意図する。これは、中心部が開放された形状と、システムの部品の相対移動を利用し、流体流からの運動エネルギーを他の有用なエネルギーの形態、例えば電気および/または水素生成(electricity and/or hydrogen production)等に変換する。様々な例示的実施形態において、本教示は一以上のブレード(翼)部材を意図し、ブレード部材は、回転可能な構造体(rotatable structure)によって支持され、回転可能な構造体から半径方向外側および/または内側に延びる。回転可能な構造体は、静止構造体(stationary structure)に対し回転可能に取り付けられる。システムを通過する流体が、ブレードに相互作用し、一以上のブレードとブレードを支持する回転可能な構造体とを、静止構造体に対し、回転移動させる。様々な例示的実施形態において、図面に示されるように、回転可能な構造体と静止構造体は、閉ループ構造であり得る(例えばリングまたは楕円形状を有する)。さらに、本教示の回転可能な閉ループ構造体も静止した閉ループ構造体も、単一の閉ループ構造の形態であってもよいし、互いに接続されて一体的な閉ループ構造を形成する複数のモジュール式セグメント(例えば、実質的に円弧状のセグメント)を備えていてもよい。一方、当業者に理解されるように、示される実施形態は専ら例示的であり、本教示と特許請求の範囲を限定することを意図されない。したがって、回転可能な構造体と静止構造体は様々な形状および/または形態を備えてもよい。
【0020】
ここで図示され説明される様々な例示的実施形態において、複数のブレードが回転可能な構造体によって支持されるが、一を含む如何なる数のブレードも、回転可能な構造体によって支持されることができる。さらに、ブレードは、中心部が開放された(オープンセンター;open-center)エネルギー変換システムの中心から半径方向外側に延びてもよいし、同中心に向かって半径方向内側に延びてもよいし、同中心から半径方向外側に延び且つ同中心に向かって半径方向内側に延びてもよい。
例えば本教示に従うもののようなオープンセンターエネルギー変換システムは、システムの全体サイズをスケールアップ(拡大)またはスケールダウン(縮小)する能力を提供するかもしれない。なぜなら静止構造体の標準寸法(gage)、長さ、および通路形状が大いに変化することができるからである。同様に、ブレードの強度、サイズおよび形状も大いに変化し得る。これは、中心軸システムと対照的である。中心軸システムにおいて、ブレードのサイズは、中心回転軸によって支持されるより長いブレードに関連したストレスのため、いくぶん限定される。本教示の例示的実施形態において、ブレードの長さとサイズは大いに変化し得る。なぜなら、それらが、装置の回転中心から一定距離離れた回転可能な構造体に取り付けられているからである。これは中心軸と比較してより増加された安定性をもたらす。それゆえ、装置全体は、変化する位置特性および他の要求に適合するため、および/または望ましい結果を達成するため、スケールアップまたはスケールダウンされることができる。
【0021】
静止構造体に対する、および静止構造体に沿った回転可能な構造体の支持および動作は、1以上の軸受(ベアリング)機構によって達成される。本教示の様々な例示的実施形態において、1以上の軸受機構は、回転可能な構造体と静止構造体の例えば軸方向および/または半径方向の相対位置を実質的に維持するために設けられる。本教示に従う軸受機構は、効率向上のため、可動(例えば回転)構造体と静止構造体の間の比較的低い摩擦を提供するよう構成され得る。さらに、本教示に従う軸受機構は、可動部品の数および/または摩耗を低減することにより、例えば水中環境のような比較的厳しい環境に耐えるよう構成されることができる。
【0022】
本教示の様々な実施形態において、例えば、回転可能な構造体と静止構造体の軸方向の相対位置を実質的に維持するため、1以上の磁気軸受機構が設けられる。回転可能な構造体と静止構造体の間の軸方向の復元力を提供するため(すなわち、軸流スラスト力をオフセットするため)、本教示に従う様々な例示的実施形態の磁気軸受機構は、ハルバッハ型配列(Halbach type array)で配置された複数の磁石を備えてもよい。本教示の様々な追加の例示的実施形態において、磁気軸受機構は、例えば導電機構と共に、電気を発生させるための機構としても機能し得る。
【0023】
当業者によって理解されるように、ここで使われるような用語「ハルバッハ型配列」は、配列の一方の側の磁界を増大させ、配列の他方の側の磁界を打ち消す(すなわち「一方側磁束(one-sided flux)」を作る)永久磁石の回転パターンをいう。非制限的で例示的なハルバッハ型配列は、例えば、90度ハルバッハ配列(すなわち90度回転パターンを有する配列)と45度ハルバッハ配列(すなわち45度回転パターンを有する配列)とを含んでもよい。本教示は、しかしながら、当業者に知られたあらゆるタイプのハルバッハ配列を用いることを意図する。
【0024】
ここで図1および図2を参照すると、オープンセンター形状を有するエネルギー変換システム100の例示的実施形態の概略的な平面図と(図1のエネルギー変換システムの2−2線に沿った)断面図とが示される。エネルギー変換システム100は回転可能な構造体110を含み、回転可能な構造体110には、1以上のブレード部材130(図1には複数が示されている)が取り付けられている。回転可能な構造体110は、静止構造体120に(例えば図1の例示的実施形態においてその外周の周りに)対して回転可能に取り付けられている。流体流がブレード部材130に相互作用し、ブレード部材130を有する回転可能な構造体110を当業者が熟知する方法で回転させるよう、ブレード部材130が形成され、且つ回転可能な構造体110に対して位置づけられる。例えば、ブレード部材130は水中翼であってもよい。この水中翼は、ブレード部材130および回転可能な構造体110の回転平面に実質的に垂直(かつブレード部材130および回転可能な構造体110の回転軸Aに実質的に平行)な方向に移動する流体流(図2にFCとして示される)と相互作用するよう、構成される。換言すれば、図1におけるシステム100の向きにおいて、ブレード部材130は、紙面の平面に実質的に垂直な方向に移動する成分を有する流体流FCと相互作用するよう、構成される。
【0025】
流体流のブレード部材130との相互作用によって生じた回転動作は、例えば電気および/または水素生成(水素生成物)のような、他の形式のエネルギーに変換されることができる。このような回転運動の、他の形式のエネルギーへの変換は、当業者が慣れ親しんだ数々の技術によって起こり得る。その幾つかが以下においてより詳細に説明される。特許文献1への参照もなされ、その全体は参照により本願に組み込まれる。
【0026】
回転可能な構造体110を静止構造体120に対し回転可能に取り付けるため、図1のエネルギー変換システムは、1組以上(図1,2の例示的実施形態には複数組が示されている)の軸受機構115,125を含んでもよい。各組は、回転可能な構造体110にそれぞれ関連付けられた少なくとも一つの軸受機構115と、静止構造体120にそれぞれ関連付けられた少なくとも一つの軸受機構125とを備えてもよい。軸受機構115および125は、後に詳述されるように、互いに協働するよう構成されることができ、そのように、軸受機構115と軸受機構125は、互いに協働し、且つ静止構造体120に対する回転可能な構造体110の回転を実質的に安定した位置で(例えば半径方向および/または回転方向位置)可能にする軸受を形成するよう構成された、異なる構造を含んでもよい。
【0027】
本教示に従う様々な例示的実施形態において、軸受機構115および125は、磁気軸受機構として構成されることができる。すなわち、軸受機構115および125は、回転可能な構造体110が静止構造体120に対して回転することができるよう、回転可能な構造体110を静止構造体120に対して浮揚させる(例えば浮かばせる)のに十分な磁界を形成する。複数組の軸受機構115および125の間に作られた磁界は、回転可能な構造体110と静止構造体120の間に間隔(例えば半径方向の間隔)を維持するのに十分であり得る。特に、磁界は、構造体110,120の対向面の間、例えば図1における静止構造体120の外表面122と回転可能な構造体110の内表面111との間の間隔(すなわち、ギャップ(隙間))G(換言すれば、境界)を維持するのに十分であり得る。
【0028】
図11を参照して後に詳述されるように、軸受機構115および125を含む磁気軸受機構は、静止構造体120に対する回転可能な構造体110の相対的な軸方向位置を実質的に維持するよう、さらに構成されてもよい。例えば、軸受機構115および125の間の磁界は、流体流FC(例えば、流体流のスラスト)に関連した力の結果としての、回転可能な構造体110および/または静止構造体120のいずれかの軸方向の移動を実質的に防止するのに十分であり得る。すなわち、上述したように、エネルギー変換システム100が、軸Aに実質的に平行に(例えば、図1の紙面と実質的に垂直に)動く流体流FCに対して位置づけられるとき、軸受機構115および125の間に確立された磁界は、流れの力の結果としての、回転可能な構造体110または静止構造体120の移動を実質的に防止するのに十分な力を発生し得る。
【0029】
本教示に従う様々な例示的実施形態において、軸受機構115および125は、互いに反発して、回転可能な構造体110と静止構造体120の間の間隔Gを実質的に維持するよう構成された永久磁石を備えてもよい。軸受機構115および125が永久磁石を備える場合においては、回転可能な構造体110と静止構造体120が互いに対して動かない時でさえも、磁界(ひいては反発力)が確立され得る。
【0030】
様々な他の例示的実施形態において、軸受機構115および125は、動的磁界を確立し、これによって磁気浮揚を達成するよう構成された協働構造であってもよい。すなわち、軸受機構115および125は、回転可能な構造体110と静止構造体120の相対移動によって、それらの間の磁界を確立するよう構成されてもよい。例えば、軸受機構115および125の一方は磁石の列を備え、軸受機構115および125の他方は1以上の導電体(例えば、導電コイルまたはリニア導電部材)を備えてもよい。一つの例示的実施形態において、回転可能な構造体110に取り付けられた軸受機構115は磁石の列を備え、静止構造体120に取り付けられた軸受機構125は導電コイルを備えてもよい。しかしながら、代替実施形態において、回転可能な構造体110に取り付けられた軸受機構115は導電コイルを備え、静止構造体120に取り付けられた軸受機構125は磁石の列を備えてもよい。様々な例示的実施形態において、磁石の列はハルバッハ配列であってもよい。
【0031】
軸受機構115および125は、磁気浮揚技術の当業者に知られたあらゆる機構によって磁気浮揚を達成するよう構成された構造を備えてもよく、上述のものは単に例示的である。当業者は、静止構造体120に対する回転可能な構造体110の磁気浮揚を達成するため、構造115および125をどのように変形するかを理解するであろうし、示された構造115および125が単に概略表現であることを理解するであろう。軸受機構115および125の数、形状、間隔、大きさ、磁界強度、および他の特性は、例えば回転可能な構造体110および静止構造体120のサイズおよび重量、要求される浮揚力および支持力、ならびに望まれる用途に基づく他の要因といったような、様々な要因に基づいて選択されることができる。
【0032】
軸受機構115および125が磁石と電気的導電体とを含む様々な例示的実施形態において、1組以上の軸受機構115および125は、軸受機構115および125の相対移動時に当業者に知られた方法で電気を発生するよう構成されることもできる。例えば、軸受機構115が磁石列として構成され、軸受機構125が導電コイルとして構成されている場合、静止構造体120に対する回転可能な構造体110の回転によるそれら軸受機構の互いに対する移動は、導電ループに電圧を発生させる。電圧は、電気発生用の電気的リード線(図示せず)の使用を通じて取り出されることができる。導電体が回転可能な構造体に取り付けられている場合、導電コイルとの電気的接続を行うため、スリップリング、スライドコネクター、または他のタイプの回転電気インタフェース(図示せず)を使用することが必要かもしれない。当業者は、回転する電気部品との電気的接続を確立するため、スリップリングおよび他の回転電気インタフェース装置の使用に慣れている。
【0033】
図3は、一組の軸受機構の例示的実施形態を示す。これにおいて、一組の軸受機構のうちの一方は磁石の列515を有し、一組の軸受機構のうちの他方は電気的導電コイル525を有する。
【0034】
様々な他の例示的実施形態に従い、図1の軸受機構115および125は、流体軸受機構として構成されてもよい。すなわち、一組以上の軸受機構115および125は、回転可能な構造体110が静止構造体120の周りを液体または気体の層上で回転するとき、回転可能な構造体110の荷重を支持する。軸受機構115および125の間の液体または気体の層は、回転可能な構造体110が静止構造体120に対し回転可能なよう、回転可能な構造体110を静止構造体120に対し浮揚させる(例えば、浮かせる)のに十分であり、また回転可能な構造体110と静止構造体120の対向面の間の間隔を維持するのに十分である。例えば、図1の実施形態において、流体軸受機構115および125は、静止構造体120の外表面122と回転可能な構造体110の内表面111と間の間隔Gを維持するよう、構成されることができる。
【0035】
流体軸受機構のための流体源は、いかなる流体であってもよい。しかしながら、様々な例示的実施形態において、システムが浸漬される流体(例えば、河川、海、湖等における水)が、流体源として使用され得る。システムが浸漬される流体を用いることにより、軸受機構のシールが不要になる可能性がある。なぜなら、流体が軸受機構から出て、システムが浸漬される流体の本体部に、悪影響無く再循環されるからである。様々な例示的実施形態において、システムが浸漬される流体の本体部が、流体軸受機構を腐食させるかもしくは劣化させる可能性のある材料を含む場合、流体軸受機構に供給された流体をろ過することが必要かもしれない。様々な例示的実施形態において、システムが浸漬される流体以外の流体源が使用されてもよい。このような場合、流体は、流体供給装置(例えば、ポンプ、弁、パイプ等)を介して、浸漬されたシステムに供給される。また、流体が流体軸受機構を出たときに流体を再循環させ、もしくは適切な環境に解放するための機構が望ましい。
【0036】
様々な例示的実施形態において、軸受機構115および125は静圧軸受(hydrostatic bearings)として構成され、1以上のポンプ(例えば、図1に参照符号250により破線で示されるようなポンプ)が、軸受で使用される流体を供給するのに使用される。軸受機構115および125の各々が自身のポンプに関連されてもよいし、複数の軸受機構115および125が共通のポンプを共有してもよい。様々な例示的実施形態において、軸受機構は、1より多いポンプに関連されてもよく、例えば、特定の軸受機構に専用の1以上の関連ポンプ、または複数の軸受機構に共用の1以上の関連ポンプに関連されてもよい。1より多いポンプが一つの軸受機構に関連されるとき、一のポンプが、他のポンプの故障時のバックアップポンプとして機能してもよい。総じて、当業者は、軸受機構115/125の中に流体を供給するのに使用されるポンプの様々な配置及び構成を理解するであろう。
【0037】
様々な他の例示的実施形態において、軸受機構115および125は流体軸受(流体力学軸受;hydrodynamic bearings)として構成され、回転可能な構造体110の回転移動が、軸受上への、およびその軸受面の周りへの、流体の吸引を生じさせる。例えば、流体の表面張力および粘度と、回転可能な構造体110および静止構造体120の相対移動とが、静止構造体120に対する回転可能な構造体110の軸方向および半径方向位置を維持する流体の薄膜を生じさせる(例えば、図1の実施形態において、流体の薄膜は、静止構造体120に対し回転可能な構造体110を浮揚させる)。当業者は、軸受機構115および125のために使用される流体軸受機構の様々な構成に精通しているであろう。
【0038】
図1および図2の例示的実施形態は、システムの回転軸の周りに実質的に等しい角度間隔で配置された複数の分離された軸受機構115および125を含む。しかしながら、当業者は、軸受機構115および125の一方または両方が、それぞれの表面111,122に沿って実質的に連続的に延びる単一の一体環状要素であってもよいことを認識するであろう。代替的に、一連の軸受機構115または125が、それぞれの表面111,122に沿って実質的に連続的に延びる連続的な環状要素を形成するよう、端と端をつないで位置づけられてもよい。図1に示された軸受機構115および125の数、サイズおよび構成は単なる例示であり、当業者は、本教示の範囲から逸脱することなく、数々の他の構成および配置の軸受機構115および125を使用し得ることを認識するであろう。
【0039】
更なる他の例示的実施形態において、1以上の軸受機構を、対向表面111または122の一方にのみ配置することが可能である。例えば、1以上の流体軸受機構を、対向表面111または122の一方にのみ配置することが可能である。さらに、本教示の様々な例示的実施形態に従う軸受機構が、回転軸受をもたらすよう対向表面111および122の境界に沿う軸受(図2に矢印xで示される)、ラジアル軸受をもたらすよう対向表面111および122の境界を横切る軸受(図2に矢印yで示される)、またはそれらの組み合わせを提供し得ることを認識すべきである。さらに、図1および図2においては単一組の軸受機構115および125が示されるが、各組は複数の軸受機構を備えることができ、各組の軸受要素は、例えば磁気、流体および/またはローラー軸受を含む、異なるタイプの軸受から選択されることができる。
【0040】
様々な追加の実施形態に従い、軸受機構は、例えば、図4および5に示されるような一般的なシール付きローラー軸受機構のような、受動的な機械軸受として構成されることができる。ここで図4および5を参照すると、中心開放形状を有するエネルギー変換システム400の例示的実施形態の概略平面図と、(図4のエネルギー変換システムの5−5線に沿った)断面図とが示される。エネルギー変換システム400は回転可能な構造体410を含み、回転可能な構造体410には1以上のブレード部材430(図4に複数が示されている)が取り付けられる。回転可能な構造体410は、静止構造体420に対して(例えば、図4の例示的実施形態でその周囲部内で)回転可能に取り付けられる。流体流がブレード部材430に相互作用し、これによって、ブレード部材430を有する回転可能な構造体410を移動させ、当業者がよく知る方法で回転させるよう、ブレード部材430が構成され、且つ回転可能な構造体410に対して位置づけられる。例えば、前記同様、ブレード部材430は水中翼であってもよい。この水中翼は、ブレード部材430および回転可能な構造体410の回転平面に実質的に垂直な(そしてブレード部材430および回転可能な構造体410の回転軸Aに実質的に平行な)方向に移動する流体流(図5にFCで示される)と相互作用するように構成される。 換言すれば、図4のシステム400の向きにおいて、ブレード部材430は、紙面に実質的に垂直な方向に移動する成分を有する流体流FCと相互作用するように構成される。
【0041】
流体流とブレード部材430との相互作用によって生じる回転運動は、例えば、発電機磁石417および積層スタック/ステータ巻線(lamination stack/stator winding)418(図5)を用いた電気および/または水素生成といった、他の形態のエネルギーに変換される。回転運動から他の形態のエネルギーへのこのような変換は、当業者が熟知する数々の技術を通じて起こり得る。
【0042】
図4のエネルギー変換システム400は、1組以上の受動的な機械軸受、例えば一般的なシール付きローラー軸受416(図4,5の例示的実施形態では複数組が示される)を含む。回転可能な構造体410が、静止構造体420に対して、実質的に安定した半径位置で回転する(例えば、構造体のための受動的な半径方向復元支持を提供する)のを可能にするよう、軸受416は構成される。様々な追加の例示的実施形態において、図9に示されるように低摩擦(例えば、セラミック、テフロン(登録商標)、および/または様々な熱可塑性プラスチックポリマー)面419を選択し、軸受416が除去されてもよい;代替的に、ローラー軸受と低摩擦面の組み合わせが使用されてもよい。
【0043】
図5に示されるように、本教示に従う様々な例示的実施形態において、回転可能な構造体410が静止構造体420に対して実質的に安定した軸方向位置で回転する(例えば、構造体のための軸方向復元支持を提供する)のを可能にするよう、磁気軸受機構435,440が構成される。例えば、軸受機構435,440の間の磁界(磁場)は、構造体410,420に作用する流体流FCに関する力(例えば流体流のスラスト)の結果としての、回転可能な構造体410および/または静止構造体420の軸方向の動作を実質的に遅らせるのに、十分である。すなわち、上述したように、エネルギー変換システム400が、軸Aと実質的に平行(例えば、図4の紙面と実質的に垂直)に移動する流体流FCに対して位置されたとき、軸受機構435,440の間に形成された磁場は、流れの力の結果としての、回転可能な構造体410または静止構造体420の軸方向の動作を実質的に遅らせるのに十分な力を発生する。
【0044】
本教示に従う様々な例示的実施形態において、図6に示されるように、磁気軸受機構435,440は複数の磁石436,441をそれぞれ備える。図6に示されるように、磁石436,441は、ハルバッハ型配列(すなわち、永久磁石の回転パターンであり、矢印が各磁石の磁場の向きを示す)で実質的に配置される。当業者に理解されるように、このように配置された磁石436,441は、互いに反発し、回転可能な構造体410と静止構造体420の間の間隔(すなわち、ギャップ)Gを実質的に維持するよう、構成される。当業者にさらに理解されるように、磁気軸受機構435,440が永久磁石を含む場合、回転可能な構造体410と静止構造体420が相対的に移動せず、または回転しないときでも、磁場(ひいては反発力)が形成される。
【0045】
図7は、例えば、図6の磁気軸受(すなわち、永久磁気列)の例示的実施形態のための磁力線(磁界プロット;magnetization field plot)を示す。図7に示されるように、示される寸法を持つ配列(すなわち、回転軸Aからの内側半径が30インチ(76.2cm)の磁気リングにおいて、0.328インチ×0.328インチ(0.83cm×0.83cm)の磁石を用い、配列間の間隔Gが0.125インチ(0.32cm)は、50MGO(すなわち、磁気エネルギー強度のメガガウスエルステッド(MEGA GAUSS OERSTED)を用いて)で格付けされたニオビウム鉄ホウ素(NdFeB)磁石を用いて、約9000ポンド(4086kg)の復元力(すなわち、直径5フィート(152.4cm)のエネルギー変換システムに十分な復元力)をもたらす。磁気軸受によって明らかにされた磁界密度強度はTesla's in the legendに記されている。
【0046】
比較において、図8は、比較例の磁気軸受機構の磁力線を示す。これは、反対の磁界(すなわち、矢印は各磁石の磁界の向きを示す)に磁石を直接的に配列することにより、受動的な反発をもたらす。図8に示されるように、図7で示されたのと類似の寸法および特性を有する磁石(すなわち、0.328インチ×0.493インチ(0.83cm×1.25cm)、50MGOのNdFeB磁石)がそのような形態(すなわち、反対の0.985インチ(2.50cm)磁石列、0.125(0.32cm)インチの配列間の間隔G)で配置されたとき、軸受機構は、約7540ポンド(3423kg)の復元力しかもたらさない。従って、例えば図7に示されるような本教示の磁気軸受機構は、図8の磁気軸受機構と比較して、より高い復元能力と、より大きいエネルギー変換装置を支持する能力とを示す。
【0047】
当業者に理解されるように、図4の例示的エネルギー変換装置は、双方向流を考慮して改良されることもできる。換言すれば、図10のシステムの向きにおいて、ブレード部材430は、それぞれ紙面と実質的に垂直な方向に移動する成分を持つ流体流FCAおよび/または流体流FCBと相互作用するように構成されることができる。図10に示されるように、流体流FCBのスラストを打ち消すため(すなわち、流れFCBの軸方向力成分の結果としての、回転可能な構造体410または静止構造体420の動作を実質的に防止するのに十分な軸方向の復元力を提供するため)、第2の組の磁気軸受435,440が、エネルギー変換システムの反対側(すなわち、回転可能な構造体410および静止構造体420のブレード部材430からの反対側)に配置される。この方法において、静止構造体420は、2組の軸受435,440によって、流れ方向にかかわらず、ギャップG内の中心に位置されることができる。
【0048】
当業者に理解されるように、軸受機構435,440は、磁気反発を発揮するよう構成された様々なハルバッハ型配列を備えることができ、上述の例は単に例示である。当業者は、回転可能な構造体410が静止構造体420に対して実質的に安定した軸方向位置で回転するのを可能にするため、435,440の構造をどのように変形するかを理解し、また示された構造435,440が概略表現に過ぎないことを理解するであろう。当業者は、しかしながら、軸受機構435,440によって例示された構成が、構造体の回転に相応する渦流損失がないという特有の利点を有することを理解するであろう。軸受機構435,440の数、形、間隔、大きさ、磁界強度、および他の特性は、回転可能な構造体410および静止構造体420の大きさおよび重量、要求される復元力および支持力、および望まれる用途に基づく他の要因等の、様々な要因に基づいて選択される。さらに、磁石は、流体環境に配置されたとき(例えば水中に配置されたとき)磁石材料への酸化を防止するため密閉されてもよい。
【0049】
図11に示されるように、本教示に従う様々な追加の例示的実施形態において、磁気軸受機構445,450は、回転可能な構造体410が実質的に安定した軸方向位置で静止構造体420に対して回転できるよう(例えば、構造体のための軸方向復元支持を提供するよう)、構成されることができる。例えば、軸受機構445,450の間の磁界は、構造体410,420に作用する流体流に関する力(例えば流体流のスラスト)の結果としての、回転可能な構造体410および/または静止構造体420の軸方向の動作を実質的に遅らせるのに、十分である
様々な例示的実施形態において、図11に示されるように、磁気軸受機構445,450はそれぞれ複数のラジアル磁石446,451を備える。図11に示されるように、磁石446,451は、ハルバッハ型配列で実質的に配置される。当業者によって理解されるように、回転可能な構造体410の磁石列(すなわち、磁石446)が静止構造体420の磁石列(すなわち、磁石451)に対しずれ量(変位量)Dだけずれた(変位した)とき、ラジアル空気ギャップ場(radial air gap fields)は軸方向の復元力を提供する。換言すれば、磁石451に対する磁石446のずれは、磁石同士が整列しようとするような復元力(すなわち、流体流のスラストを打ち消す整列力が)を生成する。
【0050】
当業者によって理解されるように、それらのエネルギー変換システム内における構成および中心配置のため、磁気軸受機構445,450は本質的に双方向性であり、それ故どちらの方向の流れも受け入れる。換言すれば、図11のシステムの向きで、ブレード部材430は、紙面と実質的に垂直な方向に移動する成分をそれぞれ有する流体流FCAおよび/または流体流FCBと相互作用するよう、構成される。さらに、前記同様、当業者は、磁気軸受機構445,450が様々なハルバッハ型配列を備えることを理解するであろうし、回転可能な構造体410が実質的に安定した軸方向位置で静止構造体420に対して回転できるよう(すなわち、十分な軸方向の復元力をもたらすよう)、445,450の構造をどのように改良しオフセットする(すなわち、両構造を互いにずらす)かを理解するであろうし、示される両構造445,450が単なる概略表現であることを理解するであろう。軸受機構435,440の数、形、間隔、大きさ、磁界強度、ずれ量および他の特性は、回転可能な構造体410および静止構造体420の大きさおよび重量、要求される復元力および支持力、および望まれる用途に基づく他の要因等の、様々な要因に基づいて選択される。さらに、磁石は、流体環境に配置されたとき(例えば水中に配置されたとき)磁石材料への酸化を防止するため密閉されてもよい。
【0051】
図12,13に示されるように、様々な追加の例示的実施形態において、磁気軸受機構455,460は、例えばスチールCコアあるいはスチールヨークなどのCコア456と、複数のラジアル磁石461とをそれぞれ備える。図13に示されるように、磁石461はハルバッハ型配列で実質的に配置される。前記同様、回転可能な構造体410の軸受機構455(すなわち、Cコア456)が静止構造体420の軸受機構460(すなわち、磁石461)に対しずれ量Dだけずれたとき、ラジアル空気ギャップ場は軸方向の復元力を提供する。換言すれば、磁石461に対するスチールCコア456のずれは、磁石がスチールCコアに整列しようとするような復元力(すなわち、流体流FCのスラストを打ち消す整列力)を生成する。
【0052】
前記同様、当業者に理解されるように、軸受機構455,456が永久磁石461を含む場合、回転可能な構造体410と静止構造体420が相対回転していない時でも磁場(ひいては整列力)が形成される。図14は、例えば、図13の磁気軸受(すなわち、永久磁石列とスチールCコア)に対する磁力線を示す。図14,15に示されるように、示される寸法を持つ配列(すなわち、回転軸Aからの内側半径が30インチ(76.2cm)の磁気リングにおいて、1.21インチ×1.21インチ(3.07cm×3.07cm)の磁石を用いる)であって、スチールCコアに対するずれ量Dが約0.605インチ(1.54cm)のものも、50MGO、NdFeB磁石を用いて約9000ポンド(4086kg)の復元力をもたらす。磁気軸受によって明らかにされた磁界密度強度はTesla's in the legendに記されている。
【0053】
前記同様、当業者は、磁気軸受機構455,460が様々なCコア形態およびハルバッハ型配列を含み得ることを理解するであろうし、回転可能な構造体410が実質的に安定した軸方向位置で静止構造体420に対して回転できるよう(すなわち、十分な軸方向の復元力をもたらすよう)、455,460の構造をどのように改良しオフセットする(すなわち、両構造を互いにずらす)かを理解するであろうし、示される両構造455,460が単なる概略表現であることを理解するであろう。軸受機構455,460の数、形、間隔、大きさ、磁界強度、ずれ量および他の特性は、回転可能な構造体410および静止構造体420の大きさおよび重量、要求される復元力および支持力、および望まれる用途に基づく他の要因等の、様々な要因に基づいて選択される。さらに、磁石は、流体環境に配置されたとき(例えば水中に配置されたとき)磁石材料への酸化を防止するため密閉されてもよい。
【0054】
磁気軸受機構455,460が例えばスチールCコア(すなわちスチールヨーク)456のような導電体と磁石461とを備える様々な例示的実施形態において、1組以上の軸受機構455,460は、当業者に知られた方法での軸受機構455,460の相対運動時に、電気を発生するよう構成されてもよい。例えば、図16,17に示されるように、スチールヨーク456が断続的に押し出し成形される場合、ステータアセンブリとしての銅コイル457を有する構造、例えば静止構造体に取り付けられている銅コイル457を有する構造が、電気機械エネルギー変換に適するであろう。当業者に理解されるように、この構成において、磁気スチールヨーク456は、図17に示される磁化配向のため、コイル457上に交互に入れ替わるフラックスリンケージ(alternating flux linkage)を与える。
【0055】
様々な例示的実施形態は、断続スチールヨーク456にしばしば関連する対応コギング(commensurate cogging)を減ずる様々な方法を考慮する。様々な実施形態において、例えば、第2の重複組(すなわち、磁石461とスチールヨーク456の)が、90度オフセットと共に使用されることができる。一方、様々な追加の実施形態において、エアギャップ(すなわち、断続ヨークの間の)の位置におけるスチールヨーク456の極は、隣接する極(すなわち、隣接する磁石)の影部に対し、フレア状に広げられることができる。換言すれば、スチールヨーク456の両側部は、それらが隣接する磁石を陰にし始めるよう、伸長されることができる。
【0056】
図1〜17の例示的実施形態は非制限的であり、当業者は、本教示の範囲から逸脱しないで、図示された配置および構成に修正がなされてもよいことを認識するであろう。
【0057】
ここで図18〜73を参照すると、例えば、本教示に従う様々な例示的エネルギー変換システムに利用され得る、軸受機構を有した回転可能な構造体と静止構造体の様々な追加の例示的構成の部分断面図が描かれている。図18〜73のそれぞれに示された部分断面図は、90度(90(°))の方位角で、構造体を通る半径平面で切断された構造体の断面(すなわち、図2の断面と同じ断面)であり、システムの上半部のみが示される。図18〜73のそれぞれにおいて、システムの回転軸にはAが付され、システムと相互作用して回転を生じさせる流体流(または流体流の成分)の方向はFCとして示される。図18〜73のそれぞれにおける矢印FCは一方向のみで示されるけれども、流体流は反対方向でもあり得、なおエネルギー変換システムが作動するのを許容する。このように、エネルギー変換システムは、両方向の流体流で作動し、回転可能な構造体の回転方向が流体流の方向に応じて変化するよう、構成される。
【0058】
図示と説明の簡単化のため、図18〜73のそれぞれの実施形態の静止構造体は、図中にFで示された固定マウントに接続された構造体であり、回転可能な構造体は、これに取り付けられたブレード30を有する構造体である。単純化のため、協働する軸受機構の組は総じて5で示される。さらに、図18〜73の軸受機構の各組5は、複数の協働する軸受要素の列として示される。このような構成は単に例示であり、非制限的であり、前述したように、軸受機構は様々な配置、構成および数を有することができる。軸受機構の組の数も、例えば構造体のサイズ、構造体の重量、軸受機構の形、および当業者が認識する様々な他の要因を含む様々な要因に依存して、1からそれより多い数に変化し得る。軸受機構の組の配置も、そのような要因に基づき変化し得る。
【0059】
図18〜73において、回転可能な構造体と静止構造体のそれぞれに関する軸受機構が、それぞれのループの周りで連続する環状構造を形成しない不連続で分離された構造の形態を有する場合、両軸受機構が実質的に整列されるよう、回転可能な構造体と静止構造体が互いに対して位置される。認識されるように、それぞれの構造体に関する任意の軸受機構が、連続的環状構造が形成されるような数および/または配置で構成された場合、両軸受機構は、図18〜73の断面図において常に互いに整列される。
【0060】
図18〜73に示された様々な例示的実施形態は、本教示に従うエネルギー変換システムのための数々の構成を示し、回転可能な構造体と静止構造体の間の軸受インターフェースの数、インターフェースと流体流の整列、インターフェースの構成等におけるバリエーションを示す。例えば、図18〜45の実施形態は、流体流FCの方向が、様々な軸受インターフェースに対し実質的に整列され、もしくは実質的に垂直(各軸受インターフェースは軸受機構の各組5によって表される)なエネルギー変換システムを示し、一方、図46〜73の実施形態は、流体流FCの方向と、様々な軸受インターフェースの方向とが、整列されておらず、もしくは垂直でもなく、代わりに流体流FC方向に対し垂直でない角度であるエネルギー変換システムを示す。さらに、図18〜21と図46〜49のエネルギー変換システムの実施形態は一つの軸受インターフェースを有し、図22〜25と図34〜37と図50〜53と図62〜65の実施形態は二つの軸受インターフェースを有し、図26〜29と図38〜41と図54〜57と図66〜69の実施形態は三つの軸受インターフェースを有し、図30〜33と図42〜45と図58〜61と図70〜73の実施形態は四つの軸受インターフェースを有する。
【0061】
一方の構造体が、他方の構造体の少なくとも一部の断面を取り囲む断面を有する様々な例示的実施形態において(例えば、2以上の軸受インターフェースを有する実施形態において)、軸受機構の組5の配置は、構造体の間の間隔を維持するためのより高い安定性をもたらす異なる支持力方向(例えば、半径方向および軸方向の両方向における)を提供する。
【0062】
図18〜73の例示的実施形態は非制限的であり、当業者は、本教示の範囲から逸脱しないで、図示された配置および構成に修正をなし得ることを認識するであろう。
【0063】
様々な例示的実施形態において、協働する軸受機構の複数組のうちの一つ以上は、回転可能な構造体の静止構造体に対する動作によって電気を発生するよう構成された磁石/導電コイルのペアと置き換えられることができる。このように、例えば、図18〜73の例示的実施形態において、図示された軸受機構の複数組5のうちの少なくとも一つは、磁石/導電コイルのペアの形態の電気発生機構によって置き換えられることができ;代替的にまたは付加的に、複数組5をなす各列の一以上の軸受機構は、磁石/導電コイルのペアであってもよい。これは、使用されている残りの軸受機構のタイプに拘わらず(例えば、それら組が磁気軸受機構および/または流体軸受機構を含むか否かに拘わらず)、言えることである。一組以上の軸受機構が磁気浮揚を達成するよう構成された場合、そのような軸受機構の組は、磁気浮揚と電気発生の両方を達成するよう構成されるかもしれない。
【0064】
さらに、上記に似た方法において、図1に示された一組以上の軸受機構115,125は、回転可能な構造体110と静止構造体120の相対移動に起因する軸受機構115,125の相対移動時に電気を発生するよう構成された磁石/導電コイルのペアと置き換えられ、またはこれを含んでもよい。本教示の様々な例示的実施形態に従い、静止構造体に対する回転可能な構造体の回転運動を電気もしくは他の有用なエネルギー形態へ変換するため、様々な他の機構が用いられてもよい。このような機構は、制限されないが、水圧ポンプ、回転ドライブシャフト等の使用を含む。構造体の回転運動を他の有用なエネルギー形態へ変換するために用いられる様々な技術の例として、特許文献1への参照がなされ、その開示事項は参照によって本願に組み込まれる。当業者は、特許文献1に開示された様々な技術を、本教示に従うエネルギー変換システムとの使用に適合させるためにどのように修正するかを理解するであろう。
様々な例示的実施形態において、磁気浮揚を達成するよう構成されおよび/または流体軸受機構としての軸受機構に加え、本教示は、例えば限定しないがローラー、低摩擦パッド(例えばテフロンパッド)等を含む追加の軸受機構の使用を考慮する。このような軸受機構は、エネルギー変換システムの半径方向および軸方向の一方または両方における拘束(または追加の拘束)を提供し、回転可能な構造体および静止構造体の相対位置および/または相対移動を安定化させるために用いられる。
【0065】
図4〜17に示されるように、例えば、少なくとも一つの例示的実施形態において、ローラー軸受機構がシステムのためのラジアル軸受を提供するために用いられ、磁気軸受機構(例えば、磁気浮揚軸受機構)がシステムのための軸方向軸受を提供するために用いられる。様々な追加の例示的実施形態において、磁気軸受機構がシステムのためのラジアル軸受を提供するために用いられ、ローラー軸受機構がシステムのための軸方向軸受を提供するために用いられる。様々なさらなる実施形態において、動的磁気軸受機構および/または流体力学的軸受機構を用いるとき、回転可能な構造体が、動的磁気軸受機構および/または流体力学的軸受機構が効力を生じシステムの適切な負荷を支持するのに十分な速度に達するまで、追加の軸受機構(例えばローラー軸受機構)が用いられる。もちろん、望まれる用途に応じて様々なタイプの軸受機構の組み合わせが用いられ、設けられることができ、当業者は、所望の効果を達成するためそれらをどのように選ぶかを理解するであろう。
【0066】
様々な例示的実施形態において、本教示のエネルギー変換システムは、回転可能な構造体の中心から離れて回転可能な構造体から半径方向外側に延びるブレード部材と、回転可能な構造体の中心に向かって回転可能な構造体から半径方向内側に延びるブレード部材との両方を含む。しかしながら、エネルギー変換システムは、半径方向外側にのみ延びるブレード部材、または半径方向内側にのみ延びるブレード部材を含んでもよい。ブレード部材が半径方向外側と半径方向内側の両方に延びる実施形態において、ブレード部材は、一体的な構造を備えてもよいし、回転可能な構造体に取り付けられる分離された構造を備えてもよい。様々な例示的実施形態において、半径方向外側に延びるブレード部材と半径方向内側に延びるブレード部材とは、回転可能な構造体に対し非対称であってもよい。例えば、半径方向外側に延びるブレード部材の長さは半径方向内側に延びるブレード部材の長さより長くてもよい;代替的に、半径方向外側に延びるブレード部材と半径方向内側に延びるブレード部材とは、回転可能な構造体に対し対称であってもよい。半径方向内側に延びるブレード部材の長さは、それらブレード部材が、エネルギー変換システムの中心部を流通する流体との干渉を最小にするように、選択されてもよい。
【0067】
様々な例示的実施形態において、ブレード部材は、回転可能な構造体に対して固定され、あるいは調整可能であってもよい。例えば、調整可能なブレード部材に関して、ブレード部材は、流体流に対するブレード部材表面の角度を調節するよう、その長手軸の回りを回転可能である。調整可能なブレード部材に関するさらなる詳細のため、特許文献1への参照がなされ、これは参照によって本願に含まれる。
【0068】
当業者は、本教示の範囲から逸脱することなく、ここに開示された例示的実施形態の構成と方法に対し、様々な変形がなされ得ることを認識するであろう。単なる例として、回転可能な構造体と静止構造体の断面形状と相対的寸法は、変更可能であり、例えば円もしくは楕円の断面形状を含む様々な断面形状が使用されることができる。
【0069】
さらに、上に示され記述された多くの例示的実施形態は、協働する軸受機構の組を含み、組の一方の要素は静止構造体に配置され、他方の要素は回転可能な構造体に配置されている。しかし、代替的実施形態において、一以上の軸受要素が、一方の構造体のみに関連づけられてもよい。例えば、磁気要素が静止構造体に取り付けられ、回転可能な構造体が鉄の材料から作られ(またはその逆とされ)、磁気要素と鉄材料の間の引力が、両構造体を互いに芯合わせし、支持するのに十分なものとされることができる。同様に、静水力学的または流体力学的(動水力学的)軸受機構に関し、流動圧力源を有する軸受機構が、一方の構造体のみに設けられ、両構造体の相対回転時に他方を支持し芯合わせするのに十分である。当業者は、図面に示された例示的実施形態を、軸受機構が静止構造体および回転可能な構造体の一方にのみ関連されるよう、修正する方法を理解するであろう。
【0070】
さらに、ここに記述された様々な例示的実施形態におけるエネルギー変換システムの向きは、概ね、実質的に鉛直な平面内にあった。しかし、当業者は、本教示に従うエネルギー変換システムを任意の向きで作動させるよう修正がなされ得ることを認識するであろう。
【0071】
当業者は、また、ここで一つの例示的実施形態に関して開示された種々の特徴を、適切な修正と共に、他の例示的実施形態との組み合わせで使用し得ることを、そのような組み合わせがここではっきりと開示されていなくても、認識するであろう。
【0072】
本明細書と特許請求の範囲の目的に関し、他の事項が示されない限り、数、パーセンテージまたは割合を表す全ての数、および明細書と特許請求の範囲で用いられた他の数値は、全ての例において、「約」という用語によって修正されるものと理解されるべきである。したがって、反対の事項が示されない限り、記載された詳細な説明と特許請求の範囲で述べられた数値パラメータは、近似値であり、本発明によって得られるべき所望の特性に応じて変化し得る。少なくとも、そして特許請求の範囲に対する均等論の適用を制限する試みとしてではなく、各数値パラメータは、少なくとも、報告された重要な桁の数を考慮して、また通常の丸め技術を適用することによって、解釈されるべきである。
【0073】
留意すべきことに、本明細書および特許請求の範囲で使用されるような単数形「一つの(a)」、「一つの(an)」および「その(the)」は、はっきりと明白に一つの指示対象に限定してないのであれば、複数の指示対象を含む。ここに使われるように、用語「含む」とその文法的変形語は、非制限的であることが意図され、これにより、リストでの項目の列挙は、リストされた項目に対し置き換えまたは加えられることができる他の同様な項目の除外ではない。
【0074】
本教示の範囲と特許請求の範囲から逸脱することなく、様々な修正と変形が、本教示のシステムと方法に対しなされ得ることが、当業者にとって明白であろう。ここに開示された本教示の明細書と実施の考慮から、本開示の他の実施形態が当業者に明白であろう。明細書と実施例が、単に例示的と考えられることが意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
静止構造体と、
前記静止構造体に対し回転するよう構成され、回転軸を規定する回転可能な構造体と、
前記回転可能な構造体に取り付けられ、前記回転可能な構造体から半径方向外側に延びる少なくとも一つのブレード部材であって、前記回転軸と実質的に平行な方向に流れる流体流と相互作用し、前記回転可能な構造体を前記回転軸の回りに回転させるよう構成された、ブレード部材と、
前記回転可能な構造体が前記静止構造体の周りを回転するとき、前記回転可能な構造体および前記静止構造体の間の半径方向支持および軸方向支持の少なくとも一方を提供するよう配置された、少なくとも一つの軸受機構と、
を備え、
前記回転可能な構造体の回転を、電気および水素生成の少なくとも一つに変換するよう構成された、
エネルギー変換システム。
【請求項2】
前記少なくとも一つの軸受機構が、磁気軸受機構、水力学的軸受機構、およびローラー軸受機構の少なくとも一つから選択される、請求項1に記載のエネルギー変換システム。
【請求項3】
前記少なくとも一つの軸受機構が磁気軸受機構を備え、前記システムが少なくとも一つの導電体をさらに備え、前記磁気軸受機構と前記導電体とが、互いに対して移動し、回転可能な構造体の回転中に電気を発生するよう構成される、請求項1に記載のエネルギー変換システム。
【請求項4】
前記少なくとも一つの軸受機構が少なくとも一つの磁気軸受機構を備え、前記少なくとも一つの磁気軸受機構が、ハルバッハ型配列で実質的に配置された複数の磁石を備える、請求項1に記載のエネルギー変換システム。
【請求項5】
前記少なくとも一つの磁気軸受機構が、前記回転可能な構造体が前記静止構造体の回りを回転するとき前記回転可能な構造体と前記静止構造体との間の軸方向の復元力を提供するよう配置される、請求項4に記載のエネルギー変換システム。
【請求項6】
前記複数の磁石が、前記回転可能な構造体と前記静止構造体の間の反発力を提供する、請求項5に記載のエネルギー変換システム。
【請求項7】
前記複数の磁石が、前記回転可能な構造体と前記静止構造体の間の軸方向の整列力を提供する、請求項5に記載のエネルギー変換システム。
【請求項8】
流体流の運動を他の形態のエネルギーに変換する方法であって、
流体塊の中にエネルギー変換システムを配置するステップであって、前記エネルギー変換システムが、
静止構造体と、
前記静止構造体に対し回転するよう構成され、回転軸を規定する回転可能な構造体と、
前記回転可能な構造体が前記静止構造体の周りを回転するとき、前記回転可能な構造体および前記静止構造体の間の半径方向支持および軸方向支持の少なくとも一方を提供するよう配置された、少なくとも一つの磁気軸受機構と、
を備えるステップと、
前記流体塊中の流体流が、前記回転軸と実質的に平行な方向に流れ、前記回転可能な構造体の回転を生じさせるよう、前記エネルギー変換システムを前記流体塊中で指向させるステップと、
前記回転可能な構造体の回転中に、導電要素に対する前記少なくとも一つの磁気軸受機構の移動により、電気および水素の少なくとも一つを発生するステップと、
を備えた方法。
【請求項9】
前記少なくとも一つの磁気軸受機構が、ハルバッハ型配列で実質的に配置された複数の磁石を備える、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記少なくとも一つの磁気軸受機構が、前記回転可能な構造体が前記静止構造体の回りを回転するとき前記回転可能な構造体と前記静止構造体との間の軸方向の復元力を提供するよう配置される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記複数の磁石が、前記回転可能な構造体と前記静止構造体の間の反発力を提供する、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記複数の磁石が、前記回転可能な構造体と前記静止構造体の間の軸方向の整列力を提供する、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記磁気軸受機構のための前記複数の磁石が磁界源を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
前記回転可能な構造体に取り付けられ、前記回転可能な構造体から半径方向外側に延びる少なくとも一つのブレード部材を、前記エネルギー変換システムがさらに備え、前記流体流が前記少なくとも一つのブレード部材と相互作用し、前記回転可能な構造体の回転を生じさせる、請求項8に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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【図49】
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【図50】
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【図51】
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【図52】
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【図53】
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【図54】
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【図55】
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【図56】
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【図57】
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【図58】
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【図59】
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【図60】
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【図61】
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【図62】
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【図63】
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【図64】
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【図65】
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【図66】
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【図67】
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【図68】
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【図69】
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【図70】
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【図71】
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【図72】
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【図73】
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【公表番号】特表2013−509535(P2013−509535A)
【公表日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−536999(P2012−536999)
【出願日】平成22年10月27日(2010.10.27)
【国際出願番号】PCT/US2010/054279
【国際公開番号】WO2011/059708
【国際公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【出願人】(508361069)オーシャナ エナジー カンパニー (2)
【Fターム(参考)】