説明

エラスターゼ活性抑制剤

【課題】安全性が良好な、新規なエラスターゼ活性抑制剤を提供する。
【解決手段】カフェ酸及びその薬学的に許容される塩から選ばれる少なくとも一種を有効成分として含有するエラスターゼ活性抑制剤である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規なエラスターゼ活性抑制剤に関する。
【背景技術】
【0002】
加齢や紫外線によってエラスターゼが過剰に発現すると、皮膚の柔軟性や弾力性に関与するエラスチンの分解を促進し、皮膚の弾力性が低下し、たるみやシワなどの老徴を引き起こすと考えられている。近年、エラスターゼは上記のような老化現象だけでなく、炎症反応における免疫細胞の遊走や毛包形成およびその成長にも関与することが示唆されている。そのため、エラスターゼの活性を抑制し得る剤が、注目されている。
また、安全性に対する関心の高まりから、植物などの天然素材由来のエラスターゼ活性抑制剤が求められるようになってきた
天然素材由来のエラスターゼ活性抑制剤として、数種の剤が知られている(特許文献1〜3)。
【特許文献1】特開平11−246386号公報
【特許文献2】特開2000−53578号公報
【特許文献3】特許第2969451号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、安全性が良好な、新規なエラスターゼ活性抑制剤を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者らは、植物抽出物中に含有される種々の成分について鋭意検討した結果、カカオ等の抽出物の成分であるカフェ酸に、高いエラスターゼ活性抑制作用があることを見出し、この知見に基づき、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、前記課題を解決するため、カフェ酸及びその薬学的に許容される塩から選ばれる少なくとも一種を有効成分として含有するエラスターゼ活性抑制剤を提供する。
また、他の側面において、本発明によって、カフェ酸及びその薬学的に許容される塩から選ばれる少なくとも一種を供給することによって、エラスターゼの活性を抑制する方法(但し、人間の治療法は除く);カフェ酸及びその薬学的に許容される塩から選ばれる少なくとも一種を添加することを含む、エラスターゼ活性抑制剤の製造方法;及び少なくともカフェ酸と、カフェイン及び/又はテオフィリンを含有する植物抽出物に、カフェ酸の含有割合を高める処理を施すことを含むエラスターゼ活性抑制剤の製造方法;が提供される。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、安全性が良好な、新規なエラスターゼ活性抑制剤を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、本発明について詳細に説明する。なお、本明細書において、「〜」はその前後の数値を含む範囲を意味するものとする。
本発明は、カフェ酸及びその薬学的に許容される塩から選ばれる少なくとも一種を有効成分として含有するエラスターゼ活性抑制剤に関する。カフェ酸は、下記式で表される3,4−ジヒドロキシケイ皮酸の別称である。
【0007】
【化1】

【0008】
本発明では、カフェ酸の塩を用いてもよい。塩とすることで水溶性を改善し、配合を容易にしたり、又、効果を増大させることもできる。本発明で用いるカフェ酸の塩は、薬理学的に許容される塩であり、そのような塩を形成するカウンターカチオンの例には、リチウム、ナトリウム、及びカリウム等のアルカリ金属のカチオン;マグネシウム、及びカルシウム等のアルカリ土類金属のカチオン;アンモニウム;アルギニン、リジン、ヒスチジン、及びオルニチン等のアミノ酸のカチオン;及びモノ、ジ、トリエタノールアミン等の有機塩基のカチオン;が含まれる。
【0009】
本発明に用いるカフェ酸は、植物等の天然物由来の成分、即ち、抽出によって得られたものであっても、又は全部もしくは一部を化学合成によって得られたものであってもよい。また試薬として市販されているものを使用してもよい。人や動物に供給される等、安全性が重視される用途では、天然物由来のカフェ酸を用いるのが好ましい。カフェ酸は、アオギリ科カカオ、コーヒーノキ、ナス科トマト、ニンジン、ショウガ科ウコン、ユリ科タマネギ、ニンニク、シソ科カミツレ、ウコギ科チョウセンニンジン等の種々の植物の成分として含有されることが知られている。
【0010】
抽出は、上記植物の全部又は一部を低温もしくは加温下で、溶媒中に所定の時間浸漬することによって実施できる。抽出溶媒は特に限定されないが、水、又はメチルアルコール、エチルアルコール等の低級1価アルコール;グリセリン、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール等の液状多価アルコール;アセトン等のケトン類;エチルエーテル等のエーテル類;もしくは酢酸エチル等のエステル類;等の有機溶媒の一種又は二種以上を、及びこれらと水との混合溶媒を用いることができる。中でも、エチルアルコールが好ましい。また、上記植物の全部又は一部を、所望により、乾燥、細切、圧搾、又は発酵などの適宜の処理を施した後、抽出処理等を施してもよい。
【0011】
本発明のエラスターゼ活性抑制剤は、本発明の効果を損なわない範囲で、カフェ酸以外の成分を含有していてもよい。植物抽出物は、一般的には、種々の成分の混合物であるので、カフェ酸とともに抽出される他の成分を含んでいてもよい。例えば、カフェ酸を含有するカカオ抽出物やコーヒー豆抽出物は、カフェ酸とともに、カフェイン及び/又はテオフィリンを含有するので、これらの他の抽出成分を含んでいてもよい。但し、カカオ抽出物及びコーヒー豆抽出物等をそのまま用いるのではなく、エラスターゼ活性抑制能を発現もしくは高めるために、カフェ酸の含有割合を高める処理をするのが好ましい。例えば、植物抽出物を液体クロマトグラフィーで固相に対する吸着性等の異なる種々の画分に分離し、カフェ酸の含有量の高い画分を使用する、あるいは加熱濃縮、減圧濃縮、凍結濃縮などの濃縮方法により、カフェ酸の含有量を高めるのが好ましい。
【0012】
本発明のエラスターゼ活性抑制剤は、種々の用途に用いることができる。本発明のエラスターゼ活性抑制剤は、安全性も高く、また配合時の安定性にも優れているので、化粧料等の皮膚外用剤の有効成分として用いるのが好ましい。本発明のエラスターゼ活性阻害剤を含有する皮膚外用剤は、皮膚に適用することにより、エラスターゼの活性を抑制する。その結果、エラスチンの過剰な分解が起こらず、皮膚の柔軟性や弾力性が維持され、たるみ・しわなどの老微現象が改善される。即ち、老化防止用化粧料、及びしわ・たるみ改善用化粧料として優れた効果を奏する。
また、エラスターゼは、炎症反応における免疫細胞の遊走に関与している可能性があるので、本発明のエラスターゼ活性抑制剤を含有する皮膚外用剤は、炎症抑制用皮膚外用剤としても有用である。
さらに、エラスターゼは、毛包形成に関与している可能性があるので、本発明のエラスターゼ活性抑制剤を含有する皮膚外用は、発毛及び育毛を制御する皮膚外用剤としても有用である。
【0013】
前記皮膚外用剤中における、本発明のエラスターゼ活性抑制剤の配合量は特に限定されないが、一般的には、乾燥固形分に換算して好ましくは0.00005〜1.5質量%(以下単に「%」で示す)であるのが好ましく、より好ましくは0.0005〜1%である。この範囲内であれば、本発明のエラスターゼ活性抑制剤を安定に配合することができ、かつ高い老化防止効果やたるみ・しわ改善効果を発揮することができる。
【0014】
また、前記皮膚外用剤には、本発明の効果を損なわない範囲で他の有効成分、例えば、美白効果、老化防止効果、又は紫外線暴露によるシワ形成抑効果等を奏する他の有効成分、を配合してもよい。より具体的には、紫外線防御剤、抗菌剤、美白剤、抗炎症剤、細胞賦活剤、活性酸素除去剤、保湿剤などを挙げることができるが、これらに限定されることはない。
【0015】
紫外線防御剤としては、例えば、パラメトキシケイ皮酸−2−エチルヘキシル、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−硫酸ナトリウム、4−t−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン、2−フェニル−ベンズイミダゾール−5−硫酸、酸化チタン、酸化亜鉛等が挙げられる。
【0016】
抗菌剤としては、例えば、安息香酸、安息香酸ナトリウム、パラオキシ安息香酸エステル、塩化ベンザルコニウム、フェノキシエタノール、イソプロピルメチルフェノール等が挙げられる。
【0017】
美白剤は日焼け等により生じる皮膚の黒化、色素沈着により生ずるシミ、ソバカス等の発生を防止する作用を有しており、例えば、アルブチン、エラグ酸、リノール酸、ビタミンC及びその誘導体、ビタミンE及びその誘導体、グリチルリチン酸及びその誘導体、トラネキサム酸、胎盤抽出物、カミツレ抽出物、カンゾウ抽出物、エイジツ抽出物、オウゴン抽出物、海藻抽出物、クジン抽出物、ケイケットウ抽出物、ゴカヒ抽出物、コメヌカ抽出物、小麦胚芽抽出物、サイシン抽出物、サンザシ抽出物、サンペンズ抽出物、シラユリ抽出物、シャクヤク抽出物、センプクカ抽出物、大豆抽出物、茶抽出物、糖蜜抽出物、ビャクレン抽出物、ブドウ抽出物、ホップ抽出物、マイカイカ抽出物、モッカ抽出物、ユキノシタ抽出物等が挙げられる。
【0018】
抗炎症剤は日焼け後の皮膚のほてりや紅斑等の炎症を抑制する作用を有しており、例えば、イオウ及びその誘導体、グリチルリチン酸及びその誘導体、グリチルレチン酸及びその誘導体、アルテア抽出物、アシタバ抽出物、アルニカ抽出物、インチンコウ抽出物、イラクサ抽出物、オウバク抽出物、オトギリソウ抽出物、カミツレ抽出物、キンギンカ抽出物、クレソン抽出物、コンフリー抽出物、サルビア抽出物、シコン抽出物、シソ抽出物、シラカバ抽出物、ゲンチアナ抽出物等が挙げられる。
【0019】
細胞賦活剤は肌荒れの改善等の目的で用いられ、例えば、カフェイン、鶏冠抽出物、貝殻抽出物、貝肉抽出物、ローヤルゼリー、シルクプロテイン及びその分解物又はそれらの誘導体、ラクトフェリン又はその分解物、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸等のムコ多糖類またはそれらの塩、コラーゲン、酵母抽出物、乳酸菌抽出物、ビフィズス菌抽出物、醗酵代謝抽出物、イチョウ抽出物、オオムギ抽出物、センブリ抽出物、タイソウ抽出物、ニンジン抽出物、ローズマリー抽出物、グリコール酸、クエン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、コハク酸等が挙げられる。
【0020】
活性酸素除去剤は、過酸化脂質生成抑制等の作用を有しており、例えば、スーパーオキサイドディスムターゼ、マンニトール、クエルセチン、カテキン及びその誘導体、ルチン及びその誘導体、ボタンピ抽出物、ヤシャジツ抽出物、メリッサ抽出物、羅漢果抽出物、レチノール及びその誘導体、カロチノイド等のビタミンA類、チアミンおよびその誘導体、リボフラビンおよびその誘導体、ピリドキシンおよびその誘導体、ニコチン酸およびその誘導体等のビタミンB類、トコフェロール及びその誘導体等のビタミンE類、ジブチルヒドロキシトルエン及びブチルヒドロキシアニソール等が挙げられる。
【0021】
保湿剤としては、例えば、エラスチン、ケラチン等のタンパク質またはそれらの誘導体、加水分解物並びにそれらの塩、グリシン、セリン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アルギニン、テアニン等のアミノ酸及びそれらの誘導体、ソルビトール、エリスリトール、トレハロース、イノシトール、グルコース、蔗糖およびその誘導体、デキストリン及びその誘導体、ハチミツ等の糖類、D−パンテノール及びその誘導体、尿素、リン脂質、セラミド、オウレン抽出物、ショウブ抽出物、ジオウ抽出物、センキュウ抽出物、ゼニアオイ抽出物、タチジャコウソウ抽出物、ドクダミ抽出物、ハマメリス抽出物、ボダイジュ抽出物、マロニエ抽出物、マルメロ抽出物等が挙げられる。
【0022】
また、前記皮膚外用剤には、本発明の効果を損なわない範囲で、化粧料や医薬部外品、皮膚外用剤等の製造に通常使用される成分、例えば、水(精製水、温泉水、深層水等)、油剤、界面活性剤、金属セッケン、ゲル化剤、粉体、アルコール類、水溶性高分子、皮膜形成剤、樹脂、包接化合物、抗菌剤、香料、消臭剤、塩類、pH調整剤、清涼剤、植物・動物・微生物由来の抽出物、活性酸素除去剤、血行促進剤、収斂剤、抗脂漏剤、保湿剤、キレート剤、角質溶解剤、酵素、ホルモン類、他のビタミン類等を必要に応じて添加することができる。
【0023】
前記皮膚外用剤は、パウダー、パウダーファンデーション等の粉体;石けん、リップスティック等の固体;クリーム、乳液、クリームファンデーション等の乳化物;化粧水、美容液等の液体;など、種々の形態の化粧料組成物であるのが好ましい。また、シャンプー、トリートメント、頭皮用皮膚外用剤であってもよく、これらに限定されることはない。
【0024】
また、本発明のエラスターゼ活性阻害剤を、食品(飲料を含む)に配合するのも好ましい。前記食品としては、特に制限されないが、具体的には、例えば、飴、チューインガム、飲料等が挙げられる。
【実施例】
【0025】
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明の範囲は下記の実施例に限定されることはない。
[実施例1:エラスターゼ活性阻害試験]
試料溶液として、カフェ酸(東京化成工業株式会社製)の1%溶液(エチルアルコール/水=1/1(V/V))を調製した。
エラスターゼ活性抑制試験は、豚膵由来のエラスターゼ酵素液、及びN−Succinyl−Ala−Ala−Ala−p−nitroanilideを基質として用いて行った。具体的には、以下の通り行なった。
酵素液は、0.05units/mL濃度に調整した。
基質液は、基質をジメチルスルフォキサイド(DMSO)に溶解し、0.1mol/L濃度の溶液とした後、0.05mol/L Tris−HCL(pH8.8)緩衝液で希釈し、1mmol/L濃度の溶液として調製した。
基質液100μLと、1%試料溶液50μLとを混合した後、酵素液50μLを添加し、37℃で30分間反応させた。その後、分光光度計により波長405nmの吸光度を測定し、生成したnitroaniline量を求め、エラスターゼ活性抑制率を算出した。エラスターゼ活性抑制率は以下の式により算出した。
エラスターゼ活性抑制率={1−(A−B)/(C−D)}×100
A:基質液と試料溶液とを混合した後、酵素液を添加した時の混合液の波長405nmの吸光度
B:基質液と試料溶液とを混合した時の混合液の波長405nmの吸光度
C:試料溶液の代わりに、該溶液の溶媒を基質液と上記割合で混合した後、酵素液を添加した時の混合液の波長405nmの吸光度
D:試料溶液も酵素液も添加していない、基質液の波長405nmの吸光度
【0026】
また、エラスターゼ活性抑制作用が知られている、ジメチルスルフォン(1%水溶液)、及びアムラエキス(1%溶液(エチルアルコール/水=1/1(V/V)))についてもそれぞれ上記と同一の試験を行い、エラスターゼ活性抑制率を算出した。結果を、カフェ酸の結果とともに、図1に併せて示す。
図1のグラフに示した結果から、本発明のエラスターゼ活性抑制剤は、公知のエラスターゼ活性抑制剤であるジメチルスルフォン、及びアムラエキスと比較して高い作用を示したことが理解できる。従って、本発明のエラスターゼ活性阻害剤を用いることによって、より高いエラスターゼ活性抑制作用を得ることができる。又、従来より配合量を減少した場合も同等以上の効果が得られるので、配合組成の選択の幅が広がり、本発明のエラスターゼ活性抑制剤を用いることは、製剤上有利である。
【0027】
また、カカオ抽出物及びコーヒー豆抽出物等に、カフェ酸とともに含まれるカフェイン及びテオフィリンについても、上記と同一の試験を行い、エラスターゼ活性抑制率を算出した。結果を、カフェ酸の結果とともに図2に併せて示す。
図2のグラフに示した結果から、カフェイン及びテオフィリンにはエラスターゼ活性抑制作用がないことが理解できる。従って、カカオ抽出物及びコーヒー豆抽出物等、カフェ酸とともに、カフェイン及びテオフィリンを含有する植物抽出物について、抽出物中のカフェ酸の含有割合を高める処理を行うことにより、エラスターゼ活性抑制能を発現、もしくは向上させることができる。
【0028】
[実施例1:洗顔料]
下記の方法により洗顔料を調製した。
(製法)
A.下記成分(1)〜(7)を加熱溶解する。
B.下記成分(8)〜(11)を加熱溶解する。
C.AにBを加え混合する。
D.Cを冷却後、下記成分(12)〜(14)を加え混合し、洗顔料を得る。
【0029】
(成分) (質量%)
(1)ラウリン酸 5.0
(2)ミリスチン酸 18.5
(3)ステアリン酸 6.0
(4)グリセリン 12.0
(5)ポリエチレングリコール1500 5.0
(6)水酸化カリウム 6.5
(7)精製水 残量
(8)ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド 5.0
(9)ヤシ油脂肪酸メチルタウリンナトリウム 1.8
(10)ポリオキシエチレン(7.5E.O.)ラウリルエーテル 2.0
(11)ジステアリン酸エチレングリコール 1.0
(12)ヒドロキシプロピルメチルセルロース1%水溶液 5.0
(13)カフェ酸*1 0.1
(14)香料 適量
*1 東京化成工業株式会社製
【0030】
[実施例2:化粧水]
下記の方法により化粧水を調製した。
(製法)
A.下記成分(1)〜(6)を混合溶解する。
B.下記成分(7)〜(12)を混合溶解する。
C.AにBを加え混合し、化粧水を得た。
【0031】
(成分) (質量%)
(1)クエン酸 0.05
(2)クエン酸ナトリウム 0.2
(3)ピロリドンカルボン酸ナトリウム(50%)水溶液 0.5
(4)グリチルリチン酸ジカリウム 0.1
(5)グリセリン 3.0
(6)1,3−ブチレングリコール 8.0
(7)精製水 残量
(8)エチルアルコール 10.0
(9)カフェ酸*1 0.1
(10)香料 適量
(11)防腐剤 適量
(12)モノオレイン酸ポリオキシエチレン(20E.O.)
ソルビタン 0.5
*1:東京化成工業株式会社製
【0032】
[実施例3:乳液]
下記の方法により、乳液を調製した。
(製法)
A.下記成分(1)〜(13)を加熱溶解し、70℃に保つ。
B.下記成分(14)〜(18)を加熱溶解し、70℃に保つ。
C.AにBを加え乳化し、更に下記成分(19)を加え混合する。
D.Cを冷却し、下記成分(20)を加え混合し、乳液を得る。
【0033】
(成分) (質量%)
(1)ステアリン酸 1.0
(2)セタノール 0.5
(3)親油型モノステアリン酸グリセリン 0.5
(4)流動パラフィン 2.0
(5)スクワラン 3.0
(6)ホホバ油 3.0
(7)パルミチン酸セチル 0.2
(8)パルミチン酸レチノール 0.2
(9)酢酸トコフェロール 0.05
(10)カフェ酸*1 0.1
(11)防腐剤 適量
(12)モノステアリン酸ソルビタン 0.3
(13)モノオレイン酸ポリオキシエチレン(20E.O.)
ソルビタン 0.5
(14)トリエタノールアミン 0.5
(15)1,3−ブチレングリコール 15.0
(16)グリセリン 3.0
(17)ポリエチレングリコール6000 0.5
(18)精製水 残量
(19)カルボキシビニルポリマー1%水溶液 8.0
(20)香料 適量
*1:東京化成工業株式会社製
【0034】
[実施例4:クリーム]
下記の方法により、クリームを調製した。
(製法)
A.下記成分(1)〜(14)を加熱溶解し、70℃に保つ。
B.下記成分(15)〜(19)を加熱溶解し、70℃に保つ。
C.AにBを加え乳化し、更に下記成分(20)を加え混合する。
D.Cを冷却し、下記成分(21)を加え混合し、クリームを得る。
【0035】
(成分) (質量%)
(1)ステアリン酸 2.5
(2)セタノール 2.5
(3)親油型モノステアリン酸グリセリン 2.0
(4)ワセリン 2.0
(5)ジペンタエリトリット脂肪酸エステル*1 2.0
(6)ミリスチン酸イソトリデシル 5.0
(7)流動パラフィン 8.0
(8)スクワラン 5.0
(9)ミツロウ 1.0
(10)カフェ酸*2 0.1
(11)パルミチン酸セチル 2.0
(12)セスキオレイン酸ソルビタン 0.5
(13)モノオレイン酸ポリオキシエチレン(20E.O.)
ソルビタン 1.5
(14)防腐剤 適量
(15)トリエタノールアミン 1.2
(16)1,3−ブチレングリコール 8.0
(17)グリセリン 2.0
(18)ポリエチレングリコール20000 0.5
(19)精製水 残量
(20)カルボキシビニルポリマー1%水溶液 10.0
(21)香料 適量
*1:コスモール168AR(日清オイリオグループ社製)
*2:東京化成工業株式会社製
【0036】
上記で調製した種々の化粧料は、いずれも経時安定性に優れ、皮膚に適用することにより、肌のしわやたるみを改善し、張りのある美しい肌にする、老化防止効果に優れたものであった。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明によれば、安全性に優れた、新規なエラスターゼ活性抑制剤を提供できる。このエラスターゼ活性抑制剤は、皮膚外用剤及び食品に安定的に配合することができる。本発明のエラスターゼ活性抑制剤を用いることによって、皮膚外用剤等にエラスターゼの活性抑制作用による、優れた老化防止能、たるみ・しわ改善能、炎症抑制能、又は発毛・育毛の制御能を付与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】実施例で行なったエラスターゼ活性抑制試験の結果を示すグラフである。
【図2】実施例で行なったエラスターゼ活性抑制試験の結果を示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カフェ酸及びその薬学的に許容される塩から選ばれる少なくとも一種を有効成分として含有するエラスターゼ活性抑制剤。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−239545(P2008−239545A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−81911(P2007−81911)
【出願日】平成19年3月27日(2007.3.27)
【出願人】(000145862)株式会社コーセー (734)
【Fターム(参考)】