エレベータの遠隔監視システム
【課題】エレベータの点検において、少ない停止時間でエレベータを点検することが可能で、数万台に及ぶエレベータの点検を、効率よく実施することが可能な、エレベータの遠隔監視システムを提供する。
【解決手段】監視装置1から携帯端末3−Aを携帯する保全作業者3に点検日を連絡し、携帯端末3−Aを携帯する保全作業者3が、携帯端末3−Aから監視装置1に接続指令を行うことに応じて、監視センタ5に負荷を掛けず、点検中随時、乗かご6内インターホン7から音声を収集することにより、エレベータの運行状態を点検診断し、点検の結果、異常が無かった場合、顧客9へ点検終了報告を行うのみとする。
【解決手段】監視装置1から携帯端末3−Aを携帯する保全作業者3に点検日を連絡し、携帯端末3−Aを携帯する保全作業者3が、携帯端末3−Aから監視装置1に接続指令を行うことに応じて、監視センタ5に負荷を掛けず、点検中随時、乗かご6内インターホン7から音声を収集することにより、エレベータの運行状態を点検診断し、点検の結果、異常が無かった場合、顧客9へ点検終了報告を行うのみとする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレベータの遠隔監視システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のエレベータの点検において、保全作業者が現地に直接赴かないとエレベータの状態を把握することができず、また、異常があった場合には、原因調査や部品入手等の戻り作業が発生し、作業効率が悪化していた。
【0003】
そこで従来では図6に示す通り、かごドア6−Aの開閉音をかご内に設置されたインターホン7で受信し、通信回線15及び遠隔監視装置16を介し、遠隔監視センタ17が異常を判定、又は、遠隔監視装置16で収録されたものを、保全作業者18が、点検に赴く前に聞くことにより、異常発生の原因と対策を、事前に見当をつけるものが提案されていた(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平10−203745号公報(図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし上記従来技術による前記点検方法は、通信回線、遠隔監視装置及び遠隔監視センタを用い、異常音を収録し判定処理、又は、保全作業者が事前に確認する方法であるが、装置自体が効果となるだけでなく、現在、数万台に及び、今後、更に増加し続けるエレベータ納入台数に対し、遠隔監視センタで処理することは不可能となる。
【0005】
すなわち、図7に示す通り、点検日を含むエレベータ遠隔監視データ20、数万台に及ぶエレベータ19に対し、遠隔監視センタ21にて、一括処理を行うために膨大な計算時間を要するだけでなく、細かい顧客情報を盛り込むことが出来ないため、遠隔監視センタ21にて作成された点検スケジュール22に対し、保全作業者23が手動で修正を加えているため、作業効率が改善されない問題があった。
【0006】
また、異常音の収録は点検時のみであるため、異常発生時などに異常音収集を即時利用することが出来ず、十分な利便性を確保できていなかった。
【0007】
本発明の目的は、少ない停止時間でエレベータを点検することが可能で、数万台に及ぶエレベータの点検を、効率よく実施することが可能な、エレベータの遠隔監視システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記目的を達成するために、エレベータの運転を制御する制御盤と、この制御盤と通信してその通信結果を公衆回線を介して送信する監視装置と、この監視装置と通信して前記通信結果を受信し記憶する遠隔監視センタとを含んで成るエレベータの遠隔監視システムにおいて、前記公衆回線を介して前記監視装置と通信して前記制御盤との接続開始指令もしくは接続終了指令を送信する携帯端末を設け、前記監視装置は、前記接続指令を前記制御盤に送信し、この制御盤を介してエレベータ乗かご内のインターホンから収集した音声を取得し、この取得した音声を前記携帯端末へ送信するように構成したことを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、携帯端末を携帯する保全作業者は、携帯端末からの接続指令を行うことに応じて、監視センターに負担を掛けず、随時、乗かご内インターホンから収集した音声を取得でき、効率良くエレベータの点検を行うことが出来る。
【0010】
また本発明によれば、前記監視装置は、前記制御盤との通信結果からエレベータの異常を検出すると、前記携帯端末に異常であることを送信するよう構成したため、この異常送信に応じて保全作業者は、携帯端末を用いて迅速にかご内収集音を取得することが出来る。
【0011】
従って異常発生時にも、迅速な保全作業者の対応が図れることとなる。
【0012】
さらに本発明によれば、エレベータの通常運転および点検運転を制御する制御盤と、この制御盤へ点検運転指令を送信するとともに前記制御盤との通信結果から点検運転の情報を取得して公衆回線を介して点検運転結果を送信する監視装置と、この監視装置と通信して前記点検運転結果を受信し記憶する遠隔監視センタとを含んで成るエレベータの遠隔監視システムにおいて、前記公衆回線を介して前記監視装置と通信して前記点検運転開始指令もしくは前記点検運転終了指令を送信する携帯端末を設け、前記監視装置は、前記点検運転日を記憶するとともに、点検運転日にその旨を前記携帯端末へ送信し、前記携帯端末からの点検運転開始指令の受信に応じて、これを前記制御盤へ送信し、この制御盤を介して点検運転中のエレベータ乗かご内のインターホンから収集した音声を取得し前記携帯端末へ送信するように構成したことを特徴とする。
【0013】
このように、運転点検日であることを監視装置から携帯端末に送信する構成としたため、保全作業者は忘れることなく点検運転を行ってインターホンから収集取得した音声を分析して異常の有無を点検することが出来る。
【0014】
またこの際、監視センターを介さないため、監視センター側に負担を掛けず、数万台に及ぶエレベータの収集音の診断を、多数の保全作業者で並行して同時に効率良く行うことが出来る。
【0015】
さらにまた本発明によれば、前記遠隔監視センタと通信して前記点検運転結果を受信し作業報告書を作成する顧客情報管理端末を設け、前記携帯端末は、点検運転終了指令時に前記点検運転診断結果も送信するとともに、前記遠隔監視センタはこの点検運転診断結果を記憶するよう構成したことを特徴とする。
【0016】
このように本発明によれば、前記保全作業者の収集音診断結果を作業報告書に反映することが出来ることから、顧客にとっても透明性の高い保守作業を提供でき、顧客満足の向上を図ることが出来る。
【発明の効果】
【0017】
本発明のエレベータの遠隔監視システムは、数万台に及ぶエレベータの点検を効率よく実施することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態を実施例に基づき説明する。
【実施例1】
【0019】
図1〜5は、本発明におけるエレベータの遠隔監視システムの一実施の形態を示す概念図である。
【0020】
図1において、1は監視装置、2は公衆回線、3は保全作業者、3−Aは公衆回線2を介して監視装置1と通信して制御盤8との接続開始指令もしくは接続終了指令を送信する携帯端末、4は顧客情報管理端末、5は遠隔監視センタ、6は乗かご、7は乗かご内インターホン、8はエレベータの運転を制御する制御盤、9は顧客、10は作業報告、で構成される、エレベータの遠隔監視システムを示す。
【0021】
図2において、2−Aは前記監視装置1より送信される点検開始指令、2−Bは保全作業者から監視装置1への接続開始指令、2−Cは監視装置1から制御盤8への点検運転指令、2−Dはインターホン7からの音声収集、2−Eは顧客9への点検開始連絡で構成される、エレベータの遠隔監視システムを示す。
【0022】
図3において、2−bは前記監視装置1より送信される点検運転診断結果、2−aは接続終了指令、2−eは顧客への終了報告からなるエレベータの遠隔監視システムを示す。
【0023】
図4において、2−Fは監視装置1が収集した点検運転診断結果2−bを顧客情報管理端末4への送信、2−Gは監視センター5への点検運転診断結果の予備保存、2−Hは顧客情報管理端末4が収集した点検運転診断結果2−bを元に作業報告10を自動作成、2−hは、2−Hにて自動作成された作業報告10の配信記録、2−Jは2−Hにて自動作成された作業報告10の自動配信からなるエレベータの遠隔監視システムを示す。
【0024】
図5において、11は乗客、12は乗客からの異常発報、2−Kは保全作業者3への異常発生通知、13は遠隔監視センタ5への異常発生通知、14は遠隔監視センタ5からの技術支援、2−Lは乗客11と前記作業者3との公衆回線を用いての情報収集からなるエレベータの遠隔監視システムを利用した緊急対応システムを示す。
【0025】
本実施形態において、エレベータの運転を制御する制御盤8と、この制御盤8と通信してその通信結果を公衆回線2を介して送信する監視装置1と、この監視装置1と通信して前記通信結果を受信し記憶する遠隔監視センタ5とを含んで成るエレベータの遠隔監視システムにおいて、前記公衆回線2を介して前記監視装置1と通信して前記制御盤8との接続開始指令2−B、もしくは、接続終了指令2−aを送信する携帯端末3−Aを設け、前記監視装置1は、前記接続指令2−Aを受信後、前記制御盤8に点検運転指令2−Cを送信と同時に顧客9へ点検運転開始連絡2−Eを送信し、この制御盤8を介してエレベータ乗かご6内のインターホン7から収集した音声2−Dを取得し、この取得した音声を前記携帯端末3−Aへ送信するように構成したことを特徴とする。
【0026】
これにより、監視装置1から携帯端末3−Aを携帯する保全作業者3に点検日を連絡するようにしたため、携帯端末3−Aを携帯する保全作業者3は、携帯端末3−Aからの接続指令2−Bを行うことに応じて、監視センタ5に負担を掛けず、随時、乗かご内インターホン7から収集した音声を取得でき、点検の結果、異常が無かった場合、顧客9へ点検終了報告2−eを行なうだけとなるため、効率良くエレベータの点検を行うことが出来る。
【0027】
また本発明によれば、前記監視装置1は、前記制御盤8との通信結果2−bからエレベータの異常を検出すると、前記携帯端末3−Aに異常であることを送信するよう構成したため、この異常送信に応じて保全作業者3は、携帯端末3−Aを用いて迅速にかご内収集音を取得することが出来る。
【0028】
従って異常発生時にも、迅速な保全作業者の対応が図れることとなる。
【0029】
さらに、エレベータの通常運転および点検運転を制御する制御盤8と、この制御盤8へ点検運転指令2−Cを送信するとともに前記制御盤8との通信結果から点検運転の情報を取得して公衆回線2を介して点検運転結果2−F,2−Gを送信する監視装置1と、この監視装置1と通信して前記点検運転結果2−Gを受信し記憶する遠隔監視センタ5とを含んで成るエレベータの遠隔監視システムにおいて、前記公衆回線2を介して前記監視装置1と通信して前記点検運転開始指令2−Bもしくは前記点検運転終了指令2−aを送信する携帯端末3−Aを設け、前記監視装置1は、前記点検運転日を記憶するとともに、点検運転日にその旨を前記携帯端末3−Aへ送信し、前記携帯端末1からの点検運転開始指令2−Bの受信に応じて、これを前記制御盤8へ送信し、この制御盤8を介して点検運転中のエレベータ乗かご6内のインターホン7から収集した音声2−Dを取得し前記携帯端末3−Aへ送信するように構成したことを特徴とする。
【0030】
このように、点検日であることを監視装置1から携帯端末3−Aに送信する構成としたため、保全作業者3は忘れることなく運転を行ってインターホン7から収集取得した音声を分析して異常の有無を点検することが出来る。
【0031】
またこの際、監視センタ5を介さないため、監視センタ5側に負荷を掛けず、数万台に及ぶエレベータの運行状態を、多数の保全作業者3で並行して同時に効率良く行うことが出来る。
【0032】
さらに本実施形態において、前記遠隔監視センタ5と通信して前記点検運転結果2−Fを受信し作業報告書10を自動作成2−Hを行い、さらに、顧客9に対して自動配信2−Jを行うと共に、配信記録2−hを監視センタ5に送信することが出来る顧客情報管理端末4を設け、前記携帯端末3−Aは、点検運転終了指令2−a時に前記点検運転診断結果2−bも送信するとともに、前記遠隔監視センタ5はこの点検運転診断結果2−bを記憶するよう構成したことを特徴とする。
【0033】
このように本発明によれば、前記保全作業者3の収集音診断結果を作業報告10に反映することが出来ることから、顧客にとっても透明性の高い保守作業を提供でき、顧客満足の向上を図ることが出来る。
【0034】
さらに、前記監視装置1に、エレベータ乗客11が発した異常発報12を検知すると、前記保全作業者3に異常発生通知2−Kを発し、受信した作業者3は、前記監視装置1を用いてエレベータ乗客11とインターホン7と公衆回線を用いて、乗客11と対話することが出来るため、迅速な対応が可能となるだけでなく、前記監視装置1から異常発生通知13を受信した遠隔監視センター5より、異常発生通知2−Kを受信した保全作業者3に対し、技術支援14を行うことが出来るように工夫すれば好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の一実施形態を示す、エレベータの遠隔監視システムの概念図。
【図2】本発明の一実施形態を示す、エレベータの遠隔監視システムの概念図。
【図3】本発明の一実施形態を示す、エレベータの遠隔監視システムの概念図。
【図4】本発明の一実施形態を示す、エレベータの遠隔監視システムの概念図。
【図5】本発明の一実施形態を示す、エレベータの遠隔監視システムの概念図。
【図6】従来のエレベータ遠隔点検システムの一実施例である。
【図7】従来のエレベータ遠隔点検システムの一実施例である。
【符号の説明】
【0036】
1 監視装置
2 公衆回線
2−A 点検開始指令
2−a 接続終了指令
2−B 接続開始指令
2−b 点検運転診断結果
2−C 点検運転指令
2−D 音声収集
2−E 顧客9への点検開始連絡
2−e 顧客9への終了報告
2−F 点検運転診断結果2−bの送信
2−G 監視センター5への点検運転診断結果の予備保存
2−H 作業報告10を自動作成
2−h 作業報告10の配信記録
2−J 作業報告10の自動配信
2−K 異常発生通知
2−L 公衆回線を用いての情報収集
3 保全作業者
3−A 携帯端末
4 顧客情報管理端末
5 遠隔監視センタ
6 乗かご
6−A かごドア
7 インターホン
8 制御盤
9 顧客
10 作業報告
11 乗客
12 異常発報
13 遠隔監視センタ5への異常発生通知
14 技術支援
15 通信回線
16 遠隔監視装置
17 監視センタ
18 保全作業者
19 数万台に及ぶエレベーター
20 遠隔監視データ
21 遠隔監視センタ
22 点検スケジュール
23 保全作業者
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレベータの遠隔監視システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のエレベータの点検において、保全作業者が現地に直接赴かないとエレベータの状態を把握することができず、また、異常があった場合には、原因調査や部品入手等の戻り作業が発生し、作業効率が悪化していた。
【0003】
そこで従来では図6に示す通り、かごドア6−Aの開閉音をかご内に設置されたインターホン7で受信し、通信回線15及び遠隔監視装置16を介し、遠隔監視センタ17が異常を判定、又は、遠隔監視装置16で収録されたものを、保全作業者18が、点検に赴く前に聞くことにより、異常発生の原因と対策を、事前に見当をつけるものが提案されていた(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平10−203745号公報(図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし上記従来技術による前記点検方法は、通信回線、遠隔監視装置及び遠隔監視センタを用い、異常音を収録し判定処理、又は、保全作業者が事前に確認する方法であるが、装置自体が効果となるだけでなく、現在、数万台に及び、今後、更に増加し続けるエレベータ納入台数に対し、遠隔監視センタで処理することは不可能となる。
【0005】
すなわち、図7に示す通り、点検日を含むエレベータ遠隔監視データ20、数万台に及ぶエレベータ19に対し、遠隔監視センタ21にて、一括処理を行うために膨大な計算時間を要するだけでなく、細かい顧客情報を盛り込むことが出来ないため、遠隔監視センタ21にて作成された点検スケジュール22に対し、保全作業者23が手動で修正を加えているため、作業効率が改善されない問題があった。
【0006】
また、異常音の収録は点検時のみであるため、異常発生時などに異常音収集を即時利用することが出来ず、十分な利便性を確保できていなかった。
【0007】
本発明の目的は、少ない停止時間でエレベータを点検することが可能で、数万台に及ぶエレベータの点検を、効率よく実施することが可能な、エレベータの遠隔監視システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記目的を達成するために、エレベータの運転を制御する制御盤と、この制御盤と通信してその通信結果を公衆回線を介して送信する監視装置と、この監視装置と通信して前記通信結果を受信し記憶する遠隔監視センタとを含んで成るエレベータの遠隔監視システムにおいて、前記公衆回線を介して前記監視装置と通信して前記制御盤との接続開始指令もしくは接続終了指令を送信する携帯端末を設け、前記監視装置は、前記接続指令を前記制御盤に送信し、この制御盤を介してエレベータ乗かご内のインターホンから収集した音声を取得し、この取得した音声を前記携帯端末へ送信するように構成したことを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、携帯端末を携帯する保全作業者は、携帯端末からの接続指令を行うことに応じて、監視センターに負担を掛けず、随時、乗かご内インターホンから収集した音声を取得でき、効率良くエレベータの点検を行うことが出来る。
【0010】
また本発明によれば、前記監視装置は、前記制御盤との通信結果からエレベータの異常を検出すると、前記携帯端末に異常であることを送信するよう構成したため、この異常送信に応じて保全作業者は、携帯端末を用いて迅速にかご内収集音を取得することが出来る。
【0011】
従って異常発生時にも、迅速な保全作業者の対応が図れることとなる。
【0012】
さらに本発明によれば、エレベータの通常運転および点検運転を制御する制御盤と、この制御盤へ点検運転指令を送信するとともに前記制御盤との通信結果から点検運転の情報を取得して公衆回線を介して点検運転結果を送信する監視装置と、この監視装置と通信して前記点検運転結果を受信し記憶する遠隔監視センタとを含んで成るエレベータの遠隔監視システムにおいて、前記公衆回線を介して前記監視装置と通信して前記点検運転開始指令もしくは前記点検運転終了指令を送信する携帯端末を設け、前記監視装置は、前記点検運転日を記憶するとともに、点検運転日にその旨を前記携帯端末へ送信し、前記携帯端末からの点検運転開始指令の受信に応じて、これを前記制御盤へ送信し、この制御盤を介して点検運転中のエレベータ乗かご内のインターホンから収集した音声を取得し前記携帯端末へ送信するように構成したことを特徴とする。
【0013】
このように、運転点検日であることを監視装置から携帯端末に送信する構成としたため、保全作業者は忘れることなく点検運転を行ってインターホンから収集取得した音声を分析して異常の有無を点検することが出来る。
【0014】
またこの際、監視センターを介さないため、監視センター側に負担を掛けず、数万台に及ぶエレベータの収集音の診断を、多数の保全作業者で並行して同時に効率良く行うことが出来る。
【0015】
さらにまた本発明によれば、前記遠隔監視センタと通信して前記点検運転結果を受信し作業報告書を作成する顧客情報管理端末を設け、前記携帯端末は、点検運転終了指令時に前記点検運転診断結果も送信するとともに、前記遠隔監視センタはこの点検運転診断結果を記憶するよう構成したことを特徴とする。
【0016】
このように本発明によれば、前記保全作業者の収集音診断結果を作業報告書に反映することが出来ることから、顧客にとっても透明性の高い保守作業を提供でき、顧客満足の向上を図ることが出来る。
【発明の効果】
【0017】
本発明のエレベータの遠隔監視システムは、数万台に及ぶエレベータの点検を効率よく実施することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態を実施例に基づき説明する。
【実施例1】
【0019】
図1〜5は、本発明におけるエレベータの遠隔監視システムの一実施の形態を示す概念図である。
【0020】
図1において、1は監視装置、2は公衆回線、3は保全作業者、3−Aは公衆回線2を介して監視装置1と通信して制御盤8との接続開始指令もしくは接続終了指令を送信する携帯端末、4は顧客情報管理端末、5は遠隔監視センタ、6は乗かご、7は乗かご内インターホン、8はエレベータの運転を制御する制御盤、9は顧客、10は作業報告、で構成される、エレベータの遠隔監視システムを示す。
【0021】
図2において、2−Aは前記監視装置1より送信される点検開始指令、2−Bは保全作業者から監視装置1への接続開始指令、2−Cは監視装置1から制御盤8への点検運転指令、2−Dはインターホン7からの音声収集、2−Eは顧客9への点検開始連絡で構成される、エレベータの遠隔監視システムを示す。
【0022】
図3において、2−bは前記監視装置1より送信される点検運転診断結果、2−aは接続終了指令、2−eは顧客への終了報告からなるエレベータの遠隔監視システムを示す。
【0023】
図4において、2−Fは監視装置1が収集した点検運転診断結果2−bを顧客情報管理端末4への送信、2−Gは監視センター5への点検運転診断結果の予備保存、2−Hは顧客情報管理端末4が収集した点検運転診断結果2−bを元に作業報告10を自動作成、2−hは、2−Hにて自動作成された作業報告10の配信記録、2−Jは2−Hにて自動作成された作業報告10の自動配信からなるエレベータの遠隔監視システムを示す。
【0024】
図5において、11は乗客、12は乗客からの異常発報、2−Kは保全作業者3への異常発生通知、13は遠隔監視センタ5への異常発生通知、14は遠隔監視センタ5からの技術支援、2−Lは乗客11と前記作業者3との公衆回線を用いての情報収集からなるエレベータの遠隔監視システムを利用した緊急対応システムを示す。
【0025】
本実施形態において、エレベータの運転を制御する制御盤8と、この制御盤8と通信してその通信結果を公衆回線2を介して送信する監視装置1と、この監視装置1と通信して前記通信結果を受信し記憶する遠隔監視センタ5とを含んで成るエレベータの遠隔監視システムにおいて、前記公衆回線2を介して前記監視装置1と通信して前記制御盤8との接続開始指令2−B、もしくは、接続終了指令2−aを送信する携帯端末3−Aを設け、前記監視装置1は、前記接続指令2−Aを受信後、前記制御盤8に点検運転指令2−Cを送信と同時に顧客9へ点検運転開始連絡2−Eを送信し、この制御盤8を介してエレベータ乗かご6内のインターホン7から収集した音声2−Dを取得し、この取得した音声を前記携帯端末3−Aへ送信するように構成したことを特徴とする。
【0026】
これにより、監視装置1から携帯端末3−Aを携帯する保全作業者3に点検日を連絡するようにしたため、携帯端末3−Aを携帯する保全作業者3は、携帯端末3−Aからの接続指令2−Bを行うことに応じて、監視センタ5に負担を掛けず、随時、乗かご内インターホン7から収集した音声を取得でき、点検の結果、異常が無かった場合、顧客9へ点検終了報告2−eを行なうだけとなるため、効率良くエレベータの点検を行うことが出来る。
【0027】
また本発明によれば、前記監視装置1は、前記制御盤8との通信結果2−bからエレベータの異常を検出すると、前記携帯端末3−Aに異常であることを送信するよう構成したため、この異常送信に応じて保全作業者3は、携帯端末3−Aを用いて迅速にかご内収集音を取得することが出来る。
【0028】
従って異常発生時にも、迅速な保全作業者の対応が図れることとなる。
【0029】
さらに、エレベータの通常運転および点検運転を制御する制御盤8と、この制御盤8へ点検運転指令2−Cを送信するとともに前記制御盤8との通信結果から点検運転の情報を取得して公衆回線2を介して点検運転結果2−F,2−Gを送信する監視装置1と、この監視装置1と通信して前記点検運転結果2−Gを受信し記憶する遠隔監視センタ5とを含んで成るエレベータの遠隔監視システムにおいて、前記公衆回線2を介して前記監視装置1と通信して前記点検運転開始指令2−Bもしくは前記点検運転終了指令2−aを送信する携帯端末3−Aを設け、前記監視装置1は、前記点検運転日を記憶するとともに、点検運転日にその旨を前記携帯端末3−Aへ送信し、前記携帯端末1からの点検運転開始指令2−Bの受信に応じて、これを前記制御盤8へ送信し、この制御盤8を介して点検運転中のエレベータ乗かご6内のインターホン7から収集した音声2−Dを取得し前記携帯端末3−Aへ送信するように構成したことを特徴とする。
【0030】
このように、点検日であることを監視装置1から携帯端末3−Aに送信する構成としたため、保全作業者3は忘れることなく運転を行ってインターホン7から収集取得した音声を分析して異常の有無を点検することが出来る。
【0031】
またこの際、監視センタ5を介さないため、監視センタ5側に負荷を掛けず、数万台に及ぶエレベータの運行状態を、多数の保全作業者3で並行して同時に効率良く行うことが出来る。
【0032】
さらに本実施形態において、前記遠隔監視センタ5と通信して前記点検運転結果2−Fを受信し作業報告書10を自動作成2−Hを行い、さらに、顧客9に対して自動配信2−Jを行うと共に、配信記録2−hを監視センタ5に送信することが出来る顧客情報管理端末4を設け、前記携帯端末3−Aは、点検運転終了指令2−a時に前記点検運転診断結果2−bも送信するとともに、前記遠隔監視センタ5はこの点検運転診断結果2−bを記憶するよう構成したことを特徴とする。
【0033】
このように本発明によれば、前記保全作業者3の収集音診断結果を作業報告10に反映することが出来ることから、顧客にとっても透明性の高い保守作業を提供でき、顧客満足の向上を図ることが出来る。
【0034】
さらに、前記監視装置1に、エレベータ乗客11が発した異常発報12を検知すると、前記保全作業者3に異常発生通知2−Kを発し、受信した作業者3は、前記監視装置1を用いてエレベータ乗客11とインターホン7と公衆回線を用いて、乗客11と対話することが出来るため、迅速な対応が可能となるだけでなく、前記監視装置1から異常発生通知13を受信した遠隔監視センター5より、異常発生通知2−Kを受信した保全作業者3に対し、技術支援14を行うことが出来るように工夫すれば好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の一実施形態を示す、エレベータの遠隔監視システムの概念図。
【図2】本発明の一実施形態を示す、エレベータの遠隔監視システムの概念図。
【図3】本発明の一実施形態を示す、エレベータの遠隔監視システムの概念図。
【図4】本発明の一実施形態を示す、エレベータの遠隔監視システムの概念図。
【図5】本発明の一実施形態を示す、エレベータの遠隔監視システムの概念図。
【図6】従来のエレベータ遠隔点検システムの一実施例である。
【図7】従来のエレベータ遠隔点検システムの一実施例である。
【符号の説明】
【0036】
1 監視装置
2 公衆回線
2−A 点検開始指令
2−a 接続終了指令
2−B 接続開始指令
2−b 点検運転診断結果
2−C 点検運転指令
2−D 音声収集
2−E 顧客9への点検開始連絡
2−e 顧客9への終了報告
2−F 点検運転診断結果2−bの送信
2−G 監視センター5への点検運転診断結果の予備保存
2−H 作業報告10を自動作成
2−h 作業報告10の配信記録
2−J 作業報告10の自動配信
2−K 異常発生通知
2−L 公衆回線を用いての情報収集
3 保全作業者
3−A 携帯端末
4 顧客情報管理端末
5 遠隔監視センタ
6 乗かご
6−A かごドア
7 インターホン
8 制御盤
9 顧客
10 作業報告
11 乗客
12 異常発報
13 遠隔監視センタ5への異常発生通知
14 技術支援
15 通信回線
16 遠隔監視装置
17 監視センタ
18 保全作業者
19 数万台に及ぶエレベーター
20 遠隔監視データ
21 遠隔監視センタ
22 点検スケジュール
23 保全作業者
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベータの運転を制御する制御盤と、この制御盤と通信してその通信結果を公衆回線を介して送信する監視装置と、この監視装置と通信して前記通信結果を受信し記憶する遠隔監視センタとを含んで成るエレベータの遠隔監視システムにおいて、
前記公衆回線を介して前記監視装置と通信して前記制御盤との接続開始指令もしくは接続終了指令を送信する携帯端末を設け、
前記監視装置は、前記接続指令を前記制御盤に送信し、この制御盤を介してエレベータ乗かご内のインターホンから収集した音声を取得し、この取得した音声を前記携帯端末へ送信するように構成したことを特徴とするエレベータの遠隔監視システム。
【請求項2】
請求項1に記載のエレベータの遠隔監視システムにおいて、
前記監視装置は、前記制御盤との通信結果からエレベータの異常を検出すると、前記携帯端末に異常であることを送信するよう構成したことを特徴とするエレベータの遠隔監視システム。
【請求項3】
エレベータの通常運転および点検運転を制御する制御盤と、この制御盤へ点検運転指令を送信するとともに前記制御盤との通信結果から点検運転の情報を取得して公衆回線を介して点検運転結果を送信する監視装置と、この監視装置と通信して前記点検運転結果を受信し記憶する遠隔監視センタとを含んで成るエレベータの遠隔監視システムにおいて、
前記公衆回線を介して前記監視装置と通信して前記点検運転開始指令もしくは前記点検運転終了指令を送信する携帯端末を設け、
前記監視装置は、前記点検運転日を記憶するとともに、点検運転日にその旨を前記携帯端末へ送信し、前記携帯端末からの点検運転開始指令の受信に応じて、これを前記制御盤へ送信し、この制御盤を介して点検運転中のエレベータ乗かご内のインターホンから収集した音声を取得し前記携帯端末へ送信するように構成したことを特徴とするエレベータの遠隔監視システム。
【請求項4】
請求項2に記載のエレベータの遠隔監視システムにおいて、
前記遠隔監視センタと通信して前記点検運転結果を受信し作業報告書を作成する顧客情報管理端末を設け、
前記携帯端末は、点検運転終了指令時に前記点検運転診断結果も送信するとともに、前記遠隔監視センタはこの点検運転診断結果を記憶するよう構成したことを特徴とするエレベータの遠隔監視システム。
【請求項1】
エレベータの運転を制御する制御盤と、この制御盤と通信してその通信結果を公衆回線を介して送信する監視装置と、この監視装置と通信して前記通信結果を受信し記憶する遠隔監視センタとを含んで成るエレベータの遠隔監視システムにおいて、
前記公衆回線を介して前記監視装置と通信して前記制御盤との接続開始指令もしくは接続終了指令を送信する携帯端末を設け、
前記監視装置は、前記接続指令を前記制御盤に送信し、この制御盤を介してエレベータ乗かご内のインターホンから収集した音声を取得し、この取得した音声を前記携帯端末へ送信するように構成したことを特徴とするエレベータの遠隔監視システム。
【請求項2】
請求項1に記載のエレベータの遠隔監視システムにおいて、
前記監視装置は、前記制御盤との通信結果からエレベータの異常を検出すると、前記携帯端末に異常であることを送信するよう構成したことを特徴とするエレベータの遠隔監視システム。
【請求項3】
エレベータの通常運転および点検運転を制御する制御盤と、この制御盤へ点検運転指令を送信するとともに前記制御盤との通信結果から点検運転の情報を取得して公衆回線を介して点検運転結果を送信する監視装置と、この監視装置と通信して前記点検運転結果を受信し記憶する遠隔監視センタとを含んで成るエレベータの遠隔監視システムにおいて、
前記公衆回線を介して前記監視装置と通信して前記点検運転開始指令もしくは前記点検運転終了指令を送信する携帯端末を設け、
前記監視装置は、前記点検運転日を記憶するとともに、点検運転日にその旨を前記携帯端末へ送信し、前記携帯端末からの点検運転開始指令の受信に応じて、これを前記制御盤へ送信し、この制御盤を介して点検運転中のエレベータ乗かご内のインターホンから収集した音声を取得し前記携帯端末へ送信するように構成したことを特徴とするエレベータの遠隔監視システム。
【請求項4】
請求項2に記載のエレベータの遠隔監視システムにおいて、
前記遠隔監視センタと通信して前記点検運転結果を受信し作業報告書を作成する顧客情報管理端末を設け、
前記携帯端末は、点検運転終了指令時に前記点検運転診断結果も送信するとともに、前記遠隔監視センタはこの点検運転診断結果を記憶するよう構成したことを特徴とするエレベータの遠隔監視システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【公開番号】特開2006−176318(P2006−176318A)
【公開日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−373868(P2004−373868)
【出願日】平成16年12月24日(2004.12.24)
【出願人】(000232955)株式会社日立ビルシステム (895)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年12月24日(2004.12.24)
【出願人】(000232955)株式会社日立ビルシステム (895)
【Fターム(参考)】
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