説明

エンジンの動作制御装置およびそれを備えた車両

【課題】エンジンの駆動力の低下により発電される電力が低下している場合にも、制御部の動作が停止するのを抑制することが可能なエンジンの動作制御装置およびそれを備えた車両を提供する。
【解決手段】この自動二輪車1(車両)のエンジン13の動作制御装置は、ピストン19を有するエンジン23に燃料を噴射するインジェクタ27に燃料を供給するための燃料ポンプ28aを駆動させるECU38を備え、ECU38は、ピストン19が少なくとも圧縮上死点に到達した時に、燃料ポンプ28aに対する電力の供給を停止する制御を行うように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、エンジンの動作制御装置およびそれを備えた車両に関し、特に、制御部を備えたエンジンの動作制御装置およびそれを備えた車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、エンジンの動作制御装置およびそれを備えた車両が知られている(たとえば、特許文献1参照)。上記特許文献1には、ピストンを有するエンジンに燃料を噴射するインジェクタ(燃料噴射装置)と、インジェクタに燃料を供給する燃料ポンプと、エンジンの駆動によって発電し、インジェクタおよび燃料ポンプが駆動するための電力を供給する交流発電機(発電部)と、インジェクタおよび燃料ポンプの駆動を制御し、交流発電機からの電力により起動する制御部とを備えたエンジンの始動制御装置が開示されている。このエンジンの始動制御装置は、エンジンの始動から所定の時間内において、制御部に供給される交流発電機からの電力が大きく低下しないように、インジェクタなど他の電子機器に電力を供給する際には、電力消費量が大きい燃料ポンプへの電力の供給を所定の期間停止するように構成されている。
【0003】
【特許文献1】特許第3829059号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に開示されたエンジンの始動制御装置では、インジェクタなどの電子機器による電力消費量については考慮されているものの、エンジンが発電する電力量については考慮されていない。このため、制御部に必要な電力よりも電力が少なくなることにより、制御部の動作が停止する場合があるという問題点がある。
【0005】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、エンジンの駆動力の低下により発電される電力が低下している場合にも、制御部の動作が停止するのを抑制することが可能なエンジンの動作制御装置およびそれを備えた車両を提供することである。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0006】
上記目的を達成するために、この発明の第1の局面によるエンジンの動作制御装置は、人間の手または足の力により手動的に発電される電力を用いて始動が行われるエンジンの動作制御装置であって、ピストンを有するエンジンに燃料を噴射する燃料噴射装置に燃料を供給するための燃料ポンプを駆動させる制御部を備え、制御部は、ピストンが少なくとも圧縮上死点に到達した時に、燃料ポンプに対する電力の供給を停止する制御を行うように構成されている。
【0007】
この第1の局面によるエンジンの動作制御装置では、上記のように、制御部を、ピストンが少なくとも圧縮上死点に到達した時に、燃料ポンプに対する電力の供給を停止する制御を行うように構成することによって、ピストンが圧縮上死点に到達するのに伴ってピストンの摺動速度が低下することにより発電量が低下する際に、燃料ポンプに対する電力の供給が停止されるので、燃料ポンプに電力が供給されない分、制御部に対する電力の供給量を確保することができる。これにより、制御部が電力不足に陥ることを抑制することができるので、エンジンの駆動力の低下により発電される電力が低下する場合にも、制御部の動作が停止するのを抑制することができる。
【0008】
この発明の第2の局面による車両は、ピストンを有するエンジンと、エンジンに燃料を噴射する燃料噴射装置と、燃料噴射装置に燃料を供給するための燃料ポンプと、燃料噴射装置および燃料ポンプを駆動させる電力を供給する発電部と、手動によってエンジンとともに発電部を始動させる手動始動装置と、燃料噴射装置および燃料ポンプの駆動を制御するとともに、発電部から電力を供給される制御部とを備え、制御部は、ピストンが少なくとも圧縮上死点に到達したときに、発電部から燃料ポンプに対する電力の供給を停止する制御を行うように構成されている。
【0009】
この第2の局面における車両では、上記のように、制御部を、ピストンが少なくとも圧縮上死点に到達した時に、燃料ポンプに対する電力の供給を停止する制御を行うように構成することによって、ピストンが圧縮上死点に到達するのに伴ってピストンの摺動速度が低下することにより発電部による発電量が低下する際に、燃料ポンプに対する電力の供給が停止されるので、燃料ポンプに電力が供給されない分、制御部に対する電力の供給量を確保することができる。これにより、制御部が電力不足に陥ることを抑制することができるので、エンジンの駆動力の低下により発電される電力が低下する場合にも、制御部の動作が停止するのを抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0011】
図1は、本発明の一実施形態による自動二輪車の全体構成を示した側面図である。図2〜図6は、図1に示した一実施形態による自動二輪車の構成を説明するための図である。図中、矢印FWD方向は、自動二輪車の走行方向の前方を示している。以下、図1〜図6を参照して、本発明の本実施形態による自動二輪車1の構成について説明する。
【0012】
本発明の一実施形態による自動二輪車1の全体構造としては、図1に示すように、ヘッドパイプ2の後方には、メインフレーム3が配置されている。また、メインフレーム3は、上方から後方に延びる上側フレーム部3aと、下方から後方に延びる下側フレーム部3bとを有している。また、メインフレーム3の上側フレーム部3aの中央部および後部には、リアフレーム4の上側フレーム部4aおよび下側フレーム部4bがそれぞれ接続されている。これらのヘッドパイプ2、メインフレーム3およびリアフレーム4によって、車体フレームが構成されている。
【0013】
また、メインフレーム3の上側フレーム部3aの後部には、図示しないピボット軸が設けられている。このピボット軸により、リヤアーム5の前端部が上下に揺動可能に支持されている。このリヤアーム5の後端部には、後輪6が回転可能に取り付けられている。また、メインフレーム3の上側フレーム部3aの上部には、燃料タンク28が配置されている。また、燃料タンク28の後方には、シート7が配置されている。
【0014】
また、ヘッドパイプ2の下方には、上下方向の衝撃を吸収するためのサスペンションを有する一対のフロントフォーク8が配置されている。この一対のフロントフォーク8の下端には、前輪9が回転可能に取り付けられている。また、前輪9の上方には、フロントフェンダ10が配置されている。また、ヘッドパイプ2の前方には、ヘッドパイプ2の前方を覆うゼッケンプレート11が設けられている。また、ヘッドパイプ2の上方には、ハンドル12が回動可能に設けられている。
【0015】
また、メインフレーム3の上側フレーム部3aの下方には、エンジン13が取り付けられている。また、エンジン13の前部には、排気管14が取り付けられている。この排気管14は、後方へ向かうとともに、マフラー15に連結されている。また、エンジン13の後部には、吸気管16が取り付けられている。
【0016】
ここで、本実施形態では、エンジン13の後部には、エンジン13を使用者の足によってエンジン13を始動させるキックペダル17が取り付けられている。なお、キックペダル17は、本発明の「手動始動装置」の一例である。このキックペダル17は、エンジン13を始動する際に、使用者の足によって下方に回動されることにより、後述する発電装置37を駆動する機能を有する。
【0017】
また、エンジン13の内部には、図2に示すように、シリンダ18と、シリンダ18の内部を上下方向に摺動するピストン19と、シリンダ18の上部に配置されるシリンダヘッド20とが配置されている。ピストン19には、コンロッド21の一方端部が回動可能に取り付けられている。また、シリンダヘッド20は、シリンダ18の一方の開口を塞ぐように配置されている。また、シリンダヘッド20には、シリンダ18の上方に設けられる吸気ポート20aおよび排気ポート20bが形成されている。これら吸気ポート20aおよび排気ポート20bには、それぞれ、吸気バルブ22および排気バルブ23が配置されている。また、シリンダヘッド20の下部のシリンダ18の一方の開口を塞いでいる部分には、燃焼室20cが設けられている。また、吸気ポート20aは、空気と燃料とを含む混合気を燃焼室20cに供給するために設けられており、吸気ポート20aには、吸気管16が接続されている。また、排気ポート20bは、燃焼後の残留ガスを燃焼室20cから排出するために設けられている。
【0018】
また、排気ポート20bには、排気管14が接続されている。また、シリンダ18の下方には、クランクケース24が配置されており、クランクケース24内には、クランク軸25が配置されている。このクランク軸25には、コンロッド21の他方端部が回動可能に取り付けられており、クランク軸25は、ピストン19がシリンダ18の内部を上下方向に摺動するのに伴ってコンロッド21が移動されることにより、回転可能に構成されている。また、シリンダヘッド20には、燃料と空気との混合気に点火する点火プラグ26が取り付けられている。
【0019】
また、エンジン13は、ピストン19の上下の摺動に伴って、吸気行程、圧縮行程、燃焼行程および排気行程の順番で繰り返すことにより作動する4サイクルエンジンである。具体的には、エンジン13は、吸気行程では、ピストン19が下方に摺動される際に、吸気バルブ22が上方向に持ち上げられるのに伴って吸気ポート20aが開かれることにより、燃料を含む混合気が燃焼室20c内に流入するように構成されている。そして、ピストン19は、シリンダ18の下死点である吸気下死点まで摺動するように構成されている。
【0020】
また、エンジン13は、圧縮行程では、ピストン19が吸気下死点から上方に摺動される際に、吸気バルブ22によって吸気ポート20aが閉じられるとともに、シリンダ18内の燃料を含む混合気が圧縮されるように構成されている。このとき、ピストン19は、シリンダ18の上死点である圧縮上死点まで摺動するように構成されている。なお、ピストン19が上死点方向に摺動する際には、混合気が圧縮されるのに伴って抵抗が大きくなるため、ピストン19が圧縮上死点近傍に到達する際には、ピストン19の摺動力は小さくなる。このため、ピストン19が圧縮上死点近傍に到達する際には、クランク軸25の回転力は小さくなる。
【0021】
また、エンジン13は、燃焼行程では、ピストン19が圧縮上死点から下方に摺動される際に、圧縮上死点に到達したピストン19によって圧縮された燃料を含む混合気に点火プラグ26が発する火花によって引火され、燃料が燃焼するように構成されている。このとき、ピストン19は、燃料が燃焼することにより膨張した混合気によってシリンダ18の下死点である燃焼下死点まで摺動されるように構成されている。
【0022】
また、エンジン13は、排気行程では、ピストン19が燃焼下死点から上方に摺動される際に、排気バルブ23が上方に持ち上げられるのに伴って排気ポート20bが開くように構成されている。また、エンジン13の燃焼室20c内の燃焼ガスがピストン19によって上方に押し出されることにより、燃焼室20c内の燃焼ガスが排出されるように構成されている。そして、ピストン19は、シリンダ18の上死点である排気上死点まで摺動するように構成されている。
【0023】
また、本実施形態では、吸気管16には、吸気ポート20aの上流側に燃料を噴射するインジェクタ27が配置されている。なお、インジェクタ27は、本発明の「燃料噴射装置」の一例である。また、インジェクタ27には、燃料タンク28からの燃料をインジェクタ27に供給する燃料ポンプ28aがホース29を介して接続されている。また、吸気管16内のインジェクタ27の上流には、吸気ポート20aに流入する空気の流量を開閉によって調節するスロットルバルブ30が配置されている。
【0024】
また、吸気管16には、吸気管16内の空気圧を検出する管内圧力センサ31と、スロットルバルブ30の開度を検出するスロットルポジションセンサ32と、大気圧を検出する気圧センサ33と、外気温を検出する気温センサ34とが取り付けられている。また、エンジン13には、シリンダ18を冷却水によって冷却する図示しないウォータジャケット内の水温を計測する水温センサ35と、クランク軸25aが回転位置を検出するクランク角センサ36とが配置されている。これら管内圧力センサ31、スロットルポジションセンサ32、気圧センサ33、気温センサ34、水温センサ35およびクランク角センサ36の検出結果に基づいて、後述するECU38(図4参照)は、インジェクタ27の燃料噴射量を調整する制御を行うように構成されている。なお、クランク角センサ36は、本発明の「センサ部」の一例である。
【0025】
また、本実施形態では、クランクケース24の内部には、図2に示すように、クランク軸25の回転とともに駆動する発電装置37が設けられている。なお、発電装置37は、本発明の「発電部」の一例である。この発電装置37は、点火プラグ26、インジェクタ27および燃料ポンプ28aに電力を供給することにより作動させるように構成されている。また、発電装置37は、図4に示すように、クランク軸25の外側に配置されるコア部37aと、コア部37aに対して約30°毎に12個取り付けられているコイル部37bと、コイル部37bの外側に配置されるフライホイール37cと、フライホイール37cの内面に配置され、12個のコイル部37bに対応するように12個配置されたマグネット37dと、フライホイール37cを挟んでマグネット37dに対向するように配置される約30°ピッチ(中心間角度)で11個の突出部37eとを有している。
【0026】
また、本実施形態では、フライホイール37cは、コア部37aと同心円状に配置されている。また、コア部37aは、クランクケース24(図2参照)に固定されているため、コア部37aおよびコイル部37bは、回転しないように構成される。一方、フライホイール37cは、クランク軸25の回転とともに、回転するように構成されているので、フライホイール37cとマグネット37dと突出部37eとは、クランク軸25が回転するのに伴って回転可能に構成されている。この発電装置37は、交流発電機である。また、突出部37eは、クランク軸25の回転角度位置および回転数を検知されるように構成されている。具体的には、突出部37eは、フライホイール37cの回転に伴って回転されることにより、クランク角センサ36の検知面36aを通過する際に発生するパルス(図5参照)が後述するECU38(図3参照)によって検出される。また、フライホイール37cの外部には、突出部37eが1つ分配置されずに60°の角度幅を有する間隙部37fが設けられている。この間隙部37fがクランク角センサ36の検知面36aの近傍を通過する際に、後述するECU38(図3参照)は、クランク軸25が基準回転位置を通過したと判断し、ここからのパルスの検出数によって回転角度位置および回転数を検知するように構成されている。また、発電装置37は、クランク軸25の回転によって駆動されるので、クランク軸25の回転力が小さいピストン19(図2参照)が圧縮上死点に到達する際に、電力の出力が最も小さくなる。
【0027】
また、本実施形態では、ECU38は、図3に示すように、発電装置37に接続されている。具体的には、発電装置37には、レギュレータ39が接続されており、レギュレータ39は、配線40を介してECU38に接続されている。また、配線40には、一方側が接地されたコンデンサ41が接続されている。これにより、ECU38は、発電装置37によって発電された電力が、レギュレータ39によって整流された後に、コンデンサ41によって安定化されて供給されるように構成されている。なお、ECU38は、本発明の「制御部」の一例である。
【0028】
また、点火プラグ26、インジェクタ27および燃料ポンプ28aの一方端は、配線40を介して発電装置37およびレギュレータ39に接続されている。また、点火プラグ26、インジェクタ27および燃料ポンプ28aの他方端は、ECU38に接続されている。これにより、ECU38は、点火プラグ26、インジェクタ27、および燃料ポンプ28aの作動を、発電装置37からの電力の供給によって制御することが可能となる。また、点火プラグ26は、1次コイル26aと2次コイル26bとを有している。点火プラグ26は、1次コイル26aに発電装置37から電力が供給されると電磁誘導作用により2次コイル26bの電圧が上昇し、1次コイル26aに対して電力の供給が停止されることにより、2次コイル26bの電圧が瞬間的に上昇し、火花が発せられるように構成されている。また、ECU38は、燃料ポンプ28aを連続的に駆動させるように発電装置37からの電力を供給するように制御するが、停止する場合は、発電装置37から燃料ポンプ28aに対して供給される電力を遮断するように構成されている。なお、キックペダル17(図1参照)、発電装置37およびECU38によって、本発明の「エンジンの動作制御装置」は構成されている。
【0029】
また、本実施形態では、ECU38は、図5に示すように、発電装置37から供給される電力によって、電圧が起動電圧である約3.0V以上になった時に起動するように構成されている。この発電装置37は、使用者の足によってキックペダル17(図1参照)が回動されることによってクランク軸25が回転されるのに伴って駆動するように構成されている。また、ECU38は、起動された後に電圧が約3.0V以上(図5のタイミングT1)で、かつ、3.0Vより大きいリセット解除電圧の時(図5のタイミングT2)には、リセット処理を行うように構成されている。このリセット処理とは、後述する燃料ポンプ始動モード、燃料ポンプ駆動モードおよび燃料ポンプ停止モードのいずれかの選択を解除する処理である。また、ECU38は、電圧がリセット解除電圧以上になったと判断したタイミングT2において、初期化処理を行い、タイミングT3において燃料ポンプ28aの駆動を開始させる制御(オン制御)を行うように構成されている。この初期化処理とは、燃料ポンプ28aが始動後、初回に駆動する燃料ポンプ28aの始動モード(以下、燃料ポンプ始動モードとする)がECU38によって選択される処理である。また、ECU38は、初期化処理の後に、燃料ポンプ28aを駆動させる際には、燃料ポンプ28aの駆動モード(以下、燃料ポンプ駆動モードとする)を選択するように構成されている。また、ECU38は、燃料ポンプ28aを駆動させる際には、ECU38の電圧がリセット解除電圧より大きい燃料ポンプ駆動電圧以上か否かと、クランク軸25が第1の回転数以上になったか否かという2つの判断を行うように構成されている。この第1の回転数とは、点火コイル26、インジェクタ27、燃料ポンプ28aおよびECU38を作動させるために十分な発電量が発電装置37から得られるクランク軸25の回転数である。なお、第1の回転数は、クランクパルス信号(図5参照)に基づいてECU38により算出される。
【0030】
また、ECU38は、図5に示すように、燃料ポンプ28aの駆動を開始する制御を行った後に、クランク角センサ36によってクランク軸25が第1の角度aだけ回転したと判断した場合に、タイミングT4において発電装置37からの電力をインジェクタ27に対して供給する制御(オン制御)を行うように構成されている。これにより、インジェクタ27によってクランク軸25が所定角度分回転する期間(タイミングT5まで)燃料が噴射される。そして、ECU38は、タイミングT5において、インジェクタ27に対する燃料の供給を停止する制御(オフ制御)を行うように構成されている。
【0031】
また、本実施形態では、クランク軸25(図2参照)が基準回転位置に到達して、第2の角度bだけ回転したタイミングT6において、ECU38は、発電装置37からの電力を点火プラグ26に対して供給する制御(オン制御)を行うように構成されている。また、ECU38は、点火プラグ26に対して電力を供給した後に、クランク角センサ36によってクランク軸25が第3の角度cだけ回転したことが検出されたタイミングT7において、点火プラグ26に対する電力供給を停止(オフ制御)して、点火プラグ26からエンジン13の燃焼室20cに対して火花が発せられるように構成されている。また、ECU38は、点火プラグ26に対する電力の停止制御と、燃料ポンプ28aに対する電力の供給の停止制御とを実質的に同一のタイミングで行うように構成されている。また、ECU38は、この点火プラグ26および燃料ポンプ28aに対する電力の停止制御を、ピストン19が圧縮上死点に到達する前に行うように構成されている。また、ECU38は、燃料ポンプ28aを停止する際に、燃料ポンプ28a停止モード(以下、燃料ポンプ停止モードとする)を選択するように構成されている。
【0032】
また、ECU38は、点火プラグ26と燃料ポンプ28aとに対して同時に電力を供給する制御を行うように構成されているので、図5に示すように、ECU38の電源電圧は低下する。
【0033】
また、本実施形態では、ピストン19(図2参照)は、ECU38によって点火プラグ26および燃料ポンプ28aに対する電力の停止制御が行われたタイミングT7より、クランク軸25が第4の角度dだけ回転した後に、ピストン19(図2参照)が圧縮上死点に到達するように構成されている。また、ECU38は、ピストン19が圧縮上死点に到達した後、クランク角センサ36によってクランク軸25が第5の角度eだけ回転したことを検出するタイミングT8まで、この停止制御を継続する。つまり、ECU38は、ECU38に対して供給される電力が低下する、点火プラグ26および燃料ポンプ28aに対する電力供給の停止からクランク軸25が第4の角度dと第5の角度eとの和の角度だけ回転する期間(タイミングT7からタイミングT8までの期間)において、燃料ポンプ28aに対する電力供給を停止する制御(オフ制御)を行うように構成されている。一方で、ECU38が燃料ポンプ28aを停止する制御を行わない場合には、図6に示すように、ECU38における電圧は、使用者の足によるキックペダル17(図1参照)の回動速度によっては、リセット解除電圧以下に低下する可能性があり、この場合、ECU38は、リセット処理が行われる。このリセット処理とは、ECU38の処理を始動時に戻す処理である。
【0034】
また、本実施形態では、ECU38は、クランク角センサ36によってクランク軸25が第2の回転数以上になったことが検出されると、点火プラグ26により燃料が燃焼したと判断するように構成されている。この第2の回転数とは、エンジン13が始動した後のクランク軸25の回転数である。なお、ECU38は、最初の燃焼があったと判断するまでの間、上記した発電装置37から燃料ポンプ28aに対する電源の供給を停止する制御を繰り返すように構成されている。
【0035】
図7〜図9は、図1に示した本発明の一実施形態による自動二輪車のエンジンの始動時における燃料ポンプの制御を説明するためのフローチャートである。次に、図2、図5および図7〜図9を参照して、自動二輪車1のエンジン13の始動時におけるECU38の制御動作について説明する。
【0036】
まず、図7に示すように、ステップS1において、使用者の足によってキックペダル17が回動されることによりクランク軸25が回転し、ECU38の電圧が約3.0V以上になり、ECU38が起動された後に、ステップS2に移行する。そして、ステップS2において、発電装置37から供給される電力によってECU38の電圧がリセット電圧であるリセット解除電圧以上か否かが判断される。そして、ステップS2において、ECU38の電圧がリセット解除電圧以上ではないと判断されると、ステップS3に移行して、ECU38のリセット処理が行われ、ステップS2に戻る。なお、このリセット処理では、燃料ポンプ始動モード、燃料ポンプ駆動モードおよび燃料ポンプ停止モードのいずれかの選択を解除する処理が行われる。なお、ステップS2において、ECU38の電圧がリセット解除電圧以上であると判断されるまで、ステップS2およびステップS3の動作は繰り返される。また、ステップS2において、ECU38の電圧がリセット解除電圧以上であると判断されると、ステップS4に移行する。そして、ステップS4において、ECU38の初期化処理が行われ、燃料ポンプ始動モードが選択される。そして、ステップS5に移行して、燃料ポンプ駆動開始処理を行い、ステップS6に移行する。そして、ステップS6において、燃料ポンプ停止処理を行い、ステップS7に移行する。そして、ステップS7において、クランク軸25が第2の回転数以上で回転しているか否かを判断する。そして、ステップS7において、クランク軸25が第2の回転数未満で回転していると判断した場合、ステップS5に戻る。また、ステップS7において、クランク軸25が第2の回転数以上で回転していると判断した場合、エンジン13が始動していると判断し、エンジン13の始動制御処理が終了される。
【0037】
次に、ステップS5(図7参照)の燃料ポンプ駆動開始処理におけるECU38の処理動作について詳細に説明する。
【0038】
まず、図8に示すように、ステップS51において、ECU38(図3参照)により、燃料ポンプ始動モードが選択されているか否かが判断される。そして、燃料ポンプ始動モードが選択されていると判断された場合、ステップS52に移行する。なお、ステップS52において、燃料ポンプ始動モードが選択されていないと判断された場合については後述する。
【0039】
そして、ステップS52において、ECU38の電圧がリセット解除電圧であるリセット解除電圧より大きい燃料ポンプ駆動電圧以上か否かが判断される。そして、ステップS52において、ECU38の電圧が燃料ポンプ駆動電圧未満であると判断された場合には、燃料ポンプ駆動開始処理が終了される。また、ステップS52において、ECU38の電圧が燃料ポンプ駆動電圧以上であると判断された場合には、ステップS53に移行して、クランク軸25が第1の回転数以上で回転しているか否かが判断される。そして、ステップS53において、クランク軸25が第1の回転数未満で回転していると判断された場合には、燃料ポンプ駆動開始処理が終了される。また、ステップS53において、クランク軸25が第1の回転数以上で回転していると判断された場合、ステップS56に移行する。
【0040】
また、ステップS51において、燃料ポンプ始動モードが選択されていないと判断された場合、ステップS54に移行する。そして、ステップS54において、燃料ポンプ停止モードが選択されているか否かが判断される。そして、ステップS54において、燃料ポンプ停止モードが選択されていないと判断された場合には、燃料ポンプ28aは駆動中であると判断され、燃料ポンプ駆動開始処理が終了される。また、ステップS54において、燃料ポンプ停止モードが選択されていると判断されると、ステップS55に移行する。
【0041】
そして、ステップS55において、クランク軸25の回転位置が基準回転位置から第2の角度b(図5参照)と第3の角度cとの和の角度だけ回転した回転位置1(図5参照)と、この位置から第4の角度d(図5参照)と第5の角度e(図5参照)との和の角度との間の回転位置2(図5参照)に位置しているか否かが判断される。そして、ステップS55において、回転位置1と回転位置2との間に位置していると判断された場合には、ポンプ駆動開始処理が終了される。また、ステップS55において、クランク軸25の回転位置が回転位置1と回転位置2との間に位置していないと判断された場合には、ステップS56に移行する。
【0042】
そして、ステップS56において、燃料ポンプ駆動モードが選択されて、ステップS57にする。そして、ステップS57において、燃料ポンプ28aが駆動され、ポンプ駆動開始処理が終了される。
【0043】
次に、ステップS6(図7参照)の燃料ポンプ駆動停止処理についてにおけるECU38の処理動作にていて、詳細に説明する。
【0044】
まず、図9に示すように、ステップS61において、ECU38(図3参照)により、燃料ポンプ駆動モードが選択されているか否かが判断される。そして、ステップS61において、燃料ポンプ駆動モードが選択されていないと判断された場合には、燃料ポンプ28aが駆動されていないと判断され、燃料ポンプ駆動停止処理は終了する。また、ステップS61において、燃料ポンプ駆動モードが選択されていると判断された場合には、ステップS62に移行する。そして、ステップS62において、クランク角センサ36(図2参照)によってクランク軸25の基準回転位置(図5参照)が検出されているか否かが判断される。そして、ステップS62において、クランク軸25の基準回転位置を検出していないと判断された場合には、ポンプ駆動停止処理が終了される。また、ステップS62において、クランク角センサ36によってクランク軸25の基準回転位置が検出されていると判断された場合には、ステップS63に移行する。
【0045】
そして、ステップS63において、クランク軸25が回転位置1(図5参照)と回転位置2(図5参照)との間に位置しているか否かが判断される。そして、ステップS63において、クランク軸25が回転位置1と回転位置2との間に位置していないと判断された場合には、燃料ポンプ駆動停止処理が終了される。そして、ステップS63において、クランク軸25が回転位置1と回転位置2の間に位置していると判断された場合には、ステップS64に移行する。そして、ステップS64において、燃料ポンプ停止モードを選択してステップS65に移行する。そして、ステップS65において、燃料ポンプ28aの駆動を停止して、燃料ポンプ駆動停止制御を終了する。
【0046】
なお、図7〜図9におけるECU38による動作制御中に、ECU38の電圧がリセット解除電圧であるリセット解除電圧未満になった際には、ECU38は、上記の各ステップにおける制御を強制終了し、リセット処理を行う。
【0047】
本実施形態では、上記のように、ECU38を、ピストン19が少なくとも圧縮上死点に到達した時に、燃料ポンプ28aに対する電力の供給を停止する制御を行うように構成することによって、ピストン19が圧縮上死点に到達するのに伴って、ピストン19の摺動速度が低下することにより、発電装置37によって発電される発電量が低下する場合にも、燃料ポンプ28aに対する電力の供給が停止されるので、燃料ポンプ28aに電力が供給されない分、ECU38に対する電力の供給量を確保することができる。これにより、ECU38が電力不足に陥ることを抑制することができるので、エンジン13の駆動力の低下により発電装置37により発電される電力が低下する場合にも、ECU38の動作が停止するのを抑制することができる。
【0048】
また、本実施形態では、上記のように、ECU38を、ピストン19が圧縮上死点に到達するよりも、クランク軸25が第4の角度dだけ前に燃料ポンプ28aに対する電力の供給を停止する制御を行うとともに、ピストン19が圧縮上死点に到達した時からクランク軸25が第5の角度eだけ回転した後に燃料ポンプ28aに対する電力の供給を再開する制御を行うように構成することによって、ピストン19の摺動速度が低下するのに伴って、発電装置37による発電量が低下する圧縮上死点近傍にピストン19が位置する場合において確実に燃料ポンプ28aに対する電力の供給を停止することができる。これにより、発電装置37による発電量が低下する場合に、ECU38に供給する電力を確実に確保することができる。
【0049】
また、本実施形態では、上記のように、ECU38を、ピストン19が圧縮上死点に到達するよりも、クランク軸25が第4の角度dだけ前に、点火プラグ26に対する電力の供給を停止する制御を行うように構成することによって、発電装置37による発電量が低下する圧縮上死点近傍にピストン19が到達する前に、点火プラグ26に対する電力の供給を停止させることができる分、ECU38に対する電力をより確実に確保することができる。
【0050】
また、本実施形態では、上記のように、ECU38を、点火プラグ26に対する電力の供給の停止制御と、燃料ポンプ28aに対する電力の供給の停止制御とを実質的に同時に行うように構成することによって、発電装置37による発電量が低下する圧縮上死点近傍にピストン19が到達する前に、点火プラグ26と燃料ポンプ28aとの両方について電力の供給を停止することができる。その結果、ECU38に対する電力をより確実に確保することができる。
【0051】
また、本実施形態では、上記のように、ECU38を、キックペダル17によって駆動された発電装置37からの電力によって起動されるとともに、起動した後、最初の燃料の爆発があったと判断されるまで、燃料ポンプ28aに対する電力の供給および停止の制御を行うように構成することによって、発電装置37による出力の小さい始動時において、発電装置37から供給される電力が低下することに起因してECU38の電圧がリセット解除電圧であるリセット解除電圧未満になるのを抑制することができる。また、ECU38を燃料ポンプ28aに対する電力の供給および停止の制御を始動時のみ行うように構成することができるので、エンジン13が始動した後に、燃料ポンプ28aの停止制御を行わないように構成することができる。
【0052】
また、本実施形態では、上記のように、ECU38を、エンジン13内でインジェクタ27によって噴射された燃料が燃焼するまで、ピストン19が圧縮上死点に到達する毎に燃料ポンプ28aに対する電力の供給を停止するように構成することによって、ECU38に対する電力を確保しながら点火プラグ26による点火を複数回行うことができるので、エンジン13の始動性を向上させることができる。
【0053】
また、本実施形態では、上記のように、ECU38を、クランク角センサ36によって検出されたクランク軸25の回転角度位置に基づいて点火プラグ26、インジェクタ27および燃料ポンプ28aに対する電力供給および電力の停止制御を行うように構成することによって、ECU38による点火プラグ26、インジェクタ27および燃料ポンプ28aに対する電力供給、および、電力の停止制御を、エンジン13が通常備えるクランク角センサ36から検出されるクランク軸25の回転角度位置に基づいて行うことができる。
【0054】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0055】
たとえば、上記実施形態では、本発明の車両を自動二輪車に適用する例を示したが、本発明はこれに限らず、自動車、三輪車、ATV(All Terrain Vehicle;不整地走行車両)などの他の車両にも適用可能である。
【0056】
また、上記実施形態では、車両を、オフロード仕様の自動二輪車に適用した例について示したが、本発明はこれに限らず、車両を、オンロード仕様の自動二輪車に適用してもよい。
【0057】
また、上記実施形態では、本発明のエンジンの動作制御装置を車両である自動二輪車のエンジンの駆動装置に適用する例を示したが、本発明はこれに限らず、発電機、チェーンソーなど、使用者の手または足により手動的に発電される電力を用いて始動が行われるエンジンの駆動装置にも適用可能である。
【0058】
また、上記本実施形態では、ピストンが圧縮上死点に到達する前後において、ECUが燃料ポンプに対する電力の供給を停止する制御を行う例について示したが、本発明はこれに限らず、ピストンが圧縮上死点に到達する時のみ、燃料ポンプに対する電力を停止する制御を行うように構成してもよい。
【0059】
また、上記本実施形態では、ECUが点火プラグに対する電力供給の停止制御と燃料ポンプに対する電力供給の停止制御とを実質的に同時に行う例について示したが、本発明はこれに限らず、燃料ポンプに対する電力供給を停止する制御を点火プラグに対する電力供給を停止する制御よりも先または後に行うように構成してもよい。
【0060】
また、上記本実施形態では、エンジンの始動後にはECUによる燃料ポンプの停止制御を終了する例を示したが、本発明はこれに限らず、エンジン始動後にもECUによる燃料ポンプの停止制御を行うように構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の本実施形態による自動二輪車の全体構成を示した側面図である。
【図2】図1に示した本実施形態による自動二輪車のエンジン周辺の構成を示した模式図である。
【図3】図1に示した本実施形態による自動二輪車の回路構成を示したブロック図である。
【図4】図1に示した本実施形態による自動二輪車の発電装置の構造を示した断面図である。
【図5】図1に示した本実施形態による自動二輪車の動作を説明するためのタイミングチャートである。
【図6】従来の自動二輪車の動作を説明するためのタイミングチャートである。
【図7】図1に示した本実施形態による自動二輪車の燃料ポンプに対する制御を説明するためのフローチャートである。
【図8】図7に示した本実施形態による自動二輪車の燃料ポンプ駆動開始処理を示したフローチャートである。
【図9】図7に示した本実施形態による自動二輪車の燃料ポンプ駆動停止処理を示したフローチャートである。
【符号の説明】
【0062】
1 自動二輪車(車両)
13 エンジン
17 キックペダル(手動始動装置)
19 ピストン
25 クランク軸
26 点火プラグ
27 インジェクタ(燃料噴射装置)
28a 燃料ポンプ
36 クランク角センサ(センサ部)
37 発電部(発電装置)
38 ECU(制御部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
人間の手または足の力により手動的に発電される電力を用いて始動が行われるエンジンの動作制御装置であって、
ピストンを有するエンジンに燃料を噴射する燃料噴射装置に燃料を供給するための燃料ポンプを駆動する制御部を備え、
前記制御部は、前記ピストンが少なくとも圧縮上死点に到達した時に、前記燃料ポンプに対する電力の供給を停止する制御を行うように構成されている、エンジンの動作制御装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記ピストンが圧縮上死点に到達する時を含む所定期間内において、前記燃料ポンプに対する電力の供給を停止する制御を行うように構成されている、請求項1に記載のエンジンの動作制御装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記ピストンが圧縮上死点に到達するよりも第1の期間だけ前に前記燃料ポンプに対する電力の供給を停止する制御を行うとともに、
前記ピストンが圧縮上死点に到達した時から第2の期間経過後に前記燃料ポンプに対する電力の供給を再開する制御を行うように構成されている、請求項2に記載のエンジンの動作制御装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記ピストンが圧縮上死点に到達する前に、点火プラグに対する電力の供給を停止する制御を行うように構成されている、請求項1に記載のエンジンの動作制御装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記点火プラグに対する電力の供給の停止制御と、前記燃料ポンプに対する電力の供給の停止制御とを略同時に行うように構成されている、請求項4に記載のエンジンの動作制御装置。
【請求項6】
前記制御部および前記燃料ポンプに電力を供給する発電部と、
前記発電部を手動的に駆動することにより発電された電力を用いて前記エンジンを始動する手動始動装置とをさらに備え、
前記制御部は、前記エンジンの始動時に、前記手動始動装置によって駆動された前記発電部からの電力によって起動されるとともに、起動した後の第3の期間内において、前記燃料ポンプに対する電力の供給および停止の制御を行うように構成されている、請求項1に記載のエンジンの動作制御装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記エンジンの始動時に、前記発電部から供給される電力が第1の電力以上になった時に起動するとともに、前記制御部が起動された後に前記発電部から供給される電力が前記第1の電力以上で、かつ、前記第1の電力よりも大きい第2の電力未満の電力になった場合に初期化処理を行い、その後、前記発電部から供給される電力が前記第2の電力以上になったと判断した際に、前記燃料ポンプの駆動を開始させる制御を行うように構成されている、請求項6に記載のエンジンの動作制御装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記発電部から供給される電力が前記第2の電力よりも小さくなる前記ピストンの圧縮上死点およびその近傍の期間において、前記燃料ポンプに対する電力の供給を停止する制御を行うように構成されている、請求項7に記載のエンジンの動作制御装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記エンジンの始動時に、前記エンジン内で前記燃料噴射装置によって噴射された燃料が爆発するまで、前記ピストンが圧縮上死点に到達する毎に前記燃料ポンプに対する電力の供給を停止するように構成されている、請求項1に記載のエンジンの動作制御装置。
【請求項10】
前記ピストンの駆動によって回転するクランク軸の回転位置を検出可能なセンサ部をさらに備え、
前記制御部は、前記センサ部によって検出された前記クランク軸の回転位置に基づいて、前記燃料ポンプに対する電力供給の停止制御を行うように構成されている、請求項1に記載のエンジンの動作制御装置。
【請求項11】
ピストンを有するエンジンと、
前記エンジンに燃料を噴射する燃料噴射装置と、
前記燃料噴射装置に燃料を供給するための燃料ポンプと、
前記燃料噴射装置および前記燃料ポンプを駆動させる電力を供給する発電部と、
人間の手または足の力により手動的に前記発電部を駆動させることにより、前記エンジンを始動する手動始動装置と、
前記燃料噴射装置および前記燃料ポンプの駆動を制御するとともに、前記発電部から電力を供給される制御部とを備え、
前記制御部は、前記ピストンが少なくとも圧縮上死点に到達したときに、前記発電部から前記燃料ポンプに対する電力の供給を停止する制御を行うように構成されている、車両。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−167977(P2009−167977A)
【公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−9386(P2008−9386)
【出願日】平成20年1月18日(2008.1.18)
【出願人】(000010076)ヤマハ発動機株式会社 (3,045)
【Fターム(参考)】