説明

エンジン制御装置

【課題】不揮発性メモリの書き換え回数を少なくできるエンジン制御装置を得る。
【解決手段】不揮発性メモリ11と、補正係数K、フィードバック補正量Kfb、空燃比学習補正係数Kaf及び電圧補正量Tbに基づき基本燃料噴射量Tiを補正して燃料噴射量Tを算出し、この算出した燃料噴射量に対応する駆動信号を燃料噴射モジュール27へ出力するコントロールユニット10とが設けられたエンジン制御装置であって、コントロールユニット10は、空燃比学習モードが成立している場合には、フィードバック補正量Kfbに基づきアルコール濃度推定値Klrnを算出し、この算出したアルコール濃度推定値Klrnと不揮発性メモリ11に記憶されたアルコール濃度推定値Keepの差の絶対値が所定値以上、かつエンジンの実回転速度Neが所定の範囲内の場合に、算出したアルコール濃度推定値Klrnを不揮発性メモリ11に記憶する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、二輪車のような小容量バッテリを用いる車両や、バッテリを使用しない車両などのバックアップRAMを使用できない車両において、植物が原料のバイオエタノール等のアルコールを含む燃料を用いる場合にも効率よくエンジンを動作させることができるエンジン制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、ガソリン燃料に加え、アルコールを含む燃料や、アルコールのみの燃料で走行可能なフレキシブルフューエルビークル(FFV:Flexible Fuel Vehicle)が実用化されている。このFFVでは、種々の燃料でエンジンの実回転速度を維持するために燃料噴射量の補正が必要である。
【0003】
排気空燃比に基づいて算出される空燃比フィードバック補正係数に基づいてアルコール濃度を推定し、この推定したアルコール濃度とフィードバック補正係数により燃料噴射量の補正を行う方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、この方法は、推定したアルコール濃度を記憶し、次回のアルコール濃度推定演算まで記憶したアルコール濃度で燃料噴射量の補正を行っていた。
【0004】
【特許文献1】特許第3903925号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述したような従来の燃料噴射量の補正方法では、二輪車のような小容量バッテリを用いる車両や、バッテリを使用しない車両などのバックアップRAMを使用できない車両においては、推定したアルコール濃度をバックアップRAMに記憶できないため、アルコール濃度推定値を不揮発性メモリに書き込む必要がある。ただし、不揮発性メモリには書き換え回数の上限があり、アルコール濃度を推定する度に記憶処理を行うと、不揮発性メモリの書き換え回数の上限を超える可能性がある。不揮発性メモリの書き換え回数の上限を超えるとアルコール濃度推定値が記憶できず、燃料噴射量の補正ができなくなり、過リッチ/過リーンの現象が発生するという問題点があった。
【0006】
また、アルコール濃度推定時にフィードバック補正係数を初期化していないため、燃料噴射量に対して推定したアルコール濃度とフィードバック補正係数による二重の補正がかかり、過リッチ/過リーンの現象が発生するという問題点があった。
【0007】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、その目的は、不揮発性メモリの書き換え回数の上限を超えないように、アルコール濃度推定値を不揮発性メモリに記憶する際に制限を設ける。これにより、不揮発性メモリの書き換え回数を少なくすることができ、不揮発性メモリの書き換え回数の上限を超えないようにすることができ、ひいては過リッチ/過リーンの発生を防止することができるエンジン制御装置を得るものである。
【0008】
また、この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、その目的は、アルコール濃度推定値を算出した場合に、フィードバック補正量を初期化する。これにより、燃料噴射量の二重の補正を無くし、過リッチ/過リーンの発生を防止することができるエンジン制御装置を得るものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明に係るエンジン制御装置は、アルコール濃度推定値を記憶するための不揮発性メモリと、エンジンの実回転速度を検出するクランク角センサと、吸入空気圧を検出する吸気圧力センサと、吸入空気の温度を検出する吸気温度センサと、スロットル弁の開度を検出するスロットルポジションセンサと、前記エンジンの温度を検出するエンジン温度センサと、前記エンジンの排出ガス中の酸素濃度を検出する酸素濃度センサと、前記エンジンに燃料を噴射する燃料噴射モジュールと、電源ON時に、前記不揮発性メモリに記憶された値を読み出してアルコール濃度推定値とし、前記クランク角センサによって検出されたエンジンの実回転速度、及び前記吸気圧力センサによって検出された吸入空気圧に基づき基本燃料噴射量を算出し、前記吸気温度センサによって検出された吸入空気の温度、前記スロットルポジションセンサによって検出されたスロットル弁の開度、及び前記エンジン温度センサによって検出されたエンジンの温度に基づき補正係数を設定し、前記酸素濃度センサによって検出された酸素濃度に基づきフィードバック補正量を設定し、前記クランク角センサによって検出されたエンジンの実回転速度、及び前記スロットルポジションセンサによって検出されたスロットル弁の開度に基づき前記アルコール濃度推定値を補正して空燃比学習補正係数を設定し、バッテリ電圧に基づき電圧補正量を設定し、前記補正係数、前記フィードバック補正量、前記空燃比学習補正係数及び前記電圧補正量に基づき前記基本燃料噴射量を補正して燃料噴射量を算出し、この算出した燃料噴射量に対応する駆動信号を前記燃料噴射モジュールへ出力するコントロールユニットとが設けられたエンジン制御装置であって、前記コントロールユニットは、空燃比学習モードが成立している場合には、前記フィードバック補正量に基づきアルコール濃度推定値を算出し、この算出したアルコール濃度推定値と前記不揮発性メモリに記憶されたアルコール濃度推定値の差の絶対値が所定値以上、かつエンジンの実回転速度が所定の範囲内の場合に、前記算出したアルコール濃度推定値を前記不揮発性メモリに記憶するものである。
【発明の効果】
【0010】
この発明に係るエンジン制御装置は、不揮発性メモリの書き換え回数を少なくすることができ、ひいては過リッチ/過リーンの発生を防止することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
実施の形態1.
この発明の実施の形態1に係るエンジン制御装置について図1から図4までを参照しながら説明する。図1は、この発明の実施の形態1に係るエンジン制御装置の構成を示す図である。
【0012】
図1において、この発明の実施の形態1に係るエンジン制御装置は、エンジン25の吸入空気の温度を計測する吸気温度センサ1と、スロットル弁23の開度を計測するスロットルポジションセンサ2と、スロットル弁23の下流の吸入空気圧力を計測する吸気圧力センサ3と、エンジン25の壁面温度を計測するエンジン温度センサ4と、エンジン25のクランク位置を計測するクランク角センサ5と、エンジン25の排出ガス中の酸素濃度を検出する酸素濃度センサ6と、CPU、ROM、RAM、I/Oインターフェイスなどを有するコントロールユニット10と、このコントロールユニット10に内蔵された不揮発性メモリ11とが設けられている。
【0013】
この他に、エアクリーナ21と、吸気通路22と、前述したスロットル弁23を迂回して吸入空気を供給するISC(Idle Speed Control)24と、「ガソリン」、「ガソリンとアルコールの混合燃料」、「アルコール」のいずれかが貯蔵された燃料タンク26と、エンジン25に燃料を噴射する燃料噴射モジュール27と、点火コイル28と、点火プラグ29と、排気通路30と、NOx、HC、COを浄化する排出ガス浄化触媒31などが設けられている。
【0014】
つぎに、この実施の形態1に係るエンジン制御装置の動作について図面を参照しながら説明する。図2は、この発明の実施の形態1に係るエンジン制御装置のコントロールユニットの初期動作を示すフローチャートである。また、図3は、この発明の実施の形態1に係るエンジン制御装置のコントロールユニットの燃料噴射量設定動作を示すフローチャートである。さらに、図4は、図3のフィードバック補正量設定動作を示すフローチャートである。
【0015】
コントロールユニット10は、吸気温度センサ1、スロットルポジションセンサ2、吸気圧力センサ3、エンジン温度センサ4、クランク角センサ5、酸素濃度センサ6からの情報に基づいて、適切な燃料噴射時期、燃料噴射量を演算し、駆動信号Tを燃料噴射モジュール27へ出力する。また同様に、コントロールユニット10は、上記の各種センサからの情報に基づいて、適切な点火時期、通電時間を演算し、駆動信号を点火コイル28へ出力する。
【0016】
まず、エンジン制御装置のコントロールユニットの初期動作について図2を参照しながら説明する。
【0017】
ステップS101において、コントロールユニット10は、電源ON時に、不揮発性メモリ11に記憶された値Keepを読み出してアルコール濃度推定値Klrnとして設定する。
【0018】
つづいて、エンジン制御装置のコントロールユニットの燃料噴射量設定動作について図3を参照しながら説明する。
【0019】
ステップS201において、コントロールユニット10は、クランク角センサ5によって検出されたエンジン25の実回転速度Neと、吸気圧力センサ3によって検出された吸入空気圧PbのマップTINJMAP(Ne,Pb)に基づき基本燃料噴射量Tiを算出する。すなわち、Ti=TINJMAP(Ne,Pb)に基づき基本燃料噴射量Tiを設定する。
【0020】
次に、ステップS202において、コントロールユニット10は、吸気温度センサ1によって検出された吸入空気の温度や、スロットルポジションセンサ2によって検出されたスロットル弁23の開度、エンジン温度センサ4によって検出されたエンジン25の壁面温度に基づき補正係数Kを設定する。
【0021】
次に、ステップS203において、コントロールユニット10は、酸素濃度センサ6によって検出された酸素濃度に基づきフィードバック補正量Kfbを設定する。このフィードバック補正量Kfbの設定の詳細については、図4を参照しながら後で説明する。
【0022】
次に、ステップS204において、コントロールユニット10は、クランク角センサ5によって検出されたエンジン25の実回転速度Neと、スロットルポジションセンサ2によって検出されたスロットル弁開度THに基づき設定された補正マップTKLRNAF(Ne,TH)によりアルコール濃度推定値Klrnを補正し、空燃比学習補正係数Kafを算出する。すなわち、Kaf=Klrn×TKLRNAF(Ne,TH)に基づき空燃比学習補正係数Kafを設定する。
【0023】
次に、ステップS205において、コントロールユニット10は、バッテリ電圧に基づき電圧補正量Tbを設定する。
【0024】
そして、ステップS206において、コントロールユニット10は、基本燃料噴射量Ti、補正係数K、フィードバック補正量Kfb、空燃比学習補正係数Kaf及び電圧補正量Tbに基づき燃料噴射量Tを算出する。すなわち、T=Ti×K×Kfb×Kaf+Tbに基づき燃料噴射量Tを設定する。コントロールユニット10は、算出した燃料噴射量Tに対応する駆動信号Tを燃料噴射モジュール27へ出力する。
【0025】
コントロールユニット10は、電源ON後、一定周期で上述した燃料噴射量設定動作(ステップS201〜S206)を繰り返す。
【0026】
ここで、エンジン制御装置のコントロールユニットのフィードバック補正量設定動作について図4を参照しながら説明する。
【0027】
ステップS301において、コントロールユニット10は、エンジン25の実回転速度Neや、エンジン25の温度、スロットル弁開度に基づきフィードバック条件が成立しているか否かを判断する。例えば、コントロールユニット10は、エンジン25の実回転速度Neが所定の範囲内、かつエンジン25の温度が所定の範囲内、かつスロットル弁開度が所定の範囲内の場合にフィードバック条件が成立していると判断する。フィードバック条件が成立している場合には、次のステップS302へ進む。一方、フィードバック条件が成立していない場合には、ステップS310へ進む。
【0028】
次に、ステップS302において、コントロールユニット10は、前回アルコール濃度推定値を算出したか否かを判断する。前回アルコール濃度推定値を算出したことを示すフラグFLがセット(1)されていれば、前回アルコール濃度推定値を算出したと判断する。前回アルコール濃度推定値を算出した場合には、次のステップS303へ進む。一方、前回アルコール濃度推定値を算出していない場合には、ステップS304へ進む。
【0029】
次に、ステップS303において、コントロールユニット10は、フィードバック補正量Kfbを「1」に初期化する。また、前回アルコール濃度推定値を算出したことを示すフラグFLをリセット(0)する。
【0030】
次に、ステップS304において、コントロールユニット10は、公知のフィードバック補正量Kfbの算出処理を行う。すなわち、コントロールユニット10は、前回アルコール濃度推定値を算出した場合には、ステップS303で初期化したフィードバック補正量Kfbに、今回算出したフィードバック補正量Kfbを積算(加算)する。前回アルコール濃度推定値を算出していない場合には、前回算出したフィードバック補正量Kfbに、今回算出したフィードバック補正量Kfbを積算(加算)する。
【0031】
次に、ステップS305において、コントロールユニット10は、空燃比学習モードが成立しているか否かを判断する。この空燃比学習モードが、エンジン25の実回転速度Neが所定の範囲内(例えば、1250rpmから2000rpmまでの範囲内)、エンジン25の温度が所定の範囲内(例えば、80℃から110℃までの範囲内)、スロットル弁開度の変化が所定値(例えば、1.34deg)以下の状態の全てが満たされた場合に、成立していると判断する。空燃比学習モードが成立している場合には、次のステップS306へ進む。一方、空燃比学習モードが成立していない場合には、リターンへ進む。
【0032】
次に、ステップS306において、コントロールユニット10は、フィードバック補正量Kfbの平均化処理を実施する。コントロールユニット10は、ステップS304で算出したフィードバック補正量Kfbを所定回数(例えば、256回)積算し、所定回数(例えば、256回)で除算することによりフィードバック補正量平均値を算出する。
【0033】
次に、ステップS307において、コントロールユニット10は、前回算出したフィードバック補正量平均値に、ステップS306で今回算出したフィードバック補正量平均値を積算(加算)してアルコール濃度推定値Klrnを算出する。また、コントロールユニット10は、前回アルコール濃度推定値を算出したことを示すフラグFLをセット(1)する。
【0034】
次に、ステップS308において、コントロールユニット10は、ステップS307で算出したアルコール濃度推定値Klrnを不揮発性メモリ11に記憶するか否かを判断する。すなわち、コントロールユニット10は、ステップS307で算出したアルコール濃度推定値Klrnと不揮発性メモリ11に記憶された値Keepの差の絶対値が所定値1(例えば、0.1)以上、かつエンジン25の実回転速度Neが所定の範囲内(所定値2(例えば、500rpm)から所定値3(例えば、2000rpm)までの範囲内)の場合に不揮発性メモリ11に記憶すると判断する。つまり、|Klrn−Keep|≧所定値1、かつ所定値2≦Ne≦所定値3の場合に不揮発性メモリ11に記憶すると判断する。算出したアルコール濃度推定値Klrnを不揮発性メモリ11に記憶する場合には、ステップS309へ進む。一方、不揮発性メモリ11に記憶しない場合には、リターンへ進む。
【0035】
そして、ステップS309において、コントロールユニット10は、ステップS307で算出したアルコール濃度推定値Klrnを不揮発性メモリ11に記憶し、リターンへ進む。
【0036】
ステップS310において、コントロールユニット10は、フィードバック補正量Kfbを「1」に初期化する。また、前回アルコール濃度推定値を算出したことを示すフラグFLをリセット(0)して、リターンへ進む。
【0037】
この実施の形態1は、不揮発性メモリ11の書き換え回数の上限を超えないように、燃料噴射量を補正するアルコール濃度推定値を不揮発性メモリ11に記憶する際に制限を設けた。つまり、不揮発性メモリ11の書き換え回数を少なくし、不揮発性メモリ11の書き換え回数の上限を超えないようにすることで、過リッチ/過リーンの発生を防止することができる。また、アルコール濃度推定値を算出した場合に、フィードバック補正量を初期化することにより、燃料噴射量の二重の補正を無くし、過リッチ/過リーンの発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】この発明の実施の形態1に係るエンジン制御装置の構成を示す図である。
【図2】この発明の実施の形態1に係るエンジン制御装置のコントロールユニットの初期動作を示すフローチャートである。
【図3】この発明の実施の形態1に係るエンジン制御装置のコントロールユニットの燃料噴射量設定動作を示すフローチャートである。
【図4】図3のフィードバック補正量設定動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0039】
1 吸気温度センサ、2 スロットルポジションセンサ、3 吸気圧力センサ、4 エンジン温度センサ、5 クランク角センサ、6 酸素濃度センサ、10 コントロールユニット、11 不揮発性メモリ、21 エアクリーナ、22 吸気通路、23 スロットル弁、24 ISC、25 エンジン、26 燃料タンク、27 燃料噴射モジュール、28 点火コイル、29 点火プラグ、30 排気通路、31 排出ガス浄化触媒。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルコール濃度推定値を記憶するための不揮発性メモリと、
エンジンの実回転速度を検出するクランク角センサと、
吸入空気圧を検出する吸気圧力センサと、
吸入空気の温度を検出する吸気温度センサと、
スロットル弁の開度を検出するスロットルポジションセンサと、
前記エンジンの温度を検出するエンジン温度センサと、
前記エンジンの排出ガス中の酸素濃度を検出する酸素濃度センサと、
前記エンジンに燃料を噴射する燃料噴射モジュールと、
電源ON時に、前記不揮発性メモリに記憶された値を読み出してアルコール濃度推定値とし、前記クランク角センサによって検出されたエンジンの実回転速度、及び前記吸気圧力センサによって検出された吸入空気圧に基づき基本燃料噴射量を算出し、前記吸気温度センサによって検出された吸入空気の温度、前記スロットルポジションセンサによって検出されたスロットル弁の開度、及び前記エンジン温度センサによって検出されたエンジンの温度に基づき補正係数を設定し、前記酸素濃度センサによって検出された酸素濃度に基づきフィードバック補正量を設定し、前記クランク角センサによって検出されたエンジンの実回転速度、及び前記スロットルポジションセンサによって検出されたスロットル弁の開度に基づき前記アルコール濃度推定値を補正して空燃比学習補正係数を設定し、バッテリ電圧に基づき電圧補正量を設定し、前記補正係数、前記フィードバック補正量、前記空燃比学習補正係数及び前記電圧補正量に基づき前記基本燃料噴射量を補正して燃料噴射量を算出し、この算出した燃料噴射量に対応する駆動信号を前記燃料噴射モジュールへ出力するコントロールユニットとを備えたエンジン制御装置であって、
前記コントロールユニットは、空燃比学習モードが成立している場合には、前記フィードバック補正量に基づきアルコール濃度推定値を算出し、この算出したアルコール濃度推定値と前記不揮発性メモリに記憶されたアルコール濃度推定値の差の絶対値が所定値以上、かつエンジンの実回転速度が所定の範囲内の場合に、前記算出したアルコール濃度推定値を前記不揮発性メモリに記憶する
ことを特徴とするエンジン制御装置。
【請求項2】
前記コントロールユニットは、
エンジンの実回転速度が所定の範囲内、エンジンの温度が所定の範囲内、スロットル弁の開度の変化が所定値以下の場合に、前記空燃比学習モードが成立していると判断し、
前記算出したアルコール濃度推定値と前記不揮発性メモリに記憶されたアルコール濃度推定値の差の絶対値が0.1以上、かつエンジンの実回転速度が500rpmから2000rpmまでの範囲内の場合に、前記算出したアルコール濃度推定値を前記不揮発性メモリに記憶する
ことを特徴とする請求項1記載のエンジン制御装置。
【請求項3】
前記コントロールユニットは、前回アルコール濃度推定値を算出した場合には、前記フィードバック補正量を初期化する
ことを特徴とする請求項1又は2記載のエンジン制御装置。
【請求項4】
前記コントロールユニットは、前回アルコール濃度推定値を算出した場合には、前記フィードバック補正量を1に初期化する
ことを特徴とする請求項3記載のエンジン制御装置。
【請求項5】
アルコール濃度推定値を記憶するための不揮発性メモリと、
エンジンの実回転速度を検出するクランク角センサと、
吸入空気圧を検出する吸気圧力センサと、
吸入空気の温度を検出する吸気温度センサと、
スロットル弁の開度を検出するスロットルポジションセンサと、
前記エンジンの温度を検出するエンジン温度センサと、
前記エンジンの排出ガス中の酸素濃度を検出する酸素濃度センサと、
前記エンジンに燃料を噴射する燃料噴射モジュールと、
電源ON時に、前記不揮発性メモリに記憶された値を読み出してアルコール濃度推定値とし、前記クランク角センサによって検出されたエンジンの実回転速度、及び前記吸気圧力センサによって検出された吸入空気圧に基づき基本燃料噴射量を算出し、前記吸気温度センサによって検出された吸入空気の温度、前記スロットルポジションセンサによって検出されたスロットル弁の開度、及び前記エンジン温度センサによって検出されたエンジンの温度に基づき補正係数を設定し、前記酸素濃度センサによって検出された酸素濃度に基づきフィードバック補正量を設定し、前記クランク角センサによって検出されたエンジンの実回転速度、及び前記スロットルポジションセンサによって検出されたスロットル弁の開度に基づき前記アルコール濃度推定値を補正して空燃比学習補正係数を設定し、バッテリ電圧に基づき電圧補正量を設定し、前記補正係数、前記フィードバック補正量、前記空燃比学習補正係数及び前記電圧補正量に基づき前記基本燃料噴射量を補正して燃料噴射量を算出し、この算出した燃料噴射量に対応する駆動信号を前記燃料噴射モジュールへ出力するコントロールユニットとを備えたエンジン制御装置であって、
前記コントロールユニットは、前回アルコール濃度推定値を算出した場合には、前記フィードバック補正量を初期化する
ことを特徴とするエンジン制御装置。
【請求項6】
前記コントロールユニットは、前回アルコール濃度推定値を算出した場合には、前記フィードバック補正量を1に初期化する
ことを特徴とする請求項5記載のエンジン制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−97459(P2009−97459A)
【公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−271146(P2007−271146)
【出願日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】