エンジン制御装置
【課題】排気通路に粒子状物質検出センサを備えるエンジンにおいて、排気温度を簡易にかつ精度良く検出する。
【解決手段】PMセンサ17は、ガス中に含まれるPM(導電性粒子状物質)を付着させる被付着部と、被付着部に互いに離間して設けられる一対の対向電極とを有し、一対の対向電極間の抵抗値に応じた検出信号を出力する。マイコン44は、被付着部に付着したPMについて排気熱による燃焼が生じたか否かを判定し、排気熱によるPM燃焼が生じたと判定された場合に、その燃焼時における粒子状物質検出センサによるセンサ検出値の変化量に基づいて排気温度を算出する。
【解決手段】PMセンサ17は、ガス中に含まれるPM(導電性粒子状物質)を付着させる被付着部と、被付着部に互いに離間して設けられる一対の対向電極とを有し、一対の対向電極間の抵抗値に応じた検出信号を出力する。マイコン44は、被付着部に付着したPMについて排気熱による燃焼が生じたか否かを判定し、排気熱によるPM燃焼が生じたと判定された場合に、その燃焼時における粒子状物質検出センサによるセンサ検出値の変化量に基づいて排気温度を算出する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジン制御装置に関し、詳しくは、粒子状物質検出センサの検出信号に基づいて、排気に含まれる粒子状物質(PM:Particulate Matter)の量を検出するエンジン制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、エンジンから排出されるPMの量を検出するPMセンサ(粒子状物質検出センサ)が各種提案されている(例えば、特許文献1や特許文献2参照)。特許文献1のPMセンサでは、絶縁基板上に一対の対向電極を設けておき、その一対の対向電極間にPMが堆積すると電極間抵抗が変化することを利用し、電極間抵抗を計測することでPM量を検出する構成としている。この場合、センサ素子に接続される検出回路としては、一対の対向電極間の抵抗分である電極間抵抗と所定のシャント抵抗とにより分圧回路を構成し、分圧回路の中間点電圧をセンサ検出信号として出力するようにしている。また、特許文献2のPMセンサでは、ヒータが内蔵されており、所定の走行距離毎、所定の走行距離毎、又は使用燃料量毎にヒータによる加熱を行うことにより、一対の対向電極間に堆積したPMを燃焼除去している。
【0003】
また従来、エンジンの高負荷運転時において、エンジンの排気温度上昇による排気系の損傷を抑制するべく燃料増量(高負荷増量)を行うことが知られている(例えば、特許文献3参照)。この特許文献3では、エンジンの負荷が大きいほど排気温度が高くなることを考慮し、エンジン負荷が大きいほど燃料増量の補正量を多くしている。これにより、排気温度の低下を図り、排気系の損傷を抑制するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭59−196453号公報
【特許文献2】特開2009−144577号公報
【特許文献3】特開2006−183500号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
高負荷増量等といった排気温度に応じた制御を行う場合、エンジンの排気管に温度センサを設け、排気温度を直接検出することも考えられるが、その場合、温度センサを設ける必要が生じてしまう。また、上記特許文献3のようにエンジン運転状態に基づいて排気温度を推定してもよいが、この場合には、実際の排気温度と推定温度との間で誤差が生じやすく、精度の面で劣ることが考えられる。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、排気通路に粒子状物質検出センサを備えるエンジンにおいて、排気温度を簡易にかつ精度良く検出することができるエンジン制御装置を提供することを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下、上記課題を解決するための手段、及びその作用効果について説明する。
【0008】
本発明は、排気に含まれる導電性の粒子状物質を付着させる被付着部と、前記被付着部に互いに離間して設けられる一対の対向電極とを有し前記一対の対向電極間の抵抗値に応じた検出信号を出力する粒子状物質検出センサを排気通路に備えるエンジンに適用される。そして、請求項1に記載の発明は、前記被付着部に付着した粒子状物質について排気熱による燃焼が生じたか否かを判定する燃焼判定手段と、前記燃焼判定手段により前記排気熱による燃焼が生じたと判定された場合に、その燃焼時における前記粒子状物質検出センサによるセンサ検出値の変化量に基づいて、排気温度を算出する排気温算出手段と、を備えることを特徴とする。
【0009】
粒子状物質検出センサでは、一対の対向電極間に付着した粒子状物質の付着量に応じてセンサ検出値が変化する。本発明は、一対の対向電極間に付着した粒子状物質が、高温の排気熱によって燃焼する(自然燃焼する)ことに着目し、その燃焼時のセンサ検出値の挙動を利用することにより排気温度を算出するものである。つまり、一対の対向電極間に付着している粒子状物質が排気熱によって燃焼した場合にはその付着量が少なくなるが、このとき、付着していた粒子状物質のうち、燃焼に供される粒子状物質量は排気温度に応じて相違する。また、燃焼に供される粒子状物質量の相違は、センサ検出値の変化量の相違として現れ、排気温度が高いほどセンサ検出値の変化量が大きくなると考えられる。よって、粒子状物質検出センサを備える構成において、粒子状物質が排気熱により燃焼した時のセンサ検出値の変化量をパラメータとすることにより、排気温度を算出することができる。この場合、現実の排気管内における粒子状物質の燃焼状況に基づいて排気温度を算出するため、排気温度を精度良く算出することができる。
【0010】
請求項2に記載の発明では、エンジン負荷が所定の運転負荷よりも大きいか否かを判定する負荷判定手段を備え、前記燃焼判定手段は、前記負荷判定手段によりエンジン負荷が所定の運転負荷よりも大きいと判定され、かつ前記抵抗値が大きくなる側へ前記センサ検出値が変化した場合に前記排気熱による燃焼が生じたと判定し、前記排気温算出手段は、前記抵抗値が大きくなる側への前記センサ検出値の変化量に基づいて排気温度を算出する。
【0011】
エンジン運転時では、エンジンから粒子状物質が排出されることにより、粒子状物質検出センサのセンサ検出値が、一対の対向電極間の抵抗値が小さくなる側に変化する。また、エンジン運転状態が高負荷の場合には、粒子状物質が自然燃焼する温度まで排気温度が上昇することがある。このような状況において一対の対向電極間の抵抗値が大きくなる側にセンサ検出値が変化した場合、その変化は、一対の対向電極間に付着した粒子状物質が自然燃焼したことによって粒子状物質の付着量が減少したことに起因するものと推定できる。したがって、上記構成とすることにより、粒子状物質の自然燃焼が生じたことを正確に検出することができる。
【0012】
請求項3に記載の発明では、前記センサ検出値の変化が生じた時の前記被付着部における粒子状物質の付着量と、前記センサ検出値の変化量とに基づいて排気温度を算出する。
【0013】
被付着部に付着している粒子状物質は、その付着量に応じて燃えやすさが異なり、付着量が多いほど燃えやすい傾向にある。したがって、粒子状物質の自然燃焼によって一対の対向電極間の抵抗値が大きくなる側に変化した場合、抵抗値の変化量が同じであっても、付着量が多いほど実際の排気温度は低いと判断できる。これに鑑み、上記構成とすることにより、排気温度をより正確に算出することができる。
【0014】
請求項4に記載の発明では、前記排気通路において、排気を浄化する排気浄化装置が設けられており、エンジンの高負荷運転領域において、前記排気浄化装置の過熱を抑制するための燃料増量を実施する高負荷増量手段を備え、該高負荷増量手段は、前記排気温算出手段により算出した排気温度に基づいて燃料増量を実施する。
【0015】
エンジン高負荷時では、排気温度の上昇による排気浄化装置の損傷を防止すべく燃料増量(高負荷増量補正)を行うことがある。この高負荷増量補正に際しては、補正を過剰に行うと燃費悪化を招き、補正が不足すると排気浄化装置の損傷を招くおそれがある。そのため、排気温度に見合った適切な燃料の増量制御を行う必要がある。ここで、センサ検出値の変化量に基づく排気温度の算出方法によれば、粒子状物質が自然燃焼する燃焼温度よりも高温領域の温度を算出可能である。一方、排気浄化装置の損傷のおそれが生じる温度は、粒子状物質の燃焼温度よりも高く、センサ検出値の変化量に基づき算出可能な温度範囲内である。したがって、センサ検出値の変化量に基づき算出した排気温度に基づいて高負荷増量補正を行った場合には、排気温度に見合った適切な燃料の増量制御を行うことができる。
【0016】
また、請求項5に記載の発明のように、前記排気通路において、排気温度を検出する温度センサが設けられており、前記排気温算出手段により算出した排気温度と、前記温度センサにより検出した排気温度との比較結果に基づいて、前記温度センサ又は前記粒子状物質検出センサの異常を診断する構成としてもよい。
【0017】
温度センサ及び粒子状物質検出センサが正常であれば、温度センサにより検出した排気温度と、センサ検出値の変化量に基づき算出した排気温度とは概ね一致する。これに対し、温度センサにより検出した排気温度と、センサ検出値の変化量に基づき算出した排気温度との差が大きい場合、温度センサが正常であることが前提であれば、粒子状物質検出センサの出力が異常であると診断することができる。また、粒子状物質検出センサが正常であることが前提であれば、温度センサの出力が異常であると診断することができる。
【0018】
請求項6に記載の発明では、前記被付着部における粒子状物質の付着量が所定量以下か否かを判定する手段を備え、前記排気温算出手段は、前記付着量が前記所定量以下の場合に排気温度の算出を禁止する。
【0019】
粒子状物質の付着量が僅かである場合には、排気温度が粒子状物質の燃焼温度よりも高い場合であっても粒子状物質の燃焼が生じないことがある。このような場合に、自然燃焼に起因するセンサ検出値の変化と同等の挙動が見られた場合には、センサの出力異常が生じている可能性がある。したがって、粒子状物質の付着量が少ない場合には、上記構成のように、センサ検出値の変化量に基づく排気温度の算出を実施しないものとするとよい。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】第1の実施形態におけるエンジン制御システムの概略を示す構成図。
【図2】センサ素子の要部構成を分解して示す分解斜視図。
【図3】PMセンサに関する電気的構成を示す図。
【図4】PM自然燃焼時のPM検出電圧の推移を示す図。
【図5】排気温度算出処理を示すフローチャート。
【図6】排気温度算出用マップの一例を示す図。
【図7】高負荷増量補正処理を示すフローチャート。
【図8】第2の実施形態におけるエンジン制御システムの概略を示す構成図。
【図9】温度センサの異常診断処理を示すフローチャート。
【図10】PMセンサの異常診断処理を示すフローチャート。
【図11】PM強制燃焼処理を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(第1の実施形態)
以下、本発明を具体化した第1の実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態は、車載エンジンを備える車両エンジンシステムにおいて、同エンジンから排出される排気中のPM量(導電性粒子状物質の量)を監視するものである。特に、エンジン排気管にPMセンサを設け、そのPMセンサでのPM付着量に基づいてPM量を監視するものとしている。図1は、本システムの概略構成を示す構成図である。
【0022】
図1において、エンジン11は直噴式ガソリンエンジンであり、同エンジン11の運転に関わるアクチュエータとして燃料噴射弁12や点火装置13等が設けられている。エンジン11の排気管14には排気浄化装置としての三元触媒15が設けられており、その三元触媒15の上流側にはA/Fセンサ16が設けられ、下流側には粒子状物質検出センサとしてのPMセンサ17が設けられている。その他、本システムでは、エンジン回転速度を検出するための回転センサ18や、吸気管圧力を検出するための圧力センサ19等が設けられている。
【0023】
ECU20は、周知のCPU、ROM、RAM等よりなるマイクロコンピュータ(マイコン)を主体として構成されており、ROMに記憶された各種の制御プログラムを実行することで、都度のエンジン運転状態に応じてエンジン11の各種制御を実施する。すなわち、ECU20は、上記各種センサ等から各々信号を入力し、それらの各種信号に基づいて燃料噴射量や点火時期を演算して燃料噴射弁12や点火装置13の駆動を制御する。
【0024】
燃料噴射量制御について、ECU20は、例えば吸入空気量に応じて基本噴射量を算出し、その基本噴射量に対して、始動後増量補正や暖機増量補正、高負荷増量補正などの各種補正を実施している。高負荷増量補正について詳しくは、ECU20は、エンジン11の負荷が所定以上の場合に、高温の排気から触媒15を保護すべく、排気温度に応じた燃料の増量補正を行う。
【0025】
その他、ECU20は、PMセンサ17の検出結果から算出されるエンジン11の実際のPM排出量(実PM排出量)に基づいて、エンジン11の制御態様を可変に制御する構成であってもよい。例えば、実PM排出量に基づいて燃料噴射量を制御したり、燃料噴射時期を制御したり、点火時期を制御したりすることが可能である。
【0026】
次に、PMセンサ17の構成、及びそのPMセンサ17に関する電気的構成を図2及び図3を用いて説明する。図2は、PMセンサ17を構成するセンサ素子31の要部構成を分解して示す分解斜視図であり、図3は、PMセンサ17に関する電気的構成図である。
【0027】
図2に示すように、センサ素子31は、長尺板状をなす2枚の絶縁基板32,33を有しており、一方の絶縁基板32にはPM量を検出するためのPM検出部34が設けられ、他方の絶縁基板33にはセンサ素子31を加熱するためのヒータ部35が設けられている。センサ素子31は、絶縁基板32,33が二層に積層されることで構成されている。絶縁基板32が被付着部に相当する。
【0028】
絶縁基板32には、他方の絶縁基板33とは反対側の基板表面に、互いに離間して設けられる一対の検出電極36a,36bが設けられており、この一対の検出電極36a,36bによりPM検出部34が構成されている。検出電極36a,36bは、各々複数の櫛歯を有する櫛歯形状をなしており、各検出電極36a,36bの櫛歯同士が互い違いとなるようして所定間隔をあけて対向配置されている。また、ヒータ部35は例えば電熱線からなる発熱体により構成されている。
【0029】
ただし、一対の検出電極36a,36bの形状は上記に限定されず、曲線状をなす形状で設けられているものや、各1本の線からなる一対の電極部が所定距離を隔てて平行に対向配置されているものであってもよい。
【0030】
なお、図示は省略するが、PMセンサ17は、センサ素子31を保持するための保持部を有しており、センサ素子31はその一端側が保持部により保持された状態で排気管に固定されるようになっている。この場合、少なくともPM検出部34及びヒータ部35を含む部位が排気管内に位置するように配されるとともに、センサ素子31において絶縁基板32(PM被付着部)が排気上流側を向くようにして、PMセンサ17が排気管に取り付けられる構成となっている。これにより、PMを含む排気が排気管内を流れる際、そのPMが絶縁基板32において検出電極36a,36b及びその周辺に付着し堆積する。また、PMセンサ17は、センサ素子31の突出部分を覆う保護カバーを有している。
【0031】
上記構成のPMセンサ17は、排気中のPMがセンサ素子31の絶縁基板32に付着し堆積すると、それによりPM検出部34の抵抗値(すなわち一対の検出電極36a,36b間の抵抗値)が変化すること、及びその抵抗値の変化がPM堆積量に対応していることから、その抵抗値の変化を利用してPM量を検出するものである。
【0032】
図3に示すように、PMセンサ17に関する電気的構成として、PMセンサ17のPM検出部34の一端側にはセンサ電源41が接続され、他端側にはシャント抵抗42が接続されている。センサ電源41は、例えば定電圧回路により構成されており、定電圧Vccが5Vとなっている。この場合、PM検出部34とシャント抵抗42とにより分圧回路40が形成されており、それらの中間点電圧がPM検出電圧Vpm(センサ検出値)としてECU20に入力されるようになっている。つまり、PM検出部34ではPM堆積量に応じて抵抗値Rpmが変化し、その抵抗値Rpmとシャント抵抗42の抵抗値RsとによりPM検出電圧Vpmが変化する。そして、そのPM検出電圧VpmがA/D変換器43を介してマイコン44に入力される。
【0033】
ここで、Vcc=5V、Rs=100kΩとすると、PM検出電圧Vpmは次の(1)式で求められる。
Vpm=5V×100kΩ/(100kΩ+Rpm) …(1)
このとき、PM堆積量が0(又は略0)であれば、PM検出部34の抵抗値Rpmは無限大になることから、Vpm=0Vとなる。また、PM検出部34でのPM堆積によりPM検出部34の抵抗値Rpmが例えば1kΩまで低下すると、Vpm=4.95Vとなる。こうしてPM検出部34でのPM堆積量に応じてPM検出電圧Vpmが変化する。マイコン44は、PM検出電圧Vpmに応じてPM堆積量を算出する。
【0034】
PMセンサ17では、分圧回路40により信号出力回路が構成されており、この分圧回路40によって0〜5Vを出力範囲としてPM検出電圧Vpmが変化可能となっている。この場合、PM検出電圧Vpmの出力上限値は5Vであり、より厳密には5Vよりも若干低い電圧値となっている。
【0035】
また、PMセンサ17のヒータ部35には、ヒータ電源45が接続されている。ヒータ電源45は例えば車載バッテリであり、車載バッテリからの給電によりヒータ部35が加熱される。この場合、ヒータ部35のローサイドにはスイッチング素子としてのトランジスタ46が接続されており、マイコン44によりトランジスタ46がオン/オフされることでヒータ部35の加熱制御が行われる。
【0036】
絶縁基板32上にPMが堆積した状態でヒータ部35の通電を開始すると、堆積PMの温度が上昇し、それに伴い堆積PMが強制燃焼される。こうした強制燃焼により、絶縁基板32に堆積したPMが燃焼除去される。マイコン44は、例えば、絶縁基板32上のPM堆積量が所定量になったと判定された時や、前回のPM強制燃焼からのエンジン運転時間や車両走行距離が所定値になったと判定された時に、PMの強制燃焼要求が生じたとしてヒータ部35による加熱制御を実施する。また特に、本実施形態では、エンジン停止時に、PMの強制燃焼要求が生じたとしてヒータ部35による加熱制御を実施する。
【0037】
その他、ECU20には、各種の学習値や異常診断値(ダイアグデータ)等を記憶するためのバックアップ用メモリとしてのEEPROM47が設けられている。
【0038】
さて、PMセンサ17に堆積したPMは、排気熱によって高温化されることで自然燃焼することがある。本実施形態では、PMの自然燃焼によってPM検出電圧Vpmが変化する挙動に着目し、堆積PMが自然燃焼した場合のPM検出電圧Vpmの変化に基づいて排気温度を算出することとしている。
【0039】
すなわち、図4に示すように、エンジン運転状態では、エンジン11からのPM排出に伴いPM検出電圧Vpmが徐々に上昇していくが、このとき、例えばエンジン11の高負荷時では、排気温度の上昇により、ヒータ部35による絶縁基板32の加熱を実施していないにもかかわらず絶縁基板32上に堆積したPMが昇温して自己着火することがある。また、排気熱による自己着火に伴いPMの燃焼(自然燃焼)が行われると、PMセンサ17において、燃焼除去されたPM量に相当する分の出力低下が生じる。ここで、自然燃焼によりPMが燃焼した場合、絶縁基板32に付着したPMのうち燃焼に供されるPM量は排気温度に応じて相違し、排気温度が高いほど燃焼に供されるPM量が多くなる。その結果、自然燃焼に伴う出力低下量ΔVが、排気温度が高いほど大きくなる。本実施形態では、PM自然燃焼時には上記のような挙動が現れることに着目し、PM自然燃焼時のPM検出電圧Vpmの変化量に基づいて排気温度を算出することとしている。
【0040】
次に、本実施形態の排気温度算出処理について図5のフローチャートを用いて説明する。この処理は、ECU20のマイコン44により所定周期毎に実行される。
【0041】
図5において、ステップS10では、エンジン11が所定の高負荷状態か否かを判定する。ここでは、今現在のエンジン負荷が、PMの自然燃焼が生じる温度(PM燃焼温度)まで昇温する可能性がある負荷L1よりも大きいか否かを判定する。ステップS10がNOの場合には、PM検出電圧Vpmの変化量に基づく排気温度の算出を行わず、そのまま本ルーチンを終了する。
【0042】
一方、ステップS11がYESの場合、ステップS12へ進み、PM検出電圧の前回値Vpm(k-1)と今回値Vpm(k)とを読み込むとともに、燃焼処理実行中フラグXpmbを読み込む。ここで、燃焼処理実行中フラグXpmbは、ヒータ部35による堆積PMの強制燃焼実行中である場合にONされるフラグである。
【0043】
続くステップS12では、燃焼処理実行中フラグXpmbがOFFか否かを判定する。Xpmb=OFFであればステップS13へ進み、前回値Vpm(k-1)と今回値Vpm(k)とを比較する。そして、前回値Vpm(k-1)の方が今回値Vpm(k)よりも大きい、つまりPM検出電圧Vpmが低下した場合には、ステップS14へ進み、排気温度算出フラグXestをONにする。排気温度算出フラグXestは、PM検出電圧Vpmを用いた排気温度の算出を許可する場合にONされるフラグである。また、ステップS15では、前回値Vpm(k-1)から今回値Vpm(k)を差し引いた値の積算値、つまりPM検出電圧Vpmが減少し始めてからの電圧変化量を出力低下量ΔVとして記憶する。そして本ルーチンを一旦終了する。
【0044】
PM検出電圧Vpmが低下から上昇に転じると、ステップS13がNOとなり、ステップS17へ進む。ステップS17では、排気温度算出フラグXestがONか否かを判定し、Xset=ONの場合にはステップS18に進み、出力低下量ΔVに基づいて排気温度(PMセンサ排気温度)Texを算出する。ここでは、排気温度算出用マップを用いて、出力低下量ΔVに対応する排気温度Texを求める。
【0045】
図6は、排気温度算出用マップの一例を示す図である。本実施形態の出力低下量ΔVに基づく温度算出方法によれば、PM燃焼温度Tpm以上か又はPM燃焼温度Tpmより僅かに高い所定温度(Tpm+α)以上の温度範囲において温度の算出が可能である。また、図6に示すように、排気温度Texは、出力低下量ΔVが大きいほど高い値に定められている。特に本実施形態では、出力低下量ΔVと排気温度Texとの関係がPM堆積量に応じて定めてあり、具体的には、同じ出力低下量ΔVに対する排気温度Texが、PM堆積量が多いほど低くなるように定められている。これは、PM堆積量が多いほど燃えやすく、排気温度が同じであっても、PM堆積量が多いほど出力低下が大きくなるからである。
【0046】
図5の説明に戻り、ステップS19では、PM検出電圧Vpmの使用禁止を設定するためのフラグ(出力使用禁止フラグ)XpmiをONにするとともに、PM燃焼処理開始フラグXpmrをONにする。つまり、本実施形態では、PMの自然燃焼が生じた場合にはPM検出電圧Vpmの使用を禁止し、図示しない別ルーチンにより、絶縁基板32上に堆積したPMの強制燃焼を実施することとしている。これにより、絶縁基板32上のPM堆積量が0にリセットされる。なお、PM強制燃焼処理は、エンジン負荷が所定の中低負荷以下になった後に実施してもよい。また、ステップS19では、出力低下量ΔVを0にリセットする。その後、ステップS20において、排気温度算出フラグXestをOFFにし、本ルーチンを終了する。
【0047】
本実施形態では、上記の排気温度算出処理により算出した排気温度を用いて燃料噴射量制御、詳しくは高負荷増量補正を実施する。以下、高負荷増量補正について説明する。
【0048】
図7は、高負荷増量補正処理を示すフローチャートである。この処理は、ECU20のマイコン44により所定周期毎に実行される。
【0049】
図7において、ステップS30では、エンジン負荷が所定負荷L2よりも大きいか否かを判定する。所定負荷L2は、触媒15の溶損を回避すべく触媒保護が必要とされる負荷に基づいて定めてあり、所定負荷L1と同等か又はL1よりも大きく設定してある。エンジン負荷が所定負荷L2よりも大きい場合には、ステップS31へ進み、上記の排気温度算出処理によって今現在の排気温度Texを算出済みであるか否かを判定し、排気温度Texを算出済みであればステップS32へ進む。
【0050】
ステップS32では、算出した今現在の排気温度Texを読み込み、ステップS33において、排気温度Texが触媒限界温度Tcathよりも大きいか否かを判定する。触媒限界温度Tcathは、触媒15の溶損が生じるおそれがある温度に基づき定めてあり、PM燃焼温度Tpmよりも高温側に定めてある。そして、ステップS33がNOの場合にはそのまま本ルーチンを終了し、ステップS33がYESの場合、ステップS34へ進み、排気温度Texに応じて燃料増量の補正量を算出する。ここでは、排気温度Texが高いほど燃料増量が多く行われるように補正量が設定してある。ここで算出した補正量は、図示しない別ルーチンによる燃料噴射量の算出処理において基本噴射量に対する補正を行う際に用いられる。
【0051】
以上詳述した本実施形態によれば、次の優れた効果が得られる。
【0052】
PMセンサ17に付着したPMが自然燃焼した時のPM検出電圧Vpmの変化量に基づいて排気温度を算出する構成としたため、温度センサ等といった排気温度を直接検出する手段を設けなくても排気温度を算出することができる。また、現実の排気管14内におけるPMの燃焼状況に基づいて排気温度を算出するため、例えばエンジン運転状態から推定する場合に比べて、排気温度を精度良く算出することができる。
【0053】
エンジン負荷が負荷L1よりも大きく、かつPM検出電圧Vpmが低下した場合にPMの自然燃焼が生じたものと判定する構成としたため、PMの自然燃焼が生じたことを正確に検出することができる。また逆に、エンジン負荷が負荷L1以下の場合には、PMの自然燃焼が生じるほど排気温度が高くならず、自然燃焼が生じないはずであることを考慮して、PM検出電圧Vpmの変化量に基づく排気温度の算出を実施しない構成としたため、排気温度の算出精度が低くなるのを抑制することができる。
【0054】
絶縁基板32に付着しているPMはその付着量に応じて燃えやすさが異なり、付着量が多いほど燃えやすい傾向にある考慮し、PM検出電圧Vpmの低下が生じた時の絶縁基板32上におけるPM付着量と、出力低下量ΔVとに基づいて排気温度を算出する構成としたため、上排気温度をより正確に算出することができる。
【0055】
PM自然燃焼時における出力低下量ΔVに基づき算出した排気温度に基づいて高負荷増量補正を行う構成としたため、排気管14において温度センサが設けられていないシステムにおいても、排気温度に見合った適切な燃料の増量制御を行うことができる。
【0056】
(第2の実施形態)
上記実施形態では、図5の排気温度算出処理により算出した排気温度(PMセンサ排気温度)Texを用いて高負荷増量補正を行うことについて説明したが、本実施形態では、エンジンの排気管において、PMセンサとは別に、排気温度を検出するための温度センサを設け、PMセンサ排気温度Texと、温度センサにより検出した排気温度(温度センサ排気温度)とに基づいて温度センサの出力異常を診断する。以下、上記実施形態との相違点を中心に説明する。
【0057】
図8は、本実施形態におけるエンジン制御システムの概略を示す構成図である。図8において、エンジン11の排気管14には、触媒15の下流側において、温度検出素子を有する温度センサ21が設けられている。なお、温度センサ21は、触媒15の上流側に配置されていてもよい。ECU20は、温度センサ21から検出信号を入力し、その検出信号に基づいてエンジン11の各種制御を実施する。
【0058】
次に、温度センサ21の異常診断処理について図9のフローチャートを用いて説明する。本処理は、ECU20のマイコン44により所定周期毎に実行される。なお、PMセンサ17の出力が正常であることは図示しない別ルーチンによって診断済みである。
【0059】
図9において、ステップS40では、図5の排気温度算出処理によって今現在のPMセンサ排気温度Texを算出済みであるか否かを判定し、PMセンサ排気温度Texを算出済みであればステップS41へ進む。ステップS41では、算出した今現在のPMセンサ排気温度Texを読み込む。また、ステップS42では、温度センサ21の検出値である温度センサ排気温度Tegを読み込む。
【0060】
ステップS43では、PMセンサ排気温度Texと温度センサ排気温度Tegとの差分(絶対値)を求め、その差分が異常判定値Tdiagよりも大きいか否かを判定する。このとき、差分が異常判定値Tdiag以下であればステップS44へ進み、温度センサ21の出力は正常であると判定する。具体的には、温度センサ正常フラグXegokをONにし、温度センサ異常フラグXegfaをOFFにする。一方、差分が異常判定値Tdiagよりも大きければステップS45へ進み、温度センサ21の出力が異常であると判定する。具体的には、温度センサ正常フラグXegokをOFFにし、温度センサ異常フラグXegfaをONにする。この場合、温度センサ21の出力異常を表す異常診断データ(ダイアグデータ)をEEPROM47に記憶する。
【0061】
以上詳述した本実施形態によれば、次の優れた効果が得られる。
【0062】
PM自然燃焼時における出力低下量ΔVに基づいて排気温度(PMセンサ排気温度Tex)を算出する構成であることから、その算出したPMセンサ排気温度Texと、温度センサ21により検出した温度センサ排気温度Tegとを比較することにより、温度センサ21の出力異常を診断することができる。
【0063】
(他の実施形態)
本発明は上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施されてもよい。
【0064】
・絶縁基板32上に付着しているPM量が所定量以下の場合に、PM検出電圧Vpmの変化量に基づく排気温度の算出を禁止する。PM付着量が僅かである場合には、排気温度がPM燃焼温度より高い場合であってもPMの燃焼が生じないことがある。このような場合に、センサ出力低下が見られた場合には、センサの出力異常が生じている可能性があるからである。また、絶縁基板32上に付着しているPM量が所定量以下のときにセンサ出力低下が見られた場合、PMセンサ17の出力異常が生じているものとして、PMセンサ17の出力異常を表す異常診断データ(ダイアグデータ)をEEPROM47に記憶する構成としてもよい。
【0065】
・エンジン負荷が所定負荷以下の中低負荷運転領域において、PM検出電圧Vpmの変化量に基づく自然燃焼の有無の判定結果を用いてPMセンサ17の出力異常を診断する。通常、中低負荷運転領域では、排気温度がPM燃焼温度まで高くならないため、堆積PMの自然燃焼は生じないはずである。この前提を利用し、本構成では、エンジン負荷が所定負荷以下であるにもかかわらず、PM検出電圧Vpmの変化量に基づいて自然燃焼有りと判定される場合には、PMセンサ17の出力異常が生じていると判定する。
【0066】
図10に、PMセンサの異常診断処理のフローチャートを示す。なお、上記図5と同様の処理については、図5と同じステップ番号を付してその説明を省略する。図10において、ステップS51〜S53では、上記図5のステップS11〜S13と同じ処理を実行し、ステップS52,S53がYESの場合、ステップS54へ進む。ステップS54では、エンジン負荷が所定負荷L3よりも小さいか否かを判定する。所定負荷L3は、負荷L1と同じ値であってもよいし異なる値であってもよい。ステップS54がNOの場合には、ステップS55において、PMセンサ17の出力は正常であると判定する。一方、ステップS54がYESの場合、ステップS56へ進み、PMセンサ17の出力が異常であると判定する。この場合、PMセンサ17の出力異常を表す異常診断データ(ダイアグデータ)をEEPROM47に記憶する。
【0067】
・上記実施形態では、PM検出電圧Vpmの変化量に基づき算出したPMセンサ排気温度Texを高負荷燃料増量又は温度センサ21の異常診断に用いたが、PMセンサ排気温度Texを用いる制御はこれらに限定しない。例えば、エンジン11の排気管14にPMを捕集するためのPMフィルタを設け、その下流側又は上流側の少なくともいずれかにPMセンサ17を設けた構成において、PMセンサ排気温度Texに基づいてPMフィルタの再生タイミングを制御する。この場合、PMフィルタの再生処理において、PMフィルタの過昇温によるフィルタ破損を抑制できるとともに、フィルタ温度が低過ぎることに起因して再生が不十分になるのを抑制することができる。
【0068】
・排気管14にPMフィルタが配置された構成において、PMフィルタの再生処理中であって、かつPM検出電圧Vpmの変化量に基づき算出したPMセンサ排気温度Texが所定温度以上の場合に、PMセンサ17の強制燃焼処理を実施する構成とする。
【0069】
図11は、PM強制燃焼処理を示すフローチャートである。この処理は、ECU20のマイコン44により所定周期毎に実行される。図11において、ステップS61では、PMセンサ排気温度Texを算出済みであるか否かを判定し、算出済みであればステップS62へ進み、PMセンサ排気温度Tex、燃焼処理実行中フラグXpmb、フィルタ再生処理実行中フラグXfilを読み込む。ここで、フィルタ再生処理実行中フラグXfilは、PMフィルタの再生処理の実行中にONされるフラグである。続くステップS63では、燃焼処理実行中フラグXpmb及びフィルタ再生処理実行中フラグXfilがONであるか否かを判定し、ステップS63がYESであれば、ステップS64へ進み、PMセンサ排気温度Texが所定温度Tth以上か否かを判定する。そして、ステップS64がYESであれば、ステップS65へ進み、出力使用禁止フラグXpmiをONにするとともに、PM燃焼処理開始フラグXpmrをONにする。これにより、PM検出電圧Vpmの使用が禁止されるともに、図示しない別ルーチンにより、絶縁基板32上に堆積したPMの強制燃焼が実施され、絶縁基板32上のPM堆積量が0にリセットされる。
【0070】
・上記第2の実施形態では、PMセンサ17の出力が正常であることを前提として、PM検出電圧Vpmの変化量に基づき算出したPMセンサ排気温度Texを用いて温度センサ21の異常診断を実施したが、逆に、温度センサ21の出力が正常であることを前提として、該PMセンサ排気温度Texを用いてPMセンサ17の異常診断を実施する構成としてもよい。
【0071】
・上記実施形態では、信号出力回路として図3に示す分圧回路40を用いたが、これを変更してもよい。例えば、分圧回路を構成するPM検出部34とシャント抵抗42との接続を逆にし、PM検出部34をローサイド、シャント抵抗42をハイサイドに設ける構成としてもよい。本構成では、PM検出電圧Vpmは次の(2)式で求められることとなる。
Vpm=5V×Rpm/(Rs+Rpm) …(2)
なお、RpmはPM検出部34の抵抗値、Rsはシャント抵抗42の抵抗値(例えば5kΩ)である。
【0072】
・上記実施形態では、直噴式ガソリンエンジンについての適用を例示したが、他の形式のエンジンにも適用できる。例えば、ディーゼルエンジン(特に、直噴式ディーゼルエンジン)に適用することとし、ディーゼルエンジンの排気管に設けられたPMセンサについて本発明を用いることも可能である。また、エンジンの排気以外のガスを対象としてPM量を検出するものであってもよい。
【符号の説明】
【0073】
11…エンジン、15…触媒(排気浄化装置)、17…PMセンサ(粒子状物質検出センサ)、20…ECU、32…絶縁基板(被付着部)、34…PM検出部、35…ヒータ部、36a,36b…検出電極(対向電極)、40…分圧回路、41…センサ電源、42…シャント抵抗、44…マイコン(燃焼判定手段、排気温算出手段、負荷判定手段、高負荷増量手段、異常診断手段)。
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジン制御装置に関し、詳しくは、粒子状物質検出センサの検出信号に基づいて、排気に含まれる粒子状物質(PM:Particulate Matter)の量を検出するエンジン制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、エンジンから排出されるPMの量を検出するPMセンサ(粒子状物質検出センサ)が各種提案されている(例えば、特許文献1や特許文献2参照)。特許文献1のPMセンサでは、絶縁基板上に一対の対向電極を設けておき、その一対の対向電極間にPMが堆積すると電極間抵抗が変化することを利用し、電極間抵抗を計測することでPM量を検出する構成としている。この場合、センサ素子に接続される検出回路としては、一対の対向電極間の抵抗分である電極間抵抗と所定のシャント抵抗とにより分圧回路を構成し、分圧回路の中間点電圧をセンサ検出信号として出力するようにしている。また、特許文献2のPMセンサでは、ヒータが内蔵されており、所定の走行距離毎、所定の走行距離毎、又は使用燃料量毎にヒータによる加熱を行うことにより、一対の対向電極間に堆積したPMを燃焼除去している。
【0003】
また従来、エンジンの高負荷運転時において、エンジンの排気温度上昇による排気系の損傷を抑制するべく燃料増量(高負荷増量)を行うことが知られている(例えば、特許文献3参照)。この特許文献3では、エンジンの負荷が大きいほど排気温度が高くなることを考慮し、エンジン負荷が大きいほど燃料増量の補正量を多くしている。これにより、排気温度の低下を図り、排気系の損傷を抑制するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭59−196453号公報
【特許文献2】特開2009−144577号公報
【特許文献3】特開2006−183500号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
高負荷増量等といった排気温度に応じた制御を行う場合、エンジンの排気管に温度センサを設け、排気温度を直接検出することも考えられるが、その場合、温度センサを設ける必要が生じてしまう。また、上記特許文献3のようにエンジン運転状態に基づいて排気温度を推定してもよいが、この場合には、実際の排気温度と推定温度との間で誤差が生じやすく、精度の面で劣ることが考えられる。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、排気通路に粒子状物質検出センサを備えるエンジンにおいて、排気温度を簡易にかつ精度良く検出することができるエンジン制御装置を提供することを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下、上記課題を解決するための手段、及びその作用効果について説明する。
【0008】
本発明は、排気に含まれる導電性の粒子状物質を付着させる被付着部と、前記被付着部に互いに離間して設けられる一対の対向電極とを有し前記一対の対向電極間の抵抗値に応じた検出信号を出力する粒子状物質検出センサを排気通路に備えるエンジンに適用される。そして、請求項1に記載の発明は、前記被付着部に付着した粒子状物質について排気熱による燃焼が生じたか否かを判定する燃焼判定手段と、前記燃焼判定手段により前記排気熱による燃焼が生じたと判定された場合に、その燃焼時における前記粒子状物質検出センサによるセンサ検出値の変化量に基づいて、排気温度を算出する排気温算出手段と、を備えることを特徴とする。
【0009】
粒子状物質検出センサでは、一対の対向電極間に付着した粒子状物質の付着量に応じてセンサ検出値が変化する。本発明は、一対の対向電極間に付着した粒子状物質が、高温の排気熱によって燃焼する(自然燃焼する)ことに着目し、その燃焼時のセンサ検出値の挙動を利用することにより排気温度を算出するものである。つまり、一対の対向電極間に付着している粒子状物質が排気熱によって燃焼した場合にはその付着量が少なくなるが、このとき、付着していた粒子状物質のうち、燃焼に供される粒子状物質量は排気温度に応じて相違する。また、燃焼に供される粒子状物質量の相違は、センサ検出値の変化量の相違として現れ、排気温度が高いほどセンサ検出値の変化量が大きくなると考えられる。よって、粒子状物質検出センサを備える構成において、粒子状物質が排気熱により燃焼した時のセンサ検出値の変化量をパラメータとすることにより、排気温度を算出することができる。この場合、現実の排気管内における粒子状物質の燃焼状況に基づいて排気温度を算出するため、排気温度を精度良く算出することができる。
【0010】
請求項2に記載の発明では、エンジン負荷が所定の運転負荷よりも大きいか否かを判定する負荷判定手段を備え、前記燃焼判定手段は、前記負荷判定手段によりエンジン負荷が所定の運転負荷よりも大きいと判定され、かつ前記抵抗値が大きくなる側へ前記センサ検出値が変化した場合に前記排気熱による燃焼が生じたと判定し、前記排気温算出手段は、前記抵抗値が大きくなる側への前記センサ検出値の変化量に基づいて排気温度を算出する。
【0011】
エンジン運転時では、エンジンから粒子状物質が排出されることにより、粒子状物質検出センサのセンサ検出値が、一対の対向電極間の抵抗値が小さくなる側に変化する。また、エンジン運転状態が高負荷の場合には、粒子状物質が自然燃焼する温度まで排気温度が上昇することがある。このような状況において一対の対向電極間の抵抗値が大きくなる側にセンサ検出値が変化した場合、その変化は、一対の対向電極間に付着した粒子状物質が自然燃焼したことによって粒子状物質の付着量が減少したことに起因するものと推定できる。したがって、上記構成とすることにより、粒子状物質の自然燃焼が生じたことを正確に検出することができる。
【0012】
請求項3に記載の発明では、前記センサ検出値の変化が生じた時の前記被付着部における粒子状物質の付着量と、前記センサ検出値の変化量とに基づいて排気温度を算出する。
【0013】
被付着部に付着している粒子状物質は、その付着量に応じて燃えやすさが異なり、付着量が多いほど燃えやすい傾向にある。したがって、粒子状物質の自然燃焼によって一対の対向電極間の抵抗値が大きくなる側に変化した場合、抵抗値の変化量が同じであっても、付着量が多いほど実際の排気温度は低いと判断できる。これに鑑み、上記構成とすることにより、排気温度をより正確に算出することができる。
【0014】
請求項4に記載の発明では、前記排気通路において、排気を浄化する排気浄化装置が設けられており、エンジンの高負荷運転領域において、前記排気浄化装置の過熱を抑制するための燃料増量を実施する高負荷増量手段を備え、該高負荷増量手段は、前記排気温算出手段により算出した排気温度に基づいて燃料増量を実施する。
【0015】
エンジン高負荷時では、排気温度の上昇による排気浄化装置の損傷を防止すべく燃料増量(高負荷増量補正)を行うことがある。この高負荷増量補正に際しては、補正を過剰に行うと燃費悪化を招き、補正が不足すると排気浄化装置の損傷を招くおそれがある。そのため、排気温度に見合った適切な燃料の増量制御を行う必要がある。ここで、センサ検出値の変化量に基づく排気温度の算出方法によれば、粒子状物質が自然燃焼する燃焼温度よりも高温領域の温度を算出可能である。一方、排気浄化装置の損傷のおそれが生じる温度は、粒子状物質の燃焼温度よりも高く、センサ検出値の変化量に基づき算出可能な温度範囲内である。したがって、センサ検出値の変化量に基づき算出した排気温度に基づいて高負荷増量補正を行った場合には、排気温度に見合った適切な燃料の増量制御を行うことができる。
【0016】
また、請求項5に記載の発明のように、前記排気通路において、排気温度を検出する温度センサが設けられており、前記排気温算出手段により算出した排気温度と、前記温度センサにより検出した排気温度との比較結果に基づいて、前記温度センサ又は前記粒子状物質検出センサの異常を診断する構成としてもよい。
【0017】
温度センサ及び粒子状物質検出センサが正常であれば、温度センサにより検出した排気温度と、センサ検出値の変化量に基づき算出した排気温度とは概ね一致する。これに対し、温度センサにより検出した排気温度と、センサ検出値の変化量に基づき算出した排気温度との差が大きい場合、温度センサが正常であることが前提であれば、粒子状物質検出センサの出力が異常であると診断することができる。また、粒子状物質検出センサが正常であることが前提であれば、温度センサの出力が異常であると診断することができる。
【0018】
請求項6に記載の発明では、前記被付着部における粒子状物質の付着量が所定量以下か否かを判定する手段を備え、前記排気温算出手段は、前記付着量が前記所定量以下の場合に排気温度の算出を禁止する。
【0019】
粒子状物質の付着量が僅かである場合には、排気温度が粒子状物質の燃焼温度よりも高い場合であっても粒子状物質の燃焼が生じないことがある。このような場合に、自然燃焼に起因するセンサ検出値の変化と同等の挙動が見られた場合には、センサの出力異常が生じている可能性がある。したがって、粒子状物質の付着量が少ない場合には、上記構成のように、センサ検出値の変化量に基づく排気温度の算出を実施しないものとするとよい。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】第1の実施形態におけるエンジン制御システムの概略を示す構成図。
【図2】センサ素子の要部構成を分解して示す分解斜視図。
【図3】PMセンサに関する電気的構成を示す図。
【図4】PM自然燃焼時のPM検出電圧の推移を示す図。
【図5】排気温度算出処理を示すフローチャート。
【図6】排気温度算出用マップの一例を示す図。
【図7】高負荷増量補正処理を示すフローチャート。
【図8】第2の実施形態におけるエンジン制御システムの概略を示す構成図。
【図9】温度センサの異常診断処理を示すフローチャート。
【図10】PMセンサの異常診断処理を示すフローチャート。
【図11】PM強制燃焼処理を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(第1の実施形態)
以下、本発明を具体化した第1の実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態は、車載エンジンを備える車両エンジンシステムにおいて、同エンジンから排出される排気中のPM量(導電性粒子状物質の量)を監視するものである。特に、エンジン排気管にPMセンサを設け、そのPMセンサでのPM付着量に基づいてPM量を監視するものとしている。図1は、本システムの概略構成を示す構成図である。
【0022】
図1において、エンジン11は直噴式ガソリンエンジンであり、同エンジン11の運転に関わるアクチュエータとして燃料噴射弁12や点火装置13等が設けられている。エンジン11の排気管14には排気浄化装置としての三元触媒15が設けられており、その三元触媒15の上流側にはA/Fセンサ16が設けられ、下流側には粒子状物質検出センサとしてのPMセンサ17が設けられている。その他、本システムでは、エンジン回転速度を検出するための回転センサ18や、吸気管圧力を検出するための圧力センサ19等が設けられている。
【0023】
ECU20は、周知のCPU、ROM、RAM等よりなるマイクロコンピュータ(マイコン)を主体として構成されており、ROMに記憶された各種の制御プログラムを実行することで、都度のエンジン運転状態に応じてエンジン11の各種制御を実施する。すなわち、ECU20は、上記各種センサ等から各々信号を入力し、それらの各種信号に基づいて燃料噴射量や点火時期を演算して燃料噴射弁12や点火装置13の駆動を制御する。
【0024】
燃料噴射量制御について、ECU20は、例えば吸入空気量に応じて基本噴射量を算出し、その基本噴射量に対して、始動後増量補正や暖機増量補正、高負荷増量補正などの各種補正を実施している。高負荷増量補正について詳しくは、ECU20は、エンジン11の負荷が所定以上の場合に、高温の排気から触媒15を保護すべく、排気温度に応じた燃料の増量補正を行う。
【0025】
その他、ECU20は、PMセンサ17の検出結果から算出されるエンジン11の実際のPM排出量(実PM排出量)に基づいて、エンジン11の制御態様を可変に制御する構成であってもよい。例えば、実PM排出量に基づいて燃料噴射量を制御したり、燃料噴射時期を制御したり、点火時期を制御したりすることが可能である。
【0026】
次に、PMセンサ17の構成、及びそのPMセンサ17に関する電気的構成を図2及び図3を用いて説明する。図2は、PMセンサ17を構成するセンサ素子31の要部構成を分解して示す分解斜視図であり、図3は、PMセンサ17に関する電気的構成図である。
【0027】
図2に示すように、センサ素子31は、長尺板状をなす2枚の絶縁基板32,33を有しており、一方の絶縁基板32にはPM量を検出するためのPM検出部34が設けられ、他方の絶縁基板33にはセンサ素子31を加熱するためのヒータ部35が設けられている。センサ素子31は、絶縁基板32,33が二層に積層されることで構成されている。絶縁基板32が被付着部に相当する。
【0028】
絶縁基板32には、他方の絶縁基板33とは反対側の基板表面に、互いに離間して設けられる一対の検出電極36a,36bが設けられており、この一対の検出電極36a,36bによりPM検出部34が構成されている。検出電極36a,36bは、各々複数の櫛歯を有する櫛歯形状をなしており、各検出電極36a,36bの櫛歯同士が互い違いとなるようして所定間隔をあけて対向配置されている。また、ヒータ部35は例えば電熱線からなる発熱体により構成されている。
【0029】
ただし、一対の検出電極36a,36bの形状は上記に限定されず、曲線状をなす形状で設けられているものや、各1本の線からなる一対の電極部が所定距離を隔てて平行に対向配置されているものであってもよい。
【0030】
なお、図示は省略するが、PMセンサ17は、センサ素子31を保持するための保持部を有しており、センサ素子31はその一端側が保持部により保持された状態で排気管に固定されるようになっている。この場合、少なくともPM検出部34及びヒータ部35を含む部位が排気管内に位置するように配されるとともに、センサ素子31において絶縁基板32(PM被付着部)が排気上流側を向くようにして、PMセンサ17が排気管に取り付けられる構成となっている。これにより、PMを含む排気が排気管内を流れる際、そのPMが絶縁基板32において検出電極36a,36b及びその周辺に付着し堆積する。また、PMセンサ17は、センサ素子31の突出部分を覆う保護カバーを有している。
【0031】
上記構成のPMセンサ17は、排気中のPMがセンサ素子31の絶縁基板32に付着し堆積すると、それによりPM検出部34の抵抗値(すなわち一対の検出電極36a,36b間の抵抗値)が変化すること、及びその抵抗値の変化がPM堆積量に対応していることから、その抵抗値の変化を利用してPM量を検出するものである。
【0032】
図3に示すように、PMセンサ17に関する電気的構成として、PMセンサ17のPM検出部34の一端側にはセンサ電源41が接続され、他端側にはシャント抵抗42が接続されている。センサ電源41は、例えば定電圧回路により構成されており、定電圧Vccが5Vとなっている。この場合、PM検出部34とシャント抵抗42とにより分圧回路40が形成されており、それらの中間点電圧がPM検出電圧Vpm(センサ検出値)としてECU20に入力されるようになっている。つまり、PM検出部34ではPM堆積量に応じて抵抗値Rpmが変化し、その抵抗値Rpmとシャント抵抗42の抵抗値RsとによりPM検出電圧Vpmが変化する。そして、そのPM検出電圧VpmがA/D変換器43を介してマイコン44に入力される。
【0033】
ここで、Vcc=5V、Rs=100kΩとすると、PM検出電圧Vpmは次の(1)式で求められる。
Vpm=5V×100kΩ/(100kΩ+Rpm) …(1)
このとき、PM堆積量が0(又は略0)であれば、PM検出部34の抵抗値Rpmは無限大になることから、Vpm=0Vとなる。また、PM検出部34でのPM堆積によりPM検出部34の抵抗値Rpmが例えば1kΩまで低下すると、Vpm=4.95Vとなる。こうしてPM検出部34でのPM堆積量に応じてPM検出電圧Vpmが変化する。マイコン44は、PM検出電圧Vpmに応じてPM堆積量を算出する。
【0034】
PMセンサ17では、分圧回路40により信号出力回路が構成されており、この分圧回路40によって0〜5Vを出力範囲としてPM検出電圧Vpmが変化可能となっている。この場合、PM検出電圧Vpmの出力上限値は5Vであり、より厳密には5Vよりも若干低い電圧値となっている。
【0035】
また、PMセンサ17のヒータ部35には、ヒータ電源45が接続されている。ヒータ電源45は例えば車載バッテリであり、車載バッテリからの給電によりヒータ部35が加熱される。この場合、ヒータ部35のローサイドにはスイッチング素子としてのトランジスタ46が接続されており、マイコン44によりトランジスタ46がオン/オフされることでヒータ部35の加熱制御が行われる。
【0036】
絶縁基板32上にPMが堆積した状態でヒータ部35の通電を開始すると、堆積PMの温度が上昇し、それに伴い堆積PMが強制燃焼される。こうした強制燃焼により、絶縁基板32に堆積したPMが燃焼除去される。マイコン44は、例えば、絶縁基板32上のPM堆積量が所定量になったと判定された時や、前回のPM強制燃焼からのエンジン運転時間や車両走行距離が所定値になったと判定された時に、PMの強制燃焼要求が生じたとしてヒータ部35による加熱制御を実施する。また特に、本実施形態では、エンジン停止時に、PMの強制燃焼要求が生じたとしてヒータ部35による加熱制御を実施する。
【0037】
その他、ECU20には、各種の学習値や異常診断値(ダイアグデータ)等を記憶するためのバックアップ用メモリとしてのEEPROM47が設けられている。
【0038】
さて、PMセンサ17に堆積したPMは、排気熱によって高温化されることで自然燃焼することがある。本実施形態では、PMの自然燃焼によってPM検出電圧Vpmが変化する挙動に着目し、堆積PMが自然燃焼した場合のPM検出電圧Vpmの変化に基づいて排気温度を算出することとしている。
【0039】
すなわち、図4に示すように、エンジン運転状態では、エンジン11からのPM排出に伴いPM検出電圧Vpmが徐々に上昇していくが、このとき、例えばエンジン11の高負荷時では、排気温度の上昇により、ヒータ部35による絶縁基板32の加熱を実施していないにもかかわらず絶縁基板32上に堆積したPMが昇温して自己着火することがある。また、排気熱による自己着火に伴いPMの燃焼(自然燃焼)が行われると、PMセンサ17において、燃焼除去されたPM量に相当する分の出力低下が生じる。ここで、自然燃焼によりPMが燃焼した場合、絶縁基板32に付着したPMのうち燃焼に供されるPM量は排気温度に応じて相違し、排気温度が高いほど燃焼に供されるPM量が多くなる。その結果、自然燃焼に伴う出力低下量ΔVが、排気温度が高いほど大きくなる。本実施形態では、PM自然燃焼時には上記のような挙動が現れることに着目し、PM自然燃焼時のPM検出電圧Vpmの変化量に基づいて排気温度を算出することとしている。
【0040】
次に、本実施形態の排気温度算出処理について図5のフローチャートを用いて説明する。この処理は、ECU20のマイコン44により所定周期毎に実行される。
【0041】
図5において、ステップS10では、エンジン11が所定の高負荷状態か否かを判定する。ここでは、今現在のエンジン負荷が、PMの自然燃焼が生じる温度(PM燃焼温度)まで昇温する可能性がある負荷L1よりも大きいか否かを判定する。ステップS10がNOの場合には、PM検出電圧Vpmの変化量に基づく排気温度の算出を行わず、そのまま本ルーチンを終了する。
【0042】
一方、ステップS11がYESの場合、ステップS12へ進み、PM検出電圧の前回値Vpm(k-1)と今回値Vpm(k)とを読み込むとともに、燃焼処理実行中フラグXpmbを読み込む。ここで、燃焼処理実行中フラグXpmbは、ヒータ部35による堆積PMの強制燃焼実行中である場合にONされるフラグである。
【0043】
続くステップS12では、燃焼処理実行中フラグXpmbがOFFか否かを判定する。Xpmb=OFFであればステップS13へ進み、前回値Vpm(k-1)と今回値Vpm(k)とを比較する。そして、前回値Vpm(k-1)の方が今回値Vpm(k)よりも大きい、つまりPM検出電圧Vpmが低下した場合には、ステップS14へ進み、排気温度算出フラグXestをONにする。排気温度算出フラグXestは、PM検出電圧Vpmを用いた排気温度の算出を許可する場合にONされるフラグである。また、ステップS15では、前回値Vpm(k-1)から今回値Vpm(k)を差し引いた値の積算値、つまりPM検出電圧Vpmが減少し始めてからの電圧変化量を出力低下量ΔVとして記憶する。そして本ルーチンを一旦終了する。
【0044】
PM検出電圧Vpmが低下から上昇に転じると、ステップS13がNOとなり、ステップS17へ進む。ステップS17では、排気温度算出フラグXestがONか否かを判定し、Xset=ONの場合にはステップS18に進み、出力低下量ΔVに基づいて排気温度(PMセンサ排気温度)Texを算出する。ここでは、排気温度算出用マップを用いて、出力低下量ΔVに対応する排気温度Texを求める。
【0045】
図6は、排気温度算出用マップの一例を示す図である。本実施形態の出力低下量ΔVに基づく温度算出方法によれば、PM燃焼温度Tpm以上か又はPM燃焼温度Tpmより僅かに高い所定温度(Tpm+α)以上の温度範囲において温度の算出が可能である。また、図6に示すように、排気温度Texは、出力低下量ΔVが大きいほど高い値に定められている。特に本実施形態では、出力低下量ΔVと排気温度Texとの関係がPM堆積量に応じて定めてあり、具体的には、同じ出力低下量ΔVに対する排気温度Texが、PM堆積量が多いほど低くなるように定められている。これは、PM堆積量が多いほど燃えやすく、排気温度が同じであっても、PM堆積量が多いほど出力低下が大きくなるからである。
【0046】
図5の説明に戻り、ステップS19では、PM検出電圧Vpmの使用禁止を設定するためのフラグ(出力使用禁止フラグ)XpmiをONにするとともに、PM燃焼処理開始フラグXpmrをONにする。つまり、本実施形態では、PMの自然燃焼が生じた場合にはPM検出電圧Vpmの使用を禁止し、図示しない別ルーチンにより、絶縁基板32上に堆積したPMの強制燃焼を実施することとしている。これにより、絶縁基板32上のPM堆積量が0にリセットされる。なお、PM強制燃焼処理は、エンジン負荷が所定の中低負荷以下になった後に実施してもよい。また、ステップS19では、出力低下量ΔVを0にリセットする。その後、ステップS20において、排気温度算出フラグXestをOFFにし、本ルーチンを終了する。
【0047】
本実施形態では、上記の排気温度算出処理により算出した排気温度を用いて燃料噴射量制御、詳しくは高負荷増量補正を実施する。以下、高負荷増量補正について説明する。
【0048】
図7は、高負荷増量補正処理を示すフローチャートである。この処理は、ECU20のマイコン44により所定周期毎に実行される。
【0049】
図7において、ステップS30では、エンジン負荷が所定負荷L2よりも大きいか否かを判定する。所定負荷L2は、触媒15の溶損を回避すべく触媒保護が必要とされる負荷に基づいて定めてあり、所定負荷L1と同等か又はL1よりも大きく設定してある。エンジン負荷が所定負荷L2よりも大きい場合には、ステップS31へ進み、上記の排気温度算出処理によって今現在の排気温度Texを算出済みであるか否かを判定し、排気温度Texを算出済みであればステップS32へ進む。
【0050】
ステップS32では、算出した今現在の排気温度Texを読み込み、ステップS33において、排気温度Texが触媒限界温度Tcathよりも大きいか否かを判定する。触媒限界温度Tcathは、触媒15の溶損が生じるおそれがある温度に基づき定めてあり、PM燃焼温度Tpmよりも高温側に定めてある。そして、ステップS33がNOの場合にはそのまま本ルーチンを終了し、ステップS33がYESの場合、ステップS34へ進み、排気温度Texに応じて燃料増量の補正量を算出する。ここでは、排気温度Texが高いほど燃料増量が多く行われるように補正量が設定してある。ここで算出した補正量は、図示しない別ルーチンによる燃料噴射量の算出処理において基本噴射量に対する補正を行う際に用いられる。
【0051】
以上詳述した本実施形態によれば、次の優れた効果が得られる。
【0052】
PMセンサ17に付着したPMが自然燃焼した時のPM検出電圧Vpmの変化量に基づいて排気温度を算出する構成としたため、温度センサ等といった排気温度を直接検出する手段を設けなくても排気温度を算出することができる。また、現実の排気管14内におけるPMの燃焼状況に基づいて排気温度を算出するため、例えばエンジン運転状態から推定する場合に比べて、排気温度を精度良く算出することができる。
【0053】
エンジン負荷が負荷L1よりも大きく、かつPM検出電圧Vpmが低下した場合にPMの自然燃焼が生じたものと判定する構成としたため、PMの自然燃焼が生じたことを正確に検出することができる。また逆に、エンジン負荷が負荷L1以下の場合には、PMの自然燃焼が生じるほど排気温度が高くならず、自然燃焼が生じないはずであることを考慮して、PM検出電圧Vpmの変化量に基づく排気温度の算出を実施しない構成としたため、排気温度の算出精度が低くなるのを抑制することができる。
【0054】
絶縁基板32に付着しているPMはその付着量に応じて燃えやすさが異なり、付着量が多いほど燃えやすい傾向にある考慮し、PM検出電圧Vpmの低下が生じた時の絶縁基板32上におけるPM付着量と、出力低下量ΔVとに基づいて排気温度を算出する構成としたため、上排気温度をより正確に算出することができる。
【0055】
PM自然燃焼時における出力低下量ΔVに基づき算出した排気温度に基づいて高負荷増量補正を行う構成としたため、排気管14において温度センサが設けられていないシステムにおいても、排気温度に見合った適切な燃料の増量制御を行うことができる。
【0056】
(第2の実施形態)
上記実施形態では、図5の排気温度算出処理により算出した排気温度(PMセンサ排気温度)Texを用いて高負荷増量補正を行うことについて説明したが、本実施形態では、エンジンの排気管において、PMセンサとは別に、排気温度を検出するための温度センサを設け、PMセンサ排気温度Texと、温度センサにより検出した排気温度(温度センサ排気温度)とに基づいて温度センサの出力異常を診断する。以下、上記実施形態との相違点を中心に説明する。
【0057】
図8は、本実施形態におけるエンジン制御システムの概略を示す構成図である。図8において、エンジン11の排気管14には、触媒15の下流側において、温度検出素子を有する温度センサ21が設けられている。なお、温度センサ21は、触媒15の上流側に配置されていてもよい。ECU20は、温度センサ21から検出信号を入力し、その検出信号に基づいてエンジン11の各種制御を実施する。
【0058】
次に、温度センサ21の異常診断処理について図9のフローチャートを用いて説明する。本処理は、ECU20のマイコン44により所定周期毎に実行される。なお、PMセンサ17の出力が正常であることは図示しない別ルーチンによって診断済みである。
【0059】
図9において、ステップS40では、図5の排気温度算出処理によって今現在のPMセンサ排気温度Texを算出済みであるか否かを判定し、PMセンサ排気温度Texを算出済みであればステップS41へ進む。ステップS41では、算出した今現在のPMセンサ排気温度Texを読み込む。また、ステップS42では、温度センサ21の検出値である温度センサ排気温度Tegを読み込む。
【0060】
ステップS43では、PMセンサ排気温度Texと温度センサ排気温度Tegとの差分(絶対値)を求め、その差分が異常判定値Tdiagよりも大きいか否かを判定する。このとき、差分が異常判定値Tdiag以下であればステップS44へ進み、温度センサ21の出力は正常であると判定する。具体的には、温度センサ正常フラグXegokをONにし、温度センサ異常フラグXegfaをOFFにする。一方、差分が異常判定値Tdiagよりも大きければステップS45へ進み、温度センサ21の出力が異常であると判定する。具体的には、温度センサ正常フラグXegokをOFFにし、温度センサ異常フラグXegfaをONにする。この場合、温度センサ21の出力異常を表す異常診断データ(ダイアグデータ)をEEPROM47に記憶する。
【0061】
以上詳述した本実施形態によれば、次の優れた効果が得られる。
【0062】
PM自然燃焼時における出力低下量ΔVに基づいて排気温度(PMセンサ排気温度Tex)を算出する構成であることから、その算出したPMセンサ排気温度Texと、温度センサ21により検出した温度センサ排気温度Tegとを比較することにより、温度センサ21の出力異常を診断することができる。
【0063】
(他の実施形態)
本発明は上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施されてもよい。
【0064】
・絶縁基板32上に付着しているPM量が所定量以下の場合に、PM検出電圧Vpmの変化量に基づく排気温度の算出を禁止する。PM付着量が僅かである場合には、排気温度がPM燃焼温度より高い場合であってもPMの燃焼が生じないことがある。このような場合に、センサ出力低下が見られた場合には、センサの出力異常が生じている可能性があるからである。また、絶縁基板32上に付着しているPM量が所定量以下のときにセンサ出力低下が見られた場合、PMセンサ17の出力異常が生じているものとして、PMセンサ17の出力異常を表す異常診断データ(ダイアグデータ)をEEPROM47に記憶する構成としてもよい。
【0065】
・エンジン負荷が所定負荷以下の中低負荷運転領域において、PM検出電圧Vpmの変化量に基づく自然燃焼の有無の判定結果を用いてPMセンサ17の出力異常を診断する。通常、中低負荷運転領域では、排気温度がPM燃焼温度まで高くならないため、堆積PMの自然燃焼は生じないはずである。この前提を利用し、本構成では、エンジン負荷が所定負荷以下であるにもかかわらず、PM検出電圧Vpmの変化量に基づいて自然燃焼有りと判定される場合には、PMセンサ17の出力異常が生じていると判定する。
【0066】
図10に、PMセンサの異常診断処理のフローチャートを示す。なお、上記図5と同様の処理については、図5と同じステップ番号を付してその説明を省略する。図10において、ステップS51〜S53では、上記図5のステップS11〜S13と同じ処理を実行し、ステップS52,S53がYESの場合、ステップS54へ進む。ステップS54では、エンジン負荷が所定負荷L3よりも小さいか否かを判定する。所定負荷L3は、負荷L1と同じ値であってもよいし異なる値であってもよい。ステップS54がNOの場合には、ステップS55において、PMセンサ17の出力は正常であると判定する。一方、ステップS54がYESの場合、ステップS56へ進み、PMセンサ17の出力が異常であると判定する。この場合、PMセンサ17の出力異常を表す異常診断データ(ダイアグデータ)をEEPROM47に記憶する。
【0067】
・上記実施形態では、PM検出電圧Vpmの変化量に基づき算出したPMセンサ排気温度Texを高負荷燃料増量又は温度センサ21の異常診断に用いたが、PMセンサ排気温度Texを用いる制御はこれらに限定しない。例えば、エンジン11の排気管14にPMを捕集するためのPMフィルタを設け、その下流側又は上流側の少なくともいずれかにPMセンサ17を設けた構成において、PMセンサ排気温度Texに基づいてPMフィルタの再生タイミングを制御する。この場合、PMフィルタの再生処理において、PMフィルタの過昇温によるフィルタ破損を抑制できるとともに、フィルタ温度が低過ぎることに起因して再生が不十分になるのを抑制することができる。
【0068】
・排気管14にPMフィルタが配置された構成において、PMフィルタの再生処理中であって、かつPM検出電圧Vpmの変化量に基づき算出したPMセンサ排気温度Texが所定温度以上の場合に、PMセンサ17の強制燃焼処理を実施する構成とする。
【0069】
図11は、PM強制燃焼処理を示すフローチャートである。この処理は、ECU20のマイコン44により所定周期毎に実行される。図11において、ステップS61では、PMセンサ排気温度Texを算出済みであるか否かを判定し、算出済みであればステップS62へ進み、PMセンサ排気温度Tex、燃焼処理実行中フラグXpmb、フィルタ再生処理実行中フラグXfilを読み込む。ここで、フィルタ再生処理実行中フラグXfilは、PMフィルタの再生処理の実行中にONされるフラグである。続くステップS63では、燃焼処理実行中フラグXpmb及びフィルタ再生処理実行中フラグXfilがONであるか否かを判定し、ステップS63がYESであれば、ステップS64へ進み、PMセンサ排気温度Texが所定温度Tth以上か否かを判定する。そして、ステップS64がYESであれば、ステップS65へ進み、出力使用禁止フラグXpmiをONにするとともに、PM燃焼処理開始フラグXpmrをONにする。これにより、PM検出電圧Vpmの使用が禁止されるともに、図示しない別ルーチンにより、絶縁基板32上に堆積したPMの強制燃焼が実施され、絶縁基板32上のPM堆積量が0にリセットされる。
【0070】
・上記第2の実施形態では、PMセンサ17の出力が正常であることを前提として、PM検出電圧Vpmの変化量に基づき算出したPMセンサ排気温度Texを用いて温度センサ21の異常診断を実施したが、逆に、温度センサ21の出力が正常であることを前提として、該PMセンサ排気温度Texを用いてPMセンサ17の異常診断を実施する構成としてもよい。
【0071】
・上記実施形態では、信号出力回路として図3に示す分圧回路40を用いたが、これを変更してもよい。例えば、分圧回路を構成するPM検出部34とシャント抵抗42との接続を逆にし、PM検出部34をローサイド、シャント抵抗42をハイサイドに設ける構成としてもよい。本構成では、PM検出電圧Vpmは次の(2)式で求められることとなる。
Vpm=5V×Rpm/(Rs+Rpm) …(2)
なお、RpmはPM検出部34の抵抗値、Rsはシャント抵抗42の抵抗値(例えば5kΩ)である。
【0072】
・上記実施形態では、直噴式ガソリンエンジンについての適用を例示したが、他の形式のエンジンにも適用できる。例えば、ディーゼルエンジン(特に、直噴式ディーゼルエンジン)に適用することとし、ディーゼルエンジンの排気管に設けられたPMセンサについて本発明を用いることも可能である。また、エンジンの排気以外のガスを対象としてPM量を検出するものであってもよい。
【符号の説明】
【0073】
11…エンジン、15…触媒(排気浄化装置)、17…PMセンサ(粒子状物質検出センサ)、20…ECU、32…絶縁基板(被付着部)、34…PM検出部、35…ヒータ部、36a,36b…検出電極(対向電極)、40…分圧回路、41…センサ電源、42…シャント抵抗、44…マイコン(燃焼判定手段、排気温算出手段、負荷判定手段、高負荷増量手段、異常診断手段)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
排気に含まれる導電性の粒子状物質を付着させる被付着部と、前記被付着部に互いに離間して設けられる一対の対向電極とを有し前記一対の対向電極間の抵抗値に応じた検出信号を出力する粒子状物質検出センサを排気通路に備えるエンジンに適用され、
前記被付着部に付着した粒子状物質について排気熱による燃焼が生じたか否かを判定する燃焼判定手段と、
前記燃焼判定手段により前記排気熱による燃焼が生じたと判定された場合に、その燃焼時における前記粒子状物質検出センサによるセンサ検出値の変化量に基づいて、排気温度を算出する排気温算出手段と、
を備えることを特徴とするエンジン制御装置。
【請求項2】
エンジン負荷が所定の運転負荷よりも大きいか否かを判定する負荷判定手段を備え、
前記燃焼判定手段は、前記負荷判定手段によりエンジン負荷が所定の運転負荷よりも大きいと判定され、かつ前記抵抗値が大きくなる側へ前記センサ検出値が変化した場合に前記排気熱による燃焼が生じたと判定し、
前記排気温算出手段は、前記抵抗値が大きくなる側への前記センサ検出値の変化量に基づいて排気温度を算出する請求項1に記載のエンジン制御装置。
【請求項3】
前記排気温算出手段は、前記センサ検出値の変化が生じた時の前記被付着部における粒子状物質の付着量と、前記センサ検出値の変化量とに基づいて排気温度を算出する請求項1又は2に記載のエンジン制御装置。
【請求項4】
前記排気通路において、排気を浄化する排気浄化装置が設けられており、
エンジンの高負荷運転領域において、前記排気浄化装置の過熱を抑制するための燃料増量を実施する高負荷増量手段を備え、
該高負荷増量手段は、前記排気温算出手段により算出した排気温度に基づいて燃料増量を実施する請求項1乃至3のいずれか一項に記載のエンジン制御装置。
【請求項5】
前記排気通路において、排気温度を検出する温度センサが設けられており、
前記排気温算出手段により算出した排気温度と、前記温度センサにより検出した排気温度との比較結果に基づいて、前記温度センサ又は前記粒子状物質検出センサの異常を診断する異常診断手段を備える請求項1乃至4のいずれか一項に記載のエンジン制御装置。
【請求項6】
前記被付着部における粒子状物質の付着量が所定量以下か否かを判定する手段を備え、
前記排気温算出手段は、前記付着量が前記所定量以下の場合に排気温度の算出を禁止する請求項1乃至5のいずれか一項に記載のエンジン制御装置。
【請求項1】
排気に含まれる導電性の粒子状物質を付着させる被付着部と、前記被付着部に互いに離間して設けられる一対の対向電極とを有し前記一対の対向電極間の抵抗値に応じた検出信号を出力する粒子状物質検出センサを排気通路に備えるエンジンに適用され、
前記被付着部に付着した粒子状物質について排気熱による燃焼が生じたか否かを判定する燃焼判定手段と、
前記燃焼判定手段により前記排気熱による燃焼が生じたと判定された場合に、その燃焼時における前記粒子状物質検出センサによるセンサ検出値の変化量に基づいて、排気温度を算出する排気温算出手段と、
を備えることを特徴とするエンジン制御装置。
【請求項2】
エンジン負荷が所定の運転負荷よりも大きいか否かを判定する負荷判定手段を備え、
前記燃焼判定手段は、前記負荷判定手段によりエンジン負荷が所定の運転負荷よりも大きいと判定され、かつ前記抵抗値が大きくなる側へ前記センサ検出値が変化した場合に前記排気熱による燃焼が生じたと判定し、
前記排気温算出手段は、前記抵抗値が大きくなる側への前記センサ検出値の変化量に基づいて排気温度を算出する請求項1に記載のエンジン制御装置。
【請求項3】
前記排気温算出手段は、前記センサ検出値の変化が生じた時の前記被付着部における粒子状物質の付着量と、前記センサ検出値の変化量とに基づいて排気温度を算出する請求項1又は2に記載のエンジン制御装置。
【請求項4】
前記排気通路において、排気を浄化する排気浄化装置が設けられており、
エンジンの高負荷運転領域において、前記排気浄化装置の過熱を抑制するための燃料増量を実施する高負荷増量手段を備え、
該高負荷増量手段は、前記排気温算出手段により算出した排気温度に基づいて燃料増量を実施する請求項1乃至3のいずれか一項に記載のエンジン制御装置。
【請求項5】
前記排気通路において、排気温度を検出する温度センサが設けられており、
前記排気温算出手段により算出した排気温度と、前記温度センサにより検出した排気温度との比較結果に基づいて、前記温度センサ又は前記粒子状物質検出センサの異常を診断する異常診断手段を備える請求項1乃至4のいずれか一項に記載のエンジン制御装置。
【請求項6】
前記被付着部における粒子状物質の付着量が所定量以下か否かを判定する手段を備え、
前記排気温算出手段は、前記付着量が前記所定量以下の場合に排気温度の算出を禁止する請求項1乃至5のいずれか一項に記載のエンジン制御装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−82701(P2012−82701A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−227264(P2010−227264)
【出願日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
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