説明

オーバーヘッドモジュール

【課題】オーバーヘッドモジュールが監視カメラを内蔵する場合でも、車両の室内とオーバーヘッドモジュールとの調和を維持することにある。
【解決手段】制御部によって駆動された駆動部が回転軸4を中心にしてオーバーヘッドモジュール本体2を回転させ、このことにより監視カメラ3の位置を「監視位置」と「非監視位置」との間で切り替える。なお、「監視位置」とは、監視カメラ3が、天井面101またはサンバイザ102などに妨げられずに、運転席側ドアなど車両室内へ侵入可能な場所を監視可能な位置であり、一方、「非監視位置」とは、監視カメラ3が、天井面101またはサンバイザ102などに妨げられて侵入可能な場所を監視不可能な位置である。したがって、オーバーヘッドモジュール1が監視カメラ3を内蔵する場合でも、車両の室内とオーバーヘッドモジュール1との調和を維持することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の天井に配置されるオーバーヘッドモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、車両室内の天井面の前部中央に配置されるオーバーヘッドモジュールが知られている。また、天井面におけるオーバーヘッドモジュールの両側には、サンバイザがそれぞれ取り付けられており、これらサンバイザは乗員によって日除けに利用される。
【0003】
この種のオーバーヘッドモジュールの内部には、車両室内を照らすルームランプや、その操作スイッチ、時計などが内蔵されている。また、この種のオーバーヘッドモジュールには、外部からの侵入者が車両室内に侵入可能な場所(例えば運転席側ドアなどの各ドアやフロントガラス、リアガラス)を監視する監視カメラを内蔵するものがある。この場合、オーバーヘッドモジュールの高さ方向の寸法を大きくすることにより、オーバーヘッドモジュール内部に監視カメラを内蔵するスペースを確保している(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開平11−208377号公報(第3頁、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、オーバーヘッドモジュールが監視カメラを内蔵する場合には、その監視カメラを内蔵する分オーバーヘッドモジュールの高さ方向の寸法が大きくなる。このことにより、例えばオーバーヘッドモジュールの下部がサンバイザよりも下方にはみ出すなど、車両室内の内観の見栄えが悪く且つ乗員に圧迫感を与えるという問題があった。
【0005】
なお、オーバーヘッドモジュールの高さ方向の寸法が大きくならないようにするため、オーバーヘッドモジュールの左右方向の寸法や前後方向の寸法を大きく設定することにより、オーバーヘッドモジュールの側部や後部に監視カメラを内蔵するスペースを確保することも考えられるが、このような場合には、サンバイザやルームランプなど天井面に設置された車室内構造物が監視カメラの監視を妨げるおそれがある。
【0006】
本発明は、このような不具合に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、オーバーヘッドモジュールが監視カメラを内蔵する場合でも、車両の室内とオーバーヘッドモジュールとの調和を維持することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するためになされた請求項1に係るオーバーヘッドモジュールは、次のように構成されている。すなわち、オーバーヘッドモジュール本体(2:この欄においては、発明に対する理解を容易にするため、必要に応じて「発明を実施するための最良の形態」欄で用いた符号を付すが、この符号によって請求の範囲を限定することを意味するものではない。)が、車両室内の天井面(101)に配されている。そして、位置切替機構(4,5)によって外部から車両室内へ侵入可能な場所である「侵入場所」を監視するための監視カメラを、「監視位置」と「非監視位置」との間で切り替えることができる。なお、「監視位置」とは、天井面に設置された車室内構造物に妨げられずに、侵入場所を監視可能な位置であり、一方、「非監視位置」とは、オーバーヘッドモジュール本体の内部で遮蔽されて侵入場所を監視不可能な位置である。このことにより、オーバーヘッドモジュール(1)が監視カメラを内蔵する場合でも、車両の室内とオーバーヘッドモジュールとの調和を維持することができる。
【0008】
なお、上述の前記オーバーヘッドモジュール本体が配設される場所としては、車両室内の天井面の前部左右に設置されたサンバイザの間が考えられる。この場合、上述の車室内構造物がサンバイザ−となる(請求項2)。また、車室内構造物の具体例としては、上述のサンバイザの外に、車両室内の天井面に取り付けられたルームランプあるいは空気清浄器などが挙げられる。
【0009】
また、非監視位置に位置する監視カメラが車両室内側に露出していると、車両室内にいる乗員にとっては自らが監視カメラによって監視されているように感じることがある。これに対して、本発明のオーバーヘッドモジュールによれば、監視カメラがオーバーヘッドモジュール本体の内部で遮蔽されるので、車両室内にいる乗員が監視カメラによって監視されているように感じることを防ぐことができる。
【0010】
この場合、次のように監視カメラの位置を切り替えることが考えられる。すなわち、(イ)監視カメラが、オーバーヘッドモジュール本体の内部に収納されており、位置切替機構によってオーバーヘッドモジュール本体又はオーバーヘッドモジュール本体の一部の位置を切り替えることにより、監視位置と非監視位置との間で監視カメラの位置を切り替え可能であることが考えられる(請求項3)。一例を挙げると、(イー1) オーバーヘッドモジュール本体のうち監視カメラが収納された部分に回転軸を取り付け、その回転軸を中心にして監視カメラの収納部分を回転させることにより、監視カメラの収納部分の位置を切り替えて監視位置と非監視位置との間で監視カメラの位置を切り替えるといった具合である。なおこの場合、回転軸を中心にしてオーバーヘッドモジュール本体ごと回転させるよう構成してもよい。また、(イ−2)監視カメラの収納部分を上下方向に移動させることにより、監視カメラの収納部分の位置を切り替えて監視位置と非監視位置との間で監視カメラの位置を切り替えるといった具合である。なおこの場合、オーバーヘッドモジュール本体ごと上下に移動させるよう構成してもよい。また、(ロ)位置切替機構が、監視カメラのみを移動させることにより、監視カメラの位置を監視位置と非監視位置との間で切り替えることが考えられる。一例を挙げると、(ロー1)監視カメラに回転軸を取り付け、その回転軸を中心にして監視カメラを回転させることにより、監視位置と非監視位置との間で監視カメラの位置を切り替えるといった具合である。また、(ロ−2)監視カメラを上下方向に移動させることにより、監視位置と非監視位置との間で監視カメラの位置を切り替えるといった具合である。
【0011】
ところで、上述のオーバーヘッドモジュールにおいては、監視カメラの位置を手動で切り替えてもよい。一例を挙げると、例えば乗員が車両室内から離れる際には、乗員がオーバーヘッドモジュール本体や監視カメラなどを引くなどして監視カメラを監視位置に移動させ、一方、例えば乗員が車両室内に戻った際には、乗員がオーバーヘッドモジュール本体や監視カメラなどを押すなどして監視カメラを非監視位置に移動させるといった具合である。
【0012】
また、監視カメラの位置を電動で切り替えてもよい。具体的には、駆動制御手段(6)が、監視カメラの位置を指示する入力信号に基づき、位置切替機構を制御して前記監視カメラの位置を切り替えることが考えられる(請求項4)。ここで、「監視カメラの位置を指示する入力信号」としては、(ハ)例えばスイッチが操作されることにより流れる電流や、スイッチが操作されることにより送信される信号が挙げられる。このようにすれば、乗員の利便性を向上させることができる。
【0013】
また、「監視カメラの位置を指示する入力信号」としては、(ニ)携帯電話などの通信手段を介して車外から送信される信号などが挙げられる。このような信号を利用すれば、乗員が車両室内を離れる際に監視カメラの位置を切り替えることを忘れても、上述のような信号を車外から送信することにより監視カメラの位置を切り替えることができる。また、「監視カメラの位置を指示する入力信号」としては、(ホ)車両に搭載された盗難防止システムによって警戒を促すために発信される警戒信号などが挙げられる(請求項5)。このような信号を利用すれば、自動的に監視カメラの位置を切り替えることができ、乗員の利便性をさらに向上させることができる。また、「監視カメラの位置を指示する入力信号」としては、(ヘ)イグニッションキーシリンダにイグニッションキーが抜き差しされたことを示す信号などが挙げられる。このような信号を利用すれば、自動的に監視カメラの位置を切り替えることができることに加えて、盗難防止システムが作動しているように見せかけることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明が適用された実施例について図面を用いて説明する。なお、本発明の実施の形態は、下記の実施例に何ら限定されることなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態を採りうる。
【0015】
図1は、実施例のオーバーヘッドモジュールを示す説明図であり、監視カメラが監視位置(後述)に位置する状態を示している。また、図2(a)は オーバーヘッドモジュールを乗員室の後部から見た図であり、図2(b)は、A11断面図であり、図2(c)は、オーバーヘッドモジュールを乗員室の後部から見た図であり、図2(d)はA22断面図であり、図3は、実施例の駆動部、制御部、盗難防止システムおよびイグニッションキーセンサを示す説明図である。
【0016】
[オーバーヘッドモジュール1の構成の説明]
図1に示すように、車両室内の天井面(ルーフヘッドライニング)101(図2(a)参照)の前部左右に設置されたサンバイザ102の間には、オーバーヘッドモジュール1が配されている。なお、以降、このオーバーヘッドモジュール1において、回転軸4がオーバーヘッドモジュール本体2に取り付けられている側を「前部」とし、その反対側を「後部」とし、オーバーヘッドモジュール1の後部から前部の方を見た場合における左側を「左部」とし、同じく右側を「右部」とする。このオーバーヘッドモジュール1は、オーバーヘッドモジュール本体2、4つの監視カメラ3、モータなどの駆動部5(図3参照)および駆動制御手段としての制御部6(図3参照)を備えている。
【0017】
このうちオーバーヘッドモジュール本体2は、その上方が開放された碗状に形成されている。また、オーバーヘッドモジュール本体2の前部には、回転軸4が、その軸方向がオーバーヘッドモジュール1の左右方向に対して略平行な姿勢で取り付けられている。なお、回転軸4の両端は、車両室内の天井面101内部に取り付けられており、オーバーヘッドモジュール本体2は、回転軸4を中心にして回転可能である。また、回転軸4には、駆動部5の回転軸が接続されており、駆動部5には制御部6が接続されている。なお、駆動部5および制御部6は、オーバーヘッドモジュール本体2内部に設置されてもよいし、天井面101内部などのオーバーヘッドモジュール本体2外部に設置されてもよい。また、本実施例においては、オーバーヘッドモジュール本体2、回転軸4および駆動部5が位置切替機構に該当する。
【0018】
また、オーバーヘッドモジュール本体2の内部には、4つの監視カメラ3が収納されている。具体的には、オーバーヘッドモジュール本体2の後部左右には、車両室内の後部左右に位置する後部ドア(図示省略)を監視するための監視カメラ3がそれぞれ収納されており、また、オーバーヘッドモジュール本体2の両側部には、車両室内の前部左右に位置する運転席側ドアおよび助手席側ドア(図示省略)を監視するための監視カメラ3がそれぞれ収納されている。
【0019】
また、制御部6は、図3に示すように、通常のコンピュータなどであり、後述する盗難防止システム7やイグニッションキーセンサ8からの信号に基づいて、駆動部5を制御して回転軸4を中心にオーバーヘッドモジュール本体2を回転させることによりオーバーヘッドモジュール本体2の後部を上下に移動させるよう構成されている。
【0020】
以上のように構成されたオーバーヘッドモジュール1では、制御部6によって駆動された駆動部5が、回転軸4を中心にしてオーバーヘッドモジュール本体2を回転させることによりオーバーヘッドモジュール本体2の後部を上下に移動させ、このことにより監視カメラ3の位置を「監視位置」と「非監視位置」との間で切り替える。なお、ここで、「監視位置」とは、監視カメラ3が、天井面101または天井面101に設置されたサンバイザ102やルームランプ、空気清浄器などの車室内構造物に妨げられずに、運転席側ドアや助手席側ドア、後部ドアなど車両室内へ侵入可能な場所を監視可能な位置であり、一例を挙げると、天井面101よりも下方やサンバイザ102の下面よりも下方などが挙げられる(図2(c)および図2(d)参照)。一方、「非監視位置」とは、監視カメラ3が、天井面101または車室内構造物に妨げられて侵入可能な場所を監視不可能な位置であり、一例を挙げると、天井面101の内部やサンバイザ102の下面よりも上方などが挙げられる(図2(a)および図2(b)参照)。
【0021】
なお、本実施例のオーバーヘッドモジュール1のその他の構成は、公知技術に従っているので、ここでは詳細な説明は省略する。
[その他の構成の説明]
ところで、図3に示すように、制御部6には、車両に不振物体が接近している際などに警戒を促すために警戒信号を発信するよう構成された盗難防止システム7、および車両室内のイグニッションキーシリンダに差し込まれたキーを検出するイグニッションキーセンサ8が接続されている。なお、盗難防止システム7およびイグニッションキーセンサ8については、公知技術に従っているのでここでは詳細な説明は省略する。
【0022】
[監視カメラ位置切替処理についての説明]
次に、制御部6が実行する監視カメラ位置切替処理について、図4のフローチャートを参照しながら説明する。
【0023】
本処理は、車両に搭載されたバッテリ電源(図示省略)からオーバーヘッドモジュール1に電源供給されている場合に実行される。なお、ここでは、監視カメラ3が非監視位置に位置しているとして以下の説明を行う。
【0024】
まず、最初のステップ110(以下、「ステップ」を単に「S」と記す。)では、イグニッションキーセンサ8からのイグニッション信号を受信しているか否かを判断する。ここで、イグニッション信号を受信している場合には(S110:No)、イグニッションキーがイグニッションキーシリンダに差し入れられており、乗員が車両室内に存在すると推定し、イグニッション信号を受信していないと判断されるまで本S110を繰り返し実行する。一方、イグニッション信号を受信していない場合には(S110:Yes)、イグニッションキーがイグニッションキーシリンダに差し入れられておらず、乗員が車両室内に存在しないと推定してS120に移行する。
【0025】
S120では、盗難防止システム7からの警戒信号を受信しているか否かを判断する。ここで、警戒信号を受信していない場合には(S120:No)S110に戻る。一方、警戒信号を受信している場合には(S120:Yes)S130に移行する。
【0026】
S130では、制御部6が、駆動部5を駆動することによりオーバーヘッドモジュール本体2を下方に移動させ、監視カメラ3を監視位置に位置させる(図2(c)および図2(d)を参照。)。そして、監視カメラ3が、運転席側ドア、助手席側ドア、および後部ドアを監視する。
【0027】
続くS140では、盗難防止システム7からの警戒信号を受信しているか否かを判断する。ここで、警戒信号を受信している場合には(S140:No)、監視カメラ3が監視位置に位置する状態を維持する。そして、警戒信号を受信していないと判断するまで本S140を繰り返し実行する。一方、警戒信号を受信していない場合には(S140:Yes)S150に移行する。
【0028】
S150では、制御部6が、駆動部5を駆動することによりオーバーヘッドモジュール本体2を上方に移動させ、監視カメラ3を非監視位置に位置させる(図2(a)および図2(b)を参照。)。そして、リターンする。
【0029】
[効果]
このように実施例のオーバーヘッドモジュール1によれば、制御部6によって駆動された駆動部5が回転軸4を中心にしてオーバーヘッドモジュール本体2を回転させることによりオーバーヘッドモジュール本体2の後部を上下に移動させ、このことにより監視カメラ3の位置を「監視位置」と「非監視位置」との間で切り替える。したがって、オーバーヘッドモジュール1が監視カメラ3を内蔵する場合でも、車両の室内とオーバーヘッドモジュール1との調和を維持することができる。
【0030】
また、本実施例のオーバーヘッドモジュール1によれば、盗難防止システム7によって警戒を促すために発信される警戒信号に基づいて、制御部6が監視カメラ3を監視位置と非監視位置との間で移動させるので、自動的に監視カメラ3を移動させることができ、乗員の利便性をさらに向上させることができる。
【0031】
さらに、本実施例のオーバーヘッドモジュール1によれば、非監視位置に位置する監視カメラ3がオーバーヘッドモジュール本体2の内部で遮蔽されるので、車両室内にいる乗員が監視カメラ3によって監視されているように感じることを防ぐことができる。
【0032】
また、本実施例のオーバーヘッドモジュール1によれば、イグニッションキーセンサ8からのイグニッション信号を受信している場合(S110:No)において、盗難防止システム7からの警戒信号を受信している場合には(S120:Yes)、制御部6が、監視カメラ3を監視位置に位置させ、一方、警戒信号を受信していない場合には(S140:Yes)、制御部6が、監視カメラ3を非監視位置に位置させるので、盗難防止システム7からの警戒信号に基づいて自動的に監視カメラを作動させることができる。
【0033】
[別実施例]
(1)上記実施例のオーバーヘッドモジュール1では、オーバーヘッドモジュール本体2内部に4つの監視カメラ3を備えており、これら4つの監視カメラ3が、運転席側ドア、助手席側ドア、および後部ドアを監視するよう構成されているが、これには限られず、フロントガラスやリアガラスを監視するようにしてもよい。この場合、監視カメラ3を水平方向に周期的に動かすことにより、監視カメラ3が複数の監視対象を監視することが考えられる。また、監視カメラ3を増設することが考えられる。
【0034】
(2)上記実施例では、オーバーヘッドモジュール本体2の前部に、回転軸4が、その軸方向がオーバーヘッドモジュール1の左右方向に対して略平行な姿勢で取り付けられているが、これには限られず、(イ)上述のような回転軸4を、オーバーヘッドモジュール本体2の中央部や後部に取り付けてもよい。(ロ)また、回転軸4の軸方向がオーバーヘッドモジュール1の前後方向に対して略平行な姿勢で、オーバーヘッドモジュール本体2の中央部や、左部、右部に回転軸4を取り付けてもよい。(ハ)さらに、回転軸を中心にしてオーバーヘッドモジュール本体2を回転させる代わりに、ソレノイドなどによってオーバーヘッドモジュール本体2を上下方向に移動させるよう構成してもよい。このように構成しても上記実施例と同様の作用効果を奏する。これら(イ)〜(ハ)のように構成しても上記実施例と同様の作用効果を奏する。
【0035】
(3)上記実施例のオーバーヘッドモジュール1では、オーバーヘッドモジュール本体2を上下に移動させているが、これには限られず、監視カメラ3のみをそれぞれ上下に移動させるように構成してもよい。また、オーバーヘッドモジュール本体の一部(監視カメラが収納された部分)のみを上下に移動させるように構成してもよい。具体的には、図5(a)に例示するように、回転軸14の軸方向がオーバーヘッドモジュール11の左右方向に対して略平行な姿勢で、監視カメラが収納された部分12aの前部に回転軸14を取り付け、回転軸14を中心にしてその収納部分12aを回転させることにより監視カメラ13を上下に移動させるよう構成してもよい。なお、(ニ)上述のような回転軸14を、収納部分12aの中央部や後部に取り付けてもよい。(ホ)また、回転軸14の軸方向がオーバーヘッドモジュール11の前後方向に対して平行な姿勢で、収納部分12aの中央部や、左部、右部に回転軸14を取り付けてもよい。(ヘ)さらに、図5(b)に例示するように、オーバーヘッドモジュール21において、回転軸を中心にしてオーバーヘッドモジュール本体を回転させる代わりに、ソレノイドなどによって、オーバーヘッドモジュール本体のうち監視カメラが収納された部分22aを上下方向に移動させるよう構成してもよい。このように構成しても上記実施例と同様の作用効果を奏する。
【0036】
(4)上記実施例のオーバーヘッドモジュール1では、イグニッションキーセンサ8からのイグニッション信号や盗難防止システム7からの警戒信号に基づいて、制御部6が監視カメラ3の位置を切り替えているが、これには限られず、例えばスイッチが操作されることにより流れる電流や、スイッチが操作されることにより送信される信号に基づいて監視カメラ3の位置を切り替えてもよい。このように構成しても上記実施例と同様の作用効果を奏する。
【0037】
(5)上記実施例では、イグニッションキーセンサ8からのイグニッション信号を受信していない場合(S110:Yes)において、盗難防止システム7からの警戒信号を受信している場合には(S120:Yes)、制御部6が監視カメラ3を監視位置に位置させるが、これには限られず、例えばイグニッション信号を受信していない場合(S110:Yes)には、警戒信号を受信していなくても、制御部6が監視カメラ3を監視位置に位置させるようにしてもよい。この場合、盗難防止システム7からの警戒信号を受信している場合に監視カメラ3を作動させるようにすればよい。このようにすれば、監視カメラ3の位置が切り替わる回数を極力少なくできることに加えて、盗難防止システム7が作動しているように見せかけることができる。
【0038】
(6)また、乗員が車外から監視カメラ3の位置を制御するようにしてもよい。具体的には、例えば乗員が所有する携帯電話から監視カメラ3を作動させる旨の指示信号を受信した場合には、制御部6が、指示信号から監視カメラ3を監視位置に位置させる必要があると判断して監視カメラ3を監視位置に移動させる。一方、乗員が所有する携帯電話から監視カメラ3を停止させる旨の指示信号を受信した場合には、制御部6が、指示信号から監視カメラ3を非監視位置に位置させる必要があると判断して監視カメラ3を非監視位置に移動させる。なお、上述の監視カメラ位置切替処理を実行中に本処理を実行する場合には、本処理を優先させるために上述の監視カメラ位置切替処理を中止するようにしてもよい。また、監視カメラ位置切替処理においてS110を実行する前に本処理を実行するようにしてもよい。このようにすれば、乗員が車両室内を離れる際に監視カメラ3を作動させることを忘れても、監視カメラ3の位置を指示する指示信号を乗員が車外から送信することにより、監視カメラ3の位置を切り替えることができる。
【0039】
(7)上記実施例では、駆動部5および制御部6を用いて監視カメラ3を移動させているが、これには限られず、監視カメラ3を手動で移動させるよう構成してもよい。一例を挙げると、オーバーヘッドモジュール本体2の先端にフック(図示省略)を設け、天井面101にフックに対応する係止部(図示省略)を設け、フックを係止部に係止させておく。そして、例えば乗員が車両室内から離れる際には、乗員がフックを係止部から外し、オーバーヘッドモジュール本体2を下方へ移動させることにより、監視カメラ3を監視位置に位置させる。また、乗員が車両室内に戻った際には、乗員がオーバーヘッドモジュール本体2を上方へ移動させ、フックを係止部に係止させるといった具合である。なお、本実施例においては、オーバーヘッドモジュール本体2および回転軸4が位置切替機構に該当する。このように構成しても上記実施例と同様の作用効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】実施例のオーバーヘッドモジュールを示す説明図である。
【図2】(a) はオーバーヘッドモジュールを乗員室の後部から見た図であり、(b)はA11断面図であり、(c) はオーバーヘッドモジュールを乗員室の後部から見た図であり、(d)はA22断面図である。
【図3】実施例の駆動部、制御部、盗難防止システムおよびイグニッションキーセンサを示す説明図である。
【図4】実施例の制御部が実行する監視カメラ位置切替処理を説明するフローチャートである。
【図5】(a)はオーバーヘッドモジュールの別実施例を示す説明図(1)であり、(b)はオーバーヘッドモジュールの別実施例を示す説明図(2)である。
【符号の説明】
【0041】
1,11,21…オーバーヘッドモジュール、2,12,22…オーバーヘッドモジュール本体、3,13,23…監視カメラ、4,14…回転軸、5…駆動部、6…制御部、7…盗難防止システム、8…イグニッションキーセンサ、12a,22a…オーバーヘッドモジュール本体のうち監視カメラが収納された部分、101…天井面、102…サンバイザ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両室内の天井面に配されたオーバーヘッドモジュール本体と、
外部から前記車両室内へ侵入可能な場所である侵入場所を監視するための監視カメラと、
前記天井面に設置された車室内構造物に妨げられずに前記侵入場所を監視可能な監視位置と、前記オーバーヘッドモジュール本体の内部で遮蔽されて前記侵入場所を監視不可能な非監視位置との間で前記監視カメラの位置を切り替え可能な位置切替機構と、
を備えることを特徴とするオーバーヘッドモジュール。
【請求項2】
請求項1に記載のオーバーヘッドモジュールにおいて、
前記車両室内の天井面の前部左右に設置されたサンバイザの間に前記オーバーヘッドモジュール本体が配設され、前記車室内構造物が前記サンバイザ−であることを特徴とするオーバーヘッドモジュール。
【請求項3】
請求項1または2に記載のオーバーヘッドモジュールにおいて、
前記監視カメラは、前記オーバーヘッドモジュール本体の内部に収納されており、
前記位置切替機構は、前記オーバーヘッドモジュール本体又はオーバーヘッドモジュール本体の一部の位置を切り替えることにより、前記監視位置と前記非監視位置との間で前記監視カメラの位置を切り替え可能であることを特徴とするオーバーヘッドモジュール。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載のオーバーヘッドモジュールにおいて、
前記監視カメラの位置を指示する入力信号に基づき、前記位置切替機構を制御して前記監視カメラの位置を切り替えさせる駆動制御手段を備えること
を特徴とするオーバーヘッドモジュール。
【請求項5】
請求項4に記載のオーバーヘッドモジュールにおいて、
前記入力信号は、前記車両に搭載された盗難防止システムによって警戒を促すために発信される警戒信号であることを特徴とするオーバーヘッドモジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2005−125977(P2005−125977A)
【公開日】平成17年5月19日(2005.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2003−365189(P2003−365189)
【出願日】平成15年10月24日(2003.10.24)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】