説明

カスパーゼインヒビターおよびそれらの用途

【課題】インビボでアポトーシスの有効な阻害を生じる強力で安定かつ膜を浸透する小分子非ペプチドカスパーゼインヒビターの提供。
【解決手段】式(I)で表される化合物。


(式中、Xは、CHまたはN;Yは、ハロ、トリフルオロフェノキシまたはテトラフルオロフェノキシ;R2は、C1〜6直鎖または分枝アルキルアルキル;R3は、水素、ハロ、OCF3、CNまたはCF3;R4は、水素、ハロ、OCF3、SR、CN、CF3、Arなどを表す。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2002年6月28日に出願された米国仮特許出願第60/392,592号および2002年12月20日に出願された米国仮特許出願第60/435,073号から優先権を主張しており、両方の文献の内容は、本明細書中で参考として援用されている。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、医薬品化学の分野であり、細胞アポトーシスおよび炎症を媒介するカスパーゼを阻害する化合物およびそれらの薬学的組成物に関する。本発明はまた、これらの化合物を調製する方法に関し、また、本発明の化合物および薬学的組成物を使用してカスパーゼ活性が関係した疾患を治療する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
アポトーシス、すなわち、プログラム化細胞死は、生物体が不要な細胞を排除する主な機構である。アポトーシスの調節解除は、過剰なアポトーシスまたはそれを受けることの減退のいずれであれ、多くの疾患(例えば、癌、急性炎症性および自己免疫性障害、虚血性疾患および特定の神経変性障害)に関係している(一般に、非特許文献1を参照)。
【0004】
カスパーゼは、システインタンパク質分解酵素の系統であり、アポトーシスおよび細胞分解の情報伝達経路における重要な媒介物である(非特許文献2)。これらの情報伝達経路は、細胞型および刺激物に依存して変わるが、全てのアポトーシス経路は、重要なタンパク質の分解を引き起こす共通エフェクター経路に集中すると思われる。カスパーゼは、この情報伝達経路のエフェクター相およびその開始時におけるさらに上流の両方に関与している。開始事象に関与している上流カスパーゼは、活性化し、次に、後のアポトーシス相に関与している他のカスパーゼを活性化する。
【0005】
カスパーゼ−1は、最初に同定されたカスパーゼであるが、また、インターロイキン変換酵素(すなわち、「ICE」)としても知られている。カスパーゼ−1は、前駆体であるインターロイキン−1β(「pIL−1β」)をAsp−116とAla−117との間で特異的に開裂することにより、pIL−1βをそのプロ炎症性活性形状に変換する。カスパーゼ−1の他にも、また、11種の他の公知のカスパーゼがあり、それらの全ては、アスパルチル残基において特異的に開裂する。それらはまた、その開裂部位のN−末端側にある少なくとも4個のアミノ酸残基に対する厳しい要件を有することが観察されている。
【0006】
これらのカスパーゼは、好ましいか最初に認識されたアミノ酸配列に依存して、3つの群に分類されている。1つのカスパーゼ群は、カスパーゼ1、4、5および13を含み、その開裂部位のN−末端側の4位置にある疎水性芳香族アミノ酸を好むことが明らかとなっている。カスパーゼ2、3および7を含む他の群は、その開裂部位のN−末端側の1位置および4位置の両方にあるアスパルチル残基を認識し、好ましくは、Asp−Glu−X−Aspの配列である。第三の群は、カスパーゼ6、8、9および10を含み、その主要認識配列にある多くのアミノ酸に耐性であるが、分枝脂肪族側鎖(例えば、4位置にあるバリンおよびロイシン)を備えた残基を好むと思われる。
【0007】
これらのカスパーゼはまた、それらの認知機能に従って分類されている。第一の亜科は、カスパーゼ−1(ICE)、4、5および13からなる。これらのカスパーゼは、プロ炎症性サイトカインプロセシングに関与しており、従って、炎症で重要な役割を果たすことが示されている。カスパーゼ−1は、この種類の最も研究された酵素であるが、タンパク質分解性の開裂によって、IL−1β前駆体を活性化する。この酵素は、従って、炎症性応答において重要な役割を果たす。カスパーゼ−1はまた、インターフェロン−γ誘発因子(IGIF)のプロセシングに関与しており、これは、インターフェロン−γ(抗原提示、T−細胞活性化および細胞接着を調節する重要な免疫調節物)を刺激する。
【0008】
残りのカスパーゼは、第二および第三の亜科を構成する。これらの酵素は、アポトーシスを引き起こす細胞内情報伝達経路の中枢にあって重要である。一方の亜科は、このアポトーシス経路での開始事象(これには、原形質膜からの信号の伝達が含まれる)に関与している酵素からなる。この亜科の構成要素には、カスパーゼ−2、8、9および10が挙げられる。他の亜科は、エフェクターカスパーゼ3、6および7からなるが、最終下流開裂事象に関与しており、その結果、アポトーシスにより、その細胞の全身的な分解および死が起こる。この上流信号伝達に関与しているカスパーゼは、その下流カスパーゼを活性化し、次いで、DNA修復機構を無効にし、DNAを細分化し、その細胞の細胞骨格を解体し、最終的に、その細胞を細分化する。
【0009】
これらのカスパーゼで主に認識される4つのアミノ酸配列の知見は、カスパーゼインヒビターを設計するのに使用されている。CHCO−[P4]−[P3]−[P2]−CH(R)CHCOHの構造を有する可逆性テトラペプチドインヒビターが調製されており、ここで、P2〜P4は、最適アミノ酸認識配列を表わし、そしてRは、そのカスパーゼシステインスルフヒドリルに結合できるアルデヒド、ニトリルまたはケトンである。非特許文献3;非特許文献4;非特許文献5を参照。類似のテトラペプチド認識配列に基づいた不可逆性インヒビターが調製されており、ここで、Rは、アシルオキシメチルケトン−COCHOCOR’である。R’は、必要に応じて置換されたフェニル(例えば、2,6−ジクロロベンジルオキシ)によって例示され、ここで、Rは、COCHXであり、ここで、Xは、脱離基(例えば、FまたはCl)である。非特許文献6;非特許文献7。
【0010】
細胞性アポトーシスの増大に関連した種々の哺乳動物疾患を治療するカスパーゼインヒビターの有用性は、ペプチドカスパーゼインヒビターを使用して証明されている。例えば、齧歯類モデルでは、カスパーゼインヒビターは、梗塞のサイズを小さくして心筋梗塞後の心筋細胞アポトーシスを阻止すること、卒中から生じる傷害容量および神経欠陥を少なくすること、外傷性脳傷害における外傷後アポトーシスおよび神経欠陥を少なくすること、劇症肝炎破壊を治療する際に有効にすること、および内毒素ショック後の生存率を改善することが明らかとなっている。非特許文献8;非特許文献9;非特許文献10;非特許文献11;非特許文献12;非特許文献13。
【0011】
一般に、上記ペプチド性インヒビターは、カスパーゼ酵素の一部に対して非常に有効である。しかしながら、この効力は、細胞モデルのアポトーシスで常に反映されている訳ではない。それに加えて、ペプチド性インヒビターは、典型的には、望ましくない薬理学的特性(例えば、乏しい経口吸収、乏しい安定性および急速な代謝)により、特徴付けられている。非特許文献14。
【0012】
これらのペプチド性カスパーゼインヒビターの薬理学的特性を改善する必要性を認識して、擬ペプチドインヒビターが報告されている。これらのうちで、以下の一般式が関与したインヒビター(ここで、そのP3アミノ酸は、3−アミノピリジン−2−オンおよび5−アミノピリミジン−4−オンの誘導体で置き換えられている)は、多くの注目を集めている(特許文献1(Bemisら);非特許文献15;非特許文献16;非特許文献17):
【0013】
【化11】

ここで、R〜RおよびXは、種々の基である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】米国特許第5,756,466号明細書
【非特許文献】
【0015】
【非特許文献1】Science,281,1283〜1312(1998);Ellisら、Ann.Rev.Cell.Biol.,7,663(1991)
【非特許文献2】Thornberry,Chem.Biol.,5,R97〜R103(1998)
【非特許文献3】Rano and Thornberry,Chem.Biol.4,149〜155(1997)
【非特許文献4】Mjalliら、Bioorg.Med.Chem.Lett.3,2689〜2692(1993)
【非特許文献5】Nicholsonら、Nature 376,37〜43(1995)
【非特許文献6】Thornberryら、Biochemistry 33,3934(1994)
【非特許文献7】Dolleら、J.Med.Chem.37,563〜564(1994)
【非特許文献8】Yaoitaら、Circulation,97,276(1998)
【非特許文献9】Endresら、J Cerebral Blood Flow and Metabolism,18,238,(1998)
【非特許文献10】Chengら、J.Clin.Invest.,101,1992(1998)
【非特許文献11】Yakovlevら、J Neuroscience,17,7415(1997)
【非特許文献12】Rodriquezら、J.Exp.Med.,184,2067(1996)
【非特許文献13】Grobmyerら、Mol.Med.,5,585(1999)
【非特許文献14】Plattner and Norbeck,in Drug Discovery Technologies,Clark and Moos著、(Ellis Horwood,Chichester,England,1990)
【非特許文献15】Dolleら、J.Med.Chem.39,2438,(1996)
【非特許文献16】Golecら、Bioorg.Med.Chem.Lett.7,2181,(1997)
【非特許文献17】Sempleら、Biorg.Med.Chem.Lett.7,1337,(1997)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
ペプチド性インヒビターに固有の問題があるために、インビボでアポトーシスの有効な阻害を生じる強力で安定かつ膜を浸透する小分子非ペプチドカスパーゼインヒビターが引き続いて必要とされている。このような化合物は、カスパーゼ酵素が重要な役割を果たす上記疾患を治療する際に、非常に有用である。WO01/42216は、カスパーゼインヒビターおよびその用途を開示している。本発明は、WO01/42216の開示に選択肢を与える。
【課題を解決するための手段】
【0017】
(発明の要旨)
本発明は、式Iの化合物を提供する:
【0018】
【化12】

ここで:
Xは、CHまたはNである;
Yは、ハロ、トリフルオロフェノキシまたはテトラフルオロフェノキシである;
は、C1〜6直鎖または分枝アルキルである;
は、水素、ハロ、OCF、CNまたはCFである;そして
は、水素、ハロ、OCF、SR、CN、CF、ArまたはT−Arである;
ここで:
Tは、OまたはSである;
Rは、C1〜6直鎖または分枝アルキルである;
Arは、フェニル環であり、該フェニル環は、必要に応じて、ハロ、CH、CF、CN、OMe、OCFおよびNRから選択される1個〜3個の基で置換されている;そして
およびRは、それぞれ別個に、HまたはC1〜6アルキルであるか、またはRおよびRは、一緒になって、5〜7員環を形成し、該環は、必要に応じて、3個までのヘテロ原子を含有し、該ヘテロ原子は、O、S、NHおよびN(C1〜6アルキル)である;
但し、Yがハロのとき、RおよびRの両方が同時に水素になることはない。
【0019】
本発明はまた、薬学的組成物およびこのような薬学的組成物を使用してカスパーゼ媒介疾患を治療する方法を提供する。
本発明は、例えば以下の項目を提供する。
(項目1)
式Iの化合物:
【化1】


Xは、CHまたはNである;
Yは、ハロ、トリフルオロフェノキシまたはテトラフルオロフェノキシである;
は、C1〜6直鎖または分枝アルキルである;
は、水素、ハロ、OCF、CNまたはCFである;そして
は、水素、ハロ、OCF、SR、CN、CF、ArまたはT−Arである;
ここで:
Tは、OまたはSである;
Rは、C1〜6直鎖または分枝アルキルである;
Arは、フェニル環であり、該フェニル環は、必要に応じて、ハロ、CH、CF、CN、OMe、OCFおよびNRから選択される1個〜3個の基で置換されている;そして
およびRは、それぞれ別個に、HまたはC1〜6直鎖または分枝アルキルであるか、またはRおよびRは、一緒になって、5〜7員環を形成し、該環は、必要に応じて、3個までのヘテロ原子を含有し、該ヘテロ原子は、O、S、NHおよびN(C1〜6直鎖または分枝アルキル)から選択される;
但し、Yがハロのとき、RおよびRの両方が同時に水素になることはない、
化合物。
(項目2)
が、エチル、n−プロピルまたはイソプロピルである、項目1に記載の化合物。
(項目3)
Yが、F、トリフルオロフェノキシまたはテトラフルオロフェノキシである、項目1または2に記載の化合物。
(項目4)
式IAを有する、項目1に記載の化合物:
【化2】


ここで:
は、エチル、n−プロピルまたはイソプロピルである;そして
およびRは、それぞれ別個に、水素、ハロ、OCF、CN、CFまたはArであるが、但し、RおよびRの両方が同時に水素になることはない、
化合物。
(項目5)
が、エチルである、項目4に記載の化合物。
(項目6)
が、水素である、項目4または5に記載の化合物。
(項目7)
が、Hであり、そしてRが、F、Cl、CN、ArまたはCFである、項目4〜6のいずれか1項に記載の化合物。
(項目8)
が、ClまたはCFである、項目4〜7のいずれか1項に記載の化合物。
(項目9)
式IBを有する、項目1に記載の化合物:
【化3】


ここで:
Xは、CHまたはNである;
は、エチル、n−プロピルまたはイソプロピルである;
およびRは、それぞれ別個に、水素、ハロ、OCF、CNまたはCFである;そして
Arは、トリフルオロフェニルまたはテトラフルオロフェニルである、
化合物。
(項目10)
Arが、2,3,5,6−テトラフルオロフェニルである、項目9に記載の化合物。
(項目11)
が、エチルである、項目9または10に記載の化合物。
(項目12)
Xが、CHである、項目9〜11のいずれか1項に記載の化合物。
(項目13)
が、Hであり、そしてRが、F、ClまたはCFである、項目9〜12のいずれか1項に記載の化合物。
(項目14)
が、ClまたはCFである、項目12または13に記載の化合物。
(項目15)
式ICを有する、項目1に記載の化合物:
【化4】


ここで:
は、エチル、n−プロピルまたはイソプロピルである;
は、水素、ハロ、OCF、CNまたはCFである;
は、ハロ、OCF、CN、CF、SRまたはT−Arである;
Tは、OまたはSである;
Rは、C1〜6直鎖または分枝アルキルである;
Arは、フェニル環であり、該フェニル環は、必要に応じて、ハロ、CH、CF、CN、OMe、OCFおよびNRから選択される1個〜3個の基で置換されている;そして
およびRは、それぞれ別個に、HまたはC1〜6直鎖または分枝アルキルであるか、またはRおよびRは、一緒になって、5〜7員環を形成し、該環は、必要に応じて、3個までのヘテロ原子を含有し、該ヘテロ原子は、O、S、NHおよびN(C1〜6直鎖または分枝アルキル)から選択される、
化合物。
(項目16)
が、エチルである、項目15に記載の化合物。
(項目17)
が、水素である、項目15または16に記載の化合物。
(項目18)
Tが、Oである、項目15〜17のいずれか1項に記載の化合物。
(項目19)
が、T−Arである、項目15〜18のいずれか1項に記載の化合物。
(項目20)
以下:
【化5】

【化6】


から選択される、項目1に記載の化合物。
(項目21)
以下:
a)項目1〜20のいずれか1項に記載の化合物;および
b)薬学的に受容可能なキャリア、アジュバントまたはビヒクル、
を含有する、薬学的組成物。
(項目22)
患者の疾患を処置する方法であって、ここで、該疾患は、IL−1媒介疾患、アポトーシス媒介疾患、炎症性疾患、自己免疫性疾患、破壊性骨障害、増殖性障害、感染症疾患、変性疾患、細胞死に関連する疾患、過剰な食用アルコール摂取疾患、ウイルス媒介疾患、腎疾患、ブドウ膜炎、炎症性腹膜炎、骨関節炎、膵炎、喘息、成人性呼吸窮迫症候群、糸球体腎炎、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、硬皮症、慢性甲状腺炎、グレーヴス病、自己免疫性胃炎、糖尿病、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性好中球減少症、血小板減少症、慢性活性肝炎、重症筋無力症、炎症性腸疾患、クローン病、乾癬、アトピー性皮膚炎、瘢痕、移植片対宿主病、臓器移植拒絶反応、火傷後臓器アポトーシス、骨粗鬆症、白血病および関連疾患、脊髄形成異常症候群、多発性骨髄腫関連骨障害、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、転移性メラノーマ、カポジ肉腫、多発性骨髄腫、出血性ショック、敗血症、敗血症ショック、火傷、志賀菌赤痢、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン舞踏病、ケネディ病、プリオン病、脳虚血、癲癇、心筋虚血、急性および慢性心臓病、心筋梗塞、鬱血性心不全、アテローム性動脈硬化症、冠状動脈バイパス移植、脊椎筋萎縮症、筋萎縮性側索硬化症、多発性硬化症、HIV関連脳炎、老化、脱毛症、脳卒中による神経学的損傷、潰瘍性大腸炎、外傷性脳傷害、脊髄傷害、B型肝炎、C型肝炎、G型肝炎、黄熱病、デング熱または日本脳炎、種々の形態の肝臓病、腎臓病、多嚢胞性腎臓病、H幽門関連胃潰瘍および十二指腸潰瘍、HIV感染、結核、髄膜炎、臓器不全、冠状動脈バイパス移植に関連した合併症の処置、および種々の形態の癌治療用の免疫療法から選択され、
該患者に、項目21に記載の薬学的組成物を投与する工程を包含する、方法。
(項目23)
前記疾患が、アポトーシス媒介疾患、炎症性疾患、自己免疫性疾患、破壊性骨障害、増殖性障害、感染症疾患、変性疾患、細胞死に関連する疾患、過剰な食用アルコール摂取疾患、ウイルス媒介疾患、炎症性腹膜炎、骨関節炎、糸球体腎炎、関節リウマチ、糖尿病、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性好中球減少症、血小板減少症、慢性活性肝炎、瘢痕、移植片対宿主病、臓器移植拒絶反応、火傷後臓器アポトーシス、骨粗鬆症、白血病および関連疾患、脊髄形成異常症候群、転移性メラノーマ、出血性ショック、敗血症、敗血症ショック、火傷、志賀菌赤痢、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン舞踏病、ケネディ病、プリオン病、脳虚血、癲癇、心筋虚血、急性および慢性心臓病、心筋梗塞、鬱血性心不全、アテローム性動脈硬化症、冠状動脈バイパス移植、脊椎筋萎縮症、筋萎縮性側索硬化症、多発性硬化症、HIV関連脳炎、老化、脱毛症、脳卒中による神経学的損傷、外傷性脳傷害、脊髄傷害、B型肝炎、C型肝炎、G型肝炎、種々の形態の肝臓病、腎臓病、多嚢胞性腎臓病、H幽門関連胃潰瘍および十二指腸潰瘍、HIV感染、結核、髄膜炎、冠状動脈バイパス移植に関連した合併症の処置、および種々の形態の癌治療用の免疫療法である、項目22に記載の方法。
(項目24)
前記疾患が、冠状動脈バイパス移植に関連した合併症である、項目23に記載の方法。
(項目25)
患者におけるカスパーゼ媒介機能を阻害する方法であって、該患者に、項目21に記載の薬学的組成物を投与する工程を包含する、方法。
(項目26)
患者におけるIGIF産生またはIFN−γ産生を減少させる方法であって、該患者に、項目21に記載の薬学的組成物を投与する工程を包含する、方法。
(項目27)
細胞を保存する方法であって、該方法が、細胞を、項目1〜20のいずれか1項に記載の化合物またはそれらの薬学的に受容可能な誘導体の溶液に浸す工程を包含する、方法。
(項目28)
前記細胞が、以下:
a)移植しようとする臓器;または
b)血液産物
に存在している、項目27に記載の方法。
(項目29)
免疫療法を使用して癌を処置する方法であって、ここで、該免疫療法は、その成分として、項目1〜20のいずれか1項に記載の化合物を含有する、方法。
(項目30)
前記組成物、溶液または免疫療法が、追加治療薬を含有する、項目22〜29のいずれか1項に記載の方法。
(項目31)
式Iの化合物を調製する方法であって、
【化7】


該方法は、以下の工程を包含する:
式IIの酸または酸誘導体と、
【化8】


式Bのアミノアルコールとを反応させて、式IIIの化合物を提供する工程;
【化9】


および中間体IIIを化合物Iに変換する工程であって、ここで:
Xは、CHまたはNである;
Yは、ハロ、トリフルオロフェノキシまたはテトラフルオロフェノキシである;
は、C1〜6直鎖または分枝アルキルである;
は、水素、ハロ、OCF、CNまたはCFである;そして
は、水素、ハロ、OCF、SR、CN、CF、ArまたはT−Arである;
ここで:
Tは、OまたはSである;
Rは、C1〜6直鎖または分枝アルキルである;
Arは、フェニル環であり、該フェニル環は、必要に応じて、ハロ、CH、CF、CN、OMe、OCFおよびNRから選択される1個〜3個の基で置換されている;そして
およびRは、それぞれ別個に、HまたはC1〜6直鎖または分枝アルキルであるか、またはRおよびRは、一緒になって、5〜7員環を形成し、該環は、必要に応じて、3個までのヘテロ原子を含有し、該ヘテロ原子は、O、S、NHおよびN(C1〜6直鎖または分枝アルキル)から選択される;そして
は、適当な保護基である;
但し、Yがハロのとき、RおよびRの両方が同時に水素になることはない、
方法。
(項目32)
式IIAの化合物:
【化10】


Xは、CHまたはNである;
は、C1〜6直鎖または分枝アルキルである;
は、水素、ハロ、OCF、CNまたはCFである;そして
は、水素、ハロ、OCF、SR、CN、CF、ArまたはT−Arである;
ここで:
Tは、OまたはSである;
Rは、C1〜6直鎖または分枝アルキルである;
Arは、フェニル環であり、該フェニル環は、必要に応じて、ハロ、CH、CF、CN、OMe、OCFおよびNRから選択される1個〜3個の基で置換されている;そして
およびRは、それぞれ別個に、HまたはC1〜6直鎖または分枝アルキルであるか、またはRおよびRは、一緒になって、5〜7員環を形成し、該環は、必要に応じて、3個までのヘテロ原子を含有し、該ヘテロ原子は、O、S、NHおよびN(C1〜6直鎖または分枝アルキル)である、
化合物。
(項目33)
が、エチルまたはイソプロピルである、項目32に記載の化合物。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(発明の詳細な説明)
本発明は、式Iの化合物を提供する:
【0021】
【化13】

ここで:
Xは、CHまたはNである;
Yは、ハロ、トリフルオロフェノキシまたはテトラフルオロフェノキシである;
は、C1〜6直鎖または分枝アルキルである;
は、水素、ハロ、OCF、CNまたはCFである;そして
は、水素、ハロ、OCF、SR、CN、CF、ArまたはT−Arである;
ここで:
Tは、OまたはSである;
Rは、C1〜6直鎖または分枝アルキルである;
Arは、フェニル環であり、該フェニル環は、必要に応じて、ハロ、CH、CF、CN、OMe、OCFおよびNRから選択される1個〜3個の基で置換されている;そして
およびRは、それぞれ別個に、HまたはC1〜6直鎖または分枝アルキルであるか、またはRおよびRは、一緒になって、5〜7員環を形成し、該環は、必要に応じて、3個までのヘテロ原子を含有し、該ヘテロ原子は、O、S、NHおよびN(C1〜6直鎖または分枝アルキル)から選択される;
但し、Yがハロのとき、RおよびRの両方が同時に水素になることはない。
【0022】
式Iの他の実施態様では、Rは、水素、ハロ、OCF、CN、CFまたはT−Arである;ここで、T、Arおよび他の変数は、上で定義したとおりである。
【0023】
本発明の化合物は、国際PCT公開WO01/42216の属にわたる選択肢を提示し、その全開示内容は、本明細書中で参考として援用されている。具体的には、本発明の化合物は、アポトーシスを阻害しおよび/または活性化した細胞からのIl−1βの放出を阻害する予想外の驚くべき性能を有する。
【0024】
好ましい実施態様によれば、式IのRは、エチル、n−プロピルまたはイソプロピルである。
【0025】
さらに好ましい実施態様によれば、式IのRは、エチルである。
【0026】
さらにより好ましい実施態様によれば、式IのRは、(S)−エチルである。
【0027】
好ましい実施態様によれば、式IのRは、水素である。
【0028】
好ましい実施態様によれば、式IのYは、F、トリフルオロフェノキシまたはテトラフルオロフェノキシである。
【0029】
他の好ましい実施態様によれば、本発明は、式IAの化合物を提供する:
【0030】
【化14】

ここで:
は、エチル、n−プロピルまたはイソプロピルである;そして
およびRは、それぞれ別個に、水素、ハロ、OCF、CN、CFまたはArであるが、但し、RおよびRの両方が同時に水素になることはない;
Arは、フェニル環であり、該フェニル環は、必要に応じて、ハロ、CH、CF、CN、OMe、OCFおよびNRから選択される1個〜3個の基で置換されている;そして
およびRは、それぞれ別個に、HまたはC1〜6直鎖または分枝アルキルであるか、またはRおよびRは、一緒になって、5〜7員環を形成し、該環は、必要に応じて、3個までのヘテロ原子を含有し、該ヘテロ原子は、O、S、NHおよびN(C1〜6直鎖または分枝アルキル)から選択される;
式IAの別の実施態様によれば、RおよびRは、それぞれ別個に、水素、ハロ、OCF、CNまたはCFであるが、但し、RおよびRの両方が同時に水素になることはない;そしてRは、式IAについて上で定義したとおりである。
【0031】
好ましい実施態様によれば、式IAの化合物のRは、エチルである。
【0032】
さらに好ましい実施態様によれば、式IAのRは、(S)−エチルである。
【0033】
別の好ましい実施態様によれば、式IAの化合物のRは、イソプロピルである。
【0034】
好ましい実施態様によれば、式IAの化合物のRは、水素である。
【0035】
好ましい実施態様によれば、式IAの化合物のRは、F、Cl、CN、ArまたはCFである。
【0036】
さらに好ましい実施態様によれば、式IAの化合物のRは、Clである。
【0037】
別のさらに好ましい実施態様によれば、式IAの化合物のRは、CFである。
【0038】
別の好ましい実施態様によれば、式IAの化合物のRは、水素であり、そしてRは、F、Cl、CN、ArまたはCFである。
【0039】
別の好ましい実施態様によれば、式IAの化合物のRは、水素であり、そしてRは、Clである。
【0040】
別の好ましい実施態様によれば、式IAの化合物のRは、水素であり、そしてRは、CFである。
【0041】
別の好ましい実施態様によれば、式IAの化合物のRは、水素であり、そしてRは、Arである。
【0042】
別の好ましい実施態様によれば、本発明は、式IBの化合物を提供する:
【0043】
【化15】

ここで:
Xは、CHまたはNである;
は、エチル、n−プロピルまたはイソプロピルである;
およびRは、それぞれ別個に、水素、ハロ、OCF、CNまたはCFである;そして
Arは、トリフルオロフェニルまたはテトラフルオロフェニルである。
【0044】
好ましい実施態様によれば、式IBの化合物のArは、2,3,5,6−テトラフルオロフェニルである。
【0045】
好ましい実施態様によれば、式IBの化合物のRは、エチルである。
【0046】
さらに好ましい実施態様によれば、式IBの化合物のRは、(S)−エチルである。
【0047】
好ましい実施態様によれば、式IBの化合物のXは、CHである。
【0048】
好ましい実施態様によれば、式IBの化合物のRは、水素である。
【0049】
好ましい実施態様によれば、式IBの化合物のRは、F、ClまたはCFである。
【0050】
さらに好ましい実施態様によれば、式IBの化合物のRは、Clである。
【0051】
さらに好ましい実施態様によれば、式IBの化合物のRは、CFである。
【0052】
好ましい実施態様によれば、式IBの化合物のRは、水素であり、そしてRは、F、ClまたはCFである。
【0053】
別の好ましい実施態様によれば、式IBの化合物のArは、2,3,5,6−テトラフルオロフェニルであり、Rは、水素であり、そしてRは、Clである。
【0054】
別の好ましい実施態様によれば、本発明は、式ICの化合物を提供する:
【0055】
【化16】

ここで:
は、エチル、n−プロピルまたはイソプロピルである;
は、水素、ハロ、OCF、CNまたはCFである;
は、ハロ、OCF、CN、CF、SRまたはT−Arである;
Tは、OまたはSである;
Rは、C1〜6直鎖または分枝アルキルである;
Arは、フェニル環であり、該フェニル環は、必要に応じて、ハロ、CH、CF、CN、OMe、OCFおよびNRから選択される1個〜3個の基で置換されている;そして
およびRは、それぞれ別個に、HまたはC1〜6直鎖もしくは分枝アルキルであるか、あるいはRおよびRは、一緒になって、5〜7員環を形成し、該環は、必要に応じて、3個までのヘテロ原子を含有し、該ヘテロ原子は、O、S、NHおよびN(C1〜6直鎖または分枝アルキル)である。
【0056】
式ICの化合物の好ましい実施態様によれば、Rは、T−Arである。
【0057】
好ましい実施態様によれば、式ICの化合物のRは、エチルである。
【0058】
さらに好ましい実施態様によれば、式ICの化合物のRは、(S)−エチルである。
【0059】
好ましい実施態様によれば、式ICの化合物のRは、水素である。
【0060】
好ましい実施態様によれば、式ICの化合物のRは、F、Cl、CNまたはCFである。
【0061】
さらに好ましい実施態様によれば、式ICの化合物のRは、Clである。
【0062】
好ましい実施態様によれば、式ICの化合物のTは、Oである。
【0063】
好ましい実施態様によれば、式ICの化合物のArは、存在する場合、必要に応じて、CFまたはハロ(好ましくは、このハロは、クロロまたはフルオロである)で置換されている。
【0064】
本明細書中で使用する「C1〜6」は、1個、2個、3個、4個、5個または6個の炭素原子(またはそれを置換した任意のヘテロ原子)が存在していることを意味する。
【0065】
さらに好ましい実施態様によれば、本発明は、以下の表1から選択される式Iの化合物を提供する:
(表1)
【0066】
【化17】

【0067】
【化18】

別の実施態様によれば、本発明は、以下を含有する薬学的組成物を提供する:
a)上で定義した式Iの化合物またはそれらの薬学的に受容可能な塩;および
b)薬学的に受容可能なキャリア、アジュバントまたはビヒクル。
【0068】
好ましい実施態様によれば、本発明の薬学的組成物は、以下を含有する:
a)式IA、式IBまたは式ICの化合物;および
b)薬学的に受容可能なキャリア、アジュバントまたはビヒクル。
【0069】
さらに好ましい実施態様によれば、本発明の薬学的組成物は、上記表1から選択される化合物を含有する。
【0070】
本発明の化合物は、溶液中にて、開放形状1または環化ヘミケタール形状2のいずれかで存在し得る。いずれかの異性体形状の本明細書中での描写は、他方を含むことを意味する。
【0071】
【化19】

本発明の特定の化合物が互変異性形状または水和形状で存在し得ることは当業者に明らかであり、これらの化合物のこのような形状の全ては、本発明の範囲内である。他に述べられていなければ、本明細書中で描写した構造はまた、その構造の全ての立体化学形状(すなわち、各非対称中心のR配置およびS配置)を含むことを意味している。従って、本発明の化合物の単一の立体化学的異性体だけでなく、鏡像異性体およびジアステレオマーの混合物もまた、本発明の範囲内である。他に述べられていなければ、本明細書中で描写した構造はまた、1個またはそれ以上の同位体に富んだ原子の存在だけが異なる化合物を含むことを意味する。例えば、水素を重水素または三重水素と交換するか、あるいは、炭素を13Cまたは14Cに富んだ炭素と交換すること以外は本発明の構造を有する化合物は、本発明の範囲内である。
【0072】
本発明の化合物は、一般に、類似の化合物について当業者に公知の方法により、調製され得る。本発明の化合物の合成経路は、一般的に、WO01/42216で記述されている。例示の目的のために、本発明の化合物を合成するための以下のスキームI〜IVを提供する。
【0073】
(スキームI)
【0074】
【化20】

試薬:(a)EDC/DMAP/HOBt/THF;(b)Dess−Martin過ヨージナン(periodinane);(c)TFA/DCM
上記スキームIにて、以下の略語を使用する:EDCは、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミドである;HOBtは、1−ヒドロキシベンゾトリアゾールである;THFは、テトラヒドロフランである;TFAは、トリフルオロ酢酸である;DCMは、ジクロロメタンである;DMAPは、4−ジメチルアミノピリジンである。酸AをアミノアルコールBとカップリングして、アミドCを得る。化合物C中の水酸基を酸化して、ケトンを得、続いて、その第三級ブチルエステルを酸加水分解して、遊離酸として、I’を得る。
【0075】
フルオロメチルケトン(ここで、CHYは、CHFである)の場合、アミノアルコールBは、Reveszら、Tetrahedron Lett.35,9693(1994)の方法に従って、得ることができる。フルオロ置換フェノキシケトン(ここで、CHYのYは、2,3,5,6−テトラフルオロフェノキシ、2,4,6−トリフルオロフェノキシまたは2,3,6−トリフルオロフェノキシである)の場合、アミノアルコールBは、Sempleら、Bioorganic and Medicinal Chemistry Letters,7,1337(1997)(スキームII)の方法と類似の方法により、得ることができる。
【0076】
(スキームII)
【0077】
【化21】

試薬:(a)KF/DMF/ArOH;(b)NaBH/THF;(c)H/Pd/C/MeOH。
【0078】
上記スキームIIでは、以下の略語を使用する:KFは、フッ化カリウムである;DMFは、N,N−ジメチルホルムアミドである;ArOHは、2,3,5,6−テトラフルオロフェノール、2,4,6−トリフルオロフェノールまたは2,3,6−トリフルオロフェノールのいずれかである;THFは、テトラヒドロフランである;MeOHは、メタノールである。市販のブロモケトンDを、適切に置換したフルオロフェノールおよびフッ化カリウムと反応させて、フェノキシケトンEを得る。次いで、このケトンをホウ水素化ナトリウムで還元して、アルコールFを得、これを、触媒として炭素上のパラジウムを使用して水素化して、アミノアルコールB’(Ar=フルオロ置換フェニルである)を得る。
【0079】
(スキームIII)
【0080】
【化22】

試薬:(a)加熱;(b)濃HCl/IPA;(c)TFA/DCM。
【0081】
上記スキームIIIでは、以下の略語を使用する:IPAは、イソプロピルアルコールである;TFAは、トリフルオロ酢酸であり、そしてDCMは、ジクロロメタンである。イソキノリン−1−オン酸誘導体(式Iにて、X=C)は、スキームIIIで示した合成手順を使用して、キラル形状で調製できる。出発物質であるイソクマリンGは、特に明記しない限り、Narasimhanら、Synthesis,797(1975)およびMargarethaら、Tetrahedron 56,6763(2000)と類似の方法により、調製される。イソクマリンGを、まず、市販の(S)−2−アミノ酪酸第三級ブチルエステルと共に、加熱する。得られた化合物を、イソプロパノール中にて、濃塩酸と反応させて、イソキノリン−1−オン第三級ブチルエステルを得、これを、トリフルオロ酢酸を使用して脱保護して、酸Hを得る。次いで、この酸をアミノアルコールBとカップリングする(スキームI)。
【0082】
(スキームIV)
【0083】
【化23】

試薬:(a)LiOH/THF/HO;(b)(S)−2−アミノ酪酸第三級ブチルエステル/EDC/HOBt/DMAP/THF;(c)SnCl/MeOH;(d)オルトギ酸トリメチル/AcOH/還流;(e)TFA/DCM;(f)R−TH/KCO/DMF。
【0084】
上記スキームIVでは、以下の略語を使用する:AcOHは、酢酸であり、そしてR−THは、2−クロロフェノール、3−クロロフェノール、3−フルオロフェノールまたは2,4−ジクロロフェノールまたは、チオフェノールまたは3−フルオロチオフェノールであり得る。(4−オキソ−4H−キナゾリン−3−イル)酸誘導体A(X=N)は、Makinoら、Synlett,11,1670(2000)と類似の方法を使用して、キラル形状で調製される。市販の5−クロロ−2−ニトロ安息香酸メチルエステルJを、水酸化リチウムを使用して酸に加水分解し、得られた酸を市販の(S)−2−アミノ酪酸第三級ブチルエステルとカップリングして、アミドKを得る。そのニトロ基を塩化スズ(II)を使用して還元し、続いて、オルトギ酸トリメチルと酸触媒シクロ縮合すると、そのキナゾリンが得られ、これを、トリフルオロ酢酸で脱保護して、4−オキソ−4H−キナゾリン−3−イル酸Lを得る。次いで、この酸をアミノアルコールBとカップリングする(スキームI)。あるいは、5−クロロ−2−ニトロ安息香酸メチルエステルJは、DMF中にて炭酸カリウムと共に加熱することにより、適切に置換したフェノールまたはチオフェノールと反応でき、対応する6−フェノキシ(Y=O)誘導体または6−フェニルスルファニル(Y=S)誘導体が得られる。水酸化リチウムで処理すると、酸Mが得られ、これは、さらに生成でき(スキームIV、工程b〜e)、4−オキソ−4H−キナゾリン−3−イル酸Nが得られ、これを、次いで、先に記述したようにして、アミノアルコールBとカップリングする。また、2−ニトロ安息香酸は、類似の様式で生成され得、非置換4−オキソ−4H−キナゾリン−3−イル酸が得られる。
【0085】
従って、本発明の1局面は、式Iの化合物を調製する一般方法に関し、該方法は、以下の工程を包含する:式IIの酸または酸誘導体と、
【0086】
【化24】

式Bのアミノアルコールとを反応させて、式IIIの化合物を得る工程;
【0087】
【化25】

および中間体IIIを化合物Iに変換する工程であって、ここで;Rは、適切な保護基であり、そしてY、X、R、RおよびRは、本明細書中の実施態様のいずれかで記述したとおりである。適切な保護基は、当業者に公知である(例えば、「Protective Groups in Organic Synthesis」、第3版、Greene,T.W.およびWuts,P.G.著、John Wiley & Sons,New York:1999を参照;その全内容は、本明細書中で参考として援用されている)。好ましくは、RはC1〜6直鎖または分枝アルキルである。より好ましくは、Rはt−ブチルである。
【0088】
式IIの化合物と式Bの化合物とは、アミノ化合物と酸化合物とをカップリングする任意の条件下にて、反応され得る。このような条件は、当業者に周知である。好ましいカップリング条件には、本明細書中のスキームおよび実施例で記述したものがある。
【0089】
式IIIの化合物は、水酸基をカルボニル基に変換し保護酸を遊離酸に変換する任意の条件下にて、式Iの化合物に変換され得る。このような条件は、当業者に周知である。水酸基からカルボニル基を調製する好ましい条件には、本明細書中のスキームおよび実施例で記述した酸化条件がある。Rがt−ブチルである場合の保護した酸を脱保護する好ましい条件には、本明細書中のスキームおよび実施例で記述した加水分解条件がある。
【0090】
この方法は、本発明のキラル化合物(ここで、炭素を有するR置換基は、立体化学的に補強されている)を調製するのに、特に有用である。以下で例示するように(例えば、実施例1〜22を参照)、式IIの中間体酸または酸誘導体は、キラル形状で得ることができる。これは、キナゾリン−4−オン(ここで、Xは、窒素である)(例えば、実施例5〜8、12〜18、20および22を参照)について、そして、イソキノリン−1−オン(ここで、Xは、CHである)(例えば、実施例1〜4、9〜11、19および21を参照)について、本明細書中で例示されている。IIおよびBをカップリングしてIIIを得ることは、任意の適当な方法に従って、実行され得る。IIIを変換してIを得ることは、本明細書中で記述したようにして、または当業者によく知られている他の方法に従って、実行され得る。
【0091】
IIのある種のキラル中間体は、本発明の化合物を調製する方法で、有用である。好ましい中間体は、化合物IIAにより表される:
【0092】
【化26】

ここで、X、R、RおよびRは、本明細書中の実施態様のいずれかについて記述したとおりである。
【0093】
式IIおよびIIAの化合物のさらに好ましい実施態様によれば、Rは、エチルまたはイソプロピルである。
【0094】
本発明の化合物を、それらがアポトーシスを阻害する性能、IL−1βまたはカスパーゼ活性の直接的な放出について、アッセイできる。これらの活性の各々についてのアッセイは、当該技術分野で公知であり、そして実施例23〜25にて、以下で詳細に記述されている。
【0095】
本発明の化合物の薬学的に受容可能な塩が、これらの組成物中で使用されるなら、それらの塩は、好ましくは、有機または無機の酸および塩基から誘導される。このような酸性塩には、以下が挙げられる:酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、重硫酸塩、酪酸塩、クエン酸塩、ショウノウ酸塩、ショウノウスルホン塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、フマル酸塩、グルコヘプタン酸塩、グリセロリン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシエタンスルホン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、メタンスルホン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、シュウ酸塩、パモエート、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3−フェニルプロピオン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、トシレートおよびウンデカン酸塩。塩基性塩には、アンモニウム塩、アルカリ金属塩(例えば、ナトリウム塩およびカリウム塩)、アルカリ土類金属塩(例えば、カルシウム塩およびマグネシウム塩)、有機塩基を有する塩(例えば、ジシクロヘキシルアミン塩)、N−メチル−D−グルカミン、およびアミノ酸(例えば、アルギニン、リシン)を有する塩などが挙げられる。
【0096】
また、この塩基性窒素含有基は、低級アルキルハロゲン化物(例えば、塩化、臭化およびヨウ化メチル、エチル、プロピル、およびブチル);硫酸ジアルキル(例えば、硫酸ジメチル、硫酸ジエチル、硫酸ジブチルおよび硫酸ジアミル);長鎖ハロゲン化物(例えば、塩化、臭化およびヨウ化デシル、ラウリル、ミリスチルおよびステアリル)、ハロゲン化アラルキル(例えば、臭化ベンジルおよび臭化フェネチル)などのような試薬で四級化できる。それにより、水溶性もしくは油溶性または水分散性もしくは油分散性の生成物が得られる。
【0097】
本発明の組成物および方法で使用する化合物はまた、選択的な生体特性を高める適当な官能性を付加することにより、変性され得る。このような変性は、当該技術分野で公知であり、所定の生体系(例えば、血液、リンパ系、中枢神経系)への生体貫入を高めること、経口利用可能性を高めること、注射による投与ができるように溶解性を高めること、代謝を変えることおよび排出速度を変えることを含む。
【0098】
これらの組成物で使用され得る薬学的に受容可能なキャリアには、イオン交換体、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、血清タンパク(例えば、ヒト血清アルブミン)、緩衝液基質(例えば、リン酸塩)、グリシン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、飽和植物性脂肪酸の部分グリセリド混合物、水、塩または電解質(例えば、硫酸プロタミン)、リン酸二ナトリウム水素、リン酸カリウム水素、塩化ナトリウム、亜鉛塩、コロイド状シリカ、三ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、セルロースベースの基質、ポリエチレングリコール、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ポリアクリル酸塩、ワックス、ポリエチレン−ポリオキシプロピレンブロック重合体、ポリエチレングリコールおよび羊毛脂が挙げられるが、これらに限定されない。
【0099】
好ましい実施態様によれば、本発明の組成物は、哺乳動物(好ましくは、ヒト)に薬学的投与するために製剤される。
【0100】
本発明のこのような薬学的組成物は、経口的、非経口的、吸入スプレーにより、局所的、経直腸的、経鼻的、経頬的、経膣的、あるいは移植されたレザバを介して、投与され得る。本明細書中で使用する「非経口」との用語は、皮下、静脈内、筋肉内、関節内、滑液内、胸骨内、骨膜内、肝臓内、病巣内および頭蓋内の注射あるいは注入技術を含む。好ましくは、これらの組成物は、経口的または静脈内に投与される。本発明にのこの組成物の、無菌の注射可能な形状は、水性懸濁液または油性懸濁液として、無菌の注射可能な製剤の形状であり得る。ここで使用する「非経口的」との用語は、皮下、皮内、静脈内、筋肉内、関節内、滑液内、胸骨内、鞘内、病巣内および頭蓋内の注射方法または注入方法を含む。好ましくは、これらの組成物は、経口的または静脈内で、投与される。
【0101】
本発明の組成物の無菌の注射可能な形状は、水性または油性の懸濁液であり得る。これらの懸濁液は、適当な分散剤または湿潤剤および懸濁剤を用いて、当該技術分野で公知の方法に従って、製剤され得る。この無菌の注射可能な製剤はまた、例えば、1,3−ブタノール中の溶液として、非毒性の非経口的に受容可能な希釈剤または溶媒中の無菌の注射可能な溶液または懸濁液であり得る。使用され得る受容可能な賦形剤および溶媒には、水、リンガー溶液および等張性塩化ナトリウム溶液がある。さらに、従来、溶媒または懸濁媒体として、無菌の固定油が使用されている。この目的には、いずれかのブランドの固定油が使用され得、これには、合成のモノグリセリドまたはジグリセリドが含まれる。脂肪酸(例えば、オレイン酸)およびそのグリセリド誘導体は、天然の薬学的に受容可能なオイル(例えば、オリーブ油またはひまし油、特に、それらのポリオキシエチレン化した型)と同様に、注射可能物の調製に有用である。これらのオイル溶液または懸濁液はまた、長鎖アルコール希釈剤または分散剤(例えば、カルボキシメチルセルロースまたは類似の分散剤(これらは、通例、乳濁液および懸濁液を含有する薬学的に受容可能な投薬形態の製剤で、使用される))を含有し得る。他の一般に使用される界面活性剤(例えば、Tweens、Spanおよび他の乳化剤または生体利用能向上剤(これらは、通例、薬学的に受容可能な固体、液体または他の投薬形態の製造で使用される))もまた、この製剤目的に使用され得る。
【0102】
本発明の薬学的組成物は、任意の経口的に受容可能な投薬形態(これにはカプセル、錠剤、水性懸濁液または溶液が挙げられるが、これらに限定されない)で経口投与され得る。経口用途の錠剤の場合、通常使用されるキャリアには、ラクトースおよびコーンスターチが挙げられる。ステアリン酸マグネシウムのような潤滑剤もまた、典型的には、添加される。カプセル形態での経口投与のために有用な希釈剤には、ラクトースおよび乾燥コーンスターチが挙げられる。水性懸濁液が経口投与のために必要とされる場合には、活性成分は乳化剤および懸濁剤と組み合わされる。所望であれば、特定の甘味剤、香味料または着色剤が添加され得る。
【0103】
他方、本発明の薬学的組成物は、直腸投与用の座剤の形状で、投与され得る。これらは、この試薬と、適当な非刺激性の賦形剤(これは、室温で固体であるが、直腸温度では液体であり、従って、直腸で融けて薬物を放出する)とを混合することにより、調製できる。このような物質には、ココアバター、密ろうおよびポリエチレングリコールが挙げられる。
【0104】
本発明の薬学的組成物はまた、特に、治療の標的が、局所的な適用により容易にアクセスできる領域または器官(目、皮膚または下部腸道の疾患を含めて)を包含する場合、局所的に投与され得る。これらの領域または器官のそれぞれに適当な局所製剤は、容易に調製される。
【0105】
下部腸道に対する局所適用は、直腸座剤製剤(上記)により、または適当な浣腸製剤にて、行なうことができる。局所的な皮膚間パッチもまた、使用され得る。
【0106】
局所的に適用するためには、この薬学的組成物は、1種またはそれ以上のキャリアに懸濁するかまたは溶解した活性成分を含む適当な軟膏で、製剤され得る。本発明の化合物の局所投与用のキャリアには、鉱油、液状石油、白色鉱油、プロピレングリコール、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン化合物、乳化ワックスおよび水が挙げられるが、これらに限定されない。他方、この薬学的組成物は、1種またはそれ以上の薬学的に受容可能なキャリアに懸濁するかまたは溶解した活性化合物を含む適当なローションまたはクリームで製剤できる。適当なキャリアには、鉱油、ソルビタンモノステアレート、ポリソルベート60、セチルエステルワックス、セテアリールアルコール、2−オクチルドデカノール、ベンジルアルコールおよび水が挙げられるが、これらに限定されない。
【0107】
眼科用途には、この薬学的組成物は、防腐剤(例えば、ベンジルアルコニウムクロライド)と共にまたはそれなしで、pHを調整したアイソトニック無菌生理食塩水の微細化懸濁液として、または、好ましくは、pHを調整したアイソトニック無菌生理食塩水の溶液として、製剤され得る。他方、眼科用途には、この薬学的組成物は、軟膏(例えば、ペトロラタム)に製剤され得る。
【0108】
本発明の薬学的組成物はまた、鼻エアロゾルまたは鼻吸入により、投与できる。このような組成物は、製薬製剤の当該技術分野で周知の技術に従って、調製され、生理食塩水中の溶液として、ベンジルアルコールまたは他の適当な防腐剤、生体利用能を高めるための吸収促進剤、フルオロカーボン、および/または他の通常の可溶化剤または分散剤を使用して、調製され得る。
【0109】
上記組成物は、IL−1媒介疾患、アポトーシス媒介疾患、炎症性疾患、自己免疫性疾患、破壊性骨障害、増殖性障害、感染症疾患、変性疾患、細胞死に関する疾患、過剰な食用アルコール摂取疾患、ウイルス媒介疾患、腎疾患、ブドウ膜炎、炎症性腹膜炎、骨関節炎、膵炎、喘息、成人性呼吸窮迫症候群、糸球体腎炎、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、硬皮症、慢性甲状腺炎、グレーヴス病、自己免疫性胃炎、糖尿病、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性好中球減少症、血小板減少症、慢性活性肝炎、重症筋無力症、炎症性腸疾患、クローン病、乾癬、アトピー性皮膚炎、瘢痕、移植片対宿主病、臓器移植拒絶反応、火傷後臓器アポトーシス、骨粗鬆症、白血病および関連疾患、脊髄形成異常症候群、多発性骨髄腫関連骨障害、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、転移性メラノーマ、カポジ肉腫、多発性骨髄腫、出血性ショック、敗血症、敗血症ショック、火傷、細菌性赤痢、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン舞踏病、ケネディ病、プリオン病、脳虚血、癲癇、心筋虚血、急性および慢性心臓病、心筋梗塞、鬱血性心不全、アテローム性動脈硬化症、冠状動脈バイパス移植、脊椎筋萎縮症、筋萎縮性側索硬化症、多発性硬化症、HIV関連脳炎、老化、脱毛症、脳卒中による神経学的損傷、潰瘍性大腸炎、外傷性脳傷害、脊髄傷害、B型肝炎、C型肝炎、G型肝炎、黄熱病、デング熱または脳炎、種々の形態の肝臓病、腎臓病、多嚢胞性腎臓病、H幽門関連胃潰瘍および十二指腸潰瘍、HIV感染、結核、種々の形態の癌治療用の免疫療法、臓器不全、および髄膜炎に関連した治療用途で、特に有用である。これらの化合物および組成物はまた、冠状動脈バイパス移植に関連した合併症の治療で有用である。上記組成物中に存在する化合物の量は、当該分野で公知の任意のアッセイによって測定されるような、疾患の重篤度、またはカスパーゼ活性および/または細胞アポトーシスの検出可能な減少を引き起こすのに十分であるべきである。
【0110】
他の実施態様によれば、本発明の組成物は、さらに、他の治療剤を含有する。このような治療剤には、血栓溶解剤(例えば、組織プラスミノーゲン活性剤およびストレプトキナーゼ)が挙げられるが、これらに限定されない。第二の試薬を使用する場合、この第二の試薬は、別の投薬形態として、または本発明の化合物または組成物との単一投薬形態の一部として、いずれかで投与され得る。この化合物および追加薬剤の両方は、単独療法レジメンで通常投与される投薬量の10〜100%の間、より好ましくは、約10〜80%の間の投薬レベルで、存在すべきである。
【0111】
任意の特定の患者に対する特定の投薬量および治療レジメンは、種々の要因に依存し、これには、使用する特定の化合物の活性、その患者の年齢、体重、一般的な健康状態、性別および常食、この化合物の投与時間、排泄の割合、特定の薬剤の組合せ、および治療する医師の判断および治療すべき特定の疾患の発病度が含まれることも、当然理解できるはずである。活性成分の量はまた、組成物中の特定の化合物および他の治療剤(存在する場合)に依存する。
【0112】
ある実施態様では、本発明の化合物は、所望の治療効果を得るために、1日1回またはそれ以上にわたって、1日あたり、被験体の体重1kgあたり、約0.01mg/kg〜約50mg/kg、好ましくは、約1mg/kg〜約25mg/kgの投薬レベルで、経口または非経口的に投与され得る。
【0113】
好ましい実施態様では、本発明は、前記疾患の1つに罹った哺乳動物を治療する方法を提供し、該方法は、該哺乳動物に、上記薬学的に受容可能な組成物を前記哺乳動物に投与する工程を包含する。この実施態様では、もし、患者に別の治療薬またはカスパーゼインヒビターも投与するなら、それは、単一投薬形態で、または別個の投薬形態として、本発明の化合物と共に送達され得る。別個の投薬形態として投与するとき、他のカスパーゼインヒビターまたは薬剤は、本発明の化合物を含有する薬学的に受容可能な組成物の投与前、投与と同時または投与後に、投与され得る。
【0114】
本発明の化合物またはそれらの薬学的に受容可能な組成物はまた、移植可能医療デバイス(例えば、補綴物、人工弁、血管移植片、ステントおよカテーテル)を被覆する組成物に取り込まれ得る。従って、本発明は、別の局面では、移植可能デバイスを被覆する組成物を包含し、該組成物は、本明細書中のクラスおよびサブクラスで上で一般に記述した本発明の化合物と、該移植可能デバイスを被覆するのに適当なキャリアとを含有する。さらに別の局面では、本発明は、移植可能デバイスを包含し、該移植可能デバイスは、本明細書中のクラスおよびサブクラスで上で一般に記述した本発明の化合物と該移植可能デバイスを被覆するのに適当なキャリアとを含有する組成物で被覆されている。
【0115】
本発明の別の局面は、生体試料または患者のカスパーゼ活性を阻害する方法に関し、該方法は、式Iの化合物または該化合物を含有する組成物を、該患者に投与するかまたは該生体試料と接触させる工程を包含する。本明細書中で使用する「生体試料」との用語は、細胞培養物またはそれらの抽出物;哺乳動物またはその抽出物から得られる生検材料;および血液、唾液、尿、糞便、精液、涙液、または他の体液またはそれらの抽出物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0116】
生体試料でのカスパーゼ活性の阻害は、当業者に公知の種々の目的のために有用である。このような目的の例には、輸血、臓器移植、生体試料の保存および生物検定が挙げられるが、これらに限定されない。
【0117】
本発明の化合物はまた、臓器移植で必要とされ得るような細胞を保存する方法、または血液産物を保存する方法に有用である。カスパーゼインヒビターの同様の用途は、Schierleら、Nature Medicine,5,97(1999)で報告されている。この方法は、このカスパーゼインヒビターを含有する溶液で保存される細胞または組織を処置する工程を包含する。必要なカスパーゼインヒビターの量は、所定細胞型に対するそのインヒビターの有効性および細胞をアポトーシス細胞死から保護するのに必要な時間の長さに依存している。
【0118】
本発明をさらに十分に理解するために、以下の調製および試験実施例を示す。これらの実施例は、例示の目的だけのものであり、いずれの様式でも、本発明の範囲を限定するものとして解釈すべきではないことが理解できるはずである。
【実施例】
【0119】
(実施例1)
((S)−3−[2−(7−クロロ−1−オキソ−1H−イソキノリン−2−イル)−ブチリルアミノ]−5−フルオロ−4−オキソ−ペンタン酸)
【0120】
【化27】

方法A:
5−クロロ−2(2−メトキシビニル)−安息香酸
【0121】
【化28】

ジエチルエーテル(200ml)および第三級ブタノール(50ml)の混合物中の塩化メトキシメチルトリフェニルホスホニウム(39g)の冷却(0℃)スラリーに、カリウム第三級ブトキシド(12.8g)を滴下した。得られた混合物を、0℃で、1時間攪拌し、次いで、15分間にわたって、2−ホルミル−5−クロロ安息香酸(これは、J.Org.Chem.61,3402(1996)で記述のようにして調製した)(10g)のジエチルエーテル(50ml)溶液を滴下した。得られた混合物を、0℃で、1時間攪拌し、次いで、室温まで温め、さらに90分間攪拌した。この混合物を水(200ml)で希釈し、その有機相を除去した。その水相を1M HClでpH1まで酸性化し、そして酢酸エチル(3×50ml)で抽出した。合わせた抽出物をブラインで洗浄し、乾燥し(硫酸マグネシウム)、濾過し、そして濃縮した。その残留物をフラッシュクロマトグラフィー(50%酢酸エチル/ヘキサン)で精製して、黄色固形物(9.13g、80%)として、副題化合物を得た。
【0122】
【化29】

方法B:
7−クロロ−イソクロメン−1−オン
【0123】
【化30】

5−クロロ−2(2−メトキシビニル)−安息香酸(4.43g)に、0℃で、濃硫酸(15ml)を加えた。その混合物を2時間攪拌し、次いで、氷/水で希釈した。その生成物を酢酸エチル(3×l5ml)で抽出し、そして合わせた抽出物を飽和炭酸水素ナトリウムで洗浄した。その溶液を乾燥し(硫酸マグネシウム)、濾過し、そして濃縮した。その残留物をフラッシュクロマトグラフィー(0〜5%酢酸エチル/ヘキサン)で精製して、白色固形物(3.04g、81%)として、副題化合物を得た。
【0124】
【化31】

方法C:
(S)−2−[3−(1−第三級ブトキシカルボニル−プロピルアミノ)−7−クロロ−1−オキソ−3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル]−酪酸第三級ブチルエステル
【0125】
【化32】

7−クロロ−イソクロメン−1−オン(10g)および(S)−2−アミノ酪酸第三級ブチルエステル(22g)の混合物を、85℃で、24時間加熱した。次いで、この混合物を冷却し、そしてフラッシュクロマトグラフィー(5〜25%酢酸エチル/ヘキサン)で精製して、黄色オイル(17.1g、64%)として、副題化合物を得た。
【0126】
【化33】

方法D:
(S)−2−(7−クロロ−1−オキソ−1H−イソキノリン−2−イル)−酪酸第三級ブチルエステル
【0127】
【化34】

2−[3−(1−第三級ブトキシカルボニル−プロピルアミノ)−7−クロロ−1−オキソ−3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル]−酪酸第三級ブチルエステル(8.58g)のイソプロパノール(180ml)攪拌溶液に、0℃で、濃塩酸(20ml)を加えた。得られた混合物を室温まで温め、そして18時間攪拌した。次いで、この混合物を酢酸エチル(500ml)および水(150ml)で希釈した。その有機相を分離し、そして水に次いでブラインで洗浄し、乾燥し(硫酸マグネシウム)、濾過し、そして濃縮した。黄色固形物(5.57g、97%)として、副題生成物を得た。
【0128】
【化35】

方法E:
(S)−2−(7−クロロ−1−オキソ−1H−イソキノリン−2−イル)−酪酸
【0129】
【化36】

(S)−2−(7−クロロ−1−オキソ−1H−イソキノリン−2−イル)−酪酸第三級ブチルエステル(322mg)のジクロロメタン(14ml)溶液を、0℃まで冷却した。トリフルオロ酢酸(3.5ml)を加え、得られた混合物を室温まで温め、そして2時間攪拌した。次いで、この混合物を減圧下にて濃縮し、その残留物をジクロロメタンに再溶解した。過剰のトリフルオロ酢酸を除去するために、このプロセスを数回繰り返した。得られた固形物をジエチルエーテルでスラリー化し、濾過し、そしてさらに多くのジエチルエーテルで洗浄した。次いで、この固形物を、真空下にて、一定重量まで乾燥した。これにより、白色固形物(236mg、89%)として、副題生成物が得られた。
【0130】
【化37】

方法F:
(S)−3−[2−(7−クロロ−1−オキソ−1H−イソキン−2−イル)−ブチリルアミノ]−5−フルオロ−4−ヒドロキシ−ペンタン酸第三級ブチルエステル
【0131】
【化38】

(S)−2−(7−クロロ−1−オキソ−1H−イソキノリン−2−イル)−酪酸(15g)、3−アミノ−5−フルオロ−4−ヒドロキシ−ペンタン酸第三級ブチルエステル(これは、Tetrahedron Lett.35、9693(1994)で記述のようにして、調製した)(12.9g)、HOBt(8.4g)、DMAP(7.2g)およびTHF(450ml)の攪拌混合物を0℃まで冷却し、次いで、EDC(11.9g)を加えた。この混合物を16時間にわたって室温まで温め、次いで、減圧下にて濃縮した。その残留物をフラッシュクロマトグラフィー(30〜60%酢酸エチル/ヘキサン)で精製して、白色発泡体(24.6g、96%)として、副題化合物を得た。
【0132】
【化39】

方法G:
(S)−3−[2−(7−クロロ−1−オキソ−1H−イソキン−2−イル)−ブチリルアミノ]−5−フルオロ−4−オキソ−ペンタン酸第三級ブチルエステル
【0133】
【化40】

3−[2−(7−クロロ−1−オキソ−1H−イソキン−2−イル)−ブチリルアミノ]−5−フルオロ−4−ヒドロキシ−ペンタン酸第三級ブチルエステル(47.8g)の無水DCM(1.2L)攪拌溶液を、0℃で、1,1,1−トリアセトキシ−1,1−ジヒドロ−1,2−ベンズヨードキソール(benziodoxol)−3(1H)−オン(53.5g)で処理した。得られた混合物を、0℃で、2時間保持し、酢酸エチルで希釈し、次いで、炭酸水素ナトリウム飽和水溶液およびチオ硫酸ナトリウム飽和水溶液の1:1混合物に注いだ。その有機層を除去し、その水層を酢酸エチルで再抽出した。合わせた有機抽出物を乾燥し(硫酸マグネシウム)、濾過し、そして濃縮した。その残留物をフラッシュクロマトグラフィー(20〜40%酢酸エチル/ヘキサン)で精製して、白色固形物(41.9g、88%)として、副題化合物を得た。
【0134】
【化41】

(S)−3−[2−(7−クロロ−1−オキソ−1H−イソキノリン−2−イル)−ブチリルアミノ]−5−フルオロ−4−オキソ−ペンタン酸
【0135】
【化42】

これは、方法Eで記述した手順と類似の手順を使用して、調製した。その生成物を、白色固形物(98%)として、単離した。
【0136】
【化43−1】

【0137】
【化43−2】

(実施例2)
(S)−3−[2−(7−トリフルオロメチル−1−オキソ−1H−イソキノリン−2−イル)−ブチリルアミノ]−5−フルオロ−4−オキソ−ペンタン酸
【0138】
【化44】

これは、方法A〜Gで記述した手順と類似の手順を使用して、調製した(2−ホルミル−5−トリフルオロメチル安息香酸は、J.Org.Chem.61,3402(1996)で記述した手順と類似の手順を使用して、調製した)。その生成物を、白色固形物(最終工程で93%)として、単離した。
【0139】
【化45】

(実施例3)
(S)−3−[2−(6−クロロ−1−オキソ−1H−イソキノリン−2−イル)−ブチリルアミノ]−5−フルオロ−4−オキソ−ペンタン酸
【0140】
【化46】

方法H:
4−クロロ−N−メチル−ベンズアミド
【0141】
【化47】

塩化4−クロロベンゾイル(4.50g)のジクロロメタン(10mL)0℃溶液に、メチルアミンの8Mエタノール溶液を滴下した。その溶液を16時間攪拌し、次いで、乾燥状態まで蒸発させた。その残留物を炭酸水素ナトリウム飽和溶液(10mL)で希釈し、そして酢酸エチル(3×20mL)で3回抽出し、それらの有機物をブライン(10mL)で洗浄し、乾燥し(MgSO)、そして真空中で濃縮して、白色固形物(4.33g;97%)として、副題化合物を得た。
【0142】
【化48】

方法I:
2−ホルミル−4−クロロ−N−メチルベンズアミド
【0143】
【化49】

4−クロロ−N−メチル−ベンズアミド(3.1g)のTHF(30mL)溶液に、n−ブチルリチウム(2.5Mヘキサン溶液30.1mL)を加え、そして、その溶液を45分間還流した。次いで、その溶液を0℃まで冷却し、そして2分間にわたって、N−メチルホルムアニリン(9.27mL)を滴下した。次いで、この溶液を2時間還流し、次いで、室温まで冷却し、水(80mL)を加え、その溶液を2M HClでpH1まで酸性化した。次いで、この溶液を酢酸エチル(3×50mL)で3回抽出し、ブライン(20mL)で洗浄し、乾燥し(MgSO)、そして真空中で濃縮した。得られた褐色オイルをシリカゲルフラッシュクロマトグラフィーで精製して、淡黄色固形物(2.13g;59%)として、副題生成物を得た。
【0144】
【化50】

方法J:
2−ホルミル−4−クロロ安息香酸
【0145】
【化51】

2−ホルミル−4−クロロ−N−メチルベンズアミド(3.19g)および10M塩酸(30ml)の混合物を、還流状態で、18時間加熱した。この混合物を冷却し、そして飽和炭酸水素ナトリウム溶液で塩基化した。次いで、その溶液を酢酸エチルで洗浄し、次いで、2M塩酸で酸性化した。その生成物を酢酸エチルで抽出し、そして合わせた抽出物を硫酸マグネシウムで乾燥した。次いで、その溶液を濾過し、そして濃縮した。これにより、黄色固形物(2.22g、75%)として、2−ホルミル−4−クロロ安息香酸が得られた。
【0146】
【化52】

(S)−3−[2−(6−クロロ−1−オキソ−1H−イソキノリン−2−イル)−ブチリルアミノ]−5−フルオロ−4−オキソ−ペンタン酸
【0147】
【化53】

これは、方法A〜Gで記述した手順と類似の手順を使用して、2−ホルミル−4−クロロ安息香酸(これは、方法H〜Jで記述したようにして、調製した)から調製した。この表題化合物を分取HPLCで単離し、そして白色固形物として得た。
【0148】
【化54】

(実施例4)
(S)−3−[2−(6−トリフルオロメチル−1−オキソ−1H−イソキノリン−2−イル)−ブチリルアミノ]−5−フルオロ−4−オキソ−ペンタン酸
【0149】
【化55】

これは、方法A〜Gで記述した手順と類似の手順を使用して、2−ホルミル−4−トリフルオロメチル安息香酸(これは、方法H〜Jで記述した方法と類似の方法を使用して、4−トリフルオロメチル安息香酸から調製した)から調製した。この表題化合物を、白色固形物(最終工程で95%)として、単離した。
【0150】
【化56】

(実施例5)
(S,S)−3−[2−(6−クロロ−4−オキソ−4H−キナゾリン−3−イル)−ブチリルアミノ]−4−オキソ−5−(2,3,5,6−テトラフルオロ−フェノキシ)ペンタン酸
【0151】
【化57】

方法K:
(S)−2−(5−クロロ−2−ニトロ−ベンゾイルアミノ)−酪酸−第三級ブチルエステル
【0152】
【化58】

5−クロロ−2−ニトロ−安息香酸(4.68g)の無水テトラヒドロフラン(100ml)攪拌溶液に、0℃で、(S)−2−アミノ−酪酸−第三級ブチルエステル塩酸塩(5g)、HOBt(3.45g)、DMAP(2.98g)を加え、続いて、EDC(4.88g)およびジイソプロピルエチルアミン(3.30g)を加えた。その反応混合物を10分間攪拌し、次いで、室温まで温め、そして16時間攪拌した後、減圧下で濃縮した。得られた残留物をEtOAc(100ml)と炭酸水素ナトリウム飽和溶液(100ml)との間で分配し、その有機層を分離し、そして1M塩酸および飽和ブライン溶液でさらに洗浄し、乾燥し(MgSO)、濾過し、そして濃縮して、淡黄色オイル(6.82g、収率68%)として、副題化合物を得た。
【0153】
【化59】

方法L:
(S)−2−(2−アミノ−5−クロロ−ベンゾイルアミノ)−酪酸−第三級ブチルエステル
【0154】
【化60】

(S)−2−(5−クロロ−2−ニトロ−ベンゾイルアミノ)−酪酸−第三級ブチルエステル(5.72g、)のエタノール(250ml)攪拌溶液に、室温で、塩化スズ(II)二水和物(18.8g)を加えた。その混合物を、室温で、16時間攪拌した。減圧下にて容量を約50mlまで減らし、次いで、形成された沈殿物が再溶解するまで、反応混合物を1M NaOHで希釈した(400ml)。次いで、その水溶液をジエチルエーテル(3×100ml)で抽出した。それらの有機抽出物を合わせ、そしてブラインで洗浄し、乾燥し(MgSO)、そして濃縮して、黄色固形物(4.60g、収率88%)として、副題化合物を得た。
【0155】
【化61】

方法M:
(S)−2−(6−クロロ−4−オキソ−4H−キナゾリン−3−イル)−酪酸−第三級ブチルエステル
【0156】
【化62】

2−(2−アミノ−5−クロロ−ベンゾイルアミノ)−酪酸−第三級ブチルエステル(2.82g)をオルトギ酸トリメチル(50ml)に溶解した。酢酸(10ml)を加え、その反応混合物を48時間還流した。この後、溶媒を除去し、その残留物を酢酸エチと飽和炭酸水素ナトリウム溶液との間で分配した。その水層を酢酸エチルでさらに抽出し、そして合わせた有機抽出物をブラインで洗浄し、乾燥し(MgSO)、そして減圧下にて濃縮して、黄色オイルを得た。これを、フラッシュクロマトグラフィー(20%EtOAc:Petroleum)で精製して、オイル(1.23g、収率42%)として、副題化合物を得た。
【0157】
【化63】

【0158】
【化64】

2−(6−クロロ−4−オキソ−4H−キナゾリン−3−イル)−酪酸
【0159】
【化65】

方法Eで記述した手順と類似の手順を使用して、これを調製した。この副題化合物は、灰白色固形物として得た。
【0160】
【化66】

方法N:
(S)−3−ベンジルオキシカルボニルアミノ−4−オキソ−5−(2,3,5,6−テトラフルオロ−フェノキシ)−ペンタン酸tert−ブチルエステル
【0161】
【化67】

(S)−3−ベンジルオキシカルボニルアミノ−5−ブロモ−4−オキソ−ペンタン酸tert−ブチルエステル(18.6g)および2,3,5,6−テトラフルオロフェノール(9.3g)の無水DMF(250mL)攪拌溶液に、窒素下にて、室温で、フッ化カリウム(2.8g)を少しずつ加えた。次いで、その混合物を18時間攪拌した後、酢酸エチルおよび水でクエンチした。その有機層を除去し、そして炭酸水素ナトリウム溶液で洗浄し、乾燥し(硫酸マグネシウム)、そして濃縮して、灰白色固形物(21.1g、96%)として、副題生成物を得た。
【0162】
【化68】

方法O:
(3S)−3−ベンジルオキシカルボニルアミノ−4−ヒドロキシ−5−(2,3,5,6−テトラフルオロ−フェノキシ)−ペンタン酸tert−ブチルエステル
【0163】
【化69】

3−ベンジルオキシカルボニルアミノ−4−オキソ−5−(2,3,5,6−テトラフルオロ−フェノキシ)−ペンタン酸tert−ブチルエステル(21.1g)の無水THF(220mL)攪拌溶液に、−20℃で、窒素下にて、NaBH(1.65g)を少しずつ加えた。この温度で3時間攪拌した後、その反応物を、飽和塩化アンモニウム溶液を加えることによりクエンチし、そしてDCMで希釈した。その有機層を除去し、その水層をDCMで再抽出した。合わせた有機抽出物をブラインで洗浄し、乾燥し(硫酸マグネシウム)、そして濃縮した。その残留物をカラムクロマトグラフィー(10%〜20%酢酸エチル/ヘキサン)で精製した。白色固形物(14.6g、73%)として、副題化合物を得た。
【0164】
【化70】

方法P:
(3S)−3−アミノ−4−ヒドロキシ−5−(2,3,5,6−テトラフルオロ−フェノキシ)−ペンタン酸tert−ブチルエステル
【0165】
【化71】

3−ベンジルオキシカルボニルアミノ−4−ヒドロキシ−5−(2,3,5,6−テトラフルオロ−フェノキシ)−ペンタン酸tert−ブチルエステル(14.6g)の無水MeOH(350mL)溶液(これは、窒素下(5×)にて、脱気した)に、炭素上10%Pd(2.92g)を加えた。その反応物を、窒素下(3×)および水素下(5×)にて、さらに脱気し、そして室温で、20分間攪拌した。このパラジウム触媒を濾過により除去し、その濾液を濃縮して、白色固形物(9.5g、90%)として、副題化合物を得た。
【0166】
【化72−1】

【0167】
【化72−2】

(S,S)−3−[2−(6−クロロ−4−オキソ−4H−キナゾリン−3−イル)−ブチリルアミノ]−4−オキソ−5−(2,3,5,6−テトラフルオロフェノキシ)ペンタン酸
【0168】
【化73】

この化合物は、方法F、GおよびEで記述した手順と類似の手順を使用して、調製した。白色固形物(TFA塩)(94%、最終工程)として、表題化合物を得た。
【0169】
【化74】

(実施例6)
(S,S)−4−オキソ−3−[2−(4−オキソ−4H−キナゾリン−3−イル)−ブチリルアミノ]−5−(2,3,5,6−テトラフルオロ−フェノキシ)ペンタン酸
【0170】
【化75】

この化合物は、方法F、GおよびEで記述した手順と類似の手順を使用して、2−(4−オキソ−4H−キナゾリン−3−イル)−酪酸(これは、方法K〜MおよびEで記述した手順と類似の手順を使用して、2−ニトロ安息香酸から合成した)および(3S)−3−アミノ−4−ヒドロキシ−5−(2,3,5,6−テトラフルオロ−フェノキシ)−ペンタン酸tert−ブチルエステル(これは、方法N〜Pで記述したようにして、調製した)を使用して、調製した。白色固形物(TFA塩)(85%、最終工程)として、表題化合物を得た。
【0171】
【化76】

(実施例7)
(S,S)−4−オキソ−3−[2−(4−オキソ−4H−キナゾリン−3−イル)−ブチリルアミノ]−5−(2,4,6−トリフルオロ−フェノキシ)−ペンタン酸
【0172】
【化77】

この化合物は、方法F、GおよびEで記述した手順と類似の手順を使用して、2−(4−オキソ−4H−キナゾリン−3−イル)−酪酸(これは、方法K〜MおよびEで記述した手順と類似の手順を使用して、2−ニトロ安息香酸から合成した)および(3S)−3−アミノ−4−ヒドロキシ−5−(2,4,6−トリフルオロ−フェノキシ)−ペンタン酸tert−ブチルエステル(これは、方法N〜Pで記述した手順と類似の手順を使用して、2,4,6−トリフルオロフェノールから調製した)を使用して、調製した。白色固形物(TFA塩)(71%、最終工程)として、表題化合物を得た。
【0173】
【化78】

(実施例8)
(S,S)−4−オキソ−3−[2−(4−オキソ−4H−キナゾリン−3−イル)−ブチリルアミノ]−5−(2,5,6−トリフルオロ−フェノキシ)−ペンタン酸
【0174】
【化79】

この化合物は、方法F、GおよびEで記述した手順と類似の手順を使用して、2−(4−オキソ−4H−キナゾリン−3−イル)−酪酸(これは、方法K〜MおよびEで記述した手順と類似の手順を使用して、2−ニトロ安息香酸から合成した)および(3S)−3−アミノ−4−ヒドロキシ−5−(2,3,6−トリフルオロ−フェノキシ)−ペンタン酸tert−ブチルエステル(これは、方法N〜Pで記述した手順と類似の手順を使用して、2,3,6−トリフルオロフェノールから調製した)を使用して、調製した。白色固形物(TFA塩)(87%、最終工程)として、表題化合物を得た。
【0175】
【化80】

(実施例9)
(S,S)−3−[2−(1−オキソ−1H−イソキノリン−2−イル)−ブチリルアミノ]−4−オキソ−5−(2,3,5,6−テトラフルオロ−フェノキシ)−ペンタン酸
【0176】
【化81】

この化合物は、方法F、GおよびEで記述した手順と類似の手順を使用して、(S)−2−(1−オキソ−1H−イソキノリン−2−イル)−酪酸(これは、方法A〜Eで記述した手順と類似の手順を使用して、2−ホルミル安息香酸から合成した)および(3S)−3−アミノ−4−ヒドロキシ−5−(2,3,5,6−テトラフルオロ−フェノキシ)−ペンタン酸tert−ブチルエステル(これは、方法N〜Pで記述したようにして、調製した)を使用して、調製した。分取HPLCにより、表題化合物を単離した。
【0177】
【化82】

(実施例10)
(S,S)−3−[2−(7−クロロ−1−オキソ−1H−イソキノリン−2−イル)−ブチリルアミノ]−4−オキソ−5−(2,3,5,6−テトラフルオロ−フェノキシ)−ペンタン酸
【0178】
【化83】

この化合物は、方法F、GおよびEで記述した手順と類似の手順を使用して、(S)−2−(7−クロロ−1−オキソ−1H−イソキノリン−2−イル)−酪酸(これは、方法A〜Eで記述したようにして、調製した)および(3S)−3−アミノ−4−ヒドロキシ−5−(2,3,5,6−テトラフルオロ−フェノキシ)−ペンタン酸tert−ブチルエステル(これは、方法N〜Pで記述したようにして、調製した)を使用して、調製した。白色固形物(94%、最終工程)として、生成物を単離した。
【0179】
【化84−1】

【0180】
【化84−2】

(実施例11)
(S,S)−3−[2−(6、7−ジクロロ−1−オキソ−1H−イソキノリン−2−イル)−ブチリルアミノ]−4−オキソ−5−(2,3,5,6−テトラフルオロ−フェノキシ)ペンタン酸
【0181】
【化85】

方法Q:
5,6−ジクロロ−3H−イソベンゾフラン−1−オン
【0182】
【化86】

無水4,5−ジクロロフタル酸(20g)の無水DMF(100mL)攪拌溶液に、0℃で、窒素下にて、1時間にわたって、NaBH(5.2g)を少しずつ加えた。その反応物を、さらに2時間にわたって、室温まで温め、そして氷/1M HClに注いだ。得られた白色沈殿物(4,5−ジクロロ−2−ヒドロキシメチル−安息香酸)を濾過により集め、そして真空下にて乾燥した。この沈殿物を、触媒p−トルエンスルホン酸と共にトルエン(200mL)に懸濁し、そしてDean−Stark条件(沈殿物を加熱して溶解する)下にて、18時間にわたって、加熱還流した。その反応物を室温まで冷却し、得られた白色沈殿物を濾過により集めて、白色固形物(14.0g、75%)として、副題化合物を得た。
【0183】
【化87】

方法R:
3−ブロモ−5,6−ジクロロ−3H−イソベンゾフラン−1−オン
【0184】
【化88】

5,6−ジクロロ−3H−イソベンゾフラン−1−オン(1.45g)、N−ブロモスクシンイミド(1.27g)および触媒である過酸化ベンゾイルのクロロホルム(30mL)懸濁液を、1時間にわたって、加熱還流した。冷却後、その反応混合物を水、ブラインで洗浄し、乾燥し(硫酸マグネシウム)、濾過し、そして濃縮して、白色固形物(1.82g、91%)として、副題化合物を得た。
【0185】
【化89】

方法S:
4,5−ジクロロ−2−ホルミル−安息香酸
【0186】
【化90】

3−ブロモ−5、6−ジクロロ−3H−イソベンゾフラン−1−オン(2.0g)の5%HCl水溶液(10mLおよび80%ジオキサン水溶液(25mL)の懸濁液を、2時間にわたって、加熱還流した。溶媒を除去し、得られた残留物を酢酸エチルで再溶解し、乾燥し(硫酸マグネシウム)、そして濃縮した。得られた黄色固形物をDCM/ヘキサンで再結晶して、白色固形物(1.13g、73%)として、副題化合物を得た。
【0187】
【化91】

(S,S)−3−[2−(6、7−ジクロロ−1−オキソ−1H−イソキノリン−2−イル)−ブチリルアミノ]−4−オキソ−5−(2,3,5,6−テトラフルオロ−フェノキシ)−ペンタン酸
【0188】
【化92】

この化合物は、方法F、GおよびEで記述した手順と類似の手順を使用して、(S)−2−(6,7−ジクロロ−1−オキソ−1H−イソキノリン−2−イル)−酪酸(これは、(S)−2−(6、7−ジクロロ−1−オキソ−1H−イソキノリン−2−イル)−酪酸(これは、方法A〜Eで記述した手順と類似の手順を使用して、4,5−ジクロロ−2−ホルミル−安息香酸[これは、方法Q〜Sで記述したようにして、調製した]から合成した)および(3S)−3−アミノ−4−ヒドロキシ−5−(2,3,5,6−テトラフルオロ−フェノキシ)−ペンタン酸tert−ブチルエステル(これは、方法N〜Pで記述したようにして、調製した)を使用して、調製した。白色固形物(94%、最終工程)として、表題化合物を単離した。
【0189】
【化93−1】

【0190】
【化93−2】

(実施例12)
3−[(2S)−2−[6−(2−クロロ−フェノキシ)−4−オキソ−4H−キナゾリン−3−イル)−ブチリルアミノ]−5−フルオロ−4−オキソ−ペンタン酸
【0191】
【化94】

方法T:
安息香酸2−ニトロ−5−(2−クロロフェノキシ)メチル
【0192】
【化95】

5−クロロ−2−ニトロ安息香酸メチルエステル(1g、4.6mmol)のジメチルホルムアミド(15ml)攪拌溶液に、炭酸カリウム(0.96g)および2−クロロフェノール(0.66g)を加えた。その反応混合物を、90℃で、16時間攪拌した。この後、その反応混合物を酢酸エチル(50ml)に注ぎ、そして水(50ml)、ブライン(50ml)で洗浄し、乾燥し(MgSO)、そして蒸発させた。その残留物をフラッシュクロマトグラフィー(1:9の酢酸エチル:ペット(pet)エーテル)で精製して、黄色固形物(1.22g、収率85%)として、副題化合物を得た。
【0193】
【化96】

方法U:
2−ニトロ−5−(2−クロロフェノキシ)安息香酸
【0194】
【化97】

安息香酸2−ニトロ−5−(2−クロロフェノキシ)メチル(1.22g)のTHF(8mL)攪拌溶液に、水(2ml)中の水酸化リチウム(0.333g)を加えた。その反応混合物を、室温で、16時間攪拌した。この後、この反応混合物を1M HCl水溶液で酸性化した。その水層を酢酸エチル(2×50mL)で抽出した。それらの有機物を合わせ、そして飽和ブライン溶液で洗浄し、そして乾燥した(MgSO)。真空下にて溶媒を除去して、灰白色固形物(0.63g、収率54%)として、副題化合物を得た。
【0195】
【化97A】

3−[(2S)−2−[6−(2−クロロ−フェノキシ)−4−オキソ−4H−キナゾリン−3−イル)−ブチリルアミノ]−5−フルオロ−4−オキソ−ペンタン酸
【0196】
【化98】

この化合物は、方法F、GおよびEで記述した手順と類似の手順を使用して、2−(6−[2−クロロフェノキシ]−4−オキソ−4H−キナゾリン−3−イル)−酪酸(これは、方法T〜U、K〜MおよびEで記述したようにして、5−クロロ−2−ニトロ安息香酸メチルエステルおよび2−クロロフェノールから合成した)から調製した。白色固形物(TFA塩)(82%、最終工程)として、表題化合物を得た。
【0197】
【化99】

(実施例13)
3−[(2S)−2−[6−(3−クロロフェノキシ)−4−オキソ−4H−キナゾリン−3−イル)−ブチリルアミノ]−5−フルオロ−4−オキソ−ペンタン酸
【0198】
【化100】

この化合物は、方法F、GおよびEで記述した手順と類似の手順を使用して、2−(6−[3−クロロフェノキシ]−4−オキソ−4H−キナゾリン−3−イル)−酪酸(これは、方法T〜U、K〜MおよびEで記述した手順と類似の手順を使用して、5−クロロ−2−ニトロ安息香酸メチルエステルおよび3−クロロフェノールから合成した)から調製した。白色固形物(TFA塩)(85%、最終工程)として、生成物を得た。
【0199】
【化101】

(実施例14)
5−フルオロ−3−{(2S)−2[6−(3−フルオロフェノキシ)−4−オキソ−4H−キナゾリン−3−イル]−ブチリルアミノ}−4−オキソ−ペンタン酸
【0200】
【化102】

この化合物は、方法F、GおよびEで記述した手順と類似の手順を使用して、2−[6−(3−フルオロフェノキシ)−4−オキソ−4H−キナゾリン−3−イル]−酪酸(これは、方法T〜U、K〜MおよびEで記述した手順と類似の手順を使用して、5−クロロ−2−ニトロ安息香酸メチルエステルおよび3−フルオロフェノールから合成した)から調製した。白色固形物(TFA塩)(95%、最終工程)として、生成物を得た。
【0201】
【化103】

(実施例15)
3−{(2S)−2−[6−(2,4−ジクロロ−フェノキシ)−4−オキソ−4H−キナゾリン−3−イル]−ブチリルアミノ}−5−フルオロ−4−オキソ−ペンタン酸
【0202】
【化104】

この化合物は、方法F、GおよびEで記述した手順と類似の手順を使用して、2−[6−(2,4−ジクロロフェノキシ)−4−オキソ−4H−キナゾリン−3−イル]−酪酸(これは、方法T〜U、K〜MおよびEで記述した手順と類似の手順を使用して、2−ニトロ−5−2,4−ジクロロフェノキシ安息香酸メチルエステルから合成した)から調製した。白色固形物(TFA塩)(95%、最終工程)として、生成物を得た。
【0203】
【化105−1】

【0204】
【化105−2】

(実施例16)
5−フルオロ−4−オキソ−3−[(2S)−2−(4−オキソ−6−フェニルスルファニル−4H−キナゾリン−3−イル)−ブチリルアミノ]−ペンタン酸
【0205】
【化106】

この化合物は、方法F、GおよびEで記述した手順と類似の手順を使用して、(S)−2(4−オキソ−6−フェニルスルフェニル−4H−キナゾリン−3イル)−酪酸(これは、方法T〜U、K〜MおよびEで記述した手順と類似の手順を使用して、5−クロロ−2−ニトロ安息香酸メチルエステルおよびチオフェノールから合成した)から調製した。白色固形物(TFA塩)(96%、最終工程)として、生成物を得た。
【0206】
【化107−1】

【0207】
【化107−2】

(実施例17)
5−フルオロ−3{(2S)−2[6−(3−フルオロ−フェニルスルフェニル)−4−オキソ−4H−キナゾリン−3−イル]−ブチリルアミノ}−4−オキソ−ペンタン酸
【0208】
【化108】

この化合物は、方法F、GおよびEで記述した手順と類似の手順を使用して、(S)−2[6−(3−フルオロ−フェニルスルファニル)−4−オキソ−4H−キナゾリン−3−イル]−酪酸(これは、方法T〜U、K〜MおよびEで記述した手順と類似の手順を使用して、5−クロロ−2−ニトロ安息香酸メチルエステルおよび3−フルオロチオフェノールから合成した)から調製した。白色固形物(TFA塩)(95%、最終工程)として、生成物を得た。
【0209】
【化109−1】

【0210】
【化109−2】

(実施例18)
(S)−3−[2−(7−クロロ−1−オキソ−1H−イソキノリン−2−イル)−3−メチルブチリルアミノ]−5−フルオロ−4−オキソ−ペンタン酸
【0211】
【化110】

これは、方法A〜Gで記述した手順と類似の手順を使用して、調製した(S−バリンtert−ブチルエステルは、方法Cで使用した)。白色固形物(91%、最終工程)として、生成物を得た。
【0212】
【化111】

(実施例19)
(S,S)−3−[2−(7−トリフルオロメチル−1−オキソ−1H−イソキノリン−2−イル)−ブチリルアミノ]−4−オキソ−5−(2,3,5,6−テトラフルオロ−フェノキシ)ペンタン酸
【0213】
【化112】

この化合物は、方法F、GおよびEで記述した手順と類似の手順を使用して、(S)−2−(7−トリフルオロメチル−1−オキソ−1H−イソキノリン−2−イル)−酪酸(これは、方法A〜Eで記述したようにして、調製した(実施例2を参照))および(3S)−3−アミノ−4−ヒドロキシ−5−(2,3,5,6−テトラフルオロ−フェノキシ)−ペンタン酸tert−ブチルエステル(これは、方法N〜Pで記述したようにして、調製した)を使用して、調製した。白色固形物(90%、最終工程)として、生成物を単離した。
【0214】
【化113】

(実施例20)
(S,S)−3−[2−(7−トリフルオロメチル−4−オキソ−4H−キナゾリン−3−イル)−ブチリルアミノ]−4−オキソ−5−(2,3,5,6−テトラフルオロフェノキシ)ペンタン酸
【0215】
【化114】

方法V:
(S)−2−(2−ベンジルアミノ−5−トリフルオロメチル−ベンゾイルアミノ)−酪酸tert−ブチルエステル
【0216】
【化115】

(S)−2−(2−クロロ−5−トリフルオロメチル−ベンゾイルアミノ)−酪酸tert−ブチルエステル(これは、方法Fで記述した手順と類似の手順で、2−クロロ5−トリフルオロメチル安息香酸および(S)−2−アミノ酪酸tert−ブチルエステルから調製した)(3g)およびベンジルアミン(1.1ml)のN−メチルピロリジン(40ml)溶液に、炭酸カリウム(1.6g)、銅(30mg)および臭化銅(I)(15mg)を加えた。その混合物を、160℃で、3時間加熱し、次いで、室温まで冷却し、そして飽和塩化アンモニウム溶液で希釈した。この混合物を酢酸エチルで抽出し、その有機溶液を乾燥し(硫酸マグネシウム)、濾過し、そして濃縮した。その残留物をシリカゲル(これは、15%酢酸エチル/ヘキサンで溶出する)で精製した。白色固形物(950mg、27%)として、副題生成物を得た。
【0217】
【化116】

(S)−2−(6−トリフルオロメチル−4−オキソ−4H−キナゾリン−3−イル)−酪酸
【0218】
【化117】

この化合物は、方法P、MおよびEで記述した手順と類似の手順を使用して、(S)−2−(2−ベンジルアミノ−5−トリフルオロメチル−ベンゾイルアミノ)−酪酸tert−ブチルエステルから調製した。白色固形物として、副題化合物を得た。
【0219】
【化118】

(S,S)−3−[2−(7−トリフルオロメチル−4−オキソ−4H−キナゾリン−3−イル)−ブチリルアミノ]−4−オキソ−5−(2,3,5,6−テトラフルオロフェノキシ)ペンタン酸
【0220】
【化119】

この化合物は、方法F、GおよびEで記述した手順と類似の手順を使用して、2−(6−トリフルオロメチル−4−オキソ−4H−キナゾリン−3−イル)−酪酸および(3S)−3−アミノ−4−ヒドロキシ−5−(2,3,5,6−テトラフルオロ−フェノキシ)−ペンタン酸tert−ブチルエステル(これは、方法N〜Pで記述したようにして、調製した)から調製した。白色固形物(TFA塩)(90%、最終工程)として、表題化合物を得た。
【0221】
【化120】

(実施例21)
(S)−3−[2−(7−フェニル−1−オキソ−1H−イソキノリン−2−イル)−ブチリルアミノ]−5−フルオロ−4−オキソ−ペンタン酸
【0222】
【化121】

方法W:
(S)−2−(7−フェニル−1−オキソ−1H−イソキノリン−2−イル)−酪酸
【0223】
【化122】

(S)−2−(7−クロロ−1−オキソ−1H−イソキノリン−2−イル)−酪酸(これは、方法A〜Eで記述したようにして、調製した)(200mg)およびフェニルボロン酸(276mg)のTHF(2ml)溶液に、酢酸パラジウム(II)(1.7mg)、2−(ジ−tert−ブチルホスフィノ)ビフェニル(4.5mg)およびフッ化カリウム(262mg)を加えた。得られた混合物を18時間加熱還流し、次いで、冷却し、そして1M HCl(5ml)および酢酸エチル(15ml)で希釈した。その有機相を分離し、そして水相を酢酸エチル(2×15ml)で抽出した。合わせた有機物を乾燥し(硫酸マグネシウム)、濾過し、そして濃縮した。その残留物をシリカゲルプラグで精製し、次いで、放射状クロマトグラフィー(これは、酢酸エチル中の1%酢酸で溶出する)でさらに精製した。これにより、褐色固形物(153mg、66%)として、副題化合物が得られた。
【0224】
【化123】

(S)−3−[2−(7−フェニル−1−オキソ−1H−イソキノリン−2−イル)−ブチリルアミノ]−5−フルオロ−4−オキソ−ペンタン酸
【0225】
【化124】

この化合物は、方法F、GおよびEで記述した手順と類似の手順を使用して、(S)−2−(7−フェニル−1−オキソ−1H−イソキノリン−2−イル)−酪酸から調製した。白色固形物(58%、最終工程)として、表題化合物を得た。
【0226】
【化125】

(実施例22)
5−フルオロ−4−オキソ−3−[(2S)−2−(4−オキソ−6−プロピルスルファニル−4H−キナゾリン−3−イル)−ブチリルアミノ]−ペンタン酸
【0227】
【化126】

(S)−2−(4−オキソ−6−プロピルスルファニル−4H−キナゾリン−3−イル)−酪酸tert−ブチルエステル
【0228】
【化127】

この化合物は、方法T〜UおよびK〜Mで記述した手順と類似の手順を使用して、5−クロロ−2−ニトロ安息香酸メチルエステルおよびプロパンチオールから調製した。固形物として、副題化合物を得た。
【0229】
【化128】

5−フルオロ−4−オキソ−3−[(2S)−2−(4−オキソ−6−プロピルスルファニル−4H−キナゾリン−3−イル)−ブチリルアミノ]−ペンタン酸
【0230】
【化129】

この化合物は、方法Fで記述した手順と類似の手順を使用して、(S)−2−(4−オキソ−6−プロピルスルファニル−4H−キナゾリン−3−イル)−酪酸(これは、TFA/DCMを使用して、tert−ブチルエステルから合成した)から調製した。得られたアルコールを、過ルテニウム酸テトラ−n−プロピルアンモニウム(VII)/N−メチルモルホリン−N−オキシド(Synthesis、639(1994))およびtert−ブチルエステル(これは、方法Eで記述したようにして、脱保護した)を使用して、酸化した。白色固形物(90%、最終工程)(TFA塩)として、表題化合物を得た。
【0231】
【化130】

(実施例23)
(酵素アッセイ)
カスパーゼ阻害アッセイは、精製した組換えヒトカスパーゼ−1、−3、−7または−8による蛍光発生基質の開裂に基づいている。これらのアッセイは、各酵素に特異的な基質を使用して、Garcia Calvoら、J.Biol.Chem.273,32608〜32613(1998))が報告した様式とほぼ同じ様式で、実行される。カスパーゼ−1用の基質は、アセチル−Tyr−Val−Ala−Asp−アミノ−4−メチルクマリンである。カスパーゼ−3、−7および−8用の基質は、アセチル−Asp−Glu−Val−Asp−アミノ−4−メチルクマリンであり、両方とも、Garcia−Calvoら、J.Biol.Chem.で開示されている。
【0232】
特定のインヒビター濃度で観察された酵素不活性化速度(kobs)は、非線形最小二乗分析コンピュータープログラム(PRISM 2.0;GraphPadソフトウェア)を使用して、Thornberryら(Biochemistry 33,3943〜3939(1994))により誘導された等式にデータを直接当てはめることにより、算出される。二次速度定数kinactを得るために、kobs値を、それらの各インヒビター濃度に対してプロットし、そしてkinact値を、引き続いて、算出した線形回帰により、計算する。
【0233】
表2は、上記方法により決定した本発明の選択した化合物についてのカスパーゼ−1、−3および−8活性の阻害を示す。kinact(M−1−1)>500000を有する化合物は、「A」と記入されている。100000と500000の間のkinact(M−1−1)を有する化合物は、「B」と記入されている。kinact(M−1−1)<100000を有する化合物は、「C」と記入されている。
【0234】
(表2.カスパーゼ−1、−3および−8の阻害)
【0235】
【化131−1】

【0236】
【化131−2】

(実施例24)
(全血からのIL−1β分泌の阻害)
ヒト血液を、健常なドナーから新たに採血し、PBSで1:2希釈する。500μlの希釈血液に、予めRPMI培地に希釈した試験化合物50mlおよびLPS 10ml(プレート上での最終濃度5ng/ml)を添加する(LPS,Serotype 0111:B4,Sigma L3012)。18時間刺激した後、上清を収集し、適切なELISAキット(R&D systems)を用いてIL−1βレベルをアッセイした。
【0237】
以下の表3は、上記方法により決定した場合の、本発明の選択された化合物についての、ヒト全血からのIL−1β分泌の阻害を示す。IC50>10μMの化合物を「A」として列挙する。IC50が1μM〜10μMの化合物を、「B」として列挙する。IC50<1μMの化合物を、「C」として列挙する。
【0238】
(表3.IL−1β分泌の阻害)
【0239】
【化132−1】

【0240】
【化132−2】

(実施例25)
(ラット皮質ニューロンの低酸素誘導アポトーシス)
皮質神経を、Rogersら,Brain Res.Bulletin,44:131(1998)の改良手順により、Wistarラットの胚(E17)から切除する。簡単に言うと、15〜20個のWistarラットの胚から大脳皮質を無菌的に隔離する。大脳皮質を刻み、パパイン消化することによって、細胞懸濁物を調製する。細胞を、オボムコイド酵素インヒビターおよびDNaseIで洗浄し、そして10%熱不活性化ウシ胎仔血清、L−グルタミン、ペニシリン、およびストレプトマイシンを含有する高グルコースDMEM中の、ポリ−Dリジンコートプレート上にプレーティングする。ニューロンの収率は、10×7/胚であり、トリパンブルー除去法により評価した場合、それらは80〜90%生存率である。
【0241】
このニューロンを、低酸素実験前に、37℃、通常大気中で、48時間、完全培地中で培養する。低酸素のために、通常の細胞培地を、酸素枯渇無血清培地で置換する。細胞を、異なる時間、95% N/5% COの雰囲気下でインキュベートする。化合物を、DMSO中に100mMに溶解し、次いで、培地中で希釈し、そして時間=0から培養物に添加する。アポトーシスレベルを、DNAの断片化を検出するCell Death
Detection ELISAキット(Roche)を用いて測定する。プレートを、405nmで読み取る。コントロールは、血清含有培地(+血清)中、有酸素条件下で培地した細胞、および血清枯渇培地(−血清)中、有酸素条件下で培養した細胞を含んだ。
【0242】
表4は、ラット皮質ニューロンの低酸素誘導アポトーシスにおける、本発明の選択された化合物の活性の結果を示す。IC50>0.5μMの化合物を「A」として列挙する。IC50が0.1μM〜0.5μMの化合物を、「B」として列挙する。IC50<0.1μMの化合物を、「C」として列挙する。
【0243】
(表4.低酸素誘導アポトーシスアッセイにおける活性)
【0244】
【化133−1】

【0245】
【化133−2】

本発明者らは、本発明の多数の実施態様を記述したものの、本発明の基本的な構成は、本発明の化合物および方法を使用する他の実施態様を提供するために、変更し得ることが明らかである。従って、本発明の範囲は、上記例として先に提示した特定の実施態様ではなく、添付した請求の範囲により規定されることが分かる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載の発明。

【公開番号】特開2010−143942(P2010−143942A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−23632(P2010−23632)
【出願日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【分割の表示】特願2004−518103(P2004−518103)の分割
【原出願日】平成15年6月27日(2003.6.27)
【出願人】(399132906)バーテックス ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド (5)
【Fターム(参考)】