説明

カメラ

【課題】焦点調節に用いた画素の画素値を補間する。
【解決手段】焦点調節用の信号を出力する複数の第1画素を備えた第1画素行と、画像データ生成用の信号を出力する複数の第2画素のみを備えた第2画素行とを有する撮像素子と、撮像素子から、複数の画素行同士の出力を、所定混合手順にのっとって混合出力する際に、該所定混合手順上では第1画素行と混合されるべき特定の第2画素行の出力に対して、当該特定の第2画素行の出力と、当該特定の第2画素行の周囲の第2画素行同士の混合出力とを用いて補間処理を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラに関する。
【背景技術】
【0002】
次のような撮像装置が知られている。この撮像装置は、焦点調節用の画素を有する撮像素子により取得した画像において、焦点調節用の画素の画素値を周辺画素の画素値を用いて補間する(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−94881号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の撮像装置による補間方法は、静止画を対象として行うことを目的とするものであり、動画を撮影する場合の補間方法については検討されていなかった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によるカメラは、焦点調節用の信号を出力する複数の第1画素を備えた第1画素行と、画像データ生成用の信号を出力する複数の第2画素のみを備えた第2画素行とを有する撮像素子と、撮像素子から、複数の画素行同士の出力を、所定混合手順にのっとって混合出力する際に、該所定混合手順上では第1画素行と混合されるべき特定の第2画素行の出力に対して、当該特定の第2画素行の出力と、当該特定の第2画素行の周囲の第2画素行同士の混合出力とを用いて補間処理する補間処理手段とを有することを特徴とする。
本発明では、補間処理手段は、補間処理を、第2画素の出力に基づいて焦点調節を行う第2焦点調節方法を用いながら動画像の撮影を行う第2動画撮影状態の場合に、補間処理を行うようにしてもよい。
第2動画撮影状態と、第1画素の出力に基づいて焦点調節を行う第1焦点調節方法を用いながら動画像を撮影する第1動画撮影状態とを含み、それら動画撮影状態を切り換える切換手段とを備え、補間処理手段は、切換手段により切り換えられた撮影状態に応じて、補間処理の方法を変更するようにしてもよい。
補間処理手段は、撮影状態に応じて、補間処理の際に用いる情報量を変更して補間処理を行うようにしてもよい。
補間処理手段は、第2動画撮影状態の場合には、第1動画撮影状態の場合よりも、補間処理の際に使用する情報量を多く用いるようにしてもよい。
第1動画撮影状態は、動画像を撮影し記録媒体に記録する動画撮影状態と、動画像を撮影して記録媒体に記録することなく表示装置に表示するスルー画撮影状態との少なくとも一方を含むようにしてもよい。
撮影状態として静止画を撮影する第3撮影状態を更に有し、切換手段は、第1動画撮影状態、第2動画撮影状態、第3撮影状態を切り換え可能であり、補間処理手段は、切換手段により第3撮影状態に切り換えられると、第1画素に対応する画像データ生成用の情報を、第1、第2動画撮影状態とは異なる補間処理方法を用いて補間処理するようにしてもよい。
補間処理手段は、第3撮影状態のときには、第1画素に対応する画像データ生成用の情報を、当該第1画素の出力と、当該第1画素の周囲に存在する第2画素の出力とを用いて補間処理するようにしてもよい。
補間処理手段は、動画像を撮影する際のフレームレートに応じて、補間処理に用いる第2画素の数を変更するようにしてもよい。
補間処理手段は、フレームレートが高速なほど、補間処理に用いる第2画素の数を少なくするようにしてもよい。
補間処理手段は、第1画素と、補間に用いる第2画素のそれぞれの画素との距離に応じて、補間処理に用いる第2画素の出力の混合比率を決定するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、動画撮影の場合に最適な補間方法で画像信号の補間を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】カメラの一実施の形態の構成を示すブロック図である。
【図2】AF画素行を備えた撮像素子の画素配置例の一部を模式的に示した図である。
【図3】本カメラの動作フローを説明する図である。
【図4】ライブビュー撮影時の補間処理動作を模式的に示した図である。
【図5】静止画撮影時の補間処理動作を模式的に説明する図である。
【図6】コントラストAFを用いる動画撮影時の補間処理動作を模式的に示した図である。
【図7】位相差AFを用いる動画撮影時の補間処理動作を模式的に示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1は、本実施の形態におけるカメラの一実施の形態の構成を示すブロック図である。カメラ100は、操作部材101と、レンズ102と、撮像素子103と、制御装置104と、メモリカードスロット105と、モニタ106とを備えている。操作部材101は、使用者によって操作される種々の入力部材、例えば電源ボタン、スチル撮影を指示するレリーズボタン、動画撮影(動画記録)の開始/終了を指示する録画ボタン、ライブビュー表示を指示するライブビューボタン、ズームボタン、十字キー、決定ボタン、再生ボタン、削除ボタンなどを含んでいる。
【0009】
レンズ102は、複数の光学レンズから構成されるが、図1では代表して1枚のレンズで表している。なお、レンズ102を構成するレンズには、焦点調節を行うための焦点調節用レンズ(AFレンズ)が含まれる。
【0010】
撮像素子103としては、焦点調節用の信号を出力する画素(以下、AF画素と称す)と、画像データ生成用の信号を出力する画素(以下、通常画素と称す)とを備えた撮像素子が用いられる。図2は、本実施の形態における撮像素子103の画素配置例の一部を抜粋して模式的に示した図である(図2では撮像素子103のうちの、24行(ライン)×10列分のみの画素配置を抜粋して示す)。この図2に示すように、撮像素子103は、焦点調節用のAF信号を出力する画素行(以下、AF画素行と称す)2aと、それ以外の画像データ生成用の画像信号を出力する画素行(以下、通常画素行と称す)とで構成されている。通常画素行は、R,Gの画素が交互に配置された画素行と、G,Bの画素が交互に配置された画素行とを備える。カメラ100は、AF画素行2aのAF画素の信号を用いて、例えば特開2009−94881号公報等で周知の手法である位相差検出方式での焦点検出動作を行うよう構成されている。なおカメラ100は、通常画素行の通常画素の信号を用いて、周知の手法によりコントラスト検出方式の焦点検出動作を行うこともできる。
【0011】
撮像素子103は、カメラの動作状態(動作モード)によって、信号の読出し方法を切り換える。カメラが静止画撮影状態(スチル撮影モード)に設定されている場合には、撮像素子103の全画素(AF画素も通常画素の両方を含む)から信号を読み出す(全画素読出し)。カメラが、後述する記録媒体に記録するための動画像を撮影する動画像撮影状態(動画撮影モード)に設定されている場合には、同色の画素行同士(一対の画素行)の画素を混合して信号を読み出す(画素混合読出し)。またカメラが、後述するモニタ106(表示部)にリアルタイム表示するための動画像(ライブビュー画像またはスルー画像)を撮影するライブビュー状態(ライブビューモード)に設定されている場合には、いわゆる間引き読出しを行う。
【0012】
上述したように動画撮影モードの場合には、撮像素子103は同色の画素行同士(図2においてそれぞれ点線でペアを示した行同士、例えば1行目と3行目、2行目と4行目等のペア)の画素について、画素混合読出しを行うようになっている。しかしながら、AF画素行2a(例えば図2の8行目の画素行)及び本来ならこのAF画素行と画素混合読出し上で対になるべき通常画素行(例えば図2の6行目の画素行)に限っては、画素混合読出しを行わないように構成されている。
【0013】
その理由は、AF画素行2aは色フィルターではなく透明なフィルターを介して受光するように構成されているため、いわゆる白色光成分の信号を出力する。これに対し通常画素行は画素毎にR,G,Bの何れかの色フィルターが設けられており、各色の信号を出力する。この両者(AF画素の白色光信号と通常画素の色信号)を混合読み出ししてしまうと、焦点検出用信号として使用した場合には焦点検出精度の劣化を招く虞があり、また画像信号として使用した場合でも画質の劣化を招く虞がある。このため撮像素子103は、画素混合読出しを行う動画撮影モードの際に、AF画素行及びそれと対になるべき通常画素行の読出しに関しては、画素混合読み出しする代わりとして、AF画素行と通常画素行のうちの一方の画素行を読み出すように構成している。
【0014】
そして、このAF画素行2aと通常画素行のうちの一方を読み出す場合において、撮像素子103は、上述の動画撮影モードで使用する焦点検出方法に応じて、どちらを読み出すかを切り換えている。具体的には、焦点検出方式が、位相差検出方式であればAF画素行2aを読み出し、コントラスト検出方式であれば、通常画素行を読み出す。また、上述のライブビューモードの場合には、AF画素行2aを間引かずに(間引き読み出し対象画素行は通常画素行の一部行)読み出すよう、撮像素子103は制御される。上述した各読出し方法の詳細については、更に後ほど説明する。
【0015】
制御装置104は、簡易補間処理部1041と、メモリ1042と、静止画補間処理部1043と、信号処理部1044と、AF(オートフォーカス)演算部1045とを備えている。
【0016】
簡易補間処理部1041は、カメラの動作状態が、上述した動画撮影モード、あるいはライブビューモードの場合に動作する処理部である。ここでは、焦点調節用のAF信号を出力するAF画素行2aに関する画像信号の補間処理を行う。この簡易補間処理部1041で行われる補間方法の詳細については後述する。
【0017】
メモリ1042には、SDRAMやフラッシュメモリが含まれる。SDRAMは、揮発性のメモリであって、制御装置104が動作時に動作プログラムを展開するためのワークメモリとして使用されたり、データ(画像データなど)を一時的に記憶するためのバッファメモリとして使用される。また、フラッシュメモリは、不揮発性のメモリであって、制御装置104が実行する動作プログラムのデータや、動作プログラム実行時に読み込まれる種々のパラメータなどが記録されている。
【0018】
本実施の形態では、スチル撮影モードの場合、制御装置104は、使用者によって操作部材101に含まれるレリーズボタンが半押しされると、撮像素子103から出力されるAF信号(AF画素からの位相差AF用信号、または通常画素からのコントラストAF用信号に基づき、後述するAF演算部1045で演算された結果)に基づいてレンズ102のAFレンズを駆動させることにより焦点調節を行う。その後、使用者によってレリーズボタンが全押しされると、制御装置104は、撮影処理を実行する。すなわち、制御装置104は、撮像素子103から出力される画像信号をメモリ1042のSDRAMに取り込んで一時保存(一時記憶)する。
【0019】
SDRAMは予め決められたフレーム数(例えばRAW画像データで10フレーム分)のスチル画像信号を取り込める容量を持っている。SDRAMに取り込まれたスチル画像信号は順次、静止画補間処理部1043に送り込まれる。静止画補間処理部1043は、上述した簡易補間処理部1041とその目的(焦点調節用のAF信号を出力するAF画素行2aに関する画像信号の補間処理を行う)は同じであるが、その補間処理の方法が異なっている。
【0020】
静止画補間処理部1043は、簡易補間処理部1041で行われる補間処理よりも、たくさんの情報を使用して補間処理を行う処理部であるため、補間結果は簡易補間処理部1041での補間処理結果よりもきれいになるという特徴がある。この静止画補間処理部1043での補間処理方法の詳細については後述する。なお既述したように、静止画補間処理部1043は、カメラの動作状態が、スチル撮影モードの場合に動作する。
【0021】
信号処理部1044は、簡易補間処理部1041、あるいは静止画補間処理部1043でそれぞれ補間処理された画像信号に対して、種々の画像処理を施して所定形式、例えばスチル画像であればJPEG形式のスチル画像データ、動画像であればMPEG方式の動画像データを生成し、これを格納した画像ファイル(後述の記録媒体に記録するための画像ファイル)を生成する。
【0022】
更に信号処理部1044は、後述のモニタ106に表示するための表示用画像(上記画像ファイルに格納される記録用画像とは異なるもの)も生成する。この表示用画像とは、ライブビューモードの場合にはライブビュー画像そのものであり、動画撮影モードの場合には、記録用動画像を生成している間にモニタ106に表示される動画像であり(ライブビュー画像に類似するもの)、スチル撮影モードの場合には、スチル撮影後に所定時間だけ撮影画像を確認するために表示される確認用画像である。
【0023】
AF演算部1045は、撮像素子103のAF画素からの信号に基づいてデフォーカス量を算出し、その一方で撮像素子103の通常画素からの信号に基づいてコントラスト値を算出する。これら算出結果を用いて不図示のAFレンズ制御部を介してAF動作が行われる。なおAF演算部1045は、スチル撮影モードの場合には、一旦メモリ1042に取り込まれた撮像素子出力(AF画素出力あるいは通常画素出力)を取り込んでAF演算を行うように構成されている。その一方で、動画撮影モードあるいはライブビューモードのときには、簡易補間処理部に取り込まれた撮像素子出力(AF画素出力あるいは通常画素出力)を取り込んでAF演算を行うように構成されている。
【0024】
メモリカードスロット105は、記録媒体としてのメモリカードを挿入するためのスロットであり、制御装置104によって生成された画像ファイルをメモリカードに書き込んで記録する。また、メモリカードスロット105は、制御装置104からの指示に基づいて、メモリカード内に記憶されている画像ファイルを読み込む。
【0025】
モニタ106は、カメラ100の背面に搭載された液晶モニタ(背面モニタ)であり、当該モニタ106には、ライブビューモードのときの撮影画像(ライブビュー画像)、メモリカードに記憶されている画像(スチル画像や動画像)、およびカメラ100を設定するための設定メニューなどが表示される。ライブビューモード時には、制御装置104は、撮像素子103から時系列で取得した画像の表示用画像データ(ライブビュー画像データ)をモニタ106に出力する。これによってモニタ106にはライブビュー画像(スルー画)が表示される。
【0026】
既述したように、本実施の形態におけるカメラ100では、撮像素子103はAF画素行2aを備えているため、このAF画素行2aからは、スチル画像や動画像を形成する画像信号が出力されない。よって、制御装置104は、撮影処理において、このAF画素行2aの画素値を他の画素の画素値を用いて補間して画像データを生成する。
【0027】
このとき、あるフレームレートでライブビュー(スルー画)表示している場合やあるフレームレートで動画撮影している場合には、フレームごとの補間処理をフレームレート時間内に終わらせる必要がある。その一方で静止画の場合は、動画撮影の場合よりも多少手間がかかっても良いので出来るだけ高精細な画像が得られるよう処理することが要求される。よって、本実施の形態では、制御装置104は、撮影モードがスチル撮影モード、それ以外のモード(動画撮影モード、ライブビューモード)であるか(換言すれば、撮影対象が静止画であるか、あるいはスルー画や動画であるか)に応じて、補間処理の方法を変更する。
【0028】
また、動画撮影モードの場合において、そのときの焦点検出方式に応じて(位相差検出方式であるか、コントラスト検出方式であるか)、補間処理の方法を変更する。更には、動画撮影モードやライブビューモード(撮影対象がスルー画や動画)である場合には、その撮影フレームレートに応じても、補間処理の方法を変更することにより、フレームごとの画素の補間処理がフレームレート時間内に完了するようにする。
【0029】
以降では、本カメラの動作について説明する。図3は、カメラ100の動作(カメラ内CPUの動作)を説明するフローチャートである。カメラの電源ボタンがON操作されると、本フローはスタートする。
【0030】
ステップS100で、不図示のライブビューボタンがON操作されたか否かを判別する。ON操作されていればステップS103へ進み、そうでなければステップS105へ進む。なお本ステップS100を設けずに、カメラ電源がONされると直ちにステップS103へ進むようにフローを構成しても良い。
【0031】
ステップS103では、ライブビューモードでカメラ100を動作させる。ライブビューモードの動作の概要を述べると、撮像素子103は間引き読出しを行い、制御装置104は簡易補間処理部1041を用いた簡易補間処理を行い、信号処理部1044において生成された表示用画像(ライブビュー画像)をモニタ106に表示する。このステップS103の動作の詳細については後述する。ステップS103の次にステップS105に進む。
【0032】
なお、このライブビューモードの場合のAF(オートフォーカス)動作は、基本的にはAF画素行2aの出力を用いた位相差検出方式AFを使用する。しかし、AF検出エリアがAF画素の存在しない領域に設定されている場合や、あるいはAF画素出力の信頼性が小さい場合には、AF画素周囲の通常画素の出力を使ったコントラスト検出方式AFに切り換えて行われる。なおAF画素出力の信頼性とは、AF画素から出力された信号波形形状や検出されたデフォーカス量などに依存するものである。信号波形形状が光束のけられやノイズの影響等で崩れている場合や、検出デフォーカス量が非常に大きい場合には、信頼性が低いと判断される。
【0033】
ステップS105では、カメラのレリーズボタンが半押し操作されたか否かを判別する。半押しされていればステップS107に進み、そうでなければステップS113に進む。ステップS107では、被写体に対する焦点検出動作や露出制御動作を行う。このときの焦点検出動作は、原則的に、撮像素子103のAF画素行2aからの出力に基づく位相差検出方式で行われる(もしAF画素行からの出力では焦点検出できない、いわゆる位相差検出方式が苦手な被写体の場合には。通常画素出力によるコントラストAFが行われる)。
【0034】
次のステップS109では、レリーズボタンが全押し操作されたか否かを判別する。全押しされていればステップS111へ進み、そうでなければステップS113へ進む。ステップS111では、スチル撮影モードでカメラ100を動作させる。このスチル撮影モードの動作の概要を述べると、撮像素子103は全画素読出しを行い、制御装置104は静止画補間処理部1043を用いた補間処理を行い、信号処理部1044において生成された確認用画像をモニタ106に表示する。このステップS111の動作の詳細については後述する。ステップS111の動作後は、ステップS105に戻り、上記処理を繰り返す。
【0035】
一方、ステップS113では、録画ボタンがON操作されたか否かを判別する。ON操作されていればステップS115へ進み、そうでなければ後述するステップS125へ進む。ステップS115では、AF画素の出力を用いる位相差AF方式、通常画素の出力を用いるコントラストAF方式のうち、どちらのAF方式が用いられているかを判別する。コントラストAF方式であればステップS117へ進み、位相差AF方式であればステップS119へ進む。
【0036】
動画撮影モードにおいては、上述したライブビューモードの場合と同様に、AF動作は、基本的にはAF画素行2aの出力を用いた位相差検出方式AFを使用する。しかし前述したように、AF検出エリアとしてAF画素の存在しない領域(通常画素しか存在しない領域)がユーザーに選択されている、或いはカメラ側が自動的に(被写体認識した上で)選択している場合や、あるいはAF画素出力の信頼性が小さい場合には、コントラストAF方式が用いられる。この位相差AF方式を用いるかコントラストAF方式を用いるかの切り換えは、制御装置104が行う。
【0037】
ステップS117では、コントラストAFを用いた動画撮影状態であるので、コントラストAF動画モードでカメラ100を動作させる。このコントラストAF動画モードの動作の概要を述べると、撮像素子103は画素混合読出し(AF画素行2aは画素混合読出しされない)を行い、制御装置104は簡易補間処理部1041を用いた補間処理を行い、信号処理部1044において生成された動画像(ライブビュー画像に類似するもので、記録用動画像を生成している間にモニタ106に表示される動画像)をモニタ106に表示する。またAF動作はコントラストAF方式で行われる。このステップS117の動作の詳細については後述する。ステップS117の動作後は、ステップS121に進む。
【0038】
一方、ステップS119では、位相差AFを用いた動画撮影状態であるので、位相差AF動画モードでカメラ100を動作させる。この位相差AF動画モードの動作の概要を述べると、撮像素子103は画素混合読出し(AF画素行2aが画素混合読出しとして読み出される)を行い、制御装置104は簡易補間処理部1041を用いた補間処理を行い、信号処理部1044において生成された動画像(ライブビュー画像に類似するもの)をモニタ106に表示する。なおAF動作は、基本的にはAF画素を用いた位相差AF方式で行われる。
【0039】
しかし、AF画素出力の信頼性が低い場合(ステップS103で既述した場合)には、近傍の通常画素の画素混合出力(図7右図でいえば、画素行7aに直近の画素混合出力7bまたは7cの何れか一方)から求められたコントラスト値を使ったコントラストAF方式に切り換えて行われる。なおこのAF画素(図7の8行目)出力の信頼性の判断は、位相差AF動画モードの間、常に判定されており、信頼性が向上した段階で、コントラストAF方式から位相差AF方式に切り換えられる。
【0040】
上記ステップS119の動作の詳細については後述する。ステップS119の動作後は、ステップS121に進む。ステップS121では、録画ボタンが再度ON操作されたか否かを判別する。再度ON操作されていれば、上記ステップS113で開始した動画撮影(動画記録)を停止して(ステップS123)、ステップS125に進む。再度ON操作されていなければ、ステップS115に進み、上記処理を繰り返す(動画撮影を継続する)。
【0041】
ステップS125では、電源ボタンがOFF操作されたか否かを判別する。OFF操作されていなければステップS100に戻って上記処理を繰り返し、OFF操作されていれば本フローを終了する。
【0042】
ここで、上述のステップS103で述べたライブビューモードの動作について、図4を用いて詳述する。図4の左図は、図2で述べた撮像素子103の一部(撮像素子の1行目〜14行目までの一部)を抜粋した図である。図4の中央図は、撮像素子103から間引き読み出しされた状態を、左図との対応関係を示しながら説明する図である。図4の右図は、撮像素子103から間引き読出しされた画素出力を、制御装置104の簡易補間処理部1041で補間処理する際の補間処理方法を、左図、中央図との対応関係を示しながら図示化したものである。
【0043】
本実施形態では、ライブビューモード時に、撮像素子103において1/3間引き読出しが行われる。このため図4(右図、中央図)に示すように、3,6,9,12行目が間引かれる(読み出されない)。なお、撮像素子103で間引き読出しを行う場合には、必ずAF画素行(8行目)を読み出すように(AF画素行は間引かないように)、読出し制御がなされる。
【0044】
撮像素子103から間引き読み出しされた画素出力は、制御装置104に取り込まれる。そして簡易補間処理部1041において、周辺の同色の2画素行同士の画素混合処理が行われる。すなわち図4の中央図において、G,B画素行同士(例えば2行目と4行目)、およびR,G画素行同士(例えば5行目と7行目)の画素混合処理が行われる。ここで本来であれば、10行目のG,B画素行は、8行目の画素行と画素混合されるべきである。しかしながら、8行目がAF画素行であるため、このAF画素行(8行目)の出力は画素混合に使用されない(中央図と右図の間の点線参照)。そこで8行目のAF画素行の代用として、AF画素行の周囲の同色行(4行目のG,B画素行)が補間処理の際に使用する画素行4bとされる。
【0045】
つまり、本来であれば「8,10行目の画素混合」結果となるべき画素混合行4aの画素出力(AF画素に対応する画像データに関する出力)は、AF画素行(8行目)の周囲行である4行目の画素出力(4b)を用いて補間される。具体的には、次式(1)、(2)により補間が行なわれる。
画素混合行4aのG成分の各画素に対応する出力の補間演算:
画素行4a(Gn)={G(4行)×a}+{G(10行)×b} ・・・(1)
画素混合行4aのG成分の各画素に対応する出力の補間演算:
画素行4a(Bn)={B(4行)×a}+{B(10行)×b} ・・・(2)
【0046】
ただし、4a(Gn)は上記画素混合行4aにおけるG成分の各画素(Gn)の出力、G(4行)は4行目のG成分の各画素の出力、G(10行)は10行目のG成分の各画素の出力、4a(Bn)は上記画素混合行4aにおけるB成分の各画素(Bn)の出力、B(4行)は4行目のG成分の各画素の出力、B(10行)は10行目のG成分の各画素の出力、a,bは画素混合時の混合比率を決定する重み可変係数(どの画素行を演算に使用するかによって可変となる係数)であって且つその重みの分解能は係数aよりも係数bの方が格段に大きい。また係数a,bの値は補間対象行4aから画素混合に使用される周辺画素(4行目、10行目の画素行の各画素)までの距離に応じて設定される。
【0047】
ここで、重み可変係数bの方の重み分解能を係数aよりも格段に大きいものにしている理由は、画素混合行4aの配置位置(重心位置)が、混合対象の4行目の配置位置よりも10行目の配置位置に近い位置にあるため、配置的に近い行の重みの分解能を細かく設定できるようにすることにより画素混合結果の精度を高めることを目的としている。
【0048】
このように簡易補間処理部1041では、上記式(1)、(2)を用いて、換言すればAF画素行の出力の代わりにそのAF画素行の直近に存在する同色の通常画素行4b(同色の1行の通常画素行4b)の出力を使って、画素混合行4aの画素出力を補間処理する。
【0049】
次に、上述のステップS111で述べたスチル撮影モードの動作について、図5を用いて詳述する。図5は、図2で述べた撮像素子103の一部(AF画素5g、およびその周囲の通常画素)について補足的に符号を加えた図である。本実施形態では、スチル撮影モード時に、撮像素子103において全画素読出しが行われる(即ち、図4の画素全てから信号が出力される)。
【0050】
撮像素子103から全画素読み出しされた画素出力は、制御装置104のメモリ(SDRAM)1042に取り込まれる。その後で静止画補間処理部1043において、各AF画素の配置位置における画像信号を、周囲の通常画素の出力およびAF画素自身の出力をも用いて補間する。この補間手法の詳細な演算方法については特開2009−303194号公報に開示されているので、ここではその演算手法の概念について記載する。例えば、図5のAF画素のうち、AF画素5g(e列8行)に対応する画像信号を補間する場合、AF画素5gは、RGBのベイヤー配列において、本来ならG成分フィルタが配列される画素である。よってAF画素5gはG成分の画像信号を補間する必要がある。
【0051】
そこでまず、AF画素5gの周囲の各色成分(R,G,B)の通常画素において、それぞれ足りない色成分を周囲の通常画素から補間して、各通常画素における白色光成分を推定する。例えばG(e列6行)画素の白色光画素値を推定するには、その周囲のR画素(R(e列5行)、R(e列7行))からR成分を補間してもらい、また周囲のB画素(B(d列6行)、B(f列6行))からB成分を補間してもらって、白色光成分の画素値を推定演算する。
【0052】
次に、そのようにして推定された各周囲画素の白色光成分の画素推定値と、AF画素5gの出力値(AF画素5gの出力は白色光成分そのもの)とに基づいて、AF画素5gを含むその周辺画素領域での白色光成分の画素値の分布を得る(周辺画素領域の全出力を白色光成分に置き換えた場合の画素出力の起伏状態を得る)。この分布(起伏)情報は、AF画素位置で実際にどの程度のゲインを加える、あるいは差し引けば良いのかの目安として、AF画素5g位置でのG成分出力を補間演算するときに使用する。
【0053】
そして、その白色光成分の画素値の分布情報(起伏情報)と、AF画素5gの周囲画素のG成分画素(G(e列6行)、G(d列7行)、G(f列7行)、G(d列9行)、G(f列9行)、G(e列10行))の出力値の分布とに基づいて、AF画素5gの位置におけるG成分を求める。
【0054】
次に、上述のステップS117で述べた、AF方式としてコントラストAF方式を用いた動画撮影モードの動作について、図6を用いて詳述する。図6の左図は、図2で述べた撮像素子103の一部(撮像素子の1行目〜14行目までの一部)を抜粋した図である。図6の中央図は、撮像素子103から画素混合読み出しされた状態を、左図との対応関係を示しながら説明する図である。図6の右図は、撮像素子103から画素混合読出しされた画素出力を、制御装置104の簡易補間処理部1041で補間処理する際の補間処理方法を、左図、中央図との対応関係を示しながら図示化したものである。
【0055】
本実施形態では、コントラストAF動画撮影モード時に、撮像素子103において2画素混合読出しが行われる。このため図6(右図、中央図)に示すように、同色の画素行同士(本実施例ではR,G画素行は奇数行同士、G,B画素行は偶数行同士)が、画素混合されて読み出される。ただし、既述したように、AF画素行(図6の点線6fで示したAF画素行出力)及びそれと対になるべき通常画素行(図6の実線6eで示した通常画素行出力)の読出しに関しては、画素混合読み出しする代わりとして、AF画素行と通常画素行のうちの何れか一方の画素行を読み出すように構成しており、焦点検出方式がコントラスト検出方式であるときには通常画素行を読み出す(図6において点線6fを読み出さず実線6eのみを読み出している点)。
【0056】
撮像素子103から画素混合読み出しされた画素出力は、制御装置104に取り込まれる。そして簡易補間処理部1041において、画素混合読出しされなかった通常画素行の出力(6行目のみの出力)に対して、補間処理を行う。つまり、本来であれば「6,8行目の画素混合」結果となるべき画素混合行6aの画素出力(AF画素に対応する画像データに関する出力)は、画素混合行6aの周囲の同色の画素混合行6b,6dの出力、および画素混合されずに読み出された画素行6cの出力を用いて補間される。具体的には、次式(3)、(4)により補間が行なわれる。
画素混合行6aのG成分の各画素に対応する出力の補間演算:
画素行6a(Gn)={G(6b)×c}+{G(6c)×d}+{G(6d)×e} ・・・(3)
画素混合行6aのB成分の各画素に対応する出力の補間演算:
画素行6a(Bn)={B(6b)×c}+{B(6c)×d}+{B(6d)×e} ・・・(4)
【0057】
ただし、6a(Gn)は上記画素混合行6aにおけるG成分の各画素(Gn)の出力、G(6b)は2行目と4行目の画素混合出力のうちのG成分の各画素の出力、G(6c)は6行目単独のG成分の各画素の出力、G(6d)は10行目と12行目の画素混合出力のうちのG成分の各画素の出力、6a(Bn)は上記画素混合行6aにおけるB成分の各画素(Bn)の出力、B(6b)は2行目と4行目の画素混合出力のうちのB成分の各画素の出力、B(6c)は6行目単独のB成分の各画素の出力、B(6d)は10行目と12行目の画素混合出力のうちのB成分の各画素の出力、c〜eは画素混合時の混合比率を決定する重み可変係数(どの画素行を演算に使用するかによって可変となる係数)であって且つその重みの分解能は係数c,eよりも係数dの方が格段に大きい。また係数c〜eの値は補間対象行6aから画素混合に使用される周辺画素(各画素混合行6b、6および画素行6cの各画素)までの距離に応じて設定される。ここで、重み可変係数dの方の重み分解能をc,eよりも格段に大きいものにしている理由は、上記重み係数a,bの場合と同様である。
【0058】
このように簡易補間処理部1041では、上記(3)、(4)式を用いて、換言すればAF画素行の出力の代わりに読み出された通常画素行6c(画素混合読出しされなかった通常画素行)、その通常画素行6cの周囲(上下)に存在する同色の画素混合行6b,6dの出力を使って、画素混合行6aの画素出力を補間処理する。
【0059】
次に、上述のステップS119で述べた、AF方式として撮像素子103のAF画素2a出力を使った位相差AF方式を用いる動画撮影モードの動作について、図7を用いて詳述する。図7の左図は、図2で述べた撮像素子103の一部(撮像素子の1行目〜14行目までの一部)を抜粋した図である。図7の中央図は、撮像素子103から画素混合読み出しされた状態を、左図との対応関係を示しながら説明する図である。図7の右図は、撮像素子103から画素混合読出しされた画素出力を、制御装置104の簡易補間処理部1041で補間処理する際の補間処理方法を、左図、中央図との対応関係を示しながら図示化したものである。
【0060】
本実施形態では、位相差AF動画撮影モード時に、撮像素子103において2画素混合読出しが行われる。このため図7(右図、中央図)に示すように、同色の画素行同士(本実施例ではR,G画素行は奇数行同士、G,B画素行は偶数行同士)が、画素混合されて読み出される。ただし、既述したように、AF画素行及びそれと対になるべき通常画素行の読出しに関しては、焦点検出方式が位相差AF方式であるときにはAF画素行を読み出す(図7において、点線7eで示した通常画素行出力を読み出さず、実線7dで示したAF画素行出力のみを読み出している点)。
【0061】
撮像素子103から画素混合読み出しされた画素出力は、制御装置104に取り込まれる。そして簡易補間処理部1041において、画素混合読出しされなかったAF画素行の出力(8行目のみの出力)に対して、補間処理を行う。つまり、本来であれば「6,8行目の画素混合」結果となるべき画素混合行7aの画素出力(AF画素に対応する画像データに関する出力)は、画素混合行7aの周囲の同色の画素混合行7b,7cの出力を用いて補間する。具体的には、次式(5)、(6)により補間が行なわれる。
画素混合行7aのG成分の各画素に対応する出力の補間演算:
画素行7a(Gn)={G(7b)×f}+{G(7c)×g} ・・・(5)
画素混合行6aのB成分の各画素に対応する出力の補間演算:
画素行7a(Bn)={B(7b)×f}+{B(7c)×g} ・・・(6)
【0062】
ただし、7a(Gn)は上記画素混合行7aにおけるG成分の各画素(Gn)の出力、G(7b)は2行目と4行目の画素混合出力のうちのG成分の各画素の出力、G(7c)は10行目と12行目の画素混合出力のうちのG成分の各画素の出力、7a(Bn)は上記画素混合行7aにおけるB成分の各画素(Bn)の出力、B(7b)は2行目と4行目の画素混合出力のうちのB成分の各画素の出力、B(7c)は10行目と12行目の画素混合出力のうちのB成分の各画素の出力、f,gは画素混合時の混合比率を決定する重み可変係数(どの画素行を演算に使用するかによって可変となる係数)であって且つその重みの分解能および値は同等である。なお係数f,gの値は補間対象行7aから補間に使用される周辺画素(各画素混合行7b、7cの各画素)までの距離に応じて設定される。ここで、重み可変係数f,gの重み分解能を同等にしている理由は、この補間演算が、補間対象行7aから離れた位置にある周辺画素を用いて補間を行うためである。
【0063】
このように簡易補間処理部1041では、上記(5)、(6)式を用いて、換言すれば補間されるべきAF画素行7aの周囲(上下)に存在する同色の画素混合行7b,7cの出力を使って、画素混合行7aの画素出力を補間処理する。
【0064】
なお、上記式(1)〜(6)に示した補間処理では、補間対象画素の画素値を、補間対象画素の上下2つの同色画素の画素値を用いて補間する例について説明したが、補間に用いる周辺画素の数が多いほど補間精度が向上する一方で補間処理に時間を要することとなるため、制御装置104は、補間処理に用いる周辺画素の数をフレームレートに応じて変更するようにしてもよい。すなわち、フレームレートが高速なほど補間処理に用いる周辺画素の数を少なくし、フレームレートが低速なほど補間処理に用いる周辺画素の数を多くする。
【0065】
このときのフレームレートに応じた補間処理に用いる周辺画素の数としては、補間処理をフレームレート時間内に完了させることができる最適な数が設定される。例えば、フレームレートが30fpsの場合には、上下2ラインずつの同色ラインの画素を用い、フレームレートが60fpsの場合には、上下1ラインずつの同色ラインの画素を用いるようにしてもよい。これによって、フレームレートにかかわらず、補間処理をフレームレート時間内に完了させることができ、さらにフレームレートが低速で処理時間に余裕がある場合には、補間処理に用いる周辺画素の数を多くして、補間処理の精度を向上させることができる。
【0066】
以上説明した本実施の形態によれば、以下のような作用効果を得ることができる。
(1)動画撮影モードで撮影している際に、コントラストAF方式を用いる動画撮影の場合には、撮像素子から画素混合されずに読み出される通常画素の信号(画像信号/色情報)も使って補間処理を行うので、より高精細な補間画像を得ることができ、且つ補間演算自体も位相差AF動作モードの場合と比して演算時間に差がないので撮影フレームレートも維持できる。
【0067】
(2)動画撮影モードで撮影している際に、焦点検出方式によって補間処理方法を変更するようにしている。これによって、焦点調節方法に応じた最適な方法で補間対象画素の補間を行うことができる。具体的には、位相差AF方式を用いる動画撮影の場合には、撮像素子から画素混合されずに読み出されるAF画素行の信号を使わずに補間処理を行うので、高速な補間処理を行うことができ、撮影フレームレートを維持することができる。その一方で、コントラストAF方式を用いる動画撮影の場合には、撮像素子から画素混合されずに読み出される通常画素の信号(画像信号/色情報)も使って補間処理を行うので、より高精細な補間画像を得ることができ、且つ補間演算自体も位相差AF動作モードの場合と比して演算時間に差がないので撮影フレームレートも維持できる。
【0068】
(3)撮影フレームレートに応じて、補間処理に用いる周辺画素の数を変更するようにした。これによって、撮影フレームレートに応じて補間処理に要する時間を調節することができ、補間対象画素の補間処理を撮影フレームレート時間内に完了させることができる。
【0069】
(4)撮影フレームレートが高速なほど補間処理に用いる周辺画素の数を少なくし、撮影フレームレートが低速なほど補間処理に用いる周辺画素の数を多くするようにした。これによって、撮影フレームレートにかかわらず、補間処理を撮影フレームレート時間内に完了させることができ、さらに撮影フレームレートが低速で処理時間に余裕がある場合には、補間処理に用いる周辺画素の数を多くして、補間処理の精度を向上させることができる。
【0070】
(5)補間対象画素の画素値を、補間対象の複数の周辺画素の画素値を用いて補間するようにした。これによって、補間対象画素の画素値を高速かつ高精度に補間することができる。
【0071】
(6)補間対象画素と、補間に用いる周辺画素との距離に応じて、補間に用いる画素の画素値の混合比率を決定するようにした。これによって、補間対象画素からの距離が近いほど混合比率を上げることにより、補間精度を向上することができる。
【0072】
―変形例―
なお、上述した実施の形態のカメラは、以下のように変形することもできる。
(1)上述した実施の形態では、制御装置104は、撮影対象が静止画の場合には、補間対象のAF画素と同色の周辺画素を用いてAF画素の画素値を補間する例について説明した。しかしながら、制御装置104は、撮影対象が静止画の場合には、補間対象のAF画素の画素値を、AF画素から出力される焦点検出用の信号に含まれる輝度信号と、補間対象のAF画素の同色の周辺画素の画素値とを用いて補間するようにしてもよい。このように、周辺画素だけでなく補間対象のAF画素から出力される輝度信号も用いて補間を行うことによって、周辺画素のみを用いて補間する場合よりも補間精度を向上させることができる。
【0073】
(2)上述した実施の形態では、図3に示したように、撮像素子103の画素配置3aに対して画素値3bを間引いて読み出す場合にAF画素の画素値を補間する例について説明した。しかしながら、本発明は、撮像素子103の全ての画素を読み出して画像データを生成する場合にも適用可能である。
【0074】
なお、本発明の特徴的な機能を損なわない限り、本発明は、上述した実施の形態における構成に何ら限定されない。また、上述の実施の形態と複数の変形例を組み合わせた構成としてもよい。
【符号の説明】
【0075】
100 カメラ、101 操作部材、102 レンズ、103 撮像素子、104 制御装置、1041 簡易補間処理部、1042 メモリ、1043 静止画補間処理部、1044 信号処理部、1045 AF演算部、105 メモリカードスロット、106 モニタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
焦点調節用の信号を出力する複数の第1画素を備えた第1画素行と、画像データ生成用の信号を出力する複数の第2画素のみを備えた第2画素行とを有する撮像素子と、
前記撮像素子から、複数の画素行同士の出力を、所定混合手順にのっとって混合出力する際に、該所定混合手順上では前記第1画素行と混合されるべき特定の第2画素行の出力に対して、当該特定の第2画素行の出力と、当該特定の第2画素行の周囲の前記第2画素行同士の混合出力とを用いて補間処理する補間処理手段とを有することを特徴とするカメラ。
【請求項2】
請求項1に記載のカメラにおいて、
前記補間処理手段は、前記補間処理を、前記第2画素の出力に基づいて焦点調節を行う第2焦点調節方法を用いながら動画像の撮影を行う第2動画撮影状態の場合に、前記補間処理を行うことを特徴とするカメラ。
【請求項3】
請求項2に記載のカメラにおいて、
前記第2動画撮影状態と、前記第1画素の出力に基づいて焦点調節を行う第1焦点調節方法を用いながら動画像を撮影する第1動画撮影状態とを含み、それら動画撮影状態を切り換える切換手段とを備え、
前記補間処理手段は、前記切換手段により切り換えられた撮影状態に応じて、前記補間処理の方法を変更することを特徴とするカメラ。
【請求項4】
請求項3に記載のカメラにおいて、
前記補間処理手段は、前記撮影状態に応じて、前記補間処理の際に用いる情報量を変更して前記補間処理を行うことを特徴とするカメラ。
【請求項5】
請求項3又は4に記載のカメラにおいて、
前記補間処理手段は、前記第2動画撮影状態の場合には、前記第1動画撮影状態の場合よりも、前記補間処理の際に使用する情報量を多く用いることを特徴とするカメラ。
【請求項6】
請求項2〜4の何れか一項に記載のカメラにおいて、
前記第1動画撮影状態は、動画像を撮影し記録媒体に記録する動画撮影状態と、動画像を撮影して前記記録媒体に記録することなく表示装置に表示するスルー画撮影状態との少なくとも一方を含むことを特徴とするカメラ。
【請求項7】
請求項1〜6の何れか一項記載のカメラにおいて、
撮影状態として静止画を撮影する第3撮影状態を更に有し、
前記切換手段は、前記第1動画撮影状態、第2動画撮影状態、前記第3撮影状態を切り換え可能であり、
前記補間処理手段は、前記切換手段により前記第3撮影状態に切り換えられると、前記第1画素に対応する画像データ生成用の情報を、前記第1、第2動画撮影状態とは異なる補間処理方法を用いて補間処理することを特徴とするカメラ。
【請求項8】
請求項7に記載のカメラにおいて、
前記補間処理手段は、前記第3撮影状態のときには、前記第1画素に対応する画像データ生成用の情報を、当該第1画素の出力と、当該第1画素の周囲に存在する前記第2画素の出力とを用いて補間処理することを特徴とするカメラ。
【請求項9】
請求項1〜8の何れか一項に記載のカメラにおいて、
前記補間処理手段は、前記動画像を撮影する際のフレームレートに応じて、前記補間処理に用いる前記第2画素の数を変更することを特徴とするカメラ。
【請求項10】
請求項9に記載のカメラにおいて、
前記補間処理手段は、前記フレームレートが高速なほど、前記補間処理に用いる前記第2画素の数を少なくすることを特徴とするカメラ。
【請求項11】
請求項1〜10の何れか一項に記載のカメラにおいて、
前記補間処理手段は、前記第1画素と、補間に用いる前記第2画素のそれぞれの画素との距離に応じて、前記補間処理に用いる前記第2画素の出力の混合比率を決定することを特徴とするカメラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−199493(P2011−199493A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−62736(P2010−62736)
【出願日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】