説明

カルシウム拮抗化合物としての相補ピリミジノン化合物

カルシウム拮抗化合物及びその調製方法を開示する。また、カルシウム拮抗化合物の使用方法も提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カルシウム受容体の活性を阻害し得る相補ピリミジノン化合物、該化合物を含む薬学的組成物、並びに前記組成物及び化合物を調製する方法に関する。また、本発明は、かかる化合物及び組成物の使用、特に治療効果を達成するため患者に投与する際の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
哺乳動物において、細胞外Ca2+は厳格な恒常性制御の下にあり、血液凝固、神経及び筋肉の興奮性、及び適切な骨形成のような種々のプロセスを規制する。細胞外Ca2+は副甲状腺細胞からの副甲状腺ホルモン(“PTH”)の分泌を阻害し、破骨細胞による骨吸収を阻害し、またC細胞からのカルシトニンの分泌を促進する。カルシウム受容体タンパク質は、ある種の分化した細胞が細胞外Ca2+濃度の変化に応答できるようにする。
【0003】
PHTは、血液中及び細胞外液中においてCa2+恒常性を規制する主要な内分泌因子である。PTHは、骨細胞及び腎臓細胞に働きかけることによって血中のCa2+レベルを増加させる。次いで、細胞外Ca2+中の増加は、負のフィードバックシグナルとして働きPTHの分泌を低下させる。細胞外Ca2+とPTH分泌の間の相互関係は、身体のCa2+恒常性を維持する重要な機構を形成する。
【0004】
細胞外Ca2+は副甲状腺細胞に直接働き、PTHの分泌を規制する。細胞外Ca2+の変化を感知する副甲状腺細胞表面タンパク質の存在が確認されている。非特許文献1を参照。副甲状腺細胞において、カルシウム受容体であるこのタンパク質は、細胞外Ca2+の受容体として働き、細胞外Ca2+のイオン濃度の変化を感知し、また機能的細胞反応であるPHT分泌を開始させる。
【0005】
細胞外Ca2+は、様々な細胞機能に影響を及ぼし、非特許文献2に概説されている。例えば、細胞外Ca2+は傍濾胞細胞(C細胞)及び副甲状腺細胞に影響を与える。非特許文献3を参照。また、破骨細胞に対する細胞外Ca2+の役割も研究されている。非特許文献4を参照。
【0006】
カルシウム受容体分子に対する細胞外Ca2+の効果を模倣する様々な分子が既知である。カルシウム拮抗化合物はカルシウム受容体の活性を阻害し得る化合物であり、細胞外Ca2+によって誘引される一以上のカルシウム受容体の活性を減少させる。カルシウム拮抗化合物は、Ca2+受容体において活性である有用なカルシウムモジュレーターの発見、開発、設計、修飾及び/又は構築においてリード分子として有用である。かかるカルシウム拮抗化合物は、一以上のCa2+受容体における活性によって規制又は影響を受ける、例えばホルモン、酵素又は成長因子のようなポリペプチドなどの一以上の成分、発現及び/又は分泌の異常なレベルによって特徴付けられる様々な病状の治療に有用である。カルシウム拮抗化合物の標的の病気又は疾患としては異常な骨及びミネラルの恒常性を伴う病気が挙げられる。
【0007】
異常なカルシウム恒常性は、次の一以上の活性によって特徴付けられる:血清カルシウムの異常な増加又は減少;カルシウムの尿排泄物中の異常な増加又は減少;骨カルシウムレベルの異常な増加又は減少(例えば、骨ミネラル密度測定によって測定される);食事性カルシウムの異常な吸収;PTH及びカルシトニンのような血清カルシウムレベルに影響を及ぼすメッセンジャーの生成及び/又は放出の異常な増加又は減少;並びに血清カルシウムレベルに影響を及ぼすメッセンジャーによって誘引される応答性の異常な変化。
【0008】
従って、カルシウム受容体拮抗薬は、副甲状腺機能低下症、骨肉腫、歯周病、骨折治癒機転、変形性関節症、関節置換術、関節リュウマチ、パジェット病、悪性腫瘍及び骨折治癒機転に関連する液性高カルシウム血症、並びに骨粗鬆症のような異常な骨又はミネラル恒常性に関する病気の薬物療法に対するユニークな研究方法を提供する。
【0009】
【非特許文献1】ネイチャー、第366巻、1993年、p.574
【非特許文献2】ネメス等(Nemeth et ai.,)著、セルカルシウム、第11巻、1990年、p.319
【非特許文献3】ネメス著、セルカルシウム、第11巻、1990年、p.323
【非特許文献4】ザイジ(Zaidi)著、バイオサイエンスレポート、第10巻、1990年、p.493
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0010】
(発明の要旨)
特に限定されないが、副甲状腺機能低下症、骨肉腫、歯周病、骨折治癒機転、変形性関節症、関節置換術、関節リュウマチ、パジェット病、悪性腫瘍及び骨折治癒機転に関連する液性高カルシウム血症、並びに骨粗鬆症を含む異常な骨又はミネラル恒常性に関する様々な病気の治療においてカルシウム受容体拮抗薬として有用な相補ピリミジノン化合物をここに開示する。かかる化合物は、以下の式(I)によって表される。
【0011】
また、ヒトを含む動物中でカルシウム受容体を拮抗する方法も開示する。かかる方法は、以下に示す式(I)の化合物の有効量を、それを必要としている動物に投与することを含む。
【0012】
更に、ヒトを含む動物において血清副甲状腺レベルを増加させる方法を開示する。かかる方法には、以下に示す式(I)の化合物の有効量を、それを必要としている動物に投与することを含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
(好ましい実施態様の詳細な記載)
カルシウム拮抗化合物又はカルシウム拮抗物質として有用な相補ピリミジノン化合物を開示する。“カルシウム拮抗化合物”又は“カルシウム拮抗物質”とは、カルシウム受容体の活性を阻害し得る化合物を指す。“カルシウム受容体の活性を阻害する”ための化合物の能力とは、かかる化合物が細胞外細胞外Ca2+によって誘引される一以上のカルシウム受容体の活性を減少させることを意味する。
【0014】
カルシウム受容体の活性を阻害する及び/又は患者に有益な効果をもたらすカルシウム拮抗化合物の利用について以下に記載する。更に具体的には、本願はカルシウム拮抗化合物のPTH分泌を上昇させる能力について明らかにし、それによって副甲状腺カルシウム受容体がこれらの化合物の標的部位であることを確認する。また、更にカルシウム拮抗化合物を得るために使用することができる方法を以下に記載する。
【0015】
カルシウム拮抗化合物を特徴付ける例を、構造(I)に描画された化学式及び付随の記載によって提供する。
【化1】

式中、R及びRはそれぞれ独立してH、ハロゲン、CN、CF、低級アルキル基、シクロアルキル基もしくはアリール基の一つ;又はR及びRは共に−(CH−で、nは5、4、もしくは3であり;
はアリール基であって、そのアリール環中に0から4の置換基を有し、置換基はそれぞれハロゲン、CN、CF、OCF、低級アルキル基、N(低級アルキル基)2、低級アルコキシ基、OH、OC(O)−低級アルキル基、OC(O)−低級アルキルアミノ基、もしくはOC(O)−低級アルキル-N(低級アルキル基)2の少なくとも一つであり;
はH、低級アルキル基、アリール基又は式-(CH2)−Rでnが0、1もしくは2である群の少なくとも一つであり;Rはアリール基であって、そのアリール環上に0から3の置換基を有し、各置換基は、ハロゲンCN、CF、OCF、低級アルキル基、低級アルコキシ基、NH−低級アリール基、NH−アルキルアリール基、N(低級アルキル基)2、OH、OC(O)−低級アルキル基、OC(O)−低級アルキルアミノ基、もしくはOC(O)−低級アルキル-(低級アルキル基)2の少なくとも一つであるか、或いはこれらの製薬学的に適合する塩、水和物、互変異性体、溶媒和物又は複合体である。
【0016】
ここで用いる“アルキル基”は、炭素−炭素単結合で結合し、またそれぞれ結合した1−20の炭素原子を有する任意の置換炭化水素基を指す。アルキル炭化水素基は、直鎖状、分枝状又は環状、飽和又は不飽和でもよい。任意の置換アルキル基上の置換基は、アリール基、CO2R、CO2NHR、OH、OR、CO、NH2、halo、CF、OCF又はNO2の少なくとも一つでもよく、ここでRはH、C1−4アルキル基、C3−6シクロアルキル基、C2−5アルケニル基、C2−5アルキニル基、ヘテロシクロアルキル基、又はアリール基である。更なる置換基は、F、Cl、Br、I、N、S又はOの少なくとも一つでも良い。一実施態様において、3以下の置換基が存在している。他の実施態様においては、アルキル基は1−12の炭素原子を有し不飽和である。かかるアルキル基は直鎖状でも良い。
【0017】
ここで使用したように、“シクロアルキル基”は、任意の飽和の3−7員炭素環であり、置換基は、他は示さないが、F、Cl、Br、I、N(R又はORの少なくとも一つでも良い。
【0018】
ここで用いる“アリール基”は、少なくとも一つの共役のpi電子系を有する環を持ち、2以下の共役又は縮合環系を含む任意の置換芳香族基を指す。アリール基としては、カルボサイクリックアリール基及びビアリール基を含み、これらは全て更に置換されていても良い。フェニル基及びナフチル基、とりわけフェニル基が、特に有用なアリール基である。適切な置換基の例としては、ハロゲン、C1−4アルキル基、OCF、CF、OMe、CN、OSOR又はNO2の少なくとも一つが挙げられ、ここでRはC1−4アルキル基又はC3−6シクロアルキル基を表す。
【0019】
ここで用いる“ヘテロアリール基”は、N、S、又はOのような1、2、又は3個のヘテロ原子を含むアリール環を指す。
【0020】
ここで用いる“アルケニル基”は、少なくとも一つの炭素−炭素二重結合を含み、またそれぞれ結合した5以下の炭素原子を含む任意の置換炭化水素基を指す。アルケニル炭化水素鎖は直鎖状、分枝状又は環状でも良い。どの置換基も、ハロゲン、C1−4アルキル基、OCF、CF、OMe、CN、OSOR又はNO2の少なくとも一つであり、ここで、RはC1−4アルキル基、C3−6シクロアルキル基を表す。
【0021】
ここで用いる“アルキニル基”は、炭素原子間に少なくとも一つの炭素−炭素三重結合を含み、またそれぞれ結合した5以下の炭素原子を含む任意の置換炭化水素基を指す。アルキニル炭化水素鎖は直鎖状、分枝状又は環状でも良い。置換基はハロゲン、C1−4アルキル基、OCF、CF、OMe、CN、OSOR又はNO2の少なくとも一つであり、ここで、RはC1−4アルキル基又はC3−6シクロアルキル基を表す。
【0022】
相補ピリミジノン化合物は、一以上の不斉炭素原子を含んでもよく、またラセミ体及び任意の活性体で存在しても良い。これらの化合物及びジアステレオマーの全てが、本発明の範囲内にあることを意図している。
【0023】
相補ピリミジノン化合物の例としては、6−(2−ヒドロキシフェニル)−2−メチル−5−(2−フェニルエチル)−3−プロピル−4(3H)−ピリミジノン、6−(2−ヒドロキシフェニル)−2−メチル−5−(2−フェニルエチル)−3−エチル−4(3H)−ピリミジノン、6−(2−ヒドロキシフェニル)−2−メチル−5−(2−フェニルエチル)−3−メチル−4(3H)−ピリミジノン、6−(2−ヒドロキシフェニル)−2−メチル−5−(2−フェニルエチル)−3−[2−(2−ピリジニル)エチル]−4(3H)−ピリミジノン、6−(2−ヒドロキシフェニル)−2−メチル−5−(2−フェニルエチル)−3−ブチル−4(3H)−ピリミジノン、6−(2−ヒドロキシフェニル)−2−メチル−5−(2−フェニルエチル)−3−ペンチル−4(3H)−ピリミジノン、6−(2−ヒドロキシ−フェニル)−2−メチル−5−(2−フェネチル)−3−ヘキシル−3H−ピリミジン−4−オン、3−シクロプロピルメチル−6−(2−ヒドロキシ−フェニル)−2−メチル−5−フェネチル−3H−ピリミジン−4−オン、3−(2−メチルアリル)−6−(2−ヒドロキシ−フェニル)−2−メチル−5−フェネチル−3H−ピリミジン−4−オン、3−(3−メチルブチル)−6−(2−ヒドロキシ−フェニル)−2−メチル−5−フェネチル−3H−ピリミジン−4−オン、3−(2−シクロヘキシルエチル)−6−(2−ヒドロキシ−フェニル)−2−メチル−5−フェネチル−3H−ピリミジン−4−オン、3−プロピル−6−(3−フルオロ−2−ヒドロキシ−フェニル)−2−メチル−5−フェネチル−3H−ピリミジン−4−オン、3−ヘキシル−6−(3−フルオロ−2−ヒドロキシ−フェニル)−2−メチル−5−フェネチル−3H−ピリミジン−4−オン、3−プロピル−6−(2−ヒドロキシ−フェニル)−2−メチル−5−(2−シクロヘキシルエチル)−3H−ピリミジン−4−オン、2−(2−ヒドロキシフェニル)−3−(2−フェニルエチル)−6,7,8,9−テトラヒドロ−4H−ピリド[1,2−a]ピリミジン−4−オン、3−(2−シクロヘキシルエチル)−2−(2−ヒドロキシフェニル)−6,7,8,9−テトラヒドロ−4H−ピリド[1,2−a]ピリミジン−4−オン、3−シクロプロピル−6−(2−ヒドロキシフェニル)−2−メチル−5−(2−フェニルエチル)ピリミジン−4(3H)−オン、6−(2−ヒドロキシフェニル)−2−メチル−3−[2−(1−メチルピロリジン−2−イル)エチル]−5−(2−フェニルエチル)ピリミジン−4(3H)−オン、3−(2,2−ジメチルプロピル)−6−(2−ヒドロキシフェニル)−2−メチル−5−(2−フェニルエチル)ピリミジン−4(3H)−オン、3−sec−ブチル−6−(2−ヒドロキシフェニル)−2−メチル−5−(2−フェニルエチル)ピリミジン−4(3H)−オン、3−シクロペンチル−6−(2−ヒドロキシフェニル)−2−メチル−5−(2−フェニルエチル)ピリミジン−4(3H)−オン、6−(2−ヒドロキシフェニル)−3−イソブチル−2−メチル−5−(2−フェニルエチル)ピリミジン−4(3H)−オン、3−シクロブチル−6−(2−ヒドロキシフェニル)−2−メチル−5−(2−フェニルエチル)ピリミジン−4(3H)−オン、3−シクロヘキシル−6−(2−ヒドロキシフェニル)−2−メチル−5−(2−フェニルエチル)ピリミジン−4(3H)−オン、6−(2−ヒドロキシフェニル)−3−イソプロピル−2−メチル−5−(2−フェニルエチル)ピリミジン−4(3H)−オン、6−(2−ヒドロキシフェニル)−2−メチル−5−(2−フェニルエチル)−3−(2,2,2−トリフルオロエチル)ピリミジン−4(3H)−オン、6−(2−ヒドロキシフェニル)−2−メチル−3−オクチル−5−(2−フェニルエチル)ピリミジン−4(3H)−オン、3−ヘプチル−6−(2−ヒドロキシフェニル)−2−メチル−5−(2−フェニルエチル)ピリミジン−4(3H)−オン、3−アリル−6−(2−ヒドロキシフェニル)−2−メチル−5−(2−フェニルエチル)ピリミジン−4(3H)−オン、6−(3−フルオロ−2−ヒドロキシフェニル)−2、3−ジメチル−5−(2−フェニルエチル)ピリミジン−4(3H)−オン、3−エチル−6−(3−フルオロ−2−ヒドロキシフェニル)−2−メチル−5−(2−フェニルエチル)ピリミジン−4(3H)−オン、3−ブチル−6−(3−フルオロ−2−ヒドロキシフェニル)−2−メチル−5−(2−フェニルエチル)ピリミジン−4(3H)−オン、2−(ジメチルアミノ)−6−(2−ヒドロキシフェニル)−5−(2−フェニルエチル)−4(1H)−ピリミジノン、6−(2−ヒドロキシフェニル)−2−メチル−3−フェニル−5−(2−フェニルエチル)−4(3H)−ピリミジノン、6−(3−フルオロ−2−ヒドロキシフェニル)−3−ヘプチル−2−メチル−5−(2−フェニルエチル)−4(3H)−ピリミジノン、3−(1−ベンゾチエン−2−イル)−6−(3−フルオロ−2−ヒドロキシフェニル)−2−メチル−5−(2−フェニルエチル)−4(3H)−ピリミジノン、6−(3−フルオロ−2−ヒドロキシフェニル)−2−メチル−3−(5−メチル−2−チエニル)−5−(2−フェニルエチル)−4(3H)−ピリミジノン、6−(3−フルオロ−2−ヒドロキシフェニル)−2−メチル−3−(4−メチル−2−チエニル)−5−(2−フェニルエチル)−4(3H)−ピリミジノン、3−(4−ビフェニリル)−6−(3−フルオロ−2−ヒドロキシフェニル)−2−メチル−5−(2−フェニルエチル)−4(3H)−ピリミジノン及び6−(3−フルオロ−2−ヒドロキシフェニル)−2−メチル−5−(2−フェニルエチル)−3−(5−フェニル−2−チエニル)−4(3H)−ピリミジノンが挙げられる。
【0024】
製薬学的に許容される塩は、それらを投与する量及び濃度において無毒な塩である。
【0025】
製薬学的に許容される塩としては、スルファミン酸塩、塩酸塩、フマル酸エステル、マレイン酸エステル、リン酸塩、硫酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、酒石酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、シクロヘキシルスルファミン酸塩及びキナ酸塩のような酸付加塩が挙げられる。塩酸塩は製薬学的に許容される塩として特に有用である。製薬学的に許容される塩は、塩酸、マレイン酸、硫酸、リン酸、スルファミン酸、酢酸、クエン酸、乳酸、酒石酸、マロン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、シクロヘキシルスルホン酸、フマル酸、及びキナ酸のような酸から得ることができる。
【0026】
また、製薬学的に許容される塩としては、カルボン酸又はフェノールのような酸官能基が存在している場合、ベンザチン、塩酸プロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、メグルミン、プロカイン、アルミニウム、カルシウム、リチウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウム、アンモニウム、アルキルアミン、及び亜鉛を含むような塩基付加塩が挙げられる。
【0027】
上記式(I)の化合物は通常の方法を用いて調製することができる。ここに記載した好ましい化合物を調製する全ての方法は、この節に記載した方法によって実行できる。以下の例は、特定の化合物の合成について説明している。手本としてここに記載したプロトコールを用いれば、一当業者は本発明の他化合物を容易に製造可能である。
【0028】
全ての試薬及び溶媒は市販業者から得た。出発材料は一般的な技術及び手順を用いて合成した。
【0029】
(合成スキーム)
本願で取り上げたピリミジノンの合成は、以下のスキーム1又は2で概説した2つの方法の一つにより実行しても良い。β−ケトエステル3は、当業者に既知の方法で合成しても良い。エステル1を水素化ナトリウムで処理し、その後に芳香族エステル2を付加することによりβ−ケトエステル3を与える。ナトリウムメトキシド又は炭酸カリウムのような塩基の存在下で3をアセトアミジンで処理することによりピリミジノン4を与える。4を、臭化リチウム及び1−ブロモプロパンのようなアルキル化剤の存在下において水素化ナトリウムのような塩基で処理することにより5を与える。5のメチルエステル保護基の脱保護は、三臭化ホウ素で処理して目的ピリミジノン6を与えるような当業者に既知の方法によって実現してもよい。
【0030】
(スキーム1)
【化2】

【0031】
スキーム2に概説しているように、酢酸のような酸の存在下でβ−ケトエステル3を酢酸ナトリウムで処理することによりエナミン7を与える。7を無水酢酸のようなアシル化剤でアシル化することにより8を与える。シクロプロピルアミンのようなアミンの存在下において8をトリメチルアルミニウムで処理することによりピリミジノン9を与える。三臭化ホウ素を使用するような当業者に一般的な条件下での9の脱保護により、目的ピリミジノン10を与える。
【0032】
(スキーム2)
【化3】

【0033】
スキーム3で概説しているように、スキーム2記載の条件下で調製可能な11のようなアセチル基で保護したエナミンは、4−アミノビフェニルのようなアミンの存在下においてクロロトリイソプロポキシチタンで処理することにより環を生じさせピリミジノン12を一段階で生成できる。酢酸及び水において臭化水素酸のような当業者に一般的な条件下で12を脱保護することにより、目的ピリミジノン13を与える。
【0034】
(スキーム3)
【化4】

【0035】
スキーム4は、市販のチオフェン−2−カルボン酸塩14を発端にする2−アミノチオフェンへの経路について概説する。カルボン酸14を、tert−ブチルアルコールを還流しつつ、ジフェニルフォスフォリルアジドのような標準的なクゥルツィウス再配列条件下で処理することにより、tert−ブトキシカルボニル基で保護されたアミン15を与える。tert−ブチルカルボニル基を、ジクロロメタンのような有機溶媒中でトリフルオロ酢酸のような当業者には一般的な条件下で脱保護することにより、目的アミン16を与える。
【0036】
(スキーム4)
【化5】

【0037】
スキーム5に示すように、トリス(ジベンジリジンアセトン)のような適切なリガンド及びtert−ブトキシドナトリウムのトルエン溶液のような塩基の存在下で、パラジウム(0)のような標準的な有機金属カップリング反応条件において臭化物17を処理することによって、臭化物と1,1−ジフェニルメタンイミンのようなアミンの間のカップリングを促進しイミン18を生じる。テトラヒドロフランのような有機溶媒中で塩酸水のような標準的な加水分解条件を使用することにより、遊離アミンの標的19を与えることができる。
【0038】
(スキーム5)
【化6】

【0039】
式(I)の化合物又はその製薬学的に許容される塩をヒト及びその他の動物の治療用に使用するために、通常、製薬組成物と同様の標準的な薬務に従って処方する。
【0040】
カルシウム拮抗化合物は、静脈内投与、腹腔内投与、皮下投与、筋肉内投与、口内投与、局所性(経皮的)投与、又は経粘膜投与を含む様々な経路によって投与できる。経口投与は全身投与に適している。経口投与用に、かかる化合物を従来の経口投薬形態に処方できる。適切な経口投薬形態の例としては、カプセル、錠剤、並びにシロップ、エリキシル剤、及び濃縮点滴剤のような液体製剤が挙げられる。
【0041】
また、注射、例えば筋肉内、静脈内、腹腔内、及び皮下への注射(非経口的投与)を使用してもよい。注射用に、本発明の化合物を液体に処方する。例えば、かかる化合物は、食塩水、ハンクス溶液、又はリンガー溶液のような生理的に相性の良い緩衝液又は溶液中に処方しても良い。更に、かかる化合物を固形で処方して、使用の直前に溶解又は分散させても良い。また、凍結乾燥した形態も提供できる。
【0042】
また、全身投与は経粘膜的又は経皮的投与によっても達成できる。経粘膜的又は経皮的投与用に、障壁に浸透させるのに適当な浸透剤を処方に使用する。通常、かかる浸透剤は当業者に既知であり、例えば、経粘膜投与用に胆汁塩及びフシジン酸誘導体が挙げられる。更に、浸透を促進するために界面活性剤を使用しても良い。例えば、経粘膜的投与は点鼻スプレー、直腸座薬、又は膣座薬を介しても良い。
【0043】
本発明のかかる化合物は、局所性投与用に、一般に当業者に既知である方法で軟膏、膏薬、ゲル、又はクリーム中に処方できる。
【0044】
投与するための様々なカルシウム拮抗化合物の量は、化合物の50%阻害濃度(IC50)、半数影響濃度(EC50)、化合物の生物学的半減期、患者の大きさ及び体重、並びに患者に関連する病気及び疾患のような因子を評価に入れることによる標準的なやり方で決定できる。考慮すべきこれら及びその他の因子の重要性は当業者に既知である。
【0045】
また、投与する量は投与経路及び経口生体利用効率に依存する。例えば、低い経口生体利用効率を有する化合物用には比較的高い服用量を投与しなければならないであろう。
【0046】
通常、かかる組成物は単位服用形態で投与する。経口適用として、例えば錠剤又はカプセルで投与でき、点鼻用としては定量エアロゾルで投与でき、経皮用としては局所製剤又はパッチで投与でき、経粘膜送達用には口腔内パッチを施すこともできる。それぞれの場合において、投薬は、患者に単回投与してもよい。
【0047】
経口投与用のそれぞれの用量単位には、遊離塩基として計算したところ、式(I)の化合物又はこの製薬学的に許容される塩を約0.01から約500mg/kg含むことが望ましい。また、経口投与用の用量単位は、約0.1から約50mg/kgでも良い。非経口経路、経鼻経路、経口経路、吸入経路、経粘膜経路又は経皮経路用の1日服用量には、式(I)の化合物を0.01から5.0%含むことが望ましい。1回投与が簡便ではあるが、1日につき2から6回のような複数回投与を利用しても良い。当業者には直ちに明らかであるように、活性成分の量及び投薬量は、所望の活性を示すために必要なだけ投与しても良い。
【0048】
ここに使用したように、病気の“治療”には、特に限定されないが、病気の予防、遅延及び予防法が含まれる。
【0049】
病的細胞に基づいて治療又は予防できる病気及び疾病としては、骨及びミネラルに関連した病気又は疾病;甲状腺機能低下症;卒中、脳梗塞、頭蓋骨損傷、延髄損傷のような中枢神経系の病気又は疾病、心停止又は新生児切迫仮死のような低酸素誘導神経細胞傷害、てんかん、アルツハイマー病、ハンチントン、及びパーキンソン病のような神経変性疾患、認知症、筋肉の緊張、鬱病、不安神経症、パニック障害、脅迫障害、心的外傷後ストレス障害、統合失調症、神経弛緩薬性悪性症候群、及びトゥレット・シンドローム;抗利尿ホルモン不適合分泌症候群 (SIADH)のような腎臓での過度の水の吸収を伴う病気、肝硬変、うっ血心不全、及びネフローゼ;高血圧症;塩基性抗生物質(例えば、アミノグリコシド系抗生物質)による腎臓毒性を予防及び/又は減少させること;下痢及びけいれん性結腸のような腸管運動異常;胃腸潰瘍性疾患;サルコイドーシスのような過度のカルシウム吸収を伴う胃腸病;自己免疫疾患及び臓器移植拒絶反応;扁平上皮細胞ガン;並びに膵炎が挙げられる。
【0050】
一実施態様において、相補ピリミジノン化合物を血清副甲状腺ホルモン(“PTH”)レベルを増加させるために用いる。血清副甲状腺ホルモンレベルを増加させることは、副甲状腺機能低下症、骨肉腫、歯周病、骨折、変形性関節症、関節リュウマチ、パジェット病、液性高カルシウム血症及び骨粗鬆症のような病気の治療に役立てることができる。
【0051】
相補ピリミジノン化合物は再吸収阻害薬と共投与できる。かかる薬剤としては、特に限定されないが、エストロゲン、1,25(OH)ビタミンD3、カルシトニン、エストロゲン受容体選択的修飾薬、ビトロネクチン受容体拮抗薬、V−HATPアーゼ阻害剤、src SH2拮抗薬、ビスホスホネート又はカテプシン K阻害剤が挙げられる。
【0052】
ここに開示した化合物は、患者を治療して患者の血清PTHレベルを増加させるための方法において利用できる。かかる方法は、治療効果を有するのに十分な血清PTHレベルを持続時間中及び/又はその量を増加させるために有効な化合物の量を患者に投与することによって実行する。
【0053】
様々な実施態様において、患者に投与した化合物は、1時間以下、約1から約24時間、約1から約12時間、約1から約6時間、約1から約5時間、約1から約4時間、約2から約5時間、約2から約4時間、又は約3から約6時間の持続時間を有する血清PTHの増加を生じる。
【0054】
他実施態様において、患者に投与した化合物は、再吸収阻害薬を共投与する条件で、24時間を超える持続時間を有する血清PTHの増加を生じる。
【0055】
更なる別の実施態様において、患者に投与した化合物は、患者の血清PHTレベルのピークの2倍、2から5倍、5から10倍、及び少なくとも10倍の血清PTHの増加を生じる。ピークの血清レベルは治療を受けていない患者について測定する。
【0056】
上記のように、経口投与した場合に活性である式(I)の化合物及びその製薬学的に許容される塩は、シロップ、錠剤、カプセル及びトローチ剤として処方できる。一般的に、シロップ処方には液体担体中で化合物又は塩の懸濁液又は溶液を含む。適切な液体担体の例としては、香料又は着色料を含むエタノール、ピーナッツ油、オリーブ油、グリセリン又は水が挙げられる。錠剤の形態で提供された組成物において、固形剤を調製するために通常使用される如何なる製薬学上の担体を使用しても良い。かかる担体の例としては、ステアリン酸マグネシウム、石こう、滑石、ゼラチン、アカシア、ステアリン酸、澱粉、ラクトース及びサッカロースが挙げられる。シロップとして供給される化合物においては、通常の如何なるカプセル化も適合する。例えば、錠剤を調製するために用いた前記担体を硬ゼラチンカプセル殻を形成するために利用しても良い。軟ゼラチン殻カプセルにおける組成物用に、通常分散液又は懸濁液を調製するために使用される如何なる製薬学上の担体を検討しても良い。軟ゼラチンカプセル殻を形成するために適切な材料の例としては、水性ゴム、セルロース、ケイ酸塩及び油が挙げられる。
【0057】
典型的な非経口組成物は、任意に非経口適合油を含む無菌水又は例えば、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、レシチン、落花生油、ゴマ油のような非水性担体中で、化合物又は塩の溶液又は懸濁液からなる。
【0058】
一般的な吸入用組成物は、ドライパウダーとして投与できる溶液、懸濁液又はエマルジョンの形態、或いはジクロロジフルオロメタン又はトリクロロフルオロメタンのような従来の高圧ガスを用いたエアロゾルの形態で投与しても良い。
【0059】
典型的な座薬処方物は、この方法で投与した場合に活性であり、例えば、重合性グリコール、ゼラチン、ココアバター又は他の低融点植物ワックスもしくは脂肪もしくはそれらの合成類似化合物のような接着剤及び/又は平滑剤を有する、式(I)の化合物又はその製薬学的に許容される塩の化合物からなる。
【0060】
典型的な皮膚製剤及び経皮製剤には、従来の水性媒体又は非水性媒体、例えばクリーム、軟膏、ローション又はペーストからなるか、或いは薬の入った膏薬、パッチ又は膜の形態が含まれる。
【0061】
組成物は、患者が単回服用できるように、通常単位投薬形態、例えば、錠剤、カプセル又は定量エアロゾル用量で提供される。
【0062】
活性成分を含む錠剤及び丸薬を製造するための従来技術のような製薬処方物の処方に関する標準的な製薬業務についての追加の情報は、標準的な参考文献である、“レミントン著、製薬の科学と実践”、第21版、2005年に記載されている。この標準的な参考文献をここに引用して援用する。
【0063】
相補ピリミジノン化合物を当業者の理解に従って投与した場合、非許容有毒効果は期待されない。
【実施例】
【0064】
(相補ピリミジノンの調製例)
以下の具体例は、例証する意図のみを含み、本開示を限定していると見なしていない。以下の例で使用した試薬及び中間体は、市販されているか、又は有機合成分野の当業者によって標準的な文献の手順に従い調製できる。
【0065】
(実施例1)6−(2−ヒドロキシフェニル)−2−メチル−5−(2−フェニルエチル)−3−プロピル−4(3H)−ピリミジノンの調製
a.2−[1−(2−メトキシ−フェニル)−メタノイル]−4−フェニル−酪酸メチルエステル
水素化ナトリウム(4.31g、179.6mmol)のDME(100ml)の懸濁液にメチル 4−フェニルブチラート(8.0g、44.89mmol)をゆっくり加えた。15分撹拌した後、メチル 2−(メトキシ)ベンゾエート(9.67ml、67.32mmol)を加え、この後メタノールを8滴加えた。反応混合物を加熱して3時間還流し、氷浴内で冷却し、1N塩酸で注意深く急冷し、エチルエーテル(150ml×3)で抽出した。有機層を収集し、MGSO4上で乾燥し、濾過し、更にシリカゲルクロマトグラフィー(0−4%、酢酸エチル/ヘキサン)で精製して表題化合物を得た(10.5g、75%)。LCMS(m/z):313(M+H)。
【0066】
b.2−メチル−6−[2−(メトキシ)フェニル]−5−(2−(フェニルエチル)−4(1H)−ピリミジノン
アセトアミジン(1.51g、15.98mmol)のメタノール/ジオキサン(130mL/26mL)溶液にNaOCH(6.5ml、25重量/重量%のメタノール溶液)を加えた。混合物を5−10分撹拌した後、メチル 2−{[2−(メチルオキシ)フェニル]カルボニル}−4−フェニルブチラート(aより)(2.77g、8.88mmol)を加え、この後反応混合物を加熱して24時間還流した。反応混合物を一晩加熱した後に、出発物質がまだ存在していた。更にアセトアミジン(252mg、2.66mmol)及びNaOCH(1.22ml、25重量/重量%のメタノール溶液)を加え、数時間加熱を継続した。最後に、溶媒を蒸発させ、更に残渣を水で溶解した。混合物のpHを、酢酸を用いて7−8に調整し、その後ジクロロメタン(100mL×3)で抽出した。有機層をMGSO4上で乾燥し、減圧下で蒸発させた。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(メタノール/ジクロロメタン、0−1.5%)を用いて精製することにより、表題化合物を得た(1.62g、64%)。LCMS(M/Z):321(M+H)。
【0067】
c.2−メチル−6−[2−(メトキシ)フェニル]−5−(2−(フェニルエチル)−3−プロピル−4(3H)−ピリミジノン
室温で撹拌している2−メチル−6−[2−(メトキシ)フェニル]−5−(2−(フェニルエチル)−4(1H)−ピリミジノン(bより)(209mg、0.653mmol)のDMF溶液に、アルゴン下で水素化ナトリウム(52mg、1.31mmol、60%ミネラル油分散液)を加えた。反応混合物を約2分間撹拌した後、無水LiBr(170mg、1.96mmol)を加え、1−ブロモプロパン(0.098mL、1.08mmol)を加える前に数分間撹拌を継続した。反応混合物を一晩撹拌し、その後減圧下溶媒を蒸発させた。残渣をDCMで希釈し、続けて水及び食塩水で洗浄した後、MgSO上で乾燥させた。次いで、有機層を濃縮し、シリカクロマトグラフィー(10−20%、酢酸エチル/ヘキサン)で精製し、表題化合物を得た(140mg、59%)。LCMS(m/z):363(M+H)。
【0068】
d.6−(2−ヒドロキシフェニル)−2−メチル−5−(2−フェニルエチル)−3−プロピル−4(3H)−ピリミジノン
−40℃で攪拌している2−メチル−6−[2−(メチルオキシ)フェニル]−5−(2−フェニルエチル)−3−プロピル−4(3H)−ピリミジノン(140mg、0.39mmol)のCHCl(4.0mL)溶液にBBr(1.55mL、1.55mmol、1MのCHCl溶液)を加えた。反応混合物の温度を0℃に上げ、2時間撹拌を継続した。その後、反応混合物を氷冷したNaHCO溶液に注ぐことによって急冷した。混合物をジクロロメタンで抽出し(50mL×2)、有機層を食塩水で洗浄し、MgSO上で乾燥させた。減圧下で乾燥させた後、残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(5−65%、酢酸エチル/ヘキサン)で精製し、表題化合物を得た(89mg、66%)。:1H NMR(400 MHz,CDCI):δ7.37−7.18(m,7H)、7.06(d,1H)、 6.95(t,1H)、4.05(m,2H)、 2.91(s,4H)、2.70(s,3H)、2.10(m,2H)、1.08(t,3H);LCMS(m/z):349.4(M+H)。
【0069】
(実施例2)6−(2−ヒドロキシフェニル)−2−メチル−5−(2−フェニルエチル)−3−エチル−4(3H)−ピリミジノンの調製
【化7】

表題化合物は、1−ブロモプロパンを1−ブロモエタンに置換したのを除いて、実施例1の基本手順に従い調製した。1H NMR(400 MHz,CDCI):δ7.25−7.02(m,7H)、6.93(d,1H)、6.88(t,1H)、4.05(q,2H)、2.85(s,4H)、2.62(s, 3H)、1.28(t,3H);LCMS(m/z)335.2(M+H)。
【0070】
(実施例3)6−(2−ヒドロキシフェニル)−2−メチル−5−(2−フェニルエチル)−3−メチル−4(3H)−ピリミジノンの調製
【化8】

表題化合物は、1−ブロモプロパンを1−ブロモメタンに置換したのを除いて、実施例1の基本手順に従い調製した。1H NMR(400 MHz,CDCI):δ7.32−7.14(m,7H)、7.03(d,1H)、6.91(t,1H)、3.62(s,3H)、2.96(s,4H)、2.71(s, 3H);LCMS(m/z): 321.2(M+H)。
【0071】
(実施例4)6−(2−ヒドロキシフェニル)−2−メチル−5−(2−フェニルエチル)−3−[2−(2−ピリジニル)エチル]−4(3H)−ピリミジノンの調製
【化9】

表題化合物は、1−ブロモプロパンを1−ブロモメチルピリジンに置換したのを除いて、実施例1の基本手順に従い調製した。1H NMR(400 MHz,CDCI):δ8.63 (d,1H),7.86(t,1H),7.42−7.19(m, 9H),7.08(d,1H),6.95(t,1H),5.44(s,2H),3.02(s,4H),2.78(s,3H), 1.66(br,1H);LCMS(m/z):398.2(M+H)。
【0072】
(実施例5)6−(2−ヒドロキシフェニル)−2−メチル−5−(2−フェニルエチル)−3−ブチル−4(3H)−ピリミジノンの調製
【化10】

表題化合物は、1−ブロモプロパンを1−ブロモブタンに置換したのを除いて、実施例1の基本手順に従い調製した。1H NMR(400 MHz,CDCI):δ7.36−7.18(m,7H)、7.06(d,1H)、6.95(t,1H)、4.10(m,2H)、3.90(s,4H)、2.69(s, 3H)、1.74(m,2H)、1.48(m,2H)、0.91(t,3H);LCMS(m/z):363.2(M+H)。
【0073】
(実施例6)6−(2−ヒドロキシフェニル)−2−メチル−5−(2−フェニルエチル)−3−ペンチル−4(3H)−ピリミジノンの調製
【化11】

表題化合物は、1−ブロモプロパンを1−ブロモペンタンに置換したのを除いて、実施例1の基本手順に従い調製した。1H NMR(400 MHz,CDCI):δ7.31−7.21(m,7H)、7.09(d,1)、6.92(t,1H)、3.98(m,2H)、2.87(s,4H)、2.57(s, 3H)、1.69(m,2H)、1.35(m,4H)、0.87(m,3H);LCMS(m/z):377.4(M+H)。
【0074】
(実施例7)6−(2−ヒドロキシ−フェニル)−2−メチル−5−(2−フェネチル)−3−ヘキシル−3H−ピリミジン−4−オンの調製
【化12】

表題化合物は、1−ブロモプロパンを1−ブロモヘキサンに置換したのを除いて、実施例1の基本手順に従い調製した。1H NMR(400 MHz,CDCI):δ7.36−7.19(m,7H)、7.05(d,1H)、6.96(t,1H)、4.07(m,2H)、2.95(s,4H)、2.57(s, 3H)、1.78(m,2H)、1.52−0.92(m,9H); LCMS(m/z):391.4(M+H)。
【0075】
(実施例8)3−シクロプロピルメチル−6−(2−ヒドロキシ−フェニル)−2−メチル−5−フェネチル−3H−ピリミジン−4−オンの調製
【化13】

表題化合物は、1−ブロモプロパンをブロモシクロプロピルメタンに置換したのを除いて、実施例1の基本手順に従い調製した。1H NMR(400 MHz,CDCI):δ7.30−7.09(m,7H)、7.01(d,1H)、6.98(t, 1H)、4.07(d,2H)、2.96(s,4H)、2.77(s,3H)、1.22(m,1 H)、0.68(m,2H)、0.55(m,2H);LCMS(m/z):361.2(M+H)。
【0076】
(実施例9)3−(2−メチルアリル)−6−(2−ヒドロキシ−フェニル)−2−メチル−5−フェネチル−3H−ピリミジン−4−オンの調製
【化14】

表題化合物は、1−ブロモプロパンを3−ブロモ−2−メチルプロパンに置換したのを除いて、実施例1の基本手順に従い調製した。1H NMR(400 MHz,CDCI):δ7.39−7.21(m,7H)、7.03(d,1H)、7.20 (t,1H)、5.00(s,1H)、4.68(s,2H)、4.57(s,1H)、2.98(s,4H)、2.60(s, 3H)、2.02(s,3H);LCMS(m/z):361.2(M+H)。
【0077】
(実施例10)3−(3−メチルブチル)−6−(2−ヒドロキシ−フェニル)−2−メチル−5−フェネチル−3H−ピリミジン−4−オンの調製
【化15】

表題化合物は、1−ブロモプロパンを1−ブロモ−3−メチルブタンに置換したのを除いて、実施例1の基本手順に従い調製した。1H NMR(400 MHz,CDCI):δ10.30(br,1H,OH)、7.41−6.92(m,9H)、4.08(t,2H)、2.97(m,4H)、2.64(s, 3H),1.80(m,1H),1.69-1.63(m,2H)、1.06(d,6H);LCMS(m/z)377.2(M+H)。
【0078】
(実施例11)3−(2−シクロヘキシルエチル)−6−(2−ヒドロキシ−フェニル)−2−メチル−5−フェネチル−3H−ピリミジン−4−オンの調製
【化16】

表題化合物は、1−ブロモプロパンを1−ブロモ−2−シクロヘキシルエタンに置換したのを除いて、実施例1の基本手順に従い調製した。1H NMR(400 MHz,CDCI):δ10.20(br,1H,OH)、7.43-6.92(m, 9H)、4.09(t,2H)、2.98(s,4H),2.62(s,3H)、1.32-1.06(m,13H);LCMS(m/z):417.4(M+H)。
【0079】
(実施例12)3−プロピル−6−(3−フルオロ−2−ヒドロキシ−フェニル)−2−メチル−5−フェネチル−3H−ピリミジン−4−オンの調製
【化17】

表題化合物は、3−メトキシ安息香酸を3−フルオロ−2−メトキシ安息香酸に置換したのを除いて、実施例1の基本手順に従い調製した。1H NMR(400 MHz,CDCI):δ10.25(br,1H)、7.30−7.12(m,7H)、6.81(m,1H)、4.02(m,2H)、2.92(s, 4H)、2.59(s,3H)、1.76(m,2H)、1.41(m,6H)、0.95(t,3H);LCMS(m/z):367.2(M+H)。
【0080】
(実施例13)3−ヘキシル−6−(3−フルオロ−2−ヒドロキシ−フェニル)−2−メチル−5−フェネチル−3H−ピリミジン−4−オンの調製
【化18】

表題化合物は、3−メトキシ安息香酸を3−フルオロ−2−メトキシ安息香酸に置換したのを除いて、実施例1の基本手順に従い調製した。1H NMR(400 MHz,CDCI):δ10.25(br,1H)、7.30−7.10(m,7H)、6.88(m,1H)、4.06(m,2H)、2.99(s, 4H)、2.61(s,3H)、1.82(m,2H)、1.07(t,3H);LCMS(m/z):409.2(M+H)。
【0081】
(実施例14)3−プロピル−6−(2−ヒドロキシ−フェニル)−2−メチル−5−(2−シクロヘキシルエチル)−3H−ピリミジン−4−オンの調製
【化19】

表題化合物は、4−フェニル酪酸塩をメチル−4−シクロ酪酸塩に置換したのを除いて、実施例1の基本手順に従い調製した。1H NMR(400 MHz,CDCI):δ10.50(s,1H,OH)、7.40(d,1H)、7.37−7.28(t,1H)、7.02(d,1H)、6.91(t,1H)、4.00(t,2H)、2.65(t,2H)、2.60(s, 3H)、1.88−1.52(m,9H)、1.39−0.90 (m,9H);LCMS(m/z):355.4(M+H)。
【0082】
(実施例15)2−(2−ヒドロキシフェニル)−3−(2−フェニルエチル)−6,7,8,9−テトラヒドロ−4H−ピリド[1,2−a]ピリミジン−4−オンの調製
【化20】

表題化合物は、アセトアミジンを3,4,5,6−テトラヒドロ−2−ピリジナミンで置換したのを除いて、実施例1の基本手順に従い調製した。1H NMR(400 MHz,CDCI):δ7.15−7.46(m,7H)、7.06(d, 1H)、6.90(t,1H)、4.11(t,2H)、2.93−3.11(m,4H)、1.90−2.18(m,4H)、1.50−1.68(m,2H);LCMS(m/z):347.3(M+H)。
【0083】
(実施例16)3−(2−シクロヘキシルエチル)−2−(2−ヒドロキシフェニル)−6,7,8,9−テトラヒドロ−4H−ピリド[1,2−a]ピリミジン−4−オンの調製
【化21】

化合物は、実施例1bのアセトアミジンをピペリジン−2−イリデンアミンで置換し、実施例1aのメチル 4−フェニル酪酸塩をメチル 4−シクロヘキシル酪酸塩で置換して調製した。1H NMR(400 MHz,CDCI):δ10.50(br,1H,OH)、7.41(d,1H)、7.35−7.28(t,1H)、7.00(d,1H)、6.91(t, 1H)、4.00(t,2H)、2.92(t,2H)、2.70−2.65(m,2H)、2.10−1.90(m,4H)、1.79−1.55(m,9H)、1.48−1.12(m,4H)、1.00−0.90(m,2H);LCMS(m/z):353.4(M+H)。
【0084】
(実施例17)3−シクロプロピル−6−(2−ヒドロキシフェニル)−2−メチル−5−(2−フェニルエチル)ピリミジン−4(3H)−オンの調製
【化22】

a.メチル (2Z)−3−アミノ−3−[2−(メチルオキシ)フェニル]−2−(2−フェニルエチル)−2−プロペノエート
メチル 2−{[2−(メチルオキシ)フェニル]カルボニル}−4−フェニルブチラート(2.0g、6.4mmol)のトルエン溶液(12mL)に酢酸アンモニウム(3.0g、38.5mmol)及び1.3mLの酢酸を室温で加えた。反応容器にディーン−スタークトラップ及び冷却器を取り付け、その後加熱して3時間還流した。反応混合物を室温に冷却し、濃縮し、また粗混合物を更に精製することなく次のステップで用いた。LCMS(m/z):311.3(M+H)。
【0085】
b.メチル (2Z)−3−(アセチルアミノ)−3−[2−(メチルオキシ)フェニル]−2−(2−フェニルエチル)−2−プロペノエート
実施例17aの粗原料(1g、3.2mmol)に無水酢酸(9ml)及び酢酸(2ml)を加えた。70℃で3時間加熱した後、反応混合物を室温に冷却し濃縮した。残渣を飽和NaHCOで希釈し、その後CHClで二回抽出した。回収した有機層をMgSO上で乾燥し、濾過し、また濃縮した。シリカクロマトグラフィー(5−40% 酢酸エチル/ヘキサン)によって精製することにより生成物(0.99g、92%)を得た。LCMS(m/z):353.4(M+H)。
【0086】
c.3−シクロプロピル−2−メチル−6−[2−(メチルオキシ)フェニル]−5−(2−フェニルエチル)−4(3H)−ピリミジノン
シクロプロパンアミン(0.12mL、1.7mmol)の乾燥CHCl溶液(4ml)に、室温、窒素下で2.0MのMeAlのヘプタン溶液を0.85mL(1.7mmol)ゆっくりと加えた。20分間撹拌後、実施例17bのエンアミド(0.2g、0.59mmol)を加えた。反応混合物を加熱し3時間還流し、その後、1N HClをゆっくり加えることによって停止する前に室温に冷却した。生成した混合物をCHClで抽出し、回収した有機層を飽和NaHCO及び食塩水で洗浄した。MgSO上で乾燥し、真空中で濃縮した後、シリカクロマトグラフィー(10−60% 酢酸エチル/ヘキサン)で表題化合物を供給した(0.16g、75%)。LCMS(m/z):360.4(M+H)。
【0087】
d.3−シクロプロピル−6−(2−ヒドロオキシフェニル)−2−メチル−5−(2−フェニルエチル)−4(3H)−ピリミジノン
乾燥窒素雰囲気下で、−60℃の3−シクロプロピル−2−メチル−6−[2−(メチルオキシ)フェニル]−5−(2−フェニルエチル)−4(3H)−ピリミジノン(0.16g、0.44mmol)のCHCl溶液3mlに、BBr(2.83mL、1M CHCl溶液)を加えた。反応混合物を0℃に暖め、3時間撹拌した。反応を1:1の水:飽和NaHCO3を加えることによって停止し、CHCHで3回抽出し、回収した有機層をMgSO上で乾燥し、濾過及び濃縮した。生成した残渣をシリカクロマトグラフィー(0.2−0.8% MeOH/CHCl)で精製し所望の生成物を得た(132ng、86%)。1H NMR(400 MHz,CDCI):δ7.21−7.51(m,7H)、7.04(d,1H)、6.95(t,1H)、2.96−3.12(m,1H)、2.90−3.09(m,4H)、3.71(s,3H)、1.38−1.41(m,2H)、0.98−1.07(m,2H);LCMS(m/z):347.25(M+H)。
【0088】
(実施例18)6−(2−ヒドロキシフェニル)−2−メチル−3−[2−(1−メチルピロリジン−2−イル)エチル]−5−(2−フェニルエチル)ピリミジン−4(3H)−オンの調製
【化23】

表題化合物は、シクロプロパンアミンを[2−(1−メチル−2−ピロリジニル)エチル]アミンに置換したのを除いて、実施例17の基本手順に従い調製した。1H NMR(400 MHz,CDCI):δ7.12−7.51(m,7H)、7.04(d,1H)、6.95(t,1H)、4.20−4.28(m,1H)、4.01−4.11(m,1H)、3.21−3.32(m,1 H)、2.94−3.05(m,4H)、2.65(s,3H)、2.51(s,3H)、2.32−2.41(m,1H)、2.11−2.24(m,2H)、1.70−1.95(m,4H)、0.81−0.91(m,1H);LCMS(m/z):418.2(M+H)。
【0089】
(実施例19)3−(2,2−ジメチルプロピル)−6−(2−ヒドロキシフェニル)−2−メチル−5−(2−フェニルエチル)ピリミジン−4(3H)−オンの調製
【化24】

表題化合物は、シクロプロパンアミンを(2,2−ジメチルプロピル)アミンに置換したのを除いて、実施例17の基本手順に従い調製した。1H NMR(400 MHz,CDCI):δ7.18−7.45(m,7H)、7.04(d,1H)、6.91(t, 1H)、4.10−4.15(m,2H)、2.92−3.02(m, 4H)、2.62(s,3H)、1.08(s,9H);LCMS (m/z):377.6(M+H)。
【0090】
(実施例20)3−sec−ブチル−6−(2−ヒドロキシフェニル)−2−メチル−5−(2−フェニルエチル)ピリミジン−4(3H)−オンの調製
【化25】

表題化合物は、シクロプロパンアミンを2−ブタンアミンに置換したのを除いて、実施例17の基本手順に従い調製した。1H NMR(400 MHz,CDCI):δ6.98−7.22−7.5(m,7H)、6.88(d,1H)、6.72(t, 1H)、3.95−4.07(m,1H)、2.72−2.81(m, 4H)、2.42(s,3H)、2.12−2.20(m,1H)、1.71−1.89(m,1H)、1.45(d,2H)、0.71(t,3H);LCMS(m/z):363.3(M+H)。
【0091】
(実施例21)3−シクロペンチル−6−(2−ヒドロキシフェニル)−2−メチル−5−(2−フェニルエチル)ピリミジン−4(3H)−オンの調製
【化26】

表題化合物は、シクロプロパンアミンをシクロペンタンアミンに置換したのを除いて、実施例17の基本手順に従い調製した。1H NMR(400 MHz,CDCI):δ7.15−7.43(m,7H)、7.05(d,1H)、6.95(t,1H)、4.61−4.72(m,1H)、2.92−3.03(m,4H)、2.65(s,3H)、2.38−2.86(m,2H)、2.14−2.20(m,2H)、1.92−1.99(m,2H)、1.63−1.73(m,2H);LCMS(m/z):375.2(M+H)。
【0092】
(実施例22)6−(2−ヒドロキシフェニル)−3−イソブチル−2−メチル−5−(2−フェニルエチル)ピリミジン−4(3H)−オンの調製
【化27】

表題化合物は、シクロプロパンアミンを(2−メチルプロピル)アミンに置換したのを除いて、実施例17の基本手順に従い調製した。1H NMR(400 MHz,CDCI):δ7.15−7.48(m,7H)、7.02(d,1H)、6.88(t, 1H)、3.92(d,2H)、2.85−2.96(m,4H)、2.55(s,3H)、1.01 (d,6H);LCMS(m/z):363.4(M+H)。
【0093】
(実施例23)3−シクロブチル−6−(2−ヒドロキシフェニル)−2−メチル−5−(2−フェニルエチル)ピリミジン−4(3H)−オンの調製
【化28】

表題化合物は、シクロプロパンアミンをシクロブタンアミンに置換したのを除いて、実施例17の基本手順に従い調製した。1H NMR(400 MHz,CDCI):δ7.18−7.50(m,7H)、7.04(d,1H)、6.91(t,1H)、4.67−4.80(m,1H)、3.04−3.15(m,2H)、2.94−2.99(m,4H)、2.40−2.52(m, 2H)、2.00−2.10(m,1H)、1.80−1.91(m,1H);LCMS(m/z):361.5(M+H)。
【0094】
(実施例24)3−シクロヘキシル−6−(2−ヒドロキシフェニル)−2−メチル−5−(2−フェニルエチル)ピリミジン−4(3H)−オンの調製
【化29】

表題化合物は、シクロプロパンアミンをシクロヘキサンアミンに置換したのを除いて、実施例17の基本手順に従い調製した。1H NMR(400 MHz,CDCI):δ7.12−7.54(m,7H)、7.01(d,1H)、6.89(t,1H)、4.01−4.21(m,1H)、2.89−3.02(m,4H)、2.62(s,3H)、1.92−2.00(m,2H)、1.71−1.82(m,4H)、1.32−1.45(m,4H);LCMS(m/z):389.4(M+H)。
【0095】
(実施例25)6−(2−ヒドロキシフェニル)−3−イソプロピル−2−メチル−5−(2−フェニルエチル)ピリミジン−4(3H)−オンの調製
【化30】

表題化合物は、シクロプロパンアミンを2−プロパンアミンに置換したのを除いて、実施例17の基本手順に従い調製した。1H NMR(400 MHz,CDCI):δ7.08−7.29(m,7H)、6.90(d,1H)、6.82(t,1H)、4.45−4.52(m,1H)、2.85−2.96(m,4H)、2.53(s,3H)、1.59(s,6H);LCMS(m/z):349.5(M+H)。
【0096】
(実施例26)6−(2−ヒドロキシフェニル)−2−メチル−5−(2−フェニルエチル)−3−(2,2,2−トリフルオロエチル)ピリミジン−4(3H)−オンの調製
【化31】

表題化合物は、1,1,1−トリフルオロプロピルアミンをシクロプロパンアミンに置換したのを除いて、実施例17の基本手順に従い調製した。1H NMR(400 MHz,CDCI):δ7.18−7.45(m,7H)、7.06(d,1H)、6.91(t,1H)、4.79−4.85(m,2H)、2.95−3.02 (m,4H)、2.63 (s,3H)、1.55(s,2H);LCMS(m/z):389.2(M+H)。
【0097】
(実施例27)6−(2−ヒドロキシフェニル)−2−メチル−3−オクチル−5−(2−フェニルエチル)ピリミジン−4(3H)−オンの調製
【化32】

表題化合物は、1−ブロモエタンを1−ヨードオクタンに置換したのを除いて、実施例1の基本手順に従い調製した。1H NMR(400 MHz,CDCI):δ7.15−7.55(m,7H)、7.01(d,1H)、6.89(t,1H)、3.97−4.10(m,2H)、2.96−3.08(m, 4H)、2.62(s,3H)、1.70−1.75(m,2H)、1.12−1.45(m,10H)、0.91(t,3H);LCMS(m/z):419.4(M+H)。
【0098】
(実施例28)3−ヘプチル−6−(2−ヒドロキシフェニル)−2−メチル−5−(2−フェニルエチル)ピリミジン−4(3H)−オンの調製
【化33】

表題化合物は、1−ブロモエタンを1−ブロモヘプタンに置換したのを除いて、実施例1の基本手順に従い調製した。1H NMR(400 MHz,CDCI):δ7.15−7.46(m,7H)、6.99(d,1H)、6.88(t,1H)、3.92−4.10(m,2H)、2.96−3.08(m,4H)、2.68(s,3H)、1.70−1.75(m,2H)、1.18−1.45(m,8H)、0.89(t,3H);LCMS(m/z):405.6(M+H)。
【0099】
(実施例29)3−アリル−6−(2−ヒドロキシフェニル)−2−メチル−5−(2−フェニルエチル)ピリミジン−4(3H)−オンの調製
【化34】

表題化合物は、1−ブロモエタンをアリルブロマイドに置換したのを除いて、実施例1の基本手順に従い調製した。1H NMR(400 MHz,CDCI):δ7.15−7.46(m, 7H)、7.06(d,1H)、6.90(t,1H)、5.82−6.01(m,1H)、5.12−5.45(m,2H)、4.75(s,1H)、2.95−3.00(m,4H)、2.65(s,3H);LCMS(m/z):347.2(M+H)。
【0100】
(実施例30)6−(3−フルオロ−2−ヒドロキシフェニル)−2、3−ジメチル−5−(2−フェニルエチル)ピリミジン−4(3H)−オンの調製
【化35】

a.メチル 3−フルオロ−2−(メチルオキシ)ベンゾエート
アルゴン下で、3−フルオロ−2−ヒドロキシ安息香酸(100mg、0.64mmol)のDMF溶液にまずCsCO(0.75g、2.24mmol)を、その後CHI(0.10mL、1.6mmol)を加えた。この混合物を室温で一晩撹拌した。真空下でDMFを取り除き、残渣をジクロロメタン中で希釈した。反応成分を濾過して固形分を除去し、濾過物を食塩水で洗浄した。表題化合物(78mg)を分離し、更に精製することなく次のステップを続けた。1H NMR(400 MHz,CDCI):δ3.90(s,3H)、4.00(s, 3H)、7.10(m,1H)、7.30(m,1H)、7.60(m,1H)。
【0101】
b.メチル 2−{[3−フルオロ−2−(メチルオキシ)フェニル]カルボニル}−4−フェニルブタノエート
表題化合物は実施例1a記載の基本手順に従い調製した。1H NMR(400 MHz,CDCI):δ2.26−2.33(m,2H)、2.71(t,2H)、3.73(s,3H)、3.92(d,3H)、4.29(t,1H)、7.04−7.31(m,7H)、7.44(d,1H)。
【0102】
c.6−[3−フルオロ−2−(メチルオキシ)フェニル]−2−メチル−5−(2−フェニルエチル)−4(1H)−ピリミジノン
アセトアミド(370mg、3.91mmol)のDMF溶液にKCO(1.24g、7.8mmol)を加え、生成した懸濁液を5−10分間撹拌した。実施例30bのメチル 2−{[3−フルオロ−2−(メチルオキシ)フェニル]カルボニル}−4−フェニルブタノエート(530mg、1.56mmol)を反応容器中に加え、生成した混合物を加熱し24時間還流した。かかる反応混合物を室温に冷却し、その後110mLの水を注いだ。1N HClでpHを3−4に調整し、この混合物をEtOAcで抽出した(2×)。有機層を乾燥、濾過、及び濃縮した。残渣をシリカクロマトグラフィー(0−3%MeOH/DCM)で精製することにより、400mgの生成物を供給した(75%)。LCMS(m/z):353.2(M+H)。
【0103】
d.6−(3−フルオロ−2−ヒドロキシフェニル)−2,3−ジメチル−5−(2−フェニルエチル)ピリミジン−4(3H)−オン
表題化合物は、実施例1c及び1d記載の基本手順に従い調製した。1H NMR(400 MHz,CDCI):δ10.11(s,1H)、6.82−7.28(m,8H)、3.65 (s,3H)、2.85−3.01(m,4H)、2.65(s, 3H);LCMS(m/z):339.3(M+H)。
【0104】
(実施例31)3−エチル−6−(3−フルオロ−2−ヒドロキシフェニル)−2−メチル−5−(2−フェニルエチル)ピリミジン−4(3H)−オンの調製
【化36】

表題化合物は、ヨードメタンをブロモエタンに置換したのを除いて、実施例30の基本手順に従い調製した。1H NMR(400MHz,CDCI):δ10.15(s,1H)、6.78−7.21(m,8H)、4.15(q,2H)、2.88−2.98(m,4H)、2.62(s,3H)、1.38 (t,3H);LCMS(m/z):353.2(M+H)。
【0105】
(実施例32)3−ブチル−6−(3−フルオロ−2−ヒドロキシフェニル)−2−メチル−5−(2−フェニルエチル)ピリミジン−4(3H)−オンの調製
【化37】

表題化合物は、ヨードメタンを1−ヨードブタンに置換したのを除いて、実施例30の基本手順に従い調製した。1H NMR(400MHz,CDCI):δ6.78−7.28(m,8H)、4.15(t,2H)、2.92−2.99 (m,4H)、2.65(s,3H)、1.68−1.82(m, 2H)、1.42−1.61(m,2H)、1.03(t,3H);LCMS(m/z):381.2(M+H)。
【0106】
(実施例33)2−(ジメチルアミノ)−6−(2−ヒドロキシフェニル)−5−(2−フェニルエチル)−4(1H)−ピリミジノンの調製
【化38】

表題化合物は、アセトアミジンを1,1−ジメチル硫酸グアニジンに置換したこと及びアルキル化ステップ(1c)を省いたのを除いて、実施例1の基本手順に従い調製した。 LCMS(m/z):336(M+H)。
【0107】
(実施例34)6−(2−ヒドロキシフェニル)−2−メチル−3−フェニル−5−(2−フェニルエチル)−4(3H)−ピリミジノンの調製
【化39】

表題化合物は、クロロプロピルアミンをアニリンに置換したことを除いて、実施例17の基本手順に従い調製した。 LCMS(m/z):383(M+H)。
【0108】
(実施例35)6−(3−フルオロ−2−ヒドロキシフェニル)−3−ヘプチル−2−メチル−5−(2−フェニルエチル)−4(3H)−ピリミジノンの調製
【化40】

表題化合物は、1−ブロモプロパンを1−ブロモヘプタンに、また3−メトキシ安息香酸を3−フルオロ−2−メトキシ安息香酸に置換したのを除いて、実施例1の基本手順に従い調製した。1H NMR(400MHz,CDCI):δ10.2(br s,1H)、7.27(m,3H)、7.20(m,4H)、6.86(m,1H)、4.06(m,2H)、2.95(s,3H)、1.77(m,2H)、1.46(m,6H)、1.34(m,6H)、0.93(m,3H);LCMS(m/z):423.4(M+H)。
【0109】
(実施例36)3−(1−ベンゾチエン−2−イル)−6−(3−フルオロ−2−ヒドロキシフェニル)−2−メチル−5−(2−フェニルエチル)−4(3H)−ピリミジノンの調製
【化41】

【0110】
a.1,1−ジメチルエチル 1−ベンゾチエン−2−イルカルバメート
【化42】

1−ベンゾチオフェン−2−カルボン酸(5.0g、0.028mmol)の乾燥t−BuOH溶液(70ml)にTEA(4.3mL、0.031mol)を加えた。5分間撹拌した後、DPPA(6.67ml、0.031mol)を加え、反応物を16時間還流した。かかる反応物を濃縮し、生成した残渣を酢酸エチルで希釈し、続けて飽和NaCO及び食塩水で洗浄した。有機層をNaSO上で乾燥し、濾過し及び濃縮した後、シリカクロマトグラフィー(0−40% 酢酸エチル/ヘキサン)で精製し、62%の収率で純粋な生成物(4.35g)を得た。1H NMR(400MHz,DMSO−d)δppm 1.50(s,9H)、6.77(s,1H)、7.15(t,J=0.85 Hz,1H)、7.26(t,J=0.85 Hz,1H)、7.59(d,J=7.79Hz,1H)、7.76(d,J=7.78Hz,1H)、10.2(brs,1H)。
【0111】
b.1−ベンゾチオフェン−2−アミン
【化43】

1,1−ジメチルエチル 1−ベンゾチエン−2−イルカルバメート(1.0g、4.01mmoles)のDCM溶液(10ml)にTFA(2.0mL)を加え、12時間撹拌した。反応混合物を濃縮し、生成した残渣をDCM中で再び溶解し、1N NaOH(2×50ml)、食塩水で洗浄し、NaSO上で乾燥した。かかる反応物を濾過及び濃縮し、収率91%で純粋な生成物(0.54g)を得た。LCMS(m/z):150.0(M+H)。
【0112】
c.3−(1−ベンゾチエン−2−イル)−6−[3−フルオロ−2−(メチルオキシ)フェニル]−2−メチル−5−(2−フェニルエチル)−4(3H)−ピリミジノン
【化44】

表題化合物は、メチル 2−(メチルオキシ)安息香酸エステルを3−フルオロ−2−(メチルオキシ)安息香酸エステルに、またシクロプロパンアミンを2−アミノベンゾチオフェンに置換したのを除いて、実施例17の基本手順に従い調製した。LCMS(m/z):471.2(M+H)。
【0113】
d.3−(1−ベンゾチエン−2−イル)−6−[3−フルオロ−2−ヒドロキシフェニル]−2−メチル−5−(2−フェニルエチル)−4(3H)−ピリミジノン
【化45】

撹拌子及び冷却器を具える丸底フラスコに3−(−ベンゾチエン−2−イル)−6−[3−フルオロ−2−(メチルオキシ)フェニル]−2−メチル−5−(2−フェニルエチル)−4(3H)−ピリミジノン(3.33g、7.08mmol)を投入した。ここに45%HBrの酢酸溶液80mL及び水11mLを加えた。反応物を90℃で一晩加熱した。粗残渣をDCMで希釈し、飽和炭酸ナトリウム及び食塩水で抽出した。有機層を濃縮し、シリカクロマトグラフィー(0−30% 酢酸エチル/ヘキサン)で精製し、収率97%で所望の生成物(3.14g)を得た。LCMS(m/z):457.2(M+H)。
【0114】
(実施例37)6−(3−フルオロ−2−ヒドロキシフェニル)−2−メチル−3−(5−メチル−2−チエニル)−5−(2−フェニルエチル)−4(3H)−ピリミジノンの調製
【化46】

表題化合物は、メチル 2−(メチルオキシ)安息香酸エステルを3−フルオロ−2−(メチルオキシ)安息香酸エステルに、またシクロプロパンアミンを2−アミノ−5−メチルチオフェンに置換したのを除いて、実施例17の基本手順に従い調製した。LCMS(m/z): 421.0(M+H)。
【0115】
(実施例38)6−(3−フルオロ−2−ヒドロキシフェニル)−2−メチル−3−(4−メチル−2−チエニル)−5−(2−フェニルエチル)−4(3H)−ピリミジノンの調製
【化47】

表題化合物は、メチル 2−(メチルオキシ)安息香酸エステルを3−フルオロ−2−(メチルオキシ)安息香酸エステルに、またシクロプロパンアミンを2−アミノ−4−メチルチオフェンに置換したのを除いて、実施例17の基本手順に従い調製した。LCMS(m/z): 421.2(M+H)。
【0116】
(実施例39)3−(4−ビフェニリル)−6−(3−フルオロ−2−ヒドロキシフェニル)−2−メチル−5−(2−フェニルエチル)−4(3H)−ピリミジノンの調製
【化48】

【0117】
a.3−(4−ビフェニリル)−6−[3−フルオロ−2−(メチルオキシ)フェニル]−2−メチル−5−(2−フェニルエチル)−4(3H)−ピリミジノン
【化49】

4−アミノビフェニル(0.34g、2.02mmol)のトルエン溶液にクロロトリイソプロポキシチタン(0.48mL、3.03mmol)を加え、混合物を30分間撹拌した。メチル (2Z)−3−(アセチルアミノ)−3−[3−フルオロ−2−(メチルオキシ)フェニル]−2−(2−フェニルエチル)−2−プロパノエート(0.5g、1.35mmoles)のトルエン溶液を上記混合物に加え、反応物を加熱して還流した。終了時に反応物を真空中で濃縮し、酢酸エチルで希釈し、続けて1N HCl及び食塩水で洗浄した。有機層をNaSO上で乾燥し、濾過し且つ真空中で濃縮した。残渣をシリカクロマトグラフィー(0−30% 酢酸エチル/ヘキサン)で精製し、表題化合物を得た(0.55g、83%)。LCMS(m/z):491.2(M+H)。
【0118】
b.3−(4−ビフェニリル)−6−(3−フルオロ−2−ヒドロキシフェニル)−2−メチル−5−(2−フェニルエチル)−4(3H)−ピリミジノン
【化50】

表題化合物は、実施例36d記載の基本手順に従い調製した。LCMS(m/z): 477.2(M+H)。
【0119】
(実施例40)6−(3−フルオロ−2−ヒドロキシフェニル)−2−メチル−5−(2−フェニルエチル)−3−(5−フェニル−2−チエニル)−4(3H)−ピリミジノンの調製
【化51】

【0120】
a.N−(ジフェニルメチリデン)−5−フェニル−2−チオフェンアミン
【化52】

2−ブロモ−5−フェニルチオフェン(3.00g、12.7mmol)及び1,1−ジフェニルメタンイミン(2.6g、15.2mmol)の脱気トルエン溶液(55mL)に、Pd(dba)(1.16g、1.27mmoles)及びBINAP(2.37g、3.0mmoles)を加えた。生成した溶液を再び10分間脱気した。かかる溶液にNaOtBu(1.71g、17.7mmol)を加え、この混合物を80℃で12時間加熱した。反応混合物を真空中で濃縮し、シリカクロマトグラフィー(30% 酢酸エチル/ヘキサン)で精製して2.97gの生成物を得た(69%)。LCMS(m/z): 340.2(M+H)。
【0121】
b.5−フェニル−2−チオフェンアミン
【化53】

実施例40aのイミン(2.97g、8.76mmol)のTHF溶液(20mL)に3N HCl(10mL)を加え、混合物を室温で12時間撹拌した。その後、反応混合物を真空中で濃縮し、エーテルと共に砕いた。生成した白い固体を濾過によって分離し、その後、水に溶解した。この水溶液のpHを3N NaOHの添加によって13に調整した。この水溶液をDCMで抽出し、食塩水で洗浄し、乾燥し(MgSO)、濾過及び濃縮して収率81%で1.25gの生成物を得た。LCMS(m/z): 176.2(M+H)。
【0122】
c.6−(3−フルオロ−2−ヒドロキシフェニル)−2−メチル−5−(2−フェニルエチル)−3−(5−フェニル−2−チエニル)−4(3H)−ピリミジノン
【化54】

表題化合物は、メチル 2−(メチルオキシ)ベンゾエートを3−フルオロ−2−(メチルオキシ)ベンゾエートに、またシクロプロパンアミンを5−フェニル−2−チオフェンアミンに置換したのを除いて、実施例17の基本手順に従い調製した。LCMS(m/z): 483.2(M+H)。
【0123】
(相補ピリミジノンの生物活性の例)
式(I)の化合物の生物活性を以下の試験によって証明した。
【0124】
(I)カルシウム受容体阻害検定
カルシウム拮抗活性は、ヒトのカルシウム受容体を安定的に発現しているHEK 293 4.0−7細胞中において、細胞外Ca2+によって誘引される細胞内Ca2+の増加を阻害する試験化合物のIC50を測定することによって評価した。HEK 293 4.0−7細胞は、ロジャー等著のジャーナルオブボーンアンドミネラルリサーチ、第10巻、補遺1、p.S483、1995年記載の通りに構築した(ここに引用して援用する)。細胞外Ca2+の増加は1から1.75mMで細胞外Ca2+が増加することによって誘引される。細胞外Ca2+は、蛍光カルシウム指示薬であるfluo−3を用いて測定した。
【0125】
手順は以下の通りである。
【0126】
1,細胞を、37℃、5%炭酸ガス、95%空気の下、選択培地(10%牛胎児血清及び200ug/mLのハイグロマイシンBを補充したDMEM)中、T−150フラスコ内で維持し、90%密集度まで成長させた。
【0127】
2,培地をデカントし、細胞単層を37℃に維持したリン酸緩衝食塩水(PBS)で2回洗浄した。二回目の洗浄後、0.02%EDTAのPBS溶液6mLを加え、37℃で4分間培養した。培養後、穏やかにかき混ぜることによって細胞を分散させた。
【0128】
3,2つ又は3つのフラスコの細胞をためてペレットにした(100×g)。細胞のペレットを10−15mLのSPF−PCB+中で再懸濁し、遠心して再びペレットにした。この洗浄を2回行った。
【0129】
硫酸塩及びリン酸塩のない副甲状腺細胞緩衝液(SPF−PCB)は、20mM Na−Hepes,pH7.4、126mM NaCl、5mM KCl、及び1mM MgClを含む。SPF−PCBを調製し4℃で貯蔵した。使用する日に、SPF−PCBに1mg/mlのグルコース及び1mM CaClを補い、その後2画分に分けた。1画分に牛血清アルブミン(BSA;フラクションV、ICN社)を5mg/mLで加えた(SPF−PCB+)。この緩衝液を、細胞の洗浄、ローディング及び維持に使用した。BSAを含まない画分は、蛍光測定を行うためにキュベット内で細胞を希釈するために使用した。
【0130】
4,ペレットを、2.2uMのfluo−3(モレキュラープローブス社)を含む10mLのSPF−PCB+中で再懸濁し、室温で35分間培養した。
【0131】
5,培養終了後、細胞を遠心してペレットにした。生成したペレットをSPF−PCB+で洗浄した。かかる洗浄後に1−2×10細胞/mLの密度でSPF−PCB+に再懸濁した。
【0132】
6,蛍光シグナルを記録するために、300uLの細胞懸濁液を、1mM CaCl及び1mg/mLのD−グルコースを含む1.2mLのSPF緩衝液中で希釈した。37℃で常時撹拌しつつ、蛍光光度計を用いて蛍光測定を実行した。励起波長及び放射波長を、それぞれ485nm及び535nmで測定した。蛍光信号を較正するためにジギトニン(5mg/mLメタノール溶液)を加えてFmaxを得、またTris−EGTA(2.5MTris−Base、0.3M EGTA)を加えることにより見かけのFminを決定した。細胞内カルシウム濃度は以下の式を用いて計算した:
細胞内カルシウム=(F−Fmin/Fmax)×K=400nM
【0133】
7,供試化合物の潜在的なカルシウム拮抗活性を測定するために、細胞外Ca2+の濃度を1−2mMで増加させる前に細胞を供試化合物(又はコントロールとして賦型剤)と共に90分間培養した。カルシウム拮抗化合物は、細胞外Ca2+に誘引された細胞内Ca2+の濃度増加を濃度依存的な様式で阻害する能力により検出された。
【0134】
50uMを超えるカルシウム受容体阻害剤のIC50値を有する化合物は不活性であると見なされる。カルシウム受容体阻害検定において、化合物はより低いIC50値を有することが望ましいことに注意すること。例えば、化合物は10uM以下のIC50値、1uM以下のIC50値、0.1uM以下のIC50値を有することが望ましい。
【0135】
(II)カルシウム受容体結合検定
ヒト副甲状腺カルシウム受容体(“HuPCaR”)で安定的に移入されたHEK 293 4.0−7細胞をT180組織培養フラスコ内でスケールアップした。1uMのロイペプチン、0.04uMのペプスタチン、及び1mMのPMSFを含むプロテアーゼ阻害剤カクテルの存在下緩衝液(50mM Tris−HCl pH 7.4,1mM EDTA,3mM MgCl)中でポリトロン均質化又はガラスダウンシングにより原形質膜を得る。等分した膜を素早く凍結し、−80℃で貯蔵した。H標識付け化合物を44Ci/mmoleの放射活性に放射標識付けし、放射化学的安定性のためにこれらを等分し液体窒素中で貯蔵した。
【0136】
典型的な反応混合物は、0.5mLの反応容量において、0.1%ゼラチン及び10%エタノールを含む均質化緩衝液中で2nMのH化合物である((R,R)−N−4’−メトキシ−t−3−3’−メチル−1’−エチルフェニル−(1−ナフチル)エチルアミン)、又はH化合物である(R)−N−[2−ヒドロキシ−3−(3−クロロ−2−シアノフェノキシ)プロピル]−1,1−ジメチル−2−(4−メトキシフェニル)エチルアミンの膜4−10ugを含む。培養を氷水浴内において12×75のポリエチレンチューブ中で行った。それぞれのチューブに供試サンプルの100%エタノール溶液25uLを加え、その後2nMの最終濃度にするため400uLの冷培養緩衝液及び40nM H−化合物の100%エタノール溶液25uLを加えた。結合反応は、培養緩衝液中で希釈した50uLの80−200ug/mLのHEK 293 4.0−7の膜を加えることによって開始し、4℃で30分間培養した。洗浄緩衝液は0.1%のPEIを含む50mM Tris−HClである。非特異的な結合は100倍過剰量の非ラベルの類似体を加えることによって測定し、概ね全結合量の20%であった。かかる結合反応は、ブランデルハーベスターを用いて、1%PEIで前処理したGF/Cフィルターで素早く濾過することによって終結させる。フィルターをシンチレーション液中に置き、放射活性を液体シンチレーションカウンターにより測定した。
【0137】
十分に説明をし、各個々の出版物を明確且つ個別的にここに引用することを示すが如くに、前述の特許及び特許文献に特に限定されない全出版物を本願に引用し援用する。
【0138】
上記明細書は、好ましい実施態様を含む本発明を十分に開示している。更なる詳述なしに、当業者は前記載を用いて本発明をその最も完全な程度で利用できると思われる。従って、ここで実施例は単なる説明として解釈され、決して本発明の範囲を限定しない。
【0139】
本発明の基本原則から逸脱することなく上記実施態様の細部に変更がなされうることは当業者には明らかであろう。排他的な特性又は恩恵を主張する本発明の実施態様は以下に定義される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の式(I):
【化1】

(式中、R及びRはそれぞれ独立してH、ハロゲン、CN、CF、低級アルキル基、シクロアルキル基もしくはアリール基;又はR及びRは共に−(CH2)−で、nは5、4、もしくは3であり;Rはアリール基であって、そのアリール環中に0から4の置換基を有し、置換基はそれぞれハロゲン、CN、CF、OCF、低級アルキル基、N(低級アルキル基)、低級アルコキシ基、OH、OC(O)−低級アルキル基、OC(O)−低級アルキルアミノ基、もしくはOC(O)−低級アルキル−N(低級アルキル基)の少なくとも一つであり;RはH、低級アルキル基、アリール基、又はnが0、1もしくは2である式−(CH2)−Rの群の一つであり;Rはアリール基であって、そのアリール環上に0から3の置換基を有し、置換基はそれぞれ、ハロゲン、CN、CF、OCF、低級アルキル基、低級アルコキシ基、NH−低級アリール基、NH−アルキルアリール基、N(低級アルキル基)、OH、OC(O)−低級アルキル基、OC(O)−低級アルキルアミノ基、もしくはOC(O)−低級アルキル−N(低級アルキル基)からの内の少なくとも一つである)で表される化合物、或いはその製薬学的に許容される塩、水和物、互変異性体、溶媒和物又は複合体。
【請求項2】
前記化合物が、6−(2−ヒドロキシフェニル)−2−メチル−5−(2−フェニルエチル)−3−プロピル−4(3H)−ピリミジノン、6−(2−ヒドロキシフェニル)−2−メチル−5−(2−フェニルエチル)−3−エチル−4(3H)−ピリミジノン、6−(2−ヒドロキシフェニル)−2−メチル−5−(2−フェニルエチル)−3−メチル−4(3H)−ピリミジノン、6−(2−ヒドロキシフェニル)−2−メチル−5−(2−フェニルエチル)−3−[2−(2−ピリジニル)エチル]−4(3H)−ピリミジノン、6−(2−ヒドロキシフェニル)−2−メチル−5−(2−フェニルエチル)−3−ブチル−4(3H)−ピリミジノン、6−(2−ヒドロキシフェニル)−2−メチル−5−(2−フェニルエチル)−3−ペンチル−4(3H)−ピリミジノン、6−(2−ヒドロキシ−フェニル)−2−メチル−5−(2−フェネチル)−3−ヘキシル−3H−ピリミジン−4−オン、3−シクロプロピルメチル−6−(2−ヒドロキシ−フェニル)−2−メチル−5−フェネチル−3H−ピリミジン−4−オン、3−(2−メチルアリル)−6−(2−ヒドロキシ−フェニル)−2−メチル−5−フェネチル−3H−ピリミジン−4−オン、3−(3−メチルブチル)−6−(2−ヒドロキシ−フェニル)−2−メチル−5−フェネチル−3H−ピリミジン−4−オン、3−(2−シクロヘキシルエチル)−6−(2−ヒドロキシ−フェニル)−2−メチル−5−フェネチル−3H−ピリミジン−4−オン、3−プロピル−6−(3−フルオロ−2−ヒドロキシ−フェニル)−2−メチル−5−フェネチル−3H−ピリミジン−4−オン、3−ヘキシル−6−(3−フルオロ−2−ヒドロキシ−フェニル)−2−メチル−5−フェネチル−3H−ピリミジン−4−オン、3−プロピル−6−(2−ヒドロキシ−フェニル)−2−メチル−5−(2−シクロヘキシルエチル)−3H−ピリミジン−4−オン、2−(2−ヒドロキシフェニル)−3−(2−フェニルエチル)−6,7,8,9−テトラヒドロ−4H−ピリド[1,2−a]ピリミジン−4−オン、3−(2−シクロヘキシルエチル)−2−(2−ヒドロキシフェニル)−6,7,8,9−テトラヒドロ−4H−ピリド[1,2−a]ピリミジン−4−オン、3−シクロプロピル−6−(2−ヒドロキシフェニル)−2−メチル−5−(2−フェニルエチル)ピリミジン−4(3H)−オン、6−(2−ヒドロキシフェニル)−2−メチル−3−[2−(1−メチルピロリジン−2−イル)エチル]−5−(2−フェニルエチル)ピリミジン−4(3H)−オン、3−(2,2−ジメチルプロピル)−6−(2−ヒドロキシフェニル)−2−メチル−5−(2−フェニルエチル)ピリミジン−4(3H)−オン、3−sec−ブチル−6−(2−ヒドロキシフェニル)−2−メチル−5−(2−フェニルエチル)ピリミジン−4(3H)−オン、3−シクロペンチル−6−(2−ヒドロキシフェニル)−2−メチル−5−(2−フェニルエチル)ピリミジン−4(3H)−オン、6−(2−ヒドロキシフェニル)−3−イソブチル−2−メチル−5−(2−フェニルエチル)ピリミジン−4(3H)−オン、3−シクロブチル−6−(2−ヒドロキシフェニル)−2−メチル−5−(2−フェニルエチル)ピリミジン−4(3H)−オン、3−シクロヘキシル−6−(2−ヒドロキシフェニル)−2−メチル−5−(2−フェニルエチル)ピリミジン−4(3H)−オン、6−(2−ヒドロキシフェニル)−3−イソプロピル−2−メチル−5−(2−フェニルエチル)ピリミジン−4(3H)−オン、6−(2−ヒドロキシフェニル)−2−メチル−5−(2−フェニルエチル)−3−(2,2,2−トリフルオロエチル)ピリミジン−4(3H)−オン、6−(2−ヒドロキシフェニル)−2−メチル−3−オクチル−5−(2−フェニルエチル)ピリミジン−4(3H)−オン、3−ヘプチル−6−(2−ヒドロキシフェニル)−2−メチル−5−(2−フェニルエチル)ピリミジン−4(3H)−オン、3−アリル−6−(2−ヒドロキシフェニル)−2−メチル−5−(2−フェニルエチル)ピリミジン−4(3H)−オン、6−(3−フルオロ−2−ヒドロキシフェニル)−2、3−ジメチル−5−(2−フェニルエチル)ピリミジン−4(3H)−オン、3−エチル−6−(3−フルオロ−2−ヒドロキシフェニル)−2−メチル−5−(2−フェニルエチル)ピリミジン−4(3H)−オン、3−ブチル−6−(3−フルオロ−2−ヒドロキシフェニル)−2−メチル−5−(2−フェニルエチル)ピリミジン−4(3H)−オン、2−(ジメチルアミノ)−6−(2−ヒドロキシフェニル)−5−(2−フェニルエチル)−4(1H)−ピリミジノン、6−(2−ヒドロキシフェニル)−2−メチル−3−フェニル−5−(2−フェニルエチル)−4(3H)−ピリミジノン、6−(3−フルオロ−2−ヒドロキシフェニル)−3−ヘプチル−2−メチル−5−(2−フェニルエチル)−4(3H)−ピリミジノン、3−(1−ベンゾチエン−2−イル)−6−(3−フルオロ−2−ヒドロキシフェニル)−2−メチル−5−(2−フェニルエチル)−4(3H)−ピリミジノン、6−(3−フルオロ−2−ヒドロキシフェニル)−2−メチル−3−(5−メチル−2−チエニル)−5−(2−フェニルエチル)−4(3H)−ピリミジノン、6−(3−フルオロ−2−ヒドロキシフェニル)−2−メチル−3−(4−メチル−2−チエニル)−5−(2−フェニルエチル)−4(3H)−ピリミジノン、3−(4−ビフェニリル)−6−(3−フルオロ−2−ヒドロキシフェニル)−2−メチル−5−(2−フェニルエチル)−4(3H)−ピリミジノン又は6−(3−フルオロ−2−ヒドロキシフェニル)−2−メチル−5−(2−フェニルエチル)−3−(5−フェニル−2−チエニル)−4(3H)−ピリミジノンの少なくとも一つであることを特徴とする請求項1記載の化合物。
【請求項3】
請求項1記載の化合物の有効量を必要としている患者に投与することからなるカルシウム受容体を拮抗する方法。
【請求項4】
骨又はミネラルの異常な恒常性によって特徴付けられる病気又は疾患を治療するに当たり、請求項1記載の化合物の有効量をこの治療を必要としている患者に投与することからなる治療方法。
【請求項5】
骨又はミネラルの病気又は疾患が、骨肉腫、歯周病、骨折治療、変形性関節炎、関節置換術、リウマチ様関節炎、パジェット病、液性高カルシウム血症、悪性腫瘍、又は骨粗鬆症の少なくとも一つであることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項6】
骨又はミネラルの病気又は疾患が骨粗鬆症であることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項7】
前記化合物を骨吸収抑制剤と共に投与することを特徴とする請求項6記載の方法。
【請求項8】
前記骨吸収抑制剤が、エストロゲン、1,25(OH)ビタミンD3、カルシトニン、エストロゲン受容体選択的修飾薬、ビトロネクチン受容体拮抗薬、V−HATPアーゼ阻害剤、src SH2拮抗薬、ビスホスホネート又はカテプシン K阻害剤の少なくとも一つであることを特徴とする請求項7記載の方法。
【請求項9】
請求項1記載の化合物の有効量を治療が必要な患者に投与することからなる血中の副甲状腺レベルを増加させる方法。
【請求項10】
前記化合物を骨吸収抑制剤と共に投与することを特徴とする請求項9記載の方法。
【請求項11】
前記骨吸収抑制剤が、エストロゲン、1,25(OH)ビタミンD3、カルシトニン、エストロゲン受容体選択的修飾薬、ビトロネクチン受容体拮抗薬、V−HATPアーゼ阻害剤、src SH2拮抗薬、ビスホスホネート又はカテプシン K阻害剤の少なくとも一つであることを特徴とする請求項10記載の方法。
【請求項12】
請求項1記載の化合物を備える薬学的組成物。

【公表番号】特表2008−515902(P2008−515902A)
【公表日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−535792(P2007−535792)
【出願日】平成17年10月6日(2005.10.6)
【国際出願番号】PCT/US2005/035906
【国際公開番号】WO2006/041968
【国際公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【出願人】(505166351)エヌピーエス ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド (13)
【氏名又は名称原語表記】NPS PHARMACEUTICALS, INC.
【出願人】(591002957)スミスクライン・ビーチャム・コーポレイション (341)
【氏名又は名称原語表記】SMITHKLINE BEECHAM CORPORATION
【Fターム(参考)】