説明

ガス加熱装置、これを利用した半導体処理装置およびガス加熱装置の製造方法

【課題】
ガス輸送管路に対してインライン形態で結合できかつ小型化が可能なガス加熱装置を提供することにある。
【解決手段】
この発明は、伝熱ブロック自体にヒータが埋設され、途中で折曲げられた断面円形で直線状の中空加熱路が形成され、ガス入力ポートから導入されたガスが旋回して中空加熱路で加熱される。これにより、中空加熱路の距離が短くても旋回ガスを効率よく加熱でき、しかも中空加熱路が途中で折曲げられているので、伝熱ブロック全体を小さく抑えることができる。その結果、ガス加熱装置全体を小型化できる上に、加熱効率がよくなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ガス加熱装置、これを利用した半導体処理装置およびガス加熱装置の製造方法に関し、詳しくは、半導体製造装置を含めた半導体処理装置へのキャリアガス、反応ガスのガス輸送管路に対してインライン形態で結合できてガスを容易に前加熱することができあるいはガス排出管路においてガスを容易に加熱でき、さらにはガス排出管路に対して加熱不活性ガス等を噴射する場合にその排出管路に容易に結合することができかつ小型化が可能なガス加熱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、低圧CVD装置(LP−CVD)等の反応炉では反応ガス等は、通常600°C〜800°Cの温度とされ、成膜の均一性と品質の向上を図るためにキャリアガスあるいは反応ガスが200°C以上に加熱されてLP−CVDに供給される。
また、反応炉等の排出ガスからは塩化アンモニユム等の不要析出物が発生し、それが排出管路、吸引ポンプ等へ付着する問題があるが、それを排除するには排出ガスの温度を170°以下に低下させないような措置が必要になる。排出ガスをそのような温度に維持しあるいは排出管路、吸引ポンプ等に流れる排出ガスをより高い温度にするためにはN2等の不活性ガスで排出ガスを加熱することが必要になる。
そのため、これに使用されるガス加熱装置として出願人によるガス加熱装置が公知となっている(特許文献1)。これは、サイクロン管路にN2ガスを導入してこれを加熱することでサイクロン状の1.8万G乃至20万Gの200°C以上のN2ガスを生成して、これを半導体処理装置(反応炉)から排出されるガス輸送管に噴射し、塩化アンモニユム等の不要析出物の排出管路への付着を防止するものである。
また、高温ガスを供給するガス加熱装置としては、螺旋金属管にガスを供給して螺旋金属管の巻回中心部にハロゲンヒータを挿入して加熱するガス加熱装置も公知である(特許文献2)。
【特許文献1】特開2007−19089号公報
【特許文献2】特開平6−221677号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1のガス加熱装置は、サイクロン管路の外側に加熱装置を配設するものであって、しかも、排気ガスを170°C以上にするために、サイクロン加熱管の長さを長くする必要がある。また、排出管路に直接横方向から接合する構造のものであるので、キャリアガス、反応ガスの輸送管にインライン形態で容易に結合できるようなものとはなっていない。
しかも、キャリアガス、反応ガスの導入管路に結合してインラインで挿入した場合には、加熱系が大きくなるので、その分、配管系の途中が太く、大きくなり、システムにおける配管エリアの占める割合は大きくなる。
特許文献2のガス加熱装置は、螺旋金属管の内側にヒータを配置できる利点はあるが、螺旋を形成するために管を巻回しなければならず、そのため、管径が大きくなり、配管系が大きくなって、これも配管エリアの占める割合を増加させる。
【0004】
この発明の目的は、このような従来技術の問題点を解決するものであって、半導体処理装置等の各種の物品処理工程の装置に接続されるガス輸送管路に対してインライン形態で結合できてガスを容易に前加熱することができあるいは各種の物品処理工程の装置から排出されるガス輸送管路に結合でき若しくは加熱不活性ガス等を噴出する場合に排出管路に容易に結合することができ、しかも小型化が可能なガス加熱装置を提供することにある。
この発明の他の目的は、ガス輸送管路にインライン形態で結合できかつキャリアガスあるいは反応ガス等の導入ガスを効率よく前加熱できあるいは排気ガスを効率よく加熱することができ、反応炉あるいは処理チャンバ等の配管に容易に接続して組込みが可能なガス加熱装置および半導体処理装置を提供することにある。
さらに、この発明の他の目的は、前記のガス加熱装置を製造する製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このような目的を達成するための第1の発明のガス加熱装置の構成は、断面円形で直線状の中空加熱路が両端部の位置を対応させて途中で折曲げられて内部に形成された伝熱ブロックと中空加熱路にその一方の端部で連通するガス入力ポートと中空加熱路にその他方の端部で連通するガス出力ポートとガス入力ポートが接続された直線状の中空加熱路の方向に沿って伝熱ブロックに埋設された第1のヒータとを有し、ガス入力ポートの流出口が一方の端部における断面円形の円の外周においてガス入力ポートの流入口に導入されたガスをその接線方向あるいはこれに平行な方向に噴射するものであって、ガス入力ポートの流出口を外周に接続をするために一方の端部における断面円形の円の中心が、ガス入力ポートの流入口の中心線が伝熱ブロックの中心に向かう方向に対して所定量オフセットされていて、ガス入力ポートのガス流入口から導入されたガスが中空加熱路で旋回するものである。
【0006】
また、第2の発明のガス加熱装置および半導体処理装置の構成は、ガス加熱装置と、このガス加熱装置のガス入力ポートに接続されキャリアガス、反応ガスあるいは不活性ガスを送出する第1の輸送管と、ガス加熱装置のガス出力ポートに接続されキャリアガス、反応ガスあるいは排気ガスを輸送する第2の輸送管とを有するものである。
さらに第3の発明のガス加熱装置の製造方法の発明は、前記の伝熱ブロックが、途中で折曲げられる部分の加熱通路が形成された第1の伝熱ブロックを製造する工程と、断面円形で直線状の加熱通路が隣接して2つ所定量オフセットをもって形成された第2の伝熱ブロックを製造する工程と、これら第1の伝熱ブロックと第2の伝熱ブロックとを接合して途中で折曲げられる部分の加熱通路と所定量オフセットをもつ2つの加熱通路とを連通させて断面円形で直線状の中空加熱路を持つ伝熱ブロックを製造する工程とからなるものである。
【発明の効果】
【0007】
第1の発明にあっては、伝熱ブロック自体にヒータが埋設され、途中で折曲げられた断面円形で直線状の中空加熱路が形成され、ガス入力ポートから導入されたガスが旋回して中空加熱路で加熱される。これにより、中空加熱路の距離が短くてもガスが旋回するので効率よく加熱でき、しかも中空加熱路が途中で折曲げられているので、伝熱ブロック全体を小さく抑えることができる。その結果、ガス加熱装置全体を小型化できる上に、加熱効率がよくなる。
しかも、ガス入力ポートの流出口を所定量のオフセットを持った中空加熱路の一方の下端部における断面円形の円の外周とその接線方向(あるいはこれに平行な方向)でガスが噴射するように接続しているので、ガス入力ポートの流入口とガス出力ポートの流出口とが平面からみて直線状に対向配置あるいはガス入出力ポートの対向配置からさらに90°回転した位置に配置することが容易にできる。これにより、ガス入力ポートおよびガス出力ポートを他の配管に容易にインライン結合することができる。さらに、中空加熱路の一方の下端部における断面円形の円が所定量のオフセットを持つことで、加熱通路を伝熱ブロックの内部において偏らせて形成でき、第1のヒータを伝熱ブロックの内側奥に埋設できる。これにより加熱通路へ供給する熱効率が向上する。
その結果、物品製造工程あるいは物品処理工程にある装置においてそのガス輸送管路に容易にインライン形態で結合できてガスを効率よく加熱することができる。
【0008】
また、第2の発明にあっては、伝熱ブロックに対してガス入力ポートとガス出力ポートとが対向あるいは直角に容易に配置できることからキャリアガス、反応ガスあるいは不活性ガスを送出する第1の輸送管と第2の輸送管との間に簡単に接続でき、配管への組込みが容易となる。また、第2の輸送管が排出されるガスを輸送するときには、この第2の輸送管に流れるガスを容易に加熱でき、さらに第2の輸送管に対して加熱した不活性ガス等を容易に送出することができる。
さらに、第3の発明にあっては、伝熱ブロックの内部に逆U字の加熱路を容易に形成でいる。
その結果、反応炉あるいは処理チャンバ等の配管にインライン形態で容易に組込みが可能な半導体処理システム等を容易に実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
図1は、この発明のガス加熱装置を適用した一実施例の半導体処理装置で使用されるガス加熱装置の一部断面平面説明図およびそのA−A縦断面説明図、図2(a)は、ガス加熱装置の正面図説明図、図2(b)は、図2(a)のB−B横断面図、図3は、図2(a)のC−C横断面図、図4は、他の実施例の図1(a)に対応する説明図、図5は、中空加熱路を円筒中空にした他の実施例の図1(b)に対応する説明図、図6は、半導体処理装置における配管にガス加熱装置を組込んだ半導体処理システムの説明図、そして図7は、図6における半導体処理装置の配管に対してガス加熱装置を加熱継手とする実施例における接合部の断面説明図である。
図1(a)は、ガス加熱装置の一部断面平面説明図であって、10は、そのガス加熱装置であり、1はガス導入管路を形成するそのガス入力ポート、2はガス流出管路を形成するそのガス出力ポートであり、3は、底部が開放された箱形の真空断熱カバー(ハウジング)である。真空断熱カバー3は、図1(a)では内部が見えるように上部で横断面にしてある。これは、内部に真空層3aが形成された2枚の薄板で真空層3aがサンドウイッチされた金属板であって、ねじ等(図示せず)により伝熱ブロック4(図1(b)参照)の頭部で固定されている。
図1(b)は、ガス加熱装置10のA−A縦断面図であって、伝熱ブロック4は、SUS(ステンレススチール)製のものであって、全体として逆U字型のガス加熱通路が形成された角柱シリンダとなっている。その大きさは、平面からみて15mm×15mm〜50mm×50mm角で、その高さは40mm〜80mm程度のものである。
伝熱ブロック4の内部には、逆U字に折曲げられた断面円形で直線状をなす中空加熱路5が形成されている。なお、中空加熱路5の径は5mmφ〜15mmφである。
【0010】
図1(a)、図1(b)に示すように、中空加熱路5は、ガス入力ポート1が接続されている伝熱ブロック4の下端から断面円形の円柱状の中空路51がそのまま直線状に立上がり、上部にある円柱状の連通中空路52に結合してここでクランク状に横に折曲げられている。伝熱ブロック4には中空路51に隣接して円柱状の中空路53が設けられていて、連絡中空路52の先が中空路53の頭部で接続されて中空路がここでクランク状に下に折曲げられている。中空路53は、そのまま直線状に立下がり、中空路53の端部が中空路51の端部と対応するところまで形成され、中空路53の端部にガス出力ポート2が接続されている。
なお、中空路51と中空路53とこれらの連絡中空路52の中空円の径は、実質的に等しく、図1(a)の点線部、図2(b)のB−B断面図、図2(a)のC−C横断面図を示す図3にみるように、中空路53に対して中空路51は、所定のオフセットをもって伝熱ブロック4の内部に形成されている(後述)。したがって、連絡中空路52は、図1(a)、図2(b)に点線で示すように水平方向において所定の傾斜をしている。
伝熱ブロック4の頭部には真空断熱カバー3の内側と伝熱ブロック4との間に空間6が設けられ、そこに温度制御装置7が伝熱ブロック4の頭部に装着されて設けられている。これにより真空断熱カバー3の内側に収納されている。温度制御装置7は、連絡中空路52に臨む温度センサを有していて外部からの設定に従って中空加熱路5あるいはそこを流れるガスが目標温度になるように制御をする。なお、温度制御装置7は、シースヒータとして後述する各抵抗発熱体8,8a,9,9aに電力を供給して抵抗発熱体の発熱量を制御する。この温度制御装置7は、例えば、内部に100°±5°CでON/OFFするバイメタルを内蔵して輸送ガスを加熱する温度調節器として埋設されてもよい。また、100°±5°C〜150°±5°Cの範囲を摘み等で温度を外部から設定する独立に温度設定が可能な温度調節器としてもよい。温度制御装置7を温度調節器とした場合には、図6で説明する制御装置31により制御しなくて済む。
【0011】
図1(b)では、伝熱ブロック4は、頭部と底部とが一体型のものとして図示しているが、これは、通路がクランク状に折曲がる連絡中空路52が形成された矩形の頭部ブロック41と、所定のオフセットをもって中空路51と中空路53とを形成した角柱の本体ブロック42とかなり、内壁があらかじめ鏡面仕上げされた矩形の頭部ブロック41と内壁あらかじめ鏡面仕上げされた本体ブロック42とを製造した後にこれらを後から接合して一体化したものである。43は、これらをレーザ溶接により接合した溶接線である。したがって、伝熱ブロック4の内壁面は鏡面仕上げされた状態にある。なお、頭部ブロック41に形成される連絡中空路52の円柱は、切り出されて本体ブロック42の頭部先端側が湾曲に削られて接合面が筒壁面を形成するようなすり合わせが行われる。
図1(b)のA−A縦断面説明図と図3に示すように、ガス入力ポート1は、その流出口12が伝熱ブロック4の底部において中空路51の下端部に結合され、ガス出力ポート2もその流入口13が伝熱ブロック4の底部となる中空路51の下端部に結合されている。
これにより、中空加熱路5は、途中で折り返して元の方向へと戻る折り返す断面円形の通路となる。なお、11は、ガス入力ポート1の流入口、14は、ガス入力ポート2の流出口である。
【0012】
図1(b)では、ガス入力ポート1とガス出力ポート2は、伝熱ブロック4(本体ブロック42)から切り出された状態のものとして本体ブロック42と一体物として示してあるが、ガス入力ポート1とガス出力ポート2とは、外周をねじ切りした別の管部材で構成してこれを伝熱ブロック4の底部から少し上に穿孔されたねじ孔に螺合結合して伝熱ブロック4(本体ブロック42)に一体的に結合して設けられてもよい。
ガス入力ポート1とガス出力ポート2は、例えば、後述する図7の実施例で示すようにガス導入管路を形成する管の本体ブロック42から突出した部分の外周にねじが切られ、ガス輸送管の端部に設けられた継手部材と螺合結合されることでガス輸送管に結合されるが継手管部となっていてもよい。
なお、ガス輸送管の継手が溶接継手である場合には外周はねじが切りされることなく直接継手管部の外周に相手方の溶接継手部材が嵌合する形態で結合されることになる。さらに、継手管部に袋ナット等の雌型の継手部材が装着されていてもよく、この場合にはガス輸送管の雄ナット等の継手部材と螺合することになる。この場合にも同様に継手管部の外周のねじが切りは不要である。
【0013】
図2(a)では内部説明の都合上真空断熱カバー3は一部断面として伝熱ブロック4を示しているが、伝熱ブロック4は、ガス入力ポート1の流入口11とガス出力ポート2の流出口14の部分と底面とを除いて真空断熱カバー3でカバーされている。ただし、真空断熱カバー3を上部から伝熱ブロック4に被せるためにガス入力ポート1の部分からその下に向かって切欠き32が設けられている。ガス出力ポート2側にも同様な切欠き33(図3参照)があるがこの図ではみえていない。
図1(a)、図1(b)に示すように、ガス入力ポート1とガス出力ポート2とは対向配置されていて、図3のC−C断面図に示すように、ガス入力ポート1の流入口11の中心とガス出力ポート2の流出口14の中心とを結ぶ中心線Lは、中空路53の下端においてそこの円柱中空路の断面円15の中心O1を通る。なお、この場合の中心線Lは、ガス入力ポート1の流入口11の中心線が伝熱ブロック4の中心に向かう線に一致している。
一方、ガス入力ポート1の流出口12が接続される中空路51の下端における円柱中空路の断面円16は、その外周に流出口12が接線方向で接続されるように断面円16の中心O2は、直線Lから所定量Δd分オフセットした位置にある。断面円16の半径をRとし、ガス入力ポート1の流出口11の口径をφとすると、所定量Δdは、Δd=R−φ/2である。
【0014】
図1(b),図3に示すように、円柱中空路の断面円16の外周とガス入力ポート1の流出口12とを外周の接線方向で接続するために案内孔17が穿孔されている。案内孔17は、ガス入力ポート1の流入口11の口径よりも小さい口径のものであって、案内孔17の先がガス入力ポート1の流出口12となり、流入口11と流出口12とを連通させるためにガス入力ポート1の流入口11の中心線よりも外側に偏って案内孔17が設けられている。これにより、流入口11に導入されたガスは、円柱中空路の断面円16の外周の接線方向あるいはこれに平行な方向に噴射されることになる。
なお、案内孔17は、先に伝熱ブロック4(本体ブロック42)に穿孔しておくとよい。また、案内孔17あるいはその流出口12は、図面に示すように孔の側壁面の一部が外周の接線方向に一致していなくてもよい。断面円16の中心側にずれていてもよい。
円柱中空路の断面円16の中心O2が円柱中空路の断面円15の中心O1に対して直線Lから所定量Δd分シフトすることにより、このオフセットにより空いた伝熱ブロック4の拡大領域にシースヒータ等の円柱状の抵抗発熱体8が中空路51に沿ってこれに隣接して伝熱ブロック4に穿孔された縦孔18に沿って縦に埋設されている。
これにより、抵抗発熱体8の周囲に厚さが厚い大きな加熱領域を確保することができ、熱効率が向上する。また、前記のオフセットにより円柱状の抵抗発熱体8の径を大きく採り、発熱量を増加させることも可能になる。なお、中空路53にもシースヒータ等の円柱状の抵抗発熱体9がこれに沿って隣接して伝熱ブロック4に穿孔された縦孔19に縦に埋設されている。
【0015】
ガス入力ポート1に導入されるガスは、前記した案内孔17を介して中空路51に下側から導入される。これにより、導入されたガスは、円柱中空路の断面円16の壁面に沿って回転してサイクロンとなって中空路51を昇り、中空路51の側壁面に接して中空路51から熱の伝達を受ける。その結果、ガスと中空路51との単位時間当たりの接触面積が向上して高速にガスが加熱される。そのサイクロン状態となったガスは、連絡中空路52を経てそのまま中空路53に至り、中空路53を下って下側からガス出力ポート2へと抜ける。その結果、導入されたガスは、短い距離の中空加熱路5で高速に200°C以上の温度に加熱することが可能になる。しかも、中空加熱路5が逆U字となっているので、伝熱ブロック4は小型なもので済む。
【0016】
図4は、他の実施例の図1(a)に対応する説明図である。
図4(a)は、図1(a)で示すガス入出力ポートの対向配置からガス出力ポート2を反時計方向に90°回転させた位置で中空路53の下端においてガス出力ポート2の流入口13を中空路53に接続した実施例である。
この場合には、ガス入出力ポート2の流出口14は、図3で示す直線Lの方向が伝熱ブロック4の中心で反時計方向に90°折れ曲がっている。
伝熱ブロック4の中心に向かうガス入力ポート1の流入口11の中心線Oとガス入力ポート2の流出口14の中心線とは、伝熱ブロック4の中心で直角にクロスする。断面円16の中心のオフセットΔdは、伝熱ブロック4の中心に向かうガス入力ポート1の流入口11の中心線Oの方向に対して設定される。
【0017】
断面円16のオフセットにより断面円15と断面円16とを伝熱ブロックの片側に寄せることができ、オフセットにより空いた伝熱ブロック4の拡大領域の外側からみて奥の位置にシースヒータ等の円柱状の抵抗発熱体8,9をそれぞれ中空路51,中空路53に沿って埋設することが容易にできる。
ところで、この実施例では、案内孔17は、一方の壁面がガス入力ポート1の流入口11の壁面に沿っていて、断面円16の外周と結合し、他方の壁面が断面円16の外周の方向に向かって円錐上に絞り込まれた孔になっている。
図4(b)は、図1(a)で示すガス入出力ポートの対向配置からガス出力ポート2を時計方向90°に回転させた位置で中空路53の下端においてガス出力ポート2の流入口13を接続した実施例であって、図4(a)の実施例を入力ポート1の流入口11の中心線Oの方向にミラーを置いてミラー反転した配置関係になっている。
いずれの場合も配管結合において、ガス入出力ポートの方向を曲折できる構造である。
【0018】
図5は、中空加熱路を円筒中空にした他の実施例の図1(b)に対応する説明図である。図1の実施例の加熱装置10は、例えば、30mm×30mm角以下の小型な加熱装置に適用する場合に中空加熱路が細くなるので有効である。30mm×30mm角以上から50mm×50mm角程度になると中空加熱路をそれより大きくできるので、この場合には次に示す実施例での加熱方式を採用することができる。
図1(b)に示す中空路51と中空路53は、角柱の本体ブロック42において中空路51と中空路53が円筒に切削されて円筒中空路51aと円筒中空路53aとして形成されて、頭部ブロック41と接合される。連通中空路52は、図1(b)に示すものである。
【0019】
円筒中空路51aと円筒中空路53aの円筒中空路の中空となっていない各中心部の支柱51b,53bにはそれぞれ小径の円柱の抵抗発熱体(シースヒータ)8a,9aがそれぞれ円筒中空路51aと円筒中空路53aに沿って穿孔された縦孔18a,19aに縦にそれぞれ埋設されている。なお、抵抗発熱体8a,9aは、図1(b)の中空路51と中空路53のそれぞれの中心となる位置O1,O2の位置に対応して設けられている。
支柱51b,53bへの抵抗発熱体8a,9aの埋設は、本体ブロック42の底部から支柱51b,53bに縦孔18a,19aを穿孔して、底から挿入されることで行われる。この孔の伝熱ブロック4の底の位置は、はめ込み部材54で埋められる。埋め込まれた各抵抗発熱体8a,9aの配線ライン55は、め込み部材54の横溝56を経て外部に引き出される。
これにより各円筒中空路51aと円筒中空路53aに導入されたガスは、内壁と支柱51b,53bの外壁の両者で高速に加熱される。
【0020】
図6は、半導体処理装置における配管にガス加熱装置を組込んだ半導体処理システムの説明図である
20は、LP−CVD等の縦型反応炉、21はガス供給系、22は排出ガス処理系である。縦型反応炉20は、堆積棚20aにウエハ30が多数堆積されていて、外側がベルジャ(カバー)20bで覆われ、反応ガス供給路20cが下側側面に形成されている。この反応ガス供給路20cに接続されてガス輸送管路23が設けられている。
ガス供給系21からガス輸送管路23との間にはフィルタ24が設けられ、フィルタ24の下流にガス加熱装置10bが挿嵌されている。ガス供給系21との間のガス輸送管路25の途中もガス加熱装置10aが挿嵌され、これの下流にエアーバルブAVが組込まれている。
ガス供給系21は、N2等のキャリアガスシリンダ(ガス供給源),NH3、モノシラン、ジクロルシランなどの反応ガスガスシリンダ(ガス供給源)、そしてマスフローコントローラ(MFC)、エアーバルブ(AV)等で構成され、これらのガス供給路がガス輸送管路23にエアーバルブ(AV)を介してそれぞれ接続されている。
【0021】
制御装置31は、ガス供給系21の各ガスシリンダを制御し、マスフローコントローラ(MFC)、エアーバルブ(AV)等を制御するとともに、圧力センサ(図示せず)、ガス累積流量計(図示せず)などから各種の測定値を得る。
さらに、各種の測定値に応じて制御装置31は、ガス加熱装置10a,10b,10c〜10d(後述)の温度制御をすることができる。なお、ガス加熱装置10a〜10dは、この実施例で説明したガス加熱装置10である。
また、排出ガス処理系22は、ガス輸送管路26で縦型反応炉20と排気ポンプ27とが接続され、このガス輸送管路26にガス加熱装置10cが挿嵌されている。排気ポンプ22の後ろに形成されるガス輸送管路28の排出管路を経て排気ガスを無害なガスに処理する除害処理装置29に至る。排出ガス処理系22もその各部が制御装置31に制御される。
【0022】
排気ポンプ27には、N2等の不活性ガスを加熱するためにもう1つガス加熱装置10dがマニホールド30を介して接続されている。排気ポンプ27には、N2等の不活性ガスを加熱するためにもう1つガス加熱装置10dがマニホールド30を介して接続されている。そして、各ガス輸送管路23〜26、28の各管は、真空断熱管なっていて、マニホールド30も真空断熱構造をしている。ただし、各ガス輸送管路23〜26、28のガス輸送路において2mを越えるようなパスについての真空断熱管にあってはVCRコネクタ等の管継手により接続したガス輸送路となる。
なお、ガス加熱装置10a〜10dからガス輸送管路、排気ポンプへ供給されるガスは、サイクロン状態で供給される。
これによりガス供給系21から縦型反応炉20に導入されるキャリアガスと反応ガスは、200°C以上の温度のガスとして導入され、縦型反応炉20から排気されるガスは、ガス輸送管路26の排出管路では、170°以上の温度に保持される。
その結果、縦型反応炉20でのウエハ30に対する成膜の均一性と品質の向上を図ることができ、塩化アンモニユム等の不要析出物の排出管路、吸引ポンプ等への付着を排除することができる。
なお、ガス加熱装置10a〜10dは、コールドスポットの生じやすい配管パーツの前段に実装するとよく、それによりコールドスポットの発生を防止することができる。
【0023】
図7は、図6における半導体処理装置の配管に対してガス加熱装置10を加熱継手とする実施例における接合部の断面説明図である。
反応ガス供給系の各ガス輸送管路の管外径を1/4インチ(≒6.3mm)程度にすると、図1に示すガス加熱装置10は、その大きさが25mm×25mm程度か、それ以下で高さを60mm以下に抑えられる。これに対して真空断熱カバー3を加えてもその高さは90mm程度か、それ以下にできる。
この大きさは、小型ガス管の接続分野で実質的な標準規格となっているCAJON社製の商品名VCRといわれる袋ナット(螺合継手部材)と継手雄ナット(締結ボルト/螺合継手部材)とをガスケットを介して結合してシールする小口径のガス供給管継手に対して、これをさらにシリコンラバー等の断熱材で被覆した場合の大きさとして、例えば、その高ささは70mm〜90mm程度となり、その管軸方向の幅も40mm〜50mm程度となるので、これとガス入力ポート1とガス出力ポート2とを加えたガス加熱装置10の幅、そしてその高さとがほとんど遜色ないものとなる。
そこで、図1(a),(b)に示すガス加熱装置10を加熱管継手としてガス輸送管同士を結合することに利用することができる。
もちろん、この加熱継手として使用するガス加熱装置10は、図4(a),(b)の構造を採ることができる。
【0024】
図7に示すように、ガス導入管路を形成しているガス入力ポート1の管外周部分をねじ切りして螺合溝60aを形成して雄ボルトとなる円筒の継手管部60をガス加熱装置10に形成する。同様に、ガス流出管路を形成しているガス出力ポート2の管外周部分をねじ切りして螺合溝61aを形成して雄ボルトの継手管部61とする。
さらに、ガス入力ポート1の継手管部60の先端側には管軸方向に沿ってガスケット62を押圧する山形の円形突起60bを設ける。ガス出力ポート2の先端側にも同様なガスケット62を押圧する山形の円形突起61bを設ける。
【0025】
これにより、ガス輸送管63の管端に設けられた袋ナット(螺合継手部材)64を継手管部60にガスケット62を介して螺合結合することでガス加熱装置10のガス入力ポート1にガス輸送管64をシール状態で接続することができる。
同様に、ガス輸送管65の管端に設けられた袋ナット(螺合継手部材)66を継手管部61にガスケット67を介して螺合結合することでガス加熱装置10のガス出力ポート2にガス輸送管65をシール状態で接続することができる。
なお、袋ナット(螺合継手部材)64,66は、それぞれ透明にして内部の結合状態が見えるように図示してある。
【0026】
以上は、継手管部60と継手管部61が雄ボルト型になっている場合であるが、継手管部60と継手管部61は、それぞれ管端部に袋ナットを設けて雌型にしてもよい。これは、例えば、図1(a),(b)のガス入力ポート1とガス出力ポート2の管軸方向の管先端側外周にフランジを設けて袋ナットが外れないように装着しておけばよい。
なお、図1(a),(b)のガス入力ポート1とガス出力ポート2の管軸方向の管先端側には、図示するように、円形突起60b,円形突起61bと同様なガスケットを押圧する突起がすでに設けられている。
もちろん、ガス入力ポート1とガス出力ポート2の継手管部の一方を雄型とし、他方を雌型としてこれらを組み合わせることもできる。
ところで、図7の断面図に示すように、この実施例では、ガス加熱装置10の底部にも真空断熱カバー3bが設けられている。この真空断熱カバー3bは、真空断熱カバー3の裾部分にキャップとして装着されて真空断熱カバー3と一体化され、ガス加熱装置10を全体的にカバーする。また、連通中空路52の上部の両端部の側壁は円形に形成してある。
【産業上の利用可能性】
【0027】
以上説明してきたが、実施例の中空加熱路は角形の伝熱ブロックの内部に形成しているが、この発明の中空加熱路は円形の伝熱ブロックの内部に形成されてもよく、伝熱ブロックは、SUSに限らず、耐腐食性が高く、熱伝導率の高い金属あるいはその合金が用いられてもよい。
また、実施例では、中空加熱路を形成する中空路51と中空路53とこれらの連絡中空路52の中空円の径は実質的に等しいものであるが、これらの径は必ずしも等しいものでなくよい。例えば、中空路51と中空路53とを円錐形状のものとして、連絡中空路52にそれぞが接続されていてもよい。
さらに、この発明のガス加熱装置は、半導体処理装置に結合する配管に設ける場合に限定されるものではなく、半導体処理装置と同様なガスや処理液を供給し排出する点では液晶表示装置等の基板処理装置のガス配管にも適用可能でである。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】図1は、この発明のガス加熱装置を適用した一実施例の半導体処理装置で使用されるガス加熱装置の一部断面平面説明図であって、(a)はその横断面図、(b)は図1(a)のA−A縦断面図である。
【図2】図2(a)は、ガス加熱装置の正面図説明図、図2(b)は、図2(a)のB−B横断面図である。
【図3】図3は、図2(a)のC−C横断面図である。
【図4】図4は、他の実施例の図1(a)に対応する説明図である。
【図5】図5は、中空加熱路を円筒中空にした他の実施例の図1(b)に対応する説明図である。
【図6】図6は、半導体処理装置における配管にガス加熱装置を組込んだ半導体処理システムの説明図である。
【図7】図7は、図6における半導体処理装置の配管に対してガス加熱装置を加熱継手とする実施例における接合部の断面説明図である。
【符号の説明】
【0029】
1…ガス入力ポート、
2c…空通路の断面円形の円、2…ガス出力ポート、
3…真空断熱カバー、3a…真空層
4…伝熱ブロック、5…中空加熱路、6…空間、
7…温度制御装置、8,8a,9,9a…抵抗発熱体、
10…ガス加熱装置、11,14…流入口、
12,13…流出口、15,16…円柱中空路の断面円、
17…案内孔、18,19…縦孔、20…縦型反応炉、
21…ガス供給系、22…排出ガス処理系、
23,25…ガス輸送管路、
24…フィルタ、30…ウエハ、31…制御装置、
51…中空路、52…連通路、53…中空路、
51a,53a…円筒中空路、51b,53b…支柱、
54…角柱の本体ブロック、55…め込み部材。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
断面円形で直線状の中空加熱路がその両端部の位置を対応させて途中で折曲げられて内部に形成された伝熱ブロックと前記中空加熱路にその一方の端部で連通するガス入力ポートと前記中空加熱路にその他方の端部で連通するガス出力ポートと前記ガス入力ポートが接続された直線状の前記中空加熱路の方向に沿って前記伝熱ブロックに埋設された第1のヒータとを有し、
前記ガス入力ポートの流出口が前記一方の端部における断面円形の円の外周において前記ガス入力ポートの流入口に導入されたガスをその接線方向あるいはこれに平行な方向に噴射するものであって、前記ガス入力ポートの流出口を前記外周に接続するために前記一方の端部における断面円形の円の中心が、前記ガス入力ポートの流入口の中心線が前記伝熱ブロックの中心に向かう方向に対して所定量オフセットされていて、前記ガス入力ポートのガス流入口から導入されたガスが前記中空加熱路で旋回するガス加熱装置。
【請求項2】
前記ガス出力ポートのガス流入口とガス流出口とを結ぶ中心線が前記中空加熱路の他方の端における断面円形の円の中心を通る直線の方向に沿って設けられている請求項1記載のガス加熱装置。
【請求項3】
前記中空加熱路は、第1、第2、第3の通路を有し、途中で折り返して元の方向へと戻る折り返すものであって、前記一方の端部から前記第1の通路がそのまま直線状に延び前記他方の端部から前記第2の通路がそのまま直線状に延び、前記第1の通路および前記第2の通路の延びた先が前記所定量のオフセット分斜めにされた第3の通路により連通するものであって、前記第1のヒータは、前記所定量のオフセットにより拡大した前記伝熱ブロックの領域に前記第1の通路に沿ってこれに隣接して埋設されている請求項2記載のガス加熱装置。
【請求項4】
前記中空加熱路は逆U字に折曲げられ、前記伝熱ブロックは角柱形状の金属体であって、前記伝熱ブロックは、第2のヒータが前記第2の通路に沿ってこれに隣接して埋設され、前記ガス入力ポートのガス流入口と前記ガス出力ポートのガス流出口とは、平面からみて直線状に対向配置されあるいは前記対向配置の位置からさらに90°回転した位置にそれぞれ配置されている請求項3記載のガス加熱装置。
【請求項5】
前記第1の通路および前記第2の通路は、円筒状の中空通路になっていて、この各中空通路の中空となっていない中心部に第3および第4のヒータがそれぞれ埋設されている請求項3又は4記載のガス加熱装置。
【請求項6】
前記伝熱ブロックは、前記ガス入力ポートの流入口と前記ガス出力ポートの流出口の部分とその周辺部および底面とを除いて真空断熱板でカバーされている請求項5記載のガス加熱装置。
【請求項7】
前記ガス入力ポートと前記ガス出力ポートとは、ガスケットに接触する山形の円形突起が管軸方向に沿って先端側で突出した継手管部がそれぞれに形成されていて、ガス輸送管の管端部に設けられた螺合結合する継手部材を介して前記継手管部がそれぞれに前記ガス輸送管に結合されることで2つの前記ガス輸送管を結合するガス加熱継手とされる請求項1記載のガス加熱装置。
【請求項8】
前記ガス入力ポートと前記ガス出力ポートのいずれか一方の前記継手管部は、外周にねじ切りがされた螺合溝を有し、前記継手部材と螺合する請求項7記載の請求項1記載のガス加熱装置。
【請求項9】
前記請求項1〜8項のいずれか1項記載のガス加熱装置と、このガス加熱装置の前記ガス入力ポートに接続されキャリアガス、反応ガスあるいは不活性ガスを送出する第1の輸送管と、前記ガス加熱装置の前記ガス出力ポートに接続され前記キャリアガス、前記反応ガスあるいは前記排気ガスを輸送する第2の輸送管とを有する半導体処理装置。
【請求項10】
請求項1乃至8記載のガス加熱装置における前記伝熱ブロックは、途中で折曲げられる部分の加熱通路が形成された第1の伝熱ブロックを製造する工程と、前記断面円形で直線状の加熱通路が隣接して2つ前記所定量オフセットをもって形成された第2の伝熱ブロックを製造する工程と、これら第1の伝熱ブロックと第2の伝熱ブロックとを接合して前記途中で折曲げられる部分の加熱通路と前記所定量オフセットをもつ前記2つの加熱通路とを連通させて前記断面円形で直線状の中空加熱路を持つ前記伝熱ブロックを製造する工程とからなる請求項1乃至6記載のガス加熱装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−191283(P2009−191283A)
【公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−30159(P2008−30159)
【出願日】平成20年2月12日(2008.2.12)
【出願人】(591073430)創研工業株式会社 (27)
【Fターム(参考)】