説明

ガス溶解水供給装置及びガス溶解水の製造方法

【課題】溶存ガス濃度が低濃度(低飽和度)であるガス溶解水を安定して供給することが可能なガス溶解水供給装置及びガス溶解水の製造方法を提供する。
【解決手段】ガス供給配管31から気相室13内に酸素ガスを供給すると共に、真空ポンプ35を作動し、気相室13内を真空排気する。また、原水配管21から液相室12内に原水を供給する。気相室13内の酸素の一部は、気体透過膜11を透過して液相室12内の原水に溶存し、ガス溶解水が製造される。気相室13内の酸素の残部は、凝縮水と共に真空ポンプ35で吸引されて排気配管33から排出される。ガス溶解水の溶存酸素濃度が溶存ガス濃度計23で測定され、この測定濃度が目標値となるように、ガス流量制御弁32の開度が調節される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はガス溶解水供給装置及びガス溶解水の製造方法に係り、詳しくは、気体透過膜によって気相室と液相室に区画された気体透過膜モジュールを有し、該液相室に被処理水を通水すると共に該気相室にガスを供給し、該ガスを該気相室から該気体透過膜を介して該液相室内の該被処理水に溶解させ、該被処理水をガス溶解水とするガス溶解水供給装置及びこのガス溶解水供給装置を用いたガス溶解水の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体用シリコン基板、液晶用ガラス基板などの洗浄は、主として、過酸化水素水と硫酸の混合液、過酸化水素水と塩酸と水の混合液、過酸化水素水とアンモニア水と水の混合液など、過酸化水素をベースとする濃厚な薬液を用いて高温で洗浄した後に超純水で濯ぐ、いわゆるRCA洗浄法によって行われている。しかし、このRCA洗浄法では、過酸化水素水、高濃度の酸、アルカリなどを多量に使用するために薬液コストが高く、さらにリンス用の超純水のコスト、廃液処理コスト、薬品蒸気を排気し新たに清浄空気を調製する空調コストなど、多大なコストを要する。
【0003】
これに対し、洗浄工程におけるコストの低減や、環境への負荷の低減を目的とした様々な取り組みがなされ、成果を挙げている。その代表が、特定の気体を溶解した気体溶解水を用い、超音波洗浄等によって被処理物を洗浄する技術である。この特定気体としては、酸素ガス、オゾン、炭酸ガス、希ガス、不活性ガス、水素ガスなどが用いられる。
【0004】
このような気体溶解水を製造する方法として、気体透過膜を内蔵した膜モジュールを用いる方法が知られている。この方法では、気体透過膜の液相側に水を供給すると共に気相側に特定気体を供給し、この気体透過膜を介して気相側のガスを液相側の水に溶解させることにより、気体溶解水を製造する。
【0005】
例えば、特開平11−077023号には、超純水を脱気して溶存気体の飽和度を低下させたのち、この超純水に水素ガスを溶解させることが記載されている。
【0006】
第2図は、同号公報の工程系統図である。超純水は、流量計1を経由して脱気膜モジュール2に送られる。脱気膜モジュール2は、ガス透過膜を介して超純水と接する気相側が真空ポンプ3により減圧状態に保たれ、超純水中に溶存している気体が脱気される。溶存気体が脱気された超純水は、次いで水素ガス溶解膜モジュール4に送られる。水素ガス溶解膜モジュール4においては、水素ガス供給器5から供給される水素ガスが気相側に送られ、ガス透過膜を介して超純水に供給される。溶存水素ガス濃度が所定の値に達した超純水に、薬液貯槽6から薬注ポンプ7によりアンモニア水などの薬液を添加し、所定のpH値に調整する。水素ガスを溶解し、アルカリ性となった水素含有超純水は、最後に精密濾過装置8に送られ、MFフィルターなどにより微粒子が除去される。
【0007】
脱気膜モジュール2の入口及び出口に設置した溶存気体測定センサ9により、超純水中の気体量を測定して飽和度を求め、信号を真空ポンプに送って超純水の飽和度と所望飽和度とを対比し、脱気量を調整する。脱気量の調整は、例えば、真空ポンプによる真空度を真空度調節弁の開度を調整して行う。脱気後の超純水の気体飽和度を溶存気体測定センサ9により測定し、水素ガス溶解膜モジュールから流出する水素含有超純水中の水素ガス濃度を溶存水素測定センサ9Aにより測定する。これらの測定信号を水素ガス供給器に送り、例えば、水素ガス供給路に設けた弁の開度などを調整することにより水素ガスの供給量を制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平11−077023号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記特開平11−077023号において、水素ガス溶解膜モジュール4のガス透過膜は、気体のみを透過させ、液体を透過させない特性を有するものであり、水蒸気はこのガス透過膜を透過する。このため、ガス透過膜を透過して液相室から気相室へ水蒸気が拡散し、気相室で結露して凝縮水となり、気相室内に溜まる。
【0010】
ここで、溶存ガス濃度がμg/L(ppb)オーダーの低濃度(低飽和度)のガス溶解水を製造する場合、各種条件の微小な変動の影響や、ガス溶解膜モジュール(第2図の水素ガス溶解膜モジュール4)の気相室内の凝縮水の影響のために、ガス溶解水中の溶存ガス濃度を安定化させることが困難であった。
【0011】
また、炭酸ガス溶解水などのように、溶存ガス濃度がmg/L(ppm)オーダーのガス溶解水を製造する場合にあっても、原水の脱気レベル(第2図の脱気膜モジュール2による脱気の程度)が高いと、ガス溶解膜モジュール(第2図の水素ガス溶解膜モジュール4)の気相室内に凝縮水が溜まり易く、凝縮水の影響が無視できないため、上記のppbオーダーのガス溶解水を製造する場合と同様に、ガス溶解水中の溶存ガス濃度を安定化させることが困難であった。
【0012】
本発明は、溶存ガス濃度が低濃度(低飽和度)であるガス溶解水を安定して供給することが可能なガス溶解水供給装置及びガス溶解水の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明(請求項1)のガス溶解水供給装置は、気体透過膜によって気相室と液相室に区画された気体透過膜モジュールを有し、通水手段によって該液相室に被処理水を通水すると共に、ガス供給手段によって該気相室にガスを供給し、該ガスを該気相室から該気体透過膜を介して該液相室内の該被処理水に溶解させることにより、該被処理水をガス溶解水とするガス溶解水供給装置において、真空排気手段によって該気相室内を真空排気しながら、前記ガス供給手段によって該気相室内に該ガスを供給するように該真空排気手段を設けたことを特徴とするものである。
【0014】
請求項2のガス溶解水供給装置は、請求項1において、該ガス溶解水の溶存ガス濃度の測定手段と、該測定手段の測定値に応じて該ガス供給手段からの該ガスの供給量を調整することにより、該溶存ガス濃度を制御する制御手段とを有することを特徴とする。
【0015】
請求項3のガス溶解水供給装置は、請求項1又は2において、前記気相室の下部に、前記真空排気手段との接続口が設けられていることを特徴とする。
【0016】
請求項4のガス溶解水供給装置は、請求項1ないし3のいずれか1項において、前記ガスが酸素を含むことを特徴とする。
【0017】
請求項5のガス溶解水供給装置は、請求項4において、該ガス溶解水の溶存ガス濃度が、該ガスの溶解度の1/400以下であることを特徴とする。
【0018】
請求項6のガス溶解水供給装置は、請求項1ないし3のいずれか1項において、前記ガスが炭酸ガスを含むことを特徴とする。
【0019】
請求項7のガス溶解水供給装置は、請求項6において、該ガス溶解水の溶存ガス濃度が、該ガスの溶解度の1/50以下であることを特徴とする。
【0020】
請求項8のガス溶解水供給装置は、請求項1ないし3のいずれか1項において、前記ガスが、窒素、アルゴン、オゾン、水素、クリーンエア及び希ガスの少なくとも1つを含むことを特徴とする。
【0021】
本発明(請求項9)のガス溶解水の製造方法は、請求項1ないし8のいずれか1項に記載のガス溶解水供給装置を用いたガス溶解水の製造方法であって、前記液相室に被処理水を通水すると共に、該気相室内を真空排気しながら該気相室内にガスを供給し、該ガスを該気相室から前記気体透過膜を介して前記液相室内の該被処理水に溶解させることにより、該被処理水をガス溶解水とすることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0022】
本発明のガス溶解水供給装置(請求項1)及びガス溶解水の製造方法(請求項9)にあっては、真空排気手段によって該気相室内を真空排気しながら、該ガス供給手段によって該気相室内に該ガスを供給する。これにより、溶存ガス濃度が低濃度(低飽和度)であるガス溶解水を安定して供給することが可能である。
【0023】
即ち、従来、気相室内に凝縮水が溜まったときに、該凝縮水の排出工程を実施しているが、この凝縮水排出工程時に気相室内に圧力変動が生じ、その結果ガス溶解水の溶存ガス濃度が変動する。本発明では、気相室内を真空排気しながら該気相室内に該ガスを供給しているため、この真空排気によって気相室内の凝縮水も常時排出される。従って、本発明では凝縮水排出工程を別途実施する必要がなく、この凝縮水排出工程に起因するガス溶解水の溶存ガス濃度の変動が回避されるため、所望の溶存ガス濃度のガス溶解水を安定して供給することが可能である。
【0024】
本発明は、低濃度のガス溶解水を安定的に供給するガス溶解水供給装置及びガス溶解水の製造方法に利用可能である。特に、半導体産業分野での洗浄工程に使用される、厳密に溶存ガス濃度が管理された低濃度のガス溶解水の製造や、溶存ガス濃度が厳密にコントロールされた超純水の製造のためのガス溶解水供給装置及びガス溶解水の製造方法に適用するのに好適である。
【0025】
請求項2のように、ガス溶解水の溶存ガス濃度の測定手段と、該測定手段の測定値に応じて該ガス供給手段からの該ガスの供給量を調整することにより、該溶存ガス濃度を制御する制御手段とを有することが好ましい。かかるフィードバック制御により、低濃度域(低飽和度域)においても、溶存ガス濃度の安定したガス溶解水を供給することが可能である。
【0026】
請求項3のように、気相室の下部に真空排気手段との接続口が設けられていると、気相室内に溜まった凝縮水を効率よく排出することができる。
【0027】
請求項4のように、ガスは酸素を含むものであってもよい。この場合、請求項5のように、ガス溶解水の溶存ガス濃度は、該ガスの溶解度の1/400以下であることが好ましい。
【0028】
請求項6のように、ガスは炭酸ガスを含むものであってもよい。この場合、請求項7のように、ガス溶解水の溶存ガス濃度は、該ガスの溶解度の1/50以下であることが好ましい。
【0029】
請求項8のように、ガスは、窒素、アルゴン、オゾン、水素、クリーンエア及び希ガスの少なくとも1つを含むものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】実施の形態に係るガス溶解水供給装置の系統図である。
【図2】従来例に係る水素溶解水の製造工程系統図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。第1図は実施の形態に係るガス溶解水供給装置及びガス溶解水の製造方法を説明する系統図である。
【0032】
原水配管21が、気体透過膜モジュール10の液相室11の下部に接続されている。
【0033】
気体透過膜モジュール10内は、気体透過膜11によって上記液相室12と気相室13に区画されている。
【0034】
この液相室12の上部に、溶存ガス濃度計23を備えたガス溶解水供給配管22が接続されている。
【0035】
気相室13の上部に、ガス流量制御弁32を備えたガス供給配管31の一端が接続されている。ガス供給配管31の他端は、ガスボンベ等のガス源に接続されている。気相室13の下部に、圧力計34及び真空ポンプ35を備えた排気配管33が接続されている。上記溶存ガス濃度計23の検出信号が制御装置24に入力される。この制御装置24は、溶存ガス濃度計23の検出濃度が目標濃度となるように、ガス流量制御弁32を制御する。
【0036】
後述する通り、この原水配管21に通水される原水に対象ガスを溶解させて低濃度(低飽和度)のガス溶解水を製造する。このため、この原水としては、溶解させる対象ガスがほぼ溶存しておらず、かつ該対象ガス以外のガスで飽和しておらず、対象ガスを過飽和とならずに溶存させることができるものであることが好ましい。通常は、超純水等から溶存ガスを十分に脱気した脱気水を用いることができる。なお、脱気は、例えば前記第2図の脱気膜モジュール2などを用いて行うことができる。
【0037】
この気体透過膜10としては、水を透過させず、かつ水に溶解させるガスを透過させるものであれば特に制限はなく、例えば、ポリプロピレン、ポリジメチルシロキサン、ポリカーボネート−ポリジメチルシロキサンブロック共重合体、ポリビニルフェノール−ポリジメチルシロキサン−ポリスルホンブロック共重合体、ポリ(4−メチルペンテン−1)、ポリ(2,6−ジメチルフェニレンオキシド)、ポリテトラフルオロエチレンなどの高分子膜などを挙げることができる。
【0038】
真空ポンプ35には制限はなく、水封式やスクロール式などが用いられる。但し、真空の発生のためにオイルを用いるものは、オイルが逆拡散して気体透過膜11を汚染することがあるので、オイルレスのものが望ましい。
【0039】
ガス供給配管31から供給されるガスとしては、酸素、炭酸ガス、窒素、アルゴン、オゾン、水素、クリーンエア、これらのガスの2種以上の混合ガスなどが用いられる。
【0040】
なお、これらのガスは、希釈ガスで希釈されていても良い。その場合、希釈ガスとしては、アルゴンやヘリウムなどの希ガス、窒素などの不活性ガス、炭酸ガス、クリーンエア、これらのガスの2種以上の混合ガスなどが用いられる。
【0041】
ガス流量制御弁32は、オイルレスのものが好ましい。
【0042】
次に、第1図のガス溶解水供給装置を用いてガス溶解水を製造する方法の一例を説明する。
【0043】
本例では、ガスとして酸素を用い、水温を25℃としている。なお、25℃、1atmにおける酸素の水への溶解度は40.9mg/Lである。
【0044】
ガス流量制御弁32を開とすることにより、ガス供給配管31から気相室13内に酸素ガスを供給すると共に、真空ポンプ35を作動させ、気相室13内を排気配管33を介して真空排気する。また、原水配管21から液相室12内に原水を供給する。
【0045】
ここで、気相室13内の真空度は、原水の脱気度よりも高くする必要がある。これにより、気相室13内のガス(酸素)の一部が気体透過膜11を通って液相室12内の原水に溶解する。この気相室13内の圧力は−90kPa以下が好ましく、−90〜−97kPaがより好ましく、−93〜−96kPaがとりわけ好ましい。−90kPa以下であると、気相質13内の凝縮水を良好に排出することができる。
【0046】
このガス供給配管31から気相室13内に供給された酸素の一部は、上記の通り気体透過膜11を透過して液相室12内の原水に溶解する。このようにして得られたガス溶解水が、ガス溶解水供給配管22から流出する。該気相室13内に供給された酸素の残部は、液相室12側から気体透過膜11を透過してきた水蒸気及び該水蒸気が凝縮してなる凝縮水と共に、真空ポンプ35で吸引されることにより、排気配管33から排出される。
【0047】
上記のガス溶解水供給配管22内のガス溶解水は、溶存ガス濃度計23で溶存酸素濃度が測定され、測定信号が制御装置24に入力される。この制御装置24は、溶存ガス濃度計23の溶存酸素濃度が目標値(又は目標範囲)となるようにガス流量制御弁32の開度を調節し、ガス流量を制御する。このフィードバック制御により、所望の溶存ガス濃度のガス溶解水が製造される。
【0048】
このガス溶解水中の溶存酸素濃度は、当該ガス溶解水の用途等に応じて適宜決定されるが、例えば、半導体産業分野での洗浄工程で低濃度の酸素溶解水(洗浄水)として用いる場合には、溶存酸素濃度は1〜100μg/L特に10〜60μg/L程度が好ましい。
【0049】
なお、原水配管21内の原水の流量は、例えば2〜10L/min程度であり、ガス供給配管31内の酸素の流量は、例えば0.1〜10mL/min程度である。
【0050】
本実施の形態では、気相室13内の凝縮水が真空ポンプ35で真空排出されているため、気相室13内に凝縮水が溜まることが防止される。従って、気相室13内に溜まった凝縮水を排出するときに生じる気相室13内の圧力変動に起因するガス溶解水の溶存ガス濃度の変動や、気相室13内の凝縮水で気体透過膜12の一部が浸水することによるガス溶解水の溶存ガス濃度の変動が防止される。特に、この実施の形態では、排水配管33が気相室13の下部に接続されているため、気相室13内に凝縮水が溜まることが十分に防止される。
【0051】
本実施の形態では、フィードバック制御により、溶存ガス濃度が低濃度域又は低飽和度域であるガス溶解水を安定して製造することができる。
【0052】
上記実施の形態は本発明の一例であり、本発明は上記実施の形態に限定されない。ガスは酸素に限定されるものではなく、例えば、酸素に代えて炭酸ガスを原水に溶存させてもよい。この炭酸ガス溶解水を半導体産業分野での洗浄工程で用いる場合には、溶存炭酸ガス濃度は、例えば1〜100mg/L特に10〜60mg/L程度とすることが好ましい。
【0053】
また、原水に窒素を溶存させる場合には、例えば、溶存ガス濃度は1〜50μg/L特に5〜30μg/Lが好ましい。アルゴンの場合は溶存ガス濃度は1〜100μg/L特に10〜60μg/Lが好ましい。オゾンの場合は溶存ガス濃度は10〜1000μg/L特に50〜500μg/Lが好ましい。水素の場合は溶存ガス濃度は5〜500μg/L特に10〜100μg/Lが好ましい。クリーンエアの場合は溶存ガス濃度は1〜50μg/L特に5〜30μg/L程度が好ましい。
【実施例】
【0054】
以下、実施例及び比較例を参照して、本発明をより詳細に説明する。
【0055】
なお、ガス溶解水供給装置として、第1図の装置を用いた。また、気体透過膜モジュール10及び溶存ガス濃度計23の仕様及び運転条件は以下の通りである。
【0056】
気体透過膜モジュール:セルガード社製ガス溶解膜(商品名:リキセル)
溶存ガス濃度計:ハックウルトラアナリティクスジャパン社製溶存酸素計、
モデル3610
原水の送水量:5L/min
要求溶存酸素濃度:5μg/L
水温:25℃
【0057】
実施例1
ガス流量制御弁32により、ガス供給配管31から供給する酸素ガス量を0.5mL(標準状態)/minに制御した。また、気相室13内の圧力が−97kPaとなるように真空ポンプ35で気相室13内を真空排気した。
【0058】
その結果、得られた酸素溶解水中の溶存酸素濃度は連続的に5μg/L±5%以下に制御された。また、気相室13内に凝縮水が溜まることがなく、凝縮水排出動作を別途実施する必要が無かった。
【0059】
比較例1
実施例1において、通常時は真空ポンプ35を停止して気相室13内の真空排気を行わず、気相室13内に凝縮水が溜まったときに真空ポンプ35を作動して凝縮水の排出動作を行ったこと以外は同様にして酸素溶解水を製造した。
【0060】
その結果、凝縮水の排出動作時に、酸素溶解水中の溶存酸素濃度に5μg/L±20%以上の濃度変動が生じ、酸素溶解水を安定的に供給することが困難であった。
【符号の説明】
【0061】
10 脱気膜モジュール
11 気体透過膜
12 液相室
13 気相室
21 原水配管
22 ガス溶解水供給配管
23 溶存ガス濃度計
31 ガス供給配管
32 ガス流量制御弁
33 排気配管
34 圧力計
35 真空ポンプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
気体透過膜によって気相室と液相室に区画された気体透過膜モジュールを有し、通水手段によって該液相室に被処理水を通水すると共に、ガス供給手段によって該気相室にガスを供給し、該ガスを該気相室から該気体透過膜を介して該液相室内の該被処理水に溶解させることにより、該被処理水をガス溶解水とするガス溶解水供給装置において、
真空排気手段によって該気相室内を真空排気しながら、前記ガス供給手段によって該気相室内に該ガスを供給するように該真空排気手段を設けたことを特徴とするガス溶解水供給装置。
【請求項2】
請求項1において、該ガス溶解水の溶存ガス濃度の測定手段と、
該測定手段の測定値に応じて該ガス供給手段からの該ガスの供給量を調整することにより、該溶存ガス濃度を制御する制御手段と
を有することを特徴とするガス溶解水供給装置。
【請求項3】
請求項1又は2において、前記気相室の下部に、前記真空排気手段との接続口が設けられていることを特徴とするガス溶解水供給装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項において、前記ガスが酸素を含むことを特徴とするガス溶解水供給装置。
【請求項5】
請求項4において、該ガス溶解水の溶存ガス濃度が、該ガスの溶解度の1/400以下であることを特徴とするガス溶解水供給装置。
【請求項6】
請求項1ないし3のいずれか1項において、前記ガスが炭酸ガスを含むことを特徴とするガス溶解水供給装置。
【請求項7】
請求項6において、該ガス溶解水の溶存ガス濃度が、該ガスの溶解度の1/50以下であることを特徴とするガス溶解水供給装置。
【請求項8】
請求項1ないし3のいずれか1項において、前記ガスが、窒素、アルゴン、オゾン、水素、クリーンエア及び希ガスの少なくとも1つを含むことを特徴とするガス溶解水供給装置。
【請求項9】
請求項1ないし8のいずれか1項に記載のガス溶解水供給装置を用いたガス溶解水の製造方法であって、
前記液相室に被処理水を通水すると共に、該気相室内を真空排気しながら該気相室内にガスを供給し、該ガスを該気相室から前記気体透過膜を介して前記液相室内の該被処理水に溶解させることにより、該被処理水をガス溶解水とすることを特徴とするガス溶解水の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−234298(P2010−234298A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−86343(P2009−86343)
【出願日】平成21年3月31日(2009.3.31)
【出願人】(000001063)栗田工業株式会社 (1,536)
【Fターム(参考)】