ガス警報器
【課題】検出タイミングを変えることなく検知対象ガス以外の点検ガスを使用した作動点検を可能として信頼性を向上する。
【解決手段】警報器は、単一のガス検出素子40に、メタンガスを検知するための第1検知条件と、COガスを検知するための第2検知条件とを所定の時間間隔で交互に設定し、ガス検出素子40からの検出信号をそれぞれの所定の閾値と比較することによりガス漏れを判定して警報する。閾値設定部66は、点検モードの設定時に、メタンガスのガス漏れを判定する閾値を、COを主成分とするガスライターから採取した点検ガスのガス漏れを判定する所定の点検閾値に変更する。作動点検部68は、点検ガスが注入される点検モードの設定中に、メタン検知条件の設定によるガス検出素子40からの検出信号が点検閾値を超えた際に、メタンガスのガス漏れを警報する。
【解決手段】警報器は、単一のガス検出素子40に、メタンガスを検知するための第1検知条件と、COガスを検知するための第2検知条件とを所定の時間間隔で交互に設定し、ガス検出素子40からの検出信号をそれぞれの所定の閾値と比較することによりガス漏れを判定して警報する。閾値設定部66は、点検モードの設定時に、メタンガスのガス漏れを判定する閾値を、COを主成分とするガスライターから採取した点検ガスのガス漏れを判定する所定の点検閾値に変更する。作動点検部68は、点検ガスが注入される点検モードの設定中に、メタン検知条件の設定によるガス検出素子40からの検出信号が点検閾値を超えた際に、メタンガスのガス漏れを警報する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体式ガス検出素子を複数の温度に切り替え加熱し、各温度に加熱された際のガス検出素子の異なる種類のガス検出出力に基づいてガス漏れの有無を判定等するガス漏れ警報器に関し、特に、電源投入から通常監視状態に移行する間に点検ガスを注入してガス検出素子が正常に動作することを点検するガス警報器に関する。
【背景技術】
【0002】
一般住宅等において、ガス漏れを検出して警報を発するガス警報器が広く利用されている。一般的に、このガス警報器は、ガス検出素子を備えており、ガス検出素子の出力変化に基づいて、ガス漏れの有無を判定するように構成されている。
【0003】
また近年では、機器のコスト低減等のため、複数種類のガス、例えばメタンガスとCOガスのガス漏れを、1つのガス検出素子で検出できるようにしたガス警報器も提案されている。
【0004】
このようなガス警報器においては、ガス検出素子を、検知対象ガスであるメタンガスとCOガスの検出に適した2種類の温度に切り替え加熱し、各温度に加熱されたガス検出素子の出力変化に基づいて、ガス漏れの有無を判定している。
【0005】
ところで、ガス警報器を住戸に設置してガス漏れ監視を開始する際には、ガス警報器に例えば商用交流電源を供給して起動した後に、所定の点検時間を設定し、点検時間の間に実ガス(点検ガス)をガス警報器のガス検出素子に吹きかけ、実際にガス漏れ警報が出ることを確認する作動点検作業を行っている。
【0006】
ガス警報器の実ガスによる作動点検方法としては、ガスコンロの炎にスポイド状のガス点検具の吸い口を入れてガスを吸入し、ガス警報器のセンサ部に吹きかけるようにしている。詳細には、メタンガスの作動点検には、ガスコンロの炎の根元から吸入し、COガスの作動点検には、ガスコンロ炎の中央部からガスを吸入して別々に点検している。
【0007】
ところが、ガス警報器を設置する現場によっては、ガスの工事や開栓が終了しておらず、市販のガスライター等の携帯可能な器具により点検せざるを得ない場合もある。しかし、ガスライターの炎からはメタンガスは取り出せないため、CO側のガスの点検しかできないという問題がある。
【0008】
この問題を解消するため、メタンガスに対する作動点検を、利用しやすい水素ガスやCOガスを実ガスとして使用する点検方法が提案されている。この点検方法は、炭メタンガスを検知するために半導体式ガス検出素子を約400℃に過熱するヒータ制御を行い、400℃に安定したタイミングでガス検出素子の検出信号を読み込んで処理しているが、ヒータをOFFして400℃からCOガスを検知するための約80℃に達する途中の温度領域に例えば水素ガスに対し高感度を示す領域があることを利用し、水素ガスに高感度を示すタイミングでガス検出素子からの検出信号を炭化水素ガスによる検出信号と見做して読込み、所定の閾値を超えたらガス漏れ警報を出し、炭化水素ガスに対し正常動作したと判定している。
【特許文献1】特開2004−038660号公報
【特許文献2】特開2002−269657号公報
【特許文献3】特開2004−192339号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、このような従来の水素ガスを実ガスに使用して作動を確認するガス警報器の点検方法にあっては、半導体式ガス検出素子の温度を400℃に安定させるヒータ通電時間のタイミングとは異なる別のタイミングで点検用の水素ガスを検知しており、ヒータ通電時間に対し複数の検出タイミングを設定して切替えなければならないため、検出タイミングの制御処理を実行するソフトウェアが複雑化する問題がある。
【0010】
またヒータ通電によるメタンガスの検出タイミングではなく、水素ガスに対し高感度となる別のタイミングで検出しているため、炭化水素ガスの検出タイミングでの動作を正確にシミュレーションしているとはいえず、本来的な作動点検になっておらず、炭化水素ガスの作動点検として信頼性が充分とはいえない。
【0011】
更に、ライターの炎から得られる水素ガス濃度は採取ポイントにより大きく変化し、水素ガスの検出タイミングでは閾値を達さない場合があり、繰返し点検作業を行わねばならない。
【0012】
本発明は、検出タイミングを変えることなく検知対象ガス以外の実ガスを使用した作動点検を可能として信頼性を向上するガス警報器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明はガス警報器を提供する。本発明は、
単一の半導体式ガス検出素子に、第1検知対象ガスを検知するための第1検知条件と、第2検知対象ガスを検知するための第2検知条件とを所定の時間間隔で交互に設定し、第1検知条件又は第2検知条件の設定状態で得られたガス検出素子からの検出信号をそれぞれの所定の閾値と比較することによりガス漏れを判定して警報するガス警報器に於いて、
点検モードの設定時に、第1検知対象ガスのガス漏れを判定する閾値を、第1検知対象ガスを含まずに第2検知対象ガスを含む点検ガスのガス漏れを判定する所定の点検閾値に変更する閾値処理更部と、
点検ガスが注入される点検モードの設定中に、第1検知条件の設定によるガス検出素子からの検出信号が点検閾値を超えた際に、第1検知対象ガスのガス漏れを警報する作動点検部と、
を備えたことを特徴とする。
【0014】
本発明の別の形態にあっては、単一のガス検出素子に、第1検知対象ガスを検知するための第1検知条件と、第2検知対象ガスを検知するための第2検知条件とを所定の時間間隔で交互に設定し、第1検知条件又は第2検知条件の設定状態で得られた前記ガス検出素子からの検出信号をそれぞれの所定の閾値と比較することによりガス漏れを判定して警報するガス警報器に於いて、
点検モードの設定時に、第1検知対象ガスを含まずに第2検知対象ガスを主成分とする点検ガスに対し第1検知条件を設定した際のガス検出素子からの検出信号の変化量からガス漏れを判定する閾値変化量を設定する閾値処理部と、
点検ガスが注入される点検モードの設定中に、第1検知条件の設定によるガス検出素子からの検出信号の変化量が閾値変化量を超えた場合に、第1検知対象ガスのガス漏れを警報する作動点検部と、
を備えたことを特徴とする。
【0015】
ここで、第1検知対象ガスはメタンガスであり、第2検知対象ガスはCOガスであり、更に、点検ガスはメタンガスを含まずにCOガスと水素ガスが混合したガスライター炎から採取された燃焼ガスである。
【0016】
本発明はガス警報器の点検方法を提供する。本発明は、
単一のガス検出素子に、第1検知対象ガスを検知するための第1ヒータ制御値と第1検出タイミングを含む第1検知条件と、第2検知対象ガスを検知するための第2ヒータ制御値と第2検出タイミングを含む第2検知条件とを所定の時間間隔で交互に設定し、第1検知条件又は第2検知条件の設定状態で得られたガス検出素子からの検出信号をそれぞれの所定の閾値と比較することによりガス漏れを判定して警報するガス警報器の点検方法に於いて、
点検モードの設定時に、第1検知対象ガスのガス漏れを判定する閾値を、第1検知対象ガスを含まずに第2検知対象ガスを含む点検ガスのガス漏れを判定する所定の点検閾値に変更する閾値処理ステップと、
点検ガスが注入される点検モードの設定中に、第1検知条件の設定による前記ガス検出素子からの検出信号が点検閾値を超えた際に、第1検知対象ガスのガス漏れを警報する作動点検ステップと、
を備えたことを特徴とする。
【0017】
本発明の別の形態にあっては、単一の半導体式ガス検出素子に、第1検知対象ガスを検知するための第1ヒータ制御値と第1検出タイミングを含む第1検知条件と、第2検知対象ガスを検知するための第2ヒータ制御値と第2検出タイミングを含む第2検知条件とを所定の時間間隔で交互に設定し、第1検知条件又は第2検知条件の設定状態で得られたガス検出素子からの検出信号をそれぞれの所定の閾値と比較することによりガス漏れを判定して警報するガス警報器の点検方法に於いて、
点検モードの設定時に、第1検知ガスを含まずに第2検知対象ガスを含む点検ガスに対し、第1検知条件を設定した際のガス検出素子からの検出信号の変化量からガス漏れを判定する閾値変化量を設定する閾値処理ステップと、
点検ガスが注入される点検モードの設定中に、第1検知条件の設定によるガス検出素子からの検出信号の変化量が閾値変化量を超えた場合に、第1検知対象ガスのガス漏れを警報する作動点検ステップと、
を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、第1検知対象ガス、例えばメタンガスに対するガス検出素子の点検作動を確認する際に、炭化水素ガス含まずにCOガスと水素ガスを含むガスライターの炎から採取した点検ガスを使用しても、点検対象とするメタンガスの検出タイミングを変更せずに、ガス漏れを判定する閾値を点検用の閾値に変更するだけであるため、ソフトウェアの変更を必要とせず、簡単に対応できる。
【0019】
また点検対象となる例えばメタンガスの検出タイミングでガス漏れを判定して警報させる点検動作を行っており、検出タイミングを変えることなく作動点検できるため、実際の炭化水素ガスの検出警報動作を正確にシミュレーションして点検の信頼性を向上できる。
【0020】
また、炭化水素ガスとCOガスの複合型のガス警報器において、ガスライター炎から採取したCOを含む点検ガスで、炭化水素ガスの検出警報動作とCOガスの検出警報動作を同時に試験することができ、複合型のガス警報器における点検の信頼性を向上できる。
【0021】
更に、ガスライター炎から採取した点検ガスはCOガスと水素ガスの混合ガスであり、その濃度比率は採取毎に異なるが、炭化水素ガスの検出タイミングにあっては、COガスと水素ガスの合計のガス濃度に反応することから、混合比率に影響されることなく、燃焼ガスを実ガスとした炭化水素ガスの検出警報動作の点検を安定して行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
図1は本発明による警報器の実施形態を示した説明図である。図1において、警報器10は、第1検知対象ガスをメタンガスとし、及び第2検知対象ガスをCOガスとする複合型のガス漏れ警報を行う。
【0023】
警報器10は、ほぼ箱型の筐体12に火災検出部14、ガス検出部16、スピーカ18、火災警報灯20、電源灯22、CO警報灯24及びメタン警報灯26を設けている。
【0024】
火災検出部14は、サーミスタを用いて火災による温度を検出する火災検出部、或いは散乱光煙検出部により火災を検出する火災検出部である。ガス検出部16は、内蔵したガス検出素子によりCOガスまたはメタンガスを検出する。
【0025】
スピーカ18は、火災検出時またはガス漏れ検出時に音声メッセージにより警報を出力する。火災警報灯20は、火災検出部14による火災検出時に点滅または点灯する。
【0026】
電源灯22は、警報器10に対する商用AC100Vの投入時に点灯する。CO警報灯24は、ガス検出部16によるCOガスのガス漏れ検出時に点滅または点灯する。更にメタン警報灯26は、ガス検出部16によるメタンガスのガス漏れ検出時に点滅または点灯する。
【0027】
図2は図1の警報器10の機能構成と回路構成を示した回路ブロック図である。図2において、本実施形態の警報器は検出回路部28をCPU30に接続しており、CPU30に対しては、更に、不揮発メモリ32、表示部34、スピーカ18を備えた音声出力部36が接続されている。なお図2にあっては、火災検出機能についての構成要素は省略している。
【0028】
検出回路部28にはガスセンサ38が設けられ、ガスセンサ38にはガス検出素子40とヒータ42が設けられている。ヒータ42に対しては、トランジスタ44、抵抗46,48からなるヒータ駆動回路が設けられ、CPU30からのヒータ制御信号E2によるトランジスタ40のオン、オフにより、ヒータ42の通電と通電停止を切り替えるようにしている。
【0029】
またガスセンサ38に設けたガス検出素子40に対しては、トランジスタ50、検出抵抗52、54を備えた検出回路が設けられ、CPU30からの検出抵抗切替信号E3によるトランジスタ50のオン、オフにより、検出抵抗54に対する検出抵抗%2の並列接続の有無を切り替えるようにしている。
【0030】
ガス検出素子40はメタンガスまたはCOガスを検出する。メタンガスを検出する際には、CPU30のヒータ制御信号E2によりトランジスタ44を一定のデューティー(ON:OFF 146μs:4ms)でオンオフし、ガスセンサ38のヒータ42の温度を制御し、ガス検出素子40をメタンガス検出温度HT1例えばHT1=400℃に加熱する。
【0031】
一方、COガスを検出する際には、ヒータ制御信号E2によりトランジスタ44をオフすることでガスセンサ38のヒータ42の温度を制御し、メタンガス検出温度HT1=400℃の加熱後のガス検出素子40の温度をCOガス検出温度HT2例えばHT2=80℃としてCOガスを検出する。
【0032】
トランジスタ44によるガスセンサ38のヒータ42の温度制御切替えに同期して、ガス検出素子40に対し検出抵抗52,54をトランジスタ50により切り替える。ここで検出抵抗52の抵抗値をR1、検出抵抗54の抵抗値をR2、更にガス検出素子40の抵抗値をRxとする。
【0033】
まずメタンガスの検出時には、トランジスタ50がCPU30からの検出抵抗切替信号E3によりオンし、ガス検出素子40に対し検出抵抗52,54が並列接続される。したがって、検出回路部28に対する電源電圧Vccを例えばVcc=5ボルトとすると、CPU30に対するガス検出素子40からの検出電圧E1は、検出抵抗52,54の並列抵抗(R1//R2)とガス検出素子40の抵抗値Rxの分圧電圧で決まる。即ち、
【0034】
【数1】
となる。
【0035】
一方、COガスの検出時には、CPU30からの検出抵抗切替信号E3によりトランジスタ50がオフとなり、検出抵抗54のみがガス検出素子40に接続され、両者の分圧電圧がガス検出信号E1としてCPU30に出力される。即ち、トランジスタ50をオフしたCOガス検出時のガス検出電圧E1は
【0036】
【数2】
となる。
【0037】
本実施形態にあっては、メタンガスについては3000ppm程度で警報を発するように閾値が設定されており、そのときのヒータ42によりHT1=400℃に加熱されているガス検出素子40の抵抗値RxはRx=0.5kΩ程度である。
【0038】
一方、メタンガスが存在しない正常空気中でのメタンガス検出温度HT1=400℃におけるガス検出素子40の抵抗値RxはRx=6kΩ程度である。即ち、ガス検出素子40において、定常時の6kΩ程度の抵抗値が0.5kΩ程度に変化した際に、メタンガスのガス漏れを検出した警報状態となる。
【0039】
一方、COガスについては、150ppm程度でガス漏れ警報を発するように閾値が設定されている。COガスを検出するCOガス検出温度HT2=80℃におけるガス検出素子40の抵抗値Rxは10kΩ程度である。これに対し、COガスが存在しない正常空気中においては、HT1=80℃におけるガス検出素子40の抵抗値Rx=1MΩ程度である。即ち、COガス検出温度T2=80℃におけるガス検出素子40の定常時の1MΩの抵抗値が10kΩに変化した際に、COガスのガス漏れ警報を行うことになる。
【0040】
具体的には、電源電圧Vcc=5ボルト、メタンガス3000ppmの抵抗値Rx=0.5kΩ、正常空気中の抵抗値Rx=6kΩとすると、ガス検出素子40から出力されるメタンガスの検出電圧E1は、前記(1)式から概ね
E1=1.12V
となる。
【0041】
またCOガスのガス濃度150ppmにおけるガス検出素子40からの検出信号E1は同じく、電源電圧Vcc=5V、CO150ppmでのガス検出素子40の抵抗Rx=10kΩ、定常時の抵抗Rx=1MΩとすると、前記(2)式から
E1=2.5V
となる。
【0042】
更にCPU30にあっては、検出回路部28に対するヒータ温度制御信号E2を図3のタイムチャートに示すタイミングで制御している。図3のヒータ制御信号E2は、周期T0の前段のT1時間に亘りトランジスタ44をON−OFF制御して、メタンガス検出温度HT2=400℃にガス検出素子40を加熱し、T1時間の最後のメタン検知ポイント78のタイミングで、ガス検出素子40からの検出電圧E1をCPU30のAD変換器でメタンガス検出信号として取り込んでいる。
【0043】
続いてT2時間に亘り、ヒータ制御信号E2によるトランジスタ44をON−OFF制御して、COガス検出温度HT1=80℃にガス検出素子40を冷却しており、T2時間の最後のCO検知ポイント80のタイミングで、ガス検出素子40の検出電圧E1をCPU30のAD変換器でCOガス検出信号として取り込んでいる。
【0044】
ここで、メタンガス検出時にHT1=400℃に過熱するためにヒータを制御するT1時間は例えばT1=5秒、COガス検出時にHT2=80℃とするためにヒータを制御する時間T2はT2=15秒であり、したがってメタンガス検出とCO検出を行う1回の周期T0はT0=20秒としている。
【0045】
再び図2を参照するに、CPU32は、プログラムの実行により実現される機能として、ガス信号処理部56、ヒータコントロール部58、演算部60、タイマ62、点検処理部64が設けられ、更に点検処理部64には閾値設定部66と作動点検部68が設けられている。
【0046】
ガス信号処理部56は、検出回路部28に設けたガス検出素子40からの検出信号E1を、図3に示したメタン検知ポイント78及びCO検知ポイント80の各タイミングでAD変換器により取り込み、それぞれの検出電圧をそれぞれの閾値と比較することにより、ガス漏れの有無を判定する。
【0047】
ヒータコントロール部58は、検出回路部28に設けたトランジスタ44に図3に示すヒータ制御信号E2を出力し、トランジスタ44のオンオフによりヒータ42をメタンガス検出温度HT1=400℃に加熱した後、トランジスタ44をオンオフしてヒータ42をCO検出温度HT2=80℃に切り替える。
【0048】
同時にヒータコントロール部58は、検出抵抗切替信号E3についてもヒータ制御信号E2に同期し、トランジスタ44のオンと同時にトランジスタ50をオンし、続いてトランジスタ44のオフと同時にトランジスタ50をオフして、検出抵抗52,54のガス検出素子40に対する接続を切り替える。更に演算部60は、ガス検出などの各種処理の演算処理を実行する。
【0049】
点検処理部64は、警報器10に対する商用AC100Vの供給による電源投入時から所定時間例えば25分間動作し、メタンガス及びCOガスに対するガス漏れ検出の点検作動を、ガスライターから採取した点検ガスを用いて行うことを可能とする。
【0050】
点検処理部64に設けた閾値設定部66は、点検モードの設定時に、メタンガス(第1検知対象ガス)のガス漏れを判定する閾値を所定の点検閾値に変更する。即ち、点検時に実ガスとして使用する例えば市販のガスライターの炎から採取したメタンガスを含まずにCOガスを主成分として、水素ガスを含む点検ガスに対するメタンガスの検出タイミングでの検出電圧からガス漏れを判定する所定の点検閾値に変更する。
【0051】
作動点検部68は、ガスライターの炎から採取した点検ガスが注入される点検モードの設定中に、メタンガスを検出するためのヒータ42の通電によるメタンガス温度HT1=400℃の設定状態でガス検出素子40から得られる検出電圧E1が閾値設定部66で変更された点検閾値を超えた際に、COガスと水素ガスの混合ガスからなる市販ガスライターの炎から得られた点検ガスであっても、メタンガスのガス漏れと判断してガス漏れ警報を出力させる。この点検処理部64の処理機能については後の説明で更に明らかにする。
【0052】
CPU30に設けた不揮発メモリ32には、ガス検出などの各種処理に必要なプログラムやパラメータなどを記憶している。表示部43には、図1の火災警報灯20、電源灯22、CO警報灯24、メタン警報灯26が設けられ、これらの表示灯を点滅または点灯させる。音声出力部36はスピーカ18を接続し、スピーカ18から火災警報やガス漏れ警報などの警報を音声メッセージなどにより出力させる。
【0053】
図4は本実施形態における電源投入時のモード遷移を示したタイムチャートである。図4(A)は電源であり、任意のタイミングで商用AC100Vの電源をオンからオフとしたタイミングを0分として時間の経過を示している。
【0054】
図4(B)はモード制御であり、電源オンからT1=1分の間、起動モード70となり、起動モード70においては、ガス検出素子の安定化と図2のCPU30における初期化診断処理を実行し、正常に起動した場合に1分〜4分までのT2=3分となるメタン点検・CO点検モード72に移行する。
【0055】
ガスライター点検モード72にあっては、図2のCPU30に示した閾値設定部66が通常時のメタンガス検出のための閾値を、点検時に実ガスとして使用する例えば市販のガスライターの炎から抽出したCOガスと水素ガスを含む点検ガスに対するメタンガス検知ポイントでの検出電圧からガス漏れを判定するための点検閾値に変更するモードである。
【0056】
また、このガスライター点検モード72にあっては、COガスについては通常時の閾値がそのまま使用されており、通常時におけるCOガス検出処理における蓄積時間を解除して0時間としている。
【0057】
即ち本実施形態あっては、COガスのガス漏れ検出につき、例えばCOガス濃度の閾値として低濃度警報レベルと高濃度警報レベルの2つの閾値を設定しており、低濃度警報レベルであれば13分、高濃度警報レベルであれば3分の蓄積を行った後にCOガス漏れ警報を出すようにしている。
【0058】
このCOガスの蓄積検出機能について、ガスライター点検モード72にあっては、COガスの蓄積時間を0時間としており、したがって点検モードにあっては、COガスが低濃度警報レベルまたは高濃度警報レベルのいずれかの閾値を超えた際には、直ちにCOガス漏れ警報を出し、蓄積時間による警報遅れによる手間を解消するようにしている。
【0059】
電源オンから4分を経過するとT3=21分に亘る通常点検モード74に切り替えられる。通常点検モード74にあっては、図2の閾値設定部66によるメタンガスに対する点検閾値への変更は解除されて通常の閾値となり、この状態で、従来から行われているガスコンロから抽出したメタン、COガスの作動試験を行うようにしており、ガスライター点検モード72と同様、CO点検モード74においても、COガス漏れについての蓄積時間はリセットされて0時間となっている。電源オンから25分を経過すると、通常監視モード76に移行する。
【0060】
図5は本実施形態のガスライター点検モードでのヒータ制御とガス検出素子からの検出信号を示したタイムチャートであり、ガスライター点検モード72に入ると同時に、ガスライターの炎から採取したCOガスと水素ガスを含む点検ガスを注入している。
【0061】
図5(A)はヒータ制御信号、図5(B)はガス検出素子の検出信号、更に図5(C)はモードを示している。
【0062】
なお、図5(B)の検出信号は、図2の検出回路部28からの検出信号E1をCPU30のAD変換器で読み込む前に、反転することにより
(Vcc−E1)
に変換した後に取り込んでいる。このため、検出信号はガス濃度の増加に比例して増加する信号となる。このため図2の検出信号E1はガス濃度の増加に対し減少する信号であるが、図5(B)の検出信号は、反転処理によりガス濃度に応じて増加する信号となる。
【0063】
図5(A)のヒータ制御信号のオンオフにおける図3に示したメタン検知ポイント78とCO検知ポイント80のタイミングで、図5(B)の検出信号がCPU30に読み込まれており、メタンガスについてはA1,A2,A3,A4,A5のタイミングで読み込まれ、COガスについてはB1,B2,B3,B4のタイミングで読み込まれている。
【0064】
ここで、図5(C)の起動モード70からガスライター点検モード72に入ると同時にガスライターの炎から抽出したCOガスと水素ガスを含む点検ガスを図1のガス検出部16に注入しているため、起動モード70における正常空気中での検出ポイントA1,B2の各メタンガス検出信号、COガス検出信号は、ガスライター点検モード72に入ると、点検ガスの注入に応じた値に増加する。
【0065】
即ち、COガスと水素ガスを含む点検ガスの注入により、メタンガス検知タイミングについては検出ポイントA2,A3,A4,A5に示すように、順次、検出信号が正常空気中となる起動モード70の場合に比べ増加している。一方、COガスについては点検ガスに主成分としてCOガスが含まれていることから、検出ポイントB2,B3,B4に示すように、検出信号は大きく増加している。
【0066】
本実施形態にあっては、メタン点検・CO点検モード72に入ると同時に、起動モード70で設定した通常時のメタンガスに対する閾値TH1を点検閾値TH2に変更している。このため、COガスと水素ガスを含む点検ガスを使用したメタンガスの検出タイミングA3,A4,A5の検出信号については、変更後の点検閾値TH2を上回っており、本来のメタンガスと同じ検出タイミングでCOガスと水素ガスを含む点検ガスを使用した場合でも、メタンガスのガス漏れ警報を出力し、メタンガスに対する作動点検を行うことができる。
【0067】
図6は点検ガスの主成分となるCOガス濃度に対するガス漏れ検出素子のCO検知タイミングの抵抗値とメタンガス検知タイミングの抵抗値の関係を示したグラフ図である。
【0068】
図6において、横軸はCO濃度であり、縦軸はガス検出素子のセンサ抵抗を示している。まずCO検知タイミングに於けるCOガス濃度に対するガス検出素子のCOガス検知タイミング抵抗82は、正常空気中となるCO濃度が0ppmにあっては例えば1MΩと大きく、COガス濃度が増加すると、指数関数的にセンサ抵抗値が低下し、例えばCOガスのガス漏れ警報を出す150ppmでセンサ抵抗は例えば7kΩに低下し、更にCOガス濃度が増加すると1kΩ以下に低下している。
【0069】
これに対し、メタン検出タイミングにおけるCOガス濃度に対するガス検出素子のメタン検知タイミング抵抗84は、大気中メタン検知タイミング抵抗86における約6kΩの状態から、COガス濃度の増加に対し約5kΩ付近に低下しており、大気中メタン検知タイミング抵抗86に対し約1kΩを超える抵抗値の変化(相対変化)が生じていることが分かる。
【0070】
図7はガスライター点検モードでガスライターの炎から採取した点検ガスを実際に注入した場合のメタン検知タイミング抵抗の変化を、CO検知タイミング抵抗の変化と共に示したタイムチャートである。
【0071】
図7において、ガス注入開始88以前にあっては、メタン検知タイミング抵抗90−1に示すように、大気中のCOガスや水素ガスがない状態であることから、センサ抵抗は約6kΩとなっている。また、このときメタン警報閾値は通常監視時のRTH1に設定されている。
【0072】
この状態で、ガス注入開始88に示すように、ガスライターから採取したCOガスと水素ガスを含む点検ガスを注入すると、それまでのメタン検知タイミング抵抗90−1の6kΩからメタン検知タイミング抵抗90−2に示すように2kΩ以下に低下した後、点検ガスの発散に伴い徐々に増加してメタン検知タイミング抵抗90−3のように遷移する。
【0073】
ここで点検ガスを注入するガスライター点検モードにあっては、通常時のメタン警報閾値RTH1を点検用に使用するメタン点検警報閾値RTH2に変更しており、したがってガス注入開始88以降のメタン検知タイミング抵抗90−2は、メタン点検警報閾値RTH2以下に低下することで、COガスと水素ガスからなる点検ガスの注入により、メタンガスの検知タイミングでメタンガスのガス漏れ警報を出して作動点検を行うことができる。
【0074】
一方、ガス注入開始88以前の大気中におけるCO検知タイミング抵抗92−1については1MΩとなっており、ガス注入開始88以降については点検ガスに含まれるCOガスにより抵抗値が急激に低下し、CO検知タイミング抵抗92−2に示すように0.5kΩ付近に低下する。
【0075】
このため、予め設定しているCO高濃度閾値RTH3を下回ることでCOガス漏れ警報が出され、点検ガスを使用してCOガスについても作動点検を同時に行うことができる。もちろん、点検時にはCOガスのガス漏れについての蓄積時間はゼロにリセットされているため、蓄積を行うことなく直ちにCOガス警報を出すことができる。
【0076】
なおCO検知タイミング抵抗92−2は、ガス注入で低下した後、COガスの拡散に伴い、元の1MΩのCO検知タイミング抵抗92−3に急激に回復している。
【0077】
ここで図6,図7にあっては、ガス検出素子の抵抗値で示しているが、実際には図2の検出回路部28に示したように、ガス検出素子40の抵抗値Rxに対するトランジスタ50による検出抵抗52,54の切替えで、前記(1)式、(2)式に従った検出電圧E1としてCPU30に取り込まれている。
【0078】
そして、更に必要があれば、図5(C)の検出信号に示したように、検出信号E1を反転して(Vcc−E1)とすることで、ガス濃度に応じて増加する検出信号に変換してAD変換器で取り込んでもよい。
【0079】
図8及び図9は、ガスライター点検モードでメタン警報閾値を点検閾値に変更する本実施形態の作動点検処理を示したフローチャートである。
【0080】
図8において、本実施形態の警報器10に対しAC100Vの電源を投入すると、ステップS1で初期化診断処理が実行され、ステップS2で正常起動が判別されると、ステップS3に進み、図4(B)に示すようにガスライター点検モード72が設定される。このガスライター点検モード72の設定にあっては、通常時のメタン閾値を点検閾値に変更し、且つCOの蓄積を解除する。
【0081】
続いてステップS4で、図3に示したメタン検知ポイント78に対応したメタン検出タイミングを判別すると、ステップS5でメタン検出信号を読み込む。このガスライター点検モード72にあっては、ガスライターの炎から採取した点検ガスをガス検出部16に注入していることから、ステップS5で読み込んだメタン検出信号はガス検出素子40における抵抗値の低下に伴い、例えば検出信号の反転処理により信号としては増加しており、ステップS6でメタン検出信号が点検閾値以上であることが判別されると、ステップS7でガスライターの炎から採取したCOガスと水素ガスを含む点検ガスであっても、ガス漏れ(メタン)警報を出力して、ガス漏れ(メタン)の作動点検を行うことができる。
【0082】
続いてステップS8で、図3に示したCO検知ポイント80におけるCO検出タイミングであることを判別すると、ステップS9に進み、CO検出信号を読み込み、ステップS10でCO検出信号が閾値以上であれば、ステップS11でCO警報を行う。このときCOについては蓄積時間はゼロとなっていることから、蓄積を行うことなく直ちにCO警報が出力される。
【0083】
このようなステップS4〜S11のガスライター点検モード72における作動処理を、ステップS12でガスライターガス点検モードの設定時間を経過するまで繰り返す。
【0084】
ステップS12で設定時間の経過を判別すると、図9のステップS13に進み、通常点検モード74を設定し、このモード設定ではメタン点検閾値を通常時の閾値に戻す。
【0085】
続いてステップS14でメタン検知タイミングを判別すると、ステップS15でメタン検出信号を読み込み、ステップS16でメタン検出信号が閾値以上、即ち通常の閾値を超えていれば、ステップS17でガス漏れ(メタン)警報を出すことになる。しかし、CO点検モードにあってはメタン検出信号が閾値を超えることがないため、ステップS17のメタンガス漏れ警報はスキップされる。
【0086】
続いてステップS18でCO検出タイミングを判別すると、ステップS19でCO検出信号を読み込み、ステップS20でCO検出信号が閾値以上であれば、ステップS21でCO警報を行う。
【0087】
このときCOの点検作動のため、ガスライターの炎から採取したCOガスと水素ガスを含む点検ガスを注入していると、ステップS19で読み込んだCO検出信号はステップS20で閾値以上となり、ステップS21でCO警報が行われてCOガスのガス漏れについての動作が確認できる。
【0088】
このようなステップS14〜S21の処理を、ステップS22でCO点検モードの設定時間が経過するまで繰り返す。ステップS22で設定時間の経過を判別すると、ステップS23に進み、通常監視モードを設定する。通常監視モードは、COガスの蓄積解除をリセットして元の蓄積動作に戻した後、ステップS24で通常監視処理に入る。
【0089】
図10は本発明の他の実施形態におけるガスライター点検モードでのヒータ制御信号、ガス検出素子の検出信号及びモードを示したタイムチャートである。
【0090】
図10の実施形態にあっては、ガスライター点検モード72におけるメタン検知ポイントA2,A3,A4,A5の検出信号のそれぞれについて、例えば検出信号0に対する変化量H1,H2,H3,H4を検出し、これらの変化量が予め定めた点検閾値を超えたときに、ガス漏れ(メタン)警報を出力するようにしている。
【0091】
また図10(B)にあっては、メタン点検・CO点検モード72におけるメタン検出ポイントA2,A3,A4,A5の検出信号の0レベルからの変化H1,H2,H3,H4を検出しているが、起動モード70におけるメタン検出ポイントA1を初期値とし、この初期値A1に対する変化量を検出して点検閾値と比較するようにしてもよい。
【0092】
図11,図12は、メタン点検・CO点検モードでの検出信号の変化量からメタン検出警報を出力する実施形態の作動点検処理を示したフローチャートである。図11,図12のフローチャートにおいて、ステップS3〜S7が固有の処理であり、それ以外の処理は図8及び図9のフローチャートと同じである。
【0093】
即ち、図11のステップS3にあっては、ガスライター点検モードが設定されると、ガスライターから採取したCOガスと水素ガスを含む点検ガスに対し、メタン検知タイミングを設定した際のガス検出素子からの検出信号の変化量に基づいてガス漏れ(メタン)を判定する閾値変化量を設定する。
【0094】
続いてステップS4でメタン検知タイミングを判別すると、ステップS5でメタン検出信号を読み込み、変化量を検出する。続いてステップS6でメタン検出信号の変化量が閾値変化量以上であれば、ステップS7に進み、点検ガスの注入による検出信号であっても、ガス漏れ(メタン)警報を出力し、メタン検出タイミングでの作動点検を行うことができる。
【0095】
このステップS3〜S7の機能は、図2のCPU30の点検処理部64に設けている閾値設定部66及び作動点検部68の機能を、メタン検知タイミングの検出信号の変化量の判別機能に変更することで実現できる。
【0096】
即ち、図11のステップS3〜S7の処理を実現するため、図2の閾値設定部66は、ガスライターの炎から採取したCOガスと水素ガスからなる点検ガスに対し、メタン検出タイミングを設定した際のガス検出素子からの検出信号の変化量からガス漏れ(メタン)を判定する閾値変化量を設定する。
【0097】
また作動点検部68は、点検ガスが注入される点検モードの設定中に、メタン検出タイミングで得られたガス検出素子からの検出信号の変化量が閾値設定部66で設定した閾値変化量を超えた場合に、ガス漏れを警報することになる。
【0098】
なお、上記の実施形態は、点検ガスとして市販のガスライターの炎から採取されるCOガスと水素ガスを含む点検ガスを使用してメタン検出タイミングでのガス漏れを作動点検する場合を例にとっているが、それ以外のCOガスを含む容易に入手できるガスであれば適宜の点検ガスを使用することができる。
【0099】
また上記の実施形態は火災検出部を備えた警報器を例に取るものであったが、ガス漏れ専用の警報器であってもよいことはもちろんである。
【0100】
更に上記の実施形態は商用AC100Vを電源とする警報器を例に取るものであったが、電池電源を使用した警報器であってもよい。
【0101】
また本発明はその目的と利点を損なわない適宜の変形を含み、更に上記の実施形態に示した数値による限定は受けない。
【図面の簡単な説明】
【0102】
【図1】本発明による警報器の実施形態を示した説明図
【図2】図1の警報器の機能構成と回路構成を示した回路ブロック図
【図3】本実施形態におけるメタン検知とCO検知のヒータコントロールと検知タイミングを示した説明図
【図4】本実施形態における電源投入時のモード遷移を示したタイムチャート
【図5】本実施形態のガスライター点検モードでのヒータ制御と検出信号を示したタイムチャート
【図6】COガス濃度に対するCO検知タイミング抵抗とメタン検知タイミング抵抗の関係を示したグラフ図
【図7】メタン点検・CO点検モードでガスライター炎から採取した点検ガスを注入した場合のメタン検知タイミング抵抗の変化をCO検知タイミング抵抗の変化と共に示したタイムチャート
【図8】ガスライター点検モードでメタン警報閾値を変更する本実施形態の作動点検処理を示したフローチャート
【図9】図8に続く作動点検処理を示したフローチャート
【図10】本発明の他の実施形態におけるガスライター点検モードでのヒータ制御と検出信号を示したタイムチャート
【図11】ガスライター点検モードで検出信号の変化量からメタン検出警報を出力する実施形態の作動点検処理を示したフローチャート
【図12】図11に続く作動点検処理を示したフローチャート
【符号の説明】
【0103】
10:警報器
12:筐体
14:火災検出部
16:ガス検出部
18:スピーカ
20:火災警報灯
22:電源灯
24:CO警報灯
26:メタン警報灯
28:検出回路部
30:CPU
32:不揮発メモリ
34:表示部
36:音声出力部
38:ガスセンサ
40:ガス検出素子
42:ヒータ
44,50:トランジスタ
46,48:抵抗
52,54:検出抵抗
56:ガス信号処理部
58:ヒータコントロール部
60:演算部
62:タイマ
64:点検処理部
66:閾値設定部
68:作動点検部
70:起動モード
72:メタン点検・CO点検モード
74:CO点検モード
76:通常監視モード
78:メタン検知ポイント
80:CO検知ポイント
82,92−1〜92−3:CO検知タイミング抵抗
84,90−1〜90−3:メタン検知タイミング抵抗
86:大気中メタン検知タイミング抵抗
88:ガス注入開始
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体式ガス検出素子を複数の温度に切り替え加熱し、各温度に加熱された際のガス検出素子の異なる種類のガス検出出力に基づいてガス漏れの有無を判定等するガス漏れ警報器に関し、特に、電源投入から通常監視状態に移行する間に点検ガスを注入してガス検出素子が正常に動作することを点検するガス警報器に関する。
【背景技術】
【0002】
一般住宅等において、ガス漏れを検出して警報を発するガス警報器が広く利用されている。一般的に、このガス警報器は、ガス検出素子を備えており、ガス検出素子の出力変化に基づいて、ガス漏れの有無を判定するように構成されている。
【0003】
また近年では、機器のコスト低減等のため、複数種類のガス、例えばメタンガスとCOガスのガス漏れを、1つのガス検出素子で検出できるようにしたガス警報器も提案されている。
【0004】
このようなガス警報器においては、ガス検出素子を、検知対象ガスであるメタンガスとCOガスの検出に適した2種類の温度に切り替え加熱し、各温度に加熱されたガス検出素子の出力変化に基づいて、ガス漏れの有無を判定している。
【0005】
ところで、ガス警報器を住戸に設置してガス漏れ監視を開始する際には、ガス警報器に例えば商用交流電源を供給して起動した後に、所定の点検時間を設定し、点検時間の間に実ガス(点検ガス)をガス警報器のガス検出素子に吹きかけ、実際にガス漏れ警報が出ることを確認する作動点検作業を行っている。
【0006】
ガス警報器の実ガスによる作動点検方法としては、ガスコンロの炎にスポイド状のガス点検具の吸い口を入れてガスを吸入し、ガス警報器のセンサ部に吹きかけるようにしている。詳細には、メタンガスの作動点検には、ガスコンロの炎の根元から吸入し、COガスの作動点検には、ガスコンロ炎の中央部からガスを吸入して別々に点検している。
【0007】
ところが、ガス警報器を設置する現場によっては、ガスの工事や開栓が終了しておらず、市販のガスライター等の携帯可能な器具により点検せざるを得ない場合もある。しかし、ガスライターの炎からはメタンガスは取り出せないため、CO側のガスの点検しかできないという問題がある。
【0008】
この問題を解消するため、メタンガスに対する作動点検を、利用しやすい水素ガスやCOガスを実ガスとして使用する点検方法が提案されている。この点検方法は、炭メタンガスを検知するために半導体式ガス検出素子を約400℃に過熱するヒータ制御を行い、400℃に安定したタイミングでガス検出素子の検出信号を読み込んで処理しているが、ヒータをOFFして400℃からCOガスを検知するための約80℃に達する途中の温度領域に例えば水素ガスに対し高感度を示す領域があることを利用し、水素ガスに高感度を示すタイミングでガス検出素子からの検出信号を炭化水素ガスによる検出信号と見做して読込み、所定の閾値を超えたらガス漏れ警報を出し、炭化水素ガスに対し正常動作したと判定している。
【特許文献1】特開2004−038660号公報
【特許文献2】特開2002−269657号公報
【特許文献3】特開2004−192339号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、このような従来の水素ガスを実ガスに使用して作動を確認するガス警報器の点検方法にあっては、半導体式ガス検出素子の温度を400℃に安定させるヒータ通電時間のタイミングとは異なる別のタイミングで点検用の水素ガスを検知しており、ヒータ通電時間に対し複数の検出タイミングを設定して切替えなければならないため、検出タイミングの制御処理を実行するソフトウェアが複雑化する問題がある。
【0010】
またヒータ通電によるメタンガスの検出タイミングではなく、水素ガスに対し高感度となる別のタイミングで検出しているため、炭化水素ガスの検出タイミングでの動作を正確にシミュレーションしているとはいえず、本来的な作動点検になっておらず、炭化水素ガスの作動点検として信頼性が充分とはいえない。
【0011】
更に、ライターの炎から得られる水素ガス濃度は採取ポイントにより大きく変化し、水素ガスの検出タイミングでは閾値を達さない場合があり、繰返し点検作業を行わねばならない。
【0012】
本発明は、検出タイミングを変えることなく検知対象ガス以外の実ガスを使用した作動点検を可能として信頼性を向上するガス警報器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明はガス警報器を提供する。本発明は、
単一の半導体式ガス検出素子に、第1検知対象ガスを検知するための第1検知条件と、第2検知対象ガスを検知するための第2検知条件とを所定の時間間隔で交互に設定し、第1検知条件又は第2検知条件の設定状態で得られたガス検出素子からの検出信号をそれぞれの所定の閾値と比較することによりガス漏れを判定して警報するガス警報器に於いて、
点検モードの設定時に、第1検知対象ガスのガス漏れを判定する閾値を、第1検知対象ガスを含まずに第2検知対象ガスを含む点検ガスのガス漏れを判定する所定の点検閾値に変更する閾値処理更部と、
点検ガスが注入される点検モードの設定中に、第1検知条件の設定によるガス検出素子からの検出信号が点検閾値を超えた際に、第1検知対象ガスのガス漏れを警報する作動点検部と、
を備えたことを特徴とする。
【0014】
本発明の別の形態にあっては、単一のガス検出素子に、第1検知対象ガスを検知するための第1検知条件と、第2検知対象ガスを検知するための第2検知条件とを所定の時間間隔で交互に設定し、第1検知条件又は第2検知条件の設定状態で得られた前記ガス検出素子からの検出信号をそれぞれの所定の閾値と比較することによりガス漏れを判定して警報するガス警報器に於いて、
点検モードの設定時に、第1検知対象ガスを含まずに第2検知対象ガスを主成分とする点検ガスに対し第1検知条件を設定した際のガス検出素子からの検出信号の変化量からガス漏れを判定する閾値変化量を設定する閾値処理部と、
点検ガスが注入される点検モードの設定中に、第1検知条件の設定によるガス検出素子からの検出信号の変化量が閾値変化量を超えた場合に、第1検知対象ガスのガス漏れを警報する作動点検部と、
を備えたことを特徴とする。
【0015】
ここで、第1検知対象ガスはメタンガスであり、第2検知対象ガスはCOガスであり、更に、点検ガスはメタンガスを含まずにCOガスと水素ガスが混合したガスライター炎から採取された燃焼ガスである。
【0016】
本発明はガス警報器の点検方法を提供する。本発明は、
単一のガス検出素子に、第1検知対象ガスを検知するための第1ヒータ制御値と第1検出タイミングを含む第1検知条件と、第2検知対象ガスを検知するための第2ヒータ制御値と第2検出タイミングを含む第2検知条件とを所定の時間間隔で交互に設定し、第1検知条件又は第2検知条件の設定状態で得られたガス検出素子からの検出信号をそれぞれの所定の閾値と比較することによりガス漏れを判定して警報するガス警報器の点検方法に於いて、
点検モードの設定時に、第1検知対象ガスのガス漏れを判定する閾値を、第1検知対象ガスを含まずに第2検知対象ガスを含む点検ガスのガス漏れを判定する所定の点検閾値に変更する閾値処理ステップと、
点検ガスが注入される点検モードの設定中に、第1検知条件の設定による前記ガス検出素子からの検出信号が点検閾値を超えた際に、第1検知対象ガスのガス漏れを警報する作動点検ステップと、
を備えたことを特徴とする。
【0017】
本発明の別の形態にあっては、単一の半導体式ガス検出素子に、第1検知対象ガスを検知するための第1ヒータ制御値と第1検出タイミングを含む第1検知条件と、第2検知対象ガスを検知するための第2ヒータ制御値と第2検出タイミングを含む第2検知条件とを所定の時間間隔で交互に設定し、第1検知条件又は第2検知条件の設定状態で得られたガス検出素子からの検出信号をそれぞれの所定の閾値と比較することによりガス漏れを判定して警報するガス警報器の点検方法に於いて、
点検モードの設定時に、第1検知ガスを含まずに第2検知対象ガスを含む点検ガスに対し、第1検知条件を設定した際のガス検出素子からの検出信号の変化量からガス漏れを判定する閾値変化量を設定する閾値処理ステップと、
点検ガスが注入される点検モードの設定中に、第1検知条件の設定によるガス検出素子からの検出信号の変化量が閾値変化量を超えた場合に、第1検知対象ガスのガス漏れを警報する作動点検ステップと、
を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、第1検知対象ガス、例えばメタンガスに対するガス検出素子の点検作動を確認する際に、炭化水素ガス含まずにCOガスと水素ガスを含むガスライターの炎から採取した点検ガスを使用しても、点検対象とするメタンガスの検出タイミングを変更せずに、ガス漏れを判定する閾値を点検用の閾値に変更するだけであるため、ソフトウェアの変更を必要とせず、簡単に対応できる。
【0019】
また点検対象となる例えばメタンガスの検出タイミングでガス漏れを判定して警報させる点検動作を行っており、検出タイミングを変えることなく作動点検できるため、実際の炭化水素ガスの検出警報動作を正確にシミュレーションして点検の信頼性を向上できる。
【0020】
また、炭化水素ガスとCOガスの複合型のガス警報器において、ガスライター炎から採取したCOを含む点検ガスで、炭化水素ガスの検出警報動作とCOガスの検出警報動作を同時に試験することができ、複合型のガス警報器における点検の信頼性を向上できる。
【0021】
更に、ガスライター炎から採取した点検ガスはCOガスと水素ガスの混合ガスであり、その濃度比率は採取毎に異なるが、炭化水素ガスの検出タイミングにあっては、COガスと水素ガスの合計のガス濃度に反応することから、混合比率に影響されることなく、燃焼ガスを実ガスとした炭化水素ガスの検出警報動作の点検を安定して行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
図1は本発明による警報器の実施形態を示した説明図である。図1において、警報器10は、第1検知対象ガスをメタンガスとし、及び第2検知対象ガスをCOガスとする複合型のガス漏れ警報を行う。
【0023】
警報器10は、ほぼ箱型の筐体12に火災検出部14、ガス検出部16、スピーカ18、火災警報灯20、電源灯22、CO警報灯24及びメタン警報灯26を設けている。
【0024】
火災検出部14は、サーミスタを用いて火災による温度を検出する火災検出部、或いは散乱光煙検出部により火災を検出する火災検出部である。ガス検出部16は、内蔵したガス検出素子によりCOガスまたはメタンガスを検出する。
【0025】
スピーカ18は、火災検出時またはガス漏れ検出時に音声メッセージにより警報を出力する。火災警報灯20は、火災検出部14による火災検出時に点滅または点灯する。
【0026】
電源灯22は、警報器10に対する商用AC100Vの投入時に点灯する。CO警報灯24は、ガス検出部16によるCOガスのガス漏れ検出時に点滅または点灯する。更にメタン警報灯26は、ガス検出部16によるメタンガスのガス漏れ検出時に点滅または点灯する。
【0027】
図2は図1の警報器10の機能構成と回路構成を示した回路ブロック図である。図2において、本実施形態の警報器は検出回路部28をCPU30に接続しており、CPU30に対しては、更に、不揮発メモリ32、表示部34、スピーカ18を備えた音声出力部36が接続されている。なお図2にあっては、火災検出機能についての構成要素は省略している。
【0028】
検出回路部28にはガスセンサ38が設けられ、ガスセンサ38にはガス検出素子40とヒータ42が設けられている。ヒータ42に対しては、トランジスタ44、抵抗46,48からなるヒータ駆動回路が設けられ、CPU30からのヒータ制御信号E2によるトランジスタ40のオン、オフにより、ヒータ42の通電と通電停止を切り替えるようにしている。
【0029】
またガスセンサ38に設けたガス検出素子40に対しては、トランジスタ50、検出抵抗52、54を備えた検出回路が設けられ、CPU30からの検出抵抗切替信号E3によるトランジスタ50のオン、オフにより、検出抵抗54に対する検出抵抗%2の並列接続の有無を切り替えるようにしている。
【0030】
ガス検出素子40はメタンガスまたはCOガスを検出する。メタンガスを検出する際には、CPU30のヒータ制御信号E2によりトランジスタ44を一定のデューティー(ON:OFF 146μs:4ms)でオンオフし、ガスセンサ38のヒータ42の温度を制御し、ガス検出素子40をメタンガス検出温度HT1例えばHT1=400℃に加熱する。
【0031】
一方、COガスを検出する際には、ヒータ制御信号E2によりトランジスタ44をオフすることでガスセンサ38のヒータ42の温度を制御し、メタンガス検出温度HT1=400℃の加熱後のガス検出素子40の温度をCOガス検出温度HT2例えばHT2=80℃としてCOガスを検出する。
【0032】
トランジスタ44によるガスセンサ38のヒータ42の温度制御切替えに同期して、ガス検出素子40に対し検出抵抗52,54をトランジスタ50により切り替える。ここで検出抵抗52の抵抗値をR1、検出抵抗54の抵抗値をR2、更にガス検出素子40の抵抗値をRxとする。
【0033】
まずメタンガスの検出時には、トランジスタ50がCPU30からの検出抵抗切替信号E3によりオンし、ガス検出素子40に対し検出抵抗52,54が並列接続される。したがって、検出回路部28に対する電源電圧Vccを例えばVcc=5ボルトとすると、CPU30に対するガス検出素子40からの検出電圧E1は、検出抵抗52,54の並列抵抗(R1//R2)とガス検出素子40の抵抗値Rxの分圧電圧で決まる。即ち、
【0034】
【数1】
となる。
【0035】
一方、COガスの検出時には、CPU30からの検出抵抗切替信号E3によりトランジスタ50がオフとなり、検出抵抗54のみがガス検出素子40に接続され、両者の分圧電圧がガス検出信号E1としてCPU30に出力される。即ち、トランジスタ50をオフしたCOガス検出時のガス検出電圧E1は
【0036】
【数2】
となる。
【0037】
本実施形態にあっては、メタンガスについては3000ppm程度で警報を発するように閾値が設定されており、そのときのヒータ42によりHT1=400℃に加熱されているガス検出素子40の抵抗値RxはRx=0.5kΩ程度である。
【0038】
一方、メタンガスが存在しない正常空気中でのメタンガス検出温度HT1=400℃におけるガス検出素子40の抵抗値RxはRx=6kΩ程度である。即ち、ガス検出素子40において、定常時の6kΩ程度の抵抗値が0.5kΩ程度に変化した際に、メタンガスのガス漏れを検出した警報状態となる。
【0039】
一方、COガスについては、150ppm程度でガス漏れ警報を発するように閾値が設定されている。COガスを検出するCOガス検出温度HT2=80℃におけるガス検出素子40の抵抗値Rxは10kΩ程度である。これに対し、COガスが存在しない正常空気中においては、HT1=80℃におけるガス検出素子40の抵抗値Rx=1MΩ程度である。即ち、COガス検出温度T2=80℃におけるガス検出素子40の定常時の1MΩの抵抗値が10kΩに変化した際に、COガスのガス漏れ警報を行うことになる。
【0040】
具体的には、電源電圧Vcc=5ボルト、メタンガス3000ppmの抵抗値Rx=0.5kΩ、正常空気中の抵抗値Rx=6kΩとすると、ガス検出素子40から出力されるメタンガスの検出電圧E1は、前記(1)式から概ね
E1=1.12V
となる。
【0041】
またCOガスのガス濃度150ppmにおけるガス検出素子40からの検出信号E1は同じく、電源電圧Vcc=5V、CO150ppmでのガス検出素子40の抵抗Rx=10kΩ、定常時の抵抗Rx=1MΩとすると、前記(2)式から
E1=2.5V
となる。
【0042】
更にCPU30にあっては、検出回路部28に対するヒータ温度制御信号E2を図3のタイムチャートに示すタイミングで制御している。図3のヒータ制御信号E2は、周期T0の前段のT1時間に亘りトランジスタ44をON−OFF制御して、メタンガス検出温度HT2=400℃にガス検出素子40を加熱し、T1時間の最後のメタン検知ポイント78のタイミングで、ガス検出素子40からの検出電圧E1をCPU30のAD変換器でメタンガス検出信号として取り込んでいる。
【0043】
続いてT2時間に亘り、ヒータ制御信号E2によるトランジスタ44をON−OFF制御して、COガス検出温度HT1=80℃にガス検出素子40を冷却しており、T2時間の最後のCO検知ポイント80のタイミングで、ガス検出素子40の検出電圧E1をCPU30のAD変換器でCOガス検出信号として取り込んでいる。
【0044】
ここで、メタンガス検出時にHT1=400℃に過熱するためにヒータを制御するT1時間は例えばT1=5秒、COガス検出時にHT2=80℃とするためにヒータを制御する時間T2はT2=15秒であり、したがってメタンガス検出とCO検出を行う1回の周期T0はT0=20秒としている。
【0045】
再び図2を参照するに、CPU32は、プログラムの実行により実現される機能として、ガス信号処理部56、ヒータコントロール部58、演算部60、タイマ62、点検処理部64が設けられ、更に点検処理部64には閾値設定部66と作動点検部68が設けられている。
【0046】
ガス信号処理部56は、検出回路部28に設けたガス検出素子40からの検出信号E1を、図3に示したメタン検知ポイント78及びCO検知ポイント80の各タイミングでAD変換器により取り込み、それぞれの検出電圧をそれぞれの閾値と比較することにより、ガス漏れの有無を判定する。
【0047】
ヒータコントロール部58は、検出回路部28に設けたトランジスタ44に図3に示すヒータ制御信号E2を出力し、トランジスタ44のオンオフによりヒータ42をメタンガス検出温度HT1=400℃に加熱した後、トランジスタ44をオンオフしてヒータ42をCO検出温度HT2=80℃に切り替える。
【0048】
同時にヒータコントロール部58は、検出抵抗切替信号E3についてもヒータ制御信号E2に同期し、トランジスタ44のオンと同時にトランジスタ50をオンし、続いてトランジスタ44のオフと同時にトランジスタ50をオフして、検出抵抗52,54のガス検出素子40に対する接続を切り替える。更に演算部60は、ガス検出などの各種処理の演算処理を実行する。
【0049】
点検処理部64は、警報器10に対する商用AC100Vの供給による電源投入時から所定時間例えば25分間動作し、メタンガス及びCOガスに対するガス漏れ検出の点検作動を、ガスライターから採取した点検ガスを用いて行うことを可能とする。
【0050】
点検処理部64に設けた閾値設定部66は、点検モードの設定時に、メタンガス(第1検知対象ガス)のガス漏れを判定する閾値を所定の点検閾値に変更する。即ち、点検時に実ガスとして使用する例えば市販のガスライターの炎から採取したメタンガスを含まずにCOガスを主成分として、水素ガスを含む点検ガスに対するメタンガスの検出タイミングでの検出電圧からガス漏れを判定する所定の点検閾値に変更する。
【0051】
作動点検部68は、ガスライターの炎から採取した点検ガスが注入される点検モードの設定中に、メタンガスを検出するためのヒータ42の通電によるメタンガス温度HT1=400℃の設定状態でガス検出素子40から得られる検出電圧E1が閾値設定部66で変更された点検閾値を超えた際に、COガスと水素ガスの混合ガスからなる市販ガスライターの炎から得られた点検ガスであっても、メタンガスのガス漏れと判断してガス漏れ警報を出力させる。この点検処理部64の処理機能については後の説明で更に明らかにする。
【0052】
CPU30に設けた不揮発メモリ32には、ガス検出などの各種処理に必要なプログラムやパラメータなどを記憶している。表示部43には、図1の火災警報灯20、電源灯22、CO警報灯24、メタン警報灯26が設けられ、これらの表示灯を点滅または点灯させる。音声出力部36はスピーカ18を接続し、スピーカ18から火災警報やガス漏れ警報などの警報を音声メッセージなどにより出力させる。
【0053】
図4は本実施形態における電源投入時のモード遷移を示したタイムチャートである。図4(A)は電源であり、任意のタイミングで商用AC100Vの電源をオンからオフとしたタイミングを0分として時間の経過を示している。
【0054】
図4(B)はモード制御であり、電源オンからT1=1分の間、起動モード70となり、起動モード70においては、ガス検出素子の安定化と図2のCPU30における初期化診断処理を実行し、正常に起動した場合に1分〜4分までのT2=3分となるメタン点検・CO点検モード72に移行する。
【0055】
ガスライター点検モード72にあっては、図2のCPU30に示した閾値設定部66が通常時のメタンガス検出のための閾値を、点検時に実ガスとして使用する例えば市販のガスライターの炎から抽出したCOガスと水素ガスを含む点検ガスに対するメタンガス検知ポイントでの検出電圧からガス漏れを判定するための点検閾値に変更するモードである。
【0056】
また、このガスライター点検モード72にあっては、COガスについては通常時の閾値がそのまま使用されており、通常時におけるCOガス検出処理における蓄積時間を解除して0時間としている。
【0057】
即ち本実施形態あっては、COガスのガス漏れ検出につき、例えばCOガス濃度の閾値として低濃度警報レベルと高濃度警報レベルの2つの閾値を設定しており、低濃度警報レベルであれば13分、高濃度警報レベルであれば3分の蓄積を行った後にCOガス漏れ警報を出すようにしている。
【0058】
このCOガスの蓄積検出機能について、ガスライター点検モード72にあっては、COガスの蓄積時間を0時間としており、したがって点検モードにあっては、COガスが低濃度警報レベルまたは高濃度警報レベルのいずれかの閾値を超えた際には、直ちにCOガス漏れ警報を出し、蓄積時間による警報遅れによる手間を解消するようにしている。
【0059】
電源オンから4分を経過するとT3=21分に亘る通常点検モード74に切り替えられる。通常点検モード74にあっては、図2の閾値設定部66によるメタンガスに対する点検閾値への変更は解除されて通常の閾値となり、この状態で、従来から行われているガスコンロから抽出したメタン、COガスの作動試験を行うようにしており、ガスライター点検モード72と同様、CO点検モード74においても、COガス漏れについての蓄積時間はリセットされて0時間となっている。電源オンから25分を経過すると、通常監視モード76に移行する。
【0060】
図5は本実施形態のガスライター点検モードでのヒータ制御とガス検出素子からの検出信号を示したタイムチャートであり、ガスライター点検モード72に入ると同時に、ガスライターの炎から採取したCOガスと水素ガスを含む点検ガスを注入している。
【0061】
図5(A)はヒータ制御信号、図5(B)はガス検出素子の検出信号、更に図5(C)はモードを示している。
【0062】
なお、図5(B)の検出信号は、図2の検出回路部28からの検出信号E1をCPU30のAD変換器で読み込む前に、反転することにより
(Vcc−E1)
に変換した後に取り込んでいる。このため、検出信号はガス濃度の増加に比例して増加する信号となる。このため図2の検出信号E1はガス濃度の増加に対し減少する信号であるが、図5(B)の検出信号は、反転処理によりガス濃度に応じて増加する信号となる。
【0063】
図5(A)のヒータ制御信号のオンオフにおける図3に示したメタン検知ポイント78とCO検知ポイント80のタイミングで、図5(B)の検出信号がCPU30に読み込まれており、メタンガスについてはA1,A2,A3,A4,A5のタイミングで読み込まれ、COガスについてはB1,B2,B3,B4のタイミングで読み込まれている。
【0064】
ここで、図5(C)の起動モード70からガスライター点検モード72に入ると同時にガスライターの炎から抽出したCOガスと水素ガスを含む点検ガスを図1のガス検出部16に注入しているため、起動モード70における正常空気中での検出ポイントA1,B2の各メタンガス検出信号、COガス検出信号は、ガスライター点検モード72に入ると、点検ガスの注入に応じた値に増加する。
【0065】
即ち、COガスと水素ガスを含む点検ガスの注入により、メタンガス検知タイミングについては検出ポイントA2,A3,A4,A5に示すように、順次、検出信号が正常空気中となる起動モード70の場合に比べ増加している。一方、COガスについては点検ガスに主成分としてCOガスが含まれていることから、検出ポイントB2,B3,B4に示すように、検出信号は大きく増加している。
【0066】
本実施形態にあっては、メタン点検・CO点検モード72に入ると同時に、起動モード70で設定した通常時のメタンガスに対する閾値TH1を点検閾値TH2に変更している。このため、COガスと水素ガスを含む点検ガスを使用したメタンガスの検出タイミングA3,A4,A5の検出信号については、変更後の点検閾値TH2を上回っており、本来のメタンガスと同じ検出タイミングでCOガスと水素ガスを含む点検ガスを使用した場合でも、メタンガスのガス漏れ警報を出力し、メタンガスに対する作動点検を行うことができる。
【0067】
図6は点検ガスの主成分となるCOガス濃度に対するガス漏れ検出素子のCO検知タイミングの抵抗値とメタンガス検知タイミングの抵抗値の関係を示したグラフ図である。
【0068】
図6において、横軸はCO濃度であり、縦軸はガス検出素子のセンサ抵抗を示している。まずCO検知タイミングに於けるCOガス濃度に対するガス検出素子のCOガス検知タイミング抵抗82は、正常空気中となるCO濃度が0ppmにあっては例えば1MΩと大きく、COガス濃度が増加すると、指数関数的にセンサ抵抗値が低下し、例えばCOガスのガス漏れ警報を出す150ppmでセンサ抵抗は例えば7kΩに低下し、更にCOガス濃度が増加すると1kΩ以下に低下している。
【0069】
これに対し、メタン検出タイミングにおけるCOガス濃度に対するガス検出素子のメタン検知タイミング抵抗84は、大気中メタン検知タイミング抵抗86における約6kΩの状態から、COガス濃度の増加に対し約5kΩ付近に低下しており、大気中メタン検知タイミング抵抗86に対し約1kΩを超える抵抗値の変化(相対変化)が生じていることが分かる。
【0070】
図7はガスライター点検モードでガスライターの炎から採取した点検ガスを実際に注入した場合のメタン検知タイミング抵抗の変化を、CO検知タイミング抵抗の変化と共に示したタイムチャートである。
【0071】
図7において、ガス注入開始88以前にあっては、メタン検知タイミング抵抗90−1に示すように、大気中のCOガスや水素ガスがない状態であることから、センサ抵抗は約6kΩとなっている。また、このときメタン警報閾値は通常監視時のRTH1に設定されている。
【0072】
この状態で、ガス注入開始88に示すように、ガスライターから採取したCOガスと水素ガスを含む点検ガスを注入すると、それまでのメタン検知タイミング抵抗90−1の6kΩからメタン検知タイミング抵抗90−2に示すように2kΩ以下に低下した後、点検ガスの発散に伴い徐々に増加してメタン検知タイミング抵抗90−3のように遷移する。
【0073】
ここで点検ガスを注入するガスライター点検モードにあっては、通常時のメタン警報閾値RTH1を点検用に使用するメタン点検警報閾値RTH2に変更しており、したがってガス注入開始88以降のメタン検知タイミング抵抗90−2は、メタン点検警報閾値RTH2以下に低下することで、COガスと水素ガスからなる点検ガスの注入により、メタンガスの検知タイミングでメタンガスのガス漏れ警報を出して作動点検を行うことができる。
【0074】
一方、ガス注入開始88以前の大気中におけるCO検知タイミング抵抗92−1については1MΩとなっており、ガス注入開始88以降については点検ガスに含まれるCOガスにより抵抗値が急激に低下し、CO検知タイミング抵抗92−2に示すように0.5kΩ付近に低下する。
【0075】
このため、予め設定しているCO高濃度閾値RTH3を下回ることでCOガス漏れ警報が出され、点検ガスを使用してCOガスについても作動点検を同時に行うことができる。もちろん、点検時にはCOガスのガス漏れについての蓄積時間はゼロにリセットされているため、蓄積を行うことなく直ちにCOガス警報を出すことができる。
【0076】
なおCO検知タイミング抵抗92−2は、ガス注入で低下した後、COガスの拡散に伴い、元の1MΩのCO検知タイミング抵抗92−3に急激に回復している。
【0077】
ここで図6,図7にあっては、ガス検出素子の抵抗値で示しているが、実際には図2の検出回路部28に示したように、ガス検出素子40の抵抗値Rxに対するトランジスタ50による検出抵抗52,54の切替えで、前記(1)式、(2)式に従った検出電圧E1としてCPU30に取り込まれている。
【0078】
そして、更に必要があれば、図5(C)の検出信号に示したように、検出信号E1を反転して(Vcc−E1)とすることで、ガス濃度に応じて増加する検出信号に変換してAD変換器で取り込んでもよい。
【0079】
図8及び図9は、ガスライター点検モードでメタン警報閾値を点検閾値に変更する本実施形態の作動点検処理を示したフローチャートである。
【0080】
図8において、本実施形態の警報器10に対しAC100Vの電源を投入すると、ステップS1で初期化診断処理が実行され、ステップS2で正常起動が判別されると、ステップS3に進み、図4(B)に示すようにガスライター点検モード72が設定される。このガスライター点検モード72の設定にあっては、通常時のメタン閾値を点検閾値に変更し、且つCOの蓄積を解除する。
【0081】
続いてステップS4で、図3に示したメタン検知ポイント78に対応したメタン検出タイミングを判別すると、ステップS5でメタン検出信号を読み込む。このガスライター点検モード72にあっては、ガスライターの炎から採取した点検ガスをガス検出部16に注入していることから、ステップS5で読み込んだメタン検出信号はガス検出素子40における抵抗値の低下に伴い、例えば検出信号の反転処理により信号としては増加しており、ステップS6でメタン検出信号が点検閾値以上であることが判別されると、ステップS7でガスライターの炎から採取したCOガスと水素ガスを含む点検ガスであっても、ガス漏れ(メタン)警報を出力して、ガス漏れ(メタン)の作動点検を行うことができる。
【0082】
続いてステップS8で、図3に示したCO検知ポイント80におけるCO検出タイミングであることを判別すると、ステップS9に進み、CO検出信号を読み込み、ステップS10でCO検出信号が閾値以上であれば、ステップS11でCO警報を行う。このときCOについては蓄積時間はゼロとなっていることから、蓄積を行うことなく直ちにCO警報が出力される。
【0083】
このようなステップS4〜S11のガスライター点検モード72における作動処理を、ステップS12でガスライターガス点検モードの設定時間を経過するまで繰り返す。
【0084】
ステップS12で設定時間の経過を判別すると、図9のステップS13に進み、通常点検モード74を設定し、このモード設定ではメタン点検閾値を通常時の閾値に戻す。
【0085】
続いてステップS14でメタン検知タイミングを判別すると、ステップS15でメタン検出信号を読み込み、ステップS16でメタン検出信号が閾値以上、即ち通常の閾値を超えていれば、ステップS17でガス漏れ(メタン)警報を出すことになる。しかし、CO点検モードにあってはメタン検出信号が閾値を超えることがないため、ステップS17のメタンガス漏れ警報はスキップされる。
【0086】
続いてステップS18でCO検出タイミングを判別すると、ステップS19でCO検出信号を読み込み、ステップS20でCO検出信号が閾値以上であれば、ステップS21でCO警報を行う。
【0087】
このときCOの点検作動のため、ガスライターの炎から採取したCOガスと水素ガスを含む点検ガスを注入していると、ステップS19で読み込んだCO検出信号はステップS20で閾値以上となり、ステップS21でCO警報が行われてCOガスのガス漏れについての動作が確認できる。
【0088】
このようなステップS14〜S21の処理を、ステップS22でCO点検モードの設定時間が経過するまで繰り返す。ステップS22で設定時間の経過を判別すると、ステップS23に進み、通常監視モードを設定する。通常監視モードは、COガスの蓄積解除をリセットして元の蓄積動作に戻した後、ステップS24で通常監視処理に入る。
【0089】
図10は本発明の他の実施形態におけるガスライター点検モードでのヒータ制御信号、ガス検出素子の検出信号及びモードを示したタイムチャートである。
【0090】
図10の実施形態にあっては、ガスライター点検モード72におけるメタン検知ポイントA2,A3,A4,A5の検出信号のそれぞれについて、例えば検出信号0に対する変化量H1,H2,H3,H4を検出し、これらの変化量が予め定めた点検閾値を超えたときに、ガス漏れ(メタン)警報を出力するようにしている。
【0091】
また図10(B)にあっては、メタン点検・CO点検モード72におけるメタン検出ポイントA2,A3,A4,A5の検出信号の0レベルからの変化H1,H2,H3,H4を検出しているが、起動モード70におけるメタン検出ポイントA1を初期値とし、この初期値A1に対する変化量を検出して点検閾値と比較するようにしてもよい。
【0092】
図11,図12は、メタン点検・CO点検モードでの検出信号の変化量からメタン検出警報を出力する実施形態の作動点検処理を示したフローチャートである。図11,図12のフローチャートにおいて、ステップS3〜S7が固有の処理であり、それ以外の処理は図8及び図9のフローチャートと同じである。
【0093】
即ち、図11のステップS3にあっては、ガスライター点検モードが設定されると、ガスライターから採取したCOガスと水素ガスを含む点検ガスに対し、メタン検知タイミングを設定した際のガス検出素子からの検出信号の変化量に基づいてガス漏れ(メタン)を判定する閾値変化量を設定する。
【0094】
続いてステップS4でメタン検知タイミングを判別すると、ステップS5でメタン検出信号を読み込み、変化量を検出する。続いてステップS6でメタン検出信号の変化量が閾値変化量以上であれば、ステップS7に進み、点検ガスの注入による検出信号であっても、ガス漏れ(メタン)警報を出力し、メタン検出タイミングでの作動点検を行うことができる。
【0095】
このステップS3〜S7の機能は、図2のCPU30の点検処理部64に設けている閾値設定部66及び作動点検部68の機能を、メタン検知タイミングの検出信号の変化量の判別機能に変更することで実現できる。
【0096】
即ち、図11のステップS3〜S7の処理を実現するため、図2の閾値設定部66は、ガスライターの炎から採取したCOガスと水素ガスからなる点検ガスに対し、メタン検出タイミングを設定した際のガス検出素子からの検出信号の変化量からガス漏れ(メタン)を判定する閾値変化量を設定する。
【0097】
また作動点検部68は、点検ガスが注入される点検モードの設定中に、メタン検出タイミングで得られたガス検出素子からの検出信号の変化量が閾値設定部66で設定した閾値変化量を超えた場合に、ガス漏れを警報することになる。
【0098】
なお、上記の実施形態は、点検ガスとして市販のガスライターの炎から採取されるCOガスと水素ガスを含む点検ガスを使用してメタン検出タイミングでのガス漏れを作動点検する場合を例にとっているが、それ以外のCOガスを含む容易に入手できるガスであれば適宜の点検ガスを使用することができる。
【0099】
また上記の実施形態は火災検出部を備えた警報器を例に取るものであったが、ガス漏れ専用の警報器であってもよいことはもちろんである。
【0100】
更に上記の実施形態は商用AC100Vを電源とする警報器を例に取るものであったが、電池電源を使用した警報器であってもよい。
【0101】
また本発明はその目的と利点を損なわない適宜の変形を含み、更に上記の実施形態に示した数値による限定は受けない。
【図面の簡単な説明】
【0102】
【図1】本発明による警報器の実施形態を示した説明図
【図2】図1の警報器の機能構成と回路構成を示した回路ブロック図
【図3】本実施形態におけるメタン検知とCO検知のヒータコントロールと検知タイミングを示した説明図
【図4】本実施形態における電源投入時のモード遷移を示したタイムチャート
【図5】本実施形態のガスライター点検モードでのヒータ制御と検出信号を示したタイムチャート
【図6】COガス濃度に対するCO検知タイミング抵抗とメタン検知タイミング抵抗の関係を示したグラフ図
【図7】メタン点検・CO点検モードでガスライター炎から採取した点検ガスを注入した場合のメタン検知タイミング抵抗の変化をCO検知タイミング抵抗の変化と共に示したタイムチャート
【図8】ガスライター点検モードでメタン警報閾値を変更する本実施形態の作動点検処理を示したフローチャート
【図9】図8に続く作動点検処理を示したフローチャート
【図10】本発明の他の実施形態におけるガスライター点検モードでのヒータ制御と検出信号を示したタイムチャート
【図11】ガスライター点検モードで検出信号の変化量からメタン検出警報を出力する実施形態の作動点検処理を示したフローチャート
【図12】図11に続く作動点検処理を示したフローチャート
【符号の説明】
【0103】
10:警報器
12:筐体
14:火災検出部
16:ガス検出部
18:スピーカ
20:火災警報灯
22:電源灯
24:CO警報灯
26:メタン警報灯
28:検出回路部
30:CPU
32:不揮発メモリ
34:表示部
36:音声出力部
38:ガスセンサ
40:ガス検出素子
42:ヒータ
44,50:トランジスタ
46,48:抵抗
52,54:検出抵抗
56:ガス信号処理部
58:ヒータコントロール部
60:演算部
62:タイマ
64:点検処理部
66:閾値設定部
68:作動点検部
70:起動モード
72:メタン点検・CO点検モード
74:CO点検モード
76:通常監視モード
78:メタン検知ポイント
80:CO検知ポイント
82,92−1〜92−3:CO検知タイミング抵抗
84,90−1〜90−3:メタン検知タイミング抵抗
86:大気中メタン検知タイミング抵抗
88:ガス注入開始
【特許請求の範囲】
【請求項1】
単一の半導体式ガス検出素子に、第1検知対象ガスを検知するための第1検知条件と、第2検知対象ガスを検知するための第2検知条件とを所定の時間間隔で交互に設定し、前記第1検知条件又は第2検知条件の設定状態で得られた前記ガス検出素子からの検出信号をそれぞれの所定の閾値と比較することによりガス漏れを判定して警報するガス警報器に於いて、
点検モードの設定時に、前記第1検知対象ガスのガス漏れを判定する前記閾値を、前記第1点検対象ガスを含まずに第2検知対象ガスを含む点検ガスによりガス漏れと判定する所定の点検閾値に変更する閾値処理部と、
前記点検ガスが注入される前記点検モードの設定中に、前記第1検知条件の設定による前記ガス検出素子からの検出信号が前記点検閾値を超えた際に、前記第1検知対象ガスのガス漏れを警報する作動点検部と、
を備えたことを特徴とするガス警報器。
【請求項2】
単一の半導体式ガス検出素子に、第1検知対象ガスを検知するための第1検知条件と、第2検知対象ガスを検知するための第2検知条件とを所定の時間間隔で交互に設定し、前記第1検知条件又は第2検知条件の設定状態で得られた前記ガス検出素子からの検出信号をそれぞれの所定の閾値と比較することによりガス漏れを判定して警報するガス警報器に於いて、
点検モードの設定時に、前記第1点検対象ガスを含まずに前記第2検知対象ガスを含む点検ガスに対し前記第1検知条件を設定した際の前記ガス検出素子からの検出信号の変化量からガス漏れを判定する閾値変化量を設定する閾値処理部と、
前記点検ガスが注入される前記点検モードの設定中に、前記第1検知条件の設定による前記ガス検出素子からの検出信号の変化量が前記閾値変化量を超えた場合に、前記第1検知対象ガスのガス漏れを警報する作動点検部と、
を備えたことを特徴とするガス警報器。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のガス警報器に於いて、前記第1検知対象ガスはメタンガスであり、前記第2検知対象ガスはCOガスであり、更に、前記点検ガスはメタンガスを含まないCOガスと水素ガスが混合したガスライター炎から採取された燃焼生成ガスであることを特徴とするガス警報器。
【請求項4】
単一の半導体式ガス検出素子に、第1検知対象ガスを検知するための第1ヒータ制御値と第1検出タイミングを含む第1検知条件と、第2検知対象ガスを検知するための第2ヒータ制御値と第2検出タイミングを含む第2検知条件とを所定の時間間隔で交互に設定し、前記第1検知条件又は第2検知条件の設定状態で得られた前記ガス検出素子からの検出信号をそれぞれの所定の閾値と比較することによりガス漏れを判定して警報するガス警報器の点検方法に於いて、
点検モードの設定時に、前記第1検知対象ガスのガス漏れを判定する前記閾値を、前記第1検知対象ガスを含まずに前記第2検知対象ガスを含む点検ガスによりガス漏れと判定する所定の点検閾値に変更する閾値処理ステップと、
前記点検ガスが注入される前記点検モードの設定中に、前記第1検知条件の設定による前記ガス検出素子からの検出信号が前記点検閾値を超えた際に、前記第1検知対象ガスのガス漏れを警報する作動点検ステップと、
を備えたことを特徴とするガス警報器の点検方法。
【請求項5】
単一の半導体式ガス検出素子に、第1検知対象ガスを検知するための第1ヒータ制御値と第1検出タイミングを含む第1検知条件と、第2検知対象ガスを検知するための第2ヒータ制御値と第2検出タイミングを含む第2検知条件とを所定の時間間隔で交互に設定し、前記第1検知条件又は第2検知条件の設定状態で得られた前記ガス検出素子からの検出信号をそれぞれの所定の閾値と比較することによりガス漏れを判定して警報するガス警報器の点検方法に於いて、
点検モードの設定時に、前記第1検知対象ガスを含まずに前記第2検知対象ガスを含む点検ガスに対し前記第1検知条件を設定した際の前記ガス検出素子からの検出信号の変化量からガス漏れを判定する閾値変化量を設定する閾値処理ステップと、
前記点検ガスが注入される前記点検モードの設定中に、前記第1検知条件の設定による前記ガス検出素子からの検出信号の変化量が前記閾値変化量を超えた場合に、前記第1検知対象ガスのガス漏れを警報する作動点検ステップと、
を設けたことを特徴とするガス警報器の点検方法。
【請求項6】
請求項4又は5に記載のガス警報器の点検方法に於いて、前記第1検知対象ガスはメタンガスであり、前記第2検知対象ガスはCOガスであり、更に、前記点検ガスは炭化水素ガスを含まずにCOガスと水素ガスが混合したガスライター炎から採取された燃焼生成ガスであることを特徴とするガス警報器の点検方法。
【請求項1】
単一の半導体式ガス検出素子に、第1検知対象ガスを検知するための第1検知条件と、第2検知対象ガスを検知するための第2検知条件とを所定の時間間隔で交互に設定し、前記第1検知条件又は第2検知条件の設定状態で得られた前記ガス検出素子からの検出信号をそれぞれの所定の閾値と比較することによりガス漏れを判定して警報するガス警報器に於いて、
点検モードの設定時に、前記第1検知対象ガスのガス漏れを判定する前記閾値を、前記第1点検対象ガスを含まずに第2検知対象ガスを含む点検ガスによりガス漏れと判定する所定の点検閾値に変更する閾値処理部と、
前記点検ガスが注入される前記点検モードの設定中に、前記第1検知条件の設定による前記ガス検出素子からの検出信号が前記点検閾値を超えた際に、前記第1検知対象ガスのガス漏れを警報する作動点検部と、
を備えたことを特徴とするガス警報器。
【請求項2】
単一の半導体式ガス検出素子に、第1検知対象ガスを検知するための第1検知条件と、第2検知対象ガスを検知するための第2検知条件とを所定の時間間隔で交互に設定し、前記第1検知条件又は第2検知条件の設定状態で得られた前記ガス検出素子からの検出信号をそれぞれの所定の閾値と比較することによりガス漏れを判定して警報するガス警報器に於いて、
点検モードの設定時に、前記第1点検対象ガスを含まずに前記第2検知対象ガスを含む点検ガスに対し前記第1検知条件を設定した際の前記ガス検出素子からの検出信号の変化量からガス漏れを判定する閾値変化量を設定する閾値処理部と、
前記点検ガスが注入される前記点検モードの設定中に、前記第1検知条件の設定による前記ガス検出素子からの検出信号の変化量が前記閾値変化量を超えた場合に、前記第1検知対象ガスのガス漏れを警報する作動点検部と、
を備えたことを特徴とするガス警報器。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のガス警報器に於いて、前記第1検知対象ガスはメタンガスであり、前記第2検知対象ガスはCOガスであり、更に、前記点検ガスはメタンガスを含まないCOガスと水素ガスが混合したガスライター炎から採取された燃焼生成ガスであることを特徴とするガス警報器。
【請求項4】
単一の半導体式ガス検出素子に、第1検知対象ガスを検知するための第1ヒータ制御値と第1検出タイミングを含む第1検知条件と、第2検知対象ガスを検知するための第2ヒータ制御値と第2検出タイミングを含む第2検知条件とを所定の時間間隔で交互に設定し、前記第1検知条件又は第2検知条件の設定状態で得られた前記ガス検出素子からの検出信号をそれぞれの所定の閾値と比較することによりガス漏れを判定して警報するガス警報器の点検方法に於いて、
点検モードの設定時に、前記第1検知対象ガスのガス漏れを判定する前記閾値を、前記第1検知対象ガスを含まずに前記第2検知対象ガスを含む点検ガスによりガス漏れと判定する所定の点検閾値に変更する閾値処理ステップと、
前記点検ガスが注入される前記点検モードの設定中に、前記第1検知条件の設定による前記ガス検出素子からの検出信号が前記点検閾値を超えた際に、前記第1検知対象ガスのガス漏れを警報する作動点検ステップと、
を備えたことを特徴とするガス警報器の点検方法。
【請求項5】
単一の半導体式ガス検出素子に、第1検知対象ガスを検知するための第1ヒータ制御値と第1検出タイミングを含む第1検知条件と、第2検知対象ガスを検知するための第2ヒータ制御値と第2検出タイミングを含む第2検知条件とを所定の時間間隔で交互に設定し、前記第1検知条件又は第2検知条件の設定状態で得られた前記ガス検出素子からの検出信号をそれぞれの所定の閾値と比較することによりガス漏れを判定して警報するガス警報器の点検方法に於いて、
点検モードの設定時に、前記第1検知対象ガスを含まずに前記第2検知対象ガスを含む点検ガスに対し前記第1検知条件を設定した際の前記ガス検出素子からの検出信号の変化量からガス漏れを判定する閾値変化量を設定する閾値処理ステップと、
前記点検ガスが注入される前記点検モードの設定中に、前記第1検知条件の設定による前記ガス検出素子からの検出信号の変化量が前記閾値変化量を超えた場合に、前記第1検知対象ガスのガス漏れを警報する作動点検ステップと、
を設けたことを特徴とするガス警報器の点検方法。
【請求項6】
請求項4又は5に記載のガス警報器の点検方法に於いて、前記第1検知対象ガスはメタンガスであり、前記第2検知対象ガスはCOガスであり、更に、前記点検ガスは炭化水素ガスを含まずにCOガスと水素ガスが混合したガスライター炎から採取された燃焼生成ガスであることを特徴とするガス警報器の点検方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2009−53910(P2009−53910A)
【公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−219614(P2007−219614)
【出願日】平成19年8月27日(2007.8.27)
【出願人】(000003403)ホーチキ株式会社 (792)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年8月27日(2007.8.27)
【出願人】(000003403)ホーチキ株式会社 (792)
【Fターム(参考)】
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