ガラス板の位置合せ方法及びその装置並びにガラス板の曲げ成形方法
【課題】本発明は、ガラス板に歪みを発生させないガラス板の位置合せ方法及びその装置、並びに生産性を向上させることができるガラス板の曲げ成形方法を提供する。
【解決手段】本発明は、ガラス板18を位置合わせ用ローラ24A〜24Eによって搬送しながら、搬送中のガラス板18と接触する位置合わせ用ローラ24A〜24Eをその軸方向に変位させることにより、搬送中のガラス板18の姿勢を基準姿勢に合せる。
【解決手段】本発明は、ガラス板18を位置合わせ用ローラ24A〜24Eによって搬送しながら、搬送中のガラス板18と接触する位置合わせ用ローラ24A〜24Eをその軸方向に変位させることにより、搬送中のガラス板18の姿勢を基準姿勢に合せる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱炉で曲げ成形可能な温度まで加熱されたガラス板を、曲げ成形するために所定の基準位置に位置合わせするためのガラス板の位置合せ方法及びその装置並びにガラス板の曲げ成形方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車用の窓ガラスに用いられる湾曲ガラス板の曲げ成形方法は、まず、所定の形状に切り出されている平板状ガラス板を、加熱炉に配設されたローラコンベアで搬送しながら、加熱炉のヒータで曲げ成形可能な温度まで加熱する。次に、このガラス板を成形ステージで所望の曲率のガラス板に曲げ成形した後、このガラス板を風冷強化ステージに搬送し、ここの下吹口ヘッドと上吹口ヘッドとから噴射されるエアーによって風冷強化する。これによって、所望の湾曲形状のガラス板が製造される。
【0003】
ところで、このようなガラス板の曲げ成形装置では、加熱炉の出口に搬送されてきたガラス板がポジショナーと称される位置合せ部材によって、成形ステージで所定の形状に曲げ成形されるための基準姿勢にその姿勢が合わされる。このポジショナーは、ガラス板の縁部に当接される複数本の部材と、これらの部材を移動してガラス板を基準姿勢に合った姿勢に動かす駆動部とから構成される。ポジショナーは、ガラス板の型番(品種)毎に揃えられており、ジョブチェンジの際に、その型番に対応したポジショナーに交換される。
【0004】
一方、本願出願人は、特許文献1において、ガラス板を成形用ローラコンベアで搬送しながら、成形用ローラコンベアの成形用ローラを上下移動させることにより、複数本の成形用ローラからなる搬送面を所望の曲率に湾曲形成し、この湾曲面でガラス板を搬送することでガラス板を自重により曲げ成形する成形方法を提案している。
【0005】
この成形方法によれば、成形用ローラの上下移動量等を制御することにより、所望の曲率にガラス板を曲げ成形可能なので、成形ステージにおけるジョブチェンジを実質上無くすことができるという効果がある。
【特許文献1】特開2000−72460号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記の如く従来のガラス板の曲げ成形装置では、特許文献1に開示された成形ステージにより、実質的なジョブチェンジを無くすことが図られているが、その前段においては、ジョブチェンジが必要なポジショナーによる位置合わせを実施しているために、生産性を飛躍的に向上させることができないという問題があった。
【0007】
また、ポジショナーは、成形可能な温度まで加熱された軟らかい状態のガラス板に、部材を当接させるものなので、当接時の小さな衝撃でもガラス板に当接部材による歪みとローラによるガラス面の傷とが発生するという場合があった。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、ガラス板に歪みや傷を発生させないガラス板の位置合せ方法及びその装置、並びに生産性を向上させることができるガラス板の曲げ成形方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、前記目的を達成するために、ガラス板を複数本のローラからなるローラコンベアによって搬送しながら、搬送中のガラス板と接触する前記ローラをその軸方向に変位させることにより、搬送中のガラス板の姿勢を所定の基準姿勢に合せることを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、前記目的を達成するために、回転駆動されてガラス板を搬送するとともにその軸方向に変位可能に設けられた複数本のローラからなるローラコンベアを有し、該ローラコンベアのガラス板と接触する前記ローラをその軸方向に変位させて、搬送中のガラス板の姿勢を所定の基準姿勢に合せることを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、前記目的を達成するために、請求項1または2に記載の前記ローラコンベアは、ガラス板を曲げ成形可能な温度まで加熱する加熱炉内に配設されたローラコンベアであり、前記加熱炉の出口部においてガラス板を前記ローラの軸方向変位により前記基準姿勢に位置合わせした後、加熱炉の後段に設けられた成形手段によって所定の曲げ形状に曲げ成形することを特徴とする。
【0012】
請求項1、3に記載のガラス板の位置合せ方法及びその装置によれば、ガラス板を複数本のローラからなるローラコンベアによって搬送しながら、搬送中のガラス板と接触する前記ローラをその軸方向に変位させることにより、搬送中のガラス板の姿勢を基準姿勢に合せる。すなわち、本発明は、ローラを軸方向に変位させた時のローラとガラス板との間で発生する摩擦抵抗により、ガラス板をずらして、その姿勢を基準姿勢に合せる。これにより、ポジショナーが不要になるので、ガラス板に歪みや傷を生じさせることなくガラス板を位置合せできる。
【0013】
さらに、既存のローラコンベアを位置合わせに使用し、このローラコンベアのローラの軸方向変位のみを制御するだけで、様々な品種のガラス板の位置合わせに対応できるので、ジョブチェンジが実質上不要になり、位置合わせの効率が向上する。
【0014】
請求項2、4に記載の発明によれば、前記ローラコンベアによって搬送中のガラス板を撮像手段によって撮像し、撮像された搬送中のガラス板の画像に基づいてガラス板の姿勢を取得し、取得した姿勢と予め記憶されている前記基準姿勢とを比較手段によって比較することにより、基準姿勢に対する搬送中のガラス板の姿勢のずれ量を算出し、このずれ量に基づいて前記ローラの軸方向変位量を算出し、ローラ変位手段によって前記変位量にローラを変位させる。これにより、ガラス板の位置合わせを自動で行うことができる。
【0015】
請求項5に記載の発明によれば、前記ローラコンベアの前記ローラは、ガラス板搬送方向に直交する方向に移動自在に設けられることにより、軸方向に変位されることを特徴とする。ガラス板搬送方向に直交する方向にローラが配設されているので、この方向にローラを移動自在に設けることによって、ローラの軸方向変位が可能となる。
【0016】
請求項6に記載の発明によれば、前記ローラコンベアの前記ローラは、ローラコンベアのガラス板搬送面に沿って揺動自在に設けられることにより、軸方向に変位されることを特徴とする。ローラがガラス板搬送方向に直交する方向に対してα度揺動した時に、ローラ全長からcosα分減算した分だけローラが軸方向及びローラの片端が搬送方向に変位する。
【0017】
請求項7に記載のガラス板の曲げ成形方法によれば、請求項1または2に記載のローラコンベアは、ガラス板を曲げ成形可能な温度まで加熱する加熱炉内に配設されたローラコンベアであり、加熱炉の出口部においてガラス板をローラの軸方向変位により基準姿勢に位置合わせした後、加熱炉の後段に設けられた成形手段によって所定の曲げ形状に曲げ成形することを特徴とする。これにより、ポジショナーを使用した従来の形成方法と比較して、位置合わせのためのジョブチェンジが無くなるので、曲げ成形ガラス板の生産性が向上する。
【0018】
請求項8に記載の成形手段は、加熱炉によって加熱されたガラス板を、成形用ローラコンベアの複数の成形用ローラで形成される搬送面に沿って搬送しながら、成形用ローラをガラス板の搬送位置に応じて上下移動させることにより、ガラス板の自重によってガラス板を前記所定の曲げ形状に成形することを特徴とする。これにより、ガラス板の位置合わせ及びガラス板の曲げ成形に関してジョブチェンジが不要になるので、曲げ成形ガラス板の生産性が飛躍的に向上する。
【発明の効果】
【0019】
以上説明したように本発明よれば、ガラス板を複数本のローラからなるローラコンベアによって搬送しながら、搬送中のガラス板と接触する前記ローラをその軸方向に変位させることにより、搬送中のガラス板の姿勢を基準姿勢に合せるので、ガラス板に歪みや傷を生じさせることなくガラス板を位置合せできるとともに、既存のローラコンベアを位置合わせに使用するので、ジョブチェンジも実質上不要になり、位置合わせの効率が向上する。
【0020】
また、本発明によれば、前記ローラコンベアによって搬送中のガラス板を撮像手段によって撮像し、撮像された搬送中のガラス板の画像に基づいてガラス板の姿勢を取得し、取得した姿勢と予め記憶されている前記基準姿勢とを比較手段によって比較することにより、基準姿勢に対する搬送中のガラス板の姿勢のずれ量を算出し、このずれ量に基づいて前記ローラの軸方向変位量を算出し、ローラ変位手段によって前記変位量にローラを変位させるので、ガラス板の位置合わせを自動で行うことができる。
【0021】
更に、本発明によれば、前記ローラコンベアの前記ローラは、該ローラをガラス板搬送方向に直交する方向に移動自在に設けられることにより、軸方向及び片端が搬送方向に変位されることを特徴とする。ガラス板搬送方向に直交する方向にローラが配設されているので、この方向にローラを移動自在に設けることによって、ローラの軸方向変位が可能となる。
【0022】
また、本発明によれば、前記ローラコンベアの前記ローラは、ローラコンベアのガラス板搬送面に沿って揺動自在に設けられることにより、軸方向に変位されることを特徴とする。これにより、ローラがガラス板搬送方向に直交する方向に対してα度揺動した時に、ローラ全長からcosα分減算した分だけローラが軸方向に変位する。
【0023】
本発明のガラス板の曲げ成形方法によれば、ガラス板を曲げ成形可能な温度まで加熱する加熱炉内に配設されたローラコンベアとして、請求項1または2に記載のローラコンベアを採用し、加熱炉の出口部においてガラス板をローラの軸方向変位により基準姿勢に位置合わせした後、加熱炉の後段に設けられた成形手段によって所定の曲げ形状に曲げ成形するので、ポジショナーを使用した従来の形成方法と比較して、位置合わせのためのジョブチェンジが無くなり、曲げ成形ガラス板の生産性が向上する。
【0024】
また、成形手段は、加熱炉によって加熱されたガラス板を、成形用ローラコンベアの複数の成形用ローラで形成される搬送面に沿って搬送しながら、成形用ローラをガラス板の搬送位置に応じて上下移動させることにより、ガラス板の自重によってガラス板を前記所定の曲げ形状に成形するので、ガラス板の位置合わせ及びガラス板の曲げ成形に関してジョブチェンジが不要になり、曲げ成形ガラス板の生産性が飛躍的に向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下添付図面に従って本発明に係るガラス板の位置合せ方法及びその装置並びにガラス板の曲げ成形方法の好ましい実施の形態について詳説する。
【0026】
図1に示すガラス板の曲げ成形装置10は、主として加熱炉12、成形ステージ14、及び風冷強化装置16から構成される。
【0027】
まず、成形装置10によるガラス板18の曲げ成形工程について説明する。
【0028】
曲げ成形前のガラス板18は、加熱炉12の入口においてローラコンベア20の上流部に載置され、ローラコンベア20を構成する多数本のローラ22、22…の回転動作によって加熱炉12内に搬送される。そして、ガラス板18は、ローラコンベア20によって搬送されながら、加熱炉12の不図示のヒータによって加熱されていき、加熱炉12の出口において曲げ成形可能な温度まで加熱される。
【0029】
加熱されたガラス板18は、ローラコンベア20の下流部を構成する、図2の5本の位置合わせ用ローラ24A、24B、24C、24D、24Eによる位置合わせ動作によって、図1の成形ステージ14で所定の形状に曲げ成形されるための基準姿勢にその姿勢が合わされる。この後、ガラス板18は、ローラコンベア20から曲げ成形用ローラコンベア26に受け渡されて成形ステージ14に搬送される。なお、便宜的に位置合わせ用ローラ24A〜24Eは5本として説明するが、本発明の位置合わせ用ローラは1本以上あれば成り立つ。
【0030】
成形ステージ14においてガラス板18は、曲げ成形用ローラコンベア26による搬送中に、曲げ成形用ローラコンベア26を構成する多数本の曲げ成形用ローラ28、28…の上下移動動作によって所定の曲率に曲げ成形される。
【0031】
曲げ成形されたガラス板18は、成形ステージ14の出口から、風冷強化装置16用のローラコンベア30に受け渡されて風冷強化装置16に搬送され、ここで風冷強化される。風冷強化装置16は、ローラコンベア30を挟んで配置された上吹口ヘッド32と下吹口ヘッド34とを備えており、ガラス板18はそれらの吹口ヘッド32、34からガラス板18に向けて吹き出されるエアによって風冷強化される。風冷強化されたガラス板18は、風冷強化装置16の出口からローラコンベア36によって、次工程の図示しない検査装置に向けて搬送される。以上が曲げ成形装置10による1枚のガラス板18の成形工程である。
【0032】
実施の形態のガラス板の位置合せ装置は、前述の如く図2の5本の位置合わせ用ローラ24A〜24Eが軸方向に移動(変位)する動作、及び各々の回転速度をCPU66によって制御することによりガラス板18の姿勢を基準姿勢に合わすものである。
【0033】
位置合わせ用ローラ24A〜24Eは、ガラス板18の搬送方向に対して直交する方向に配設される。また、位置合わせ用ローラ24A〜24Eは、図3に示すように各々の右端部に雄のスプライン軸40が形成され、このスプライン軸40は筒状に形成された雌のスプライン軸42に嵌合されている。これにより、位置合わせ用ローラ24A〜24Eは、雌のスプライン軸42に対して、矢印ABで示す軸方向に移動可能に連結される。
【0034】
雌のスプライン軸42は、加熱炉12の側壁13に形成された開口部13Aに軸受44を介して回転自在に支持されるとともに、側壁13の側方に位置した端部44Aにはスプロケット45が固定されている。スプロケット45は、無端状チェン46を介してローラ回転用モータ47側のスプロケット48に連結され、モータ47の動力がチェン46を介して伝達されて回転される。これにより、雌のスプライン軸42が回転され、その動力が雄のスプライン軸40に伝達されることにより、位置合わせ用ローラ24A〜24Eがガラス板搬送方向に回転される。また、ローラ回転用モータ47は、位置合わせ用ローラ24A〜24Eの各スプロケット45、45…が側壁13の側方に配置されているので、共用され1台のみ配置されている。なお、位置合わせ用ローラ24A〜24Eの各々のサーボモータ47、47…は、図2に示すCPU66によって制御されている。
【0035】
図3に示す位置合わせ用ローラ24A〜24Eの各々の左端部は、軸受49を介してスライダ50に連結されている。スライダ50は、ガイド52に前記軸方向に移動自在に支持されるとともに、サーボモータ(ローラ変位手段に相当)54の減速機56に連結された送りねじ58に螺合されている。したがって、サーボモータ54によって送りねじ58が回転されると、スライダ50が前記軸方向に移動されるので、軸受49を介して連結された位置合わせ用ローラ24A〜24Eが矢印ABで示す軸方向に移動される。このサーボモータ54も図2のCPU66によって制御されているので、位置合わせ用ローラ24A〜24Eの各々の軸方向移動量が制御されている。
【0036】
ところで、ガラス板18は、これらの位置合わせ用ローラ24A〜24Eを通過する際に、位置合わせ用ローラ24A〜24Eの前記軸方向移動により、その姿勢が基準姿勢に位置合わせされる訳であるが、そのメカニズムを図4を参照して説明する。
【0037】
図4では、ガラス板18の姿勢変更を分かり易く説明するためにガラス板18を矩形状で示している。
【0038】
また、図3に示したモータ47及びサーボモータ54を制御し、ガラス板18の姿勢を基準姿勢であるガラス板18´の姿勢に自動位置合わせするためのパラメータは、θ(変更角度:ずれ角度)、S(搬送速度)、H(ガラス板幅)、h(先行動作距離)、i(尻抜完了距離)、dn(位置合わせ用ローラ24Aから位置合わせ用ローラ24B、24C、24Eまでの距離)である。
【0039】
これらのパラメータに基づいて位置合わせ用ローラ24A〜24EのD(動作距離:軸方向変位量)、V(動作速度:回転速度)、Ta(加速時間)、Td(減速時間)を算出し、この算出値に基づいてモータ47とサーボモータ54を制御することにより自動位置合わせを行う。但し、上記のV値、すなわちモータ47の回転速度は加熱炉の生産タクトにより一義的に決定されるため、決定された一定速度のV値に対してサーボモータ54を制御することになる。
【0040】
また、実施の形態のガラス板の位置合せ装置では、θ(変更角度:ずれ角度)を取得するため、位置合わせ用ローラ24Aに搬送されてくる直前のガラス板18を図5に示すラインセンサ(撮像手段に相当)60によって撮像している。このラインセンサ60は、加熱炉12の熱が直接伝わらないように、加熱炉12の下方に設置されている。また、加熱炉12の天井壁13Bに形成された開口部13Cには、搬送中のガラス板18を照射する光源62が設置される。また、開口部13Cに対向した加熱炉12の床壁13Dには開口部13Eが形成され、この開口部13Eの下方に反射ミラー64が設置されている。反射ミラー64は、ガラス板18を透過した光源62からの光をラインセンサ60に向けて反射するものである。かかる構成によって、搬送中のガラス板18がラインセンサ60によって撮像され、その出力信号が図2に示したCPU(中央処理装置:姿勢取得手段、ずれ量算出手段、変位量算出手段に相当)66に出力される。
【0041】
CPU66は、ラインセンサ60から出力される出力信号を、エッジ抽出フィルタ処理を行うことによってガラス板18の輪郭形状を取得することにより、図4に示した現在のガラス板18の姿勢を取得する。また、CPU66は、取得した前記姿勢と、ROM等に予め記憶された基準姿勢(図4に示したガラス板18´の姿勢)とを比較して、基準姿勢に対する搬送中のガラス板18の姿勢のずれ量、すなわち、前記θを算出する。これにより、θを取得することができる。
【0042】
そして、CPU66は、算出したθと前述した他のパラメータとに基づいて、前述したV値という条件のもとで位置合わせ用ローラ24A〜24EのD(動作距離:軸方向変位量)、Ta(加速時間)、Td(減速時間)を算出し、この算出値に基づいてサーボモータ54を制御する。
【0043】
図6には、CPU66によってサーボモータ54を制御した時の位置合わせ用ローラ24A〜24Eの動作の一例が示されている。
【0044】
まず、CPU66による位置合わせ用ローラ24A〜24Eの基本制御内容について説明する。CPU66は、ガラス板18の搬送前状態においては、位置合わせ用ローラ24A〜24Eを、軸方向移動位置において中央位置で待機させる。そして、搬送されてきたガラス板18の搬送方向先端部がラインセンサ60で検出されると、ガラス板18の搬送位置をトラッキングし、ガラス板18の搬送方向前半部が接している位置合わせ用ローラ24A〜24Eを、搬送速度に追従しながら指定された位置(角度データから算出)に動作させる。なお、位置合わせ用ローラ24A〜24Eは、CPU66の計算結果により右方向若しくは左方向に制御される。また、位置合わせ用ローラ24A〜24Eを、ガラス板18の搬送方向先端部が接した時点では高速に動作させ、ガラス板10の中心Oが近づくに従って徐々に減速させ、最終的にはガラス板18の中心Oが接した時点で停止させる。更に、ガラス板18が各位置合わせ用ローラ24A〜24Eを通過した時点で、位置合わせ用ローラ24A〜24Eを元の待機位置に復帰動作させる。
【0045】
以上説明した制御内容に基づき図6(A)〜(F)を説明する。各図の左側にローラコンベアの上面図、右側に位置合わせ用ローラ24A〜24Eを水平移動させる際の速度及びタイミングを示したグラフを記載している。
【0046】
図6(A)は、ガラス板18の搬送方向先端部が位置合わせ用ローラ24Aに接した状態が示され、この直後に位置合わせ用ローラ24Aが図上で右方向に移動される。
【0047】
図6(B)は、ガラス板18の搬送方向先端部が位置合わせ用ローラ24Bに接した状態が示され、この直後に位置合わせ用ローラ24Bが図上で右方向に移動されるとともに、位置合わせ用ローラ24Aの右方向への移動が減速される。これにより、ガラス板18は、位置合わせ用ローラ24A、24Bの右方向移動による摩擦抵抗の作用によって、ガラス板18の摩擦によって決まる点Oを支点として反時計回り方向の力を受ける。よって、ガラス板18は、その方向に姿勢が変更されていく。
【0048】
図6(C)は、ガラス板18の搬送方向先端部が位置合わせ用ローラ24Cに接した状態が示され、この直後に位置合わせ用ローラ24Cは図上で右方向に移動されるとともに、位置合わせ用ローラ24Bの右方向への移動が減速され、位置合わせ用ローラ24Aの右方向への移動が停止される。これにより、ガラス板18は、前述した作用と同様の作用によって、ガラス板18の摩擦によって決まる点Oを支点として反時計回り方向の力を受けるので、その方向にさらに姿勢が変更される。
【0049】
図6(D)は、ガラス板18の搬送方向先端部が位置合わせ用ローラ24Dに接した状態が示され、この直後に位置合わせ用ローラ24Dは図上で右方向に移動されるとともに、位置合わせ用ローラ24Cの右方向への移動が減速される。また、位置合わせ用ローラ24Bの右方向への移動が停止されるとともに、位置合わせ用ローラ24Aが待機位置に戻される。この動作によってガラス板18は、ガラス板18の摩擦によって決まる点Oを支点とした反時計回り方向にさらに姿勢が変更される。
【0050】
図6(E)は、ガラス板18の搬送方向先端部が位置合わせ用ローラ24Eに接した状態が示され、この直後に位置合わせ用ローラ24Eは図上で右方向に移動されるとともに、位置合わせ用ローラ24Dの右方向への移動が減速される。また、位置合わせ用ローラ24Cの右方向への移動が停止されるとともに、位置合わせ用ローラ24Bが待機位置に戻される。この動作によってガラス板18は、ガラス板18の摩擦によって決まる点Oを支点とした反時計回り方向にさらに姿勢が変更され、基準姿勢に近づく。
【0051】
図6(F)は、ガラス板18の搬送方向先端部が位置合わせ用ローラ24Eの下流側に位置する固定ローラ22に接した状態が示され、この直後に位置合わせ用ローラ24Eの右方向への移動が減速される。また、位置合わせ用ローラ24Dの右方向への移動が停止されるとともに、位置合わせ用ローラ24Cが待機位置に戻される。また、ガラス板18の摩擦によって決まる点Oが位置合わせ用ローラ24Eを通過した時点で位置合わせ用ローラ24Eの右方向への移動が停止される。この動作によってガラス板18は、ガラス板18の摩擦によって決まる点Oを支点とした反時計回り方向にさらに姿勢が変更されて基準姿勢となり、成形ステージ14に搬送される。また、位置合わせ用ローラ24D、24Eが順番に待機位置に戻される。以上が位置合わせ用ローラ24A〜24Eによるガラス板18の位置合せ方法である。図6(A)〜(F)はガラス板18を反時計回り方向に回転させる制御を説明したが、ガラス板を時計回り方向に回転させる場合には、位置合わせ用ローラ24A〜24Eを左方向へ動作させることになる。
【0052】
このように実施の形態のガラス板18の位置合せ方法によれば、ガラス板18を位置合わせ用ローラ24A〜24Eによって搬送しながら、搬送中のガラス板18と接触する位置合わせ用ローラ24A〜24Eをその軸方向に変位させることにより、搬送中のガラス板18の姿勢を基準姿勢に合せるので、ガラス板18に歪みや傷を生じさせることなくガラス板18を位置合せできる。なお、便宜的に位置合わせ用ローラ24A〜24Eの本数を5本として説明しているが、1本以上あれば本発明は成り立つ。
【0053】
また、既存のローラコンベア20のうち、所定のローラ24A〜24Eを位置合わせに使用し、これらのローラ24A〜24Eの軸方向変位のみを制御するだけで、様々な品種のガラス板の位置合わせに対応できるので、ジョブチェンジが実質上不要になり、位置合わせの効率が向上する。
【0054】
また、ローラコンベア20によって搬送中のガラス板18をラインセンサ60によって撮像し、撮像された搬送中のガラス板18の画像に基づいてガラス板18の姿勢を取得し、取得した姿勢と予め記憶されている基準姿勢とを比較することにより、基準姿勢に対する搬送中のガラス板18の姿勢のずれ量θを算出し、このずれ量θに基づいて位置合わせ用ローラ24A〜24Eの軸方向変位量を算出し、サーボモータ54によって前記変位量に位置合わせ用ローラ24A〜24Eを移動させるので、ガラス板18の位置合わせを自動で行うことができる。さらに、ガラス板18を1枚毎、撮像から位置合わせ動作の一連を繰り返し行うことで、ガラス板18を1枚毎、最適な位置合わせを行うことができる。
【0055】
更に、撮像手段としてラインセンサ60を採用したので、エリアセンサを採用するよりも、加熱炉12に形成する開口部13Eの大きさを小さくでき、加熱炉12の温度低下を防止することができる。
【0056】
なお、図6に示した一例は、位置合わせ用ローラ24A〜24Eを1本毎に、ガラス板18の搬送に追従させて移動させる例であるが、図7に示す一例の如く位置合わせ用ローラ24A〜24Eのうち複数本のローラを瞬時に移動させてガラス板18の姿勢を変更するようにしてもよい。
【0057】
図7によれば、図7(A)から図7(B)の如く、ガラス板18が位置合わせ用ローラ24A、24B、24Cに乗った時点で、その3本の位置合わせ用ローラ24A、24B、24Cを図上で左方向に瞬時に移動させ、ガラス板18の姿勢を基準姿勢に合せる。これにより、図7(C)、(D)の如く位置合わせ用ローラ24D、24Eを動作させなくても姿勢変更が可能になる。また、7図(B)において、ガラス板18が位置合わせ用ローラ24A、24B、24Cに乗った時点で位置合わせ用ローラ24Bは待機位置のままとし、位置合わせ用ローラ24Aを右方向、位置合わせ用ローラ24Cを左方向へ瞬時に移動させ、ガラス板18の姿勢を基準姿勢に合わせることもできる。なお、このような位置合わせ用ローラ24A〜24Eは、全数を同一方向に動かすのではなく、左右逆方向へ動作させることができ、図6で説明した位置決めにおいても図6(C)で位置合わせ用ローラ24Aを停止させるのではなく、積極的に左方向へ動かす。図6(D)で位置合わせ用ローラ24Bを同様に左方向へ動かす。図6(E)で位置合わせ用ローラ24Cを、図6(F)で位置合わせ用ローラ24Dを…という制御もある。
【0058】
図8、図9は位置合わせ用ローラ70の他の実施の形態を示す構造図である。図3に示した位置合わせ用ローラ24A〜24Eは、位置合わせ用ローラ24A〜24Eを軸方向に移動させることで軸方向に変位させるように構成したものであるが、図8、図9の位置合わせ用ローラ70は、位置合わせ用ローラ70を揺動支点Pを中心にガラス板搬送面に沿って矢印CD方向に揺動させることにより、軸方向及びローラの片端を搬送方向に変位させたものである。すなわち、位置合わせ用ローラ70は、ガラス板搬送方向(矢印E)に直交する方向(矢印F)に対してα度揺動した時に、位置合わせ用ローラ70の全長からcosα分減算した分、軸方向に変位する。
【0059】
図8に示すように、位置合わせ用ローラ70の左端部には連結バー72が同軸上に連結され、この連結バー72は自動調芯ベアリング73に挿通されるとともに、このベアリング73を保持したホルダ74を介してスライダ76に支持されている。スライダ76は、その下方に設置されたスライダ78のガイドレール80に沿って矢印F方向(ガラス板搬送方向に直交する方向)にスライド自在に支持されている。また、スライダ78は、その下方に設置されたガイドレール82に沿って矢印E方向(ガラス板搬送方向)にスライド自在に支持されている。これによりホルダ74は、ガラス板搬送面に沿って移動される。
【0060】
また、連結バー72の端部は、軸受83を介してU字状アーム84に回動自在に連結される。このアーム84の下部には、サーボモータ86側の出力軸88が連結されている。したがって、サーボモータ86がCPUに制御されて駆動されると、アーム84が出力軸88を中心に矢印GH方向に揺動するので、連結バー72を介して位置合わせ用ローラ70がガラス板搬送面に沿って揺動される。
【0061】
位置合わせ用ローラ70の図8上で右端部は、ベアリングブロック90に回動自在に支持されており、また、このベアリングブロック90は、前記揺動支点Pを中心に、矢印CD方向に揺動自在に加熱炉12の壁部に取り付けられている。また、位置合わせ用ローラ70の右端部は、図9に示すユニバーサルジョイント92を介して雄のスプライン軸94に連結され、このスプライン軸94は筒状に形成された雌のスプライン軸96に嵌合されている。これにより、位置合わせ用ローラ70は、雌のスプライン軸96に対して、矢印Fで示す軸方向に移動可能に連結される。
【0062】
雌のスプライン軸96には、ユニバーサルジョイント98を介してスプロケット100が連結されている。スプロケット100は、不図示のチェンを介してローラ回転用モータに連結され、モータの動力がチェンを介して伝達されて回転される。このモータもCPUによって制御されている。
【0063】
図10、図11には、5本の位置合わせ用ローラ70A〜70Eを配置した時のガラス板18の姿勢変更方法の例が示されている。なお、この実施の形態でも位置合わせ用ローラは1本以上あれば成り立つ。
【0064】
図10によれば、図10(A)から図10(B)の如く、ガラス板18が位置合わせ用ローラ70A、70Bに乗った時点で、その3本の位置合わせ用ローラ70A、70B、70Cを図上で時計回り方向に、また、ガラス板18の変位が逆であれば反時計回り方向に瞬時に揺動させ、ガラス板18の姿勢を基準姿勢に合せる。これにより、図10(C)、(D)の如く位置合わせ用ローラ70D、70Eを動作させなくても姿勢変更が可能になる。
【0065】
一方、図11の例は、図11(A)〜(D)の如く、ガラス板18の搬送位置に合わせて位置合わせ用ローラ70A〜70Eを追従揺動させてガラス板18の姿勢を基準姿勢に合わせている。
【0066】
また、位置合わせ用ローラ70A〜70Eは、1本ずつ揺動させることができることを前提に説明しているが、図12(A)〜(C)のように位置合わせ用ローラ70A〜70E全体を一度に揺動させて行うことも可能である。また、この時、揺動中心は図12の中心線aの位置となる。
【0067】
なお、この位置合わせ用ローラ70A〜70E全体を一度に揺動させる方法は、該位置合わせ用ローラ70A〜70E上に揺動中のガラス板18があって、そのガラス板18が位置合わせ用ローラ70Eを通過し終わらない限り、位置合わせ用ローラ70A〜70E全体を待機位置へ戻すことができないので、連続してガラス板18を流す場合、ガラス板18とガラス板18との板間隔を確保する必要があるため、1本ずつ揺動させることができる位置合わせ用ローラ70A〜70Eの実施の形態の方が生産性を上げるには有利である。
【0068】
次に、成形ステージ14について説明するが、基本的な構成及び作用は、本願出願人が特開2000−72460号公報にて既に開示しているので、ここでは詳細説明を省略し概略のみ述べる。
【0069】
曲げ成形用ローラコンベア26は、多数本の曲げ成形用ローラ28、28…から構成されており、これらの曲げ成形用ローラ28、28…で形成される搬送面に沿ってガラス板18が搬送される。曲げ成形用ローラ28、28…のうち中段以降に配置された、例えば図13に示す13本の成形用ローラ28A〜28Mが、上下方向駆動手段によって各々が独立して上下移動される。上下方向駆動手段は、モーションコントローラによって制御されている。
【0070】
モーションコントローラによって多軸制御された曲げ成形用ローラ28A〜28Mは、図13(A)で示すように、加熱されたガラス板18がローラコンベア28Aに到達した時には、全ての曲げ成形用ローラ28A〜28Mは最上位置にあり、曲げ成形用ローラ28A〜28Mで形成される搬送面は水平である。次に、ガラス板18が搬送されてくると、図13(B)に示すように曲げ成形用ローラ28D〜28Fが各々所定量下降移動していき、曲げ成形用ローラ28D〜28Fで形成される搬送面が、成形されるべきガラス板18の曲率に対応した湾曲状に変形する。また、ガラス板18の搬送に伴い、図13(C)、(D)、(E)の如く搬送中のガラス板18が位置する曲げ成形用ローラ28G〜28Lも、曲げ成形用ローラ28D〜28Fと同様に所定量下降移動されることにより、搬送面が同様の曲率に変形される。これにより、ガラス板18は、曲げ成形用ローラ28A〜28M上を通過する際に、ガラス板18の自重により曲げ成形用ローラ28A〜28Mの湾曲面に沿って下方に撓んでいき、形成されるべき曲率のガラス板18に曲げ成形される。以上が成形ステージ14によるガラス板18の成形方法である。
【0071】
したがって、実施の形態の曲げ成形装置10によるガラス板18の曲げ成形方法によれば、加熱炉12の出口部において、位置合わせ用ローラ24A〜24Eによりガラス板18を基準姿勢に位置合わせした後、成形ステージ14によって所定の曲げ形状に曲げ成形するので、ポジショナーを使用した従来の形成方法と比較して、位置合わせのためのジョブチェンジが無くなり、曲げ成形ガラス板の生産性が向上する。
【0072】
また、成形ステージ14は、成形用ローラコンベア26の複数の成形用ローラ28A〜28Mで形成される搬送面に沿って搬送しながら、成形用ローラ28A〜28Mをガラス板18の搬送位置に応じて上下移動させることにより、ガラス板18の自重によってガラス板18を前記所定の曲げ形状に成形するので、ガラス板18の位置合わせ及びガラス板の曲げ成形に関してジョブチェンジが不要になり、曲げ成形ガラス板の生産性が更に向上する。
【0073】
なお、成形ステージ14の構成は図13に示したものに限定されるものではなく、その他の形態を採ってもよい。
【0074】
以上においては、ガラス板の搬送ずれ角度(図4参照)の補正方法について説明した。しかし、実際にガラス板を搬送する場合、搬送方向に直交する方向のずれ量が問題となることがある。そこで、以下においては、搬送方向に直交する方向のずれ量の補正方法について説明する。
【0075】
図14(a)、(b)及び(c)は、ずれ角度θ及びずれ量Wの両方を補正する手順を示す説明図である。同図(a)に示すように、ローラコンベア上を搬送されるガラス板18には、搬送途中でずれ角度θ及びずれ量Wのずれが生じる可能性がある。
【0076】
そこで、同図(b)に示すように、まずローラコンベアの前半部においてずれ角度θを補正する。ローラコンベアの前半部には、ラインカメラ60Aが設置され、このカメラ60Aによって撮像された画像に基づいてローラを動かしてずれ角度θを補正する。補正の具体的な手順は、図6で説明した通りである。
【0077】
また、ローラコンベアの後半部には、ラインカメラ60Bが設置され、このカメラ60Bによって撮像された画像に基づいてずれ量Wを補正する。すなわち、ガラス板18の搬送方向の長さHを、撮像した画像から瞬時に認識し、この長さHの下に位置するローラを瞬時にずれ量Wを補正するように水平移動させる。この結果、ガラス板18を正常な姿勢で搬送できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】実施の形態のガラス板の曲げ成形装置を示す全体斜視図
【図2】図1に示した曲げ成形装置のローラコンベア構成を概略で示した平面図
【図3】位置合わせ用ローラの構成を示した一部断面を含む正面図
【図4】位置合わせ用ローラによるガラス板の姿勢変更メカニズムを説明した図
【図5】ラインセンサによるガラス板の撮像を説明した図
【図6】位置合わせ用ローラによるガラス板の姿勢変更を時系列的に示した説明図
【図7】位置合わせ用ローラを瞬時に移動した時の姿勢変更を時系列的に示した説明図
【図8】位置合わせ用ローラの他の実施の形態を示す構造図
【図9】位置合わせ用ローラの他の実施の形態を示す構造図
【図10】図8に示した位置合わせ用ローラを瞬時に移動した時の姿勢変更を時系列的に示した説明図
【図11】図8に示した位置合わせ用ローラによるガラス板の姿勢変更を時系列的に示した説明図
【図12】位置合わせ用ローラによる他の姿勢変更方法を示した説明図
【図13】成形ステージの曲げ成形用ローラコンベアの動作を示した説明図
【図14】位置合わせ用ローラによる他の姿勢変更方法を示した説明図
【符号の説明】
【0079】
10…ガラス板の曲げ成形装置、12…加熱炉、14…成形ステージ、16…風冷強化装置、18…ガラス板、20…ローラコンベア、24A、24B、24C、24D、24E、70…位置合わせ用ローラ、26…曲げ成形用ローラコンベア、28…曲げ成形用ローラ、47…モータ、54、86…サーボモータ、60…ラインセンサ(撮像手段に相当)、66…CPU(中央処理装置:姿勢取得手段、ずれ量算出手段、変位量算出手段、ローラ変位手段に相当)
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱炉で曲げ成形可能な温度まで加熱されたガラス板を、曲げ成形するために所定の基準位置に位置合わせするためのガラス板の位置合せ方法及びその装置並びにガラス板の曲げ成形方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車用の窓ガラスに用いられる湾曲ガラス板の曲げ成形方法は、まず、所定の形状に切り出されている平板状ガラス板を、加熱炉に配設されたローラコンベアで搬送しながら、加熱炉のヒータで曲げ成形可能な温度まで加熱する。次に、このガラス板を成形ステージで所望の曲率のガラス板に曲げ成形した後、このガラス板を風冷強化ステージに搬送し、ここの下吹口ヘッドと上吹口ヘッドとから噴射されるエアーによって風冷強化する。これによって、所望の湾曲形状のガラス板が製造される。
【0003】
ところで、このようなガラス板の曲げ成形装置では、加熱炉の出口に搬送されてきたガラス板がポジショナーと称される位置合せ部材によって、成形ステージで所定の形状に曲げ成形されるための基準姿勢にその姿勢が合わされる。このポジショナーは、ガラス板の縁部に当接される複数本の部材と、これらの部材を移動してガラス板を基準姿勢に合った姿勢に動かす駆動部とから構成される。ポジショナーは、ガラス板の型番(品種)毎に揃えられており、ジョブチェンジの際に、その型番に対応したポジショナーに交換される。
【0004】
一方、本願出願人は、特許文献1において、ガラス板を成形用ローラコンベアで搬送しながら、成形用ローラコンベアの成形用ローラを上下移動させることにより、複数本の成形用ローラからなる搬送面を所望の曲率に湾曲形成し、この湾曲面でガラス板を搬送することでガラス板を自重により曲げ成形する成形方法を提案している。
【0005】
この成形方法によれば、成形用ローラの上下移動量等を制御することにより、所望の曲率にガラス板を曲げ成形可能なので、成形ステージにおけるジョブチェンジを実質上無くすことができるという効果がある。
【特許文献1】特開2000−72460号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記の如く従来のガラス板の曲げ成形装置では、特許文献1に開示された成形ステージにより、実質的なジョブチェンジを無くすことが図られているが、その前段においては、ジョブチェンジが必要なポジショナーによる位置合わせを実施しているために、生産性を飛躍的に向上させることができないという問題があった。
【0007】
また、ポジショナーは、成形可能な温度まで加熱された軟らかい状態のガラス板に、部材を当接させるものなので、当接時の小さな衝撃でもガラス板に当接部材による歪みとローラによるガラス面の傷とが発生するという場合があった。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、ガラス板に歪みや傷を発生させないガラス板の位置合せ方法及びその装置、並びに生産性を向上させることができるガラス板の曲げ成形方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、前記目的を達成するために、ガラス板を複数本のローラからなるローラコンベアによって搬送しながら、搬送中のガラス板と接触する前記ローラをその軸方向に変位させることにより、搬送中のガラス板の姿勢を所定の基準姿勢に合せることを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、前記目的を達成するために、回転駆動されてガラス板を搬送するとともにその軸方向に変位可能に設けられた複数本のローラからなるローラコンベアを有し、該ローラコンベアのガラス板と接触する前記ローラをその軸方向に変位させて、搬送中のガラス板の姿勢を所定の基準姿勢に合せることを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、前記目的を達成するために、請求項1または2に記載の前記ローラコンベアは、ガラス板を曲げ成形可能な温度まで加熱する加熱炉内に配設されたローラコンベアであり、前記加熱炉の出口部においてガラス板を前記ローラの軸方向変位により前記基準姿勢に位置合わせした後、加熱炉の後段に設けられた成形手段によって所定の曲げ形状に曲げ成形することを特徴とする。
【0012】
請求項1、3に記載のガラス板の位置合せ方法及びその装置によれば、ガラス板を複数本のローラからなるローラコンベアによって搬送しながら、搬送中のガラス板と接触する前記ローラをその軸方向に変位させることにより、搬送中のガラス板の姿勢を基準姿勢に合せる。すなわち、本発明は、ローラを軸方向に変位させた時のローラとガラス板との間で発生する摩擦抵抗により、ガラス板をずらして、その姿勢を基準姿勢に合せる。これにより、ポジショナーが不要になるので、ガラス板に歪みや傷を生じさせることなくガラス板を位置合せできる。
【0013】
さらに、既存のローラコンベアを位置合わせに使用し、このローラコンベアのローラの軸方向変位のみを制御するだけで、様々な品種のガラス板の位置合わせに対応できるので、ジョブチェンジが実質上不要になり、位置合わせの効率が向上する。
【0014】
請求項2、4に記載の発明によれば、前記ローラコンベアによって搬送中のガラス板を撮像手段によって撮像し、撮像された搬送中のガラス板の画像に基づいてガラス板の姿勢を取得し、取得した姿勢と予め記憶されている前記基準姿勢とを比較手段によって比較することにより、基準姿勢に対する搬送中のガラス板の姿勢のずれ量を算出し、このずれ量に基づいて前記ローラの軸方向変位量を算出し、ローラ変位手段によって前記変位量にローラを変位させる。これにより、ガラス板の位置合わせを自動で行うことができる。
【0015】
請求項5に記載の発明によれば、前記ローラコンベアの前記ローラは、ガラス板搬送方向に直交する方向に移動自在に設けられることにより、軸方向に変位されることを特徴とする。ガラス板搬送方向に直交する方向にローラが配設されているので、この方向にローラを移動自在に設けることによって、ローラの軸方向変位が可能となる。
【0016】
請求項6に記載の発明によれば、前記ローラコンベアの前記ローラは、ローラコンベアのガラス板搬送面に沿って揺動自在に設けられることにより、軸方向に変位されることを特徴とする。ローラがガラス板搬送方向に直交する方向に対してα度揺動した時に、ローラ全長からcosα分減算した分だけローラが軸方向及びローラの片端が搬送方向に変位する。
【0017】
請求項7に記載のガラス板の曲げ成形方法によれば、請求項1または2に記載のローラコンベアは、ガラス板を曲げ成形可能な温度まで加熱する加熱炉内に配設されたローラコンベアであり、加熱炉の出口部においてガラス板をローラの軸方向変位により基準姿勢に位置合わせした後、加熱炉の後段に設けられた成形手段によって所定の曲げ形状に曲げ成形することを特徴とする。これにより、ポジショナーを使用した従来の形成方法と比較して、位置合わせのためのジョブチェンジが無くなるので、曲げ成形ガラス板の生産性が向上する。
【0018】
請求項8に記載の成形手段は、加熱炉によって加熱されたガラス板を、成形用ローラコンベアの複数の成形用ローラで形成される搬送面に沿って搬送しながら、成形用ローラをガラス板の搬送位置に応じて上下移動させることにより、ガラス板の自重によってガラス板を前記所定の曲げ形状に成形することを特徴とする。これにより、ガラス板の位置合わせ及びガラス板の曲げ成形に関してジョブチェンジが不要になるので、曲げ成形ガラス板の生産性が飛躍的に向上する。
【発明の効果】
【0019】
以上説明したように本発明よれば、ガラス板を複数本のローラからなるローラコンベアによって搬送しながら、搬送中のガラス板と接触する前記ローラをその軸方向に変位させることにより、搬送中のガラス板の姿勢を基準姿勢に合せるので、ガラス板に歪みや傷を生じさせることなくガラス板を位置合せできるとともに、既存のローラコンベアを位置合わせに使用するので、ジョブチェンジも実質上不要になり、位置合わせの効率が向上する。
【0020】
また、本発明によれば、前記ローラコンベアによって搬送中のガラス板を撮像手段によって撮像し、撮像された搬送中のガラス板の画像に基づいてガラス板の姿勢を取得し、取得した姿勢と予め記憶されている前記基準姿勢とを比較手段によって比較することにより、基準姿勢に対する搬送中のガラス板の姿勢のずれ量を算出し、このずれ量に基づいて前記ローラの軸方向変位量を算出し、ローラ変位手段によって前記変位量にローラを変位させるので、ガラス板の位置合わせを自動で行うことができる。
【0021】
更に、本発明によれば、前記ローラコンベアの前記ローラは、該ローラをガラス板搬送方向に直交する方向に移動自在に設けられることにより、軸方向及び片端が搬送方向に変位されることを特徴とする。ガラス板搬送方向に直交する方向にローラが配設されているので、この方向にローラを移動自在に設けることによって、ローラの軸方向変位が可能となる。
【0022】
また、本発明によれば、前記ローラコンベアの前記ローラは、ローラコンベアのガラス板搬送面に沿って揺動自在に設けられることにより、軸方向に変位されることを特徴とする。これにより、ローラがガラス板搬送方向に直交する方向に対してα度揺動した時に、ローラ全長からcosα分減算した分だけローラが軸方向に変位する。
【0023】
本発明のガラス板の曲げ成形方法によれば、ガラス板を曲げ成形可能な温度まで加熱する加熱炉内に配設されたローラコンベアとして、請求項1または2に記載のローラコンベアを採用し、加熱炉の出口部においてガラス板をローラの軸方向変位により基準姿勢に位置合わせした後、加熱炉の後段に設けられた成形手段によって所定の曲げ形状に曲げ成形するので、ポジショナーを使用した従来の形成方法と比較して、位置合わせのためのジョブチェンジが無くなり、曲げ成形ガラス板の生産性が向上する。
【0024】
また、成形手段は、加熱炉によって加熱されたガラス板を、成形用ローラコンベアの複数の成形用ローラで形成される搬送面に沿って搬送しながら、成形用ローラをガラス板の搬送位置に応じて上下移動させることにより、ガラス板の自重によってガラス板を前記所定の曲げ形状に成形するので、ガラス板の位置合わせ及びガラス板の曲げ成形に関してジョブチェンジが不要になり、曲げ成形ガラス板の生産性が飛躍的に向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下添付図面に従って本発明に係るガラス板の位置合せ方法及びその装置並びにガラス板の曲げ成形方法の好ましい実施の形態について詳説する。
【0026】
図1に示すガラス板の曲げ成形装置10は、主として加熱炉12、成形ステージ14、及び風冷強化装置16から構成される。
【0027】
まず、成形装置10によるガラス板18の曲げ成形工程について説明する。
【0028】
曲げ成形前のガラス板18は、加熱炉12の入口においてローラコンベア20の上流部に載置され、ローラコンベア20を構成する多数本のローラ22、22…の回転動作によって加熱炉12内に搬送される。そして、ガラス板18は、ローラコンベア20によって搬送されながら、加熱炉12の不図示のヒータによって加熱されていき、加熱炉12の出口において曲げ成形可能な温度まで加熱される。
【0029】
加熱されたガラス板18は、ローラコンベア20の下流部を構成する、図2の5本の位置合わせ用ローラ24A、24B、24C、24D、24Eによる位置合わせ動作によって、図1の成形ステージ14で所定の形状に曲げ成形されるための基準姿勢にその姿勢が合わされる。この後、ガラス板18は、ローラコンベア20から曲げ成形用ローラコンベア26に受け渡されて成形ステージ14に搬送される。なお、便宜的に位置合わせ用ローラ24A〜24Eは5本として説明するが、本発明の位置合わせ用ローラは1本以上あれば成り立つ。
【0030】
成形ステージ14においてガラス板18は、曲げ成形用ローラコンベア26による搬送中に、曲げ成形用ローラコンベア26を構成する多数本の曲げ成形用ローラ28、28…の上下移動動作によって所定の曲率に曲げ成形される。
【0031】
曲げ成形されたガラス板18は、成形ステージ14の出口から、風冷強化装置16用のローラコンベア30に受け渡されて風冷強化装置16に搬送され、ここで風冷強化される。風冷強化装置16は、ローラコンベア30を挟んで配置された上吹口ヘッド32と下吹口ヘッド34とを備えており、ガラス板18はそれらの吹口ヘッド32、34からガラス板18に向けて吹き出されるエアによって風冷強化される。風冷強化されたガラス板18は、風冷強化装置16の出口からローラコンベア36によって、次工程の図示しない検査装置に向けて搬送される。以上が曲げ成形装置10による1枚のガラス板18の成形工程である。
【0032】
実施の形態のガラス板の位置合せ装置は、前述の如く図2の5本の位置合わせ用ローラ24A〜24Eが軸方向に移動(変位)する動作、及び各々の回転速度をCPU66によって制御することによりガラス板18の姿勢を基準姿勢に合わすものである。
【0033】
位置合わせ用ローラ24A〜24Eは、ガラス板18の搬送方向に対して直交する方向に配設される。また、位置合わせ用ローラ24A〜24Eは、図3に示すように各々の右端部に雄のスプライン軸40が形成され、このスプライン軸40は筒状に形成された雌のスプライン軸42に嵌合されている。これにより、位置合わせ用ローラ24A〜24Eは、雌のスプライン軸42に対して、矢印ABで示す軸方向に移動可能に連結される。
【0034】
雌のスプライン軸42は、加熱炉12の側壁13に形成された開口部13Aに軸受44を介して回転自在に支持されるとともに、側壁13の側方に位置した端部44Aにはスプロケット45が固定されている。スプロケット45は、無端状チェン46を介してローラ回転用モータ47側のスプロケット48に連結され、モータ47の動力がチェン46を介して伝達されて回転される。これにより、雌のスプライン軸42が回転され、その動力が雄のスプライン軸40に伝達されることにより、位置合わせ用ローラ24A〜24Eがガラス板搬送方向に回転される。また、ローラ回転用モータ47は、位置合わせ用ローラ24A〜24Eの各スプロケット45、45…が側壁13の側方に配置されているので、共用され1台のみ配置されている。なお、位置合わせ用ローラ24A〜24Eの各々のサーボモータ47、47…は、図2に示すCPU66によって制御されている。
【0035】
図3に示す位置合わせ用ローラ24A〜24Eの各々の左端部は、軸受49を介してスライダ50に連結されている。スライダ50は、ガイド52に前記軸方向に移動自在に支持されるとともに、サーボモータ(ローラ変位手段に相当)54の減速機56に連結された送りねじ58に螺合されている。したがって、サーボモータ54によって送りねじ58が回転されると、スライダ50が前記軸方向に移動されるので、軸受49を介して連結された位置合わせ用ローラ24A〜24Eが矢印ABで示す軸方向に移動される。このサーボモータ54も図2のCPU66によって制御されているので、位置合わせ用ローラ24A〜24Eの各々の軸方向移動量が制御されている。
【0036】
ところで、ガラス板18は、これらの位置合わせ用ローラ24A〜24Eを通過する際に、位置合わせ用ローラ24A〜24Eの前記軸方向移動により、その姿勢が基準姿勢に位置合わせされる訳であるが、そのメカニズムを図4を参照して説明する。
【0037】
図4では、ガラス板18の姿勢変更を分かり易く説明するためにガラス板18を矩形状で示している。
【0038】
また、図3に示したモータ47及びサーボモータ54を制御し、ガラス板18の姿勢を基準姿勢であるガラス板18´の姿勢に自動位置合わせするためのパラメータは、θ(変更角度:ずれ角度)、S(搬送速度)、H(ガラス板幅)、h(先行動作距離)、i(尻抜完了距離)、dn(位置合わせ用ローラ24Aから位置合わせ用ローラ24B、24C、24Eまでの距離)である。
【0039】
これらのパラメータに基づいて位置合わせ用ローラ24A〜24EのD(動作距離:軸方向変位量)、V(動作速度:回転速度)、Ta(加速時間)、Td(減速時間)を算出し、この算出値に基づいてモータ47とサーボモータ54を制御することにより自動位置合わせを行う。但し、上記のV値、すなわちモータ47の回転速度は加熱炉の生産タクトにより一義的に決定されるため、決定された一定速度のV値に対してサーボモータ54を制御することになる。
【0040】
また、実施の形態のガラス板の位置合せ装置では、θ(変更角度:ずれ角度)を取得するため、位置合わせ用ローラ24Aに搬送されてくる直前のガラス板18を図5に示すラインセンサ(撮像手段に相当)60によって撮像している。このラインセンサ60は、加熱炉12の熱が直接伝わらないように、加熱炉12の下方に設置されている。また、加熱炉12の天井壁13Bに形成された開口部13Cには、搬送中のガラス板18を照射する光源62が設置される。また、開口部13Cに対向した加熱炉12の床壁13Dには開口部13Eが形成され、この開口部13Eの下方に反射ミラー64が設置されている。反射ミラー64は、ガラス板18を透過した光源62からの光をラインセンサ60に向けて反射するものである。かかる構成によって、搬送中のガラス板18がラインセンサ60によって撮像され、その出力信号が図2に示したCPU(中央処理装置:姿勢取得手段、ずれ量算出手段、変位量算出手段に相当)66に出力される。
【0041】
CPU66は、ラインセンサ60から出力される出力信号を、エッジ抽出フィルタ処理を行うことによってガラス板18の輪郭形状を取得することにより、図4に示した現在のガラス板18の姿勢を取得する。また、CPU66は、取得した前記姿勢と、ROM等に予め記憶された基準姿勢(図4に示したガラス板18´の姿勢)とを比較して、基準姿勢に対する搬送中のガラス板18の姿勢のずれ量、すなわち、前記θを算出する。これにより、θを取得することができる。
【0042】
そして、CPU66は、算出したθと前述した他のパラメータとに基づいて、前述したV値という条件のもとで位置合わせ用ローラ24A〜24EのD(動作距離:軸方向変位量)、Ta(加速時間)、Td(減速時間)を算出し、この算出値に基づいてサーボモータ54を制御する。
【0043】
図6には、CPU66によってサーボモータ54を制御した時の位置合わせ用ローラ24A〜24Eの動作の一例が示されている。
【0044】
まず、CPU66による位置合わせ用ローラ24A〜24Eの基本制御内容について説明する。CPU66は、ガラス板18の搬送前状態においては、位置合わせ用ローラ24A〜24Eを、軸方向移動位置において中央位置で待機させる。そして、搬送されてきたガラス板18の搬送方向先端部がラインセンサ60で検出されると、ガラス板18の搬送位置をトラッキングし、ガラス板18の搬送方向前半部が接している位置合わせ用ローラ24A〜24Eを、搬送速度に追従しながら指定された位置(角度データから算出)に動作させる。なお、位置合わせ用ローラ24A〜24Eは、CPU66の計算結果により右方向若しくは左方向に制御される。また、位置合わせ用ローラ24A〜24Eを、ガラス板18の搬送方向先端部が接した時点では高速に動作させ、ガラス板10の中心Oが近づくに従って徐々に減速させ、最終的にはガラス板18の中心Oが接した時点で停止させる。更に、ガラス板18が各位置合わせ用ローラ24A〜24Eを通過した時点で、位置合わせ用ローラ24A〜24Eを元の待機位置に復帰動作させる。
【0045】
以上説明した制御内容に基づき図6(A)〜(F)を説明する。各図の左側にローラコンベアの上面図、右側に位置合わせ用ローラ24A〜24Eを水平移動させる際の速度及びタイミングを示したグラフを記載している。
【0046】
図6(A)は、ガラス板18の搬送方向先端部が位置合わせ用ローラ24Aに接した状態が示され、この直後に位置合わせ用ローラ24Aが図上で右方向に移動される。
【0047】
図6(B)は、ガラス板18の搬送方向先端部が位置合わせ用ローラ24Bに接した状態が示され、この直後に位置合わせ用ローラ24Bが図上で右方向に移動されるとともに、位置合わせ用ローラ24Aの右方向への移動が減速される。これにより、ガラス板18は、位置合わせ用ローラ24A、24Bの右方向移動による摩擦抵抗の作用によって、ガラス板18の摩擦によって決まる点Oを支点として反時計回り方向の力を受ける。よって、ガラス板18は、その方向に姿勢が変更されていく。
【0048】
図6(C)は、ガラス板18の搬送方向先端部が位置合わせ用ローラ24Cに接した状態が示され、この直後に位置合わせ用ローラ24Cは図上で右方向に移動されるとともに、位置合わせ用ローラ24Bの右方向への移動が減速され、位置合わせ用ローラ24Aの右方向への移動が停止される。これにより、ガラス板18は、前述した作用と同様の作用によって、ガラス板18の摩擦によって決まる点Oを支点として反時計回り方向の力を受けるので、その方向にさらに姿勢が変更される。
【0049】
図6(D)は、ガラス板18の搬送方向先端部が位置合わせ用ローラ24Dに接した状態が示され、この直後に位置合わせ用ローラ24Dは図上で右方向に移動されるとともに、位置合わせ用ローラ24Cの右方向への移動が減速される。また、位置合わせ用ローラ24Bの右方向への移動が停止されるとともに、位置合わせ用ローラ24Aが待機位置に戻される。この動作によってガラス板18は、ガラス板18の摩擦によって決まる点Oを支点とした反時計回り方向にさらに姿勢が変更される。
【0050】
図6(E)は、ガラス板18の搬送方向先端部が位置合わせ用ローラ24Eに接した状態が示され、この直後に位置合わせ用ローラ24Eは図上で右方向に移動されるとともに、位置合わせ用ローラ24Dの右方向への移動が減速される。また、位置合わせ用ローラ24Cの右方向への移動が停止されるとともに、位置合わせ用ローラ24Bが待機位置に戻される。この動作によってガラス板18は、ガラス板18の摩擦によって決まる点Oを支点とした反時計回り方向にさらに姿勢が変更され、基準姿勢に近づく。
【0051】
図6(F)は、ガラス板18の搬送方向先端部が位置合わせ用ローラ24Eの下流側に位置する固定ローラ22に接した状態が示され、この直後に位置合わせ用ローラ24Eの右方向への移動が減速される。また、位置合わせ用ローラ24Dの右方向への移動が停止されるとともに、位置合わせ用ローラ24Cが待機位置に戻される。また、ガラス板18の摩擦によって決まる点Oが位置合わせ用ローラ24Eを通過した時点で位置合わせ用ローラ24Eの右方向への移動が停止される。この動作によってガラス板18は、ガラス板18の摩擦によって決まる点Oを支点とした反時計回り方向にさらに姿勢が変更されて基準姿勢となり、成形ステージ14に搬送される。また、位置合わせ用ローラ24D、24Eが順番に待機位置に戻される。以上が位置合わせ用ローラ24A〜24Eによるガラス板18の位置合せ方法である。図6(A)〜(F)はガラス板18を反時計回り方向に回転させる制御を説明したが、ガラス板を時計回り方向に回転させる場合には、位置合わせ用ローラ24A〜24Eを左方向へ動作させることになる。
【0052】
このように実施の形態のガラス板18の位置合せ方法によれば、ガラス板18を位置合わせ用ローラ24A〜24Eによって搬送しながら、搬送中のガラス板18と接触する位置合わせ用ローラ24A〜24Eをその軸方向に変位させることにより、搬送中のガラス板18の姿勢を基準姿勢に合せるので、ガラス板18に歪みや傷を生じさせることなくガラス板18を位置合せできる。なお、便宜的に位置合わせ用ローラ24A〜24Eの本数を5本として説明しているが、1本以上あれば本発明は成り立つ。
【0053】
また、既存のローラコンベア20のうち、所定のローラ24A〜24Eを位置合わせに使用し、これらのローラ24A〜24Eの軸方向変位のみを制御するだけで、様々な品種のガラス板の位置合わせに対応できるので、ジョブチェンジが実質上不要になり、位置合わせの効率が向上する。
【0054】
また、ローラコンベア20によって搬送中のガラス板18をラインセンサ60によって撮像し、撮像された搬送中のガラス板18の画像に基づいてガラス板18の姿勢を取得し、取得した姿勢と予め記憶されている基準姿勢とを比較することにより、基準姿勢に対する搬送中のガラス板18の姿勢のずれ量θを算出し、このずれ量θに基づいて位置合わせ用ローラ24A〜24Eの軸方向変位量を算出し、サーボモータ54によって前記変位量に位置合わせ用ローラ24A〜24Eを移動させるので、ガラス板18の位置合わせを自動で行うことができる。さらに、ガラス板18を1枚毎、撮像から位置合わせ動作の一連を繰り返し行うことで、ガラス板18を1枚毎、最適な位置合わせを行うことができる。
【0055】
更に、撮像手段としてラインセンサ60を採用したので、エリアセンサを採用するよりも、加熱炉12に形成する開口部13Eの大きさを小さくでき、加熱炉12の温度低下を防止することができる。
【0056】
なお、図6に示した一例は、位置合わせ用ローラ24A〜24Eを1本毎に、ガラス板18の搬送に追従させて移動させる例であるが、図7に示す一例の如く位置合わせ用ローラ24A〜24Eのうち複数本のローラを瞬時に移動させてガラス板18の姿勢を変更するようにしてもよい。
【0057】
図7によれば、図7(A)から図7(B)の如く、ガラス板18が位置合わせ用ローラ24A、24B、24Cに乗った時点で、その3本の位置合わせ用ローラ24A、24B、24Cを図上で左方向に瞬時に移動させ、ガラス板18の姿勢を基準姿勢に合せる。これにより、図7(C)、(D)の如く位置合わせ用ローラ24D、24Eを動作させなくても姿勢変更が可能になる。また、7図(B)において、ガラス板18が位置合わせ用ローラ24A、24B、24Cに乗った時点で位置合わせ用ローラ24Bは待機位置のままとし、位置合わせ用ローラ24Aを右方向、位置合わせ用ローラ24Cを左方向へ瞬時に移動させ、ガラス板18の姿勢を基準姿勢に合わせることもできる。なお、このような位置合わせ用ローラ24A〜24Eは、全数を同一方向に動かすのではなく、左右逆方向へ動作させることができ、図6で説明した位置決めにおいても図6(C)で位置合わせ用ローラ24Aを停止させるのではなく、積極的に左方向へ動かす。図6(D)で位置合わせ用ローラ24Bを同様に左方向へ動かす。図6(E)で位置合わせ用ローラ24Cを、図6(F)で位置合わせ用ローラ24Dを…という制御もある。
【0058】
図8、図9は位置合わせ用ローラ70の他の実施の形態を示す構造図である。図3に示した位置合わせ用ローラ24A〜24Eは、位置合わせ用ローラ24A〜24Eを軸方向に移動させることで軸方向に変位させるように構成したものであるが、図8、図9の位置合わせ用ローラ70は、位置合わせ用ローラ70を揺動支点Pを中心にガラス板搬送面に沿って矢印CD方向に揺動させることにより、軸方向及びローラの片端を搬送方向に変位させたものである。すなわち、位置合わせ用ローラ70は、ガラス板搬送方向(矢印E)に直交する方向(矢印F)に対してα度揺動した時に、位置合わせ用ローラ70の全長からcosα分減算した分、軸方向に変位する。
【0059】
図8に示すように、位置合わせ用ローラ70の左端部には連結バー72が同軸上に連結され、この連結バー72は自動調芯ベアリング73に挿通されるとともに、このベアリング73を保持したホルダ74を介してスライダ76に支持されている。スライダ76は、その下方に設置されたスライダ78のガイドレール80に沿って矢印F方向(ガラス板搬送方向に直交する方向)にスライド自在に支持されている。また、スライダ78は、その下方に設置されたガイドレール82に沿って矢印E方向(ガラス板搬送方向)にスライド自在に支持されている。これによりホルダ74は、ガラス板搬送面に沿って移動される。
【0060】
また、連結バー72の端部は、軸受83を介してU字状アーム84に回動自在に連結される。このアーム84の下部には、サーボモータ86側の出力軸88が連結されている。したがって、サーボモータ86がCPUに制御されて駆動されると、アーム84が出力軸88を中心に矢印GH方向に揺動するので、連結バー72を介して位置合わせ用ローラ70がガラス板搬送面に沿って揺動される。
【0061】
位置合わせ用ローラ70の図8上で右端部は、ベアリングブロック90に回動自在に支持されており、また、このベアリングブロック90は、前記揺動支点Pを中心に、矢印CD方向に揺動自在に加熱炉12の壁部に取り付けられている。また、位置合わせ用ローラ70の右端部は、図9に示すユニバーサルジョイント92を介して雄のスプライン軸94に連結され、このスプライン軸94は筒状に形成された雌のスプライン軸96に嵌合されている。これにより、位置合わせ用ローラ70は、雌のスプライン軸96に対して、矢印Fで示す軸方向に移動可能に連結される。
【0062】
雌のスプライン軸96には、ユニバーサルジョイント98を介してスプロケット100が連結されている。スプロケット100は、不図示のチェンを介してローラ回転用モータに連結され、モータの動力がチェンを介して伝達されて回転される。このモータもCPUによって制御されている。
【0063】
図10、図11には、5本の位置合わせ用ローラ70A〜70Eを配置した時のガラス板18の姿勢変更方法の例が示されている。なお、この実施の形態でも位置合わせ用ローラは1本以上あれば成り立つ。
【0064】
図10によれば、図10(A)から図10(B)の如く、ガラス板18が位置合わせ用ローラ70A、70Bに乗った時点で、その3本の位置合わせ用ローラ70A、70B、70Cを図上で時計回り方向に、また、ガラス板18の変位が逆であれば反時計回り方向に瞬時に揺動させ、ガラス板18の姿勢を基準姿勢に合せる。これにより、図10(C)、(D)の如く位置合わせ用ローラ70D、70Eを動作させなくても姿勢変更が可能になる。
【0065】
一方、図11の例は、図11(A)〜(D)の如く、ガラス板18の搬送位置に合わせて位置合わせ用ローラ70A〜70Eを追従揺動させてガラス板18の姿勢を基準姿勢に合わせている。
【0066】
また、位置合わせ用ローラ70A〜70Eは、1本ずつ揺動させることができることを前提に説明しているが、図12(A)〜(C)のように位置合わせ用ローラ70A〜70E全体を一度に揺動させて行うことも可能である。また、この時、揺動中心は図12の中心線aの位置となる。
【0067】
なお、この位置合わせ用ローラ70A〜70E全体を一度に揺動させる方法は、該位置合わせ用ローラ70A〜70E上に揺動中のガラス板18があって、そのガラス板18が位置合わせ用ローラ70Eを通過し終わらない限り、位置合わせ用ローラ70A〜70E全体を待機位置へ戻すことができないので、連続してガラス板18を流す場合、ガラス板18とガラス板18との板間隔を確保する必要があるため、1本ずつ揺動させることができる位置合わせ用ローラ70A〜70Eの実施の形態の方が生産性を上げるには有利である。
【0068】
次に、成形ステージ14について説明するが、基本的な構成及び作用は、本願出願人が特開2000−72460号公報にて既に開示しているので、ここでは詳細説明を省略し概略のみ述べる。
【0069】
曲げ成形用ローラコンベア26は、多数本の曲げ成形用ローラ28、28…から構成されており、これらの曲げ成形用ローラ28、28…で形成される搬送面に沿ってガラス板18が搬送される。曲げ成形用ローラ28、28…のうち中段以降に配置された、例えば図13に示す13本の成形用ローラ28A〜28Mが、上下方向駆動手段によって各々が独立して上下移動される。上下方向駆動手段は、モーションコントローラによって制御されている。
【0070】
モーションコントローラによって多軸制御された曲げ成形用ローラ28A〜28Mは、図13(A)で示すように、加熱されたガラス板18がローラコンベア28Aに到達した時には、全ての曲げ成形用ローラ28A〜28Mは最上位置にあり、曲げ成形用ローラ28A〜28Mで形成される搬送面は水平である。次に、ガラス板18が搬送されてくると、図13(B)に示すように曲げ成形用ローラ28D〜28Fが各々所定量下降移動していき、曲げ成形用ローラ28D〜28Fで形成される搬送面が、成形されるべきガラス板18の曲率に対応した湾曲状に変形する。また、ガラス板18の搬送に伴い、図13(C)、(D)、(E)の如く搬送中のガラス板18が位置する曲げ成形用ローラ28G〜28Lも、曲げ成形用ローラ28D〜28Fと同様に所定量下降移動されることにより、搬送面が同様の曲率に変形される。これにより、ガラス板18は、曲げ成形用ローラ28A〜28M上を通過する際に、ガラス板18の自重により曲げ成形用ローラ28A〜28Mの湾曲面に沿って下方に撓んでいき、形成されるべき曲率のガラス板18に曲げ成形される。以上が成形ステージ14によるガラス板18の成形方法である。
【0071】
したがって、実施の形態の曲げ成形装置10によるガラス板18の曲げ成形方法によれば、加熱炉12の出口部において、位置合わせ用ローラ24A〜24Eによりガラス板18を基準姿勢に位置合わせした後、成形ステージ14によって所定の曲げ形状に曲げ成形するので、ポジショナーを使用した従来の形成方法と比較して、位置合わせのためのジョブチェンジが無くなり、曲げ成形ガラス板の生産性が向上する。
【0072】
また、成形ステージ14は、成形用ローラコンベア26の複数の成形用ローラ28A〜28Mで形成される搬送面に沿って搬送しながら、成形用ローラ28A〜28Mをガラス板18の搬送位置に応じて上下移動させることにより、ガラス板18の自重によってガラス板18を前記所定の曲げ形状に成形するので、ガラス板18の位置合わせ及びガラス板の曲げ成形に関してジョブチェンジが不要になり、曲げ成形ガラス板の生産性が更に向上する。
【0073】
なお、成形ステージ14の構成は図13に示したものに限定されるものではなく、その他の形態を採ってもよい。
【0074】
以上においては、ガラス板の搬送ずれ角度(図4参照)の補正方法について説明した。しかし、実際にガラス板を搬送する場合、搬送方向に直交する方向のずれ量が問題となることがある。そこで、以下においては、搬送方向に直交する方向のずれ量の補正方法について説明する。
【0075】
図14(a)、(b)及び(c)は、ずれ角度θ及びずれ量Wの両方を補正する手順を示す説明図である。同図(a)に示すように、ローラコンベア上を搬送されるガラス板18には、搬送途中でずれ角度θ及びずれ量Wのずれが生じる可能性がある。
【0076】
そこで、同図(b)に示すように、まずローラコンベアの前半部においてずれ角度θを補正する。ローラコンベアの前半部には、ラインカメラ60Aが設置され、このカメラ60Aによって撮像された画像に基づいてローラを動かしてずれ角度θを補正する。補正の具体的な手順は、図6で説明した通りである。
【0077】
また、ローラコンベアの後半部には、ラインカメラ60Bが設置され、このカメラ60Bによって撮像された画像に基づいてずれ量Wを補正する。すなわち、ガラス板18の搬送方向の長さHを、撮像した画像から瞬時に認識し、この長さHの下に位置するローラを瞬時にずれ量Wを補正するように水平移動させる。この結果、ガラス板18を正常な姿勢で搬送できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】実施の形態のガラス板の曲げ成形装置を示す全体斜視図
【図2】図1に示した曲げ成形装置のローラコンベア構成を概略で示した平面図
【図3】位置合わせ用ローラの構成を示した一部断面を含む正面図
【図4】位置合わせ用ローラによるガラス板の姿勢変更メカニズムを説明した図
【図5】ラインセンサによるガラス板の撮像を説明した図
【図6】位置合わせ用ローラによるガラス板の姿勢変更を時系列的に示した説明図
【図7】位置合わせ用ローラを瞬時に移動した時の姿勢変更を時系列的に示した説明図
【図8】位置合わせ用ローラの他の実施の形態を示す構造図
【図9】位置合わせ用ローラの他の実施の形態を示す構造図
【図10】図8に示した位置合わせ用ローラを瞬時に移動した時の姿勢変更を時系列的に示した説明図
【図11】図8に示した位置合わせ用ローラによるガラス板の姿勢変更を時系列的に示した説明図
【図12】位置合わせ用ローラによる他の姿勢変更方法を示した説明図
【図13】成形ステージの曲げ成形用ローラコンベアの動作を示した説明図
【図14】位置合わせ用ローラによる他の姿勢変更方法を示した説明図
【符号の説明】
【0079】
10…ガラス板の曲げ成形装置、12…加熱炉、14…成形ステージ、16…風冷強化装置、18…ガラス板、20…ローラコンベア、24A、24B、24C、24D、24E、70…位置合わせ用ローラ、26…曲げ成形用ローラコンベア、28…曲げ成形用ローラ、47…モータ、54、86…サーボモータ、60…ラインセンサ(撮像手段に相当)、66…CPU(中央処理装置:姿勢取得手段、ずれ量算出手段、変位量算出手段、ローラ変位手段に相当)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス板を複数本のローラからなるローラコンベアによって搬送しながら、搬送中のガラス板と接触する前記ローラをその軸方向に変位させることにより、搬送中のガラス板の姿勢を所定の基準姿勢に合せることを特徴とするガラス板の位置合せ方法。
【請求項2】
前記ローラコンベアによって搬送中のガラス板を撮像手段によって撮像し、該撮像された搬送中のガラス板の画像に基づいてガラス板の姿勢を取得し、該取得した前記姿勢と予め記憶されている前記基準姿勢とを比較手段によって比較することにより、該基準姿勢に対する搬送中のガラス板の姿勢のずれ量を算出し、該ずれ量に基づいて前記ローラの軸方向変位量を算出し、ローラ変位手段によって前記変位量にローラを変位させることを特徴とする請求項1に記載のガラス板の位置合せ方法。
【請求項3】
ガラス板を搬送するとともにその軸方向に変位可能に設けられた複数本のローラからなるローラコンベアを有し、該ローラコンベアのガラス板と接触する前記ローラをその軸方向に変位させて、搬送中のガラス板の姿勢を所定の基準姿勢に合せることを特徴とするガラス板の位置合せ装置。
【請求項4】
前記ローラコンベアによって搬送中のガラス板を撮像する撮像手段と、
該撮像手段によって撮像された搬送中のガラス板の画像に基づいてガラス板の姿勢を取得する姿勢取得手段と、
該姿勢取得手段によって取得した前記姿勢と予め記憶された前記基準姿勢とを比較して、該基準姿勢に対する搬送中のガラス板の姿勢のずれ量を算出するずれ量算出手段と、
該ずれ量算出手段によって算出された前記ずれ量に基づいて、前記ローラの軸方向変位量を算出する変位量算出手段と、
該変位量算出手段によって算出された変位量に前記ローラを変位させるローラ変位手段と、
を有することを特徴とする請求項3に記載のガラス板の位置合せ装置。
【請求項5】
前記ローラコンベアの前記ローラは、ガラス板搬送方向に直交する方向に移動自在に設けられることにより、軸方向及びローラの片端を搬送方向に変位されることを特徴とする請求項3または4に記載のガラス板の位置合せ装置。
【請求項6】
前記ローラコンベアの前記ローラは、ローラコンベアのガラス板搬送面に沿って揺動自在に設けられることにより、軸方向に変位されることを特徴とする請求項3または4に記載のガラス板の位置合せ装置。
【請求項7】
請求項1または2に記載の前記ローラコンベアは、ガラス板を曲げ成形可能な温度まで加熱する加熱炉内に配設されたローラコンベアであり、前記加熱炉の出口部においてガラス板を前記ローラの軸方向変位により前記基準姿勢に位置合わせした後、加熱炉の後段に設けられた成形手段によって所定の曲げ形状に曲げ成形することを特徴とするガラス板の曲げ成形方法。
【請求項8】
前記成形手段は、前記加熱炉によって加熱されたガラス板を、成形用ローラコンベアの複数の成形用ローラで形成される搬送面に沿って搬送しながら、前記成形用ローラをガラス板の搬送位置に応じて上下移動させることにより、ガラス板の自重によってガラス板を前記所定の曲げ形状に成形することを特徴とする請求項7に記載のガラス板の曲げ成形方法。
【請求項1】
ガラス板を複数本のローラからなるローラコンベアによって搬送しながら、搬送中のガラス板と接触する前記ローラをその軸方向に変位させることにより、搬送中のガラス板の姿勢を所定の基準姿勢に合せることを特徴とするガラス板の位置合せ方法。
【請求項2】
前記ローラコンベアによって搬送中のガラス板を撮像手段によって撮像し、該撮像された搬送中のガラス板の画像に基づいてガラス板の姿勢を取得し、該取得した前記姿勢と予め記憶されている前記基準姿勢とを比較手段によって比較することにより、該基準姿勢に対する搬送中のガラス板の姿勢のずれ量を算出し、該ずれ量に基づいて前記ローラの軸方向変位量を算出し、ローラ変位手段によって前記変位量にローラを変位させることを特徴とする請求項1に記載のガラス板の位置合せ方法。
【請求項3】
ガラス板を搬送するとともにその軸方向に変位可能に設けられた複数本のローラからなるローラコンベアを有し、該ローラコンベアのガラス板と接触する前記ローラをその軸方向に変位させて、搬送中のガラス板の姿勢を所定の基準姿勢に合せることを特徴とするガラス板の位置合せ装置。
【請求項4】
前記ローラコンベアによって搬送中のガラス板を撮像する撮像手段と、
該撮像手段によって撮像された搬送中のガラス板の画像に基づいてガラス板の姿勢を取得する姿勢取得手段と、
該姿勢取得手段によって取得した前記姿勢と予め記憶された前記基準姿勢とを比較して、該基準姿勢に対する搬送中のガラス板の姿勢のずれ量を算出するずれ量算出手段と、
該ずれ量算出手段によって算出された前記ずれ量に基づいて、前記ローラの軸方向変位量を算出する変位量算出手段と、
該変位量算出手段によって算出された変位量に前記ローラを変位させるローラ変位手段と、
を有することを特徴とする請求項3に記載のガラス板の位置合せ装置。
【請求項5】
前記ローラコンベアの前記ローラは、ガラス板搬送方向に直交する方向に移動自在に設けられることにより、軸方向及びローラの片端を搬送方向に変位されることを特徴とする請求項3または4に記載のガラス板の位置合せ装置。
【請求項6】
前記ローラコンベアの前記ローラは、ローラコンベアのガラス板搬送面に沿って揺動自在に設けられることにより、軸方向に変位されることを特徴とする請求項3または4に記載のガラス板の位置合せ装置。
【請求項7】
請求項1または2に記載の前記ローラコンベアは、ガラス板を曲げ成形可能な温度まで加熱する加熱炉内に配設されたローラコンベアであり、前記加熱炉の出口部においてガラス板を前記ローラの軸方向変位により前記基準姿勢に位置合わせした後、加熱炉の後段に設けられた成形手段によって所定の曲げ形状に曲げ成形することを特徴とするガラス板の曲げ成形方法。
【請求項8】
前記成形手段は、前記加熱炉によって加熱されたガラス板を、成形用ローラコンベアの複数の成形用ローラで形成される搬送面に沿って搬送しながら、前記成形用ローラをガラス板の搬送位置に応じて上下移動させることにより、ガラス板の自重によってガラス板を前記所定の曲げ形状に成形することを特徴とする請求項7に記載のガラス板の曲げ成形方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2009−13061(P2009−13061A)
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−221837(P2008−221837)
【出願日】平成20年8月29日(2008.8.29)
【分割の表示】特願2002−182650(P2002−182650)の分割
【原出願日】平成14年6月24日(2002.6.24)
【出願人】(000000044)旭硝子株式会社 (2,665)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年8月29日(2008.8.29)
【分割の表示】特願2002−182650(P2002−182650)の分割
【原出願日】平成14年6月24日(2002.6.24)
【出願人】(000000044)旭硝子株式会社 (2,665)
【Fターム(参考)】
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