説明

クリップ

【課題】水切り部材の施工作業を容易に行うことができるようにする。
【解決手段】側壁1と野縁3との間の開口部7に沿って配される水切り部材8を装着するためのクリップ13は、野縁3への装着のための第1係止部16と水切り部材8への係止のための第2係止部17とから合成樹脂材によって一体に形成されている。第1係止部16は撓み可能な仮止め片19を有しており、野縁3に対して引掛け部20を段部4に係止させて抜け止めし、屈曲片21との間で弾性的に挟持して仮保持する。第2係止部17は水切り部材8の通気口12の枠状開口縁部14を爪部26と挟持片28との間の差込口29へ差し込むとともに、爪部26を枠状開口縁部14に係止させて抜け止めを行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、構造体に例えば水切り部材等の被取付部材を装着する際に使用されるクリップに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、住宅の一部に水切り構造を施工する方法として、従来より下記特許文献1のような方式が知られている。このものは、既存壁に胴縁を取り付け、この胴縁の下端縁に沿うようにしてスタータを配し、その状態で釘を打ちつけてスタータを固定しておく。そのもとで、スタータにおいて袋状に湾曲形成された係合部へ水切り部材の先端を突っ込んで係止させることによって水切り部材の固定を行うものである。
【特許文献1】特開平9−242199号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記のような固定構造では、水切り部材を正規姿勢で取り付けるためには、まずスタータが正規姿勢・位置に取り付けられていなければならない。しかし、スターは胴縁に対して直接釘打ちによって固定するものであるため、作業者は釘打ちがなされるまでの間、スタータ全体を手で保持していなければならず、作業が煩雑になる、という問題点がある。また、水切り部材の先端を係止部、つまり長手方向に沿って溝状に延びた箇所に差し込んで係止させることになるが、全縁を正確に位置合わせしての挿し込みは決して容易でなく、そのため、水切り部材自体の取り付けも厄介であり、全体の施工を困難なものとしていた。
【0004】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、水切り部材の施工作業を容易に行うことができるクリップを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するための手段として、請求項1の発明は、構造物の一部に長手方向に沿って開設された開口部に水切り可能に装着されかつ前記構造物の内外を連通及び閉止可能な通気口が前記開口部の長手方向に沿って形成されてなる水切り部材を、前記構造物へ装着させるためのクリップであって、前記開口部に沿って配された構造体に係止可能な第1係止部と、前記水切り部材へ係止可能な第2係止部とを備えてなり、この第2係止部は前記通気口の枠状開口縁部を受け入れ可能な差込口が拡開可能に形成されるとともに、同差込口内には前記枠状開口縁部に弾性的に係止してクリップ全体を前記水切り部材に抜け止め状態に保持する爪部が撓み可能に形成され、前記第1係止部には、前記構造体へ弾性的に係止可能な仮止め片が形成されている構成としたところに特徴を有する。
【0006】
請求項2の発明は、請求項1に記載のものにおいて、前記構造体は野縁であり、その側面には長手方向に沿って他の野縁の端部と係止可能な段部が形成される一方、前記仮止め片の先端部にはこの段部に弾性的に係止することで、クリップ全体の前記野縁からの外れ止めを行う引掛け部が形成されていることを特徴とするものである。
【0007】
請求項3の発明は、請求項1または請求項2に記載のものにおいて、前記水切り部材は前記通気口を有して平板状に形成された基板部を有する一方、前記第2係止部は前記枠状開口縁部の一面側から当接する当接部を有し、かつこの当接部の側縁からは当接部と対向する側へ片持ち状に折り返され、当接部との間に前記差込口が保有される挟持片が設けられており、また、この挟持片にはその折り返し基部から先端に至るまでの範囲に亘って前記挟持片の延出方向を保持するための変形防止リブが形成されていることを特徴とするものである。
【0008】
請求項4の発明の発明は、請求項3に記載のものにおいて、前記挟持片の折り返し基部の幅方向両端部における外面には、前記当接部の側縁に連結するようにして一対の補強用の張り出し部が幅方向へ張り出し形成されて、前記通気口内にほぼ隙間なく嵌合可能となっていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
<請求項1の発明>
請求項1の発明によれば、クリップを被取付部材に装着する作業は、構造物への装着に先立って、あるいはその後に行われる。いずれの場合においても、第2係止部の差込口へ水切り部材側の通気口の枠状開口縁部を差込んでやれば、爪部の撓み変形により差込口が拡開変形し、爪部が枠状開口縁部に弾性的に係止する。これによって、クリップは水切り部材に対して抜け止めされた状態に保持される。一方、第1係止部は仮止め片が構造体に対して弾性的に係止するため、その後の本止め作業に際しても、クリップ(クリップによって被取付部材が保持されている場合には水切り部材を含む)を作業者が保持している必要がないため、本止めの作業が容易となる。
【0010】
加えて、水切り部材への装着にあたり、通気口という部分的な箇所を用いた弾性係止ですむため、作業性に優れたものとなる。
【0011】
<請求項2の発明>
請求項2の発明によれば、クリップを野縁に対して仮止めした状態で、仮止め片の引掛け部が野縁の段部に弾性的に係止し、これによってクリップは野縁に対して外れ止めがなされる。また、段部は他の野縁との継ぎ合わせに必要な既存の構造であり、こうした既存の段部を利用してクリップの確実な外れ止めを行うことができる。
【0012】
<請求項3の発明>
請求項3の発明によれば、挟持片に設けられた変形防止リブによって差込口の開口高さを一定寸法に維持することができる。例えば、クリップを成形した後の熱収縮が原因で挟持片の先端が当接部側へ接近することが懸念されるが、変形防止リブによってそのような変形が生じるのを回避することができる。したがって、差込口は通気口の開口縁部の受け入れを円滑に行うことができ、作業性の向上に寄与することができる。
【0013】
<請求項4の発明>
請求項4の発明によれば、挟持片の補強を兼ねて張り出し部を幅方向へ張り出させることにより、挟持片の変形を規制するとともに、通気口に対してほぼ隙間なく嵌合するため、水切り部材に対するクリップの位置ずれを回避することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
<実施形態1>
本発明の実施形態1を図1ないし図6によって説明する。図1では住宅の軒天井部分が示されている。図中、1は側壁、2は軒げたであり、3はこれらと共に住宅の構造体を構成する野縁である。また、野縁3の一側面の下半部は長さ方向に沿って切り落とされ段部4が形成され、ここには同様にして段差部5が形成された他の野縁6の端部が突き合わされている。さらに、野縁3と側壁1との間には長手方向に沿って隙間が保有され、天井の内外を連通させる開口部7となっている。この開口部7を通して天井内へ雨水等が浸入することがないよう、開口部7には水切り部材8が装着されている。
【0015】
水切り部材8は、図4に示すように、平板状をなす基板部9とこの基板部9の一側縁部から長手方向に沿って張り出す上下のシールフラップ部10,11とからなっている。基板部9はそれぞれが方形状をなして形成された複数の通気口12が長手方向に沿って一定間隔毎に貫通して形成されている。したがって、これら通気口12が開口することによって基板部9は格子枠状をなし、隣接する通気口12同士の間には後述するクリップ13を係止させるための枠状開口縁部14が形成される。
【0016】
また、基板部9は詳細には図示しないが、芯材を硬質樹脂材で、表層部を軟質樹脂材としたインサート成形によるものが使用されている。上下のシールフラップ部10,11は基板部9の表層部、つまり軟質樹脂部から連続し、そのうち上側のシールフラップ部10は側壁1に向けて延出し、その先端縁全縁が側壁1に密着可能となっている。一方、下側のシールフラップ部11は常には自重にて湾曲気味の状態で下方へ垂れ下がり、上記した各通気口12を開放状態としている。しかし、雨を伴った吹き上がりの風を受けたときにおいては、基板部9の下面へ向けて吹き上げられ、各通気口12を通して天井内へ雨水が進入することがないようにしている(必ずしも基板部9の下面に密着する高さ位置まで持ち上げられる必要はなく、基板部9との間に多少の隙間があく程度であればよい。)。なお、基板部9において、上下のフラップ部10,11が形成されているのと反対側の縁にはシール縁15が形成され、野縁3と全縁が密着して同側のシール性が確保されている。
【0017】
次に、上記の水切り部材8を野縁3に装着するためのクリップ13について説明すると、クリップ13は合成樹脂材にて一体に成形されている。クリップ13は、野縁3側への装着のための第1係止部16と水切り部材8側への装着のための第2係止部17とからなっている。第1係止部16は野縁3の上面を幅方向に横断可能な長さ寸法をもって帯板状をなす主板18を有し、その一方の端縁からは下向きに折り曲げられて仮止め片19が垂下している。この仮止め片19はクリップ13の成形状態においては、図6に示されるように、やや内向き傾斜をなすようにしてあり、またその下端縁には引掛け部20が内向きにほぼ直角に曲げ形成されている。さらに、主板18の他方の端縁においても、下向きにかつほぼ直角に折り曲げられて屈曲片21が形成され、その下端縁に第2係止部17が連続している。
【0018】
上記仮止め片19の中央にはクリップ13を野縁3に対して本止めするための釘打ち用の取付孔22が開口しているが、この釘Nの打ち込みが完了するまでの間、クリップ13は野縁3に対して次のようにして仮止め状態に保持される。すなわち、クリップ13を野縁3に仮止めさせる際には、クリップ13は主板18を野縁3の上面に当接させると、仮止め片19が外方へ拡開した状態で野縁3の側面に弾接し、屈曲片21との間で野縁3の上部を弾性的に挟持する。同時に、引掛け部20が野縁3の段部4に係止することにより、クリップ13は野縁3に上方への抜け止めがなされた状態で仮保持される。
【0019】
第2係止部17は水切り部材8の基板部9の上面に載置可能でかつ通気口12より大きめの方形状をなす当接板23(当接部)を有している。当接板23の周縁で屈曲片21との接続部位を除く三縁には補強枠縁24が上向きに起立して形成されている。また、当接板23において対向する補強枠縁24(水切り部材8の長手方向に沿って対向する補強枠縁24)の間には、肉抜き孔25が貫通して形成されている。この肉抜き孔25の開口縁のうち水切り部材8の長手方向に対向するものの一方側(図3では右側)からは、水切り部材8への係止を行うための爪部26が他方側へ向けて突出し、上下方向への撓みが許容されている。この爪部26は肉抜き孔25の開口面に沿うように平行に延びているが、先端部下面は先端縁に向けて徐々に肉厚を増すような傾斜面27が形成され、これによって爪部26先端は当接板23の下面から突出した状態に形成される。
【0020】
また、当接板23の補強枠縁24において爪部26が形成されているのと反対側の外面からは爪部26側へ向けて挟持片28がL字状をなして折り返し状に形成されている。この挟持片28は当接板23の下面とほぼ平行となるよう水平にかつ片持ち状に延びている。そして、挟持片28の先端部は爪部26の下方に所定間隔をおいて位置しており、これによって挟持片28と爪部26との間には拡開可能な差込口29が保有される。挟持片28の先端部内面には差込口29の奥方へ向けて上り勾配となった案内面30が形成されている。この実施形態では案内面30の勾配は爪部26の傾斜面27とほぼ同勾配をなすように設定され、かつ案内面30の終端と爪部26の先端(傾斜面27の先端)とがほぼ揃うように形成されている。かくして、水切り部材8の枠状開口縁部14は差込口29へ差し込まれると、爪部26と挟持片28との間隔を押し広げ、爪部26を通過した時点で爪部26が復帰することによって、枠状開口縁部14は爪部26の係止端面に係止してクリップ13が水切り部材8に対して抜け止めされる。この実施形態では、爪部26の係止端面と挟持片28の折り返し部内面との間の距離が、枠状開口縁部14の幅寸法にほぼ等しく設定されていて(図3参照)、このことによってクリップ13は枠状開口縁部14に対して長さ方向へのがた付きなく係止することができる。
【0021】
また、挟持片28の外面において幅方向中央部には挟持片28に対する変形防止リブ31が突出形成されている。この変形防止リブ31は差込口29の入り口部分の高さを一定間隔に保持する役割を果たすものであり、挟持片28の縦片部28aから横片部28bにわたって、つまり補強枠縁24の上端から、挟持片28の先端に至るまでの全長さ範囲に亘って形成されている。さらに、縦片部28aにおける幅方向両端部の外面には変形防止リブ31を間に挟んで一対の張り出し部32が設けられている。両張り出し部32は変形防止リブ31と共に挟持片28の変形(成形後の熱収縮に伴う変形等)を回避するためのものであり、変形防止リブ31とほぼ同じ厚みをもって外方へ突出するとともに、幅方向外方へも張り出している。本実施形態では、これらの外端同士の間の寸法(図6に示すT寸法)は通気口12の開口幅(図4に示すS寸法)とほぼ等しいかやや狭めの寸法に設定されている。このことによって、クリップ13が水切り部材8に係止した状態では、張り出し部32の外端面が通気口12の開口縁に当接するため、クリップ13は水切り部材8に対し幅方向にがた止めされた状態で保持される。なお、張り出し部32の下端部角部は面取り33がされていて、通気口12への嵌合動作が円滑になされるようにしてある。
【0022】
次に、上記のように構成された本実施形態の作用効果を具体的に説明する。まず、クリップ13を水切り部材8に対して先付けする作業を行う。その場合、図4に示すように、クリップ13全体を水切り部材8の基板部の上方に位置させ、挟持片28を適切な通気口12を選択して嵌め入れ、当接板23を水切り部材8の基板部9上に載置する。この通気口12への嵌め入れにあたり、両張り出し部32の下端部には面取り33がなされているため、嵌め入れ作業は円滑になされる。こうして挟持片28が通気口12内に嵌合すると、差込口29の入り口側が枠状開口縁部14と対向した状態となる。その後、クリップ13全体を水切り部材8の長手方向に沿って移動させると、枠状開口縁部14は爪部26の傾斜面27あるいは挟持片28の案内面30に摺接して爪部26と挟持片28の間を強制的に拡開変形させる。そして、枠状開口縁部14が爪部26先端を通過すると、爪部26が弾性復帰するため、枠状開口縁部14は爪部26に係止されて抜け止め状態となる。このときには、枠状開口縁部14は爪部26の端面と挟持片28の縦片部との間で挟持されているため、クリップ13は水切り部材8に対し長手方向に位置決めされた状態に保持されるとともに、両張り出し部32の外端面が通気口12の開口縁に当接するため、クリップ13は幅方向に対してもがたつきなく保持される。
【0023】
上記のようにしてクリップ13は水切り部材8に対して適数個取り付けがなされ、続いて野縁3に対する取付作業がなされる。まず、水切り部材8を野縁3と側壁1との間の開口部7の上方において長手方向に沿わせた状態で保持し、そのまま真っ直ぐに下ろす。そして、主板18が野縁3の上面に当接する位置まで下ろされるまでの間、仮止め片19は引掛け部20を野縁3の側面に摺接しつつ拡開変形し、引掛け部20が段部4に至った時点で復帰し引掛け部20を段部4に弾性的に係止させ、同時に野縁3を仮止め片19と屈曲片21との間で弾性的に挟持する。これにより、クリップ13、つまりは水切り部材8は野縁3に対してクリップ13の弾性力をもって引掛け部20によって抜け止めされた状態で仮保持される。したがって、取付孔22を通して野縁3に対して釘打ちする際に作業者はクリップ13を手で保持している必要がなく、釘打ち作業を簡単に行うことができる。
【0024】
以上のように、本実施形態によれば、クリップ13を水切り部材8へ装着する作業は、差込口29へ枠状開口縁部14を差し込むだけでよく、またクリップ13を野縁3に装着する作業に際しても、第1係止部16を野縁3の上面部に嵌め付けるだけで、仮止め片19による弾性係止がなされ、仮止め状態とすることができる。したがって、本止め(釘打ち)に際して水切り部材8を装着した状態でのクリップ13を手で保持している必要がないことから、本止めの作業を簡単に行うことができる。
【0025】
また、クリップ13は水切り部材8に対し長手方向及び幅方向のいずれの方向にもがたつきなく保持されるため、水切り部材8を正規に位置決めされた状態で装着がなされる。したがって、水切り部材8は野縁3及び側壁1に対して確実に水切りを行うことができる、という利点もある。
【0026】
さらに、挟持片28は変形防止リブ31を設けて差込口29の開口高さが、成形後の熱収縮の影響を受けて変動しないよう、挟持片28の変形を防止したため、枠状開口縁部14への係止作業の円滑化が達成されている。さらに、こうした変形をより確実に防止するための張り出し部32がクリップ13の幅方向への位置ずれにも寄与する点は既に述べたところである。
【0027】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
【0028】
(1)本実施形態では、水切り部材8の固定を野縁3を利用して行うようにしたが、クリップ13を固定する相手としての構造体は、野縁3に限定されるべきものではない。
【0029】
(2)本実施形態ではクリップ13を水切り部材8に先付けした状態で野縁3への固定を行ったが、作業手順を逆にして、野縁3への固定を行った後に水切り部材8を取付けるようにすることも可能である。
【0030】
(3)本実施形態では、既存構造である段部4を利用してクリップ13を抜け止めした状態で仮保持させたが、仮止め片19と屈曲片21との間で単に弾性的に挟持するだけの仮保持であってもよい。
【0031】
(4)本止めのための釘打ちは、野縁3の上面に対して行ってもよく、また釘打ちに代えてビス締め等、他の手段であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】水切り部材の施工状況を示す断面図
【図2】同じく要部を拡大して示す断面図
【図3】クリップが水切り部材に係止している様子を示す断面図
【図4】水切り部材の施工状況を示す斜視図
【図5】クリップの平面図
【図6】同じく側面図
【符号の説明】
【0033】
3…野縁
4…段部
8…水切り部材
12…通気口
13…クリップ
14…枠状開口縁部
16…第1係止部
17…第2係止部
19…仮止め片
26…爪部
29…差込口
31…変形防止リブ
32…張り出し部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造物の一部に長手方向に沿って開設された開口部に水切り可能に装着されかつ前記構造物の内外を連通及び閉止可能な通気口が前記開口部の長手方向に沿って形成されてなる水切り部材を、前記構造物へ装着させるためのクリップであって、
前記開口部に沿って配された構造体に係止可能な第1係止部と、前記水切り部材へ係止可能な第2係止部とを備えてなり、
この第2係止部は前記通気口の枠状開口縁部を受け入れ可能な差込口が拡開可能に形成されるとともに、同差込口内には前記枠状開口縁部に弾性的に係止してクリップ全体を前記水切り部材に抜け止め状態に保持する爪部が撓み可能に形成され、
前記第1係止部には、前記構造体へ弾性的に係止可能な仮止め片が形成されていることを特徴とするクリップ。
【請求項2】
前記構造体は野縁であり、その側面には長手方向に沿って他の野縁の端部と係止可能な段部が形成される一方、前記仮止め片の先端部にはこの段部に弾性的に係止することで、クリップ全体の前記野縁からの外れ止めを行う引掛け部が形成されていることを特徴とする請求項1記載のクリップ。
【請求項3】
前記水切り部材は前記通気口を有して平板状に形成された基板部を有する一方、
前記第2係止部は前記枠状開口縁部の一面側から当接する当接部を有し、かつこの当接部の側縁からは当接部と対向する側へ片持ち状に折り返され、当接部との間に前記差込口が保有される挟持片が設けられており、また、この挟持片にはその折り返し基部から先端に至るまでの範囲に亘って前記挟持片の延出方向を保持するための変形防止リブが形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のクリップ。
【請求項4】
前記挟持片の折り返し基部の幅方向両端部における外面には、前記当接部の側縁に連結するようにして一対の補強用の張り出し部が幅方向へ張り出し形成されて、前記通気口内にほぼ隙間なく嵌合可能となっていることを特徴とする請求項3記載のクリップ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−38366(P2008−38366A)
【公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−210562(P2006−210562)
【出願日】平成18年8月2日(2006.8.2)
【出願人】(000151597)株式会社東郷製作所 (78)
【Fターム(参考)】