クロック再生装置
【課題】本発明はクロック再生装置に関し、バーストモードに対応でき、また10Gbps以上の高速通信の場合にも安定に発振することができるクロック再生装置を提供することを目的としている。
【解決手段】入力データを受けて該入力データからパルスを作成するパルス作成回路20と、ゲート付きオッシレータ31と、該ゲート付きオッシレータ31の出力と基準クロックとを比較し、その比較結果により前記ゲート付きオッシレータ31に遅延時間を設定するための位相制御信号を与える周波数コントロール回路32から構成されるクロック再生回路30と、によりなり、前記パルス作成回路20の出力で前記ゲート付きオッシレータ31をリセットすると共に、当該ゲート付きオッシレータ31の出力をクロック再生出力とするように構成される。
【解決手段】入力データを受けて該入力データからパルスを作成するパルス作成回路20と、ゲート付きオッシレータ31と、該ゲート付きオッシレータ31の出力と基準クロックとを比較し、その比較結果により前記ゲート付きオッシレータ31に遅延時間を設定するための位相制御信号を与える周波数コントロール回路32から構成されるクロック再生回路30と、によりなり、前記パルス作成回路20の出力で前記ゲート付きオッシレータ31をリセットすると共に、当該ゲート付きオッシレータ31の出力をクロック再生出力とするように構成される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はクロック再生装置に関する。近年、データ伝送の分野では、高速大容量のデータを転送する必要が生じている。例えば、データ伝送装置間を光ファイバで結んで高速大容量のデータを伝送する方式が増えてきている。この種の方式では、光ファイバで送られてきたデータを光/電変換器により電気信号に変換した後、データを再生することが行われる。この種の分野においては、データがバースト的に送られてくる場合が多く、このようなデータを確実に再生するためのクロック再生装置が求められてきている。
【背景技術】
【0002】
図10は従来のクロック再生回路の第1の例を示すブロック図である。この回路は、PLL回路を用いたものであって、アナログ発振器(VCO)1と位相検出器2により入力データと同期したクロックを発生させ、これを再生クロックとするものである。また、このクロックでDタイプフリップフロップ(FF)(以下DFFと略す)3を動作させ、データを再生する。
【0003】
この回路において、入力データ(DATA In)は位相検出器2の一方の入力端子に入り、またDFF3のデータ入力端子に入っている。位相検出器2の出力はアンプ4で増幅された後、VTUNE信号としてVCO1に入力されている。VCO1の出力は、アンプ5で増幅された後、前記DFF3のクロック入力端子と、位相検出器2の他方の入力端子に入っている。そして、アンプ5の出力が再生クロックとなり、この再生クロックでラッチされた入力データが出力データ(再生データ)となる。図で、DATA out*はDATA outの反転出力である。
【0004】
図11は従来のクロック再生回路の第2の例を示すブロック図である。この回路は、2個のリセット付き発振器11,12を持ち、一方の発振器11は入力データが“H”の時、動作し、もう一方の発振器12は入力データが“L”の時、動作する。この2つの発振器11,12の出力を加算し、入力データと同期したクロックを再生するものである。また、この再生クロックにより図10の場合と同様DFF13を動作させて再生データを出力する。
【0005】
この回路において、発振器11(第1の発振器),12(第2の発振器)としては、ゲート付きオッシレータが用いられている。このゲート付きオッシレータは、リングオッシレータとも呼ばれる。入力データ(DATA In)は、第1の発振器11のリセット入力端子に入り、またDFF13のデータ入力端子に入っている。入力データは、インバータ14により反転された後、第2の発振器12のリセット入力端子に入っている。
【0006】
第1の発振器11の出力と第2の発振器12の出力はオアゲート15に入ると共に、それぞれ周波数コントロール回路16に入っている。該周波数コントロール回路16の入力端子には基準クロックも入っている。そして、該周波数コントロール回路16の出力は、それぞれ第1及び第2の発振器11,12に遅延時間を設定するための位相制御信号として与えられている。このように構成された回路によれば、入力データが“H”の時には第1の発振器11が動作し、入力データが“L”の時には第2の発振器12が動作し、これら出力は、オアゲート15に入るので、これら出力が加算されたものとして出力される。このオアゲート15の出力が再生クロック(CLOCK out)となり、DFF13のデータ入力端子に入力されているデータをラッチし、再生データ(DATA out)として出力される。
【0007】
図12は前記したゲート付きオッシレータの構成を示す回路図で、周知の回路である。アンドゲート21の一方の入力端子にはリセット信号が入っている。他方の入力端子には出力が入っている。アンドゲート21の出力はバッファ22を介してインバータ23に入っている。インバータ23は複数個直列に接続されており、最終段のインバータ23の出力が出力(Output)として出力されると共に、前述したようにアンドゲート21の他方の入力端子に帰還されている。この回路は、全体として正帰還回路を構成しており、例えば電源のオンやノイズ等を引き金として発振するようになっている。各ゲート22,23には周波数制御信号が入力されている。この周波数制御信号は、発振回路の遅延時間を設定するための位相制御信号である。リセット入力が“L”の場合には、アンドゲート21の出力は“L”となるので回路は動作しない。リセット入力が“H”の場合には、アンドゲート21の出力は“H”となるので発振回路として機能する。
【0008】
この種のクロック再生装置としては、例えばリング発振を制御し、受信データ信号からクロック信号を再生し出力するクロック再生装置において、前記受信データ信号のエッジ毎に前記受信データ信号の遅延信号のエッジ部分を前記クロック信号の位相判定信号に基づき反転制御して前記リング発振のループへ注入し、前記クロック信号を同期させるようにした技術が知られている(例えば特許文献1参照)。また、再生クロックを出力するクロック再生手段と、該クロック再生手段の出力した再生クロックをカウントするカウント手段と、送信側から受信したクロック情報のうちから有効なクロック情報のみを選択し、選択した受信クロック情報と前記カウント手段のカウント値に基づき、前記クロック再生手段を備えた技術が知られている(例えば特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2004−104522号公報(段落0024〜0034、図1、図3)
【特許文献2】特開2004−179807号公報(段落0008〜0014、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
図10に示したPLL回路を用いた方式の場合、バーストモード(パケットデータが間欠的に送られてくるもの)や、“0”と“1”が長く続く0/1連の信号には利用できないという問題がある。
【0010】
一方、図11に示す2つの発振器の出力を加算する方式の場合、バーストモードに対応できるが、10Gbps以上の高速通信の場合“0”と“1”が入った時、うまく発振せず、回路の安定動作が難しいという問題がある。
【0011】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであって、バーストモードに対応でき、また10Gbps以上の高速通信の場合にも安定に発振することができるクロック再生装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
(1)請求項1記載の発明は、入力データを受けて該入力データからパルスを作成するパルス作成回路と、ゲート付きオッシレータと、該ゲート付きオッシレータの出力と基準クロックの位相とを比較し、その比較結果により前記ゲート付きオッシレータに遅延時間を設定するための位相制御信号を与える周波数コントロール回路から構成されるクロック再生回路と、によりなり、前記パルス作成回路の出力で前記ゲート付きオッシレータをリセットすると共に、当該ゲート付きオッシレータの出力をクロック再生出力とするように構成されたことを特徴とする。
(2)請求項2記載の発明は、前記パルス作成回路は、入力データを微分する微分回路であることを特徴とする。
(3)請求項3記載の発明は、前記パルス作成回路は、入力データと該入力データを所定量だけ遅延させた信号とのアンドをとるアンドゲートから構成されることを特徴とする。
(4)請求項4記載の発明は、前記パルス作成回路は、入力データと該入力データを所定量だけ遅延させた信号との排他的論理和をとる排他的論理和ゲートから構成されることを特徴とする。
(5)請求項5記載の発明は、入力データであるパケットの先頭を検出して、当該先頭に同期したリセットパルスを作成するパルス作成回路と、ゲート付きオッシレータと、該ゲート付きオッシレータの出力と基準クロックとを比較し、その比較結果により前記ゲート付きオッシレータに遅延時間を設定するための位相制御信号を与える周波数コントロール回路から構成されるクロック再生回路と、によりなり、前記パルス作成回路の出力で前記ゲート付きオッシレータをリセットすると共に、当該ゲート付きオッシレータの出力をクロック再生出力とするように構成されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
(1)請求項1記載の発明によれば、データがバースト的に入力されてくる場合において、所定の周期でパルス作成回路の出力パルスでゲート付きオッシレータをリセットして初期化しているので、発振出力が位相がずれてくると、初期化することにより元に戻すように働き、発振するクロックを安定なものとすることができる。
(2)請求項2記載の発明によれば、微分回路の出力で前記ゲート付きオッシレータをリセットすることができる。
(3)請求項3記載の発明によれば、入力データと該入力データを所定量だけ遅延させた信号とのアンドをとることで狭い幅のパルスを作ることができ、このパルスで前記ゲート付きオッシレータをリセットすることができる。
(4)請求項4記載の発明によれば、入力データと該入力データを所定量だけ遅延させた信号との排他的論理和をとることで狭い幅のパルスを作ることができ、このパルスで前記ゲート付きオッシレータをリセットすることができる。
(5)請求項5記載の発明によれば、入力データであるパケットの先頭を検出してパルスを作り、このパルスでゲート付きオッシレータをリセットすることができ、安定な発振に寄与するものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態例を詳細に説明する。図1は第1の発明の一実施の形態例を示すブロック図である。図において、20は入力データ(DATA In)を受けて該入力データからパルスを作成するパルス作成回路、30はゲート付きオッシレータ31と、該ゲート付きオッシレータ31の出力と基準クロックとを比較し、その比較結果により前記ゲート付きオッシレータ31に遅延時間を設定するための位相制御信号を与える周波数コントロール回路32からなるクロック再生回路である。
【0015】
パルス作成回路20は、入力信号(データ)に同期したリセットパルスを発生させる回路であり、クロック再生回路30は、リセットパルスに同期したクロックを再生させる回路である。パルス作成回路20において、25は入力信号を1/Nに分周する分周器、26は該分周器25の出力を受けて微分する容量Cのコンデンサである。なお、分周器25は必ずしも必要な回路ではない。実際には、信号線に付随する抵抗が存在するので、この抵抗の抵抗値RとコンデンサCとでRC微分回路を構成する。この微分回路の出力は、ゲート付きオッシレータ31にリセットパルスとして入っている。この結果、リセットパルスによりゲート付きオッシレータ31に同期をかけることになる。
【0016】
クロック再生回路30において、31は前述したゲート付きオッシレータ、32は周波数コントロール回路である。ゲート付きオッシレータ31の出力は周波数コントロール回路32の一方の入力端子に入り、該周波数コントロール回路32の他方の入力端子には基準クロックが入っている。そして、該周波数コントロール回路32は、出力クロックと基準クロックとの位相差を検出し、検出結果に基づき、前記ゲート付きオッシレータ31に遅延時間を設定するための位相制御信号として入力する。
【0017】
図2は図1で用いるゲート付きオッシレータ31の構成例を示す図である。該ゲート付きオッシレータ31は、リセット入力端子と、該リセット入力端子からの信号が入力されるバッファ31aと該バッファ31aの出力を受けるインバータ31bから構成されている。インバータ31bは複数個直列接続されており、その数は安定な発振を行なうために奇数個に設定されている。バッファ31a及び各インバータ31bには周波数制御信号(位相制御信号)が入力されており、オッシレータの遅延時間を設定し、リセットパルス幅を決定する。
【0018】
図3は図1に示す回路の各部の動作波形を示す図である。(a)は入力データ、(b)は1/N分周器25による分周出力である。ここでは、分周数NとしてN=2、即ち1/2分周を用いている例を示しているが、これに限るものではない。(c)は微分回路の微分出力波形である。この微分波形の正方向又は負方向のパルスのいずれもリセットパルスとして使用することができる。(d)はゲート付きオッシレータ31の出力である。41はゲート付きオッシレータ31の出力を逓倍する逓倍器である。該逓倍器41の逓倍率はMである。このM逓倍器41は回路のループから外れた場所にあり、ゲート付きオッシレータ31の再生クロックをM倍に逓倍することができる。逓倍周波数としては、例えば40GHz、20GHz、10GHz等が用いられる。
【0019】
実際には逓倍器41によりM逓倍されたクロックが再生クロックとして出力される。この再生クロック(CLOCK out)でDFF42のクロック入力端子をたたき、そのD入力端子に入る入力データをラッチする。なお、入力クロックのタイミングと入力データのタイミングを調整するためのディレイラインが信号線43に設けられている。このディレイラインのディレイ量を調整することにより、入力データを再生クロックで確実にラッチすることができる。このラッチされたデータが再生データ(DATA out)となる。このように構成された回路の動作を説明すれば、以下の通りである。
【0020】
先ず、入力データがパルス作成回路20に入って微分パルスが作成される。このパルスがゲート付きオッシレータ31のリセットパルスになる。クロック再生回路30は再生クロックを発生するが、前記微分回路の微分パルスによりリセットされるので、その度毎に初期化され、位相の遅れが目立ってくる前にリセットをかけて初期状態に引き戻す。これにより、安定な発振を維持することが可能になる。なお、ゲート付きオッシレータ31からは再生クロックが出力されるが、その周波数は前記した基準クロックと同じである。
【0021】
この回路の効果を列挙すると以下の通りである。
1)入力されるデータのパケット長の制限がない。
2)高いビットレートでも安定した動作が得られる。
3)プリアセンブルが不要である。ここで、プリアセンブルとはパケットの先頭に同期をとるための信号を入れたヘッダを設けることである。本発明によれば、このような対策が不要となる。
4)回路の構成上、パケットなしの期間でもクロックを再生することができる。
【0022】
図4は第2の発明の第1の実施の形態例を示すブロック図である。図1と同一のものは、同一の符号を付して示し、同じものの説明は繰り返さない。図において、20Aはパルス作成回路である。このパルス作成回路20Aは、微分回路ではなく、アンド回路によりリセットパルスを作成するようになっている。クロック再生回路30、逓倍器41、DFF42の構成は図1と同じである。なお、ここではゲート付きオッシレータとしては、図12に示すものを用いる。
【0023】
このように構成された回路において、パルス作成回路20Aの動作について説明する。この回路において、25は1/N分周器で、ここでは1/2分周の場合について示している。該1/N分周器25の出力は、アンドゲート36の一方の入力端子に入り、またインバータ37にも入っている。インバータ37の出力はディレイ素子38に入って所定時間遅延される。この遅延された出力と前記直に入れられた入力データとの論理積がアンドゲート36でとられる。
【0024】
この部分の動作を図5のタイムチャートを用いて説明する。(a)は入力データ、(b)は1/N分周された入力データ、(c)はディレイ素子38により遅延された入力データである。この1/N分周器25の出力とディレイ素子38により遅延された入力データとの論理積がとられて(d)に示すようなパルスがアンドゲート36から出力される。このアンドゲート36の出力からリセットパルスがゲート付きオッシレータ31に入力されるので、ゲート付きオッシレータ31は同期をかけられ、リセットパルスが入る都度初期値に戻る。従って、位相がずれようとすると初期値に引き戻されるので、(e)に示すような位相ずれのない安定な再生クロックを得ることができる。そして、逓倍器41からは安定な再生クロックが出力され、DFF42からは安定な再生データが出力される。
【0025】
図6は第2の発明の第2の実施の形態例を示すブロック図である。図4と同一のものは、同一の符号を付して示し、同じものの説明は繰り返さない。図において、20Bはパルス作成回路である。このパルス作成回路20Bは、微分回路ではなく、排他的論理和(EXOR)ゲート39によりリセットパルスを作成するようになっている。クロック再生回路30、逓倍器41、DFF42の構成は図1と同じである。ここでは、ゲート付きオッシレータとしては、図12に示すものが用いられる。
【0026】
このように構成された回路において、パルス作成回路20Bの動作について説明する。この回路において、25は1/N分周器で、ここでは1/2分周の場合について示している。該1/N分周器25の出力は、排他的論理和ゲート39の一方の入力端子に入り、またインバータ37にも入っている。インバータ37の出力はディレイ素子35に入って所定時間遅延される。この遅延された出力と前記直に入れられた入力データとの排他的論理和がEXORゲート39でとられる。
【0027】
この部分の動作を図7のタイムチャートを用いて説明する。(a)は入力データ、(b)は1/N分周された入力データ、(c)はディレイ素子38により遅延された入力データである。この1/N分周器25の出力とディレイ素子38により遅延された入力データとの排他的論理和がEXORゲートでとられて(d)に示すようなパルスが該EXORゲート39から出力される。このEXORゲート39の出力からリセットパルスがゲート付きオッシレータ31に入力されるので、ゲート付きオッシレータ31は同期をかけられ、リセットパルスが入る都度初期値に戻る。従って、位相がずれようとすると初期値に引き戻されるので、(e)に示すように位相ずれのない安定な再生クロックを得ることができる。そして、逓倍器41からは安定な再生クロックが出力され、DFF42からは安定な再生データが出力される。
【0028】
第2の発明の効果を列挙すると、以下のような効果が得られる。
1)パケット長の制限がない。
2)高いビットレートでも安定した動作が得られる。
3)プリアセンブリが不要である。
4)パケットなしの区間でもクロックを再生することができる。
【0029】
図8は第3の発明の一実施の形態例を示すブロック図である。図1と同一のものは、同一の符号を付して示す。図において、50はパケットの先頭に同期したリセットパルスを発生させるパルス作成回路、30はクロック再生回路であり、逓倍器41、DFF42の構成は図1と同じである。
【0030】
このように構成された回路において、パルス作成回路50の動作について説明する。この回路において、51は入力データをそのクロック入力端子に受けるDFF、52はパケットディテクト&カウンタ(以下単にカウンタという)で、その入力端子にはDFF51のQ*信号(*は反転を示す)が入っている。また、カウンタ52の出力は、前記DFF51のリセット入力端子に入っている。該DFF51のD入力端子は図示されていないが、“H”レベル又は“L”レベルに固定されている。53はDFF51のQ*信号を入力するディレイ素子でその出力はEXORゲート54の一方の入力端子に入っている。EXORゲート54の他方の入力端子にはDFF51のQ出力がそのまま入っている。その他の構成は図1と同じである。
【0031】
図9は図8に示す回路の各部の動作波形を示す図である。(a)は入力データであるパケット、(b)はDFF51の出力、(c)はディレイ素子53の出力、(d)はEXORゲート54の出力、(e)はゲート付きオッシレータ31の出力である。DFF51はクロック入力端子に入力データが入っているので、この入力データの立上がりでD端子に入力されている固定データをQ出力端子と、Q*出力端子から出力する。この結果、DFF51は、入力パケットの先頭に同期した(b)に示すような波形を出力する。なお、カウンタ52はDFF51の反転出力をカウントし、カウント値がオーバした時にDFF51をリセットする。
【0032】
このQ出力はそのままEXORゲート54の一方の入力端子に入り、Q*出力はディレイ素子53により遅延された後、EXORゲート54の他方の入力端子に入る。EXORゲート54は、(b)信号と(c)信号との排他的論理和をとり、EXORゲート54の出力からは、(d)に示すようなパルスが発生する。このパルスでゲート付きオッシレータ31をリセットする。この場合において、入力データは、DFF42のデータ入力端子に入り、クロック再生回路30の出力をM逓倍器41でM逓倍したクロックが再生クロックとしてDFF42のクロック入力に入る。この結果、DFF42からは再生されたデータ(DATA out)が出力され、同時に逓倍器41から再生されたクロック(CLOCK out)が出力される。
【0033】
第3の発明の効果を列挙すると、以下のとおりである。
1)低速なリセット信号で動作が可能である。
2)高いビットレートでも安定した動作が得られる。
3)プリアセンブルが不要である。
4)パケットがなくてもクロックを発生することができる。
【0034】
以上、説明したように、本発明によれば、バーストモードに対応でき、また10Gbps以上の高速通信の場合にも安定に発振することができるクロック再生装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】第1の発明の一実施の形態例を示すブロック図である。
【図2】図1で用いるゲート付きオッシレータの構成例を示す図である。
【図3】図1に示す回路の各部の動作波形を示す図である。
【図4】第2の発明の第1の実施の形態例を示すブロック図である。
【図5】図4に示す回路の各部の動作波形を示す図である。
【図6】第2の発明の第2の実施の形態例を示すブロック図である。
【図7】図6に示す回路の各部の動作波形を示す図である。
【図8】第3の発明の一実施の形態例を示すブロック図である。
【図9】図8に示す回路の各部の動作波形を示す図である。
【図10】従来のクロック再生回路の第1の例を示すブロック図である。
【図11】従来のクロック再生回路の第2の例を示すブロック図である。
【図12】図11で用いるゲート付きオッシレータの構成例を示す図である。
【符号の説明】
【0036】
20 パルス作成回路
21 1/N分周器
22 コンデンサ
30 クロック再生回路
31 ゲート付きオッシレータ
32 周波数コントロール回路
41 M逓倍器
42 Dタイプフリップフロップ
43 信号線
【技術分野】
【0001】
本発明はクロック再生装置に関する。近年、データ伝送の分野では、高速大容量のデータを転送する必要が生じている。例えば、データ伝送装置間を光ファイバで結んで高速大容量のデータを伝送する方式が増えてきている。この種の方式では、光ファイバで送られてきたデータを光/電変換器により電気信号に変換した後、データを再生することが行われる。この種の分野においては、データがバースト的に送られてくる場合が多く、このようなデータを確実に再生するためのクロック再生装置が求められてきている。
【背景技術】
【0002】
図10は従来のクロック再生回路の第1の例を示すブロック図である。この回路は、PLL回路を用いたものであって、アナログ発振器(VCO)1と位相検出器2により入力データと同期したクロックを発生させ、これを再生クロックとするものである。また、このクロックでDタイプフリップフロップ(FF)(以下DFFと略す)3を動作させ、データを再生する。
【0003】
この回路において、入力データ(DATA In)は位相検出器2の一方の入力端子に入り、またDFF3のデータ入力端子に入っている。位相検出器2の出力はアンプ4で増幅された後、VTUNE信号としてVCO1に入力されている。VCO1の出力は、アンプ5で増幅された後、前記DFF3のクロック入力端子と、位相検出器2の他方の入力端子に入っている。そして、アンプ5の出力が再生クロックとなり、この再生クロックでラッチされた入力データが出力データ(再生データ)となる。図で、DATA out*はDATA outの反転出力である。
【0004】
図11は従来のクロック再生回路の第2の例を示すブロック図である。この回路は、2個のリセット付き発振器11,12を持ち、一方の発振器11は入力データが“H”の時、動作し、もう一方の発振器12は入力データが“L”の時、動作する。この2つの発振器11,12の出力を加算し、入力データと同期したクロックを再生するものである。また、この再生クロックにより図10の場合と同様DFF13を動作させて再生データを出力する。
【0005】
この回路において、発振器11(第1の発振器),12(第2の発振器)としては、ゲート付きオッシレータが用いられている。このゲート付きオッシレータは、リングオッシレータとも呼ばれる。入力データ(DATA In)は、第1の発振器11のリセット入力端子に入り、またDFF13のデータ入力端子に入っている。入力データは、インバータ14により反転された後、第2の発振器12のリセット入力端子に入っている。
【0006】
第1の発振器11の出力と第2の発振器12の出力はオアゲート15に入ると共に、それぞれ周波数コントロール回路16に入っている。該周波数コントロール回路16の入力端子には基準クロックも入っている。そして、該周波数コントロール回路16の出力は、それぞれ第1及び第2の発振器11,12に遅延時間を設定するための位相制御信号として与えられている。このように構成された回路によれば、入力データが“H”の時には第1の発振器11が動作し、入力データが“L”の時には第2の発振器12が動作し、これら出力は、オアゲート15に入るので、これら出力が加算されたものとして出力される。このオアゲート15の出力が再生クロック(CLOCK out)となり、DFF13のデータ入力端子に入力されているデータをラッチし、再生データ(DATA out)として出力される。
【0007】
図12は前記したゲート付きオッシレータの構成を示す回路図で、周知の回路である。アンドゲート21の一方の入力端子にはリセット信号が入っている。他方の入力端子には出力が入っている。アンドゲート21の出力はバッファ22を介してインバータ23に入っている。インバータ23は複数個直列に接続されており、最終段のインバータ23の出力が出力(Output)として出力されると共に、前述したようにアンドゲート21の他方の入力端子に帰還されている。この回路は、全体として正帰還回路を構成しており、例えば電源のオンやノイズ等を引き金として発振するようになっている。各ゲート22,23には周波数制御信号が入力されている。この周波数制御信号は、発振回路の遅延時間を設定するための位相制御信号である。リセット入力が“L”の場合には、アンドゲート21の出力は“L”となるので回路は動作しない。リセット入力が“H”の場合には、アンドゲート21の出力は“H”となるので発振回路として機能する。
【0008】
この種のクロック再生装置としては、例えばリング発振を制御し、受信データ信号からクロック信号を再生し出力するクロック再生装置において、前記受信データ信号のエッジ毎に前記受信データ信号の遅延信号のエッジ部分を前記クロック信号の位相判定信号に基づき反転制御して前記リング発振のループへ注入し、前記クロック信号を同期させるようにした技術が知られている(例えば特許文献1参照)。また、再生クロックを出力するクロック再生手段と、該クロック再生手段の出力した再生クロックをカウントするカウント手段と、送信側から受信したクロック情報のうちから有効なクロック情報のみを選択し、選択した受信クロック情報と前記カウント手段のカウント値に基づき、前記クロック再生手段を備えた技術が知られている(例えば特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2004−104522号公報(段落0024〜0034、図1、図3)
【特許文献2】特開2004−179807号公報(段落0008〜0014、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
図10に示したPLL回路を用いた方式の場合、バーストモード(パケットデータが間欠的に送られてくるもの)や、“0”と“1”が長く続く0/1連の信号には利用できないという問題がある。
【0010】
一方、図11に示す2つの発振器の出力を加算する方式の場合、バーストモードに対応できるが、10Gbps以上の高速通信の場合“0”と“1”が入った時、うまく発振せず、回路の安定動作が難しいという問題がある。
【0011】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであって、バーストモードに対応でき、また10Gbps以上の高速通信の場合にも安定に発振することができるクロック再生装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
(1)請求項1記載の発明は、入力データを受けて該入力データからパルスを作成するパルス作成回路と、ゲート付きオッシレータと、該ゲート付きオッシレータの出力と基準クロックの位相とを比較し、その比較結果により前記ゲート付きオッシレータに遅延時間を設定するための位相制御信号を与える周波数コントロール回路から構成されるクロック再生回路と、によりなり、前記パルス作成回路の出力で前記ゲート付きオッシレータをリセットすると共に、当該ゲート付きオッシレータの出力をクロック再生出力とするように構成されたことを特徴とする。
(2)請求項2記載の発明は、前記パルス作成回路は、入力データを微分する微分回路であることを特徴とする。
(3)請求項3記載の発明は、前記パルス作成回路は、入力データと該入力データを所定量だけ遅延させた信号とのアンドをとるアンドゲートから構成されることを特徴とする。
(4)請求項4記載の発明は、前記パルス作成回路は、入力データと該入力データを所定量だけ遅延させた信号との排他的論理和をとる排他的論理和ゲートから構成されることを特徴とする。
(5)請求項5記載の発明は、入力データであるパケットの先頭を検出して、当該先頭に同期したリセットパルスを作成するパルス作成回路と、ゲート付きオッシレータと、該ゲート付きオッシレータの出力と基準クロックとを比較し、その比較結果により前記ゲート付きオッシレータに遅延時間を設定するための位相制御信号を与える周波数コントロール回路から構成されるクロック再生回路と、によりなり、前記パルス作成回路の出力で前記ゲート付きオッシレータをリセットすると共に、当該ゲート付きオッシレータの出力をクロック再生出力とするように構成されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
(1)請求項1記載の発明によれば、データがバースト的に入力されてくる場合において、所定の周期でパルス作成回路の出力パルスでゲート付きオッシレータをリセットして初期化しているので、発振出力が位相がずれてくると、初期化することにより元に戻すように働き、発振するクロックを安定なものとすることができる。
(2)請求項2記載の発明によれば、微分回路の出力で前記ゲート付きオッシレータをリセットすることができる。
(3)請求項3記載の発明によれば、入力データと該入力データを所定量だけ遅延させた信号とのアンドをとることで狭い幅のパルスを作ることができ、このパルスで前記ゲート付きオッシレータをリセットすることができる。
(4)請求項4記載の発明によれば、入力データと該入力データを所定量だけ遅延させた信号との排他的論理和をとることで狭い幅のパルスを作ることができ、このパルスで前記ゲート付きオッシレータをリセットすることができる。
(5)請求項5記載の発明によれば、入力データであるパケットの先頭を検出してパルスを作り、このパルスでゲート付きオッシレータをリセットすることができ、安定な発振に寄与するものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態例を詳細に説明する。図1は第1の発明の一実施の形態例を示すブロック図である。図において、20は入力データ(DATA In)を受けて該入力データからパルスを作成するパルス作成回路、30はゲート付きオッシレータ31と、該ゲート付きオッシレータ31の出力と基準クロックとを比較し、その比較結果により前記ゲート付きオッシレータ31に遅延時間を設定するための位相制御信号を与える周波数コントロール回路32からなるクロック再生回路である。
【0015】
パルス作成回路20は、入力信号(データ)に同期したリセットパルスを発生させる回路であり、クロック再生回路30は、リセットパルスに同期したクロックを再生させる回路である。パルス作成回路20において、25は入力信号を1/Nに分周する分周器、26は該分周器25の出力を受けて微分する容量Cのコンデンサである。なお、分周器25は必ずしも必要な回路ではない。実際には、信号線に付随する抵抗が存在するので、この抵抗の抵抗値RとコンデンサCとでRC微分回路を構成する。この微分回路の出力は、ゲート付きオッシレータ31にリセットパルスとして入っている。この結果、リセットパルスによりゲート付きオッシレータ31に同期をかけることになる。
【0016】
クロック再生回路30において、31は前述したゲート付きオッシレータ、32は周波数コントロール回路である。ゲート付きオッシレータ31の出力は周波数コントロール回路32の一方の入力端子に入り、該周波数コントロール回路32の他方の入力端子には基準クロックが入っている。そして、該周波数コントロール回路32は、出力クロックと基準クロックとの位相差を検出し、検出結果に基づき、前記ゲート付きオッシレータ31に遅延時間を設定するための位相制御信号として入力する。
【0017】
図2は図1で用いるゲート付きオッシレータ31の構成例を示す図である。該ゲート付きオッシレータ31は、リセット入力端子と、該リセット入力端子からの信号が入力されるバッファ31aと該バッファ31aの出力を受けるインバータ31bから構成されている。インバータ31bは複数個直列接続されており、その数は安定な発振を行なうために奇数個に設定されている。バッファ31a及び各インバータ31bには周波数制御信号(位相制御信号)が入力されており、オッシレータの遅延時間を設定し、リセットパルス幅を決定する。
【0018】
図3は図1に示す回路の各部の動作波形を示す図である。(a)は入力データ、(b)は1/N分周器25による分周出力である。ここでは、分周数NとしてN=2、即ち1/2分周を用いている例を示しているが、これに限るものではない。(c)は微分回路の微分出力波形である。この微分波形の正方向又は負方向のパルスのいずれもリセットパルスとして使用することができる。(d)はゲート付きオッシレータ31の出力である。41はゲート付きオッシレータ31の出力を逓倍する逓倍器である。該逓倍器41の逓倍率はMである。このM逓倍器41は回路のループから外れた場所にあり、ゲート付きオッシレータ31の再生クロックをM倍に逓倍することができる。逓倍周波数としては、例えば40GHz、20GHz、10GHz等が用いられる。
【0019】
実際には逓倍器41によりM逓倍されたクロックが再生クロックとして出力される。この再生クロック(CLOCK out)でDFF42のクロック入力端子をたたき、そのD入力端子に入る入力データをラッチする。なお、入力クロックのタイミングと入力データのタイミングを調整するためのディレイラインが信号線43に設けられている。このディレイラインのディレイ量を調整することにより、入力データを再生クロックで確実にラッチすることができる。このラッチされたデータが再生データ(DATA out)となる。このように構成された回路の動作を説明すれば、以下の通りである。
【0020】
先ず、入力データがパルス作成回路20に入って微分パルスが作成される。このパルスがゲート付きオッシレータ31のリセットパルスになる。クロック再生回路30は再生クロックを発生するが、前記微分回路の微分パルスによりリセットされるので、その度毎に初期化され、位相の遅れが目立ってくる前にリセットをかけて初期状態に引き戻す。これにより、安定な発振を維持することが可能になる。なお、ゲート付きオッシレータ31からは再生クロックが出力されるが、その周波数は前記した基準クロックと同じである。
【0021】
この回路の効果を列挙すると以下の通りである。
1)入力されるデータのパケット長の制限がない。
2)高いビットレートでも安定した動作が得られる。
3)プリアセンブルが不要である。ここで、プリアセンブルとはパケットの先頭に同期をとるための信号を入れたヘッダを設けることである。本発明によれば、このような対策が不要となる。
4)回路の構成上、パケットなしの期間でもクロックを再生することができる。
【0022】
図4は第2の発明の第1の実施の形態例を示すブロック図である。図1と同一のものは、同一の符号を付して示し、同じものの説明は繰り返さない。図において、20Aはパルス作成回路である。このパルス作成回路20Aは、微分回路ではなく、アンド回路によりリセットパルスを作成するようになっている。クロック再生回路30、逓倍器41、DFF42の構成は図1と同じである。なお、ここではゲート付きオッシレータとしては、図12に示すものを用いる。
【0023】
このように構成された回路において、パルス作成回路20Aの動作について説明する。この回路において、25は1/N分周器で、ここでは1/2分周の場合について示している。該1/N分周器25の出力は、アンドゲート36の一方の入力端子に入り、またインバータ37にも入っている。インバータ37の出力はディレイ素子38に入って所定時間遅延される。この遅延された出力と前記直に入れられた入力データとの論理積がアンドゲート36でとられる。
【0024】
この部分の動作を図5のタイムチャートを用いて説明する。(a)は入力データ、(b)は1/N分周された入力データ、(c)はディレイ素子38により遅延された入力データである。この1/N分周器25の出力とディレイ素子38により遅延された入力データとの論理積がとられて(d)に示すようなパルスがアンドゲート36から出力される。このアンドゲート36の出力からリセットパルスがゲート付きオッシレータ31に入力されるので、ゲート付きオッシレータ31は同期をかけられ、リセットパルスが入る都度初期値に戻る。従って、位相がずれようとすると初期値に引き戻されるので、(e)に示すような位相ずれのない安定な再生クロックを得ることができる。そして、逓倍器41からは安定な再生クロックが出力され、DFF42からは安定な再生データが出力される。
【0025】
図6は第2の発明の第2の実施の形態例を示すブロック図である。図4と同一のものは、同一の符号を付して示し、同じものの説明は繰り返さない。図において、20Bはパルス作成回路である。このパルス作成回路20Bは、微分回路ではなく、排他的論理和(EXOR)ゲート39によりリセットパルスを作成するようになっている。クロック再生回路30、逓倍器41、DFF42の構成は図1と同じである。ここでは、ゲート付きオッシレータとしては、図12に示すものが用いられる。
【0026】
このように構成された回路において、パルス作成回路20Bの動作について説明する。この回路において、25は1/N分周器で、ここでは1/2分周の場合について示している。該1/N分周器25の出力は、排他的論理和ゲート39の一方の入力端子に入り、またインバータ37にも入っている。インバータ37の出力はディレイ素子35に入って所定時間遅延される。この遅延された出力と前記直に入れられた入力データとの排他的論理和がEXORゲート39でとられる。
【0027】
この部分の動作を図7のタイムチャートを用いて説明する。(a)は入力データ、(b)は1/N分周された入力データ、(c)はディレイ素子38により遅延された入力データである。この1/N分周器25の出力とディレイ素子38により遅延された入力データとの排他的論理和がEXORゲートでとられて(d)に示すようなパルスが該EXORゲート39から出力される。このEXORゲート39の出力からリセットパルスがゲート付きオッシレータ31に入力されるので、ゲート付きオッシレータ31は同期をかけられ、リセットパルスが入る都度初期値に戻る。従って、位相がずれようとすると初期値に引き戻されるので、(e)に示すように位相ずれのない安定な再生クロックを得ることができる。そして、逓倍器41からは安定な再生クロックが出力され、DFF42からは安定な再生データが出力される。
【0028】
第2の発明の効果を列挙すると、以下のような効果が得られる。
1)パケット長の制限がない。
2)高いビットレートでも安定した動作が得られる。
3)プリアセンブリが不要である。
4)パケットなしの区間でもクロックを再生することができる。
【0029】
図8は第3の発明の一実施の形態例を示すブロック図である。図1と同一のものは、同一の符号を付して示す。図において、50はパケットの先頭に同期したリセットパルスを発生させるパルス作成回路、30はクロック再生回路であり、逓倍器41、DFF42の構成は図1と同じである。
【0030】
このように構成された回路において、パルス作成回路50の動作について説明する。この回路において、51は入力データをそのクロック入力端子に受けるDFF、52はパケットディテクト&カウンタ(以下単にカウンタという)で、その入力端子にはDFF51のQ*信号(*は反転を示す)が入っている。また、カウンタ52の出力は、前記DFF51のリセット入力端子に入っている。該DFF51のD入力端子は図示されていないが、“H”レベル又は“L”レベルに固定されている。53はDFF51のQ*信号を入力するディレイ素子でその出力はEXORゲート54の一方の入力端子に入っている。EXORゲート54の他方の入力端子にはDFF51のQ出力がそのまま入っている。その他の構成は図1と同じである。
【0031】
図9は図8に示す回路の各部の動作波形を示す図である。(a)は入力データであるパケット、(b)はDFF51の出力、(c)はディレイ素子53の出力、(d)はEXORゲート54の出力、(e)はゲート付きオッシレータ31の出力である。DFF51はクロック入力端子に入力データが入っているので、この入力データの立上がりでD端子に入力されている固定データをQ出力端子と、Q*出力端子から出力する。この結果、DFF51は、入力パケットの先頭に同期した(b)に示すような波形を出力する。なお、カウンタ52はDFF51の反転出力をカウントし、カウント値がオーバした時にDFF51をリセットする。
【0032】
このQ出力はそのままEXORゲート54の一方の入力端子に入り、Q*出力はディレイ素子53により遅延された後、EXORゲート54の他方の入力端子に入る。EXORゲート54は、(b)信号と(c)信号との排他的論理和をとり、EXORゲート54の出力からは、(d)に示すようなパルスが発生する。このパルスでゲート付きオッシレータ31をリセットする。この場合において、入力データは、DFF42のデータ入力端子に入り、クロック再生回路30の出力をM逓倍器41でM逓倍したクロックが再生クロックとしてDFF42のクロック入力に入る。この結果、DFF42からは再生されたデータ(DATA out)が出力され、同時に逓倍器41から再生されたクロック(CLOCK out)が出力される。
【0033】
第3の発明の効果を列挙すると、以下のとおりである。
1)低速なリセット信号で動作が可能である。
2)高いビットレートでも安定した動作が得られる。
3)プリアセンブルが不要である。
4)パケットがなくてもクロックを発生することができる。
【0034】
以上、説明したように、本発明によれば、バーストモードに対応でき、また10Gbps以上の高速通信の場合にも安定に発振することができるクロック再生装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】第1の発明の一実施の形態例を示すブロック図である。
【図2】図1で用いるゲート付きオッシレータの構成例を示す図である。
【図3】図1に示す回路の各部の動作波形を示す図である。
【図4】第2の発明の第1の実施の形態例を示すブロック図である。
【図5】図4に示す回路の各部の動作波形を示す図である。
【図6】第2の発明の第2の実施の形態例を示すブロック図である。
【図7】図6に示す回路の各部の動作波形を示す図である。
【図8】第3の発明の一実施の形態例を示すブロック図である。
【図9】図8に示す回路の各部の動作波形を示す図である。
【図10】従来のクロック再生回路の第1の例を示すブロック図である。
【図11】従来のクロック再生回路の第2の例を示すブロック図である。
【図12】図11で用いるゲート付きオッシレータの構成例を示す図である。
【符号の説明】
【0036】
20 パルス作成回路
21 1/N分周器
22 コンデンサ
30 クロック再生回路
31 ゲート付きオッシレータ
32 周波数コントロール回路
41 M逓倍器
42 Dタイプフリップフロップ
43 信号線
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力データを受けて該入力データからパルスを作成するパルス作成回路と、
ゲート付きオッシレータと、該ゲート付きオッシレータの出力と基準クロックの位相とを比較し、その比較結果により前記ゲート付きオッシレータに遅延時間を設定するための位相制御信号を与える周波数コントロール回路から構成されるクロック再生回路と、
によりなり、
前記パルス作成回路の出力で前記ゲート付きオッシレータをリセットすると共に、当該ゲート付きオッシレータの出力をクロック再生出力とするように構成されたことを特徴とするクロック再生装置。
【請求項2】
前記パルス作成回路は、入力データを微分する微分回路であることを特徴とする請求項1記載のクロック再生装置。
【請求項3】
前記パルス作成回路は、入力データと該入力データを所定量だけ遅延させた信号とのアンドをとるアンドゲートから構成されることを特徴とする請求項1記載のクロック再生装置。
【請求項4】
前記パルス作成回路は、入力データと該入力データを所定量だけ遅延させた信号との排他的論理和をとる排他的論理和ゲートから構成されることを特徴とする請求項1記載のクロック再生装置。
【請求項5】
入力データであるパケットの先頭を検出して、当該先頭に同期したリセットパルスを作成するパルス作成回路と、
ゲート付きオッシレータと、該ゲート付きオッシレータの出力と基準クロックとを比較し、その比較結果により前記ゲート付きオッシレータに遅延時間を設定するための位相制御信号を与える周波数コントロール回路から構成されるクロック再生回路と、
によりなり、
前記パルス作成回路の出力で前記ゲート付きオッシレータをリセットすると共に、当該ゲート付きオッシレータの出力をクロック再生出力とするように構成されたことを特徴とするクロック再生装置。
【請求項1】
入力データを受けて該入力データからパルスを作成するパルス作成回路と、
ゲート付きオッシレータと、該ゲート付きオッシレータの出力と基準クロックの位相とを比較し、その比較結果により前記ゲート付きオッシレータに遅延時間を設定するための位相制御信号を与える周波数コントロール回路から構成されるクロック再生回路と、
によりなり、
前記パルス作成回路の出力で前記ゲート付きオッシレータをリセットすると共に、当該ゲート付きオッシレータの出力をクロック再生出力とするように構成されたことを特徴とするクロック再生装置。
【請求項2】
前記パルス作成回路は、入力データを微分する微分回路であることを特徴とする請求項1記載のクロック再生装置。
【請求項3】
前記パルス作成回路は、入力データと該入力データを所定量だけ遅延させた信号とのアンドをとるアンドゲートから構成されることを特徴とする請求項1記載のクロック再生装置。
【請求項4】
前記パルス作成回路は、入力データと該入力データを所定量だけ遅延させた信号との排他的論理和をとる排他的論理和ゲートから構成されることを特徴とする請求項1記載のクロック再生装置。
【請求項5】
入力データであるパケットの先頭を検出して、当該先頭に同期したリセットパルスを作成するパルス作成回路と、
ゲート付きオッシレータと、該ゲート付きオッシレータの出力と基準クロックとを比較し、その比較結果により前記ゲート付きオッシレータに遅延時間を設定するための位相制御信号を与える周波数コントロール回路から構成されるクロック再生回路と、
によりなり、
前記パルス作成回路の出力で前記ゲート付きオッシレータをリセットすると共に、当該ゲート付きオッシレータの出力をクロック再生出力とするように構成されたことを特徴とするクロック再生装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2007−189445(P2007−189445A)
【公開日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−5161(P2006−5161)
【出願日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【出願人】(000006507)横河電機株式会社 (4,443)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【出願人】(000006507)横河電機株式会社 (4,443)
【Fターム(参考)】
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