説明

グラスランおよびその製造方法

【課題】断面略チャンネル状のベース部の材料として比較的安価な熱可塑性樹脂を用いてコストダウンを図りつつ、ドアサッシュ部への組付作業性を改善したグラスランを提供する。
【解決手段】断面略チャンネル状のベース部4をポリプロピレンの発泡体によって形成する一方、そのベース部4から突設されたシールリップ5をオレフィン系熱可塑性エラストマーによって形成する。このように、ベース部4の材料として比較的安価なポリプロピレンを採用しつつも、そのポリプロピレンを発泡体とすることで湾曲容易性を具備させてドアサッシュ部への組付作業性を向上させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は自動車のドアサッシュ部に装着されるグラスランとその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、自動車のドアサッシュ部にはグラスランが装着され、そのグラスランによって昇降式のドアガラスを案内しつつそのドアガラスとドアサッシュ部との間をシールするようになっている。
【0003】
このようなグラスランの材料として、近年、軽量化やリサイクル性の観点から熱可塑性エラストマーの使用が進められている。しかしながら、この熱可塑性エラストマーの製造には動的架橋が必要であるため、その製造工程が複雑化してコストが高騰するという問題があった。そこで、例えば特許文献1に記載のグラスランのように、グラスランのうち断面略チャンネル状のベース部たるチャンネル部を高硬度の熱可塑性樹脂によって形成することにより、熱可塑性エラストマーの使用量を削減してコストの低減を図ったグラスランが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−334830号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、上記グラスランをドアサッシュ部に組み付けるにあたっては、そのグラスランを上記ドアサッシュ部に倣って湾曲させることになるが、特許文献1に記載のグラスランでは、上記チャンネル部が高硬度の熱可塑性樹脂によって形成されているためにその可撓性に乏しく、グラスランの組付作業が困難になるという問題があった。
【0006】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであって、比較的安価な材料を使用することでコストの低減を図りつつも、組付作業性の改善を図ったグラスランを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、断面略チャンネル状のベース部と、そのベース部から内方に突設されたシールリップとを有するグラスランにおいて、上記ベース部の両側壁部および底壁部のうち少なくともいずれかが熱可塑性樹脂の発泡体をもって形成されている一方、上記シールリップを含む残余の部分が熱可塑性エラストマーをもって形成されていることを特徴としている。
【0008】
上記熱可塑性樹脂および熱可塑性エラストマーとして具体的には、物性とコストのバランスを考慮すると、請求項2に記載の発明のように、上記熱可塑性樹脂および熱可塑性エラストマーのそれぞれをオレフィン系のものとすることが好ましい。
【0009】
したがって、少なくとも請求項1に記載の発明では、上記ベース部の両側壁部および底壁部のうち少なくともいずれかの材料として比較的安価な熱可塑性樹脂を採用しつつも、その熱可塑性樹脂を発泡体とすることで湾曲容易性を具備させることができる。
【0010】
より具体的には、請求項3に記載の発明のように、上記ベース部のうち両側壁部および底壁部のそれぞれが上記発泡体をもって形成されていて、そのベース部のうち両側壁部の先端に熱可塑性エラストマーからなるシールリップが突設されていると、上記熱可塑性樹脂の発泡体を用いたことによるコスト低減効果がより大きなものとなる。
【0011】
その上で、請求項4に記載の発明のように、上記発泡体のうち肉厚方向外側の部分が上記発泡体のうち肉厚方向内側の部分よりも低発泡に形成されていると、上記発泡体の湾曲容易性を確保しつつも、その発泡体のうち表面部分の剛性を高めて当該発泡体の表面部分における亀裂の発生を防止し、耐久性を向上できるようになる。
【0012】
さらに、請求項5に記載の発明のように、上記発泡体のうち自動車のドアサッシュ部に倣って湾曲させたときに内周側となる部分が、外周側となる部分よりも低発泡に形成されていると、上記ドアサッシュ部に装着すべくグラスランを湾曲させたときに、上記発泡体のうち外周側となる部分と内周側となる部分との間の周長差を当該発泡体のうち外周側となる部分が伸長することで吸収するようになるため、上記グラスランのうち内周側となる部分におけるシールリップの波打ちの発生を抑制できるようになる。
【0013】
また、請求項6に記載の発明のように、上記発泡体のうち自動車のドアサッシュ部に倣って湾曲させたときに外周側となる部分に、長手方向で凹凸となる蛇腹部を形成した場合であっても、請求項5に記載の発明と同様に、上記ドアサッシュ部に装着すべくグラスランを湾曲させたときに、上記発泡体のうち外周側となる部分と内周側となる部分との間の周長差を当該発泡体の蛇腹部が伸長することで吸収するようになるため、上記グラスランのうち内周側となる部分におけるシールリップの波打ちの発生を抑制できるようになる。
【0014】
一方、請求項7に記載の発明は、断面略チャンネル状のベース部と、そのベース部から内方に突設されたシールリップとを有していて、上記ベース部の両側壁部および底壁部のうち少なくともいずれかが熱可塑性樹脂の発泡体をもって形成されている一方、上記シールリップを含む残余の部分が熱可塑性エラストマーをもって形成されたグラスランを製造する方法において、上記発泡体となるべき熱可塑性樹脂を第1の口金をもって押し出す第1押出工程と、上記発泡体を第2の口金に通しつつその第2の口金をもって上記残余の部分となるべき熱可塑性エラストマーを押し出す第2押出工程と、を含むことを特徴としている。
【0015】
ここで、一般に、熱可塑性樹脂の発泡体と上記残余の部分となるべき熱可塑性エラストマーとを同時に押出成形しようとすると、両者に大きな線速差が生じてその成形が困難となるが、請求項7に記載の発明では、熱可塑性樹脂の発泡体と上記シールリップとなるべき熱可塑性エラストマーとを別々の工程で押出成形しているため、特別な設備を要することなくグラスランを容易に成形可能になる。
【0016】
その上で、請求項8に記載の発明のように、上記第1押出工程において、上記発泡体を最終断面形状よりも厚肉な押出断面形状に成形するとともに、その押出断面形状の発泡体をサイジング治具をもって肉厚方向に圧縮するサイジング工程を経て上記発泡体を最終断面形状に整形した上で、その発泡体を上記第2押出工程に供給すると、上記サイジング工程により、上記発泡体の断面形状の精度が向上するのは勿論のこと、上記発泡体の表面を平滑化できるメリットがある。
【0017】
また、このサイジング工程において、請求項9に記載の発明のように、加熱によって上記発泡体の表面を軟化させた状態でその発泡体を肉厚方向に圧縮するようにすると、上記発泡中間成形体のうち表面部分に内在する気泡が優先的に押し潰されるようになるため、上述した請求項4に記載の発泡体のように、上記発泡体のうち肉厚方向外側の部分が上記発泡体のうち肉厚方向内側の部分よりも低発泡になり、上記発泡体のうち表面部分の剛性が高まってその耐久性を向上させることができるほか、上記発泡体の表面をさらに平滑化できるメリットがある。
【0018】
具体的には、請求項10に記載の発明のように、上記サイジング工程において、上記サイジング治具のうち上記発泡体に圧接する整形面を加熱することで上記発泡体の表面を軟化させつつその発泡体を肉厚方向に圧縮するようにするとよい。
【0019】
また、好ましくは請求項11に記載の発明のように、上記発泡体の押出断面形状を、上記最終断面形状に対する肉厚の割増比率が発泡体の幅方向または高さ方向で変化する形状に設定するとよい。
【0020】
つまり、この請求項11に記載の発明では、上記押出断面形状の発泡体のうち、上記最終断面形状に対する肉厚の割増比率を比較的大きく設定した部分は、上記サイジング工程で大きく圧縮され、最終的に比較的低発泡となる一方で、上記最終断面形状に対する肉厚の割増比率を比較的小さく設定した部分は、上記サイジング工程での圧縮量が小さいため、最終的に比較的高発泡となる。これにより、上記最終断面形状に整形した発泡体の発泡の程度を、当該発泡体の断面上で変化させることができる。したがって、上述した請求項5に記載の発泡体のように、自動車のドアサッシュ部に倣って湾曲させたときに内周側となる部分を、外周側となる部分よりも低発泡とした発泡体を容易に製造できるようになる。
【0021】
さらに、請求項12に記載の発明のように、上記サイジング工程において、周方向で凹凸形状の整形面を有する一対のローラをもって上記発泡体をその表裏両側から圧縮することにより、長手方向で凹凸となる蛇腹部を上記発泡体に形成すると、上述した請求項6に記載のような発泡体を容易に製造できるようになる。
【0022】
そして、特に、上記ベース部の底壁部および両側壁部のそれぞれを上記発泡体をもって形成すべく、上記発泡体の最終断面形状を略チャンネル状とする場合には、請求項13に記載の発明のように、上記発泡体の押出断面形状を略板状に設定し、その押出断面形状の発泡体を上記サイジング工程でサイジング治具としてのサイジングローラによって中間断面形状に圧縮した上で、その中間断面形状の発泡体を断面略チャンネル状の最終断面形状に折り曲げるとよい。
【発明の効果】
【0023】
したがって、請求項1に記載の発明によれば、上記ベース部の両側壁部および底壁部のうち少なくともいずれかを比較的安価な熱可塑性樹脂によって形成することでコストの低減を図りつつも、その熱可塑性樹脂を発泡体とすることで湾曲容易性、すなわち自動車のドアサッシュ部に対する形状追従性を具備させることができるから、上記ドアサッシュ部への組付作業性が向上する。
【0024】
また、請求項7に記載の発明によれば、熱可塑性樹脂の発泡体と熱可塑性エラストマーとからなるグラスランを、特別な設備を要することなく容易に製造できるようになるから、コスト的に有利となるメリットがある。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の第1の実施の形態として自動車のフロントドアを示す斜視図。
【図2】図1におけるグラスラン上辺部のA−A断面図。
【図3】図2に示すグラスラン上辺部の要部拡大図。
【図4】図1におけるグラスランのB−B断面図。
【図5】図2,4に示すグラスランの変形例を示す図。
【図6】図2,4に示すグラスランの別の変形例を示す図。
【図7】図2,4に示すグラスランのさらに別の変形例を示す図。
【図8】本発明の第2の実施の形態として、グラスラン上辺部におけるベース部を単体で示す斜視図。
【図9】図8におけるC−C断面図。
【図10】本発明の第2の実施の形態の変形例として、グラスラン縦辺部におけるベース部を単体で示す斜視図。
【図11】本発明の第2の実施の形態の別の変形例として、ベース部を単体で示す斜視図。
【図12】図4に示したグラスラン縦辺部を成形するための製造方法の概略説明図。
【図13】各製造工程における発泡体の断面形状を示す図。
【図14】サイジング装置の正面図。
【図15】図14のD−D断面図。
【図16】同図(a)は図15のE−E断面図、同図(b)は図15のF−F断面図。
【図17】図14,15に示すサイジング装置の変形例を示す図。
【図18】図14,15に示すサイジング装置の別の変形例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1は本発明の好適な第1の実施の形態を示す図であって、自動車用ドアである左側のフロントドアを車室外側から見た斜視図である。
【0027】
図1に示すように、グラスラン1は、フロントドア2のうち側面視略アーチ状であって且つ断面略チャンネル状を呈するドアサッシュ部3の内周側に沿って嵌合保持される。このグラスラン1は、ドアサッシュ部3のうち上方へ向かって凸形状となるように湾曲したサッシュ上辺部3aに装着されるグラスラン上辺部1aと、ドアサッシュ部3のうち車外側に向かって凸形状となるように湾曲した前後のサッシュ縦辺部3b,3cに装着される前後のグラスラン縦辺部1b,1cと、を有している。
【0028】
そして、グラスラン上辺部1aの前端部とフロント側のグラスラン縦辺部1bの上端部がコーナー部としてのフロント型成形部1dをもって接続されているとともに、グラスラン上辺部1aの後端部とリア側のグラスラン縦辺部1cの上端部がコーナー部としてのリア型成形部1eによって接続されている。なお、周知のように、グラスラン上辺部1aおよび両グラスラン縦辺部1b,1cは押出成形法をもって長手方向で略均一な断面形状にそれぞれ形成されたものであって、両型成形部1d,1eは図示外の金型をもって型成形されたものである。
【0029】
図2は図1におけるグラスラン上辺部1aのA−A断面図であって、そのグラスラン上辺部1aの自由状態を図示している。図2に示すように、グラスラン上辺部1aは、断面略チャンネル状のベース部4と、そのベース部4のうちインナ側およびアウタ側のそれぞれの側壁部4a,4bの先端から突設されたインナ側およびアウタ側のシールリップ5,5と、ベース部4のうち両側壁部4a,4bと底壁部4cとのなす両コーナー部から当該ベース部4の幅方向外側に向けてそれぞれ突出する係止リップ6,6と、を備えている。そして、図示外のドアガラスを閉止したときに、ベース部4の内部に形成されたコ字状空間にそのドアガラスを受容するとともに、両シールリップ5,5がドアガラスの表裏両面にそれぞれ弾接することになる。
【0030】
詳しくは、両シールリップ5,5は、ベース部4の側壁部4a,4b先端からその側壁部4a,4bを延長する形態をもって形成されたリップ基部5aと、そのリップ基部5aの先端からベース部4の内側に向けて斜めに突出するリップ本体5bと、リップ基部5aの先端からベース部4の外側に向けて斜めに突出するカバーリップ5cと、をそれぞれ有している。
【0031】
そして、この両シールリップ5,5のほか係止リップ6,6は、オレフィン系熱可塑性エラストマーをもってそれぞれ形成されている。なお、両シールリップ5,5および係止リップ6,6の材質としては、オレフィン系のほか、スチレン系、エステル系、ウレタン系などの熱可塑性エラストマーを用いることも可能であるが、本実施の形態では、物性とコストのバランスを考慮し、オレフィン系熱可塑性エラストマーを採用している。
【0032】
また、両シールリップ5,5の外面およびベース部4のうち内側の底面にはそれぞれ低摩擦層7,8が形成されている。これら低摩擦層7,8としては、シリコーンオイルや脂肪酸アマイド、摺動性の固定粒子などの滑剤を含有させることで摩擦係数を低減させた摺動性に優れる熱可塑性エラストマーを用いるとよい。
【0033】
一方、ベース部4は、図2に示す自由状態において、両側壁部4a,4bが開口端側に向かって互いに離間する方向にそれぞれ傾斜して形成されている。そして、その両側壁部4a,4bの先端部を寄せ集めるように窄め、両側壁部4a,4bが略平行になるまで起き上がった状態でドアサッシュ部3に装着されるようになっている。なお、ベース部4のうち両側壁部4a,4bと底壁部4cとの間には、両側壁部4a,4bの起倒変位をスムーズに許容すべく、薄肉状のヒンジ部4d,4dがそれぞれ形成されている。
【0034】
また、ベース部4は、その全体がポリプロピレンの発泡体をもって形成されている。ベース部4の材質としては、上述したポリプロピレンやポリエチレンに代表されるようなオレフィン系熱可塑性樹脂のほか、スチレン系樹脂(ABS、AES、AAS)、ポリエステル、ポリアミドなどの各種熱可塑性樹脂を用いることも可能ではあるが、本実施の形態では物性とコストのバランスを考慮してポリプロピレンを採用している。また、グラスラン上辺部1aのうち上記発泡体をもって形成されたベース部4を除く残余の部分、すなわち両シールリップ5,5および係止リップ6,6がオレフィン系熱可塑性エラストマーによって形成されていることから、それら両シールリップ5,5および係止リップ6,6との融着性を考慮しても、ベース部4の材質をポリプロピレンとすることが望ましい。その上、特に熱による変形を少なくするべく、収縮率、線膨張率(寸法安定性)を考慮すると、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、マイカ、ワラストナイトなどの無機系充填剤をベース部4に添加することがより望ましく、さらに、そのベース部4を形成する熱可塑性樹脂との相溶性に優れるゴム成分を添加して耐衝撃性を高めるようにしてもよい。
【0035】
より詳しくは、ベース部4では、当該ベース部4の長手方向に直交する方向でその発泡の程度を変化せしめることにより、そのベース部4の各部における剛性を調整してある。具体的には、当該ベース部4の底壁部4cが比較的高発泡に形成されている一方で、ベース部4の両側壁部4a,4bは、その根元側が底壁部4cと略同程度の高発泡に形成され、その先端側に向かって漸次低発泡となるように形成されている。換言すれば、両側壁部4a,4bのうち先端側が底壁部4cと比較して低発泡に形成されている。これにより、ベース部4のうちドアサッシュ部3に倣わせて湾曲させたときに外周側となる底壁部4c側の部分が、内周側となる部分よりも低剛性になっている。すなわち、グラスラン上辺部1aを、ドアサッシュ部3のサッシュ上辺部3aに装着すべく、底壁部4c側が凸形状となるように湾曲させたときに、ベース部4のうち底壁部4c側の部分を積極的に伸長させることにより、当該ベース部4のうち両側壁部4a,4bの先端側の部分における圧縮変形を抑制するように設定されている。
【0036】
その上で、図2における底壁部4cを拡大した図3に示すように、ベース部4のうち肉厚方向外側の部分を比較的低発泡に形成している一方、ベース部4のうち肉厚方向内側の部分を比較的高発泡に形成している。つまり、ベース部4のうち肉厚方向外側の部分が、ベース部4のうち肉厚方向内側の部分よりも高剛性になっている。これにより、ベース部4の湾曲容易性を確保しつつも、ベース部4の表面における亀裂の発生を防止して耐久性を向上させるようになっている。なお、図3ではベース部4のうち底壁部4cのみを図示しているが、このような構造は両側壁部4a,4bにおいても同様である。
【0037】
また、図4は、図1におけるB−B断面図であって、グラスラン1のうちリア側のグラスラン縦辺部1cの自由状態を示している。なお、両グラスラン縦辺部1b,1cのうち代表例としてリア側のグラスラン縦辺部1cを図4に示しているが、フロント側のグラスラン縦辺部1bも略同様に構成されている。
【0038】
図4に示すように、グラスラン縦辺部1cは、ベース部9とシールリップ5,5および係止リップ6,6をそれぞれ備えている点でグラスラン上辺部1aと共通している。その一方で、グラスラン縦辺部1cでは、グラスラン1装着時における湾曲の方向がグラスラン上辺部1aと相違することから、ベース部9の各部における発泡の程度をグラスラン上辺部1aにおけるベース部4と異ならしめてある。
【0039】
詳しくは、グラスラン縦辺部1cをドアサッシュ部3のサッシュ縦辺部3cに装着する際には、ベース部9のうちアウタ側が凸形状となるように湾曲することになるから、当該ベース部9のうちアウタ側の側壁部9bを比較的高発泡に形成する一方で、インナ側の側壁部9aを比較的低発泡に形成している。なお、ベース部9の底壁部9cは、アウタ側からインナ側に向かって漸次低発泡となるように形成されている。つまり、ベース部9のうちサッシュ縦辺部3cに倣わせて湾曲させたときに外周側となるアウタ側の部分を、内周側となるインナ側の部分よりも低剛性に設定してある。
【0040】
これにより、グラスラン縦辺部1cをサッシュ縦辺部3cに装着すべく湾曲させたときに、ベース部9のうちアウタ側の部分を積極的に伸長させ、当該ベース部9のうちインナ側の部分の圧縮変形を抑制するようにしている。なお、図示は省略しているが、ベース部9のうち肉厚方向外側の部分を比較的低発泡に形成している一方、ベース部9のうち肉厚方向内側の部分を比較的高発泡に形成していることは、グラスラン上辺部1aにおけるベース部4と同様である。また、ベース部9のうち両側壁部9a,9bと底壁部9cとの間には、グラスラン上辺部1aにおけるベース部4と同様にヒンジ部9dがそれぞれ形成されている。
【0041】
以上のように構成したグラスラン1では、ベース部4,9を構成するポリプロピレンを発泡体とすることで、当該ベース部4,9が比較的低剛性になっていることから、当該グラスラン1をドアサッシュ部3に装着する際に、グラスラン上辺部1aおよびグラスラン縦辺部1b,1cをサッシュ上辺部3aおよびサッシュ縦辺部3b,3cに倣わせて容易に湾曲させることができる。また、グラスラン1の装着状態においては、ベース部4,9のうち外周側となる部分が伸長することにより、ベース部4,9のうち内周側となる部分の圧縮変形が抑制されることになるから、グラスラン上辺部1aおよびグラスラン縦辺部1b,1cのうち内周側となる部分でシールリップ5,5の波打ちを防止できる。
【0042】
したがって、本実施の形態によれば、ベース部4,9を比較的安価なポリプロピレンによって形成することで材料コストを抑えつつも、そのポリプロピレンを発泡体とすることによって湾曲容易性を具備させているため、グラスラン1の組付時にベース部4,9を容易に湾曲させることができるようになり、組付作業性が向上するメリットがある。
【0043】
さらに、ベース部4,9を構成するポリプロピレンを発泡体とすることにより、材料の使用量を低減して材料コストをさらに低減できるほか、ベース部4,9の比重が低下してグラスラン1の軽量化の上で有利となるメリットがある。
【0044】
また、グラスラン1の装着状態においては、上述したようにシールリップ5,5における波打ちの発生を防止することができるから、シール性および見栄えを向上させることができるメリットもある。
【0045】
ここで、上述した第1の実施の形態では、ベース部4,9における発泡の程度をその長手方向に直交する方向で変化させることにより、ベース部4,9の各部の剛性を調整するようにしているが、特に支障がない場合には、第1の実施の形態の変形例として図5に示すグラスラン10のように、ベース部11の両側壁部11a,11bおよび底壁部11cにおける発泡の程度をそれぞれ均一にすることも可能である。なお、図5における11dは薄肉状のヒンジ部である。
【0046】
また、上述した第1の実施の形態では、ベース部4,9の全体をポリプロピレンの発泡体によって構成しているが、第1の実施の形態の別の変形例として図6に示すグラスラン12のように、ベース部13のうち底壁部13cと両側壁部13a,13bとの間に形成されたヒンジ部13dの内側に、シールリップ5,5および係止リップ6,6と同様の熱可塑性エラストマーからなる皮膜部13eを形成することで耐へたり性を具備させるようにしてもよい。
【0047】
さらに、第1の実施の形態のさらなる別の変形例として図7に示すグラスラン14のように、ベース部15のうち両側壁部15a,15bと底壁部15cを構成する発泡体が相互に独立していてもよい。この場合には、ベース部15のうち両側壁部15a,15bと底壁部15cとの間に形成された両ヒンジ部15d,15dを、熱可塑性エラストマーによって両係止リップ6,6と一体に形成することにより、耐へたり性を具備させることができる。
【0048】
さらに、第1の実施の形態では、ベース部4,9の各部における発泡の程度を変化せしめることにより、当該ベース部4,9の各部における剛性を調整しているが、本発明の第2の実施の形態として図8,9に示すように、ベース部16の所定の部分に長手方向で凹凸となる蛇腹部16dを形成するようにしてもよい。なお、図8はグラスラン上辺部に用いられるベース部16を単体で示す斜視図、図9は図8におけるC−C断面図である。また、図8では、上述したような蛇腹部をその稜線によって簡易的に図示してある。
【0049】
詳しくは、ベース部16は、図8,9に示すように、図2に示したベース部4の構造を基本としていて、当該ベース部16のうち両側壁部16a,16bの根元側の部分および底壁部16cが蛇腹部16dとしてそれぞれ長手方向で略波形に形成されている一方、ベース部16の残余の部分、すなわち両側壁部16a,16bの先端部はその長手方向で平坦に形成されている。これにより、ベース部16をサッシュ上辺部3aに倣わせて湾曲させたときに、外周側となる底壁部16c側の部分、すなわち蛇腹部16dが積極的に伸長することで、内周側となる両側壁部16a,16bの先端側の部分での圧縮変形を抑制し、グラスラン1装着時におけるシールリップ5,5の波打ちを防止するようになっている。したがって、この第2の実施の形態においても上述した第1の実施の形態と略同様の効果が得られる。
【0050】
なお、この第2の実施の形態では、グラスラン上辺部に用いるベース部16に蛇腹部16dを形成した例について説明したが、この第2の実施の形態の変形例として、グラスラン縦辺部に用いるベース部17に蛇腹部17dを形成した例を図10に示す。この図10では、図8と同様に、蛇腹部をその稜線によって簡易的に図示してある
図10に示すように、ベース部17は、図4に示したベース部9の構造を基本としていて、当該ベース部17のうちアウタ側の側壁部17bから底壁部17cの幅方向中間部までの範囲が蛇腹部17dとして長手方向で略波形に形成されている一方で、当該ベース部17のうち残余の部分、すなわち底壁部17cのうち幅方向中間部よりもインナ側の部分とインナ側の側壁部17aとが長手方向で平坦に形成されている。これにより、ベース部17をサッシュ上辺部3aに倣わせて湾曲させたときに、外周側となるアウタ側の部分、すなわち蛇腹部17dが積極的に伸長することで、内周側となるインナ側の部分での圧縮変形を抑制し、グラスラン1装着時におけるシールリップ5,5の波打ちを防止するようになっている。したがって、この変形例においても上述した第1の実施の形態と略同様の効果が得られる。
【0051】
また、この第2の実施の形態の別の変形例として図11に示すように、より一層の湾曲容易性を具備させるべく、ベース部18のうち両側壁部18a,18bおよび底壁部18cを含む全体を蛇腹部として形成することも可能である。なお、この図11においても、図8と同様に、蛇腹部をその稜線によって簡易的に図示している。
【0052】
ここで、図6〜11では図示を省略しているが、図6〜11にそれぞれ示すベース部においても、上述した第1の実施の形態と同様に、その発泡の程度を長手方向に直交する方向で変化させることにより、当該ベース部の各部における剛性を調整可能であることは言うまでもない。
【0053】
次に、図4に示したグラスラン縦辺部1cの製造方法について図12,13を参照して説明する。なお、図12はグラスラン縦辺部1cを製造するための設備を示す図であって、図13は、最終的にベース部9となるべき発泡体の各製造工程における断面形状を示す図である。また、図2に示したグラスラン上辺部1aと図5に示したグラスラン10および図6に示したグラスラン11は、その基本構造が図4に示したグラスラン縦辺部1cとそれぞれ略同様であるため、以下に説明する方法と基本的に同様な方法によって製造可能である。
【0054】
図12に示す製造設備は、ベース部9となるべきポリプロピレンの発泡体の押出成形と、シールリップ5,5および係止リップ6,6となるべきオレフィン系熱可塑性エラストマーの押出成形と、を連続的に行ういわゆるインライン方式のものであって、ポリプロピレンの発泡体を押し出すための第1押出機19と、それに付随する水槽20とサイジング装置21およびベンダー22を有している。さらに、その下流側には、シールリップ5,5および係止リップ6,6となるべきオレフィン系熱可塑性エラストマーを押し出すための第2押出機23と、各低摩擦層7,8となるべき熱可塑性エラストマーを押し出すための第3押出機24と、それら両押出機23,24に付随する水槽25と引取機26および裁断機27が設けられている。
【0055】
第1の口金である第1押出機19の口金19aからは、第1押出工程として図13の(a)に示した略板状を呈する押出断面形状のポリプロピレンの発泡体28が連続的に押し出される。ここで、ポリプロピレンを発泡させるには、化学的発泡剤のほか熱膨張マイクロカプセルによって発泡させてもよく、ガス発泡、水発泡、超臨界流体発泡によって発泡させてもよい。
【0056】
第1押出機19によって押し出された発泡体28は、その後段の水槽20にて冷却された後に、サイジング工程として、サイジング装置21によって図13の(b)に示した中間断面形状となるように肉厚方向に圧縮された上で、その中間断面形状の発泡体29が例えばベンディングローラのようなベンダー22にて図13の(C)に示した断面略チャンネル状の最終断面形状に折り曲げられる。そして、最終断面形状の発泡体30が第2の口金である第2,第3押出機23,24の共通の口金23aに送り込まれることになる。
【0057】
両押出機23,24は、第2押出工程として、口金23aから上述したような二種類の熱可塑性エラストマーをいわゆる二重押出成形のかたちで発泡体の周りに押し出すことになる。これにより、最終断面形状の発泡体30をベース部9としたグラスラン縦辺部1aが引取機26に引き取られながら連続的に成形される。さらに、このように押出成形されたグラスラン縦辺部1aは、水槽25によって冷却された後に裁断機27によって所定の長さに裁断されることになる。
【0058】
ベース部9となるべき発泡体28,29,30についてより詳しく説明すると、図13の(a)に示すように、押出断面形状の発泡体28は、ベース部9のうちインナ側の側壁部9aとなるべき厚肉部28aと、ベース部9のうちアウタ側の側壁部9bとなるべき薄肉部28bと、それら薄肉部28bと厚肉部28aとの間に形成され、幅方向でその肉厚が漸次変化する肉厚徐変部28cと、を有している。なお、図示は省略しているが、それら薄肉部28bと厚肉部28aおよび肉厚徐変部28cはそれぞれ略同様な発泡倍率で形成されている。また、発泡体28の厚肉部28aと薄肉部28bおよび肉厚徐変部28cは、いずれも中間断面形状および最終断面形状の発泡体29,30と比較して厚肉に形成されている。
【0059】
図14,15はサイジング装置21の詳細を示す図であって、そのうち図14はサイジング装置21の正面図、図15は図14におけるD−D断面図である。なお、便宜上、図14では中間断面形状の発泡体29と後述する両サイジングローラ31,32との間に隙間を隔てて描いているが、実際には、図15に示すように、両サイジングローラ31,32によって押出断面形状の発泡体28が肉厚方向に圧縮され、中間断面形状とされるようになっている。
【0060】
サイジング装置21は、中間断面形状の発泡体29の肉厚に相当する隙間を隔てて対向配置された一対のサイジングローラ31,32をサイジング治具として有していて、両サイジングローラ31,32のうち一方のサイジングローラ31の外周面には、軸方向における所定位置、すなわち、押出断面形状の発泡体28のうち厚肉部28aと徐変部28cとの境界部分に相当する位置と、その発泡体28のうち薄肉部28bと徐変部28cとの境界部分に相当する位置と、に環状の突条部31a,31bがそれぞれ形成されている。そして、両サイジングローラ31,32のうち少なくとも一方を図示外の駆動手段によって回転駆動しつつ、両サイジングローラ31,32間の隙間に押出断面形状の発泡体28を通すことにより、矢印A方向に発泡体28を引き取りながら当該発泡体28を圧縮して中間断面形状に整形するようになっている。
【0061】
これにより、図13の(b)に示すように、中間断面形状の発泡体29のうち厚肉部28aに相当する幅方向一端部が低発泡部29aとして形成される一方、その発泡体29のうち薄肉部28bに相当する幅方向他端部が高発泡部29bとして形成され、さらにその発泡体29のうち肉厚徐変部28cに相当する幅方向中間部が発泡倍率徐変部29cとして形成される。なお、発泡体29のうち低発泡部29aと発泡倍率徐変部29cとの境界部分および発泡倍率徐変部29cと高発泡部29bとの境界部分には、サイジングローラ31の両突条部31a,31bに相当する薄肉状のヒンジ部29d,29dがそれぞれ形成されている。この両ヒンジ部29d,29dは、低発泡部29aよりもさらに低発泡になっている。
【0062】
ここで、サイジング装置21による圧縮前後の発泡体28,29を図16の(a),(b)に示す。なお、図16の(a)は図15のE−E断面のうち発泡体28の肉厚徐変部28cを示す拡大図、図16の(b)は図15のF−F断面のうち発泡体29の発泡倍率徐変部29cを示す拡大図である。
【0063】
つまり、図16の(a),(b)に示すように、押出断面形状の発泡体28のうち最終的に低発泡とすべき部分、すなわち高剛性とすべき部分では、最終断面形状に対する肉厚の割増比率を比較的大きくすることにより、サイジング装置21での圧縮によってその発泡倍率が大きく減少するように設定している。一方で、押出断面形状の発泡体28のうち最終的に高発泡とすべき部分、すなわち低剛性とすべき部分は最終断面形状に対する肉厚の割増比率を比較的小さくすることにより、サイジング装置21での圧縮による発泡倍率の減少が小さくなるように設定している。
【0064】
また、サイジング装置21は、両サイジングローラ31のうち発泡体28と圧接する整形面である外周面を、図示外のヒータによって発泡体28を形成するポリプロピレンの軟化温度付近まで加熱し、その熱によって発泡体28の表面、すなわち肉厚方向外側の部位を軟化させつつサイジングを施している。これにより、発泡体28のうち軟化した肉厚方向外側に内在する気泡を優先的に押し潰し、図16の(b)に示すように、発泡体29のうち肉厚方向外側の部分を肉厚方向内側の部分よりも低発泡に形成している。なお、本実施の形態では、両サイジングローラ31,32の外周面を加熱するようにしているが、発泡体28の表面を加熱するためのヒーターをサイジング装置21の前段に設けるようにしてもよいことは言うまでもない。
【0065】
さらに、このようにして中間断面形状に整形された発泡体29は、ベンダー22によって両薄肉部29d,29dを支点として折り曲げられ、図13の(c)に示した断面略チャンネル状を呈する最終断面形状の発泡体30が得られる。この発泡体30は、低発泡部29aに相当するインナ側の側壁部30aと、高発泡部29bに相当するアウタ側の側壁部30bと、発泡倍率徐変部29cに相当する底壁部30cと、を有していて、両側壁部30a,30bと底壁部30cとの間には、ヒンジ部29d,29dに相当するヒンジ部30d,30dが形成されている。
【0066】
そして、最終断面形状の発泡体30が第2,第3押出機23,24の口金23aに送り込まれ、上述したように、その発泡体30をベース部9としたグラスラン縦辺部1aが成形されることになる。
【0067】
このようなグラスランの製造方法によれば、発泡体28の押出断面形状を、最終断面形状に対する肉厚の割増比率が発泡体28の幅方向で変化する形状に設定し、その発泡体28をサイジング工程で圧縮することにより、特殊な設備を用いることなく、最終断面形状の発泡体30における発泡の程度を当該発泡体30の幅方向で変化させるようにしているため、コスト面で有利となる。
【0068】
また、最終的にベース部9となるポリプロピレンの発泡体28の押出成形と、オレフィン系熱可塑性エラストマーからなるシールリップ5,5および係止リップ6,6の押出成形をいわゆるインライン方式で連続的に行うことにより、両者を別ラインで行う場合と比較して物流および保管のコストを低減できるようになる。
【0069】
なお、図7に示すグラスラン14のように、ベース部15のうち両側壁部15a,15bと底壁部15cとが相互に独立した発泡体によって構成されているグラスランを製造する場合には、両側壁部15a,15bおよび底壁部15cに相当する発泡体をそれぞれ別の押出機によって押出成形し、それらの発泡体を第2,第3押出機にそれぞれ供給するように構成するとよい。
【0070】
また、本実施の形態では、押出断面形状および中間断面形状の発泡体28,29を略板状に設定し、サイジング装置21の後段に配置したベンダー22をもって断面略チャンネル状に折り曲げるように構成しているが、発泡体の押出断面形状を予め断面略チャンネル状に設定し、その発泡体をサイジング装置によって最終断面形状に整形することで、ベンダー22を省略することも可能である。
【0071】
この場合には、例えば図17に示すようなサイジング型33をサイジング治具として用い、そのサイジング型33に押出断面形状の発泡体34を通過させることにより、その発泡体34を肉厚方向に圧縮して最終断面形状の発泡体35を得るようにするとよい。なお、図17における矢印Bは、発泡体34,35の送り方向である。
【0072】
さらに、図8〜11に示したような蛇腹部を有するグラスランを製造する場合には、図18に示すように、サイジング治具たる両サイジングローラ36,37の外周面のうち軸方向で蛇腹部に相当する部分を周方向で凹凸形状とし、それら両サイジングローラ36,37間に押出断面形状の発泡体38を通すことにより、蛇腹部を有する中間断面形状の発泡体39を得るようにするとよい。なお、図18における矢印Cは、発泡体38,39の送り方向である。
【符号の説明】
【0073】
1…グラスラン
3…ドアサッシュ部
4…ベース部
5…シールリップ
4a…側壁部
4b…側壁部
4c…底壁部
9…ベース部
9a…側壁部
9b…側壁部
9c…底壁部
10…グラスラン
11…ベース部
11a…側壁部
11b…側壁部
11c…底壁部
12…グラスラン
13…ベース部
13a…側壁部
13b…側壁部
13c…底壁部
14…グラスラン
15…ベース部
15a…側壁部
15b…側壁部
15c…底壁部
16…ベース部
16a…側壁部
16b…側壁部
16c…底壁部
16d…蛇腹部
17…ベース部
17a…側壁部
17b…側壁部
17c…底壁部
17d…蛇腹部
18…ベース部
18a…側壁部
18b…側壁部
18c…底壁部
19a…口金(第1の口金)
23a…口金(第2の口金)
28…押出断面形状の発泡体
29…中間断面形状の発泡体
30…最終断面形状の発泡体
31…サイジングローラ(サイジング治具)
32…サイジングローラ(サイジング治具)
33…サイジング型(サイジング治具)
34…押出断面形状の発泡体
35…最終断面形状の発泡体
36…サイジングローラ(サイジング治具)
37…サイジングローラ(サイジング治具)
38…押出断面形状の発泡体
39…中間断面形状の発泡体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
断面略チャンネル状のベース部と、そのベース部から内方に突設されたシールリップとを有するグラスランにおいて、
上記ベース部の両側壁部および底壁部のうち少なくともいずれかが熱可塑性樹脂の発泡体をもって形成されている一方、上記シールリップを含む残余の部分が熱可塑性エラストマーをもって形成されていることを特徴とするグラスラン。
【請求項2】
上記熱可塑性樹脂および熱可塑性エラストマーのそれぞれがオレフィン系のものであることを特徴とする請求項1に記載のグラスラン。
【請求項3】
上記ベース部のうち両側壁部および底壁部のそれぞれが上記発泡体をもって形成されていて、そのベース部のうち両側壁部の先端に熱可塑性エラストマーからなるシールリップが突設されていることを特徴とする請求項1または2に記載のグラスラン。
【請求項4】
上記発泡体のうち肉厚方向外側の部分が上記発泡体のうち肉厚方向内側の部分よりも低発泡に形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のグラスラン。
【請求項5】
上記発泡体のうち自動車のドアサッシュ部に倣って湾曲させたときに内周側となる部分が、外周側となる部分よりも低発泡に形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のグラスラン。
【請求項6】
上記発泡体のうち自動車のドアサッシュ部に倣って湾曲させたときに外周側となる部分に、長手方向で凹凸となる蛇腹部が形成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のグラスラン。
【請求項7】
断面略チャンネル状のベース部と、そのベース部から内方に突設されたシールリップとを有していて、上記ベース部の両側壁部および底壁部のうち少なくともいずれかが熱可塑性樹脂の発泡体をもって形成されている一方、上記シールリップを含む残余の部分が熱可塑性エラストマーをもって形成されたグラスランを製造する方法において、
上記発泡体となるべき熱可塑性樹脂を第1の口金をもって押し出す第1押出工程と、
上記発泡体を第2の口金に通しつつその第2の口金をもって上記残余の部分となるべき熱可塑性エラストマーを押し出す第2押出工程と、
を含むことを特徴とするグラスランの製造方法。
【請求項8】
上記第1押出工程において、上記発泡体を最終断面形状よりも厚肉な押出断面形状に成形するとともに、その押出断面形状の発泡体をサイジング治具をもって肉厚方向に圧縮するサイジング工程を経て上記発泡体を最終断面形状に整形した上で、その発泡体を上記第2押出工程に供給することを特徴とする請求項7に記載のグラスランの製造方法。
【請求項9】
上記サイジング工程において、加熱によって上記発泡体の表面を軟化させた状態でその発泡体を肉厚方向に圧縮することを特徴とする請求項8に記載のグラスランの製造方法。
【請求項10】
上記サイジング工程において、上記サイジング治具のうち上記発泡体に圧接する整形面を加熱することで上記発泡体の表面を軟化させつつその発泡体を肉厚方向に圧縮することを特徴とする請求項9に記載のグラスランの製造方法。
【請求項11】
上記発泡体の押出断面形状を、上記最終断面形状に対する肉厚の割増比率が発泡体の幅方向または高さ方向で変化する形状に設定することを特徴とする請求項8〜10のいずれかに記載のグラスランの製造方法。
【請求項12】
上記サイジング工程において、周方向で凹凸形状の整形面を有する一対のローラをもって上記発泡体をその表裏両側から圧縮することにより、長手方向で凹凸となる蛇腹部を上記発泡体に形成することを特徴とする請求項8〜11のいずれかに記載のグラスランの製造方法。
【請求項13】
上記発泡体の押出断面形状を略板状に設定し、その押出断面形状の発泡体を上記サイジング工程でサイジング治具としてのサイジングローラによって中間断面形状に圧縮した上で、その中間断面形状の発泡体を断面略チャンネル状の最終断面形状に折り曲げることを特徴とする請求項8〜12のいずれかに記載のグラスランの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2010−228478(P2010−228478A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−75334(P2009−75334)
【出願日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【出願人】(000158840)鬼怒川ゴム工業株式会社 (171)
【Fターム(参考)】