説明

グルココルチコイドミメチックス、その製造方法、その医薬組成物、及び使用

下記式(I)(式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、X、Y、及びnは、本出願で定義されるとおりである)の化合物、又はその互変異性体、プロドラッグ、溶媒和化合物、若しくは塩;該化合物を含有する医薬組成物;並びにこれら化合物を用いて、グルココルチコイド受容体機能を調節する方法、及びグルココルチコイド受容体機能によって媒介され、或いは炎症、アレルギー、又は増殖プロセスを特徴とする病気状態又は状況の患者を治療する方法。
【化1】


【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、グルココルチコイドミメチックス又はリガンド、該化合物の製造方法、その医薬組成物での使用、及びそのグルココルチコイド受容体機能の調節における使用、グルココルチコイド受容体機能によって媒介される病気状態又は状況の治療が必要な患者の治療における使用、及び他の使用に関する。
【0002】
(発明の背景)
コルチコステロイドの1分類であるグルココルチコイドは、免疫系及び多臓器系に深い効果を及ぼす内因性ホルモンである。それらは、IL-1、IL-2、IL-6、及びTNFのような炎症性サイトカインの阻害、プロスタグランジン及びロイコトリエンを含むアラキドン酸代謝物の阻害、T-リンパ球の消耗、及び内皮細胞上における付着分子の発現の低減によって、種々の免疫及び炎症機能を抑制する(P.J. Barnes, Clin. Sci., 1998, 94, pp. 557-572; P.J. Barnesら, Trends Pharmacol. Sci., 1993, 14, pp. 436-441)。これら効果に加え、グルココルチコイドは、肝臓内におけるグルコース産生及びタンパク質の異化を刺激し、電解質と水のバランスの役割を果たし、カルシウム吸収を減少させ、かつ破骨細胞機能を阻害する。
【0003】
内因性グルココルチコイドの抗炎症及び免疫抑制活性は、デキサメタゾン、プレドニゾン、及びプレドニゾロンを含む合成グルココルチコイド誘導体の開発を刺激してきた(L. Parente, Glucocorticoids, N.J. Goulding及びR.J. Flowers (eds.), Boston: Birkhauser, 2001, pp. 35-54)。これらは、リウマチ性関節炎、若年性関節炎のようなリウマチ性疾患、及び強直性脊椎炎、乾癬及び天疱瘡を含む皮膚科学的疾患、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎、及び接触皮膚炎を含むアレルギー障害、喘息及び慢性閉塞性肺疾患(COPD)を含む肺疾患状態、及びクローン病、潰瘍性大腸炎、全身性エリテマトーデス、自己免疫性慢性活動性肝炎、骨関節炎、腱炎、及び滑液包炎を含む他の免疫及び炎症疾患の治療で広範な用途を見いだした(J. Toogood, Glucocorticoids, N.J. Goulding及びR.J. Flowers (eds.), Boston: Birkhauser, 2001, pp. 161-174)。それらは、臓器移植における拒絶反応防止を助けるためにも使用されている。
【0004】
不運なことに、グルココルチコイドを使用すると、所望の治療効果に加え、多くの副作用が伴い、重大かつ生命を脅かすこともありうる。この副作用としては、流体と電解質のバランスの変化、浮腫、体重増加、高血圧、筋衰弱、糖尿病の発症又は悪化、及び骨粗しょう症が挙げられる。従って、特に慢性疾患を治療するときは、強力な抗炎症効果を維持しながら低減した副作用プロフィルを示す化合物が特に望ましい。
【0005】
グルココルチコイドの効果は、グルココルチコイド受容体によって細胞レベルで媒介される(R.H. Oakley及びJ. Cidlowski, Glucocorticoids, N.J. Goulding及びR.J. Flowers (eds.), Boston: Birkhauser, 2001, pp. 55-80)。グルココルチコイド受容体は、リガンドと結合するときに、遺伝子発現に影響を及ぼす転写因子として機能しうる構造的に関連する細胞内受容体の分類のメンバーである(R.M. Evans, Science, 1988, 240, pp. 889-895)。ステロイド受容体ファミリーの他のメンバーとしては、ミネラルコルチコイド、プロゲステロン、エストロゲン、及びアンドロゲン受容体が挙げられる。グルココルチコイドについて上述した効果に加え、この受容体ファミリーに作用するホルモンは、身体ホメオスタシス、ミネラル代謝、ストレス反応、及び性徴の発達に深遠な影響を及ぼす。最新技術をさらに述べるため、Glucocorticoids, N.J. Goulding及びR.J. Flowers (eds.), Boston: Birkhauser, 2001が参照によって全体的に本明細書に取り込まれる。
【0006】
有益な抗炎症効果と望ましくない副作用を斟酌した分子メカニズムが提案されている(例えば、S. Heckら, EMBO J, 1994, 17, pp. 4087-4095; H.M. Reichardtら, Cell, 1998, 93, pp. 531-541; F. Troncheら, Curr. Opin. in Genetics and Dev., 1998, 8, pp. 532-538)。多くの代謝及び心血管の副作用は、トランス活性化と呼ばれるプロセスの結果であると考えられる。トランス活性化では、リガンド結合グルココルチコイド受容体の核への転位後、副作用に関連する遺伝子、例えば、グルコース産生増加の場合のホスホエノールピルビン酸カルボキシキナーゼ(PEPCK)のプロモーター領域内のグルココルチコイド応答要素(GREs)に結合する。その結果これら遺伝子の転写速度が高まり、最終的に観察される副作用をもたらすと考えられる。抗炎症効果は、トランス抑制と呼ばれるプロセスによると考えられる。一般に、トランス抑制は、多くの炎症及び免疫媒介物の下方制御につながるNF-kB及びAP-1-媒介経路の阻害から生じるDNA結合とは無関係のプロセスである。さらに、多くの観察される副作用は、現在利用可能なグルココルチコイドと他のステロイド受容体、特にミネラルコルチコイド及びプロゲステロン受容体との交差反応性に起因しうると考えられる。
【0007】
従って、高度に選択性であり、かつ結合すると、トランス活性化経路とトランス抑制経路を引き離し、副作用プロフィルが低減した治療薬を提供しうる、グルココルチコイド受容体用リガンドを発見することができる。トランス活性化とトランス抑制に及ぼす効果を決定するための検定システムは既に記述されている(例えば、C.M. Bamberger及びH.M. Schulte, Eur. J. Clin. Invest., 2000, 30 (suppl. 3), pp. 6-9)。グルココルチコイド受容体の選択性は、この受容体の結合親和力を、上述したものも含む他のステロイドファミリー受容体の結合親和力と比較することによって決定できる。
【0008】
グルココルチコイドは、糖新生と呼ばれるプロセスによる肝臓内でのグルコースの産生をも刺激し、このプロセスはトランス活性化事象によって媒介されると考えられる。グルコース産生の増加はII型糖尿病を悪化させうるので、グルココルチコイド媒介グルコース産生を選択的に阻害する化合物は、この適応症で治療用途を有しうる(J.E. Freidmanら, J. Biol. Chem., 1997, 272, pp. 31475-31481)。
【0009】
グルココルチコイド受容体用の新規なリガンドは科学及び特許文献に記述されている。例えば、PCT国際公開番号WO 99/33786は、炎症疾患の治療で使用の可能性があるトリフェニルプロパンアミド化合物について開示している。PCT国際公開番号WO 00/66522は、代謝及び炎症疾患の治療に役立つ可能性がある、グルココルチコイド受容体の選択的モジュレーターとして非ステロイド系化合物について記載している。PCT国際公開番号WO 99/41256は、免疫、自己免疫、及び炎症疾患の治療に役立つ可能性がある、グルココルチコイド受容体の四環式モジュレーターについて記載している。米国特許第5,688,810号は、グルココルチコイド及び他のステロイド受容体のモジュレーターとして種々の非ステロイド系化合物について記載している。PCT国際公開番号WO 99/63976は、糖尿病の治療で役立つ可能性がある非ステロイド系の肝臓選択性グルココルチコイドアンタゴニストについて記載している。PCT国際公開番号WO 00/32584は、抗炎症効果と代謝効果を分離した抗炎症活性を有する非ステロイド系化合物を開示している。PCT国際公開番号WO 98/54159は、ゲスターゲンとアンドロゲン活性が入り混じった非ステロイド系の環状に置換したアシルアニリドについて記載している。米国特許第4,880,839号は、黄体ホルモン活性を有するアシルアニリドについて述べ、EP 253503は、抗アンドロゲン特性を有するアシルアニリドを開示している。PCT国際公開番号WO 97/27852は、ファルネシル-タンパク質トランスフェラーゼのインヒビターであるアミドについて記載している。
【0010】
結合検定でグルココルチコイド受容体と相互作用することが分かる化合物は、アゴニスト又はアンタゴニストでありうる。該化合物のアゴニスト特性は、上述したトランス活性化又はトランス抑制検定で評価できた。炎症及び免疫疾患で利用可能なグルココルチコイド薬物によって示される効力とその副作用を考えると、ステロイド受容体ファミリーの他のメンバーを超える選択性を有する新規なグルココルチコイド受容体アゴニスト及びトランス活性化とトランス抑制活性の分離の必要が残っている。これとは別に、該化合物がアンタゴニスト活性を有することが分かるだろう。上述したように、グルココルチコイドは肝臓内のグルコース産生を刺激する。グルココルチコイド過剰によって誘発されるグルコース産生の増加は、現存する糖尿病を悪化させ、或いは潜在性糖尿病を誘発しうる。従って、アンタゴニストであることが分かっているグルココルチコイド受容体のリガンドは、とりわけ糖尿病の治療又は予防に有用だろう。
【0011】
(発明の概要)
本発明は、下記式(I)の化合物又はその互変異性体、プロドラッグ、溶媒和化合物、若しくは塩に関する。
【化1】

【0012】
式中:
1及びR2は、それぞれ独立的に水素又はC1-C5アルキルであり、或いはR1とR2が共通に結合している炭素原子と一緒にC3-C6環を形成しており;
3は、結合又は任意独立的に1〜3個の置換基で置換されていてもよいC1-C8アルキル、C2-C8アルケニル、若しくはC2-C8アルキニル基であり、
ここで、R3の各置換基は、独立的にC3-C8シクロアルキル、アリール、C1-C5アルコキシ、C2-C5アルケニルオキシ、C2-C5アルキニルオキシ、アリールオキシ、アシル、C1-C5アルコキシカルボニル、C1-C5アルカノイルオキシ、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アミノカルボニルオキシ、C1-C5アルキルアミノカルボニルオキシ、C1-C5ジアルキルアミノカルボニルオキシ、C1-C5アルカノイルアミノ、C1-C5アルコキシカルボニルアミノ、C1-C5アルキルスルホニルアミノ、C1-C5アルキルアミノスルホニル、C1-C5ジアルキルアミノスルホニル、ハロゲン、ヒドロキシ、カルボキシ、オキソ、シアノ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、ニトロ、又はアミノ(該窒素原子は、任意独立的にC1-C5アルキル又はアリールで一若しくは二置換されていてもよい);又はウレイド(該窒素原子は、任意独立的にC1-C5アルキルで置換されていてもよい);又はC1-C5アルキルチオ(該イオウ原子は、任意にスルホキシド若しくはスルホンに酸化されていてもよい)であり、
3の各置換基は、任意独立的に、メチル、メトキシ、ハロゲン、ヒドロキシ、オキソ、シアノ、又はアミノから選択される1〜3個の置換基で置換されていてもよく;
4は、水素、C1-C5アルキル、C2-C5アルケニル、C2-C5アルキニル、C3-C8 シクロアルキル、ヘテロサイクリル、アリール、ヘテロアリール、C1-C5アルコキシ、C2-C5アルケニルオキシ、C2-C5アルキニルオキシ、アリールオキシ、アシル、C1-C5アルコキシカルボニル、C1-C5アルカノイルオキシ、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アミノカルボニルオキシ、C1-C5アルキルアミノカルボニルオキシ、C1-C5ジアルキルアミノカルボニルオキシ、C1-C5アルカノイルアミノ、C1-C5アルコキシカルボニルアミノ、C1-C5アルキルスルホニルアミノ、C1-C5アルキルアミノスルホニル、C1-C5 ジアルキルアミノスルホニル、ハロゲン、ヒドロキシ、カルボキシ、シアノ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、トリフルオロメチルチオ、ニトロ、又はアミノ(該窒素原子は、任意独立的にC1-C5アルキルで一若しくは二置換されていてもよい);又はウレイド(どちらかの窒素原子は、任意独立的にC1-C5アルキルで置換されていてもよい);又はC1-C5アルキルチオ(該イオウ原子は、任意にスルホキシド若しくはスルホンに酸化されていてもよい)であり;
5及びR6は、それぞれ独立的に水素、任意独立的に1〜3個の置換基で置換されていてもよいC1-C8アルキル、C2-C8アルケニル、又はC2-C8アルキニル基であり、
ここで、R5及びR6の各置換基は、独立的にC3-C8シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、C1-C5アルコキシ、C2-C5アルケニルオキシ、C2-C5アルキニルオキシ、アリールオキシ、ハロゲン、ヒドロキシ、オキソ、シアノ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、トリフルオロメチルチオ、C1-C5アルキルチオ(該イオウ原子は、任意にスルホキシド若しくはスルホンに酸化されていてもよい)であり、
5及びR6の各置換基は、任意独立的に、C1-C3アルキル、C1-C3アルコキシ、ハロゲン、ヒドロキシ、オキソ、シアノ、アミノ、又はトリフルオロメチルから選択される1〜3個の基で置換されていてもよく、或いは
5とR6が共通して結合している炭素原子と一緒にC3-C6環を形成しており;
Xは、O、S、又はアミノ(該窒素原子は、任意独立的にC1-C5アルキル又はアリールで一若しくは二置換されていてもよく、該イオウ原子は、任意にスルホキシド若しくはスルホンに酸化されていてもよい)であり;
Yは、アリール又はヘテロアリール基であり、それぞれ任意独立的に1〜3個の置換基で置換されていてもよく、
ここで、Yの各置換基は、独立的にC1-C5アルキル、C2-C5アルケニル、C2-C5アルキニル、C3-C8シクロアルキル、アリール、C1-C5アルコキシ、C2-C5アルケニルオキシ、C2-C5アルキニルオキシ、アリールオキシ、アシル、C1-C5アルコキシカルボニル、C1-C5アルカノイルオキシ、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アミノカルボニルオキシ、C1-C5アルキルアミノカルボニルオキシ、C1-C5ジアルキルアミノカルボニルオキシ、C1-C5アルカノイルアミノ、C1-C5アルコキシカルボニルアミノ、C1-C5アルキルスルホニルアミノ、C1-C5アルキルアミノスルホニル、C1-C5ジアルキルアミノスルホニル、ハロゲン、ヒドロキシ、カルボキシ、シアノ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、ニトロ、又はアミノ(該窒素原子は、任意独立的にC1-C5アルキル又はアリールで一若しくは二置換されていてもよい);又はウレイド(どちらかの窒素原子は、任意独立的にC1-C5アルキルで置換されていてもよい);又はC1-C5アルキルチオ(該イオウ原子は、任意にスルホキシド若しくはスルホンに酸化されていてもよい)であり、
Yの各置換基は、任意独立的に、メチル、メトキシ、ハロゲン、ヒドロキシ、オキソ、シアノ、又はアミノから選択される1〜3個の置換基で置換されていてもよく;
nは、0、1、2、又は3である。
【0013】
本発明の第2局面は、式(I)の化合物であって、式中:
1及びR2が、それぞれ独立的に水素又はC1-C3アルキルであり;
3が、結合又は任意独立的に1〜2個の置換基で置換されていてもよいC1-C5アルキル又はC2-C5アルケニル基であり、
ここで、R3の各置換基は、独立的にC3-C6シクロアルキル、フェニル、メトキシ、ハロゲン、ヒドロキシ、オキソ、シアノ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、又はC1-C5アルキルチオ(該イオウ原子は、任意にスルホキシド若しくはスルホンに酸化されていてもよい)であり、
3の各置換基は、任意独立的にフッ素、塩素、又は臭素で置換されていてもよく;
4が、水素、C1-C5アルキル、C2-C5アルケニル、C2-C5アルキニル、C3-C8シクロアルキル、フェニル、フラニル、チエニル、C1-C5アルコキシ、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、又はC1-C5アルキルチオ(該イオウ原子は、任意にスルホキシド若しくはスルホンに酸化されていてもよい)であり;
5及びR6が、それぞれ独立的に水素、C1-C5アルキル、C2-C5アルケニル、又はC2-C5アルキニルであり;
Xが、O、NH、又はSであり;
Yが、フェニル基(独立的にC1-C3アルキル、C1-C3アルコキシ、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、トリフルオロメチル、又はトリフルオロメトキシから選択される1〜2個の置換基で置換されている)であり;
nが1である、化合物、
又はその互変異性体、プロドラッグ、溶媒和化合物、若しくは塩を含む。
【0014】
本発明のさらに別の局面は、本発明の第2局面の式(I)の化合物であって、式中、R1及びR2がそれぞれメチルであり;R3が、結合又はC1-C5アルキル若しくはC2-C5アルケニル基であり;R4が、水素、C3-C6シクロアルキル、フェニル、フッ素、又は塩素であり;R5及びR6が、それぞれ独立的に水素、メチル、又はエチルであり;XがO又はSであり;Yがフェニル基(独立的にメトキシ、フッ素、塩素、又はヒドロキシから選択される1〜2個の置換基で置換されていてもよい)である化合物、又はその互変異性体、プロドラッグ、溶媒和化合物、若しくは塩を含む。
本発明のさらに別の局面は、式(I)の化合物であって、式中、R1及びR2がそれぞれメチルであり;R3が結合であり;R4がC3-C5アルキル又はC3-C5アルケニル基であり;R5が水素又はメチルであり;R6が水素であり;XがO又はSであり;かつYが2-メトキシフェニル、2-メトキシ-5-フルオロフェニル、若しくは2-クロロ-3-ヒドロキシフェニル基である化合物、又はその互変異性体、プロドラッグ、溶媒和化合物、若しくは塩を含む。
【0015】
本発明のさらに別の局面は、式(I)の化合物であって、式中、R1及びR2がそれぞれメチルであり;R3がC2-C4アルキル基であり;R4が、任意にフッ素又は塩素基で一置換されていてもよいフェニル基であり;R5が水素又はメチルであり;R6が水素であり;XがO又はSであり;かつYが2-メトキシフェニル、2-メトキシ-5-フルオロフェニル、若しくは2-クロロ-3-ヒドロキシフェニル基である化合物、又はその互変異性体、プロドラッグ、溶媒和化合物、若しくは塩を含む。
本発明のさらに別の局面は、式(I)の化合物であって、式中、R1及びR2がそれぞれメチルであり;R3がC1-C3アルキル基であり;R4がシクロヘキシル基であり;R5が水素又はメチルであり;R6が水素であり;XがO又はSであり;かつYが2-メトキシフェニル、2-メトキシ-5-フルオロフェニル、若しくは2-クロロ-3-ヒドロキシフェニル基である化合物、又はその互変異性体、プロドラッグ、溶媒和化合物、若しくは塩を含む。
【0016】
以下の化合物は、本発明の式(I)の代表化合物である。
【化2】








【0017】
【化3】












【0018】
【化4】










【0019】
【化5】











【0020】
【化6】









【0021】
【化7】













【0022】
【化8】










【0023】
【化9】







【0024】
【化10】









【0025】
【化11】












【0026】
【化12】













【0027】
【化13】






【0028】
【化14】






【0029】
【化15】






【0030】
【化16】






【0031】
【化17】











【0032】
【化18】












【0033】
【化19】






【0034】
【化20】






【0035】
【化21】






【0036】
【化22】






【0037】
【化23】

【0038】
式(I)の好ましい化合物は、以下の化合物を含む。
4-アリルスルファニルメチル-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
4-シクロペンチルスルファニルメチル-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
4-(フラン-3-イルメチルスルファニルメチル)-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-4-プロピルスルファニルメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-4-フェニルスルファニルメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-4-フェネチルスルファニルメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-4-(2-メチルブチルスルファニルメチル)-1,2-ジヒドロキノリン;
4-シクロヘキシルスルファニルメチル-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-4-(3-メチルブチルスルファニルメチル)-1,2-ジヒドロキノリン;
6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-4-(1-フェネチルスルファニルエチル)-1,2-ジヒドロキノリン;
4-(1-アリルスルファニルエチル)-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-4-(1-フェネチルオキシエチル)-1,2-ジヒドロキノリン;
4-(1-アリルオキシエチル)-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
6-ベンゾ[1,3]ジオキソl-5-イル-2,2-ジメチル-4-フェネチルスルファニルメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
6-(3-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-4-フェネチルスルファニルメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-4-[1-(3-フェニルプロポキシ)エチル]-1,2-ジヒドロキノリン;
4-アリルスルファニルメチル-6-(5-フルオロ-2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
6-(5-フルオロ-2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-4-フェネチルスルファニルメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
4-{1-[((E)-ブタ-2-エニル)オキシ]エチル}-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-4-[1-((E)-3-フェニルアリルオキシ)エチル]-1,2-ジヒドロキノリン;
4-[1-(2-シクロヘキシルエトキシ)エチル]-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
4-(1-シクロヘキシルメトキシエチル)-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
2-クロロ-3-(2,2-ジメチル-4-フェネチルスルファニルメチル-1,2-ジヒドロキノリン-6-イル)フェノール;
3-(4-アリルスルファニルメチル-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン-6-イル)-2-クロロフェノール;
6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-4-{1-[((E)-ペンタ-2-エニル)オキシ]エチル}-1,2-ジヒドロキノリン;
6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-4-[1-(3-メチルブタ-2-エニルオキシ)エチル]-1,2-ジヒドロキノリン;
4-(1-アリルオキシエチル)-6-(5-フルオロ-2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
6-(5-フルオロ-2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-4-(1-フェネチルオキシエチル)-1,2-ジヒドロキノリン;
4-{1-[2-(3-クロロフェニル)エトキシ]エチル}-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
6-(5-フルオロ-2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-4-(1-フェネチルオキシエチル)-1,2-ジヒドロキノリン;
4-{1-[2-(4-クロロフェニル)エトキシ]エチル}-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
4-{1-[2-(2-ブロモフェニル)エトキシ]エチル}-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
4-{1-[2-(3-ブロモフェニル)エトキシ]エチル}-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-4-[1-(1-メチルアリルオキシ)エチル]-1,2-ジヒドロキノリン;
4-(1-アリルオキシプロピル)-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
4-(1-アリルオキシ-2-メチルプロピル)-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン;及び
4-(1-アリルオキシエチル)-6-(5-フルオロ-2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン、
又はその互変異性体、プロドラッグ、溶媒和化合物、若しくは塩。
【0039】
式(I)のさらに好ましい化合物は、以下の化合物を含む。
6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-4-フェネチルスルファニルメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-4-(1-フェネチルスルファニルエチル)-1,2-ジヒドロキノリン;
4-(1-アリルスルファニルエチル)-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
4-(1-アリルオキシエチル)-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
4-アリルスルファニルメチル-6-(5-フルオロ-2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
6-(5-フルオロ-2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-4-フェネチルスルファニルメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
4-{1-[((E)-ブタ-2-エニル)オキシ]エチル}-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
2-クロロ-3-(2,2-ジメチル-4-フェネチルスルファニルメチル-1,2-ジヒドロキノリン-6-イル)フェノール;
3-(4-アリルスルファニルメチル-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン-6-イル)-2-クロロフェノール;
4-(1-アリルオキシエチル)-6-(5-フルオロ-2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
6-(5-フルオロ-2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-4-(1-フェネチルオキシエチル)-1,2-ジヒドロキノリン;
6-(5-フルオロ-2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-4-(1-フェネチルオキシエチル)-1,2-ジヒドロキノリン;
4-{1-[2-(4-クロロフェニル)エトキシ]エチル}-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
4-{1-[2-(2-ブロモフェニル)エトキシ]エチル}-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
4-{1-[2-(3-ブロモフェニル)エトキシ]エチル}-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-4-[1-(1-メチルアリルオキシ)エチル]-1,2-ジヒドロキノリン;及び
4-(1-アリルオキシエチル)-6-(5-フルオロ-2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン、
又はその互変異性体、プロドラッグ、溶媒和化合物、若しくは塩。
【0040】
本発明は、下記式(I)の化合物:
【化24】

(式中、R3、R4、R5、R6、X、Y及びnは請求項1で定義したとおりであり、かつR1 及びR2はそれぞれメチルである)の製造方法であって、以下の工程:
(a)適切なパラジウム触媒と塩基の存在下、式(II)の4-ハロニトロベンゼン又は4-ニトロアリールトリフラートを式(III)のアリールホウ素酸と反応させて式(IV)のビアリール化合物を形成する工程;
【化25】

(b)式(IV)のビアリール化合物のニトロ基を適切な還元剤と反応させて式(V)の化合物を形成する工程;
【化26】

(c)ヨウ素の存在下、式(V)の化合物をアセトンと反応させて式(VI)の化合物を形成する工程;
【化27】

(d)式(VI)の化合物を適切な臭素化剤と反応させて式(VII)の化合物を形成する工程;
【化28】

(e)適切な塩基の存在下、式(VII)の化合物を求核試薬R34XHm(式中、XHmはNH2、SH、又はOHである)と反応させて式(I)の化合物を形成する工程;
【化29】

を含む方法をも提供する。
【0041】
本発明の別の局面では、本発明の化合物は、有効な量、好ましくは薬学的に有効な量の本発明の化合物、又はその互変異性体、プロドラッグ、溶媒和化合物、若しくは塩と、薬学的に許容しうる賦形剤又は担体とを含んでなる医薬組成物に製剤化される。
本発明は、患者のグルココルチコイド受容体機能を調節する方法であって、 該患者に、有効な量の本発明の化合物、又はその互変異性体、プロドラッグ、溶媒和化合物、若しくは塩を投与することを含む方法をも提供する。
さらに、本発明は、患者のグルココルチコイド受容体機能によって媒介される病気状態又は状況の治療が必要な患者の治療方法であって、該患者に、薬学的に許容しうる本発明の化合物又はその互変異性体、プロドラッグ、溶媒和化合物、若しくは塩を投与することを含む方法を提供する。
【0042】
さらに、本発明は、II型糖尿病、肥満症、循環器病、高血圧症、動脈硬化症、神経疾患、副腎及び下垂体腫瘍、及び緑内障から選択される病気状態又は状況の治療が必要な患者を治療する方法であって、前記患者に、有効な量の薬学的に許容しうる本発明の化合物又はその互変異性体、プロドラッグ、溶媒和化合物、若しくは塩を投与することを含む方法をも提供する。
【0043】
本発明は、炎症、アレルギー、又は増殖プロセスを特徴とする病気の治療を必要とする患者を治療する方法であって、前記患者に、有効な量の薬学的に許容しうる本発明の化合物又はその互変異性体、プロドラッグ、溶媒和化合物、若しくは塩を投与することを含む方法を提供する。本発明の好ましい実施形態では、炎症、アレルギー、又は増殖プロセスを特徴とする病気は、(i)肺疾患、(ii)リウマチ性疾患又は自己免疫疾患又は関節疾患、(iii)アレルギー疾患、(iv)脈管炎疾患、(v)皮膚疾患、(vi)腎臓病、(vii)肝臓病、(viii)胃腸疾患、(ix)肛門病、(x)眼病、(xi)耳、鼻、及び咽喉(ENT)領域の病気、(xii)神経疾患、(xiii)血液疾患、(xiv)腫瘍病、(xv)内分泌疾患、(xvi)臓器及び組織移植並びに移植片対宿主病、(xvii)重症状態のショック、(xviii)交換療法、及び(xix)炎症起源の疼痛から選択される。本発明の別の好ましい実施形態では、炎症、アレルギー、又は増殖プロセスを特徴とする病気は、I型糖尿病、骨関節炎、ギヤン-バレー症候群、経皮経管冠動脈形成術後再狭窄、アルツハイマー病、急性及び慢性の疼痛、アテローム性動脈硬化症、再灌流傷害、骨吸収疾患、うっ血性心不全、心筋梗塞、熱傷害、外傷続発性多臓器傷害、急性化膿性髄膜炎、壊死性全腸炎、及び血液透析、白血球交換療法、顆粒球輸血に付随する症候群から選択される。
【0044】
本発明は、さらに上述した病気状態又は状況の治療が必要な患者の治療方法であって、患者に、(a)有効な量の薬学的に許容しうる本発明の化合物又はその互変異性体、プロドラッグ、溶媒和化合物、若しくは塩;及び(b)薬学的に許容しうるグルココルチコイドを逐次的又は同時に投与することを含む方法を提供する。
本発明は、さらに試料内のグルココルチコイド受容体機能の検定方法であって、(a)試料を選択量の本発明の化合物又はその互変異性体、プロドラッグ、溶媒和化合物、若しくは塩と接触させる工程;及び(b)試料内のグルココルチコイド受容体に結合している本発明の化合物又はその互変異性体、プロドラッグ、溶媒和化合物、若しくは塩の量を検出する工程を含む方法を提供する。本発明の好ましい実施形態では、本発明の化合物又はその互変異性体、プロドラッグ、溶媒和化合物、若しくは塩は、放射標識、蛍光標識、化学発光標識、発色団、及びスピン標識から選択される検出可能マーカーで標識される。
【0045】
本発明は、試料又は患者内のグルココルチコイド受容体分布の画像処理方法であって、(a)検出可能マーカーを有する本発明の化合物又はその互変異性体、プロドラッグ、溶媒和化合物、若しくは塩を試料に接触させ、或いは患者に投与する工程;(b)画像を得るための画像処理手段を用いて、試料又は患者内のグルココルチコイド受容体に結合している、検出可能マーカーを有する本発明の化合物又はその互変異性体、プロドラッグ、溶媒和化合物、若しくは塩の空間分布と量を検出する工程;及び(c)試料内のグルココルチコイド受容体に結合している、検出可能マーカーを有する本発明の化合物又はその互変異性体、プロドラッグ、溶媒和化合物、若しくは塩の空間分布と量の画像を表示する工程を含む方法をも提供する。本発明の好ましい実施形態では、画像処理手段は、ラジオシンチグラフィー、核磁気共鳴像法(MRI)、コンピューター断層撮影法(CTスキャン)、又はポジトロン放出断層撮影法(PET)から選択される。
本発明は、試料内のグルココルチコイド受容体機能のインビトロ診断決定用キットであって、(a)診断的に有効な量の本発明の化合物又はその互変異性体、プロドラッグ、溶媒和化合物、若しくは塩;及び(b)診断キットの使用説明書を含むキットをも提供する。
【0046】
(使用する用語と慣例の定義)
ここで特に定義しない用語は、本開示と文脈に照らして本技術の当業者によって与えられるであろう意味が与えられるべきである。しかし、本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用する場合、反対の意味に明記しない限り、以下の用語は示した意味を有し、以下の慣例が固守される。
A.化学的な命名法、用語、及び慣例
以下に定義する基(groups)、基(radicals)、又は成分(moieties)では、炭素原子の数は、該基に先行して特定されることが多く、例えば、C1-C10アルキルは、1〜10個の炭素原子を有するアルキル基を意味する。いずれの炭素含有基にも適用される用語“低級”は、該基に妥当なように(すなわち、環式基は環を構成するために少なくとも3個の炭素原子を持たなければならない)1〜8個の炭素原子を含有する基を意味する。一般に、2個以上のサブ基を含む基では、最後の命名基が該基の結合点であり、例えば、“アルキルアリール”は、式Alk-Ar-の一価基を意味し、“アリールアルキル”は、式Ar-Alk-の一価基を意味する(式中、Alkはアルキル基であり、Arはアリール基である)。さらに、二価基が妥当な場合に一価基を示す用語の使用は、それぞれの二価基を示すものと、また逆も同様に解釈すべきである。特に指定のない限り、用語の慣習的な定義が支配し、すべての式及び基で慣習的に安定な原子価が仮定かつ達成されている。
【0047】
用語“アルキル”又は“アルキル基”は、分岐若しくは直鎖飽和脂肪族炭化水素一価基を意味する。この用語は、メチル、エチル、n-プロピル、1-メチルエチル(イソプロピル)、n-ブチル、n-ペンチル、1,1-ジメチルエチル(tert-ブチル)等のような基によって例示される。“Alk”と略記されうる。
用語“アルケニル”又は“アルケニル基”は、少なくとも1個の炭素-炭素二重結合を含有する分岐若しくは直鎖脂肪族炭化水素一価基を意味する。この用語は、エテニル、プロペニル、n-ブテニル、イソブテニル、3-メチルブタ-2-エニル、n-ペンテニル、ヘプテニル、オクテニル、デセニル等のような基によって例示される。
用語“アルキニル”又は“アルキニル基”は、少なくとも1個の炭素-炭素三重結合を含有する分岐若しくは直鎖脂肪族炭化水素一価基を意味する。この用語は、エチニル、プロピニル、n-ブチニル、2-ブチニル、3-メチルブチニル、n-ペンチニル、ヘプチニル、オクチニル、デシニル等のような基によって例示される。
【0048】
用語“アルキレン”又は“アルキレン基”は、指定数の炭素原子を有する分岐若しくは直鎖飽和脂肪族炭化水素二価基を意味する。この用語は、メチレン、エチレン、プロピレン、n-ブチレン等のような基によって例示され、本明細書では代わりにかつ同等に-(アルキル)-と示されうる。
用語“アルケニレン”又は“アルケニレン基”は、指定数の炭素原子と少なくとも1個の炭素-炭素二重結合を有する分岐若しくは直鎖脂肪族炭化水素二価基を意味する。この用語は、エテニレン、プロペニレン、n-ブテニレン等のような基によって例示され、本明細書では代わりにかつ同等に-(アルキレニル)-と示されうる。
用語“アルキニレン”又は“アルキニレン基”は、少なくとも1個の炭素-炭素三重結合を含有する分岐若しくは直鎖脂肪族炭化水素二価基を意味する。この用語は、エチニレン、プロピニレン、n-ブチニレン、2-ブチニレン、3-メチルブチニレン、n-ペンチニレン、ヘプチニレン、オクチニレン、デシニレン等のような基によって例示され、本明細書では代わりにかつ同等に-(アルキニル)-と示されうる。
【0049】
用語“アルコキシ”又は“アルコキシ基”は、式AlkO-(式中、Alkはアルキル基である)の一価基を意味する。この用語は、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、sec-ブトキシ、tert-ブトキシ、ペントキシ等のような基によって例示される。
用語“アリールオキシ”、“アリールオキシ基”は、式ArO-(式中、Arはアリール基である)の一価基を意味する。この用語は、フェノキシ、ナフトキシ等のような基によって例示される。
用語“アルキルカルボニル”、“アルキルカルボニル基”、“アルカノイル”、又は“アルカノイル基”は、式AlkC(O)-(式中、Alkはアルキル又は水素である)の一価基を意味する。
用語“アリールカルボニル”、“アリールカルボニル基”、“アロイル”又は“アロイル基”は、式ArC(O)-(式中、Arはアリールである)の一価基を意味する。
【0050】
用語“アシル”又は“アシル基”は、式RC(O)-(式中、Rは水素又は有機置換基から選択される置換基である)の一価基を意味する。典型的な置換基としては、アルキル、アリール、アリールアルキル、シクロアルキル、ヘテロサイクリル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル等が挙げられる。そういう基として、この用語は、アルキルカルボニル基及びアリールカルボニル基を含む。
用語“アシルアミノ”又は“アシルアミノ基”は、式RC(O)N(R)-(式中、各Rは水素又は置換基から選択される置換基である)の一価基を意味する。
用語“アルコキシカルボニル”又は“アルコキシカルボニル基”は、式AlkO-C(O)-(式中、Alkはアルキルである)の一価基を意味する。典型的なアルコキシカルボニル基としては、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、tert-ブチルオキシカルボニル等が挙げられる。
【0051】
用語“アリールオキシカルボニル”又は“アリールオキシカルボニル基”は、式ArO-C(O)-(式中、Arはアリールである)の一価基を意味する。
用語“アルキルカルボニルオキシ”又は“アルキルカルボニルオキシ基”又は“アルカノイルオキシ”又は“アルカノイルオキシ基”は、式AlkC(O)O-(式中、Alkはアルキルである)の一価基を意味する。
用語“アリールカルボニルオキシ”又は“アリールカルボニルオキシ基”又は“アロイルオキシ”又は“アロイルオキシ基”は、式ArC(O)O-(式中、Arはアリールである)の一価基を意味する。
用語“アルキルアミノカルボニルオキシ”又は“アルキルアミノカルボニルオキシ基”は、式R2NC(O)O-(式中、各Rは独立的に水素又は低級アルキルである)の一価基を意味する。
用語“アルコキシカルボニルアミノ”又は“アルコキシカルボニルアミノ基”は、式ROC(O)NH-(式中、Rは低級アルキルである)の一価基を意味する。
用語“アルキルカルボニルアミノ”又は“アルキルカルボニルアミノ基”又は“アルカノイルアミノ”又は“アルカノイルアミノ基”は、式AlkC(O)NH-(式中、Alkはアルキルである)の一価基を意味する。典型的なアルキルカルボニルアミノ基としてはアセトアミド(CH3C(O)NH-)が挙げられる。
【0052】
用語“アルキルアミノカルボニルオキシ”又は“アルキルアミノカルボニルオキシ基”は、式AlkNHC(O)O-(式中、Alkはアルキルである)の一価基を意味する。
用語“アミノ”又は“アミノ基”は、-NH2基を意味する。
用語“アルキルアミノ”又は“アルキルアミノ基”は、式(Alk)NH-(式中、Alkはアルキルである)の一価基を意味する。典型的なアルキルアミノ基としては、メチルアミノ、エチルアミノ、プロピルアミノ、ブチルアミノ、tert-ブチルアミノ等が挙げられる。
用語“ジアルキルアミノ”又は“ジアルキルアミノ基”は、式(Alk)(Alk)N-(式中、各Alkは独立的にアルキルである)の一価基を意味する。典型的なジアルキルアミノ基としては、ジメチルアミノ、メチルエチルアミノ、ジエチルアミノ、ジプロピルアミノ、エチルプロピルアミノ等が挙げられる。
【0053】
用語“置換アミノ”又は“置換アミノ基”は、式NR2-(式中、各Rは独立的に水素又は指定置換基から選択される置換基である(しかし両Rが水素ではありえない))の一価基を意味する。典型的な置換基としては、アルキル、アルカノイル、アリール、アリールアルキル、シクロアルキル、ヘテロサイクリル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル等が挙げられる。
用語“アルコキシカルボニルアミノ”又は“アルコキシカルボニルアミノ基”は式AlkOC(O)NH-(式中、Alkはアルキルである)の一価基を意味する。
用語“ウレイド”又は“ウレイド基”は、R2NC(O)NH-(式中、各Rは独立的に水素又はアルキルである)の一価基を意味する。
【0054】
用語“ハロゲン”又は“ハロゲン基”は、フルオロ、クロロ、ブロモ、又はヨード基を意味する。
用語“ハロ”は、該基の1個以上の水素原子がハロゲン基で置換されていることを意味する。
用語“ハロアルキル”又は“ハロアルキル基”は、その1個以上の水素原子がそれぞれ独立的にハロゲン原子で置換されている分岐若しくは直鎖飽和脂肪族炭化水素一価基を意味する。この用語は、クロロメチル、1,2-ジブロモエチル、1,1,1-トリフルオロプロピル、2-ヨードブチル、1-クロロ-2-ブロモ-3-フルオロペンチル等のような基によって例示される。
用語“スルファニル”、“スルファニル基”、“チオエーテル”、又は“チオエーテル基”は、式-S-の二価基を意味する。
用語“アルキルチオ”又は“アルキルチオ基”は、式AlkS-(式中、Alkはアルキルである)の一価基を意味する。典型的な基としては、メチルチオ、エチルチオ、n-プロピルチオ、イソプロピルチオ、n-ブチルチオ等が挙げられる。
【0055】
用語“アリールチオ”又は“アリールチオ基”は、式ArS-(式中、Arはアリールある)の一価基を意味する。
用語“スルフィニル”、“スルフィニル基”、“チオニル”、又は“チオニル基”は、式-SO-の二価基を意味する。
用語“スルホニル”又は“スルホニル基”は、式-SO2-の二価基を意味する。
用語“スルホニルアミノ”又は“スルホニルアミノ基”は、式-SO2NR-(式中、Rは水素又は置換基である)の二価基を意味する。
用語“アミノスルホニル”又は“アミノスルホニル基”は、式NR2SO2-(式中、Rはそれぞれ独立的に水素又は置換基である)の一価基を意味する。
【0056】
用語“炭素環”又は“炭素環基”は、炭素原子と水素原子のみから成る安定な脂肪族3-〜15-員単環式又は多環式の一価又は二価基を意味し、1個以上の縮合又は架橋環を含んでよく、好ましくは5-〜7-員単環式又は7-〜10-員二環式環である。特に指定のない限り、炭素環は、安定な構造をもたらすいずれの炭素原子のところで結合していてもよく、かつ置換されている場合、安定な構造をもたらすいずれの適切な炭素原子のところで置換されていてもよい。該用語は、シクロアルキル(スピロシクロアルキルを含む)、シクロアルキレン、シクロアルケニル、シクロアルケニレン、シクロアルキニル、及びシクロアルキニレン等を含む。
【0057】
用語“シクロアルキル”又は“シクロアルキル基”は、炭素原子と水素原子のみから成る安定な脂肪族飽和3-〜15-員単環式又は多環式一価基を意味し、1個以上の縮合又は架橋環を含んでよく、好ましくは5-〜7-員単環式又は7-〜10-員二環式環である。特に指定のない限り、シクロアルキル環は、安定な構造をもたらすいずれの炭素原子のところで結合していてもよく、かつ置換されている場合、安定な構造をもたらすいずれの適切な炭素原子のところで置換されていてもよい。典型的なシクロアルキル基としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル、ノルボルナニル、アダマンチル、テトラヒドロナフチル(テトラリン)、1-デカリニル、ビシクロ[2.2.2]オクタニル、1-メチルシクロプロピル、2-メチルシクロペンチル、2-メチルシクロオクチル等が挙げられる。
用語“シクロアルケニル”又は“シクロアルケニル基”は、少なくとも1個の炭素-炭素二重結合を有し、かつ炭素原子と水素原子のみから成る安定な脂肪族3-〜15-員単環式又は多環式一価基を意味し、1個以上の縮合又は架橋環を含んでよく、好ましくは5-〜7-員単環式又は7-〜10-員二環式環である。特に指定のない限り、シクロアルケニル環は、安定な構造をもたらすいずれの炭素原子のところで結合していてもよく、かつ置換されている場合、安定な構造をもたらすいずれの適切な炭素原子のところで置換されていてもよい。典型的なシクロアルケニル基としては、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘプテニル、シクロオクテニル、シクロノネニル、シクロデセニル、ノルボルネニル、2-メチルシクロペンテニル、2-メチルシクロオクテニル等が挙げられる。
【0058】
用語“シクロアルキニル”又は“シクロアルキニル基”は、少なくとも1個の炭素-炭素三重結合を有し、かつ炭素原子と水素原子のみから成る安定な脂肪族8-〜15-員単環式又は多環式一価基を意味し、1個以上の縮合又は架橋環を含んでよく、好ましくは8-〜10-員単環式又は12-〜15-員二環式環である。特に指定のない限り、シクロアルキニル環は、安定な構造をもたらすいずれの炭素原子のところで結合していてもよく、かつ置換されている場合、安定な構造をもたらすいずれの適切な炭素原子のところで置換されていてもよい。典型的なシクロアルキニル基としては、シクロオクチニル、シクロノニニル、シクロデシニル、2-メチルシクロオクチニル等が挙げられる。
用語“シクロアルキレン”又は“シクロアルキレン基”は、炭素原子と水素原子のみから成る安定な飽和脂肪族3-〜15-員単環式又は多環式二価基を意味し、1個以上の縮合又は架橋環を含んでよく、好ましくは5-〜7-員単環式又は7-〜10-員二環式環である。特に指定のない限り、シクロアルキル環は、安定な構造をもたらすいずれの炭素原子のところで結合していてもよく、かつ置換されている場合、安定な構造をもたらすいずれの適切な炭素原子のところで置換されていてもよい。典型的なシクロアルキレン基としては、シクロペンチレン等が挙げられる。
【0059】
用語“シクロアルケニレン”又は“シクロアルケニレン基”は、少なくとも1個の炭素-炭素二重結合を有し、かつ炭素原子と水素原子のみから成る安定な脂肪族5-〜15-員単環式又は多環式二価基を意味し、1個以上の縮合又は架橋環を含んでよく、好ましくは5-〜7-員単環式又は7-〜10-員二環式環である。特に指定のない限り、シクロアルケニレン環は、安定な構造をもたらすいずれの炭素原子のところで結合していてもよく、かつ置換されている場合、安定な構造をもたらすいずれの適切な炭素原子のところで置換されていてもよい。典型的なシクロアルケニレン基としては、シクロペンテニレン、シクロヘキセニレン、シクロヘプテニレン、シクロオクテニレン、シクロノネニレン、シクロデセニレン、ノルボルネニレン、2-メチルシクロペンテニレン、2-メチルシクロオクテニレン等が挙げられる。
用語“シクロアルキレン”又は“シクロアルキレン基”は、少なくとも1個の炭素-炭素三重結合を有し、かつ炭素原子と水素原子のみから成る安定な脂肪族8-〜15-員単環式又は多環式二価基を意味し、1個以上の縮合又は架橋環を含んでよく、好ましくは8-〜10-員単環式又は12-〜15-員二環式環である。特に指定のない限り、シクロアルキニレン環は、安定な構造をもたらすいずれの炭素原子のところで結合していてもよく、かつ置換されている場合、安定な構造をもたらすいずれの適切な炭素原子のところで置換されていてもよい。典型的なシクロアルキニレン基としては、シクロオクチニレン、シクロノニニレン、シクロデシニレン、2-メチルシクロオクチニレン等が挙げられる。
【0060】
用語“アリール”又は“アリール基”は、単一の環(例えば、フェニル若しくはフェニレン)又は複数の縮合環(例えば、ナフチル若しくはアントラニル)を有する6〜14個の炭素原子の芳香族炭素環式一価又は二価基を意味する。特に指定のない限り、アリール環は、安定な構造をもたらすいずれの適切な炭素原子のところで結合していてもよく、かつ置換されている場合、安定な構造をもたらすいずれの適切な炭素原子のところで置換されていてもよい。典型的なアリール基としては、フェニル、ナフチル、アントリル、フェナントリル、インダニル、インデニル、ビフェニル等が挙げられる。“Ar”と略記しうる。
用語“ヘテロアリール”又は“ヘテロアリール基”は、環中に窒素、酸素、及びイオウから独立的に選択される1〜4個のヘテロ原子を有する、安定な芳香族5-〜14-員単環式又は多環式の一価又は二価基を意味し、1個以上の縮合又は架橋環を含んでよく、好ましくは5-〜7-員単環式又は7-〜10-員二環式環であり、ここで、いずれのイオウヘテロ原子も任意に酸化されていてもよく、かついずれの窒素ヘテロ原子も任意に酸化又は四級化されていてもよい。特に指定のない限り、ヘテロアリール環は、安定な構造をもたらすいずれの適切なヘテロ原子若しくは炭素原子のところで結合していてもよく、かつ置換されている場合、安定な構造をもたらすいずれの適切なヘテロ原子若しくは炭素原子のところで置換されていてもよい。典型的かつ好ましいヘテロアリール基としては、フラニル、チエニル、ピロリル、オキサゾリル、チアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、オキサジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、チアジアゾリル、ピリジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、インドリジニル、インドリル、アザインドリル、ジヒドロインドリル、イソインドリル、ベンゾフラニル、ジヒドロベンゾフラニル、ベンゾチエニル、ジヒドロベンゾチエニル、インダゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾピラゾリル、プリニル、キノリジニル、キノリニル、ジヒドロキノリニル、テトラヒドロキノリニル、イソキノリニル、ジヒドロイソキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、シンノリニル、フタラジニル、キナゾリニル、キノキサリニル、ナフチリジニル、プテリジニル、カルバゾリル、アクリジニル、フェナジニル、フェノチアジニル、及びフェノキサジニル等が挙げられる。
【0061】
用語“ヘテロ環”、“ヘテロ環基”、“ヘテロサイクリル”、又は“ヘテロサイクリル基”は、環中に窒素、酸素、及びイオウから独立的に選択される1〜3個のヘテロ原子を有する、安定な非芳香族5-〜14-員単環式又は多環式の一価又は二価基を意味し、1個以上の縮合又は架橋環を含んでよく、好ましくは5-〜7-員単環式又は7-〜10-員二環式環であり、ここで、いずれのイオウヘテロ原子も任意に酸化されていてもよく、かついずれの窒素ヘテロ原子も任意に酸化又は四級化されていてもよい。特に指定のない限り、ヘテロサイクリル環は、安定な構造をもたらすいずれの適切なヘテロ原子若しくは炭素原子のところで結合していてもよく、かつ置換されている場合、安定な構造をもたらすいずれの適切なヘテロ原子若しくは炭素原子のところで置換されていてもよい。典型的かつ好ましいヘテロ環としては、ピロリニル、ピロリジニル、ピラゾリニル、ピラゾリジニル、ピペリジニル、モルフォリニル、チオモルフォリニル、ピペラジニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、テトラヒドロフラニル、ヘキサヒドロピリミジニル、ヘキサヒドロピリダジニル等が挙げられる。
【0062】
用語“本発明の化合物”及び同等の表現は、本明細書で述べるとおりの式(I)の化合物を包含し、文脈から許される場合、その互変異性体、プロドラッグ、塩、特に薬学的に許容しうる塩、及び溶媒和化合物と水和物を包含する意である。一般的かつ好ましくは、本発明の化合物及び本発明の化合物を表す式は、その安定な化合物のみを含み、不安定な化合物が該化合物の式によって逐語的に包含されると考えられる場合でさえ、不安定な化合物は除外するものと解釈する。同様に、中間体に対する言及は、それ自体を請求していてもいなくても、文脈から許される場合、その塩及び溶媒和化合物を包含する意である。明瞭にするため、文脈から許される特定の例が本文で示されることがあるが、これら例は、単に例示であり、文脈から許される他の例を排除することを意図しない。
【0063】
用語“任意の”又は“任意に”は、その後に述べる事象又は事情が起こっても起こらなくてもよく、かつその記述は該事象又は事情が起こった場合の例及びそれが起こらなかった例を包含することを意味する。例えば、“任意に置換されていてもよいアリール”は、アリール基が置換されていてもいなくてもよいことを意味し、かつこの記述は置換されているアリール基と、置換基のないアリール基の両者を包含する。
用語“安定な化合物”又は“安定な構造”は、反応混合物から役立つ程度の純度に単離すること、及び有効な治療薬又は診断薬への処方を生き抜くのに十分頑強である化合物を意味する。例えば、“ダングリング原子価”を持つであろう、或いはカルボアニオンである化合物は、本発明で予期される化合物ではない。
【0064】
用語“置換される”は、基又は成分の原子上の1個以上の、具体的に指名され或いは指名されない水素原子が、該原子の普通の原子価を超えず、かつ該置換が安定な化合物をもたらすことを条件に、指示した置換基群から選択された基で置換されることを意味する。置換基への結合が、環内の2つの原子を結びつける結合を横切ることが示される場合、このような置換基は、該環のいずれの原子にも結合しうる。置換基が、このような置換基を該化合物の残基につなげる原子を指示せずに列挙されているときは、このような置換基は、該置換基内のいずれの原子によっても結合されうる。例えば、置換基がピペラジニル、ピペリジニル、又はテトラゾリルであるとき、特に指定のない限り、該ピペラジニル、ピペリジニル、又はテトラゾリル基は、該ピペラジニル、ピペリジニル、又はテトラゾリル基内のいずれの原子によっても本発明の化合物の残基に結合されうる。一般に、いずれかの構成又は化合物内で1回より多く置換基又は基が現れる場合、各存在についてのその定義は、他の存在毎にその定義から独立している。従って、例えば、ある基が0〜2個のR5で置換されると示されている場合、該基は、任意に2個までのR5基で置換されることがあり、各存在におけるR5は、R5として可能な定義リストから独立的に選択される。しかし、置換基及び/又は変量のこのような組合せは、該組合せが安定な化合物をもたらす場合のみ許される。
特有の実施形態では、用語“約(about)”又は“約(approximately)”は、与えられた値又は範囲の20%以内、好ましくは10%以内、さらに好ましくは5%以内を意味する。
本明細書で述べる各反応の収率は、理論的な収量のパーセンテージとして表す。
【0065】
B.塩、プロドラッグ、誘導体、及び溶媒和化合物の用語と慣例
用語“プロドラッグ”又は“プロドラッグ誘導体”は、その薬理学的効果を発現する前に少なくともいくらかの生変換を受ける親化合物又は活性薬物の共有結合した誘導体又は担体を意味する。一般に、このようなプロドラッグは代謝的に切断可能な基を有し、かつ例えば血液内での加水分解によって迅速にインビボ変換して親化合物を生じ、通常、親化合物のエステル及びアミド類似体を含む。プロドラッグは、化学的安定性改善、患者の受け入れとコンプライアンス改善、バイオアべイラビリティ改善、作用の持続時間の延長、臓器選択性改善、製剤形態改善(例えば、水溶性向上)、及び/又は副作用(例えば、毒性)低減の目的で処方される。一般に、プロドラッグ自体は生物活性が弱いか又は無く、通常の条件下で安定である。プロドラッグは、A Textbook of Drug Design and Development, Krogsgaard-Larsen及びH. Bundgaard (eds.), Gordon & Breach, 1991,特に第5章: “プロドラッグの設計と応用”; Design of Prodrugs, H. Bundgaard (ed.), Elsevier, 1985; Prodrugs: Topical and Ocular Drug Delivery, K.B. Sloan (ed.), Marcel Dekker, 1998; Methods in Enzymology, K. Widderら (eds.), Vol. 42, Academic Press, 1985, 特にpp. 309-396; Burger's Medicinal Chemistry and Drug Discovery, 5th Ed., M. Wolff (ed.), John Wiley & Sons, 1995,特に1巻かつpp.172-178及びpp. 949-982; Pro-Drugs as Novel Delivery Systems, T. Higuchi及びV. Stella (eds.), Am. Chem. Soc., 1975;及び Bioreversible Carriers in Drug Design, E.B. Roche (ed.), Elsevier, 1987(それぞれ参照によってその全体が本明細書に取り込まれる)に記載されている方法のような技術的に公知の方法で親化合物から容易に調製することができる。
【0066】
本明細書で使用する場合、用語“薬学的に許容しうるプロドラッグ”は、ゾンデ医学的判断の範囲内で、不相応な毒性、刺激、アレルギー反応等がなく、ヒト及び下等動物の組織と接触して使用するのに適し、妥当な利益/危険比で釣り合っており、かつその意図した用途に有効であり、可能な場合は双性イオンの形態である、本発明の化合物のプロドラッグを意味する。
用語“塩”は、親化合物のイオン性形態、又は親化合物と、親化合物の酸性塩若しくは塩基性塩を生じさせるのに好適な酸若しくは塩基との間の反応生成物を意味する。本発明の化合物の塩は、従来の化学的方法で、塩基性若しくは酸性成分を含有する親化合物から合成することができる。一般に、塩は、適切な溶媒又はいろいろ組み合わせた溶媒中、遊離の塩基性又は酸性の親化合物を、化学量論量又は過剰な所望の塩形成用無機若しくは有機酸又は塩基と反応させることによって調製される。
【0067】
用語“薬学的に許容しうる塩”は、ゾンデ医学的判断の範囲内で、不相応な毒性、刺激、アレルギー反応等がなく、ヒト及び下等動物の組織と接触して使用するのに適し、妥当な利益/危険比で釣り合っており、通常、水若しくは油に溶け、又は分散性であり、かつその意図した用途に有効である、本発明の化合物の塩を意味する。この用語は、薬学的に許容しうる酸付加塩と薬学的に許容しうる塩基付加塩を包含する。本発明の化合物が遊離塩基と塩形態の両者で有用な場合、実際には、塩形態の使用は塩基形態の使用に等しい。好適な塩のリストは、例えば、S.M. Birgeら, J. Pharm. Sci., 1977, 66, pp. 1-19(参照によってその全体が本明細書に取り込まれる)に記載されている。
【0068】
用語“薬学的に許容しうる酸付加塩”は、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、スルファミン酸、硝酸、リン酸などのような無機酸、及び酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、アジピン酸、アルギン酸、アスコルビン酸、アスパラギン酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、2-アセトキシ安息香酸、酪酸、樟脳酸、樟脳スルホン酸、ケイ皮酸、クエン酸、ジグルコン酸、エタンスルホン酸、グルタミン酸、グリコール酸、グリセロリン酸、ヘミスルフィン酸、ヘプタン酸、ヘキサン酸、ギ酸、フマル酸、2-ヒドロキシエタンスルホン酸(イセチオン酸)、乳酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、リンゴ酸、マロン酸、マンデル酸、メシチレンスルホン酸、メタンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、ニコチン酸、2-ナフタレンスルホン酸、シュウ酸、パモン酸(pamoic acid)、ペクチン酸、フェニル酢酸、3-フェニルプロピオン酸、ピクリン酸、ピバル酸、プロピオン酸、ピルビン酸、ピルビン酸、サリチル酸、ステアリン酸、コハク酸、スルファニル酸、酒石酸、p-トルエンスルホン酸、ウンデカン酸などのような有機酸と共に形成された、遊離塩基の生物学的効果及び特性を保持し、かつ生物学的又はそれ以外でも望ましくなくない当該塩を意味する。
【0069】
用語“薬学的に許容しうる塩基付加塩”は、アンモニア、又はアンモニウム若しくはナトリウム、カリウム、リチウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、銅、マンガン、アルミニウム等のような金属カチオンの水酸化物、炭酸塩、若しくは炭酸水素塩のような無機塩基と共に形成された、遊離酸の生物学的効果及び特性を保持し、かつ生物学的又はそれ以外でも望ましくなくない当該塩を意味する。特に好ましくはアンモニウム、カリウム、ナトリウム、カルシウム、及びマグネシウム塩である。薬学的に許容しうる無毒の有機塩基から誘導される塩としては、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、イソプロピルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、2-ジメチルアミノエタノール、2-ジエチルアミノエタノール、ジシクロヘキシルアミン、リジン、アルギニン、ヒスチジン、カフェイン、ヒドラバミン、コリン、ベタイン、エチレンジアミン、グルコサミン、メチルグルコサミン、テオブロミン、プリン、ピペラジン、ピペリジン、N-エチルピペリジン、テトラメチルアンモニウム化合物、テトラエチルアンモニウム化合物、ピリジン、N,N-ジメチルアニリン、N-メチルピペリジン、N-メチルモルフォリン、ジシクロヘキシルアミン、ジベンジルアミン、N,N-ジベンジルフェネチルアミン、1-エフェナミン、N,N'-ジベンジルエチレンジアミン、ポリアミン樹脂などのような一級、二級、及び三級アミン、四級アミン化合物、天然に存在する置換アミンを含む置換アミン、環状アミン及び塩基性イオン交換樹脂の塩が挙げられる。特に好ましい無毒の有機塩基は、イソプロピルアミン、ジエチルアミン、エタノールアミン、トリメチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、コリン、及びカフェインである。
【0070】
用語“溶媒和化合物”は、化合物と1つ以上の溶媒分子の物理的な会合物、或いは溶質(例えば、式(I)の化合物)と溶媒、例えば、水、エタノール、又は酢酸によって形成された可変化学量論の複合物を意味する。この物理的な会合物は、水素結合を含め、異なる程度のイオン結合と共有結合を含みうる。ある例では、例えば、1つ以上の溶媒分子が結晶固体の結晶格子内に取り込まれている溶媒和化合物は分離しうる。一般に、選択される溶媒は該溶質の生物活性を妨げない。溶媒和化合物は、溶液相及び分離しうる溶媒和化合物の両者を包含する。代表的な溶媒和化合物として、水和物、エタノレート(ethanolates)、メタノレート(metahnolates)等が挙げられる。
用語“水和物”は、溶媒分子がH2Oである溶媒和化合物を意味する。
以下で論じるような本発明の化合物は、その遊離塩基又は酸、その塩、溶媒和化合物、及びプロドラッグを含み、かつ明白に述べ或いは示さないが、その構造中に酸化されたイオウ原子又は四級化された窒素原子、特に薬学的に許容しうる形態を含みうる。このような形態、特に薬学的に許容しうる形態は、添付の特許請求の範囲に包含されること意図している。
【0071】
C.異性体用語と慣例
用語“異性体”は、同じ数と種類の原子を有し、それゆえに同じ分子量を有するが、空間的な原子の配列又は配置が異なる化合物を意味する。この用語は、立体異性体と幾何異性体を包含する。
用語“立体異性体”又は“光学異性体”は、少なくとも1個のキラル原子又は垂直の非対称面を生じさせる制限された回転を有し(例えば、特定のビフェニル、アレン、及びスピロ化合物)、かつ平面偏光を回転させうる安定な異性体を意味する。本発明の化合物には不斉中心及び立体異性を生じさせうる他の化学構造が存在するため、本発明は立体異性体とその混合物を想定する。本発明の化合物及びその塩は不斉炭素原子を含むので、単一の立体異性体、ラセミ体、及びエナンチオマーとジアステレオマーの混合物として存在しうる。典型的に、このような化合物はラセミ混合物として調製されるだろう。しかし、所望により、このような化合物を純粋な立体異性体として、すなわち個々のエナンチオマー又はジアステレオマーとして、或いは立体異性体に富んだ混合物として調製又は単離することができる。さらに詳細に後述するように、化合物の個々の立体異性体は、所望のキラル中心を含有する光学活性な出発原料からの合成によって、或いはエナンチオマー生成物の混合物を調製後、ジアステレオマー混合物への転換後分離若しくは再結晶、クロマトグラフ法、キラル分割剤の使用、又はキラルクロマトグラフカラム上でのエナンチオマーの直接分離のような分離又は分割によって調製される。特定の立体化学の出発化合物は商業的に入手可能であり、或いは後述する方法で調製して技術的に周知な方法で分割される。
【0072】
用語“エナンチオマー”は、相互に重ね合わせることができない鏡像である1対の立体異性体を意味する。
用語“ジアステレオ異性体”又は“ジアステレオマー”は相互に鏡像でない立体異性体を意味する。
用語“ラセミ混合物”又は“ラセミ体”は等しい割合で個々のエナンチオマーを含有する混合物を意味する。
用語“非ラセミ混合物”は等しくない割合で個々のエナンチオマーを含有する混合物を意味する。
用語“幾何異性体”は、二重結合の回り(例えば、シス-2-ブテンとトランス-2-ブテン)又は環式構造内(例えば、シス-1,3-ジクロロシクロブタンとトランス-1,3-ジクロロシクロブタン)で回転の自由が制限されていることから生じる安定な異性体を意味する。炭素-炭素二重(オレフィン性)結合、C=N二重結合、環式構造などが本発明の化合物には存在しうるので、本発明はこれら二重結合の回り及びこれら環式構造内における置換基の配置に起因する種々の安定な各幾何異性体及びその混合物を想定する。置換基及び異性体はシス/トランス慣例を用い、或いはE又はZシステムを用いて命名され、用語“E”は高順位置換基が二重結合の反対側にあることを意味し、かつ用語“Z”は高順位置換基が二重結合の同じ側にあることを意味する。E及びZ異性の通しの議論は、J. March, Advanced Organic Chemistry: Reactions, Mechanisms, and Structure, 4th ed., John Wiley & Sons, 1992(参照によってその全体が本明細書に取り込まれる)に提供されている。以下の実施例のいくつかは、単一のE異性体、単一のZ異性体、及びE/Z異性体の混合物に相当する。E及びZ異性体の決定は、X線結晶学、1H NMR、及び13C NMRのような分析法によって行うことができる。
【0073】
本発明のいくつかの化合物は、1つより多くの互変異性形態で存在することができる。上述したように、本発明の化合物はこのようなすべての互変異性体を包含する。
化合物の生物学的及び薬理学的活性が該化合物の立体化学に敏感であることは技術的に周知である。従って、例えば、エナンチオマーは、多くの場合、代謝、タンパク質結合性などを含む薬物動態学的特性、及び示される活性のタイプ、活性の程度、毒性などを含む薬理学的特性の相異を含む著しく異なった生物学的活性を示す。従って、本技術の当業者は、一方のエナンチオマーが他方のエナンチオマーに比べて富んでいるか或いは他方のエナンチオマーから分離されている場合、より活性であるか又は有益な効果を示しうることを認めるだろう。さらに、本技術の当業者は、本発明の化合物のエナンチオマーをどうやって分離し、濃厚にし、又は選択的に調製するかが、この開示及び先行技術の知識から分かるだろう。
従って、薬物のラセミ形態を使用しうるが、それは等量の鏡像異性的に純粋な薬物を投与するより効力が低い場合があり;実際、一方のエナンチオマーは薬理学的に不活性であり、単純な希釈剤としてしか役立たない場合がある。例えば、イブプロフェンは、以前はラセミ体として投与されていたが、イブプロフェンのS-異性体だけが抗炎症薬として有効であることが分かった(しかし、イブプロフェンの場合、R-異性体は不活性であるが、S-異性体にインビボ転換されるので、この薬物のラセミ形態の作用速度は純粋なS-異性体より遅い)。さらに、エナンチオマーの薬理学的活性は、別個の生物学的活性を有するかもしれない。例えば、S-ペニシラミンは慢性関節炎の治療薬であるが、R-ペニシラミンは毒性である。実際に、純化した個々の異性体がラセミ混合物に比べて早い皮膚浸透速度を有すると報告されているように、純化したエナンチオマーはラセミ体を超える利点を有することがある。米国特許第5,114,946号及び第4,818,541号を参照せよ。
【0074】
従って、一方のエナンチオマーが他方のエナンチオマーより薬理学的に活性であり、毒性が低く、或いは体内で好ましい性質を有する場合、当該エナンチオマーを優先的に投与することが治療的に有益だろう。この方法では、治療を受ける患者がさらされる薬物の総用量は少なく、かつ毒性の可能性があるエナンチオマー又は他方のエナンチオマーのインヒビターの用量が少ないだろう。
純粋なエナンチオマー又は所望のエナンチオマー過剰(ee)若しくはエナンチオマー的に純粋な混合物の調製は、1種以上の多くの方法、(a)エナンチオマーの分離若しくは分割、又は(b)本技術の当業者に公知のエナンチオ選択的合成、又はその組合せによって達成される。これら分割法は、一般的にキラル認識に依存し、例えば、キラル固定相を用いるクロマトグラフィー、エナンチオ選択的ホスト-ゲスト複合体生成、キラル補助手段を用いる分割若しくは合成、エナンチオ選択的合成、酵素的及び非酵素的動的分割、又は自発性エナンチオ選択的結晶化が挙げられる。このような方法は、一般にChiral Separation Techniques: A Practical Approach(第2版), G. Subramanian(ed.), Wiley-VCH, 2000; T.E. Beesley及びR.P.W. Scott, Chiral Chromatography, John Wiley & Sons, 1999;及びSatinder Ahuja, Chiral Separations by Chromatography, Am. Chem. Soc., 2000に開示されている。さらに、エナンチオマー過剰若しくは純度の定量化で同様に周知な方法、例えば、GC、HPLC、CE、又はNMR、及び絶対配置と立体配座の割当て、例えばCD ORD、X線結晶学、又はNMRがある。
一般に、化学構造又は化合物の個々の幾何異性体若しくは立体異性体、又はラセミ若しくは非ラセミ混合物であれ、化合物名又は構造中に特定の立体化学又は異性形態が具体的に示されていない限り、すべての互変異性形態と異性形態及び混合物を意図している。
【0075】
D.製剤投与及び診断及び治療用語と慣例
用語“患者”は、ヒトと非ヒト哺乳類の両者を包含する。
用語“有効な量”は、本発明の化合物が投与又は使用される状況において、所望の効果又は結果を達成するのに十分な本発明の化合物の量を意味する。状況によって、用語有効な量は、薬学的に有効な量又は診断的に有効な量を包含し、或いは同義でありうる。
用語“薬学的に有効な量”又は“治療的に有効な量”は、本発明の化合物が必要な患者にそれを投与するとき、該化合物が役立つ病気状態、状況、又は障害の治療を果たすのに十分な本発明の化合物の量を意味する。このような量は、研究者又は臨床医が探究している組織、系、又は患者の生物学的又は医学的反応を誘発するのに十分だろう。治療的に有効な量を構成する本発明の化合物の量は、該化合物とその生物学的活性、投与に用いる組成物、投与の時間、投与の経路、該化合物の排出速度、治療の持続時間、治療する病気状態又は障害のタイプとその重症度、本発明の化合物と組み合わせて或いは同時に使用する薬物、及び患者の年齢、体重、通常の健康状態、性、食事療法のような因子によって変わる。自分自身の知識、先行技術、及びこの開示に関心を持っている本技術の当業者は、このような治療的に有効な量を日常的に決定することができる。
【0076】
用語“診断的に有効な量”は、本発明の化合物を診断方法、装置、又は検定で使用するとき、所望の診断効果或いは該診断方法、装置、又は検定に必要な所望の生物学的活性を達成するのに十分な本発明の化合物の量を意味する。このような量は、診断方法、装置、又は検定において、研究者又は臨床医が探究している患者内或いはインビトロ若しくはインビボ組織又は系内での生物学的又医学的反応を含みうる生物学的又は医学的反応を誘発するのに十分だろう。診断的に有効な量を構成する本発明の化合物の量は、該化合物とその生物学的活性、使用する診断方法、装置、又は検定、投与に用いる組成物、投与の時間、投与の経路、該化合物の排出速度、投与の持続時間、本発明の化合物と組み合わせて或いは同時に使用する薬物、及び、患者が診断投与の対象である場合、該患者の年齢、体重、通常の健康状態、性、食事療法のような因子によって変わる。自分自身の知識、先行技術、及びこの開示に関心を持っている本技術の当業者は、このような診断的に有効な量を日常的に決定することができる。
【0077】
用語“調節”は、化合物の、例えば、グルココルチコイド受容体に結合してグルココルチコイド受容体機能性反応を刺激又は阻害することによって、グルココルチコイド受容体の機能を変える能力を意味する。
本発明の化合物を記述する文脈中の用語“モジュレーター”は、グルココルチコイド受容体機能を調節する化合物を意味する。モジュレーターとしては、限定するものではないが、アゴニスト、部分アゴニスト、アンタゴニスト、及び部分アンタゴニストが挙げられる。
本発明の化合物を記述する文脈中の用語“アゴニスト”は、グルココルチコイド受容体に結合すると、グルココルチコイド受容体機能を増強し或いは高める化合物を意味する。アゴニストとしては、部分アゴニストと完全アゴニストが挙げられる。
本発明の化合物を記述する文脈中の用語“完全アゴニスト”は、予備の(非占有)グルココルチコイド受容体が存在するときでさえ、グルココルチコイド受容体から最大の刺激反応を誘起する化合物を意味する。
本発明の化合物を記述する文脈中の用語“部分アゴニスト”は、グルココルチコイド受容体を飽和させるのに十分な濃度で存在するときでさえ、グルココルチコイド受容体から最大の刺激反応を誘起できない化合物を意味する。
本発明の化合物を記述する文脈中の用語“アンタゴニスト”は、グルココルチコイド受容体機能を直接又は間接的に阻害又は抑制する化合物を意味する。アンタゴニストとしては、部分アンタゴニストと完全アンタゴニストが挙げられる。
本発明の化合物を記述する文脈中の用語“完全アンタゴニスト”は、予備の(非占有)グルココルチコイド受容体が存在するときでさえ、グルココルチコイド受容体から最大の阻害反応を誘起する化合物を意味する。
本発明の化合物を記述する文脈中の用語“部分アンタゴニスト”は、グルココルチコイド受容体を飽和させるのに十分な濃度で存在するときでさえ、グルココルチコイド受容体から最大の阻害反応を誘起できない化合物を意味する。
用語“治療する”又は“治療”は、患者の病気状態の治療を意味し、かつ以下のことを包含する:
(i)特に、該患者が遺伝的又は他の点でその病気状態にかかり易いがまだその病気状態を有していると診断されていない場合に、患者にその病気状態が生じるのを予防すること;
(ii)患者のその病気状態を阻害又は緩和する、すなわちその進行を静止又は遅らせること;又は
(iii)患者のその病気状態を軽減、すなわち病気状態の退行又は治癒をもたらすこと。
【0078】
(発明の詳細な説明)
式(I)の化合物を製造するための一般的な合成方法
本発明は、式(I)の化合物の製造方法をも提供する。すべてのスキームで、特に指定のない限り、下記式中のR1〜R6、X、Y、及びnは、上述した本発明の式(I)中のR1〜R6、X、Y、及びnの意味を有するものとする。本発明の化合物の調製で使用する中間体は商業的に入手可能であり、或いは本技術の当業者に周知な方法で容易に調製される。
最適な反応条件及び反応時間は、使用する特有の反応物によって変わりうる。特に指定のない限り、本技術の当業者は溶媒、温度、圧力、及び他の反応条件を容易に選択することができる。実験例セクションで特定手順が提供される。典型的に、反応の進行を薄層クロマトグラフィー(TLC)でモニターし、所望により、中間体及び生成物はシリカゲル上クロマトグラフィー及び/又は再結晶で精製される。
【0079】
式(I)の化合物は、下記スキームIで概要を述べる方法で調製することができる。
【化30】

【0080】
スキームIに示されるように、4-ブロモニトロベンゼン(II)又は4-ニトロアリールトリフラートのような4-ハロニトロベンゼンは、Pd(PPh3)Cl2のようなパラジウム触媒とNa2CO3のような塩基の存在下、アリールホウ素酸(III)と鈴木(Suzuki)反応を受けてビアリール化合物(IV)を生成する。例えば、NH4CO2Hのような水素源の存在下、Pd/Cのような適切な触媒によるビアリール化合物(IV)の還元がアミノビアリール種(V)を与える。ヨウ素の存在下、アセトン(示される)のようなケトンとのスクラウプ(Skraup)反応(Org. Reactions, 1953, 7, 59)がジヒドロキノリン(VI)(R1及びR2は、両方ともアセトンとのスクラウプ反応のためのCH3である)を与える。N-ブロモスクシンイミドのような適切な臭素化剤によるジヒドロキノリン(VI)の臭素化が化合物(VII)を与える。適切な塩基の存在下、化合物(VII)の所望求核試薬(例えば、アミン、チオール、又はアルコール)との反応が式(I)の所望化合物を与える。
【0081】
XがNH又NR'(R'はアルキル基)である式(I)の化合物を得る手順は、下記スキームIIに示される。
【化31】

【0082】
スキームIIに示されるように、DMFのような適切な溶媒中で化合物(VII)をアジ化ナトリウムと反応させてアジド(VIII)を生成する。トリフェニルホスフィンのような還元剤で処理してアジド(VIII)のアジド官能性を還元してアミン(IX)を生成する。適切なカップリング条件下、例えばEDCとHOBT及びN,N-ジイソプロピルエチルアミンのような塩基の存在下でのアミン(IX)とR4CO2Hの反応がアミド(I)(この例では、XがNHかつR3がC(O)である)を生成する。X=NR'(R'はアルキル基又は置換アルキル基)の対応する化合物を望む場合、この生成物をNaHのような塩基の存在下でR'Z(Zはハロゲン、好ましくはBr又はI)と反応させて式(I)の所望化合物を生じさせることができる。
【0083】
下記スキームIIIは、XがOであり、かつR5(又はR6)がアルキル、アルケニル、アルキニルである式(I)の化合物を得る方法を示す。
【化32】

【0084】
スキームIIIに示されるように、化合物(IV)の環窒素上の水素をXで示されるt-Boc-基のような保護基で置換する。こうして、化合物(VI)のn-BuLiのような塩基、次いでジ-tert-ブチル二炭酸塩との反応が化合物(X)を与える。化合物(X)の酸化セレニウムのような適切な酸化剤との反応がアルデヒド(XI)を与える。このアルデヒド(XI)をグリニャール試薬R5MgX又はR6MgX(Xはハロゲン)と反応させさアルコール(XII)を与える。ビス(トリメチルシリル)アミドのような塩基の存在下でのR43Z(Zはハロゲン)との処理によるアルキル化後、例えば、t-Boc-保護基ではトリフルオロ酢酸による処理によってのように脱保護して式(I)の所望化合物を与える。
所望により、アルコール(XII)のヒドロキシ基をメタンスルホニルエステルのような脱離基に変換してからアルコール、チオール、又はアミンで置換して、XがそれぞれO、S、又はNHである式(I)の所望化合物を得ることができる。例えば、下記スキームIVに示されるように、トリエチルアミンのような塩基の存在下、アルコール(XII)の塩化メタンスルホニルによる処理が化合物(XIII)を与える。化合物(XIII)のR43XHm(XHmはOH、SH、又はNH2)との反応後、上述したような脱保護が式(I)の所望化合物を与える。













【0085】
【化33】

【0086】
上記手順の変形では、スキームIで述べたスクラウプ反応を用いて、6-位で、アリールホウ素酸と鈴木反応を受ける基に変換しうる基又は官能性によって置換されているジヒドロキノリンを調製することができる。これは、下記スキームVに示される。こうして、4-エトキシアニリン(XIV)が、技術的に周知の方法でトリフルオロメタンスルホニルエステル(XVI)に変換しうる化合物(XV)を生成する。代わりに、4-ブロモアニリン(XVII)は化合物(XVIII)を与える。これらのどちらかが所望のY-B(OH)2との鈴木反応を受けて化合物(VI)を生成し、上記スキームI〜IVで述べたように式(I)の所望化合物を与えるために使用することができる。
スキームVに示されるさらに別の変形では、化合物(XVIII)を、示した4,4,5,5-テトラメチル-[1,3,2]-ジオキサボラン-2-イル誘導体(XIX)のようなホウ素酸誘導体に変換することができる。これがY-Z(Zはトリフラート又はハロゲン、好ましくはBr若しくはI)との鈴木反応を受けて所望化合物(VI)を生成しうる。






















【0087】
【化34】

【0088】
スクラウプ反応を必要としないジヒドロキノリン環調製の代替手順は、例えば、米国特許第6,001,846(参照によって本明細書に取り込まれる)で技術的に周知であり、式(I)の化合物の調製に使用することができる。スキームVIは、メチル以外のR1及び/又はR2置換基を有する式(I)の化合物の調製に有用な手順を示す。スキームVIに示されるように、2,4-ジブロモアニリンのような2,4-ジハロアニリン(XX)が、中間体(II)についてスキームIで述べたようにアリールホウ素酸(III)との鈴木反応を受けてハロビアリール化合物(XXI)が生成する。この中間体(XXI)が2-メタル化プロペン(XXII)とカップリングして化合物(XXIII)を生成する、適切なカップリング反応の例は、化合物(XXII)が2-(トリブチルスタンニル)プロパンの場合、スチレ(Stille)カップリングである。引き続き、三フッ化ホウ素エーテラート又は樟脳スルホン酸のような触媒の存在下、化合物(XXII)のR1とR2を有するケトンとの反応が化合物(VIa)を与える。これを中間体(VI)についてスキームIで述べたように進めて式(I)の所望化合物を与える。










【0089】
【化35】

【0090】
この発明をさらに完全に理解してもらうため、以下に実施例を示す。これら実施例は、この発明の実施形態を説明する目的のためであり、本技術の当業者には分かるように、特定の試薬又は条件は、個々の化合物で必要なように変更できるので、いかなる場合にも本発明の範囲を限定するものと解釈すべきでない。使用する出発原料は、商業的に入手可能であり、或いは本技術の当業者によって商業的に入手可能な原料から容易に調製される。
【0091】
(実験例)
実施例1:[6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン-4-イルメチル]フェニルアミンの合成
【化36】

【0092】
340mLのエチレングリコールジメチルエーテルと170mLの2M炭酸ナトリウム溶液中の20.8gの4-ブロモニトロベンゼンと17.2gの2-メトキシフェニルホウ素酸の混合物をアルゴンガスでパージしてからアルゴン雰囲気下で3.6gのPd(PPh3)2Cl2を添加した。反応混合物を封止したフラスコ内で一晩中120℃で加熱した。反応混合物を室温に冷ました。混合物をケイソウ土でろ過し、ろ液を水で希釈し、生成物をEtOAcで3回抽出した。有機層を混ぜ合わせ、硫酸マグネシウム(MgSO4)上で乾燥させ、真空中溶媒をエバポレートした。残留物をフラッシュクロマトグラフィーで精製して17.1gの2-メトキシ-4'-ニトロビフェニルを固体として得た。
640mLのメタノール中の52.4gの2-メトキシ-4'-ニトロビフェニルと76gのギ酸アンモニウムの混合物を6.4gの10% Pd/Cと0℃で処理した。反応混合物を半時間同温度で撹拌した。反応を室温に戻し、混合物を一晩中撹拌した。反応混合物をケイソウ土でろ過し、残留物をメタノールですすいだ。真空中メタノールをエバポレートし、残存混合物をEtOAcに溶かし、数回水洗した。有機層を硫酸マグネシウム上で乾燥させた。真空中溶媒をエバポレートし、49gの2-メトキシ-4'-アミノビフェニルを固体として得た。
10gの2-メトキシ-4'-アミノビフェニル、4.4gのヨウ素、44gの硫酸マグネシウム及び600mLのアセトンの混合物を封止したフラスコ内で一晩中120℃で加熱した。反応混合物を室温に冷まし、ケイソウ土でろ過した。残留物をアセトンですすぎ、真空中溶媒をエバポレートした。残留物をフラッシュクロマトグラフィーで精製して2.4gの6-(2-メトキシフェニル)-2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリンを泡として得た。
【0093】
800mgの6-(2-メトキシフェニル)-2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリンと90mLのアセトニトリルの混合物を510mgのN-ブロモスクシンイミド(NBS)と-20℃で2分間処理した。反応を水でクエンチし、EtOAcで3回抽出した。有機層を混ぜ合わせ、10%のチオ硫酸ナトリウム水溶液(Na2S2O3)、水、及び食塩水で洗浄してから硫酸マグネシウム上で乾燥させた。残留物をフラッシュクロマトグラフィーで精製して776mgの4-ブロモメチル-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリンを固体として得た。
1mLのDMSO中の60mgの4-ブロモメチル-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリンの溶液を46mgの炭酸カリウムと17μLのアニリンで室温処理した。結果の混合物を室温で一晩中撹拌した。混合物を水でクエンチし、生成物をEtOAc中に抽出した。有機層を水と食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、ろ過かつ真空中で濃縮した。残留物をシリカゲル上フラッシュクロマトグラフィーで精製して9mgの表題化合物を泡として得た。
【0094】
以下の化合物は、実施例1で述べた手順と類似の手順を用い、4-ブロモメチル-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリンを適切なアミン、アルコール、又はチオールと反応させることによって調製した。
(3,5-ジクロロフェニル)-[6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン-4-イルメチル]アミン:2mgの4-ブロモメチル-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン、32mgの炭酸カリウム、及び20mgの3,5-ジクロロアニリンが反応して1.2mgの表題化合物を泡とし与えた。
4-アリルスルファニルメチル-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン:50mgの4-ブロモメチル-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン、46mgの炭酸カリウム、及び15μLのアリルメルカプタンが反応して5mgの表題化合物を泡として与えた。
4-(3,5-ジクロロフェニルスルファニルメチル)-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン:50mgの4-ブロモメチル-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン、46mgの炭酸カリウム、及び33mgの3,5-ジクロロチオフェノールが反応して15mgの表題化合物を泡として与えた。
アリル-[6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン-4-イルメチル]アミン:54mgの4-ブロモメチル-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン、46mgの炭酸カリウム、及び28μLのアリルアミンが反応して8mgの表題化合物を泡として与えた。
[6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン-4-イルメチル]プロピルアミン:44mgの4-ブロモメチル-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン、46mgの炭酸カリウム、及び30μLの1-プロピルアミンが反応して4.6mgの表題化合物を泡として与えた。
4-アリルオキシメチル-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン:40mgの4-ブロモメチル-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン、44μLのアリルアルコール、及び4mLのTHF中ナトリウムビス(トリメチルシリル)アミドの1M溶液が反応して4.5mgの表題化合物を泡として与えた。
4-シクロペンチルスルファニルメチル-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン:80mgの4-ブロモメチル-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン、69mgの炭酸カリウム、及び48μLのシクロペンチルメルカプタンが反応して7mgの表題化合物を泡として与えた。
4-(フラン-3-イルメチルスルファニルメチル)-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン:80mgの4-ブロモメチル-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン、69mgの炭酸カリウム、及び45μLのフルフリルメルカプタンが反応して9mgの表題化合物を泡として与えた。
4-ベンジルスルファニルメチル-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン:80mgの4-ブロモメチル-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン、69mgの炭酸カリウム、及び52μLのベンジルメルカプタンが反応して12mgの表題化合物を油として与えた。
4-アリルスルファニルメチル-2,2-ジメチル-6-フェニル-1,2-ジヒドロキノリン:40mgの4-ブロモメチル-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン、46mgの炭酸カリウム、及び44μLのアリルメルカプタンが反応して5mgの表題化合物を油として与えた。
6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-4-プロピルスルファニルメチル-1,2-ジヒドロキノリン:80mgの4-ブロモメチル-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン、46mgの炭酸カリウム、及び20μLの1-プロパンチオールが反応して13mgの表題化合物を油として与えた。
6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-4-フェニルスルファニルメチル-1,2-ジヒドロキノリン:80mgの4-ブロモメチル-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン、46mgの炭酸カリウム、及び23μLのチオフェノールが反応して12mgの表題化合物を泡として与えた。
6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-4-フェネチルスルファニルメチル-1,2-ジヒドロキノリン:80mgの4-ブロモメチル-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン、46mgの炭酸カリウム、及び30μLのベンゼンエタンチオール(フェネチルメルカプタン)が反応して15mgの表題化合物を泡として与えた。
[6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン-4-イルメチルスルファニル]酢酸メチルエステル:80mgの4-ブロモメチル-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン、46mgの炭酸カリウム、及び25μLの3-メルカプトプロピオン酸メチルが反応して14mgの表題化合物を泡として与えた。
4-(4-tert-ブチルフェニルスルファニルメチル)-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン:60mgの4-ブロモメチル-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン、46mgの炭酸カリウム、及び25μLの4-tert-ブチルフェニルチオフェノールが反応して9mgの表題化合物を油として与えた。
4-シクロヘキシルスルファニルメチル-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン:60mgの4-ブロモメチル-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン、46mgの炭酸カリウム、及び27μLのシクロヘキシルメルカプタンが反応して5mgの表題化合物を油として与えた。
6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-4-(3-メチルブチルスルファニルメチル)-1,2-ジヒドロキノリン:60mgの4-ブロモメチル-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン、46mgの炭酸カリウム、及び28μLの3-メチル-1-ブタンチオールが反応して3mgの表題化合物を泡として与えた。
4-(4-メトキシベンジルスルファニルメチル)-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン:100mgの4-ブロモメチル-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン、80mgの炭酸カリウム、及び80μLの 4-メトキシ-α-トルエンチオールが反応して19mgの表題化合物を油として与えた。
[6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン-4-イルメチルスルファニル]酢酸メチルエステル:100mgの4-ブロモメチル-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン、80mgの炭酸カリウム、及び52μLのチオグリコール酸メチルが反応して4mgの表題化合物を油として与えた。
6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-4-(ナフタレン-2-イルスルファニルメチル)-1,2-ジヒドロキノリン:100mgの4-ブロモメチル-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン、80mgの炭酸カリウム、及び42mgの2-ナフタレンチオールが反応して8mgの表題化合物を油として与えた。
4-(4-クロロフェニルスルファニルメチル)-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン:100mgの4-ブロモメチル-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン、80mgの炭酸カリウム、及び84mgの4-クロロベンゼンチオールが反応して10mgの表題化合物を泡として与えた。
6-(2-メトキシフェニル)-4-(4-メトキシフェニルスルファニルメチル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン:100mgの4-ブロモメチル-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン、80mgの炭酸カリウム、及び70μLの4-メトキシベンゼンチオールが反応して9mgの表題化合物を油として与えた。
4-(4-クロロベンジルスルファニルメチル)-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン:100mgの4-ブロモメチル-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン、80mgの炭酸カリウム、及び76μLの4-クロロ-α-トルエンチオールが反応して8mgの表題化合物を油として与えた。
チオ酢酸 S-[6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン-4-イルメチル] エステル:16mLの塩化メチル中の776mgの4-ブロモメチル-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリンを155μLのチオ酢酸及び303μLのトリエチルアミンで処理して100mgの表題化合物を泡として与えた。
6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-4-(2-メチルブチルスルファニルメチル)-1,2-ジヒドロキノリン:60mgの4-ブロモメチル-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン、46mgの炭酸カリウム、及び27μLの2-メチル-1-ブタンチオールが反応して4mgの表題化合物を油として与えた。
2-[6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン-4-イルメチルスルファニル]-N-メチルアセトアミド:50mgの4-ブロモメチル-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン、15mgのN-メチルメルカプトアセトアミド、及び58mgの炭酸カリウムが反応して22mgの表題化合物を泡として与えた。
【0095】
実施例2:4-アリルスルファニルメチル-6-(2,6-ジメトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリンの合成
【化37】

【0096】
5gの4-ブロモニトロベンゼン、6.2gの2,6-ジメトキシフェニルホウ素酸、2mLの2M炭酸水素ナトリウム溶液、及び800mgの塩化ビストリフェニルホスフィニルパラジウム(II)を実施例1の第1工程で述べたとおりに反応させて4.5gのビフェニル中間体を得た。
実施例1で述べた手順に従い、4gの上記ビフェニル、6gのギ酸アンモニウム、及び2gのPd/Cが3.6gの対応アニリンを与え、アセトン中1.3gのヨウ素及び13gの硫酸マグネシウム と反応させて1.6gの所望ジヒドロキノリンを得た。上記ジヒドロキノリン(1.3g)が823mgのNBSと反応して4-ブロモメチル誘導体を与えた。0.4mLのアリルメルカプタンとの反応が720mgの表題化合物を与えた。
以下の化合物は、適切なアリールホウ素酸から出発し、実施例2で述べた手順と類似の手順で調製した。
4-アリルスルファニルメチル-6-(3-エトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン;及び
4-アリルスルファニルメチル-6-(2-エトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン。
【0097】
実施例3:N-[6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン-4-イルメチル]ベンズアミドの合成
【化38】

【0098】
撹拌棒を備えた丸底フラスコに4-ブロモメチル-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン(実施例1参照)(0.36mmol)、DMF(3.6mL)、及びNaN3(0.54mmol,1.5e当量)を加えた。反応をアルゴン下で48時間撹拌してからEtOAcと水で希釈し、分離し、水相をEtOAcで抽出した。混ぜ合わせた有機相を水洗した。水をEtOAcで逆抽出し、混ぜ合わせた有機相を食塩水で洗浄し、真空中濃縮した。残留物をヘキサンで希釈し、最小量のEtOAcをシリカゲルカラムに加えた。0〜30%のEtOAc/ヘキサンで溶出するフラッシュクロマトグラフィーで181mgの4-アジドメチル-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリンを褐色油として得た。
撹拌棒を備えた丸底フラスコを4-アジドメチル-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン(0.565mmol)及びTHF(4.2mL)で充填した。系をアルゴン下に置いた
後、PPh3(0.621mmol,1.1当量)と水(0.621mmol,1.1当量)を加えた。反応を室温で一晩中撹拌した。粗製反応混合物をエーテルで希釈し、沈殿が生じなくなるまでケイソウ土でろ過した。ケイソウ土をエーテルでよく洗い流した。有機層を濃HClで酸性にすると白色綿毛の沈殿が生じてから油状になった。この層を水で希釈し、水層から分けた。Na2CO3で水層を中和し、塩化メチレンで抽出した。有機抽出物を混ぜ合わせ、真空中濃縮して122mgの4-アミノメチル-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリンを得た。
【0099】
撹拌棒を備えた丸底フラスコをEDC(0.224mmol,1.1当量)、HOBT(0.224mmol,1.1当量)、安息香酸(0.224mmol,1.1当量)、4-アミノメチル-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン(0.204mmol,1当量)及び3.3mLの塩化メチレンで充填した。最後にジイソプロピルエチルアミン(0.224mmol,1.1当量)を加え、反応をアルゴン下に置き、室温で一晩中撹拌した。粗製反応混合物を分液ロートに移し、EtOAcで希釈し、1NのHCl、炭酸水素ナトリウム飽和水溶液(NaHCO3)、及び食塩水で洗浄した。有機層を真空中濃縮して褐色油を得た。10〜50%のEtOAc/ヘキサンの勾配で溶出するシリカゲルを用いるカラムクロマトグラフィーで生成物を精製した。生成物フラクションをプールし、真空中濃縮して18mgの表題化合物を黄色油として得た。
N-[6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン-4-イルメチル]-2-フェニルアセトアミド:この化合物は、安息香酸の代わりにフェニル酢酸を用いて上記手順で合成した。生成物フラクションを真空中濃縮して19mgの生成物を黄色油として得た。
【0100】
実施例4:N-[6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン-4-イルメチル]-N-メチルベンズアミドの合成
【化39】

【0101】
撹拌棒を備え、かつアルゴン雰囲気下の丸底フラスコをNaH(油中60%)(0.04mmol,1当量)と1mLのTHFで充填した。N-[6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン-4-イルメチル]ベンズアミド(実施例3)を含有する別の容器をTHFで希釈し、この溶液をNaH溶液に加えた。最後に、MeI(0.06mmol,1.5当量)を加え、反応をアルゴン下で5時間撹拌した。反応を水でクエンチし、EtOAcで抽出した。混ぜ合わせた有機層を引き続き食塩水で洗浄し、真空中濃縮した。残留物を塩化メチレン中に取り、シリカゲル上に吸着させ、25%のEtOAc/ヘキサンを用いてフラッシュクロマトグラフ処理で生成物を溶出した。生成物フラクションをプールし、真空中濃縮して7.2mgの表題化合物を油として得た。
N-[6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン-4-イルメチル]-N-メチル-2-フェニルアセトアミド:この化合物は、N-[6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン-4-イルメチル]-2-フェニルアセトアミドで出発して上記手順で合成し、7.7mgの生成物を油として得た。
【0102】
実施例5:4-{1-[((E)-ブタ-2-エニル)オキシ]エチル}-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-2H-キノリンの合成
【化40】

【0103】
35mLのCH2Cl2中の2.4gの6-(2-メトキシフェニル)-2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリン(実施例1参照)の混合物を78℃に冷却した。この混合物に、13.1mLの1.6Mのn-BuLi(ヘキサン中)を一滴ずつ添加した。混合物を0℃に温め、2.9gの炭酸(ジ-tert-ブチル)を加えた。混合物を0℃で1時間撹拌した。水を加えて反応を仕上げ、EtOAcで3回抽出した。有機層を混ぜ合わせ、連続的に1NのHCl、水、炭酸水素ナトリウム飽和水溶液、水、NaCl飽和水溶液で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、真空中溶媒をエバポレートした。残留物をフラッシュクロマトグラフィーで精製して1.4gの6-(2-メトキシフェニル)-2,2,4-トリメチル-2H-キノリン-1-カルボン酸tert-ブチルエステルを固体として得た。
1.6gの6-(2-メトキシフェニル)-2,2,4-トリメチル-2H-キノリン-1-カルボン酸tert-ブチルエステル、20mLの1,4-ジオキサン、及び1.4gの二酸化セレニウムの混合物を半時間還流させた。別の分の1.4gの二酸化セレニウムを添加した。反応を6時間還流させた。反応混合物をケイソウ土でろ過し、残留物をEtOAcで洗浄した。真空中溶媒をエバポレートし、残留物をフラッシュクロマトグラフィーで精製して1gの4-ホルミル-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-2H-キノリン-1-カルボン酸tert-ブチルエステルを固体として得た。
【0104】
15mLのTHF中の1gの[6-(2-メトキシフェニル)-2,2,4-トリメチル-2H-キノリン-1-カルボン酸tert-ブチルエステル]の混合物を78℃に冷却した。この混合物に、1.3mLの3M臭化メチルマグネシウム(ジエチルエーテル中)を一滴ずつ添加した。10分後、さらに1.25mLの3 M臭化メチルマグネシウム(ジエチルエーテル中)を加えた。2時間後塩化アンモニウム飽和水溶液(NH4Cl)でクエンチし、生成物をEtOAcで3回抽出した。有機層を混ぜ合わせ、連続的に0.5NのHCl、水、炭酸水素ナトリウム飽和水溶液、水、及び食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させた。残留物をフラッシュクロマトグラフィーで精製して708mgの4-(1-ヒドロキシエチル)-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-2H-キノリン-1-カルボン酸tert-ブチルエステルを明黄色固体として得た。
2mLのDMSO中の70mgの4-(1-ヒドロキシエチル)-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-2H-キノリン-1-カルボン酸 tert-ブチルエステルの混合物を0.22mLの1.0Mナトリウムビス(トリメチルシリル)アミド及び29mgの臭化クロチルと室温で処理した。反応混合物を室温で一晩中撹拌した。水を加えて反応を仕上げ、EtOAcで3回抽出した。有機層を混ぜ合わせ、連続的に炭酸水素ナトリウム飽和水溶液、水、及び食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、ろ過かつ真空中濃縮した。残留物をフラッシュクロマトグラフィーで精製して58mgの4-{1-[((E)-ブタ-2-エニル)オキシ]エチル}-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-2H-キノリン-1-カルボン酸tert-ブチルエステルを固体として得た。
2mLの塩化メチレン中の58mgの[4-{1-[((E)-ブタ-2-エニル)オキシ]エチル}-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-2H-キノリン-1-カルボン酸tert-ブチルエステルの混合物を0.05mLの99%トリフルオロ酢酸(TFA)と室温で処理した。反応混合物を同温度で1時間撹拌した。TLCが出発原料がまだ残存していることを示したので、さらに0.05mLのTFAを添加した。10分後、反応を水でクエンチし、EtOAcで3回抽出した。有機層を混ぜ合わせ、連続的に水、炭酸水素ナトリウム飽和水溶液、水、食塩水で洗浄し、真空中溶媒をエバポレートした。残留物をフラッシュクロマトグラフィーで精製して28mgの表題化合物を油として得た。
【0105】
以下の化合物は、適用できる場合、臭化クロチルの代わりに適切な臭化アルキルを用い、また臭化メチルマグネシウムの代わりに適切なグリニャール試薬を用いて、実施例5で述べた手順と類似の手順で調製した。
6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-4-[1-(3-フェニルプロポキシ)エチル]-1,2-ジヒドロキノリン:2mLのDMSO中の4-(1-ヒドロキシエチル)-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-2H-キノリン-1-カルボン酸tert-ブチルエステル(116mg)を334μLのナトリウムビス(トリメチルシリル)アミドの1M溶液(THF中)及び52μLの1-ブロモ-3-フェニルプロパンと処理してアルキル化生成物を得、脱保護して(上述したように)31mgの表題化合物を油として得た。
6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-4-[1-((E)-3-フェニルアリルオキシ)エチル]-1,2-ジヒドロキノリン:4-(1-ヒドロキシエチル)-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-2H-キノリン-1-カルボン酸tert-ブチルエステル(70mg)を255μLのナトリウムビス(トリメチルシリル)アミドの1M溶液(THF中)及び50mgの臭化シンナミルと処理してアルキル化生成物を得、脱保護して5.8mgの表題化合物を泡として得た。
4-[1-(2-シクロヘキシルエトキシ)エチル]-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン:4-(1-ヒドロキシエチル)-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-2H-キノリン-1-カルボン酸tert-ブチルエステル(70mg)を255μLのビス(トリメチルシリル)アミドの1M溶液(THF中)及び49mgの臭化2-シクロヘキシルエチルと処理してアルキル化生成物を得、脱保護して31mgの表題化合物を油として得た。
4-(1-シクロヘキシルメトキシエチル)-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン:4-(1-ヒドロキシエチル)-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-2H-キノリン-1-カルボン酸tert-ブチルエステル(70mg)を255μLのナトリウムビス(トリメチルシリル)アミドの1M溶液(THF中)及び45mgの臭化シクロヘキシルメチルと処理してアルキル化生成物を得、脱保護して8mgの表題化合物を油として得た。
【0106】
6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-4-{1-[((E)-ペンタ-2-エニル)オキシ]エチル}-1,2-ジヒドロキノリン:4-(1-ヒドロキシエチル)-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-2H-キノリン-1-カルボン酸tert-ブチルエステル(70mg)を220μLのナトリウムビス(トリメチルシリル)アミドの1M溶液(THF中)及び26μLの1-ブロモ-2-ペンテンと処理してアルキル化生成物を得、脱保護して30mgの表題化合物を油として得た。
6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-4-[1-(3-メチルブタ-2-エニルオキシ)エチル]-1,2-ジヒドロキノリン:4-(1-ヒドロキシエチル)-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-2H-キノリン-1-カルボン酸tert-ブチルエステル(96mg)を450μLのナトリウムビス(トリメチルシリル)アミドの1M溶液(THF中)及び50μLの4-ブロモ-2-メチル-2-ブテンと処理してアルキル化生成物を得、脱保護して14.5mgの表題化合物を油として得た。
6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-4-(1-フェネチルオキシエチル)-1,2-ジヒドロキノリン:4-(1-ヒドロキシエチル)-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-2H-キノリン-1-カルボン酸tert-ブチルエステル(100mg)を360μLのナトリウムビス(トリメチルシリル)アミドの1M溶液(THF中)及び45μLの臭化フェネチルと処理してアルキル化生成物を得、脱保護して62mgの表題化合物を油として得た。
4-(1-アリルオキシプロピル)-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン:THF中の4-ホルミル-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-2H-キノリン-1-カルボン酸tert-ブチルエステル(50mg)を0.1mLの2M塩化エチルマグネシウムと処理してアルコールを得、ヨウ化アリルでアルキル化してから脱保護して10mgの表題化合物を油として得た。
4-(1-アリルオキシブチル)-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン:THF中の4-ホルミル-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-2H-キノリン-1-カルボン酸tert-ブチルエステル(70mg)を0.133mLの2M臭化プロピルマグネシウムと処理してアルコールを得、ヨウ化アリルでアルキル化してから脱保護して26mgの表題化合物を油として得た。
【0107】
4-(1-アリルオキシ-3-フェニルプロピル)-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン:THF中の4-ホルミル-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-2H-キノリン-1-カルボン酸tert-ブチルエステル(70mg)を0.267mLの1M臭化フェネチルマグネシウムと処理してアルコールを得、ヨウ化アリルでアルキル化してから脱保護して31mgの表題化合物を油として得た。
4-(1-アリルオキシブタ-3-エニル)-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン:THF中の4-ホルミル-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-2H-キノリン-1-カルボン酸tert-ブチルエステル(70mg)を0.267mLの1M臭化アリルマグネシウムと処理してアルコールを得、ヨウ化アリルでアルキル化してから46mgの表題化合物を油として得た。
4-(1-アリルオキシ-2-フェニルエチル)-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン:THF中の4-ホルミル-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-2H-キノリン-1-カルボン酸tert-ブチルエステル(70mg)を0.133mLの2M臭化ベンジルマグネシウムと処理してアルコールを得、ヨウ化アリルでアルキル化してから脱保護して3.5mgの表題化合物を油として得た。
4-(1-アリルオキシ-2-メチルプロピル)-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン:THF中の4-ホルミル-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-2H-キノリン-1-カルボン酸tert-ブチルエステル(120mg)を0.31mLの臭化イソプロピルマグネシウムの15%溶液と処理してアルコールを得、ヨウ化アリルでアルキル化してから脱保護して17mgの表題化合物を油として得た。
4-(アリルオキシフェニルメチル)-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン:THF中の4-ホルミル-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-2H-キノリン-1-カルボン酸tert-ブチルエステル(50mg)を0.19mLの1M臭化フェニルマグネシウムと処理してアルコールを得、ヨウ化アリルでアルキル化してから脱保護して30mgの表題化合物を油として得た。
【0108】
実施例6:4-{1-[2-(2-ブロモフェニル)エトキシ]エチル}-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリンの合成
【化41】

【0109】
300mgの4-(1-ヒドロキシエチル)-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-2H-キノリン-1-カルボン酸tert-ブチルエステル(実施例5参照)と10mLの塩化メチレンの混合物を0℃に冷却した。この混合物に、0.060mLの塩化メタンスルホニルと0.204mLのトリエチルアミンを添加した。反応混合物を同温度で30分間撹拌した。水を加えて反応を仕上げ、生成物をEtOAcで3回抽出した。有機層を混ぜ合わせ、連続的に塩化アンモニウム飽和水溶液、炭酸水素ナトリウム飽和水溶液、水、及び食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させた。真空中溶媒をエバポレートして344mgの4-(1-メタンスルホニルオキシエチル)-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-2H-キノリン-1-カルボン酸tert-ブチルエステルを固体として得、さらに精製せずに次のカップリング反応で使用した。
0.037mLの2-ブロモフェネチルアルコールと1mLのDMSOの混合物を0.277mLの1.0Mナトリウムビス(トリメチルシリル)アミドと処理してから、1mLのDMSO中の86mgの4-(1-メタンスルホニルオキシエチル)-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-2H-キノリン-1-カルボン酸tert-ブチルエステルを室温で添加した。反応混合物を室温で一晩中撹拌した。TLCが出発原料が消費されたことを示した。反応を水でクエンチし、生成物をEtOAcで3回抽出した。有機層を混ぜ合わせ、連続的に塩化アンモニウム飽和水溶液、炭酸水素ナトリウム飽和水溶液、水、及び食塩で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、真空中溶媒をエバポレートした。残留物をフラッシュクロマトグラフィーで精製して37mgの4-{1-[2-(2-ブロモフェニル)エトキシ]エチル}-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-2H-キノリン-1-カルボン酸tert-ブチルエステルを油として得た。
37mgの上記tert-ブチルエステルをTFAで脱保護して11mgの表題化合物を泡として得た。
【0110】
以下の化合物は、2-ブロモフェネチルアルコールの代わりに適切なアルコール又はチオールを用いて実施例6で述べた手順と類似の手順で調製した。
4-(1-アリルオキシエチル)-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン:4-(1-メタンスルホニルオキシエチル)-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-2H-キノリン-1-カルボン酸tert-ブチルエステル(70mg)をDMF中33μLのアリルアルコール及び12mgの水素化ナトリウムと処理してアルキル化生成物を得、脱保護して9mgの表題化合物を泡として得た。
4-{1-[2-(2-クロロフェニル)エトキシ]エチル}-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン:4-(1-メタンスルホニルオキシエチル)-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-2H-キノリン-1-カルボン酸tert-ブチルエステル(70mg)をTHF中28μLの2-クロロフェネチルアルコール及び245μLのナトリウムビス(トリメチルシリル)アミドの1M溶液(THF中)と処理してアルキル化生成物を得、脱保護して6mgの表題化合物を泡として得た。
4-{1-[2-(3-クロロフェニル)エトキシ]エチル}-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン:3-クロロフェネチルアルコール(50μL)を369μLのナトリウムビス(トリメチルシリル)アミドの1M溶液(THF中)及び120mgの4-(1-メタンスルホニルオキシエチル)-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-2H-キノリン-1-カルボン酸tert-ブチルエステルと処理してアルキル化生成物を得、脱保護して32mgの表題化合物を油として得た。
【0111】
4-{1-[2-(4-クロロフェニル)エトキシ]エチル}-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン:4-クロロフェネチルアルコール(37μL)を277μLのナトリウムビス(トリメチルシリル)アミドの1M溶液(THF中)及び86mgの4-(1-メタンスルホニルオキシエチル)-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-2H-キノリン-1-カルボン酸tert-ブチルエステルと処理してアルキル化生成物を得、脱保護して14mgの表題化合物を泡として得た。
4-{1-[2-(3-ブロモフェニル)エトキシ]エチル}-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン:3-ブロモフェネチルアルコール(37μL)を277μLのナトリウムビス(トリメチルシリル)アミドの1M溶液(THF中)及び86mgの4-(1-メタンスルホニルオキシエチル)-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-2H-キノリン-1-カルボン酸tert-ブチルエステルと処理してアルキル化生成物を得、脱保護して13.6mgの表題化合物を泡として得た。
6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-4-[1-(1-メチルアリルオキシ)エチル]-1,2-ジヒドロキノリン:3-ブテン-2-オール(24μL)を277μLのナトリウムビス(トリメチルシリル)アミドの1M溶液(THF中)及び86mgの4-(1-メタンスルホニルオキシエチル)-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-2H-キノリン-1-カルボン酸tert-ブチルエステルと処理してアルキル化生成物を得、脱保護して4mgの表題化合物を油として得た。
【0112】
6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-4-(1-フェネチルスルファニルエチル)-1,2-ジヒドロキノリン:2-フェニルエタンチオール(19μL)を58mgの炭酸カリウム及び60mgの4-(1-メタンスルホニルオキシエチル)-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-2H-キノリン-1-カルボン酸tert-ブチルエステルと処理してアルキル化生成物を得、脱保護して14mgの表題化合物を油として得た。
4-(1-アリルスルファニルエチル)-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン:アリルメルカプタン(10μL)を58mgの炭酸カリウム及び60mgの4-(1-メタンスルホニルオキシエチル)-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-2H-キノリン-1-カルボン酸tert-ブチルエステルと処理してアルキル化生成物を得、捏保護して9mgの表題化合物を油として得た。
【0113】
実施例7:4-アリルスルファニルメチル-2,2-ジメチル-6-チオフェン-3-イル-1,2-ジヒドロキノリンの合成
【化42】

【0114】
300mLのジクロロメタン中の31gの6-エトキシ-2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリンの溶液を-78℃で30mLの三臭化ホウ素一滴ずつと処理した。三臭化ホウ素の添加後、冷浴を除去し、反応混合物を室温に戻した。結果の混合物を室温で2時間撹拌した。反応混合物を砕いた氷中に注ぎ、炭酸水素ナトリウムでpHを9に調整した。生成物をEtOAc中に抽出した。有機溶液を水と食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、ろ過かつ真空中濃縮した。ヘキサン中25%のEtOAcで溶出するシリカゲルの短栓を通して残留物を精製し、12.4gの2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリン-6-オールを明褐色固体として得た。
360mLのジクロロメタン中の12.4gの2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリン-6-オールと20mLのトリエチルアミンの溶液に12.1mLの無水トリフルオロメタンスルホン酸を0℃で一滴ずつ加えて処理した。結果の混合物を室温に戻し、室温で1時間撹拌した。反応混合物を炭酸水素ナトリウム飽和水溶液でクエンチし、生成物をエチルエーテル中に抽出した。エチルエーテル層を水と食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、ろ過、かつ真空中濃縮した。残留物をシリカゲル上フラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン中20%のEtOAcで溶出)で精製して19.3gのトリフルオロメタンスルホン酸2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリン-6-イルエステルを明褐色固体として得た。
【0115】
THF(5mL)に懸濁させたトリフルオロメタンスルホン酸2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリン-6-イルエステル(0.50g,1.56mmol)、Pd(OAc)2(0.035g,0.156mmol)、ジ-tert-ブチルビフェニルホスフィン(DTBBPP)(0.093g,0.312mmol)、及びKF(0.27g,4.67mmol)の混合物で充填した乾燥した50mLの丸底フラスコに3-チオフェンホウ素酸(0.30g,2.33mmol)を加えた。フラスコを真空にし、3回アルゴンを流し、反応混合物を室温で2日間撹拌した。反応混合物をケイソウ土でろ過し、EtOAc(50mL)で希釈した。混合物を連続的に水(10mL)、NaOH(1.0M,10mL)、及び食塩水(10mL)で洗浄した。有機相を硫酸ナトリウム(Na2SO4)上で乾燥させ、ろ過かつ真空中濃縮した。粗製残留物をクロマトグラフィー(シリカゲル,ヘキサン中30%のジクロロメタン)で精製して2,2,4-トリメチル-6-チオフェン-3-イル-1,2-ジヒドロキノリンを得た(0.128g,32%)。
2,2,4-トリメチル-6-チオフェン-3-イル-1,2-ジヒドロキノリンを実施例1で述べた手順を用いてNBSで臭素化し、次いで実施例2で述べた手順を用いてアリルメルカプタンと結合して22mgの表題化合物を油として得た。
【0116】
以下の化合物は、適切なアリール又はヘテロアリールホウ素酸とメルカプタンを用いて、実施例7で述べた手順と類似の手順で調製した。
アリルスルファニルメチル-6-(2-フルオロフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン:トリフルオロメタンスルホン酸2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリン-6-イルエステルを2-フルオロフェニルホウ素酸と結合した。臭素化及びアリルメルカプタンとのカップリング反応が36mgの表題化合物を与えた。
4-ベンジルスルファニルメチル-2,2-ジメチル-6-フェニル-1,2-ジヒドロキノリン:トリフルオロメタンスルホン酸2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリン-6-イルエステルをフェニルホウ素酸と結合した。臭素化及び2-フェニルエタンチオールとのカップリング反応が7mgの表題化合物を与えた。
6-(2-フルオロフェニル)-2,2-ジメチル-4-フェネチルスルファニルメチル-1,2-ジヒドロキノリン:トリフルオロメタンスルホン酸2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリン-6-イルエステルを2-フルオロフェニルホウ素酸と結合した。臭素化及び2-フェニルエタンチオールとのカップリング反応が72mgの表題化合物を与えた。
【0117】
4-アリルスルファニルメチル-2,2-ジメチル-6-o-トリル-1,2-ジヒドロキノリン:トリフルオロメタンスルホン酸2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリン-6-イルエステルを2-メチルフェニルホウ素酸と結合した。臭素化及びアリルメルカプタンとのカップリングが35mgの4-アリルスルファニルメチル-2,2-ジメチル-6-o-トリル-1,2-ジヒドロキノリンを与えた。
4-アリルスルファニルメチル-6-ジベンゾフラン-4-イル-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン:トリフルオロメタンスルホン酸2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリン-6-イルエステルを4-ジベンゾフランホウ素酸と結合した。臭素化及びアリルメルカプタンとのカップリングが52mgの表題化合物を与えた。
4-アリルスルファニルメチル-6-ビフェニル-2-イル-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン:トリフルオロメタンスルホン酸2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリン-6-イルエステルを2-ビフェニルホウ素酸と結合した。臭素化及びアリルメルカプタンとのカップリング反応が13mgの表題化合物を与えた。
【0118】
6-ビフェニル-2-イル-2,2-ジメチル-4-フェネチルスルファニルメチル-1,2-ジヒドロキノリン:トリフルオロメタンスルホン酸2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリン-6-イルエステルを2-ビフェニルホウ素酸と結合した。臭素化と2-フェニルエタンチオールとのカップリング反応が57mgの表題化合物を与えた。
2,2-ジメチル-6-(2-メチルスルファニルフェニル)-4-フェネチルスルファニルメチル-1,2-ジヒドロキノリン:トリフルオロメタンスルホン酸2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリン-6-イルエステルを2-(メチルチオ)フェニルホウ素酸と結合した。臭素化及び2-フェニルエタンチオールとのカップリング反応が59mgの表題化合物を与えた。
4-アリルスルファニルメチル-6-(2,5-ジメトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン:トリフルオロメタンスルホン酸2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリン-6-イルエステルを2,5-ジメトキシフェニルホウ素酸と結合した。臭素化及びアリルメルカプタンとのカップリング反応が20mgの表題化合物を与えた。
【0119】
6-(2,5-ジメトキシフェニル)-2,2-ジメチル-4-フェネチルスルファニルメチル-1,2-ジヒドロキノリン:トリフルオロメタンスルホン酸2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリン-6-イルエステルを2,5-ジメトキシフェニルホウ素酸と結合した。臭素化及び2-フェニルエタンチオールとのカップリング反応が43mgの表題化合物を与えた。
4-アリルスルファニルメチル-6-(3-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン:トリフルオロメタンスルホン酸2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリン-6-イルエステルを3-メトキシフェニルホウ素酸と結合した。臭素化及びアリルメルカプタンとのカップリング反応が20mgの表題化合物を与えた。
6-(3-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-4-フェネチルスルファニルメチル-1,2-ジヒドロキノリン:トリフルオロメタンスルホン酸2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリン-6-イルエステルを3-メトキシフェニルホウ素酸と結合した。臭素化及び2-フェニルエタンチオールとのカップリング反応が21mgの表題化合物を与えた。
【0120】
4-アリルスルファニルメチル-6-(4-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン:トリフルオロメタンスルホン酸2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリン-6-イルエステルを4-メトキシフェニルホウ素酸と結合した。臭素化及びアリルメルカプタンとのカップリング反応が10mgの表題化合物を与えた。
6-(4-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-4-フェネチルスルファニルメチル-1,2-ジヒドロキノリン:トリフルオロメタンスルホン酸2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリン-6-イルエステルを4-メトキシフェニルホウ素酸と結合した。臭素化及び2-フェニルエタンチオールとのカップリング反応が15mgの表題化合物を与えた。
4-アリルスルファニルメチル-6-(3,4-ジメトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン:トリフルオロメタンスルホン酸2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリン-6-イルエステルを3,4-ジメトキシフェニルホウ素酸と結合した。臭素化及びアリルメルカプタンとのカップリング反応が10mgの表題化合物を与えた。
【0121】
6-(3,4-ジメトキシフェニル)-2,2-ジメチル-4-フェネチルスルファニルメチル-1,2-ジヒドロキノリン:トリフルオロメタンスルホン酸2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリン-6-イルエステルを3,4-ジメトキシフェニルホウ素酸と結合した。臭素化及び2-フェニルエタンチオールとのカップリング反応が10mgの表題化合物を与えた。
4-アリルスルファニルメチル-6-(5-フルオロ-2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン:トリフルオロメタンスルホン酸2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリン-6-イルエステルを5-フルオロ-2-メトキシフェニルホウ素酸と結合した。臭素化及びアリルメルカプタンとのカップリング反応が17mgの表題化合物を与えた。
6-(5-フルオロ-2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-4-フェネチルスルファニルメチル-1,2-ジヒドロキノリン:トリフルオロメタンスルホン酸2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリン-6-イルエステルを5-フルオロ-2-メトキシフェニルホウ素酸と結合した。臭素化及び2-フェニルエタンチオールとのカップリング反応が20mgの表題化合物を与えた。
【0122】
4-アリルスルファニルメチル-2,2-ジメチル-6-(2-トリフルオロメチルフェニル)-1,2-ジヒドロキノリン:トリフルオロメタンスルホン酸2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリン-6-イルエステルを2-トリフルオロメチルフェニルホウ素酸と結合した。臭素化及びアリルメルカプタンとのカップリング反応が23mgの表題化合物を与えた。
2,2-ジメチル-4-フェネチルスルファニルメチル-6-(2-トリフルオロメチルフェニル)-1,2-ジヒドロキノリン:トリフルオロメタンスルホン酸2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリン-6-イルエステルを2-トリフルオロメチルフェニルホウ素酸と結合した。臭素化及び2-フェニルエタンチオールとのカップリング反応が49mgの表題化合物を与えた。
4-アリルスルファニルメチル-6-(5-イソプロピル-2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン:トリフルオロメタンスルホン酸2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリン-6-イルエステルを5-イソプロピル-2-メトキシフェニルホウ素酸と結合した。臭素化及びアリルメルカプタンとのカップリング反応が25mgの表題化合物を与えた。
6-(5-イソプロピル-2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-4-フェネチルスルファニルメチル-1,2-ジヒドロキノリン:トリフルオロメタンスルホン酸2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリン-6-イルエステルを5-イソプロピル-2-メトキシフェニルホウ素酸と結合した。臭素化及び2-フェニルエタンチオールとのカップリング反応が30mgの表題化合物を与えた。
【0123】
実施例8:4-アリルスルファニルメチル-6-(2-ニトロフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリンの合成
【化43】

【0124】
封管反応フラスコ内アセトン中(750mL)で4-ブロモアニリン(50g,0.290mol)、硫酸マグネシウム(250g,2mol)、ヨウ素(2.5g,0.01mol)及びカテーテル(2.24g,0.020mol)を混ぜ合わせる。125℃で予め平衡化した油浴内に反応容器を置き、一晩中撹拌した。反応混合物を室温に冷まし、ケイソウ土栓上でろ過し、真空中濃縮した。シリカゲル上クロマトグラフィーにより6-ブロモ-2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリンを黄褐色結晶として得た(21g,収率27%)。
トリフルオロメタンスルホン酸 2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリン-6-イルエステルについて実施例7で述べた手順で6-ブロモ-2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリンを2-ニトロフェニルホウ素酸と結合した。 結果の中間体をNBSで臭素化後、実施例7で述べたようなアリルメルカプタンとのカップリング反応によって15mgの表題化合物を油として得た。
6-ベンゾ[1,3]ジオキソl-5-イル-2,2-ジメチル-4-フェネチルスルファニルメチル-1,2-ジヒドロキノリン:200mgの6-ブロモ-2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリン、160mgの3,4-(メチレンジオキシ)フェニルホウ素酸、30mgのPdCl2(dppf)、及び234mgのKOAcが反応 して80mgの結合中間体を与えた。この中間体(80mg)と53mgのNBSとの反応後、実施例7で述べたような0.043mLのアリルメルカプタンによって15mgの表題化合物を得た。
【0125】
実施例9:6-(2,3-ジメトキシフェニル)-2,2-ジメチル-4-フェネチルスルファニルメチル-1,2-ジヒドロキノリンの合成
【化44】

【0126】
0℃のジエチルエーテル(100mL)中のN,N,N',N'-テトラメチルエチレンジアミン(6.1mL,40.5mmol)の溶液にn-BuLi(26mL,42mmol)を一滴ずつ加えた。30分後、反応混合物を-78℃に冷却し、1,2-ジメトキシベンゼンを一滴ずつ添加した。反応を3時間当該温度で撹拌した。ホウ素酸トリメチル(9.7mL,87mmol)の添加後、冷浴を除去し、反応を18時間撹拌した。0℃に冷却後、150mLの2MのHCl水溶液を添加してから混合物を3時間撹拌した。混合物を20mLずつのEtOAcで3回中間体し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、ろ過かつ真空中濃縮して2,3-ジメトキシフェニルホウ素酸を白色結晶として得た(1g,収率37%)。
6-ブロモ-2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリン(256mg,1.02mmol)(実施例8)と2,3-ジメトキシフェニルホウ素酸(370mg,2.03mmol)をDMSO(2mL)中で混ぜ合わせた。2MのK3PO4(1mL)を添加後、PdCl2(dppf)(50mg)を加えた。内容物をマイクロ波反応容器アセンブリー内に置き、120℃で15分間照射した。反応を室温に冷ました。粗生成物をクロマトグラフィーで精製して6-(2,3-ジメトキシフェニル)-2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリン(190mg,61%)を白色固体として得た。
NBSによる臭素化後、実施例7で述べた手順による2-フェニルエタンチオールとのカップリング反応で45mgの表題化合物を油として得た。
4-アリルスルファニルメチル-6-(2,3-ジメトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン:この化合物は、実施例9で述べた一般的手順に従って合成した。4-ブロモメチル-6-(2,3-ジメトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリンを0.2mLのアリルメルカプタンと結合して35mgの表題化合物を油として得た。
【0127】
実施例10:2-クロロ-3-(2,2-ジメチル-4-フェネチルスルファニルメチル-1,2-ジヒドロキノリン-6-イル)フェノールの合成
【化45】

【0128】
0℃の濃HCl(10mL)中の2-アミノ-3-ニトロフェノール(10g,65mmol)の懸濁液に、水(60mL)中の亜硝酸ナトリウム(5.1g,73.3mmol)を一滴ずつ加えた。30分間0℃で撹拌後、10%のH2SO4(3mL)中のCuCl(12.8g,130mmol)を加え、反応を18時間撹拌した。不均一混合物をろ過し、水洗した。ろ液を70mLずつのEtOAcで3回抽出した。EtOAc抽出液のエバポレーションにより7g(収率62%)の純粋な2-クロロ-3-ニトロフェノールを得た。2-クロロ-3-ニトロフェノール(6g,35mmol)をメタノール(100mL)に溶かし、塩化アンモニウム(9.4g,175.7mmol)及び亜鉛末(46g,702.8mmol)と処理した。結果の混合物を1時間還流させた。ろ過及びエバポレーション後、2-クロロ-3-アミノフェノールを紫色固体として集めた(4.5g,収率90%)。0℃の濃HCl(10mL)中の2-クロロ-3-アミノフェノール(4.5g,31mmol)の懸濁液に、水中(50mL)亜硝酸ナトリウム(2.5g,35mmol)を一滴ずつ加えた。0℃で30分間撹拌後、10%H2SO4(3mL)中のKI(10.4g,63mmol)を一滴ずつ添加した。反応を室温で2時間撹拌してからろ過し、EtOAcで抽出し、真空中濃縮して2-クロロ-3-ヨードフェノールを暗紫色固体として得た(6g,収率75%)。
6-ブロモ-2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリン(2.3g,9.2mmol)(実施例8)とビス(ピナコール)ジボラン(4.2g,16.5mmol)をDMSO(2mL)中で混ぜ合わせた。KOAc(2.7g,27.4mmol)の添加後、PdCl2(dppf)(100mg)を加えた。内容物をマイクロ波反応容器アセンブリー内に置き、120℃で15 分間照射した。室温に冷却後、クロマトグラフィーで精製して2,2,4-トリメチル-6-(4,4,5,5-テトラメチル-[1,3,2]ジオキサボラン-2-イル)-1,2-ジヒドロキノリン(2.3g,収率84%)を白色結晶固体として得た。
【0129】
2,2,4-トリメチル-6-(4,4,5,5-テトラメチル-[1,3,2]ジオキサボロラン-2-イル)-1,2-ジヒドロキノリン(308mg)と393mgの2-クロロ-3-ヨードフェノールを100mgのPdCl2(dppf)と300mgのKOAcを用いて結合し、250mgの2-クロロ-3-(2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリン-6-イル)-フェノールを得た。実施例7で述べた手順を用い、これ(85mg)をNBSと反応させて56mgの3-(4-ブロモメチル-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン-6-イル)-2-クロロフェノールを得た。生成物(50mg)を0.04mLの2-フェニルエタンチオールと結合して40mgの表題化合物を油として得た。
3-(4-アリルスルファニルメチル-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン-6-イル)-2-クロロフェノール:この生成物は、最後のカップリング工程で0.023mLのアリルメルカプタンを使用すること以外、上述したとおりに調製して32mgの表題化合物を油として得た。
【0130】
生物学的特性の評価
蛍光偏光競合結合性検定により、ステロイド受容体に対する結合性について本発明の化合物を評価した。検定で用いる組換えグルココルチコイド受容体(GR)複合体の調製の詳細な説明は、2002年5月20日提出の米国公開番号US 2003/0017503、及び対応する2001年5月18日提出の米国仮出願番号60/291,877に記載されており、各出願は参照によってその全体が本明細書に取り込まれる。テトラメチルローダミン(TAMRA)-標識デキサメタゾンプローブの調製は、標準的な文献手順を用いて行った(M. Ponsら, J. Steroid Biochem., 1985, 22, pp. 267-273)。
【0131】
A.グルココルチコイド受容体競合結合性検定
ステップ1.蛍光プローブの特徴づけ
まず、蛍光プローブの最大励起及び発光の波長を測定すべきである。このようなプローブの例は、ローダミン(TAMRA)-標識デキサメタゾンである。
プローブのステロイド受容体に対する親和性は滴定実験で決定した。検定緩衝液中プローブの蛍光偏光値は、上述した励起及び発光最大値を用いてSLM-8100蛍光光度計で測定した。発現ベクターライセートの一定分量を加え、偏光値の変化がさらに観察されなくなるまで、各添加後に蛍光偏光を測定した。非線形最小二乗回帰分析を用いて該プローブに対するライセートの結合性について得られた偏光値から該プローブの解離定数を計算した。
【0132】
ステップ2.プローブ結合のインヒビターのスクリーニング
この検定は、昆虫発現系から調製したヒトグルココルチコイド受容体(GR)複合体に対する結合性について、蛍光偏光(FP)を用いてテトラメチルローダミン(TAMRA)-標識デキサメタゾンと競合する試験化合物の能力を定量する。検定緩衝液は、10mM TES、50mM KCl、20mM Na2MoO4・2H2O、1.5mM EDTA、0.04%w/vCHAPS、10%v/vグリセロール、1mM ジチオスレイトール、pH7.4だった。試験化合物を純粋なDMSO中1mMに溶かしてから、10%v/v DMSOで補充した検定緩衝液にさらに10×検定濃度に希釈した。試験化合物を連続的に96-ウェルポリプロピレンプレート内10% DMSO含有緩衝液中10×検定濃度に希釈した。96-ウェル黒色Dynex微量定量プレート内で以下の検定成分を各ウェルに順次添加して結合反応混合物を調製した:15μLの10×試験化合物溶液、検定緩衝液中1:170に希釈した85μLのGR-含有バキュロウィルスライセート、及び50μLの15nM TAMRA-標識デキサメタゾン。正の対照は試験化合物を含有しない反応混合物であり:負の対照(ブランク)は、0.7μM〜2μMのデキサメタゾンを含有する反応混合物だった。結合反応物を1時間室温でインキュベートしてから、ローダミン561二色性鏡が取り付けられ、550nm励起及び580nm発光に設定したLJL Analystで蛍光偏光を解読した。4-パラメーターロジスティック方程式へのFPシグナルデータの反復非線形曲線フィッティングによってIC50値を決定した。
【0133】
グルココルチコイド受容体に結合することが分かっている化合物は、プロゲステロン受容体(PR)、エストロゲン受容体(ER)、及び無機質コルチコイド受容体に対する結合性を評価して該化合物のGR選択性を評価した。PR及びMRのプロトコルは、以下を除き上記GR法と同一である:PR昆虫細胞ライセートは1:7.1に希釈し、MRライセートは1:9.4に希釈する。PRプローブは、検定中最終濃度5nMで用いるTAMRA-標識ミフェプリストンであり、かつ負の対照(ブランク)は、0.7μM〜2μMでミフェプリストンを含有する反応だった。
ERプロトコルは、上記プロトコルと同様であるが、PanVeraキット受容体、フルオレッセイン-標識プローブを用いる。検定成分は、上記と同量で調製し、最終検定濃度はERでは15nM、ES2プローブでは1nMにする。さらに、成分の添加順序は上記検定から変更する:まずプローブをプレートに加え、次いで受容体と試験化合物を加える。フルオレッセイン505二色性鏡を取り付け、485nmの励起及び530nmの発光に設定したLJL Analystでプレートを解読する。
グルココルチコイド受容体に結合することが分かっている化合物は、発明の背景で引用した検定法(C.M. Bamberger及びH.M. Schulte, Eur. J.Clin. Invest., 2000, 30 (suppl. 3) 6-9)又は後述する検定法によってトランス活性化とトランス抑制の分離について評価しうる。
【0134】
B.グルココルチコイド受容体細胞検定
1.線維芽細胞内でのアロマターゼの誘発(トランス活性化の細胞検定)
グルココルチコイド受容体(GR)に対する合成リガンドであるデキサメタゾンは、ヒト包皮線維芽細胞内でアロマターゼの発現を誘発する。アロマターゼの活性は、培養基内におけるテストステロンのエストラジオールへの変換によって測定する。GRへの結合を示す化合物は、ヒト包皮線維芽細胞内におけるそのアロマターゼ活性を誘発する能力について評価する。
ヒト包皮線維芽細胞(ATCC Cat. No.CRL-2429, 名称CCD112SK)は、使用5日前に96ウェルプレート上に1ウェル毎に50,000細胞を10%木炭ろ過したFBS(ClonetechCat No. SH30068)及びゲンタマイシン(GibcoBRL Life Technologies Cat. No. 15710-064)で補充したIscove's Modified Dulbecco's Media(GibcoBRL Life TechnologiesCat No. 12440-053)に塗布する。実験日に、ウェル内の培地を新鮮な培地と交換する。細胞を10-5M〜10-8Mの最終濃度に試験化合物と処理し、300ng/mLの最終濃度までテストステロンと処理する。各ウェルは総量100μLである。試料は二通り作製する。対照ウェルは以下を含む:(a)テストステロンのみを受け入れるウェル、及び(b)テストステロンと2μMのデキサメタゾンを受け入れてアロマターゼの最大誘発を与えるウェル。プレートを37℃で一晩中(15〜18時間)インキュベートし、インキュベーションの最後に上清を収集する。エストラジオール用ELISAキット(ALPCO製,American Laboratory Productsから入手, Cat. No. 020-DR-2693)を用い、製造業者の説明書に従って上清中のエストラジオールを測定する。エストラジオールの量は各ウェル内のELISAシグナルに反比例する。試験化合物によるアロマターゼ誘発の程度は、デキサメタゾンに対する相対的なパーセンテージとして表される。試験化合物のEC50値は、非線形曲線フィッティングで導かれる。
【0135】
2.線維芽細胞内でのIL-6産生の阻害(トランス抑制の細胞検定)
ヒト包皮線維芽細胞は、炎症誘発性サイトカインIL-1による刺激に応答してIL-6を産生する。IL-6の産生によって測定されるこの炎症反応は、グルココルチコイド受容体(GR)に対する合成リガンドであるデキサメタゾンによって効率的に阻害することができる。GRに対する結合性を示す化合物は、ヒト包皮線維芽細胞内におけるそのIL-6産生を阻害する能力について評価する。
ヒト包皮線維芽細胞(ATCC Cat. No.CRL-2429)を96ウェルプレート上、10%の木炭ろ過したFBS(Clonetech Cat. No. SH30068)及びゲンタマイシン(GibcoBRL Life Technologies Cat. No. 15710-064)で補充したIscove's Modified Dulbecco's Media(GibcoBRL Life Technologies Cat. No. 12440-053)内に、5,000細胞/ウェルで使用の前日に塗布する。次の日、ウェル内の培地を新鮮な培地と交換する。細胞をウェル当たり200μLの総量中1ng/mLの最終濃度にIL-1(rhIL-1α, R&D Systems Cat. No. 200-LA)と処理し、かつ試験化合物と最終濃度10-5M〜10-8Mまで処理する。試料は二通り行う。バックグラウンド対照ウェルは試験化合物又はIL-1を受け入れない。正の対照ウェルはIL-1のみを受け入れ、かつ最大(つまり100%)量のIL-6産生を表す。プレートを37℃で一晩中(15〜18時間)インキュベートし、インキュベーションの最後に上清を収集する。上清中のIL-6レベルは、IL-6用ELISAキット(MedSystems Diagnostics GmbH, Vienna, Austria, Cat. No. BMS213TEN)を用い、製造業者の説明書に従って決定する。試験化合物によるIL-6の阻害の程度は、正の対照に対するパーセンテージで表される。試験化合物のIC50値は、非線形曲線フィッティングによって導かれる。
グルココルチコイド受容体に結合する化合物のアゴニスト又はアンタゴニスト活性の評価は、いずれの検定法によっても決定することができる。
【0136】
3.ラット肝癌細胞内でのチロシンアミノトランスフェラーゼ(TAT)誘発の調節
ラット肝癌細胞内でのチロシンアミノトランスフェラーゼ(TAT)の誘発におけるアゴニスト又はアンタゴニスト活性についての化合物の試験。
H4-II-E-C3細胞を一晩中96ウェルプレート(20,000細胞/100μL/ウェル)内、10%の熱失活FBSと1%の可欠アミノ酸を含有するMEM培地内でインキュベートした。次の日、細胞を指示濃度のデキサメタゾン又は試験化合物(DMSO中に溶解,最終DMSO濃度0.2%)で18時間刺激した。対照細胞は0.2%のDMSOで処理した。18時間後、細胞を0.1%Triton X-100含有緩衝液に溶解させ、基質としてチロシンとα-ケトグルタレートを用いる測光検定でTAT活性を測定した。
アンタゴニスト活性を測定するため、試験化合物を肝癌細胞に適用する直前にデキサメタゾン(3×10-9M〜3×10-8Mの濃度範囲)を該細胞に添加して予備刺激した。ステロイド性の非選択性GR/PRアンタゴニストミフェプリストンを対照として用いた。
【0137】
4.HeLa細胞内でのMMTV-Luc誘発の調節
HeLa細胞内でのMMTV-(マウス乳腺癌ウイルス)プロモーターの刺激におけるアゴニスト又はアンタゴニスト活性についての化合物の試験。
ルシフェラーゼ遺伝子(Norden, 1988)の前にクローン化されたMMTV-LTR(転写開始部位に対して-200〜+100)の断片を含有するpHHLuc-プラスミドと、構成的に選択的抗生物質GENETICIN(登録商標)に対して抵抗性を発現するpcDNA3.1プラスミド(Invitrogen)を、HeLa細胞に安定して共-形質移入した。MMTV-プロモーターを最も良く誘発するクローンを選択し、さらなる実験で用いた。
フェノールレッドのない、3%CCS(木炭処理した子ウシ血清)で補充したDMEM培地内で細胞を一晩中培養してから96ウェルプレートに移した(15,000細胞/100μL/ウェル)。次の日、DMSOに溶かした試験化合物又はデキサメタゾン(最終濃度0.2%)を添加してMMTV-プロモーターの活性化を刺激した。対照細胞はDMSOだけで処理した。18時間後、細胞を細胞溶解試薬(Promega, Cat. No. E1531)で溶解させ、ルシフェラーゼ検定試薬(Promega, Cat. No. E1501)を添加し、かつルミノメーター(BMG, Offenburg)でグロールミネッセンスを測定した。
アンタゴニスト活性を測定するため、試験化合物を細胞に適用する直前にデキサメタゾン(3×10-9M〜3×10-8M)を添加してMMTV-プロモーターを予備刺激した。ステロイド性の非選択性GR/PRアンタゴニストミフェプリストンを対照として用いた。
【0138】
5.U937細胞内でのIL-8産生の調節
U-937細胞内でのLPS-誘発IL-8分泌のGR-媒介阻害におけるアゴニスト又はアンタゴニスト活性についての化合物の試験。
U-937細胞を2〜4日間、10%CCS(木炭処理した子ウシ血清)を含有するRPMI1640培地内でインキュベートした。細胞を96ウェルプレートに移し(40,000細胞/100μL/ウェル)、デキサメタゾン又は試験化合物(DMSOに溶解,最終濃度0.2%)の存在又は非存在下1μg/mLのLPS(PBSに溶解)で刺激した。対照細胞は0.2% DMSOで処理した。18時間後、“OptEIA ヒトIL-8セット”(Pharmingen, Cat. No. 2654KI)を用いて細胞上清中のIL-8濃度をELISAで測定した。
アンタゴニスト活性を測定するため、試験化合物を細胞に適用する直前にデキサメタゾン(3×10-9M〜3×10-8M)を添加してLPS-誘発IL-8分泌を阻害した。ステロイド性の非選択性GR/PRアンタゴニストミフェプリストンを対照として用いた。
【0139】
6.HeLa細胞内でのICAM-Luc発現の調節
HeLa細胞内でのICAM-プロモーターのTNF-α-誘発活性化の阻害におけるアゴニスト又はアンタゴニスト活性についての化合物の試験。
ルシフェラーゼ遺伝子の前にクローン化されたヒトICAM-プロモーター(転写開始部位に対して-1353〜-9, Ledebur and Parks, 1995)の1.3kb断片を含有するプラスミドと、構成的に抗生物質GENETICIN(登録商標)に対して抵抗性を発現するpcDNA3.1プラスミド(Invitrogen)を、HeLa細胞に安定して共-形質移入した。ICAM-プロモーターを最も良く誘発するクローンを選択し、さらなる実験で用いた。細胞を、3%CCSで補充したDMEM培地内96ウェルプレート(15,000細胞/100μL/ウェル)に移した。次の日、10ng/mLの組換えTNF-α(R&D System, Cat. No. 210-TA)の添加によってICAM-プロモーターの活性化を誘発した。同時に細胞を試験化合物又はデキサメタゾン(DMSOに溶解,最終濃度0.2%)で処理した。対照細胞はDMSOだけで処理した。18時間後、細胞を細胞溶解試薬(Promega, Cat. No. E1531)で溶解させ、ルシフェラーゼ検定試薬(Promega, Cat. No. E1501)を添加し、かつルミノメーター(BMG, Offenburg)を用いてグロールミネッセンスを測定した。
アンタゴニスト活性を測定するため、試験化合物を細胞に適用する直前にデキサメタゾン(3×10-9M〜3×10-8M)を添加してICAM-プロモーターのTNF-α-誘発活性化を阻害した。ステロイド性の非選択性GR/PRアンタゴニストミフェプリストンを対照として用いた。
一般に、上記検定での好ましい力価範囲は、0.1nM〜10μM、さらに好ましい力価範囲は、0.1nM〜1μM、最も好ましい力価範囲は0.1nM〜100nMである。
【0140】
上記検定の1種以上で本発明の代表的な化合物を試験し、グルココルチコイド受容体機能のモジュレーターとしての活性を示した。例えば、式(I)の本発明の以下の化合物は、細胞検定でアンタゴニストとして強力な活性を示した:
4-アリルスルファニルメチル-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン;及び
4-(1-アリルオキシエチル)-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン。
さらに、式(I)の本発明の以下の化合物を上記検定の1種以上で試験し、グルココルチコイド受容体機能のアゴニストとしての活性を示した:
4-(1-アリルオキシエチル)-6-(5-フルオロ-2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン。
【0141】
本発明は、患者に本発明の化合物を投与することを含む、患者のグルココルチコイド受容体機能を調節する方法をも提供する。患者のグルココルチコイド受容体機能を調節する目的が病気状態又は状況を治療することである場合、投与は、好ましくは治療的又は薬学的に有効な量の薬学的に許容しうる本発明の化合物を含む。患者のグルココルチコイド受容体機能を調節する目的が診断又は他の目的(例えば、患者の治療に対する適合性又は本発明の化合物の種々の副治療用量に対する感受性を決定すること)のためである場合、投与は好ましくは有効な量、すなわち、その所望の効果又は程度の調節を得るために必要な量の本発明の化合物を含む。
【0142】
治療的使用方法
上述したように、本発明の化合物は、グルココルチコイド受容体機能の調節に有用である。その調節では、これら化合物は、グルココルチコイド受容体機能によって媒介され、或いはグルココルチコイド受容体機能の調節から利益を得るであろう病気状態又は状況の治療において治療的用途がある。
本発明の化合物はグルココルチコイド受容体機能を調節するので、本化合物は、非常に有用な抗炎症及び抗アレルギー、免疫抑制、抗増殖活性を有し、かつ本化合物は、特に病気状態及び状況の治療用の後述するような医薬組成物の形態の薬物として患者に使用することができる。
【0143】
本発明のアゴニスト化合物は、炎症、アレルギー、及び/又は増殖プロセスを伴う以下の病気状態又は徴候の治療用薬物として患者に使用できる。
(i)肺疾患:いずれかの起源の慢性閉塞性肺疾患、特に気管支喘息及び慢性閉塞性肺疾患(COPD);成人呼吸窮迫症候群(ARDS);気管支拡張症;いろいろな起源の気管支炎;すべての型の拘束性肺疾患、特にアレルギー性胞隔炎;すべての型の肺浮腫、特に毒性肺浮腫;いずれかの起源のすべての型の間質性肺疾患、例えば放射線性肺炎;及びサルコイドーシスと肉芽腫症、特にベック病;
(ii)リウマチ性疾患又は自己免疫疾患又は関節疾患:すべての型のリウマチ性疾患、特にリウマチ性関節炎、急性リウマチ熱、及びリウマチ性多発筋痛症;反応性関節炎;リウマチ性軟組織疾患;他の起源の炎症性軟組織疾患;変性関節疾患における関節炎症状(関節症);外傷性関節炎;いずれかの起源の膠原病、例えば全身性エリテマトーデス、強皮症、多発性筋炎、皮膚筋炎、シェーグレン症候群、スティル(Still)病、及びフェルティ症候群;
(iii)アレルギー疾患:すべての型のアレルギー反応、例えば、血管神経性浮腫、花粉症、昆虫刺傷、薬物、血液誘導体、造影剤などに対するアレルギー反応、アナフィラキシーショック(過敏症)、じんま疹、血管神経性浮腫、及び接触皮膚炎;
(iv)脈管疾患:結節性汎動脈炎、結節性多発性動脈炎、側頭動脈炎、ウェゲナー肉芽腫症、巨細胞性動脈炎、及び結節性紅斑;
(v)皮膚疾患:特に子供のアトピー性皮膚炎;乾癬;毛孔性紅色ひこう疹;種々の病毒、例えば、放射線、化学品、日焼けなどによって引き起こされる紅斑性疾患;水泡性皮膚症;苔癬様複合体の病気(diseases of the lichenoid complex);そう痒症(例えば、アレルギー起源の);脂漏性皮膚炎;酒さ;増殖性天疱瘡;多形水疱性紅斑;亀頭炎;外陰炎;円形脱毛症で起こるような脱毛症;及び皮膚T細胞リンパ腫;
(vi)腎臓病:ネフローゼ症候群;及びすべてのタイプの腎炎、例えば糸球体腎炎;
(vii)肝臓病:急性肝臓細胞崩壊;いろいろな起源、例えばウイルス性、毒性、薬物誘発急性肝炎;及び慢性的な進行性及び/又は慢性的な間欠性肝炎;
(viii)胃腸疾患:炎症性腸疾患、例えば、局部性腸炎(クローン病)、潰瘍性大腸炎;胃炎;消化性食道炎(逆流性食道炎);及び他の起源の胃腸炎、例えば非熱帯性スプルー;
(ix)肛門疾患:肛囲湿疹;裂傷;痔疾;及び特発性直腸炎;
(x)眼病:アレルギー性角膜炎、ブドウ膜炎、又は虹彩炎;結膜炎;眼瞼炎;視神経炎(neuritis nervi optici);脈絡膜炎;及び交感性眼炎;
(xi)耳、鼻、及び咽喉(ENT)領域の病気:アレルギー性鼻炎又は花粉症;例えば接触湿疹、感染などによって引き起こされる外耳炎;及び中耳炎;
(xii)神経疾患:脳浮腫、特に腫瘍関連脳浮腫;多発性硬化症;急性脳脊髄炎;髄膜炎;急性脊髄損傷;脳卒中;及び種々の型の発作、例えば点頭痙攣;
(xiii)血液疾患:後天性溶血性貧血;及び特発性血小板減少症;
(xiv)腫瘍病:急性リンパ性白血病;悪性リンパ腫;リンパ肉芽腫症;リンパ肉腫;特に乳腺、気管支、及び前立腺癌における広範な転移;
(xv)内分泌性疾患:内分泌性眼障害;内分泌性眼窩疾患(endocrine orbitopathia);甲状腺中毒発症;ド・ケルヴァン甲状腺炎(Thyroiditis de Quervain);橋本甲状腺炎;バセドー病;肉芽腫性甲状腺炎;リンパ腫性甲状腺腫;及びグレーブ病(Grave disease);
(xvi)臓器及び組織移植と移植片対宿主病;
(xvii)重症状態のショック、例えば、敗血症性ショック、アナフィラキシーショック、及び全身性炎症反応症候群(SIRS);
(xviii)以下の病気での交換療法:先天性一次性副腎不全症、例えば副腎性器症候群;後天性一次副腎不全症、例えば、アジソン病、自己免疫性副腎炎、後感染、腫瘍、転移など;先天性二次副腎不全症、例えば先天性下垂体機能不全;及び後天性二次副腎不全症、例えば、後感染、腫瘍、転移など;
(xix)炎症起源の疼痛、例えば、腰痛;及び
(xx)I型糖尿病(インスリン依存型糖尿病)、骨関節炎、ギヤン-バレー症候群、経皮経管冠動脈形成術後再狭窄、アルツハイマー病、急性及び慢性の疼痛、アテローム性動脈硬化症、再灌流傷害、骨吸収疾患、うっ血性心不全、心筋梗塞、熱傷害、外傷続発性多臓器傷害、急性化膿性髄膜炎、壊死性全腸炎、及び血液透析、白血球交換療法、及び顆粒球輸血付随症候群を含む種々の他の病気状態又は状況。
【0144】
さらに、本発明の化合物は、合成グルココルチコイドで治療されていた、或いは治療されている、或いは治療されるであろう上述していない他のいずれの病気状態又は状況の治療にも使用することができる(例えば、H.J. Hatz, Glucocorticoide: Immunologische Grundlagen, Pharmakologie und Therapierichtlinien [Glucocorticoids: Immunological Fundamentals, Pharmacology, and Therapeutic Guidelines], Stuttgart: Verlagsgesellschaft mbH, 1998(参照によってその全体が本明細書に取り込まれる)参照)。上述した適応症(i)〜(xx)のほとんど又はすべてがH.J. Hatz, Glucocorticoide: Immunologische Grundlagen, Pharmakologie und Therapierichtlinienに詳述されている。さらに、本発明の化合物を用いて、上で列記し、或いは発明の背景を含む本明細書で述べ又は議論した障害以外の他の障害を治療することもできる。
本発明のアンタゴニスト化合物は、完全アンタゴニストであれ部分アンタゴニストであれ、限定ではなく、以下の病気状態又は適応症:II型糖尿病(非インシュリン依存性糖尿病);肥満症;循環器病;高血圧症;動脈硬化症;精神病及びうつ病のような神経疾患;副腎及び下垂体腫瘍;緑内障;及びACTH-分泌腫瘍様下垂体腺腫に基づいたクッシング症候群の治療用薬物として患者に使用することができる。特に、本発明の化合物は、肥満症、及び高血圧症、アテローム性動脈硬化症、その他の循環器病のような調節解除された脂肪酸代謝に関連するすべての病気状態及び適応症の治療に有用である。GRアンタゴニストである本発明の化合物を用いて、炭水化物代謝と脂肪酸代謝の両方をアンタゴナイズすることができるだろう。従って、本発明のアンタゴニスト化合物は、高い炭水化物、タンパク質、及び脂質代謝に関与し、かつ筋肉虚弱のような異化(タンパク質代謝の一例として)につながる病気状態及び状況を含むであろうすべての病気状態及び状況の治療に有用である。
【0145】
診断的使用方法
本発明の化合物は、診断用途及び競合結合性検定での標準物質として商業的及び他の目的で使用することもできる。このような用途では、本発明の化合物は、本技術の当業者には周知であり、かつ以下の文献に概要が示されているように、化合物自体の形態で使用でき、或いは放射性同位体、ルミネッセンス、又は蛍光プローブを得るために放射性同位体、ルミネッセンス、又は蛍光標識などを取り付けて修飾してもよい:Handbook of Fluorescent Probes and Research Chemicals, 第6版, R.P. Haugland (ed.), Eugene: Molecular Probes, 1996; Fluorescence and Luminescence Probes for Biological Activity, W.T. Mason (ed.), San Diego: Academic Press, 1993; Receptor-Ligand Interaction, A Practical Approach, E.C. Hulme (ed.), Oxford: IRL Press, 1992(それぞれ参照によってその全体が本明細書に取り込まれる)。
【0146】
一般的投与及び医薬組成物
医薬品として使用する場合、本発明の化合物は、典型的には医薬組成物の形態で投与される。このような組成物は、医薬品技術で周知の手順で調製することができ、かつ少なくとも1種の本発明の化合物を含む。本発明の化合物は、単独で投与してもよく、或いは本発明の化合物の安定性を向上させ、特定の実施形態では本化合物を含有する医薬組成物の投与を容易にし、溶解又は分散を高め、阻害活性を高め、アジュバント療法等を与える等アジュバントと組み合わせて投与することもできる。本発明の化合物は、それ自体を基礎として使用することができ、或いは本発明の他の活性物質と共に使用することができ、任意に、他の薬理学的に活性な物質と共に使用してもよい。一般に、この発明の化合物は、治療的又は薬学的に有効な量で投与されるが、診断又は他の目的ではより少ない量で投与してよい。
特に、本発明の化合物は、グルココルチコイド又はコルチコステロイドと併用される。上で指摘したように、種々の免疫性及び炎症性障害の標準的な療法は、免疫反応及び炎症反応を抑制する能力を有するコルチコステロイドの投与を含む。(A.P. Truhanら, Annals of Allergy, 1989, 62, pp. 375-391; J.D. Baxter, Hospital Practice, 1992, 27, pp. 111-134; R.P. Kimberly, Curr. Opin. Rheumatol., 1992, 4, pp. 325-331; M.H. Weisman, Curr. Opin. Rheumatol., 1995, 7, pp. 183-190; W. Sterry, Arch. Dermatol. Res., 1992, 284 (Suppl.), pp. S27-S29)。しかし、コルチコステロイドの使用は治療的に有益であるが、特に持続的及び/又は高用量のステロイド使用では、穏やかなものから生命を脅かす可能性のあるものまで多くの副作用を伴う。従って、望ましくない副作用を避けるため、より少ない有効用量のコルチコステロイドの使用を可能にする(“ステロイド節約型効果”と呼ばれる)方法及び組成物が非常に望ましい。本発明の化合物は、所望の治療効果を達成しながら、グルココルチコイド又はコルチコステロイドの低用量及び少頻度投与の使用を可能にすることによって、このようなステロイド節約型効果を与える。
【0147】
本発明の化合物の投与は、純粋形態又は適切な医薬組成物で、医薬組成物の投与のいずれの一般に認められている態様を用いても行うことができる。従って、例えば、錠剤、坐剤、丸剤、軟弾性及び硬質ゼラチンカプセル剤、散剤、液剤、懸濁剤、又はエアゾール剤などのような固体、半固体、凍結乾燥粉末、又は液体剤形で、好ましくは正確な用量の単一投与に適した単位剤形で、例えば、経口的、頬側に(例えば、舌下に)、経鼻的、非経口的、局所的、経皮的、経膣的、又は直腸に投与することができる。医薬組成物は、通常、医薬担体又は賦形剤と、活性物質として本発明の化合物を含み、さらに、他の薬用物質、医薬物質、担体、アジュバント、希釈剤、媒体、又はその組合せを含むことができる。このような薬学的に許容しうる賦形剤、担体、又は添加剤及び種々の態様又は投与用医薬組成物の製造方法は、本技術の当業者には周知である。最新技術は、例えば、Remington: The Science and Practice of Pharmacy, 第20版, A. Gennaro (ed.), Lippincott Williams & Wilkins, 2000; Handbook of Pharmaceutical Additives, Michael & Irene Ash (eds.), Gower, 1995; Handbook of Pharmaceutical Excipients, A.H. Kibbe (ed.), American Pharmaceutical Ass'n, 2000; H.C. Ansel and N.G. Popovish, Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems, 第5版, Lea and Febiger, 1990によって立証され、それぞれ、最新技術をより良く記述するため参照によって本明細書にその全体が取り込まれる。
【0148】
本技術の当業者が予想するように、特定の医薬製剤に利用される本発明の化合物の形態は、有効な製剤に必要とされる適切な物理的性質(例えば、水溶性)を有する形態が選択される(例えば、塩)。
頬側(舌下)投与に好適な医薬組成物としては、香味基剤、通常スクロース中の本発明の化合物と、アカシア又はトラガカントを含む舐剤、及びゼラチンのような不活性基剤中の本化合物と、グリセリン又はスクロースとアカシアを含む香錠が挙げられる。
非経口投与に好適な医薬組成物は、本発明の化合物の無菌水性製剤を含む。これら製剤は、好ましくは静脈内投与されるが、投与は皮下、筋肉内、又は皮内注射によっても行うことができる。注射用医薬製剤は、通常注射用無菌食塩水、リン酸緩衝食塩水、疎水性懸濁液、又は技術的に公知の他の注射用担体を基礎とし、かつ一般に無菌で血液との等張性が与えられる。従って、注射用医薬製剤は、1,3-ブタンジオール、水、リンゲル液、等張食塩水、合成モノ-又はジグリセリドのような不揮発性油、オレイン酸のような脂肪酸などを含む無毒の非経口的に許容しうる希釈剤又は溶媒中の無菌注射用液又は懸濁液として提供される。このような注射用医薬製剤は、公知技術に従い、適切な分散剤又は硬化剤及び懸濁剤を用いて調製される。注射用組成物は、通常0.1〜5%w/wの本発明の化合物を含有する。
【0149】
本化合物の経口投与用固体剤形としては、カプセル剤、錠剤、丸剤、散剤、及び顆粒剤が挙げられる。このような経口投与では、本発明の化合物を含有する薬学的に許容しうる組成物は、例えば、医薬品グレードのマンニトール、ラクトース、デンプン、αデンプン、ステアリン酸マグネシウム、ナトリウムサッカリン、滑石粉、セルロースエーテル誘導体、グルコース、ゼラチン、スクロース、シトレート、プロピルガレート等のような普通に利用される賦形剤のいずれかを取り入れて生成される。このような固体医薬製剤は、技術的に周知なように、限定するものではないが、小腸のpHを変えることに基づいた剤形からのpH感受性放出、錠剤又はカプセル剤の緩徐浸食、製剤の物理的性質に基づいた胃内での保持、腸管の粘膜内面への該剤形の生体付着、又は該剤形からの活性薬物の酵素的放出を含む機構のいくつかによる、胃腸管への該薬物の遅延性又は持続性送達を与えるための製剤を含みうる。
本化合物の経口投与用液体剤形としては、エマルジョン、ミクロエマルジョン、溶液、懸濁液、シロップ剤、及びエリキシル剤が挙げられ、任意に、例えば、水、食塩水、水性デキストロース、グリセロール、エタノール等のような担体中医薬アジュバントを含有してよい。これら組成物は、湿潤、乳化、懸濁、甘味、香味、及び芳香剤のようなさらなるアジュバントを含有することもできる。
【0150】
本化合物の局所剤形としては、軟膏、ペースト、クリーム、ローション、ゲル、散剤、溶液、噴霧剤、吸入剤、眼軟膏、眼又は耳点滴薬、含浸手当用品及びエアゾール剤が挙げられ、保存剤、薬物の浸透を助けるための溶媒及び軟膏やクリーム中の緩和剤のような適切な通常の添加剤を含むことができる。局所適用は、通常の医療的考慮により、1日1回又は複数回でよい。さらに、本発明で好ましい化合物は、適切な鼻腔内媒体の局所使用によって鼻腔内形態で投与することができる。本製剤は、クリーム又は軟膏基剤のような適合しうる通常の担体及びローション用のエタノール又はオレイルアルコールを含んでもよい。このような担体は、該製剤の約1%から約98%までのように存在してよく、さらに普通は、それらは該製剤の約80%までを形成する。
経皮投与も可能である。長期間レシピエントの表皮と密接した状態を保つように適合させた分離性パッチとして経皮投与に好適な医薬組成物を提供することができる。経皮送達システムの形態で投与するため、当然、用量投与はその用量レジメの間中断続的ではなく連続的である。このようなパッチは、好適には、接着剤中に溶解及び/又は分散し、或いはポリマー中に分散している、任意に緩衝していてもよい水溶液中に本発明の化合物を含む。活性化合物の好適な濃度は、約1%〜35%、好ましくは約3%〜15%である。
【0151】
吸入による投与では、本発明の化合物は、噴霧ガスを要しないポンプスプレー装置から、或いは適切な噴霧剤、例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、テトラフルオロエタン、ヘプタフルオロプロパン、二酸化炭素、又は他の適切なガスを用いて加圧パック又はネブライザーからエアゾールスプレーの形態で都合よく送達される。いかなる場合でも、計量した量を送達するためのバルブを与えることによって、エアゾールスプレー用量単位を決定し、その結果の計量用量吸入器(MDI)を用いて再現性がありかつ制御された方法で本発明の化合物を投与することができる。このような吸入器、ネブライザー、又は噴霧装置は、例えばPCT国際公開番号WO 97/12687(特にその図6,市販のRESPIMAT(登録商標)ネブライザーの基礎);WO 94/07607;WO 97/12683;及びWO 97/20590で技術的に公知であり、これら文献はここに引用され、それぞれその全体が参照によって本明細書に取り込まれる。
直腸投与は、脂肪、ココア、バター、グリセリンゼラチン、水素化植物油、いろいろな分子量のポリエチレングリコールの混合物、又はポリエチレングリコールの脂肪酸エステル等のような低融解の水溶性又は水不溶性固体と本化合物を混合した単位用量座剤を利用して達成することができる。活性化合物は、通常少量成分であり、約0.05〜10質量%で、残りが基剤成分であることが多い。
【0152】
上記医薬組成物のすべてで、本発明の化合物は許容しうる担体又は賦形剤と共に処方される。当然、用いる担体又は賦形剤は、組成物の他成分と適合しうるという意味で許容されなければならず、かつ患者に有害であってはならない。担体又は賦形剤は、固体又は液体でよく、或いは両者でよく、好ましくは本発明の化合物と共に単位用量組成物として、例えば、0.05質量%〜95質量%の活性成分を含有しうる錠剤として処方される。このような担体又は賦形剤としては、不活性な充填剤又は希釈剤、結合剤、潤滑剤、崩壊剤、溶解抑制剤、吸収促進剤、吸収剤、及び着色剤が挙げられる。好適な結合剤としては、デンプン、ゼラチン、グルコース又はβ-ラクトースのような天然糖、トウモロコシ甘味料、アカシア、トラガカント又はアルギン酸ナトリウムのような天然及び合成ゴム、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール、ろう等が挙げられる。潤滑剤としては、オレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム等が挙げられる。崩壊剤としては、デンプン、メチルセルロース、寒天、ベントナイト、キサンタンゴム等が挙げられる。
一般に、治療的に有効な1日の用量は、約0.001mg〜約15mg/kg(体重)/日の本発明の化合物、好ましくは約0.1mg〜約10mg/kg(体重)/日、最も好ましくは約0.1mg〜約1.5mg/kg(体重)/1日である。例えば、70kgの人への投与では、用量範囲は、約0.07mg〜約1050mg/日の本発明の化合物、好ましくは約7.0mg〜約700mg/日、最も好ましくは約7.0mg〜約105mg/日である。ある程度の日常的な用量最適化が最適な投薬レベル及びパターンを決定するために必要だろう。
薬学的に許容しうる担体及び賦形剤は、前述のすべての添加剤などを包含する。
【0153】
医薬製剤の実施例
【表1】

細かく粉砕した活性物質、ラクトース、及びいくらかのコーンスターチを一緒に混ぜ合わせる。混合物をふるい、ポリビニルピロリドン水溶液で湿らせ、練り、湿式造粒して乾燥させる。この顆粒、残りのコーンスターチ及びステアリン酸マグネシウムを一緒にふるい、混ぜ合わせる。混合物を圧縮して適当な形と大きさの錠剤を作る。
【0154】
【表2】

細かく粉砕した活性物質、いくらかのコーンスターチ、ラクトース、微結晶性セルロース、及びポリビニルピロリドンを一緒に混ぜ合わせ、混合物をふるい、残りのコーンスターチと水で仕上げて顆粒を形成し、乾燥させ、ふるう。ナトリウム-カルボキシメチルスターチとステアリン酸マグネシウムを加え、混ぜ合わせ、混合物を圧縮して適当な大きさの錠剤を形成する。
【0155】
【表3】

活性物質、コーンスターチ、ラクトース、及びポリビニルピロリドンを完全に混ぜ合わせ、水で湿らせる。この湿潤塊を1mmメッシュサイズのふるいを通過させ、約45℃で乾燥させ、顆粒を同じふるいに通す。ステアリン酸マグネシウムを混合後、直径6mmの凸状の錠剤コアを錠剤製造機内で圧縮する。このようにして作った錠剤コアを公知の方法で基本的に糖とタルクから成る被覆材でコーディングする。完成コーディング錠をろうで磨く。
【0156】
【表4】

物質とコーンスターチを混ぜ合わせ、水で湿らせる。湿潤塊をふるい、乾燥させる。乾燥顆粒をふるい、ステアリン酸マグネシウムと混ぜ合わせる。完成混合物を1号サイズの硬質ゼラチンカプセルに詰める。
【0157】
【表5】

活性物質をそれ自体のpH又は任意に5.5〜6.5でもよいpHで水に溶かし、塩化ナトリウムを加えて等張性にする。得られた溶液を発熱物質なしでろ過し、ろ液を無菌条件下でアンプル内に移してから殺菌かつ融合封印する。アンプルは5mg、25mg、及び50mgの活性物質を含む。
【0158】
【表6】

硬い脂肪を融かす。その中に40℃で、粉砕した活性物質を均一に分散させる。混合物を38℃に冷まし、わずかに冷却した座剤鋳型内に注ぐ。
【0159】
【表7】

計量バルブを備えた通常のエアゾール容器に懸濁液を移す。好ましくは、1スプレー当たり50μLの懸濁液が送達される。所望により活性物質をより多い用量で計量してもよい(例えば、0.02質量%)。
【0160】
【表8】

【0161】
【表9】

【0162】
【表10】

【0163】
【表11】

実施例H、I、J、及びKでは、個々の成分を一緒に混合して普通の方法で吸入用散剤を製造する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(I)の化合物;
【化1】

(式中:
1及びR2は、それぞれ独立的に水素又はC1-C5アルキルであり、或いはR1とR2が共通に結合している炭素原子と一緒にC3-C6環を形成しており;
3は、結合又は任意独立的に1〜3個の置換基で置換されていてもよいC1-C8アルキル、C2-C8アルケニル、若しくはC2-C8アルキニル基であり、
ここで、R3の各置換基は、独立的にC3-C8シクロアルキル、アリール、C1-C5アルコキシ、C2-C5アルケニルオキシ、C2-C5アルキニルオキシ、アリールオキシ、アシル、C1-C5アルコキシカルボニル、C1-C5アルカノイルオキシ、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アミノカルボニルオキシ、C1-C5アルキルアミノカルボニルオキシ、C1-C5ジアルキルアミノカルボニルオキシ、C1-C5アルカノイルアミノ、C1-C5アルコキシカルボニルアミノ、C1-C5アルキルスルホニルアミノ、C1-C5アルキルアミノスルホニル、C1-C5ジアルキルアミノスルホニル、ハロゲン、ヒドロキシ、カルボキシ、オキソ、シアノ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、ニトロ、又はアミノ(該窒素原子は、任意独立的にC1-C5アルキル又はアリールで一若しくは二置換されていてもよい);又はウレイド(該窒素原子は、任意独立的にC1-C5アルキルで置換されていてもよい);又はC1-C5アルキルチオ(該イオウ原子は、任意にスルホキシド若しくはスルホンに酸化されていてもよい)であり、
3の各置換基は、任意独立的に、メチル、メトキシ、ハロゲン、ヒドロキシ、オキソ、シアノ、又はアミノから選択される1〜3個の置換基で置換されていてもよく;
4は、水素、C1-C5アルキル、C2-C5アルケニル、C2-C5アルキニル、C3-C8 シクロアルキル、ヘテロサイクリル、アリール、ヘテロアリール、C1-C5アルコキシ、C2-C5アルケニルオキシ、C2-C5アルキニルオキシ、アリールオキシ、アシル、C1-C5アルコキシカルボニル、C1-C5アルカノイルオキシ、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アミノカルボニルオキシ、C1-C5アルキルアミノカルボニルオキシ、C1-C5ジアルキルアミノカルボニルオキシ、C1-C5アルカノイルアミノ、C1-C5アルコキシカルボニルアミノ、C1-C5アルキルスルホニルアミノ、C1-C5アルキルアミノスルホニル、C1-C5 ジアルキルアミノスルホニル、ハロゲン、ヒドロキシ、カルボキシ、シアノ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、トリフルオロメチルチオ、ニトロ、又はアミノ(該窒素原子は、任意独立的にC1-C5アルキルで一若しくは二置換されていてもよい);又はウレイド(どちらかの窒素原子は、任意独立的にC1-C5アルキルで置換されていてもよい);又はC1-C5アルキルチオ(該イオウ原子は、任意にスルホキシド若しくはスルホンに酸化されていてもよい)であり;
5及びR6は、それぞれ独立的に水素、任意独立的に1〜3個の置換基で置換されていてもよいC1-C8アルキル、C2-C8アルケニル、又はC2-C8アルキニル基であり、
ここで、R5及びR6の各置換基は、独立的にC3-C8シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、C1-C5アルコキシ、C2-C5アルケニルオキシ、C2-C5アルキニルオキシ、アリールオキシ、ハロゲン、ヒドロキシ、オキソ、シアノ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、トリフルオロメチルチオ、C1-C5アルキルチオ(該イオウ原子は、任意にスルホキシド若しくはスルホンに酸化されていてもよい)であり、
5及びR6の各置換基は、任意独立的に、C1-C3アルキル、C1-C3アルコキシ、ハロゲン、ヒドロキシ、オキソ、シアノ、アミノ、又はトリフルオロメチルから選択される1〜3個の基で置換されていてもよく、或いは
5とR6が共通して結合している炭素原子と一緒にC3-C6環を形成しており;
Xは、O、S、又はアミノ(該窒素原子は、任意独立的にC1-C5アルキル又はアリールで一若しくは二置換されていてもよく、該イオウ原子は、任意にスルホキシド若しくはスルホンに酸化されていてもよい)であり;
Yは、アリール又はヘテロアリール基であり、それぞれ任意独立的に1〜3個の置換基で置換されていてもよく、
ここで、Yの各置換基は、独立的にC1-C5アルキル、C2-C5アルケニル、C2-C5アルキニル、C3-C8シクロアルキル、アリール、C1-C5アルコキシ、C2-C5アルケニルオキシ、C2-C5アルキニルオキシ、アリールオキシ、アシル、C1-C5アルコキシカルボニル、C1-C5アルカノイルオキシ、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アミノカルボニルオキシ、C1-C5アルキルアミノカルボニルオキシ、C1-C5ジアルキルアミノカルボニルオキシ、C1-C5アルカノイルアミノ、C1-C5アルコキシカルボニルアミノ、C1-C5アルキルスルホニルアミノ、C1-C5アルキルアミノスルホニル、C1-C5ジアルキルアミノスルホニル、ハロゲン、ヒドロキシ、カルボキシ、シアノ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、ニトロ、又はアミノ(該窒素原子は、任意独立的にC1-C5アルキル又はアリールで一若しくは二置換されていてもよい);又はウレイド(どちらかの窒素原子は、任意独立的にC1-C5アルキルで置換されていてもよい);又はC1-C5アルキルチオ(該イオウ原子は、任意にスルホキシド若しくはスルホンに酸化されていてもよい)であり、
Yの各置換基は、任意独立的に、メチル、メトキシ、ハロゲン、ヒドロキシ、オキソ、シアノ、又はアミノから選択される1〜3個の置換基で置換されていてもよく;
nは、0、1、2、又は3である)、
又はその互変異性体、プロドラッグ、溶媒和化合物、若しくは塩。
【請求項2】
式中:
1及びR2が、それぞれ独立的に水素又はC1-C3アルキルであり;
3が、結合又は任意独立的に1〜2個の置換基で置換されていてもよいC1-C5アルキル又はC2-C5アルケニル基であり、
ここで、R3の各置換基は、独立的にC3-C6シクロアルキル、フェニル、メトキシ、ハロゲン、ヒドロキシ、オキソ、シアノ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、又はC1-C5アルキルチオ(該イオウ原子は、任意にスルホキシド若しくはスルホンに酸化されていてもよい)であり、
3の各置換基は、任意独立的にフッ素、塩素、又は臭素で置換されていてもよく;
4が、水素、C1-C5アルキル、C2-C5アルケニル、C2-C5アルキニル、C3-C8シクロアルキル、フェニル、フラニル、チエニル、C1-C5アルコキシ、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、又はC1-C5アルキルチオ(該イオウ原子は、任意にスルホキシド若しくはスルホンに酸化されていてもよい)であり;
5及びR6が、それぞれ独立的に水素、C1-C5アルキル、C2-C5アルケニル、又はC2-C5アルキニルであり;
Xが、O、NH、又はSであり;
Yが、フェニル基(独立的にC1-C3アルキル、C1-C3アルコキシ、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、トリフルオロメチル、又はトリフルオロメトキシから選択される1〜2個の置換基で置換されている)であり;
nが1である、
請求項1に記載の式(I)の化合物、又はその互変異性体、プロドラッグ、溶媒和化合物、若しくは塩。
【請求項3】
式中:
1及びR2がそれぞれメチルであり;
3が、結合又はC1-C5アルキル若しくはC2-C5アルケニル基であり;
4が、水素、C3-C6シクロアルキル、フェニル、フッ素、又は塩素であり;
5及びR6が、それぞれ独立的に水素、メチル、又はエチルであり;
XがO又はSであり;
Yがフェニル基(独立的にメトキシ、フッ素、塩素、又はヒドロキシから選択される1〜2個の置換基で置換されていてもよい)である、
請求項2に記載の式(I)の化合物、又はその互変異性体、プロドラッグ、溶媒和化合物、若しくは塩。
【請求項4】
式中:
1及びR2がそれぞれメチルであり;
3が結合であり;
4がC3-C5アルキル又はC3-C5アルケニル基であり;
5が水素又はメチルであり;R6が水素であり;
XがO又はSであり;かつ
Yが2-メトキシフェニル、2-メトキシ-5-フルオロフェニル、若しくは2-クロロ-3-ヒドロキシフェニル基である、
請求項1に記載の式(I)の化合物、又はその互変異性体、プロドラッグ、溶媒和化合物、若しくは塩。
【請求項5】
式中:
1及びR2がそれぞれメチルであり;
3がC2-C4アルキル基であり;
4が、任意にフッ素又は塩素基で一置換されていてもよいフェニル基であり;
5が水素又はメチルであり;
6が水素であり;XがO又はSであり;かつ
Yが2-メトキシフェニル、2-メトキシ-5-フルオロフェニル、若しくは2-クロロ-3-ヒドロキシフェニル基である、
請求項1に記載の式(I)の化合物、又はその互変異性体、プロドラッグ、溶媒和化合物、若しくは塩。
【請求項6】
式中:
1及びR2がそれぞれメチルであり;
3がC1-C3アルキル基であり;
4がシクロヘキシル基であり;
5が水素又はメチルであり;
6が水素であり;
XがO又はSであり;
かつYが2-メトキシフェニル、2-メトキシ-5-フルオロフェニル、若しくは2-クロロ-3-ヒドロキシフェニル基である、
請求項1に記載の式(I)の化合物、又はその互変異性体、プロドラッグ、溶媒和化合物、若しくは塩。
【請求項7】
以下の化合物:
[6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン-4-イルメチル]フェニルアミン;
(3,5-ジクロロフェニル)-[6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン-4-イルメチル]アミン;
4-アリルスルファニルメチル-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
4-(3,5-ジクロロフェニルスルファニルメチル)-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
アリル-[6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン-4-イルメチル]アミン;
[6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン-4-イルメチル]プロピルアミン;
4-アリルオキシメチル-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
4-ベンジルスルファニルメチル-2,2-ジメチル-6-フェニル-1,2-ジヒドロキノリン;
4-シクロペンチルスルファニルメチル-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
4-(フラン-3-イルメチルスルファニルメチル)-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
4-ベンジルスルファニルメチル-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
4-アリルスルファニルメチル-2,2-ジメチル-6-フェニル-1,2-ジヒドロキノリン;
4-アリルスルファニルメチル-6-(2,6-ジメトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
2-[6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン-4-イルメチルスルファニル]-N-メチルアセトアミド;
6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-4-プロピルスルファニルメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-4-フェニルスルファニルメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-4-フェネチルスルファニルメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
3-[6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン-4-イルメチルスルファニル]プロピオン酸メチルエステル;
6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-4-(2-メチルブチルスルファニルメチル)-1,2-ジヒドロキノリン;
4-(4-tert-ブチルフェニルスルファニルメチル)-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
4-シクロヘキシルスルファニルメチル-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-4-(3-メチルブチルスルファニルメチル)-1,2-ジヒドロキノリン;
4-アリルスルファニルメチル-6-(3-エトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
4-アリルスルファニルメチル-6-(2-エトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
(E)-3-[6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン-4-イル]アクリル酸エチルエステル;
4-(4-メトキシベンジルスルファニルメチル)-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
N-[6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン-4-イルメチル]ベンズアミド;
6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-4-(プロパ-2-エン-1-スルフィニルメチル)-1,2-ジヒドロキノリン;
6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-4-(ナフタレン-2-イルスルファニルメチル)-1,2-ジヒドロキノリン;
[6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン-4-イルメチルスルファニル]酢酸メチルエステル;
4-(4-クロロフェニルスルファニルメチル)-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
N-[6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン-4-イルメチル]-2-フェニルアセトアミド;
6-(2-メトキシフェニル)-4-(4-メトキシフェニルスルファニルメチル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
N-[6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン-4-イルメチル]-N-メチルベンズアミド;
4-アリルスルファニルメチル-2,2-ジメチル-6-(2-ニトロフェニル)-1,2-ジヒドロキノリン;
4-アリルスルファニルメチル-2,2-ジメチル-6-o-トリル-1,2-ジヒドロキノリン;
4-アリルスルファニルメチル-6-ジベンゾフラン-4-イル-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
N-[6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン-4-イルメチル]-N-メチル-2-フェニルアセトアミド;
4-(4-クロロベンジルスルファニルメチル)-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
4-アリルスルファニルメチル-6-(2-フルオロフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
6-(2-フルオロフェニル)-2,2-ジメチル-4-フェネチルスルファニルメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
4-アリルスルファニルメチル-6-ビフェニル-2-イル-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
6-ビフェニル-2-イル-2,2-ジメチル-4-フェネチルスルファニルメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
チオ酢酸S-[6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン-4-イルメチル]エステル;
6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-4-(1-フェネチルスルファニルエチル)-1,2-ジヒドロキノリン;
4-(1-アリルスルファニルエチル)-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
2,2-ジメチル-6-(2-メチルスルファニルフェニル)-4-フェネチルスルファニルメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
4-アリルスルファニルメチル-6-(2,5-ジメトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
6-(2,5-ジメトキシフェニル)-2,2-ジメチル-4-フェネチルスルファニルメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-4-(1-フェネチルオキシエチル)-1,2-ジヒドロキノリン;
4-(1-アリルオキシエチル)-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
6-ベンゾ[1,3]ジオキソl-5-イル-2,2-ジメチル-4-フェネチルスルファニルメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
4-アリルスルファニルメチル-6-(3-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
6-(3-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-4-フェネチルスルファニルメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
4-アリルスルファニルメチル-6-(4-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
6-(4-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-4-フェネチルスルファニルメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
4-アリルスルファニルメチル-6-(3,4-ジメトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
6-(3,4-ジメトキシフェニル)-2,2-ジメチル-4-フェネチルスルファニルメチル-1,2-ジヒドロキノリン
6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-4-[1-(3-フェニルプロポキシ)エチル]-1,2-ジヒドロキノリン;
6-(2,3-ジメトキシフェニル)-2,2-ジメチル-4-フェネチルスルファニルメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
4-アリルスルファニルメチル-6-(2,3-ジメトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
4-アリルスルファニルメチル-6-(5-フルオロ-2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
6-(5-フルオロ-2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-4-フェネチルスルファニルメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
4-アリルスルファニルメチル-2,2-ジメチル-6-(2-トリフルオロメチルフェニル)-1,2-ジヒドロキノリン;
2,2-ジメチル-4-フェネチルスルファニルメチル-6-(2-トリフルオロメチルフェニル)-1,2-ジヒドロキノリン;
4-{1-[((E)-ブタ-2-エニル)オキシ]エチル}-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-4-[1-((E)-3-フェニルアリルオキシ)エチル]-1,2-ジヒドロキノリン;
4-[1-(2-シクロヘキシルエトキシ)エチル]-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
4-(1-シクロヘキシルメトキシエチル)-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
2-クロロ-3-(2,2-ジメチル-4-フェネチルスルファニルメチル-1,2-ジヒドロキノリン-6-イル)フェノール;
3-(4-アリルスルファニルメチル-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン-6-イル)-2-クロロフェノール;
6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-4-{1-[((E)-ペンタ-2-エニル)オキシ]エチル}-1,2-ジヒドロキノリン;
4-{1-[2-(2-クロロフェニル)エトキシ]エチル}-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
4-アリルスルファニルメチル-6-(5-イソプロピル-2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
6-(5-イソプロピル-2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-4-フェネチルスルファニルメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-4-[1-(3-メチルブタ-2-エニルオキシ)エチル]-1,2-ジヒドロキノリン;
4-(1-アリルオキシエチル)-6-(5-フルオロ-2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
6-(5-フルオロ-2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-4-(1-フェネチルオキシエチル)-1,2-ジヒドロキノリン;
4-{1-[2-(3-クロロフェニル)エトキシ]エチル}-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
6-(5-フルオロ-2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-4-(1-フェネチルオキシエチル)-1,2-ジヒドロキノリン;
4-{1-[2-(4-クロロフェニル)エトキシ]エチル}-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
4-{1-[2-(2-ブロモフェニル)エトキシ]エチル}-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
4-{1-[2-(3-ブロモフェニル)エトキシ]エチル}-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-4-[1-(1-メチルアリルオキシ)エチル]-1,2-ジヒドロキノリン;
4-(1-アリルオキシプロピル)-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
4-(1-アリルオキシブチル)-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
4-(1-アリルオキシ-3-フェニルプロピル)-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
4-(1-アリルオキシブタ-3-エニル)-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
4-(1-アリルオキシ-2-フェニルエチル)-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
4-(1-アリルオキシ-2-メチルプロピル)-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
4-(アリルオキシフェニルメチル)-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
アリル-{1-[6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン-4-イル]エチル}アミン;
アリル-{1-[6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン-4-イル]エチル}メチルアミン;及び
4-(1-アリルオキシエチル)-6-(5-フルオロ-2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
から選択される請求項1に記載の化合物、
又はその互変異性体、プロドラッグ、溶媒和化合物、若しくは塩。
【請求項8】
以下の化合物:
4-アリルスルファニルメチル-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
4-シクロペンチルスルファニルメチル-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
4-(フラン-3-イルメチルスルファニルメチル)-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-4-プロピルスルファニルメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-4-フェニルスルファニルメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-4-フェネチルスルファニルメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-4-(2-メチルブチルスルファニルメチル)-1,2-ジヒドロキノリン;
4-シクロヘキシルスルファニルメチル-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-4-(3-メチルブチルスルファニルメチル)-1,2-ジヒドロキノリン;
6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-4-(1-フェネチルスルファニルエチル)-1,2-ジヒドロキノリン;
4-(1-アリルスルファニルエチル)-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-4-(1-フェネチルオキシエチル)-1,2-ジヒドロキノリン;
4-(1-アリルオキシエチル)-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
6-ベンゾ[1,3]ジオキソl-5-イル-2,2-ジメチル-4-フェネチルスルファニルメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
6-(3-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-4-フェネチルスルファニルメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-4-[1-(3-フェニルプロポキシ)エチル]-1,2-ジヒドロキノリン;
4-アリルスルファニルメチル-6-(5-フルオロ-2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
6-(5-フルオロ-2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-4-フェネチルスルファニルメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
4-{1-[((E)-ブタ-2-エニル)オキシ]エチル}-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-4-[1-((E)-3-フェニルアリルオキシ)エチル]-1,2-ジヒドロキノリン;
4-[1-(2-シクロヘキシルエトキシ)エチル]-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
4-(1-シクロヘキシルメトキシエチル)-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
2-クロロ-3-(2,2-ジメチル-4-フェネチルスルファニルメチル-1,2-ジヒドロキノリン-6-イル)フェノール;
3-(4-アリルスルファニルメチル-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン-6-イル)-2-クロロフェノール;
6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-4-{1-[((E)-ペンタ-2-エニル)オキシ]エチル}-1,2-ジヒドロキノリン;
6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-4-[1-(3-メチルブタ-2-エニルオキシ)エチル]-1,2-ジヒドロキノリン;
4-(1-アリルオキシエチル)-6-(5-フルオロ-2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
6-(5-フルオロ-2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-4-(1-フェネチルオキシエチル)-1,2-ジヒドロキノリン;
4-{1-[2-(3-クロロフェニル)エトキシ]エチル}-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
6-(5-フルオロ-2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-4-(1-フェネチルオキシエチル)-1,2-ジヒドロキノリン;
4-{1-[2-(4-クロロフェニル)エトキシ]エチル}-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
4-{1-[2-(2-ブロモフェニル)エトキシ]エチル}-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
4-{1-[2-(3-ブロモフェニル)エトキシ]エチル}-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-4-[1-(1-メチルアリルオキシ)エチル]-1,2-ジヒドロキノリン;
4-(1-アリルオキシプロピル)-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
4-(1-アリルオキシ-2-メチルプロピル)-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン;及び
4-(1-アリルオキシエチル)-6-(5-フルオロ-2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
から選択される請求項1に記載の化合物、
又はその互変異性体、プロドラッグ、溶媒和化合物、若しくは塩。
【請求項9】
以下の化合物:
6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-4-フェネチルスルファニルメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-4-(1-フェネチルスルファニルエチル)-1,2-ジヒドロキノリン;
4-(1-アリルスルファニルエチル)-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
4-(1-アリルオキシエチル)-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
4-アリルスルファニルメチル-6-(5-フルオロ-2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
6-(5-フルオロ-2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-4-フェネチルスルファニルメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
4-{1-[((E)-ブタ-2-エニル)オキシ]エチル}-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
2-クロロ-3-(2,2-ジメチル-4-フェネチルスルファニルメチル-1,2-ジヒドロキノリン-6-イル)フェノール;
3-(4-アリルスルファニルメチル-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン-6-イル)-2-クロロフェノール;
4-(1-アリルオキシエチル)-6-(5-フルオロ-2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
6-(5-フルオロ-2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-4-(1-フェネチルオキシエチル)-1,2-ジヒドロキノリン;
6-(5-フルオロ-2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-4-(1-フェネチルオキシエチル)-1,2-ジヒドロキノリン;
4-{1-[2-(4-クロロフェニル)エトキシ]エチル}-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
4-{1-[2-(2-ブロモフェニル)エトキシ]エチル}-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
4-{1-[2-(3-ブロモフェニル)エトキシ]エチル}-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-4-[1-(1-メチルアリルオキシ)エチル]-1,2-ジヒドロキノリン;及び
4-(1-アリルオキシエチル)-6-(5-フルオロ-2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
から選択される請求項1に記載の化合物、
又はその互変異性体、プロドラッグ、溶媒和化合物、若しくは塩。
【請求項10】
有効な量の、請求項1〜9のいずれか1項に記載の化合物、又はその互変異性体、プロドラッグ、溶媒和化合物、若しくは塩と、薬学的に許容しうる賦形剤又は担体とを含んでなる医薬組成物。
【請求項11】
患者のグルココルチコイド受容体機能を調節する方法であって、前記患者に、有効な量の、請求項1〜9のいずれか1項に記載の薬学的に許容しうる化合物、又はその互変異性体、プロドラッグ、溶媒和化合物、若しくは塩を投与することを含む方法。
【請求項12】
グルココルチコイド受容体機能によって媒介される病気状態又は状況の治療が必要な患者の治療方法であって、前記患者に、有効な量の、請求項1〜9のいずれか1項に記載の薬学的に許容しうる化合物、又はその互変異性体、プロドラッグ、溶媒和化合物、若しくは塩を投与することを含む方法。
【請求項13】
II型糖尿病、肥満症、循環器病、高血圧症、動脈硬化症、神経疾患、副腎及び下垂体腫瘍、及び緑内障から選択される病気状態又は状況の治療が必要な患者を治療する方法であって、前記患者に、有効な量の、請求項1〜9のいずれか1項に記載の薬学的に許容しうる化合物、又はその互変異性体、プロドラッグ、溶媒和化合物、若しくは塩を投与することを含む方法。
【請求項14】
炎症、アレルギー、又は増殖プロセスを特徴とする病気の治療を必要とする患者を治療する方法であって、前記患者に、有効な量の、請求項1〜9のいずれか1項に記載の薬学的に許容しうる化合物、又はその互変異性体、プロドラッグ、溶媒和化合物、若しくは塩を投与することを含む方法。
【請求項15】
前記病気が、(i)肺疾患、(ii)リウマチ性疾患/自己免疫疾患/関節疾患、(iii)アレルギー疾患、(iv)脈管炎疾患、(v)皮膚疾患、(vi)腎臓病、(vii)肝臓病、(viii)胃腸疾患、(ix)肛門病、(x)眼病、(xi)耳、鼻、及び咽喉(ENT)領域の病気、(xii)神経疾患、(xiii)血液疾患、(xiv)腫瘍病、(xv)内分泌疾患、(xvi)臓器及び組織移植並びに移植片対宿主病、(xvii)重症状態のショック、(xviii)交換療法、及び(xix)炎症起源の疼痛から選択される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記病気が、I型糖尿病、骨関節炎、ギヤン-バレー症候群、経皮経管冠動脈形成術後再狭窄、アルツハイマー病、急性及び慢性の疼痛、アテローム性動脈硬化症、再灌流傷害、骨吸収疾患、うっ血性心不全、心筋梗塞、熱傷害、外傷続発性多臓器傷害、急性化膿性髄膜炎、壊死性全腸炎、及び血液透析、白血球交換療法、顆粒球輸血に付随する症候群から選択される、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
試料中のグルココルチコイド受容体機能のインビトロ診断決定用キットであって、
(a)診断的に有効な量の請求項1に記載の化合物又はその互変異性体、プロドラッグ、溶媒和化合物、若しくは塩;及び
(b)該診断キットの使用説明書
を含んでなるキット。
【請求項18】
下記式(I)の化合物:
【化2】

(式中、R3、R4、R5、R6、X、Y、及びnは、請求項1で定義したとおりであり、かつR1及びR2は、それぞれメチルである)の製造方法であって、以下の工程:
適切な塩基の存在下、下記式(VII)の化合物を求核試薬R34XHm(式中、XHmはNH2、SH、又はOHである)と反応させて式(I)の化合物を形成する工程を含む方法。
【化3】

【請求項19】
下記式(I)の化合物:
【化4】

(式中、R3、R4、R5、R6、X、Y、及びnは、請求項1で定義したとおりであり、かつR1及びR2は、それぞれメチルである)の製造方法であって、以下の工程:
(a)適切なパラジウム触媒と塩基の存在下、下記式(II)の4-ハロニトロベンゼン又は4-ニトロアリールトリフラートを下記式(III)のアリールホウ素酸と反応させて下記式(IV)のビアリール化合物を形成する工程;
【化5】

(b)式(IV)のビアリール化合物のニトロ基を適切な還元剤で還元して下記式(V)の化合物を形成する工程;
【化6】

(c)ヨウ素の存在下、式(V)の化合物をアセトンと反応させて下記式(VI)の化合物を形成する工程;
【化7】

(d)式(VI)の化合物を適切な臭素化剤と反応させて下記式(VII)の化合物を形成する工程;
【化8】

(e)適切な塩基の存在下、式(VII)の化合物を求核試薬R34XHm(式中、XHmはNH2、SH、又はOHである)と反応させて下記式(I)の化合物を形成する工程;
【化9】

を含む方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(I)の化合物;
【化1】

(式中:
1及びR2は、それぞれ独立的に水素又はC1-C5アルキルであり、或いはR1とR2が共通に結合している炭素原子と一緒にC3-C6環を形成しており;
3は、結合又は任意独立的に1〜3個の置換基で置換されていてもよいC1-C8アルキル、C2-C8アルケニル、若しくはC2-C8アルキニル基であり、
ここで、R3の各置換基は、独立的にC3-C8シクロアルキル、アリール、C1-C5アルコキシ、C2-C5アルケニルオキシ、C2-C5アルキニルオキシ、アリールオキシ、アシル、C1-C5アルコキシカルボニル、C1-C5アルカノイルオキシ、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アミノカルボニルオキシ、C1-C5アルキルアミノカルボニルオキシ、C1-C5ジアルキルアミノカルボニルオキシ、C1-C5アルカノイルアミノ、C1-C5アルコキシカルボニルアミノ、C1-C5アルキルスルホニルアミノ、C1-C5アルキルアミノスルホニル、C1-C5ジアルキルアミノスルホニル、ハロゲン、ヒドロキシ、カルボキシ、オキソ、シアノ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、ニトロ、又はアミノ(該窒素原子は、任意独立的にC1-C5アルキル又はアリールで一若しくは二置換されていてもよい);又はウレイド(該窒素原子は、任意独立的にC1-C5アルキルで置換されていてもよい);又はC1-C5アルキルチオ(該イオウ原子は、任意にスルホキシド若しくはスルホンに酸化されていてもよい)であり、
3の各置換基は、任意独立的に、メチル、メトキシ、ハロゲン、ヒドロキシ、オキソ、シアノ、又はアミノから選択される1〜3個の置換基で置換されていてもよく;
4は、水素、C1-C5アルキル、C2-C5アルケニル、C2-C5アルキニル、C3-C8 シクロアルキル、ヘテロサイクリル、アリール、ヘテロアリール、C1-C5アルコキシ、C2-C5アルケニルオキシ、C2-C5アルキニルオキシ、アリールオキシ、アシル、C1-C5アルコキシカルボニル、C1-C5アルカノイルオキシ、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アミノカルボニルオキシ、C1-C5アルキルアミノカルボニルオキシ、C1-C5ジアルキルアミノカルボニルオキシ、C1-C5アルカノイルアミノ、C1-C5アルコキシカルボニルアミノ、C1-C5アルキルスルホニルアミノ、C1-C5アルキルアミノスルホニル、C1-C5 ジアルキルアミノスルホニル、ハロゲン、ヒドロキシ、カルボキシ、シアノ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、トリフルオロメチルチオ、ニトロ、又はアミノ(該窒素原子は、任意独立的にC1-C5アルキルで一若しくは二置換されていてもよい);又はウレイド(どちらかの窒素原子は、任意独立的にC1-C5アルキルで置換されていてもよい);又はC1-C5アルキルチオ(該イオウ原子は、任意にスルホキシド若しくはスルホンに酸化されていてもよい)であり;
5及びR6は、それぞれ独立的に水素、任意独立的に1〜3個の置換基で置換されていてもよいC1-C8アルキル、C2-C8アルケニル、又はC2-C8アルキニル基であり、
ここで、R5及びR6の各置換基は、独立的にC3-C8シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、C1-C5アルコキシ、C2-C5アルケニルオキシ、C2-C5アルキニルオキシ、アリールオキシ、ハロゲン、ヒドロキシ、オキソ、シアノ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、トリフルオロメチルチオ、C1-C5アルキルチオ(該イオウ原子は、任意にスルホキシド若しくはスルホンに酸化されていてもよい)であり、
5及びR6の各置換基は、任意独立的に、C1-C3アルキル、C1-C3アルコキシ、ハロゲン、ヒドロキシ、オキソ、シアノ、アミノ、又はトリフルオロメチルから選択される1〜3個の基で置換されていてもよく、或いは
5とR6が共通して結合している炭素原子と一緒にC3-C6環を形成しており;
Xは、O、S、又はアミノ(該窒素原子は、任意独立的にC1-C5アルキル又はアリールで一若しくは二置換されていてもよく、該イオウ原子は、任意にスルホキシド若しくはスルホンに酸化されていてもよい)であり;
Yは、アリール又はヘテロアリール基であり、それぞれ任意独立的に1〜3個の置換基で置換されていてもよく、
ここで、Yの各置換基は、独立的にC1-C5アルキル、C2-C5アルケニル、C2-C5アルキニル、C3-C8シクロアルキル、アリール、C1-C5アルコキシ、C2-C5アルケニルオキシ、C2-C5アルキニルオキシ、アリールオキシ、アシル、C1-C5アルコキシカルボニル、C1-C5アルカノイルオキシ、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アミノカルボニルオキシ、C1-C5アルキルアミノカルボニルオキシ、C1-C5ジアルキルアミノカルボニルオキシ、C1-C5アルカノイルアミノ、C1-C5アルコキシカルボニルアミノ、C1-C5アルキルスルホニルアミノ、C1-C5アルキルアミノスルホニル、C1-C5ジアルキルアミノスルホニル、ハロゲン、ヒドロキシ、カルボキシ、シアノ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、ニトロ、又はアミノ(該窒素原子は、任意独立的にC1-C5アルキル又はアリールで一若しくは二置換されていてもよい);又はウレイド(どちらかの窒素原子は、任意独立的にC1-C5アルキルで置換されていてもよい);又はC1-C5アルキルチオ(該イオウ原子は、任意にスルホキシド若しくはスルホンに酸化されていてもよい)であり、
Yの各置換基は、任意独立的に、メチル、メトキシ、ハロゲン、ヒドロキシ、オキソ、シアノ、又はアミノから選択される1〜3個の置換基で置換されていてもよく;
nは、0、1、2、又は3である)、
又はその互変異性体、プロドラッグ、溶媒和化合物、若しくは塩。
【請求項2】
式中:
1及びR2が、それぞれ独立的に水素又はC1-C3アルキルであり;
3が、結合又は任意独立的に1〜2個の置換基で置換されていてもよいC1-C5アルキル又はC2-C5アルケニル基であり、
ここで、R3の各置換基は、独立的にC3-C6シクロアルキル、フェニル、メトキシ、ハロゲン、ヒドロキシ、オキソ、シアノ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、又はC1-C5アルキルチオ(該イオウ原子は、任意にスルホキシド若しくはスルホンに酸化されていてもよい)であり、
3の各置換基は、任意独立的にフッ素、塩素、又は臭素で置換されていてもよく;
4が、水素、C1-C5アルキル、C2-C5アルケニル、C2-C5アルキニル、C3-C8シクロアルキル、フェニル、フラニル、チエニル、C1-C5アルコキシ、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、又はC1-C5アルキルチオ(該イオウ原子は、任意にスルホキシド若しくはスルホンに酸化されていてもよい)であり;
5及びR6が、それぞれ独立的に水素、C1-C5アルキル、C2-C5アルケニル、又はC2-C5アルキニルであり;
Xが、O、NH、又はSであり;
Yが、フェニル基(独立的にC1-C3アルキル、C1-C3アルコキシ、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、トリフルオロメチル、又はトリフルオロメトキシから選択される1〜2個の置換基で置換されている)であり;
nが1である、
請求項1に記載の式(I)の化合物、又はその互変異性体、プロドラッグ、溶媒和化合物、若しくは塩。
【請求項3】
式中:
1及びR2がそれぞれメチルであり;
3が、結合又はC1-C5アルキル若しくはC2-C5アルケニル基であり;
4が、水素、C3-C6シクロアルキル、フェニル、フッ素、又は塩素であり;
5及びR6が、それぞれ独立的に水素、メチル、又はエチルであり;
XがO又はSであり;
Yがフェニル基(独立的にメトキシ、フッ素、塩素、又はヒドロキシから選択される1〜2個の置換基で置換されていてもよい)である、
請求項2に記載の式(I)の化合物、又はその互変異性体、プロドラッグ、溶媒和化合物、若しくは塩。
【請求項4】
式中:
1及びR2がそれぞれメチルであり;
3が結合であり;
4がC3-C5アルキル又はC3-C5アルケニル基であり;
5が水素又はメチルであり;R6が水素であり;
XがO又はSであり;かつ
Yが2-メトキシフェニル、2-メトキシ-5-フルオロフェニル、若しくは2-クロロ-3-ヒドロキシフェニル基である、
請求項1に記載の式(I)の化合物、又はその互変異性体、プロドラッグ、溶媒和化合物、若しくは塩。
【請求項5】
式中:
1及びR2がそれぞれメチルであり;
3がC2-C4アルキル基であり;
4が、任意にフッ素又は塩素基で一置換されていてもよいフェニル基であり;
5が水素又はメチルであり;
6が水素であり;XがO又はSであり;かつ
Yが2-メトキシフェニル、2-メトキシ-5-フルオロフェニル、若しくは2-クロロ-3-ヒドロキシフェニル基である、
請求項1に記載の式(I)の化合物、又はその互変異性体、プロドラッグ、溶媒和化合物、若しくは塩。
【請求項6】
式中:
1及びR2がそれぞれメチルであり;
3がC1-C3アルキル基であり;
4がシクロヘキシル基であり;
5が水素又はメチルであり;
6が水素であり;
XがO又はSであり;
かつYが2-メトキシフェニル、2-メトキシ-5-フルオロフェニル、若しくは2-クロロ-3-ヒドロキシフェニル基である、
請求項1に記載の式(I)の化合物、又はその互変異性体、プロドラッグ、溶媒和化合物、若しくは塩。
【請求項7】
以下の化合物:
[6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン-4-イルメチル]フェニルアミン;
(3,5-ジクロロフェニル)-[6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン-4-イルメチル]アミン;
4-アリルスルファニルメチル-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
4-(3,5-ジクロロフェニルスルファニルメチル)-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
アリル-[6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン-4-イルメチル]アミン;
[6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン-4-イルメチル]プロピルアミン;
4-アリルオキシメチル-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
4-ベンジルスルファニルメチル-2,2-ジメチル-6-フェニル-1,2-ジヒドロキノリン;
4-シクロペンチルスルファニルメチル-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
4-(フラン-3-イルメチルスルファニルメチル)-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
4-ベンジルスルファニルメチル-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
4-アリルスルファニルメチル-2,2-ジメチル-6-フェニル-1,2-ジヒドロキノリン;
4-アリルスルファニルメチル-6-(2,6-ジメトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
2-[6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン-4-イルメチルスルファニル]-N-メチルアセトアミド;
6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-4-プロピルスルファニルメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-4-フェニルスルファニルメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-4-フェネチルスルファニルメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
3-[6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン-4-イルメチルスルファニル]プロピオン酸メチルエステル;
6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-4-(2-メチルブチルスルファニルメチル)-1,2-ジヒドロキノリン;
4-(4-tert-ブチルフェニルスルファニルメチル)-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
4-シクロヘキシルスルファニルメチル-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-4-(3-メチルブチルスルファニルメチル)-1,2-ジヒドロキノリン;
4-アリルスルファニルメチル-6-(3-エトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
4-アリルスルファニルメチル-6-(2-エトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
(E)-3-[6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン-4-イル]アクリル酸エチルエステル;
4-(4-メトキシベンジルスルファニルメチル)-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
N-[6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン-4-イルメチル]ベンズアミド;
6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-4-(プロパ-2-エン-1-スルフィニルメチル)-1,2-ジヒドロキノリン;
6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-4-(ナフタレン-2-イルスルファニルメチル)-1,2-ジヒドロキノリン;
[6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン-4-イルメチルスルファニル]酢酸メチルエステル;
4-(4-クロロフェニルスルファニルメチル)-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
N-[6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン-4-イルメチル]-2-フェニルアセトアミド;
6-(2-メトキシフェニル)-4-(4-メトキシフェニルスルファニルメチル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
N-[6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン-4-イルメチル]-N-メチルベンズアミド;
4-アリルスルファニルメチル-2,2-ジメチル-6-(2-ニトロフェニル)-1,2-ジヒドロキノリン;
4-アリルスルファニルメチル-2,2-ジメチル-6-o-トリル-1,2-ジヒドロキノリン;
4-アリルスルファニルメチル-6-ジベンゾフラン-4-イル-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
N-[6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン-4-イルメチル]-N-メチル-2-フェニルアセトアミド;
4-(4-クロロベンジルスルファニルメチル)-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
4-アリルスルファニルメチル-6-(2-フルオロフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
6-(2-フルオロフェニル)-2,2-ジメチル-4-フェネチルスルファニルメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
4-アリルスルファニルメチル-6-ビフェニル-2-イル-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
6-ビフェニル-2-イル-2,2-ジメチル-4-フェネチルスルファニルメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
チオ酢酸S-[6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン-4-イルメチル]エステル;
6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-4-(1-フェネチルスルファニルエチル)-1,2-ジヒドロキノリン;
4-(1-アリルスルファニルエチル)-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
2,2-ジメチル-6-(2-メチルスルファニルフェニル)-4-フェネチルスルファニルメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
4-アリルスルファニルメチル-6-(2,5-ジメトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
6-(2,5-ジメトキシフェニル)-2,2-ジメチル-4-フェネチルスルファニルメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-4-(1-フェネチルオキシエチル)-1,2-ジヒドロキノリン;
4-(1-アリルオキシエチル)-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
6-ベンゾ[1,3]ジオキソl-5-イル-2,2-ジメチル-4-フェネチルスルファニルメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
4-アリルスルファニルメチル-6-(3-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
6-(3-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-4-フェネチルスルファニルメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
4-アリルスルファニルメチル-6-(4-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
6-(4-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-4-フェネチルスルファニルメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
4-アリルスルファニルメチル-6-(3,4-ジメトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
6-(3,4-ジメトキシフェニル)-2,2-ジメチル-4-フェネチルスルファニルメチル-1,2-ジヒドロキノリン
6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-4-[1-(3-フェニルプロポキシ)エチル]-1,2-ジヒドロキノリン;
6-(2,3-ジメトキシフェニル)-2,2-ジメチル-4-フェネチルスルファニルメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
4-アリルスルファニルメチル-6-(2,3-ジメトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
4-アリルスルファニルメチル-6-(5-フルオロ-2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
6-(5-フルオロ-2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-4-フェネチルスルファニルメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
4-アリルスルファニルメチル-2,2-ジメチル-6-(2-トリフルオロメチルフェニル)-1,2-ジヒドロキノリン;
2,2-ジメチル-4-フェネチルスルファニルメチル-6-(2-トリフルオロメチルフェニル)-1,2-ジヒドロキノリン;
4-{1-[((E)-ブタ-2-エニル)オキシ]エチル}-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-4-[1-((E)-3-フェニルアリルオキシ)エチル]-1,2-ジヒドロキノリン;
4-[1-(2-シクロヘキシルエトキシ)エチル]-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
4-(1-シクロヘキシルメトキシエチル)-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
2-クロロ-3-(2,2-ジメチル-4-フェネチルスルファニルメチル-1,2-ジヒドロキノリン-6-イル)フェノール;
3-(4-アリルスルファニルメチル-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン-6-イル)-2-クロロフェノール;
6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-4-{1-[((E)-ペンタ-2-エニル)オキシ]エチル}-1,2-ジヒドロキノリン;
4-{1-[2-(2-クロロフェニル)エトキシ]エチル}-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
4-アリルスルファニルメチル-6-(5-イソプロピル-2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
6-(5-イソプロピル-2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-4-フェネチルスルファニルメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-4-[1-(3-メチルブタ-2-エニルオキシ)エチル]-1,2-ジヒドロキノリン;
4-(1-アリルオキシエチル)-6-(5-フルオロ-2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
6-(5-フルオロ-2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-4-(1-フェネチルオキシエチル)-1,2-ジヒドロキノリン;
4-{1-[2-(3-クロロフェニル)エトキシ]エチル}-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
6-(5-フルオロ-2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-4-(1-フェネチルオキシエチル)-1,2-ジヒドロキノリン;
4-{1-[2-(4-クロロフェニル)エトキシ]エチル}-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
4-{1-[2-(2-ブロモフェニル)エトキシ]エチル}-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
4-{1-[2-(3-ブロモフェニル)エトキシ]エチル}-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-4-[1-(1-メチルアリルオキシ)エチル]-1,2-ジヒドロキノリン;
4-(1-アリルオキシプロピル)-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
4-(1-アリルオキシブチル)-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
4-(1-アリルオキシ-3-フェニルプロピル)-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
4-(1-アリルオキシブタ-3-エニル)-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
4-(1-アリルオキシ-2-フェニルエチル)-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
4-(1-アリルオキシ-2-メチルプロピル)-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
4-(アリルオキシフェニルメチル)-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
アリル-{1-[6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン-4-イル]エチル}アミン;
アリル-{1-[6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン-4-イル]エチル}メチルアミン;及び
4-(1-アリルオキシエチル)-6-(5-フルオロ-2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
から選択される請求項1に記載の化合物、
又はその互変異性体、プロドラッグ、溶媒和化合物、若しくは塩。
【請求項8】
以下の化合物:
4-アリルスルファニルメチル-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
4-シクロペンチルスルファニルメチル-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
4-(フラン-3-イルメチルスルファニルメチル)-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-4-プロピルスルファニルメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-4-フェニルスルファニルメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-4-フェネチルスルファニルメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-4-(2-メチルブチルスルファニルメチル)-1,2-ジヒドロキノリン;
4-シクロヘキシルスルファニルメチル-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-4-(3-メチルブチルスルファニルメチル)-1,2-ジヒドロキノリン;
6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-4-(1-フェネチルスルファニルエチル)-1,2-ジヒドロキノリン;
4-(1-アリルスルファニルエチル)-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-4-(1-フェネチルオキシエチル)-1,2-ジヒドロキノリン;
4-(1-アリルオキシエチル)-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
6-ベンゾ[1,3]ジオキソl-5-イル-2,2-ジメチル-4-フェネチルスルファニルメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
6-(3-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-4-フェネチルスルファニルメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-4-[1-(3-フェニルプロポキシ)エチル]-1,2-ジヒドロキノリン;
4-アリルスルファニルメチル-6-(5-フルオロ-2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
6-(5-フルオロ-2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-4-フェネチルスルファニルメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
4-{1-[((E)-ブタ-2-エニル)オキシ]エチル}-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-4-[1-((E)-3-フェニルアリルオキシ)エチル]-1,2-ジヒドロキノリン;
4-[1-(2-シクロヘキシルエトキシ)エチル]-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
4-(1-シクロヘキシルメトキシエチル)-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
2-クロロ-3-(2,2-ジメチル-4-フェネチルスルファニルメチル-1,2-ジヒドロキノリン-6-イル)フェノール;
3-(4-アリルスルファニルメチル-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン-6-イル)-2-クロロフェノール;
6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-4-{1-[((E)-ペンタ-2-エニル)オキシ]エチル}-1,2-ジヒドロキノリン;
6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-4-[1-(3-メチルブタ-2-エニルオキシ)エチル]-1,2-ジヒドロキノリン;
4-(1-アリルオキシエチル)-6-(5-フルオロ-2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
6-(5-フルオロ-2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-4-(1-フェネチルオキシエチル)-1,2-ジヒドロキノリン;
4-{1-[2-(3-クロロフェニル)エトキシ]エチル}-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
6-(5-フルオロ-2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-4-(1-フェネチルオキシエチル)-1,2-ジヒドロキノリン;
4-{1-[2-(4-クロロフェニル)エトキシ]エチル}-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
4-{1-[2-(2-ブロモフェニル)エトキシ]エチル}-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
4-{1-[2-(3-ブロモフェニル)エトキシ]エチル}-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-4-[1-(1-メチルアリルオキシ)エチル]-1,2-ジヒドロキノリン;
4-(1-アリルオキシプロピル)-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
4-(1-アリルオキシ-2-メチルプロピル)-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン;及び
4-(1-アリルオキシエチル)-6-(5-フルオロ-2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
から選択される請求項1に記載の化合物、
又はその互変異性体、プロドラッグ、溶媒和化合物、若しくは塩。
【請求項9】
以下の化合物:
6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-4-フェネチルスルファニルメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-4-(1-フェネチルスルファニルエチル)-1,2-ジヒドロキノリン;
4-(1-アリルスルファニルエチル)-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
4-(1-アリルオキシエチル)-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
4-アリルスルファニルメチル-6-(5-フルオロ-2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
6-(5-フルオロ-2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-4-フェネチルスルファニルメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
4-{1-[((E)-ブタ-2-エニル)オキシ]エチル}-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
2-クロロ-3-(2,2-ジメチル-4-フェネチルスルファニルメチル-1,2-ジヒドロキノリン-6-イル)フェノール;
3-(4-アリルスルファニルメチル-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン-6-イル)-2-クロロフェノール;
4-(1-アリルオキシエチル)-6-(5-フルオロ-2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
6-(5-フルオロ-2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-4-(1-フェネチルオキシエチル)-1,2-ジヒドロキノリン;
6-(5-フルオロ-2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-4-(1-フェネチルオキシエチル)-1,2-ジヒドロキノリン;
4-{1-[2-(4-クロロフェニル)エトキシ]エチル}-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
4-{1-[2-(2-ブロモフェニル)エトキシ]エチル}-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
4-{1-[2-(3-ブロモフェニル)エトキシ]エチル}-6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
6-(2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-4-[1-(1-メチルアリルオキシ)エチル]-1,2-ジヒドロキノリン;及び
4-(1-アリルオキシエチル)-6-(5-フルオロ-2-メトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1,2-ジヒドロキノリン;
から選択される請求項1に記載の化合物、
又はその互変異性体、プロドラッグ、溶媒和化合物、若しくは塩。
【請求項10】
有効な量の、請求項1〜9のいずれか1項に記載の化合物、又はその互変異性体、プロドラッグ、溶媒和化合物、若しくは塩と、薬学的に許容しうる賦形剤又は担体とを含んでなる医薬組成物。
【請求項11】
有効な量の、請求項1〜9のいずれか1項に記載の薬学的に許容しうる化合物、又はその互変異性体、プロドラッグ、溶媒和化合物、若しくは塩を含む、グルココルチコイド受容体機能を調節するための医薬組成物。
【請求項12】
有効な量の、請求項1〜9のいずれか1項に記載の薬学的に許容しうる化合物、又はその互変異性体、プロドラッグ、溶媒和化合物、若しくは塩を含む、グルココルチコイド受容体機能によって媒介される病気状態又は状況の治療のための医薬組成物。
【請求項13】
有効な量の、請求項1〜9のいずれか1項に記載の薬学的に許容しうる化合物、又はその互変異性体、プロドラッグ、溶媒和化合物、若しくは塩を含む、II型糖尿病、肥満症、循環器病、高血圧症、動脈硬化症、神経疾患、副腎及び下垂体腫瘍、及び緑内障から選択される病気状態又は状況の治療のための医薬組成物。
【請求項14】
有効な量の、請求項1〜9のいずれか1項に記載の薬学的に許容しうる化合物、又はその互変異性体、プロドラッグ、溶媒和化合物、若しくは塩を含む、炎症、アレルギー、又は増殖プロセスを特徴とする病気の治療のための医薬組成物。
【請求項15】
前記病気が、(i)肺疾患、(ii)リウマチ性疾患/自己免疫疾患/関節疾患、(iii)アレルギー疾患、(iv)脈管炎疾患、(v)皮膚疾患、(vi)腎臓病、(vii)肝臓病、(viii)胃腸疾患、(ix)肛門病、(x)眼病、(xi)耳、鼻、及び咽喉(ENT)領域の病気、(xii)神経疾患、(xiii)血液疾患、(xiv)腫瘍病、(xv)内分泌疾患、(xvi)臓器及び組織移植並びに移植片対宿主病、(xvii)重症状態のショック、(xviii)交換療法、及び(xix)炎症起源の疼痛から選択される、請求項14に記載の医薬組成物。
【請求項16】
前記病気が、I型糖尿病、骨関節炎、ギヤン-バレー症候群、経皮経管冠動脈形成術後再狭窄、アルツハイマー病、急性及び慢性の疼痛、アテローム性動脈硬化症、再灌流傷害、骨吸収疾患、うっ血性心不全、心筋梗塞、熱傷害、外傷続発性多臓器傷害、急性化膿性髄膜炎、壊死性全腸炎、及び血液透析、白血球交換療法、顆粒球輸血に付随する症候群から選択される、請求項14に記載の医薬組成物。
【請求項17】
試料中のグルココルチコイド受容体機能のインビトロ診断決定用キットであって、
(a)診断的に有効な量の請求項1に記載の化合物又はその互変異性体、プロドラッグ、溶媒和化合物、若しくは塩;及び
(b)該診断キットの使用説明書
を含んでなるキット。
【請求項18】
下記式(I)の化合物:
【化2】

(式中、R3、R4、R5、R6、X、Y、及びnは、請求項1で定義したとおりであり、かつR1及びR2は、それぞれメチルである)の製造方法であって、以下の工程:
適切な塩基の存在下、下記式(VII)の化合物を求核試薬R34XHm(式中、XHmはNH2、SH、又はOHである)と反応させて式(I)の化合物を形成する工程を含む方法。
【化3】

【請求項19】
下記式(I)の化合物:










【化4】

(式中、R3、R4、R5、R6、X、Y、及びnは、請求項1で定義したとおりであり、かつR1及びR2は、それぞれメチルである)の製造方法であって、以下の工程:
(a)適切なパラジウム触媒と塩基の存在下、下記式(II)の4-ハロニトロベンゼン又は4-ニトロアリールトリフラートを下記式(III)のアリールホウ素酸と反応させて下記式(IV)のビアリール化合物を形成する工程;
【化5】

(b)式(IV)のビアリール化合物のニトロ基を適切な還元剤で還元して下記式(V)の化合物を形成する工程;
【化6】

(c)ヨウ素の存在下、式(V)の化合物をアセトンと反応させて下記式(VI)の化合物を形成する工程;
【化7】

(d)式(VI)の化合物を適切な臭素化剤と反応させて下記式(VII)の化合物を形成する工程;




【化8】

(e)適切な塩基の存在下、式(VII)の化合物を求核試薬R34XHm(式中、XHmはNH2、SH、又はOHである)と反応させて下記式(I)の化合物を形成する工程;
【化9】

を含む方法。

【公表番号】特表2006−504678(P2006−504678A)
【公表日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−530985(P2004−530985)
【出願日】平成15年8月12日(2003.8.12)
【国際出願番号】PCT/US2003/025094
【国際公開番号】WO2004/018429
【国際公開日】平成16年3月4日(2004.3.4)
【出願人】(500091335)ベーリンガー インゲルハイム ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド (55)
【Fターム(参考)】