説明

ケチミン組成物及びエポキシ樹脂組成物

【課題】多種多様なケチミンをウレタン変性することが出来る方法によるケチミン組成物を提供し、さらに内部硬化性を向上させた硬化性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】下記式(1)


で表される1級アミン化合物と、下記式(2)


で表されるケトン化合物とを反応させて得られる、前記1級アミン化合物のケチミン化率が80%以上である反応生成物に対して、ポリオール化合物とポリイソシアネート化合物との反応により得られる分子鎖末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーを反応して得られるケチミン化合物とウレタン変性されたケチミン化合物を含有する組成物。該ケチミン組成物とエポキシ樹脂からなる硬化性樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウレタン変性されたケチミン組成物、及び該ケチミン組成物を含むエポキシ樹脂組成物に関する。本発明はまた、内部硬化性(深部硬化性)に優れる常温硬化型硬質1液エポキシ樹脂組成物に関する。このエポキシ樹脂組成物は湿気硬化型の各種処理剤(接着剤、コーティング剤等)として有用である。ここで、本発明における「ケチミン組成物」とは、1級アミン化合物の含有する全ての1級アミノ基がケチミン化されたケチミン化合物と、一部のケチミン化されずに残った1級アミノ基がウレタン変性されたウレタン変性ケチミン化合物で構成され、潜在性硬化剤としての作用を有するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ケチミン化合物のウレタン変性は末端が水酸基もしくは2級アミノ基を有するものと限定があり、使用できるケチミンの構造に限界があった(特許文献1、2参照)。また1級アミノ基を有するケチミン化合物のウレタン変性については、ケチミン化率が80%以下のケチミンをウレタンプレポリマーに添加した場合は、ゲル化が進行し、液状で保持することが非常に困難であるため、別々に調製した1級アミノ基を有するケチミンと、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーとを使用時に混合して、そのまま硬化させる2液型とする方法は知られているが(特許文献3参照)、1液型については知られていない。
【0003】
また一方、従来の湿気硬化型樹脂組成物は空気中の水分で硬化が開始するために、樹脂内部が硬化しにくいという問題があった。そこで、内部硬化性を改善するために水を添加するという方法がとられていた。しかし、この方法は、水が樹脂中に分散しにくく、均一な硬化が進行しにくい、また、水が樹脂中に残った場合は、物性の低下が著しいという問題点が存在する。
【0004】
【特許文献1】特公平7−107039号公報
【特許文献2】特開2001−302769号公報
【特許文献3】特開2003−113217号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、本発明の目的は多種多様な構造を有するケチミン組成物と、該ケチミン組成物を含むエポキシ樹脂組成物を提供することにある。本発明の他の目的はまた、内部硬化性に優れる常温硬化型のエポキシ樹脂組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、1級アミンとケトンとを反応させて得られる前記ケチミン化合物のケチミン化率が一定値以上である反応生成物であって、1級アミノ基を有しないケチミンと、1級アミノ基を有するケチミン化合物及び/又は未反応1級アミンとを含む反応生成物に対して、特定構造の末端イソシアネート基を有するウレタンプレポリマーを反応させると、1級アミノ基を有するケチミンでありながら、ウレタンプレポリマーのイソシアネート基とマイルドに反応しゲル化を起こさないこと、そのため多種多様な構造を有するウレタン変性されたケチミン化合物が容易にかつ効率よく得られることを見いだし、本発明を完成させた。更に、特定のポリオール化合物とイソシアネート化合物から合成される末端イソシアネート基を有するウレタンプレポリマーを反応させて得られるケチミン組成物を含むエポキシ樹脂組成物は、水の添加無しに内部硬化性(深部硬化性)を向上させることが出来ることを見いだし、本発明を完成させた。
【0007】
すなわち、本発明は、下記式(1)
下記式(1)
【化1】

(式中、R1は有機基、nは2以上の整数を示す)
で表される1級アミン化合物Aと、下記式(2)
【化2】

(式中、R2、R3は、それぞれ有機基を示す。R2及びR3は互いに結合して、隣接する炭素原子とともに環を形成してもよい)
で表されるケトン化合物Bとを反応させて得られる、前記1級アミン化合物Aのケチミン化率が80%以上である反応生成物であって、下記式(3)
【化3】

(式中、R1、R2、R3、nは前記に同じ。R2及びR3は互いに結合して、隣接する炭素原子とともに環を形成してもよい)
で表されるケチミン化合物C、及び下記式(4)
【化4】

(式中、k及びmはそれぞれ1以上の整数を示し、k+m=nである。R1、R2、R3、nは前記に同じ。R2及びR3は互いに結合して、隣接する炭素原子とともに環を形成してもよい)
で表される1級アミノ基を有するケチミン化合物Dと未反応の前記1級アミン化合物Aの少なくとも何れかを含む反応生成物に対して、下記式(5)
【化5】

(式中、R4は少なくともヘテロ原子を含む多価の有機基、pは2以上の整数を示す)
で表されるポリオール化合物Eと下記式(6)
【化6】

(式中、R5は有機基、qは2以上の整数を示す)
で表されるポリイソシアネート化合物Fとの反応により得られる分子鎖末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーGを反応して得られる、ケチミン化合物Cとウレタン変性されたケチミン化合物を含有するケチミン組成物を提供する。
【0008】
前記1級アミノ基を有するケチミン化合物D及び未反応の1級アミン化合物Aの有する1級アミノ基の総量1モルに対して、イソシアネート基が1〜5モルとなる割合でウレタンプレポリマーGを反応させるのが好ましい。
【0009】
ポリイソシアネート化合物Fとしては、非芳香族ポリイソシアネート化合物が好ましく、特にイソホロンジイソシアネートが好ましい。
【0010】
1級アミン化合物Aのケチミン化率は90〜99.5%の範囲が好ましい。
【0011】
ケトン化合物BにおけるR2、R3はともに炭素数2以上の炭化水素基であるのが好ましく、特にR2、R3がともにエチル基であるのが好ましい。
【0012】
ポリオール化合物Eとしては、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール及びポリカーボネートポリオールからなる群より選択された少なくとも1種のポリオール化合物が好ましい。さらにポリオール化合物Eがオキシエチレン単位を5〜40質量%含むポリエーテルポリオールが好ましく、さらにポリオール化合物Eがポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールとの共重合体が好ましく、さらにポリオール化合物Eがポリエチレングリコール/ポリプロピレングリコール/ポリエチレングリコールのブロック共重合体が好ましい。
【0013】
本発明のケチミン組成物には、前記ケチミン組成物中でアクリル系単量体を重合して得られるアクリル系共重合体含有ケチミン組成物も含まれる。アクリル系単量体としては、特に、反応性シリル基を含有するアクリル系単量体を用いることが好ましい。
【0014】
本発明は、また、上記ケチミン組成物とエポキシ樹脂とで構成されたエポキシ樹脂組成物を提供する。このエポキシ樹脂組成物は、さらに脱水剤を含んでいてもよい。脱水剤としてはシラン化合物が好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明のケチミン組成物は、多官能アミンを高ケチミン化率でケチミン化し、全官能基がケチミン化されたケチミン化合物を溶媒とすることで、1級アミノ基を有するケチミン化合物及び/又は未反応1級アミンに含まれる1級アミノ基とイソシアネート基の反応をマイルドに進行させることにより、ゲル化することなくウレタン変性ケチミン化合物を得ることが出来る。そのため、多種多様なケチミン組成物を提供することが出来る。また、ヘテロ原子を含む有機基を構造単位として含有するウレタンプレポリマーを反応させるので、ケチミン組成物が親水性を有するようになり、このようなケチミン組成物を含むエポキシ樹脂組成物を硬化させる際には、皮膜表面から内部へ水分が通過しやすくなり、水の添加無しに内部硬化性を向上させることが出来る。また、本発明のエポキシ樹脂組成物によれば、強靱性に優れた樹脂(硬化物)を得ることが出来る。さらにアクリル系重合体含有ウレタン化ケチミン組成物を硬化させることにより、柔軟性、耐候性に優れた樹脂(硬化物)を得ることが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
[ケチミン組成物]
本発明のケチミン組成物は、前記式(1)で表される1級アミン化合物Aと、式(2)で表されるケトン化合物Bとを反応させて得られる、前記1級アミン化合物Aのケチミン化率が80%以上である反応生成物であって、式(3)で表されるケチミン化合物Cを含有し、且つ、式(4)で表される1級アミノ基を有するケチミン化合物Dと未反応の前記1級アミン化合物Aの少なくとも何れかを含有する反応生成物に対して、式(5)で表されるポリオール化合物Eと式(6)で表されるポリイソシアネート化合物Fとの反応により得られる分子鎖末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーGを反応させて得られる組成物である。
【0017】
[1級アミン化合物A]
式(1)で表される1級アミン化合物Aにおいて、式(1)中のR1は有機基を示す。有機基には、多価の炭化水素基、式中に示される窒素原子との結合部位に炭素原子を有する多価の複素環式基、これらが2以上結合した基などが含まれる。
【0018】
多価の炭化水素基としては、多価の脂肪族炭化水素基、多価の脂環式炭化水素基、多価の芳香族炭化水素基の他、これらの多価の炭化水素基が組み合わされた多価の基(「多価の複合炭化水素基」と称する場合がある)などが挙げられる。多価の脂肪族炭化水素基としては、アルキレン基などの2価の脂肪族炭化水素基を用いることができる。アルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基等の直鎖状のアルキレン基の他、分岐鎖又は置換基を有するアルキレン基(例えば、プロピレン基など)などが挙げられる。
【0019】
多価の脂環式炭化水素基としては、単環式炭化水素環を有する多価の脂環式炭化水素基であってもよく、多環式炭化水素環を有する多価の脂環式炭化水素基であってもよい。多価の脂環式炭化水素基としては、2価の脂環式炭化水素基を好適に用いることができる。なお、前記単環式炭化水素環としては、例えば、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロヘプタン環、シクロオクタン環などの環を構成する炭素数が5〜10程度のシクロアルカン環が挙げられる。また、多環式炭化水素環としては、例えば、橋かけ環などが挙げられる。該橋かけ環としては、例えば、二環式炭化水素環(例えば、ピナン、ピネン、ボルナン、ノルボルナン、ノルボルネン、ビシクロ[3.2.1]オクタン、ビシクロ[4.3.2]ウンデカンなどにおける炭化水素環など)、三環式炭化水素環(例えば、アダマンタン、エキソトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、エンドトリシクロ[5.2.1.02,6]デカンなどにおける炭化水素環など)、四環式炭化水素環(例えば、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカンなどにおける炭化水素環など)などが例示できる。このような橋かけ環としては、環を構成する炭素数が6〜16程度(特に炭素数6〜14程度)の二環式ないし四環式炭化水素環(例えば、ピナン、ボルナン、ノルボルナン、ノルボルネン、アダマンタンなどにおける炭化水素環など)を好適に用いることができる。
【0020】
具体的には、シクロヘキサン環を有する2価の脂環式炭化水素基としては、例えば、1,2−シクロヘキシレン基、1,3−シクロヘキシレン基、1,4−シクロヘキシレン基などのシクロアルキレン基が挙げられる。また、ノルボルナン環を有する2価の脂環式炭化水素基としては、例えば、ノルボルナン−2,3−ジイル、ノルボルナン−2,5−ジイル、ノルボルナン−2,6−ジイルなどのノルボルナン−ジイル基などが挙げられる。
【0021】
多価の芳香族炭化水素基としては、アリレン基(arylene group)などの2価の芳香族炭化水素基を用いることができる。アリレン基としては、例えば、フェニレン基(例えば、1,2−フェニレン基、1,3−フェニレン基、1,4−フェニレン基など)などのベンゼン環を有する2価の芳香族炭化水素基や、ナフチレン基などのナフタレン環を有する2価の芳香族炭化水素基などが挙げられる。なお、多価の芳香族炭化水素基における芳香族性環としては、ベンゼン環やナフタレン環の他、アズレン、インダセン、アントラセン、フェナントレン、トリフェニレン、ピレンなどの2〜10個の4〜7員炭素環が縮合した縮合炭素環なども挙げられる。
【0022】
さらにまた、これらの多価の炭化水素基が組み合わされた多価の基(多価の複合炭化水素基)としては、例えば、2価の脂肪族炭化水素基(アルキレン基など)、単環式炭化水素環又は多環式炭化水素環を有する2価の脂環式炭化水素基(シクロアルキレン基やノルボルナン−ジイル基など)、ベンゼン環又は縮合炭素環を有する2価の芳香族炭化水素基(フェニレン基やナフチレン基など)が適宜組み合わされた2価の基(2価の複合炭化水素基)を好適に用いることができる。2価の複合炭化水素基としては、例えば、アルキレン−フェニレン基、アルキレン−フェニレン−アルキレン基などの脂肪族炭化水素基と芳香族炭化水素基とが組み合わされた2価の複合炭化水素基;アルキレン−シクロアルキレン基、アルキレン−シクロアルキレン−アルキレン基、アルキレン−ノルボルナン−ジイル基、アルキレン−ノルボルナン−ジイル−アルキレン基などの脂肪族炭化水素基と脂環式炭化水素基とが組み合わされた2価の複合炭化水素基などが挙げられる。これらの多価の複合炭化水素基が組み合わされた基において、アルキレン部位、フェニレン部位、シクロアルキレン部位、ノルボルナン−ジイル部位としては、前記例示のアルキレン基、フェニレン基、シクロアルキレン基、ノルボルナン−ジイル基などを用いることができる。
【0023】
具体的には、多価の複合炭化水素基としては、例えば、メチレン−1,3−フェニレン−メチレン(m−キシリレン)基、メチレン−1,3−シクロヘキシレン−メチレン基、メチレン−ノルボルナン−2,5−ジイル−メチレン基、メチレン−ノルボルナン−2,6−ジイル−メチレン基や、これらの基においてメチレン部位が他のアルキレン部位(例えば、エチレン部位、トリメチレン部位、プロピレン部位など)となっている基などが挙げられる。
【0024】
多価の複素環式基としては、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子からなる群より選択された少なくとも1種のヘテロ原子を含む単環又は多環の芳香族性又は非芳香族性の複素環を有し、且つ式中に示される窒素原子との結合部位に炭素原子を有する多価の複素環式基が挙げられる。
【0025】
上記の多価の炭化水素基や複素環式基は置換基(例えば、炭化水素基など)を有していてもよく、該置換基としては、エポキシ樹脂等のアミン反応性化合物との反応性を有しておらず、また、ケチミン化合物の加水分解性や、ケチミン化合物の加水分解により生成したアミン化合物とエポキシ樹脂等のアミン反応性化合物との反応性を損なわないものであることが重要である。
【0026】
前記R1の有機基としては、多価の炭化水素基が好ましく、特に、多価の脂肪族炭化水素基、多価の脂環式炭化水素基、又はこれらが組み合わされた多価の基が好ましい。
【0027】
また、前記式(1)中のnは2以上の整数を示す。すなわち、1級アミン化合物Aは多価のアミン(ポリアミン)である。nとしては2以上の整数であれば特に制限されないが、例えば2〜10(好ましくは2〜4、さらに好ましくは2〜3、特に好ましくは2)の整数から選択することができる。
【0028】
1級アミン化合物Aには、脂肪族ポリアミン、脂環式ポリアミン、芳香族ポリアミン、芳香脂肪族ポリアミン、複素環式ポリアミンなどが含まれる。脂肪族ポリアミンとしては、例えば、エチレンジアミン、1,3−トリメチレンジアミン、1,4−テトラメチレンジアミン、1,3−ペンタメチレンジアミン、1,5−ペンタメチレンジアミン、1,6−ヘキサメチレンジアミン、1,2−プロピレンジアミン、1,2−ブチレンジアミン、2,3−ブチレンジアミン、1,3−ブチレンジアミン、2−メチル−1,5−ペンタメチレンジアミン、3−メチル−1,5−ペンタメチレンジアミン、2,4,4−トリメチル−1,6−ヘキサメチレンジアミン、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサメチレンジアミン等の脂肪族ジアミンの他、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミンなどが挙げられる。また、脂肪族ポリアミンとして、ポリオキシアルキレン骨格を有するジアミンなどのポリオキシアルキレン骨格を有するポリアミンを用いることもできる。
【0029】
脂環式ポリアミンとしては、例えば、1,3−シクロペンタンジアミン、1,4−シクロヘキサンジアミン、1,3−シクロヘキサンジアミン、1−アミノ−3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン、1−アミノ−1−メチル−4−アミノメチルシクロヘキサン、1−アミノ−1−メチル−3−アミノメチルシクロヘキサン、4,4´−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)、4,4´−メチレンビス(3−メチル−シクロヘキシルアミン)、メチル−2,3−シクロヘキサンジアミン、メチル−2,4−シクロヘキサンジアミン、メチル−2,6−シクロヘキサンジアミン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、イソホロンジアミン、ノルボルナンジアミン{例えば、2,5−ビス(アミノメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、2,6−ビス(アミノメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタンなど}等の脂環式ジアミンなどが挙げられる。
【0030】
芳香族ポリアミンとしては、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、2,4−トリレンジアミン、2,6−トリレンジアミン、ナフチレン−1,4−ジアミン、ナフチレン−1,5−ジアミン、4,4´−ジフェニルジアミン、4,4´−ジフェニルメタンジアミン、2,4´−ジフェニルメタンジアミン、4,4´−ジフェニルエ−テルジアミン、2−ニトロジフェニル−4,4´−ジアミン、2,2´−ジフェニルプロパン−4,4´−ジアミン、3,3´−ジメチルジフェニルメタン−4,4´−ジアミン、4,4´−ジフェニルプロパンジアミン、3,3´−ジメトキシジフェニル−4,4´−ジアミン等の芳香族ジアミンなどが挙げられる。
【0031】
芳香脂肪族ポリアミンとしては、例えば、1,3−キシリレンジアミン、1,4−キシリレンジアミン、α,α,α´,α´−テトラメチル−1,3−キシリレンジアミン、α,α,α´,α´−テトラメチル−1,4−キシリレンジアミン、ω,ω´−ジアミノ−1,4−ジエチルベンゼン、1,3−ビス(1−アミノ−1−メチルエチル)ベンゼン、1,4−ビス(1−アミノ−1−メチルエチル)ベンゼン、1,3−ビス(α,α−ジメチルアミノメチル)ベンゼン等の芳香脂肪族ジアミンなどが挙げられる。
【0032】
1級アミン化合物Aとしては、脂肪族ポリアミン、脂環式ポリアミン、芳香脂肪族ポリアミンが好ましく、なかでも脂環式ポリアミンが特に好ましい。1級アミン化合物Aは単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
【0033】
[ケトン化合物B]
式(2)中のR2、R3は、それぞれ有機基を示す。該有機基には、炭化水素基、式中に示されるカルボニル基との結合部位に炭素原子を有する複素環式基、これらが2以上結合した基などが含まれる。
【0034】
炭化水素基としては、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基などが挙げられる。脂肪族炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、s−ブチル基、n−ペンチル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基、2,2−ジメチルプロピル基、ヘキシル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、4−メチルペンチル基、2,2−ジメチルブチル基、2,3−ジメチルブチル基、3,3−ジメチルブチル基、ヘプチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、オクタデシル基等の炭素数1〜20程度のアルキル基などが挙げられる。アルキル基としては、炭素数が2以上(例えば、2〜6)のアルキル基が好ましく、さらに好ましくは炭素数が2〜4のアルキル基である。本発明では、R2、R3のアルキル基としては、特に炭素数が2又は3のアルキル基が好適であり、なかでもエチル基が最適である。
【0035】
また、脂環式炭化水素基としては、例えば、シクロヘキシル基などの環を構成する炭素数が5〜10程度のシクロアルキル基の他、多環式炭化水素環(例えば、ノルボルナンにおける炭化水素環等の橋かけ環など)を有する基などが挙げられる。
【0036】
芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル基やナフチル基などのアリール基などが挙げられる。なお、芳香族炭化水素基における芳香族性環としては、ベンゼン環や縮合炭素環(例えば、ナフタレン環等の2〜10個の4〜7員炭素環が縮合した縮合炭素環など)が挙げられる。
【0037】
複素環式基としては、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子からなる群より選択された少なくとも1種のヘテロ原子を含む単環又は多環の芳香族性又は非芳香族性の複素環を有し、且つ式中に示される窒素原子との結合部位に炭素原子を有する複素環式基が挙げられる。
【0038】
上記の炭化水素基や複素環式基は置換基(例えば、炭化水素基など)を有していてもよく、該置換基としては、エポキシ樹脂等のアミン反応性化合物との反応性を有しておらず、また、ケチミン化合物の加水分解性や、ケチミン化合物の加水分解により生成したアミン化合物とエポキシ樹脂等のアミン反応性化合物との反応性を損なわないものであることが重要である。
【0039】
前記R2及びR3は互いに結合して、隣接する炭素原子とともに環を形成していてもよい。このような環としては、シクロプロパン環、シクロブタン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロオクタン環、シクロデカン環、シクロドデカン環等の3〜15員程度のシクロアルカン環などが挙げられる。これらの中でも、シクロペンタン環、シクロヘキサン環が好ましい。
【0040】
2、R3としては、少なくとも一方が炭素数2以上(例えば2〜6)の炭化水素基(例えば、脂肪族炭化水素基、とりわけアルキル基)であることが好ましく、この場合、他方は炭素数1〜6の炭化水素基(例えば、脂肪族炭化水素基、とりわけアルキル基)であるのが望ましい。特に、R2、R3がともに炭素数2以上(例えば2〜6)の炭化水素基(特に、脂肪族炭化水素基、とりわけアルキル基)である場合には、エポキシ樹脂組成物等の調製に用いた場合、ケチミン化合物の加水分解速度、すなわちアミン化合物の生成速度が速く、エポキシ樹脂等のアミン反応性化合物との反応による架橋構造の形成速度も速く、優れた速硬化性、初期密着性が発揮されるため、好ましい。本発明では、R2、R3がともにエチル基であるのが最も好ましい。
【0041】
ケトン化合物Bの代表的な例として、例えば、ジメチルケトン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルt−ブチルケトン、メチルs−ブチルケトン、ジエチルケトン、エチルプロピルケトン、エチルイソプロピルケトン、エチルブチルケトン、エチルイソブチルケトン、エチルt−ブチルケトン、エチルs−ブチルケトン、エチルペンチルケトン、エチルヘキシルケトン、エチルヘプチルケトン、エチルオクチルケトン、エチル2−エチルヘキシルケトン、ジプロピルケトン、プロピルイソプロピルケトン、プロピルブチルケトン、プロピルイソブチルケトン、プロピルt−ブチルケトン、プロピルs−ブチルケトン、プロピルペンチルケトン、プロピルヘキシルケトン、プロピルヘプチルケトン、プロピルオクチルケトン、プロピル2−エチルヘキシルケトン、ジイソプロピルケトン、ジブチルケトン、ジイソブチルケトン、ジt−ブチルケトン、ジs−ブチルケトン、ジペンチルケトン、ジヘキシルケトン等の脂肪族ケトン(例えば、C1-20アルキル−C1-20アルキルケトン);シクロペンタノン、シクロヘキサノン等の環状ケトンなどが挙げられる。
【0042】
ケトン化合物Bは単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
【0043】
[1級アミン化合物Aとケトン化合物Bとの反応生成物]
本発明における1級アミン化合物Aとケトン化合物Bとの反応生成物(以下、「反応生成物H」と称することがある)において、1級アミン化合物Aのケチミン化率は80%以上である。反応により前記ケチミン化率を80%以上としてもよいが、反応後に精製等によりケチミン化率を80%以上に調整することもできる。前記ケチミン化率は、好ましくは90〜95%である。ケチミン化率が80%未満であると、ゲル化若しくは高粘度化する傾向にあり好ましくない。なお、ケチミン化率は後述の方法により求めることができる。
【0044】
1級アミン化合物Aとケトン化合物Bとの反応は、特に限定されず、公知の方法を採用できる。例えば、1級アミン化合物Aとケトン化合物Bとを無溶剤下、または非極性溶剤(例えば、ヘキサン、シクロヘキサン、トルエン、ベンゼンなど)の存在下で混合し、その後、加熱還流し、必要に応じて生成する水を共沸により除去することにより行うことができる。なお、反応速度を速くするため、必要に応じて、酸触媒などの触媒を用いてもよく、また系内に脱水剤を存在させてもよい。脱水剤は、ある程度反応が進行して反応速度が遅くなった時点で系内に添加するのが、経済的等の観点から好ましい。
【0045】
前記脱水剤としては、反応を阻害しない脱水剤であれば特に限定されず、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン等のアルコキシシラン化合物;ビニルトリメトキシシラン等のビニル基含有アルコキシシラン化合物;テトラメトキシシランのオリゴマー等のシリコーン系オリゴマー;ヘキサメチルジシラザン等のシラザン化合物;テトラブトキシチタン等のアルコキシチタン化合物などが挙げられる。脱水剤としては、アミンに対して反応性を有しない、液状のものが好ましい。
【0046】
この反応においては、1級アミン化合物A及びケトン化合物Bのうちいずれか一方の成分(特に、ケトン化合物B)が過剰に用いられていてもよい。反応温度は、用いる1級アミン化合物A及びケトン化合物Bの種類によっても異なるが、通常、50〜200℃、好ましくは100〜160℃である。反応終了後、残存するケトン化合物B、用いた溶媒、1級アミン化合物Aは蒸留等により除去することができる。
【0047】
1級アミン化合物Aのケチミン化率は、1級アミン化合物Aとケトン化合物Bの仕込みモル比、反応温度、反応時間、触媒や脱水剤の種類や添加量などにより制御できる。また、反応後の精製によりケチミン化率を調整してもよい。精製方法については従来公知の方法を採用できる。
【0048】
こうして得られる反応生成物は、主生成物である式(3)で表されるアミノ基を有しないケチミン化合物Cとともに、式(4)で表される1級アミノ基を有するケチミン化合物D及び未反応の1級アミン化合物Aのうち少なくとも一方を含んでいる。
【0049】
[ウレタンプレポリマーG]
本発明におけるウレタンプレポリマーGは、式(5)で表されるポリオール化合物Eと式(6)で表されるポリイソシアネート化合物Fとの反応により得られる分子鎖末端にイソシアネート基を有する化合物である。
【0050】
式(5)で表されるポリオール化合物Eにおいて、R4は少なくともヘテロ原子を含む多価の有機基、pは2以上の整数を示す。ヘテロ原子としては、窒素原子、酸素原子、イオウ原子などが挙げられる。少なくともヘテロ原子を含む多価の有機基としては、たとえば、多価の炭化水素基と、エーテル基(−O−)、チオエーテル基(−S−)、アミノ基(−NR'−)、カルボニル基(−CO−)などのヘテロ原子含有基との組み合わせからなる多価の有機基が挙げられる。前記R’は、水素原子、アルキル基、または、アミノ基の保護基を示す。前記多価の炭化水素基としては、飽和又は不飽和の直鎖状又は分岐鎖状の多価の脂肪族炭化水素基(アルキレン基、アルケニレン基、アルカントリイル基、アルケントリイル基など)、多価の脂環式炭化水素基(1,2−シクロペンチレン基、1,3−シクロペンチレン基、1,2−シクロヘキシレン基、1,3−シクロヘキシレン基、1,4−シクロヘキシレン基などのシクロアルキレン基;シクロヘキシリデン基等のシクロアルキリデン基;ノルボルナン−2,3−ジイル基、ノルボルナン−2,5−ジイル基、ノルボルナン−2,6−ジイル基などの多価の橋かけ環式炭化水素基)、多価の芳香族炭化水素基(1,2−フェニレン基、1,3−フェニレン基、1,4−フェニレン基等のフェニレン基などのアリレン基など)、これらが2以上結合した多価の炭化水素基が挙げられる。
【0051】
前記pは2以上の整数であれば特に制限されないが、好ましくは2〜6、さらに好ましくは2〜4であり、特に好ましくは2である。
【0052】
好ましいポリオール化合物Eとしては、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール及びポリカーボネートポリオールからなる群より選択された少なくとも1種のポリオール化合物が好ましい。さらに好ましくはポリオール化合物Eがオキシエチレン単位を5〜40重量%含むポリエーテルポリオール、さらに好ましくはポリオール化合物Eがポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールとの共重合体、さらに好ましくはポリオール化合物Eがポリエチレングリコール/ポリプロピレングリコール/ポリエチレングリコールのブロック共重合体である。
【0053】
ポリオール化合物Eが、ポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールの共重合体である場合、その組成はポリエチレングリコール/ポリプロピレングリコール質量%比が例えば、0/100〜100/0、好ましくは5/95〜80/20、さらに好ましくは40/60である。また、ポリオール化合物Eの組成はポリエチレングリコール/ポリプロピレングリコールのランダム共重合体に比べポリエチレングリコール/ポリプロピレングリコール/ポリエチレングリコールのブロック共重合体である方が好ましい
【0054】
ポリオール化合物Eの重量平均分子量は、たとえば、500〜10000、好ましくは、1000〜5000である。この平均分子量が500未満では、柔軟性を付与する効果が低くなり、粘度が高くなる傾向にある。また一方、10000を超えると、プレポリマー合成に多量の触媒を添加する必要が生じ、物性が低下する傾向にある。
【0055】
ポリオール化合物Eは単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
【0056】
式(6)で表されるポリイソシアネート化合物Fにおいて、R5は有機基、qは2以上の整数を示す。有機基としては、前記のR1における有機基と同様のものが挙げられる。すなわち、有機基には、多価の炭化水素基、式中に示される窒素原子との結合部位に炭素原子を有する多価の複素環式基、これらが2以上結合した基などが含まれる。
【0057】
5の有機基としては、多価の炭化水素基が好ましく、特に、多価の脂肪族炭化水素基、多価の脂環式炭化水素基、又はこれらが組み合わされた多価の基が好ましい。
【0058】
また、前記式(6)中のqは2以上の整数を示す。すなわち、ポリイソシアネート化合物Fは多価のイソシアネート化合物である。qとしては2以上の整数であれば特に制限されないが、好ましくは2〜6、さらに好ましくは2〜4であり、特に好ましくは2である。
【0059】
ポリイソシアネート化合物Fには、例えば、脂肪族ポリイソシアネート、脂環式ポリイソシアネート、芳香族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネートなどが含まれる。ポリイソシアネート化合物Fは単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
【0060】
脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、1,3−トリメチレンジイソシアネート、1,4−テトラメチレンジイソシアネ−ト、1,3−ペンタメチレンジイソシアネート、1,5−ペンタメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネ−ト、1,2−プロピレンジイソシアネート、1,2−ブチレンジイソシアネート、2,3−ブチレンジイソシアネート、1,3−ブチレンジイソシアネート、2−メチル−1,5−ペンタメチレンジイソシアネート、3−メチル−1,5−ペンタメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチル−1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、2,6−ジイソシアネートメチルカプロエート、リジンジイソシアネ−ト等の脂肪族ジイソシアネートなどが挙げられる。
【0061】
脂環式ポリイソシアネートとしては、例えば、1,3−シクロペンタンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、1,3−シクロヘキサンジイソシアネート、3−イソシアネートメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート、4,4´−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、メチル−2,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2,6−シクロヘキサンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、イソホロンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート等の脂環式ジイソシアネートなどが挙げられる。
【0062】
芳香族ポリイソシアネートとしては、例えば、m−フェニレンジイソシアネ−ト、p−フェニレンジイソシアネ−ト、2,4−トリレンジイソシアネ−ト、2,6−トリレンジイソシアネ−ト、ナフチレン−1,4−ジイソシアネ−ト、ナフチレン−1,5−ジイソシアネ−ト、4,4´−ジフェニルジイソシアネ−ト、4,4´−ジフェニルメタンジイソシアネ−ト、2,4´−ジフェニルメタンジイソシアネ−ト、4,4´−ジフェニルエ−テルジイソシアネ−ト、2−ニトロジフェニル−4,4´−ジイソシアネ−ト、2,2´−ジフェニルプロパン−4,4´−ジイソシアネ−ト、3,3´−ジメチルジフェニルメタン−4,4´−ジイソシネ−ト、4,4´−ジフェニルプロパンジイソシアネ−ト、3,3´−ジメトキシジフェニル−4,4´−ジイソシアネ−ト等の芳香族ジイソシアネートなどが挙げられる。
【0063】
芳香脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、1,3−キシリレンジイソシアネ−ト、1,4−キシリレンジイソシアネ−ト、ω,ω´−ジイソシアネート−1,4−ジエチルベンゼン、1,3−ビス(1−イソシアネート−1−メチルエチル)ベンゼン、1,4−ビス(1−イソシアネート−1−メチルエチル)ベンゼン、1,3−ビス(α,α−ジメチルイソシアネートメチル)ベンゼン等の芳香脂肪族ジイソシアネートなどが挙げられる。
【0064】
ポリイソシアネート化合物Fとしては、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネ−ト、4,4´−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、イソホロンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネ−ト、2,6−トリレンジイソシアネ−ト、4,4´−ジフェニルメタンジイソシアネ−ト、1,3−キシリレンジイソシアネ−ト、1,4−キシリレンジイソシアネ−ト、ノルボルナンジイソシアネート、1,3−ビス(α,α−ジメチルイソシアネートメチル)ベンゼンを好適に用いることができる。特に、ポリイソシアネート化合物Fとして、非芳香族ポリイソシアネート(脂肪族ポリイソシアネート、脂環式ポリイソシアネート)を用いると、変色の少ない樹脂を得ることができる。ポリイソシアネート化合物Fとしては、脂環式ポリイソシアネートが好ましく、なかでもイソホロンジイソシアネートが特に好ましい。
【0065】
なお、本発明では、ポリイソシアネート化合物Fとしては、前記例示の脂肪族ポリイソシアネ−ト、脂環式ポリイソシアネ−ト、芳香族ポリイソシアネ−ト、芳香脂肪族ポリイソシアネ−トによる二量体や三量体、反応生成物又は重合物(例えば、ジフェニルメタンジイソシアネートの二量体や三量体、トリメチロールプロパンとトリレンジイソシアネートとの反応生成物、トリメチロールプロパンとヘキサメチレンジイソシアネートとの反応生成物、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート、ポリエーテルポリイソシアネート、ポリエステルポリイソシアネートなど)なども用いることができる。
【0066】
ポリオール化合物Eとポリイソシアネート化合物Fとの反応方法は特に限定されず、公知の方法を採用できる。例えば、ポリオール化合物Eとポリイソシアネート化合物Fとを、溶媒下又は無溶媒下で混合することにより、分子鎖末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーGを得ることができる。
【0067】
反応に際しては、重合触媒を用いることができる。重合触媒としては、ポリオール化合物とポリイソシアネート化合物とを反応させる際に用いられる公知乃至慣用の重合触媒(硬化触媒)を用いることができる。より具体的には、重合触媒として、有機錫化合物、金属錯体、アミン化合物などの塩基性化合物、有機燐酸化合物などが挙げられる。
【0068】
ポリイソシアネート化合物Fとポリオール化合物Eとを反応させる際の両成分のモル比は、例えば、NCO/OH(モル比)として、1.2〜3、好ましくは1.4〜2.8、さらに好ましくは1.5〜2.5程度である。NCO/OH(モル比)が1.2未満の場合には、ウレタンプレポリマーGの分子量が大きくなるため、ゲル化及び高粘度化しやすくなる。また、NCO/OH(モル比)が3を超えると、残存するポリイソシアネート化合物が多くなるので、1級アミノ基とポリイソシアネートの反応が急激に進行し、ゲル化しやすくなる、もしくは、高粘度となる可能性がある。反応温度は、例えば60〜100℃、好ましくは70〜85℃である。
【0069】
ウレタンプレポリマーG中のイソシアネート基(NCO)含有量は、例えば、0.3〜10質量%、好ましくは1〜8質量%、さらに好ましくは1.5〜5質量%程度である。
【0070】
本発明のケチミン組成物は、前記反応生成物Hと、前記分子鎖末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーGとを反応させることにより得られる。
【0071】
反応生成物HとウレタンプレポリマーGとの反応方法は特に限定されず、イソシアネート反応性化合物(例えば、ポリオールやポリアミン等)と末端イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーとを反応させる際に用いられる公知の方法を採用できる。例えば、反応生成物HとウレタンプレポリマーGとを、溶媒下又は無溶媒下で混合することにより、本発明のケチミン組成物を得ることができる。
【0072】
分子鎖末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーGと反応生成物Hとを反応させる際の両成分のモル比は、例えば、(ウレタンプレポリマーG中のNCO)/(反応生成物H中のNH2)(モル比)として、0.0001〜5、好ましくは0.005〜4、さらに好ましくは0.01〜3程度である。また、分子鎖末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーGの使用量としては、反応生成物H中のケチミン化合物Cと1級アミノ基を有するケチミン化合物Dと1級アミン化合物Aの総量100質量部に対して、0.1〜300質量部、好ましくは0.5〜200質量部、さらに好ましくは1〜100質量部である。ウレタンプレポリマーGの量が少なすぎると、末端の1級アミノ基がイソシアネート基で封鎖されず、潜在性硬化剤として樹脂に配合した際の安定性を低下させる。逆にウレタンプレポリマーGの量が多すぎると、柔軟性を示すウレタンの含有量が高くなり、物性が低下する。反応温度は、例えば0〜100℃、好ましくは30〜70℃である。
【0073】
[アクリル系重合体含有ケチミン組成物]
本発明のケチミン組成物には、上記のケチミン組成物中でアクリル系単量体を重合して得られるアクリル系重合体含有ケチミン組成物も含まれる。このような組成物は、ケチミン組成物中でアクリル系単量体を重合するので、別途アクリル系重合体を調製してケチミンと混合して得られる組成物と比較して、アクリル系重合体を調製する際に用いた溶剤を除去する工程を必要としないという利点を有する。また、上記のケチミン組成物中には1級アミン化合物がほとんど含まれていないので(1級アミンはウレタンプレポリマーのイソシアネート基と反応している)、1級アミンの連鎖移動作用による重合阻害が生じず、円滑に重合が進行する。ケチミン組成物中のアクリル系重合体は、例えばエポキシ樹脂等のアミン反応性化合物が硬化成分(樹脂成分)として使用されている硬化性組成物の物性を改善する作用を有する。
【0074】
アクリル系単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸エステルなどが挙げられる。該(メタ)アクリル酸エステルには、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステル、(メタ)アクリル酸アリールエステルなどが含まれる。前記(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシルなどの(メタ)アクリル酸C1−20アルキルエステル[好ましくは(メタ)アクリル酸C1−12アルキルエステル、さらに好ましくは(メタ)アクリル酸C1−8アルキルエステル]などが挙げられる。(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステルには、例えば、(メタ)アクリル酸シクロヘキシルなどが含まれる。(メタ)アクリル酸アリールエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸フェニルエステルなどが挙げられる。
【0075】
また、アクリル系単量体として、反応性シリル基を有するアクリル系単量体を用いることもできる。反応性シリル基を有するアクリル系単量体を用いると、例えばエポキシ樹脂組成物を調製する場合、得られるアクリル系重合体とエポキシ樹脂との相溶性が向上するため好ましい。該反応性シリル基を有するアクリル系単量体として、(メタ)アクリロイルオキシメチル−トリメトキシシラン、(メタ)アクリロイルオキシメチル−トリエトキシシラン、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−トリメトキシシラン、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−トリエトキシシラン、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−トリプロポキシシラン、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−トリイソプロポキシシシラン、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−トリブトキシシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−トリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−トリエトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−トリプロポキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−トリイソプロポキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−トリブトキシシラン等の(メタ)アクリロイルオキシアルキル−トリアルコキシシラン;(メタ)アクリロイルオキシメチル−メチルジメトキシシラン、(メタ)アクリロイルオキシメチル−メチルジエトキシシラン、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−メチルジメトキシシラン、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−メチルジエトキシシラン、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−メチルジプロポキシシラン、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−メチルジイソプロポキシシラン、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−メチルジブトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−メチルジメトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−メチルジエトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−メチルジプロポキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−メチルジイソプロポキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−メチルジブトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−エチルジメトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−エチルジエトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−エチルジプロポキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−エチルジイソプロポキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−エチルジブトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−プロピルジメトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−プロピルジエトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−プロピルジプロポキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−プロピルジイソプロポキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−プロピルジブトキシシラン等の(メタ)アクリロイルオキシアルキル−アルキルジアルコキシシランや、これらに対応する(メタ)アクリロイルオキシアルキル−ジアルキル(モノ)アルコキシシランなどが挙げられる。アクリル系単量体は単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。例えば、前記(メタ)アクリル酸アルキルエステルと反応性シリル基を有するアクリル系単量体とをアクリル系単量体として用いることができる。
【0076】
本発明では、アクリル系単量体とともにアクリル系単量体と共重合可能な共重合性単量体を用いることもできる。共重合性単量体としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸の他、カルボキシアルキル(メタ)アクリレート(カルボキシエチルアクリレート等)などのカルボキシル基含有単量体;無水マレイン酸、無水イコタン酸などの酸無水物基含有単量体;(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシオクチルなどのヒドロキシル基含有単量体;(メタ)アクリル酸グリシジルなどのエポキシ基含有単量体;(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸t−ブチルアミノエチルなどのアミノ基含有単量体;アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのシアノ基含有単量体;スチレン、α−メチルスチレンなどのスチレン系単量体;エチレン、プロピレン、イソプレン、ブタジエン、イソブチレンなどのオレフィン系単量体;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル類;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテルなどのビニルエーテル類;(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチルなどの(メタ)アクリル酸アルコキシアルキル系単量体;(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メチロールプロパン(メタ)アクリルアミドなどの(N−置換)アクリルアミド系単量体;N−ビニルカルボン酸アミド類;N−ビニルカプロラクタムなどのN−ビニルラクタム類;N−ビニルピリジン、N−ビニルピリミジン、N−ビニルピラジン、N−ビニルピロール、N−ビニルイミダゾール、N−ビニルピロリドン、N−(1−メチルビニル)ピロリドン、N−ビニルピペリドン、N−ビニルピペラジン、N−ビニルオキサゾール、N−ビニルモルホリンなどの複素環含有ビニル系単量体;(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸ポリプロピレングリコール、(メタ)アクリル酸メトキシエチレングリコール、(メタ)アクリル酸メトキシポリプロピレングリコールなどの(メタ)アクリル酸アルキレングリコール系単量体;スチレンスルホン酸、アリルスルホン酸などのスルホン酸基含有ビニル系単量体;2−ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェートなどのリン酸基含有ビニル系単量体;塩化ビニルなどのハロゲン原子含有ビニル系単量体の他、下記に具体例が示されている珪素原子含有基を有する重合性不飽和単量体などが含まれる。
【0077】
また、共重合性単量体としては、例えば、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレート、ジビニルベンゼン、ブチルジ(メタ)アクリレート、ヘキシルジ(メタ)アクリレートなどの各種の多官能系単量体も適宜選択して用いることができる。
【0078】
前記珪素原子含有基を有する重合性不飽和単量体としては、ビニル基が直接反応性シリル基における珪素原子に結合している化合物、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリプロポキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリブトキシシラン等のビニルトリアルコキシシラン;ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、ビニルメチルジプロポキシシラン、ビニルメチルジイソプロポキシシラン、ビニルメチルジブトキシシラン、ビニルエチルジメトキシシラン、ビニルエチルジエトキシシラン、ビニルエチルジプロポキシシラン、ビニルエチルジイソプロポキシシラン、ビニルエチルジブトキシシラン、ビニルプロピルジメトキシシラン、ビニルプロピルジエトキシシラン、ビニルプロピルジプロポキシシラン、ビニルプロピルジイソプロポキシシラン、ビニルプロピルジブトキシシラン等の(ビニル)アルキルジアルコキシシランや、これらに対応する(ビニル)ジアルキル(モノ)アルコキシシランなどが挙げられる。
【0079】
また、前記珪素原子含有基を有する重合性不飽和単量体として、ビニル基がアルキレン基を介して反応性シリル基における珪素原子に結合している化合物、例えば、ビニルメチルトリメトキシシラン、ビニルメチルトリエトキシシラン、β−ビニルエチルトリメトキシシラン、β−ビニルエチルトリエトキシシラン、β−ビニルエチルトリプロポキシシラン、β−ビニルエチルトリイソプロポキシシラン、β−ビニルエチルトリブトキシシラン、γ−ビニルプロピルトリメトキシシラン、γ−ビニルプロピルトリエトキシシラン、γ−ビニルプロピルトリプロポキシシラン、γ−ビニルプロピルトリイソプロポキシシラン、γ−ビニルプロピルトリブトキシシラン等のビニルアルキルトリアルコキシシラン;β−ビニルエチルメチルジメトキシシラン、β−ビニルエチルメチルジエトキシシラン、γ−ビニルプロピルメチルジメトキシシラン、γ−ビニルプロピルメチルジエトキシシラン、γ−ビニルプロピルメチルジプロポキシシラン、γ−ビニルプロピルメチルジイソプロポキシシラン、γ−ビニルプロピルメチルジブトキシシラン、γ−ビニルプロピルエチルジメトキシシラン、γ−ビニルプロピルエチルジエトキシシラン、γ−ビニルプロピルエチルジプロポキシシラン、γ−ビニルプロピルエチルジイソプロポキシシラン、γ−ビニルプロピルエチルジブトキシシラン等の(ビニルアルキル)アルキルジアルコキシシランや、これらに対応する(ビニルアルキル)ジアルキル(モノ)アルコキシシランなどを使用することもできる。
【0080】
ケチミン組成物中でアクリル系単量体を重合させる方法としては特に制限はなく、例えば、必要に応じて溶媒を加えたケチミン組成物中にアクリル系単量体を滴下して重合させる方法、適宜な溶媒中にケチミン組成物とアクリル系単量体とを滴下して重合させる方法などの何れであってもよい。
【0081】
アクリル系単量体の使用量は、例えば、反応生成物HとウレタンプレポリマーGとの反応物(溶媒、希釈剤を除く)100質量部に対して、1〜100質量部、好ましくは、5〜80質量部程度である。
【0082】
重合には、公知乃至慣用の重合開始剤を用いることができる。このような重合開始剤としては、例えば、2,2´−アゾビスイソブチロニトリル、2,2´−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2´−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2´−アゾビス(2−メチル−4−トリメトキシシリルペントニトリル)、2,2´−アゾビス(2−メチル−4−メチルジメトキシシリルペントニトリル)等のアゾ化合物系重合開始剤、ベンゾイルパーオキシド、t−アルキルパーオキシエステル、アセチルパーオキシド、ジイソプロピルパーオキシカーボネート等の過酸化物系重合開始剤などが挙げられる。
【0083】
また、前記重合の際には、安定性に影響を及ぼさない範囲で、連鎖移動剤、希釈剤等の添加剤などが含まれていてもよい。なお、前記希釈剤としては、ケチミン組成物調製時に用いるケトン化合物Bなどが挙げられる。該希釈剤は、重合の途中や重合後に除去することができる。重合温度としては、アクリル系単量体および重合開始剤の種類などに応じて適宜選択することができるが、通常、20〜200℃、好ましくは50〜150℃程度である。
【0084】
本発明においては、前記のようにケチミン化率が80%以上である反応生成物に対してウレタンプレポリマーを反応させるので、全官能基(カルボニル基)がケチミン化された化合物が溶媒として機能し、残存1級アミノ基とイソシアネート基の反応がマイルドに進行しウレタン化できるので、ゲル化することなくウレタン変性ケチミンを得ることが出来る。また、得られたケチミン組成物は、ヘテロ原子を含む有機基を有するポリオール化合物(たとえば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール及びポリカーボネートポリオールからなる群より選択された少なくとも1種のポリオール化合物)から誘導される化合物を含むので、該ケチミン組成物を含有する硬化性樹脂組成物を硬化させる際、水分が内部に浸透しやすくなるため、内部硬化性を向上させることが出来る。本発明によって、得られたケチミン組成物を各樹脂と反応させることで硬化物に強靱性を付与することが出来る。従って、本発明のケチミン組成物は、エポキシ樹脂組成物等の硬化性樹脂組成物の原料として好適に使用できる。
【0085】
[エポキシ樹脂組成物]
本発明のエポキシ樹脂組成物は、上記のケチミン組成物とエポキシ樹脂とで構成されている。
【0086】
エポキシ樹脂としては、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂やこれらの誘導体(例えば、水添化物や臭素化物など)、ノボラック型エポキシ樹脂(例えば、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂など)、グリシジルエステル型エポキシ樹脂の他、ウレタン結合を有するウレタン変性エポキシ樹脂、含窒素エポキシ樹脂(例えば、メタキシレンジアミンやヒダントイン等のアミンのエポキシ化物、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタンやトリグリシジルパラアミノフェノール等のグリシジルアミン型エポキシ樹脂など)、ゴム変性エポキシ樹脂(例えば、ゴム成分としてポリブタジエン等の合成ゴムや天然ゴムを含有するエポキシ樹脂など)、環状脂肪族型エポキシ樹脂、長鎖脂肪族型エポキシ樹脂などが挙げられる。
【0087】
本発明のエポキシ樹脂組成物は、ケチミン組成物及びエポキシ樹脂のほか、脱水剤、硬化触媒を含んでいてもよい。
【0088】
脱水剤としては、脱水作用を有し且つ使用時の硬化性を損なわないものであれば特に制限はなく、例えば水に対して反応性を有するシラン化合物が挙げられる。該シラン化合物としては、例えば、テトラメトキシシラン、トリメトキシメチルシラン、ジメトキシジメチルシラン、メトキシトリメチルシラン、テトラエトキシシラン、トリエトキシメチルシラン、ジエトキシジメチルシラン、エトキシトリメチルシラン等のアルコキシシラン化合物;ビニルトリメトキシシラン、ビニルジメトキシメチルシラン、ビニルメトキシジメチルシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルジエトキシメチルシラン、ビニルエトキシジメチルシラン等のビニル基含有アルコキシシラン化合物;β−グリシドキシエチルトリメトキシシラン、β−グリシドキシエチルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリプロポキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリイソプロポキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリブトキシシラン等のグリシドキシアルキルトリアルコキシシランや、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルエチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルエチルジエトキシシラン等のグリシドキシアルキルアルキルジアルコキシシランの他、これらに対応するグリシドキシアルキルジアルキルアルコキシシラン等のエポキシ基を有するシラン化合物;ポリテトラメトキシシラン、ポリテトラエトキシシラン、ポリテトラプロポキシシラン、ポリテトライソプロポキシシラン、ポリテトラブトキシシラン等のポリテトラアルコキシシラン、ポリ(メトキシエトキシシラン)等のポリ(アルコキシアルコキシシラン)、ポリ(メトキシシラン)、ポリ(エトキシシラン)、ポリ(プロポキシシラン)、ポリ(イソプロポキシシラン)、ポリ(ブトキシシラン)等のポリ(アルコキシシラン)、ポリ(メトキシメチルシラン)、ポリ(メトキシエチルシラン)、ポリ(エトキシメチルシラン)等のポリ(アルコキシアルキルシラン)などのポリマータイプのシラン化合物;イソシアネート基を含有するシラン化合物、アミノ基を含有するシラン化合物などが挙げられる。
【0089】
シラン化合物として、特に、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン(エチルシリケート)等のアルコキシシラン化合物;グリシドキシアルキルトリアルコキシシラン、グリシドキシアルキルアルキルジアルコキシシランやグリシドキシアルキルジアルキルアルコキシシラン等のエポキシ基を有するシラン化合物などが好適である。これらの中でもテトラエトキシシラン(エチルシリケート)が特に好ましい。なお、シラン化合物はケチミン化合物の安定化剤としての機能や、反応性希釈剤としての機能をも有する。
【0090】
なお、エポキシ樹脂による反応に際して、ケチミンの加水分解により生成するアミン化合物は、該アミン化合物とエポキシ樹脂との反応における反応成分であるとともに、触媒としての機能も有している。
【0091】
硬化触媒としては、例えば、ポリオルガノシロキサンの硬化触媒として公知の硬化触媒などを用いることができる。具体的には、硬化触媒としては、例えば、スズ系硬化触媒[ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズビス(アセチルアセトネート)等のアルキルスズ系化合物など]、チタン系硬化触媒、鉄系硬化触媒、ジルコニウム系硬化触媒、ビスマス系硬化触媒、ホウ素系硬化触媒などが挙げられる。硬化触媒としては、スズ系硬化触媒、チタン系硬化触媒が好ましく、特にスズ系硬化触媒が好適である。硬化触媒は、単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。なお、前記硬化触媒とともに、酸触媒(例えば、蟻酸、酢酸、モノクロロ酢酸、プロピオン酸、酪酸、マレイン酸、シュウ酸、クエン酸等の有機酸;塩酸、硝酸、リン酸、硫酸等の無機酸など)や、窒素原子含有触媒[例えば、トリエタノールアミン等の有機アミン;N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン等のアミノアルキルシラン;オルガノシリコン第4アンモニウム塩等の第4アンモニウム塩など]などの各種触媒や、助触媒などが用いられていてもよい。このような硬化触媒などの触媒や助触媒は、エポキシ樹脂組成物を調製する際に、系内に添加することにより用いられていてもよく、また、エポキシ樹脂組成物の調製前で、ケチミン組成物の調製時などに、予め、系内に添加することにより用いられていてもよい。
【0092】
本発明のエポキシ樹脂組成物は、例えば、前記のケチミン組成物とエポキシ樹脂、及び必要に応じて、脱水剤、硬化触媒、その他の添加剤等を混合することにより調製できる。各成分の混合は、不活性ガス雰囲気下(例えば窒素雰囲気下)及び/又は減圧下で行うことが好ましい。また、添加剤等に含まれる水分を除去するため、加熱や減圧等により脱水を行いながら、混合してもよい。
【0093】
なお、ケチミン組成物とエポキシ樹脂とは、予め混合された状態で利用してもよく、使用時に、ケチミン組成物とエポキシ樹脂とを混合して利用してもよい。すなわち、本発明のエポキシ樹脂組成物は1液型であってもよく、2液型であってもよい。なお、本発明のエポキシ樹脂組成物は貯蔵安定性に優れるので、1液型として好適に使用できる。
【0094】
1液型エポキシ樹脂組成物とは、エポキシ樹脂(ポリマー硬化成分:主剤)とケチミン化合物(硬化剤)とが1つの容器に入れられた状態(混合状態)で、実質的に販売可能なものを意味し、室温で長期間貯蔵(又は保管)されても、ゲル化や硬化がほとんど又は全く生じず、実質的に初期状態(初期の分散状態)を長期間保持することができるものを意味している。従って、1液型エポキシ樹脂組成物は、そのまま所定部位に塗布することにより用いることができる。なお、貯蔵に係る長期間とは、例えば、6ヶ月以上、1年以上、1年6ヶ月以上など適宜選択可能であるが、少なくとも6ヶ月以上であることが好ましい。
【0095】
一方、2液型エポキシ樹脂組成物とは、エポキシ樹脂(ポリマー硬化成分:主剤)とケチミン化合物(硬化剤)又は助剤等の他の成分とが、それぞれ異なる容器に入れられている状態で販売され、使用する際にこれらを混合し、この混合物を所定の部位に塗布して使用されるものを意味している。従って、2液型エポキシ樹脂組成物は、基本的には、使用する際に2液を混合して1液とするが、1液にすると硬化又はゲル化が生じるため実質的な貯蔵安定性がなく、1液型としての販売は実質的に不可能である。なお、1液型として利用可能なエポキシ樹脂組成物を、2液型エポキシ樹脂組成物として、エポキシ樹脂(ポリマー硬化成分:主剤)と、ケチミン化合物(硬化剤)又は助剤等の他の成分とを、それぞれ異なる容器に入れた状態で販売することは可能である。
【0096】
本発明のエポキシ樹脂組成物において、エポキシ樹脂の使用量としては、エポキシ樹脂の種類やケチミン化合物の種類等に応じて適宜設定できる。エポキシ樹脂のエポキシ基1モルに対して、ケチミン化合物の加水分解により生成するアミン化合物のアミノ基は0.5モルの割合で反応することが可能である。従って、この場合、エポキシ樹脂とケチミン化合物との配合割合としては、例えば、(ケチミン化合物の加水分解により生成するアミン化合物のアミノ基のモル数)/(エポキシ樹脂におけるエポキシ基のモル数)が0.25〜1.0(好ましくは0.4〜0.6)となるような割合の範囲から選択するのが好ましい。
【0097】
また、エポキシ樹脂組成物中に脱水剤(シラン化合物等)が含まれている場合、脱水剤の割合としては、特に制限されず、脱水剤の種類、ケチミン化合物やエポキシ樹脂等の種類などに応じて適宜選択することができる。脱水剤(シラン化合物等)の割合は、例えば、エポキシ樹脂100質量部に対して50質量部以下(例えば、1〜50質量部、好ましくは5〜45質量部、さらに好ましくは10〜40質量部)程度の範囲から選択することができる。
【0098】
なお、硬化触媒を用いる場合、硬化触媒の使用量としては、特に制限されないが、例えば、エポキシ樹脂100質量部に対して0.001〜10質量部(好ましくは0.01〜5質量部、さらに好ましくは0.1〜2質量部)の範囲から選択することができる。
【0099】
本発明では、エポキシ樹脂組成物には、添加剤[例えば、充填剤(炭酸カルシウム、カオリン、クレー、タルク、シリカや珪砂など)、可塑剤、顔料(酸化チタン、カーボンブラックなど)、染料、老化防止剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、帯電防止剤、難燃剤、接着付与剤、分散剤、揺変剤(又はチクソトロピー付与剤、例えば、ヒュームドシリカ、アマイドワックス、植物油誘導体、ヒィブリル化繊維など)、反応性希釈剤、増量剤、改質剤、ポリマー粉(例えば、アクリル系ポリマー粉など)など]の他、他の潜在性硬化剤(例えば、他のケチミン系化合物、アルジミン系化合物、オキサゾリジン系化合物など)や粘度調整剤(例えば、ケトン類、芳香族炭化水素類、脂肪族炭化水素等の溶剤など)などが含まれていてもよい。また、エポキシ樹脂組成物には、接着性や付着性を損なわない範囲で、例えば、変性シリコーン、ウレタンプレポリマー、シリル基末端ウレタンポリマー、シリル基を有し且つ主鎖がポリオキシアルキレン骨格を有しているポリマー、カルボン酸ビニルエステル系化合物などが添加されていてもよい。また、これらの配合割合は、公知乃至慣用の割合の中から適宜選択することができる。
【0100】
また、本発明のエポキシ樹脂組成物は、ウレタンで変性されたケチミン組成物を用いているので、従来のケチミンを用いたエポキシ樹脂組成物と比較して、強靱性等の物性が改善された硬化物を得ることができる。また、本発明のエポキシ樹脂組成物は、1液型の硬化性組成物として、貯蔵安定性が極めて優れている。そして、1液型の硬化性組成物が一旦容器から取り出されると、空気中の湿気によって、ケチミン化合物の加水分解が生じてアミン化合物が生成し、該アミン化合物がエポキシ樹脂と反応して架橋構造が形成されて硬化が進行し、優れた機械的強度及び接着性が発現される。しかも、ケチミン化合物を選択することにより、空気中の湿気による加水分解速度を速くすることができるので、エポキシ樹脂の硬化速度も速くなり、接着性を極めて迅速に発現させ、しかも優れた機械的強度を発現させることが可能である。このように、本発明のエポキシ樹脂組成物は、実質的に1液型の硬化性組成物として利用することができ、接着剤やコーティング剤等として利用する際には、優れた初期密着性(初期接着性や初期付着性など)を発揮させることができる。また、2液型の硬化性組成物としても、同様に優れた初期密着性(初期接着性や初期付着性など)を発揮させることができる。
【0101】
本発明のエポキシ樹脂組成物(硬化性組成物)は、接着剤[例えば、自動車内装用接着剤、各種車両用接着剤(例えば、電車等の車両に用いられる接着剤)、建築内装工事用接着剤、建材用接着剤、電気・電子部品用接着剤、家具用接着剤、家庭用接着剤など]、コーティング剤[例えば、塗料(例えば、コンクリート用塗料、金属用塗料、木材用塗料、タイル用塗料、プラスチック用塗料、重防食塗料など)、トップコート剤、フロアポリッシュなど]、アンダーコート剤(下塗り剤)の他、バインダ(例えば、インキ、顔料プリント、セラミック材料、不織布、繊維収束剤、ゴム、木粉等におけるバインダ)、シーリング材、封止材(シーラー)、ポッティング材、パテ材、プライマー材、ラミネート材、サイジング剤等として用いることができる。
【0102】
本発明のエポキシ樹脂組成物(1液型又は2液型の硬化性組成物)は、前述のように、幅広い用途で利用することができ、しかも、幅広い基材に対して密着性(付着性や接着性など)を発揮させることができるとともに、各種物性(柔軟性、接着性、光沢性など)を向上させることができ、各種用途において優れた作業性で用いることができる。特に、硬化触媒を用いることにより、優れた速硬化性も発揮させることができ、例えば、接着剤として用いた場合、収まり性を良好にすることができるので、接着に際しての養生や仮押さえに要する時間が短く、被着体同士を接着させる作業性が良好であり、作業時間を大幅に短縮することができる。一方、コーティング剤として用いた場合、塗布層(塗膜)の形成に際しての養生に要する時間が短く、この場合も、被塗布体に塗布層を形成させる作業性が良好であり、作業時間を大幅に短縮することができる。
【0103】
なお、エポキシ樹脂組成物を接着剤として利用する場合は、被着体(適用基材)としては、両被着体はそれぞれ多孔質、非多孔質のいずれであってもよいが、少なくとも一方が多孔質であることが好ましい。このような被着体としては、同一の素材からなる被着体同士であってもよく、異なる素材からなる被着体であってもよい。また、硬化性組成物をコーティング剤として利用する場合は、塗布層を形成させる被塗布体(適用基材)は、特に制限されず、多孔質、非多孔質のいずれであってもよい。
【0104】
より具体的には、本発明のエポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂の組成物でありながら、無機材料(コンクリート等)や金属材料(アルミニウム、ステンレス等)の他、各種プラスチック材料などに対しても良好な密着性(付着性や接着性等)を発揮することができる。従って、本発明のエポキシ樹脂組成物は、種々の用途(接着や塗膜形成など)において、例えば、無機材料(例えば、コンクリート、モルタル、タイル、石など)、金属材料(例えば、アルミニウム、銅、鉄、ステンレスなど)、木質材料(例えば、木材、チップボード、パーチクルボード、ハードボード、MDFなどの木質ボード、合板など)、紙質材料(例えば、段ボール紙、板紙、クラフト紙等の紙や、紙類似物質、防湿紙等の加工紙など)、繊維材料(例えば、不織布、織布など)、革材料、ガラス材料、磁器材料、各種プラスチック材料[例えば、ポリ塩化ビニル、ポリアミド(ナイロン)、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等)、スチレン系樹脂(ポリスチレン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ブタジエン−スチレン共重合体等)、ポリウレタン、オレフィン系樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体等)、アクリル系樹脂(ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル等)、ポリカーボネート系樹脂など]、ゴム材料[例えば、天然ゴム;オレフィン系ゴム(エチレン−プロピレン共重合体ゴム、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体ゴム等)、スチレン系ゴム(スチレン−イソプレン共重合体ゴム、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体ゴム、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体ゴム等)、ポリイソプレンゴム、ポリブタジエンゴム、シリコンゴム等の合成ゴムなど]などの各種の基材に対して適用することができる。これらの基材の形状は、特に制限されず、フィルム又はシート状、板状、角柱状、円柱状などどのような形状であってもよい。また、基材が、プラスチック材料により形成されている場合は、発泡体等であってもよい。
【0105】
なお、これら基材に適用する際には、刷毛やローラー等による塗布、噴霧、浸漬等の公知乃至慣用の方法を採用することができる。また、本発明のエポキシ樹脂組成物を、基材(被着体や被塗布体など)に塗布した後は、各種乾燥条件(自然乾燥、強制乾燥等)で乾燥を行うことができる。
【実施例】
【0106】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。なお、以下、特に断りのない限り、「部」は「質量部」を、「%」は「質量%」、「ppm」は「質量ppm」を示す。
【0107】
実施例及び比較例で用いた材料は下記の通りである。
[1級アミン化合物A]
(1)ノルボルナンジアミン(商品名「NBDA」、三井化学社製;「アミン(A1)」と称する場合がある)
(2)1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン(商品名「1,3−BAC」、三菱ガス化学社製;「アミン(A2)」と称する場合がある)
(3)イソホロンジアミン(商品名「IPDA」、ピィー・ティー・アイジャパン社製;「アミン(A3)」と称する場合がある)
[ケトン化合物B]
(1)ジエチルケトン(「ケトン(B1)」と称する場合がある)
【0108】
[ポリオール化合物E]
(1)ポリプロピレングリコール(商品名「3600K」、住化バイエルウレタン社製、重量平均分子量2000;「ポリオール(E1)」と称する場合がある)
(2)ポリエチレングリコール(商品名「PEG1000」、日本油脂(株)社製、重量平均分子量1007;「ポリオール(E2)」と称する場合がある)
(3)ポリエチレングリコール(商品名「PEG2000」、日本油脂(株)社製、重量平均分子量2000;「ポリオール(E3)」と称する場合がある)
(4)ポリテトラメチレングリコールエーテル/ポリエチレングリコールランダム共重合体;ポリテトラメチレングリコールエーテル/ポリエチレングリコール質量比38/62(商品名「ポリセリンDC−1800E)、日本油脂(株)社製、重量平均分子量1715;「ポリオール(E4)」と称する場合がある)
(5)ポリエチレングリコール/ポリプロピレングリコールブロック共重合体;ポリエチレングリコール/ポリプロピレングリコール質量比40/60(商品名「プロノン#104」、日本油脂(株)社製、重量平均分子量1670;「ポリオール(E5)」と称する場合がある)
(6)ポリエチレングリコール/ポリプロピレングリコールブロック共重合体;ポリエチレングリコール/ポリプロピレングリコール質量比40/60(商品名「プロノン#204」、日本油脂(株)社製、重量平均分子量3330;「ポリオール(E6)」と称する場合がある)
(7)ポリエチレングリコール/ポリプロピレングリコールブロック共重合体;ポリエチレングリコール/ポリプロピレングリコール質量比25/75(商品名「PML−5005」、旭硝子社製、重量平均分子量3993;「ポリオール(E7)」と称する場合がある)
(8)ポリエチレングリコール/ポリプロピレングリコールブロック共重合体;ポリエチレングリコール/ポリプロピレングリコール質量比8/92(商品名「PML−5001」、旭硝子社製、重量平均分子量3978;「ポリオール(E8)」と称する場合がある)
(9)ポリエステルポリオール(商品名「eternacoll 3040」、宇部興産(株)社製、重量平均分子量3562;「ポリオール(E9)」と称する場合がある)
(10)ポリエチレングリコール/ポリプロピレングリコールランダム共重合体;ポリエチレングリコール/ポリプロピレングリコール質量比70/30(商品名「PR−3007」、ADEKA社製、重量平均分子量3108;「ポリオール(E10)」と称する場合がある)
(11)ポリカーボネートポリオール(商品名「eternacoll UH-200」、宇部興産(株)社製、重量平均分子量2000;「ポリオール(E11)」と称する場合がある)
(12)ポリテトラメチレンエーテルグリコール(商品名「PTMG2000」、三菱化学(株)社製、重量平均分子量2000;「ポリオール(E12)」と称する場合がある)
【0109】
[ポリイソシアネート化合物F]
(1)イソホロンジイソシアネート(IPDI)(商品名「デスモジュールI」、住化バイエルウレタン社製;「ポリイソシアネート(F1)」と称する場合がある)
(2)トリレンジイソシアネート(TDI)(商品名「コスモネートT−80」、三井化学ポリウレタン社製;「ポリイソシアネート(F2)」と称する場合がある)
(3)ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)(商品名「G412」、住化バイエルウレタン社製;「ポリイソシアネート(F3)」と称する場合がある)
【0110】
[1級アミン化合物のケチミン化率の測定方法]
ケチミン化合物を含む反応混合物を、トルエンに溶解させて、ガスクロマトグラフィー測定法により、1級アミノ基を有していないケチミン化合物(ケチミン化合物C)のピーク面積と、原料となる1級アミン化合物の1級アミノ基n個のうちx個がケチミン化した化合物のピーク面積Aと、ピーク面積の総和を求め、1級アミン化合物のケチミン化率(質量%)を次式を利用して算出する。
【数1】

【0111】
なお、ガスクロマトグラフィー測定における測定条件は下記の通りである。
(ガスクロマトグラフィーの測定条件)
・測定方法:FID法
・カラム温度:80℃で1分間の後、10℃/minの温度上昇比率で温度を280℃まで上昇させ、280℃で1分間の条件
・温度:280℃(Injection)、280℃(Detector)
・キャリアガス:ヘリウム(He)(流量:30ml/min)、水素(流量:30ml/min)、空気(流量:400ml/min)
【0112】
調製例1(ウレタンプレポリマーの調製)
ポリオール(E1)[ポリプロピレングリコール]300gを、100℃、減圧下(約10mmHg)で1時間撹拌して脱水処理を行った。その後、80℃まで冷却し、ポリイソシアネート(F1)(イソホロンジイソシアネート)を74.93g添加し[NCO/OH(モル比)=2.25]、さらに触媒として、スズ系触媒(商品名「スタンBL」、三共有機社製)100ppm添加し、80℃で2時間撹拌して、ウレタンプレポリマー(G1)(Mw:2444、NCO:3.44%)を得た。
【0113】
調製例2(ウレタンプレポリマーの調製)
ポリオール(E2)[ポリエチレングリコール]300gを、100℃、減圧下(約10mmHg)で1時間撹拌して脱水処理を行った。その後、80℃まで冷却し、ポリイソシアネート(F1)(イソホロンジイソシアネート)を148.81g添加し[NCO/OH(モル比)=2.25]、さらに触媒として、スズ系触媒(商品名「スタンBL」、三共有機社製)100ppm添加し、80℃で2時間撹拌して、ウレタンプレポリマー(G2)(Mw:1451、NCO:6.65%)を得た。
【0114】
調製例3(ウレタンプレポリマーの調製)
ポリオール(E3)[ポリエチレングリコール]270gを、100℃、減圧下(約10mmHg)で1時間撹拌して脱水処理を行った。その後、80℃まで冷却し、ポリイソシアネート(F1)(イソホロンジイソシアネート)を84.50g添加し[NCO/OH(モル比)=2.82]、さらに触媒として、スズ系触媒(商品名「スタンBL」、三共有機社製)100ppm添加し、80℃で2時間撹拌して、ウレタンプレポリマー(G3)(Mw:1443.3、NCO:5.82%)を得た。
【0115】
調製例4(ウレタンプレポリマーの調製)
ポリオール(E4)[ポリテトラメチレングリコールエーテル/ポリエチレングリコールランダム共重合体]300gを、100℃、減圧下(約10mmHg)で1時間撹拌して脱水処理を行った。その後、80℃まで冷却し、ポリイソシアネート(F1)(イソホロンジイソシアネート)を87.38g添加し[NCO/OH(モル比)=2.25]、さらに触媒として、スズ系触媒(商品名「スタンBL」、三共有機社製)100ppm添加し、80℃で2時間撹拌して、ウレタンプレポリマー(G4)(Mw:2159、NCO:3.80%)を得た。
【0116】
調製例5(ウレタンプレポリマーの調製)
ポリオール(E5)[ポリエチレングリコール/ポリプロピレングリコールブロック共重合体]300gを、100℃、減圧下(約10mmHg)で1時間撹拌して脱水処理を行った。その後、80℃まで冷却し、ポリイソシアネート(F1)(イソホロンジイソシアネート)を89.73g添加し[NCO/OH(モル比)=2.25]、さらに触媒として、スズ系触媒(商品名「スタンBL」、三共有機社製)100ppm添加し、80℃で2時間撹拌して、ウレタンプレポリマー(G5)(Mw:2114、NCO:3.94%)を得た。
【0117】
調製例6(ウレタンプレポリマーの調製)
ポリオール(E6)[ポリエチレングリコール/ポリプロピレングリコールブロック共重合体]300gを、100℃、減圧下(約10mmHg)で1時間撹拌して脱水処理を行った。その後、80℃まで冷却し、ポリイソシアネート(F1)(イソホロンジイソシアネート)を45.00g添加し[NCO/OH(モル比)=2.25]、さらに触媒として、スズ系触媒(商品名「スタンBL」、三共有機社製)100ppm添加し、80℃で2時間撹拌して、ウレタンプレポリマー(G6)(Mw:3774、NCO:2.23%)を得た。
【0118】
調製例7(ウレタンプレポリマーの調製)
ポリオール(E7)[ポリエチレングリコール/ポリプロピレングリコールブロック共重合体]500gを、100℃、減圧下(約10mmHg)で1時間撹拌して脱水処理を行った。その後、80℃まで冷却し、ポリイソシアネート(F1)(イソホロンジイソシアネート)を55.70g添加し[NCO/OH(モル比)=2.00]、さらに触媒として、スズ系触媒(商品名「スタンBL」、三共有機社製)100ppm添加し、80℃で2時間撹拌して、ウレタンプレポリマー(G7)(Mw:4421.1、NCO:1.90%)を得た。
【0119】
調製例8(ウレタンプレポリマーの調製)
ポリオール(E8)[ポリエチレングリコール/ポリプロピレングリコールブロック共重合体]500gを、100℃、減圧下(約10mmHg)で1時間撹拌して脱水処理を行った。その後、80℃まで冷却し、ポリイソシアネート(F1)(イソホロンジイソシアネート)を55.81g添加し[NCO/OH(モル比)=2.00]、さらに触媒として、スズ系触媒(商品名「スタンBL」、三共有機社製)100ppm添加し、80℃で2時間撹拌して、ウレタンプレポリマー(G8)(Mw:4421.1、NCO:1.90%)を得た。
【0120】
調製例9(ウレタンプレポリマーの調製)
ポリオール(E7)[ポリエチレングリコール/ポリプロピレングリコールブロック共重合体]500gを、100℃、減圧下(約10mmHg)で1時間撹拌して脱水処理を行った。その後、80℃まで冷却し、ポリイソシアネート(F1)(イソホロンジイソシアネート)を55.60g添加し[NCO/OH(モル比)=2.00]、さらに触媒として、スズ系触媒(商品名「スタンBL」、三共有機社製)100ppm添加し、80℃で2時間撹拌して、ウレタンプレポリマー(G9)(Mw:4437.0、NCO:1.89%)を得た。
【0121】
調製例10(ウレタンプレポリマーの調製)
ポリオール(E6)[ポリエチレングリコール/ポリプロピレングリコールブロック共重合体]500gを、100℃、減圧下(約10mmHg)で1時間撹拌して脱水処理を行った。その後、80℃まで冷却し、ポリイソシアネート(F1)(イソホロンジイソシアネート)を66.67g添加し[NCO/OH(モル比)=2.00]、さらに触媒として、スズ系触媒(商品名「スタンBL」、三共有機社製)100ppm添加し、80℃で2時間撹拌して、ウレタンプレポリマー(G10)(Mw:3774.0、NCO:2.23%)を得た。
【0122】
調製例11(ウレタンプレポリマーの調製)
ポリオール(E9)[ポリエステルポリオール]300gを、100℃、減圧下(約10mmHg)で1時間撹拌して脱水処理を行った。その後、80℃まで冷却し、ポリイソシアネート(F1)(イソホロンジイソシアネート)を37.39g添加し[NCO/OH(モル比)=2.00]、さらに触媒として、スズ系触媒(商品名「スタンBL」、三共有機社製)100ppm添加し、80℃で2時間撹拌して、ウレタンプレポリマー(G11)(Mw:4006、NCO:2.10%)を得た。
【0123】
調製例12(ウレタンプレポリマーの調製)
ポリオール(E7)[ポリエチレングリコール/ポリプロピレングリコールブロック共重合体]430gを、100℃、減圧下(約10mmHg)で1時間撹拌して脱水処理を行った。その後、80℃まで冷却し、ポリイソシアネート(F2)(トリレンジイソシアネート)を37.48g添加し[NCO/OH(モル比)=2.00]、さらに触媒として、スズ系触媒(商品名「スタンBL」、三共有機社製)100ppm添加し、80℃で2時間撹拌して、ウレタンプレポリマー(G12)(Mw:4341.0、NCO:1.94%)を得た。
【0124】
調製例13(ウレタンプレポリマーの調製)
ポリオール(E6)[ポリエチレングリコール/ポリプロピレングリコールブロック共重合体]500gを、100℃、減圧下(約10mmHg)で1時間撹拌して脱水処理を行った。その後、80℃まで冷却し、ポリイソシアネート(F2)(トリレンジイソシアネート)を52.25g添加し[NCO/OH(モル比)=2.00]、さらに触媒として、スズ系触媒(商品名「スタンBL」、三共有機社製)100ppm添加し、80℃で2時間撹拌して、ウレタンプレポリマー(G13)(Mw:3678.0、NCO:2.28%)を得た
【0125】
調製例14(ウレタンプレポリマーの調製)
ポリオール(E6)[ポリエチレングリコール/ポリプロピレングリコールブロック共重合体]393gを、100℃、減圧下(約10mmHg)で1時間撹拌して脱水処理を行った。その後、80℃まで冷却し、ポリイソシアネート(F3)(ジフェニルメタンジイソシアネート)を59.01g添加し[NCO/OH(モル比)=2.00]、さらに触媒として、スズ系触媒(商品名「スタンBL」、三共有機社製)100ppm添加し、80℃で2時間撹拌して、ウレタンプレポリマー(G14)(Mw:3830.0、NCO:2.19%を得た。)
【0126】
調製例15(ウレタンプレポリマーの調製)
ポリオール(E10)[ポリエチレングリコール/ポリプロピレングリコールランダム共重合体]380gを、100℃、減圧下(約10mmHg)で1時間撹拌して脱水処理を行った。その後、80℃まで冷却し、ポリイソシアネート(F1)(イソホロンジイソシアネート)を54.35g添加し[NCO/OH(モル比)=2.00]、さらに触媒として、スズ系触媒(商品名「スタンBL」、三共有機社製)100ppm添加し、80℃で2時間撹拌して、ウレタンプレポリマー(G15)(Mw:3544.3、NCO:2.37%)を得た。
【0127】
調製例16(ウレタンプレポリマーの調製)
ポリオール(E7)[ポリエチレングリコール/ポリプロピレングリコールブロック共重合体]300gを、100℃、減圧下(約10mmHg)で1時間撹拌して脱水処理を行った。その後、80℃まで冷却し、ポリイソシアネート(F1)(イソホロンジイソシアネート)を33.39g添加し[NCO/OH(モル比)=2.00]、さらに触媒として、スズ系触媒(商品名「スタンBL」、三共有機社製)100ppm添加し、80℃で2時間撹拌して、ウレタンプレポリマー(G16)(Mw:4421.0、NCO:1.90%)を得た。
【0128】
調製例17(ウレタンプレポリマーの調製)
ポリオール(E11)[ポリカーボネートポリオール]300gを、100℃、減圧下(約10mmHg)で1時間撹拌して脱水処理を行った。その後、80℃まで冷却し、ポリイソシアネート(F1)(イソホロンジイソシアネート)を66.8g添加し[NCO/OH(モル比)=2.00]、さらに触媒として、スズ系触媒(商品名「スタンBL」、三共有機社製)100ppm添加し、80℃で2時間撹拌して、ウレタンプレポリマー(G17)(Mw:2399、NCO:3.5%)を得た。
【0129】
調製例18(ウレタンプレポリマーの調製)
ポリオール(E12)[ポリテトラメチレンエーテルグリコール]300gを、100℃、減圧下(約10mmHg)で1時間撹拌して脱水処理を行った。その後、80℃まで冷却し、ポリイソシアネート(F1)(イソホロンジイソシアネート)を68.1g添加し[NCO/OH(モル比)=2.00]、さらに触媒として、スズ系触媒(商品名「スタンBL」、三共有機社製)100ppm添加し、80℃で2時間撹拌して、ウレタンプレポリマー(G17)(Mw:2399、NCO:3.5%)を得た。
【0130】
実施例1
アミン(A1)(ノルボルナンジアミン)154部、およびケトン(B1)(ジエチルケトン)129部をフラスコに入れ、生成する水を共沸により除きながら、ケトン(B1)が還流する温度(120〜150℃)で12時間還流して反応を行った後、エバポレータを用いて減圧蒸留によりケトン(B1)を除去して、ケチミン化合物を含む反応生成物(「反応生成物(H1)」と称する場合がある)を得た(ケチミン化率89.40%)。上記反応生成物(H1)82.84部に調製例1で得られたウレタンプレポリマー(G1)90部を、窒素雰囲気下、70℃で1時間撹拌して反応を行い、ウレタン化ケチミン組成物(「ウレタン化ケチミン組成物(UH1)」と称する場合がある)を得た。上記ウレタン化ケチミン組成物(UH1)104部、エポキシ樹脂(商品名「エピコート828」、ジャパンエポキシレジン社製)100部、エポキシシラン(商品名「KBM403」、信越シリコーン社製)40部、シリカ(商品名「RY200S」、日本アエロジル社製)10部を配合しエポキシ樹脂組成物とした。
【0131】
実施例2
実施例1と同様にして、ケチミン化合物を含む反応生成物(「反応生成物(H1)」)を得た(ケチミン化率89.40%)。上記反応生成物(H1)83.72部に調製例2で得られたウレタンプレポリマー(G2)54部を、窒素雰囲気下、70℃で1時間撹拌して反応を行い、ウレタン化ケチミン組成物(「ウレタン化ケチミン組成物(UH2)」と称する場合がある)を得た。上記ウレタン化ケチミン組成物(UH2)82部、エポキシ樹脂(商品名「エピコート828」、ジャパンエポキシレジン社製)100部、エポキシシラン(商品名「KBM403」、信越シリコーン社製)40部、シリカ(商品名「RY200S」、日本アエロジル社製)10部を配合しエポキシ樹脂組成物とした。
【0132】
実施例3
実施例1と同様にして、ケチミン化合物を含む反応生成物(「反応生成物(H1)」)を得た(ケチミン化率84.03%)。上記反応生成物(H1)90.93部に調製例3で得られたウレタンプレポリマー(G3)100部を、窒素雰囲気下、70℃で1時間撹拌して反応を行い、ウレタン化ケチミン組成物(「ウレタン化ケチミン組成物(UH3)」と称する場合がある)を得た。上記ウレタン化ケチミン組成物(UH3)105部、エポキシ樹脂(商品名「エピコート828」、ジャパンエポキシレジン社製)100部、エポキシシラン(商品名「KBM403」、信越シリコーン社製)40部、シリカ(商品名「RY200S」、日本アエロジル社製)10部を配合しエポキシ樹脂組成物とした。
【0133】
実施例4
実施例1と同様にして、ケチミン化合物を含む反応生成物(「反応生成物(H1)」)を得た(ケチミン化率91.41%)。上記反応生成物(H1)81.29部に調製例4で得られたウレタンプレポリマー(G4)70部を、窒素雰囲気下、70℃で1時間撹拌して反応を行い、ウレタン化ケチミン組成物(「ウレタン化ケチミン組成物(UH4)」と称する場合がある)を得た。上記ウレタン化ケチミン組成物(UH4)93部、エポキシ樹脂(商品名「エピコート828」、ジャパンエポキシレジン社製)100部、エポキシシラン(商品名「KBM403」、信越シリコーン社製)40部、シリカ(商品名「RY200S」、日本アエロジル社製)10部を配合しエポキシ樹脂組成物とした。
【0134】
実施例5
実施例1と同様にして、ケチミン化合物を含む反応生成物(「反応生成物(H1)」)を得た(ケチミン化率91.41%)。上記反応生成物(H1)83.02部に調製例5得られたウレタンプレポリマー(G5)70部を、窒素雰囲気下、70℃で1時間撹拌して反応を行い、ウレタン化ケチミン組成物(「ウレタン化ケチミン組成物(UH5)」と称する場合がある)を得た。上記ウレタン化ケチミン組成物(UH5)92部、エポキシ樹脂(商品名「エピコート828」、ジャパンエポキシレジン社製)100部、エポキシシラン(商品名「KBM403」、信越シリコーン社製)40部、シリカ(商品名「RY200S」、日本アエロジル社製)10部を配合しエポキシ樹脂組成物とした。
【0135】
実施例6
実施例1と同様にして、ケチミン化合物を含む反応生成物(「反応生成物(H1)」)を得た(ケチミン化率91.41%)。上記反応生成物(H1)66.44部に調製例6得られたウレタンプレポリマー(G6)100部を、窒素雰囲気下、70℃で1時間撹拌して反応を行い、ウレタン化ケチミン組成物(「ウレタン化ケチミン組成物(UH6)」と称する場合がある)を得た。上記ウレタン化ケチミン組成物(UH6)125部、エポキシ樹脂(商品名「エピコート828」、ジャパンエポキシレジン社製)100部、エポキシシラン(商品名「KBM403」、信越シリコーン社製)40部、シリカ(商品名「RY200S」、日本アエロジル社製)10部を配合しエポキシ樹脂組成物とした。
【0136】
実施例7
アミン(A1)(ノルボルナンジアミン)154部、およびケトン(B1)(ジエチルケトン)107.5部をフラスコに入れ、生成する水を共沸により除きながら、ケトン(B1)が還流する温度(120〜150℃)で12時間還流して反応を行った後、エバポレータを用いて減圧蒸留によりケトン(B1)を除去して、ケチミン化合物を含む反応生成物(「反応生成物(H2)」と称する場合がある)を得た(ケチミン化率91.41%)。上記反応生成物(H2)68.06部に調製例7で得られたウレタンプレポリマー(G7)100部を、窒素雰囲気下、70℃で1時間撹拌して反応を行い、ウレタン化ケチミン組成物(「ウレタン化ケチミン組成物(UH7)」と称する場合がある)を得た。上記ウレタン化ケチミン組成物(UH7)123部、エポキシ樹脂(商品名「エピコート828」、ジャパンエポキシレジン社製)100部、エポキシシラン(商品名「KBM403」、信越シリコーン社製)40部、シリカ(商品名「RY200S」、日本アエロジル社製)10部を配合しエポキシ樹脂組成物とした。
【0137】
実施例8
実施例1と同様にして、ケチミン化合物を含む反応生成物(「反応生成物(H1)」)を得た(ケチミン化率91.41%)。上記反応生成物(H1)56.71部に調製例8得られたウレタンプレポリマー(G8)100部を、窒素雰囲気下、70℃で1時間撹拌して反応を行い、ウレタン化ケチミン組成物(「ウレタン化ケチミン組成物(UH8)」と称する場合がある)を得た。上記ウレタン化ケチミン組成物(UH8)138部、エポキシ樹脂(商品名「エピコート828」、ジャパンエポキシレジン社製)100部、エポキシシラン(商品名「KBM403」、信越シリコーン社製)40部、シリカ(商品名「RY200S」、日本アエロジル社製)10部を配合しエポキシ樹脂組成物とした。
【0138】
実施例9
アミン(A1)(ノルボルナンジアミン)154部、およびケトン(B1)(ジエチルケトン)134.16部をフラスコに入れ、生成する水を共沸により除きながら、ケトン(B1)が還流する温度(120〜150℃)で12時間還流して反応を行った後、エバポレータを用いて減圧蒸留によりケトン(B1)を除去して、ケチミン化合物を含む反応生成物(「反応生成物(H3)」と称する場合がある)を得た(ケチミン化率95.29%)。上記反応生成物(H3)249.85部に調製例9で得られたウレタンプレポリマー(G9)200部を、窒素雰囲気下、70℃で1時間撹拌して反応を行い、ウレタン化ケチミン組成物(「ウレタン化ケチミン組成物(UH9)」と称する場合がある)を得た。上記ウレタン化ケチミン組成物(UH9)100部、エポキシ樹脂(商品名「エピコート828」、ジャパンエポキシレジン社製)100部、エポキシシラン(商品名「KBM403」、信越シリコーン社製)40部、シリカ(商品名「RY200S」、日本アエロジル社製)10部を配合しエポキシ樹脂組成物とした。
【0139】
実施例10
アミン(A1)(ノルボルナンジアミン)154部、およびケトン(B1)(ジエチルケトン)157.38部をフラスコに入れ、生成する水を共沸により除きながら、ケトン(B1)が還流する温度(120〜150℃)で12時間還流して反応を行った後、エバポレータを用いて減圧蒸留によりケトン(B1)を除去して、ケチミン化合物を含む反応生成物(「反応生成物(H4)」と称する場合がある)を得た(ケチミン化率95.29%)。上記反応生成物(H4)250.40部に調製例10で得られたウレタンプレポリマー(G10)200部を、窒素雰囲気下、70℃で1時間撹拌して反応を行い、ウレタン化ケチミン組成物(「ウレタン化ケチミン組成物(UH10)」と称する場合がある)を得た。上記ウレタン化ケチミン組成物(UH10)100部、エポキシ樹脂(商品名「エピコート828」、ジャパンエポキシレジン社製)100部、エポキシシラン(商品名「KBM403」、信越シリコーン社製)40部、シリカ(商品名「RY200S」、日本アエロジル社製)10部を配合しエポキシ樹脂組成物とした。
【0140】
実施例11
アミン(A1)(ノルボルナンジアミン)154部、およびケトン(B1)(ジエチルケトン)150.50部をフラスコに入れ、生成する水を共沸により除きながら、ケトン(B1)が還流する温度(120〜150℃)で12時間還流して反応を行った後、エバポレータを用いて減圧蒸留によりケトン(B1)を除去して、ケチミン化合物を含む反応生成物(「反応生成物(H5)」と称する場合がある)を得た(ケチミン化率95.29%)。上記反応生成物(H5)246.69部に調製例11で得られたウレタンプレポリマー(G11)200部を、窒素雰囲気下、70℃で1時間撹拌して反応を行い、ウレタン化ケチミン組成物(「ウレタン化ケチミン組成物(UH11)」と称する場合がある)を得た。上記ウレタン化ケチミン組成物(UH11)91部、エポキシ樹脂(商品名「エピコート828」、ジャパンエポキシレジン社製)100部、エポキシシラン(商品名「KBM403」、信越シリコーン社製)40部、シリカ(商品名「RY200S」、日本アエロジル社製)10部を配合しエポキシ樹脂組成物とした。
【0141】
実施例12
実施例10と同様にして、ウレタン化ケチミン組成物(UH10)を得た(「溶媒系(T1)」と称する場合がある)。
【0142】
また、アクリル酸ブチルエステル45部に、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(商品名「KBM503」、信越シリコーン社製)5部、重合開始剤として2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.75部を配合して、モノマー液(「滴下物系(T1)」と称する場合がある。)を調製した。
【0143】
窒素導入官、温度計、攪拌機を備えた反応容器に、窒素を容器内に導入して、窒素雰囲気下、前記溶媒系(T1)を仕込み、攪拌しながら85℃に昇温させた。その後、窒素雰囲気下、同温度(85℃)を保持し、攪拌しながら、前記滴下物系(T1)を1時間かけて均一に滴下した。滴下終了後、さらに2時間、同温度(85℃)を保持しながら攪拌を行った。その後、さらに、重合開始剤(AIBN)0.05部を追加し、2時間、同温度(85℃)を保持しながら攪拌を行い、これを3回繰り返した。その後、室温まで冷却して、反応混合物(「ウレタン化ケチミン組成物(A-UH1)」と称する場合がある)を得た。上記ウレタン化ケチミン組成物(A-UH1)100部と、エポキシ樹脂(商品名「エピコート828」、ジャパンエポキシレジン社製)100部、エポキシシラン(商品名「KBM403」、信越シリコーン社製)40部、シリカ(商品名「RY200S」、日本アエロジル社製)10部を混合してエポキシ樹脂組成物とした。
【0144】
実施例13
アミン(A1)(ノルボルナンジアミン)154部、およびケトン(B1)(ジエチルケトン)136.74部をフラスコに入れ、生成する水を共沸により除きながら、ケトン(B1)が還流する温度(120〜150℃)で12時間還流して反応を行った後、エバポレータを用いて減圧蒸留によりケトン(B1)を除去して、ケチミン化合物を含む反応生成物「反応生成物(H6)」と称する場合がある)を得た(ケチミン化率95.29%)。上記反応生成物(H6)250.56部と調製例12で得られたウレタンプレポリマー(G12)200部とを、窒素雰囲気下、70℃で1時間撹拌して反応を行い、ウレタン化ケチミン組成物を得た(「溶媒系(T2)」と称する場合がある)。
【0145】
実施例12と同様にして、上記溶媒系(T2)に前記滴下物系(T1)を反応させて、反応混合物(「ウレタン化ケチミン組成物(A-UH2)」と称する場合がある)を得た。上記ウレタン化ケチミン組成物(A-UH2)80部と、エポキシ樹脂(商品名「エピコート828」、ジャパンエポキシレジン社製)100部、エチルシリケート(商品名「TSL8124」、GE東芝シリコーン社製)55部、シリカ(商品名「RY200S」、日本アエロジル社製)10部を混合してエポキシ樹脂組成物とした。
【0146】
実施例14
アミン(A1)(ノルボルナンジアミン)154部、およびケトン(B1)(ジエチルケトン)161.68部をフラスコに入れ、生成する水を共沸により除きながら、ケトン(B1)が還流する温度(120〜150℃)で12時間還流して反応を行った後、エバポレータを用いて減圧蒸留によりケトン(B1)を除去して、ケチミン化合物を含む反応生成物(「反応生成物(H7)」と称する場合がある)を得た(ケチミン化率95.29%)。上記反応生成物(H7)250.11部と調製例13で得られたウレタンプレポリマー(G13)200部とを、窒素雰囲気下、70℃で1時間撹拌して反応を行い、ウレタン化ケチミン組成物を得た(「溶媒系(T3)」と称する場合がある)。
【0147】
実施例12と同様にして、上記溶媒系(T3)に前記滴下物系(T1)を反応させて、反応混合物(「ウレタン化ケチミン組成物(A-UH3)」と称する場合がある)を得た。上記ウレタン化ケチミン組成物(A-UH3)80部と、エポキシ樹脂(商品名「エピコート828」、ジャパンエポキシレジン社製)100部、エチルシリケート(商品名「TSL8124」、GE東芝シリコーン社製)55部、シリカ(商品名「RY200S」、日本アエロジル社製)10部を混合してエポキシ樹脂組成物とした。
【0148】
実施例15
アミン(A1)(ノルボルナンジアミン)154部、およびケトン(B1)(ジエチルケトン)215部をフラスコに入れ、生成する水を共沸により除きながら、ケトン(B1)が還流する温度(120〜150℃)で12時間還流して反応を行った後、エバポレータを用いて減圧蒸留によりケトン(B1)を除去して、ケチミン化合物を含む反応生成物(「反応生成物(H8)」と称する場合がある)を得た(ケチミン化率95.29%)。上記反応生成物(H8)250.00部と調製例14で得られたウレタンプレポリマー(G14)200部とを、窒素雰囲気下、70℃で1時間撹拌して反応を行い、ウレタン化ケチミン組成物を得た(「溶媒系(T4)」と称する場合がある)。
【0149】
実施例12と同様にして、上記溶媒系(T4)に前記滴下物系(T1)を反応させて反応混合物(「ウレタン化ケチミン組成物(A-UH4)」と称する場合がある)を得た。上記ウレタン化ケチミン組成物(A-UH4)80部と、エポキシ樹脂(商品名「エピコート828」、ジャパンエポキシレジン社製)100部、エチルシリケート(商品名「TSL8124」、GE東芝シリコーン社製)55部、シリカ(商品名「RY200S」、日本アエロジル社製)10部を混合してエポキシ樹脂組成物とした。
【0150】
実施例16
実施例12と同様にして、ウレタン化ケチミン組成物(A-UH1)を得た。上記ウレタン化ケチミン組成物(A-UH1)80部と、エポキシ樹脂(商品名「エピコート828」、ジャパンエポキシレジン社製)100部、エチルシリケート(商品名「TSL8124」、GE東芝シリコーン社製)55部、シリカ(商品名「RY200S」、日本アエロジル社製)10部を混合してエポキシ樹脂組成物とした。
【0151】
実施例17
実施例10と同様にして、ウレタン化ケチミン組成物(UH10)を得た(「溶媒系(T1)」と称する場合がある)。
【0152】
また、アクリル酸ブチルエステル90部に、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(商品名「KBM503」、信越シリコーン社製)10部、重合開始剤として2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)1.50部を配合して、モノマー液(「滴下物系(T2)」と称する場合がある)を調製した。
【0153】
窒素導入官、温度計、攪拌機を備えた反応容器に、窒素を容器内に導入して、窒素雰囲気下、前記溶媒系(T1)を仕込み、攪拌しながら85℃に昇温させた。その後、窒素雰囲気下、同温度(85℃)を保持し、攪拌しながら、前記滴下物系(T2)を1時間かけて均一に滴下した。滴下終了後、さらに2時間、同温度(85℃)を保持しながら攪拌を行った。その後、さらに、重合開始剤(AIBN)0.10部を追加し、2時間、同温度(85℃)を保持しながら攪拌を行い、これを3回繰り返した。その後、室温まで冷却して、反応混合物(「ウレタン化ケチミン組成物(A-UH5)」)を得た。上記ウレタン化ケチミン組成物(A-UH5)88部と、エポキシ樹脂(商品名「エピコート828」、ジャパンエポキシレジン社製)100部、エチルシリケート(商品名「TSL8124」、GE東芝シリコーン社製)55部、シリカ(商品名「RY200S」、日本アエロジル社製)10部を混合してエポキシ樹脂組成物とした。
【0154】
実施例18
実施例10と同様にして、ウレタン化ケチミン組成物(UH10)を得た(「溶媒系(T1)」と称する場合がある)。
【0155】
また、アクリル酸ブチルエステル50部、メタクリル酸メチルエステル40部に、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(商品名「KBM503」、信越シリコーン社製)10部、重合開始剤として2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)1.50部を配合して、モノマー液(「滴下物系(T3)」と称する場合がある)を調製した。
【0156】
実施例17と同様にして、上記溶媒系(T1)に上記滴下物系(T3)を反応させて、反応混合物(「ウレタン化ケチミン組成物(A-UH6)」)を得た。上記ウレタン化ケチミン組成物(A-UH6)88部と、エポキシ樹脂(商品名「エピコート828」、ジャパンエポキシレジン社製)100部、エチルシリケート(商品名「TSL8124」、GE東芝シリコーン社製)55部、シリカ(商品名「RY200S」、日本アエロジル社製)10部を混合してエポキシ樹脂組成物とした。
【0157】
実施例19
実施例10と同様にして、ウレタン化ケチミン組成物(UH10)を得た(「溶媒系(T1)」と称する場合がある)。
【0158】
また、アクリル酸ブチルエステル65部、メタクリル酸メチルエステル25部に、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(商品名「KBM503」、信越シリコーン社製)10部、重合開始剤として2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)1.50部を配合して、モノマー液(「滴下物系(T4)」と称する場合がある)を調製した。
【0159】
実施例17と同様にして、溶媒系(T1)に前記滴下物系(T4)を反応させて、反応混合物(「ウレタン化ケチミン組成物(A-UH7)」)を得た。上記ウレタン化ケチミン組成物(A-UH7)88部と、エポキシ樹脂(商品名「エピコート828」、ジャパンエポキシレジン社製)100部、エチルシリケート(商品名「TSL8124」、GE東芝シリコーン社製)55部、シリカ(商品名「RY200S」、日本アエロジル社製)10部を混合してエポキシ樹脂組成物とした。
【0160】
実施例20
実施例7と同様にして、ケチミン化合物を含む反応生成物(H2)を得た(ケチミン化率84.03%)。上記反応生成物(H2)35.62部に調製例16で得られたウレタンプレポリマー(G16)100部を、窒素雰囲気下、70℃で1時間撹拌して反応を行い、ウレタン化ケチミン組成物(「ウレタン化ケチミン組成物(UH12)」と称する場合がある)を得た。上記ウレタン化ケチミン組成物(UH12)155部、エポキシ樹脂(商品名「エピコート828」、ジャパンエポキシレジン社製)100部、エチルシリケート(商品名「TSL8124」、GE東芝シリコーン社製)55部、シリカ(商品名「RY200S」、日本アエロジル社製)10部を配合しエポキシ樹脂組成物とした。
【0161】
実施例21
実施例7と同様にして、ケチミン化合物を含む反応生成物(H2)を得た(ケチミン化率91.41%)。上記反応生成物(H2)84.89部に調製例15得られたウレタンプレポリマー(G15)100部を、窒素雰囲気下、70℃で1時間撹拌して反応を行い、ウレタン化ケチミン組成物(「ウレタン化ケチミン組成物(UH13)」と称する場合がある)を得た。前記ウレタン化ケチミン組成物(UH13)109部、エポキシ樹脂(商品名「エピコート828」、ジャパンエポキシレジン社製)100部、エポキシシラン(商品名「KBM403」、信越シリコーン社製)40部、シリカ(商品名「RY200S」、日本アエロジル社製)10部を配合しエポキシ樹脂組成物とした。
【0162】
実施例22
アミン(A2)(1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン)142部、およびケトン(B1)(ジエチルケトン)157.38部をフラスコに入れ、生成する水を共沸により除きながら、ケトン(B1)が還流する温度(120〜150℃)で12時間還流して反応を行った後、エバポレータを用いて減圧蒸留によりケトン(B1)を除去して、ケチミン化合物を含む反応生成物(「反応生成物(H9)」と称する場合がある)を得た(ケチミン化率95.29%)。上記反応生成物(H9)250.0部に調製例10で得られたウレタンプレポリマー(G10)200部を、窒素雰囲気下、70℃で1時間撹拌して反応を行い、ウレタン化ケチミン組成物(「ウレタン化ケチミン組成物(UH14)」と称する場合がある)を得た。上記ウレタン化ケチミン組成物(UH14)72部、エポキシ樹脂(商品名「エピコート828」、ジャパンエポキシレジン社製)100部、エチルシリケート(商品名「TSL8124」、GE東芝シリコーン社製)55部、シリカ(商品名「RY200S」、日本アエロジル社製)10部を配合しエポキシ樹脂組成物とした。
【0163】
実施例23
アミン(A3)(イソホロンジアミン)170部、およびケトン(B1)(ジエチルケトン)157.38部をフラスコに入れ、生成する水を共沸により除きながら、ケトン(B1)が還流する温度(120〜150℃)で12時間還流して反応を行った後、エバポレータを用いて減圧蒸留によりケトン(B1)を除去して、ケチミン化合物を含む反応生成物(「反応生成物(H10)」と称する場合がある)を得た(ケチミン化率95.29%)。上記反応生成物(H10)250.0部に調製例10で得られたウレタンプレポリマー(G10)200部を、窒素雰囲気下、70℃で1時間撹拌して反応を行い、ウレタン化ケチミン組成物(「ウレタン化ケチミン組成物(UH15)」と称する場合がある)を得た。上記ウレタン化ケチミン組成物(UH15)72部、エポキシ樹脂(商品名「エピコート828」、ジャパンエポキシレジン社製)100部、エチルシリケート(商品名「TSL8124」、GE東芝シリコーン社製)55部、シリカ(商品名「RY200S」、日本アエロジル社製)10部を配合しエポキシ樹脂組成物とした。
【0164】
実施例24
実施例10と同様にして、ケチミン化合物を含む反応生成物(「反応生成物(H4)」と称する場合がある)を得た(ケチミン化率95.29%)。上記反応生成物(H4)364部に調製例17で得られたウレタンプレポリマー(G17)200部を、窒素雰囲気下、70℃で1時間撹拌して反応を行い、ウレタン化ケチミン組成物(「ウレタン化ケチミン組成物(UH16)」と称する場合がある)を得た。上記ウレタン化ケチミン組成物(UH16)77部、エポキシ樹脂(商品名「エピコート828」、ジャパンエポキシレジン社製)100部、エポキシシラン(商品名「KBM403」、信越シリコーン社製)40部、シリカ(商品名「RY200S」、日本アエロジル社製)10部を配合しエポキシ樹脂組成物とした。
【0165】
実施例25
実施例10と同様にして、ケチミン化合物を含む反応生成物(「反応生成物(H4)」と称する場合がある)を得た(ケチミン化率95.29%)。上記反応生成物(H4)370部に調製例18で得られたウレタンプレポリマー(G18)200部を、窒素雰囲気下、70℃で1時間撹拌して反応を行い、ウレタン化ケチミン組成物(「ウレタン化ケチミン組成物(UH17)」と称する場合がある)を得た。上記ウレタン化ケチミン組成物(UH17)77部、エポキシ樹脂(商品名「エピコート828」、ジャパンエポキシレジン社製)100部、エポキシシラン(商品名「KBM403」、信越シリコーン社製)40部、シリカ(商品名「RY200S」、日本アエロジル社製)10部を配合しエポキシ樹脂組成物とした。
【0166】
比較例1
実施例1と同様にして、ケチミン化合物を含む反応生成物(「反応生成物(H1)」と称する場合がある)を得た(ケチミン化率89.40%)。反応生成物(H1)50部、エポキシ樹脂(商品名「エピコート828」、ジャパンエポキシレジン社製)100部、エポキシシラン(商品名「KBM403」、信越シリコーン社製)40部、シリカ(商品名「RY200S」、日本アエロジル社製)10部を配合しエポキシ樹脂組成物とした。
【0167】
比較例2
アミン(A1)(ノルボルナンジアミン)154部、およびケトン(B1)(ジエチルケトン)129部をフラスコに入れ、生成する水を共沸により除きながら、ケトン(B1)が還流する温度(120〜150℃)で8時間還流して反応を行った後、エバポレータを用いて減圧蒸留によりケトン(B1)を除去して、ケチミン化合物を含む反応生成物(「反応生成物(H1)」と称する場合がある)を得た(ケチミン化率76.00%)。上記反応生成物(H1)40部に調製例1で得られたウレタンプレポリマー(G1)90部を、窒素雰囲気下、70℃で1時間撹拌して反応を行い、ウレタン化ケチミン組成物を得た。
【0168】
評価試験
実施例、比較例において得られたエポキシ樹脂組成物について、以下のようにして物性の評価試験を行った。
【0169】
[内部硬化性の測定方法]
エポキシ樹脂組成物をポリプロピレン製カップに、高さ7mmまで入れて、23℃、50%RH雰囲気下で7日間放置し、表面からの硬化深度(mm)を測定した。
【0170】
実施例1〜25はいずれも、ゲル化しなかったが比較例2については、ケチミン化率が低く、ゲル化した。また、実施例1〜25のエポキシ樹脂組成物は内部硬化性(深部硬化性)に優れていたが、比較例1は内部硬化性(深部硬化性)の点で劣っていた。以上の結果を表1及び表2、表3、表4にまとめて示す。
【0171】
【表1】

【0172】
【表2】

【0173】
【表3】

【0174】
【表4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1)
【化1】

(式中、R1は有機基、nは2以上の整数を示す)
で表される1級アミン化合物Aと、下記式(2)
【化2】

(式中、R2、R3は、それぞれ有機基を示す。R2及びR3は互いに結合して、隣接する炭素原子とともに環を形成してもよい)
で表されるケトン化合物Bとを反応させて得られる、前記1級アミン化合物Aのケチミン化率が80%以上である反応生成物であって、下記式(3)
【化3】

(式中、R1、R2、R3、nは前記に同じ。R2及びR3は互いに結合して、隣接する炭素原子とともに環を形成してもよい)
で表されるケチミン化合物Cを含有し、且つ、下記式(4)
【化4】

(式中、k及びmはそれぞれ1以上の整数を示し、k+m=nである。R1、R2、R3、nは前記に同じ。R2及びR3は互いに結合して、隣接する炭素原子とともに環を形成してもよい)
で表される1級アミノ基を有するケチミン化合物Dと未反応の前記1級アミン化合物Aの少なくとも何れかを含有する反応生成物に対して、下記式(5)
【化5】

(式中、R4は少なくともヘテロ原子を含む多価の有機基、pは2以上の整数を示す)
で表されるポリオール化合物Eと下記式(6)
【化6】

(式中、R5は有機基、qは2以上の整数を示す)
で表されるポリイソシアネート化合物Fとの反応により得られる分子鎖末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーGを反応して得られる、ケチミン化合物Cとウレタン変性されたケチミン化合物を含有するケチミン組成物。
【請求項2】
1級アミノ基を有するケチミン化合物D及び未反応の1級アミン化合物Aの有する1級アミノ基の総量1モルに対して、イソシアネート基が1〜5モルとなる割合でウレタンプレポリマーGを反応して得られる請求項1記載のケチミン組成物。
【請求項3】
ポリイソシアネート化合物Fが非芳香族ポリイソシアネート化合物である請求項1又は2記載のケチミン組成物。
【請求項4】
ポリイソシアネート化合物Fがイソホロンジイソシアネートである請求項1〜3の何れかの項に記載のケチミン組成物。
【請求項5】
1級アミン化合物Aのケチミン化率が90〜99.5%である請求項1〜4の何れかの項に記載のケチミン組成物。
【請求項6】
ケトン化合物BにおけるR2、R3がともに炭素数2以上の炭化水素基である請求項1〜5の何れかの項に記載のケチミン組成物。
【請求項7】
ケトン化合物BにおけるR2、R3がともにエチル基である請求項1〜6の何れかの項に記載のケチミン組成物。
【請求項8】
ポリオール化合物Eがポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール及びポリカーボネートポリオールからなる群より選択された少なくとも1種のポリオール化合物である請求項1〜7の何れかの項に記載のケチミン組成物。
【請求項9】
ポリオール化合物Eがオキシエチレン単位を5〜40質量%含むポリエーテルポリオールである請求項1〜8の何れかの項に記載のケチミン組成物。
【請求項10】
ポリオール化合物Eがポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールとの共重合体である請求項1〜9の何れかの項に記載のケチミン組成物。
【請求項11】
ポリオール化合物Eがポリエチレングリコール/ポリプロピレングリコール/ポリエチレングリコールのブロック共重合体である請求項1〜10の何れかの項に記載のケチミン組成物。
【請求項12】
請求項1〜11の何れかの項に記載のケチミン組成物中でアクリル系単量体を重合して得られるアクリル系重合体含有ケチミン組成物。
【請求項13】
アクリル系単量体として反応性シリル基を含有するアクリル系単量体を少なくとも用いる請求項12記載のアクリル系重合体含有ケチミン組成物。
【請求項14】
請求項1〜13の何れかの項に記載のケチミン組成物と、エポキシ樹脂とで構成されたエポキシ樹脂組成物。
【請求項15】
ケチミン組成物とエポキシ樹脂に加えて、さらに脱水剤を含む1液型の樹脂組成物である請求項14のエポキシ樹脂組成物。
【請求項16】
脱水剤がシラン化合物である請求項15記載のエポキシ樹脂組成物。

【公開番号】特開2008−285520(P2008−285520A)
【公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−129484(P2007−129484)
【出願日】平成19年5月15日(2007.5.15)
【出願人】(000105648)コニシ株式会社 (217)
【Fターム(参考)】