説明

ゲートスペーサ酸化物材料を選択的にエッチするための組成物および方法

ゲートスペーサ酸化物材料を、それを上に有するマイクロ電子デバイスから少なくとも部分的に除去するためのゲートスペーサ酸化物材料除去組成物および方法。無水除去組成物が、少なくとも1つの有機溶剤と、少なくとも1つのキレート剤と、塩基フルオリド:酸フルオリド成分と、場合により少なくとも1つの不動態化剤とを含有する。本組成物は、ゲート電極構造において使用された金属シリサイド相互接続材料種のエッチングを最小にして、マイクロ電子デバイスの表面上のゲート電極の近傍から、ポリシリコンおよび窒化ケイ素に対してゲートスペーサ酸化物材料の選択的な除去を達成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、ゲートスペーサ酸化物材料をマイクロ電子デバイスから少なくとも部分的に除去するための無水組成物および方法に関し、本無水組成物は、ゲートスペーサ酸化物材料の、ポリシリコン、窒化ケイ素およびシリサイド化相互接続材料の両方に対する高い選択率を有する。
【背景技術】
【0002】
関連技術の説明
改良されたデバイス性能に対する継続的な要求があるので、デバイスの寸法を減少させることが継続的に重要視されており、それは、デバイス密度を劇的に増加させることならびにデバイス性能を改良することの2つの利点を提供する。減少されたデバイスの寸法は、電荷キャリア、例えば、電子が移動する必要がある経路を短くするという結果をもたらすので、デバイス性能が改良される。
【0003】
例えば、金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)のゲート電極は、電気コンタクトとしてゲート表面およびソースおよびドレイン領域を有する。ソースおよびドレイン領域の間の距離は、ゲート電極のチャネル長さを形成し、それ故、デバイスの寸法を減少させることによってチャネル長さが同時に減少される。その結果、デバイスのスイッチング速度が増加される。
【0004】
デバイスの寸法を低減することによってマイクロ電子デバイスチップ上のデバイスのパッケージング密度を増加させるという結果をもたらすことは自明である。この増加されたパッケージング密度は、デバイス間の相互接続経路の長さの急激な低減をもたらし、それは、これらの相互接続経路がデバイス性能全体に及ぼす相対的な悪影響(例えば抵抗電圧降下、クロストークまたはRC遅延)を低減する。
【0005】
しかしながら、このような要件は、寄生容量、デバイス接触抵抗(MOSFETデバイスのゲート、ソースおよびドレインコンタクト)の増加、およびパターン定義の厳しい許容度の問題を生じる。非常に小さなサブミクロンまたはサブハーフミクロンまたはさらにサブクォータミクロンの現代のシリコンデバイスについては、コンタクトをパターン化するための従来のフォトリソグラフィ技術は、臨界寸法の必要とされた許容度を満たさない。解像度および特徴サイズを改良するために探求されている方法には、自己配列ポリシリコン(ポリSi)ゲート構造物の形成があり、それは臨界寸法許容度の問題を解決するのに役立つ。この方法を用いて、ゲート電極のソースおよびドレインのために形成されるコンタクトポイントがポリSiゲートと自己配列する。
【0006】
例えば、シュー(Shue)らの米国特許第6,864,143号明細書には、二重層ゲートスペーサを用いてゲート電極を形成する方法が記載されている。シューらの特許の図10の複写である図1Aを参照すると、二重層ゲートスペーサは、テトラエチルオルトシリケート(TEOS)ソースからの化学蒸着(CVD)酸化物などの第1の層42と、窒化ケイ素層であってもよい第2の層44とを含有する。ゲートスペーサは、ゲート電極40、41の壁に合致するように複数の工程において堆積および異方的にエッチされる。深いイオン注入を行なってソース52およびドレイン54領域を形成し、コバルトを堆積し、未反応コバルトをアニールおよび除去した後、CoSi相互接続層60、62および64が残っている。
【0007】
シリサイドは一般的に、図1Aに示されたような多くの現在の高密度MOSFETデバイスに適用される。一般に用いられるシリサイドには、TiSi、NiSi、およびCoSiなどがある。これらのうち、2つの材料、CoSiおよびNiSiは、コンタクトのシリサイド化層の形成のために最も有望であり、特に、将来のデバイスにおいて必要とされる極めて小さなデバイスCDのために有望である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の好ましい態様は、図1Bに概略的に示されるように、シリサイド化相互接続層60の領域においてならびにドレインおよびソース領域において、露出した第1の層42の一部を除去して「ノッチ」を形成することに関する。したがって、除去組成物は、窒化ケイ素(44)およびポリシリコン(40)の両方に対して酸化ケイ素材料を選択的にエッチしなければならず、ならびにシリサイド化材料(60、62、64)の腐蝕を防ぐ。理論に縛られることを望まないが、ノッチは、トランジスタリークを減少させると考えられる。
【0009】
そのために、存在している金属シリサイド材料の腐蝕を最小にしながらゲートスペーサ酸化物材料をポリシリコンおよび窒化ケイ素材料に対して選択的に除去するための改良された除去組成物を提供することが本発明の1つの目的である。
【0010】
本発明の別の目的は、ゲートスペーサ酸化物材料をゲート電極の近傍から少なくとも部分的に除去するための改良された除去組成物に関し、前記ゲート電極が場合により金属シリサイド化相互接続材料を含有し、それによって前記除去組成物が、金属シリサイド材料の腐蝕を最小に抑えたまま、ポリシリコンおよび窒化ケイ素材料に対して前記ゲートスペーサ酸化物材料を選択的にエッチする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
発明の概要
本発明は、一般に、塩基フルオリド:酸フルオリド成分を含むエッチング組成物、好ましくは塩基フルオリド:酸フルオリド成分を含む無水エッチング組成物、およびゲートスペーサ酸化物材料を、それを上に有するマイクロ電子デバイスから少なくとも部分的に除去するための方法に関する。無水エッチング組成物は、有機溶剤と、キレート剤と、場合により不動態化剤と、塩基フルオリド:酸フルオリド成分とを含有する。
【0012】
一の態様において、本発明は、少なくとも1つの有機溶剤と、少なくとも1つのキレート剤と、約1:1〜約10:1の比を有する塩基フルオリド:酸フルオリド成分とを含むゲートスペーサ酸化物材料除去組成物に関し、除去組成物が、水を実質的に含有せず、ポリシリコンおよび窒化ケイ素の両方に対してゲートスペーサ酸化物材料を、かかる材料を上に有するマイクロ電子デバイスから選択的に除去するために適している。
【0013】
別の態様において、本発明は、少なくとも1つの有機溶剤と、少なくとも1つのキレート剤と、少なくとも1つの不動態化剤と、約1:1〜約10:1の比を有する塩基フルオリド:酸フルオリド成分とを含むゲートスペーサ酸化物材料除去組成物に関し、除去組成物が、水を実質的に含有せず、ポリシリコンおよび窒化ケイ素の両方に対してゲートスペーサ酸化物材料を、かかる材料を上に有するマイクロ電子デバイスから選択的に除去するために適している。
【0014】
別の態様において、本発明は、1つまたは複数の容器中にゲートスペーサ酸化物材料除去組成物試薬を含むキットに関し、前記除去組成物が、少なくとも1つの有機溶剤と、少なくとも1つのキレート剤と、約1:1〜約10:1の比を有する塩基フルオリド:酸フルオリド成分と、場合により少なくとも1つの不動態化剤とを含み、キットが、ポリシリコンおよび窒化ケイ素の両方に対してゲートスペーサ酸化物材料を、かかる材料を上に有するマイクロ電子デバイスから選択的に除去するために適した除去組成物を形成するように構成されている。
【0015】
さらに別の態様において、本発明は、ゲートスペーサ酸化物材料を、前記材料を上に有するマイクロ電子デバイスから除去する方法に関し、前記方法が、前記ゲートスペーサ酸化物材料をマイクロ電子デバイスから少なくとも部分的に除去するために十分な時間にわたり、マイクロ電子デバイスを除去組成物と接触させる工程を含み、除去組成物が、少なくとも1つの有機溶剤と、少なくとも1つのキレート剤と、約1:1〜約10:1の比を有する塩基フルオリド:酸フルオリド成分とを含有し、前記除去組成物が、水を実質的に含有せず、ポリシリコンおよび窒化ケイ素の両方に対してゲートスペーサ酸化物材料を、かかる材料を上に有するマイクロ電子デバイスから選択的に除去するために適している。
【0016】
本発明の別の態様は、少なくとも1つの有機溶剤と、少なくとも1つのキレート剤と、約1:1〜約10:1の比を有する塩基フルオリド:酸フルオリド成分とを含むゲートスペーサ酸化物材料除去組成物に関し、前記除去組成物が、水を実質的に含有せず、ポリシリコンおよび窒化ケイ素の両方に対してゲートスペーサ酸化物材料を、かかる材料を上に有するマイクロ電子デバイスから選択的に除去するために適しており、前記組成物が、以下の(I)、(II)、(III)、(IV)、および(V)の少なくとも1つを特徴とする。
(I)ゲートスペーサ酸化物材料の、ポリシリコンに対する選択率が約100:1〜約300:1であり、
(II)ゲートスペーサ酸化物材料の、窒化ケイ素に対する選択率が約75:1〜約150:1であり、
(III)pHが、水:除去組成物の20:1の希釈において測定された際に約3〜約6の範囲であり、
(IV)少なくとも1つのキレート剤が、トリプロピレングリコールメチルエーテル(TPGME)、プロピレングリコールn−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールn−プロピルエーテル(DPGPE)、トリプロピレングリコールn−プロピルエーテル、プロピレングリコールn−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールn−ブチルエーテル(DPGBE)、およびそれらの組合せからなる群から選択されたグリコールエーテルを含み、
(V)除去組成物が少なくとも1つの不動態化剤をさらに含む。
【0017】
本発明のさらに別の態様は、二酸化ケイ素材料を、それを上に有するマイクロ電子デバイスから選択的に除去する方法に関し、前記方法が、前記二酸化ケイ素材料をマイクロ電子デバイスから除去するために十分な時間にわたり、マイクロ電子デバイスを除去組成物と接触させる工程を含み、除去組成物が、少なくとも1つの有機溶剤と、少なくとも1つのキレート剤と、約1:1〜約10:1の比を有する塩基フルオリド:酸フルオリド成分とを含有し、前記除去組成物が、水を実質的に含有せず、前記マイクロ電子デバイスが、ポリシリコン、窒化ケイ素、金属、金属合金および金属シリサイドからなる群から選択された材料をさらに含む。
【0018】
本発明の別の態様は、除去組成物と、マイクロ電子デバイスと、酸化ケイ素材料、ポリシリコン、窒化ケイ素材料、およびそれらの組合せからなる群から選択された材料とを含む製品に関し、除去組成物が、少なくとも1つの有機溶剤と、少なくとも1つのキレート剤と、約1:1〜約10:1の比を有する塩基フルオリド:酸フルオリド成分とを含有し、前記除去組成物が水を実質的に含有しない。
【0019】
さらに別の態様において、本発明は、マイクロ電子デバイスを製造する方法に関し、前記方法が、酸化ケイ素含有材料を、前記材料を上に有するマイクロ電子デバイスから少なくとも部分的に除去するための十分な時間にわたり、マイクロ電子デバイスを除去組成物と接触させる工程を含み、除去組成物が、少なくとも1つの有機溶剤と、少なくとも1つのキレート剤と、約1:1〜約10:1の比を有する塩基フルオリド:酸フルオリド成分とを含有し、前記除去組成物が水を実質的に含有しない。
【0020】
本発明のさらに別の態様は、酸化ケイ素含有材料を、前記材料を上に有するマイクロ電子デバイスから除去する工程を含む本発明の方法を用いて、ここに記載された方法および/または組成物を用いて、場合により、マイクロ電子デバイスを製品に組み込む方法を用いて製造された、改良されたマイクロ電子デバイス、およびそれを組み込む製品に関する。
【0021】
本発明の他の態様、特徴および実施形態は、次の開示内容および添付の特許請求の範囲からより完全に明らかであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
発明およびその好ましい実施形態の詳細な説明
本発明の一の態様は、酸化ケイ素前駆物質供給源から堆積された酸化ケイ素をポリシリコン(ポリSi)および窒化ケイ素材料の両方に対して選択的に除去する無水組成物に関し、従って、ゲートスペーサ酸化物材料をマイクロ電子デバイスから少なくとも部分的に除去するためのエッチング剤として有用であり、前記組成物は場合により、金属シリサイド相互接続体(interconnector)材料のエッチングを低減するための不動態化剤種を含有する。
【0023】
参照を容易にするために、「マイクロ電子デバイス」は、マイクロ電子、集積回路、またはコンピュータチップ適用において使用するために製造された、半導体基板、フラットパネルディスプレイ、およびマイクロ電気機械システム(MEMS)に相当する。用語「マイクロ電子デバイス」は、決して限定的であることを意図せず、N型金属酸化物半導体(nMOS)および/またはP型金属酸化物半導体(pMOS)トランジスタを含み、最終的にマイクロ電子デバイスまたはマイクロ電子集成体になるいずれの基板も包含することは理解されるはずである。
【0024】
本明細書中で用いられるとき、「ゲートスペーサ」は、ゲート電極の側壁の上に形成される材料として定義され、窒化ケイ素、TEOSソースからのCVD酸化物、酸化ケイ素、ホウ素−シリケートガラス(BSG)、ホスホシリケートガラス(PSG)、およびそれらの組合せからなる群から選択された多層を含有してもよい。好ましくは、ゲートスペーサは、上に記載されたように、ゲート電極の壁に合致する第1の酸化物層および第2の窒化物層を含有する多層構造物である。ゲートスペーサは、特定のゲート電極設計のために必要に応じて2つより多いかまたは2つ未満の層を含有してもよいことが理解されるべきである。ゲートスペーサは、イオン注入の間にpMOSおよびnMOSのドレインおよびソース領域を画定するマスク材料として作用し、シリサイド化相互接続層を含有してもよい。
【0025】
本明細書中で用いられるとき、「ゲートスペーサ酸化物材料の少なくとも部分的な除去」は、ゲートスペーサの露出した酸化物層の少なくとも一部の除去に相当する。具体的に、露出した酸化物層の少なくとも一部は、周囲の窒化ケイ素、ポリシリコンおよび/またはシリサイド層に対してエッチングによって除去され、その結果、「ノッチ」が形成される(例えば、図1Bを参照のこと)。本発明の好ましい実施形態において、第1の酸化物層材料の全質量の少なくとも約1%〜約20%、より好ましくは約5%〜約10%が本発明の組成物を用いてノッチ形成され、一方、組成物に暴露されたポリシリコン、窒化ケイ素および/またはシリサイド化相互接続材料の全質量の5%未満、より好ましくは2%未満、さらにより好ましくは1%未満が除去される。本発明は、ゲートスペーサ酸化物材料の、マイクロ電子デバイスからの少なくとも部分的な除去、すなわち、「ノッチング」に関するが、また、本発明の組成物は、ポリシリコンおよび/または窒化ケイ素層に対して酸化ケイ素材料を実質的に除去するためにより一般的に用いられてもよいことが予想される。それらの場合において、「実質的な除去」は、酸化ケイ素材料の好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、最も好ましくは少なくとも99%が本発明の組成物を用いて除去されることとして定義される。
【0026】
本明細書中で用いられるとき、「約」は、記載された値の±5%に相当することが意図される。
【0027】
本明細書中で用いられるとき、ゲートスペーサ酸化物材料を、かかる酸化物材料を上に有するマイクロ電子デバイスから除去するための「適性(suitability)」は、ゲートスペーサ酸化物材料のマイクロ電子デバイスからの少なくとも部分的な除去に相当する。
【0028】
本明細書中で用いられるとき、塩基フルオリドの酸フルオリドに対する比は、組成物中の、フッ化アンモニウム(NHF)のフッ化水素(HF)に対する量に相当する。好ましくは、塩基フルオリドの酸フルオリドに対する比が、(作業員の安全のために)フッ化アンモニウムおよび重フッ化アンモニウム(NHHF)の適切な量の組合せによって生じさせられ、すなわち、HFは組成物に添加されないが、しかしながら、前記比はNHFおよびHFを正確な比において組み合わせることによってもたらされてもよいとここでは考えられ、HFが積極的に含有されるときには組成物は水性成分を含有してもよいと理解される。さらに、別の塩基フルオリド塩は、ここで、例えば、NRFであると考えられ、R、R、RおよびRは、同じであるかまたは互いに異なっていてもよく、水素、C−Cアルキル、例えば、メチル、エチル、および直鎖または分岐状プロピル、ブチル、プロピルおよびヘキシル、および/または置換または非置換C−C10アリール、例えば、ベンジルであってもよく、重フッ化アンモニウム種と組み合わせて塩基フルオリド:酸フルオリド成分を生じる。
【0029】
本明細書において記載されるとき、酸化ケイ素層は好ましくは、酸化ケイ素前駆物質供給源、例えば、TEOSから堆積される。
【0030】
本明細書において定義されるとき、「無水」は、5重量%未満の水、好ましくは2重量%未満、より好ましくは1重量%未満、最も好ましくは0.5重量%未満の水を含有する組成物に相当する。本明細書において定義されるとき、「実質的に含有しない(substantially devoid)」は、2重量%未満、好ましくは1重量%未満、より好ましくは0.5重量%未満、最も好ましくは0.1重量%未満として定義される。
【0031】
重要なことには、本発明の無水組成物は、良い金属親和性、例えば、相互接続金属および/または相互接続体金属シリサイド材料上の低いエッチ速度を有さなければならない。目的の金属には、銅、タングステン、コバルト、アルミニウム、タンタル、チタンおよびルテニウムなどがあるがそれらに限定されない。
【0032】
本発明の組成物は、以下により完全に記載されるように、多種多様な特定の調合物において具体化されてもよい。
【0033】
組成物の特定の成分がゼロの下限を含む重量パーセンテージの範囲に関して記載される全てのこのような組成物において、組成物の様々な特定の実施形態においてこのような成分が存在するかまたは存在しない場合があること、このような成分が存在する場合、それらは、このような成分が使用される組成物の全重量を基準にして、0.001重量パーセントの低さの濃度においても存在しうることは理解されよう。
【0034】
一の態様において、本発明は一般に、ゲートスペーサ酸化物材料を、それを上に有するマイクロ電子デバイスの表面から除去するための無水組成物に関し、前記組成物が、少なくとも1つの有機溶剤および約1:1〜約10:1の塩基フルオリド:酸フルオリド比を有し、そこで無水組成物が水を実質的に含有しない。より好ましくは、本発明は、ゲートスペーサ酸化物材料を、それを上に有するマイクロ電子デバイスの表面から除去するための無水組成物に関し、前記組成物は、少なくとも1つの有機溶剤、少なくとも1つのキレート剤、約1:1〜約10:1の塩基フルオリド:酸フルオリド比、および場合により少なくとも1つの不動態化剤を有し、そこで無水組成物が水を実質的に含有しない。さらにより好ましくは、本発明は、ゲートスペーサ酸化物材料を、それを上に有するマイクロ電子デバイスの表面から除去するための無水組成物に関し、前記組成物は、少なくとも1つの有機溶剤、少なくとも1つのキレート剤、少なくとも1つの不動態化剤、および約1:1〜約10:1の塩基フルオリド:酸フルオリド比を有し、そこで無水組成物が水を実質的に含有しない。一の実施形態において、無水組成物の成分は、組成物の全重量を基準にして以下の範囲において存在する。
【0035】
【表1】

【0036】
全ての実施形態において、好ましくは塩基フルオリド:酸フルオリド比は約2:1〜約5:1、より好ましくは約2.5:1〜約3.5:1である。不動態化剤が存在するとき、好ましい範囲は、組成物の全重量を基準にして約0.01重量%〜約5重量%である。
【0037】
本発明の広い実施において、無水組成物は、(i)少なくとも1つの有機溶剤および約1:1〜約10:1の塩基フルオリド:酸フルオリド比(そこで無水組成物は水を実質的に含有しない)、(ii)少なくとも1つの有機溶剤、少なくとも1つのキレート剤、約1:1〜約10:1の塩基フルオリド:酸フルオリド比(そこで無水組成物が水を実質的に含有しない)、または(iii)少なくとも1つの有機溶剤、少なくとも1つのキレート剤、少なくとも1つの不動態化剤および約1:1〜約10:1、好ましくは約2:1〜約5:1、より好ましくは約2.5:1〜約3.5:1の塩基フルオリド:酸フルオリド比(そこで無水組成物は水を実質的に含有しない)を含むか、それらからなるか、またはそれらから本質的になってもよい。一般に、有機溶剤、キレート剤、不動態化剤および塩基フルオリド:酸フルオリド成分の特定の比率および量は、互いに対して、好適に変化させられ、ゲートスペーサ酸化物材料および/または加工装置のために無水組成物の所望のエッチング作用を提供することができ、必要以上の労力を要せずに当該技術分野の技術の範囲内で容易に定量可能である。好ましくは、本発明の無水組成物は、酸化剤、カーボネート種、フルオロホウ酸、水、およびスルホキシド種を実質的に含有しない。
【0038】
本発明の無水組成物は、金属および/または金属シリサイド相互接続材料の実質的な腐蝕を起こすことなくマイクロ電子デバイスの表面からポリSiおよび窒化ケイ素の両方に対してゲートスペーサ酸化物材料を選択的にエッチする。
【0039】
好ましい実施形態において、本発明は、ゲートノッチスペーサ酸化物材料を、それを上に有するマイクロ電子デバイスの表面から除去するための無水組成物に関し、前記組成物は、少なくとも1つの有機溶剤、少なくとも1つのグリコールエーテルキレート剤、少なくとも1つの不動態化剤および約2.5:1〜約3.5:1の比を有する塩基フルオリド:酸フルオリド成分を含有する。
【0040】
有機溶剤の、塩基フルオリド:酸フルオリド成分に対するモル比の範囲は約1:1〜約30:1、好ましくは約10:1〜約15:1であり、有機溶剤の、キレート剤に対するモル比の範囲は約1:1〜約30:1、好ましくは約10:1〜約16:1であり、有機溶剤の、不動態化剤(存在する場合)に対するモル比の範囲は、約100:1〜約200:1、好ましくは約150:1〜約175:1である。
【0041】
本発明の組成物は、水対エッチング剤組成物の20:1の希釈において測定されたとき、約1〜約6.9、好ましくは約3〜約6、より好ましくは約4〜約5の範囲のpH値を有する。
【0042】
本発明の組成物は、30℃においてゲートスペーサ酸化物材料(例えば、二酸化ケイ素)の、ポリシリコンに対する選択率が約100:1〜約300:1、より好ましくは約200:1〜約300:1であり、30℃においてゲートスペーサ酸化物材料(例えば、二酸化ケイ素)の、窒化ケイ素に対する選択率が約75:1〜約150:1、より好ましくは約100:1〜約150:1である。さらに、本発明の組成物は、30℃においてのシリサイド材料エッチ速度が約6Å/分〜約10Å/分である。
【0043】
有機溶剤種は、好ましくは重フッ化アンモニウムがその中に溶解されるときにHFの生成を促進することができる。このような組成物のための適した有機溶剤種には、限定されないが、アセトン、2−ブタノン、2−ペンタノン、および3−ペンタノンなどのケトン類;テトラヒドロフランなどのエーテル類;モノエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリエチレンジアミン、メチルエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、ジメチルジグリコールアミン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン、アミノプロピルモルホリン、ヒドロキシエチルモルホリン、アミノエチルモルホリン、ヒドロキシプロピルモルホリン、ジグリコールアミン、N−メチルピロリジノン(NMP)、N−オクチルピロリジノン、N−フェニルピロリジノン、シクロヘキシルピロリジノン、ビニルピロリジノンなどのアミン類;ホルムアミド、ジメチルホルムアミド、アセトアミド、ジメチルアセトアミドなどのアミド類;テトラメチレンスルホンおよびジメチルスルホキシドなどの硫黄含有溶剤類;エタノール、プロパノール、ブタノール、およびより高級アルコールなどのアルコール類;エチレングリコール、プロピレングリコール(1,2−プロパンジオール)、ネオペンチルグリコール、およびベンジルジエチレングリコール(BzDG)などのグリコール類;ジエチレングリコールおよび高級ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコールおよび高級ポリプロピレングリコール、グリコールエーテルおよびポリグリコールエーテル、およびグリセロールなどのポリグリコール類;およびそれらの組合せなどがある。好ましくは、有機溶剤種にはエチレングリコールがある。
【0044】
意外なことに、本発明者らは、SiOの、ポリSiおよび/または窒化ケイ素に対する無水組成物の選択率は、キレート剤を含有することによって大幅に改良されることを発見した。適したキレート剤は任意の適したタイプであってよく、限定されないが、ポリエチレンエーテル(PEG)、グリコールエーテル、例えばジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールフェニルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエーテル(TPGME)、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールn−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールn−プロピルエーテル(DPGPE)、トリプロピレングリコールn−プロピルエーテル、プロピレングリコールn−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールn−ブチルエーテル(DPGBE)、トリプロピレングリコールn−ブチルエーテル、プロピレングリコールフェニルエーテル(フェノキシ−2−プロパノール)およびそれらの組合せなどがある。好ましくは、キレート剤には、TPGME、DPGPE、DPGBEまたはそれらの組合せなどがある。
【0045】
適した不動態化剤には、トリアゾール、例えば1,2,4−トリアゾール、C−Cアルキル、アミノ、チオール、メルカプト、イミノ、カルボキシおよびニトロ基などの置換基で置換されたトリアゾール、例えばベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール、5−フェニル−ベンゾトリアゾール、5−ニトロ−ベンゾトリアゾール、3−アミノ−5−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、1−アミノ−1,2,4−トリアゾール、ヒドロキシベンゾトリアゾール、2−(5−アミノ−ペンチル)−ベンゾトリアゾール、1−アミノ−1,2,3−トリアゾール、1−アミノ−5−メチル−1,2,3−トリアゾール、3−アミノ−1,2,4−トリアゾール、3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、3−イソプロピル−1,2,4−トリアゾール、5−フェニルチオール−ベンゾトリアゾール、ハロ−ベンゾトリアゾール(ハロ=F、Cl、BrまたはI)、ナフトトリアゾール等、ならびにチアゾール、テトラゾール、イミダゾール、ホスフェート、チオールおよびアジン、例えば2−メルカプトベンゾイミジゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、4−メチル−2−フェニルイミダゾール、2−メルカプトチアゾリン、5−アミノテトラゾール、5−アミノ−1,3,4−チアジアゾール−2−チオール、2,4−ジアミノ−6−メチル−1,3,5−トリアジン、チアゾール、トリアジン、メチルテトラゾール、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、1,5−ペンタメチレンテトラゾール、1−フェニル−5−メルカプトテトラゾール、ジアミノメチルトリアジン、メルカプトベンゾチアゾール、イミダゾリンチオン、メルカプトベンズイミダゾール、4−メチル−4H−1,2,4−トリアゾール−3−チオール、5−アミノ−1,3,4−チアジアゾール−2−チオール、ベンゾチアゾール、トリトリルホスフェート、インジアゾールなどがあるがそれらに限定されない。適した不動態化剤種にはさらに、グリセロール、アミノ酸、カルボン酸、アルコール、アミド、例えばエチレンジアミン四酢酸(EDTA)、1,2−シクロヘキサンジアミン−N,N,N’,N’−四酢酸(CDTA)および1,3−プロピレン−ジアミン−N,N,N’,N’−四酢酸(1,3−PDTA)、およびキノリン、例えばグアニン、アデニン、グリシン、グリセロール、チオグリセロール、ニトリロ三酢酸、サリチルアミド、イミノジ酢酸(IDA)、ベンゾグアナミン、メラミン、チオシアヌル酸(thiocyranuric acid)、アントラニル酸、没食子酸、アスコルビン酸、サリチル酸、8−ヒドロキシキノリン、5−カルボン酸−ベンゾトリアゾール、3−メルカプトプロパノール、ホウ酸などがある。好ましくは、不動態化剤にはIDAが挙げられる。不動態化剤は、マイクロ電子デバイスのゲート電極に混在された金属および金属シリサイド材料と組成物との親和性を増加させるために有用に使用される。
【0046】
約1:1〜約10:1の塩基フルオリドの酸フルオリドに対する比を有する塩基フルオリド:酸フルオリド成分は、前記塩基フルオリド:酸フルオリド比を生じるために適切な量においてフルオリド含有種の組合せを含有する。例えば、フッ化アンモニウムおよび重フッ化アンモニウムを配合して適切なNHF:HF比を生じることができ、当業者によって容易に定量される。あるいは、塩基フルオリドは、NRFなどの第四フッ化アンモニウム種であってもよく、そこでR、R、RおよびRは、同じであるかまたは互いに異なっていてもよく、水素およびC−Cアルキル、例えば、メチル、エチル、および直鎖または分岐状プロピル、ブチル、プロピルおよびヘキシルであってもよい。それほど好ましくないが、フッ化アンモニウムをフッ化水素と配合して所望の塩基フルオリドの酸フルオリド種に対する比を生じてもよい。
【0047】
様々な好ましい実施形態において、本発明の無水組成物は、調合物の全重量を基準にして、以下の範囲において存在する以下の成分を含有する。
【0048】
【表2】

【0049】
このような組成物は場合により、活性ならびに不活性成分を含めた付加的な成分、例えば、界面活性剤、安定剤、還元剤(例えば、アスコルビン酸)、分散剤、エッチング剤、および当業者に公知のその他の添加剤を含有してもよい。
【0050】
本発明の特に好ましい実施形態において、無水組成物は、約3重量%〜約5重量%の2:1〜約4:1塩基フルオリド:酸フルオリド成分、IDA、エチレングリコールの他、DPGBE、DPGPE、TPGME、およびそれらの組合せからなる群から選択されたグリコールエーテルを含むキレート剤を含有する。特に好ましい実施形態において、キレート剤はDPGBEを含む。
【0051】
さらに別の実施形態において、本発明の無水組成物は、少なくとも1つの有機溶剤、少なくとも1つのキレート剤、少なくとも1つの不動態化剤、約1:1〜約10:1、好ましくは約2:1〜約5:1、より好ましくは約2.5:1〜約3.5:1の塩基フルオリド:酸フルオリド比、およびゲートスペーサ酸化物残留材料を含有し、そこでゲートスペーサ酸化物残留材料はケイ素含有種を含む。重要なことには、残留材料は本発明の無水組成物に溶解および/または懸濁されうる。
【0052】
本発明の無水組成物は、各成分を単に添加して均質な条件に混合することによって容易に調合される。さらに、無水組成物を単一パッケージ調合物または使用時点で混合される多液型調合物として容易に調合することができる。多液型調合物の個々の部分はツールにおいてかまたはツールの上流の貯蔵タンク内で混合されてもよい。各成分の濃度は、本発明の広い実施において、無水組成物の特定の倍数において広範囲に変化されてもよく、すなわち、より希釈またはより濃縮されてもよく、本発明の無水組成物は様々におよび代わりに、本願明細書の開示と一致した成分の任意の組合せも含むか、それらからなるか、またはそれらから本質的になりうることは理解されよう。本発明の1つの実施形態は、最終調合物中で使用される溶剤75重量%未満、または50%未満、または25%未満を含有するか、または全く溶剤を含有しない濃縮調合物に関する。次に、このような濃縮調合物は製造工場においておよび/または製造工場において使用する前に付加的な溶剤で希釈される。
【0053】
したがって、本発明の別の態様は、1つまたは複数の容器内に本発明の無水組成物を形成するように構成されている1つまたは複数の成分を含有するキットに関する。好ましくは、キットは、1つまたは複数の容器内に有機溶剤、キレート剤、不動態化剤およびフルオリド含有成分を含有する。あるいは、キットは、1つまたは複数の容器内にキレート剤、不動態化剤およびフルオリド含有成分を含有し、製造工場において前記有機溶剤と配合する。さらに別の選択肢において、キットは、1つまたは複数の容器内に有機溶剤、キレート剤、および不動態化剤を含有し、製造工場においてフルオリド含有成分と配合する。他の組合せがここで考えられることは当業者によって理解されよう。キットの容器は、前記クリーニング組成物成分を貯蔵および出荷するために適していなければならない、例えば、ナウパク(NOWPak)(登録商標)容器(米国、コネチカット州、ダンバリーのアドバンスト・テクノロジー・マテリアルズ社(Advanced Technology Materials,Inc.,Danbury,Conn.,USA))が挙げられる。
【0054】
さらに別の態様において、本発明は、ここに記載された無水組成物を用いてゲートスペーサ酸化物材料(すなわち、ノッチング)を、それを上に有するマイクロ電子デバイスの表面からエッチする方法に関する。例えば、ゲートスペーサ酸化物材料は、金属および金属シリサイド相互接続材料を実質的に損なわずに除去されうる。あるいは、本発明は、ここに記載された無水組成物を用いてポリシリコンおよび/または窒化ケイ素材料に対して酸化ケイ素材料を、それを上に有するマイクロ電子デバイスの表面から選択的におよび実質的に除去する方法に関する。
【0055】
エッチング適用において、ゲートスペーサ酸化物材料を上に有するマイクロ電子デバイスの表面に無水組成物をいずれかの適した方法によって適用し、例えば、無水組成物をデバイスの表面上に吹き付けることによって、ゲートスペーサ酸化物材料を含有するデバイスを(無水組成物の静的または動的体積内に)浸漬することによって、デバイスを、無水組成物を吸収させた別の材料、例えば、パッド、または繊維収着剤塗布要素と接触させることによって、ゲートスペーサ酸化物材料を含有するデバイスを循環無水組成物と接触させることによって、または無水組成物がゲートスペーサ酸化物材料と接触されて除去される、いずれかの他の適した手段、方法または技術によって適用する。
【0056】
本発明のさらに別の態様は、本願明細書に記載された組成物および方法を用いて製造されたマイクロ電子デバイスに関する。
【0057】
本発明の組成物は、金属化、ポリシリコン、窒化ケイ素等、マイクロ電子デバイス構造物上に存在して無水組成物に暴露されうる他の材料に対するゲートスペーサ酸化物材料のそれらの選択率によって、高度に効率的および高度に選択的な方法においてゲートスペーサ酸化物材料の少なくとも部分的な除去を達成する。
【0058】
ゲートスペーサ酸化物材料を、それを上に有するマイクロ電子デバイス構造物から除去するための本発明の組成物の使用において、無水組成物は典型的に、約10℃〜約50℃、好ましくは約20℃〜約30℃の範囲の温度において、約30秒〜約45分、好ましくは約1〜30分の時間にわたりゲート電極構造物と接触される。このような接触時間および温度は具体例であり、本発明の広い実施の範囲内で、ゲートスペーサ酸化物材料をデバイス構造物から少なくとも部分的に除去して所望の「ノッチ」を形成するために有効である、いずれの他の適した時間および温度条件が使用されてもよい。
【0059】
CoSiの除去速度は好ましくは、約0.01Å分−1〜約15Å分−1、より好ましくは約0.01Å分−1〜約10Å分−1の範囲である。
【0060】
所望の除去処置を行なった後に、無水組成物は、本発明の組成物の与えられた最終用途において望ましくかつ有効である場合、例えば、すすぎ、洗浄、または他の除去工程によって、それが予め適用されたマイクロ電子デバイスから容易に除去される。例えば、デバイスは、脱イオン水を含有するすすぎ溶液ですすがれ、および/または乾燥されてもよい(例えば、脱水、N、蒸気乾燥等)。
【0061】
本発明の特徴および利点は、以下に記載された具体的な実施例によってより完全に示される。
【実施例】
【0062】
実施例1
酸化ケイ素の、ポリSiおよび窒化ケイ素の両方に対する選択率を用いて無水組成物が含水組成物よりも優れていることを確認した後、酸化ケイ素、ポリSiおよび窒化ケイ素のエッチ速度を様々な塩基フルオリド:酸フルオリド成分比を有する無水組成物を用いて定量した。
【0063】
試験された試料は、1cmのガスシールされた酸化ケイ素、ポリSiおよび窒化ケイ素を含有し、それらを最初に光学干渉計(Nanospec)を用いて測定して予備浸漬の厚さを定量し、その後に、個別に各ウエハを約50mLの清浄な無水組成物中に浸漬し、脱イオン水ですすぎ、窒素でブロー乾燥させ、光学干渉計を用いて浸漬後の測定を実施して厚さの変化を定量し、各組成物中の酸化ケイ素、ポリSiおよび窒化ケイ素のエッチ速度を得た。酸化ケイ素は10分間エッチされたのに対して、ポリSiおよび窒化ケイ素は30分間エッチされた。
【0064】
試験された無水組成物には、以下の表1に記載されたように、A1〜A4があった。
【0065】
【表3】

【0066】
20℃および30℃の両方においての無水組成物A1〜A4のエッチ速度および選択率を以下の表2に記載する。
【0067】
【表4】

【0068】
5:1の塩基フルオリド:酸フルオリド比(溶液A3およびA4)は、相当する10:1比よりも良い酸化ケイ素選択率をもたらしたことを見ることができる。さらに、30℃において加工されたウエハは、20℃において加工されたウエハよりも高い酸化ケイ素選択率をもたらした。したがって、以下に導入された全ての実験は、別途記載されない限り30℃において行なわれた。
【0069】
実施例2
実施例1の結果に基づいて、塩基フルオリド:酸フルオリド比はさらに減少され、TPGMEのEGに対する比が変化された。実施例1に記載された実験を、30℃において、ガスシールされた酸化ケイ素およびポリSiについて繰り返した。酸化ケイ素は10分間エッチされたのに対し、ポリSiは30分間エッチされた。
【0070】
試験された無水組成物には、以下の表3に記載されたように、B1〜B4がある。
【0071】
【表5】

【0072】
30℃においての無水組成物B1〜B4のエッチ速度および選択率を以下の表4に記載する。
【0073】
【表6】

【0074】
組成物中のグリコールエーテル(TPGME)の量が多くなるほど酸化ケイ素エッチ選択率が大きくなることを見ることができる。さらに、組成物A3とB2とを比較すると、5:1から3:1への塩基フルオリド:酸フルオリド比の低減は、それぞれ、酸化ケイ素エッチ選択率の増加をもたらしたことを見ることができる。したがって、以下に導入された全ての組成物は、別途記載されない限り、3:1の塩基フルオリド:酸フルオリド比を有した。
【0075】
実施例3
実施例1および2の結果に基づいて、様々なグリコールエーテルおよびその他のキレーターを様々な濃度において試験して最適なキレーターを定量し、前記無水組成物に添加した。実施例1において記載された実験を、30℃において、ガスシールされた酸化ケイ素、ポリSiおよび窒化ケイ素について繰り返した。酸化ケイ素は10分間エッチされたのに対し、ポリSiおよび窒化ケイ素は30分間エッチされた。
【0076】
試験された無水組成物(C1〜C12)は、それらの各々が5重量%の3:1 NHF:HFおよび1重量%のIDAを含有し、以下の表5に記載される。
【0077】
【表7】

【0078】
30℃においての無水組成物C1〜C12のエッチ速度および選択率を以下の表6に記載する。
【0079】
【表8】

【0080】
表6に記載された結果は実施例2の結果を裏付け、それによって、組成物中のグリコールエーテルの量が多くなるほど酸化ケイ素エッチ選択率が大きくなる。キレーターの関数としての酸化ケイ素選択率のオーダーを定量するとDPGPE>TPGME>ブチルカルビトール>PEGであった。
【0081】
実施例4
実施例3の結果に基づいて、グリコールエーテルの濃度をさらに変化させてグリコールエーテルキレーターの最適量を定量し、前記無水組成物に添加した。実施例1において記載された実験を、30℃において、ガスシールされた酸化ケイ素およびポリSiについて繰り返した。酸化ケイ素は10分間エッチされたのに対し、ポリSiは30分間エッチされた。
【0082】
試験された無水組成物(D1〜D6)は、それらの各々が5重量%の3:1 NHF:HFおよび1重量%のIDAを含有し、以下の表7に記載される。
【0083】
【表9】

【0084】
30℃においての無水組成物D1〜D6のエッチ速度および選択率を以下の表8に記載する。
【0085】
【表10】

【0086】
表8に記載された結果は、DPGBEでもTPGMEでもグリコールエーテルの増加量、すなわち、20重量%超は、酸化ケイ素選択率の著しい変化を生じなかったことを示す。したがって、最大の酸化ケイ素エッチ選択率は、20重量%のグリコールエーテルに事実上相当する。また、表8に記載された結果は実施例3の結果を裏付け、それによって、DPGPEは、増加された酸化ケイ素エッチ選択率の点からより良いグリコールエーテルである。
【0087】
実施例5
実施例3および4の結果に基づいて、キレーターDPGBEを無水組成物に添加し、酸化ケイ素エッチ選択率を、試験された他のグリコールエーテルと比較した。実施例1において記載された実験を、30℃において、ガスシールされた酸化ケイ素、ポリSiおよび窒化ケイ素について繰り返した。酸化ケイ素は10分間エッチされたのに対し、ポリSiは30分間エッチされた。
【0088】
無水組成物E1およびE2は以下を含有した。
E1
5重量%の3:1 NHF:HF
20重量%のDPGBE
75重量%のEG

E2
5重量%の3:1 NHF:HF
20重量%のDPGBE
1重量%のIDA
74重量%のEG
【0089】
30℃においての無水組成物E1のエッチ速度および選択率を表9に記載し、表6のC1(20重量%のTPGME)およびC9(20重量%のDPGPE)と比較した。
【0090】
【表11】

【0091】
表9に記載された結果は、グリコールエーテルの関数としての酸化ケイ素選択率はDPGBE>DPGPE>TPGMEであることを示す。さらに、20重量%のDPGBEを含有する組成物は、所望のエッチ選択率を生じた。
【0092】
半密度nMOSおよびpMOSデバイスを上に有するパターン化半導体デバイスウエハは60秒間30℃において組成物E2で加工された。ここに示されないが、パターン化ウエハは若干のコバルトシリサイドの腐蝕を示し、前記腐蝕は、nMOSデバイスにおいてよりもpMOSデバイスにおいてわずかに高かった。90秒まで加工の長さを増加させることによって、CoSi腐蝕量を同時に増加させ、30℃において、60秒間が好ましいエッチ時間であることを示した。
【0093】
重要なことには、半密度nMOSおよびpMOSデバイスを上に有するパターン化半導体デバイスウエハはまた、60秒間および90秒間30℃において(IDA不動態化剤を含有しない)組成物E1で加工された。E1組成物で加工されたウエハは、(1重量%のIDA不動態化剤を含有する)E2組成物で加工されたウエハよりも多いコバルトシリサイド腐蝕を示した。
【0094】
実施例6
E1およびE2組成物の多量が配合されるとき、相分離が確認され、溶剤系中のDPGBEの溶解度は20重量%に達しないことを示した。したがって、新しい組成物を、様々な量のDPGBEおよびDPGPEを使用し、不動態化剤を使用せずに調合した。実施例1において記載された実験を、30℃において、ガスシールされた酸化ケイ素、ポリSiおよび窒化ケイ素について繰り返した。酸化ケイ素は10分間エッチされたのに対し、ポリSiは30分間エッチされた。
【0095】
試験された無水組成物(F1〜F9)は、それらの各々が3:1 NHF:HFの示された重量パーセントを含有し、IDAを含有せず、以下の表10に記載される。
【0096】
【表12】

【0097】
30℃においての無水組成物F1〜F9のエッチ速度および選択率を以下の表11に記載する。
【0098】
【表13】

【0099】
重要なことには、組成物E1の酸化ケイ素:ポリSiエッチ選択率は組成物F3、F6およびF7に類似していた。それによって、DPGBE:DPGPEのより高い比を有する組成物が最も高い酸化ケイ素:ポリSiエッチ選択率を示すことが言える(例えば、F1に対してF2およびF3等を参照のこと)。さらに、また、5重量%の3:1 NHF:HFを有する組成物は最も高い酸化ケイ素:ポリSiエッチ選択率を示したが、しかしながら、4重量%の3:1 NHF:HF組成物がCoSi腐蝕を低減させるための基礎組成物として選択された。
【0100】
実施例7
新しい組成物は、不動態化剤を含有しない4重量%のNHF:HF基礎組成物中のDPGBEの量を少なくして調合された。実施例1において記載された実験を、30℃において、ガスシールされた酸化ケイ素、ポリSiおよび窒化ケイ素について繰り返した。酸化ケイ素は10分間エッチされたのに対し、ポリSiは30分間エッチされた。
【0101】
試験された無水組成物(G1およびG2)は、それらの各々が4重量%の3:1 NHF:HFを含有し、IDAを含有せず、以下の表12に記載される。
【0102】
【表14】

【0103】
30℃においての無水組成物G1およびG2のエッチ速度および選択率を表13に記載し、F4(15重量%のDPGBEおよび5重量%のDPGPE)およびF5(12重量%のDPGBEおよび8重量%のDPGPE)と比較した。
【0104】
【表15】

【0105】
組成物G1は組成物F1(5重量%の3:1 NHF:HF基礎組成物中の15重量%のDPGBEおよび5重量%のDPGPEの組合せ)ほど高い酸化ケイ素エッチ選択率を提供しなかったが、G1組成物は、1つだけのキレーターを使用することによって製造が容易であり、また、フルオリド濃度が低くなるために前述のようにCoSi腐蝕性が低くなるので、好ましい基礎組成物として選択された。
【0106】
実施例8
CoSi相互接続体材料の腐蝕をさらに制限するために、様々な腐蝕抑制剤、還元剤および不動態化剤がG1基礎組成物中に含有され、ガスシールされたウエハエッチ速度が定量された。さらに、電圧誘導CoSiガルバニック腐蝕を用いてCoSi相互接続体材料の好ましい不動態化剤を同定した。
【0107】
15重量%のDPGBEおよびエチレングリコールを含有する4重量%の3:1 NH:HF組成物を基礎調合物として選択した。試験された試料は、1cmのガスシールされたCoSi基板であり、それらを最初に4−ポイントプローブ測定技術を用いて測定して導電率の関数として基板の厚さを定量した。回帰曲線を生成し、CoSiの厚さを導電率の関数として定量し、各組成物中のCoSiのエッチ速度を得た。
【0108】
試験された無水組成物(H1〜H7)は、それらの各々が4重量%の3:1 NHF:HFおよび15重量%のDPGBEを含有し、以下の表14に記載される。
【0109】
【表16】

【0110】
20℃または30℃において無水組成物H1〜H7によってエッチされたCoSi厚さを表15に記載し、20℃または30℃において(不動態化剤、還元剤または抑制剤を含有しない)G1と比較した。
【0111】
【表17】

【0112】
表15および図2および3を参照して、評価された不動態化剤、抑制剤および還元剤のうち、0.3重量%および0.5重量%の還元剤が他の試験された種よりも良好にCoSiエッチを抑制したことを見ることができる。
【0113】
その後、0.3重量%の還元剤(アスコルビン酸)および1重量%のIDAを有する200gの基礎組成物G1中の電圧誘導CoSi腐蝕を、作用電極としてのガスシールCoSiウエハ、Pt対向電極およびAg/AgCl参照電極を用いて20℃において電気化学的に定量した。不動態化剤(すなわち、IDA)の関数としてのCoSi腐蝕データは還元剤のCoSi腐蝕データよりも良好であることが確認された。
【0114】
実施例9
実施例8の結果として、他の不動態化剤を基礎組成物に添加し、CoSi腐蝕速度を定量した。
【0115】
試験された無水組成物(J1−J3)は、それらの各々が4重量%の3:1 NHF:HFおよび15重量%のDPGBEを含有し、以下の表16に記載される。
【0116】
【表18】

【0117】
20℃または30℃においての無水組成物J1〜J3のCoSiエッチ速度を表17に記載し、それぞれ、図4、5および6に示す。
【0118】
【表19】

【0119】
重要なことには、調合物J3を水で希釈して20:1 水:J3組成物を製造し、pHを定量すると4.45であった。特に、不動態化剤およびキレーターの存在しない場合の20:1 水:J3組成物のpHは4.44である。
【0120】
したがって、本発明は、本発明の特定の態様、特徴および具体的な実施形態を参照してここに記載されたが、本発明の有用性はこのように限定されず、多数の他の態様、特徴および実施形態に及び、それらを包含することが理解されよう。したがって、特許請求の範囲は、それらの趣旨および範囲内で、全てのこのような態様、特徴および実施形態を含めるとして、相応して広く解釈されることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0121】
図面の簡単な説明
【図1A】未反応コバルトがマイクロ電子デバイスの表面から除去された後の先行技術のMOSFETゲート電極の断面である。
【図1B】本発明の組成物を用いてエッチングにより除去される「ノッチ」を示す先行技術のゲート電極の断面である。
【図2】還元剤アスコルビン酸の濃度の関数としてのコバルトシリサイドのエッチ速度を示す。
【図3】不動態化剤3−アミノ−9−メルカプト−1,2,4−トリアゾールの濃度の関数としてのコバルトシリサイドのエッチ速度を示す。
【図4】1重量%の1,3−プロピレン−ジアミン−N,N,N’,N’−四酢酸(1,3−PDTA)を含有する組成物を使用する、温度の関数としてのコバルトシリサイドのエッチ速度を示す。
【図5】1重量%のエチレンジアミン−N,N,N’,N’−四酢酸(EDTA)を含有する組成物を使用する、温度の関数としてのコバルトシリサイドのエッチ速度を示す。
【図6】2重量%のN,N−イミノジ酢酸(IDA)を含有する組成物を使用する、温度の関数としてのコバルトシリサイドのエッチ速度を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの有機溶剤と、少なくとも1つのキレート剤と、約1:1〜約10:1の比を有する塩基フルオリド:酸フルオリド成分と、を含むゲートスペーサ酸化物材料除去組成物であって、水を実質的に含有せず、ポリシリコンおよび窒化ケイ素の両方に対してゲートスペーサ酸化物材料を、かかる材料を上に有するマイクロ電子デバイスから選択的に除去するために適している、ゲートスペーサ酸化物材料除去組成物。
【請求項2】
有機溶剤の、塩基フルオリド:酸フルオリド成分に対するモル比が約1:1〜約30:1の範囲である、請求項1に記載の除去組成物。
【請求項3】
有機溶剤の、キレート剤に対するモル比が約1:1〜約30:1の範囲である、請求項1に記載の除去組成物。
【請求項4】
前記少なくとも1つの有機溶剤が、ケトン類、エーテル類、アミン類、アミド類、硫黄含有溶剤類、アルコール類、グリコール類、ポリグリコール類、およびそれらの組合せからなる群から選択された種を含む、請求項1に記載の除去組成物。
【請求項5】
前記少なくとも1つの有機溶剤が、アセトン、2−ブタノン、2−ペンタノン、3−ペンタノン、テトラヒドロフラン、モノエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリエチレンジアミン、メチルエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、ジメチルジグリコールアミン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン、アミノプロピルモルホリン、ヒドロキシエチルモルホリン、アミノエチルモルホリン、ヒドロキシプロピルモルホリン、ジグリコールアミン、N−メチルピロリジノン(NMP)、N−オクチルピロリジノン、N−フェニルピロリジノン、シクロヘキシルピロリジノン、ビニルピロリジノン、ホルムアミド、ジメチルホルムアミド、アセトアミド、ジメチルアセトアミド、テトラメチレンスルホン、ジメチルスルホキシド、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール(1,2−プロパンジオール)、ネオペンチルグリコール、ベンジルジエチレングリコール(BzDG)、ジエチレングリコールおよび高級ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコールおよび高級ポリプロピレングリコール、グリコールエーテル、ポリグリコールエーテル、グリセロール、およびそれらの組合せからなる群から選択された化合物を含む、請求項1に記載の除去組成物。
【請求項6】
前記少なくとも1つの有機溶剤がエチレングリコールを含む、請求項1に記載の除去組成物。
【請求項7】
前記少なくとも1つのキレート剤が、ブチルカルビトール、ポリエチレンエーテル類(PEG)、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールフェニルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエーテル(TPGME)、プロピレングリコールn−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールn−プロピルエーテル(DPGPE)、トリプロピレングリコールn−プロピルエーテル、プロピレングリコールn−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールn−ブチルエーテル(DPGBE)、トリプロピレングリコールn−ブチルエーテル、プロピレングリコールフェニルエーテル(フェノキシ−2−プロパノール)、およびそれらの組合せからなる群から選択された化合物を含む、請求項1に記載の除去組成物。
【請求項8】
前記少なくとも1つのキレート剤が、トリプロピレングリコールメチルエーテル(TPGME)、プロピレングリコールn−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールn−プロピルエーテル(DPGPE)、トリプロピレングリコールn−プロピルエーテル、プロピレングリコールn−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールn−ブチルエーテル(DPGBE)、およびそれらの組合せからなる群から選択されたグリコールエーテルを含む、請求項1に記載の除去組成物。
【請求項9】
前記少なくとも1つのキレート剤がDPGBEを含む、請求項1に記載の除去組成物。
【請求項10】
少なくとも不動態化剤をさらに含み、少なくとも1つの不動態化剤が、トリアゾール類、チアゾール類、テトラゾール類、イミダゾール類、ホスフェート類、ジオール類、アジン類、グリセロール類、アミノ酸類、カルボン酸類、アルコール類、アミド類、キノリン類、およびそれらの組合せからなる群から選択された種を含む、請求項1に記載の除去組成物。
【請求項11】
前記少なくとも1つの不動態化剤が、ベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール、5−フェニル−ベンゾトリアゾール、5−ニトロ−ベンゾトリアゾール、3−アミノ−5−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、1−アミノ−1,2,4−トリアゾール、ヒドロキシベンゾトリアゾール、2−(5−アミノ−ペンチル)−ベンゾトリアゾール、1−アミノ−1,2,3−トリアゾール、1−アミノ−5−メチル−1,2,3−トリアゾール、3−アミノ−1,2,4−トリアゾール、3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、3−イソプロピル−1,2,4−トリアゾール、5−フェニルチオール−ベンゾトリアゾール、ハロ−ベンゾトリアゾール(ハロ=F、Cl、BrまたはI)、ナフトトリアゾール、チアゾール、テトラゾール、イミダゾール、ホスフェート、チオール、2−メルカプトベンゾイミジゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、4−メチル−2−フェニルイミダゾール、2−メルカプトチアゾリン、5−アミノテトラゾール、5−アミノ−1,3,4−チアジアゾール−2−チオール、2,4−ジアミノ−6−メチル−1,3,5−トリアジン、チアゾール、トリアジン、メチルテトラゾール、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、1,5−ペンタメチレンテトラゾール、1−フェニル−5−メルカプトテトラゾール、ジアミノメチルトリアジン、メルカプトベンゾチアゾール、イミダゾリンチオン、メルカプトベンズイミダゾール、4−メチル−4H−1,2,4−トリアゾール−3−チオール、5−アミノ−1,3,4−チアジアゾール−2−チオール、ベンゾチアゾール、トリトリルホスフェート、インジアゾール、グリセロール、アミノ酸、カルボン酸、アルコール、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、1,2−シクロヘキサンジアミン−N,N,N’,N’−四酢酸(CDTA)、1,3−プロピレン−ジアミン−N,N,N’,N’−四酢酸(1,3−PDTA)、グアニン、アデニン、グリシン、グリセロール、チオグリセロール、ニトリロ三酢酸、サリチルアミド、イミノジ酢酸(IDA)、ベンゾグアナミン、メラミン、チオシアヌル酸、アントラニル酸、没食子酸、アスコルビン酸、サリチル酸、8−ヒドロキシキノリン、5−カルボン酸−ベンゾトリアゾール、3−メルカプトプロパノール、ホウ酸、およびそれらの組合せからなる群から選択された化合物を含む、請求項10に記載の除去組成物。
【請求項12】
前記少なくとも1つの不動態化剤がイミノジ酢酸を含む、請求項10に記載の除去組成物。
【請求項13】
有機溶剤の、キレート剤に対するモル比が約100:1〜約200:1の範囲である、請求項1に記載の除去組成物。
【請求項14】
塩基フルオリド:酸フルオリド比が約3:1〜約5:1である、請求項1に記載の除去組成物。
【請求項15】
前記塩基フルオリド:酸フルオリド成分がフッ化アンモニウムおよび重フッ化アンモニウムを含む、請求項1に記載の除去組成物。
【請求項16】
ゲートスペーサ酸化物材料の、ポリシリコンに対する選択率が約100:1〜約300:1である、請求項1に記載の除去組成物。
【請求項17】
ゲートスペーサ酸化物材料の、窒化ケイ素に対する選択率が約75:1〜約150:1である、請求項1に記載の除去組成物。
【請求項18】
pHが、水:除去組成物の20:1の希釈において測定された際に約3〜約6の範囲である、請求項1に記載の除去組成物。
【請求項19】
前記マイクロ電子デバイスがゲート電極を含む、請求項1に記載の除去組成物。
【請求項20】
ゲートスペーサ酸化物材料、金属シリサイド相互接続材料、およびそれらの組合せからなる群から選択された残留材料をさらに含む、請求項1に記載の除去組成物。
【請求項21】
前記金属シリサイド相互接続材料がコバルトシリサイドを含む、請求項20に記載の除去組成物。
【請求項22】
CoSiのエッチ速度が約1Å分−1〜約15Å分−1である、請求項21に記載の除去組成物。
【請求項23】
エチレングリコール、DPGBE、イミノジ酢酸および約3:1の比を有する塩基フルオリド:酸フルオリド成分を含む、請求項10に記載の除去組成物。
【請求項24】
1つまたは複数の容器中にゲートスペーサ酸化物材料除去組成物試薬を含むキットであって、前記除去組成物が、少なくとも1つの有機溶剤と、少なくとも1つのキレート剤と、約1:1〜約10:1の比を有する塩基フルオリド:酸フルオリド成分と、場合により少なくとも1つの不動態化剤とを含み、ポリシリコンおよび窒化ケイ素の両方に対してゲートスペーサ酸化物材料を、かかる材料を上に有するマイクロ電子デバイスから選択的に除去するために適した前記除去組成物を形成するように構成されているキット。
【請求項25】
ゲートスペーサ酸化物材料を、前記材料を上に有するマイクロ電子デバイスから除去する方法であって、前記方法が、前記ゲートスペーサ酸化物材料をマイクロ電子デバイスから少なくとも部分的に除去するために十分な時間にわたり、マイクロ電子デバイスを除去組成物と接触させる工程を含み、前記除去組成物が、少なくとも1つの有機溶剤と、少なくとも1つのキレート剤と、約1:1〜約10:1の比を有する塩基フルオリド:酸フルオリド成分とを含有し、前記除去組成物が、水を実質的に含有せず、ポリシリコンおよび窒化ケイ素の両方に対してゲートスペーサ酸化物材料を、かかる材料を上に有するマイクロ電子デバイスから選択的に除去するために適している方法。
【請求項26】
前記接触させる工程が、約1分〜約30分の時間行なわれる、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記接触させる工程が、約20℃〜約30℃の範囲の温度において行なわれる、請求項25に記載の方法。
【請求項28】
前記マイクロ電子デバイスがゲート電極を含む、請求項25に記載の方法。
【請求項29】
前記除去組成物が少なくとも1つの不動態化剤をさらに含む、請求項25に記載の方法。
【請求項30】
前記有機溶剤が、アセトン、2−ブタノン、2−ペンタノン、3−ペンタノン、テトラヒドロフラン、モノエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリエチレンジアミン、メチルエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、ジメチルジグリコールアミン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン、アミノプロピルモルホリン、ヒドロキシエチルモルホリン、アミノエチルモルホリン、ヒドロキシプロピルモルホリン、ジグリコールアミン、N−メチルピロリジノン(NMP)、N−オクチルピロリジノン、N−フェニルピロリジノン、シクロヘキシルピロリジノン、ビニルピロリジノン、ホルムアミド、ジメチルホルムアミド、アセトアミド、ジメチルアセトアミド、テトラメチレンスルホン、ジメチルスルホキシド、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール(1,2−プロパンジオール)、ネオペンチルグリコール、ベンジルジエチレングリコール(BzDG)、ジエチレングリコールおよび高級ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコールおよび高級ポリプロピレングリコール、グリコールエーテル、ポリグリコールエーテル、グリセロール、およびそれらの組合せからなる群から選択された種を含み、
前記キレート剤が、ブチルカルビトール、ポリエチレンエーテル(PEG)、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールフェニルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエーテル(TPGME)、プロピレングリコールn−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールn−プロピルエーテル(DPGPE)、トリプロピレングリコールn−プロピルエーテル、プロピレングリコールn−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールn−ブチルエーテル(DPGBE)、トリプロピレングリコールn−ブチルエーテル、プロピレングリコールフェニルエーテル(フェノキシ−2−プロパノール)、およびそれらの組合せからなる群から選択された化合物を含み、
前記不動態化剤が、ベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール、5−フェニル−ベンゾトリアゾール、5−ニトロ−ベンゾトリアゾール、3−アミノ−5−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、1−アミノ−1,2,4−トリアゾール、ヒドロキシベンゾトリアゾール、2−(5−アミノ−ペンチル)−ベンゾトリアゾール、1−アミノ−1,2,3−トリアゾール、1−アミノ−5−メチル−1,2,3−トリアゾール、3−アミノ−1,2,4−トリアゾール、3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、3−イソプロピル−1,2,4−トリアゾール、5−フェニルチオール−ベンゾトリアゾール、ハロ−ベンゾトリアゾール(ハロ=F、Cl、BrまたはI)、ナフトトリアゾール、チアゾール、テトラゾール、イミダゾール、ホスフェート、チオール、2−メルカプトベンゾイミジゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、4−メチル−2−フェニルイミダゾール、2−メルカプトチアゾリン、5−アミノテトラゾール、5−アミノ−1,3,4−チアジアゾール−2−チオール、2,4−ジアミノ−6−メチル−1,3,5−トリアジン、チアゾール、トリアジン、メチルテトラゾール、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、1,5−ペンタメチレンテトラゾール、1−フェニル−5−メルカプトテトラゾール、ジアミノメチルトリアジン、メルカプトベンゾチアゾール、イミダゾリンチオン、メルカプトベンズイミダゾール、4−メチル−4H−1,2,4−トリアゾール−3−チオール、5−アミノ−1,3,4−チアジアゾール−2−チオール、ベンゾチアゾール、トリトリルホスフェート、インジアゾール、グリセロール、アミノ酸、カルボン酸、アルコール、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、1,2−シクロヘキサンジアミン−N,N,N’,N’−四酢酸(CDTA)、1,3−プロピレン−ジアミン−N,N,N’,N’−四酢酸(1,3−PDTA)、グアニン、アデニン、グリシン、グリセロール、チオグリセロール、ニトリロ三酢酸、サリチルアミド、イミノジ酢酸(IDA)、ベンゾグアナミン、メラミン、チオシアヌル酸、アントラニル酸、没食子酸、アスコルビン酸、サリチル酸、8−ヒドロキシキノリン、5−カルボン酸−ベンゾトリアゾール、3−メルカプトプロパノール、ホウ酸、およびそれらの組合せからなる群から選択された化合物を含み、
前記塩基フルオリド:酸フルオリド成分がフッ化アンモニウムおよび重フッ化アンモニウムを含む、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記接触させる工程が、前記除去組成物を前記マイクロ電子デバイスの表面上に吹き付ける工程と、前記マイクロ電子デバイスを十分な体積の除去組成物中に浸漬する工程と、前記マイクロ電子デバイスの表面を、前記除去組成物を吸収させた別の材料と接触させる工程と、前記マイクロ電子デバイスを循環除去組成物と接触させる工程とからなる群から選択されたプロセスを含む、請求項25に記載の方法。
【請求項32】
前記除去組成物との接触の後に前記マイクロ電子デバイスを脱イオン水ですすぐ工程をさらに含む、請求項25に記載の方法。
【請求項33】
前記除去組成物が、ゲートスペーサ酸化物材料、金属シリサイド相互接続材料、およびそれらの組合せからなる群から選択された残留材料をさらに含む、請求項25に記載の方法。
【請求項34】
前記金属シリサイド相互接続材料がコバルトシリサイドを含む、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
CoSiのエッチ速度が約1Å分−1〜約15Å分−1である、請求項34に記載の方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2009−512195(P2009−512195A)
【公表日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−534677(P2008−534677)
【出願日】平成18年10月4日(2006.10.4)
【国際出願番号】PCT/US2006/038931
【国際公開番号】WO2007/044447
【国際公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【出願人】(599006351)アドバンスド テクノロジー マテリアルズ,インコーポレイテッド (141)
【Fターム(参考)】