説明

コネクタ、電気接合構造体、コネクタとプリント配線板との接合方法

【課題】加熱による熱を有効に利用することで、コネクタと配線部を備えたプリント配線板との接合固定及び電気接合を強固且つ容易に行うことができるコネクタと、該コネクタと配線部を備えたプリント配線板とからなる電気接合構造体と、前記コネクタと前記配線部を備えたプリント配線板との接合方法の提供を課題とする。
【解決手段】プリント配線板100の配線部120上に接合用材300を介して配置され、加熱と加圧とを受けることで、前記プリント配線板100上に接合固定され、これによって配線部120との電気接合も完成されるようにしたコネクタ200であって、前記コネクタ200には、前記プリント配線板100との接合面212に、前記プリント配線板100の配線部120に対応する導体部220を設けると共に、該導体部220を前記接合面212から前記加熱を受ける受熱面214まで延長させて配設してある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタ、該コネクタと配線部を備えたプリント配線板とからなる電気接合構造体、前記コネクタと前記配線部を備えたプリント配線板との接合方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光デバイス及び電子デバイスを含むモジュールにおいては、電気配線を行うための導体部として、金属めっき部を外表面に備えたコネクタ(フェルール)を基板の配線部上に配置するものが用いられている。
このようなものとして下記特許文献1がある。
下記特許文献1は、光電気複合部品に関する発明で、光デバイス及び電子デバイスを含むモジュールのコンパクト化を可能にする光電気複合部品が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−115284号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
またこのようなモジュールにおいては、コネクタ(フェルール)の金属めっき部と基板の配線部との接合方法として、ハンダが用いられたりする。
しかしながら、コネクタ(フェルール)の金属めっき部と基板の配線部との接合方法として、ハンダを用いる場合、工程が複雑になると共に、金属めっき部のピッチ幅が小さいものに対してはハンダ付けを行うことができないという問題があった。また金属めっき部のピッチ幅を小さくできないことから、モジュールの小型化を図ることができないという問題があった。
【0005】
そこで本発明は上記従来における問題点を解決し、加熱による熱を有効に利用することで、コネクタと配線部を備えたプリント配線板との接合固定及び電気接合を強固且つ容易に行うことができると共に、モジュールの小型化を図ることができるコネクタと、該コネクタと配線部を備えたプリント配線板とからなる電気接合構造体と、前記コネクタと前記配線部を備えたプリント配線板との接合方法の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のコネクタは、プリント配線板の配線部上に接合用材を介して配置され、加熱と加圧とを受けることで、前記プリント配線板上に接合固定され、これによって前記プリント配線板の配線部との電気接合も完成されるようにしたコネクタであって、前記コネクタには、前記プリント配線板との接合面に、前記プリント配線板の配線部に対応する導体部を設けると共に、該導体部を前記接合面から前記加熱を受ける受熱面まで延長させて配設してあることを第1の特徴としている。
【0007】
上記本発明の第1の特徴によれば、プリント配線板の配線部上に接続用材を介して配置され、加熱と加圧とを受けることで、前記プリント配線板上に接合固定され、これによって前記プリント配線板の配線部との電気接合も完成されるようにしたコネクタであって、前記コネクタには、前記プリント配線板との接合面に、前記プリント配線板の配線部に対応する導体部を設けると共に、該導体部を前記接合面から前記加熱を受ける受熱面まで延長させて配設してある構成としてあることから、受熱面で受けた熱を導体部を介して確実に接合面に伝熱させることができる。よって受熱面で受けた熱を有効に利用してコネクタとプリント配線板との接合を行うことができる。
【0008】
また本発明のコネクタは、上記本発明の第1の特徴に加えて、受熱面は、プリント配線板との接合面に対応する背面として構成してあることを第2の特徴としている。
【0009】
上記本発明の第2の特徴によれば、上記本発明の第1の特徴による作用効果に加えて、受熱面は、プリント配線板との接合面に対応する背面として構成してあることから、プリント配線板との接合面に対応する背面で受けた熱を導体部を介して確実に接合面に伝熱させることができる。
【0010】
また本発明のコネクタは、上記本発明の第2の特徴に加えて、受熱面は、加圧を受ける受圧面と同一面に構成してあることを第3の特徴としている。
【0011】
上記本発明の第3の特徴によれば、上記本発明の第2の特徴による作用効果に加えて、受熱面は、加圧を受ける受圧面と同一面に構成してあることから、接合面に対して圧力と熱とを同時に加えることができる。
【0012】
また本発明のコネクタは、上記本発明の第1〜第3の何れか1つの特徴に加えて、接合面から受熱面まで延長させて配設してある導体部の一部に外部配線接続用の接続部を設けてあることを第4の特徴としている。
【0013】
上記本発明の第4の特徴によれば、上記本発明の第1〜第3の何れか1つの特徴による作用効果に加えて、接合面から受熱面まで延長させて配設してある導体部の一部に外部配線接続用の接続部を設けてあることから、外部配線との接続を容易に行うことができるコネクタとすることができる。
【0014】
また本発明のコネクタは、上記本発明の第1〜第4の何れか1つの特徴に加えて、導体部は、所定の間隔を有して平行に配設した複数本の導線体の集合からなることを第5の特徴としている。
【0015】
上記本発明の第5の特徴によれば、上記本発明の第1〜第4の何れか1つの特徴による作用効果に加えて、導体部は、所定の間隔を有して平行に配設した複数本の導線体の集合からなる構成としてあることから、プリント配線板の配線部との電気接合や異なるデバイス同士の電気接合を複数箇所で行うことができ、機能的なコネクタとすることができる。
【0016】
また本発明のコネクタは、上記本発明の第1〜第5の何れか1つの特徴に加えて、接合用材は、異方性導電フィルム、異方性導電ペーストを含む異方性導電材であること第6の特徴としている。
【0017】
上記本発明の第6の特徴によれば、上記本発明の第1〜第5の何れか1つの特徴による作用効果に加えて、接合用材は、異方性導電フィルム、異方性導電ペーストを含む異方性導電材であることから、加圧方向にのみ導電性を有すると共に、加熱に伴う熱硬化で接着性を有する接合用材とすることができる。
【0018】
また本発明のコネクタは、上記本発明の第1〜第6の何れか1つの特徴に加えて、光ファイバ用の接続部を設けてあることを第7の特徴としている。
【0019】
上記本発明の第7の特徴によれば、上記本発明の第1〜第6の何れか1つの特徴による作用効果に加えて、光ファイバ用の接続部を設けてあることから、光ファイバ用のコネクタとして用いることができる。
【0020】
また本発明の電気接合構造体は、請求項1〜7の何れか1つに記載のコネクタと、配線部を備えたプリント配線板とからなる電気接合構造体であって、前記コネクタは、接合用材を介して前記プリント配線板上に接合固定され、且つ前記プリント配線板の配線部との電気接合も完成されていることを第8の特徴としている。
【0021】
上記本発明の第8の特徴によれば、請求項1〜7の何れか1つに記載のコネクタと、配線部を備えたプリント配線板とからなる電気接合構造体であって、前記コネクタは、接合用材を介して前記プリント配線板上に接合固定され、且つ前記プリント配線板の配線部との電気接合も完成されている構成としてあることから、受熱面で受けた熱を有効に利用して、コネクタを配線部を備えたプリント配線板上に接合固定させると共に、プリント配線板の配線部との電気接合も完成させることができる。
【0022】
また本発明のコネクタと配線部を備えたプリント配線板との接合方法は、請求項1〜7の何れか1項に記載のコネクタと、配線部を備えたプリント配線板との接合方法であって、前記コネクタを前記プリント配線板上に接合用材を介して配置し、その状態で前記コネクタを前記プリント配線板方向に加圧すると共に、受熱面で受けた熱を導体部を介して接合面まで伝熱させ、これによって前記コネクタを前記プリント配線板上に接合固定させると共に、前記プリント配線板の配線部との電気接合も完成させることを第9の特徴としている。
【0023】
上記本発明の第9の特徴によれば、請求項1〜7の何れか1項に記載のコネクタと、配線部を備えたプリント配線板との接合方法であって、前記コネクタを前記プリント配線板上に接合用材を介して配置し、その状態で前記コネクタを前記プリント配線板方向に加圧すると共に、受熱面で受けた熱を導体部を介して接合面まで伝熱させ、これによって前記コネクタを前記プリント配線板上に接合固定させると共に、前記プリント配線板の配線部との電気接合も完成させる構成としてあることから、受熱面で受けた熱を有効に利用して、コネクタを配線部を備えたプリント配線板上に接合固定させると共に、プリント配線板の配線部との電気接合も完成させることができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明のコネクタ、該コネクタと配線部を備えたプリント配線板とからなる電気接合構造体、前記コネクタと前記配線部を備えたプリント配線板との接合方法によれば、加熱による熱を有効に利用することで、コネクタと配線部を備えたプリント配線板との接合固定及び電気接合を強固且つ容易に行うことができると共に、モジュールの小型化を図ることができるコネクタ、該コネクタと配線部を備えたプリント配線板とからなる電気接合構造体、前記コネクタと前記配線部を備えたプリント配線板との接合方法とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施形態に係る電気接合構造体を示す斜視図である。
【図2】電気接合構造体を示し、(a)は図1のA−A線方向における断面図の一部で、(b)は図1のB−B線方向における断面図の一部である。
【図3】本発明の実施形態に係る電気接合構造体の形成方法を簡略化して示す図である。
【図4】本発明の実施形態に係る電気接合構造体を構成するコネクタの変形例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下の図面を参照して、本発明の実施形態に係る電気接合構造体及び該電気接合構造体の形成方法を説明し、本発明の理解に供する。しかし、以下の説明は本発明の実施形態であって、特許請求の範囲に記載の内容を限定するものではない。
【0027】
まず図1、図2を参照して、本発明の実施形態に係る電気接合構造体を説明する。
【0028】
本発明の実施形態に係る電気接合構造体1は、光電変換モジュールとして利用されるものであり、図1、図2に示すように、プリント配線板100と、コネクタ200と、接合用材300とから構成される。具体的には、図1(b)に示すように、光ファイバ400を電気接合構造体1の接合用穴211に挿入し、図示しないVCSEL(Vertical Cavity Surface Emitting Laser=面発光レーザー)、IC(Integrated Circuit=集積回路)等と接続することで、光電変換モジュールとして利用される。
【0029】
前記プリント配線板100は、配線部を備えたプリント基板であり、図1、図2に示すように、基板110と、配線部120とから構成される。
プリント配線板100としては、フレキシブルプリント配線板、プリント回路板、リジット配線板、ガラス回路基板等、プリント配線板として通常用いられるものであれば如何なるものであってもよい。
【0030】
前記コネクタ200は、プリント配線板100の配線部120上に配置され、光ファイバ400を位置決め保持すると共に、光デバイス、電子デバイス等の異なるデバイス同士や、それらのデバイスとプリント配線板100とを電気接合するためのコネクタである。
このコネクタ200は、図1、図2に示すように、母材210と、導体部220とから構成される。
【0031】
前記母材210は、コネクタ200の母体となるものであり、樹脂で形成されている。
樹脂としては、コネクタを形成する樹脂として通常用いられるものであれば如何なるものであってもよい。例えば、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリフェニルレンサルファイド樹脂を用いることができる。このような構成とすることで、機械的強度、耐熱性に優れたコネクタ200とすることができる。
また母材210には、図1、図2に示すように、光ファイバ400用の接続部たる接続用穴211を設けてある。
【0032】
前記導体部220は、配線部120とコネクタ200とを電気接合させると共に、光デバイス、電子デバイス等の異なるデバイス同士や、それらのデバイスとプリント配線板100とを電気接合させるためのものである。
この導体部220は、図1、図2に示すように、導線体221と、接続用穴222とから構成される。
【0033】
前記導線体221は、図2(b)に示すように、母材210のプリント配線板100との接合面212に、配線部120に対応するように設けてある。このような構成とすることで、導線体221と配線部120とを位置決めした状態で、接合用材300を介してコネクタ200とプリント配線板100とを接合固定することで、コネクタ200とプリント配線板100との電気接合も完成させることができる。
なお導線体221としては、銅箔等、導線として通常用いられるものであれば、如何なるものであってもよい。
【0034】
また図2に示すように、この導線体221は、接合面212から側面213を経て、受熱面214まで延長させて配設してある。
このような構成とすることで、側面213、受熱面214の導線体221に、異なるデバイスを接合させることで、異なるデバイス同士や、それらのデバイスとプリント配線板100とを電気接合させることができる。
【0035】
また導線体221は、図1、図2に示すように、所定の間隔を有した4本を平行に配設してある。つまり導体部220は、所定の間隔を有し、平行に配設された複数本の導線体221の集合からなる。このような構成とすることで、プリント配線板100の配線部120との電気接合や異なるデバイス同士の電気接合を複数箇所で行うことができ、機能的なコネクタ200とすることができる。
【0036】
また導体部220には、図1、図2に示すように、光ファイバ400用の接続部たる接続用穴222を設けてある。
【0037】
前記接合用材300は、コネクタ200をプリント配線板100上に接合固定させると共に、コネクタ200とプリント配線板100の配線部120との電気接合も完成させるためのものである。
【0038】
接合用材300としては、導電性粒子を含有する導電性接着剤や異方性導電材を用いることができる。このような構成とすることで、コネクタ200の導体部220及びプリント配線板100の配線部120のピッチ幅が小さい場合であっても、コネクタ200をプリント配線板100上に良好に接合固定させることができ、これによってプリント配線板100の配線部120との電気接合も良好に行うことができる。よってモジュールの小型化を図ることができる電気接合構造体1とすることができる。
【0039】
導電性接着剤としては、エポキシ樹脂等の絶縁性の熱硬化性樹脂を主成分とし、当該樹脂中に導電性粒子が分散されたものを用いることができる。例えば、エポキシ樹脂にニッケル、銅、銀、金、或いは黒鉛等の導電性粒子の粉末が分散されたものを用いることができる。
また熱硬化性樹脂としては、例えばエポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、尿素樹脂、ポリイミド樹脂を用いることができる。これらの熱硬化性樹脂を用いることで、接合用材300の耐熱性、接着力を向上させることができる。
【0040】
また導電性接着剤として、潜在性硬化剤を含有する接着剤を使用することもできる。この潜在性硬化剤は、低温での貯蔵安定性に優れ、室温では殆ど硬化反応を起こさないが、熱や光等により、速やかに硬化反応を行う硬化剤である。この潜在性硬化剤としては、イミダゾール系、ヒドラジド系、三フッ化ホウ素―アミン錯体、アミンイミド、ポリアミン系、第3級アミン、アルキル尿素系等のアミン系、ジシアンジアミド系、酸無水物系、フェノール系、及びこれらの変性物が例示され、これらは単独又は2種以上の混合物として使用される。
【0041】
また異方性導電材としては、異方性導電フィルムや異方性導電ペーストを用いることができる。このように異方性導電材を用いることで、加圧方向にのみ導電性を有すると共に、加熱に伴う熱硬化で接着性を有する接合用材300とすることができる。
なお異方性導電フィルム、異方性導電ペーストとしては、エポキシ樹脂、アクリル樹脂等、異方性導電材として通常用いられるものであれば、如何なるものであってもよい。
また導電粒子の形状も柱状、球状、円盤状、板状、針状等、導電粒子として通常用いられる形状であれば如何なるものであってもよい。
【0042】
次に図2、図3を参照して、電気接合構造体1の形成方法及び配線部120を備えたプリント配線板100とコネクタ200との接合方法を説明する。
【0043】
まず図3(a)を参照して、プリント配線板100の配線部120上に、異方性導電フィルム310を載置する。そして異方性導電フィルム310を80度に加熱した状態で、プリント配線板100方向へ0.5MPaの圧力で加圧し、異方性導電フィルム310をプリント配線板100上に仮接着する。
なお異方性導電フィルム310の加熱温度及び加圧力等の条件は、本実施形態のものに限るものではなく、適宜変更可能である。
【0044】
そして図3(b)に示すように、プリント配線板100の配線部120と、コネクタ200の導体部220との位置合わせをしながら、コネクタ200を異方性導電フィルム310上に載置することにより、プリント配線板100とコネクタ200との間に異方性導電フィルム310を介在させる。
【0045】
そしてコネクタ200の受熱面214を180度に加熱する。
ここで導体部220は、図2(a)に示すように、接合面212から側面213を介して加熱を受ける受熱面214まで延長させて配設してある。よって受熱面214に加えられた熱は、受熱面214に配設された導体部220から側面213に配設された導体部220を介して接合面212に配設された導体部220にまで伝熱する。従ってこの伝熱により異方性導電フィルム310を溶融させることができる。
【0046】
同時にコネクタ200の受圧面215を2MPaの圧力で10秒間プリント配線板100方向へ加圧する。より具体的には、受圧面215に配設してある導体部220をプリント配線板100方向へ加圧する。
ここで受圧面215は、図2(b)に示すように、受熱面214と同一面としてある。また受熱面214は、図2(b)に示すように、プリント配線板100との接合面212に対応する背面として構成してある。よって受熱面214と同一面である受圧面215も接合面212に対応する背面となる。
更に図2(b)に示すように、受圧面215に配設してある導体部220は、受圧面215の背面である接合面212に配設してある導体部220に対応した位置に設けてある。
【0047】
従って、受圧面215に配設してある導体部220をプリント配線板100方向に加圧することで、図2(b)に示すように、異方性導電フィルム310において、配線部120と接合面212に配設してある導体部220との間にあるL部分のみを加圧することができる。よってL部分のみを導通する経路とすることができる。
また異方性導電フィルム310におけるL部分以外のM部分は熱硬化することで、コネクタ200をプリント配線板100上に接合固定させることができる。
【0048】
以上の工程を経ることで、配線部120を備えたプリント配線板100とコネクタ200との接合が完成され、電気接合構造体1が形成される。
なおコネクタ200の加熱温度及び加圧力等の条件は、本実施形態のものに限るものではなく、適宜変更可能である。
【0049】
このようにプリント配線板100の配線部120と、コネクタ200の導体部220との間に異方性導電フィルム310を介在させ、受圧面215への加圧と、受熱面214への加熱とを同時に行うことで、加熱による熱を有効に利用してコネクタ200をプリント配線板100上に強固且つ容易に接合固定させることができる。またこれによってプリント配線板100の配線部120との電気接合も容易に完成させることができる。
従って工程の簡略化を図ることができ、低コスト化を図ることができる電気接合構造体1及び配線部120を備えたプリント配線板100とコネクタ200との接合方法とすることができる。
【0050】
またコネクタ200の導体部220及びプリント配線板100の配線部120のピッチ幅が小さい場合であっても、コネクタ200をプリント配線板100上に良好に接合固定させることができ、これによってプリント配線板100の配線部120との電気接合も良好に行うことができる。よってモジュールの小型化を図ることができる電気接合構造体1及び配線部120を備えたプリント配線板100とコネクタ200との接合方法とすることができる。
【0051】
なおコネクタ200における導体部220の形成方法としては、射出成形、めっき、導電性ペースト印刷、導電性薄膜の接着等を用いることができる。
また導体部220を構成する導線体221の厚みは、50μm〜200μmであることが望ましく、幅は、配線部120の幅と略同一であることが望ましい。また隣接する導線体221のピッチ幅は、100μm程度であることが望ましい。
また異方性導電フィルム310の大きさは、図3に示すように、コネクタ200の接合面212と略同一程度の大きさとすることが望ましい。
【0052】
次に図4を参照して、本発明の実施形態に係る電気接合構造体を構成するコネクタの変形例を説明する。
このコネクタ200は、既述した本発明の実施形態に係る電気接合構造体1を構成するコネクタと比べ、接合面212から受熱面214まで延長させて配設してある導体部220の一部に、外部配線接続用の接続部230を設けてある。その他の構成は、既述した本発明の実施形態に係る電気接合構造体を構成するコネクタと同一である。同一部材、同一機能を果たすものには同一記号を付して以下の説明を省略する。
【0053】
このように接合面212から受熱面214まで延長させて配設してある導体部220の一部に外部配線接続用の接続部230を設ける構成とすることで、接続部230に対応する接続部を有する光デバイス、電子デバイス等を接続部230と接続させるだけで、相互の連結と電気接続とを行うことができる。よって外部配線との接続を容易に行うことができる電気接合構造体1とすることができる。
なお接続部230の形状、大きさ等は、本変形例のものに限るものではなく、外部配線との接続を行うことができるものであれば、突条、溝条等、如何なるものであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明は光デバイス及び電子デバイスを含むモジュールにおけるコネクタとして利用することができる。
【符号の説明】
【0055】
1 電気接合構造体
100 プリント配線板
110 基板
120 配線部
200 コネクタ
210 母材
211 接続用穴
212 接合面
213 側面
214 受熱面
215 受圧面
220 導体部
221 導線体
222 接続用穴
230 接続部
300 接合用材
310 異方性導電フィルム
400 光ファイバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリント配線板の配線部上に接合用材を介して配置され、加熱と加圧とを受けることで、前記プリント配線板上に接合固定され、これによって前記プリント配線板の配線部との電気接合も完成されるようにしたコネクタであって、前記コネクタには、前記プリント配線板との接合面に、前記プリント配線板の配線部に対応する導体部を設けると共に、該導体部を前記接合面から前記加熱を受ける受熱面まで延長させて配設してあることを特徴とするコネクタ。
【請求項2】
受熱面は、プリント配線板との接合面に対応する背面として構成してあることを特徴とする請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
受熱面は、加圧を受ける受圧面と同一面に構成してあることを特徴とする請求項2に記載のコネクタ。
【請求項4】
接合面から受熱面まで延長させて配設してある導体部の一部に外部配線接続用の接続部を設けてあることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載のコネクタ。
【請求項5】
導体部は、所定の間隔を有して平行に配設した複数本の導線体の集合からなることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載のコネクタ。
【請求項6】
接合用材は、異方性導電フィルム、異方性導電ペーストを含む異方性導電材であることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載のコネクタ。
【請求項7】
光ファイバ用の接続部を設けてあることを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載のコネクタ。
【請求項8】
請求項1〜7の何れか1項に記載のコネクタと、配線部を備えたプリント配線板とからなる電気接合構造体であって、前記コネクタは、接合用材を介して前記プリント配線板上に接合固定され、且つ前記プリント配線板の配線部との電気接合も完成されていることを特徴とする電気接合構造体。
【請求項9】
請求項1〜7の何れか1項に記載のコネクタと、配線部を備えたプリント配線板との接合方法であって、前記コネクタを前記プリント配線板上に接合用材を介して配置し、その状態で前記コネクタを前記プリント配線板方向に加圧すると共に、受熱面で受けた熱を導体部を介して接合面まで伝熱させ、これによって前記コネクタを前記プリント配線板上に接合固定させると共に、前記プリント配線板の配線部との電気接合も完成させることを特徴とするコネクタと配線部を備えたプリント配線板との接合方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−250957(P2010−250957A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−96039(P2009−96039)
【出願日】平成21年4月10日(2009.4.10)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】