コンクリートブロック及びその製造方法
【課題】型枠を複雑な形状にすることなく、複雑な表層形状をもったコンクリートブロックを容易に製造する。
【解決手段】型枠10内に複数の崩壊粒20が配設された後、コンクリート材料22が流し込まれ、これによってコンクリートブロック12が製造される。コンクリートブロック12の製造時において各崩壊粒20は成型要素として働き、コンクリートブロック12の設置後において各崩壊粒20はそれが崩壊して空洞を生じさせる働きを発揮する。
【解決手段】型枠10内に複数の崩壊粒20が配設された後、コンクリート材料22が流し込まれ、これによってコンクリートブロック12が製造される。コンクリートブロック12の製造時において各崩壊粒20は成型要素として働き、コンクリートブロック12の設置後において各崩壊粒20はそれが崩壊して空洞を生じさせる働きを発揮する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はコンクリートブロック及びその製造方法に関し、特に、型枠により製造されるコンクリートブロックの構造に関する。
【背景技術】
【0002】
コンクリートブロックとしては様々なものが実用化されている。例えば、道路や河川の壁面を構成するコンクリートブロック、建築物の壁や塀を構成するコンクリートブロック、海中や河川に投入して使用されるコンクリートブロック、等がある。
【0003】
コンクリートブロックの製造に当たっては、一般に型枠が使用される。すなわち、所望の形状を有する型枠内にコンクリート材料が流し込まれ、それを硬化したものとして、コンクリート製品であるコンクリートブロックが製造される。複雑な形状をもったコンクリートブロックを製造したい場合には、それに合わせて複雑な形状を有する型枠を使用する必要がある。しかし、型抜きの都合上、一般に、コンクリートブロックに表面側から奥行き方向に広がった空洞を形成することは困難である。
【0004】
近時、様々な緑化用コンクリートブロックが提案されているが、上記の理由から、そのコンクリートブロックに複数の緑化ポット(あるいは植栽ポット)を簡便に形成することの困難性が指摘されている。また、緑化に当たっては、蔓状の植物(例えば蔦植物)でコンクリートブロックの表面全体が覆われるようにするのが望ましい。そのような植物が繁殖し易く、加えて風雨に晒されてもそれがちぎれずに保全できるコンクリートブロックが要望されている。更に、多数の空洞を有するコンクリートブロックには様々な活用方法が考えられるが、そのようなコンクリートブロックを簡便に製造する方法の実現が望まれている。
【0005】
なお、岩石破砕によって人工的に骨材や砂を製造する工程(特に湿式製砂工程)を実行した結果、廃材として汚泥ケーキが生じる。汚泥ケーキは、骨材や砂として利用できない高粘度をもった粘土状の部材である。汚泥ケーキから汚泥粒(汚泥球)を製造し、その汚泥粒を路盤材等として用いることが提案されている。廃材を資源として利用する観点から、汚泥粒についての他の利用方法が求められている。
【0006】
特許文献1には、底面から突出した複数の突起を有する型枠を用いたコンクリート製品の製造方法が示されている。各突起にはコンクリート打設前に粘土状の土砂が貼着されている。この粘土状の土砂はその内部に含まれる種子や植物の切片を完全に覆ってそれらを打設コンクリート材料から隔離するためのものである。脱型後のコンクリート製品の内部には上記の粘土状の土砂が残留し、そこが植生基盤として利用されている。しかし、この特許文献1には崩壊性を積極的に利用することについては記載されていない。また、この特許文献1に記載された方法では複雑な形状を有する型枠を利用する必要がある。更に、この特許文献1には蔓状植物をブロック表面に這わせてその生育を助けるための構成については記載されていない。特許文献2には、コルクチップ等の多孔性又は多泡性の物質を含有する緑化コンクリート製品が開示されている。特許文献3及び特許文献4には、崩壊性を有するコンクリート製品が記載されているが、崩壊性はコンクリート材料それ自体の性質であり、また、コンクリート製品の形態や構造については記載されていない。特許文献5にはポーラスコンクリート層と普通コンクリート層とを有するコンクリート製品が記載されている。
【0007】
【特許文献1】特開2003−310046号公報
【特許文献2】特開平8−118327号公報
【特許文献3】特開2005−281070号公報
【特許文献4】特開2004−359511号公報
【特許文献5】特開2004−285683号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、部分的崩壊性を有する新しいコンクリートブロックを提供することにある。
【0009】
本発明の他の目的は、型抜きに馴染まない形状をもったコンクリートブロックを簡単に製造できるようにすることにある。
【0010】
本発明の他の目的は、植物や生物の生育、保全に適したコンクリートブロックを提供することにある。
【0011】
本発明の他の目的は、多数の空洞を有するコンクリートブロックの新しい製造方法を提供することにある。
【0012】
本発明の他の目的は、廃材を産業用資源として活用することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、ブロック表面に沿って配列され且つブロック表面上に部分的に露出する複数の表層内崩壊性要素を含み、外部からの浸食作用により部分的又は全体的に崩壊し得る崩壊性要素群と、前記崩壊性要素群の隙間に充填され、ブロック本体を構成するコンクリート材料と、を有し、前記各崩壊性要素は、前記コンクリート材料の成形時に前記コンクリート材料に対する成形要素として機能し、且つ、前記コンクリート材料の成形後における崩壊により前記コンクリート材料内に空洞を生じさせる要素として機能する、ことを特徴とするコンクリートブロックに関する。
【0014】
上記構成によれば、コンクリートブロック内には、複数の表層内崩壊要素を含む崩壊性要素群が設けられる。崩壊性要素群は、複数の表層内崩壊要素だけで構成されてもよいが、もちろん更に他の崩壊性要素を含んで構成されてもよい。各崩壊性要素は製造時に成形要素として機能し、その後、崩壊により空洞を生じさせる要素として機能する。すなわち、各崩壊性要素は、製造時においてその原形を維持するが(コンクリート材料の打設時にも簡単には変形、崩壊せず、その原形を実質的に維持するものであるのが望ましいが、少々の変形、崩壊があっても通常は格別問題とならない)、製造後あるいは使用時において、外部からの侵食作用によって崩壊し得るという特質を有する。その浸食作用は、自然環境、例えば降雨進入、海水進入により生じるものである。但し、製造後の洗浄処理により強制的に生じさせることもできる。自然環境による場合には、通常、経時的に侵食、崩壊が徐々に進行することになる。その進行度合いは各崩壊性要素を構成する材料の組成調整による。このように、各崩壊性要素が一種の残留型枠として機能するが、その全部又は一部は崩壊してコンクリート材料内に空洞を生じさせており、各崩壊性要素は2つの機能を段階的に発揮するものである。
【0015】
複数の表層内崩壊性要素も上記の崩壊性要素である。但し、各表層内崩壊性要素は、ブロック表層内にブロック表面に沿った状態で(望ましくは内接した状態で)配置されているので、コンクリートブロックを成形するための型枠を格別複雑な形状にすることなく、コンクリートブロックの表層内に複数の空洞を事後的に形成できる。もちろん、型枠に対して各要素を位置決め配置するための構造(例えば凹部や凸状リング)を設けてもよい。露出条件が満足される限りにおいて、ブロック表面レベルと要素表面レベルを完全に一致させなくてもよい。例えば、前者よりも後者が前方(外側)へ突出していてもよいし、前者よりも後者が奥側に幾分引っ込んでいてもよい。いずれにしても、各表層内崩壊性要素がブロック表面に露出し、つまり、各表層内崩壊性要素へ侵食を及ぼすための(そして崩壊した要素材料が状況に応じて放出されるための)開口(あるいは通過路)がブロック表面に現れる。そのような開口はコンクリートブロックの脱型時点で形成されるのが望ましいが、加工作業によって形成することも可能である。表層内崩壊性要素以外の奥側に存在する崩壊性要素の場合、1又は複数の他の崩壊性要素を経由して間接的に外界と連通した状態が形成されるのが望ましい。複数の表層内崩壊要素は望ましくは整列配置されるが、ランダム配置されてもよい。
【0016】
各崩壊性要素は、空洞や収容空間の形成、コンクリート打設時の耐性等の観点から、ボール状、球状といった丸みを帯びた形態を有するものであるのが望ましい。特に、ブロック表面からブロック内部方向へ肥大した形態を有するものであるのが望ましい。但し、それ以外の形態を採用することもできる。そのサイズも目的や用途に応じて適宜定めることができる。望ましくは、各崩壊性要素は岩石から骨材又は砂を製造した後に生じる粘土状の廃材を含むものである。このような廃材を利用すれば材料のリサイクルを促進して資源の有効利用ひいては環境保全に貢献できる。そのような廃材には必要に応じて、コンクリート打設時においてその形状が維持されるように(堅牢性を担保するために)石灰、セメント等が事前に添加される。但し、要求される崩壊速度との兼ね合いにおいて、その硬度を調整するのが望ましい。崩壊性要素には、必要に応じて、養分、養土、種子、等が添加される。崩壊性要素は上記のような廃材の他、各種の素材を利用して構成できる。
【0017】
望ましくは、前記コンクリート材料内には当該コンクリート材料の流し込み時に前記崩壊性要素群を押さえ込む作用を発揮する部材が埋設される。この部材は例えば樹脂材料あるいは金属材料として構成できる。後者の場合には鉄筋を兼ねてもよいが、腐蝕に強い材料を利用するのが望ましい。通常、崩壊性要素の方がコンクリート材料よりも比重が小さく、崩壊性要素が単に型枠内に配置されている状態で、無造作にコンクリート材料を流し込むと、崩壊性要素が浮上してしまうおそれがある。そこで、上記部材によってそのような浮上を押さえ込むのが望ましい。また、その部材が水平方向の位置決め手段として機能してもよい。複数種類のコンクリート材料を段階的に打設することも可能である。例えば、最初のコンクリート材料を流し込んで各崩壊性要素を仮固定してから、次のコンクリート材料を流し込んでもよい。
【0018】
望ましくは、当該コンクリートブロックは緑化用であり、自然環境下における侵食により前記複数の表層内崩壊性要素が崩壊して外部へ放出され、それに伴って前記コンクリート材料には複数の緑化ポットが構成され、前記各緑化ポットは、前記ブロック表面上に存在する開口を有し、その内部に崩壊性要素を構成していた材料の残留部分又は外部から入り込んだ進入物を保持し得る。望ましくは、緑化ポットに残留した材料が植生基盤として働き、また、そこが雨水を蓄える部分として働く。緑化ポットから完全に要素構成材料が外部に流出しても、そこには枯れ葉や土砂などが入り込む場合もあり、そこが植生基盤として働く。あるいは、蔦植物がブロック表面を這う場合に、各植生ポットから水分を吸収することも予想される。また、そような窪みに蔦植物の一部が入り込めば、その保全に役立ち、風力によって蔦植物が折れたり切れたりする問題を軽減できる。
【0019】
望ましくは、当該コンクリートブロックは緑化用であり、前記複数の表層内崩壊要素は互いに密集して配置され、前記複数の表層内崩壊性要素の崩壊後に、当該複数の表層内崩壊性要素の隙間に残存するコンクリート材料部分が植物生育用の複数の突部として機能する。この構成によれば、コンクリートブロックの少なくとも表層に多数の凹凸が生じることになるので、植物の生育を促進でき、ひいてはブロック全体が植物に覆われた状態となることを促進できる。つまり、自然界の性質を利用して緑化促進を図れる。
【0020】
望ましくは、当該コンクリートブロックの背面側から前記各崩壊性要素の形成箇所まで水を供給するための水補給構造が設けられる。水補給構造は、コンクリートブロック設置後において、緑化ポットとして機能する崩壊性要素の形成箇所まで雨水等の水分を補給するものである。その雨水はコンクリートブロックの背面側に存在する地山等から提供され得る。水補給構造は、例えば、コンクリートブロックの全部又は一部に形成された透水構造、保水構造、水路等として構成することができ、望ましくは、コンクリートブロックの表層部又は前面部が多孔質部材(ポーラスコンクリート等)で構成される。コンクリートブロックの全部をそのような部材で構成してもよい。多孔質部材を利用すれば、その保水作用を利用して、晴天時においても徐々に植物へ水分を補給できる。水補給構造として、コンクリートブロックを貫通するパイプを設置するようにしてもよい。かかる構成によれば、そのパイプを通って地山側からの雨水、地下水をコンクリートブロックの前面に流して、前面から各緑化ポットへ水を補給でき、あるいは、前面に存在している植物へ水を補給できる。パイプに代えて単なる水路(横穴)を形成するようにしてもよい。コンクリートブロック内に貯水空洞を設けて、そこからの水を補給するようにしてもよい。
【0021】
望ましくは、当該コンクリートブロックは水中配置用である。複数の崩壊性要素が崩壊すると、コンクリートブロックには外部に連通した多数の空洞が形成されることになり、それを水中に沈めればそれを例えば魚礁として利用することが可能となる。あるいは、海岸に設置すれば消波効果や汚濁原因物質の濾過効果を期待できる。その他にも、微生物の養生場等、様々な用途が考えられる。
【0022】
本発明は、型枠内の底面上に球状の形態を有する複数の崩壊性要素を配置する工程と、前記型枠内にコンクリート材料を流し込んで、それを硬化させる工程と、を含むことを特徴とするコンクリートブロックの製造方法に関する。この構成によれば、脱型後のコンクリートブロックにおいては、その表面に内接して複数の崩壊性要素が並ぶことになる。よって、型枠それ自体に複雑な構造を設けることなく、事後的な崩壊性を利用して表層内に複数の空洞を有するコンクリートブロックを製造できる。
【発明の効果】
【0023】
以上説明したように、本発明によれば、以下に示す少なくとも1つの効果を得られる。すなわち、本発明によれば、部分的崩壊性を有する新しいコンクリートブロックを提供でき、型抜きに馴染まない形状をもったコンクリートブロックを簡単に製造でき、植物や生物の生育、保全に適したコンクリートブロックを提供でき、多数の空洞を有するコンクリートブロックの新しい製造方法を提供でき、あるいは、廃材を産業用資源として活用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0025】
図1には、本発明に係るコンクリートブロックの実施形態が示されている。図1は、コンクリートブロック12の製造段階を示しており、(A)は垂直断面図であり、(B)は(A)における矢印Bで示す位置の水平断面図である。このコンクリートブロック12は、全体として平板形状を有しており、道路や河川の壁面に用いられ、あるいは、建築物の壁面に用いられる。もちろん、他の用途に向けられたコンクリートブロックに対して本発明を適用することもできる。
【0026】
図1は、より詳しく説明すると、型枠10内にコンクリート材料22が流し込まれた状態を示している。それに先立って、型枠10内における底面10A上には、崩壊粒アレイ18が設けられる。具体的には、崩壊粒アレイ18は、図1に示す例において、X方向及びY方向の両方向に整列した複数の崩壊粒20によって構成される。図1に示す例において、それぞれの崩壊粒20は離間配置されている。ただし、後に説明するように、それらが密集配置されてもよい。符号14は、コンクリートブロック12における前側層としての表層を表しており、符合16は後側層を示している。h1はコンクリートブロック12のZ方向の厚さを示しており、h1は例えば10〜50cmである。もちろん、コンクリートブロック12の用途に応じてその厚みを含む各種寸法を適宜定めることができる。また、コンクリートブロック12が平板型ではなく、平行四辺形の垂直断面を持ったものでもよいし、後に説明するように円柱形状あるいは球状の形態を有していてもよい。
【0027】
崩壊粒20は、本実施形態において、岩石の破砕によって骨材又は砂を人工的に製造する過程において(特に湿式製砂工程において)、派生的に生じる廃材としての汚泥を含むものである。そのような汚泥はスラッジケーキとも称されている。スラッジケーキは、廃材物集合であって、その含水率は例えば30〜40%である。崩壊粒20は、上記のような汚泥に対して必要に応じて石灰やセメントなどを添加したものである。そのような粉体は汚泥の硬さを調整して、コンクリート材料22の流し込み時において崩壊粒20が変形したり崩壊したりしないように作用するものである。ただし、後に説明するように、崩壊粒20は、コンクリートブロック12を設置した後に、自然環境化において(特に降雨などの作用によって)徐々に崩壊するものであり、そのような崩壊性が得られるように石灰やセメント等の添加物が混入され、あるいはその製造過程において乾燥度合い等が適宜定められる。
【0028】
崩壊粒20に対して、更に養分や養土、種子、木材チップ等を混入することも可能である。崩壊粒20を多層構造としてその原形維持性を高めるようにしてもよい。崩壊粒20の製造にあたっては、スラッジケーキを汚泥塊に裁断して、それぞれの汚泥塊を球体に成形する造粒装置を用いるのが望ましい。崩壊粒20の直径は、例えば数cm〜数十cmである。本実施形態において、崩壊粒20は球状の形態を有しているが、それが楕円球のような形態を有していてもよいし、他の形態を有していてもよい。ただし、コンクリートブロック12の表面から奥側にかけて広がった形態を有していれば、後に説明するように、多数の緑化ポットをコンクリートブロック12に容易に構築できるという利点がある。
【0029】
以上のように、コンクリート材料22の流し込みに先立って、型枠10の底面10A上に崩壊粒アレイ18が配置されると、その後に、鉄筋24が配置される。鉄筋24は、X方向及びY方向に伸長した複数の線状部材によって構成され、それらは鉄によって構成されるのが通常であるが、腐食性が高められた部材(例えばステンレス)等によって構成されてもよいし、更に硬質の樹脂などを利用することもできる。鉄筋24には複数のアンカー26が取り付けられており、それらのアンカー26の一部分がコンクリート材料22の外部に露出する。
【0030】
鉄筋24の配設の後、型枠10内にコンクリート材料22が流し込まれる。その作業にあたっては、できる限り崩壊粒20に対して変形や崩壊等の悪影響を与えないように留意するのが望ましい。ただし、各崩壊粒20の硬さが十分なものであれば、コンクリート材料22を加圧注入したり、急速注入したりすることも可能である。コンクリート材料22は、砕石、砂、セメント、水を所定の配合比によって混合したものであり、本実施形態においては流動性(超流動性)コンクリートが用いられている。コンクリート材料22の流し込みに先立って、必要に応じて、鉄筋24を型枠10内に位置決め固定するために、複数のスペーサ28が利用される。それらのスペーサ28は例えば樹脂材料によって構成されるものである。コンクリート材料22の流し込みにより、隣接する崩壊粒20の間すなわち隙間22Aにはコンクリート材料が入り込むことになる。その状態では、各崩壊粒20の外表面がコンクリート材料22との界面22Bを構成することになる。そのような界面22Bは、コンクリートブロック12を設置した後に崩壊粒20が完全に崩壊した段階では空洞部の外周面を構成する。界面22Bは本実施形態において実質的に球形を有している。ただし、図1の(A)に示されるように、図示される例では、崩壊粒20の底部(つまりコンクリートブロック12におけるブロック表面12Aに内接する部分)が平坦面とされており、崩壊粒20はそのような平坦面以外の部分において球形を有しており、同様に界面22Bも球形を有している。そのような平坦面は、各崩壊粒20を底面10A上に配置する際にそれを上方から押圧することによって形成することもできるし、カッターなどによって崩壊粒20の一部を切り取ることによって形成することも可能である。もちろん、そのような平坦面は必要に応じて設けられ、完全な球形をもった崩壊粒20を配置することも可能である。
【0031】
コンクリート材料22の打設後、それが養生され、一定の硬さまで放置される。その後、型枠10からコンクリートブロック12が取り外される。すなわち、脱型作業が行われる。これによってコンクリートブロック12の製品が完成することになる。ちなみに、図1の(B)に示すx1はX方向における崩壊粒20のピッチを示しており、同様に、y1はY方向における崩壊粒20のピッチを示している。それぞれの値は適宜定めることが可能である。
【0032】
ちなみに、コンクリート材料22の比重と崩壊粒20の比重には差があり、すなわち前者の比重の方が大きいのが通常であるため、単に崩壊粒20を底面10Aに配置しただけでコンクリート材料22を流し込むと、崩壊粒20が場合によっては上方に浮上してしまうという問題が生じる。そこで、各崩壊粒20を下方に押さえつけておくための手段あるいは工程を設けるのが望ましく、これについては後に説明する。
【0033】
本実施形態のコンクリートブロック12においては、その設置後において、自然環境下における降雨等の侵食作用により、各崩壊粒20が経時的に徐々に崩壊し、外部へ流出する。すなわち、そのような部分的崩壊性により、コンクリートブロック12の表層14においては、事後的に複数の緑化ポットが構成されることになり、各緑化ポットを利用して植物を育成したり、あるいは外部からの植物の進入を許容したりすることが可能となる。これについて以下に説明するが、そのような自然環境化における侵食作用の他、コンクリートブロック12の製造後に、それを水洗いすることにより強制的に崩壊粒20を崩壊させ、コンクリートブロック12の表層に複数の球形空洞を構築することもできる。そのような場合、各崩壊粒20が崩壊して汚泥等が流出することになるが、それらを回収して再度崩壊粒20を造粒することも可能である。
【0034】
図2には、コンクリートブロック12を設置してからの経時的な変化が概念的に示されている。(A)は設置時の状態を示しており、コンクリートブロック12は例えば養壁あるいは護岸壁の一部として設置されている。初期状態にある崩壊例20Aはコンクリートブロック12の表層に存在している。すなわち、その一部分が表面12A上に露出しており、崩壊粒20Aに対しては外界と接する開口あるいは連通路が存在している。そのような開口を介して雨水が内部に進入すると、(B)に示すように、崩壊粒が徐々に崩壊していくことになる。その状態が符号20Bによって示されている。崩壊粒が存在している球状の空間内には部分的に空洞32Bが生じており、また、崩壊粒を構成していた材料内に含まれている種子あるいは外部から飛来した種子が発芽して符号30Bで示されるような芽が発生している。そのような植物に対しては雨水が供給されることになる。また、崩壊粒が存在している球形の空間は開口から見て下方側に膨らんだ収容部を構成するため、雨水や土砂を蓄えるすなわち保持する機能を有する。
【0035】
更に崩壊が進むと、(C)に示すように、球状の空間内に存在する汚泥等の材料はかなり少なくなり(20C参照)、その反射的効果として空洞部32Cが増大している。更に、植物30Cが成長している。更に、時間が経過すると、(D)に示すように、それぞれの球形の空間内における汚泥等の材料は少なくなり、あるいはそれが完全に外部に流出するが、外部から土砂や枯葉なども空間内に進入することになり、そこに植生基盤(20B)が構成されることになる。そのような植生基盤には植物30Dの根がしっかりと生え、その外部への放出あるいは流れ出しが効果的に抑制される。
【0036】
コンクリートブロック12の表面12Aの全体にわたって、植物が展開して、すなわち蔓上植物あるいはシダ類植物等がコンクリートブロック12の全体を覆うようになり、しかも要所要所において植物が各植栽ポットに相当する空洞部分に絡んでしかもそこから生えている植物とも絡み合って、植物30Dの育成保全をより促進することが可能となる。すなわち、例えば強い風が吹いても、植物がしっかりとコンクリートブロックに絡み合っていることから、植物が折れたりあるいは切断されたりしてしまう問題を効果的に抑制することが可能であり、コンクリートブロックの緑化を促進及び保全することが可能となる。
【0037】
以上のように、本実施形態に係るコンクリートブロックによれば、その設置状態において、複数の崩壊粒が(あるいはそれが存在する空間が)それぞれ緑化ポットとして効果的に働くことになり、コンクリートブロックの表面における緑化を促進できるという利点がある。この場合において、当初存在していた崩壊粒を構成する材料はその一部が緑化ポット内に残留していてもよいし、その全部が外部に放出されてもよい。例えば、各緑化ポット内に単に水分のみが蓄えられている場合においても、植物のコンクリートブロック12への結合度合いを高め、また植物への水分補給を行えるという利点を得られる。通常は、植物の生育によりその根が緑化ポット内の部材を保全する作用を発揮することになるため、良好な植生環境を構築することが可能となる。しかも、本実施形態においては、崩壊粒を構成する材料として本来廃材して廃棄されるスラッジケーキを利用しているので、廃材を資源として利用できるという利点も得られる。ちなみに、コンクリートブロック12から流出した廃材を下方において受け止める構造を設け、それに対して定期的なメンテナンスを行うようにしてもよい。ちなみに、後に説明するように、複数の崩壊粒を近接して配置あるいは密集して配置することにより隣接する崩壊粒の間にコンクリート材料からなる突出部分を多数形成することができ、そのような突出部分を植物に絡ませることも可能である。
【0038】
図3には、コンクリートブロック34の他の構成例が示されている。型枠10の底面上には崩壊粒アレイ18が配置され、その後に第1コンクリート材料が流し込まれる。第1コンクリート材料は例えばモルタルなどである。その流し込む量は、例えば各崩壊粒の全部が隠れる程度あるいはそれ以下に設定することも可能である。そのような第1コンクリート材料40の打設により上述した崩壊粒20の浮き上がり現象を事前に防止することも可能である。第1コンクリート材料40の打設後、鉄筋24が配設され、更に第2コンクリート材料42が打設される。第2コンクリート材料42は、図1に示したコンクリート材料22に相当するものである。なお、第1コンクリート材料40が打設された部分が符号36で示されており、第2コンクリート材料42が打設された部分が符号38で示されている。
【0039】
図4に示すように、型枠10の底面10Aに複数の凹球面の窪み10Dを設け、それらにそれぞれ崩壊粒44を配置するようにしてもよい。そのような構成によれば各崩壊粒44の位置決めを容易に行える。
【0040】
図5に示されるように、コンクリート材料の流し込み時に生じる崩壊粒44の浮き上がりを防止するため、コンクリート材料の流し込みに先立って複数の崩壊粒44を上方から下方へ押さえ込む構造体46を配置するのが望ましい。そのような構造体46は、崩壊粒44の崩壊後において外界に接する可能性があるため、腐食に強い材料で構成するのが望ましい。例えば樹脂等によって構成してもよい。構造体46を図1に示した鉄筋によって構成することもできる。すなわち鉄筋を崩壊粒44の押さえ部材として兼用するものである。そのような場合には鉄筋をステンレス等によって構成するのが望ましい。ちなみに、各崩壊粒44においてその上部44は構造体46によって上方から押さえ込まれ、その下部44Bは型枠の底面10Aによって保持されている。すなわち底面10Aと構造体46との間にサンドイッチ状態で各崩壊粒44が教示されている。
【0041】
図6には、構造体46の上方から見た構成が概念的に示されており、その構造体46は複数の横線46aと複数の縦線46bとで構成され、それ全体としてメッシュ状の形態を有している。
【0042】
図7には、崩壊粒44の浮き上がりを防止するための別の手段が示されている。図7に示す例では、鉄筋50に複数の保持部材52が取り付けられている。各保持部材52は、鉄筋50に連結された軸と、その下端部に設けられ、水平方向に広がったホルダと、によって構成され、そのホルダにより崩壊粒44が上方から下方に押さえつけられている。もちろん、他の手段を利用して崩壊粒44の浮上を防止するようにしてもよい。図5及び図6に示した構造体46並びに図7に示した保持部材はそれぞれ各崩壊粒44を位置決め保持するものであるが、それらは最終的にコンクリートブロック12内に残留するものである。
【0043】
図8に示す例においては、コンクリートブロック12において、その表層に複数の崩壊粒44が設けられている点については図1等に示した実施形態と同様であるが、図8に示す例では、各崩壊粒44の前方側の表面レベルがブロックの表面12Aのレベルよりも若干ながら奥側に引っ込んでいる。例えば、コンクリートブロック12の保存や運搬を考えた場合、各崩壊粒44が外部に露出していると、それが不必要に侵食されてしまうことが考えられる。そのような場合には、コンクリートブロック12の完成時点においては各崩壊粒44を露出させない状態にしておき、コンクリートブロック12の設置後に各崩壊粒44ごとに開口54Aを形成して、それぞれの崩壊粒44を露出させるようにしてもよい。そのような開口54Aはハンマー打撃等によって容易に形成でき、あるいは円形開口を形成する工具等を用いてもよい。あるいは、あらかじめ開口54Aに相当する位置に樹脂等を配置してコンクリートブロック12を製造した上で樹脂を取り除くことによって開口54Aを生じさせるようにしてもよい。このような実施形態においては、コンクリートブロック12においてブロック表面12Aに沿って複数の崩壊粒44が配列されていることは上述した各実施形態と同様であり、またコンクリートブロック12の使用時において各崩壊粒44が外部に部分的に露出している点についても上述した各実施形態と同様である。ただし、上述した各実施形態では製造過程において自然に開口が形成されるのに対して図8に示した実施形態では人工的に開口が形成される点が異なっている。ちなみに、完全な円形の崩壊粒44を型枠の底面の配置した状態でコンクリート材料を流し込んでコンクリートブロックを形成すると、各崩壊粒はブロック表面に対して点として内設することになる。ただし、そのような点あるいは薄い層を介して外部から雨水が崩壊粒へ進入するのが一般的であるため、また崩壊粒の侵食に伴って崩壊粒の前面側にある薄いコンクリート材料層も自然に崩壊することになるため、そのような場合には積極的に開口を形成しなくても、あるいは小さな開口のみが存在していても、崩壊粒の崩壊を十分に行わせることが可能である。もちろん、そのような場合において積極的にすなわち人工的に開口を形成するようにしてもよい。
【0044】
図9には、別の実施形態に係る崩壊粒アレイ18Aが示されている。複数の崩壊粒44はX方向及びY方向の両方向に整列し、かつ密集配置されている。それらのアレイ内には概略的にみて四角形の形態を有する隙間が存在しており、その隙間にはコンクリート材料部分56が生じる。それを概念的に示したものが図10であり、コンクリートブロックの表面上には複数の(突起状)部分56が生じることになり、符号58で示されるような植物がそれらに絡みついてその植生を助けることになる。このような複数の突起と上述した複数の窪みすなわち緑化ポットの併用により植物58の育成及び保全をより積極的に行えるという利点がある。
【0045】
図11には更に他の実施形態が示されており、この実施形態では崩壊粒アレイ18Bにおいて、Y方向の各ステージごとに半ピッチずつずれて崩壊粒列が設けられている。3つの崩壊粒によって取り囲まれる隙間には概略的に三角形の形態を有する突起状の部分が生じる。それが図12に表されている。コンクリートブロックの表面上には複数の(突起状)部分60が存在し、それに対して植物58を這わせたり絡みつかせたりすることが可能となる。
【0046】
図13には、崩壊粒アレイの他の例が示されており、この例において、符号62は第1層を示し、符号64は第2層を示している。ここで、第1層62は表層に相当する。その第1層62内には複数の崩壊粒44からなる集合体66が構成されている。その集合体66においては、Z方向に若干シフトした高さをもって二段階の崩壊粒アレイが構成されている。符号68Aは、Z方向の奥側に存在するアレイの前方に生じるコンクリート材料の薄い層を示している。すなわち表層に存在する隙間に相当する部分を示している。このような実施形態において、各崩壊粒44が崩壊すると、崩壊粒周囲のコンクリート材料も崩壊する可能性が高くなり、符号68Aで示した部分も崩壊することになる。その結果、図14に示されるように、コンクリートブロック12の表面側に多数の凹凸からなる凹凸構造68Bが構築される。そのような凹凸構造68Bによれば蔓状の植物やつた状の植物がからむ形態を容易に構成できるという利点がある。
【0047】
図15に示す実施形態において、符号70は第1層を示しており、符号72は第2層を示している。第1層70において、表層に相当する前方側には第1の崩壊粒アレイ74Aが構成され、その奥側には第2の崩壊粒アレイ74Bが構成されている。このように、Z方向に複数のアレイを多重的にあるいは多段階的に形成することも可能である。
【0048】
図16に示す実施形態においては、楕円球の形態をもった崩壊粒が用いられ、それが崩壊した結果として楕円球形状をもった空間80が緑化ポットとして形成されている。空間80の内部には残留する土砂82を植生基盤として植物84が生育しており、コンクリートブロック78の表面78Aはその植物84によって覆われている。符号80Aは緑化ポットの開口を示している。ちなみに、図16は複数のコンクリートブロック(大型ブロック)78を積み上げて構成されるブロック壁76の断面を示すものである。
【0049】
図17に示す実施形態においては、球形をもった型枠84内に複数の崩壊粒44が密集して配置されている。その型枠84内には流動性をもったコンクリート材料が加圧注入される。すなわち、符号86で示されるような隙間にコンクリート材料が流し込まれることになる。その場合において、コンクリート材料流し込みに先立って、より詳しく言えば複数の崩壊粒44の配置に際して、鉄筋や多数の線状部材をあらかじめ配設しておくのが望ましい。そのような部材は、球形のコンクリートブロックの構造的強化を図るものである。型枠84内に上述したようにコンクリート材料を流し込んでそれを硬化させると、球形のコンクリートブロックが製造できることになる。
【0050】
図18には、そのようなコンクリートブロックを海中92に投下して海底90上に配置した様子が示されている。海中92中において各崩壊粒は徐々に崩壊して、コンクリートブロックには多数の空洞が形成されることになる。各崩壊粒はそれぞれ隣接する崩壊粒と接触しているため、表層に存在する崩壊粒のみならず内部に存在する崩壊粒についてもその浸食を生じさせて崩壊粒を構成する材料を外部に放出させることが可能である。その結果として、符合88で示すような多空洞型コンクリートブロックを構成することができ、そのようなコンクリートブロック88は漁礁として非常に有益なものである。そのようなコンクリートブロックを海岸等に配設すれば、消波作用や海水濾過作業を発揮させることも可能である。例えば、油濁汚染などが生じた場合に、このようなコンクリートブロック88を利用して海水を浄化させることも可能である。
【0051】
図17及び図18には球形をもったコンクリートブロックを示したが、もちろん上述した多空洞型コンクリートブロックの形態としては球形以外に円筒形状、立法体形状等を採用することができ、また図1に示したような平板型の形体を採用してもよい。
【0052】
本実施形態においては、コンクリートブロックに崩壊要素を設け、それをコンクリートブロックの製造時においては成形要素として利用し、その後においては空洞形成要素として機能させており、これによれば、型枠の構造を複雑化することなく、複雑な構造をもったコンクリートブロックを容易に製造できるという利点がある。また、型枠の利用だけでは内部に肥大した空洞を形成困難であるが、本実施形態によればそのような形体を持った空洞も容易に形成することが可能である。また、コンクリートブロックの表層において複数の緑化ポットを形成することも容易であり、しかも複数の緑化ポット間にコンクリート材料からなる突状部分を形成することも容易となるので、コンクリートブロックの表面の緑化を促進したりその保全を確実に行えるという利点がある。
【0053】
図19には、更に他の実施形態が示されている。ブロック壁は地山の法面に傾斜状態で設置されており、それは複数のコンクリートブロック100で構成される。コンクリートブロック100は、表層を含む第1層102とその背面側にある第2層104とで構成され、第1層102には複数の崩壊性要素44が埋設されている。第1層102は、この例において、ポーラスコンクリートによって構成されており、すなわち多孔質部材によって構成されている。これにより、第1層102が透水部及び保水部として機能し、そこから各崩壊性要素44あるいはそれを含む各緑化ポットに雨水を供給することができる。その雨水は、コンクリートブロック設置後において崩壊性要素44の崩壊を促進し、また植物の生育を助ける。なお、崩壊性要素44が多孔質部材で取り囲まれることになるので、ブロック空隙に崩壊性要素44に含まれている土、養分等が入り込みあるいはしみ込み、その部分も植栽基盤として機能させることができる。植物の根が空隙に入り込めば、植物をしっかりと根付かせることができる。
【0054】
第2層104は、この例において構造強化のために通常のコンクリート部材で構成されているが、その第2層104もポーラスコンクリートで構成することが可能である。この構成によれば、ブロック背面側からブロック前面側へ効果的に雨水を補給できる。また、ブロック全体としての保水作用を増大できる。ブロック内部に貯水用の空洞部を形成することもできる。
【0055】
コンクリートブロック100には、その背面側から前面側にかけてパイプ106が貫通している。そのパイプ106は地山110からの雨水をコンクリートブロック100の前面側へ流す作用を発揮する。前面側に流された水は、植物によって吸収され、あるいは、各緑化ポット内に取り込まれて蓄えられる。パイプ106はその先端が地山100内に差し込まれた状態で配置されてもよいし、コンクリートブロック100の背面まで延伸した状態で配置されてもよい。パイプ106の全部又は一部に透水用の孔を形成しておけば、コンクリートブロック100の内部から前面部としての第1層102へ水を供給することもできる。パイプ106に代えて、単なる横穴を形成することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明に係るコンクリートブロックの断面図である。
【図2】本発明に係るコンクリートブロックの作用を説明するための図である。
【図3】二層式のコンクリートブロックを示す図である。
【図4】型枠に設けられた窪みを示す図である。
【図5】コンクリートブロック内に配設される構造体を示す図である。
【図6】図5に示す構造体の平面図である。
【図7】鉄筋に連結された保持部材を示す図である。
【図8】各崩壊粒に対して事後的に形成される開口を説明するための図である。
【図9】複数の崩壊粒の密集状態を示す図である。
【図10】図9に示す状態において形成される複数の突起状部分を示す図である。
【図11】複数の崩壊粒の他の密集状態を示す図である。
【図12】図11に示す密集状態において形成される複数の突起部分を示す図である。
【図13】Z方向にシフトした複数の崩壊粒アレイを示す図である。
【図14】図13に示す実施形態において崩壊が生じた後の状態を示す図である。
【図15】Z方向にシフトした2つの崩壊粒アレイを示す図である。
【図16】楕円球形状をもった緑化ポットを示す図である。
【図17】漁礁等に利用可能な球形をもったコンクリートブロックの製造方法を示す図である。
【図18】漁礁として利用される多空洞型コンクリートブロックを示す図である。
【図19】ブロック壁を構成するコンクリートブロックの更に他の実施形態を示す図である。
【符号の説明】
【0057】
10 型枠、12 コンクリートブロック、18 崩壊粒アレイ、20 崩壊粒、22 コンクリート材料、24 鉄筋、26 アンカー。
【技術分野】
【0001】
本発明はコンクリートブロック及びその製造方法に関し、特に、型枠により製造されるコンクリートブロックの構造に関する。
【背景技術】
【0002】
コンクリートブロックとしては様々なものが実用化されている。例えば、道路や河川の壁面を構成するコンクリートブロック、建築物の壁や塀を構成するコンクリートブロック、海中や河川に投入して使用されるコンクリートブロック、等がある。
【0003】
コンクリートブロックの製造に当たっては、一般に型枠が使用される。すなわち、所望の形状を有する型枠内にコンクリート材料が流し込まれ、それを硬化したものとして、コンクリート製品であるコンクリートブロックが製造される。複雑な形状をもったコンクリートブロックを製造したい場合には、それに合わせて複雑な形状を有する型枠を使用する必要がある。しかし、型抜きの都合上、一般に、コンクリートブロックに表面側から奥行き方向に広がった空洞を形成することは困難である。
【0004】
近時、様々な緑化用コンクリートブロックが提案されているが、上記の理由から、そのコンクリートブロックに複数の緑化ポット(あるいは植栽ポット)を簡便に形成することの困難性が指摘されている。また、緑化に当たっては、蔓状の植物(例えば蔦植物)でコンクリートブロックの表面全体が覆われるようにするのが望ましい。そのような植物が繁殖し易く、加えて風雨に晒されてもそれがちぎれずに保全できるコンクリートブロックが要望されている。更に、多数の空洞を有するコンクリートブロックには様々な活用方法が考えられるが、そのようなコンクリートブロックを簡便に製造する方法の実現が望まれている。
【0005】
なお、岩石破砕によって人工的に骨材や砂を製造する工程(特に湿式製砂工程)を実行した結果、廃材として汚泥ケーキが生じる。汚泥ケーキは、骨材や砂として利用できない高粘度をもった粘土状の部材である。汚泥ケーキから汚泥粒(汚泥球)を製造し、その汚泥粒を路盤材等として用いることが提案されている。廃材を資源として利用する観点から、汚泥粒についての他の利用方法が求められている。
【0006】
特許文献1には、底面から突出した複数の突起を有する型枠を用いたコンクリート製品の製造方法が示されている。各突起にはコンクリート打設前に粘土状の土砂が貼着されている。この粘土状の土砂はその内部に含まれる種子や植物の切片を完全に覆ってそれらを打設コンクリート材料から隔離するためのものである。脱型後のコンクリート製品の内部には上記の粘土状の土砂が残留し、そこが植生基盤として利用されている。しかし、この特許文献1には崩壊性を積極的に利用することについては記載されていない。また、この特許文献1に記載された方法では複雑な形状を有する型枠を利用する必要がある。更に、この特許文献1には蔓状植物をブロック表面に這わせてその生育を助けるための構成については記載されていない。特許文献2には、コルクチップ等の多孔性又は多泡性の物質を含有する緑化コンクリート製品が開示されている。特許文献3及び特許文献4には、崩壊性を有するコンクリート製品が記載されているが、崩壊性はコンクリート材料それ自体の性質であり、また、コンクリート製品の形態や構造については記載されていない。特許文献5にはポーラスコンクリート層と普通コンクリート層とを有するコンクリート製品が記載されている。
【0007】
【特許文献1】特開2003−310046号公報
【特許文献2】特開平8−118327号公報
【特許文献3】特開2005−281070号公報
【特許文献4】特開2004−359511号公報
【特許文献5】特開2004−285683号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、部分的崩壊性を有する新しいコンクリートブロックを提供することにある。
【0009】
本発明の他の目的は、型抜きに馴染まない形状をもったコンクリートブロックを簡単に製造できるようにすることにある。
【0010】
本発明の他の目的は、植物や生物の生育、保全に適したコンクリートブロックを提供することにある。
【0011】
本発明の他の目的は、多数の空洞を有するコンクリートブロックの新しい製造方法を提供することにある。
【0012】
本発明の他の目的は、廃材を産業用資源として活用することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、ブロック表面に沿って配列され且つブロック表面上に部分的に露出する複数の表層内崩壊性要素を含み、外部からの浸食作用により部分的又は全体的に崩壊し得る崩壊性要素群と、前記崩壊性要素群の隙間に充填され、ブロック本体を構成するコンクリート材料と、を有し、前記各崩壊性要素は、前記コンクリート材料の成形時に前記コンクリート材料に対する成形要素として機能し、且つ、前記コンクリート材料の成形後における崩壊により前記コンクリート材料内に空洞を生じさせる要素として機能する、ことを特徴とするコンクリートブロックに関する。
【0014】
上記構成によれば、コンクリートブロック内には、複数の表層内崩壊要素を含む崩壊性要素群が設けられる。崩壊性要素群は、複数の表層内崩壊要素だけで構成されてもよいが、もちろん更に他の崩壊性要素を含んで構成されてもよい。各崩壊性要素は製造時に成形要素として機能し、その後、崩壊により空洞を生じさせる要素として機能する。すなわち、各崩壊性要素は、製造時においてその原形を維持するが(コンクリート材料の打設時にも簡単には変形、崩壊せず、その原形を実質的に維持するものであるのが望ましいが、少々の変形、崩壊があっても通常は格別問題とならない)、製造後あるいは使用時において、外部からの侵食作用によって崩壊し得るという特質を有する。その浸食作用は、自然環境、例えば降雨進入、海水進入により生じるものである。但し、製造後の洗浄処理により強制的に生じさせることもできる。自然環境による場合には、通常、経時的に侵食、崩壊が徐々に進行することになる。その進行度合いは各崩壊性要素を構成する材料の組成調整による。このように、各崩壊性要素が一種の残留型枠として機能するが、その全部又は一部は崩壊してコンクリート材料内に空洞を生じさせており、各崩壊性要素は2つの機能を段階的に発揮するものである。
【0015】
複数の表層内崩壊性要素も上記の崩壊性要素である。但し、各表層内崩壊性要素は、ブロック表層内にブロック表面に沿った状態で(望ましくは内接した状態で)配置されているので、コンクリートブロックを成形するための型枠を格別複雑な形状にすることなく、コンクリートブロックの表層内に複数の空洞を事後的に形成できる。もちろん、型枠に対して各要素を位置決め配置するための構造(例えば凹部や凸状リング)を設けてもよい。露出条件が満足される限りにおいて、ブロック表面レベルと要素表面レベルを完全に一致させなくてもよい。例えば、前者よりも後者が前方(外側)へ突出していてもよいし、前者よりも後者が奥側に幾分引っ込んでいてもよい。いずれにしても、各表層内崩壊性要素がブロック表面に露出し、つまり、各表層内崩壊性要素へ侵食を及ぼすための(そして崩壊した要素材料が状況に応じて放出されるための)開口(あるいは通過路)がブロック表面に現れる。そのような開口はコンクリートブロックの脱型時点で形成されるのが望ましいが、加工作業によって形成することも可能である。表層内崩壊性要素以外の奥側に存在する崩壊性要素の場合、1又は複数の他の崩壊性要素を経由して間接的に外界と連通した状態が形成されるのが望ましい。複数の表層内崩壊要素は望ましくは整列配置されるが、ランダム配置されてもよい。
【0016】
各崩壊性要素は、空洞や収容空間の形成、コンクリート打設時の耐性等の観点から、ボール状、球状といった丸みを帯びた形態を有するものであるのが望ましい。特に、ブロック表面からブロック内部方向へ肥大した形態を有するものであるのが望ましい。但し、それ以外の形態を採用することもできる。そのサイズも目的や用途に応じて適宜定めることができる。望ましくは、各崩壊性要素は岩石から骨材又は砂を製造した後に生じる粘土状の廃材を含むものである。このような廃材を利用すれば材料のリサイクルを促進して資源の有効利用ひいては環境保全に貢献できる。そのような廃材には必要に応じて、コンクリート打設時においてその形状が維持されるように(堅牢性を担保するために)石灰、セメント等が事前に添加される。但し、要求される崩壊速度との兼ね合いにおいて、その硬度を調整するのが望ましい。崩壊性要素には、必要に応じて、養分、養土、種子、等が添加される。崩壊性要素は上記のような廃材の他、各種の素材を利用して構成できる。
【0017】
望ましくは、前記コンクリート材料内には当該コンクリート材料の流し込み時に前記崩壊性要素群を押さえ込む作用を発揮する部材が埋設される。この部材は例えば樹脂材料あるいは金属材料として構成できる。後者の場合には鉄筋を兼ねてもよいが、腐蝕に強い材料を利用するのが望ましい。通常、崩壊性要素の方がコンクリート材料よりも比重が小さく、崩壊性要素が単に型枠内に配置されている状態で、無造作にコンクリート材料を流し込むと、崩壊性要素が浮上してしまうおそれがある。そこで、上記部材によってそのような浮上を押さえ込むのが望ましい。また、その部材が水平方向の位置決め手段として機能してもよい。複数種類のコンクリート材料を段階的に打設することも可能である。例えば、最初のコンクリート材料を流し込んで各崩壊性要素を仮固定してから、次のコンクリート材料を流し込んでもよい。
【0018】
望ましくは、当該コンクリートブロックは緑化用であり、自然環境下における侵食により前記複数の表層内崩壊性要素が崩壊して外部へ放出され、それに伴って前記コンクリート材料には複数の緑化ポットが構成され、前記各緑化ポットは、前記ブロック表面上に存在する開口を有し、その内部に崩壊性要素を構成していた材料の残留部分又は外部から入り込んだ進入物を保持し得る。望ましくは、緑化ポットに残留した材料が植生基盤として働き、また、そこが雨水を蓄える部分として働く。緑化ポットから完全に要素構成材料が外部に流出しても、そこには枯れ葉や土砂などが入り込む場合もあり、そこが植生基盤として働く。あるいは、蔦植物がブロック表面を這う場合に、各植生ポットから水分を吸収することも予想される。また、そような窪みに蔦植物の一部が入り込めば、その保全に役立ち、風力によって蔦植物が折れたり切れたりする問題を軽減できる。
【0019】
望ましくは、当該コンクリートブロックは緑化用であり、前記複数の表層内崩壊要素は互いに密集して配置され、前記複数の表層内崩壊性要素の崩壊後に、当該複数の表層内崩壊性要素の隙間に残存するコンクリート材料部分が植物生育用の複数の突部として機能する。この構成によれば、コンクリートブロックの少なくとも表層に多数の凹凸が生じることになるので、植物の生育を促進でき、ひいてはブロック全体が植物に覆われた状態となることを促進できる。つまり、自然界の性質を利用して緑化促進を図れる。
【0020】
望ましくは、当該コンクリートブロックの背面側から前記各崩壊性要素の形成箇所まで水を供給するための水補給構造が設けられる。水補給構造は、コンクリートブロック設置後において、緑化ポットとして機能する崩壊性要素の形成箇所まで雨水等の水分を補給するものである。その雨水はコンクリートブロックの背面側に存在する地山等から提供され得る。水補給構造は、例えば、コンクリートブロックの全部又は一部に形成された透水構造、保水構造、水路等として構成することができ、望ましくは、コンクリートブロックの表層部又は前面部が多孔質部材(ポーラスコンクリート等)で構成される。コンクリートブロックの全部をそのような部材で構成してもよい。多孔質部材を利用すれば、その保水作用を利用して、晴天時においても徐々に植物へ水分を補給できる。水補給構造として、コンクリートブロックを貫通するパイプを設置するようにしてもよい。かかる構成によれば、そのパイプを通って地山側からの雨水、地下水をコンクリートブロックの前面に流して、前面から各緑化ポットへ水を補給でき、あるいは、前面に存在している植物へ水を補給できる。パイプに代えて単なる水路(横穴)を形成するようにしてもよい。コンクリートブロック内に貯水空洞を設けて、そこからの水を補給するようにしてもよい。
【0021】
望ましくは、当該コンクリートブロックは水中配置用である。複数の崩壊性要素が崩壊すると、コンクリートブロックには外部に連通した多数の空洞が形成されることになり、それを水中に沈めればそれを例えば魚礁として利用することが可能となる。あるいは、海岸に設置すれば消波効果や汚濁原因物質の濾過効果を期待できる。その他にも、微生物の養生場等、様々な用途が考えられる。
【0022】
本発明は、型枠内の底面上に球状の形態を有する複数の崩壊性要素を配置する工程と、前記型枠内にコンクリート材料を流し込んで、それを硬化させる工程と、を含むことを特徴とするコンクリートブロックの製造方法に関する。この構成によれば、脱型後のコンクリートブロックにおいては、その表面に内接して複数の崩壊性要素が並ぶことになる。よって、型枠それ自体に複雑な構造を設けることなく、事後的な崩壊性を利用して表層内に複数の空洞を有するコンクリートブロックを製造できる。
【発明の効果】
【0023】
以上説明したように、本発明によれば、以下に示す少なくとも1つの効果を得られる。すなわち、本発明によれば、部分的崩壊性を有する新しいコンクリートブロックを提供でき、型抜きに馴染まない形状をもったコンクリートブロックを簡単に製造でき、植物や生物の生育、保全に適したコンクリートブロックを提供でき、多数の空洞を有するコンクリートブロックの新しい製造方法を提供でき、あるいは、廃材を産業用資源として活用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0025】
図1には、本発明に係るコンクリートブロックの実施形態が示されている。図1は、コンクリートブロック12の製造段階を示しており、(A)は垂直断面図であり、(B)は(A)における矢印Bで示す位置の水平断面図である。このコンクリートブロック12は、全体として平板形状を有しており、道路や河川の壁面に用いられ、あるいは、建築物の壁面に用いられる。もちろん、他の用途に向けられたコンクリートブロックに対して本発明を適用することもできる。
【0026】
図1は、より詳しく説明すると、型枠10内にコンクリート材料22が流し込まれた状態を示している。それに先立って、型枠10内における底面10A上には、崩壊粒アレイ18が設けられる。具体的には、崩壊粒アレイ18は、図1に示す例において、X方向及びY方向の両方向に整列した複数の崩壊粒20によって構成される。図1に示す例において、それぞれの崩壊粒20は離間配置されている。ただし、後に説明するように、それらが密集配置されてもよい。符号14は、コンクリートブロック12における前側層としての表層を表しており、符合16は後側層を示している。h1はコンクリートブロック12のZ方向の厚さを示しており、h1は例えば10〜50cmである。もちろん、コンクリートブロック12の用途に応じてその厚みを含む各種寸法を適宜定めることができる。また、コンクリートブロック12が平板型ではなく、平行四辺形の垂直断面を持ったものでもよいし、後に説明するように円柱形状あるいは球状の形態を有していてもよい。
【0027】
崩壊粒20は、本実施形態において、岩石の破砕によって骨材又は砂を人工的に製造する過程において(特に湿式製砂工程において)、派生的に生じる廃材としての汚泥を含むものである。そのような汚泥はスラッジケーキとも称されている。スラッジケーキは、廃材物集合であって、その含水率は例えば30〜40%である。崩壊粒20は、上記のような汚泥に対して必要に応じて石灰やセメントなどを添加したものである。そのような粉体は汚泥の硬さを調整して、コンクリート材料22の流し込み時において崩壊粒20が変形したり崩壊したりしないように作用するものである。ただし、後に説明するように、崩壊粒20は、コンクリートブロック12を設置した後に、自然環境化において(特に降雨などの作用によって)徐々に崩壊するものであり、そのような崩壊性が得られるように石灰やセメント等の添加物が混入され、あるいはその製造過程において乾燥度合い等が適宜定められる。
【0028】
崩壊粒20に対して、更に養分や養土、種子、木材チップ等を混入することも可能である。崩壊粒20を多層構造としてその原形維持性を高めるようにしてもよい。崩壊粒20の製造にあたっては、スラッジケーキを汚泥塊に裁断して、それぞれの汚泥塊を球体に成形する造粒装置を用いるのが望ましい。崩壊粒20の直径は、例えば数cm〜数十cmである。本実施形態において、崩壊粒20は球状の形態を有しているが、それが楕円球のような形態を有していてもよいし、他の形態を有していてもよい。ただし、コンクリートブロック12の表面から奥側にかけて広がった形態を有していれば、後に説明するように、多数の緑化ポットをコンクリートブロック12に容易に構築できるという利点がある。
【0029】
以上のように、コンクリート材料22の流し込みに先立って、型枠10の底面10A上に崩壊粒アレイ18が配置されると、その後に、鉄筋24が配置される。鉄筋24は、X方向及びY方向に伸長した複数の線状部材によって構成され、それらは鉄によって構成されるのが通常であるが、腐食性が高められた部材(例えばステンレス)等によって構成されてもよいし、更に硬質の樹脂などを利用することもできる。鉄筋24には複数のアンカー26が取り付けられており、それらのアンカー26の一部分がコンクリート材料22の外部に露出する。
【0030】
鉄筋24の配設の後、型枠10内にコンクリート材料22が流し込まれる。その作業にあたっては、できる限り崩壊粒20に対して変形や崩壊等の悪影響を与えないように留意するのが望ましい。ただし、各崩壊粒20の硬さが十分なものであれば、コンクリート材料22を加圧注入したり、急速注入したりすることも可能である。コンクリート材料22は、砕石、砂、セメント、水を所定の配合比によって混合したものであり、本実施形態においては流動性(超流動性)コンクリートが用いられている。コンクリート材料22の流し込みに先立って、必要に応じて、鉄筋24を型枠10内に位置決め固定するために、複数のスペーサ28が利用される。それらのスペーサ28は例えば樹脂材料によって構成されるものである。コンクリート材料22の流し込みにより、隣接する崩壊粒20の間すなわち隙間22Aにはコンクリート材料が入り込むことになる。その状態では、各崩壊粒20の外表面がコンクリート材料22との界面22Bを構成することになる。そのような界面22Bは、コンクリートブロック12を設置した後に崩壊粒20が完全に崩壊した段階では空洞部の外周面を構成する。界面22Bは本実施形態において実質的に球形を有している。ただし、図1の(A)に示されるように、図示される例では、崩壊粒20の底部(つまりコンクリートブロック12におけるブロック表面12Aに内接する部分)が平坦面とされており、崩壊粒20はそのような平坦面以外の部分において球形を有しており、同様に界面22Bも球形を有している。そのような平坦面は、各崩壊粒20を底面10A上に配置する際にそれを上方から押圧することによって形成することもできるし、カッターなどによって崩壊粒20の一部を切り取ることによって形成することも可能である。もちろん、そのような平坦面は必要に応じて設けられ、完全な球形をもった崩壊粒20を配置することも可能である。
【0031】
コンクリート材料22の打設後、それが養生され、一定の硬さまで放置される。その後、型枠10からコンクリートブロック12が取り外される。すなわち、脱型作業が行われる。これによってコンクリートブロック12の製品が完成することになる。ちなみに、図1の(B)に示すx1はX方向における崩壊粒20のピッチを示しており、同様に、y1はY方向における崩壊粒20のピッチを示している。それぞれの値は適宜定めることが可能である。
【0032】
ちなみに、コンクリート材料22の比重と崩壊粒20の比重には差があり、すなわち前者の比重の方が大きいのが通常であるため、単に崩壊粒20を底面10Aに配置しただけでコンクリート材料22を流し込むと、崩壊粒20が場合によっては上方に浮上してしまうという問題が生じる。そこで、各崩壊粒20を下方に押さえつけておくための手段あるいは工程を設けるのが望ましく、これについては後に説明する。
【0033】
本実施形態のコンクリートブロック12においては、その設置後において、自然環境下における降雨等の侵食作用により、各崩壊粒20が経時的に徐々に崩壊し、外部へ流出する。すなわち、そのような部分的崩壊性により、コンクリートブロック12の表層14においては、事後的に複数の緑化ポットが構成されることになり、各緑化ポットを利用して植物を育成したり、あるいは外部からの植物の進入を許容したりすることが可能となる。これについて以下に説明するが、そのような自然環境化における侵食作用の他、コンクリートブロック12の製造後に、それを水洗いすることにより強制的に崩壊粒20を崩壊させ、コンクリートブロック12の表層に複数の球形空洞を構築することもできる。そのような場合、各崩壊粒20が崩壊して汚泥等が流出することになるが、それらを回収して再度崩壊粒20を造粒することも可能である。
【0034】
図2には、コンクリートブロック12を設置してからの経時的な変化が概念的に示されている。(A)は設置時の状態を示しており、コンクリートブロック12は例えば養壁あるいは護岸壁の一部として設置されている。初期状態にある崩壊例20Aはコンクリートブロック12の表層に存在している。すなわち、その一部分が表面12A上に露出しており、崩壊粒20Aに対しては外界と接する開口あるいは連通路が存在している。そのような開口を介して雨水が内部に進入すると、(B)に示すように、崩壊粒が徐々に崩壊していくことになる。その状態が符号20Bによって示されている。崩壊粒が存在している球状の空間内には部分的に空洞32Bが生じており、また、崩壊粒を構成していた材料内に含まれている種子あるいは外部から飛来した種子が発芽して符号30Bで示されるような芽が発生している。そのような植物に対しては雨水が供給されることになる。また、崩壊粒が存在している球形の空間は開口から見て下方側に膨らんだ収容部を構成するため、雨水や土砂を蓄えるすなわち保持する機能を有する。
【0035】
更に崩壊が進むと、(C)に示すように、球状の空間内に存在する汚泥等の材料はかなり少なくなり(20C参照)、その反射的効果として空洞部32Cが増大している。更に、植物30Cが成長している。更に、時間が経過すると、(D)に示すように、それぞれの球形の空間内における汚泥等の材料は少なくなり、あるいはそれが完全に外部に流出するが、外部から土砂や枯葉なども空間内に進入することになり、そこに植生基盤(20B)が構成されることになる。そのような植生基盤には植物30Dの根がしっかりと生え、その外部への放出あるいは流れ出しが効果的に抑制される。
【0036】
コンクリートブロック12の表面12Aの全体にわたって、植物が展開して、すなわち蔓上植物あるいはシダ類植物等がコンクリートブロック12の全体を覆うようになり、しかも要所要所において植物が各植栽ポットに相当する空洞部分に絡んでしかもそこから生えている植物とも絡み合って、植物30Dの育成保全をより促進することが可能となる。すなわち、例えば強い風が吹いても、植物がしっかりとコンクリートブロックに絡み合っていることから、植物が折れたりあるいは切断されたりしてしまう問題を効果的に抑制することが可能であり、コンクリートブロックの緑化を促進及び保全することが可能となる。
【0037】
以上のように、本実施形態に係るコンクリートブロックによれば、その設置状態において、複数の崩壊粒が(あるいはそれが存在する空間が)それぞれ緑化ポットとして効果的に働くことになり、コンクリートブロックの表面における緑化を促進できるという利点がある。この場合において、当初存在していた崩壊粒を構成する材料はその一部が緑化ポット内に残留していてもよいし、その全部が外部に放出されてもよい。例えば、各緑化ポット内に単に水分のみが蓄えられている場合においても、植物のコンクリートブロック12への結合度合いを高め、また植物への水分補給を行えるという利点を得られる。通常は、植物の生育によりその根が緑化ポット内の部材を保全する作用を発揮することになるため、良好な植生環境を構築することが可能となる。しかも、本実施形態においては、崩壊粒を構成する材料として本来廃材して廃棄されるスラッジケーキを利用しているので、廃材を資源として利用できるという利点も得られる。ちなみに、コンクリートブロック12から流出した廃材を下方において受け止める構造を設け、それに対して定期的なメンテナンスを行うようにしてもよい。ちなみに、後に説明するように、複数の崩壊粒を近接して配置あるいは密集して配置することにより隣接する崩壊粒の間にコンクリート材料からなる突出部分を多数形成することができ、そのような突出部分を植物に絡ませることも可能である。
【0038】
図3には、コンクリートブロック34の他の構成例が示されている。型枠10の底面上には崩壊粒アレイ18が配置され、その後に第1コンクリート材料が流し込まれる。第1コンクリート材料は例えばモルタルなどである。その流し込む量は、例えば各崩壊粒の全部が隠れる程度あるいはそれ以下に設定することも可能である。そのような第1コンクリート材料40の打設により上述した崩壊粒20の浮き上がり現象を事前に防止することも可能である。第1コンクリート材料40の打設後、鉄筋24が配設され、更に第2コンクリート材料42が打設される。第2コンクリート材料42は、図1に示したコンクリート材料22に相当するものである。なお、第1コンクリート材料40が打設された部分が符号36で示されており、第2コンクリート材料42が打設された部分が符号38で示されている。
【0039】
図4に示すように、型枠10の底面10Aに複数の凹球面の窪み10Dを設け、それらにそれぞれ崩壊粒44を配置するようにしてもよい。そのような構成によれば各崩壊粒44の位置決めを容易に行える。
【0040】
図5に示されるように、コンクリート材料の流し込み時に生じる崩壊粒44の浮き上がりを防止するため、コンクリート材料の流し込みに先立って複数の崩壊粒44を上方から下方へ押さえ込む構造体46を配置するのが望ましい。そのような構造体46は、崩壊粒44の崩壊後において外界に接する可能性があるため、腐食に強い材料で構成するのが望ましい。例えば樹脂等によって構成してもよい。構造体46を図1に示した鉄筋によって構成することもできる。すなわち鉄筋を崩壊粒44の押さえ部材として兼用するものである。そのような場合には鉄筋をステンレス等によって構成するのが望ましい。ちなみに、各崩壊粒44においてその上部44は構造体46によって上方から押さえ込まれ、その下部44Bは型枠の底面10Aによって保持されている。すなわち底面10Aと構造体46との間にサンドイッチ状態で各崩壊粒44が教示されている。
【0041】
図6には、構造体46の上方から見た構成が概念的に示されており、その構造体46は複数の横線46aと複数の縦線46bとで構成され、それ全体としてメッシュ状の形態を有している。
【0042】
図7には、崩壊粒44の浮き上がりを防止するための別の手段が示されている。図7に示す例では、鉄筋50に複数の保持部材52が取り付けられている。各保持部材52は、鉄筋50に連結された軸と、その下端部に設けられ、水平方向に広がったホルダと、によって構成され、そのホルダにより崩壊粒44が上方から下方に押さえつけられている。もちろん、他の手段を利用して崩壊粒44の浮上を防止するようにしてもよい。図5及び図6に示した構造体46並びに図7に示した保持部材はそれぞれ各崩壊粒44を位置決め保持するものであるが、それらは最終的にコンクリートブロック12内に残留するものである。
【0043】
図8に示す例においては、コンクリートブロック12において、その表層に複数の崩壊粒44が設けられている点については図1等に示した実施形態と同様であるが、図8に示す例では、各崩壊粒44の前方側の表面レベルがブロックの表面12Aのレベルよりも若干ながら奥側に引っ込んでいる。例えば、コンクリートブロック12の保存や運搬を考えた場合、各崩壊粒44が外部に露出していると、それが不必要に侵食されてしまうことが考えられる。そのような場合には、コンクリートブロック12の完成時点においては各崩壊粒44を露出させない状態にしておき、コンクリートブロック12の設置後に各崩壊粒44ごとに開口54Aを形成して、それぞれの崩壊粒44を露出させるようにしてもよい。そのような開口54Aはハンマー打撃等によって容易に形成でき、あるいは円形開口を形成する工具等を用いてもよい。あるいは、あらかじめ開口54Aに相当する位置に樹脂等を配置してコンクリートブロック12を製造した上で樹脂を取り除くことによって開口54Aを生じさせるようにしてもよい。このような実施形態においては、コンクリートブロック12においてブロック表面12Aに沿って複数の崩壊粒44が配列されていることは上述した各実施形態と同様であり、またコンクリートブロック12の使用時において各崩壊粒44が外部に部分的に露出している点についても上述した各実施形態と同様である。ただし、上述した各実施形態では製造過程において自然に開口が形成されるのに対して図8に示した実施形態では人工的に開口が形成される点が異なっている。ちなみに、完全な円形の崩壊粒44を型枠の底面の配置した状態でコンクリート材料を流し込んでコンクリートブロックを形成すると、各崩壊粒はブロック表面に対して点として内設することになる。ただし、そのような点あるいは薄い層を介して外部から雨水が崩壊粒へ進入するのが一般的であるため、また崩壊粒の侵食に伴って崩壊粒の前面側にある薄いコンクリート材料層も自然に崩壊することになるため、そのような場合には積極的に開口を形成しなくても、あるいは小さな開口のみが存在していても、崩壊粒の崩壊を十分に行わせることが可能である。もちろん、そのような場合において積極的にすなわち人工的に開口を形成するようにしてもよい。
【0044】
図9には、別の実施形態に係る崩壊粒アレイ18Aが示されている。複数の崩壊粒44はX方向及びY方向の両方向に整列し、かつ密集配置されている。それらのアレイ内には概略的にみて四角形の形態を有する隙間が存在しており、その隙間にはコンクリート材料部分56が生じる。それを概念的に示したものが図10であり、コンクリートブロックの表面上には複数の(突起状)部分56が生じることになり、符号58で示されるような植物がそれらに絡みついてその植生を助けることになる。このような複数の突起と上述した複数の窪みすなわち緑化ポットの併用により植物58の育成及び保全をより積極的に行えるという利点がある。
【0045】
図11には更に他の実施形態が示されており、この実施形態では崩壊粒アレイ18Bにおいて、Y方向の各ステージごとに半ピッチずつずれて崩壊粒列が設けられている。3つの崩壊粒によって取り囲まれる隙間には概略的に三角形の形態を有する突起状の部分が生じる。それが図12に表されている。コンクリートブロックの表面上には複数の(突起状)部分60が存在し、それに対して植物58を這わせたり絡みつかせたりすることが可能となる。
【0046】
図13には、崩壊粒アレイの他の例が示されており、この例において、符号62は第1層を示し、符号64は第2層を示している。ここで、第1層62は表層に相当する。その第1層62内には複数の崩壊粒44からなる集合体66が構成されている。その集合体66においては、Z方向に若干シフトした高さをもって二段階の崩壊粒アレイが構成されている。符号68Aは、Z方向の奥側に存在するアレイの前方に生じるコンクリート材料の薄い層を示している。すなわち表層に存在する隙間に相当する部分を示している。このような実施形態において、各崩壊粒44が崩壊すると、崩壊粒周囲のコンクリート材料も崩壊する可能性が高くなり、符号68Aで示した部分も崩壊することになる。その結果、図14に示されるように、コンクリートブロック12の表面側に多数の凹凸からなる凹凸構造68Bが構築される。そのような凹凸構造68Bによれば蔓状の植物やつた状の植物がからむ形態を容易に構成できるという利点がある。
【0047】
図15に示す実施形態において、符号70は第1層を示しており、符号72は第2層を示している。第1層70において、表層に相当する前方側には第1の崩壊粒アレイ74Aが構成され、その奥側には第2の崩壊粒アレイ74Bが構成されている。このように、Z方向に複数のアレイを多重的にあるいは多段階的に形成することも可能である。
【0048】
図16に示す実施形態においては、楕円球の形態をもった崩壊粒が用いられ、それが崩壊した結果として楕円球形状をもった空間80が緑化ポットとして形成されている。空間80の内部には残留する土砂82を植生基盤として植物84が生育しており、コンクリートブロック78の表面78Aはその植物84によって覆われている。符号80Aは緑化ポットの開口を示している。ちなみに、図16は複数のコンクリートブロック(大型ブロック)78を積み上げて構成されるブロック壁76の断面を示すものである。
【0049】
図17に示す実施形態においては、球形をもった型枠84内に複数の崩壊粒44が密集して配置されている。その型枠84内には流動性をもったコンクリート材料が加圧注入される。すなわち、符号86で示されるような隙間にコンクリート材料が流し込まれることになる。その場合において、コンクリート材料流し込みに先立って、より詳しく言えば複数の崩壊粒44の配置に際して、鉄筋や多数の線状部材をあらかじめ配設しておくのが望ましい。そのような部材は、球形のコンクリートブロックの構造的強化を図るものである。型枠84内に上述したようにコンクリート材料を流し込んでそれを硬化させると、球形のコンクリートブロックが製造できることになる。
【0050】
図18には、そのようなコンクリートブロックを海中92に投下して海底90上に配置した様子が示されている。海中92中において各崩壊粒は徐々に崩壊して、コンクリートブロックには多数の空洞が形成されることになる。各崩壊粒はそれぞれ隣接する崩壊粒と接触しているため、表層に存在する崩壊粒のみならず内部に存在する崩壊粒についてもその浸食を生じさせて崩壊粒を構成する材料を外部に放出させることが可能である。その結果として、符合88で示すような多空洞型コンクリートブロックを構成することができ、そのようなコンクリートブロック88は漁礁として非常に有益なものである。そのようなコンクリートブロックを海岸等に配設すれば、消波作用や海水濾過作業を発揮させることも可能である。例えば、油濁汚染などが生じた場合に、このようなコンクリートブロック88を利用して海水を浄化させることも可能である。
【0051】
図17及び図18には球形をもったコンクリートブロックを示したが、もちろん上述した多空洞型コンクリートブロックの形態としては球形以外に円筒形状、立法体形状等を採用することができ、また図1に示したような平板型の形体を採用してもよい。
【0052】
本実施形態においては、コンクリートブロックに崩壊要素を設け、それをコンクリートブロックの製造時においては成形要素として利用し、その後においては空洞形成要素として機能させており、これによれば、型枠の構造を複雑化することなく、複雑な構造をもったコンクリートブロックを容易に製造できるという利点がある。また、型枠の利用だけでは内部に肥大した空洞を形成困難であるが、本実施形態によればそのような形体を持った空洞も容易に形成することが可能である。また、コンクリートブロックの表層において複数の緑化ポットを形成することも容易であり、しかも複数の緑化ポット間にコンクリート材料からなる突状部分を形成することも容易となるので、コンクリートブロックの表面の緑化を促進したりその保全を確実に行えるという利点がある。
【0053】
図19には、更に他の実施形態が示されている。ブロック壁は地山の法面に傾斜状態で設置されており、それは複数のコンクリートブロック100で構成される。コンクリートブロック100は、表層を含む第1層102とその背面側にある第2層104とで構成され、第1層102には複数の崩壊性要素44が埋設されている。第1層102は、この例において、ポーラスコンクリートによって構成されており、すなわち多孔質部材によって構成されている。これにより、第1層102が透水部及び保水部として機能し、そこから各崩壊性要素44あるいはそれを含む各緑化ポットに雨水を供給することができる。その雨水は、コンクリートブロック設置後において崩壊性要素44の崩壊を促進し、また植物の生育を助ける。なお、崩壊性要素44が多孔質部材で取り囲まれることになるので、ブロック空隙に崩壊性要素44に含まれている土、養分等が入り込みあるいはしみ込み、その部分も植栽基盤として機能させることができる。植物の根が空隙に入り込めば、植物をしっかりと根付かせることができる。
【0054】
第2層104は、この例において構造強化のために通常のコンクリート部材で構成されているが、その第2層104もポーラスコンクリートで構成することが可能である。この構成によれば、ブロック背面側からブロック前面側へ効果的に雨水を補給できる。また、ブロック全体としての保水作用を増大できる。ブロック内部に貯水用の空洞部を形成することもできる。
【0055】
コンクリートブロック100には、その背面側から前面側にかけてパイプ106が貫通している。そのパイプ106は地山110からの雨水をコンクリートブロック100の前面側へ流す作用を発揮する。前面側に流された水は、植物によって吸収され、あるいは、各緑化ポット内に取り込まれて蓄えられる。パイプ106はその先端が地山100内に差し込まれた状態で配置されてもよいし、コンクリートブロック100の背面まで延伸した状態で配置されてもよい。パイプ106の全部又は一部に透水用の孔を形成しておけば、コンクリートブロック100の内部から前面部としての第1層102へ水を供給することもできる。パイプ106に代えて、単なる横穴を形成することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明に係るコンクリートブロックの断面図である。
【図2】本発明に係るコンクリートブロックの作用を説明するための図である。
【図3】二層式のコンクリートブロックを示す図である。
【図4】型枠に設けられた窪みを示す図である。
【図5】コンクリートブロック内に配設される構造体を示す図である。
【図6】図5に示す構造体の平面図である。
【図7】鉄筋に連結された保持部材を示す図である。
【図8】各崩壊粒に対して事後的に形成される開口を説明するための図である。
【図9】複数の崩壊粒の密集状態を示す図である。
【図10】図9に示す状態において形成される複数の突起状部分を示す図である。
【図11】複数の崩壊粒の他の密集状態を示す図である。
【図12】図11に示す密集状態において形成される複数の突起部分を示す図である。
【図13】Z方向にシフトした複数の崩壊粒アレイを示す図である。
【図14】図13に示す実施形態において崩壊が生じた後の状態を示す図である。
【図15】Z方向にシフトした2つの崩壊粒アレイを示す図である。
【図16】楕円球形状をもった緑化ポットを示す図である。
【図17】漁礁等に利用可能な球形をもったコンクリートブロックの製造方法を示す図である。
【図18】漁礁として利用される多空洞型コンクリートブロックを示す図である。
【図19】ブロック壁を構成するコンクリートブロックの更に他の実施形態を示す図である。
【符号の説明】
【0057】
10 型枠、12 コンクリートブロック、18 崩壊粒アレイ、20 崩壊粒、22 コンクリート材料、24 鉄筋、26 アンカー。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブロック表面に沿って配置され且つブロック表面上に部分的に露出する複数の表層内崩壊性要素を含み、外部からの浸食作用により部分的又は全体的に崩壊し得る崩壊性要素群と、
前記崩壊性要素群の隙間に充填され、ブロック本体を構成するコンクリート材料と、
を有し、
前記各崩壊性要素は、前記コンクリート材料の成形時に前記コンクリート材料に対する成形要素として機能し、且つ、前記コンクリート材料の成形後における崩壊により前記コンクリート材料内に空洞を生じさせる要素として機能する、ことを特徴とするコンクリートブロック。
【請求項2】
請求項1記載のコンクリートブロックにおいて、
前記各崩壊性要素は岩石から骨材又は砂を製造した後に生じる粘土状の廃材を含む、ことを特徴とするコンクリートブロック。
【請求項3】
請求項1記載のコンクリートブロックにおいて、
前記コンクリート材料内には当該コンクリート材料の流し込み時に前記崩壊性要素群を押さえ込む作用を発揮する部材が埋設された、ことを特徴とするコンクリートブロック。
【請求項4】
請求項1記載のコンクリートブロックにおいて、
前記複数の表層内崩壊性要素は前記ブロック表面からブロック内部方向へ肥大した形態を有する、ことを特徴とするコンクリートブロック。
【請求項5】
請求項1記載のコンクリートブロックにおいて、
当該コンクリートブロックは緑化用であり、
自然環境下における侵食により前記複数の表層内崩壊性要素が崩壊して外部へ放出され、それに伴って前記コンクリート材料には複数の緑化ポットが構成され、
前記各緑化ポットは、前記ブロック表面上に存在する開口を有し、その内部に崩壊性要素を構成していた材料の残留部分又は外部から入り込んだ進入物を保持し得る、ことを特徴とするコンクリートブロック。
【請求項6】
請求項1記載のコンクリートブロックにおいて、
当該コンクリートブロックは緑化用であり、
前記複数の表層内崩壊要素は互いに密集して配置され、
前記複数の表層内崩壊性要素の崩壊後に、当該複数の表層内崩壊性要素の隙間に残存するコンクリート材料部分が植物生育用の複数の突部として機能する、ことを特徴とするコンクリートブロック。
【請求項7】
請求項1記載のコンクリートブロックにおいて、
当該コンクリートブロックは水中配置用であることを特徴とするコンクリートブロック。
【請求項8】
請求項1記載のコンクリートブロックにおいて、
当該コンクリートブロックの背面側から前記各崩壊性要素の形成箇所まで水を供給するための水補給構造が設けられたことを特徴とするコンクリートブロック。
【請求項9】
型枠内の底面上に球状の形態を有する複数の崩壊性要素を配置する工程と、
前記型枠内にコンクリート材料を流し込んで、それを硬化させる工程と、
を含むことを特徴とするコンクリートブロックの製造方法。
【請求項1】
ブロック表面に沿って配置され且つブロック表面上に部分的に露出する複数の表層内崩壊性要素を含み、外部からの浸食作用により部分的又は全体的に崩壊し得る崩壊性要素群と、
前記崩壊性要素群の隙間に充填され、ブロック本体を構成するコンクリート材料と、
を有し、
前記各崩壊性要素は、前記コンクリート材料の成形時に前記コンクリート材料に対する成形要素として機能し、且つ、前記コンクリート材料の成形後における崩壊により前記コンクリート材料内に空洞を生じさせる要素として機能する、ことを特徴とするコンクリートブロック。
【請求項2】
請求項1記載のコンクリートブロックにおいて、
前記各崩壊性要素は岩石から骨材又は砂を製造した後に生じる粘土状の廃材を含む、ことを特徴とするコンクリートブロック。
【請求項3】
請求項1記載のコンクリートブロックにおいて、
前記コンクリート材料内には当該コンクリート材料の流し込み時に前記崩壊性要素群を押さえ込む作用を発揮する部材が埋設された、ことを特徴とするコンクリートブロック。
【請求項4】
請求項1記載のコンクリートブロックにおいて、
前記複数の表層内崩壊性要素は前記ブロック表面からブロック内部方向へ肥大した形態を有する、ことを特徴とするコンクリートブロック。
【請求項5】
請求項1記載のコンクリートブロックにおいて、
当該コンクリートブロックは緑化用であり、
自然環境下における侵食により前記複数の表層内崩壊性要素が崩壊して外部へ放出され、それに伴って前記コンクリート材料には複数の緑化ポットが構成され、
前記各緑化ポットは、前記ブロック表面上に存在する開口を有し、その内部に崩壊性要素を構成していた材料の残留部分又は外部から入り込んだ進入物を保持し得る、ことを特徴とするコンクリートブロック。
【請求項6】
請求項1記載のコンクリートブロックにおいて、
当該コンクリートブロックは緑化用であり、
前記複数の表層内崩壊要素は互いに密集して配置され、
前記複数の表層内崩壊性要素の崩壊後に、当該複数の表層内崩壊性要素の隙間に残存するコンクリート材料部分が植物生育用の複数の突部として機能する、ことを特徴とするコンクリートブロック。
【請求項7】
請求項1記載のコンクリートブロックにおいて、
当該コンクリートブロックは水中配置用であることを特徴とするコンクリートブロック。
【請求項8】
請求項1記載のコンクリートブロックにおいて、
当該コンクリートブロックの背面側から前記各崩壊性要素の形成箇所まで水を供給するための水補給構造が設けられたことを特徴とするコンクリートブロック。
【請求項9】
型枠内の底面上に球状の形態を有する複数の崩壊性要素を配置する工程と、
前記型枠内にコンクリート材料を流し込んで、それを硬化させる工程と、
を含むことを特徴とするコンクリートブロックの製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2008−944(P2008−944A)
【公開日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−171233(P2006−171233)
【出願日】平成18年6月21日(2006.6.21)
【出願人】(502109463)有限会社アスク (3)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年6月21日(2006.6.21)
【出願人】(502109463)有限会社アスク (3)
【Fターム(参考)】
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