説明

コンパレータのオフセット補正装置

【課題】コンパレータのオフセット補正装置において、ノイズの影響などに起因して、入力しようとしている電圧と実際入力されている電圧との間に差異がある場合にも、正常に閾値オフセット量を補正する。
【解決手段】コンパレータ201のオフセット補正に際しては、開放スイッチ205を開き、短絡スイッチ204を閉じる。この状態において、制御部203はコンパレータ201に対して、2つの入力端子に入力される同一値のリファレンス電圧同士を比較する動作を複数回繰り返させる。フィルタ202は前記複数回の比較結果を平滑化した頻度信号を出力する。前記制御部203は、前記フィルタ202からの頻度信号に基づいて、コンパレータ201での複数回の比較結果のハイレベルとローレベルとの比率が50%になるように、閾値制御信号をコンパレータ201に出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンパレータのオフセット補正装置の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
コンパレータにおいて、その構成トランジスタに製造バラツキが存在すると、この製造バラツキに起因して、コンパレータの閾値はリファレンス電圧と差異が発生する。このため、コンパレータを用いたAD変換等では、高精度な変換をするには、閾値の補正が必要である。
【0003】
従来、閾値の補正に際しては、先ず、コンパレータにどの程度オフセットが発生しているかを測定する必要がある。オフセットの測定法には、例えば特許文献1や特許文献2に記載されるように、コンパレータの一方の入力端子に入力されるリファレンス電圧の値を固定し、他方の入力端子に入力される入力電圧を前記リファレンス電圧よりも低い電圧から高い電圧に変化させて行き、出力が”0”から”1”に変化した時点の入力電圧とリファレンス電圧との差を求めると共に、逆に、入力電圧を前記リファレンス電圧よりも高い電圧から低い電圧に変化させて行き、出力が”1”から”0”に変化した時点の入力電圧とリファレンス電圧との差を求め、その求めた前記2つの差の平均値をオフセット量とし、その求めたオフセット量に応じてコンパレータの内部電位等を変更して、コンパレータの閾値を補正するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第6822501号明細書
【特許文献2】特開2002−319863号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記従来のオフセット補正装置では、入力しようとしている電圧と実際に入力されている電圧との間に差異がなければ、正常にオフセット量を測定できるものの、ノイズの影響などに起因して、入力しようとしている電圧と実際に入力されている電圧との間に差異が生じた場合には、オフセット量を間違える欠点がある。
【0006】
本発明は、前記のような問題点を解決するものであり、その目的は、コンパレータの閾値のオフセット補正に際して、ノイズの影響を取り除き、正確にオフセット電圧を測定し、補正することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するため、請求項1記載の発明のコンパレータオフセット補正装置は、第1の入力端子に入力される入力信号を第2の入力端子に入力されるリファレンス電圧と比較するコンパレータと、前記入力信号の前記コンパレータの第1の入力端子への経路を開放する開放スイッチと、前記コンパレータの前記第1の入力端子の電圧を前記第2の入力端子の電圧に等しくする短絡スイッチと、前記開放スイッチを開き且つ前記短絡スイッチを閉じた状態で前記コンパレータの比較動作を複数回行わせる制御器と、前記コンパレータの複数回の比較結果を平滑化した頻度信号を出力するフィルタとを備え、前記制御器は、前記フィルタの頻度信号に基づいて前記コンパレータの閾値制御信号を生成し、この閾値制御信号により前記コンパレータの閾値を制御すると共にその制御した閾値で前記コンパレータに比較動作を複数回行わせることを特徴とする。
【0008】
請求項2記載の発明は、前記請求項1記載のコンパレータオフセット補正装置において、前記フィルタは、前記コンパレータでの全比較回数に対するハイ又はローレベルの回数の割合を算出して前記頻度信号とすることを特徴とする。
【0009】
請求項3記載の発明は、前記請求項1記載のコンパレータオフセット補正装置において、前記制御部は、前記頻度信号が50%を越える又は下回る場合には、この頻度信号が50%に近づくように前記コンパレータに与える閾値制御信号を制御することを特徴とする。
【0010】
請求項4記載の発明は、前記請求項2記載のコンパレータオフセット補正装置において、前記制御部は、前記頻度信号が50%を越える又は下回る場合には、この頻度信号が50%に近づくように前記コンパレータに与える閾値制御信号を制御することを特徴とする。
【0011】
請求項5記載の発明は、前記請求項1記載のコンパレータオフセット補正装置において、前記制御部は、前記コンパレータの閾値の変化段階が複数段階あるとき、その全ての段階において順次閾値制御信号を前記コンパレータに出力し、前記フィルタからの前記各段階での頻度信号を得て、そのうち50%に最も近い頻度信号に対応する閾値制御信号を決定することを特徴とする。
【0012】
請求項6記載の発明は、前記請求項2記載のコンパレータオフセット補正装置において、前記制御部は、前記コンパレータの閾値の変化段階が複数段階あるとき、その全ての段階において順次閾値制御信号を前記コンパレータに出力し、前記フィルタからの前記各段階での頻度信号を得て、そのうち50%に最も近い頻度信号に対応する閾値制御信号を決定することを特徴とする。
【0013】
請求項7記載の発明のフラッシュAD変換器は、前記請求項1〜6の何れか1項に記載のコンパレータオフセット補正装置を複数個備えたことを特徴とする。
【0014】
請求項8記載の発明は、前記請求項7記載のフラッシュAD変換器において、前記複数個のコンパレータのオフセット補正装置の制御器は1個で共用されることを特徴とする。
【0015】
請求項9記載の発明のデルタシグマAD変換器は、アナログ信号を受ける加算器と、前記加算器の出力を積分する積分器と、前記積分器の出力を量子化する量子化し、デジタル信号として出力する量子化器と、前記量子化器からのデジタル信号をDA変換し、そのDA変換後のアナログ信号を前記加算器にフィードバックするDA変換器とを備え、前記量子化器は、前記請求項1〜6の何れか1項に記載のコンパレータオフセット補正装置により構成されることを特徴とする。
【0016】
以上により、請求項1〜9記載の発明では、1回のコンパレータの比較結果で判断するのではなく、コンパレータの比較動作を複数回行わせ、その複数回の比較結果を平滑化した頻度信号に基づいて前記コンパレータの閾値を補正するので、ノイズの影響が低減されて、ノイズによるオフセット量の誤判定を抑制することが出来る。
【発明の効果】
【0017】
以上説明したように、請求項1〜9記載のコンパレータのオフセット補正装置によれば、コンパレータの比較動作を複数回行わせ、その複数回の比較結果を平滑化した頻度信号に基づいて前記コンパレータの閾値を補正するようにしたので、ノイズの影響が低減できて、ノイズによるオフセット量の誤判定を抑制することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施形態1に係るコンパレータのオフセット補正装置のブロック構成図である。
【図2】同コンパレータのオフセット補正装置に備えるコンパレータの内部構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施形態2に係るフラッシュAD変換器の全体構成を示す図である。
【図4】本発明の実施形態3に係るデルタシグマAD変換器の全体構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0020】
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1のコンパレータのオフセット補正装置の全体構成を示す。
【0021】
同図において、201はコンパレータ、110は入力信号、101はリファレンス電圧、105はコンパレータ入力、205は前記入力信号110がコンパレータ入力105に至る経路に配置された開放スイッチ、204は前記コンパレータ201の正極性の+入力端子(第1の入力端子)と負極性の−入力端子(第2の入力端子)とを短絡する短絡スイッチ、102は前記コンパレータ201での入力信号110とリファレンス電圧101との比較結果、202は前記比較結果を受けるフィルタ、103は前記フィルタ202から出力されるハイレベル頻度信号、203は前記コンパレータ201の閾値電圧を補正制御する制御部、104は同制御部203からコンパレータ201に出力される閾値制御信号である。
【0022】
前記制御部203は、コンパレータ201のオフセット補正に際して、開放スイッチ205を開放して、入力信号110からコンパレータ入力105の正極性の+入力端子への経路を切ると共に、短絡スイッチ204を短絡して、コンパレータ201の正極性の+入力端子と負極性の−入力端子とを短絡する。これにより、正極性の+入力端子と負極性の−入力端子との両方には、同じリファレンス電圧101が与えられる。この状態で、制御部203は閾値制御信号104をコンパレータ201に出力する。コンパレータ201は、前記閾値制御信号104により設定される閾値オフセットと、構成トランジスタ等の素子の製造ばらつきにより発生したオフセットとを比較し、負極性の−入力端子の電圧が高い場合には比較結果102としてローレベルを出力し、負極性の−入力端子の電圧が低い場合には比較結果102としてハイレベルを出力する。
【0023】
前記制御部203は、同一値の閾値制御信号104を出力している状態では、コンパレータ201に比較動作を予め定めた複数回行わせる。また、前記フィルタ202は、前記コンパレータ201からの複数回の比較結果102を平滑化した頻度信号、例えば、コンパレータ201が複数回の比較結果の中でハイレベルを出力している頻度を演算したハイレベル頻度信号103を出力する。この演算方法で最も簡単な方法は、複数回の比較結果102を平均化することである。前記ハイレベル頻度信号103はローレベル頻度信号としても良い。
【0024】
更に、前記制御部203は、前記フィルタ202からのハイレベル頻度信号103に基づいて、コンパレータ201の閾値のオフセットを制御する閾値制御信号104をコンパレータ201に出力して、コンパレータ201の閾値を補正する。この閾値補正の具体例を2つ説明する。
【0025】
<第1の閾値補正の具体例>
第1の閾値補正の具体例は次の通りである。閾値制御信号104がコンパレータ201の閾値を例えば4段階に制御する場合を考えると、最初に、閾値制御信号104の閾値オフセット設定を段階”1”とし、これによりフィルタ202のハイレベル頻度信号(ハイレベルを出力している頻度)が0%となり、次に、閾値制御信号104の閾値オフセット設定を段階”2”とし、これによりハイレベル頻度信号が20%となり、その後、閾値制御信号104の閾値オフセット設定を段階”3”とし、これによりハイレベル頻度信号が60%となり、最後に、閾値制御信号104の閾値オフセット設定を段階”4”とし、これによりハイレベル頻度信号が100%となった場合、閾値制御信号104の閾値オフセット設定を段階”3”と決定する。このように、閾値制御信号104の閾値オフセットの設定を順次全段階で行い、その後、ハイレベル頻度信号103が最も50%に近い閾値オフセット設定の段階を閾値制御信号104として決定する方法である。
【0026】
<第2の閾値補正の具体例>
第2の閾値補正の具体例は次の通りである。この具体例は、閾値制御信号104の閾値オフセットを所定の段階に設定し、この状態でフィルタ202から得られるハイレベル頻度信号に基づいて次の閾値制御信号104の閾値オフセット設定の段階を決定する方法である。この方法は、例えば、ハイレベル頻度信号103が50%を上回る場合には、次の閾値制御信号104の閾値オフセットを下げる。一方、ハイレベル頻度信号103が50%を下回る場合は、次の閾値制御信号104の閾値オフセット設定の段階を上げる。そして、前回の閾値オフセット設定の段階と次の閾値オフセット設定の段階とが相互に隣接する段階であって且つ前回の閾値オフセット設定でハイレベル頻度信号103が50%を上回り、次の閾値オフセット設定でハイレベル頻度信号103が50%を下回る場合、又は、前回の閾値オフセット設定でハイレベル頻度信号103が50%を下回り、次の閾値オフセット設定でハイレベル頻度信号103が50%を上回る場合に、その前回と今回のハイレベル頻度信号103がより50%に近い方の閾値オフセットの段階を閾値制御信号104として決定する。例えば、閾値制御信号104の閾値オフセット設定が16段階(”1“〜”16”)ある場合において、初期閾値オフセット設定が段階“8”でハイレベル頻度信号が80%の場合に、閾値オフセット設定を段階“4”に下げ、ハイレベル頻度信号が30%になると、次に閾値オフセット設定を段階“6”に上げ、ハイレベル頻度信号が55%となると、閾値オフセット設定を段階“5”に下げ、ハイレベル頻度信号が40%となると、閾値オフセット設定を“6”と決定する。
【0027】
次に、コンパレータ201での閾値の具体的補正を説明する。図2は、プリアンプ付の差動コンパレータ回路の一例を示す。同図において、vinpは正極性の+入力信号、vinmは負極性の−入力信号、vrefpは正極性のリファレンス電圧、vrefmは負極性のリファレンス電圧、N1〜N14はノード、Trn1〜Trn11はNchトランジスタ、Trp1〜Trp9はPchトランジスタ、R1〜R2は抵抗である。
【0028】
また、図2において、入力部401は、差動のリファレンス電圧Vrefp、Vrefmと差動の入力信号Vinp、Vinmとを入力するトランジスタTrn1〜Trn4により構成される。更に、前記入力部401を含むプリアンプ402は、前記入力信号とリファレンス電圧との電圧差を増幅して比較部403に出力する。前記比較部403は、前記プリアンプ402の出力であるノードN6とノードN7との両電圧を比較し、ノードN6の方が電圧が高い場合には、出力ノードN14をローレベルに、出力ノードN13をハイレベルにする一方、逆に、ノードN7の方が電圧が高い場合には、出力ノード13をローレベルに、出力ノードN14をハイレベルにする。
【0029】
前記図2のプリアンプ付の差動コンパレータ回路において、閾値オフセットの付け方には、種々の方法がある。例えば、コンパレータの入力部401の4個のトランジスタTrn1〜Trn4の少なくとも1つのアスペクト比を変更する構成、入力トランジスタTrn1〜Trn4の少なくとも1つの基板電圧を変更する構成、トランジスタTrp1〜Trp2の少なくとも1つのアスペクト比を変更する構成、抵抗R1、R2の少なくとも1つの抵抗値を変更する構成、ノードN4〜N7の少なくとも1つのノードから電流を引く構成、ノードN11〜N14の少なくとも1つに負荷容量を付加する構成などがある。
【0030】
以上説明したように、コンパレータ201の複数回の比較結果102をフィルタ202で平均化することにより、ノイズによる閾値オフセット量の誤判定を抑制することが可能である。
【0031】
(実施形態2)
図3は、本発明の第2の実施形態を示し、フラッシュAD変換器に適用した例である。
【0032】
図3において、図1と同じ構成は説明を省略する。同図において、2010はコンパレータアレイ、2023はオフセット補正器、201.1〜201.7はコンパレータ、202.1〜202.7はフィルタ、203.1〜203.7は制御部、204.1〜204.7は短絡スイッチ、205.1〜205.7は開放スイッチ、206.1〜206.8は抵抗、111は高基準電位、112は低基準電位、104.1〜104.7はオフセット補正器2023から出力される閾値制御信号である。
【0033】
同図に示したフラッシュAD変換器は、出力するデジタル信号のビット数nに対して(2−1)個のコンパレータが必要である。そのため、ビット数が多い場合にはコンパレータの個数も多くなり、コンパレータの閾値オフセットを個別に測定して補正しようとすると、補正時間が長くなる問題がある。そこで、本実施形態では、前記実施形態1で説明したコンパレータのオフセット補正装置を用いる。
【0034】
すなわち、開放スイッチ205.1〜205.7を開放すると共に、正極性の+入力端子と負極性の−入力端子とを短絡スイッチ204.1〜204.7で接続し、各コンパレータ201.1〜201.7の2つの入力端子に前記抵抗206.1〜206.8で設定される対応するリファレンス電圧を共に入力すれば、各コンパレータ201.1〜201.7の複数回の比較結果により、個別にコンパレータ201.1〜201.7の閾値オフセットを制御することができる。従って、全てのコンパレータ201.1〜201.7について同時に独立に閾値オフセットを補正すること可能である。よって、コンパレータ数が多数であっても、オフセット補正期間はコンパレータ1個の場合と同じである。
【0035】
また、制御部203によるコンパレータ201.1〜201.7のオフセット補正が、前述の記<第1の閾値補正の具体例>で実行される場合には、閾値制御信号104の閾値オフセット設定を全段階で設定する過程は、フラッシュAD変換器内の全てのコンパレータ201.1〜201.7の閾値オフセット設定を同じ段階設定で変更して行くことができるので、コンパレータ1個に対して制御部203を1個備える構成、即ち、全体ではコンパレータ数に等しい個数だけ制御部203を備える場合に比べて、制御部203.1〜203.7を1個にまとめ、共用できるので、非常に小さい回路構成とすることができる。一方、オフセット補正が、前述の<第2の閾値補正の具体例>で実行される場合には、各コンパレータでの次の閾値オフセット設定の段階が相互に異なる関係上、コンパレータ1個に対して制御部203を1個備えなければならないが、閾値オフセット設定の段階が多い場合には、備える複数個のコンパレータ間で並列に段階設定できるので、補正期間を短縮できる利点がある。
【0036】
また、フィルタ202.1〜202.7及び制御部203.1〜203.7はデジタル回路で実現可能であるので、オフセット補正器2023として全てまとめて配置することができ、無駄なスペースなく、簡単にレイアウトすることが可能である。
【0037】
(実施形態3)
図4は、本発明の第3の実施形態を示し、ΔΣ(デルタシグマ)AD変換器に適用した例である。
【0038】
同図はΔΣAD変換器のブロック構成を示し、300は入力されるアナログ信号、301はAD変換後の出力デジタル信号、311は積分器、312は量子化器、313はDA変換器、314は演算器(加算器)である。前記演算器314は入力アナログ信号とDA変換器313からのフィードバック信号とを加算し、前記積分器311は前記演算器314の加算出力を積分する。また、量子化器312は、前記積分器311の出力を量子化して、デジタル信号301を出力する。DA変換器313は、前記出力デジタル信号301をDA変換し、その変換後のアナログ信号を前記演算器314にフィードバック信号としてフィードバックする。
【0039】
ここで、前記量子化器312は、前記実施形態1で説明したコンパレータのオフセット補正装置又は前記実施形態2で説明したフラッシュAD変換器で構成される。図4のΔΣAD変換器内の量子化器312の閾値電圧が設計値と差があると、歪成分が発生して、ノイズが大きくなり、SNDR(信号対雑音+歪比)が悪化し、そのため、高SNDRが求められる場合には、許容される閾値電圧のばらつき範囲が非常に狭くなる。そこで、前記実施形態1又は2のコンパレータのオフセット補正装置又はフラッシュAD変換器を用いることにより、コンパレータの閾値オフセットを正確に補正することができて、歪成分が発生せず、高SNDRを達成することができる。
【産業上の利用可能性】
【0040】
以上説明したように、本発明は、コンパレータの閾値のオフセット補正において、ノイズの影響が低減できて、ノイズによる閾値オフセット量の誤判定を抑制することが可能であるので、フラッシュAD変換器やデルタシグマ変換器に適用して有用である。
【符号の説明】
【0041】
201、201.1〜201.7 コンパレータ
202、202.1〜202.7 フィルタ
203、203.1〜203.7 制御部
204、204.1〜204.7 短絡スイッチ
205、205.1〜205.7 開放スイッチ
206.1〜206.7 抵抗
2010 コンパレータアレイ
2023 オフセット補正器
311 積分器
312 量子化器
313 DA変換器
314 演算器
401 入力部
402 プリアンプ
403 比較部
Trn1〜Trn11 Nchトランジスタ
Trp1〜Trp9 Pchトランジスタ
N1〜N4 ノード
R1、R2 抵抗

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の入力端子に入力される入力信号を第2の入力端子に入力されるリファレンス電圧と比較するコンパレータと、
前記入力信号の前記コンパレータの第1の入力端子への経路を開放する開放スイッチと、
前記コンパレータの前記第1の入力端子の電圧を前記第2の入力端子の電圧に等しくする短絡スイッチと、
前記開放スイッチを開き且つ前記短絡スイッチを閉じた状態で前記コンパレータの比較動作を複数回行わせる制御器と、
前記コンパレータの複数回の比較結果を平滑化した頻度信号を出力するフィルタとを備え、
前記制御器は、前記フィルタの頻度信号に基づいて前記コンパレータの閾値制御信号を生成し、この閾値制御信号により前記コンパレータの閾値を制御すると共にその制御した閾値で前記コンパレータに比較動作を複数回行わせる
ことを特徴とするコンパレータオフセット補正装置。
【請求項2】
前記請求項1記載のコンパレータオフセット補正装置において、
前記フィルタは、
前記コンパレータでの全比較回数に対するハイ又はローレベルの回数の割合を算出して前記頻度信号とする
ことを特徴とするコンパレータオフセット補正装置。
【請求項3】
前記請求項1記載のコンパレータオフセット補正装置において、
前記制御部は、
前記頻度信号が50%を越える又は下回る場合には、この頻度信号が50%に近づくように前記コンパレータに与える閾値制御信号を制御する
ことを特徴とするコンパレータオフセット補正装置。
【請求項4】
前記請求項2記載のコンパレータオフセット補正装置において、
前記制御部は、
前記頻度信号が50%を越える又は下回る場合には、この頻度信号が50%に近づくように前記コンパレータに与える閾値制御信号を制御する
ことを特徴とするコンパレータオフセット補正装置。
【請求項5】
前記請求項1記載のコンパレータオフセット補正装置において、
前記制御部は、
前記コンパレータの閾値の変化段階が複数段階あるとき、その全ての段階において順次閾値制御信号を前記コンパレータに出力し、前記フィルタからの前記各段階での頻度信号を得て、そのうち50%に最も近い頻度信号に対応する閾値制御信号を決定する
ことを特徴とするコンパレータオフセット補正装置。
【請求項6】
前記請求項2記載のコンパレータオフセット補正装置において、
前記制御部は、
前記コンパレータの閾値の変化段階が複数段階あるとき、その全ての段階において順次閾値制御信号を前記コンパレータに出力し、前記フィルタからの前記各段階での頻度信号を得て、そのうち50%に最も近い頻度信号に対応する閾値制御信号を決定する
ことを特徴とするコンパレータオフセット補正装置。
【請求項7】
前記請求項1〜6の何れか1項に記載のコンパレータオフセット補正装置を複数個備えた
ことを特徴とするフラッシュAD変換器。
【請求項8】
前記請求項7記載のフラッシュAD変換器において、
前記複数個のコンパレータオフセット補正装置の制御器は1個で共用される
ことを特徴とするフラッシュAD変換器。
【請求項9】
アナログ信号を受ける加算器と、
前記加算器の出力を積分する積分器と、
前記積分器の出力を量子化する量子化し、デジタル信号として出力する量子化器と、
前記量子化器からのデジタル信号をDA変換し、そのDA変換後のアナログ信号を前記加算器にフィードバックするDA変換器とを備え、
前記量子化器は、前記請求項1〜6の何れか1項に記載のコンパレータオフセット補正装置により構成される
ことを特徴とするデルタシグマAD変換器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−193340(P2011−193340A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−59207(P2010−59207)
【出願日】平成22年3月16日(2010.3.16)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】