説明

サスペンションシステム

【課題】 車体をリーンさせるための機構の実用性を向上させることを課題とする。
【解決手段】 本発明のサスペンションシステム10は、1対の左右輪14をそれぞれ回転可能に保持する1対のステアリングナックル18と、車体に回動可能に支持された1対のロアアーム24と、下端部がそれらロアアームまたはナックルに支持された1対のサスペンション装置18と、車体に設けられ、(a)それらサスペンション装置の上端部を、左右の端部に設けられた1対の端部で支持する支持部材34と、(b) 車体を路面に対して左右に傾斜させるべく、1対のサスペンション装置の上端部が、一方の下方への変位量が他方の上方への変位量よりも大きくなる相対変位をするように、スプリング支持体を動作させるアクチュエータ36とを有する支持装置30とを備えることで、スプリング支持体を回転させるだけで車体をリーンさせることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用のサスペンションシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車体をリーン(傾斜)させることができる車両、つまり、車体を車幅方向において傾けることができる車両が開発されている。このような車両は、例えば、車両の旋回中に、遠心力に抗するため、車体をリーンさせる。例えば、下記特許文献1,2に記載の車両では、左右輪をそれぞれ保持する2つのキャリアが、車体に設けられたリンク機構を介して互いに連結されている。この車両は、左右のキャリアの一方がバウンド方向に、他方がリバウンド方向に動くようにアクチュエータの発生する力によってリンク機構を動作させることで、車体をリーンさせるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−214857号公報
【特許文献2】国際出願PCT/JP2006/321793号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
車体をリーンさせるためには、前記特許文献に記載されている機構を含む様々な機構を採用することができる。その意味においては、リーン機構、つまり、車体をリーンさせるための機構は、未だ確立されたものではなく、何らかの改良を施すことによって、リーン機構の実用性を向上させることが可能になると考えられる。本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、実用性の高いリーン機構を有するサスペンションシステムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、本発明のサスペンションシステムは、1対の左右輪をそれぞれ回転可能に保持する1対のキャリアと、車体に回動可能に支持されつつ1対のキャリアに回動可能に連結された1対のサスペンションアームと、下端部が1対のサスペンションアームまたは1対のキャリアに支持された1対のサスペンションスプリングと、車体に設けられ、(a) 1対のサスペンションスプリングの上端部を、左右の端部に設けられた1対の支持部で支持するスプリング支持体と、(b) 車体を路面に対して左右に傾斜させるべく、1対のサスペンションスプリングの上端部が、車体の上下方向において、一方の下方への変位量が他方の上方への変位量よりも大きくなる相対変位をするように、スプリング支持体を動作させる支持体動作機構とを有するスプリング支持装置とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明のサスペンションシステムによれば、スプリング支持体を動作させることで、上端部が上方に変位するサスペンションスプリングの側では、車輪がバウンド方向に移動し、上端部が下方に変位するサスペンションスプリングの側では、車輪がリバウンド方向に移動することになる。つまり、車体の走行面からの高さが、バウンドする車輪側で低くなり、リバウンドする車輪側で高くなる。したがって、1つのスプリング支持体だけを動かすという比較的シンプルな方法で、車体をリーンさせることができる。また、車体がリーンする際、バウンドする車輪の車体に対する移動量よりも、リバウンドする車輪の車体に対する移動量の方が大きくなるため、バウンドする車輪側の車体の低くなる量よりも、リバウンドする車輪側の車体の高くなる量の方が大きくなる。そのため、本サスペンションシステムでは、車体のリーンにおいて、車体の重心位置が低くなるのを抑制することができる。さらに、車体のリーンの際に車体の重心位置が高くなるようにサスペンションシステムが構成されている場合、車体に作用する重力によって車体が直立しようとするため、車体を直立する状態で安定させることが比較的容易になる。したがって、本サスペンションシステムによれば、実用性の高いリーン機構を有するサスペンションシステムを提供することができる。
【発明の態様】
【0007】
以下に、本願において特許請求が可能と認識されている発明(以下、「請求可能発明」という場合がある)の態様をいくつか例示し、それらについて説明する。各態様は請求項と同様に、項に区分し、各項に番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、あくまでも請求可能発明の理解を容易にするためであり、それらの発明を構成する構成要素の組み合わせを、以下の各項に記載されたものに限定する趣旨ではない。つまり、請求可能発明は、各項に付随する記載,実施例の記載等を参酌して解釈されるべきであり、その解釈に従う限りにおいて、各項の態様にさらに他の構成要素を付加した態様も、また、各項の態様から何某かの構成要素を削除した態様も、請求可能発明の一態様となり得るのである。そして、請求可能発明の態様のうちのいくつかのものが、特許請求の範囲に記載した請求項に係る発明に相当する。
【0008】
なお、以下の各項において、(1)項から(4)項が請求項1から請求項4に、(7)項が請求項5にそれぞれ相当する。
【0009】
(1)車体の左右にそれぞれ配設された1対の車輪に対して設けられた車両用サスペンションシステムであって、
前記1対の車輪をそれぞれ回転可能に保持する1対のキャリアと、
それら1対のキャリアに対応し、それぞれが、一端において車体に回動可能に支持されるとともに、他端において前記1対のキャリアの対応するものに回動可能に連結された1対のサスペンションアームと、
それら1対のサスペンションアームおよび前記1対のキャリアに対応し、それぞれの下端部が、前記1対のサスペンションアームの対応するものと前記1対のキャリアの対応するものとの一方に支持された1対のサスペンションスプリングと、
車体に設けられ、(a) 前記1対のサスペンションスプリングの上端部を、左右のそれぞれの端部に設けられた1対の支持部においてそれぞれ支持するスプリング支持体と、(b) 車体を路面に対して左右に傾斜させるべく、前記1対のサスペンションスプリングの上端部が車体の上下方向において相対変位し、かつ、その相対変位が、それら上端部の一方の下方への変位量が他方の上方への変位量よりも大きなものとなるように、前記スプリング支持体を動作させるスプリング支持体動作機構とを有するスプリング支持装置と
を備えた車両用サスペンションシステム。
【0010】
本サスペンションシステムによれば、スプリング支持体を動作させることによって、車体の上下方向において、1対のサスペンションスプリングの上端部の一方が下方に変位し、他方が上方に変位する。そのため、上端部が上方に変位するサスペンションスプリングの側では、車輪がバウンド方向に移動し、上端部が下方に変位するサスペンションスプリングの側では、車輪がリバウンド方向に移動する。そのため、車体の左右において対称となる位置に1対の基準点があると考える場合、バウンドする車輪側の基準点(以下、「バウンド側基準点」という場合がある)の走行面からの高さは低くなり、リバウンドする車輪側の基準点(以下、「リバウンド側基準点」という場合がある)の走行面からの高さは高くなる。例えば、1対の車輪に対応して車体に設けられた1対のフェンダーの最上部を1対の基準点とした場合には、バウンドする車輪側のフェンダーの最上部が引くなり、リバウンドする車輪側のフェンダーの最上部が高くなる。したがって、車体の姿勢は、直立する状態からリーンする状態へと変化することになる。このように、本サスペンションシステムは、1対のサスペンションスプリングの両方の上端部を支持する1つのスプリング支持体だけを動かすという比較的シンプルな方法で車体をリーンさせることができる。
【0011】
なお、本項に記載の「車体の上下方向」とは、車両を前方若しくは後方から見た場合において車体の車幅方向における中心線の延びる方向であり、車両が水平な走行面上に直立する状態においては走行面に対して垂直な方向であり、車幅方向における車体の走行面に対する姿勢が変化した場合には、その姿勢の変化に伴って走行面に垂直な方向から傾く方向である。
【0012】
本サスペンションシステムによれば、スプリング支持体を動作させると、1対のサスペンションスプリングの上端部のうち、下方に変位する上端部の変位量が、上方に変位する上端部の変位量よりも大きくなるため、バウンドする車輪の車体の上方向への移動量(以下、「バウンド移動量」という場合がある)よりも、リバウンドする車輪の車体の下方向における移動量(以下、「リバウンド移動量」という場合がある)の方が大きくなる。そのため、車体が直立する状態からリーンする状態になると、前述の車体の1対の基準点では、バウンド側基準点の低くなる量よりも、リバウンド側基準点の高くなる量の方が大きくなる。そのため、本サスペンションシステムは、車体のリーンにおいて、車体の重心位置が低くなるのを抑制することができる。
【0013】
さらに、本サスペンションシステムによれば、車体がリーンする際に、車体の重心位置が高くなるようにサスペンションシステムを構成することができる。つまり、リバウンド側基準点の高くなる量が、バウンド側基準点の低くなる量よりも相当に大きくなるようにサスペンションシステムが構成されている場合には、車体がリーンすることによって車体の重心位置の走行面からの高さが低くなることを考慮しても、リーンの際に、車体の重心位置を高くさせることができる。そのように本サスペンションシステムが構成されている場合、車体に作用する重力は、リーンしている車体を直立させるように本サスペンションシステムに作用する。そのため、重力によって車体が直立しようとするので、車体を直立する状態で安定させることが比較的容易になる。
【0014】
上記のように、車体のリーンの際に車体の重心位置が高くなるようにサスペンションシステムが構成されている場合、例えば、支持体動作機構がスプリング支持体を動作させるための駆動源を有しており、車体をリーンさせている状態において駆動源に失陥等が発生したときでも、車体は直立する状態に戻ることができる。つまり、駆動源が失陥して車体をリーンさせるための力が失われると、車体は自重によって低い方へと移動し、その移動に伴って、車体はリーンする状態から直立する状態へと自然に戻ることができる。したがって、駆動源に失陥等が発生しても、車体がさらにリーンしたり、車体がリーンしたままになってしまうことがないため、安全性の面においても、本サスペンションシステムを優れたものとさせることができる。
【0015】
また、車体のリーンの際に車体の重心位置が高くなるようにサスペンションシステムが構成されている場合、例えば、横風などの車体をリーンさせる外力が車体に入力され、先の駆動源が、車体を直立させるための力を発生させる場合でも、重力が車体を直立させるようにサスペンションシステムに作用しているため、駆動源は比較的小さな力を発生させるだけで車体を直立させることができる。そのため、車体を直立させるために必要な消費エネルギーを比較的少なくすることもできる。さらに、駐車中などの車両が使用されていない状況においては、車体が自然に直立しようとするため、エネルギーをほとんど消費せずに車体を直立する状態で維持することができる。
【0016】
(2)前記支持体動作機構が、前記スプリング支持体を、前記1対の支持部の車体幅方向における間かつ下方に位置する位置で車体前後方向に延びる回転軸線回りに回転動作させる機構である(1) 項に記載の車両用サスペンションシステム。
【0017】
本項に記載のスプリング支持体が回転すると、1対の支持部は、それぞれ、同じ回転角度だけ回転軸線回りに回転する。したがって、例えば、その回転軸線から各支持部までの距離が同じであれば、各支持部は、回転軸線を中心とする円周上を同じ距離だけ移動する。また、その移動の際、1対の支持部の一方は円周上を下方に向かって移動し、他方は円周上を上方に向かって移動する。この場合、円周上を下方に移動する支持部の移動量の上下方向の成分の大きさは、円周上を上方に移動する支持部の移動量の上下方向の成分の大きさよりも大きくなる。したがって、本サスペンションシステムによれば、スプリング支持体を回転動作させて車体をリーンさせると、バウンド移動量よりも、リバウンド移動量の方が大きくなる。
【0018】
本項に記載のスプリング支持体は、例えば、1対の支持部の間の下方において、支持体動作機構に回転可能に保持される被保持部を有していればよい。その場合、スプリング支持体では、1対の支持部と1つの被保持部とが逆三角形を成すようにして配置されることになる。そのように、1対の支持部と1つの被保持部とを配置するために、スプリング支持体は、例えば、V字あるいはT字等の形状に形成されていればよい。スプリング支持体がV字の形状に形成されている場合は、スプリング支持体は、上方に突出する2つの部分の上端部が1対の支持部とされ、それら上方に突出する2つの部分が結合する下端部が被保持部とされればよい。また、スプリング支持体がT字の形状に形成されている場合は、スプリング支持体は、上方で横に延びる部分の2つの端部が1対の支持部とされ、下方に延びる部分が被保持部とされればよい。このようなV字あるいはT字の形状のスプリング支持体を被支持部を中心として回転させれば、1対の支持部は、一方が下方へ変位し、他方が上方へ変位する。
【0019】
(3)前記支持体動作機構が、前記スプリング支持体を、前記1対の支持部の一方を上方に他方を下方に変位させるときにはそれら1対の支持部の車幅方向における中央からその一方に偏った位置で車体前後方向に延びる第1回転軸線回りに、前記1対の支持部の他方を上方に一方を下方に変位させるときにはそれら1対の支持部の中央からその他方に偏った位置で車体前後方向に延びる第2回転軸線回りに、回転動作させる機構である(1) 項に記載の車両用サスペンションシステム。
【0020】
本サスペンションシステムでは、スプリング支持体が、1対の支持部の間の位置で回転動作させられる。そのため、1対の支持部は、一方が下方へ変位し、他方が上方へ変位する。また、本サスペンションシステムでは、スプリング支持体が、1対の支持部のどちらかに偏った位置で回転動作させられるため、1対の支持部の変位量が異なることになる。具体的には、回転軸線から遠い方の支持部は、回転軸線に近い方の支持部よりも、より大きな回転半径で回転するため、変位量が大きくなる。さらに、本サスペンションシステムでは、上方に変位する方の支持部に近い方の回転軸線回りに、スプリング支持体が回転させられる。そのため、回転軸線から遠い方の支持部の下方への変位量が、回転軸線に近い方の支持部の上方への変位量よりも大きくなる。したがって、本サスペンションシステムによれば、スプリング支持体を回転動作させて車体をリーンさせると、バウンド移動量よりも、リバウンド移動量の方が大きくなる。
【0021】
(4)前記支持体動作機構が、
自身の軸線が前記第1回転軸線と一致するようにして車体に回転可能に保持された第1シャフトと、
車体を傾斜させていない非傾斜状態において車体幅方向に延びる姿勢で、かつ、前記第1シャフトの軸線回りに揺動可能に、自身の一端部において前記第1シャフトに支持された揺動バーと、
その揺動バーの他端部に前記第1シャフトと平行な姿勢でかつ回転可能に保持され、前記非傾斜状態において自身の軸線が前記第2回転軸線と一致させられるとともに、前記スプリング支持体を、前記1対の支持部の間に前記第1シャフトと自身とが位置するような部位において固定支持し、そのスプリング支持体と前記揺動バーとを自身の軸線回りに相対回動させるための第2シャフトと、
前記第1シャフトをそれの軸線回りに双方向に回転させるシャフト回転装置と、
前記第1シャフトの回転を前記第2シャフトに伝達する回転伝達装置と、
前記揺動バーの、それの他端部が上方に変位する向きの前記非傾斜状態からの揺動を、禁止するバー揺動ストッパと、
前記スプリング支持体と前記揺動バーとの、その揺動バーの一端部が前記スプリング支持体に対して下方に変位する向きの前記非傾斜状態からの相対回動を、禁止する相対回動ストッパと
を有し、
前記シャフト回転装置による正方向の前記第1シャフトの回転によって、前記相対回動ストッパによって前記スプリング支持体と前記揺動バーとの前記相対回動が禁止された状態で、前記スプリング支持体を、それの前記1対の支持部の一方が上方に他方が下方に変位する向きにおける前記第1シャフトの軸線回りに回動動作させ、
前記シャフト回転装置による逆方向の前記第1シャフトの回転によって、前記バー揺動ストッパによって前記揺動バーの前記揺動が禁止された状態で、前記スプリング支持体を、それの前記1対の支持部の他方が上方に一方が下方に変位する向きにおける前記第2シャフトの軸線回りに回動動作させるように構成された(3) 項に記載の車両用サスペンションシステム。
【0022】
本サスペンションシステムは、先の項で示した支持体動作機構の構造および作動に関して、具体的な限定が加えられた態様となっている。本サスペンションシステムの支持体動作機構は、シャフト回転装置の作動によって第1シャフトが回転させられると、回転伝達装置によって、第2シャフトが第1シャフトとともに回転するように構成されている。しかしながら、本サスペンションシステムでは、第1シャフトが正方向に回転させられる場合のみ、相対回動ストッパによって非傾斜状態においてその相対回動が禁止される。そのため、その状態から第1シャフトがさらに正方向に回転させられると、スプリング支持体と揺動バーとが一体となって第1シャフトの回りを回転することになる。その回転によって、スプリング支持体は、第1回転軸線に近い側の支持部が上方に変位し、遠い方の支持部が下方へと変位するように回転動作する。また、先に説明したように、第1回転軸線から遠い方の支持部の下方への変位量は、近い方の支持部の上方への変位量よりも大きくなる。
【0023】
また、揺動バーの揺動が禁止された状態で第1シャフトが逆方向に回転させられると、第1シャフトの回転が回転伝達装置によって第2シャフトに伝達され、スプリング支持体は第2シャフトの回りを回転することになる。その回転によって、スプリング支持体は、第2回転軸線に近い方の支持部が上方に変位し、遠い方の支持部が下方へと変位するように回転動作する。また、先に説明したように、第2回転軸線から遠い方の支持部の下方への変位量は、近い方の支持部の上方への変位量よりも大きくなる。
【0024】
また、本項に記載の「バー揺動ストッパ」は、揺動バーの他端部が上方に変位する向きの揺動バーの揺動を禁止するだけではなく、その禁止によって非傾斜状態を実現するものであってもよい。同様に、本項に記載の「相対回動ストッパ」は、揺動バーの一端部がスプリング支持体に対して下方に変位する向きのスプリング支持体と揺動バーとの相対回動を禁止するだけではなく、その禁止によって非傾斜状態を実現するものであってもよい。つまり、本項に記載の支持体動作機構は、バー揺動ストッパが上記の揺動を禁止し、かつ、相対回動ストッパが上記の相対回動を禁止することで、非傾斜状態を実現するように構成されていてもよい。
【0025】
本項に記載の「回転伝達装置」には、例えば、チェーン機構,ベルト機構,ギヤ機構等を採用することができる。例えば、チェーン機構を用いた装置の場合には、第1シャフトおよび第2シャフトに、それぞれ、スプロケットが固定されており、それらスプロケットにチェーンが架け渡されていれば、第1シャフトの回転を第2シャフトに伝達することができる。また、ベルト機構を用いた装置の場合には、第1シャフトおよび第2シャフトに、それぞれ、プーリが固定されており、それらプーリにベルトが架け渡されていればよい。ギヤ機構を用いた装置の場合には、第1シャフトおよび第2シャフトに、それぞれ、歯車が固定されており、それら歯車が別の歯車を介して噛み合っているようなギヤトレインとされていれば、第1シャフトの回転を第2シャフトに伝達することができる。
【0026】
(5)前記相対回動ストッパが、前記揺動バーに固定され、前記スプリング支持体が前記第2シャフトの回転軸線の回りに回転する場合に、前記第1シャフトと前記第2シャフトとの間で前記スプリング支持体の上面に当接して前記スプリング支持体を係止するように構成された(4)項に記載のサスペンションシステム。
【0027】
本項に記載の相対回動ストッパは、簡単に言えば、第1シャフトが正方向に回転させられる場合に、スプリング支持体を上から押さえ付けるようなものであればよい。したがって、相対回動ストッパは、揺動バーからスプリング支持体の上方に延び出しているようなものであればよい。そのような相対回動ストッパであれば、揺動バーの他端部が上方に変位する向きのスプリング支持体と揺動バーとの相対回動において、相対回動ストッパがスプリング支持体の上面に当接し、その相対回動が禁止されることになる。
【0028】
(6)前記バー揺動ストッパが、車体に固定され、前記揺動バーの上面に当接して前記揺動バーを係止するように構成された(4)項または(5)項に記載のサスペンションシステム。
【0029】
本項に記載のバー揺動ストッパは、簡単に言えば、揺動バーを上から押さえ付けるようなものであればよい。したがって、バー揺動ストッパは、車体から揺動バーの上方に延び出しているようなものであればよい。そのようなバー揺動ストッパであれば、揺動バーの他端部が上方に変位する向きの揺動バーの揺動において、バー揺動ストッパが揺動バーの上面に当接し、その揺動を禁止することができる。
【0030】
(7)当該サスペンションシステムが、車両が旋回する場合に、その旋回の程度に基づいて前記支持体動作機構が前記スプリング支持体を動作させる(1)項ないし(6)項に記載のサスペンションシステム。
【0031】
本項に記載の「旋回の程度」とは、言わば、車両の旋回の激しさ、きつさ、厳しさ等を表すものであり、車両の旋回中における速度や旋回半径などに応じて決まるものである。したがって、「旋回の程度」とは、車両の旋回中における速度が速くなるにつれて、あるいは、旋回半径が小さくなるにつれて大きくなる。「旋回の程度」を示す旋回程度指標として、例えば、旋回中に発生する遠心力を利用することができる。その場合には、スプリング支持体を、遠心力に基づいた動作量に動作させればよい。その結果、車体は、遠心力に基づいた角度にリーンさせられることになる。また、旋回程度指標として、例えば、ステアリング操作部材の操作量と車両の速度とに応じて変化する値、ヨーレート、車輪に発生する横力等を使用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】第1実施例のサスペンションシステムが搭載された車両の側面図と平面図である。
【図2】第1実施例のサスペンションシステムを示す斜視図である。
【図3】第1実施例のサスペンションシステムがスプリング支持体の動作に伴って変化する様子を示す図である。
【図4】第1実施例のサスペンションシステムにおいて、スプリング支持体の動作に伴う1対の支持部の車体の上下方向における相対変位を示す図である。
【図5】第1実施例のサスペンションシステムにおいて、スプリング支持体の動作に伴う1対の車輪の各々のバウンド方向またはリバウンド方向への移動を示す図である。
【図6】第1実施例のサスペンションシステムにおいて、スプリング支持体の動作に伴う車体の重心位置の高さの変化を示す図である。
【図7】第2実施例のサスペンションシステムを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、請求可能発明の実施例を、図を参照しつつ詳しく説明する。なお、請求可能発明は、下記の実施例および変形例に限定されるものではなく、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した種々の態様で実施することができる。
【実施例1】
【0034】
図1に、実施例のサスペンションシステム10が搭載された車両を模式的に示す。本車両は、1人乗りの車両となっており、乗員座席12が車両の略中央に1つだけ設けられている。本車両には、前輪としての1対の車輪14が、車両の前方において、左右にそれぞれ配設されている。また、後輪としての単一の車輪16が、車両の後方において、車幅方向中央に配設されている。つまり、本車両は、3輪で走行する車両となっている。本車両では、1対の前輪14が転舵輪とされており、後輪16が駆動輪とされている。また、1対の前輪14の間隔が比較的狭いため、本車両は車幅の比較的狭い車両となっている。なお、本明細書では、1対の前輪14を左右別々に示す場合には、左側の前輪を左前輪14L、右側の前輪を右前輪14Rとして表記する。また、他の構成要素においても、必要に応じ、左前輪14Lに対応して設けられた構成要素には符号Lを添えて表記し、右前輪14Rに対応して設けられた構成要素には符号Rを添えて表記する。
【0035】
図2は、1対の前輪14に対して設けられたサスペンションシステム10を示す。サスペンションシステム10は、1対の前輪14を回転可能に保持する1対のステアリングナックル18を有している。つまり、1対のステアリングナックル18は、1対の車輪をそれぞれ回転可能に保持する1対のキャリアとなっている。なお、図2では、左前輪14Lを保持するステアリングナックル18Lの図示が省略されている。ステアリングナックル18は、上下方向に延びる棒状に形成されており、それの上端部において、前方に延び出すナックルアーム20と一体となっている。ナックルアーム20の先端部には、車幅方向に延びるタイロッド22の一端部が回転自在に連結されている。詳細な説明は省略するが、タイロッド22は、前輪14を転舵させるためのステアリングシステムの一構成要素とされている。車両には、運転者によって操作されるステアリング操作部材23が備えられており、そのステアリング操作部材23が操作されることで、タイロッド22は左右に移動させられる。その移動に伴って、ナックルアーム20の先端部も左右に移動させられるため、ステアリングナックル18が自身の軸線回りに回転し、前輪14が転舵させられる。
【0036】
サスペンションシステム10は、さらに、1対のステアリングナックル18の下端部に連結される1対のロアアーム24と、1対のステアリングナックル18の上端部に連結される1対のアッパアーム26と、1対のロアアーム24に自身の下端部がそれぞれ連結された1対のスプリングアブソーバAssy28と、それらスプリングアブソーバAssy28の上端部を支持する支持装置30とを有している。1対のロアアーム24は、一端が1対のステアリングナックル18の下端部にそれぞれ回転可能に連結され、他端が車体にそれぞれ回転可能に保持されている。つまり、1対のロアアーム24は、1対のステアリングナックル18に対応し、それぞれが、一端において車体に回動可能に支持されるとともに、他端において1対のステアリングナックル18の対応するものに回動可能に連結された1対のサスペンションアームとなっている。また、1対のアッパアーム26は、ロアアーム24の上方において、一端が1対のステアリングナックル18の上方部にそれぞれ回転可能に連結され、他端が車体にそれぞれ回転可能に保持されている。なお、これら1対のロアアーム24および1対のアッパアーム26は、それぞれ、車両の前後方向に延びる回転軸線回りに回動可能に車体に保持されている。また、図2では分かり難いが、1対のロアアーム24の各々は、左右のアームが独立して車体に対して回動可能となっており、1対のアッパアーム26の各々も、左右のアームが独立して車体に対して回動可能となっている。つまり、1対の前輪14の各々は、これら1対のロアアーム24および1対のアッパアーム26によって、車体に対して上下方向に独立して移動可能となっている。
【0037】
スプリングアブソーバAssy28は、詳細な説明は省略するが、伸縮可能な筒状のケーシング内に、衝撃を緩和するためのスプリングと、そのスプリングの振動を抑制するためのショックアブソーバとを有している。つまり、1対のスプリングアブソーバAssy28のケーシングに内蔵された1対のスプリングは、それぞれの下端部が、ケーシングを介して、1対のロアアーム24の対応するものに支持された1対のサスペンションスプリングとなっている。支持装置30は、車体に固定された円筒形状のハウジング32と、1対のスプリングアブソーバAssy28の上端部を支持する支持部材34と、その支持部材34を回転動作させるためのアクチュエータ36とを有している。詳しい説明は省略するが、アクチュエータ36は、モータを含んで構成されており、ハウジング32に内蔵されている。支持部材34は、車両前方からの視点においてT字の形状、つまり、車幅方向に延びる上方の部分と、その上方の部分の中央から下方に延びる部分とを有する形状に形成されている。支持部材34の下方に延びる部分は、ハウジング32の外周面に設けられた開口からハウジング32の内部に延びており、その下方に延びる部分の先端部が、アクチュエータ36に固定されている。具体的には、その先端部は、図では示されていないが、車両の前後方向に延びつつ上記のモータに連結されたシャフトに固定されている。つまり、支持部材34の下方に延びる部分の先端部は、アクチュエータ36に回転可能に保持される被保持部となっていると考えることができる。したがって、アクチュエータ36は、モータの発生する力によって、支持部材34を車体に対して回転動作させることができる。支持部材34の上方の部分は、ハウジング32の外部に位置しており、上方の部分の左右の端部38は、1対のスプリングアブソーバAssy28の上端部をそれぞれ支持している。つまり、支持部材34は、1対の支持部としての1対の端部38において、1対のスプリングアブソーバAssy28に内蔵された1対のスプリングの上端部を支持するスプリング支持体になっている。
【0038】
本車両には、前輪14の転舵を制御しつつ、アクチュエータ36の作動を制御するための電子制御ユニット(ECU)40、車両の速度を検出する車速センサ42、ステアリング操作部材23の操作量を検出する操作量センサ44等が設けられている。それらのセンサは、それぞれ、ECU40に接続されている。また、アクチュエータ36には、支持部材34が固定されるシャフトのハウジング32に対する回転角度、つまり、支持部材34の車体に対する回転角度を検出するための回転角センサが内蔵されている(図示省略)。この回転角センサもまた、ECU40に接続されている。
【0039】
図3(a)および(b)は、それぞれ、車両の前方からの視点において、支持部材34が回転していない状態における車体(運転者)の姿勢と、アクチュエータ36が支持部材34を車体に対して左方に回転動作させた状態における車体の姿勢とを示している。これらの図が示すように、本車両は、支持部材34が回転していない状態では、車体が直立し、支持部材34が車体に対して左回転した状態では、車体が右側にリーン(傾斜)する。なお、本明細書における支持部材34あるいはアクチュエータ36の回転方向は、支持部材34が左前輪14Lに向かって傾くように、つまり、車体前方からの視点において時計回りに回転する場合を左回転、支持部材34が右前輪14Rに向かって傾くように、つまり、車体前方からの視点において反時計回りに回転する場合を右回転と呼ぶことにする。また、以下の説明において、車体に対する上方向、下方向、あるいは上下方向は、車両を前方若しくは後方から見た場合において車体の車幅方向における中心線の延びる方向であり、図3(a)に示すように、車両が水平な走行面上に直立する状態においては走行面に対して垂直な方向であり、車両を前方若しくは後方から見た場合において車体の車幅方向における中心線の延びる方向であり、図3(b)に示すように、車幅方向における車体の走行面に対する姿勢が変化した場合には、その姿勢の変化に伴って、走行面に垂直な方向から傾く方向である。
【0040】
図4は、上記の状態、つまり、支持部材34が回転していない状態と、支持部材34が車体に対して左回転した状態の、支持部材34の端部38、つまり、1対のスプリングアブソーバAssy28の上端部の車体の上下方向における変位を示している。図4(a)は、支持部材34が回転していない状態を示している。図4(a)では、支持部材34の1対の端部38、つまり、1対のスプリングアブソーバAssy28の上端部の車体上下方向における位置が、支持部基準位置Sとして示されている。支持部材34が左回転すると、図4(b)に示すように、支持部材34は左前輪14Lに向かって傾く。その傾きによって、右前輪14R側のスプリングアブソーバAssy28Rの上端部は、車体の上下方向において支持部基準位置Sから変位量SR1だけ上方に変位し、左前輪14L側のスプリングアブソーバAssy28Lの上端部は、車体の上下方向において支持部基準位置Sから変位量SL1だけ下方に変位する。また、図4(b)から分かるように、本サスペンションシステム10では、左前輪14L側のスプリングアブソーバAssy28Lの上端部の変位量SL1が、右前輪14R側のスプリングアブソーバAssy28Rの上端部の変位量SR1よりも大きくなる。また、支持部材34を左回転させると、前述の端部38の変位、つまり、1対のスプリングアブソーバAssy28の上端部の車体の上下方向における支持部基準位置Sからの変位に伴って、右前輪14Rはバウンド方向に移動し、左前輪14Lはリバウンド方向に移動する。図4(c)は、支持部材34が回転していない状態において、1対の前輪14に対応して車体に設けられている1対のフェンダーの最上部の位置をそれぞれ示している。つまり、それらの位置FR,FLは、車体の左右において対称となる位置にある1対の基準点とされている。それら1対の基準点FR,FLは、支持部材34が左前輪14Lに向かって傾くと、図4(d)に示すように、バウンド側基準点、つまり、バウンドする右前輪14R側の基準点FRの走行面からの高さは低くなり、リバウンド側基準点、つまり、リバウンドする左前輪14L側の基準点FLの走行面からの高さは高くなる。そのため、車体は、直立する状態からリーンする状態へと変化する。したがって、本サスペンションシステム10は、1対のスプリングアブソーバAssy28の両方の上端部を支持する支持部材34だけを動かすという比較的シンプルな方法で車体をリーンさせることができる。
【0041】
図5(a)では、支持部材34が回転していない状態での前輪14の車軸の軸線の車体上下方向における位置が、車軸基準位置Wとして示されている。支持部材34が左回転して車体がリーンすると、図5(b)に示すように、前輪14の各々の車軸の軸線が、車体の上下方向において、基準位置Wから移動する。具体的には、バウンドする右前輪14Rでは、移動量WR1だけ車軸の軸線が車体の上方向に移動し、左前輪14Lでは、移動量WL1だけ、車軸の軸線が車体の下方向に移動する。したがって、バウンドする右前輪14Rのバウンド移動量、つまり、車体の上方向への移動量はWR1となり、リバウンドする左前輪14Lのリバウンド移動量、つまり、車体の下方向への移動量はWL1となる。
【0042】
また、図5(b)から分かるように、本サスペンションシステム10では、左前輪14Lのリバウンド移動量WL1が、右前輪14Rのバウンド移動量WR1よりも大きくなる。そのため、バウンド側基準点FRの低くなる量よりも、リバウンド側基準点FLの高くなる量の方が大きくなる。そのため、本サスペンションシステム10では、車体のリーンにおいて、車体の重心位置が低くなるのが抑制されている。さらに、本車両では、図6に示すように、車体がリーンする状態の車体の重心位置の高さHLは、車体が直立する状態の高さHSよりも高くなり、それらの差であるΔHだけ、車体がリーンすることで重心位置が高くなる。つまり、サスペンションシステム10は、リーンによる車体の倒れ込みによって、車体の重心位置の走行面からの高さが低くなることを考慮しても、リーンの際に重心位置が高くなるように構成されている。なお、このような重心位置の高さの変化は、サスペンションシステム10が左右対称に構成されているため、支持部材34が右回転し、車体が左側へとリーンする場合でも同様である。
【0043】
したがって、本サスペンションシステム10では、車体がリーンしている場合には、車体に作用する重力が、リーンしている車体を直立させるようにサスペンションシステム10に作用する。そのため、重力によって車体が直立しようとするので、車体を直立する状態で安定させることが比較的容易になっている。そのため、例えば、車体をリーンさせている最中に車両の電源システムに失陥等が発生し、アクチュエータ36のモータがモータ力を発生させることができなくなった場合でも、車体が自重によって下方へと移動する際、その移動に伴って、車体はリーンする状態から直立する状態へと自然に戻ることになる。そのため、本サスペンションシステム10は、アクチュエータ36が失陥等した場合でも、車体がさらにリーンしたり、リーンしたままになってしまうことがなく、安全性の高いものとなっている。
【0044】
上述のように構成されたサスペンションシステム10の支持装置30では、アクチュエータ36は、1対のスプリングアブソーバAssy28の上端部を車体の上下方向において相対変位させ、かつ、その相対変位を、それら上端部の一方の下方への変位量が他方の上方への変位量よりも大きなものとなるように支持部材34を回転動作させる支持体動作機構となっている。したがって、支持装置30は、支持部材34とアクチュエータ36とを含むスプリング支持装置として構成されている。なお、1対のスプリングアブソーバAssy28内部の1対のスプリングの下端部は、それぞれ、ロアアーム24ではなく、ステアリングナックル18に支持されていてもよい。その場合であっても、サスペンションユニット10は、上述のような動作、つまり、支持部材34を車体に対して回転動作させ、車体をリーンさせつつ車体の重心位置を上方へと移動させるように作動することができる。
【0045】
なお、本車両では、支持部材34の車体に対する回転動作が、車両の速度と、ステアリング操作部材23の操作量とに基づいて実施される。具体的には、ECU40は、車速センサ42の検出値と操作量センサ44の検出値とから、旋回の程度、つまり、車両の旋回の激しさ、きつさ、厳しさ等を推定する。したがって、旋回の程度の大きさは、車速が速く、または、操作量が大きくなるにつれて、大きくなるように推定される。ECU40には、車速および操作量から算出される値に対する支持部材34の回転角度を示すマップデータが格納されている。ECU40は、そのマップデータを参照しつつ、アクチュエータ36に内蔵される回転角センサの検出値を監視しており、支持部材34が車速および操作量から算出される値に基づいた回転角度になるように、アクチュエータ36を制御する。つまり、本サスペンションシステム10は、車速および操作量から算出される値を旋回の程度を示す旋回程度指標として利用し、その値に基づいた角度に車体をリーンさせるのである。
【0046】
また、本サスペンションシステム10では、例えば、横風などの車体をリーンさせる外力によって、車体が直立する状態からリーンする状態となるように支持部材34が回転させられた場合には、ECU40は、アクチュエータ36の回転角センサの検出値に基づいて、車体を直立させるようにアクチュエーア36を制御する。その場合においても、重力が車体を直立させるようにサスペンションシステム10に作用するため、アクチュエータ36は、比較的小さな力を発生させるだけで車体を直立させることができる。そのため、本サスペンションシステム10は、車体を直立させるために必要な電力を比較的少なくすることができる。また、本車両は、駐車している状況においても、車体が自然に直立しようとするため、電力をほとんど消費せずに車体を直立する状態で維持することができる。
【実施例2】
【0047】
本実施例のサスペンションシステム50は、第1実施例のサスペンションシステム10と同様に、1対の前輪14を回転可能に保持している。サスペンションシステム50は、1対のスプリングアブソーバAssy28の上端部を支持する支持装置60を有しており、その支持装置60を除いて、第1実施例のサスペンションシステム10と同様の構成とされている。したがって、以下のサスペンションシステム50の説明においては、説明の簡略化に配慮して、支持装置60以外の説明を省略する。
【0048】
図7は、支持装置60を示している。支持装置60は、車幅方向に延びる板状のスプリング支持体62と、スプリング支持体62を回転動作させるための回転装置63とを有している。そのスプリング支持体62は、図では省略されているが、左端部64および右端部66において、1対のスプリングアブソーバAssy28の上端部をそれぞれ支持している。回転装置63は、車体に固定されたモータ68と、そのモータ68のモータシャフトに連結され、車体の前後方向に延びる第1シャフト70と、その第1シャフト70の軸線回りに揺動可能に第1シャフト70に一端部が支持された揺動バー72と、車体前後方向に延び、揺動バー72の他端部に回転可能に保持された第2シャフト74とを有している。したがって、モータ68を含んで、第1シャフト70をそれの軸線回りに双方向に回転させるシャフト回転装置が構成されている。また、第2シャフト74は、スプリング支持体62の左端部64と右端部66との中央から右端部66側に偏った位置で、スプリング支持体62を固定支持している。また、第1シャフト70は、第2シャフト74と対称となる位置、つまり、スプリング支持体62の左端部64と右端部66との中央から左端部64側に、第2シャフト74の偏っている距離と同じ距離だけ偏った位置に配設されている。
【0049】
支持装置60は、さらに、第1シャフト70の回転を第2シャフト74に伝達するチェーン機構76を有している。チェーン機構76は、第1シャフト70とともに回転するように、第1シャフト70に固定された駆動側スプロケット78と、第2シャフト74とともに回転するように、第2シャフト74に固定された従動側スプロケット80と、それら駆動側スプロケット78および従動側スプロケット80に架け渡されるチェーン82とを含んで構成されている。駆動側スプロケット78と従動側スプロケット80とは、実質的に同じものとされているため、モータ68が作動すると、第2シャフト74と第1シャフト70とは、同期して、つまり、同じ方向に同じ角度だけ回転する。つまり、チェーン機構76を含んで、第1シャフト70の回転を第2シャフト74に伝達する回転伝達装置が構成されている。なお、モータ68は、自身の回転角度を検出するための回転角センサを内蔵しており、その回転角センサはECU40に接続されている。
【0050】
また、支持装置60は、車体に固定され、揺動バー72の上部への当接が許容された第1係止プレート84と、揺動バー72に固定され、第2シャフト74および第1シャフト70の間でスプリング支持体62の上部への当接が許容された第2係止プレート86とを有している。
【0051】
このように構成された支持装置60には、上端部が保持された1対のスプリングアブソーバAssy28から、車体に作用する重力の反力が作用する。つまり、スプリング支持体62の左端部64および右端部66には、1対のスプリングアブソーバAssy28の内部のスプリング発生する反発力によって、上方に向かう力が作用している。スプリング支持体62に作用する上方へ向かう力は、第2シャフト74を介して、揺動バー72に伝達され、揺動バー72を、第2シャフト74側の他端部が上方に変位する向きに第1シャフト70の回りに揺動させる力となる。しかしながら、揺動バー72が第1係止プレート84に接している場合には、揺動バー72が係止されて、その揺動が禁止されることになる。また、先の力、つまり、スプリング支持体62に作用する上方へ向かう力は、スプリング支持体62を、左端部64が上方に変位する向きに第2シャフト74の軸線回りに回転させる力、つまり、スプリング支持体62と揺動バー72とを、揺動バー72の第1シャフト70側の一端部がスプリング支持体62に対して下方に変位する向きに第2シャフト74の軸線回りに相対回動させる力となる。しかしながら、スプリング支持体62が第2係止プレート86に接している場合には、スプリング支持体62が係止されて、その相対回動が禁止されることになる。
【0052】
支持装置60は、上述のように、揺動バー72が第1係止プレート84によって係止され、かつ、スプリング支持体62が第2係止プレート86によって係止されている状態(図7(a)に示す状態)で、1対のスプリングアブソーバAssy28の上端部が同じ高さとなるように構成されている。したがって、それらが係止されている状態で、本車両では、車体が傾斜せずに直立する状態である非傾斜状態が実現されることになる。したがって、第1係止プレート84は、揺動バー72の、第2シャフト74側の他端部が上方に変位する向きの第1シャフト70の軸線回りの揺動を非傾斜状態において禁止するバー揺動ストッパになっている。また、第2係止プレート86は、非傾斜状態からのスプリング支持体62および揺動バー72の相対回動を、スプリング支持体62の右端部66が揺動バー72に対して下方に変位する向きにおいて禁止する相対回動ストッパになっていると考えることができる。
【0053】
図7(b)は、非傾斜状態から、モータ68が左回転した場合、つまり、車体前方からの視点において時計回りに回転した場合の支持装置60の状態を示している。モータ68が左回転すると、第2シャフト74が左回転し、スプリング支持体62は、第2シャフト74の軸線回りに左回転する。そのため、左端部64が車体に対して下方へと変位し、右端部66が車体に対して上方へと変位する。つまり、左前輪14L側に設けられたスプリングアブソーバAssy28Lの上端部は、車体の上下方向において変位量SL2だけ下方へ変位し、右前輪14R側に設けられたスプリングアブソーバAssy28Rの上端部は、車体の上下方向において変位量SR2だけ上方へと変位する。したがって、スプリング支持体62が左回転すると、1対のスプリングアブソーバAssy28の上端部の車体の上下方向における変位に伴って、右前輪14Rはバウンド方向に移動し、左前輪14Lはリバウンド方向に移動する。そのため、車体では、バウンド側基準点、つまり、バウンドする右前輪14R側の基準点FRの走行面からの高さは低くなり、リバウンド側基準点、つまり、リバウンドする左前輪14L側の基準点FLの走行面からの高さは高くなる。
【0054】
また、モータ68が左回転する場合、スプリング支持体62は、左端部64と右端部66との中央の右方の位置で回転することになるため、左前輪14L側のスプリングアブソーバAssy28Lの上端部の下方への変位量SL2は、右前輪14R側のスプリングアブソーバAssy28Rの上端部の上方への変位量SR2よりも大きくなる。したがって、リバウンドする左前輪14Lのリバウンド移動量が、バウンドする右前輪14Rのバウンド移動量よりも大きくなるため、バウンド側基準点FRの低くなる量よりも、リバウンド側基準点FLの高くなる量の方が大きくなる。そのため、本サスペンションシステム50は、車体の右側へのリーンにおいて、車体の重心位置が低くなるのを抑制することができる。さらに、本車両は、第1実施例のサスペンションシステム10を備える車両と同様に、車体が右側にリーンする状態の車体の重心位置の高さが、車体が直立する状態の高さよりも高くなる。つまり、サスペンションシステム50は、リーンによる車体の倒れ込みによって、車体の重心位置の走行面からの高さが低くなることを考慮しても、車体の右側へのリーンの際に重心位置が高くなるように構成されている。
【0055】
図7(c)は、非傾斜状態から、モータ68が右回転した場合、つまり、車体前方からの視点において反時計回りに回転した場合の支持装置60の状態を示している。モータ68が、モータシャフトを右回転すると、第2シャフト74は右回転しようとするが、スプリング支持体62がシャフトバー72に設けられた第2係止プレート86に当接するため、第2シャフト74は回転することができない。つまり、チェーン機構76は、第1シャフト70の回転を第2シャフト74に伝達することができなくなる。その状態でモータ68が右回転すると、スプリング支持体62と揺動バー72とは、一体となって、第1シャフト70の軸線回りに右回転することになる。そのため、スプリング支持体62の左端部64が上方へと変位し、右端部66が下方へと変位する。つまり、左前輪14L側に設けられたスプリングアブソーバAssy28Lの上端部は、車体の上下方向において変位量SL3だけ上方へ変位し、右前輪14R側に設けられたスプリングアブソーバAssy28Rの上端部は、車体の上下方向において変位量SR3だけ下方へと変位する。したがって、スプリング支持体62が右回転すると、1対のスプリングアブソーバAssy28の上端部の車体の上下方向における変位に伴って、左前輪14Lはバウンド方向に移動し、右前輪14Rはリバウンド方向に移動する。そのため、車体の走行面からの高さが、バウンドする左前輪14Lでは低くなり、リバウンドする右前輪14Rでは高くなるため、車体は、直立する状態から左側へとリーンする状態へと変化する。車体では、バウンド側基準点、つまり、バウンドする左前輪14L側の基準点FLの走行面からの高さは低くなり、リバウンド側基準点、つまり、リバウンドする右前輪14R側の基準点FRの走行面からの高さは高くなる。
【0056】
また、モータ68が右回転する場合、スプリング支持体62は、左端部64と右端部66との中央の左方の位置で回転することになるため、左前輪14L側のスプリングアブソーバAssy28Lの上端部の上方への変位量SL3は、右前輪14R側のスプリングアブソーバAssy28Rの上端部の下方への変位量SR3よりも大きくなる。したがって、リバウンドする右前輪14Rの車体に対する移動量が、バウンドする左前輪14Lの車体に対する移動量よりも大きくなる。したがって、リバウンドする右前輪14Rのリバウンド移動量が、バウンドする左前輪14Lのバウンド移動量よりも大きくなるため、バウンド側基準点FLの低くなる量よりも、リバウンド側基準点FRの高くなる量の方が大きくなる。そのため、本サスペンションシステム50は、車体の左側へのリーンにおいて、車体の重心位置が低くなるのを抑制することができる。さらに、サスペンションシステム50は、車体が右側にリーンする場合と同様に、リーンによる車体の倒れ込みによって、車体の重心位置の走行面からの高さが低くなることを考慮しても、車体の左側へのリーンの際に重心位置が高くなるように構成されている。
【0057】
本サスペンションシステム50によれば、1対のスプリングアブソーバAssy28の両方の上端部を支持するスプリング支持体62だけを動かすだけという比較的シンプルな方法で車体をリーンさせることができる。また、本サスペンションシステム50では、車体がリーンしている場合には、車体に作用する重力が、リーンしている車体を直立させるようにサスペンションシステム50に作用する。そのため、重力によって車体が直立しようとするので、車体を直立する状態で安定させることが比較的容易になっている。そのため、例えば、車体をリーンさせている最中に車両の電源システムに失陥等が発生した場合でも、車体はリーンする状態から直立する状態へと自然に戻ることになる。そのため、本サスペンションシステム50は、車体がさらにリーンしたり、リーンしたままになってしまうことがなく安全性の高いものとなっている。
【0058】
上述のように構成されたサスペンションシステム50の回転装置63では、第1シャフトの軸線は、スプリング支持体62を、左端部64が上方に、かつ、右端部66が下方に変位するように、それら左端部64および右端部66の中央から左端部64に偏った位置で車体前後方向に延びる第1回転軸線となっている。また、非傾斜状態における第2シャフトの軸線は、左端部64および右端部66の中央から右端部66に偏った位置で車体前後方向に延びる第2回転軸線となる。このように構成された回転装置63は、1対のスプリングアブソーバAssy28の上端部を車体の上下方向において相対変位させ、かつ、その相対変位を、それら上端部の一方の下方への変位量が他方の上方への変位量よりも大きなものとなるようにスプリング支持体62を回転動作させる支持体動作機構となっている。したがって、支持装置60は、その回転装置63と、1対のスプリングアブソーバAssy28の上端部を支持するスプリング支持体としてのスプリング支持体62とを含むスプリング支持装置として構成されている。
【0059】
なお、本車両では、スプリング支持体62の車体に対する回転動作が、車両の速度と、ステアリング操作部材23の操作量とに基づいて実施される。ECU40は、車速センサ42の検出値と操作量センサ44の検出値とから、車体に作用する遠心力の大きさを推定する。ECU40には、遠心力に対するスプリング支持体62の回転角度を示すマップデータが格納されている。ECU40は、そのマップデータを参照しつつ、モータ68に内蔵される回転角センサの検出値を監視しており、スプリング支持体62が遠心力の大きさに応じた回転角度になるようにモータ68を制御する。つまり、本サスペンションシステム50は、車速および操作量から算出される値を旋回の程度を示す旋回程度指標として利用し、その値に基づいた角度に車体をリーンさせるのである。
【0060】
また、本サスペンションシステム50では、例えば、横風などの車体をリーンさせる外力によって、車体が直立する状態からリーンする状態となるようにスプリング支持体62が回転させられた場合でも、重力が車体を直立させるようにサスペンションシステム50に作用するため、モータ68は、比較的小さな力を発生させるだけで車体を直立させることができる。そのため、本サスペンションシステム50は、車体を直立させるために必要な電力を比較的少なくすることができる。また、本車両は、駐車されている状況においても、車体が自然に直立しようとするため、電力をほとんど消費せずに車体を直立する状態で維持することができる。
【符号の説明】
【0061】
10:サスペンションシステム 18:ステアリングナックル(キャリア) 24:ロアアーム(サスペンションアーム) 28:スプリングアブソーバAssy(サスペンションスプリング) 30:支持装置(スプリング支持装置) 34:支持部材(スプリング支持体) 36:アクチュエータ(支持体動作機構) 38:端部(支持部) 50:サスペンションシステム 60:支持装置(スプリング支持装置) 62:スプリング支持体 63:回転装置(支持体動作機構) 64:左端部(支持部) 66:右端部(支持部) 68:モータ(シャフト回転装置) 70:第1シャフト 72:揺動バー 74:第2シャフト 76:チェーン機構(回転伝達機構) 84:第1係止プレート(バー揺動ストッパ) 86:第2係止プレート(相対回動ストッパ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体の左右にそれぞれ配設された1対の車輪に対して設けられた車両用サスペンションシステムであって、
前記1対の車輪をそれぞれ回転可能に保持する1対のキャリアと、
それら1対のキャリアに対応し、それぞれが、一端において車体に回動可能に支持されるとともに、他端において前記1対のキャリアの対応するものに回動可能に連結された1対のサスペンションアームと、
それら1対のサスペンションアームおよび前記1対のキャリアに対応し、それぞれの下端部が、前記1対のサスペンションアームの対応するものと前記1対のキャリアの対応するものとの一方に支持された1対のサスペンションスプリングと、
車体に設けられ、(a) 前記1対のサスペンションスプリングの上端部を、左右のそれぞれの端部に設けられた1対の支持部においてそれぞれ支持するスプリング支持体と、(b) 車体を路面に対して左右に傾斜させるべく、前記1対のサスペンションスプリングの上端部が車体の上下方向において相対変位し、かつ、その相対変位が、それら上端部の一方の下方への変位量が他方の上方への変位量よりも大きなものとなるように、前記スプリング支持体を動作させる支持体動作機構とを有するスプリング支持装置と
を備えた車両用サスペンションシステム。
【請求項2】
前記支持体動作機構が、前記スプリング支持体を、前記1対の支持部の車体幅方向における間かつ下方に位置する位置で車体前後方向に延びる回転軸線回りに回転動作させる機構である請求項1に記載の車両用サスペンションシステム。
【請求項3】
前記支持体動作機構が、前記スプリング支持体を、前記1対の支持部の一方を上方に他方を下方に変位させるときにはそれら1対の支持部の車幅方向における中央からその一方に偏った位置で車体前後方向に延びる第1回転軸線回りに、前記1対の支持部の他方を上方に一方を下方に変位させるときにはそれら1対の支持部の中央からその他方に偏った位置で車体前後方向に延びる第2回転軸線回りに、回転動作させる機構である請求項1に記載の車両用サスペンションシステム。
【請求項4】
前記支持体動作機構が、
自身の軸線が前記第1回転軸線と一致するようにして車体に回転可能に保持された第1シャフトと、
車体を傾斜させていない非傾斜状態において車体幅方向に延びる姿勢で、かつ、前記第1シャフトの軸線回りに揺動可能に、自身の一端部において前記第1シャフトに支持された揺動バーと、
その揺動バーの他端部に前記第1シャフトと平行な姿勢でかつ回転可能に保持され、前記非傾斜状態において自身の軸線が前記第2回転軸線と一致させられるとともに、前記スプリング支持体を、前記1対の支持部の間に前記第1シャフトと自身とが位置するような部位において固定支持し、そのスプリング支持体と前記揺動バーとを自身の軸線回りに相対回動させるための第2シャフトと、
前記第1シャフトをそれの軸線回りに双方向に回転させるシャフト回転装置と、
前記第1シャフトの回転を前記第2シャフトに伝達する回転伝達装置と、
前記揺動バーの、それの他端部が上方に変位する向きの前記非傾斜状態からの揺動を、禁止するバー揺動ストッパと、
前記スプリング支持体と前記揺動バーとの、その揺動バーの一端部が前記スプリング支持体に対して下方に変位する向きの前記非傾斜状態からの相対回動を、禁止する相対回動ストッパと
を有し、
前記シャフト回転装置による正方向の前記第1シャフトの回転によって、前記相対回動ストッパによって前記スプリング支持体と前記揺動バーとの前記相対回動が禁止された状態で、前記スプリング支持体を、それの前記1対の支持部の一方が上方に他方が下方に変位する向きにおける前記第1シャフトの軸線回りに回動動作させ、
前記シャフト回転装置による逆方向の前記第1シャフトの回転によって、前記バー揺動ストッパによって前記揺動バーの前記揺動が禁止された状態で、前記スプリング支持体を、それの前記1対の支持部の他方が上方に一方が下方に変位する向きにおける前記第2シャフトの軸線回りに回動動作させるように構成された請求項3に記載の車両用サスペンションシステム。
【請求項5】
当該サスペンションシステムが、車両が旋回する場合に、その旋回の程度に基づいて前記支持体動作機構が前記スプリング支持体を動作させる請求項1ないし請求項4に記載のサスペンションシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−22993(P2013−22993A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−157505(P2011−157505)
【出願日】平成23年7月19日(2011.7.19)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】