説明

シクロデキストリンとのフラボノイド錯体

本発明は、特定のフラボノイド誘導体の錯体、その誘導体を含む式Iの組成物、フラボノイド誘導体またはその組成物の調製のための対応する方法、および特に皮膚または毛髪の一般的な状態をケア、保護または改善するためのその使用に関する。式(1)では、Z1〜Z4およびZ6〜Z10はそれぞれ互いに独立に、H、OH、CH3COO、アルコキシ、ヒドロキシアルコキシ、モノもしくはオリゴグリコシド基を表し、上記アルコキシおよびヒドロキシアルコキシ基は分岐および非分岐でよく、1〜18個のC原子を有することができる。式(II)では、Z5はこのグリコシド基に、それぞれの場合−O−基を介して、特定のベンゾ分子から選択される少なくとも1つの基が結合しているモノ−またはオリゴグリコシド基である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定のフラボノイド誘導体の錯体に関し、その誘導体を含む組成物、フラボノイド誘導体またはそれを含む組成物の対応する調製方法、および、特に皮膚または毛髪の一般的な状態のケア、保護または改善のためのその使用に関する。
【0002】
国際特許出願WO02/69926は、以下の式の化合物
【0003】
【化1】

【0004】
(式中、
1〜Z4およびZ6〜Z10はそれぞれ互いに独立に、H、OH、CH3COO、アルコキシ、ヒドロキシアルコキシ、モノもしくはオリゴグリコシド基を表し、前記アルコキシおよびヒドロキシアルコキシ基は分岐および非分岐でよく、1〜18個のC原子を有することができ、
【0005】
【化2】

【0006】

【0007】
【化3】

【0008】
を表し、
5はモノまたはオリゴグリコシド基であり、このグリコシド基に、それぞれの場合−O−基を介して、
【0009】
【化4】

【0010】
(式中、
X、X1、X2およびX3はそれぞれ互いに独立に、OH、CH3COO、1〜8個のC原子を有するアルコキシ基またはモノグリコシド基を表し、
nは0、1、2または3であり、
mは0または1であり、
kは0、1、2、3または4であり、
MはH、NaまたはKである)
から選択される少なくとも1つの基が結合しており、
置換基Z1〜Z10中の上記グリコシド基のOH基の1個または複数の水素原子はそれぞれ互いに独立にアセチルまたはアルキル基で置換されていてもよく、硫酸塩またはリン酸塩はそれぞれ互いに独立に、置換基Z1〜Z10中の上記基の1個または複数のヒドロキシル基と結合していてもよい)
を記載している。これらの化合物は、化粧品および薬剤組成物での使用に適している。特に、WO02/69926は、UVフィルターとしての使用、ならびに酸化的ストレスに対する保護および皮膚老化の予防のための活性成分としての使用に対するこれらの化合物の適切性について記載している。さらに、これらの化合物が、抗アレルギー性、抗炎症性、炎症阻害性および抗過敏症性の特性を示し、したがって、特に皮膚のアレルギー、炎症および過敏症の治療または予防的処置に使用できることを記載している。ここで特に好ましい代表例はケンフェロール3−(6''−ガロイルグルコシド)およびティリロサイドとも称されるケンフェロール3−(6''−p−クマリルグルコシド)である。
【0011】
ドイツ特許第DE19544905A1号は、例えば、ティリロサイドを含む植物抽出物の調製方法、および医薬品および食品におけるその植物抽出物の使用を記載している。
【0012】
ドイツ特許第DE19922287A1号はその酸単位が3〜30個のC原子を含むティリロサイドエステルの調製のための出発フラボノイドとしてのティリロサイドを記載している。これらのエステルは化粧品で使用される。しかし、DE19922287A1号はティリロサイドを含む組成物はまったく記載していない。
【0013】
先の欧州特許出願EP03015616.0は、これらの化合物が湿疹の治療に適していることを記載している。この化合物は、特に乳痂、神経皮膚炎、痒疹および増殖性皮膚炎などのアトピー性湿疹の治療に特に有利である。この化合物は、急性の症状を著しく軽減し、急性の症状の発生の頻度を低下させ、一般に皮膚の状態の改善に寄与することができる。
【0014】
これらの化合物を使用する際に、組成物中により簡単に混ぜ込むことができるか、その組成物がより優れた貯蔵安定性を示すか、あるいは化合物の生物学的利用能が増大している投与形態が望まれている。
【0015】
驚くべきことに、これらの化合物をシクロデキストリンと錯体化させることによって、前記要件を優れた形で満たす生成物が得られることがわかった。
【0016】
したがって、本発明は第一に以下の式Iの錯体化合物
【0017】
【化5】

【0018】
(式中、
1〜Z4およびZ6〜Z10はそれぞれ互いに独立に、H、OH、CH3COO、アルコキシ、ヒドロキシアルコキシ、モノもしくはオリゴグリコシド基を表し、前記アルコキシおよびヒドロキシアルコキシ基は分岐および非分岐でよく、1〜18個のC原子を有することができ、
【0019】
【化6】

【0020】

【0021】
【化7】

【0022】
を表し、
5はモノまたはオリゴグリコシド基であり、このグリコシド基に、それぞれの場合−O−基を介して、
【0023】
【化8】

【0024】
(式中、
X、X1、X2およびX3はそれぞれ互いに独立に、OH、CH3COO、1〜8個のC原子を有するアルコキシ基またはモノグリコシド基を表し、
nは0、1、2または3であり、
mは0または1であり、
kは0、1、2、3または4であり、
MはH、NaまたはKである)
から選択される少なくとも1つの基が結合しており、
CDはシクロデキストリン分子を表し、
oは数値1を表し、
pは0.5〜3の範囲の数値を表し、
置換基Z1〜Z10中の上記グリコシド基のOH基の1個または複数の水素原子はそれぞれ互いに独立にアセチルまたはC124−アルキル基で置換されていてもよく、硫酸塩またはリン酸塩はそれぞれ互いに独立に、置換基Z1〜Z10中の上記基の1個または複数のヒドロキシル基と結合していてもよい)に関する。
【0025】
本出願は、第二に、適切な賦形剤を含む組成物であって、その組成物は
− 0.005〜99重量%の請求項1に記載の式Iの錯体化合物またはその組成物を含む、
− 0.002〜70重量%のシクロデキストリンを含む、および
− 0.001〜60重量%の少なくとも1つの式IIの化合物または
【0026】
【化9】

【0027】
(式中、
1〜Z4およびZ6〜Z10はそれぞれ互いに独立に、H、OH、CH3COO、アルコキシ、ヒドロキシアルコキシ、モノもしくはオリゴグリコシド基を表し、前記アルコキシおよびヒドロキシアルコキシ基は分岐および非分岐であってよく、1〜18個のC原子を有することができ、
【0028】
【化10】

【0029】

【0030】
【化11】

【0031】
を表し、
5はモノまたはオリゴグリコシド基であり、このグリコシド基に、それぞれの場合−O−基を介して、
【0032】
【化12】

【0033】
(式中、X、X1、X2およびX3はそれぞれ互いに独立に、OH、CH3COO、1〜8個のC原子を有するアルコキシ基またはモノグリコシド基を表し、nは0、1、2または3であり、mは0または1であり、kは0、1、2、3または4であり、MはH、NaまたはKである)から選択される少なくとも1つの基が結合しており、置換基Z1〜Z10中の上記グリコシド基のOH基の1個または複数の水素原子はそれぞれ互いに独立にアセチルまたはC124−アルキル基で置換されていてもよく、硫酸塩または塩酸塩はそれぞれ互いに独立に、置換基Z1〜Z10中の上記基の1個または複数のヒドロキシル基と結合していてもよい)
または局所的に忍容されるその塩および/または誘導体を含むことを特徴とする組成物に関する。
【0034】
本発明による組成物は一般に、局所的に使用できる組成物、例えば化粧品もしくは皮膚用製剤か、あるいは医薬品または食品もしくは食品補助剤として使用できる組成物である。この組成物は化粧品としてまたは皮膚科にまたは薬剤としてまたは食品に適切な賦形剤、および所望の特性プロファイルに応じて任意選択でさらに適切な成分を含む。
【0035】
シクロデキストリンは6個、7個、8個またはそれ以上のα−1,4−結合グルコース単位から構成され、シクロヘキサアミロース(アルファすなわちα−シクロデキストリン)は構造
【0036】
【化13】

【0037】
で特徴づけられる。
【0038】
シクロヘプタアミロース(このグリコシド基に、それぞれの場合、−O−基を介して結合されているベータすなわちβは、β−シクロデキストリンから選択される少なくとも1個の基である)は構造
【0039】
【化14】

【0040】
で特徴づけられる。
【0041】
シクロオクタアミロース(ガンマすなわちγ−シクロデキストリン)は構造
【0042】
【化15】

【0043】
で特徴づけられる。
【0044】
シクロエニアアミロース(デルタ−すなわちδ−シクロデキストリン)は構造
【0045】
【化16】

【0046】
で特徴づけられる。
【0047】
シクロデキストリンは、誘導化されていない形態(R=H)であっても、また、例えば、R位でアルコキシ化、ヒドロキシアルキル化またはアルキル化、特にプロポキシル化またはメチル化された誘導形態であってもよい。
【0048】
このビオフラボノイド/シクロデキストリン錯体は原理的には周知である。
【0049】
−K.Miyake、H.Arimaら(Pharm.Dev.Techn.5(3)2000年、399〜407頁はルチンのβ−シクロデキストリンとの1:1錯体ならびにその溶解性および放出挙動を記載している。ここでは、β−シクロデキストリン錯体および2−ヒドロキシプロピルβ−シクロデキストリン錯体は特に安定であることが見出されている。この文献によれば、α−およびγ−シクロデキストリン錯体は、ルチンを錯体化させるのに、一般にβ−シクロデキストリン錯体よりも適していない。
【0050】
−T.K.Nguyen、H.Galons、C.Chemtob、Congr.Int.Technol.Pharm.、6th(1992年)、Vol5、408−16408−416は同様にルチンの様々なシクロデキストリン錯体を記載している。ここでは、2,6−ジ−O−メチル−β−シクロデキストリン錯体が特に可溶性であることが示されており、1:1および1:2のルチン:シクロデキストリンモル比を有する錯体が記載されている。
【0051】
−欧州特許出願EP−A−796624には、大豆または発酵大豆中のイソフラボンのβ−およびγ−シクロデキストリンとの錯体が記載されている。錯体化はイソフラボンの溶解性を増大させ、その苦味を低減する。
【0052】
−β−およびγ−シクロデキストリンとのルチンの錯体および抗酸化剤としてのその使用が日本国特許出願JP05/9137499に記載されている。
【0053】
−ケルセチングリコシドのシクロデキストリン錯体を含む飲物が日本国特許出願JP07/075536に記載されている。
【0054】
−日本国特許出願JP05/186344はビタミンC、およびビタミンCのバイオ吸収を向上させるビタミンPのシクロデキストリン錯体を含む組成物を記載している。例えば1.2のモル比を有するルチン/β−シクロデキストリン錯体などのルチン、ヘスペリジンおよびエリオシトリンの錯体が記載されている。
【0055】
−S.Dimova、R.Mugabowindekweら、Int.J.Pharm.26381−2)2003年、95〜103頁では、3−メトキシケルセチンのヒドロキシプロピルβ−シクロデキストリンとの錯体の鼻上皮細胞に対する作用が検討されている。
【0056】
−R.Ficarra、S.Tommasiniら;J.Pharm.Biomed.Analysis 29(6)2002年、1005〜1014頁では、様々なフラボノイド(レスペレチン、ヘスペリジン、ナリンゲニン、ナリンジン)のβ−シクロデキストリン錯体が特性評価されている。
【0057】
−R.-L.Wang、Yu Yangら;Yingyong Huaxue 19(7)2002年、702〜704頁は種々のフラボノイド(ルチン、ケルセチン、モリン)の様々なβ−シクロデキストリン錯体の安定性および溶解性を比較している。ここでは、メチル−β−シクロデキストリン錯体が特に高い溶解度を有することが示されている。
【0058】
−K.Hostettmann、M.LedererおよびA.Marston;Phytochemical Analysis 1186)2000年、380〜382頁はセルロース上に吸収されたフラボノイドに対する2−ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリンの溶出作用を検討している。
【0059】
当業者には予見されない形で、式Iの上記錯体化合物または式IIの化合物およびシクロデキストリンを含む局所使用のための組成物が従来技術の欠点の改善をもたらすことが分かった。
【0060】
ここで、使用するシクロデキストリンがγ−シクロデキストリン、好ましくは1個または複数のヒドロキシル基がC124−アルキルまたはC124−ヒドロキシアルキルで置換されているγ−シクロデキストリン、例えば特に、ヒドロキシプロピル−γ−シクロデキストリン、あるいはシクロデキストリン混合物の全重量に対して少なくとも30重量%の上記γ−シクロデキストリンを含むシクロデキストリンの混合物であることが特に有利である。
【0061】
シクロデキストリンの含量が、それぞれ、組成物の全重量に対して0.01〜20.0重量%、好ましくは0.05〜10.0重量%、特に好ましくは0.1〜5.0重量%であることがさらに有利である。組成物中の式IIの化合物の割合は好ましくは組成物全体に対して0.01〜20重量%、特に好ましくは0.05〜10重量%、特別に好ましくは0.1〜5重量%である。組成物中の式IIの化合物の割合は非常に好ましくは組成物全体に対して0.1〜2重量%である。
【0062】
本発明による活性成分の組合せ、あるいはそうした活性成分の組合せを含む化粧品組成物または皮膚用組成物はあらゆる点で満足できる調製物である。当業者には、本発明による組成物が、
・生物学的利用能の増進した式Iの化合物を提供し、
・皮膚のバリア特性を良好に維持するかまたはそれを回復し、
・皮膚の乾燥を良好に保つよう対抗し、
・環境影響に対して皮膚を、従来技術の組成物より良好に保護する
ことを予見できるものではなかった。
【0063】
本発明で使用の錯体化合物、あるいは本発明に従って使用する活性な含量の活性成分組合せを有する化粧品組成物または局所皮膚用組成物の使用によって、驚くべきことに、
− 欠損のある、敏感なまたは低機能皮膚の状態、あるいは皮膚付属物の欠損のある、敏感なまたは低機能の状態、
− 環境(煙、スモッグ、反応性酸素種、遊離基)および特に光線によって引き起こされる皮膚および皮膚付属物における有害な変化、
− 光線によって引き起こされる皮膚損傷、
− 掻痒、
− 乾燥した皮膚の状態および角質層バリア欠陥、
− 炎症した皮膚の状態およびアトピー性湿疹、脂漏性湿疹、多形性の光線性皮膚病、乾癬、白斑
の効果的な治療、また予防も可能である。しかし、本発明による錯体化合物、あるいは有効含量の本発明による錯体化合物を有する化粧品組成物または局所皮膚科学的組成物は、驚くべき形で、
− 敏感なまたは炎症を起こした皮膚の鎮静化、
− 特に欠損のあるまたは低機能皮膚の状態における細胞内DNA合成の刺激、
− 皮膚自体の保護および修復機序の増進(例えば、機能不全の酵素、DNA、脂質、タンパク質のための)、
− 結果として生じる皮膚過敏症に対処し、損傷した皮膚の再生プロセスを促進するために、例えばしわや瘢痕を少なくする助けとなるレーザーおよび研磨治療の局所使用の場合の前処置および後処置、にも役に立つ。
【0064】
したがって、本発明によれば、
・望まない皮膚の状態の化粧的または皮膚科学的治療あるいは予防、
・炎症した皮膚の状態(アトピー性湿疹も含む)の予防および治療、
・敏感であると判断された乾燥皮膚の場合の皮膚保護、
・光反応に対する皮膚の保護、
・敏感な皮膚の状態の治療および予防、
・皮膚自体の脱酸素的(desoxidative)保護の増進、および/または
・環境影響に対する皮膚の保護の向上
のための、式Iの錯体化合物または式IIの化合物およびシクロデキストリンを含む組成物の使用でもある。
【0065】
本発明による錯体化合物または活性成分の組合せを含む組成物は、これらすべての使用における個々の成分に関して相乗作用を有している。
【0066】
本発明の利点は、式IIの化合物の溶解性を増大させるためのシクロデキストリンおよび/またはシクロデキストリン誘導体の使用である。さらなる利点は、式IIの化合物の生物学的効果を改善するためのシクロデキストリンおよび/またはシクロデキストリン誘導体の使用である。
【0067】
式Iの化合物または式IIの化合物のフラボノイド部分では、アルコキシ基は直鎖状であり、1〜12個、好ましくは1〜8個のC原子を有する。すなわち、これらの基は式−O−(CH2)m−H(式中、mは1、2、3、4、5、6、7または8であり、特に1〜5である)に相当する。
【0068】
式Iの化合物または式IIの化合物のフラボノイド部分では、ヒドロキシアルコキシ基は直鎖状であり、2〜12個、好ましくは2〜8個のC原子を有する。すなわち、これらの基は−式−O−(CH2)n−OH(式中、nは2、3、4、5、6、7または8であり、特に2〜5であり、特別に好ましくは2である)に相当する。
【0069】
式Iの化合物または式IIの化合物のフラボノイド部分の基Z1〜Z4およびZ6〜Z10の1つまたは複数がモノまたはオリゴグリコシド基を指す場合、このグリコシド基は、式I中の対応するベンゼン環に酸素原子を介して直接結合している。モノまたはオリゴグリコシド基は1〜3個のグリコシド単位で構成されることが好ましい。これらの単位は、ヘキソシル基、特にラムノシル基およびグルコシル基からなる群から選択されることが好ましい。しかし、他のヘキソシル基、例えばアロシル、アルトロシル、ガラクトシル、グロシル、イドシル、マンノシルおよびタロシルも有利に使用することができる。ペントシル基も本発明で有利に使用することができる。
【0070】
式Iの化合物または式IIの化合物のフラボノイド部分の基Z5中に存在するモノまたはオリゴグリコシド基は酸素原子を介して結合しており、1〜3個のグリコシド単位で構成されることが好ましい。基Z1〜Z4およびZ6〜Z10中の好ましい単位は、基Z5中に存在するモノまたはオリゴグリコシド基にも好ましい。基Z5中に存在するモノまたはオリゴグリコシド基は、グルコース、ラムノースおよびルチノースの基からなる群から選択されることが特に好ましい。
【0071】
式Iの化合物または式IIの化合物のフラボノイド部分のX、X1、X2および/またはX3がモノグリコシド基を指す場合、これらのグリコシド基は、それぞれ対応するベンゼン環に酸素原子を介して結合している。基Z1〜Z4およびZ6〜Z10中の好ましい単位はこのモノグリコシド基についても好ましい。X、X1、X2および/またはX3がモノグリコシド基を指す場合、グルコース基が特に好ましい。
【0072】
本発明の好ましい実施形態では、特に、式Iの化合物または式IIの化合物のフラボノイド部分の水溶性を増大させる場合、極性基、例えばそれぞれの場合、互いに独立に硫酸基またはリン酸基を、置換基Z1〜Z10中の上記基の1個または複数のヒドロキシル基に結合させる。適切な対イオンは、例えばアルカリ金属またはアルカリ土類金属のイオンであり、これらは例えばナトリウムまたはカリウムから選択される。
【0073】
本発明の他の好ましい実施形態では、置換基Z5中に存在する芳香族成分を有する基が、同様に基Z5中に存在するモノもしくはオリゴグリコシド基とエステル基−OOC−を介して結合している式Iの化合物または式IIの化合物のフラボノイド部分が好ましい。
【0074】
本発明の他の好ましい実施形態では、式Iまたは式IIの副次式は、以下の基、すなわちルチン、トリスヒドロキシエチルルチン(トロキセルチン)、イソケルセチン、トリスヒドロキシエチルイソケルセチン(トロキセイソケルセチン)およびアストラガリン、ならびにその硫酸塩およびリン酸塩からの化合物から誘導される。
【0075】
他の好ましい実施形態では、本発明の組成物中に存在する式Iの化合物または式IIの化合物のフラボノイド部分は式IIAの化合物、
【0076】
【化17】

【0077】
(式中、
1、R2およびR3はそれぞれ互いに独立にOH、CH3COO、1〜8個のC原子を有するアルコキシ基またはモノグリコシド基を表し、
4はモノまたはジグリコシド基であり、このグリコシド基に、それぞれの場合−O−基を介して、
【0078】
【化18】

【0079】
(式中、R5、R6およびR7はそれぞれ互いに独立にHであるか、または基R1〜R3の意味を有している)
から選択される少なくとも1つの基が結合しており、
前記グリコシド基のOH基の1個または複数の水素原子はそれぞれ互いに独立に、アセチルまたはC124−アルキル基で置換されていてよく、硫酸塩またはリン酸塩はそれぞれ互いに独立に、式IIAの化合物の1個または複数のヒドロキシル基に結合していてもよい)
から選択される。
【0080】
好ましい実施形態では、式IIAの化合物の基R2はOH、CH3COOまたは1〜8個のC原子を有するアルコキシ基から選択される。
【0081】
式IIAの化合物では、R4のモノまたはジグリコシド基のすべてのOH基は次式の基
【0082】
【化19】

【0083】
でエステル化されていてよい。
【0084】
しかし、これらの基から誘導される基の1つか2つだけがグリコシド基と結合していることが好ましい。
【0085】
4が、OH基の1個または複数の水素原子がアセチルまたはアルキル基で置換されているモノまたはジグリコシド基である場合、置換が可能なすべてのOH基はアセチルまたはアルキルで置換されていることが好ましい。
【0086】
式IIAの化合物で述べた1〜8個のC原子を有するアルコキシ基のうちでは、メトキシ基が好ましい。式IIAの化合物で述べた1〜8個のC原子を有するアルキル基のうちでは、メチル基が好ましい。
【0087】
式IIAの化合物で述べたモノおよびジグリコシド基はグルコース単位で構成されていることが好ましい。
【0088】
式IIAの化合物から選択される好ましい化合物IIA1〜IIA13を以下に示す。
【0089】
【化20−1】

【0090】
【化20−2】

【0091】
【化20−3】

【0092】
【化20−4】

【0093】
【化20−5】

【0094】
上記式IIA1〜IIA13の化合物では、Meはメチルを表し、Acはアセチルを表す。
【0095】
式IIAの化合物のうち、特に好ましいものは式IIA1およびIIA2の化合物である。非常に好ましいものは式IIA1の化合物、すなわちティリロサイドである。
【0096】
さらに好ましい実施形態では、本発明による組成物中に存在する式Iの化合物または式IIの化合物のフラボノイド部分は、
【0097】
【化21】

【0098】

【0099】
【化22】

【0100】
を表し、
1〜Z4およびZ6〜Z10はそれぞれ互いに独立に、H、OH、アルコキシ、ヒドロキシアルコキシ、モノもしくはオリゴグリコシド基を表し、アルコキシおよびヒドロキシアルコキシ基が分岐および非分岐でよく、かつ1〜18個のC原子を有することができ、
5、n、m、kおよびMは請求項1に記載の意味を有するが、置換基Z5中に存在する基X、X1、X2およびX3はそれぞれ互いに独立に、OH、1〜8個のC原子を有するアルコキシ基またはモノグリコシド基を表し、
置換基Z1〜Z10中の上記グリコシド基のOH基の1個または複数の水素原子はそれぞれ互いに独立に、C124−アルキル基で置換されていてもよく、硫酸塩またはリン酸塩もそれぞれ互いに独立に、置換基Z1〜Z10中の上記基の1個または複数のヒドロキシル基と結合していてよい
化合物から選択される。
【0101】
式Iの化合物または式IIの化合物のこれらのフラボノイド部分では、Z1〜Z4およびZ6〜Z10それぞれ互いに独立に、H、OH、アルコキシまたはヒドロキシアルコキシを表すことが好ましい。
【0102】
さらに好ましい実施形態では、本発明による組成物中に存在する式IIAの化合物は、
1、R2およびR3がそれぞれ互いに独立にOH、1〜8個のC原子を有するアルコキシ基またはモノグリコシド基を表し、
4がモノまたはジグリコシド基であり、このグリコシド基に、それぞれの場合−O−基を介して、
【0103】
【化23】

【0104】
(式中、R5、R6およびR7はそれぞれ互いに独立に、H、OH、1〜8個のC原子を有するアルコキシ基またはモノグリコシド基を表す)
から選択される少なくとも1つの基が結合しており、
グリコシド基のOH基の1個または複数の水素原子もそれぞれ互いに独立に、C124−アルキル基で置換されていてよく、硫酸塩またはリン酸塩もそれぞれ互いに独立に、式IIAの化合物の1個または複数のヒドロキシル基と結合していてよい
化合物から選択される。
【0105】
式IIAのこれらの化合物では、R1〜R3はそれぞれ互いに独立にOHまたは1〜8個のC原子を有するアルコキシ基を表すことが好ましい。
【0106】
式Iの化合物または式IIの化合物のいくつかのフラボノイド部分、例えばティリロサイドは、植物、例えば、アルテア(Althaea)、アリストロキア(Aristolochia)、ヘリアンセマム(Helianthemum)、リンデラ(Lindera)、マグノリア(Magnolia)、プラタナス(Platanus)、ポテンティラ(Potentilla)、クエルクス(Quercus)、バラ(Rosa)、シダ(Sida)、ソーバス(Sorbus)および/またはティーリア(Tilia)属の植物から単離することができる。これらの化合物は単離された形態かまたは単離されていない形態でさらに処理することができる。すなわち、例えば、抽出物の形態か、精製された抽出物の形態か、あるいは植物抽出物から調製された高純度の物質の形態で組成物中に混ぜ込むことができる。前記属のうち、以下の種が好ましい。すなわち、マシュマロ(Althaea officinalis)、タチアオイ(Althaea rosea)、アリストロキアヘテロフィラ(Aristolochia heterophylla)、ヘリアンセマムグロメラタム(Helianthemum glomeratum)、リンデラメガフィラ(Lindera megaphylla)、マグノリアサリシフォリア(Magnolia salicifolia)、プラタナスアセリフォリア(Platanus acerifolia)、プラタナスオキシデンタリス(Platanus occidentalis)、ポテンティラアンセリナ(Potentilla anserina)、クエルクスプベッセンス(Quercus pubescens)、コルクガシ(Quercus suber)、クエルクスラウリフォリア(Quercus laurifolia)、クエルクスイレックス(Quercus ilex)、クエルクスインブリカリア(Quercus imbricaria)、クエルクスバージニアナ(Quercus virginiana)、ロサポミフェラ(Rosa pomifera)、シダロンビフォリア(Sida rhombifolia)、シダポエッピギアナ(Sida poeppigiana)、シダコルディフォリア(Sida cordifolia)、シダグラジオビー(Sida glaziovii)、ソーバスペンデュラ(Sorbus pendula)、ティーリアアルジェンタ(Tilia argenta)およびティーリアコルダータ(Tilia cordata)である。
【0107】
本発明による組成物がティリロサイドを含む場合、さらに好ましい実施形態では、この化合物は、植物抽出物、精製した植物抽出物の形態または植物抽出物から調製された高純度の物質の形態で組成物の調製に使用される。
【0108】
このタイプの組成物では、植物抽出物は例えば1〜100重量%のティリロサイドを含む。一実施形態では、植物抽出物は5〜90重量%のティリロサイドを含むことが好ましい。別の実施形態では、植物抽出物は30〜100重量%、特に好ましくは60〜100重量%、特別に好ましくは90〜100重量%のティリロサイドを含む。
【0109】
さらに好ましい実施形態では、植物抽出物はシダグラジオビー植物から抽出して単離した。
【0110】
ティリロサイドを使用する本発明のすべての使用において、ティリロサイドを、例えば合成によって得られた物質の形態、植物抽出物、精製した植物抽出物もしくは個別の物質の形態、または植物抽出物から単離された高純度の物質の形態で使用することができる。好ましい実施形態では、ティリロサイドは植物抽出物、精製した植物抽出物の形態、または植物抽出物から調製された高純度の物質の形態で使用する。
【0111】
式Iの化合物または式IIの化合物のフラボノイド部分は当業者に周知であり、文献に記載されている(例えば、Houben−Weyl、Methodn der organischen Chemie[Methods of Organic Chemistry]、Georg−Thieme−Verlag、Stuttgartなどの標準的な作業で)方法で単離または調製することができる。
【0112】
例えば、ティリロサイドは植物中に存在しており、抽出によって単離することができる。植物抽出物は植物または植物の部分から従来の抽出方法で調製する。適切な抽出方法は浸漬、再浸漬、温浸、攪拌浸漬、流動床抽出、超音波抽出、向流抽出、浸出、再浸出、減圧抽出(evacolation)、ディアコレーション(diacolation)またはソクスレー抽出器内で行う連続的還流による固/液抽出であってよい。
【0113】
抽出に用いる溶媒は、例えば水またはアルコールが可能である。
【0114】
これらの抽出を詳細にどのように行うかは、当業者の一般的知見に帰すことができるものであり、得られた粗抽出物は一般的な従来の方法によって精製することができる。
【0115】
ティリロサイドのための可能な1つの合成経路は、例えばB.Vermes、H.Wagner、Stud.Org.Chem.(Amsterdam)(1982年)、Volume date 1981、11(フラボノイド、ビオフラボノイド)、161〜167頁およびB.Vermes、V.M.Chari、H.Wagner、Helv.Chim.Acta(1981年)、64(4)、1964〜1967頁にも記載されている。
【0116】
ティリロサイドの合成をスキーム1に示す。4',7−ジベンジルケンフェロール(1)[H.Wagner、H.Danninger、O.Seligmann、M.Nogradi、L.Farkas、N.Farnsworth、Chem.Ber.103(1978年)3768]を、Ag2CO3およびピリジンの存在下で、2,3,4−トリ−O−アセチル−6−O−クロロアセチル−β−D−グルコピラノシルブロミド(2)と反応させて化合物3を得る。化合物2はD.Y.Gagniere、P.J.A.Wottero、Carbohydrate Res.28(1973年)1965に記載の方法で調製することができる。触媒を用いた化合物3の脱ベンジル化に続く注意深いアセチル化によって化合物4が得られ、これから、チオ尿素を用いてクロロアセチル基を除去して化合物5が得られる。この化合物では、1個のヒドロキシル基だけがフリーであり、このことは、化合物5のエステル化を選択的に進めることができることを意味している。ピリジンとジクロロメタンの混合液中で、酸クロリドのp−アセチルクマロイルクロリド6を用いたエステル化を実施することができる。エステル化を確実に完結させるためには、過剰の酸クロリドと室温での長い反応時間(約96時間)を必要とする。最終段階である、化合物7の7個のアセチル基の選択的けん化はG.Zemplen、Chem.Ber.59(1926年)1258に記載の方法で行うことができる。これは、触媒量のNaOCH3と計算量のメタノールを用いて実施する。
【0117】
【化24】

【0118】
式Iの化合物または式IIの化合物の他のフラボノイド部分はスキーム1に示す合成の常法による改変によって得ることができる。標的分子に応じて、異なる出発物質、すなわち、任意選択で他の保護されたフラボノイド、糖成分および糖成分に結合されていてよい基がここでは使用される。
【0119】
芳香族スルホン酸単位を用いたグリコシドOH基のエステル化は、例えばA.B.Fosterら、J.Chem.Soc.(1954年)3625〜3629頁に記載の方法で行うことができる。この方法によれば、糖成分は、例えばピリジン中で対応する芳香族スルホニルクロリドと反応させることができる。
【0120】
芳香族基を用いたグリコシドOH基のエーテル化は、例えばP.Beraudら、Tetrahedron Let.30(3)(1989年)325〜326頁に記載の方法で行うことができる。このMitsunobu反応では、エーテル化を、例えば、糖成分をトリフェニルホスフィンPPh3と一緒にピリジン中に溶解させ、その溶液を対応するフェノール成分およびジエチルアゾジカルボキシレートと反応させて行う。
【0121】
飽和炭化水素の基を用いたグリコシドOH基のエーテル化は、例えばM.Goebelら、Tetrahedron 53(9)(1997年)3123〜3134頁に記載の方法で行うことができる。エーテル化は、不活性ガス雰囲気下、乾燥ジメチルホルムアミド中で、水素化ナトリウムを糖成分に注意深く加え、次いでその混合物を、例えば対応するブロミドなどの適切なアルキル化剤と注意深く反応させて実施する。
【0122】
式Iの錯体化合物は、式IIの化合物を、溶液中、好ましくは高温でシクロデキストリンと反応させて調製することができる。本発明はさらに相当するプロセスに関する。
【0123】
式IIのフラボノイド1モル当たり約2モルのシクロデキストリンを含む錯体が本発明の要件を特に満たすことが判明した。したがって、本発明によれば、式Iにおけるoが1であり、pが1.75〜2.1の範囲、好ましくはpが2であることが好ましい。
【0124】
シクロデキストリンを、フラボノイドに対して過剰かまたは正確に2:1のモル比で使用すれば、対応する化合物を調製することができる。
【0125】
本発明の好ましい実施形態では、その組成物は、式Iまたは式IIの1種または複数の化合物の他に1種または複数のさらなる抗酸化剤を含むことを特徴とする、酸化的ストレスに対する体細胞の保護、特に皮膚老化を低減させるための組成物である。
【0126】
抗酸化剤として使用できる、専門家の文献で周知の多くの確認された物質が存在する。それらは、例えばアミノ酸(例えばグリシン、ヒスチジン、チロシン、トリプトファン)およびその誘導体、イミダゾール(例えばウロカニン酸)およびその誘導体、D,L−カルノシン、D−カルノシン、L−カルノシンおよびその誘導体などのペプチド(例えばアンセリン)、カロチノイド、カロテン(例えばα−カロテン、β−カロテン、リコペン)およびその誘導体、クロロゲン酸およびその誘導体、リポ酸およびその誘導体(例えばジヒドロリポ酸)、アウロチオグルコース、プロピルチオウラシルおよび他のチオール(例えばチオレドキシン、グルタチオン、システイン、シスチン、シスタミン、ならびにそのグリコシル、N−アセチル、メチル、エチル、プロピル、アミル、ブチルおよびラウリル、パルミトイル、オレイル、γ−リノレイル、コレステリルおよびグリセリルエステル)およびその塩、ジラウリルチオジプロピオネート、ジステアリルチオジプロピオネート、チオジプロピオン酸およびその誘導体(エステル、エーテル、ペプチド、脂質、ヌクレオチド、ヌクレオシドおよび塩)ならびに非常に低い忍容用量(例えばpモル〜μモル/kg)のスルホキシミン化合物(例えばブチオニンスルホキシミン、ホモシステインスルホキシミン、ブチオニンスルホン、ペンタ−、ヘキサ−およびヘプタチオニンスルホキシミン)であり、また(金属)キレート剤(例えばα−ヒドロキシ脂肪酸、パルミチン酸、フィチン酸、ラクトフェリン)、α−ヒドロキシ酸(例えばクエン酸、乳酸、リンゴ酸)、フミン酸、胆汁酸、胆汁抽出物、ビリルビン、胆緑素、EDTA、EGTAおよびその誘導体、不飽和脂肪酸およびその誘導体、ビタミンCおよび誘導体(例えばパルミチン酸アスコルビル、リン酸アスコルビルマグネシウム、酢酸アスコルビル)、トコフェロールおよび誘導体(例えばビタミンEアセテート)、ビタミンAおよび誘導体(例えばビタミンAパルミテート)、およびベンゾイン樹脂のコニフェリルベンゾエート、ルチン酸およびその誘導体、α−グリコシルルチン、フェルラ酸、フルフリリデングルシトール、カルノシン、ブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、ノルジヒドログアイヤレチック酸、トリヒドロキシブチロフェノン、ケルセチン、尿酸およびその誘導体、マンノースおよびその誘導体、亜鉛およびその誘導体(例えばZnO、ZnSO4)、セレンおよびその誘導体(例えばセレノームチオニン)、スチルベンおよびその誘導体(例えばスチルベンオキシド、trans−スチルベンオキシド)がある。
【0127】
抗酸化剤の混合物も同様に本発明による化粧品組成物中での使用に適している。既知であり市販されている混合物は、例えば活性成分として、レシチン、L−(+)−アスコルビルパルミテートおよびクエン酸(例えば(例えばOxynex(登録商標)AP)、天然トコフェロール、L−(+)−アスコルビルパルミテート、L−(+)−アスコルビン酸およびクエン酸(例えばOxynex(登録商標)K LIQUID)、天然由来のトコフェロール抽出物、L−(+)−アスコルビルパルミテート、L−(+)−アスコルビン酸およびクエン酸(例えばOxynex(登録商標)L LIQUID)、DL−α−トコフェロール、L−(+)−アスコルビルパルミテート、クエン酸およびレシチン(例えばOxynex(登録商標)LM)、あるいは、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、L−(+)−アスコルビルパルミテートおよびクエン酸(例えばOxynex(登録商標)2004)を含む混合物である。この種の抗酸化剤は通常、そうした組成物中の式Iまたは式IIの化合物と、1000:1〜1:1000の範囲の比、好ましくは100:1〜1:100の量で使用する。
【0128】
本発明による組成物はさらなる成分としてビタミンを含むことができる。本発明による化粧品組成物は、ビタミンA、ビタミンAプロピオネート、ビタミンAパルミテート、ビタミンAアセテート、レチノール、ビタミンB、塩化チアミン塩酸塩(ビタミンB1)、リボフラビン(ビタミンB2)、ニコチンアミド、ビタミンC(アスコルビン酸)、ビタミンD、エルゴカルシフェロール(ビタミンD2)、ビタミンE、DL−α−トコフェロール、トコフェロールEアセテート、トコフェロールハイドロジェンスクシネート、ビタミンK1、エスクリン(ビタミンP活性成分)、チアミン(ビタミンB1)、ニコチン酸(ナイアシン)、ピリドキシン、ピリドキサル、ピリドキサミン(ビタミンB6)、パントテン酸、ビオチン、葉酸およびコバラミン(ビタミンB12)から選択されるビタミンおよびビタミン誘導体を含むことが好ましく、ビタミンAパルミテート、ビタミンCおよびその誘導体、DL−α−トコフェロール、トコフェロールEアセテート、ニコチン酸、パントテン酸およびビオチンを含むことが特に好ましい。ビタミンは通常、式Iまたは式IIの化合物と、1000:1〜1:1000の範囲の比、好ましくは100:1〜1:100の量で使用される。
【0129】
抗酸化作用を有するフェノールでは、ポリフェノール(そのいくつかは天然に由来する)は、医薬品、化粧品または栄養物の領域での用途に特に興味のあるものである。例えば、植物染料として主に知られているフラボノイドまたはビオフラボノイドは抗酸化剤としての可能性をしばしば有する。K.Lemanska、H.Szymusiak、B.Tyrakowska、R.Zielinski、I.M.C.M.Rietjens;Current Topics in Biophysics 2000年、24(2)、101〜108頁はモノおよびジヒドロキシフラボンの置換パターンの効果に関するものである。そこでは、ケト官能基に隣接するOH基か、または3',4'−または6,7−または7,8−位のOH基を含むジヒドロキシフラボンは抗酸化特性を有しており、他方、他のモノおよびジヒドロキシフラボンは、抗酸化特性を有していない場合があることが確認されている。
【0130】
ケルセチン(シアニダノール、シアニデノロン(cyanidenolon)1522、メレチン、ソホレチン(sophoretin)、エリシン、3,3',4',5,7−ペンタヒドロキシフラボン)は特に効果的な抗酸化剤としてしばしば挙げられる(例えばC.A.Rice−Evans、N.J.Miller、G.Paganga、Trends in Plant Science 1997年、2(4)、152〜159頁)。K.Lemanska、H.Szymusiak、B.Tyrakowska、R.Zielinski、A.E.M.F.Soffers、I.M.C.M.Rietjens;Free Radical Biology&Medicine 2001年、31(7)、869〜881頁はヒドロキシフラボンの抗酸化作用のpH依存性を検討している。ケルセチンは広範囲のpHで検討された構造の中で最も大きい活性を示している。
【0131】
さらに、適切な抗酸化剤は、先のドイツ特許出願DE10244282.7に記載の式IIIの化合物である。
【0132】
【化25】

【0133】
(式中、R1〜R10は、同じであっても異なっていてもよく、
− H
− OR11
− 直鎖または分岐のC1−からC20−アルキル基、
− 直鎖または分岐のC3−からC20−アルケニル基、
− 直鎖または分岐のC1−からC20−ヒドロキシアルキル基(ヒドロキシル基はその鎖の第一または第二炭素原子に結合していてよく、さらにアルキル鎖は酸素によって介在されていてもよい)、および/または
− C3−からC10−シクロアルキル基および/またはC3−からC12−シクロアルケニル基(その環は−(CH2)n−基によって橋掛けされていてもよく、n=1から3である)、
から選択され、
− すべてのOR11は互いに独立に、
− OH
− 直鎖または分岐のC1−からC20−アルコキシ基、
− 直鎖または分岐のC3−からC20−アルケニルオキシ基、
− 直鎖または分岐のC1−からC20−ヒドロキシアルコキシ基(ヒドロキシル基はその鎖の第一または第二炭素原子に結合していてよく、さらにアルキル鎖は酸素によって介在されていてもよい)、および/または
− C3−からC10−シクロアルコキシ基および/またはC3−からC12−シクロアルケニルオキシ基(その環は−(CH2)n−基によって橋掛けされていてもよく、n=1から3である)、および/または
−モノおよび/またはオリゴグリコシル基
を表し、
ただし、
1〜R7の少なくとも4つの基はOHを表し、分子中に、少なくとも2組の隣接する−OH基の対が存在するか、
−あるいは、R2、R5およびR6はOHを表し、基R1、R3、R4およびR710はHを表す)
本発明で特に好ましい組成物は、式Iまたは式IIの化合物に加えてUVフィルターも含む。
【0134】
UV−Aフィルターとして特に好ましいジベンゾイルメタン誘導体を、式Iまたは式IIの化合物と一緒に使用するとさらなる利点がもたらされる。すなわち、式Iまたは式IIの化合物の存在によってUV−敏感性のジベンゾイルメタン誘導体はさらに安定化する。したがって、本発明はさらに、組成物中におけるジベンゾイルメタン誘導体の安定化のための式Iまたは式IIの化合物の使用に関する。
【0135】
基本的には、すべてのUVフィルターは本発明の式Iまたは式IIの化合物との組合せに適している。その生理的受容性がすでに実証されているUVフィルターが特に好ましい。UVAフィルターとUVBフィルターの両方のために、専門家の文献で周知の多くの確認された物質がある。例えば、
ベンジリデンカンファー誘導体、例えば3−(4'−メチルベンジリデン)−dl−カンファー(例えばEusolex(登録商標)6300)、3−ベンジリデンカンファー(例えばMexoryl(登録商標)SD)、N−{(2および4)−[(2−オキソボーン−3−イリデン)メチル]ベンジル}アクリルアミド(例えばMexoryl(登録商標)SW)、N,N,N−トリメチル4−(2−オキソボーン−3−イリデンメチル)アニリニウムメチルサルフェート(例えばMexoryl(登録商標)SK)または(2−オキソボーン−3−イリデン)トルエン−4−スルホン酸(例えばMexoryl(登録商標)SL)のポリマー、
ベンゾイルメタンまたはジベンゾイルメタン、例えば1−(4−tert−ブチルフェニル)−3−(4−メトキシフェニル)プロパン−1,3−ジオン(例えばEusolex(登録商標)9020)または4−イソプロピルジベンゾイルメタン(例えばEusolex(登録商標)8020)、
ベンゾフェノン、例えば2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン(例えばEusolex(登録商標)4360)または2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸およびそのナトリウム塩(例えばUvinul(登録商標)MS−40)、
メトキシ桂皮酸エステル、例えばオクチルメトキシシンナメート(例えばEusolex(登録商標)2292)、イソペンチル4−メトキシシンナメート、例えばその異性体の混合物(例えばNeo Heliopan(登録商標)E1000)、
サリシレート誘導体、例えば2−エチルヘキシルサリシレート(例えばEusolex(登録商標)OS)、4−イソプロピルベンジルサリシレート(例えばMegasol(登録商標))または3,3,5−トリメチルシクロヘキシルサリシレート(例えばEusolex(登録商標)HMS)、
4−アミノ安息香酸および誘導体、例えば4−アミノ安息香酸、2−エチルヘキシル4−(ジメチルアミノ)ベンゾエート(例えばEusolex(登録商標)6007)、エトキシル化エチル4−アミノベンゾエート(例えばUvinul(登録商標)P25)、
フェニルベンズイミダゾールスルホン酸、例えば2−フェニルベンズイミダゾール−5−スルホン酸およびそのカリウム、ナトリウムならびにトリエタノールアミン塩(例えばEusolex(登録商標)232)、2,2−(1,4−フェニレン)ビスベンズイミダゾール−4,6−ジスルホン酸およびその塩(例えばNeoheliopan(登録商標)AP)または2,2−(1,4−フェニレン)ビスベンズイミダゾール−6−スルホン酸;
さらに他の物質では、例えば、
−2−エチルヘキシル2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート(例えばEusolex(登録商標)OCR)、
−3,3'−(1,4−フェニレンジメチレン)ビス(7,7−ジメチル−2−オキソビシクロ[2.2.1]ヘプタ−1−イルメタンスルホン酸およびその塩(例えばMexoryl(登録商標)SX)および
−2,4,6−トリアニリノ−(p−カルボ−2'−エチルヘキシル−1'−オキシ)−1,3,5−トリアジン(例えばUvinul(登録商標)T150)
−ヘキシル2−(4−ジエチルアミノ−2−ヒドロキシベンゾイル)ベンゾエート(例えばUvinul(登録商標)UVA Plus、BASF)である。
【0136】
リストに示した化合物は例に過ぎないと見なされるべきである。他のUVフィルターを使用することももちろん可能である。
【0137】
これらの有機UVフィルターは一般に0.5〜10重量%、好ましくは1〜8重量%の量で化粧品製剤に混入させる。
【0138】
他の適切な有機UVフィルターは、例えば、
−2−(2H−ベンゾトリアゾル−2−イル)−4−メチル−6−(2−メチル−3−(1,3,3,3−テトラメチル−1−(トリメチルシリルオキシ)ジシロキサニル)プロピル)フェノール(例えばSilatrizole(登録商標))、
−2−エチルヘキシル4,4'−[(6−[4−((1,1−ジメチルエチル)アミノカルボニル)フェニルアミノ]−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル)ジイミノ]ビス(ベンゾエート)(例えばUvasorb(登録商標)HEB)、
−α−(トリメチルシリル)−ω−[トリメチルシリル)オキシ]ポリ[オキシ(ジメチル[および約6%のメチル[2−[p−[2,2−ビス(エトキシカルボニル]ビニル]フェノキシ]−1−メチレンエチル]、約1.5%のメチル[3−[p−[2,2−ビス(エトキシカルボニル)ビニル])フェノキシ)プロペニル)および0.1〜0.4%の(メチル水素]シリレン]](n≒60)(CAS No.207574−74−1)
−2,2'−メチレンビス(6−(2H−ベンゾトリアゾル−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール)(CAS No.103597−45−1)
−2,2'−(1,4−フェニレン)ビス(1H−ベンズイミダゾール−4,6−ジスルホン酸、モノナトリウム塩)(CAS No.180898−37−7)ならびに
−2,4−ビス{[4−(2−エチルヘキシルオキシ)−2−ヒドロキシ]フェニル}−6−(4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン(CAS No.103597−45−、187393−00−6)、
−2−エチルヘキシル4,4'−[(6−[4−((1,1−ジメチルエチル)アミノカルボニル)フェニルアミノ]−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル)ジイミノ]ビス(ベンゾエート)(例えばUvasorb(登録商標)HEB)である。
【0139】
他の適切なUVフィルターは先のドイツ特許出願DE10232595.2に対応するメトキシフラボンでもある。
【0140】
有機UVフィルターは一般に0.5〜20重量%、好ましくは1〜15重量%の量で化粧品製剤に混入させる。
【0141】
考えられる無機UVフィルターは、例えば、コーティングした二酸化チタン(例えばEusolex(登録商標)T−2000、Eusolex(登録商標)T−AQUA、Eusolex(登録商標)T−AVO)などの二酸化チタンの群、亜鉛酸化物(例えばSachtotec(登録商標))の群、酸化鉄の群からのものがあり、またセリウム酸化物の群もある。これらの無機UVフィルターは一般に0.5〜20重量%、好ましくは2〜10重量%の量で化粧品製剤に混入させる。
【0142】
UV−フィルタリング特性を有する好ましい化合物は、3−(4'−メチルベンジリデン)−dl−カンファー、1−(4−tert−ブチルフェニル)−3−(4−メトキシフェニル)プロパン−1,3−ジオン、4−イソプロピルジベンゾイルメタン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、オクチルメトキシシンナメート、3,3,5−トリメチルシクロヘキシルサリシレート、2−エチルヘキシル4−(ジメチルアミノ)ベンゾエート、2−エチルヘキシル2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、2−フェニルベンズイミダゾール−5−スルホン酸ならびにそのカリウム、ナトリウムおよびトリエタノールアミン塩である。
【0143】
式Iまたは式IIの1つまたは複数の化合物と別のUVフィルターを組み合わせることによって、UV照射の有害な影響に対する保護作用を最適化することができる。
【0144】
最適化された組成物は、例えば有機UVフィルターの4'−メトキシ−6−ヒドロキシフラボンと、1−(4−tert−ブチルフェニル)−3−(4−メトキシフェニル)プロパン−1,3−ジオンおよび3−(4'−メチルベンジリデン)−dl−カンファーとの組合せを含むことができる。この組合せは広い範囲の保護をもたらし、二酸化チタン微粒子などの無機UVフィルターを加えることによってこれを補うことができる。
【0145】
すべての前記UVフィルターは、カプセル化した形態で用いることもできる。特に、有機UVフィルターはカプセル化した形態で使用することが有利である。具体的には以下の利点がもたらされる:
−カプセル壁の親水性を、UVフィルターの溶解性とは独立に設定することができる。したがって、例えば疎水性UVフィルターを純粋に水性の組成物中に混ぜ込むことも可能である。さらに、疎水性UVフィルターを含む組成物の適用時のオイル様の印象(これは不快と見なされることが多い)が抑えられる。
【0146】
−ある種のUVフィルター、特にジベンゾイルメタン誘導体は、化粧品組成物中で光安定性をわずかだけしか低下させない。これらのフィルター、またはこれらのフィルターの光安定性を損なう化合物、例えば桂皮酸誘導体のカプセル化によって、組成物全体の光安定性を増大させることが可能になる。
【0147】
−有機UVフィルターによる皮膚浸透、およびヒトの皮膚への直接適用の際の関連した過敏症の可能性が繰り返し文献で論じられている。ここで提案する対応物質のカプセル化はこの影響を抑制するものである。
【0148】
−一般に、個々のUVフィルターまたは他の成分のカプセル化によって、個々の組成物の構成要素間の相互作用、例えば結晶化プロセス、沈澱および凝集体形成などによって引き起こされる組成物の問題を、その相互作用が抑制されるので回避することができる。
【0149】
したがって、本発明によれば、上記UVフィルターの1つまたは複数をカプセル化した形態にすることが好ましい。そのカプセルは、裸眼で見ることができないほど小さいことが有利である。上記効果を実現するためには、カプセルを十分に安定にして、カプセル化された活性成分(UVフィルター)が環境へ僅かしか放出されないか、またはまったく放出されないようにすることがさらに必要である。
【0150】
適切なカプセルは無機または有機ポリマーの壁を有することができる。例えば、米国特許第6,242,099B1号はキチン、キチン誘導体またはポリヒドロキシル化ポリアミンでできた壁を有する適切なカプセルの作製を記載している。本発明において特に好ましく使用できるカプセルは、特許出願WO00/09652、WO00/72806およびWO00/71084に記載のゾルーゲルによって得られる壁を有する。ここでも、壁がシリカゲル(シリカ;未定義の酸化ケイ素・水酸化ケイ素)で構成されているカプセルが好ましいとされている。相当するカプセルの作製は、例えば引用した特許出願から、当業者に周知であり、その内容も明らかに本出願の主題に属するものである。
【0151】
本発明による組成物におけるカプセルは、カプセル化されたUVフィルターが組成物中に上記した量で確実に存在する量で存在することが好ましい。
【0152】
本発明による組成物はさらに別の通常の皮膚保護用または皮膚ケア用活性成分を含むことができる。これらは原則として当業者に知られている任意の活性成分であってよい。
【0153】
これらはクロモン誘導体であってよい。本明細書では、クロモン誘導体という用語は、好ましくは、老化過程および有害な環境影響に対するヒトの皮膚およびヒトの毛髪の予防的処置のための活性成分として適している特定のクロメン−2−オン誘導体を意味するものとする。同時にこれらは、皮膚を刺激する可能性が低く、皮膚内の水の結合に対してプラスの効果を有し、皮膚の弾力性を維持するかまたは増大させ、したがって、皮膚の平滑さを促進する。これらの化合物は式IVであることが好ましい。
【0154】
【化26】

【0155】
(式中、
1およびR2は同じでも異なっていてもよく、
− H、−C(=O)−R7、−C(=O)−OR7
− 直鎖または分岐のC1−からC20−アルキル基、
− 直鎖または分岐のC3−からC20−アルケニル基、直鎖または分岐のC1−からC20−ヒドロキシアルキル基(ヒドロキシル基はその鎖の第一または第二炭素原子に結合していてよく、さらにアルキル鎖は酸素によって介在されていてもよい)、および/または
− C3−からC10−シクロアルキル基および/またはC3−からC12−シクロアルケニル基(その環は−(CH2)n−基によって橋掛けされていてもよく、n=1〜3である)
から選択され、
3はHまたは直鎖もしくは分岐のC1−からC20−アルキル基を表し、
4はHまたはOR8を表し、
5およびR6は同じであっても異なっていてもよく、
− −H、−OH、
− 直鎖または分岐のC1−からC20−アルキル基、
− 直鎖または分岐のC3−からC20−アルケニル基、
− 直鎖または分岐のC1−からC20−ヒドロキシアルキル基(ヒドロキシル基はその鎖の第一または第二炭素原子に結合していてよく、さらにアルキル鎖は酸素によって介在されていてもよい)
から選択され、
7はH、直鎖または分岐のC1−からC20−アルキル基、ポリヒドロキシル化合物、例えば好ましくはアスコルビン酸基またはグルコシド基などを表し、
8はHまたは直鎖もしくは分岐のC1−からC20−アルキル基を表し、
置換基R1、R2、R4〜R6の少なくとも2つはHではないか、あるいはR1およびR2の少なくとも1つの置換基は−C(=O)−R7または−C(=O)−OR7を表す。)
本発明による組成物中のクロモン誘導体に選択される1つまたは複数の化合物の割合は、組成物全体に対して好ましくは0.001〜5重量%、特に好ましくは0.01〜2重量%である。
【0156】
本発明による組成物は、少なくとも1種の忌避剤を含むことがさらに好ましい。その忌避剤は、好ましくはN,N−ジエチル−3−メチルベンズアミド、エチル3−(アセチルブチルアミノ)プロピオネート、ジメチルフタレート、ブトピロノキシル、2,3,4,5−ビス(2−ブチレン)テトラヒドロ−2−フルアルデヒド、N,N−ジエチルカプリルアミド、N,N−ジエチルベンズアミド、o−クロロ−N,N−ジエチルベンズアミド、ジメチルカルベート、ジ−n−プロピルイソシンコメロネート、2−エチルヘキサン−1,3−ジオール、N−オクチルビシクロヘプテンジカルボキシイミド、ピペロニルブトキシド、1−(2−メチルプロポキシカルボニル)−2−(ヒドロキシエチル)ピペリジンまたはその混合物から選択される。それはN,N−ジエチル−3−メチルベンズアミド、エチル3−(アセチルブチルアミノ)プロピオネート1−(2−メチルプロポキシカルボニル)−2−(ヒドロキシエチル)ピペリジンまたはその混合物から選択されることが特に好ましい。
【0157】
忌避剤を含む本発明による組成物は好ましくは防虫剤である。防虫剤は、溶液、ゲル、スティック、ローラー、ポンプ型スプレーおよびエアロゾルスプレーの形態で使用することができ、溶液およびスプレーの形態が市販の製品の大部分を占めている。これらの2つの製品形態のベースは通常ファッティング(fatting)物質と若干の芳香剤を加えた、アルコール系溶液または水性/アルコール系溶液によって形成される。
【0158】
特に好ましい活性成分は、ピリミジンカルボン酸および/またはアリールオキシムである。
【0159】
ピリミジンカルボン酸は好塩性の微生物内で生成され、これらの有機体の浸透度調節において役割を果たす(E.A.Galinskiら、Eur.J.Biochem.、149(1985年)135〜139頁)。ピリミジンカルボン酸のうち特に挙げなければならないものは、エクトイン((S)−1,4,5,6−テトラヒドロ−2−メチル−4−ピリミジンカルボン酸)およびヒドロキシエクトイン((S,S)−1,4,5,6−テトラヒドロ−5−ヒドロキシ−2−メチル−4−ピリミジンカルボン酸ならびにその誘導体である。これらの化合物は水溶液および有機溶媒中において酵素および他の生体分子を安定化させる。さらに、これらは塩、極端なpH値、界面活性剤、尿素、塩化グアニジニウムおよび他の化合物などの変性状態に対して特に酵素を安定化させる。
【0160】
エクトイン、およびヒドロキシエクトインなどのエクトイン誘導体は医薬品において有利に使用することができる。特に、ヒドロキシエクトインは皮膚疾患の治療用の医薬品の調製に使用することができる。ヒドロキシエクトインおよび他のエクトイン誘導体の他の適用領域は、一般に例えばトレハロースを添加剤として使用する領域である。したがって、ヒドロキシエクトインなどのエクトイン誘導体は乾燥酵母およびバクテリア細胞の保護剤として使用することができる。グリコシル化されていない薬剤活性ペプチドおよびタンパク質などの医薬品、例えばt−PAもエクトインまたはその誘導体で保護することができる。
【0161】
化粧品用途のうちでは、老化するか、乾燥するかまたは炎症を起こした皮膚をケアするためのエクトインおよびエクトイン誘導体の使用を挙げなければならない。すなわち、欧州特許出願EP−A−0671161は、特に、エクトインおよびヒドロキシエクトインを、パウダー、石鹸、界面活性剤含有クレンジング製品、口紅、ルージュ、メイクアップ、ケアクリームおよび日焼け止め剤などの化粧品組成物に使用することを記載している。
【0162】
ここでは以下の式Vのピリミジンカルボン酸の使用が好ましい。
【0163】
【化27】

【0164】
(式中、
1は基HまたはC1〜8−アルキルであり、R2は基HまたはC14−アルキルであり、R3、R4、R5およびR6はそれぞれ互いに独立に基H、OH、NH2およびC14−アルキルからの基である)。R2がメチルまたはエチル基であり、R1またはR5およびR6がHであるピリミジンカルボン酸の使用が好ましい。ピリミジンカルボン酸のエクトイン((S)−1,4,5,6−テトラヒドロ−2−メチル−4−ピリミジンカルボン酸)およびヒドロキシエクトイン((S,S)−1,4,5,6−テトラヒドロ−5−ヒドロキシ−2−メチル−4−ピリミジンカルボン酸)の使用が特に好ましい。本発明による組成物はこのタイプのピリミジンカルボン酸を最大15重量%の量で含むことが好ましい。ピリミジンカルボン酸は式Iの化合物に対して100:1〜1:100の比で使用するのが好ましく、1:10〜10:1の範囲の比が特に好ましい。
【0165】
アリールオキシムの中では、HMLO、LPOまたはF5としても知られている2−ヒドロキシ−5−メチルラウロフェノンオキシムの使用が好ましい。化粧品組成物における使用に対するその適切性が、例えばドイツ特許第DE−A−4116123号に記載されている。したがって、2−ヒドロキシ−5−メチルラウロフェノンオキシムを含む組成物は炎症を伴う皮膚疾患の治療に適している。このタイプの組成物は、例えば、乾癬、様々な形の湿疹、刺激性および毒性皮膚炎、UV性皮膚炎ならびに皮膚および皮膚付属物の他のアレルギー性および/または炎症性疾患の治療に使用することができることが知られている。式Iの化合物に加えて、アリールオキシム、好ましくは2−ヒドロキシ−5−メチルラウロフェノンオキシムをさらに含む本発明による組成物は、抗炎症性への驚くべき適切性を示す。この組成物は0.01〜10重量%のアリールオキシムを含むことが好ましく、組成物は0.05〜5重量%のアリールオキシムを含むことが特に好ましい。
【0166】
さらに、本発明の好ましい実施形態と同様に、本発明による組成物は少なくとも1種のセルフタンニングを含む。
【0167】
使用できる有利なセルフタンニングは、とりわけ、以下のものである。
【0168】
【化28】

【0169】
新鮮なクルミの殻から抽出された5−ヒドロキシ−1,4−ナフトキノン(ユグロン)
【0170】
【化29】

【0171】
およびヘンナの葉の中に生成する2−ヒドロキシ−1,4−ナフトキノン(ラウソン)
【0172】
【化30】

【0173】
も挙げなければならない。
【0174】
人体で生成される三官能性糖である1,3−ジヒドロキシアセトン(DHA)、およびその誘導体が非常に好ましい。
【0175】
【化31】

【0176】
さらに、本発明による組成物は染料および着色顔料も含むことができる。染料および着色顔料はドイツ化粧品規則(German Cosmetics Regulation)の対応するポジティブリストまたは化粧品着色剤のECリストから選択することができる。ほとんどの場合、これらは食品用として承認された染料と同一である。有利な着色顔料は、例えば二酸化チタン、雲母、酸化鉄(例えばFe23、Fe34、FeO(OH))および/または酸化スズである。有利な染料は、例えばカーミン、ベルリンブルー、酸化クロムグリーン、ウルトラマリーンブルーおよび/またはマンガンバイオレットである。以下のリストの染料および/または着色顔料から選択することが特に有利である。カラーインデックス番号(CIN)はRowe Colour Index、3rd Edition、Society of Dyers and Colourists、Bradford、England、1971年による。
【0177】
【表1−1】

【0178】
【表1−2】

【0179】
【表1−3】

【0180】
【表1−4】

【0181】
【表1−5】

【0182】
【表1−6】

【0183】
【表1−7】

【0184】
さらに、染料として以下の群から1種または複数の物質を好都合に選択することができる:
2,4−ジヒドロキシアゾベンゼン、1−(2'−クロロ−4'−ニトロ−1'フェニルアゾ)−2−ヒドロキシナフタレン、セレスレッド、2−(4−スルホ−1−ナフチルアゾ)−1−ナフトール−4−スルホン酸、2−ヒドロキシ−1,2'−アゾナフタレン−1'−スルホン酸のカルシウム塩、1−(2−スルホ−4−メチル−1−フェニルアゾ)−2−ナフチルカルボン酸のカルシウムおよびバリウム塩、1−(2−スルホ−1−ナフチルアゾ)−2−ヒドロキシナフタレン−3−カルボン酸のカルシウム塩、1−(4−スルホ−1−フェニルアゾ)−2−ナフトール−6−スルホン酸のアルミニウム塩、1−(4−スルホ−1−ナフチルアゾ)−2−ナフトール−3,6−ジスルホン酸のアルミニウム塩、1−(4−スルホ−1−ナフチルアゾ)−2−ナフトール−6,8−ジスルホン酸、4−(4−スルホ−1−フェニルアゾ)−2−(4−スルホフェニル)−5−ヒドロキシピラゾロン−3−カルボン酸のアルミニウム塩、4,5−ジブロモフルオレセインのアルミニウムおよびジルコニウム塩、2,4,5,7−テトラブロモフルオレセインのアルミニウムおよびジルコニウム塩、3',4',5',6'−テトラクロロ−2,4,5,7−テトラブロモフルオレセインおよびそのアルミニウム塩、2,4,5,7−テトラヨードフルオレセインのアルミニウム塩、キノフタロンジスルホン酸のアルミニウム塩、インジゴジスルホン酸のアルミニウム塩、赤色および黒色酸化鉄(CIN:77491(赤色)および77499(黒色))、酸化鉄水和物(CIN:77492)、ニリン酸アンモニウムマンガンならびに二酸化チタン。
【0185】
例えばパプリカ抽出物、β−カロテンまたはコチニールなどの油溶性天然染料も有利である。
【0186】
真珠光沢性顔料を含むゲルクリームも本発明の目的に有利である。以下に示す種類の真珠光沢性顔料が特に好ましい:
1.天然真珠光沢性顔料、例えば、
1.「パールエッセンス」(魚のうろこからのグアニン/ヒポキサンチン混合結晶)および
2.「真珠質層」(ground mussel shell)
2.単結晶真珠光沢性顔料、例えばオキシ塩化ビスマス(BiOCl)など
3.層状基体顔料:例えば雲母/金属酸化物
真珠光沢性顔料用のベースは、例えば、粉末状顔料、あるいは雲母上のオキシ塩化ビスマスおよび/または二酸化チタンならびにオキシ塩化ビスマスおよび/または二酸化チタンのヒマシ油分散液によって形成させる。例えば、CIN77163に挙げられている光沢顔料が特に有利である。
【0187】
例えば、雲母/金属酸化物をベースとした以下の真珠光沢性顔料のタイプも有利である:
【0188】
【表2】

【0189】
例えば、MerckからTimiron、ColoronaまたはDichronaの商品名で市販されている真珠光沢性顔料が特に好ましい。
【0190】
前記真珠光沢性顔料の一覧表はもちろん限定しようとするものではない。本発明の目的に有利である真珠光沢顔料は、それ自体多くのルートから得られる。例えば、雲母とは別の他の基体は、例えばシリカ等の別の金属酸化物でコーティングすることもできる。例えば、Merckから市販されており、微細なしわの光学的な低減に特に適しているTiO2−およびFe23−コーティングのSiO2粒子(「Ronasphere」グレード)が有利である。
【0191】
雲母などの基体を完全に除去することがさらに有利である。SiO2を用いて調製した真珠光沢性顔料が特に好ましい。さらにゴニオクロマチック(goniochromatic)効果も有する、そうした顔料は例えばSicopearl Fantasticoの商品名でBASFから市販されている。
【0192】
二酸化チタンでコーティングされたカルシウムナトリウムホウケイ酸塩をベースとしたEngelhard/Mearl顔料を使用することも有利である。これらはReflecksの商品名で市販されている。その粒子径が40〜80μmであるため、これらは色に加えてきらきらした効果も有する。
【0193】
Flora TechからMetasomes Standard/Glitterの商品名で様々な色(黄、赤、緑、青)で市販されている効果顔料も特に有利である。このきらきらした粒子は種々の補助剤および染料(例えば、カラーインデックス(CI)番号19140、77007、77289、77491の染料など)との混合物の形態である。
【0194】
染料および顔料は、個別の形態であっても、あるいは、混合物であり、一般に異なるコーティング厚さによってもたらされる異なる色効果を有する互いにコーティングされた形態であってもよい。染料および着色用顔料の全量は、例えばそれぞれの場合、組成物の全重量に対して0.1重量%〜30重量%、好ましくは0.5〜15重量%、特に1.0〜10重量%の範囲から選択されることが有利である。
【0195】
組成物に使用できるすべての化合物または成分は既知であり市販されているか、または既知の方法で合成することができる。
【0196】
式Iの1つまたは複数の化合物は、慣行の方法で化粧品または皮膚科学的組成物中に混入させることができる。適切な組成物は、クリーム、ローション、ゲルの形態、または皮膚に噴霧させることができる溶液としての外部使用のためのものである。内部使用に適したものは、カプセル剤、コーティングされた錠剤、粉剤、錠剤型液剤または液剤などの投与形態である。
【0197】
挙げることができる本発明による組成物の施用形態の例は:溶液、懸濁液、エマルジョン、PITエマルジョン、ペースト、軟膏、ゲル、クリーム、ローション、粉末、石鹸、界面活性剤含有洗浄用調製物、オイル、エアロゾルおよびスプレーである。
【0198】
他の施用形態の例はスティック、シャンプーおよびシャワー組成物である。所望の通常の任意の賦形剤、補助剤、望むなら他の活性成分を組成物に加えることができる。
【0199】
好ましい補助剤は、保存剤、抗酸化剤、安定剤、可溶化剤、ビタミン、着色剤、芳香改良剤の群に由来するものである。
【0200】
軟膏、ペースト、クリームおよびゲルは、通常の賦形剤、例えば動物性油脂および植物性油脂、ワックス、パラフィン、でんぷん、トラガカント、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコーン、ベントナイト、シリカ、タルクおよび酸化亜鉛、またはこれらの物質の混合物を含むことができる。
【0201】
粉末剤および噴霧剤は、通常の賦形剤、例えばラクトース、タルク、シリカ、水酸化アルミニウム、ケイ酸カルシウムおよびポリアミド粉末、またはこれらの物質の混合物を含むことができる。噴霧剤はさらに通常の噴射剤、例えばクロロフルオロカーボン、プロパン/ブタンまたはジメチルエーテルを含むことができる。
【0202】
液剤およびエマルジョンは、溶媒、可溶化剤および乳化剤などの通常の賦形剤、例えば水、エタノール、イソプロパノール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3−ブチルグリコール、オイル、特に綿実油、ピーナッツ油、小麦胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油およびゴマ油、グリセロール脂肪酸エステル、ポリエチレングリコールならびにソルビタンの脂肪酸エステルあるいはこれらの物質の混合物を含むことができる。
【0203】
懸濁剤は、液体希釈剤などの通常の賦形剤、例えば水、エタノールまたはプロピレングリコール、懸濁剤、例えばエトキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトールエステルおよびポリオキシエチレンソルビタンエステル、微晶質セルロース、アルミニウムメタヒドロキシド、ベントナイト、寒天ならびにトラガカント、またはこれらの物質の混合物を含むことができる。
【0204】
石鹸は、脂肪酸のアルカリ金属塩、脂肪酸モノエステルの塩、脂肪酸タンパク質加水分解物、イソチオネート、ラノリン、脂肪族アルコール、植物油、植物抽出物、グリセロール、糖またはこれらの物質の混合物などの通常の賦形剤を含むことができる。
【0205】
界面活性剤含有洗浄用製品は通常の賦形剤、例えば脂肪族アルコール硫酸塩の塩、脂肪族アルコールエーテル硫酸塩、スルホコハク酸モノエステル、脂肪酸タンパク質加水分解物、イソチオネート、イミダゾリニウム誘導体、メチルタウレート、サルコシネート、脂肪酸アミドエーテル硫酸塩、アルキルアミドベタイン、脂肪族アルコール、脂肪酸グリセリド、脂肪酸ジエタノールアミド、植物油および合成油、ラノリン誘導体、エトキシル化グリセロール脂肪酸エステル、またはこれらの物質の混合物を含むことができる。
【0206】
フェイスオイルおよびボディオイルは、通常の賦形剤、例えば脂肪酸エステル、脂肪族アルコール、シリコーンオイルなどの合成油、植物油およびオイル状植物抽出物、パラフィンオイル、ラノリンオイルなどの天然油、あるいはこれらの物質の混合物を含むことができる。
【0207】
他の一般的な化粧品施用形態には口紅、リップケアスティック、マスカラ、アイライナー、アイシャドウ、ルージュ、パウダーメイクアップ、エマルジョンメイクアップおよびワックスメイクアップならびに日焼け止め剤、日焼け前および日焼け後調製物もある。
【0208】
本発明による好ましい組成物形態は特にエマルジョンである。
【0209】
本発明によればエマルジョンが有利であり、これには、例えば、前記油脂、オイル、ワックスおよび他の油脂物質、ならびに水およびこの種の組成物に通常使用される乳化剤を含む。
【0210】
脂質相は以下の群の物質から有利に選択することができる:
− 鉱油、鉱物性ワックス;
− カプリン酸またはカプリル酸のトリグリセリドなどのオイル、さらには例えばヒマシ油などの天然オイル;
− 油脂、ワックスおよび他の天然および合成油脂物質、好ましくは脂肪酸と、低炭素数を有するアルコール、例えばイソプロパノール、プロピレングリコールまたはグリセロールとのエステル、あるいは、脂肪族アルコールと低炭素数を有するアルカン酸、または脂肪酸のエステル;
− ジメチルポリシロキサン、ジエチルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサンおよびこれらの混合物などのシリコーンオイル。
【0211】
本発明のために、エマルジョン、オレオゲルあるいはハイドロディスパージョンまたはリポディスパージョンの油相は、3〜30個のC原子の鎖長を有する飽和および/または不飽和の、分岐および/または非分岐アルカンカルボン酸と、3〜30個のC原子の鎖長を有する飽和および/または不飽和の、分岐および/または非分岐アルコールのエステルの群、あるいは芳香族カルボン酸と3〜30個のC原子の鎖長を有する飽和および/または不飽和の、分岐および/または非分岐アルコールのエステルの群から有利に選択される。この種のエステルオイルは、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸イソプロピル、オレイン酸イソプロピル、ステアリン酸n−ブチル、ラウリン酸n−ヘキシル、オレイン酸n−デシル、ステアリン酸イソオクチル、ステアリン酸イソノニル、イソノナン酸イソノニル、パルミチン酸2−エチルヘキシル、ラウリン酸2−エチルヘキシル、ステアリン酸2−ヘキシルデシル、パルミチン酸2−オクチルドデシル、オレイン酸オレイル、エルカ酸オレイル、オレイン酸エルシル、エルカ酸エルシルならびにこの種のエステルの合成、半合成および天然混合物、例えばホホバ油の群から有利に選択することができる。
【0212】
油相はさらに、分岐および非分岐炭化水素、ならびにワックス、シリコーンオイル、ジアルキルエーテルの群、飽和または不飽和の、分岐または非分岐アルコールならびに脂肪酸トリグリセリド、特に8〜24個、特に12〜18個のC原子の鎖長を有する飽和および/または不飽和の、分岐および/または非分岐アルカンカルボン酸のトリグリセロールエステルの群から有利に選択することができる。脂肪酸トリグリセリドは、例えば、合成、半合成および天然オイル、例えばオリーブ油、ひまわり油、大豆油、ピーナッツ油、菜種油、アーモンド油、ヤシ油、ココナッツ油、パーム核油等の群から有利に選択することができる。
【0213】
この種のオイル成分とワックス成分の任意の所望の混合物も、本発明のために有利に使用することができる。油相の唯一の脂質成分としてワックス、例えばパルミチン酸セチルも有利に使用することができる。
【0214】
油相は2−エチルヘキシルイソステアレート、オクチルドデカノール、イソトリデシルイソノナノエート、イソエイコサン、2−エチルヘキシルココエート、C1215−アルキルベンゾエート、カプリル/カプリン酸トリグリセリドおよびジカプリルエーテルの群から有利に選択することができる。
【0215】
特に有利なものは、C1215−アルキルベンゾエートと2−エチルヘキシルイソステアレートの混合物、C1215−アルキルベンゾエートとイソトリデシルイソノナノエートの混合物、ならびにC1215−アルキルベンゾエートと、2−エチルヘキシルイソステアレートとイソトリデシルイソノナノエートの混合物である。
【0216】
炭化水素では、パラフィンオイル、スクアランおよびスクアレンが本発明のために有利に使用することができる。
【0217】
さらに、油相はある含量の環状または直鎖のシリコーンオイルを含有するか、またはすべてこのタイプのオイルからなることも好ましいが、1種または複数のシリコーンオイルに加えて他の油相成分を追加的に含有して使用することが好ましい。
【0218】
本発明で使用するシリコーンオイルはシクロメチコン(オクタメチルシクロテトラシロキサン)が有利である。しかし、他のシリコーンオイル、例えばヘキサメチルシクロトリシロキサン、ポリジメチルシロキサンまたはポリ(メチルフェニルシロキサン)を使用することも本発明のために有利である。
【0219】
シクロメチコンとイソトリデシルイソノナノエートの混合物、シクロメチコンと2−エチルヘキシルイソステアレートの混合物も特に有利である。
【0220】
本発明による組成物の水相は任意選択で、有利には、低い炭素数を有するアルコール、ジオールまたはポリオール、およびそのエーテル、好ましくはエタノール、イソプロパノール、プロピレングリコール、グリセロール、エチレングリコール、エチレングリコールモノエチルもしくはモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチル、モノエチルもしくはモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルもしくはモノエチルエーテルおよび類似物、さらには低い炭素数を有するアルコール、例えばエタノール、イソプロパノール、1,2−プロパンジオール、グリセロールを含み、また1種または複数の増粘剤を含み、それらは、特に二酸化ケイ素、ケイ酸アルミニウム、多糖類およびその誘導体、例えばヒアルロン酸、キサンタンガム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、特に有利にはポリアクリレート、好ましくは、いわゆるCarbopol、例えばCarbopolグレードの980、981、1382、2984または5984から、それぞれの場合個別にもしくは組み合わせて選択されるポリアクリレートの群から選択することができる。
【0221】
特に、上記溶媒の混合物を使用する。アルコール系溶媒の場合、水をさらなる構成要素とすることができる。
【0222】
本発明によるエマルジョンは、前記油脂、オイル、ワックスおよび他の油脂物質、ならびに水およびこの種の製剤に通常使用される乳化剤を有利に含む。
【0223】
好ましい実施形態では、本発明による組成物は親水性界面活性剤を含む。
【0224】
親水性界面活性剤はアルキルグルコシド、乳酸アシル、ベタインおよびココナッツアンホアセテート(coconut amphoacetates)の群から選択されることが好ましい。
【0225】
アルキルグルコシドはそれ自体は構造
【0226】
【化32】

【0227】
(式中、Rは4〜24個の炭素原子を有する分岐または非分岐アルキル基を表し、
【0228】
【数1】

【0229】
は最大で2までの平均グルコシル化度を表す)で示されるアルキルグルコシドの群から選択される。
【0230】

【0231】
【数2】

【0232】
は本発明で使用するアルキルグルコシドのグルコシル化度を表しており、
【0233】
【数3】

【0234】
(式中、p1、p2、p3…piはモノ−、ジ−、トリ−、…i−倍にグルコシル化された生成物の重量%を割合で表す)と定義される。1〜2、特に有利には1.1〜1.5、非常に有利には1.2〜1.4、特に1.3のグルコシル化度を有する生成物を選択することが本発明に有利である。
【0235】
値DPは、その調製の結果として、アルキルグルコシドが一般にモノ−およびオリゴグルコシドの混合物の形態である事実を踏まえたものである。本発明には、一般に40〜70重量%程度の比較的高いモノグルコシド含有量が有利である。
【0236】
本発明での使用に特に有利なアルキルグリコシドは、オクチルグルコピラノシド、ノニルグルコピラノシド、デシルグルコピラノシド、ウンデシルグルコピラノシド、ドデシルグルコピラノシド、テトラデシルグルコピラノシドおよびヘキサデシルグルコピラノシドの群から選択される。
【0237】
本発明で使用する有効含量の活性成分で識別される、天然または合成の原料および補助剤あるいは混合物、例えばPlantaren(登録商標)1200(Henkel KGaA)、Oramix(登録商標)NS 10(Seppic)を使用することも同様に有利である。
【0238】
乳酸アシルはそれ自体、構造
【0239】
【化33】

【0240】
(式中、
1は1〜30個の炭素原子を有する分岐または非分岐アルキル基を表し、
M+は
アルカリ金属イオンの群および1個もしくは複数のアルキル基および/または1個もしくは複数のヒドロキシアルキル基で置換されたアンモニウムイオンの群から選択されるか、あるいはアルカリ土類金属イオンの1/2当量に相当する)で表される物質の群から有利に選択される。
【0241】
例えば、ナトリウムイソステアリルラクチレート、例えばAmerican Ingredients Companyの製品Pathionic(登録商標)ISLが有利である。
【0242】
ベタインは下記構造で表される物質の群から有利に選択される。
【0243】
【化34】

【0244】
(式中、
2は1〜30個の炭素原子を有する分岐または非分岐アルキル基を表す)
2は6〜12個の炭素原子を有する分岐または非分岐アルキル基を表すことが特に有利である。
【0245】
例えば、カプラミドプロピルベタイン、例えばTh.Goldschmidt AGの製品Tego(登録商標)Βetain810が有利である。
【0246】
本発明で有利なココナッツアンホアセテートは、例えば、Miranol Chemical Corp.からMiranol(登録商標)Ultra C32の名称で市販されているナトリウムココナッツアンホアセテートである。
【0247】
本発明による組成物は、親水性界面活性剤が、それぞれの場合組成物の全重量に対して、0.01〜20重量%、好ましくは0.05〜10重量%、特に好ましくは0.1〜5重量%の濃度で存在することを特徴とすることが有利である。
【0248】
使用するためには、本発明による化粧品および皮膚科学的組成物は、通常の形で化粧品に十分な量で皮膚および/または毛髪に施用する。
【0249】
本発明による化粧品および皮膚科学的組成物は様々な形態で存在してよい。したがって、これらは、例えば、溶液、水の存在しない組成物、油中水(W/O)型もしくは水中油(O/W)型のエマルジョンまたはマイクロエマルジョン、例えば水中油中水(W/O/W)型の多重エマルジョン、ゲル、固形スティック、軟膏あるいはエアロゾルの形態でよい。エクトインを、カプセル化した形態、例えばコラーゲンマトリックスおよび他の通常のカプセル化材料中、例えばセルロースカプセルとして、ゼラチン、ワックスマトリックス中またはリポソームでカプセル化した形で投与することも有利である。特に、ドイツ特許第DE−A4308282号に記載のようにワックスマトリックスが好ましいことが分かっている。エマルジョンが好ましい。O/W型エマルジョンが特に好ましい。エマルジョン、W/O型エマルジョンおよびO/W型エマルジョンは通常の方法で得ることができる。
【0250】
使用できる乳化剤は例えば既知のW/O型およびO/W型の乳化剤である。本発明による好ましいO/W型エマルジョンでは通常の他の共乳化剤を使用することが有利である。
【0251】
発明において有利な共乳化剤は、O/W型乳化剤が飽和基RおよびR'を有している限り、基本的には、例えば11〜16のHLB値を有する物質、特に有利には14.5〜15.5のHLB値を有する物質の群からのO/W型乳化剤である。O/W型乳化剤が不飽和基Rおよび/またはR’を有するか、あるいは、イソアルキル誘導体である場合、そうした乳化剤の好ましいHLB値はより低いかまたはより高くてもよい。
【0252】
脂肪アルコールエトキシレートはエトキシル化ステアリルアルコール、セチルアルコール、セチルステアリルアルコール(セテアリルアルコール)から選択することが有利である。特に好ましいのは以下のものである:ポリエチレングリコール(13)ステアリルエーテル(ステアレス−13)、ポリエチレングリコール(14)ステアリルエーテル(ステアレス−14)、ポリエチレングリコール(15)ステアリルエーテル(ステアレス−15)、ポリエチレングリコール(16)ステアリルエーテル(ステアレス−16)、ポリエチレングリコール(17)ステアリルエーテル(ステアレス−17)、ポリエチレングリコール(18)ステアリルエーテル(ステアレス−18)、ポリエチレングリコール(19)ステアリルエーテル(ステアレス−19)、ポリエチレングリコール(20)ステアリルエーテル(ステアレス−20)、ポリエチレングリコール(12)イソステアリルエーテル(イソステアレス−12)、ポリエチレングリコール(13)イソステアリルエーテル(イソステアレス−13)、ポリエチレングリコール(14)イソステアリルエーテル(イソステアレス−14)、ポリエチレングリコール(15)イソステアリルエーテル(イソステアレス−15)、ポリエチレングリコール(16)イソステアリルエーテル(イソステアレス−16)、ポリエチレングリコール(17)イソステアリルエーテル(イソステアレス−17)、ポリエチレングリコール(18)イソステアリルエーテル(イソステアレス−18)、ポリエチレングリコール(19)イソステアリルエーテル(イソステアレス−19)、ポリエチレングリコール(20)イソステアリルエーテル(イソステアレス−20)、ポリエチレングリコール(13)セチルエーテル(セテス−13)、ポリエチレングリコール(14)セチルエーテル(セテス−14)、ポリエチレングリコール(15)セチルエーテル(セテス−15)、ポリエチレングリコール(16)セチルエーテル(セテス−16)、ポリエチレングリコール(17)セチルエーテル(セテス−17)、ポリエチレングリコール(18)セチルエーテル(セテス−18)、ポリエチレングリコール(19)セチルエーテル(セテス−19)、ポリエチレングリコール(20)セチルエーテル(セテス−20)、ポリエチレングリコール(13)イソセチルエーテル(イソセテス13)、ポリエチレングリコール(14)イソセチルエーテル(イソセテス−14)、ポリエチレングリコール(15)イソセチルエーテル(イソセテス−15)、ポリエチレングリコール(16)イソセチルエーテル(イソセテス−16)、ポリエチレングリコール(17)イソセチルエーテル(イソセテス−17)、ポリエチレングリコール(18)イソセチルエーテル(イソセテス−18)、ポリエチレングリコール(19)イソセチルエーテル(イソセテス−19)、ポリエチレングリコール(20)イソセチルエーテル(イソセテス−20)、ポリエチレングリコール(12)オレイルエーテル(オレス−12)、ポリエチレングリコール(13)オレイルエーテル(オレス−13)、ポリエチレングリコール(14)オレイルエーテル(オレス−14)、ポリエチレングリコール(15)オレイルエーテル(オレス−15)、ポリエチレングリコール(12)ラウリルエーテル(ラウレス−12)、ポリエチレングリコール(12)イソラウリルエーテル(イソラウレス−12)、ポリエチレングリコール(13)セチルステアリルエーテル(セテアレス−13)、ポリエチレングリコール(14)セチルステアリルエーテル(セテアレス−14)、ポリエチレングリコール(15)セチルステアリルエーテル(セテアレス−15)、ポリエチレングリコール(16)セチルステアリルエーテル(セテアレス−16)、ポリエチレングリコール(17)セチルステアリルエーテル(セテアレス−17)、ポリエチレングリコール(18)セチルステアリルエーテル(セテアレス−18)、ポリエチレングリコール(19)セチルステアリルエーテル(セテアレス−19)、ポリエチレングリコール(20)セチルステアリルエーテル(セテアレス−20)。
【0253】
以下の群の脂肪酸エトキシレートから選択することがさらに有利である:
ポリエチレングリコール(20)ステアレート、ポリエチレングリコール(21)ステアレート、ポリエチレングリコール(22)ステアレート、ポリエチレングリコール(23)ステアレート、ポリエチレングリコール(24)ステアレート、ポリエチレングリコール(25)ステアレート、ポリエチレングリコール(12)イソステアレート、ポリエチレングリコール(13)イソステアレート、ポリエチレングリコール(14)イソステアレート、ポリエチレングリコール(15)イソステアレート、ポリエチレングリコール(16)イソステアレート、ポリエチレングリコール(17)イソステアレート、ポリエチレングリコール(18)イソステアレート、ポリエチレングリコール(19)イソステアレート、ポリエチレングリコール(20)イソステアレート、ポリエチレングリコール(21)イソステアレート、ポリエチレングリコール(22)イソステアレート、ポリエチレングリコール(23)イソステアレート、ポリエチレングリコール(24)イソステアレート、ポリエチレングリコール(25)イソステアレート、ポリエチレングリコール(12)オレエート、ポリエチレングリコール(13)オレエート、ポリエチレングリコール(14)オレエート、ポリエチレングリコール(15)オレエート、ポリエチレングリコール(16)オレエート、ポリエチレングリコール(17)オレエート、ポリエチレングリコール(18)オレエート、ポリエチレングリコール(19)オレエート、ポリエチレングリコール(20)オレエート。
【0254】
使用できるエトキシル化アルキルエーテルカルボン酸またはその塩はナトリウムラウレス−11カルボキシレートが有利である。有利に使用できるアルキルエーテルサルフェートはナトリウムラウレス−14サルフェートである。有利に使用できるエトキシル化コレステロール誘導体はポリエチレングリコール(30)コレステリルエーテルである。ポリエチレングリコール(25)ソヤステロールもうまくいくことが分かっている。有利に使用できるエトキシル化トリグリセリドはポリエチレングリコール(60)月見草グリセリドである。
【0255】
さらに、ポリエチレングリコール(20)グリセリルラウレート、ポリエチレングリコール(21)グリセリルラウレート、ポリエチレングリコール(22)グリセリルラウレート、ポリエチレングリコール(23)グリセリルラウレート、ポリエチレングリコール(6)グリセリルカプレート/カプリネート、ポリエチレングリコール(20)グリセリルオレエート、ポリエチレングリコール(20)グリセリルイソステアレート、ポリエチレングリコール(18)グリセリルオレエート(ココエートの群からのポリエチレングリコールグリセロール脂肪酸エステルを選択することが有利である。
【0256】
ポリエチレングリコール(20)ソルビタンモノラウレート、ポリエチレングリコール(20)ソルビタンモノステアレート、ポリエチレングリコール(20)ソルビタンモノイソステアレート、ポリエチレングリコール(20)ソルビタンモノパルミテート、ポリエチレングリコール(20)ソルビタンモノオレエートの群からのソルビタンエステルを選択することも有利である。
【0257】
任意選択のW/O乳化剤ではあるが、本発明で使用すると有利であるものは以下のものである:すなわち、
8〜30個のC原子を有する脂肪アルコール、8〜24個、特に12〜18個のC原子の鎖長を有する飽和および/または不飽和の、分岐および/または非分岐アルカンカルボン酸のモノグリセロールエステル、8〜24個、特に12〜18個のC原子の鎖長を有する飽和および/または不飽和の、分岐および/または非分岐アルカンカルボン酸のジグリセロールエステル、8〜24個、特に12〜18個のC原子の鎖長を有する飽和および/または不飽和の、分岐および/または非分岐アルコールのモノグリセロールエーテル、8〜24個、特に12〜18個のC原子の鎖長を有する飽和および/または不飽和の、分岐および/または非分岐アルコールのジグリセロールエーテル、8〜24個、特に12〜18個のC原子の鎖長を有する飽和および/または不飽和の、分岐および/または非分岐アルカンカルボン酸のプロピレングリコールエステル、および、8〜24個、特に12〜18個のC原子の鎖長を有する飽和および/または不飽和の、分岐および/または非分岐アルカンカルボン酸のソルビタンエステルである。
【0258】
特に有利なW/O型乳化剤はグリセリルモノステアレート、グリセリルモノイソステアレート、グリセリルモノミリステート、グリセリルモノオレエート、ジグリセリルモノステアレート、ジグリセリルモノイソステアレート、プロピレングリコールモノステアレート、プロピレングリコールモノイソステアレート、プロピレングリコールモノカプリレート、プロピレングリコールモノラウレート、ソルビタンモノイソステアレート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノカプリレート、ソルビタンモノイソオレエート、スクロースジステアレート、セチルアルコール、ステアリルアルコール、アラキジルアルコール、ベヘニルアルコール、イソベヘニルアルコール、セラキルアルコール、キミルアルコール、ポリエチレングリコール(2)ステアリルエーテル(ステアレス−2)、グリセリルモノラウレート、グリセリルモノカプリネート、グリセリルモノカプリレートである。
【0259】
本発明で好ましい組成物は、特に、老化過程、および、酸化的ストレス、すなわち日光の照射、熱または他の影響によって生じる遊離基によって引き起こされる損傷に対してヒトの皮膚を保護するのに適している。この関連では、施用に通常用いられる様々な投与形態がある。例えば、具体的には、クリームまたは乳液(O/W型、W/O型、O/W/O型、W/O/W型)の形態などのローションまたはエマルジョンの形態、オイル状−アルコール系、オイル状−水性または水性アルコール系ゲルもしくは溶液の形態、固形スティックの形態であってよく、エアロゾルとして調製してもよい。
【0260】
組成物は、この種の組成物で通常使用される化粧品補助剤、例えば増粘剤、柔軟剤、保湿剤、表面活性化剤、乳化剤、保存剤、消泡剤、芳香剤、ワックス、ラノリン、噴射剤、組成物自体もしくは皮膚を着色する染料および/または顔料、ならびに化粧品で通常使用される他の成分を含むことができる。
【0261】
使用される分散剤または可溶化剤は、オイル、ワックスまたは他の油脂物質、低級モノアルコールもしくは低級ポリオールまたはその混合物であってよい。特に好ましいモノアルコールまたはポリオールには、エタノール、イソプロパノール、プロピレングリコール、グリセロールおよびソルビトールが含まれる。
【0262】
本発明の好ましい実施形態は、式Iまたは式IIの化合物とは別に、水の存在下で、例えば、脂肪アルコール、脂肪酸、脂肪酸エステル、特に脂肪酸のトリグリセリド、ラノリン、天然油および合成油またはワックスおよび乳化剤を含む保護用のクリームまたは乳液の形態のエマルジョンである。
【0263】
他の好ましい実施形態は、天然油もしくは合成油およびワックス、ラノリン、脂肪酸エステル、特に脂肪酸のトリグリセリドをベースとしたオイル状ローション、あるいは、エタノールなどの低級アルコール、またはプロピレングリコールなどのグリセロールおよび/またはグリセロールなどのポリオール、ならびにオイル、ワックスおよび脂肪酸のトリグリセリドなどの脂肪酸エステルをベースとしたオイル状−アルコール系ローションである。
【0264】
本発明による組成物は、エタノール、プロピレングリコールもしくはグリセロールなどの1種または複数の低級アルコールまたはポリオールアルコール系ゲル、および珪質土などの増粘剤を含む形態であってもよい。オイル状−アルコール系ゲルは天然油もしくは合成油またはワックスを含んでもよい。
【0265】
固形スティックは、天然もしくは合成ワックスおよびオイル、脂肪アルコール、脂肪酸、脂肪酸エステル、ラノリンならびに他の油脂物質からなる。
【0266】
組成物をエアロゾルとして調製する場合、アルカン、フルオロアルカンおよびクロロフルオロアルカンなどの通常の噴射剤を一般に使用する。
【0267】
化粧品組成物は、色変化、脱色または機械的性質の損傷を予防すべく、光化学的損傷に対して毛髪を保護するために用いることもできる。この場合、適切な調製物は洗い流しタイプのシャンプー、ローション、ゲルまたはエマルジョンの形態であり、当該の組成物を、シャンプーの前か後、着色または脱色の前か後、あるいはパーマネントウェーブの前か後に施用する。毛髪をスタイリングし、トリートメントするためのローションまたはゲルの形態、ブラッシングまたはブローウェイビング用のローションまたはゲルの形態、ヘアーラッカー、パーマネントウェーブ組成物、着色剤または漂白剤の毛髪用の形態の組成物を選択することも可能である。光保護特性を有する組成物は、式Iまたは式IIの化合物の他に、この種の組成物で使用される補助剤、例えば、表面活性化剤、増粘剤、ポリマー、柔軟剤、保存剤、泡安定剤、電解質、有機溶媒、シリコーン誘導体、オイル、ワックス、アンチグリース剤、組成物自体または毛髪を着色する染料および/または顔料、あるいはヘアーケアに通常使用される他の成分を含むことができる。
【0268】
本発明はさらに、上記の基を有する式Iまたは式IIの化合物の少なくとも1つを、化粧品として、皮膚科学的にまたは食品として適切な賦形剤と混合することを特徴とする組成物の調製方法に関し、かつ組成物調製のための式Iまたは式IIの化合物の使用に関する。
【0269】
本発明による組成物は、当業者に周知の技術を用いて調製することができる。
【0270】
混合によって、式Iまたは式IIの化合物の賦形剤中への溶解、乳化または分散がもたらされる。
【0271】
式Iまたは式IIの化合物が組成物に対して安定化効果を有することができることも確認された。したがって、対応する製品に使用した場合、後者(組成物)も長時間安定を保ち、その外観が変化しない。具体的には、長時間施用するか、または長時間保存した場合でも、成分、例えばビタミンの有効性は保持される。これは、これらの化粧品はUV照射によって特に強いストレスに曝されるので、とりわけ、UV光線の影響に対して皮膚を保護するための組成物の場合に特に有利である。
【0272】
式Iまたは式IIの化合物のプラスの効果によって、化粧品または薬剤組成物での使用に特に適したものとなる。
【0273】
式Iまたは式IIの化合物の特性は同様に、食品、食品補助剤または機能食品としての使用にも好ましいと見なすべきである。食品に対するさらなる説明は、同様に、食品補助剤および機能食品にも当てはまるものである。
【0274】
1つまたは複数の本発明による式Iまたは式IIの化合物で質を高める(enrich)ことができる食品には、動物による消費またはヒトによる消費に適したすべての材料、例えば、ビタミンおよびそのプロビタミン、油脂、ミネラルまたはアミノ酸が含まれる(食品は固体でもまた液体、すなわち飲物の形態でもよい)。
【0275】
したがって、本発明はさらに、ヒトまたは動物の栄養物のための食品添加剤としての式Iまたは式IIの化合物の使用に関し、食品または食品補助剤であり、かつ対応する賦形剤を含む組成物に関する。
【0276】
1つまたは複数の本発明による式Iまたは式IIの化合物で質を高めることができる食品は、例えば、また単一の天然に由来する食品、例えば、糖、単一の植物種の甘味付けされていないジュース、スカッシュまたはピューレ、例えば、甘味付けされていないリンゴジュース(例えば異なる種類のリンゴジュースの混合物も)、グレープフルーツジュース、オレンジジュース、リンゴの甘煮、アプリコットスカッシュ、トマトジュース、トマトソース、トマトピューレ等でもある。1つまたは複数の本発明による式Iまたは式IIの化合物で質を高めることができる食品の他の例は、単一の植物種からのとうもろこしまたは穀類、およびこの種の植物種から得られる材料、例えばシリアルシロップ、ライ麦粉、小麦粉またはオート麦のふすまである。この種の食品の混合物も1つまたは複数の本発明による式Iまたは式IIの化合物で質を高めるのに適している。例えばマルチビタミン調製物、ミネラル混合物または甘味付けしたジュースである。1つまたは複数の本発明による式Iまたは式IIの化合物で質を高めることができる食品の別の例では、食品組成物、例えば、調製シリアル、ビスケット、混合飲料物、ヨーグルトなどの子供用に特別に調製された食品、ダイエット食品、低カロリー食品または動物の飼料を挙げることができる。
【0277】
したがって、1つまたは複数の本発明による式Iまたは式IIの化合物で質を高めることができる食品には、炭水化物、脂質、タンパク質、無機元素、微量元素、ビタミン、水または植物および動物の活性代謝産物の食用に適するすべての組合せが含まれる。
【0278】
1つまたは複数の本発明による式Iまたは式IIの化合物で質を高めることができる食品は、例えば、ミール、丸剤、錠剤、カプセル、粉末、シロップ、溶液または懸濁液の形態で経口投与することが好ましい。
【0279】
1つまたは複数の式Iまたは式IIの化合物で質を高められた本発明による食品は、当業者に周知の技術を用いて調製することができる。
【0280】
その作用のため、式Iまたは式IIの化合物は医薬品成分としても適しており、式Iまたは式IIの化合物は、例えば、皮膚の炎症およびアレルギーを予防的処置し、ある場合は、ある種の癌を予防するために使用できる。式Iまたは式IIの化合物は、特に皮膚の炎症、アレルギーおよび過敏症の治療用の医薬品の調製に特に適している。さらに、静脈緊張剤(vein tonic)、クープローズ(cuperose)阻害剤、化学的、物理的または光線性紅斑阻害剤、敏感な皮膚の治療用薬剤、充血除去剤、乾燥剤、やせ薬、しわ取り剤、細胞外マトリックス成分の合成のための刺激剤、皮膚弾力性改善のための強化剤、および老化予防剤として作用する医薬品を調製することが可能である。さらに、この関連で好ましい式Iまたは式IIの化合物は、抗アレルギー性、抗炎症性および抗過敏症性の作用を示す。したがって、これらは炎症またはアレルギー反応の治療用の医薬品の調製に適している。
【0281】
好ましい炎症阻害性組成物は、少なくとも1種の追加の炎症阻害性活性成分を含むことができる。それは、グルココルチコイドまたはタクロリマスから選択されることが好ましい。
【0282】
タクロリマスは菌ストレプトマイセスツクカエンシス(Streptomyces tsukukaensis)から単離され、免疫抑制作用を示す。
【0283】
適切なグルココルチコイドは、例えば、プレドニゾン、クロプレドノール、トリアムシノロン、メチルプレドニゾロン、デキサメタゾン、ベタメタゾン、デゾキシメタゾン、酪酸クロベタゾン、ハルシノニド、ピロピオン酸クロベタゾール、プレドニゾロン、酪酸ヒドロコルチゾン、ジピロピオン酸ベタメタゾン、フルオシノロンアセトニド、フルオシノロンアセトニド、吉草酸ベタメタゾン、ヒドロコルチゾン(コルチゾール)、酢酸コルチゾン、プレドニカルベートジフルコルトロンバレレート、トリアムシノロンアセトニド、フルオシノロンアセトニド、フルオコルトロンおよびフルオコルトロン21−ヘキサノエートである。
【0284】
少なくとも1つの式Iの錯体化合物または少なくとも1つの式IIの化合物および少なくとも1種のシクロデキストリンと、上記した炎症阻害性活性成分の少なくとも1つとの活性成分の組合せを含むこのタイプの組成物は特に強い炎症阻害作用を示す。
【0285】
具体的には、本発明による式Iの錯体化合物および組成物は、特に乳痂、神経皮膚炎、痒疹および増殖性皮膚炎などのアトピー性湿疹の治療に特に有利に使用することができることが分かった。
【0286】
これらが、
− 急性の症状を著しく低減することができ、
− 急性の症状の発生の頻度を低減することができ、
− 一般に皮膚の状況の改善に寄与する
ことが分かった。
【0287】
式Iの1つまたは複数の化合物を含む組成物は、酸化的ストレス、すなわち例えば日光、熱または他の影響によって生じる遊離基による損傷に対するヒトの皮膚の保護、または体細胞の保護にも適している。
【0288】
式Iの1つまたは複数の化合物を含む組成物は特に皮膚老化を抑えるのに適している。
【0289】
したがって、本発明は、酸化的ストレスに対する保護のための活性成分としての式Iの1つまたは複数の化合の使用にも関する。本発明はさらに、皮膚の老化を予防するための式Iの1つまたは複数の化合物の使用に関する。
【0290】
式Iの化合物は、抗アレルギー性、抗炎症性、炎症阻害性および抗過敏症性の特性を有しており、したがって特に、皮膚のアレルギー、炎症および過敏症の治療または予防的治療のために使用することができる。したがって、本発明はさらに、抗アレルギー性、抗炎症性、炎症阻害性および抗過敏症性の作用を有する活性成分としての、式Iの1つまたは複数の化合物の使用に関する。
【0291】
式Iの化合物または式Iの化合物の少なくとも1つを含む組成物の本発明において好ましい使用は、ヒトの皮膚またはヒトの毛髪の時間および/または光誘発の老化過程を予防し、特に、乾燥肌、しわおよび/または色素異常を予防し、かつ/または皮膚に対するUV光線の損傷作用を低減するかまたは予防し、かつ、しわ、細かい線、きめの粗い肌または大きな孔のある皮膚などの皮膚の不均一さを予防するかまたは皮膚の不均一さを低減するための使用である。
【0292】
本発明で使用する化合物が遊離ヒドロキシル基を有する場合、上述した特性に加えて、これらはさらに抗酸化剤および/または遊離基スカベンジャーとしての作用を示す。したがって、基R1〜R3の少なくとも1つがOHを表し、好ましくは基R1およびR2の少なくとも1つがOHを表すことを特徴とする式Iの少なくとも1つの化合物を含む光保護特性を有する組成物も好ましい。
【0293】
式Iの化合物は皮膚に対する遊離基スカベンジャーとしての積極的な作用を特によくもたらすことができるので、式Iの化合物が皮膚層の中へより深く浸透するようにさせることが好ましい。このためにはいくつかの可能性があり得る。第1に、外側の皮膚層を通って表皮層中へ浸透することができるように式Iの化合物に、十分な脂肪親和性を持たせることができる。他の可能性として、外側の皮膚層を通して式Iの化合物を輸送することができる対応する輸送剤、例えばリポソームも組成物中に備えることができる。最後に、式Iの化合物の全身への輸送も考えられる。すなわち、組成物は例えば、経口投与に適した形で設計される。
【0294】
一般に、式Iの物質は遊離基スカベンジャーとして作用する。この種の遊離基は光線によってだけではなく、様々な条件下で生成する。シトクロムオキシダーゼの上流への電子の流れを阻止し、スーパーオキシド遊離基アニオンの生成を引き起こす酸素欠乏症の例は、とりわけ、白血球の膜NADPHオキシダーによるスーパーオキシドアニオンの生成に関連し、かつ、通常食作用現象を伴うヒドロキシル遊離基および他の反応種の生成(鉄(II)イオンの存在下での不均化によって)にも関連する炎症、および、一般にヒドロキシル遊離基によって開始され、脂質系アルコキシ遊離基およびヒドロペルオキシドを生成する脂質の自動酸化である。
【0295】
好ましい式Iの化合物は酵素阻害剤としても作用すると考えられる。これらは、ヒスチジンデカルボキシラーゼ、タンパク質キナーゼ、エラスターゼ、アルドースレダクターゼおよびヒアルロニダーゼを阻害すると推定され、したがって、血管外筒の基礎物質を無傷に保つことができるようにする。さらにこれらは、非特異的にカテコールO−メチルトランスフェラーゼを阻害し、それによって、利用できるカテコールアミンの量を増加させ、したがって、血管強度を増大させる結果をもたらすと推定される。さらにこれらは、AMPホスホジエステラーゼを阻害し、その結果、この物質が血小板凝集を阻害する可能性をもたらす。
【0296】
これらの特性のため、本発明による組成物は一般に、免疫保護ならびにDNAおよびRNAの保護に適している。特に、この組成物は、酸化的攻撃、遊離基および照射、特にUV照射に起因の損傷に対してDNAおよびRNAを保護するのに適している。本発明による組成物の他の利点は、細胞保護、特に上記影響による損傷に対するランゲルハンス細胞の保護である。これらのすべての使用、および対応して使用できる組成物調製のための式Iの化合物の使用も、明らかに本発明の主題である。
【0297】
具体的には、本発明による好ましい組成物は、分化および細胞増殖に影響を及ぼす角質化での欠陥に関連する皮膚疾患治療のため、特に、尋常性座瘡、座瘡コメドニカ(comedonica)、多型性座瘡、座瘡酒さ(rosaceae)、結節性座瘡、集簇性座瘡(conglobata)、加齢誘発座瘡、副作用として生じる座瘡、例えば座瘡ソラリス(solaris)、医薬品誘発座瘡または職業性座瘡(acne professionalis)などの治療のため、角質化における他の欠陥、特に魚鱗癬、魚鱗癬様状態、ダリエー病、掌蹠角化症、白板症、白板症様状態、皮膚および粘膜(口腔)(苔癬)の疱疹の治療のため、角質化における欠陥に関連し、炎症性および/または免疫アレルギー性成分を有する他の皮膚疾患、特に、皮膚、粘膜および手の指および足指の爪に影響を及ぼすすべての形態の乾癬、乾癬性リウマチおよび皮膚アトピー、例えば湿疹もしくは呼吸器系アトピー、あるいはゴム質(gum)肥大などの治療のためにも適している。さらに、この化合物は、角質化における欠陥に関連しないいくつかの炎症のため、ウイルス由来であってよい真皮または表皮すべての良性または悪性の突出物、例えば尋常性疣贅、扁平疣贅、疣贅状表皮発育異常症、口腔乳頭腫症、乳頭腫症フロリダ(florida)、および、UV照射によって引き起こされることもある突出物、特に基底細胞上皮腫や有棘細胞上皮腫の治療のため、皮膚炎水疱症およびコラーゲンに影響を及ぼす疾患などの他の皮膚疾患の治療のため、ある種の目の疾患、特に角膜疾患の治療のため、老化に伴う光誘発皮膚老化を克服しこれと戦うため、色素沈着および光線性角化(keratosis actinica)を低減させるため、通常の老化または光誘発老化に伴うすべての疾患の治療のため、局所的または全身的に施用されたコルチコステロイドによる表皮および/または真皮の萎縮症ならびに他のすべての種類の皮膚萎縮症の創傷/瘢痕を予防するかまたは治癒させるため、創傷治癒における欠陥の予防または治療のため、妊娠によってもたらされる皮膚線条の予防またはその除去のため、あるいは、創傷治癒の促進のため、座瘡での過剰脂漏または単純脂漏などの皮脂生成における欠陥と戦うため、癌様状態または前癌性状態、特に骨髄性白血病と戦うかまたはそれらを予防するため、関節炎などの炎症性疾患の治療のため、皮膚または身体の他の部分のすべてのウイルス誘発疾患の治療のため、脱毛症の予防または治療のため、皮膚疾患または免疫学的成分を有する身体の他の部分の疾患の治療のため、動脈硬化症または高血圧症などの心臓血管疾患、および非インスリン依存性糖尿病の治療のため、UV照射によって引き起こされる皮膚の不具合の治療のために使用することも可能である。
【0298】
さらに、式Iの化合物の固有の色は非常に薄いものである。固有の色が薄いことは、例えば、美的な理由から製品に成分の固有の色を望まない場合の主な利点である。
【0299】
組成物中の式Iの化合物の割合は、組成物全体に対して好ましくは0.01〜20重量%、特に好ましくは0.05〜10重量%、特別に好ましくは0.1〜5重量%である。組成物中の式Iの化合物の割合は、組成物全体に対して0.1〜2重量%が非常に好ましい。
【0300】
他のコメントがない場合でも、当業者は上記説明を最も広い範囲で用いることができるものと考えられたい。したがって、好ましい実施形態は、いかなる形でもまったく限定するものではない説明的な開示であると見なすべきものである。上記および以下に示すすべての出願と文献の開示内容全体を参照により本明細書に組み込む。以下の実施例は本発明を例示しようとするものである。しかし、これらは限定的なものと見なされるべきではない。組成物で使用できるすべての化合物または成分は、既知のものであるかまたは市販されているか、あるいは既知の方法で合成することができる。使用する原材料のINCI名称は以下の通りである:
実施例
使用した原材料の一覧表
【0301】
【表3−1】

【0302】
【表3−2】

【0303】
【表3−3】

【0304】
実施例A−ティリロサイド/シクロデキストリン錯体の調製
最初に0.9gのヒドロキシプロピルγ−シクロデキストリン(Aldrich;2'−ヒドロキシプロピルシクロオクタアミロース;Cas.No.128446−34−4)を8mlの水に加え、50℃に加温する。0.15gのティリロサイドを室温で8mlのエタノール中に溶解し、最初に加えた溶液中に滴下する。その溶液を50℃で3日間攪拌する。エタノールを溶液から留去する。残留物を減圧下で乾燥させ、得られた黄色の固形物を40℃、200ミリバールで終夜、後乾燥する。収率:1.02g=黄色の結晶性残留物の97.2理論%。
【0305】
特性評価:
− 2D−NMRスペクトルによる錯体生成の証拠
ROESYスペクトルは空間的に近接する原子の相互作用を示している。空間的に近接した原子がROESY 2D−NMRスペクトルにおいてシグナルを与えている。ここで、それを介して錯体生成が起こるティリロサイドの分子的構成要素を明らかにするために、錯体はROESYによって測定した。
【0306】
ROESYスペクトル(溶媒D2O)では、ティリロサイド原子2'''、3'''、6および8(構造図参照)のシクロデキストリン分子との相互作用を帰属させることができるシグナルが発生する。
【0307】
【化35】

【0308】
NMRデータはクマリン酸の芳香族環またはフラボン基礎構造の環B上に空間的に配置されたティリロサイドと2つのシクロデキストリン分子からなる錯体が形成されているという解釈に適合する。
【0309】
− 固形分中のティリロサイドの含量(HPLCによる判断)
8.0mgのティリロサイドを3mlのメタノールと1mlのTHF中に溶解し、容量フラスコ中で、溶離液(アクリロニトリル/H2O 2/8)で10.0mlにする(12783970のピーク面積)。
【0310】
11.5mgの錯体を3mlのメタノールと1mlのテトラヒドロフラン中に溶解し、容量フラスコ中で、溶離液(アクリロニトリル/H2O 2/8)で10.0mlにする。(ティリロサイドのピーク面積2503977)。
【0311】
計算:8.0mgのティリロサイドは12783970の面積である
11.5mgのティリロサイドは18376957の面積となる
2503977の面積が認められる。
【0312】
結果として:錯体は13.6重量%のティリロサイドからなる。錯体中では13.6:86.4のティリロサイド:シクロデキストリン重量比である。これは1:2(ティリロサイド(シクロデキストリン)2錯体=14.4:85.6の理論的重量比)のモル比に相当する。
【0313】
錯体化合物は[ティリロサイド][ヒドロキシプロピルγ−シクロデキストリン]2錯体である。
【0314】
ティリロサイド/シクロデキストリン錯体の溶解度:
0.5gの錯体を飽和に達しない形で1mlの水に溶解させる。これは純ティリロサイドベースで、少なくとも72mg/mlの溶解度に相当する。
【0315】
以下の実施例の製剤1〜5では、それぞれの場合、ティリロサイドは、実施例Aによるティリロサイド/ヒドロキシプロピルγ−シクロデキストリン錯体として用いる。
【0316】
実施例1
皮膚に塗布するためのローション(W/O型)
重量%
A ポリグリセリル2−ジポリヒドロキシステアレート 5.0
蜜ろう 0.5
ステアリン酸亜鉛 0.5
ヘキシルラウレート 9.0
イソノナン酸セチル 6.0
シアバター 0.5
DL−α−トコフェロールアセテート 1.0
ティリロサイド 0.5
B グリセロール 5.0
硫酸マグネシウム七水和物 1.0
保存剤 十分量
脱塩水 100までの十分量。
【0317】
調製
相Aを75℃に加温し、相Bを80℃に加温する。攪拌しながら相Bを相Aに加える。均質化後、攪拌しながら混合物を冷却する。40℃の温度で芳香剤を加える
保存剤として以下のものを用いる:
0.05%のプロピル4−ヒドロキシ安息香酸
0.15%のメチル4−ヒドロキシ安息香酸。
【0318】
実施例2
皮膚に塗布するためのローション(W/O型)
重量%
A ポリグリセリル2−ジポリヒドロキシステアレート 5.0
蜜ろう 0.5
ステアリン酸亜鉛 0.5
ヘキシルラウレート 9.0
イソノナン酸セチル 6.0
シアバター 0.5
DL−α−トコフェロールアセテート 1.0
B 硫酸化ティリロサイド、ナトリウム塩(実施例A) 1.0
グリセロール 5.0
硫酸マグネシウム七水和物 1.0
保存剤 十分量
脱塩水 100までの十分量。
【0319】
調製
相Aを75℃に加温し、相Bを80℃に加温する。攪拌しながら相Bを相Aに加える。均質化後、攪拌しながら混合物を冷却する。40℃の温度で芳香剤を加える
保存剤として以下のものを用いる:
0.05%の4−ヒドロキシ安息香酸プロピル
0.15%の4−ヒドロキシ安息香酸メチル。
【0320】
実施例3
皮膚に塗布するためのローション(W/O型)
重量%
A 4,6,3',4'−エトラヒドロキシベンジルクマラノン−3
1.0
ポリグリセリル2−ジポリヒドロキシステアレート 5.0
蜜ろう 0.5
ステアリン酸亜鉛 0.5
ヘキシルラウレート 9.0
イソノナン酸セチル 6.0
シアバター 0.5
DL−α−トコフェロールアセテート 1.0
ティリロサイド 1.0
B グリセロール 5.0
硫酸マグネシウム七水和物 1.0
保存剤 十分量
脱塩水 100までの十分量。
【0321】
調製
相Aを75℃に加温し、相Bを80℃に加温する。攪拌しながら相Bを相Aに加える。均質化後、攪拌しながら混合物を冷却する。40℃の温度で芳香剤を加える
保存剤として以下のものを用いる:
0.05%の4−ヒドロキシ安息香酸プロピル
0.15%の4−ヒドロキシ安息香酸メチル。
【0322】
実施例4
エクトインを含むクリーム(O/W型)を以下の成分から調製する:
重量%
A パラフィン、液体 (1) 8.0
ミリスチン酸イソプロピル (1) 4.0
Mirasil CM5 (2) 3.0
ステアリン酸 (1) 3.0
Arlacel165V (3) 5.0
ティリロサイド 1.0
B グリセロール(87%) (1) 3.0
GermabenII (4) 0.5
脱塩水 100までの十分量
C RonaCare(商標)エクトイン (1) 1.0。
【0323】
調製
まず、相Aと相Bを別々に75℃に加温する。次いで、攪拌しながら相Aを相Bに徐々に加え、均一な混合物が形成されるまで攪拌する。エマルジョンを均質化後、攪拌しながら混合物を30℃に冷却する。続いて混合物を35℃に加温し、相Cを加え、混合物を均一になるまで攪拌する
供給元
(1)Merck KGaA
(2)Rhodia
(3)Uniqema
(4)ISP。
【0324】
実施例5
W/O型エマルジョンとしての局所組成物
重量%
A Isolan PDI (2) 3.0
パラフィン油、液体 (1) 17.0
ミリスチン酸イソプロピル 5.0
蜜ろう 0.2
Cutina HR (2) 0.3
ティリロサイド 1.0
B 脱塩水 100までの十分量
グリセロール(87%) 4.0
硫酸マグネシウム 1.0
GermabenII−E (3) 1.0
C RonaCare(商標)LPO (1) 2.0。
【0325】
調製
相Aと相Bを75℃に加温する。攪拌しながら相Bを相Aに加える。続いて、Turraxを用いて混合物を9000rpmで2分間均質化する。得られた混合物を30から35℃に冷却し、相Cを混ぜ込む
供給元
(1)Merck KGaA
(2)Goldschmidt AG
(3)ISP。
【0326】
実施例6:組成物
実施例Aによるティリロサイド/2−ヒドロキシプロピルγ−シクロデキストリン錯体(=ティリロサイド/CD)を含む化粧品組成物の調製物を以下の実施例で示す。さらに、市販の化合物のINCI名を示す。
【0327】
UV−Pearl、OMCはINCI名:水(for EU: Aqua)、エチルヘキシルメトキシシンナメート、シリカ、PVP、Chlorphenesin、BHT;を有する組成物を表す。この組成物はEusolex(登録商標)UVPearl(商標)OMCの商品名でMerck KGaA、Darmstadtから市販されている。
【0328】
各表に示されている他方のUV−Pearlは類似の組成を有している。ただし、OMCが、示されているUVフィルターで置き換えられている。
【0329】
【表4−1】

【0330】
【表4−2】

【0331】
【表4−3】

【0332】
【表5−1】

【0333】
【表5−2】

【0334】
【表5−3】

【0335】
【表6】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iの錯体化合物
【化1】

(式中、
1〜Z4およびZ6〜Z10はそれぞれ互いに独立に、H、OH、CH3COO、アルコキシ、ヒドロキシアルコキシ、モノもしくはオリゴグリコシド基を表し、前記アルコキシおよびヒドロキシアルコキシ基は分岐または非分岐でよく、1〜18個のC原子は有することができ、
【化2】


【化3】

を表し、
5はモノまたはオリゴグリコシド基であり、このグリコシド基に、それぞれの場合−O−基を介して、
【化4】

(式中、
X、X1、X2およびX3はそれぞれ互いに独立に、OH、CH3COO、1〜8個のC原子を有するアルコキシ基またはモノグリコシド基を表し、
nは0、1、2または3であり、
mは0または1であり、
kは0、1、2、3または4であり、
MはH、NaまたはKである)
から選択される少なくとも1つの基が結合しており、
CDはシクロデキストリン分子を表し、
oは数値1を表し、
pは0.5〜3の範囲の数値を表し、
置換基Z1〜Z10中の上記グリコシド基のOH基の1個または複数の水素原子はそれぞれ互いに独立にアセチルまたはC124−アルキル基で置換されていてもよく、硫酸塩またはリン酸塩はそれぞれ互いに独立に、置換基Z1〜Z10中の上記基の1個または複数のヒドロキシル基と結合していてもよい)。
【請求項2】
前記シクロデキストリンCDがα−、β−またはγ−シクロデキストリン、好ましくは1個または複数のヒドロキシル基をC124−アルキル−またはC124−ヒドロキシアルキルで任意選択で置換されたγ−シクロデキストリン、特に好ましくはヒドロキシプロピル−γ−シクロデキストリンであることを特徴とする請求項1に記載の錯体化合物。
【請求項3】
前記フラボノイド部分が式IIAの化合物
【化5】

(式中、
1、R2およびR3はそれぞれ互いに独立にOH、CH3COO、1〜8個のC原子を有するアルコキシ基またはモノグリコシド基を表し、
4はモノまたはジグリコシド基であり、このグリコシド基に、それぞれの場合−O−基を介して、
【化6】

(式中、R5、R6およびR7はそれぞれ互いに独立にHであるか、または基R1〜R3の意味を有している)
から選択される少なくとも1つの基が結合しており、
前記グリコシド基のOH基の1個または複数の水素原子はそれぞれ互いに独立に、アセチルまたはC124−アルキル基で置換されていてよく、硫酸塩またはリン酸塩はそれぞれ互いに独立に、式IIAの化合物の1個または複数のヒドロキシル基に結合していてもよい)
から選択される1種または複数の化合物であることを特徴とする前記請求項の少なくとも一項に記載の錯体化合物。
【請求項4】
前記式IIAの化合物が式IIA1およびIIA2の化合物
【化7】

から選択されることを特徴とする請求項3に記載の錯体化合物。
【請求項5】
前記フラボノイド部分を、植物抽出物または精製した植物抽出物の形態、あるいは植物抽出物から調製された高純度物質の形態で使用し、前記植物抽出物が5〜90重量%の式Iのフラボノイドを含むことを特徴とする前記請求項の少なくとも一項に記載の錯体化合物。
【請求項6】
前記式Iのoが1であり、pが1.75〜2.1の範囲であり、pが好ましくは2であることを特徴とする前記請求項の少なくとも一項に記載の錯体化合物。
【請求項7】
式IIの化合物
【化8】

(式中、
1〜Z4およびZ6〜Z10はそれぞれ互いに独立に、H、OH、CH3COO、アルコキシ、ヒドロキシアルコキシ、モノもしくはオリゴグリコシド基を表し、前記アルコキシおよびヒドロキシアルコキシ基は分岐または非分岐でよく、1〜18個のC原子を有することができ、
【化9】


【化10】

を表し、
5はモノまたはオリゴグリコシド基であり、このグリコシド基に、それぞれの場合−O−基を介して、
【化11】

(式中、X、X1、X2およびX3はそれぞれ互いに独立に、OH、CH3COO、1〜8個のC原子を有するアルコキシ基またはモノグリコシド基を表し、nは0、1、2または3であり、mは0または1であり、kは0、1、2、3または4であり、MはH、NaまたはKである)から選択される少なくとも1つの基が結合しており、置換基Z1〜Z10中の上記グリコシド基のOH基の1個または複数の水素原子はそれぞれ互いに独立にアセチルまたはC124−アルキル基で置換されていてもよく、硫酸塩またはリン酸塩はそれぞれ互いに独立に、置換基Z1〜Z10中の上記基の1個または複数のヒドロキシル基と結合していてもよい)
を、好ましくは高温で、シクロデキストリンCDと溶液中で反応させることを特徴とする請求項1から6項の少なくとも一項に記載の錯体化合物の調製方法。
【請求項8】
前記シクロデキストリンを式IIのフラボノイドに対して過剰であるかまたは正確にモル比2:1で使用することを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
適切な賦形剤を含む組成物であって、
0.005〜99重量%の請求項1に記載の式Iの錯体化合物を含むか、あるいは、前記組成物が、
0.002〜70重量%のシクロデキストリンと、
0.001〜60重量%の請求項7に記載の少なくとも1つの式IIの化合物または局所的に忍容されるその塩および/または誘導体を含むことを特徴とする組成物。
【請求項10】
1種または複数の前記式Iの化合物が前記組成物中に0.01〜20重量%、好ましくは0.05〜10重量%、特に好ましくは0.1〜5重量%の量で存在することを特徴とする請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
前記組成物中のシクロデキストリンの含量が、それぞれの場合組成物の全重量に対して0.01〜20.0重量%、好ましくは0.05〜10.0重量%、特に好ましくは0.1〜5.0重量%であり、前記組成物中の式IIの化合物の含量が、組成物全体に対して0.01〜20重量%、好ましくは0.05〜10重量%、特に好ましくは0.1〜5重量%であり、前記組成物中の式IIの化合物の割合が非常に好ましくは前記組成物全体に対して0.1〜2重量%の範囲であることを特徴とする請求項9に記載の組成物。
【請求項12】
前記組成物が1種または複数の抗酸化剤および/または1種または複数のUVフィルターを含むことを特徴とする前記請求項の少なくとも一項に記載の組成物。
【請求項13】
前記組成物が皮膚ケアおよび/または炎症阻害作用を有する1種または複数の他の活性成分を含み、前記1種または複数の他の活性成分が好ましくはグルココルチコイドまたはタクロリマスであることを特徴とする前記請求項の少なくとも一項に記載の組成物。
【請求項14】
湿疹、特にアトピー性湿疹、例えば特に乳痂、神経皮膚炎、痒疹および増殖性皮膚炎、の予防および/または治療のための式Iの錯体化合物または請求項9から13の少なくとも一項に記載の組成物の使用。
【請求項15】
皮膚または毛髪の一般的状態のケア、保護または改善のための式Iの錯体化合物または請求項9から13の少なくとも一項に記載の組成物の使用。
【請求項16】
ヒトの皮膚またはヒトの毛髪の時間および/または光誘発性老化過程を予防し、特に乾燥皮膚、しわおよび/または色素異常を予防し、かつ/または皮膚に対するUV光線の損傷作用を低減するかまたは予防するための、式Iの錯体化合物または請求項9から13の少なくとも一項に記載の組成物の使用。
【請求項17】
しわ、細い線、荒れた皮膚または大きな孔のある皮膚などの皮膚の不均一さに対する予防または皮膚の不均一さの低減のための式Iの錯体化合物または請求項9から13の少なくとも一項に記載の組成物の使用。
【請求項18】
炎症またはアレルギー反応の予防および/または治療のための式Iの錯体化合物または請求項9から13の少なくとも一項に記載の組成物の使用。
【請求項19】
少なくとも1つの式IIの化合物およびシクロデキストリンまたは上記基を有する少なくとも1つの式Iの化合物を、化粧品としてまたは皮膚科学的にまたは食品として適切な賦形剤と混合することを特徴とする請求項9から13の少なくとも一項に記載の組成物の調製方法。
【請求項20】
請求項9から13の少なくとも一項に記載の組成物の調製のための式Iの化合物の使用。

【公表番号】特表2007−518750(P2007−518750A)
【公表日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−549918(P2006−549918)
【出願日】平成16年12月27日(2004.12.27)
【国際出願番号】PCT/EP2004/014729
【国際公開番号】WO2005/068484
【国際公開日】平成17年7月28日(2005.7.28)
【出願人】(591032596)メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフトング (1,043)
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
【住所又は居所原語表記】Frankfurter Str. 250,D−64293 Darmstadt,Federal Republic of Germany
【Fターム(参考)】