説明

シリコン二次電池アモルファス電極の高周波大気圧プラズマCVDによる製造方法

【課題】陽極及び陰極においてケイ素化合物を採用する固体電解質型二次電池に於いて、陽極にアモルファス(非晶質)炭化ケイ素、及び陰極にアモルファス窒化ケイ素を高速で且つ安価に製膜する製法を提供する。
【解決手段】陽極にアモルファス(非晶質)SiC、及び陰極にアモルファス(非晶質)Siを、電極リード金属性の基盤6に高速で製膜する製法として、大気圧プラズマ化学蒸着CVD法により、一般にプラズマ励起に用いられている電源周波数より高い、例えば550MHz(UHF帯)の高周波電源10を使用して、安定なグロープラズマ4を発生させ、高密度に生成される反応種を利用した高周波(UHF帯>300MHz)成膜法を採用する。これにより電極3と基板7の間の小さなギャップにおいて高密度なプラズマを発生させることが可能となり。高速製膜を達成することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、正極及び負極においてシリコン化合物を採用し、かつ双方の電極間に非水電解質を採用した固体型二次電池において、正極及び負極としてのシリコン化合物電極の高周波大気圧プラズマ化学蒸着CVD 法(以下、略して、CPD 法とする)による製膜方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、パーソナルコンピューター及び携帯電話等のポータブル機器、及び自動車やスマートグリッドの普及に伴い、当該機器の電源である二次電池の需要が急速に増大していて、このような二次電池の典型例はリチウム(Li)を負極として、フッ化炭素等を正極とするリチウム電池であり、正極と負極との間に非水電解質を介在させることによって、金属リチウムの摘出を防止することが可能となったことを原因として、リチウム電池は広範に普及しているが、リチウムは希少高価であり、廃棄した場合にはリチウムが流出し環境上好ましくない。
【0003】
これに対し、本来半導体であるケイ素(Si)を電極の素材とする場合には、リチウム
に比較して安価であると共に、ケイ素は金属リチウムの流出のような環境上の問題を生じない。ケイ素を二次電池の電極の素材として採用することが試みられ、特許文献1の特許第4685192によると、シリコン(ケイ素)を使った二次電池は、リチウムイオン電池に比べて、シリコンの特性を生かすと大容量で耐久性が実現できる可能性があり、二次電池の電極として使われるリチウムなどの金属に代わりに、シリコンを採用し、正極に炭化ケイ素、負極に窒化ケイ素を使い、電解質にイオン交換樹脂を取りいれた。
【0004】
しかし、特許文献1の特許第4685192によると、基盤に対する金属スパッタリングによる正極集電層の形成した後、正極集電層に対する炭化ケイ素の真空蒸着による正極層を形成した後、正極層に対するコーティングによる非水電解質層を形成してから、非水電解質層に対する窒化ケイ素の真空蒸着による負極層を形成していたため、真空蒸着では強固なアモルファス(非晶質)電極の生成が困難であるとともに、製膜時間とコストがかかっていた。
【0005】
従来の物理蒸着法PVDには、真空蒸着、スパッタリング、イオンプレーティングなどの手法があり、真空度、基板温度、ターゲットの組成、電力を制御し、目的の薄膜を得ることができ、真空蒸着法は物理蒸着法の一態様であり、減圧された空間の中で、蒸着すべき金属を加熱し基材表面に付着させるために、およそ10-3〜10-5Pa(パスカル=N/m2)程度の圧力にまで真空排気ができるようなベルジャー容器に収められ、蒸発源には、Moなどの融点の高い皿状金属板ボートの上に蒸着したい材料をのせ、ボートに50A程度以上の大きな電流を流して1000℃以上に加熱し、上にのせた試料を融かし蒸発させている。スパッタリングも物理蒸着法の一態様であり、低温で高融点物質の膜が得られ、大面積にわたって均一な膜が成形できる、合金組成に対応できる、応答性が速く制御しやすい、などの特徴を有し普及が進んでいて、通常10-0〜10-2Pa程度の真空中で、アルゴンなどの希ガスをグロー放電させ、生じたイオンを電場中で加速してターゲット金属に衝突させ、ターゲット金属原子を対象基材に付着させる。
【0006】
化学蒸着法CVDは、半導体製造工程で汎用されている成膜技術であり、低温で気化した金属塩と高温に加熱された固体との接触において、熱分解反応、水素還元反応、高温不均化反応等によって、目的とする金属又は金属化合物を析出させる方法である。ケイ素イオン(Si及びSi)の生成を伴う充放電を容易かつ円滑に推進するためには、前記各化合物が結晶構造ではなく、非晶状態、即ちアモルファス構造であることが好ましく、前記正極及び負極を共に、従来は真空蒸着によって積層する方法が採用されていた。
【0007】
プラズマCVD(plasma-enhanced chemical vapor deposition, PECVD)は、プラズマを援用する型式の化学気相成長(CVD)の一種であり、さまざまな物質の薄膜を形成する蒸着法のひとつである。化学反応を活性化させるため、高周波などを印加することで原料ガスをプラズマ化させるのが特徴であり、半導体素子の製造などに広く用いられている。成膜速度が速く、処理面積も大きくできる、凹凸のある表面でも満遍なく製膜できるなど、化学気相成長の主な長所を多く有する。さらにプラズマを援用することで、熱CVDなどに比較すると、低い温度でもより緻密な薄膜を形成でき、熱によるダメージや層間での相互拡散を抑制でき、熱分解しにくい原料でも実用的な堆積速度が得られやすく、熱分解温度の異なる原料同士を用いても薄膜を形成できる。このプラズマCVDにおいては、直流(DC)・高周波(RF)・マイクロ波などを供給することで、原料ガスをプラズマ状態にする。これによって原料ガスの原子や分子は励起され、化学的に活性となる。プラズマCVDには励起方法などによって、下記のような分類がある。従来の高周波プラズマCVDは、周波数(13.56)MHzの高周波による放電を用い、絶縁性の薄膜形成が可能で、もっとも一般的なプラズマCVDである。プラズマCVDは一般的には反応室内部の圧力を真空ポンプで減圧して運転され、ポンプには油回転ポンプやドライポンプのほか、ターボ分子ポンプやメカニカルブースターポンプなどが組み合わせて用いられることもある。
【0008】
大気圧プラズマ化学蒸着CVD 法(以下、略して、CPD 法とする)は、真空プラズマCVDよりもプラズマ密度を高めたものであり、より低い温度でも良質の膜が形成できるなどの利点を持ち、大気圧(常圧)で運転するものは、大気圧プラズマCVDと呼ばれる。このプラズマCPD 法は、特に薄膜シリコン膜の形成への利用をきっかけとして広く用いられるようになり、液晶など平面ディスプレイの薄膜トランジスタ素子(TFT)や、薄膜シリコン太陽電池の製造で使われるほか、超LSIの層間絶縁膜の形成などにも用いられる。大気圧プラズマCVD 法は、一般的にプラズマ励起に用いられている電源周波数(13.56 MHz)よりも、一桁程度高い150 MHz(VHF帯)の高周波により、大気圧下で安定なグロープラズマを発生させ、高密度に生成される反応種を利用した成膜法である。この150MHzという高周波電力を利用することにより、0.1〜1mm という小さな電極と基板間ギャップにおいて高密度なプラズマを発生させることが可能となっている。大気圧VHFプラズマが一般的な減圧プラズマと異なる点は、プラズマ中の原料ガスの分圧を高くでき、プラズマ中での原子や分子の衝突周波数が高く荷電粒子運動エネルギーが小さくなり、プラズマのガス温度(回転温度、振動温度を含む)が高く、膜成長表面へ物理的・化学的エネルギーを効率的に供給できること集約できる。したがって、大気圧VHFプラズマを用いれば、原理的に高速成膜が可能であり、膜のイオンダメージが低減されるとともに、基板温度が低温であっても膜成長表面での化学反応が促進され、高品質な薄膜形成が期待できる。反応ガスの高能率供給、大気圧プラズマの安定制御、大電力の投入などを可能とする二種類の電極として、高速回転電極及び多孔質カーボン電極があり、これらの電極の本質的な違いは、プラズマへのガス供給方法である。図2の高速回転電極の場合、円筒型の電極を高速回転させることにより、雰囲気の反応ガスを電極−基板間ギャップに能率的に供給することができる。一方、図1の多孔質カーボン電極の場合は、電極を通して各種の高純度なプロセスガスを直接プラズマ中へ供給できる。
【0009】
シリコンカーバイド(SiC)は、Si と比較してバンドギャップが約三倍、絶縁破壊電界強度が約十倍、熱伝導度が約三倍という優れた物性値を有している。例えば、SiC をパワー半導体デバイスに適用すれば、小型化とともに、電力変換時の熱損失をSi デバイスの約1/100 以下に低減できる。さらに、Si では150℃程度とされている動作上限温度を400-500℃まで上げることができる。
【0010】
シリコンナイトライド(SiNx)薄膜は、高誘電率、高密度、フッ酸エッチングに対する高い耐性等の優れた性質を有しており、薄膜トランジスタ(TFT)や酸化膜形成におけるマスク材などとして幅広く用いられている。このSiNx 薄膜の代表的な製法の一つとして減圧プラズマを用いたプラズマCVD法があるが、減圧プロセスでは反応ガスの絶対量が少なく、成膜速度の飛躍的な向上は期待できないので、大気圧プラズマCVD 法(CPD 法)を用いることにより、高品質なSiNx 薄膜を低温基板上に高速形成する技術の開発を進めている。原料ガスとしてSiH4 およびNH3 を用い、SiNx 薄膜を形成し、原料ガス濃度(NH3/SiH4比)、水素濃度、投入電力、基板温度等の成膜パラメータが膜構造に及ぼす影響が検討されている。
【0011】
特許文献2の特開2001-348665によると、本発明は、大気圧プラズマCVDによる高速成膜法によって基板上に形成した、アモルファスSiC薄膜に関するものである。結晶SiCだけではなくアモルファスSi1-xCx(a-Si1-xCx)薄膜についても、その電気・光学特性が成膜パラメータによって自由に制御できることから、光電子デバイスや太陽電池、発光ダイオード等への応用が試みられてきた。これまでa-Si1-xCx薄膜の形成には、RFスパッタリング法、減圧下でのプラズマCVD法等が用いられているが、成膜速度が遅く、格段の成膜速度の高速化が望まれていて、RFスパッタリング法、減圧下でのプラズマCVD法等の従来の成膜方法による成膜速度より10倍以上の高速成膜が可能な大気圧プラズマCVDによって基板上に作製したアモルファスSiC薄膜を製造できる。このアモルファスSiC薄膜は、太陽電池、発光ダイオード、パワーデバイス用の半導体材料としても提供できる。前述の課題解決のために、気密チャンバ内に、加熱手段を備えた試料ステージと円筒形状の回転電極とを配設し、回転電極との間に所定のギャップを設けて前記試料ステージに基板を保持し、気密チャンバ内に導入したSi供給反応ガスとC供給反応ガス及び不活性ガス(Ar,He)からなるキャリアガスを少なくとも含む0.1〜10atmの原料ガスを、高速に回転させた前記回転電極表面で巻き込んで、前記ギャップを横切るガス流を形成するとともに、回転電極に高周波電圧を印加してギャップでプラズマを発生し、反応ガスに基づく高密度ラジカルを生成し、前記試料ステージと回転電極とを相対的に移動させながらラジカル反応によって加熱基板上にSiC薄膜を形成したことを特徴とする大気圧プラズマCVDによるアモルファスSiC薄膜を構成し、物理的、電気的特性に優れたアモルファスSiC薄膜を作製するためには、各種のパラメータを最適に設定する必要がある。前記回転電極に供給する高周波電力の周波数を、50〜300MHzとした。ここで、通常は導体で形成した気密チャンバが電気的に接地されてアース電位となっており、回転電極と基板との間のギャップでプラズマが発生維持されるのは、誘電率の違いによる 電界集中のためである。また、前記基板の温度を、300〜500℃の範囲に設定し、成膜速度を15〜40nm/sの範囲に設定している。そして、前記原料ガスとして、HeにCH4とSiH4及びH2を混合したものを用いてなることが好ましく、更にHeに対してCH4:0.5〜2体積%、SiH4:0.01〜0.1体積%、H2:0.5〜2体積%混合したものを用いてなることがより良い。図2は本発明に係る成膜装置の簡略説明図であり、図中符号12は回転電極、6は基板、7は試料ステージをそれぞれ示している。
気密チャンバは、ステンレス製の容器であり、内部に回転電極と基板を保持した試料ステージを配置している。回転電極は、表面にアルミナ溶射処理 を施した直径300mm、長さ100mmのアルミニウム合金製の円筒型で、外部に設置された高速回転モータ5によりマグネットカップリングを介して回転させる。基板は試料ステージ上に真空チャックにより固定し、回転電極との間に成膜ギャップを形成している。試料ステージは、内蔵したヒータにより大気圧He雰囲気中で最高600℃ まで加熱することができる。成膜ギャップは、ステージを上下させることにより制御し、ステージを前後方向に移動させることにより、移動距離に対応した面積の薄膜を形成できる。電源周波数は150MHzで、電力はインピーダンスマッチングユニットを介して電極部に供給され、電極と基板間ギャップに プラズマを発生させる。電源周波数として150MHzを用いることで、従来のプラズマCVD法で主に用いられている13.56MHzに比べて荷電粒子の振動振幅が小さくなることから、成膜ギャップが小さくても反応ガスを効率良く分解・活性化することができる。成膜中に発生するパーティクルは、電極回転に伴う高速ガス流により成膜ギャップ外へ排出されるが、それらパーティクルはフィルタを介したプロセスガスの循環により効率良く回収することが可能となっている。
作製した薄膜を透過電子顕微鏡で観察した結果、透過電子線回折像から、ブロードなハローパターンが観察され、明視野像から目立ったコントラストは見られないことから、薄膜の構造はアモルファスであることが確認できた。円筒型の回転電極を用いていることから、電極−基板間に発生する大気圧プラズマは、ギャップの最も小さい位置を中心として電極の周方向に広がりを持っている。このプラズマの広がりの大きさ(プラズマ長さ)は20〜30mm程度であり、成膜条件(投入電力、反応ガス濃度等)によって変化する。そのため、成膜速度は、プラズマ長さを基板走査速度で除算した時間と膜厚から求めている。
【0012】
図3は、CPD 法のa-Si1-xCx成膜速度の投入電力密度依存性を示したものである。投入電力密度が500J/l以下では、原料ガスの(CH4、SiH4)の十分な分解・活性化ができないと考えられる。投入電力密度が500J/l以上では、投入電力密度の増加とともに成膜速度が減少する傾向にある。これは、投入電力密度の増加により、プラズマ中での各種ラジカルの状態や密度、基板表面の温度などが変わってa-Si1-xCx薄膜の成長メカニズムが変化し、その結果としてa-Si1-xCx薄膜の構造が変化したことを示していると考えられる。本発明によれば、成膜条件を最適に設定することにより、偏析やピンホール等の欠陥のないストイキオメトリック(Si:C=1:1)なアモルファスSiC薄膜の形成を実現できるとともに、従来の成膜方法による成膜速度より10倍以上の高速成膜によって作製できた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
従来のプラズマCVD(PECVD)は、高品質な成膜には400℃付近までプロセス温度を上げる必要があったので、200℃未満での高品質な成膜を実現し、低いプロセス温度で高いクオリティのSi3N4の均一性成膜が可能なSiC及びSi3N4電極の高速CPD 法製膜 を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
正極をSiCの化学式を有している炭化ケイ素とし、負極をSiの化学式を有している窒化ケイ素とし、正極と負極との間に非水電解質を採用する固体電解質型二次電池をCPD 法で製造するために、陽極にアモルファス(非晶質)SiC、及び陰極にアモルファス(非晶質)Siを、電極リード金属性の基盤に高速で製膜する製膜する製法として、高周波大気圧プラズマ化学蒸着CVD 法(以下、略して、CPD 法とする)により、シリコン二次電池のアモルファスケイ素化合物電極の製膜を可能とする。
【0015】
シリコン二次電池のアモルファスケイ素化合物電極の製膜を可能とするために、従来一般に使用されていたプラズマ励起に用いる電源周波数 13.56 MHz(RF帯)よりも、一桁高い従来の 150 MHz(VHF 帯)よりも、さらに高い 高周波550 MHz(UHF帯)を使用して、安定なグロープラズマを発生させ、高密度に生成される反応種を利用した成膜法を採用して、小さな電極と基板間ギャップにおいて高密度なプラズマを発生させることが可能とする。
【0016】
高い周波数として、基準波で例えば550 MHzを発生するために、本発明者は超小型の水晶振動子を、特許文献3のUSApatent6952074を発明した。単一波長で指向性のある高周波弾性波を最初に発振させることに成功したキーポイントは、溝型 凹−凸(concavo−convex)レンズ形状水晶物体を形成するのに、撓みの現象と動圧の現象を同時に使用して、表面に凸レンズ形状を裏面に凹レンズ形状を同時に加工する設計法を発見したことによる。すなわち、凸レンズ形状の加工軸である中心軸線と凹レンズ形状の加工軸である中心軸線が、同時に形成 可能な設計法を提案した。その結果、2つの中心軸線は、極く自然に完全に一致することになる。さらに水晶の光軸又は回転光軸と、2つの中心軸線が完全に一致する設計法も提案した。これにより、2段階形状をした片面溝型(single−sided grooved type)の振動部分として、極く小さい凹 −凸レンズ形状でありながら、2つの中心軸線と水晶の光軸又は回転光軸の3つの軸線が完全に一致した水晶振動子が完成した。本設計法に基づいて開発に成功した水晶振動子は、2段階溝型水晶母材の中に、片面が凸レンズ形状で、他の面が凹レンズ形状をした極く小さい凹−凸レンズ形状の振動部分を有する。この振動部分は、適切に設計された上下蒸着電極の基に、厚みすべりmodeで振動し(thickness−shear vibration mode)、主振動の近傍に全く spurious modeが存在しない、かつQ値の高いATカット水晶振動子で、基準波で例えば550 MHzを発生できる。
試料水晶ブランクとして、厚さが90μm、縦幅が3.58mm、横幅が3.58mmの、素材がAT−cutのものを用いた。水晶ブランクの中心部分に、最初に、口径が1.6mmで深さが57.0μmの、10角形状の大きい面積にフッ酸を使用してchemical etching加工を行って、1段階形状をしたgrooved typeの水晶ブランクを加工している。この1段階形状で10角形状をしたgrooved typeの中心部分に、さらに2番目の加工工程としてフッ酸を使用し て、2回目のchemical etching加工にて、円形形状をした、口径が0.59mmで、深さが15.0μmの2段階形状部分を形成した。フッ酸を使用しての2回の chemical etching加工を行ってできた、2段階形状をしたsingle−sided grooved−typeの水晶ブランクは、最初に小さい面積の円形形状の口径が0.59mmの振動部分を chemical etching加工して、次に2番目の加工工程として大きい面積の口径が1.6mmの10角形状をした溝部分をchemical etching加工で製作すると、水晶の異方性が発生して、振動部分に水晶の結晶方向が発生することにより、水晶振動子としては全く使用することができなかった。通常考えられないchemical etching加工方法にて、2段階形状をしたsingle−sided grooved−typeの水晶振動子を完成させることができた。上下の 研磨盤の間に水晶ブランクをある一定の圧力をかけて挟み、dual−face polishing machineを使用して研磨加工をする。研磨剤としては、酸化セリウムを使用すると、凹形状をした水晶ブランクを上下の研磨盤で圧力を掛けて挟むために、dual−face polishing machineに挟まれた凹形状の水晶ブランクの圧力分布は、矢印にて示しているように、フレーム部分は上下の両側からの圧力を受けるが、振動部分の反対側は空洞となっているので、下からのみの圧力を受ける。その結果、10角形状をした溝部分及び円形形状の振動部分の中心を頂点として、上方向に撓む。こうして、上方向に逃げた撓みの分だけ、圧力は中心部分を最小として、両端で最大となる。また両部分の間の研磨量は、球面の一部のように曲率をもって変化する。研磨量は圧力に比例する。したがって、加工後の2段階形状をしたsingle−sided grooved−typeの水晶ブランクは、振動部分の中心部分を最大として飛び出し、膨らんだ凸レンズ形状となる事が解明できた。この結果、平−凸レンズ形状が完成した。
【0017】
シリコン二次電池を組み立てるために、リード金属に製膜した、SiCの化学式を有している炭化ケイ素の正極、及びSi窒化ケイ素の負極を製造した後、各電極に非水電解質を塗布して、張り合わせることにより、当該シリコン二次電池を迅速に組み立て製造できる。

【発明の効果】
【0018】
従来のプラズマCVDは、高品質な成膜には400℃付近までプロセス温度を上げる必要があったが、200℃未満での高品質な成膜を実現し、低いプロセス温度で高いクオリティで均一性成膜が可能 SiC及びSi3N4電極を高速にて製膜できる。シリコン二次電池を組み立てるために、リード金属に製膜した、SiCの化学式を有している炭化ケイ素の正極、及びSi窒化ケイ素の負極を製造した後、各電極に非水電解質を塗布して、接合して張り合わせることにより、当該シリコン二次電池を迅速に製造できる。

【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】陽極としてアモルファス(非晶質)炭化ケイ素SiC、及び陰極としてアモルファス(非晶質)窒化ケイ素Siをからなるシリコン化合物の試料5を、リード線用金属6に製膜するために、シランSiH4やメタンCH4のプロセスガス1及び不活性キャリアガス8を機密容器2に供給して、多孔質電極3から混合ガス流9を大気圧プラズマ化学蒸着CVD 法(CPD 法)により、一般にプラズマ励起に用いられている電源周波数13.56 MHz(RF帯)よりも、一桁高い従来の150 MHz(VHF帯)よりも、さらに高い550MHz(UHF帯)の高周波電源10を使用して、安定なグロープラズマ4 を発生させ、温度制御したステージ1と、多孔質電極3と基板7の間における0.1〜1mm という小さなギャップにおいて高密度なプラズマ4を発生させる。図1の多孔質カーボン電極では、電極を通して各種の高純度なプロセスガスを直接プラズマ中へ供給できる。
【図2】反応ガスの高能率供給、大気圧プラズマの安定制御、大電力の投入などを可能とするには、二種類の電極(高速回転電極および図1の多孔質カーボン電極)がある。これらの電極の違いは、プラズマへのガス供給方法であり、図2の高速回転電極の場合、円筒型の電極を高速回転させることにより、雰囲気の反応ガスを電極と基板間ギャップに能率的に供給することができる。反応ガスの大気圧の下、両電極の間に局所的に強い電界を形成させてプラズマを発生させ、当該プラズマによって生成する活性種を被処理物に照射することにより被処理物に所望の処理を施す大気圧プラズマ処理装置において、絶縁体が、その電圧印加電極側部分に、強い電界を特定の位置に形成させ、それによって該強い電界の方向を被処理物の搬送方向に対して傾斜させる突起部を備えている。
【図3】当該CPD 法の製膜方法には、従来のプラズマ励起に用いられている電源周波数のRF帯よりも、一桁高いVHF帯の高周波よりも、さらに高いUHF帯の電源(UHF帯>300MHz)を使用しているので、シリコン二次電池のシリコン化合物電極を迅速に生成できる。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0020】
従来のプラズマCVD(PECVD)は、高品質な成膜には400℃付近までプロセス温度を上げる必要があったが、本発明の図1に示すCPD 法 では、200℃未満での高品質な成膜5を反応ガス1(シランSiH4,メタンCH4)を使用して実現し、CVD装置への低温化の要求に対し、高いクオリティの炭化ケイ素SiCを成膜することが可能である。図1に示すPECVD装置を用いて成膜した膜厚、膜応力、組成比、エッチ耐性などの項目について計測した。また熱の影響を調べるため、600℃でアニール(焼きなまし)を行い、焼きなまし前のサンプルと比較をした結果、堆積速度は56 nm/sであり、アニール後のサンプルでは膜厚が20 nm減少した。またアニールをすることによって、膜応力は圧縮領域から引張り領域へと遷移することも確認された。組成をEPMAで求めたところ、SiとCの比は、低周波LF成分が小さいほどCが減少し、LF成分が大きいほどCが増加することが分かり、Cの量が膜応力に影響を与えていることが推測される。図1に示す高周波(UHF帯>300MHz)CPD法を使用して、低温で堆積させたアモルファスSiC膜でも、化学的安定性が失われることなく、十分なエッチ耐性があることが分かった。
【実施例2】
【0021】
本発明の図2に示すSi3N4厚膜の高速連続デポジションPECVD装置は、膜のストレス制御、膜厚均一性の制御のために、プラズマ源に磁気強化型誘導結合方式(Magnetically Enhanced Inductively Coupled Plasma)を採用して、大型8インチウェハーまでの対応も可能である。図3に示すように本発明のCPD 法により、一般に反応ガス1(SiH4,アンモニアNH3)のプラズマ励起に用いられている電源周波数13.56 MHz(RF帯)よりも、一桁高い従来の150 MHz(VHF帯)の高周波製膜速度は約6倍になっていたが、本発明ではさらに高い550MHz(UHF帯)電源10を使用しているので、高周波(UHF帯>300MHz)CPD法を使用して、電極3と基板7の間のギャップにおいて高密度なプラズマ4を発生できて、従来のRF帯電源の製膜速度をよりも約10倍速くなった。プラズマCVDにも対応可能なDrift-diffusion model計算によると、この反応性混合ガスの場合、アンモニア濃度を五パーセント程度にすると、アモルファスSi膜が最適に製造できる。さらに、シリコン二次電池を組み立てるために、リード金属に製膜した、SiCの化学式を有している炭化ケイ素の正極、及びSiの化学式を有している窒化ケイ素の負極を製造した後、各電極に非水電解質を塗布して、張り合わせることにより、当該シリコン二次電池を迅速に製造できる。なお、大容量シリコン二次電池の生産には、この約4ボルト単位電池の集電リードは金属箔板であるから、直列に容易に積層できる特長がある。

【産業上の利用可能性】
【0022】
パソコン及び携帯電話等のポータブル機器、及び自動車やスマートグリッドの普及に伴い、当該機器の電源である二次電池の需要が急速に増大していて、このような二次電池の典型例はリチウム(Li)を負極として、フッ化炭素等を正極とするリチウム電池であったが、リチウムは希少高価であり、廃棄した場合にはリチウムが流出し環境上好ましくない。これに対し、本来半導体であるケイ素(Si)を電極の素材とする場合には、リチウムに比較して安価であると共に、ケイ素は金属リチウムの流出のような環境上の問題を生じない。ケイ素を二次電池の電極の素材として採用することが試みられ、シリコン電極を使った二次電池は、リチウムイオン電池に比べて、シリコンの特性を生かすと大容量で耐久性が実現できる可能性があり、正極に炭化ケイ素、負極に窒化ケイ素を使い、電解質にイオン交換樹脂を取りいれた。本発明のCPD 法により、一般にプラズマ励起に用いられている電源周波数13 MHz(RF帯)よりも、40倍高い550MHz(UHF帯)電源10を使用しているので、高密度なプラズマ4を発生できて、従来のRF帯電源の製膜速度よりも約10倍速くなった。さらに、シリコン二次電池を組み立てるために、リード金属に製膜した、SiC正極、及びSi負極を製造した後、各電極に非水電解質を塗布して、張り合わせることにより、当該シリコン二次電池を迅速に製造できる。なお、大容量シリコン二次電池の生産には、この単位電池の集電リードは金属箔板であるから、直列に容易に積層できる。
【0023】
微小放電電極間で微細ガス流を用いると、大気圧グロープラズマを安定に生成できるが、プラズマは約1mm以下の微小電極間に存在するので、これを利用する応用は限定される。この問題点を解決するため、円形の開口部を有する電極の使用と放電条件の設定により、プラズマ流を電極外部に引き出す方式を検討した。電力が注入される電極間と電極外部に引き出される領域での現象は、相互に深い関係にあり両者を統一的に理解して、所定のエネルギーと電荷量を持ったプラズマ流の引き出す制御法を確立する必要がある。また、ミクロンオーダのプラズマでは、電源周波数の高いほうが効率よくエネルギーを注入できるので、高周波電力により大気圧マイクロプラズマを生成し、エネルギー密度の高いプラズマを放電電極の外部へ伸展できることを示した。他の産業上の微細加工、表面処理への応用に向けて、電極の穴径を制御して得られる異なる形態の放電の生成とその利用に関する開発も進めている。
【0024】
最新の先端半導体デバイス(SiC、Si) などのCPD 法による大量生産工程では、高性能を実現するため,より微細な構造に良好な被覆性で、より低温で高品質な絶縁膜を形成する技術が求められ、より低コストで電極(SiC、Si)を提供するため、生産性の高いプロセスが必須となっている。これらの課題を克服するために、新しい成膜技術を開発することによって、被覆性がよく比較的低温で膜質の高い絶縁膜を形成するプロセスを実現できる。従来の減圧CVD技術よりも高い膜厚均一性と高精度の組成制御性を得るため、新しい高周波(UHF帯>300MHz)CPD法成膜装置・プロセスが開発され、メタル膜や低温の窒化ケイ素膜など向けのプロセスを開発されている。この技術により、次世代のメモリやデバイス(SiC、Si)の課題の多くが解決されると期待されている。パワーデバイスの有力候補であるSiCデバイスの製造工程では、量産型の高温(〜800℃)アニール装置が必要である。

【符号の説明】
【0025】
1 反応ガス
2 密封容器
3 電極
4 プラズマ
5 シリコン化合物膜
6 終電金属板
7 温度制御ステージ
8 キャリアガス
9 プロセスガス
10 高周波電源
11 温度制御電源
12 回転電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極をSiCの化学式を有している炭化ケイ素とし、負極をSiの化学式を有している窒化ケイ素とし、正極と負極との間に非水電解質を採用するシリコン二次電池を製造するために、陽極にアモルファス(非晶質)SiC、及び陰極にアモルファス(非晶質)Siを、電極リード金属性の基盤に高速で製膜する製膜する製法として、高周波(UHF帯>300MHz)による大気圧プラズマ化学蒸着CVD 法(以下、略して、CPD 法とする)により、シリコン二次電池のアモルファスケイ素化合物電極の製膜を可能とすることを特徴とする、当該ケイ素化合物電極の製造方法、及び製造装置。
【請求項2】
請求項1において、シリコン二次電池のアモルファスケイ素化合物電極のCPD 法製膜を可能とするために、従来一般に使用されていたプラズマ励起に用いる電源周波数13.56 MHz(RF帯)よりも、一桁高い従来の150 MHz(VHF帯)の高周波よりも、さらに高い300 MHz以上のUHF帯を使用して、安定なグロープラズマを発生させ、高密度に生成される反応種を利用した成膜法を採用して、小さな電極基板間ギャップにおいて高密度なプラズマを発生させることが可能とする、当該ケイ素化合物電極の製膜方法、及び製膜装置。
【請求項3】
請求項1において、シリコン二次電池を組み立てるために、請求項2においてリード金属板の表面に高周波CPD 法を使用して製膜した、SiCの化学式を有している炭化ケイ素の正極、及びSiの負極を各々製造した後、各電極に非水電解質を塗布して、接合することを特徴とした当該シリコン二次電池の製造方法。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−65496(P2013−65496A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−204170(P2011−204170)
【出願日】平成23年9月20日(2011.9.20)
【出願人】(590005195)
【Fターム(参考)】