説明

シリコン含有ダイヤモンド状炭素薄膜、その製造方法、及びその用途

本発明は、シリコン含有ダイヤモンド状炭素薄膜、その製造方法、及びその用途に関し、シリコン含有ダイヤモンド状炭素薄膜は、内部及び表面にシリコンを含有するダイヤモンド状炭素薄膜の表面に、その薄膜の表面に存在する炭素及びシリコン原子とその薄膜の表面に親水性を付与する原子(A)間の化学結合を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリコン含有ダイヤモンド状炭素薄膜、その製造方法、及びその用途に関する。
【背景技術】
【0002】
ダイヤモンド状炭素(diamond-like carbon:DLC)薄膜は、硬度、潤滑性、及び電気抵抗が高く、耐摩耗性に優れ、表面が非常に平滑で、低温で合成することができるため、様々な分野で活用されているコーティング材料である。また、DLC薄膜は、表面の化学的安定性に優れ、生体適合性と血液適合性に優れているため、生体内の細胞などとの接触時の副作用がなくて移植材料又は細胞培養材料のコーティングとしての適用が容易であることが知られている。このため、生体挿入材及び生体代替材の表面処理層のようなバイオコーティングとしての利用が試みられている。
【0003】
例えば、末梢動脈閉塞性疾患(peripheral occlusive artery disease)は、非侵襲的診断装置により診断され、40代及び50代の約3%、70代以上の約20%から発見される比較的多い疾患である。この疾患の治療のために血管ステントを利用するインターベンショナルラジオロジーは、外科的手術より簡便かつ安全で、全身麻酔が必要なく、成功率も高いため、全世界的に広く利用されている。このような血管用ステントは、被覆されていないベアステント(bare stent)が使用されるため、生体適合性の向上のために、血管の内壁と直接的に接するステントワイヤーの表面を処理する必要がある。また、血管用ステントは、設置直後の血栓形成により急性閉鎖が発生する可能性があり、ステント自体が血管内壁に外傷的要素として作用して内膜増殖を引き起こす場合は再狭窄が発生する可能性がある。従って、ステント手術の成功率の向上のためには、血栓の凝固を抑制するための表面処理と共に、治療薬を血管内に直接伝達する薬物放出機能を有する機能性表面改質技術が要求されている。
【0004】
このような血管用ステントの血栓凝固及び再狭窄を抑制するために、ステント表面にダイヤモンド状炭素薄膜をコーティングする研究が盛んに行われている。特に、ステント材料のうち、金属イオンの漏れを防止するためには耐腐食性に優れたコーティング層が必要であるが、ダイヤモンド状炭素薄膜は、このような条件を満たすことができると期待される。しかしながら、従来の純粋なダイヤモンド状炭素薄膜を利用する場合は、コーティングの効果がほとんど現れないと報告されており、これは、純粋なダイヤモンド状炭素薄膜は、耐腐食特性及び血液適合性が十分でないためである。
【0005】
このような問題を解決するために、従来の多くの研究では、細胞や臓器などが生体材料の表面に適切に接合できるようにするために、シリコン含有DLC(Si−DLC)薄膜の表面を酸素又は窒素を用いてプラズマ処理することにより表面に親水性を付与していた(Roy et al, Diamond and Related Materials, 16(2007), 1732-1738)。しかし、このように処理された材料の表面は、超親水性を有するようになるが、時間が経過するにつれて急速に表面処理前の状態である疎水性に戻る。これを時効(エージング)効果といい、このため、親水性の性質を有する表面処理を行い、表面処理した試片を数時間内に生体応用などの特定の目的に使用しなければならない。
【0006】
純水(pure water)との親和度の高い親水性表面又は超親水性表面は、集水(water harvesting)、防曇(anti-fog)、抗菌(anti-bacterial)、もしくは細胞成長のため、又は、材料表面の特性を改質して他の材料との接合特性を向上させるために、研究が続けられている。
【0007】
材料の表面にこのような親水性又は超親水性表面を形成する方法としては、ウェットエッチング、紫外線/酸素(UV/O)処理、又はプラズマ/イオン処理などが用いられる。特に、表面粗さを増加させるとともに、親水性の性質を有する材料を使用して表面化学的性質を調節すると、親水又は超親水表面が得られることが知られている。多様な素材及び薄膜表面においてこのような親水特性を実現しようとする試みが行われているが、表面親水性は喪失しやすいという欠点がある。すなわち、親水表面は、表面エネルギーが相対的に高いため、表面エネルギーを低くするために空気中の水分子又は炭化水素分子と結合しようとする傾向があり、このような結合が行われると、表面エネルギーが低くなって親水性が喪失する。従来周知の方法によるほとんどの親水又は超親水処理は数時間又は数日内に効果が喪失するので、親水又は超親水特性が長期間維持されるようにする様々な研究が行われている。
【0008】
酸素又は窒素プラズマなどで処理された表面は、親水性が増加するが、表面が熱力学的に安定していなくて疎水性に戻ろうとする性質があるため、時効効果が現れることが知られている([Roy et al, Diamond and Related Materials, 16(2007), 1732−1738])。時効効果を防止する技術は、生体に対する適用を必要とする分野への応用だけでなく、浴室の鏡、眼鏡又は自動車ガラスなどの曇りなどを抑制するコーティング技術として応用することができる。
【0009】
最近開発された超親水性表面の製造方法としては、TiO2のようなナノサイズの気孔の多い材料を蒸着する方法、TiO2粒子、SiO2粒子などのナノサイズの粒子を適切な割合で混合して親水性表面を製造する方法などがある([FC Cebeci, Langmuir 22(2006), 2856])。しかしながら、このような方法で製造された表面の親水性も長期間維持されないため、表面親水性が長期間維持されるようにすることが非常に重要な課題となっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、このような問題を解決するためのものであり、本発明の目的は、ダイヤモンド状炭素薄膜(以下、「DLC薄膜」という)の耐腐食性を向上させ、耐腐食性が向上したDLC薄膜の表面を改質して表面エネルギーを調節して血液適合性を向上させることにある。
【0011】
本発明の他の目的は、時効現象が発生することなく、耐腐食性が向上したDLC薄膜表面の親水性を半永久的に持続させる方法を提供することにある。
【0012】
本発明のさらに他の目的は、表面親水性が半永久的に持続するDLC薄膜の大量生産方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
このような目的を達成するために、本発明は、(1)内部及び表面にシリコンを含有するDLC薄膜の表面に、その薄膜の表面に存在する炭素及びシリコン原子とその薄膜の表面に親水性を付与する原子(A)間の化学結合を有する、シリコン含有DLC薄膜、(2)前記(1)のシリコン含有DLC薄膜を含む医療用材料、及び(3)(a)基板の表面に、内部及び表面にシリコンを含有するDLC薄膜を形成させる段階と、(b)前記薄膜の表面を活性化して、前記薄膜の表面に存在する炭素及びシリコン原子を表面に親水性を付与する原子(A)と化学的に結合させる段階とを含む、シリコン含有DLC薄膜の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、耐腐食性及び血液適合性が向上したDLC薄膜及びその製造方法を提供する。本発明による薄膜は、耐腐食性及び血液適合性に優れ、血液と接触する生体挿入材や治療材、例えば、血管ステント、心臓弁、心臓ポンプ、人工血管、血液の凝固を抑制しなければならない病理実験室器材、血液保管器の表面処理用として広く応用することができる。
【0015】
また、本発明により半永久的な超親水性の性質を有するナノ構造が形成されたSi−DLC薄膜を、簡単で、エネルギー消費が少ない方法で製造することができ、いずれの材料の表面にも超親水性の性質を有するSi−DLC薄膜をコーティングすることができるので、多様な材料の表面を超親水性にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に使用されたRF−PACVD装置の模式図である。
【図2】異なる反応ガスを用いてSi含有DLC薄膜表面をプラズマ処理した場合の各試片の表面エネルギーを分析するために純水との接触角を測定した結果を示すグラフである。
【図3】異なる反応ガスを用いてSi含有DLC薄膜表面をプラズマ処理した場合の各試片の表面に血小板が接着している面積比を測定した結果を示すグラフである。
【図4】プラズマ表面処理されていないSi含有DLC薄膜の表面に接着している血小板のSEM写真である。
【図5】酸素プラズマで表面処理されたSi含有DLC薄膜の表面に接着している血小板のSEM写真である。
【図6】基板、基板に純粋なDLC薄膜がコーティングされた試片、及び基板にSi含有DLC薄膜がコーティングされた試片の動電位分極試験結果である。
【図7】酸素プラズマで表面処理された純粋な非晶質炭素及び非晶質Siにおける血小板接着挙動の測定結果である。
【図8】(a)は本発明によりSi−DLC薄膜をイオンビーム処理する過程を示す模式図であり、(b)はその過程により製造された表面のAFM画像である。
【図9】Pure−DLC薄膜(a)及びSi−DLC薄膜(b)を蒸着した材料表面をイオンビーム処理する前のぬれ角(wetting angle)を測定するための光学顕微鏡画像である。
【図10】Pure−DLC薄膜表面を酸素及び窒素イオンビームで処理した後のぬれ角を比較した光学顕微鏡画像であり、(a)及び(b)はN2イオンビーム処理してそれぞれ6時間及び21日経過後の画像であり、(c)及び(d)はO2イオンビーム処理してそれぞれ1日及び22日経過後の画像である。
【図11】Si−DLC薄膜表面を酸素及び窒素イオンビームで処理した後のぬれ角を比較した光学顕微鏡画像であり、(a)及び(b)はN2イオンビーム処理してそれぞれ6時間及び21日経過後の画像であり、(c)及び(d)はO2イオンビーム処理して1日及び21日経過後の画像である。
【図12】Pure−DLC薄膜表面とSi−DLC薄膜表面をそれぞれ酸素及び窒素イオンビーム処理した後の時間経過によるぬれ角の変化を示すグラフである。
【図13】Si−DLC薄膜のシリコンの含量変化に応じたぬれ角の変化と、Siを含有していないDLC薄膜及び非晶質Siのみを蒸着した薄膜表面のぬれ角をそれぞれ20日以上測定した結果を示すグラフであり、グラフにおいて黒抜き(solid mark)はイオンビーム処理前、白抜き(open mark)はイオンビーム処理後の結果を示す。
【図14】(a)〜(d)はPure−DLC薄膜(film)表面とSi−DLC薄膜(film)表面をそれぞれ酸素及び窒素イオンビームで処理した4つの試片の表面粗さを示すAFM画像であり、(e)は各試片の表面処理前後の代表断面のプロファイルを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明は、内部及び表面にシリコンを含有するDLC薄膜の表面に、その薄膜の表面に存在する炭素及びシリコン原子とその薄膜の表面に親水性を付与する原子(A)間の化学結合を有する、シリコン含有DLC薄膜に関する。
【0018】
本発明においては、純粋なDLC薄膜の代わりに耐腐食性に優れたシリコン含有DLC薄膜を使用する。本発明によるSi含有DLC薄膜は、その内部及び表面にシリコンが数〜数十ナノメートルサイズのクラスター状に分布しているため、DLC薄膜固有の応力が緩和され、これにより、DLC薄膜に比べて耐久性及び生体適合性が向上する。
【0019】
上記シリコン含有DLC薄膜のシリコン含量は、好ましくは、0.5〜17原子分率(at.%)である。シリコン含量が0.5at.%未満であると、十分な耐蝕特性が現れず、表面の親水性が喪失しやすく、シリコン含量が17at.%を超えると、薄膜内のSiCクラスターサイズが大きくなりすぎて機械的特性及び化学的特性が悪くなるという問題がある。
【0020】
また、本発明は、試料表面に蒸着するSi−DLC薄膜のシリコン含量を調節し、薄膜の表面に存在する炭素及びシリコン原子を薄膜の表面に親水性を付与する原子(A)と化学結合させて薄膜の表面を改質することにより、その薄膜の表面が超親水性を有すると共に、その超親水性が長期間維持されるようにする。このように、表面の超親水性を長期間持続させる必要がある場合、上記Si−DLC薄膜のシリコン含量は1.0〜2.5at.%が好ましいが、これは、薄膜表面を活性化すると、表面粗さが10〜20nmとなり、このときに表面の超親水性が長期間維持されるからである。
【0021】
本発明による上記シリコン含有DLC薄膜は、表面が改質されているため、生体適合性及び血液適合性に優れている。表面の改質は、表面活性化、並びに薄膜の表面に存在する炭素及びシリコン原子と上記薄膜の表面に親水性を付与する原子間の化学結合により行われる。本発明において、上記薄膜の表面に親水性を付与する原子は、酸素又は窒素原子である。通常、親水性は、水接触角(water contact angle)で表されるが、本発明による表面改質された薄膜表面の接触角は、0゜超50゜以下、好ましくは、0゜超20゜以下であるが、このような範囲が血液適合性の面で好ましい。
【0022】
また、本発明は、上記シリコン含有DLC薄膜を含む医療用材料に関し、この医療用材料は、血管ステント、心臓弁、心臓ポンプ、人工血管、血液凝固抑制用病理実験室器材、血液保管器などを含む。
【0023】
また、本発明は、(a)基板の表面に、内部及び表面にシリコンを含有するDLC薄膜を形成する段階と、(b)その薄膜の表面を活性化し、その薄膜の表面に存在する炭素及びシリコン原子と、薄膜表面に親水性を付与する原子(A)を化学的に結合させる段階とを含む、シリコン含有DLC薄膜の製造方法に関する。
【0024】
上記段階(a)では、通常の薄膜形成方法、例えば、プラズマ化学蒸着法(CVD)、プラズマ合成法、スパッタリング合成法、磁気ろ過アーク合成法、及びイオンビーム蒸着法から選択されるいずれか1つの方法で、又は、これらの方法の組み合わせのいずれかによりSi含有DLC薄膜を形成することができる。
【0025】
プラズマCVDで薄膜を形成する場合、プラズマCVD容器に炭素の前駆体、例えば、ベンゼン、アセチレン又はメタンと、シリコンの前駆体ガス、例えば、シラン(SiH4)を入れてプラズマ処理を行うこともでき、炭素前駆体を利用してプラズマ合成しながらスパッタリングによりシリコンを供給することもできる。プラズマCVD法で薄膜を蒸着する場合、バイアス電圧は−100〜−800V、装置内の圧力は0.5〜10Paの範囲内であることが好ましい。
【0026】
プラズマで薄膜を形成する場合、炭素前駆体とシリコンの前駆体ガスを共に使用することもでき、カーボンプラズマを利用してDLC薄膜を合成しながらシリコンをスパッタリングすることもできる。
【0027】
上記段階(a)で形成される薄膜の厚さは、0.001〜10μmであることが好ましい。
【0028】
上記基板は、例えば、血管ステント、心臓弁、心臓ポンプ、人工血管、血液凝固抑制用病理実験室器材、血液保管器などでもよい。
【0029】
上記段階(b)では、薄膜の表面を様々な方法で活性化することができる。例えば、上記薄膜の表面にRFプラズマ、DCプラズマ、プラズマビーム、又はイオンビームを照射してSi含有DLC薄膜の表面を活性化することができる。
【0030】
薄膜表面の活性化にプラズマを利用する場合、チャンバ内の圧力は、0.1〜10Pa、バイアス電圧は、−100〜−800Vであることが好ましい。薄膜表面の活性化にイオンビームを利用する場合、チャンバ内の圧力は、1.0×10-7〜10Paであり、電圧は、100V〜50.0kVであることが好ましい。
【0031】
上記段階(b)で薄膜表面が活性化されると、プラズマ又はイオンビームなどにより分解した反応性ガスの原子(A)が薄膜表面の結合切断部位に化学的に結合してCとA原子の結合及びSiとA原子の結合が形成される。本発明においては、改質された薄膜表面に親水性を持たせるために、好ましくは、上記反応性ガス原子として酸素又は窒素を使用する。本発明者らの認識によれば、C−A結合よりはSi−A結合が薄膜表面の親水性に大きく寄与する(実施例1を参照)。
【実施例】
【0032】
以下、実施例に基づいて本発明をより詳しく説明する。しかしながら、これらの実施例は、本発明の例示にすぎず、本発明の範囲を限定するものではない。
【0033】
実施例1:プラズマを利用した薄膜蒸着及び表面処理
1.Si含有DLC薄膜の製造
図1に示すRF−PACVD装置を使用して基板17の表面にSi含有DLC薄膜を形成した。以下、具体的な手順を説明する。
【0034】
蒸着しようとする基板17を超音波洗浄機を用いてTCE(トリクロロエチレン)、アセトン、メタノールの順にそれぞれで20分ずつ洗浄し、水で冷却される真空反応チャンバ内の電極16に設置した。真空ポンプ14を利用して反応チャンバの内部の真空を1.0×10-5torrに維持した。ガス注入口15からアルゴンガスをチャンバ内部に注入し、電極16に−400Vのラジオ波電源を印加して発生したプラズマを利用して基板を乾式洗浄した。図1における符号11はRFマッチングユニットであり、符号12はRF発生器であり、符号13はバラトロンゲージ(baratron gauge)である。
【0035】
次に、マスフローコントローラ(MFC)を利用して、ベンゼン(C66)ガス及びシラン(SiH4)を、形成される薄膜内のSiの含量が1.2〜2.5at.%となる割合で調節してチャンバ内に供給し、ラジオ波電源を加えて、Si−DLC薄膜を形成させた。
【0036】
2.Si含有DLC薄膜の表面改質
前記1.で得られたSi−DLC薄膜を図1に示す反応器に入れ、酸素、窒素、水素及びCF4プラズマでそれぞれ10分間表面処理した。表面処理した試片の表面エネルギーを分析するために純水との接触角を測定した結果を図2に示す。プラズマ処理時のバイアス電圧は−400V、圧力は1.33Paであった。
【0037】
図2に示すように、プラズマ処理時に使用するガスによって親水性の高い表面から疎水性の高い表面まで多様な特性の表面が形成された。XPS(X-ray photoelectron spectroscopy)分析の結果、酸素プラズマで処理した試片の表面は、Si−O結合とC−O結合が高い濃度で形成され、極性成分(polar component)が増加して表面が親水性に変わることが確認された。一方、CF4プラズマで処理した表面には多量のC−F結合が存在して表面が疎水性となった。このような変化は、表面のC−F結合により極性成分が急激に減少したためである(表1を参照)。
【0038】
【表1】

【0039】
この試片の血液適合性を測定するために、健康な人の血液から得た血小板濃縮血漿(血小板濃度3.0×108/ml)内に各試片を60分間浸漬し、取り出して洗浄し、試片に血小板が接着している面積比を測定した。その結果を図3に示す。横軸の括弧内にはプラズマ処理時に使用されたガスを表示した。表面処理されていない薄膜に比べて表面処理された薄膜の血小板付着が少なく、特に、窒素及び酸素プラズマ処理した場合に血小板付着が著しく減少した。
【0040】
図4は、表面処理されていないSi含有DLC薄膜上に付着した血小板の形状を示す。多量の血小板が付着しており、大部分の血小板に偽足(pseudopodia)が形成されるか、血小板が表面に広がったことが分かる。しかしながら、図5は、酸素プラズマで処理されたSi含有DLC薄膜上には血小板付着面積が著しく小さいことと、付着している大部分の血小板も活性化されていない状態で残っていることを示す。このような結果は、酸素プラズマ処理によりSi含有DLC薄膜の血液適合性が著しく増加したことを示す。
【0041】
3.純粋DLC薄膜とSi含有DLC薄膜の耐腐食特性の比較
Si含有DLC薄膜と純粋なDLC薄膜の耐腐食特性を確認するために、生体材料として広く使用されるTi−6Al−4V基板に、Si含有DLC薄膜と純粋なDLC薄膜をそれぞれバイアス電圧−400Vでコーティングし、動電位分極試験を実施した。ここで、使用されたSi含有DLC薄膜のSi含量は2at.%であった。
【0042】
図6は、Ti−6Al−4V基板、基板に純粋なDLC薄膜がコーティングされた試片、及び基板にSi含有DLC薄膜がコーティングされた試片に不動態被膜が形成されたことを示す。しかしながら、Ti−6Al−4V基板では、ポテンシャル(電位)が増加するにつれて500mVで不動態被膜が破壊されて電流密度が急激に増加し、純粋なDLC薄膜がコーティングされた試片では非常に不安定な不動態挙動が現れて800mV以上のポテンシャルで不動態被膜が破壊された。これに対して、シリコンが含まれるDLC薄膜がコーティングされた試片は腐食電流密度が最も低く、非常に安定した不動態挙動を示すが、このような結果は、Si含有DLC薄膜の耐腐食性が非常に優れているということを示す。
【0043】
4.Si−O結合とC−O結合の親水性寄与度比較
図7は、Si−OとC−O結合の効果をそれぞれ調べるために、純粋な非晶質Si薄膜をコーティングして酸素プラズマ処理した試料と、純粋な非晶質炭素薄膜をコーティングして酸素プラズマ処理した試料での血小板の吸着程度を比較した結果である。各試料はSi−O結合とC−O結合のいずれか一方のみを有する。酸素プラズマ処理した炭素薄膜に比べて酸素プラズマ処理したSi薄膜において血小板の吸着が著しく減少したが、これは、薄膜表面のSi−O結合が血液適合性の向上に大きく寄与することを示す。従って、酸素プラズマで処理すると血液適合性が著しく向上するのは、表面に存在するSi−O結合のためであることが確認された。
【0044】
実施例2:イオンビームを利用した薄膜蒸着及び表面処理
1.DLC薄膜の製造
蒸着前に基板をアルゴンイオンビームを利用して0.49Pa、−400Vで15分間洗浄した。Si−DLC薄膜がよく吸着されるようにするために、基板に初期バッファ層として非晶質シリコン(a−Si)をDLC薄膜と基板間に蒸着した。
【0045】
ハイブリッドイオンビーム装置を利用してP型のSi100基板上にDLC薄膜及びSi−DLC薄膜をそれぞれ蒸着した。装置電圧は1000Vであり、蒸着圧力は1.33Paであった。炭素供給源としてはベンゼンを、Siの供給源としては希釈されたシランガスを使用した(SiH4/H2=10:90)。薄膜の厚さは、0.55±0.01μmにした。薄膜の厚さはアルファステップ表面形状測定装置(alpha step profilometer)で測定した。薄膜のSi含量は0〜4.88at%に調節し、該含量は、RBS(Rutherford backscattering spectroscopy)で測定した。
【0046】
次に、蒸着したDLC薄膜及びSi−DLC薄膜を窒素及び酸素イオンビームでそれぞれ処理した。イオンビーム処理時のチャンバ内の圧力は1.33Pa、電圧は1000V、処理時間は10分であった。エッチング速度は24nm/minであったので、薄膜が240nmの厚さにエッチングされたことを予想することができる。
【0047】
図8の(b)は、イオンビーム処理によりSi−DLC薄膜表面の粗さが増加したことを示す。特に、Si含量が1.0〜2.66at%範囲のときに粗さが最大になることが確認された。イオンビーム処理完了後に、薄膜を常温の一般空気中に露出し、温度20〜25℃、湿度60〜70%に維持した。
【0048】
2.薄膜特性検査
(1)ぬれ角測定
イオンビーム処理後、20日間各試片のぬれ角を蒸留水を利用して測定した。ぬれ角測定前に窒素ガスで表面の埃を吹き飛ばし、5μLの蒸留水(純水の水滴)を試料表面に軽く滴下して測定した。ぬれ角を正確に観察するために、ぬれ角の測定後には測定した所を表示して、試料表面の同じ部分のぬれ角を再び測定しないようにした。これは、水で汚染された表面部位において再度ぬれ角を測定すると、正確な測定が行われないためである。ぬれ角の測定にはNRL Contact Angle Goniometerを利用した。基板の基準線を合わせて、純水の水滴を軽く滴下した後、角度計で測定した角度を読み、純水の水滴のぬれ角の写真を撮った。
【0049】
(2)表面分析
AFM(Atomic Force Microscope)装置としてAutoprobe CP research system(Thermo Microscope Inc, USA)を使用して、ノンコンタクトモード(Non contact mode)で2μm×2μm領域の表面粗さを測定した。表面粗さはRMS(Root Mean Square)値を採用した。
【0050】
3.N2及びO2イオンビーム表面処理効果
図9の(a)及び(b)に示すように、イオンビーム処理を行っていないDLC薄膜とSi−DLC薄膜(Siの含量は2.66at%)のぬれ角は全て約76゜で類似しており、この条件でぬれ角は時間の経過に関係なく一定であった。
【0051】
しかしながら、図10の(a)〜(d)は、DLC薄膜をO2とN2イオンビーム処理した場合に時効現象が現れることを示す。すなわち、DLC薄膜表面をN2イオンビーム処理して6時間経過後に測定したぬれ角は43.3゜で(a)、N2イオンビーム処理して21日経過後に測定したぬれ角は87.3゜であった(b)。一方、DLC薄膜表面をO2イオンビーム処理して1日経過後に測定したぬれ角は36.2゜で(c)、O2イオンビーム処理して22日経過後に測定したぬれ角は77.2゜であった(d)。このような結果は、純粋なDLC薄膜の表面は酸素又は窒素イオンビームで処理してもぬれ角が増加して親水性を失うことを示す。
【0052】
図11は、Si−DLC薄膜においては、表面での純水のぬれ角がDLC薄膜とは異なる挙動を示すことを示す。具体的には、Si−DLC薄膜表面をN2イオンビーム処理した直後のぬれ角は、22.3゜(a)で、21日経過後のぬれ角は、65.6゜(b)で、O2イオンビーム処理した直後のぬれ角は、10.7゜(c)で、21日経過後のぬれ角は、15.3゜(d)であった。すなわち、Si−DLC薄膜の表面をN2イオンビーム処理した場合は、20日経過後に約60゜のぬれ角を示して疎水性に戻るのに対して、O2イオンビーム処理した場合は、ぬれ角が15.3゜であり、時効現象がほとんど現れなかった。
【0053】
図12は、Pure−DLC薄膜及びSi−DLC薄膜を表面処理した後、20日以上ぬれ角を継続して測定した結果を示す。図12は、DLC薄膜の場合、N2イオンビーム処理した試片がO2イオンビーム処理した試片より初期時効速度は速いが、表面処理して20日経過後は類似したぬれ角を有することを示す。しかしながら、同様にO2処理を行っているにもかかわらず、Si−DLC薄膜表面の親水性はDLC薄膜に比べてより長く持続することを示す。
【0054】
Pure−DLC薄膜表面とSi−DLC薄膜表面をそれぞれ酸素及び窒素イオンビーム処理した4つの試片を全体的に比べると、初期に時効現象が最も急激に発生するのは、DLC薄膜表面をN2イオンビームで処理した場合であるが、DLC薄膜においては、初期時効速度が異なるだけで、約5日後からは同程度の時効現象を示す。これに対して、Si−DLC薄膜においては、DLC薄膜に比べて時効速度が遅く、特に、Si−DLC薄膜表面をO2イオンビーム処理した場合は20日経過後も約15゜のぬれ角が維持された。
【0055】
図13は、Si−DLC薄膜のSiの原子分率(at.%)を変化させた場合のSi−DLC薄膜表面のぬれ角の時間による変化を観察した結果を示す。Si−DLC薄膜のSiの含量が1.0〜2.0at.%であり、O2イオンビーム処理をしない場合、約75゜のぬれ角が20日間一定に維持された。しかしながら、Si含量がそれぞれ1.24at.%及び2.42at.%の試片をO2イオンビームで処理した場合は、空気中に露出して6時間経過後のぬれ角が8゜で、ぬれ角が次第に増加するが、20日経過後もぬれ角が15゜未満であり、表面の親水性(又は、ほぼ超親水性)が維持された。これに対して、Si−DLC薄膜のシリコン含量がそれぞれ2.66at.%及び3.25at.%の場合は、初期の低いぬれ角が14゜と27゜にそれぞれ増加した。このような結果は、Siの含量が増加すると次第に時効現象が発生するということを意味する。特に、Si含量が100at.%の場合、すなわち、非晶質水素化シリコン(amorphous silicon hydrogenated, a−Si:H)薄膜が蒸着した表面では表面処理後に急激に時効現象が現れるが、これは一般のシリコン表面で現れるものと類似している。
【0056】
図14の(a)〜(d)のAFM画像において、Si−DLC薄膜をO2イオンビーム処理した場合、薄膜のSi含量が1.24at.%及び2.42at.%であったとき、表面粗さ値が高いことが分かる。また、下記の表2に示すように、Si−DLC薄膜を酸素イオンビーム処理した場合、イオンビーム処理前のSi含量がそれぞれ1.24at.%及び2.42at.%であったが、酸素イオンビーム処理後には表面のSiの含量が約17及び20%と測定されたが、これは、酸素イオンビーム処理により薄膜表面の炭素がエッチングされて薄膜内のSiが表面に表れて表面のSi含量が高くなったことによると考えられる。
【0057】
【表2】

【0058】
図14及び表2に示すように、本発明によるSi−DLC薄膜表面の親水性が長期間持続することは、酸素イオンビーム処理により薄膜表面にナノスケールの粗さが形成され、また、表面のSi含量の増加に起因すると理解される。これは、Si−DLC薄膜上にO2イオンビーム処理すると、薄膜の主成分である炭素はエッチングされるが、シリコンは残って薄膜表面にナノサイズの粗さを有するナノパーティクルを形成するからである。このようなナノパーティクルは主にSi成分からなり、O2イオンビーム処理中にSi−O結合を増加させる。薄膜の表面に極性成分の結合が形成されて親水性が現れるということをXPS分析により確認した。
【0059】
前述したように、DLC薄膜及びSi−DLC薄膜にそれぞれN2又はO2イオンビーム処理を行った場合、処理直後には全ての試片が親水性を有していたが、時間が経過するにつれて疎水性に戻る時効現象が観察された。しかしながら、Si−DLC薄膜表面にO2イオンビームを処理した場合、親水性が20日以上維持された。AFMで分析した結果、表面粗さがSi−DLC薄膜をO2で処理した場合に最大となり、このようなナノサイズの表面粗さが親水性を増加させ、親水性を長期間持続させる役割を果たした。Si−DLC薄膜をO2で処理すると、薄膜の主成分である炭素はエッチングされるが、Siは残って薄膜表面にナノサイズの表面粗さが形成されるようにする。このようなナノサイズの粗さを有する表面は、主にSiからなり、O2イオンビーム処理中にSi−O結合を生成させる。XPS分析によれば、極性成分を有する結合が薄膜の表面に形成されたことが確認されるが、このような極性成分の結合が表面に親水性を付与し、また親水性を半永久的に持続させる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部及び表面にシリコンを含有するダイヤモンド状炭素薄膜の表面に、前記薄膜の表面に存在する炭素及びシリコン原子と前記薄膜の表面に親水性を付与する原子(A)間の化学結合を有する、シリコン含有ダイヤモンド状炭素薄膜。
【請求項2】
シリコンの含量が0.5〜17at.%である請求項1に記載のシリコン含有ダイヤモンド状炭素薄膜。
【請求項3】
シリコンの含量が1.0〜2.5at.%である請求項1に記載のシリコン含有ダイヤモンド状炭素薄膜。
【請求項4】
表面粗さが10〜20nmである請求項3に記載のシリコン含有ダイヤモンド状炭素薄膜。
【請求項5】
薄膜の表面に親水性を付与する原子(A)は、酸素又は窒素原子である請求項1に記載のシリコン含有ダイヤモンド状炭素薄膜。
【請求項6】
前記原子(A)は酸素原子であり、前記薄膜の表面のSi−O結合は30〜60%である請求項1に記載のシリコン含有ダイヤモンド状炭素薄膜。
【請求項7】
表面の接触角が0゜より大きく50゜以下である請求項1に記載のシリコン含有ダイヤモンド状炭素薄膜。
【請求項8】
表面の接触角が0゜より大きく20゜以下である請求項1に記載のシリコン含有ダイヤモンド状炭素薄膜。
【請求項9】
請求項1に記載のシリコン含有ダイヤモンド状炭素薄膜を含む医療用材料。
【請求項10】
血管ステント、心臓弁、心臓ポンプ、人工血管、血液凝固抑制用病理実験室器材、又は血液保管器である請求項9に記載の医療用材料。
【請求項11】
細胞又は生体の臓器を成長させるためのものである請求項9に記載の医療用材料。
【請求項12】
(a)基板の表面に、内部及び表面にシリコンを含有するダイヤモンド状炭素薄膜を形成する段階と、
(b)前記薄膜の表面を活性化し、前記薄膜の表面に存在する炭素及びシリコン原子を、前記薄膜の表面に親水性を付与する原子(A)と化学的に結合させる段階と
を含む、シリコン含有ダイヤモンド状炭素薄膜の製造方法。
【請求項13】
前記段階(a)では、プラズマCVD法、プラズマ合成法、スパッタリング合成法、磁気ろ過アーク合成法、及びイオンビーム合成法のいずれか1つの方法で又はこれらの方法の2つ以上の組み合わせで薄膜を形成する請求項12に記載のシリコン含有ダイヤモンド状炭素薄膜の製造方法。
【請求項14】
前記段階(a)で形成されるシリコン含有ダイヤモンド状炭素薄膜のシリコンの含量が0.5〜17at.%である請求項12に記載のシリコン含有ダイヤモンド状炭素薄膜の製造方法。
【請求項15】
前記段階(a)で形成されるシリコン含有ダイヤモンド状炭素薄膜のシリコンの含量が1.0〜2.5at.%である請求項12に記載のシリコン含有ダイヤモンド状炭素薄膜の製造方法。
【請求項16】
前記段階(b)では、プラズマ又はイオンビーム処理して薄膜の表面を活性化する請求項12に記載のシリコン含有ダイヤモンド状炭素薄膜の製造方法。
【請求項17】
前記プラズマ処理時のチャンバ内の圧力は0.1〜10Paであり、バイアス電圧は−100〜−800Vである請求項16に記載のシリコン含有ダイヤモンド状炭素薄膜の製造方法。
【請求項18】
前記イオンビーム処理時の圧力は1.0×10-7〜10Paであり、電圧は100V〜50.0kVである請求項16に記載のシリコン含有ダイヤモンド状炭素薄膜の製造方法。
【請求項19】
段階(b)で得られる薄膜の表面粗さが10〜20nmである請求項12に記載のシリコン含有ダイヤモンド状炭素薄膜の製造方法。
【請求項20】
前記薄膜の表面に親水性を付与する原子(A)は、酸素又は窒素原子である請求項12に記載のシリコン含有ダイヤモンド状炭素薄膜の製造方法。
【請求項21】
段階(b)で得られる薄膜の表面の接触角が0゜より大きく50゜以下である請求項12に記載のシリコン含有ダイヤモンド状炭素薄膜の製造方法。
【請求項22】
段階(b)で得られる薄膜の表面の接触角が0゜より大きく20゜以下である請求項12に記載のシリコン含有ダイヤモンド状炭素薄膜の製造方法。
【請求項23】
前記基板は、血管ステント、心臓弁、心臓ポンプ、人工血管、血液凝固抑制用病理実験室器材、又は血液保管器である請求項12に記載のシリコン含有ダイヤモンド状炭素薄膜の製造方法。
【請求項24】
前記基板は、ガラス、鏡、又はシリコン基板である請求項12に記載のシリコン含有ダイヤモンド状炭素薄膜の製造方法。
【請求項25】
内部及び表面にシリコンを含有するシリコン含有ダイヤモンド状炭素薄膜の表面を酸素プラズマ、窒素プラズマ、又はイオンビームで処理して、前記薄膜の表面にSi−N又はSi−O結合を生成させることを含む、シリコン含有ダイヤモンド状炭素薄膜の血液適合性の向上方法。
【請求項26】
内部及び表面にシリコンを含有するシリコン含有ダイヤモンド状炭素薄膜の表面を酸素プラズマ、窒素プラズマ、又はイオンビームで処理して、前記薄膜の表面にSi−N又はSi−O結合を生成させることを含む、シリコン含有ダイヤモンド状炭素薄膜の親水性の付与方法。
【請求項27】
シリコン含有ダイヤモンド状炭素薄膜のシリコンの含量は0.5〜17at.%である請求項25又は26に記載の方法。
【請求項28】
内部及び表面にシリコンを含有するシリコン含有ダイヤモンド状炭素薄膜の表面を酸素プラズマで処理して、前記薄膜の表面にSi−O結合を生成させることを含む、シリコン含有ダイヤモンド状炭素薄膜の親水性の半永久的維持方法。
【請求項29】
シリコン含有ダイヤモンド状炭素薄膜のシリコンの含量は1.0〜2.5at.%である請求項28に記載の方法。
【請求項30】
鏡、ガラス、又はシリコンの表面に請求項1に記載のシリコン含有ダイヤモンド状炭素薄膜を形成して前記表面の曇りを防止する方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate


【公表番号】特表2012−500905(P2012−500905A)
【公表日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−535501(P2011−535501)
【出願日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際出願番号】PCT/KR2009/005765
【国際公開番号】WO2011/043503
【国際公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【出願人】(304039548)コリア・インスティテュート・オブ・サイエンス・アンド・テクノロジー (36)
【Fターム(参考)】