説明

シリコーン系材料組成物、シリカ系被膜及び半導体装置

【課題】 流動性に優れ、平坦化効果が良好であり、かつ、クラックが入りにくく、酸化珪素膜やアルミニウム等の基板又は配線材料に対して優れた接着性及び耐熱性を有する膜を形成するためのシリコーン系材料組成物を提供する。
【解決手段】 熱硬化前にアモルファス状態にあり、熱硬化後に結晶状態となるシリコーン系材料と、1気圧下の沸点が150〜300℃であり熱硬化前で5質量%以下の高沸点溶剤と、を含有してなるシリコーン系材料組成物であり、該シリコーン系材料組成物を基体表面上に塗布した後に形成された塗膜をリフローさせる用途に用いられるシリコーン系材料組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリカ系被膜形成に有用なシリコーン系材料組成物、シリカ系被膜及び半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、IC、LSI等の半導体素子の層間絶縁膜、平坦化膜、保護膜等としてアルコキシシラン又はその部分縮合物の硬化膜が使用されている。これらの材料には、均一な硬化被膜を得るため、硬化前に均一に塗布できるよう適当な流動性を有する必要がある。
【0003】
また、半導体集積回路には基板上に電気回路や電極が形成されるため段差がり、多層配線構造を持つ半導体素子においてはこれらの回路や電極が絶縁層をはさんで多層化されるが絶縁層が下部回路の段差の形をそのまま反映すると上部電気回路を段差のある面に形成することになり配線ショートなどが起こりやすくなる。そこで、絶縁層を平坦に形成する技術が求められる。このような技術上の要求に対していくつかの提案がなされている。
【0004】
例えば、平坦な膜形成が可能な材料としてシリル化ポリシルセスキオキサン(特許文献1、2参照)、テトラアルコキシシラン、トリアルコキシシラン及びジアルコキシシランの混合物(特許文献3参照)、ジクロルシラン、トリクロルシラン及びジクロル燐酸からなる共重合体(特許文献4参照)が提案されている。また、熱軟化温度と架橋温度が異なるシリコーン樹脂が提案され(特許文献5参照)、さらにラダー型シリコーンオリゴマから形成されたオルガノポリシロキサンが優れた平坦膜を提供できる材料として提案されている(特許文献6参照)。
【0005】
しかし、上記した提案材料及び方法では回路の微細化及び多層化の進んだ超LSIに適用することを考慮した場合、特に平坦化の性能において不十分な場合があり、急速に進む集積化に絶縁膜材料が追従できない現状がある。
【特許文献1】特開昭61−29153号公報
【特許文献2】特開昭61−201430号公報
【特許文献3】特開昭62−230828号公報
【特許文献4】特開昭62−290151号公報
【特許文献5】特開平1−216543号公報
【特許文献6】特開平1−305525号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、流動性に優れ、平坦化効果が良好であり、かつ、クラックが入りにくく、酸化珪素膜やアルミニウム等の基板又は配線材料に対して優れた接着性及び耐熱性を有する膜を形成するためのシリコーン系材料組成物を提供ものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、熱硬化前にアモルファス状態にあり、熱硬化後に結晶状態となるシリコーン系材料と、1気圧下の沸点が150〜300℃であり熱硬化前で5質量%以下の高沸点溶剤と、を含有してなるシリコーン系材料組成物であり、該シリコーン系材料組成物を基体表面上に塗布した後に形成された塗膜をリフローさせる用途に用いられるシリコーン系材料組成物に関する。本発明は、また、このシリコーン系材料組成物において、上記シリコーン系材料が、アルコキシシラン化合物の部分加水分解物を含むものであるシリコーン系材料組成物に関する。また、このシリコーン系材料組成物において、上記アルコキシシラン化合物の部分加水分解物が、熱硬化前には水酸基を1〜20質量%及びアルコキシ基を1〜15質量%含むものであるシリコーン系材料組成物に関する。本発明は、また、高沸点溶剤が、n−ノナン、キュメン、ジメチルホルムアミド、アニソール、乳酸エチル、シクロヘキサノン、エチルアミルケトン、セロソルブアセテート、4−メトキシ−4−メチルペンタノン−2、ヘキサノール−1、メトキシブタノール、シクロヘキサノール、フルフラール、五塩化エタン、エチレングリコールモノイソプロピルエーテルアセテート、ジアセトンアルコール、メチルシクロヘキサノン、フルフリルアルオール、メトキシブチルアセテート、ブチルセロソルブ、3−メチル−3−メトキシブタノール、n−デカン、シクロヘキシルアセテート、メチルカーバメート、ジクロルエチルエーテル、テトラヒドロフルフリルアルコール、o−ジクロルベンゼン、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、アセト酢酸エチル、スワゾール1500、石炭酸、2−エチルヘキサノール、アニリン、プロピレングリコール、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジメチルスルホキシド、エチレングリコールジアセテート、ベンゾニトリル、デカリン、ブチルセロソルブアセテート、ジメチルアニリン、メチルカルビトール、オクタノール−1、パインオイル、エチレングリコール、2−エチルヘキシルアセテート、安息香酸メチル、ヘキシレングリコール、スワゾール1800、アセトフェノン、カービトール、N−メチル−2−ピロリドン、エチレングリコールジブチルエーテル、フェニルメチルカービノール、ベンジルアルコール、テトラリン、1,3−ブチレングリコール、ニトロベンゼン、タービネオール、イソホロン、メチルベンジルアルコール、カービトールアセテート、アセトアミド、サリチル酸メチル、ブチルカービトール、キノリン、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル及びトリアセチンからなる群より選ばれる少なくとも一種を含むシリコーン系材料組成物に関する。本発明は、また、上記高沸点溶剤の1気圧下の沸点が200〜300℃であるシリコーン系材料組成物に関する。
【発明の効果】
【0008】
本発明におけるシリコーン系材料組成物は、流動性に優れ、平坦化効果が良好であり、かつ、これから形成された硬化被膜はクラックが入りにくく、酸化珪素膜やアルミニウム等の基板又は配線材料に対して優れた接着性及び耐熱性を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明のシリコーン系材料は、熱硬化前にアモルファス状態にあるため、流動性がすぐれ、均一な膜を形成することができる。アモルファス状態とはシリコーン系材料構造の50%以上がアモルファス構造であるものの全体を示しており、全体の中に結晶構造を含んでいてもかまわない。同様に、熱硬化後の結晶状態とはシリコーン系材料の構造の50%を超える部分が結晶構造であるものの全体を示しており、全体の中にアモルファス構造を含んでいてもかまわない。
【0010】
このシリコーン系材料としては、良好なアモルファス状態を維持するために、熱硬化前に水酸基は1〜20質量%、アルコキシ基は1〜15質量%含むものが好ましい。これらの官能基が少なすぎる場合、熱硬化前にアモルファス状態を維持することがむずかしい。また、水酸基又はアルコキシ基が多すぎる場合、組成物の安定性低下や硬化したシリコーン系材料の膜特性が低下しやすくなる。
【0011】
本発明において、シリコーン系材料としては、アルコキシシラン化合物の部分加水分解物が好ましい。また、アルコキシシラン化合物としては、化1〔一般式(I)〕
【化1】



(式中、Rは炭素数1〜4のアルキル基、R’は水素、炭素数1〜4のアルキル基又はアリール基、nは0、1又は2を意味する)で表される化合物が好ましい。
【0012】
前記一般式(I)で表されるアルコキシシラン化合物は、具体的には以下に示すものがある。
【化2】



等のテトラアルコキシシラン。
【0013】
【化3】



等のモノアルキルトリアルコキシシラン(上記において、Phはフェニル基を示す。以下同じ)。
【0014】
【化4】



等のジアルキルジアルコキシシラン。
【0015】
【化5】



等の水素アルコキシシラン。
【0016】
また、アルコキシシラン化合物としては、
【化6】



等を使用することができる。
【0017】
アルコキシシラン化合物としては、トリメチルモノメトキシシラン等のトリアルキルモノアルコキシシラン、トリフェニルモノメトキシシラン等のトリアリールモノアルコキシシラン等を分子量調整のために使用してもよい。
【0018】
アルコキシシラン化合物の部分加水分解物とは、これらのアルコキシシラン化合物を1種又は2種以上併用して、加水分解して製造される。この加水分解反応に際し、多くの場合、重縮合反応が伴う。このとき、触媒としては、塩酸、硫酸、リン酸、硝酸、フッ酸等の無機酸、シュウ酸、マレイン酸、スルホン酸、ギ酸等の有機酸を使用することが好ましく、アンモニア、トリメチルアンモニウムなどの塩基性触媒を用いることもできる。これら触媒は、アルコキシシラン化合物の量に応じて適当量用いられるが、アルコキシシラン化合物1モルに対し0.001〜0.5モルの範囲で用いられることが好ましい。
【0019】
また、上記の加水分解・重縮合は、溶媒中で行うことが好ましい。また、この反応に際して、水が存在させられる。水の量も適宜決められるが、余り少ない場合や多すぎる場合には塗布液の保存安定性が低下するなどの問題があるので、水の量は、アルコキシシラン化合物1モルに対して0.5〜4モルの範囲とすることが好ましい。
【0020】
以上のようにして得られる加水分解・重縮合生成物の反応液(シラノールオリゴマ液)は、そのままで本発明のシリコーン系材料組成物として使用することができる。また、溶媒を除去後、改めて前記溶媒に溶解してえられるシラノールオリゴマ液をシリコーン系材料組成物としてから使用することができる。上記の溶媒としては、メチルアルコノール、エチルアルコノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール等のアルコール系、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル等の酢酸エステル系、エチレングリコールモノメチルアセテート、エチレングリコールジアセテート等のグリコールアセテート系溶媒、N,N−メチル−2ピロリドン等のアミド系溶媒、グリコールエーテル系溶媒等種々の溶媒があげられ、これらは1種または2種以上が用いられる。
【0021】
本発明のシリコーン系材料組成物が熱硬化前に高沸点有機溶剤の含有量が0〜5質量%の場合、高埋込性や高平坦性はさらに向上する。ここで言う高沸点溶剤とは1気圧下の沸点が100℃以上で300℃以下の化合物であり、前記溶媒の一部である。
【0022】
以下に代表的高沸点溶剤を例示する。沸点が100℃から150℃の範囲にある有機溶剤としてはリグロイン、メチルシクロヘキサン、ジオキサン、アセタール、トリクロロブロモメタン、イソブタノール、酢酸s−ブチル、トルエン、1,1,2−トリクロルエタン、ピリジン、メチルイソブチルケトン、n−ブタノール、酢酸イソブチル、酢酸、プロピレングリコールモノメチルエーテル、2−ニトロプロパン、パークロルエチレン、メチルセロソルブ、n−オクタン、酢酸n−ブチル、モルホリン、酢酸アミル、メシチルオキサイド、4−メチル−2−ペンタノール、1−ニトロプロパン、エチルシクロヘキサン、クロルベンゼン、セロソルブ、JPIA、メチルイソアミルケトン、エチルベンゼン、キシレン、n−アミルアルコール、無水酢酸、メチルアミルケトン、ジブチルエーテル、酢酸イソアミル、エチルn-ブチルケトン、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、乳酸メチル、メチルセロソルブアセテート、イソブチルイソブチレート、酢酸n-アミルなどがある。
【0023】
また、150℃から200℃の範囲で沸点を持つ有機溶剤としてはn−ノナン、キュメン、ジメチルホルムアミド、アニソール、乳酸エチル、シクロヘキサノン、エチルアミルケトン、セロソルブアセテート、4−メトキシ−4−メチルペンタノン−2、ヘキサノール−1、メトキシブタノール、シクロヘキサノール、フルフラール、五塩化エタン、エチレングリコールモノイソプロピルエーテルアセテート、ジアセトンアルコー
ル、メチルシクロヘキサノン、フルフリルアルコール、メトキシブチルアセテート、ブチルセロソルブ、3−メチル−3−メトキシブタノール、n−デカン、シクロヘキシルアセテート、メチルカーバメート、ジクロルエチルエーテル、テトラヒドロフルフリルアルコール、o−ジクロルベンゼン、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、アセト酢酸エチル、スワゾール1500、石炭酸、2−エチルヘキサノール、アニリン、プロピレングリコール、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジメチルスルホキシド、エチレングリコールジアセテート、ベンゾニトリル、デカリン、ブチルセロソルブアセテート、ジメチルアニリン、メチルカルビトール、オクタノール−1、パインオイル、エチレングリコール、2−エチルヘキシルアセテート、安息香酸メチル、ヘキシレングリコールなどがある。さらに200℃から300℃の範囲で沸点を持つ有機溶剤としてはスワゾール1800、アセトフェノン、カービトール、N−メチル−2−ピロリドン、エチレングリコールジブチルエーテル、フェニルメチルカービノール、ベンジルアルコール、テトラリン、1,3−ブチレングリコール、ニトロベンゼン、タービネオール、イソホロン、メチルベンジルアルコール、カービトールアセテート、アセトアミド、サリチル酸メチル、ブチルカービトール、キノリン、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジ-n-ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリアセチンなどがある。これらの有機溶剤は単独で使用しても数種類を混合して使用しても良い。
【0024】
本発明は、また、これらのシリコーン系材料組成物のいずれかを基体表面上に塗布後、硬化させてなるシリカ系被膜に関する。本発明は、また、このシリカ系被膜を層間絶縁膜とした半導体装置に関する。
【0025】
本発明は、このようなシリコーン系材料組成物を用いて得られ、膜の均一性、平坦性に優れクラックのないシリカ系被膜を提供するものである。本発明は、また、このようなシリカ系被膜をもちいた半導体装置を提供するものである。
【0026】
このようにして得られたシリコーン系材料組成物を用いてシリカ系被膜を形成するには、シリコーン系材料組成物をシリコンウエハー、アルミニウム等の金属板、表面に金属を形成したシリコンウエハー、回路の形成されたシリコンウエハー等の基体上に、浸漬法、回転塗布法などの方法で塗布した後、乾燥し、アモルファス状態の塗膜を得る。ついで、窒素雰囲気中で100〜1000℃、好ましくは100〜500℃で硬化する。硬化するに際して、100〜200℃に加熱して、シリコーン系材料をリフローさせることが好ましい。リフローさせた後、消オンして昇温して硬化させることが好ましい。硬化時間は短い方が好ましく、1時間以内が好ましい。このシリカ系被膜を多層配線構造の層間膜(絶縁層間膜)として半導体装置を得ることができる。
【0027】
上記シリカ系被膜は、このようなシリコーン系材料組成物用いて得られ、膜の均一性、平坦性に優れクラックの発生がない。上記半導体装置は、このようなシリカ系被膜を層間絶縁層として有し、信頼性が高い。
【実施例】
【0028】
実施例1
テトラメトキシシランとメチルトリメトキシシランを等モルで混合した後、この混合物を多量のイソプロピルアルコール中に溶解させ、水と少量のりん酸を変化させて加えた後撹拌してテトラメトキシシラン及びメチルトリメトキシシランの部分加水分解及び重縮合を行い、シリコーン系材料のイソプロピルアルコール液(シリコーン系材料組成物)を得た。この組成物中、シリコーン系材料には5質量%の水酸基と7質量%のアルコキシ基が含まれていた。水酸基とアルコキシ基の量は、シリコーン系材料組成物を核磁気共鳴スペクトル分析し、得られたチャートの各ピークの帰属とそのピークの面積強度を決定し、この結果に基づいて計算し決定した。これは、以下においても同様である。
【0029】
シリコーン系材料組成物を用いてシリカ系被膜を形成した。この方法を図1を用いて説明する。図1は、本発明の半導体装置の製造工程の一例を示す断面図である。半導体基板1上に形成された厚さ1ミクロンの下層配線2上に、第1のプラズマ酸化膜3が0.5ミクロンの厚さに形成されている基板を使用した。この基板上に上記のシリコーン系材料組成物を回転塗布し、塗膜4を形成した〔図1(a)〕。
【0030】
塗膜4からイソプロピルアルコールが蒸発したあとに残ったシリコーン系材料組成物の結晶化度をX線回折法で分析したところ、大部分がアモルファス状態であったが、比較例1では結晶状態であった。これをホットプレート上で150℃で3分加熱して、シリコーン系材料組成物をリフローさせた後ホットプレートの温度を上げ200℃で3分、石英管を用いて窒素気流中450℃で30分間加熱して硬化した。実施例1では、シリコーン系材料組成物は優れたリフロー性を示し、塗膜表面の平坦性は90%であり、優れていた〔図1(b)〕。硬化後の塗膜(シリカ系被膜)4をX線回折法で分析した結果、大部分が結晶状態であった。
【0031】
さらに、硬化後の塗膜(シリカ系被膜)4の上に第2のプラズマ酸化膜5を0.5ミクロンの厚さに形成した後、エッチングにより接続穴6を形成し、さらに厚さ1ミクロンの上層配線7を形成して半導体装置を作成した〔図1(c)〕。硬化後の塗膜(シリカ系被膜)4にクラックの発生はなかった。
【0032】
実施例2
テトラメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン及びジメチルジメトキシシランを等モルで混合した後この混合物を多量のn−ブチルアルコールと少量(n−ブチルアルコールに対して10重量%)の高沸点溶剤であるブチルカルビトールとグリセリンの同重量混合物からなる混合溶剤中に溶解させ、水と少量のりん酸を加えた後撹拌して部分加水分解及び重縮合させてシリコーン系材料の溶液(シリコーン系材料組成物)を得た。このシリコーン系材料には2質量%の水酸基と10質量%のアルコキシ基が含まれていた。上記のシリコーン系材料組成物を用いたこと以外は、実施例1と同様に配線の層間絶縁膜を形成したところ平坦性は91%と優れていた。上記のシリコーン系材料組成物から形成された塗膜4は硬化前はアモルファス状態であったものが硬化後は結晶状態となった。硬化後の塗膜(シリカ系被膜)4にクラックの発生はなかった。
【0033】
実施例3
米国オーエンス・イリノイス(Owens Illinois)社製ラダーシリコーンオリゴマ(水酸基:4質量%、アルコキシ基:4質量%)を5質量%のジエチレングリコールジエチルエーテルを含むイソプロピルアルコールに溶解させ、シリコーン系材料のイソプロピルアルコール溶液(シリコーン系材料組成物)を得た。このシリコーン系材料組成物を用いたこと以外は実施例1と同様にして層間絶縁膜を形成した。得られた層間絶縁膜の平坦性は89%であり、優れたものであった。また、上記のシリコーン系材料組成物から形成された塗膜4は硬化前はアモルファス状態であったが、硬化後に結晶状態に変化した。硬化後の塗膜(シリカ系被膜)4にクラックの発生はなかった。
【0034】
比較例1
テトラメトキシシランとメチルトリメトキシシランを等モルで混合した後、この混合物を多量のイソプロピルアルコール中に溶解させ、水と少量のりん酸を実施例1とは異なった量で加えた後撹拌してシリコーン系材料のイソプロピルアルコール溶液を得た。このシリコーン系材料には3質量%の水酸基を含んでいたが、アルコキシ基は含まれていなかった。実施例1と同様に配線の層間絶縁膜を形成したところ平坦性は64%であり、劣っていた。上記のシリコーン系材料のイソプロピルアルコール溶液から形成された塗膜は硬化前及び硬化後で結晶状態であった。
【0035】
比較例2
テトラメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン及びジメチルジメトキシシランを等モルで混合した後、この混合物を多量のイソプロピルアルコール中に溶解させ、水と少量のりん酸を実施例1とは異なった量で加えた後撹拌してシリコーン系材料のイソプロピルアルコール溶液を得た。このシリコーン系材料には水酸基もアルコキシ基も含まれていなかった。実施例1と同様に配線の層間絶縁膜を形成したところ平坦性は60%であり、劣っていた。上記のシリコーン系材料のイソプロピルアルコール溶液から形成された塗膜は硬化前及び硬化後で結晶状態であった。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の半導体装置の製造工程の一例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0037】
1…半導体基板、2…下層配線、3…第一のプラズマ酸化膜、4…塗膜、5…第二のプラズマ酸化膜、6…接続穴、7…上層配線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱硬化前にアモルファス状態にあり、熱硬化後に結晶状態となるシリコーン系材料と、1気圧下の沸点が150〜300℃であり熱硬化前で5質量%以下の高沸点溶剤と、を含有してなるシリコーン系材料組成物であり、該シリコーン系材料組成物を基体表面上に塗布した後に形成された塗膜をリフローさせる用途に用いられるシリコーン系材料組成物。
【請求項2】
前記シリコーン系材料が、アルコキシシラン化合物の部分加水分解物を含むものである、請求項1記載のシリコーン系材料組成物。
【請求項3】
前記アルコキシシラン化合物の部分加水分解物が、熱硬化前には水酸基を1〜20質量%及びアルコキシ基を1〜15質量%含むものである、請求項2記載のシリコーン系材料組成物。
【請求項4】
前記高沸点溶剤が、n−ノナン、キュメン、ジメチルホルムアミド、アニソール、乳酸エチル、シクロヘキサノン、エチルアミルケトン、セロソルブアセテート、4−メトキシ−4−メチルペンタノン−2、ヘキサノール−1、メトキシブタノール、シクロヘキサノール、フルフラール、五塩化エタン、エチレングリコールモノイソプロピルエーテルアセテート、ジアセトンアルコール、メチルシクロヘキサノン、フルフリルアルオール、メトキシブチルアセテート、ブチルセロソルブ、3−メチル−3−メトキシブタノール、n−デカン、シクロヘキシルアセテート、メチルカーバメート、ジクロルエチルエーテル、テトラヒドロフルフリルアルコール、o−ジクロルベンゼン、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、アセト酢酸エチル、スワゾール1500、石炭酸、2−エチルヘキサノール、アニリン、プロピレングリコール、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジメチルスルホキシド、エチレングリコールジアセテート、ベンゾニトリル、デカリン、ブチルセロソルブアセテート、ジメチルアニリン、メチルカルビトール、オクタノール−1、パインオイル、エチレングリコール、2−エチルヘキシルアセテート、安息香酸メチル、ヘキシレングリコール、スワゾール1800、アセトフェノン、カービトール、N−メチル−2−ピロリドン、エチレングリコールジブチルエーテル、フェニルメチルカービノール、ベンジルアルコール、テトラリン、1,3−ブチレングリコール、ニトロベンゼン、タービネオール、イソホロン、メチルベンジルアルコール、カービトールアセテート、アセトアミド、サリチル酸メチル、ブチルカービトール、キノリン、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル及びトリアセチンからなる群より選ばれる少なくとも一種を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載のシリコーン系材料組成物。
【請求項5】
前記高沸点溶剤の1気圧下の沸点が200〜300℃である、請求項1〜4のいずれか一項に記載のシリコーン系材料組成物。

【図1】
image rotate


【公開番号】特開2006−348303(P2006−348303A)
【公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−208631(P2006−208631)
【出願日】平成18年7月31日(2006.7.31)
【分割の表示】特願平8−258033の分割
【原出願日】平成8年9月30日(1996.9.30)
【出願人】(000004455)日立化成工業株式会社 (4,649)
【Fターム(参考)】