説明

シール部材及びシール構造

【課題】電線にねじり等の外力が作用したときのシール性の低下を抑制すること。
【解決手段】電線5が挿入された状態でハウジング7の電線挿入孔11に挿入され、電線5の外周面と電線挿入孔11の内周面との隙間をシールする円筒状のシール部材21であって、円筒の内外周面には軸方向に正弦波状の山33と谷35が形成され、一方の面の山33と他方の面の谷35の位相を軸方向で一致させて形成されること。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハウジングの挿入孔に挿入された電線の外周面と挿入孔の内周面との隙間をシールするシール部材及びこれを用いたシール構造に関する。
【背景技術】
【0002】
車両等に搭載される電気機器は、液体や気体の漏れを防止するとともに騒音や振動等を遮断するため、筐体により覆われている。この筐体には、電気機器を外部の電線と接続するためのコネクタが嵌挿されるコネクタ挿入口が設けられている。コネクタとしては、電線が挿通される貫通孔を有するハウジングと、一端に端子が接続された電線を備え、電線の外周面とハウジングの貫通孔の内周面との隙間を円筒状のシール部材で封止するシール構造が採用されている。
【0003】
この種のシール構造においては、電線を被覆する外被の外周面に弾性材料で形成されたシール部材が装着された状態で、このシール部材がハウジングの挿入孔内に収納される構造となっている。ここで、シール部材は、軸方向に外周面と内周面が山谷山を繰り返すように正弦波状に形成され、外周面の山の裏側となる内周面に山が形成され、外周面の谷の裏側となる内周面に谷が形成されている。このため、ハウジングの挿入孔内に収納されたシール部材は、その外周面の山の部分が挿入孔の内周面から押し付けられることにより、その裏側に位置する内周面の山の部分が電線の外周面を押し付け、内周面の谷の部分は電線の外周面を殆ど押し付けることがないため、軸方向で不均一な押圧力が生じることになる。
【0004】
このようなシール部材が電線に装着された状態でハウジングの挿入孔に収納された当初は、シール部材と電線の密着性が高いものの、シール部材の山の部分からの強い押圧力により、電線の外周面がシール部材により押し込まれ、凹んだままの状態で長時間が経過すると、凹みによる応力が次第に緩和され、弾性復帰することなく、窪み(へたり)となって残る場合がある。このように電線の外周面に窪みが生じると、例えばハウジングの外に延出する電線にねじり等の外力が作用してハウジング内の電線が湾曲した場合、電線の窪みの内面とシール部材の内周面との接触位置にずれが生じ、シール部材による押圧力が低下してシール性の低下を招くおそれがある。
【0005】
これに対し、例えば、ハウジングの挿入孔に挿入された電線の外周面に筒状成形体の内周面を接着剤で固着し、固着された筒状成形体の外周にシール部材を装着し、このシール部材により筒状成形体の外周面とハウジングの挿入孔の内周面との隙間を封止するシール構造が開示されている(特許文献1参照。)。
【0006】
この構造によれば、シール部材は、筒状成形体の外周に装着されているので、シール部材の押圧力は筒状成形体に作用して電線の外周面に直接作用することがないため、長時間経過しても、電線の外周面に窪みが生じることがなく、電線にねじり等の外力が作用した場合でもシール性の低下を抑制することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002−324618号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1の構造によれば、シール部材と電線との間に筒状成形体を新たに設けることが必要になるため、部品点数が増加し、また、筒状成形体を電線の外周面に固着する工程が必要になるため、作業工数が増加することになり、製造コストの増加を招くことになる。
【0009】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、部品点数や作業工数を増加させることなく、電線にねじり等の外力が作用したときのシール性の低下を抑制することができるシール部材及びシール構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、本発明シール部材は、電線が挿入された状態でハウジングの挿入孔に挿入され、電線の外周面と挿入孔の内周面との隙間をシールする円筒状のシール部材であって、円筒の内外周面には軸方向に正弦波状の山谷が形成され、一方の面の山と他方の面の谷の位相を軸方向で一致させて形成されることを特徴としている。
【0011】
これによれば、シール部材の外周面の山がハウジングの挿入孔の内周面に押し付けられたときに、その山の裏側に位置する内周面の谷の部分には、軸方向で最も大きな応力が電線方向に作用するが、この応力は、内周面の谷の部分を変形させた状態で電線の内周面を押し付けるように作用するため、内周面の山の部分に直接作用する場合と比べて電線の外周面を押し付ける力を小さくすることができる。一方、シール部材の内周面の山の部分には、軸方向で最も小さな応力が電線方向に作用するが、この応力は、内周面の山の部分を介して電線の外周面に直接作用するため、内周面の谷の部分に作用する場合と比べて電線の内周面を押し付ける力を大きくすることができる。これにより、シール部材の内周面が電線の外周面を押し付ける力は軸方向で均一化されるため、電線の外周面に窪みが生じるのを抑制することができる。その結果、外力により電線にねじり等が生じたときでも、シール部材の内周面と電線の外周面との密着性を保つことができ、シール性の低下を抑制することができる。また、本発明によれば、シール部材の内周面と外周面の山谷を所定の形状に形成するだけでよいため、部品点数や作業工数を増加させる必要がなく、経済性を向上させることができる。
【0012】
この場合において、シール部材は、円筒の内周面に形成される山谷の振幅と外周面に形成される山谷の振幅とが同一に形成されてなるものとする。これによれば、シール部材の外周面の山の部分が挿入孔の内周面に押し付けられたときの応力を内周面に対して軸方向でより均一に伝えることができるため、電線の外周面に窪みが生じるのをより確実に防ぐことができる。
【0013】
また、上記課題を解決するため、本発明のシール構造は、電線と、この電線が挿入される貫通孔が形成された円筒状のシール部材と、このシール部材を挿入可能な挿入孔が開口するハウジングとを備え、電線の外周面と挿入孔の内周面との隙間をシール部材がシールするシール構造であって、シール部材の内外周面には軸方向に正弦波状の山谷が形成され、一方の面の山と他方の面の谷の位相を軸方向で一致させて形成されることを特徴とするものである。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明を適用してなるシール部材を用いたシール構造の一実施形態の全体構成を示す断面図である。
【図2】本発明を適用してなるシール部材の一実施形態の断面図である。
【図3】従来のシール部材の一実施形態の断面図である。
【図4】従来のシール部材を用いたときの電線の外周面とシール部材の内周面との接触状態を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を適用してなるシール部材とこれを用いたシール構造の一実施形態について図1,2を参照して説明する。
【0016】
本実施形態のシール構造とは、接続対象となる端子等に電線を電気的に接続するためのコネクタに含まれるシール構造をいうが、具体的には、図示しない電気機器が収容される筐体の壁面(端子台と対向する壁面)に形成されるコネクタ挿入口に取り付けられるコネクタにおいて、該コネクタのハウジングの挿入孔に挿通された電線の外周面と挿入孔の内周面との隙間を封止するシール構造をいう。
【0017】
ここで、電気機器とは、例えば、車両等に搭載される電動モータ等、機械を駆動させるための装置をいう。筐体とは、ここでは電気機器等を収容する金属製の容器を意味するが、端子や電気機器等を収容するハウジングであってもよい。電線とは、芯線の外周を絶縁性の外被で包囲して形成される一般的な構造のものを意味するが、例えば、同軸ケーブルのように芯線、内被、編組線及び外被で構成されるものであってもよい。
【0018】
本実施形態のコネクタ1は、電気機器の端子台に端子を介して電線を電気的に接続するためのものであり、絶縁性を有する合成樹脂等で形成されている。このコネクタ1は、図1に示すように、筺体のコネクタ挿入口の周縁に当接するフランジ部3と、このフランジ部3の一方の面から延設されて電線5が挿通される筒状のハウジング7と、フランジ部3の他方の面から延設されて電線5が挿通される筒状の取付部9を有している。取付部9は、コネクタ挿入口に嵌合される外形形状を有しており、フランジ部3から略U字状に張り出して形成される。
【0019】
ハウジング7と取付部9の内部には、それぞれ電線挿入孔11,13が形成されている。ハウジング7の電線挿入孔11は、取付部9の電線挿入孔13と同軸で、かつ、電線挿入孔13の孔径よりも大きく形成されている。取付部9の電線挿入孔13の下方には、電線5と接続される端子15の一端側が圧入される断面矩形の端子孔17が形成されている。端子15は、導電性を有する略矩形の平板材をプレス加工して形成され、端子孔17に圧入される一端側と反対側の他端側には電気機器の端子台と接続されるねじ孔19が形成されている。ハウジング7の電線挿入孔11内には、電線5の外周に装着された円筒状のシール部材21が収納されている。
【0020】
ハウジング7の電線挿入孔11と取付部9の電線挿入孔13には電線5が挿通され、取付部9の端子孔17には端子15の一端側が圧入されている。電線挿入孔11,13に挿入された電線5の先端側は、外被から露出された芯線23が端子15と電気的に接続されている。ハウジング7の電線挿入孔11内に配置された電線5は、その外周面と電線挿入孔11の内周面との隙間がシール部材21で封止されている。
【0021】
このように構成されるコネクタ1は、取付部9が筺体のコネクタ挿入口に嵌挿された状態で、フランジ部3が筺体に密着するように取り付けられる。具体的には、フランジ部3に図示しないねじ孔が形成されており、そのねじ孔に挿入されたボルトが筺体のコネクタ挿入口の周縁に形成されたねじ孔と螺合することにより、コネクタ1が筺体に取り付けられる。
【0022】
次に、本発明の特徴構成となるシール部材21について詳細に説明する。本実施形態のシール部材21は、ゴム等の弾性材料を用いて円筒状に形成され、電線挿入孔11への挿入方向から順に、本体部分25、延在部27を備えて構成される。シール部材21の軸方向の長さは、電線挿入孔11の軸方向の長さよりも長く形成されている。つまり、シール部材21の軸方向の両端面のうち、本体部分25の端面が電線挿入孔11の奥に当接する状態で、延在部27が電線挿入孔11の開口から外側に延出するようになっている。図2に示すように、本体部分25は、その内径d1が電線5の外径と同等もしくは少し小径に形成されるとともに、外径d2が電線挿入孔11の内径と同等もしくは少し大径に形成され、電線挿入孔11内に収納されたときに、電線5の外周面及び電線挿入孔11の内周面をそれぞれ押し付けるようになっている。
【0023】
延在部27の内径は、本体部分25の内径d1と同じ大きさに形成されている。延在部27の端部の内周と外周には、それぞれ環状の突起部29,31が形成されている。延在部27は、シール部材21が電線挿入孔11に収納された状態で、例えばシール部材21の後方から図示しない円筒状の押付部材が電線挿入孔11内に挿入されたときに、この押付部材の内周面と電線5の外周面との間に位置するようになっている。ここで、延在部27の突起部31は、押付部材の後端部に係止され、突起部29は、電線5の外周面と当接するようになっている。
【0024】
次に、シール部材の断面形状について説明する。図2に示すように、シール部材21の内周面と外周面には、それぞれ軸方向で正弦波状に山33と谷35が形成され、一方の面の山33と他方の面の谷35の位相が軸方向で一致するようになっている。ここで、山33とは、径方向の肉厚が大きくなる方向に内周面又は外周面の断面が変形することを意味し、谷35とは、径方向の肉厚が小さくなる方向に内周面又は外周面の断面が変形することを意味する。シール部材21の内周面と外周面は、それぞれ山33と谷35が交互に現れるように連続する曲面で形成されている。
【0025】
シール部材21は、外周面の3つの山33の裏側に位置する内周面にそれぞれ谷35が形成され、外周面の4つの谷35の裏側に位置する内周面にそれぞれ山33が形成されている。そして、外周面の山33の中央の位置と内周面の谷35の中央の位置、及び、外周面の谷35の中央の位置と内周面の山33の中央の位置は、それぞれ軸方向の位置(位相)が一致するようになっている。また、シール部材21の内周面に形成される山33と谷35の振幅と外周面に形成される山33と谷35の振幅は、同じ大きさに設定されている。なお、内周面と外周面の山33の数はこの例に限られるものではなく、シール部材21の軸方向の長さ等に応じて適宜設定することができる。
【0026】
ここで、本実施形態のシール部材21の作用を従来の一般的なシール部材の作用と比較して説明する。図3に示すように、従来のシール部材37は、外周面の山33の裏側に位置する内周面に山33が形成され、外周面の谷35の裏側に位置する内周面に谷35が形成されている。なお、シール部材37の外径及び内径は、シール部材21の外径及び内径とそれぞれ同じ大きさに形成されているものとする。
【0027】
このような構造のシール部材37をハウジング7の電線挿入孔11内に挿入した場合、シール部材37の外周面は山33の部分が電線挿入孔11の内周面に押し付けられて圧縮される。このようにシール部材37が圧縮されることによりシール部材37の内部に生じた応力は、F1、F3として、シール部材37の内周面の山33を電線5の外周面に押し付ける方向に作用するとともに、F2として、シール部材37の内周面の谷35を電線5の外周面に押し付ける方向に作用する。
【0028】
ここで、F1及びF3の力は、シール部材37の外周面の山33が、電線挿入孔11の内周面に押し付けられて圧縮される方向と一致しているため、F2の力よりも大きくなっている。しかも、F1及びF3の力は、シール部材37の内周面の山33を介して電線5の外周面に直接作用する。一方、F2の力は、シール部材37の内周面の谷35を押し付けるだけで、通常は電線5の外周面を押し付けるまでには至らない。このため、シール部材37が電線5の外周面を押し付ける力は、シール部材37の内周面の山33が当接する部分に集中する。このように、シール部材37の内周面の山33に押し付けられた電線5の外周面は弾力性を有するために内側に変形した状態となり、この状態が長時間継続すると、変形に伴う応力が次第に緩和されて、窪み(へたり)となる。この電線5の窪みは応力が緩和された状態では元の状態に戻り難く、電線5の外周面に形状として残ることになる。
【0029】
ここで、この電線5の外周面に生じた窪みがシール性に与える影響について説明する。図4は、ハウジング7の電線挿入孔11から外に延出する電線5にねじり等の外力が作用し、これに追従して電線挿入孔11内の電線5が矢印Aの方向に湾曲したときの電線5の外周面とシール部材37の内周面との接触状態を説明する図である。ここで、電線5の外周面には、シール部材37の内周面の山33に長時間押圧されたことにより、窪み39が形成されているものとする。
【0030】
このように外周面に窪み39が形成された電線5が湾曲することにより、電線5の外周面とシール部材37の内周面との接触部はP2の位置となる。つまり、電線5が湾曲していないときには、シール部材37の内周面の山33の中央部であるP1が電線5の外周面と接触しているが、電線5が湾曲することにより、接触部がP1からP2の位置にずれてしまう。ここで、接触部P2においてシール部材37の内周面が電線5の外周面を押圧する力をF5´とし、シール部材37の径方向の分力をF5とした場合、F5´<F5<F1の関係となり、電線5が湾曲する前の状態に比べてシール部材37が電線5を押し付ける力は大幅に減少するために、シール性の低下を招くことになる。
【0031】
これに対し、本実施形態のシール部材21では、図2に示すように、外周面の山33の部分が電線挿入孔11の内周面に押し付けられて圧縮されることにより生じた応力は、F1´として、シール部材21の内周面の谷35を変形させて電線5に押し付ける方向に作用し、F2´、F4´として、シール部材21の内周面の山33の中央部を電線5に押し付ける方向に作用し、F3´として、シール部材21の内周面の山33の傾斜面を変形させて電線5に押し付ける方向に作用する。
【0032】
ここで、シール部材21の内周面の谷35の中央には、軸方向で最も大きなF1´の力が作用するが、このF1´の力は、シール部材21の内周面の谷35を変形させた状態で電線5の内周面を押し付けるため、シール部材21の内周面の山33を介して電線5に直接作用する場合よりも、電線5の内周面を押し付ける力は小さくなる。また、シール部材21の内周面の山33の中央には、軸方向で最も小さなF2´、F4´の力が作用するが、このF2´、F4´の力は、シール部材21の山33を介して電線5の外周面に直接作用するため、シール部材21の内周面の谷35に作用する場合よりも、電線5の内周面を押し付ける力は大きくなる。これにより、シール部材21が電線5の外周面を押し付ける力は、軸方向において均一化されるため、電線5の外周面に窪み39が生じるのを抑制することができる。
【0033】
このように窪み39の発生を抑制することにより、電線5に外力が作用して電線挿入孔11内の電線5が湾曲したときでも、図4において、シール部材21の内周面と電線5の外周面との接触点をP1、或いは、この近傍に留めることができるため、F1の力、或いは、F1に近い力を、電線5の外周面に作用させることができる。したがって、シール部材21の内周面が電線5の外周面を押し付ける力を高い状態で保持することができ、電線5にねじり等の外力が作用したときのシール性の低下を抑制することができる。
【0034】
また、本実施形態では、シール部材21の内周面の山33と谷35の振幅と外周面の山33と谷35の振幅とが同じになるように形成しているため、シール部材21の外周面の山33の部分が電線挿入孔11の内周面に押し付けられて圧縮されたことによる応力を、シール部材21の内周面を介して電線5の外周面に軸方向でより均一に伝えることができるため、電線5の外周面に窪み39が生じるのをより確実に防ぐことができる。
【0035】
また、本実施形態では、シール部材21の本体部分25の両端部(軸方向)の内周面に山33を形成するとともに、延在部27の一端の内周面に突起部29を形成しているため、外力により電線5にねじり等が生じて電線5が湾曲したときでも、シール部材21の内周面の山33及び突起部29が電線5の外周面に密着した状態を保つことができるため、シール性の低下を抑制することができる。
【0036】
また、本実施形態では、シール部材21の内周面と外周面、特に内周面に形成される山33と谷35を連続する正弦波状の曲面で形成しているため、例えば谷の部分を軸と平行な平面状に形成する場合(実開平5−84083号公報 図3参照)と比べて、電線5の外周面を押し付ける押圧力を軸方向でより均一にすることが可能となる。これにより、電線5の外周面における窪みの発生をより確実に防ぐことができるため、外力により電線5にねじり等が生じて電線5が湾曲したときでも、シール性の低下を抑制することができる。
【0037】
なお、本実施形態のシール構造によれば、電線5が電線挿入孔11内で真直ぐに配置され、かつ、電線5の外周面に窪みが生じる前の状態においては、従来のシール部材37を用いたシール構造と比べて、電線5の外周面とシール部材の内周面との隙間のシール性が低下する可能性がある。しかし、この点については、シール部材21の軸方向の長さ等を変更することにより、所望のシール性を確保することができる。本実施形態のシール構造では、むしろ、電線5が電線挿入孔11内で湾曲した場合のシール性の低下を抑制できる点にメリットがある。
【符号の説明】
【0038】
1 コネクタ
5 電線
7 ハウジング
11,13 電線挿入孔
21 シール部材
25 本体部分
27 延在部
33 山
35 谷
39 窪み

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電線が挿入された状態でハウジングの挿入孔に挿入され、前記電線の外周面と前記挿入孔の内周面との隙間をシールする円筒状のシール部材であって、
円筒の内外周面には軸方向に正弦波状の山谷が形成され、一方の面の山と他方の面の谷の位相を軸方向で一致させて形成されるシール部材。
【請求項2】
前記シール部材は、円筒の内周面に形成される山谷の振幅と外周面に形成される山谷の振幅とが同一に形成されてなる請求項1に記載のシール部材。
【請求項3】
電線と、該電線が挿入される貫通孔が形成された円筒状のシール部材と、該シール部材を挿入可能な挿入孔が開口するハウジングとを備え、
前記電線の外周面と前記挿入孔の内周面との隙間を前記シール部材がシールするシール構造であって、
前記シール部材の内外周面には軸方向に正弦波状の山谷が形成され、一方の面の山と他方の面の谷の位相を軸方向で一致させて形成されるシール構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−185294(P2011−185294A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−48040(P2010−48040)
【出願日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】