説明

ジヒドロベンゾチオフェン類

W、R1、R2、R3、R4およびqが請求項1に示した意味を有する式(I)の化合物は、とりわけ、腫瘍の治療に使用できる。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の目的は、価値ある特性を有する新規な化合物、特に医薬の調製に使用できる新規な化合物を発見することであった。
【0002】
本発明は、有糸分裂モータータンパク質、特に有糸分裂モータータンパク質Eg5の阻害、制御および/または変調が役割を演ずる疾患の予防および治療のための式Iの化合物、さらにはこれらの化合物を含む薬剤組成物に関する。
【0003】
具体的には、本発明は、好ましくは1種または複数の有糸分裂モータータンパク質を阻害、制御および/または変調する式Iの化合物、これらの化合物を含む
組成物、ならびに血管新生、癌、腫瘍の形成、成長および増殖、動脈硬化、眼疾患、脈絡膜血管新生および糖尿病性網膜症、炎症性疾患、関節炎、神経変性、再狭窄、創傷治癒または移植拒絶反応などの疾患および愁訴の治療のためにこれらを使用する方法に関する。特に、本発明による化合物は癌疾患の治療または予防に適する。
【背景技術】
【0004】
有糸分裂の間に、種々のキネシンが、染色体の正確で協調的な整列および分離を司る紡錘体装置の形成および動態を制御する。有糸分裂モータータンパク質Eg5を特異的に阻害した結果、紡錘糸の崩壊が起こることが観察されている。その結果は、染色体がもはや娘細胞に正確に分配され得ないことである。その結果、有糸分裂が停止し、したがって細胞死を引き起こす恐れがある。例えば、乳房、肺および結腸の腫瘍からの組織において、モータータンパク質Eg5の上方制御が記載されてきた。Eg5は有糸分裂に特異的な機能を受け持つので、Eg5阻害により影響されるのは主として急速に分裂する細胞であり、十分に分化した細胞ではない。それに加えて、Eg5はもっぱら有糸分裂の微小管(紡錘体装置)の運動を制御するが、細胞骨格の運動は制御しない。このことは、例えばタキソールの場合に観察される神経障害が起こらないか、または微小な程度にしか起こらないために、副作用プロファイルにとって重要である。それ故、有機分子によるEg5の阻害は、悪性腫瘍の治療にとって意味のある治療コンセプトである。
【0005】
一般に、全ての固形および非固形腫瘍、例えば、単球性白血病、脳、泌尿生殖器、リンパ系、胃および喉頭の癌、ならびに肺腺癌および小細胞肺癌を含めた肺癌を、式Iの化合物で治療することができる。さらなる例として、前立腺癌、膵癌および乳癌が挙げられる。
【0006】
驚いたことに、本発明による化合物は有糸分裂モータータンパク質、特にEg5の特異的阻害に影響があることが見出された。本発明による化合物は、好ましくは、例えば本明細書に記載するアッセイで容易に検出できる有利な生物活性を示す。そのようなアッセイで、本発明の化合物は、適当な範囲、好ましくはマイクロモルの範囲、より好ましくはナノモルの範囲のIC50値により通常記録される阻害効果を示し、もたらすことが好ましい。
【0007】
本明細書で述べるように、本発明の化合物の効果は種々の疾患に意味をもつ。したがって本発明の化合物は、1種または複数の有糸分裂モータータンパク質、特にEg5の阻害によって影響される疾患の予防および/または治療に有用である。
【0008】
それ故本発明は、前記疾患の治療および/または予防における医薬および/または医薬有効成分としての本発明の化合物に、前記疾患の治療および/または予防のための薬剤調製のための本発明の化合物の使用に、また本発明の化合物の1種または複数をそのような投与が必要な患者に投与することを含む、前記疾患の治療方法に関する。
【0009】
本発明の化合物が異種移植腫瘍モデルにおいて有利な効果を有することを示すことができる。
【0010】
宿主または患者は、あらゆる哺乳動物種に属し得る。例えば、霊長類、特にヒト;マウス、ラットおよびハムスターを含む齧歯類;ウサギ;ウマ、ウシ、イヌ、ネコなどである。動物モデルは、実験研究にとって重要であり、ヒト疾患の治療のためのモデルを提供する。
【0011】
本発明の化合物を用いる治療に対する或る細胞の感度は、in vitro試験によって定量できる。典型的には、細胞の培養物を、この活性薬剤による細胞死の惹起または移動の阻止を可能にするのに十分な期間、通常およそ1時間から1週間の間の期間、種々の濃度での本発明の化合物と組み合わせる。in vitroで試験するために、生検試料からの培養試料を使用することができる。次いで、処置後に残存する生存細胞を計数する。
【0012】
投与量は、使用する具体的な化合物、具体的な疾患、患者の状態その他に依存して変わる。治療量は、典型的には、患者の生存を維持するが、標的組織における望ましくない細胞集団を大幅に減少させるのに十分な量である。一般的に、治療は細胞負荷(cell burden)の大幅な減少が起こるまで、例えば、少なくとも約50%減少するまで継続するが、体内で望ましくない細胞が本質的に検出されなくなるまで継続することもできる。
【0013】
類似の化合物は米国特許第3328411号に記載されているが、癌治療との関連は言及されておらず、かつ/または本発明の特徴を含まない。
[発明の概要]
本発明は式Iの化合物
【0014】
【化1】

【0015】
[式中、WはS、SOまたはSO2を表し、
1はH、A、Ar、Het、フェニル、メチル、OR5、SR5、OAr、SAr、N(R52、NR5Ar、Hal、NO2、CN、(CH2mCOOR5、(CH2mCOOAr、(CH2mCON(R52、(CH2mCONHAr、COR5、COAr、S(O)mA、S(O)mAr、NHCOA、NHCOAr、NHSO2A、NHSO2ArまたはSO2N(R52、ヘテロアリール、Hal、−(CY2n−SA−、−(CY2n−SCF3、−(CY2n−SCN、−(CY2n−CF3、−(CY2n−OCF3、シクロアルキル、−SCH3、−SCN、−CF3、−OCF3、−OA、−(CY2n−OH、−(CY2n−CO25、−(CY2n−CN、−(CY2n−Hal、−(CY2n−N(R52、(CY2n−OA、(CY2n−OCOA、−SCF3、(CY2n−CON(R52、−(CY2n−NHCOA、−(CY2n−NHSO2A、SF5、Si(CH33、CO−(CY2n−CH3、−(CY2n−(N−ピロリドン)を表し、また、R1が2つあり而も芳香環上で隣接する場合、一緒になって−N−C(CF3)=N−、−N−CR=N−、−N−N=N−をも表し、
2、R3は互いに独立して、A、Het、H、−OH、−OA、−OAr、Ar、−O−CO−A、−OSO35、−OSO25、−OAr25、SO25、Hal、COOR5、CON(R52、NHSO2A、COA、CHOまたはSO2N(R52、−(CH2o−Ar、−(CH2o−シクロアルキル、−(CH2o−OH、−(CH2o−N(R52、NO2、CN、−(CH2o−COOR5、−(CH2o−CON(R52、−(CH2o−NHCOA、NHCON(R52、−(CH2o−NHSO2A、−(C(R52o−Ar、またはアリールもしくはヘテロアリールを表し、それらのアリールもしくはヘテロアリールの各々は非置換であるかまたは1つもしくは複数のアリールもしくはヘテロアリール(Hal、NO2、CN、A、OR、OCOR、COR、NR2、CF3、OCF3、OCH(CF32で置換されていてもよい)、またはHal、NO2、CN、OR、A、−(CY2n−OR、−OCOR5、−(CY2n−CO25、−(CY2n−CN、−NCOR5、−COR5もしくは−(CY2n−N(R52、N[(CH2nXCOOR5]CO(CH2nアリール、N[(CH2nXR5]CO(CH2nアリール、N[(CH2nXR5]CO(CH2nXアリール、N[(CH2nXR5]SO2(CH2nアリール、N[(CH2nNR5COOR5]CO(CH2nアリール、N[(CH2nN(R52]CO(CH2nアリール、N[(CH2nN(R52]CO(CH2nNR5アリール、N[(CH2nN(R52]SO2(CH2nアリール、N[(CH2nXR5]CO(CH2nヘテロアリール、N[(CH2nXR5]CO(CH2nXヘテロアリール、N[(CH2nXR5]SO2(CH2nヘテロアリール、N[(CH2nNR5COOR5]CO(CH2nヘテロアリール、N[(CH2nN(R52]CO(CH2nヘテロアリールもしくはN[(CH2nN(R52]CO(CH2nNR5ヘテロアリールによって置換されていてもよく、
4はO、=CH−(CH2nN(R52、またはシクロ[C(CH2k(NY1)−(CH2p−]、シクロ[C(CH2k(CHY1)−(CH2p−]、またはEもしくはZ−=CH(CH2nX(CH2l−Q(CH2sTを表し、
5はHまたはAを表し、ジェミナルな基の場合、R5は一緒になって−(CH25−、−(CH24−、または−(CH2n−Q−(CH2nをも表し、
YはH、A、Halを表し、
1はR2、R5、Ar、−(C(R52o−Arまたは−(C(R52o−Het、X(CH2lQ(CH2sT、XCH2TまたはTを表し、
XはNR5、CH2、COまたはSO2または一重結合を表し、
QはCH2、NR5、O、S、CO、SO2、C(R52または一重結合、CH(CH2nNR5COOR5、CHNR5COOR5、NCO、CH(CH2nCOOR5、NCOOR5、CHX(CH2nOH、N(CH2nOH、CHNH2、CH(CH2nN(R52、CHX(CH2nN(R52、C(OH)R5、CHNCOR5、CH(CH2nアリール、CH(CH2nヘテロアリール、CH(CH2n1、N(CH2nCOOR5、CH(CH2nX(CH2nアリール、CH(CH2nX(CH2nヘテロアリール、N(CH2nCON(R52、CHCONR5(CH2nN(R52を表し、
TはR2、Het、
【0016】
【化2】

【0017】
を表し、
Hetは、1から4個のN、Oおよび/またはS原子を有する単環または二環の飽和、不飽和または芳香族の複素環を表し、非置換であるかまたはHal、A、−(CH2o−Ar、−(CH20−シクロアルキル、−(CH2o−OH、−(CH2o−N(R52、NO2、CN、−(CH2o−COOR5、−(CH2)o−CON(R52、−(CH2o−NHCOA、NHCON(R52、−(CH2o−NHSO2A、CHO、COA、SO2NH2および/またはS(O)oAにより一、二または三置換されていてよく、
Arはアリールすなわちフェニル、ナフチルまたはビフェニルを表し、それらの各々は、非置換であるか、またはHal、A、OR5、N(R52、NO2、CN、COOR5、CON(R52、NHCOA、NHCON(R52、NHSO2A、CHO、COA、SO2N(R52またはS(O)oAにより一、二または三置換されており、
Aは、1または複数のH原子がHal、特にFまたはArにより置換されていてもよい、1から10のC原子を有する、分岐していないかまたは分岐しているアルキルを表し、
Halは、F、Cl、BrまたはIを表し、
oは0、1、2、または3を表し、
mは0、1、2、または3を表し、
nは0、1、2、3または4を表し、
k、p、l、sは0、1、2、3、4または5を表し、
ただし、
k+pは2、3、4または5を表し、
および
qは0、1、2、3または4を表す]
およびそれらの薬理学的に使用可能な誘導体、溶媒和物、互変異性体、塩および立体異性体ならびにそれらの全ての比の混合物に関する。
【0018】
本発明はまた、これらの化合物の光学活性形(立体異性体)、エナンチオマー、ラセミ化物、ジアステレオマーおよび水和物および溶媒和物にも関する。化合物の溶媒和物という用語は、不活性溶媒分子の化合物への付加物を意味するものとし、これらは溶媒と化合物相互の引力により形成される。溶媒和物は、例えば、一もしくは二水和物またはアルコキシドである。
【0019】
薬理学的に使用可能な誘導体という用語は、例えば、本発明の化合物の塩および所謂プロドラッグ化合物をも意味するものとする。
プロドラッグ誘導体という用語は、例えばアルキルもしくはアシル基、糖またはオリゴペプチドによって修飾されており、生体中で急速に開裂して有効な本発明の化合物を形成する式Iの化合物を意味するものとする。
【0020】
プロドラッグ誘導体には、例えばInt.J.Pharm.115巻、61〜67頁(1995年)に記載されている、本発明の化合物の生分解性ポリマー誘導体も含まれる。
【0021】
「有効な量」という表現は、組織、系、動物またはヒトにおいて、例えば研究者または医師により捜し求められまたは望まれている生物学的または医学的反応を引き起こす薬剤もしくは医薬品有効成分の量のことである。
さらに、「治療有効量」という表現は、その量を受けなかった対応する被検者に比較して、次の結果を生ずる量を指す:
疾患、症候群、病状、愁訴、障害もしくは副作用の治療処置、治癒、予防または除去の改善、あるいはそれに加えて疾患、病状もしくは障害の進行の遅延。
「治療有効量」という表現も、正常な生理機能を向上させるのに有効な量を含む。
【0022】
本発明は、本発明の化合物の混合物、例えば、2つのジアステレオマーの混合物の、例えば1:1、1:2、1:3、1:4、1:5、1:10、1:100または1:1000の比での使用にも関する。
これらは特に立体異性化合物の混合物であることが好ましい。
【0023】
本発明は、式IIの化合物
【0024】
【化3】

【0025】
(式中、R2、R3およびR4は請求項1で指定された意味を有し、X1は離脱基、好ましくはHalまたは反応性修飾OH基、特にトシルまたはメシルとすることができる)
を式IIIの化合物
【0026】
【化4】

【0027】
(式中、R1は請求項1で示した意味を有する)
と反応させることを特徴とする、式Iの化合物およびその塩に、また特許請求項に記載の式Iの化合物ならびにその薬理学的に使用可能な誘導体、塩、溶媒和物および立体異性体の調製方法に関する。
【0028】
その結果生成した式IVの化合物
【0029】
【化5】

【0030】
(式中、R1、R2、R3、R4およびqは、請求項1で示した意味を有する)
を鹸化により遊離酸に変換し、続いてこれを従来法によって対応する式V
【0031】
【化6】

【0032】
(式中、LはHalまたは、例えば、トリフレート、ノナフレート、トシレート、メシレートまたはベンゼンスルホネート、ただし特にトシレートまたはメシレートなどの反応性改質OH基を表し、またR1、R2、R3、R4およびqは請求項1で示した意味を有する)
に変換する。
【0033】
次いで、式Vの化合物をフリーデルクラフツ触媒、特にAlCl3などの適当な触媒の存在下に、式IA
【0034】
【化7】

【0035】
(式中、R1、R2、R3、R4およびqは請求項1で示した意味を有する)
に変換する。
式IAの化合物は好ましい。
特に好ましいものは式IA1の化合物
【0036】
【化8】

【0037】
(式中、R1、R2、X、Y1およびnは上記で示した意味を有し、R1は好ましくはメチルを表す)
である。
2および/またはR3がHを表す式Iの化合物を、さらにR2および/またはR3がH以外の意味を有する式Iの化合物に、例えば塩基、例えば水素化ナトリウムなど、およびアルキル化剤を用いる反応によって変換できる。
【0038】
特に好ましいのは、例えば、ヨ−ドアルカン、硫酸アルキル、ハロゲン化ベンジル、硫酸塩、メシラートまたはトシラート、特にヨードメタン、硫酸メチルまたは塩化ベンジルなどのアルキル化剤である。
【0039】
4がOを表す式Iの化合物を、場合により、R4が上記の意味を有する式Iの化合物に、対応する有機金属試薬、例えば有機リチウムまたはグリニャール化合物、特に式
【0040】
【化9】

【0041】
の化合物、HalMg−CH2(CH2nX(CH2lQ(CH2STまたはLi−CH2(CH2nX(CH2lQ(CH2STとの反応およびそれに続く脱離によって変換する。得られたどのようなE/Z異性体混合物も、知られている方法、好ましくはクロマトグラフ法あるいは結晶化によって、互いから分離できる。
【0042】
4がOを示す式Iの化合物と前記の有機金属試薬との反応による生成物を水で処理すると、好ましくは、最初に対応する第3級アルコールが得られ、これは中間体として、本発明が同様に対象とする物質である。これらは、特に好ましくは式A、B、CおよびDの化合物である。
【0043】
【化10−1】

【0044】
【化10−2】

【0045】
式Iの化合物のスルホキシド(W=SO)およびスルホン(W=SO2)であるA、B、CおよびDは、好ましくは、WがSまたはSOを示す式Iの化合物の酸化によって調製できる。式I、IA、VIAおよびVIBの化合物も、好ましくは、イオウ原子の酸化のための出発原料として使用される。この反応は好ましくは、H22またはその他の酸化剤を使用して実施される(例えば、Patai著、「Supplement E」Ref.42、第1部、pp.539〜608頁;Org.Prep.Proced.Int.14巻、45〜89頁(1982年);「The Chemistry of Sulfur」385〜390頁、Plenum、New York、1977年;Tetrahedron Lett.22巻、1287頁(1981年)により行う)。
【0046】
WがSOまたはSO2を示す式Iの化合物を、極めて特に好ましくは、式II、IVおよびVのチオ化合物の酸化により製造できる、イオウ原子が酸化されている対応中間体から出発することにより調製される。スルホキシドまたはスルホンに酸化されたこれらの化合物は、式II、IVおよびVのもとのチオ化合物と同様に反応させることができる。
【0047】
式II、IVおよびVの化合物中のR4は、Oの意味であることが好ましい。
【0048】
次式III1ないし15は、式IIIのために用いることが好ましい。
【0049】
【化11】

【0050】
ただしこの場合、(式Iベースの)C−5、C−7またはC−8に、Fを例外として置換基を有さない化合物が好ましい。次の化合物はさらに好ましい。
【0051】
【化12】

【0052】
次の基
【0053】
【化13】

【0054】
(式中、Q1はF、Cl、BrまたはA、特にエチルまたはメチルを表す)
【0055】
【化14】

【0056】
(式中、Q1およびW1はCl、Br、A、特にメチルおよびエチル、またはSA、特にSメチルおよびSエチルを表し、)R3は好ましくは、Hまたはアルキル、特にメチルを示す)は、R2および/またはR3として特に好ましい。R2は好ましくは、p−またはm−ヒドロキシメチル、およびo−、m−またはp−フルオロフェニルである。
【0057】
上記においても以下においても、例えばR1、R2、R3、R4、R5、X、Q、Q1、Y、Y1、m、n、y、T、k、p、q、lおよびs基などの全ての基は、特に断らない限り式Iに対して示した意味を有する。個々の基が1つの化合物内で2度以上出現する場合、その基に示されている意味が互いに独立に採用される。
【0058】
1は好ましくはCOCH2NMe2を表す。
【0059】
アルキルは好ましくは、分岐していないか(直鎖状)または分岐しており、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10C原子を有する。アルキルは、好ましくは、メチル、さらにエチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、またはtert−ブチル、さらにまた、ペンチル、1−、2−または3−メチルブチル、1,1−、1,2−または2,2−ジメチルプロピル、1−エチルプロピル、ヘキシル、1−、2−、3−または4−メチルペンチル、1,1−、1,2−、1,3−、2,2−、2,3−または3,3−ジメチルブチル、1−または2−エチルブチル、1−エチル−1−メチルプロピル、1−エチル−2−メチルプロピル、1,1,2−または1,2,2−トリメチルプロピル、さらに好ましくは例えばトリフルオロメチルを表す。
アルキルは極めて特に好ましくは、1、2、3、4、5または6C原子を有するアルキル、好ましくはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチルまたは1,1,1−トリフルオロエチルを表す。アルキルはまたシクロアルキルをも表す。
シクロアルキルは好ましくは、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、またはシクロヘプチルを表す。
【0060】
1は好ましくは、A、SR5、OR5、Hal、CN、NO2、N(R52を表す。特に、R1はメチル、エチル、イソプロピル、tert−ブチル、F、Cl、CN、またはOHを表す。
【0061】
2は好ましくは、H、A、例えばエチル、フェニル、メチル、アリールまたはHetを表す。特にR2はAまたはArを表す。
Wは好ましくはSを表す。
【0062】
3は好ましくは、H、A、Arまたは−(C(R52oArを表す。特に、R3はHまたはAを表す。
【0063】
式Iの特に好ましい化合物においては、R2がArを表し、R3が同時にAを表す。
【0064】
4は好ましくは、シクロ[−C(CH2k(NY1)−(CH2p−]、またはEもしくはZ
=CH(CH2nX(CH2lQ(CH2ST、特に
【0065】
【化15−1】

【0066】
【化15−2】

【0067】
および次の基R4のEもしくはZ異性体を表す。
【0068】
【化16】

【0069】
(式中、X、n、l、Q、sおよびTは上記で示した意味を有する)
式Iの本質的にジアステレオマーとして単一の化合物、すなわち単一のEまたはZジアステレオマーが好ましい。
【0070】
Arは好ましくは、フェニル、o−、m−もしくはp−トリル、o−、m−もしくはp−エチルフェニル、o−、m−もしくはp−プロピルフェニル、o−、m−もしくはp−イソプロピルフェニル、o−、m−もしくはp−tert−ブチルフェニル、o−、m−もしくはp−ヒドロキシフェニル、o−、m−もしくはp−メトキシフェニル、o−、m−もしくはp−ニトロフェニル、o−、m−もしくはp−アミノフェニル、o−、m−もしくはp−(N−メチルアミノ)フェニル、o−、m−もしくはp−(N−メチルアミノカルボニル)フェニル、o−、m−もしくはp−アセトアミドフェニルフェニル、o−、m−もしくはp−メトキシフェニル、o−、m−もしくはp−エトキシフェニル、o−、m−もしくはp−エトキシカルボニルフェニル、o−、m−もしくはp−(N,N−ジメチルアミノ)フェニル、o−、m−もしくはp−(N,N−ジメチルアミノカルボニル)フェニル、o−、m−もしくはp−(N−エチルアミノ)フェニル、o−、m−もしくはp−(N,N−ジエチルアミノ)フェニル、o−、m−もしくはp−フルオロフェニル、o−、m−もしくはp−ブロモフェニル、o−、m−もしくはp−クロロフェニル、o−、m−もしくはp−(メチルスルホンアミド)フェニル、o−、m−もしくはp−(メチルスルホニル)フェニル、さらに好ましくは2,3−、2,4−、2,5−、2,6−、3,4−もしくは3,5−ジフルオロフェニル、2,3−、2,4−、2,5−、2,6−、3,4−もしくは3,5−ジクロロフェニル、2,3−、2,4−、2,5−、2,6−、3,4−もしくは3,5−ジブロモフェニル、2,4−もしくは2,5−ジニトロフェニル、2,5−もしくは3,4−ジメトキシフェニル、3−ニトロ−4−クロロフェニル、3−アミノ−4−クロロ−、2−アミノ−3−クロロ−、2−アミノ−4−クロロ−、2−アミノ−5−クロロ−もしくは2−アミノ−6−クロロフェニル、2−ニトロ−4−N,N−ジメチルアミノ−もしくは3−ニトロ−4−N,N−ジメチルアミノフェニル、2,3−ジアミノフェニル、2,3,4−、2,3,5−、2,3,6−、2,4,6−もしくは3,4,5−トリクロロフェニル、2,4,6−トリメトキシフェニル、2−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル、p−ヨードフェニル、3,6−ジクロロ−4−アミノフェニル、4−フルオロ−3−クロロフェニル、2−フルオロ−4−ブロモフェニル、2,5−ジフルオロ−4−ブロモフェニル、3−ブロモ−6−メトキシフェニル、3−クロロ−6−メトキシフェニル、3−クロロ−4−アセトアミドフェニル、3−フルオロ−4−メトキシフェニル、3−アミノ−6−メチルフェニル、3−クロロ−4−アセトアミドフェニル、または2,5−ジメチル−4−クロロフェニルを表す。
【0071】
Hetは好ましくは、非置換であるか、またはHal、メチル、NO2、NHA、NA2、OA、COOAもしくはCNにより一、二もしくは三置換されていてもよい、1つもしくは複数のN、Oおよび/またはS原子を有する単環もしくは二環芳香族または飽和複素環を表す。芳香族基Hetが好ましい。
【0072】
さらなる置換に関わりなく、Hetは非置換ヘテロアリールを表す。これは例えば、2−もしくは3−フリル、2−もしくは3−チエニル、1−、2−もしくは3−ピロリル、1−、2−、4−もしくは5−イミダゾリル、1−、3−、4−もしくは5−ピラゾリル、2−、4−もしくは5−オキサゾリル、3−、4−もしくは5−イソオキサゾリル、2−、4−もしくは5−チアゾリル、3−、4−もしくは5−イソチアゾリル、2−、3−もしくは4−ピリジル、2−、4−、5−もしくは6−ピリミジニル、さらに好ましくは1,2,3−トリアゾール−l−、−4−もしくは−5−イル、1,2,4−トリアゾール−1−、−3−もしくは5−イル、1−もしくは5−テトラゾリル、1,2,3−オキサジアゾール−4−もしくは−5−イル、1,2,4−オキサジアゾール−3−もしくは−5−イル、1,3,4−チアジアゾール−2−もしくは−5−イル、1,2,4−チアジアゾール−3−もしくは−5−イル、1,2,3−チアジアゾール−4−もしくは−5−イル、3−もしくは4−ピリダジニル、ピラジニル、1−、2−、3−、4−、5−、6−もしくは7−インドリル、4−もしくは5−イソインドリル、1−、2−、4−もしくは5−ベンズイミダゾリル、1−、3−、4−、5−、6−もしくは7−ベンゾピラゾリル、2−、4−、5−、6−もしくは7−ベンズオキサゾリル、3−、4−、5−、6−もしくは7−ベンズイソオキサゾリル、2−、4−、5−、6−もしくは7−ベンゾチアゾリル、2−、4−、5−、6−もしくは7−ベンズイソチアゾリル、4−、5−、6−もしくは7−ベンズ−2,1,3−オキサジアゾリル、2−、3−、4−、5−、6−、7−もしくは8−キノリル、1−、3−、4−、5−、6−、7−もしくは8−イソキノリル、3−、4−、5−、6−、7−もしくは8−シンノリニル、2−、4−、5−、6−、7−もしくは8−キナゾリニル、5−もしくは6−キノキサリニル、2−、3−、5−、6−、7−もしくは8−2H−ベンゾ−l,4−オキサジニル、さらに好ましくは、1,3−ベンゾジオキソール−5−イル、1,4−ベンゾジオキサン−6−イル、2,1,3−ベンゾチアジアゾール−4−もしくは−5−イルまたは2,1,3−ベンズオキサジアゾール−5−イルである。
【0073】
Halは好ましくは、F、Cl、またはBrを、またIをも、特に好ましくは、FまたはClを表す。
【0074】
本発明を通して、2度以上現れる全ての基は同一でも相違していてもよく、すなわち互いに独立である。
【0075】
式Iの化合物は1つまたは複数のキラル中心を有することができ、それ故種々の立体異性体の形で存在する。式Iはこれら全ての形を包含している。
したがって本発明は、特に、前記の基の少なくとも1つが、上記で示した好ましい意味を1つ有する、式Iの化合物に関する。
【0076】
化合物の好ましい基の或るものは、次の部分構造式I1からI64によって表すことができる。
【0077】
【化17−1】

【0078】
【化17−2】

【0079】
【化17−3】

【0080】
【化17−4】

【0081】
【化17−5】

【0082】
【化17−6】

【0083】
【化17−7】

【0084】
【化17−8】

【0085】
【化17−9】

【0086】
【化17−10】

【0087】
【化17−11】

【0088】
【化17−12】

【0089】
【化17−13】

【0090】
【化17−14】

【0091】
【化17−15】

【0092】
【化17−16】

【0093】
【化17−17】

【0094】
それに加えて、式Iの化合物およびこれらの調製のための出発原料は、文献(例えば、Houben−Weyl著「Methodn der organischen Chemie」(有機化学の方法)、Georg−Thieme−Verlag(シュトゥッツガルト所在)などの標準的著作)に記載の通り、それ自体知られている方法によって正確には、前記反応に適した既知の反応条件下で、調製される。それ自体知られている変法も本発明で使用できるが、それ以上ここでは詳しく述べない。
【0095】
必要に応じて、出発原料をin situで形成させることもでき、その結果、該原料は反応混合物から分離せずに、その代わり直ちにさらに式Iの化合物に変換される。
【0096】
適当な不活性溶媒は、例えば、ヘキサン、石油エーテル、ベンゼン、トルエンまたはキシレンなどの炭化水素;トリクロロエチレン、1,2−ジクロロエタン、四塩化炭素、クロロホルムまたはジクロロメタンなどの塩素化炭化水素;アセトニトリルなどのニトリル;二硫化炭素;ギ酸または酢酸などのカルボン酸;ニトロメタンまたはニトロベンゼンなどのニトロ化合物または前記溶媒の混合物である。
【0097】
必要に応じて、式Iの化合物中にある官能性を修飾したアミノおよび/またはヒドロキシ基を、通常の方法で加溶媒分解または加水分解により遊離することができる。この反応は、例えば、0℃と100℃との間の温度で、NaOHもしくはKOHの水、水/THFまたは水/ジオキサン溶液を使用して実施できる。
【0098】
エステルのアルデヒドもしくはアルコールへの還元またはニトリルのアルデヒ
ドもしくはアミンへの還元は、当業者に知られていて、有機化学の標準的著作物に記載されているような方法により実施する。
【0099】
本発明の前記化合物は、その最終的な塩でない形で使用することができる。一方、本発明は、これらの化合物の、その薬理学的に許容し得る塩の形での使用にも関し、該塩は当業者に知られている方法により、種々の有機または無機酸または塩基から誘導される。式Iの化合物の薬理学的に許容し得る塩は、大部分通常の方法により調製される。式Iの化合物がカルボキシル基を含む場合、その適当な塩の1つは、その化合物を、対応する塩基付加塩を与える適当な塩基と反応させることにより形成させることができる。そのような塩基は、例えば、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムおよび水酸化リチウムを含む水酸化アルカリ金属;水酸化バリウムおおよび水酸化カルシウムなどの水酸化アルカリ土類金属;アルカリ金属アルコキシド例えばカリウムエトキシドおよびナトリウムプロポキシド;およびピペリジン、ジエタノールアミンおよびN−メチルグルタミンなど種々の有機塩基である。式Iの化合物のアルミニウム塩も同様に含まれる。式Iのある種の化合物の場合には、これらの化合物を薬理学的に許容し得る有機または無機酸、例えば、塩化水素、臭化水素またはヨウ化水素などのハロゲン化水素、その他の鉱酸および硫酸塩、硝酸塩またはリン酸塩等などそれらの対応する塩、およびエタンスルホン酸塩、トルエンスルホン酸塩およびベンゼンスルホン酸塩などアルキルおよびモノアリールスルホン酸塩、および他の有機酸および酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、酒石酸塩、マレイン酸塩、コハク酸塩、クエン酸塩、安息香酸塩、サリチル酸塩、アスコルビン酸塩等それらの対応する塩で処理することにより酸付加塩を形成させることができる。したがって、式Iの化合物の薬理学的に許容し得る酸付加塩として次のものが挙げられる。すなわち、酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アルギニン塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩(ベシレート)、重硫酸塩、重亜硫酸塩、臭化物、酪酸塩、樟脳酸塩、カンファースルホン酸塩、カプリル酸塩、塩化物、クロロ安息香酸塩、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸、リン酸二水素塩、ジニトロ安息香酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、フマル酸塩、ガラクタル酸塩(ムチン酸由来)、ガラクツロン酸塩、グルコヘプタン酸塩、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、グリセロリン酸塩、ヘミコハク酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、馬尿酸塩、塩酸塩、臭素酸塩、ヨウ素酸塩、2−ヒドロキシエタンスルホン酸塩、ヨウ化物、イセチオン酸塩、イソ酪酸塩、乳酸塩、ラクトビオン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、マンデル酸塩、メタリン酸塩、メタンスルホン酸塩、メチル安息香酸塩、リン酸一水素塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、シュウ酸塩、オレイン酸塩、パモン酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、フェニル酢酸塩、3−フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ホスホン酸塩、フタル酸塩であるが、これは限定を示すものではない。
【0100】
さらに、本発明の化合物の塩基塩には、アルミニウム、アンモニウム、カルシウム、銅、鉄(III)、鉄(II)、リチウム、マグネシウム、マンガン(III)、マンガン(II)、カリウム、ナトリウムおよび亜鉛の塩が挙げられるが、これは限定を示すことを意図するものではない。上に挙げた塩のうち、好ましいものは、アンモニウム;ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属塩、およびカルシウムおよびマグネシウムなどのアルカリ土類金属塩である。薬理学的に許容し得る有機非毒性塩基から誘導される、式Iの化合物の塩には、第1級、第2級および第3級アミン、また天然に生ずる置換アミンも含めて置換アミン、環状アミン、および塩基性イオン交換樹脂が含まれ、該塩基は、例えば、アルギニン、ベタイン、カフェイン、クロロプロカイン、コリン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン(ベンザチン)、ジシクロヘキシルアミン、ジエタノールアミン、ジエチルアミン、2−ジエチルアミノエタノール、2−ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N−エチルモルホリン、N−エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラバミン、イソプロピルアミン、リドカイン、リジン、メグルミン、N−メチル−D−グルカミン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂、プロカイン、プリン、テオブロミン、トリエタノールアミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミンおよびトリス(ヒドロキシメチル)メチルアミン(トロメタミン)であるが、これは限定を示すことを意図していない。
【0101】
塩基性窒素含有基を含む本発明の化合物は、塩化(C1〜C4)アルキルなどの試薬を使用して4級化できる。該試薬は、例えば、メチル、エチル、イソプロピルおよびtert−ブチルの塩化物、臭化物およびヨウ化物;硫酸ジ(C1〜C4)アルキル、例えば硫酸ジメチル、ジエチルおよびジアミル;ハロゲン化(C10〜C18)アルキル、例えばデシル、ドデシル、ラウリル、ミリスチルおよびステアリル塩化物、臭化物およびヨウ化物;およびアリール(C1〜C4)アルキルのハロゲン化物、例えば、塩化ベンジル、および臭化フェネチルである。本発明の水溶性および油溶性のどちらの化合物もそのような塩を使用して調製できる。
【0102】
上記の薬剤塩には、好ましくは、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、ベシレート、クエン酸塩、フマル酸塩、グルコン酸塩、ヘミコハク酸塩、馬尿酸塩、塩酸塩、臭素酸塩、イセチオン酸塩、マンデル酸塩、メグルミン、硝酸塩、オレイン酸塩、ホスホン酸塩、ピバリン酸塩、ナトリウムリン酸塩、ステアリン酸塩、硫酸塩、スルホサリチル酸塩、酒石酸塩、チオリンゴ酸、トシレートおよびトロメタミンが挙げられるが、これは限定を示すことを意図していない。
【0103】
式Iの塩基性化合物の酸付加塩は、その遊離塩基形を十分な量の所望の酸と接触させて、通常の方法で塩を形成させることにより調製される。その遊離塩基は、通常の方法でその塩形態を塩基と接触させて遊離塩基を分離することにより再生できる。遊離塩基形は、その対応する塩形と極性溶媒への溶解度など或る物理的性質に関して或る点で相違している。しかし本発明の目的にとって、塩はその他の点では、それぞれその遊離塩基形に対応している。
【0104】
既に述べたように、式Iの化合物の薬理学的に許容し得る塩基付加塩は、アルカリ金属およびアルカリ土類金属または有機アミンなどの金属またはアミンと共に形成されている。好ましい金属はナトリウム、カリウム、マグネシウムおよびカルシウムである。好ましい有機アミンは、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、N−メチル−D−グルカミンおよびプロカインである。
【0105】
本発明の酸性化合物の塩基付加塩は、通常の方法により、遊離酸形を十分な量の所望の塩基と接触させ、塩を形成させることにより調製される。その遊離酸は、通常の方法でその塩形態を酸と接触させて遊離酸を分離することにより再生できる。遊離酸形は、その対応する塩形と極性溶媒への溶解度など或る物理的性質に関して或る点で相違している。しかし本発明の目的にとって、塩はその他の点では、それぞれその遊離酸形に対応している。
【0106】
本発明の化合物がこの型の薬理学的に許容し得る塩を形成し得る基を複数含んでいれば、本発明は多重塩をも包含する。典型的な多重塩形として、例えば、二酒石酸塩、二酢酸塩、二フマル酸塩、二メグルミン、二リン酸塩、二ナトリウムおよび三塩酸塩が挙げられるが、これは限定を示すことを意図していない。
【0107】
上で述べたことに関して、本発明に関する「薬理学的に許容し得る塩」という用語は、塩の一形態にある式Iの化合物を含む有効成分を、特にこの塩形が有効成分の遊離形または以前に使用された如何なる他の塩形に比較しても有効成分に改良された薬物動態学的性質を付与する場合に、意味するものとすることがわかる。有効成分の薬理学的に許容し得る塩形は、この有効成分にそれが以前には持たなかった所望の薬理動態的性質を初めて提供することもできて、体内における治療効力に関してこの有効成分の薬動力学に好ましい影響さえ与えることができる。
【0108】
本発明はさらに、式Iの少なくとも1つの化合物および/またはそれらの薬理学的に使用可能な誘導体、溶媒和物およびその立体異性体、それらの全ての比の混合物を含めて、また場合によっては賦形剤および/または補助剤を含む薬剤に関する。
【0109】
製剤は、投与単位当りに所定の量の有効成分を含む投与単位の形態で投与することができる。そのような単位は、本発明の化合物を、治療される条件、投与方法および患者の年齢、体重および状態に依存して、例えば0.5mgから1g、好ましくは1mgから700mg、特に好ましくは5mgから100mg含むことができる。すなわち製剤は投薬単位当りに所定の量の有効成分を含む投薬単位の形態で投与することができる。
【0110】
好ましい投与単位製剤は、上に示したような1日量または分割投与量(part−dose)、または対応する割合の有効成分を含むものである。さらに、このタイプの製剤は、製剤技術分野で一般的に知られている方法を使用して調製できる。
【0111】
製剤は、如何なる所望の適当な方法による投与にも適合させることができる。例えば、経口(口腔または舌下を含む)、経直腸、経鼻、局所(口腔、舌下または経皮を含む)、経膣、または非経口(皮下、筋肉内、静脈内、または皮内を含む)の方法である。そのような製剤は、製剤技術分野で知られている全ての方法を使用して、例えば、有効成分と賦形剤または補助剤とを組み合わせることによって調製できる。
【0112】
経口投与に適合させた製剤は、例えば、カプセル剤または錠剤;散剤または顆粒剤;水性または非水性液中の液剤または懸濁剤;食用発泡剤または発泡食品;あるいは水中油型乳剤または油中水型乳剤などの分離した単位として投与できる。
【0113】
したがって、例えば錠剤またはカプセル剤の形で経口投与する場合、有効成分は、経口の非毒性で薬理学的に許容し得る不活性賦形剤、例えばエタノール、グリセリン、水等などと組み合わせることができる。散剤は、化合物を適当な細かいサイズに微粉砕し、同様に微粉砕した、例えばデンプンまたはマンニトールなどの食用炭水化物など薬理学的に許容し得る賦形剤と混合することにより調製される。同様に香料、防腐剤、分散剤および染料が存在してもよい。
【0114】
カプセル剤は、上で述べたようにして散剤混合物を調製し、それを成形したゼラチンシェルに充填して製造する。流動促進剤および潤滑剤、例えば、高度に分散性のケイ酸、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウムまたは固形ポリエチレングリコールなどを、充填作業前に散剤混合物に添加することができる。カプセル剤を飲んだ後の薬剤の有効性を向上させる目的で、崩壊剤または可溶化剤、例えば、寒天、炭酸カルシウムまたは炭酸ナトリウムを、さらに添加することもできる。
【0115】
それに加えて、必要に応じて、適当な結合剤、潤滑剤および崩壊剤ならびに染料をさらに混合物に含有させることもできる。適当な結合剤としては、デンプン、ゼラチン、例えばグルコースまたはベータラクトースなどの天然の糖、トウモロコシからの甘味剤、例えばアラビアゴム、トラガカントまたはアルギン酸ナトリウムなどの天然および合成ゴム、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール、ワックス等が挙げられる。これらの投与形状において使用される潤滑剤には、オレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム等が挙げられる。崩壊剤には、デンプン、メチルセルロース、寒天、ベントナイト、キサンタンガム等が挙げられるが、これらに限定されることはない。錠剤は、例えば、散剤混合物を調製し、その混合物を顆粒化または乾式加圧成形し、潤滑剤および崩壊剤を添加し、全混合物を加圧して錠剤とすることによって製剤化される。散剤混合物は、適当な方法で微粉砕した化合物と、上記のような希釈剤または基剤と、および場合により例えばカルボキメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、またはポリビニルピロリドンなどの結合剤、例えばパラフィンなどの溶解遅延剤、例えば第4級塩などの吸収促進剤および/または例えばベントナイト、カオリンまたはリン酸二カルシウムなどの吸収剤とを混合することによって調製される。散剤混合物は、それを、例えばシロップ剤、デンプン糊、アラビアゴム粘液またはセルロースもしくはポリマー材料の溶液などの結合剤で湿らせて、それを加圧して篩に通すことによって顆粒化できる。顆粒化する別の方法として、散剤混合物を錠剤成形機に通して、不均一な形状の塊にし、それを顆粒の形状になるように破砕することができる。顆粒が錠剤成形鋳型に付着するのを防止する目的で、ステアリン酸、ステアリン酸塩、タルクまたは鉱油の添加によって潤滑することができる。次いで潤滑剤を加えた混合物を加圧して錠剤にする。本発明の化合物は、易流動性の不活性賦形剤と配合してから、顆粒化または乾式加圧工程を実施せずに直ちに加圧して錠剤にすることもできる。シェラックの密閉層、糖またはポリマー材料の層およびワックスの光沢層からなる透明または不透明の保護層が存在し得る。異なる投薬単位を識別できるようにする目的でこれらのコーティングに染料を添加できる。
【0116】
例えば液剤、シロップ剤およびエリキシル剤などの経口液剤は、所与の量が予め特定した量の化合物を含むように投与単位の形で調製することができる。シロップ剤は化合物を適当な香料と共に水溶液中で溶解することによって調製することができ、一方エリキシル剤は非毒性のアルコール性溶媒を使用して調製される。懸濁剤は、化合物を非毒性の媒体に分散することにより製剤化できる。可溶化剤および乳化剤、例えばエトキシ化イソステアリルアルコールおよびポリエチレンソルビトールエーテルなど、防腐剤、香味添加剤、例えばペパーミントオイルまたは天然甘味剤またはサッカリンまたはその他の人工甘味剤等などもさらに添加できる。
【0117】
経口投与のための投与単位製剤は、必要に応じて、マイクロカプセル中にカプセル化できる。製剤は、例えば、粒子状原料をポリマー、ワックス等により被覆または包埋することなどによって、放出が延長または遅延するように調製することもできる。
【0118】
式Iの化合物ならびにその塩、溶媒和物および生理学的機能性誘導体は、例えば小さな単層小胞、大きな単層小胞および多層小胞などのリポソ−ム送達系の形態で投与することもできる。リポソームは、例えばコレステロール、ステアリルアミンまたはホスファチジルコリンなど種々のリン脂質から形成することができる。
【0119】
式Iの化合物ならびにその塩、溶媒和物および生理学的機能性誘導体は、化合物分子が結合した個々の担体としてモノクローナル抗体を使用しても、送達できる。化合物は標的薬物の担体としての可溶性ポリマーに結合することもできる。そのようなポリマーは、ポリビニルピロリドン、ピランポリマー、ポリヒドロキシプロピルメタクリルアミドフェノール、ポリヒドロキシエチルアスパルトアミドフェノールまたはパルミトイル基により置換されたポリエチレンオキシドポリリジンを含むことができる。化合物はさらに、例えばポリ乳酸、ポリイプシロンカプロラクトン、ポリヒドロキシ酪酸、ポリオルトエスエル、ポリアセタール、ポリジヒドロキシピラン、ポリシアノアクリレートおよび架橋または両親媒性ブロック共重合体ヒドロゲルなど、薬剤の徐放を達成するために適した生分解性ポリマーの類に結合することができる。
【0120】
経皮投与に適合させた製剤は、広がって密接に受容者の表皮と接触するための独立した硬膏として投与で きる。したがって、有効成分は、例えばPharmaceutical Research、3巻(6号)、318頁(1986年)に一般用語で記載されているイオン導入によって、硬膏から送達できる。
【0121】
局所投与に適合させた薬剤化合物は、軟膏剤、クリーム剤、懸濁剤、ローション剤、散剤、液剤、ペースト剤、ゲル剤、スプレー剤、エアロゾル剤または油剤として製剤化できる。
【0122】
眼またはその他の外部組織、例えば口および皮膚の治療のためには、製剤は好ましくは局所用軟膏剤またはクリーム剤として塗布する。軟膏剤をもたらす製剤化の場合、有効成分は、パラフィン系または水と相溶性いずれかのクリーム基剤と共に用いることができる。あるいは、有効成分は、水中油クリーム基剤または油中水基剤でクリーム剤となるように製剤化することができる。
【0123】
眼に局所的に適用するために適合させた製剤には、有効成分が適当な担体、特に水性溶媒に溶解または懸濁した点眼剤が挙げられる。
【0124】
口中で局所的に適用するために適合させた製剤には、トローチ剤、パステル剤およびうがい薬が挙げられる。
【0125】
直腸内投与に適合させた製剤は、座薬または浣腸の形態で投与できる。
【0126】
担体物質が固体である経鼻投与に適合させた製剤は、例えば20ないし500ミクロンの範囲内の粒子サイズを有する粗い粉末を含み、鼻から吸い込む方法で、すなわち鼻の近く保った粉末を含む容器から鼻孔を通して急速に吸入することにより投与する。担体物質が液体の鼻内噴霧または点鼻薬として投与するのに適当な製剤は、水または油中の有効成分液剤を含む。
【0127】
吸入による投与に適合させた製剤は、エアロゾル剤を有する種々のタイプの加圧ディスペンサー、ネブライザーまたは吸入器により発生させられる微粒子状浮遊物または霧を含む。
【0128】
経膣投与に適合させた製剤は、ペッサリー、タンポン、クリーム剤、ゲル剤、ペースト剤、発泡剤またはスプレー製剤として投与できる。
【0129】
非経口投与に適合させた製剤は、抗酸化剤、緩衝剤、静菌剤および治療される受容者の血液と製剤を等張にする溶質を含有する、水性および非水性滅菌注射液剤;および懸濁媒体および増粘剤を含んでいてもよい水性および非水性滅菌懸濁剤を含む。製剤は単回投与または多回投与容器、例えば密封アンプルおよびバイアルで投与することができ、また使用直前に注射の目的で滅菌担体例えば水を加えるだけでよいように、凍結乾燥させて貯蔵することができる。
処方に従って調製する注射液剤および懸濁剤は、滅菌散剤、顆粒剤および錠剤から調製することができる。
【0130】
上で特に述べた構成要素に加えて、製剤が製剤の特定のタイプに関して当業者に通常の他の物質も含むことができることは言うまでもない。したがって、例えば経口投与に適した製剤はフレーバーを含んでいてよい。
【0131】
式Iの化合物の治療有効量は、例えば、動物の年齢および体重、治療を要する詳細な条件およびその重症度、製剤の性質および投与方法を含む多くの要因に依存していて、最終的には治療に当る医師または獣医師によって決定される。しかしながら、新生物、例えば結腸または乳癌の成長の治療に対する本発明の化合物の有効量は、一般に1日当り0.1から100mg/kg(受容者(哺乳類)体重)の範囲内にあり、特に典型的には1日当り1から10mg/kg体重の範囲内にある。したがって、体重70kgの成熟哺乳類に対する1日当りの実際の量は、通常70mgと700mgの間にあり、その場合、この量を1日に1回の投薬量として投与するか、または1日の投薬量の合計は同じになるようにして、通常1日につき1連の分割投薬量(例えば、2、3、4、、5または6回)で投与することができる。本発明の化合物の塩または溶媒和物の、または生理学的機能性誘導体の有効量は、本発明の化合物それ自体の有効量の分率として決定できる。上で述べた他の条件の治療に対して、類似の投与量が適当であると仮定することができる。
【0132】
本発明はさらに、式Iの少なくとも1つの化合物および/またはその薬理学的に使用可能な誘導体、溶媒和物、および立体異性体を、全ての比のそれらの混合物を含めて、およびさらに少なくとも1つの薬物有効成分を含む薬剤に関する。
【0133】
本発明は、
(a)有効量の式Iの化合物および/またはその薬理学的に使用可能な誘導体、溶媒和物および立体異性体(全ての比のそれらの混合物を含む)および
(b)有効量のさらなる薬剤有効成分
の別々の梱包からなるセット(キット)に関する。
【0134】
セットは、箱、個々の瓶、袋またはアンプルなどの適当な容器を含む。セットは例えば、分けられたアンプルを含んでいてよく、各アンプルは有効量の式Iの化合物および/またはその薬理学的に使用可能な誘導体、溶媒和物、および立体異性体を、全ての比のそれらの混合物を含めて、および有効量のさらに付け加えた薬物有効成分を、溶解または凍結乾燥させた形態で含む。
【0135】
表1の薬物は、好ましくは 、排他的にではなく、式Iの化合物と組み合わされる。式Iの化合物と表1の薬物との組合せは、式VIの化合物と組み合わせることもできる。
【0136】
【表1−1】

【0137】
【表1−2】

【0138】
【表1−3】

【0139】
【表1−4】

【0140】
【表1−5】

【0141】
【表1−6】

【0142】
【表1−7】

【0143】
【表1−8】

【0144】
式Iの化合物は、既知の抗癌剤と組み合わせられることが好ましい:
本発明の化合物は、既知の抗癌剤との併用にも適している。これらの既知の抗癌剤には次のものが含まれる:エストロゲン受容体モジュレーター、アンドロゲン受容体モジュレーター、レチノイド受容体モジュレーター、細胞毒性薬、抗増殖剤、プレニルタンパク質トランスフェラーゼ阻害剤、HMG−CoA還元酵素阻害剤、HIVプロテアーゼ阻害剤、リバーストランスクリプターゼ阻害剤およびその他の血管形成阻害剤。本発明の化合物は放射線治療と同時に投与するのに特に適している。放射線治療との併用におけるVEGF阻害の相乗効果は専門家によって記述されている(WO00/61186を参照)。
【0145】
「エストロゲン受容体モジュレーター」とは、機構を問わず、エストロゲンの受容体への結合を妨害または阻害する化合物を指す。エストロゲン受容体モジュレーターの例には、タモキシフェン、ラロキシフェン、イドキシフェン、LY353381、LY117081、トレミフェン、フルベストラント、2,2−ジメチルプロピオン酸4−[7−(2,2−ジメチル−1−オキソプロポキシ−4−メチル−2−[4−[2−(1−ピペリジニル)エトキシ]フェニル]−2H−1−ベンゾピラン−3−イル]フェニル、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン−2,4−ジニトロフェニルヒドラゾンおよびSH646が挙げられるがこれらに限定はされない。
【0146】
「アンドロゲン受容体モジュレーター」とは、機構を問わず、アンドロゲンの受容体への結合を妨害または阻害する化合物を指す。アンドロゲン受容体モジュレーターの例には、フィナステリドおよびその他の5αレダクターゼ阻害剤、ニルタミド、フルタミド、ビカルタミド、リアロゾールおよび酢酸アビラテロンが挙げられる。
【0147】
「レチノイド受容体モジュレーター」とは、機構を問わず、レチノイドの受容体への結合を妨害または阻害する化合物を指す。そのようなレチノイド受容体の例には、ベクサロテン、トレニノイン、13−cis−レチノイン酸、9−cis−レチノイン酸、α−ジフルオロメチルオルニチン、ILX23−7553、trans−N−(4’−ヒドロキシフェニル)レチナミドおよびN−4−カルボキシフェニルレチナミドが挙げられる。
【0148】
「細胞毒性薬」とは、主として細胞機能に直接作用して細胞死を生ずるか、または有糸分裂を阻害または妨害する化合物を指し、アルキル化剤、腫瘍壊死因子、インターカレーター、微小管阻害剤およびトポイソメラーゼ阻害剤を含む。
細胞毒性薬の例には、チラパジミン、セルテネフ、カケクチン、イホスファミド、タソネルミン、ロニダミン、カルボプラチン、アルトレタミン、プレドニムスチン、ジブロモズルシトール、ラニムスチン、フォテムスチン、ネダプラチン、オキサリプラチン、テモゾロミド、ヘプタプラチン、エストラムスチン、トシル酸インプロスルファン、トロホスファミド、ニムスチン、塩化ジブロスピジウム、プミテパ、ロバプラチン、サトラプラチン、プロフィロマイシン、シスプラチン、イロフルベン、デクシホスファミド、cis−アミンジクロロ(2−メチルピリジン)白金、ベンジルグアニン、グルホスファミド、GPX100、(trans,trans,trans)ビス−μ−(ヘキサン−1,6−ジアミン)μ−[ジアミン白金(II)]ビス[ジアミン(クロロ)白金(II)]テトラクロリド、ジアリシジニルスペルミン、三酸化砒素、1−(11−ドデシルアミノ−10−ヒドロキシウンデシル)−3,7−ジメチルキサンチン、ゾルビシン、イダルビシン、ダウノルビシン、ビスアントレン、ミトキサントロン、ピラルビシン、ピナフィド、バルルビシン、アムルビシン、アンチネオプラストン、3’−デアミノ−3’−モルホリノ−13−デオキソ−10−ヒドロキシカルミノマイシン、アンナマイシン、ガラルビシン、エリナフィド、MEN10755、および4−デメトキシ−3−デアミノ−3−アジリジニル−4−メチルスルホニルダウノルビシン(WO00/50032参照)が挙げられるが、これらに限定はされない。
【0149】
微小管阻害剤の例には、パクリタキセル、硫酸ビンデシン、3’,4’−ジデヒドロ−4’−デオキシ−8’−ノルビンカリューコブラスチン、ドセタキソール、リゾキシン、ドラスタチン、イセチオン酸ミボブリン、オーリスタチン、セマドチン、RPR109881、BMS184476、ビンフルニン、クリプトフィシン、2,3,4,5,6−ペンタフルオロ−N−(3−フルオロ−4−メトキシフェニル)ベンゼンスルホンアミド、アンヒドロビンブラスチン、N,N−ジメチル−L−バリル−L−バリル−N−メチル−L−バリル−L−プロピル−L−プロリン−t−ブチルアミド、TDX258およびBMSI88797が挙げられる。
【0150】
トポイソメラーゼ阻害剤の幾つかの例は、トポテカン、ヒカプタミン、イリノテカン、ルビテカン、6−エトキシプロピオニル−3’4’−O−エキソベンジリデンシャールトルーシン(6−ethoxypropionyl−3’,4’−O−exobenzylidenechartreusin)、9−メトキシ−N,N−ジメチル−5−ニトロピラゾロ[3,4,5−kl]アクリジン−2−(6H)プロパンアミン、1−アミノ−9−エチル−5−フルオロ−2,3−ジヒドロ−9−ヒドロキシ−4−メチル−1H,12H−ベンゾ[de]ピラノ[3’,4’:b,7]インドリジノ[1,2b]キノリン−10,13(9H,15H)ジオン、ルルトテカン、7−[2−(N−イソプロピルアミノ)エチル]−(20S)カンプトテシン、BNP1350、BNPI1100、BN80915、BN80942、リン酸エトポシド、テニポシド、ソブゾキサン、2’−ジメチルアミノ−2’−デオキシエトポシド、GL331、N−[2−(ジメチルアミノ)エチル]−9−ヒドロキシ−5,6−ジメチル−6H−ピリド[4,3−b]カルバゾール−1−カルボキシアミド、アスラクリン、(5a,5aB,8aa,9b)−9−[2−[N−[2−(ジメチルアミノ)エチル]−N−メチルアミノ]エチル]−5−[4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシフェニル]−5,5a,6,8,8a,9−ヘキサヒドロフロ(3’,4’:6,7)ナフト(2,3−d)−1,3−ジオキソール−6−オン、2,3−(メチレンジオキシ)−5−メチル−7−ヒドロキシ−8−メトキシベンゾ[c]フェナントリジニウム、6,9−ビス[(2−アミノエチル)アミノ]ベンゾ[g]イソキノリン−5,10−ジオン、5−(3−アミノプロピルアミノ)−7,10−ジヒドロキシ−2−(2−ヒドロキシエチルアミノメチル)−6H−ピラゾロ[4,5,1−de]アクリジン−6−オン、N−[1−[2(ジエチルアミノ)エチルアミノ]−7−メトキシ−9−オキソ−9H−チオキサンテン−4−イルメチル]ホルムアミド、N−(2−(ジメチルアミノ)エチル)アクリジン−4−カルボキシアミド、6−[[2−(ジメチルアミノ)エチル]アミノ]−3−ヒドロキシ−7H−インデノ[2,1−c]キノリン−7−オンおよびジメスナである。
【0151】
「抗増殖剤」としては、G3139、ODN698、RVASKRAS、GEM231およびINX3001などのアンチセンスRNAおよびDNAオリゴヌクレオチドおよびエノシタビン、カモフール、テガフール、ペントスタチン、ドキシフルリジン、トリメトレキセート、フルダラビン、カペシタビン、ガロシタビン、シタラビンオクホスファート、ホステアビンナトリウム水和物、ラルチトレキセド、パルチトレキシド、エミテフール、チアゾフリン、デシタビン、ノラトレキセド、ペメトレキセド、ネルザラビン、2’−デオキシ−2’−メチリデンシチジン、2’−フルオロメチレン−2’−デオキシシチジン、N−[5−(2,3−ジヒドロベンゾフリル)スルホニル]−N’−(3,4−ジクロロフェニル)尿素、N6−[4−デオキシ−4−[N2−[2(E),4(E)−テトラデカジエノイル]グリシルアミノ]−L−グリセロ−B−L−マンノヘプトピラノシル]アデニン、アプリジン、エクテナサイジン、トロキサシタビン、4−[2−アミノ−4−オキソ−4,6,7,8−テトラヒドロ−3H−ピリミジノ[5,4−b]−1,4−チアジン−6−イル−(S)−エチル]−2,5−チエノイル−L−グルタミン酸、アミノプテリン、5−フルオロウラシル、アラノシン、11−アセチル−8−(カルバモイルオキシメチル)−4−ホルミル−6−メトキシ−14−オキサ−1,11−ジアザテトラシクロ−(7.4.1.0.0)テトラデカ−2,4,6−トリエン−9−イル酢酸エステル、スワンソニン、ロメトレキソール、デキスラゾキサン、メチオニナーゼ、2’−シアノ−2’−デオキシ−N4−パルミトイル−l−B−D−アラビノフラノシルシトシンおよび3−アミノピリジン−2−カルボキシアルデヒドチオセミカルバゾンなどの代謝拮抗物質が挙げられる。「抗増殖剤」にはまた、「血管形成阻害剤」の名で掲載したもの以外にトラスツズマブなど成長因子に対するモノクローナル抗体、および組換えウィルスを介する遺伝子導入により送達できるp53などの腫瘍抑制遺伝子も含まれる(例えば、米国特許第6069134号参照)。
【0152】
腫瘍疾患の治療および予防のためには本発明の化合物の使用が特に好ましい。
【0153】
腫瘍は、好ましくは、扁平上皮、膀胱、胃、腎臓、頭頚部、食道、子宮頚部、甲状腺、腸、肝臓、脳、前立腺、泌尿生殖管、リンパ系、胃、喉頭および/または肺の腫瘍の群から選択される。
【0154】
腫瘍はさらに好ましくは、肺腺癌、小細胞肺癌、膵癌、グリア芽細胞腫、結腸癌および乳癌から選択される。
【0155】
さらに、血液および免疫系の治療に、好ましくは急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、急性リンパ性白血病および/または慢性リンパ性白血病の群から選択される腫瘍の治療に使用することが好ましい。
【0156】
本発明はまた、
a)式Iの化合物の1つまたは複数、
【0157】
【化18】

【0158】
b)および式VIの少なくとも1つの化合物
【0159】
【化19】

【0160】
(式中、Y’およびZ’は各々互いに独立に、OまたはNを表し、R7およびR9は互いに独立にH、OH、ハロゲン、OC1〜10アルキル、OCF3、NO2、またはNH2を表し、nは2と6を含めてその間の整数を表し、またR6およびR8は互いに独立にメタまたはパラの位置にあり、群
【0161】
【化20】

【0162】
から選択される)
の投与による癌などの新生物を有する患者の治療方法をも包含するが、第1の化合物と第2の化合物を同時にまたは互いに14日以内に、新生物の増殖を抑制するのに十分な量で投与する。
【0163】
その他の適当なペンタミジン類似化合物には、スチルバミジン(G−1)およびヒドロキシスチルバミジン(G−2)およびそのインドール類似化合物が挙げられる(例えばG−3)。
【0164】
【化21−1】

【0165】
【化21−2】

【0166】
各アミジン単位は互いに独立に、全体としてその他の単位の1つで置き換えてもよい。ベンズイミダゾールおよびペンタミジンの場合のように、スチルバミジン、ヒドロキシスチルバミジンおよびそれらのインドール誘導体の塩もまた本発明の方法に適している。好ましい塩としては、例えば、二塩酸塩およびメタンスルホン酸塩が挙げられる。
【0167】
さらにその他の類似化合物は、米国特許第5428051号、第5521189号、第5602172号、第5643935号、第5723495号、第5843980号、第6172104号および第6326395号または公開番号米国第2002/0019437A1号の米国特許出願のいずれか1つに提供されている式に当てはまる化合物である。上記米国特許および米国特許出願の各々は全体として参照により組み込む。例示になる類似化合物には次のものが挙げられる。1,5−ビス(4’−(N−ヒドロキシアミジノ)フェノキシ)ペンタン、1,3−ビス(4’−(N−ヒドロキシアミジノ)フェノキシ)プロパン、1,3−ビス(2’−メトキシ−4’−(N−ヒドロキシアミジノ)フェノキシ)プロパン、1,4−ビス(4’−(N−ヒドロキシアミジノ)フェノキシ)ブタン、1,5−ビス(4’−(N−ヒドロキシアミジノ)フェノキシ)ペンタン、1,4−ビス(4’−(N−ヒドロキシアミジノ)フェノキシ)ブタン、1,3−ビス(4’−(4−ヒドロキシアミジノ)フェノキシ)プロパン、1,3−ビス(2’−メトキシ−4’−(N−ヒドロキシアミジノ)フェノキシ)プロパン、2,5−ビス[4−アミジノフェニル]フラン、2,5−ビス[4−アミジノフェニル]フラン ビスアミドオキシム、2,5−ビス[4−アミジノフェニル]フラン ビス−O−メチルアミドオキシム、2,5−ビス[4−アミジノフェニル]フラン ビス−O−エチルアミドオキシム、2,8−ジアミジノジベンゾチオフェン、2,8−ビス(N−イソプロピルアミジノ)カルバゾール、2,8−ビス(N−ヒドロキシアミジノ)カルバゾール、2,8−ビス(2−イミダゾリニル)ジベンゾチオフェン、2,8−ビス(2−イミダゾリニル)−5,5−ジオキソジベンゾチオフェン、3,7−ジアミジノジベンゾチオフェン、3,7−ビス(N−イソプロピルアミジノ)ジベンゾチオフェン、3,7−ビス(N−ヒドロキシアミジノ)ジベンゾチオフェン、3,7−ジアミノジベンゾチオフェン、3,7−ジブロモジベンゾチオフェン、3,7−ジシアノジベンゾチオフェン、2,8−ジアミジノジベンゾフラン、2,8−ジ−(2−イミダゾリニル)−ジベンゾフラン、2,8−ジ−(N−イソプロピルアミジノ)ジベンゾフラン、2,8−ジ−(N−ヒドロキシルアミジノ)ジベンゾフラン、3,7−ジ−(2−イミダゾリニル)ジベンゾフラン、3,7−ジ−(イソプロピルアミジノ)ジベンゾフラン、3,7−ジ−(A−ヒドロキシルアミジノ)ジベンゾフラン、2,8−ジシアノジベンゾフラン、4,4’−ジブロモ−2,2’−ジニトロビフェニル、2−メトキシ−2’−ニトロ−4,4’−ジブロモビフェニル、2−メトキシ−2’−アミノ−4,4’−ジブロモビフェニル、3,7−ジブロモジベンゾフラン、3,7−ジシアノジベンゾフラン、2,5−ビス(5−アミジノ−2−ベンズイミダゾリル)ピロール、2,5−ビス[5−(2−イミダゾリニル)−2−ベンズイミダゾリル]ピロール、2,6−ビス[5−(2−イミダゾリニル)−2−ベンズイミダゾリル]ピリジン、1−メチル−2,5−ビス(5−アミジノ−2−ベンズイミダゾリル)ピロール、1−メチル−2,5−ビス[5−(2−イミダゾリル)−2−ベンズイミダゾリル]ピロール、1−メチル−2,5−ビス[5−(1,4,5,6−テトラヒドロ−2−ピリミジニル)−2−ベンズイミダゾリル]ピロール、2,6−ビス(5−アミジノ−2−ベンズイミダゾイル)ピリジン、2,6−ビス−[5−(1,4,5,6−テトラヒドロ−2−ピリミジニル)−2−ベンズイミダゾリル]ピリジン、2,5−ビス(5−アミジノ−2−ベンズイミダゾリル)フラン、2,5−ビス[5−(2−イミダゾリニル)−2−ベンズイミダゾリル]フラン、2,5−ビス(5−N−イソプロピルアミジノ−2−ベンズイミダゾリル)フラン、2,5−ビス(4−グアニルフェニル)フラン、2,5−ビス(4−グアニルフェニル)−3,4−ジメチルフラン、2,5−ジ−p−[2−(3,4,5,6−テトラヒドロピリミジル)フェニル]フラン、2,5−ビス[4−(2−イミダゾリニル)フェニル]−フラン、2,5−[ビス{4−(2−テトラヒドロピリミジニル)}フェニル]p−(トリルオキシ)フラン、2,5−[ビス−{4−(2−イミダゾリニル)}フェニル]−3−p−(トリルオキシ)フラン、2,5−ビス{4−[5−(N−2−アミノエチルアミド)ベンズイミダゾール−2−イル]フェニル)フラン、2,5−ビス[4−(3a,4,5,6,7,7a−ヘキサヒドロ−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)フェニル]フラン、2,5−ビス[4−(4,5,6,7−テトラヒドロ−1H−1,3−ジアゼピン−2−イル)フェニル]フラン、2,5−ビス(4−N,N−ジメチルカルボキシヒドラジド−フェニル)フラン、2,5−ビス{4−[2−(N−2−ヒドロキシエチル)イミダゾリニル]フェニル}フラン、2,5−ビス[4−(N−イソプロピルアミジノ)フェニル]フラン、2,5−ビス{4−[3−(ジメチルアミノプロピル)−アミジノ]フェニル}フラン、2,5−ビス{4−[N−(3−アミノプロピル)アミジノ]フェニル}フラン、2,5−ビス[2−(イミダゾリニル)フェニル]−3,4−ビス(メトキシメチル)フラン、2,5−ビス[4−N−(ジメチルアミノエチル)グアニル]フェニルフラン、2,5−ビス{4−[(N−2−ヒドロキシエチル)−グアニル]フェニル}フラン、2,5−ビス[4−N−(シクロプロピルグアニル)フェニル]フラン、2,5−ビス[4−(N,N−ジエチルアミノプロピル)グアニル]フェニルフラン、2,5−ビス{4−[2−(N−エチルイミダゾリニル)]フェニル}フラン、2,5−ビス{4−[N−(3−ペンチルグアニル)]}フェニルフラン、2,5−ビス[4−(2−イミダゾリニル)フェニル]−3−メトキシフラン、2,5−ビス[4−(N−イソプロピルアミジノ)フェニル]−3−メチルフラン、ビス[5−アミジノ−2−ベンズイミダゾリル]メタン、ビス[5−(2−イミダゾリル)−2−ベンズイミダゾリル]メタン、1,2−ビス[5−アミジノ−2−ベンズイミダゾリル]−エタン、1,2−ビス[5−(2−イミダゾリル)−2−ベンズイミダゾリル]エタン、1,3−ビス[5−アミジノ−2−ベンズイミダゾリル]プロパン、1,3−ビス[5−(2−イミダゾリル)−2−ベンズイミダゾリル]−プロパン、1,4−ビス[5−アミジノ−2−ベンズイミダゾリル]プロパン、1,4−ビス[5−(2−イミダゾリル)−2−ベンズイミダゾリル]ブタン、1,8−ビス[5−アミジノ−2−ベンズイミダゾリル]オクタン、trans−1,2−ビス[5−アミジノ−2−ベンズイミダゾリル]エテン、1,4−ビス[5−(2−イミダゾリル)−2−ベンズイミダゾリル]−1−ブテン、1,4−ビス[5−(2−イミダゾリル)−2−ベンズイミダゾリル]−2−ブテン、
1,4−ビス[5−(2−イミダゾリル)−2−ベンズイミダゾリル]−1−メチルブタン、1,4−ビス−[5−(2−イミダゾリル)−2−ベンズイミダゾリル]−2−エチルブタン、1,4−ビス[5−(2−イミダゾリル)−2−ベンズイミダゾリル]−1−メチル−1−ブテン、1,4−ビス[5−(2−イミダゾリル)−2−ベンズイミダゾリル]−2,3−ジエチル−2−ブテン、1,4−ビス[5−(2−イミダゾリル)−2−ベンズイミダゾリル]−1,3−ブタジエン、1,4−ビス[5−(2−イミダゾリル)−2−ベンズイミダゾリル]−2−メチル−1,3−ブタジエン、ビス[5−(2−ピリミジル)−2−ベンズイミダゾリル]メタン、1,2−ビス[5−(2−ピリミジル)−2−ベンズイミダゾリル]エタン、1,3−ビス[5−アミジノ−2−ベンズイミダゾリル]プロパン、1,3−ビス[5−(2−ピリミジル)−2−ベンズイミダゾリル]プロパン、1,4−ビス[5−(2−ピリミジル)−2−ベンズイミダゾリル]ブタン、1,4−ビス[5−(2−ピリミジル)−2−ベンズイミダゾリル]−1−ブテン、1,4−ビス[5−(2−ピリミジル)−2−ベンズイミダゾリル]−2−ブテン、1,4−ビス[5−(2−ピリミジル)−2−ベンズイミダゾリル]−1−メチルブタン、1,4−ビス[5−(2−ピリミジル)−2−ベンズイミダゾリル]−2−エチルブタン、1,4−ビス[5−(2−ピリミジル)−2−ベンズイミダゾリル]−1−メチル−1−ブテン、1,4−ビス[5−(2−ピリミジル)−2−ベンズイミダゾリル]−2,3−ジエチル−2−ブテン、1,4−ビス[5−(2−ピリミジル)−2−ベンズイミダゾリル]−1,3−ブタジエンおよび1,4−ビス[5−(2−ピリミジル)−2−ベンズイミダゾリル]−2−メチル−1,3−ブタジエン、2,4−ビス(4−グアニルフェニル)ピリミジン、2,4−ビス(4−イミダゾリン−2−イル)ピリミジン、2,4−ビス[(テトラヒドロピリミジニル−2−イル)フェニル]ピリミジン、2−(4−[N−i−プロピルグアニル]フェニル)−4−(2−メトキシ−4−[N−i−プロピルグアニル]フェニル)ピリミジン、4−(N−シクロペンチルアミジノ)−1,2−フェニレンジアミン、2,5−ビス[2−(5−アミジノ)ベンズイミダゾイル]フラン、2,5−ビス[2−{5−(2−イミダゾリノ)}ベンズイミダゾイル]フラン、2,5−ビス[2−(5−N−イソプロピルアミジノ)ベンズイミダゾイル]−フラン、2,5−ビス[2−(5−N−シクロペンチルアミジノ)ベンズイミダゾイル]フラン、2,5−ビス[2−(5−アミジノ)ベンズイミダゾイル]ピロール、2,5−ビス[2−{5−(2−イミダゾリノ)}ベンズイミダゾイル]−ピロール、2,5−ビス[2−(5−N−イソプロピルアミジノ)ベンズイミダゾイル]ピロール、2,5−ビス[2−(5−N−シクロペンチルアミジノ)ベンズイミダゾイル]ピロール、1−メチル−2,5−ビス[2−(5−アミジノ)ベンズイミダゾイル]ピロール、2,5−ビス[2−{5−(2−イミダゾリノ)}ベンズイミダゾイル]−1−メチルピロール、2,5−ビス[2−(5−N−シクロペンチルアミジノ)ベンズイミダゾイル]−1−メチルピロール、2,5−ビス[2−(5−N−イソプロピルアミジノ)ベンズイミダゾイル]チオフェン、2,6−ビス−[2−{5−(2−イミダゾリノ)}ベンズイミダゾイル]ピリジン、2,6−ビス[2−(5−アミジノ)ベンズイミダゾイル]ピリジン、4,4’−ビス[2−(5−N−イソプロピルアミジノ)ベンズイミダゾイル]−1,2−ジフェニルエタン、4,4’−ビス[2−(5−N−シクロペンチルアミジノ)ベンズイミダゾイル]−2,5−ジフェニルフラン、2,5−ビス[2−(5−アミジノ)ベンズイミダゾイル]ベンゾ[b]フラン、2,5−ビス[2−(5−N−シクロペンチルアミジノ)ベンズイミダゾイル]ベンゾ[b]フラン、2,7−ビス[2−(5−N−イソプロピルアミジノ)ベンズイミダゾイル]フッ素、2,5−ビス[4−(3−(N−モルホリノプロピル)−カルバモイル)フェニル]フラン、2,5−ビス[4−(2−N,N−ジメチルアミノエチルカルバモイル)−フェニル]フラン、2,5−ビス[4−(3−N,N−ジメチルアミノプロピルカルバモイル)フェニル]−フラン、2,5−ビス[4−(3−N−メチル−3−N−フェニルアミノプロピルカルバモイル)フェニル]−フラン、2,5−ビス[4−(3−N,N8,N11−トリメチルアミノプロピルカルバモイル)フェニル]フラン、2,5−ビス[3−アミジノフェニル]フラン、2,5−ビス[3−(N−イソプロピルアミジノ)アミジノフェニル]フラン、2,5−ビス[3−[(N−(2−ジメチルアミノエチル)アミジノ]フェニルフラン、2,5−ビス[4−(N−2,2,2−トリクロロエトキシカルボニル)アミジノフェニル]フラン、2,5−ビス[4−(N−チオエチルカルボニル)アミジノフェニル]フラン、2,5−ビス[4−(N−ベンジルオキシカルボニル)−アミジノフェニル]フラン、2,5−ビス[4−(N−フェノキシカルボニル)アミジノフェニル]フラン、2,5−ビス[4−(N−(4−フルオロ)フェノキシカルボニル)アミジノフェニル]フラン、2,5−ビス[4−(N−(4−メトキシ)フェノキシカルボニル)アミジノフェニル]フラン、2,5−ビス[4−(1−アセトキシエトキシカルボニル)アミジノフェニル]フランおよび2,5−ビス[4−(N−(3−フルオロ)フェノキシカルボニル)アミジノフェニル]フラン。上記化合物のどの1つにしてもその製造方法は、米国特許第5428051号、第5521189号、第5602172号、第5643935号、第5723495号、第5843980号、第6172104号および第6326395号または公開番号米国第2002/0019437A1号の米国特許出願のなかに記載されている。
【0168】
ペンタミジン代謝物は、本発明の抗増殖性組合せに同様に適している。ペンタミジンは体内で急速に少なくとも7種の1次代謝物に代謝される。これらの代謝物の或るものは、ペンタミジンと共通の1つまたは複数の作用を有する。ペンタミジン代謝物の或るものは、ベンズイミダゾールまたはその類似化合物と併用すると抗増殖作用を示すことがある。
【0169】
7種のペンタミジン類似化合物を下に示す。
【0170】
【化22】

【0171】
式Iおよび式VIの化合物およびそれらの代謝物の本発明による併用は、新生物の治療に適している。併用療法はそれだけで、またはもう1つの療法(例えば手術、放射線、化学療法、生物学的療法)との併用で実施することができる。それに加えて、新生物が生じる危険性が通常よりも高い人には(例えば遺伝的に素因がある人または既に新生物のできたことがある人)、新生物の形成を阻止または遅延させる目的で予防的治療を与えることができる。
【0172】
併用における各化合物の投与量および頻度は独立に制御できる。例えば、1つの化合物を毎日3回経口投与してもよく、一方第2の化合物は1日1回筋肉注射で投与してもよい。両法の化合物を投与することになるように、化合物を合わせて製剤化することもできる。
【0173】
本発明の抗増殖性の組合せは、薬剤パッケージの成分として提供することもできる。2種の薬物は一緒に、または別々に、かつまた個別の投与量で製剤化することができる。
【0174】
もう1つの態様において本発明は、式(I)および(VI)の化合物の抗増殖剤との併用投与による、癌などの新生物を持つ患者の治療方法を含む。適当な抗増殖剤は表1に示すものを含む。
【0175】
上記および下記において、全ての温度は℃で示す。次の実施例で「通常の処理」の意味は次の通りである:必要ならば水を加えて、必要ならば、目的生成物の構成に合わせてpHを2と10の間の値に調節し、その混合物を酢酸エチルまたはジクロロメタンで抽出し、相を分離し、有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、蒸発させ、生成物をシリカゲルのクロマトグラフおよび/または結晶化によって精製する。Rfはシリカゲル上、溶離液が酢酸エチル/メタノール9:1の値である。
質量分析法(MS):
EI(電子衝撃イオン化)M+
FAB(高速原子衝突)(M+H)+
ESI(エレクトロスプレーイオン化)(M+H)+
APCI−MS(大気圧化学イオン化−質量分析法)(M+H)+
下記で使用するマンデル酸誘導体は、文献に記載されている、例えば芳香族アルデヒドからの合成により入手できる。
【0176】
実施例1
a)クロロフェニル酢酸メチル1の合成
【0177】
【化23】

【0178】
クロロフェニル酢酸メチルの合成のため、10.0g(60mmol)のマンデル酸メチルを10mlのジクロロメタンに溶解して、4.79ml(66mmol、1.1当量)の塩化チオニルを加えた後、60℃に加温する。混合物を18時間撹拌し、反応溶液を室温に冷却して、さらに20mlのジクロロメタンを加える。混合物を30mlの水および飽和NaHCO3で各2回抽出する。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過および蒸留による溶媒除去の後に反応生成物を得る。
【0179】
b)フェニル−p−トリルスルファニル酢酸メチル2の合成
【0180】
【化24】

【0181】
フェニル−p−トリルスルファニル酢酸メチル合成のため、2.0g(7.9mmol)の1を10mlのジクロロメタンに溶解し、各1当量の4−メチルチオフェノール(7.9mmol、0.98g)および水酸化ナトリウム(7.9mmol、0.32g)を加えて、混合物を2時間還流する。反応混合物を室温に冷却し、濾過して溶媒を留去する。水を残渣に加え、反応生成物を酢酸エチルで抽出する。有機相を硫酸ナトリウムを用いて乾燥させ、濾過後溶媒を留去して生成物2を得る。
【0182】
c)フェニル−p−トリルスルファニル酢酸3の合成
【0183】
【化25】

【0184】
フェニル−p−トリルスルファニル酢酸合成のため、2.2g(6.4mmol)の2を8mlのメタノールに溶解し、1.5mlの水中に炭酸カリウム1.32g(9.57mmol、1.5当量)を溶かした溶液を加える。混合物を15時間還流する。溶媒を蒸留により除去した後、残渣を水に溶解し、ジエチルエーテルで1回抽出する。18mlの1N HClを冷却しながら水相に加え、混合物を酢酸エチルで抽出する。硫酸ナトリウムによる乾燥、濾過および蒸留による溶媒除去で生成物3を得る。
【0185】
d)塩化フェニル−p−トリルスルファニルアセチル4の合成
【0186】
【化26】

【0187】
塩化フェニル−p−トリルスルファニルアセチル合成のため、1.7g(5.5mmol)の3を10mlのジクロロメタンに溶解して、1.4ml(3.5当量)の塩化チオニルを加える。残渣に水を加え、反応生成物を酢酸エチルで抽出する。有機相を硫酸ナトリウムを用いて乾燥させ、濾過後溶媒を留去して生成物4を得る。
【0188】
e)5−メチル−2−フェニル−2,3−ジヒドロベンゾチオフェン−3−オン5の合成
【0189】
【化27】

【0190】
5−メチル−2−フェニル−2,3−ジヒドロベンゾチオフェン−3−オン合成のため、ジクロロメタン8ml中0.8g(1.88mmol)の4を、予め−65℃に冷却しておいた2mlのジクロロメタン中0.33g(2.44mmol、1.3当量)のAlCl3にゆっくりと滴下する。反応物を室温で15時間撹拌し、次いで氷上に注ぎ、有機相を分離して1N水酸化ナトリウム溶液で2回抽出する。50%酢酸を使用してpHを6に調節し、沈殿した反応生成物を濾別する。
【0191】
f)2,5−ジメチル−2−フェニル−2,3−ジヒドロベンゾチオフェン−3−オン6の合成
【0192】
【化28】

【0193】
2,5−ジメチル−2−フェニル−2,3−ジヒドロベンゾチオフェン−3−オン合成のため、23.8mgの水素化ナトリウム(0.59mmol、油状パラフィン中60%)を10mlのトルエンに懸濁する。122μl(1.27mmol;3当量)のtert−ブタノールを撹拌しながら加える。混合物を室温で1時間撹拌した後、200mg(0.42mmol)の5を加え、混合物を60℃に30分加熱し、40℃に冷却した後90.3mg(0.63mmol、1.5当量)のヨードメタンを加える。混合物を80℃で3時間撹拌する。冷却後氷水を加え、有機相を分離して、混合物をさらにトルエンで抽出する。硫酸ナトリウムで乾燥させ、混合物を濾過する。シリカゲルを通しての濾過および蒸留による溶媒除去後、生成物6を得る。
【0194】
g)2,5−ジメチル−3−(1−メチルピペリジン−4−イル)−2−フェニル−2,3−ジヒドロベンゾチオフェン−3−オール7の合成
【0195】
【化29】

【0196】
2,5−ジメチル−3−(1−メチルピペリジン−4−イル)−2−フェニル−2,3−ジヒドロベンゾチオフェン−3−オール合成のため、最初に5mlの乾燥THF中に0.42gのマグネシウムリボンを入れ、ヨウ素および臭化エチルを加えてグリニャール反応を開始させる。2.3g(17.2mmol、1.5当量)のN−メチル−4−クロロピペリジン(N−メチルピペリジノールを塩化チオニルと反応させて得る)を5mlのTHFに溶解して、撹拌しながら加え、混合物を1時間還流する。10℃に冷却した後、2.66g(11.0mmol)の6を10mlのTHFに溶解して、滴下により加え、混合物を一晩撹拌する。2mlの水を加えた後、沈殿を濾別し、液相を蒸発させ、1N HClを加え、混合物を酢酸エチルで抽出する。分離した水相のpHをNaOHにより12に調節し、沈殿した反応生成物を濾別する。
【0197】
h)4−(2,5−ジメチル−2−フェニル−2,3−ジヒドロベンゾチオフェン−3−イリデン)−1−メチルピペリジン8の合成
【0198】
【化30】

【0199】
4−(2,5−ジメチル−2−フェニル−2,3−ジヒドロベンゾチオフェン−3−イリデン)−1−メチルピペリジン合成のため、1.9g(5.4mmol)の7を、20mlのHCl飽和イソプロパノール中60℃で3時間撹拌する。反応が完結したら、混合物を蒸発させ、結晶性残渣をジエチルエーテルと共に撹拌する。結晶性生成物8を乾燥させる。
【0200】
本発明による次の化合物は、対応する前駆物質を使用して、同様にして得られる。
【0201】
実施例2−41
【0202】
【表2−1】

【0203】
【表2−2】

【0204】
【表2−3】

【0205】
実施例42−81
【0206】
【表3−1】

【0207】
【表3−2】

【0208】
【表3−3】

【0209】
実施例82−121
【0210】
【表4−1】

【0211】
【表4−2】

【0212】
【表4−3】

【0213】
実施例122−161
【0214】
【表5−1】

【0215】
【表5−2】

【0216】
【表5−3】

【0217】
実施例162−254
【0218】
【表6−1】

【0219】
【表6−2】

【0220】
【表6−3】

【0221】
【化31−1】

【0222】
【化31−2】

【0223】
【化31−3】

【0224】
【化31−4】

【0225】
【化31−5】

【0226】
【化31−6】

【0227】
【化31−7】

【0228】
【化31−8】

【0229】
【化31−9】

【0230】
【化31−10】

【0231】
【化31−11】

【0232】
【化31−12】

【0233】
【化31−13】

【0234】
実施例A:アッセイI
本発明の式Iの化合物の有効性は、例えば、Eg5のATPアーゼ活性により定量できる。Eg5ATPアーゼ活性は、生成物ADPのピルビン酸キナーゼ(PK)によるATPへの酵素的再生とそれに続くNADH依存性乳酸脱水素酵素(LDH)反応への連結によって測定される。この反応は、NADH依存性LDHへの連結による340nmの吸光度変化によりモニターできる。ATPへの再生は同時に、基質濃度が一定で変わらないことを保証する。単位時間当りの吸光度変化は図形的に解析し、視覚的に反応の線形領域で直線回帰を実施する。
【0235】
実施例B:アッセイII
式VIの化合物および/または表1の薬品との併用における本発明の式Iの化合物の有効性は、次のように連結アッセイで定量して示すことができる。
【0236】
株化細胞系(HCT116、Colo205、MDA−MB231その他)の103ないし104細胞を、96ウェルのマイクロプレートの各ウェルに播種し、標準条件で一晩培養する。試験すべき併用物質に対しては、DMSO中10ないし50mMの貯蔵溶液を調製した。個々の物質の希釈系列(通常3倍希釈ステップ)をピペット採取方式の形で相互に組み合わせ(下のスキーム参照)、一方DMSOの最終濃度を0.5%(v/v)に維持した。翌朝、添加物質混合物を細胞に加え、さらに48時間培養条件でインキュベートした。培養の終りに、細胞のクリスタルバイオレット染色を実施した。固定細胞からクリスタルバイオレットを抽出した後、550nmの吸光度を分光学的に測定した。この方法は存在する付着細胞の定量的測定として使用できる。
スキーム
【0237】
【表7】

【0238】
次の実施例は薬品に関する。
【0239】
実施例C:注射用バイアル
3lの蒸留水中に式Iの有効成分100gおよびリン酸水素二ナトリウム5gの溶液を、2N塩酸を使用してpH6.5に調節し、無菌濾過し、注射用バイアルに移し、無菌条件で凍結乾燥させ、無菌条件で密封する。各注射用バイアルには5mgの有効成分が含まれる。
【0240】
実施例D:座薬
式Iの有効成分20gとソーヤレシチン100gおよびココアバター1400gとの混合物を溶融し、鋳型に流し込んで放冷する。各座薬には20mgの有効成分が含まれる。
【0241】
実施例E:液剤
液剤を、940mlの再蒸留水中で1gの式Iの有効成分、9.38gのNaH2PO4・2H2O、28.48gのNa2HPO4・12H2Oおよび0.1gの塩化ベンズアルコニウムから調製する。pHを6.8に調節して液剤を1lにし、放射線によって滅菌する。この液剤は点眼薬の形態で使用できる。
【0242】
実施例F:軟膏
式Iの有効成分500mgを無菌条件でワセリン99.5gと混合する。
【0243】
実施例G:錠剤
式Iの有効成分1kg、ラクトース4kg、ジャガイモデンプン1.2kg、タルク0.2kgおよびステアリン酸マグネシウム0.1kgの混合物を常法により加圧して、各錠剤が10mgの有効成分を含むように錠剤化する。
【0244】
実施例H:糖衣錠
実施例Eと同様に錠剤を加圧成形し、次いで通常の方法で、砂糖、ジャガイモデンプン、タルク、トラガカントおよび染料のコーティングで被覆する。
【0245】
実施例I:カプセル剤
式Iの有効成分2kgを硬質ゼラチンカプセル中に、各カプセル剤が20mgの有効成分を含むように、常法により導入する。
【0246】
実施例J:アンプル
60lの再蒸留水中に式Iの有効成分1kgの溶液を無菌濾過して、アンプルに移し、無菌条件下に凍結乾燥させて無菌条件下に密封する。各アンプルは10mgの有効成分を含む。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iの化合物およびそれらの薬理学的に使用可能な誘導体、溶媒和物、互変異性体、塩および立体異性体ならびにそれらの全ての比の混合物。
【化1】

[式中、WはS、SOまたはSO2を表し、
1はH、A、Ar、Het、フェニル、メチル、OR5、SR5、OAr、SAr、N(R52、NR5Ar、Hal、NO2、CN、(CH2mCOOR5、(CH2mCOOAr、(CH2mCON(R52、(CH2mCONHAr、COR5、COAr、S(O)mA、S(O)mAr、NHCOA、NHCOAr、NHSO2A、NHSO2ArまたはSO2N(R52、ヘテロアリール、Hal、−(CY2n−SA−、−(CY2n−SCF3、−(CY2n−SCN、−(CY2n−CF3、−(CY2n−OCF3、シクロアルキル、−SCH3、−SCN、−CF3、−OCF3、−OA、−(CY2n−OH、−(CY2n−CO25、−(CY2n−CN、−(CY2n−Hal、−(CY2n−N(R52、(CY2n−OA、(CY2n−OCOA、−SCF3、(CY2n−CON(R52、−(CY2n−NHCOA、−(CY2n−NHSO2A、SF5、Si(CH33、CO−(CY2n−CH3、−(CY2n−(N−ピロリドン)を表し、また、R1が2つあり而も芳香環上で隣接する場合、一緒になって−N−C(CF3)=N−、−N−CR=N−、−N−N=N−をも表し、
2、R3は互いに独立して、A、Het、H、−OH、−OA、−OAr、Ar、−O−CO−A、−OSO35、−OSO25、−OAr25、SO25、Hal、COOR5、CON(R52、NHSO2A、COA、CHOまたはSO2N(R52、−(CH2o−Ar、−(CH2o−シクロアルキル、−(CH2o−OH、−(CH2o−N(R52、NO2、CN、−(CH2o−COOR5、−(CH2o−CON(R52、−(CH2o−NHCOA、NHCON(R52、−(CH2o−NHSO2A、−(C(R52o−Ar、またはアリールもしくはヘテロアリールを表し、それらのアリールもしくはヘテロアリールの各々は非置換であるかまたは1つもしくは複数のアリールもしくはヘテロアリール(Hal、NO2、CN、A、OR、OCOR、COR、NR2、CF3、OCF3、OCH(CF32に置換されていてもよい)、またはHal、NO2、CN、OR、A、−(CY2n−OR、−OCOR5、−(CY2n−CO25、−(CY2n−CN、−NCOR5、−COR5もしくは−(CY2n−N(R52、N[(CH2nXCOOR5]CO(CH2nアリール、N[(CH2nXR5]CO(CH2nアリール、N[(CH2nXR5]CO(CH2nXアリール、N[(CH2nXR5]SO2(CH2nアリール、N[(CH2nNR5COOR5]CO(CH2nアリール、N[(CH2nN(R52]CO(CH2nアリール、N[(CH2nN(R52]CO(CH2nNR5アリール、N[(CH2nN(R52]SO2(CH2nアリール、N[(CH2nXR5]CO(CH2)Het、N[(CH2nXR5]CO(CH2nXHet、N[(CH2nXR5]SO2(CH2nHetl、N[(CH2nNR5COOR5]CO(CH2nHet、N[(CH2nN(R52]CO(CH2nHetもしくはN[(CH2nN(R52]CO(CH2nNR5Hetによって置換されていてもよく、
4はO、=CH−(CH2nN(R52、またはシクロ[C(CH2k(NY1)−(CH2p−]、シクロ[C(CH2k(CHY1)−(CH2p−]またはEもしくはZ−=CH(CH2nX(CH2l−Q(CH2sTを表し、
5はHまたはAを表し、ジェミナルな基の場合、R5は一緒になって−(CH25−、−(CH24−、または−(CH2n−Q−(CH2nをも表し、
YはH、A、Halを表し、
1はR2、R5、Ar、−(C(R52o−Arまたは−(C(R52o−Het、
X(CH2lQ(CH2sT、XCH2TまたはTを表し、
XはNR5、CH2、COまたはSO2または一重結合を表し、
QはCH2、NR5、O、S、CO、SO2、C(R52または一重結合、CH(CH2nNR5COOR5、CHNR5COOR5、NCO、CH(CH2nCOOR5、NCOOR5、CHX(CH2nOH、N(CH2nOH、CHNH2、CH(CH2nN(R52、CHX(CH2nN(R52、C(OH)R5、CHNCOR5、CH(CH2nアリール、CH(CH2nヘテロアリール、CH(CH2n1、N(CH2nCOOR5、CH(CH2nX(CH2nアリール、CH(CH2nX(CH2nヘテロアリール、N(CH2nCON(R52、CHCONR5(CH2nN(R52を表し、
TはR2、Het、
【化2】

を表し、
Hetは、1から4個のN、Oおよび/またはS原子を有する単環または二環の飽和、不飽和または芳香族の複素環を表し、非置換であるか、またはHal、A、−(CH2o−Ar、−(CH20−シクロアルキル、−(CH2o−OH、−(CH2o−N(R52、NO2、CN、−(CH2o−COOR5、−(CH2o−CONR5、−(CH2o−NHCOA、NHCONR5、−(CH2o−NHSO2A、CHO、COA、SO2NH2および/またはS(O)oAにより一、二または三置換されていてよく、
Arはアリールすなわちフェニル、ナフチルまたはビフェニルを表し、それらの各々は、非置換であるか、またはHal、A、OR5、N(R52、NO2、CN、COOR5、CON(R52、NHCOA、NHCON(R52、NHSO2A、CHO、COA、SO2N(R52もしくはS(O)oAにより一、二または三置換されており、
Aは、1または複数のH原子がHalまたはArにより置換されていてもよい、1から10のC原子を有する、分岐していないかまたは分岐しているアルキルを表し、
Halは、F、Cl、BrまたはIを表し、
oは0、1、2、または3を表し、
mは0、1、2、または3を表し、
nは0、1、2、3または4を表し、
k、p、l、sは0、1、2、3、4または5を表し、
ただし、
k+pは2、3、4または5を表し、
および
qは0、1、2、3または4を表す]
【請求項2】
1がA、SR5、OR5、Hal、CN、NO2、N(R52を表し、qが1または2を表し、R5が請求項1で示した意味を有する請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
2がH、A、Arまたはメチルを表し、R3がH、Arまたは−(C(R52oArを表す請求項1または2に記載の化合物。
【請求項4】
Wがイオウ原子Sの意味を有する請求項1ないし3の一項または複数の項に記載の化合物。
【請求項5】
4が、シクロ[−C(CH2k(NY)−(CH2P−]または−=CH(CH2nX(CH2lQ(CH2STを表す請求項1ないし4の一項または複数の項に記載の化合物。
【請求項6】
部分構造式I1からI64を有する化合物、およびそれらの薬理学的に使用可能な誘導体、溶媒和物、互変異性体、塩および立体異性体ならびにそれらの全ての比の混合物。
【化3−1】

【化3−2】

【化3−3】

【化3−4】

【化3−5】

【化3−6】

【化3−7】

【化3−8】

【化3−9】

【化3−10】

【化3−11】

【化3−12】

【化3−13】

【化3−14】

【請求項7】
式IA1の化合物、およびそれらの薬理学的に使用可能な誘導体、溶媒和物、互変異性体、塩および立体異性体ならびにそれらの全ての比の混合物。
【化4】

(式中、R1、R2、X、Y1およびnは請求項1で示した意味を有する)
【請求項8】
式IIの化合物
【化5】

(式中、R2、R3およびR4は請求項1で示した意味を有し、X1は離脱基で、好ましくはHalまたは反応性改質OH基、具体的にはトシルまたはメシルであることができる)
が式IIIの化合物
【化6】

(式中、R1およびyは請求項1で示した意味を有する)
と反応し、その結果生成した式IVの化合物
【化7】

(式中、R1、R2、R3、R4およびqは請求項1で示した意味を有する)
を鹸化により遊離酸に変換し、続いてこれを従来法により対応する式V
【化8】

(式中、LはHalまたは例えばトリフレート、ノナフレート、トシレート、メシレート、またはベンゼンスルホネートなどの反応性離脱基を表し、R1、R2、R3、R4およびqは請求項1で示した意味を有する)
に変換し、
次いで、式Vの化合物を、適当な触媒の存在下に式IA
【化9】

(式中、R1、R2、R3、R4およびqは請求項1で示した意味を有する)
に変換し、
場合により、R2および/またはR3が水素である式Iの化合物を、塩基およびアルキル化剤中の反応により、さらにR2および/またはR3が水素以外である式Iの化合物に変換し、また場合により、R4がOを表す式Iの化合物を、対応する有機金属試薬との反応とそれに続く脱離によって、さらにR4が請求項1で示した意味を有する式Iの化合物に変換し、また場合により、WがSOまたはSO2を表す式Iの化合物を、適当な酸化剤との反応によって得ること
を特徴とする、請求項1ないし7に記載の式Iの化合物およびそれらの薬理学的に使用可能な誘導体、塩、溶媒和物、互変異性体および立体異性体の製造方法。
【請求項9】
使用される触媒がフリーデルクラフツ触媒であることを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
式A、B、CおよびDの化合物
【化10−1】

【化10−2】

(式中、R1、R2、R3、Y1、X、Q、T、n、l、p、k、qおよびsは請求項1で示した意味を有する)
ならびに化合物AないしDの環イオウ原子の酸化により得ることができるスルホキシドおよびスルホン。
【請求項11】
請求項1ないし7に記載の式Iの少なくとも1つの化合物および/またはその薬理学的に使用可能な誘導体、塩、溶媒和物、互変異性体および立体異性体、それらの全ての比の混合物を含めて、また場合によっては賦形剤および/または補助剤を含む薬剤。
【請求項12】
有糸分裂モータータンパク質Eg5の抑制、制御および/または変調が役割を演ずる疾患を治療する薬剤調製を目的とする、請求項1ないし7に記載の化合物ならびにそれらの薬理学的に使用可能な誘導体、塩、溶媒和物、互変異性体および立体異性体ならびにそれらの全ての比の混合物の使用。
【請求項13】
癌疾患の治療および予防のための薬剤調製を目的とする、請求項1ないし7記載の化合物の使用。
【請求項14】
癌疾患が、扁平上皮、膀胱、胃、腎臓、頭部、頚部、食道、子宮頚部、甲状腺、腸、肝臓、脳、前立腺、泌尿生殖器管、リンパ系、胃喉頭および/または肺の腫瘍の群からの腫瘍を伴う、請求項13に記載の使用。
【請求項15】
腫瘍が、単球白血病、肺腺癌、小細胞肺癌、膵癌、グリア芽細胞腫、および乳癌および結腸癌の群に由来する、請求項14に記載の使用。
【請求項16】
治療すべき疾患が血液および免疫系の腫瘍である、請求項15に記載の使用。
【請求項17】
腫瘍が、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、急性リンパ性白血病および/または慢性リンパ性白血病の群から由来する、請求項16に記載の使用。
【請求項18】
治療有効量の式Iの化合物を、放射線治療ならびに1)エストロゲン受容体モジュレーター、2)アンドロゲン受容体モジュレーター、3)レチノイド受容体モジュレーター、4)細胞毒性薬、5)抗増殖剤、6)プレニルタンパク質トランスアミナーゼ阻害剤、7)HMG−CoAレダクターゼ阻害剤、8)HIVプロテアーゼ阻害剤、9)リバーストランスクリプターゼ阻害剤および10)さらに血管形成阻害剤の群の化合物と併用して投与する、腫瘍治療のための薬剤調製を目的とする、請求項1ないし7に記載の式Iの化合物および/または生理学的に許容可能なその塩および溶媒和物の使用。
【請求項19】
請求項1ないし7に記載の式Iの化合物および/または生理学的に許容可能なその塩および溶媒和物の、腫瘍治療のための薬剤調製を目的する、治療有効量の式VIの化合物の1つまたは複数と併用しての使用であって、
【化11】

(Y’およびZ’は各々互いに独立してOまたはNを表し、R7およびR9は各々互いに独立してH、OH、ハロゲン、OC1〜10アルキル、OCF3、NO2またはNH2を表し、nは2と6と含めてその間の整数を表し、R6およびR8は各々互いに独立してメタまたはパラ位にあり、群
【化12】

から選択される)
第1および第2の化合物を同時にまたは互いに14日以内に腫瘍の増殖を抑制するのに十分な量で投与する使用。
【請求項20】
4がOを表す式Iの化合物を適当な有機金属試薬と反応させ、水での処理にかけることを特徴とする、請求項8または9に記載の化合物の調製方法。

【公表番号】特表2007−536306(P2007−536306A)
【公表日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−511968(P2007−511968)
【出願日】平成17年4月28日(2005.4.28)
【国際出願番号】PCT/EP2005/004554
【国際公開番号】WO2005/108355
【国際公開日】平成17年11月17日(2005.11.17)
【出願人】(591032596)メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフトング (1,043)
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
【住所又は居所原語表記】Frankfurter Str. 250,D−64293 Darmstadt,Federal Republic of Germany
【Fターム(参考)】