説明

ステアリング調整用間隙遮蔽構造

【課題】シャフトカバーが開口に挿入されたパネル状部材におけるシャフトカバー周辺部の見栄えを向上させる遮蔽部材の効果を高めること、遮蔽部材とシャフトカバーとのぶつかりに起因する雑音の発生を防止する。
【解決手段】ステアリング調整用間隙遮蔽構造は、ステアリングシャフトを覆うシャフトカバー18と、インストルメントパネル1と、シャフトカバー18とインストルメントパネル1との間に形成された間隙C1を塞ぐ遮蔽部材Bとから構成される。遮蔽部材Bの可撓性の追従部30は、遮蔽部材Bの自由端である折返し部33と、取付部21と折返し部33とを連結していると共にシャフトカバー18と当接することで間隙C1を塞ぐ第1可撓壁31と、折返し部33と取付部22とを連結している第2可撓壁32とを有する。第1可撓壁31は、シャフトカバー18との当接により生じる弾性変形に基づく弾性力により、シャフトカバー18と常時当接する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハンドルにより操作されるステアリングシャフトを覆うシャフトカバーと、位置調整が可能な前記ハンドルと一緒に移動可能なシャフトカバーが挿入される開口が設けられたパネル状部材と、前記開口に挿入されたシャフトカバーとパネル状部材との間に形成された間隙を塞ぐ遮蔽部材とから構成されるステアリング調整用間隙遮蔽構造に関し、該間隙遮蔽構造は例えば車両に備えられる。
【背景技術】
【0002】
前後方向での位置が調整可能なハンドルにより操作されるステアリングシャフトを覆うと共にハンドルと一緒に前後方向に移動可能なシャフトカバーと、シャフトカバーが挿入される開口が設けられたインストルメントパネルとを備える車両において、前記開口に挿入されたシャフトカバーとインストルメントパネルとの間に形成された間隙を塞ぐ可撓性の遮蔽部材を設けることにより、インストルメントパネルにおけるシャフトカバー周辺部の見栄えを向上させるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭62−171332号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
可撓性の遮蔽部材とステアリングシャフトを覆うシャフトカバーとの接触により、インストルメントパネルとシャフトカバーとの間の間隙が塞がれる場合、遮蔽部材において、シャフトカバーに追従して移動する追従部が、暖簾状に垂下している単一の可撓壁単独で構成される構造では、前記可撓壁(すなわち、前記追従部)の剛性が小さい(したがって、可撓性が大きい)と、ハンドルの位置調整のために該ハンドルと共にシャフトカバーが押し込まれたときに、大きく撓んだ前記可撓壁の下部がシャフトカバーの先端部に引っ掛かってシャフトカバーに乗り上げて、曲率半径が小さい屈曲部またはシワが前記可撓壁に発生することがある。また、シャフトカバーの剛性を高めるなどの目的で、シャフトカバーの先端部が、径方向外方に突出すると共に周方向に延びる周方向リブから構成されるシャフトカバーでは、シャフトカバーが押し込まれたとき、本来であれば周方向リブ(先端部)よりも前側(または奥側)に位置する前記可撓壁の下部が、周方向リブに引っ掛かり、該周方向リブを越えて、シャフトカバーに乗り上げ、やはり前記屈曲部が前記可撓壁に発生することがある。そして、このように前記可撓壁に前記屈曲部が生じた状態のままであると、遮蔽部材による見栄え向上の効果が低下する。
【0005】
また、前記追従部が暖簾状に垂下している単一の可撓壁単独で構成される構造では、ハンドルの位置調整のために該ハンドルと共にシャフトカバーが引き出された際に、前記可撓壁とシャフトカバーの先端部との間に前後方向での間隙(以下、「前後間隙」という。)が形成されることがある。そして、この前後間隙が形成されると、インストルメントパネルの背後に隠れている部材などが前後間隙を通じて見えることがあり、遮蔽部材による見栄え向上の効果が低下する原因になる。また、前後間隙を形成している可撓壁とシャフトカバーとが、車両が発生する振動などにより互いにぶつかって、雑音が発生することがある。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、シャフトカバーが開口に挿入されたパネル状部材における、シャフトカバー周辺部の見栄えを向上させる遮蔽部材の構造を工夫することにより、遮蔽部材による見栄え向上の効果を高めることを目的とする。
さらに、本発明は、遮蔽部材とシャフトカバーとのぶつかりに起因する雑音の発生を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の発明は、ハンドル(10)により操作されるステアリングシャフト(11)を覆うシャフトカバー(18)と、前記ステアリングシャフト(11)の軸線方向での位置が調整可能な前記ハンドル(10)と一緒に前記軸線方向に移動可能な前記シャフトカバー(18)が挿入される開口(5)が設けられたパネル状部材(1)と、前記開口(5)に挿入された前記シャフトカバー(18)と前記パネル状部材(1)との間に形成された間隙(C1)を塞ぐ可撓性の遮蔽部材(B)とから構成されるステアリング調整用間隙遮蔽構造において、前記遮蔽部材(B)は、前記パネル状部材(1)に取り付けられた第1取付部(21)と、前記軸線方向に移動する前記シャフトカバー(18)に追従して移動する追従部(30)とを有し、前記追従部(30)は、前記遮蔽部材(B)の自由端である折返し部(33)と、前記第1取付部(21)と前記折返し部(33)とを連結している第1可撓壁(31)と、前記折返し部(33)に連なる第2壁(32)とを有し、前記第1可撓壁(31)は、前記追従部(30)において前記軸線方向で前記ハンドル(10)側に位置すると共に、前記シャフトカバー(18)と当接することで前記間隙(C1)を塞ぎ、前記第2壁(32)は、前記折返し部(33)から前記第1取付部(21)に近づく方向に延びていて、前記パネル状部材(1)に取り付けられた第2取付部(22)と連結されているか、または前記第1可撓壁(31)における前記シャフトカバー(18)との当接部(31a)よりも前記第1取付部(21)寄りで前記第1可撓壁(31)と連結されているステアリング調整用間隙遮蔽構造である。
これによれば、遮蔽部材において、シャフトカバーに追従して移動する追従部が、いずれも折返し部に連結された第1可撓壁および第2壁を有し、第2壁が、パネル状部材に取り付けられた第2取付部と連結されているか、第1可撓壁におけるシャフトカバーとの当接部よりも第1取付部寄りで第1可撓壁と連結されていることで、第1可撓壁と第2壁とが二重壁構造を構成する。このため、追従部が単一の可撓壁単独で構成されていて第2壁を有していない場合に比べて、追従部の剛性が高められる。さらに、第2壁により可撓性の第1可撓壁の形状を変更することができるので、追従部が単一の可撓壁単独で構成されていて該可撓壁が平面状に垂下している場合に比べて、第1取付部に対する軸線方向での第1可撓壁の当接部の位置の設定の自由度が大きくなり、したがって軸線方向での第1可撓壁の配置の自由度が大きくなる。
この結果、第2壁による追従部の高剛性化により、第1可撓壁がシャフトカバーに引っ掛かった状態でシャフトカバーが引出し方向に移動したとしても、第1可撓壁が小さい曲率半径で屈曲することを抑制できるので、追従部がシャフトカバーに乗り上げることが抑制されて、遮蔽部材による見栄え向上の効果が高められる。さらに、第2壁により軸線方向での第1可撓壁の配置の自由度が大きくなるので、本発明の遮蔽部材の適用性が高められて、種々の構造のシャフトカバーおよびパネル状部材に対して遮蔽部材による見栄え向上の効果を発揮させることができる。
請求項2記載の発明は、請求項1記載のステアリング調整用間隙遮蔽構造において、前記第1可撓壁(31)は、前記シャフトカバー(18)との当接により生じる弾性変形に基づく弾性力により前記シャフトカバー(18)と常時当接するものである。
これによれば、第1可撓壁は、シャフトカバーとの当接により生じる第1可撓壁の弾性変形に基づく弾性力からなる押付け力によりシャフトカバーを押し付けて、第1可撓壁の当接部がシャフトカバーに常時当接することから、ハンドルの位置調整によりシャフトカバーが軸線方向に移動する場合にも、第1可撓壁とシャフトカバーとの間での軸線方向での間隙(以下、「軸線方向間隙」という。)の形成が防止される。この結果、軸線方向間隙を通じてパネル状部材の背後の部材が見えることが防止されるので、遮蔽部材による見栄え向上の効果が高められ、そのうえ、振動により第1可撓壁とシャフトカバーとがぶつかることが防止されるので、該ぶつかりに起因する雑音の発生が防止される。
請求項3記載の発明は、請求項2記載のステアリング調整用間隙遮蔽構造において、前記遮蔽部材(B)は、前記ハンドル(10)の引出し方向への前記シャフトカバー(18)の移動時に、前記引出し方向とは反対方向の戻し力を前記追従部(30)に作用させる調整部(40)を有するものである。
これによれば、調整部が追従部に作用させる戻し力の分だけ、第1可撓壁がシャフトカバーを押し付ける前記押付け力が減少するので、シャフトカバーとの当接により生じる第1可撓壁の弾性変形が大きくなる場合に、前記押付け力が必要以上に大きくなることに起因して追従部がシャフトカバーに乗り上げることを防止できる。
請求項4記載の発明は、請求項3記載のステアリング調整用間隙遮蔽構造において、
前記調整部(40)は、前記第1取付部(21)または前記第2取付部(22)または前記パネル状部材(1)と、前記第2壁(32)とを連結しており、前記調整部(40)は、前記第1取付部(21)または前記第2取付部(22)に対して、前記軸線方向で前記第1可撓壁(31)および前記第2壁(32)とは反対側の位置で、前記第1取付部(21)または前記第2取付部(22)または前記パネル状部材(1)と連結されているものである。
これによれば、第1取付部、第2取付部またはパネル状部材と第2壁とを連結している調整部が、第1取付部または第2取付部に対して、軸線方向で第1可撓壁および第2壁とは反対側の位置で、第1取付部、第2取付部またはパネル状部材と連結されているので、追従部が撓んだときに調整部と第1可撓壁および第2壁との干渉が防止される。この結果、調整部が追従部の弾性変形を阻害することを回避できるので、シャフトカバーへの追従部の乗り上げを防止し、かつシャフトカバーへの第1可撓壁の常時当接を維持するための追従部の設計が容易になる。
請求項5記載の発明は、請求項1から4のいずれか1項記載のステアリング調整用間隙遮蔽構造において、前記第2壁(32)は、前記第2取付部(22)と連結され、前記第1取付部(21)および前記第2取付部(22)は、共通の取付部または前記軸線方向に直交する方向に重ね合わされた取付部(20)を構成し、前記遮蔽部材(B)は、ゴム状弾性を有する弾性材から形成されているものである。
これによれば、第1可撓壁および第2壁をパネル状部材にそれぞれ取り付ける第1,第2取付部が共通化または軸線方向に直交する方向に重ね合わされるので、第1可撓壁および第2壁を有する追従部を小型化できて、遮蔽部材のコンパクトな配置が可能になる。そして、第1可撓壁および第2壁を有する遮蔽部材が、ゴム状弾性を有する弾性材から形成されるので、追従部を小型化した場合にも、移動するシャフトカバーに対する追従部の良好な追従性を容易に確保できる。
【発明の効果】
【0008】
シャフトカバーが開口に挿入されたパネル状部材における、シャフトカバー周辺部の見栄えを向上させる遮蔽部材の構造を工夫した本発明のステアリング調整用間隙遮蔽構造により、遮蔽部材による見栄え向上の効果を高めることができ、また、遮蔽部材とシャフトカバーとのぶつかりに起因する雑音の発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明が適用されたステアリング調整用間隙遮蔽構造のシャフトカバーが覆うステアリングシャフトの回転中心線を含む鉛直平面で右方を見たときの要部断面図である。
【図2】図1の間隙遮蔽構造の要部分解斜視図である。
【図3】図1の要部拡大図であり、シャフトカバーとの当接による遮蔽部材の形態を説明する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態を図1〜図3を参照して説明する。
図1を参照すると、本発明が適用されたステアリング調整用間隙遮蔽構造が備えられる対象物としての車両は、四輪の乗用車であり、ハンドルとしてのステアリングホイール10を備えるステアリング装置Sと、ステアリングホイール10が配置される第1空間としての車室R1とステアリングホイール10の位置調整を可能とする位置調整機構13が収容される第2空間としての収容室R2とを仕切るパネル状部材としてのインストルメントパネル1とを備える。
【0011】
なお、明細書および特許請求の範囲において、左右方向、前後方向および上下方向は、前記間隙遮蔽構造が備えられる対象物(例えば、車両)において、パネル状部材に設けられた開口とハンドルとが前後方向に配置された状態を基準としたときの方向であり、軸線方向は、ステアリングシャフトの中心軸線である回転中心線に平行な方向であり、径方向および周方向は、それぞれ該回転中心線を中心とする径方向および周方向であるとする。
また、図示された実施形態において、軸線方向と前後方向とは平行ではないが、軸線方向でのステアリングホイール10の移動は、前後方向でのステアリングホイール10の移動でもある。
【0012】
図2を併せて参照すると、ステアリングホイール10の前方に配置されるインストルメントパネル1は、車両の車体の前部において車体フレームに固定されるクロスメンバ2aおよびブラケット2bなどから構成される固定側構造体としての車体構造体2に固定される。インストルメントパネル1は、左右方向でのステアリングホイール10の位置に対応して、左右方向における位置でステアリングホイール10と重なる位置(すなわち、左右方向での位置がステアリングホイール10と少なくとも部分的に同じ位置)に、車両の状態表示器としてのメータ4を囲む包囲部材であるバイザーとしてのメータバイザー3を備える。
メータバイザー3は、メータ4の上側および下側にそれぞれに位置する上バイザー3aおよび下バイザー3bを有する。
【0013】
車両において、操作対象としての操舵輪である前輪を操作するステアリング装置Sは、運転者により操作されるステアリングホイール10のほかに、ステアリングホイール10により操作されるステアリングシャフト11と、ステアリングホイール10と一体に運動する(この実施形態では、回転する)ステアリングシャフト11を介してステアリングホイール10に加えられた操舵力を前記前輪に伝達する操舵力伝達機構12と、前後方向および上下方向でのステアリングホイール10の位置を調整可能な位置調整機構13と、径方向外方でステアリングシャフト11を囲むシャフトカバー18とを備える。そして、ステアリングホイール10は、ステアリングシャフト11の回転中心線Lsと同じ回転中心線を有する。
操舵力伝達機構12は、ステアリングシャフト11に自在継手12aを介して連結されて回転する中間シャフト12bと、該中間シャフト12bから伝達された回転を左右方向の運動に変換するステアリングギヤボックスとを備える。
【0014】
位置調整機構13は、車体構造体2に固定された固定部材14と、固定部材14のピボット部14aに回動中心線Lcを中心に回動可能に支持される可動部材15と、可動部材15に支持されて該可動部材15と共に移動可能であると共に挿入されたステアリングシャフト11を回転可能に支持する支持部材としてのステアリングコラム16と、位置調整用操作レバー17とを備える。そして、ステアリングコラム16は、第2可動部材15bに固定されて一体化されている。それゆえ、ステアリングホイール10およびステアリングシャフト11は、位置調整機構13を介して、車体に支持される。
操作レバー17は、その操作位置に応じて、固定部材14に対する可動部材15の移動を許容してステアリングホイール10の位置調整を可能とする一方、固定部材14に対する可動部材15の移動を阻止すべく固定部材14に可動部材15をロックして、ステアリングホイール10を調整後の位置に固定する。
【0015】
可動部材15は、固定部材14に対してピボット部14aを中心に回動可能な第1可動部材15aと、第1可動部材15aに設けられた長孔が設けられたスライド機構(図示されず)を通じて第1可動部材15aに対して軸線方向に平行に並進移動可能な第2可動部材15bとを備える。
そして、位置調整機構13により、第2可動部材15bを第1可動部材15aと共に回動中心線Lcを中心に回動させることで、ステアリングホイール10の上下方向での位置を調整可能とするチルト操作が行われ、第2可動部材15bを第1可動部材15aに対して軸線方向に並進移動させることで、ステアリングホイール10の前後方向での位置を調整可能とするテレスコピック操作が行われる。このチルト操作により、ステアリングホイール10は、図1に示された基本位置に対して、上方および下方に位置調整される。
なお、ピボット部14aにより規定される回動中心線Lcは、水平面上にあると共に左右方向に平行であり、上下方向から見たとき、軸線方向および前後方向に直交する。
【0016】
ステアリングシャフト11と同軸に配置されるステアリングコラム16を覆うコラムカバーでもあるシャフトカバー18は、下バイザー3bの直下に設けられた開口5に挿入された状態で、ステアリングコラム16または第2可動部材15bに固定されて保持されて、ステアリングコラム16と一体に移動する。そして、インストルメントパネル1において、開口5を規定する周縁部6と、開口5に挿入された状態のシャフトカバー18との間には、チルト操作およびテレスコピック操作によるステアリングホイール10の位置調整を可能とするための間隙Cが形成される。ここで、開口5とステアリングホイール10とは前後方向に配置されている。
【0017】
シャフトカバー18は、開口5を貫通して車室R1と収容室R2との間に渡って軸線方向に延びている筒状の挿入部18aを有する。挿入部18aは収容室R2内に位置する先端部18bを有する。そして、先端部18bは、シャフトカバー18の剛性を高めるために径方向外方に突出すると共に周方向に延びている周方向リブにより構成され、この周方向リブによりシャフトカバー18の剛性が高められる。
【0018】
この間隙Cのうちで、周縁部6の上縁部6aを構成する下バイザー3bと挿入部18aの上部との間に形成される上部間隙C1は、インストルメントパネル1におけるシャフトカバー18の周辺部での見栄えを向上させる観点から、車両が備える遮蔽部材Bにより塞がれる。遮蔽部材Bは、回動中心線Lcに平行な回動中心線方向または左右方向を長手方向とする筒状の部材(図2参照)であり、長手方向での両端部で開放している。
そして、遮蔽部材Bは、インストルメントパネル1およびシャフトカバー18と共にステアリング調整用間隙遮蔽構造を構成する。
【0019】
図1,図3を参照すると、遮蔽部材Bは、下部バイザー3bの内面(すなわち、収容室R2側の面)である下面に取り付けられる取付部20と、シャフトカバー18と当接してステアリングホイール10と共に軸線方向に移動するシャフトカバー18に追従して移動する可撓性の追従部30と、シャフトカバー18に対する追従部30の弾性変形に基づく弾性力である押付け力を調整する可撓性の調整部40とを有する。そして、遮蔽部材Bは、上部間隙C1を塞ぐために、先端部18bの上部により構成されて長手方向に延びているカバー側当接部19(図2も参照)と当接する。
【0020】
取付部20および追従部30は、1以上の、この実施形態では単一の第1部材により構成され、調整部40は、1以上の、この実施形態では単一の第2部材により構成される。そして、前記第1,第2部材のそれぞれは、ゴム状弾性を有する弾性材、例えばゴム材から形成されたシート状部材から構成されていて、撓みによる弾性変形(以下、「撓み弾性変形」という。)が可能な可撓性を有する。
そして、追従部30は、シャフトカバー18と当接していない状態である自然状態において、図3にその外表面30cが一点鎖線で示される位置を占める。
【0021】
この実施形態では、遮蔽部材Bの全体は、前記弾性材としてのゴム材からなるシート状部材で構成され、しかも取付部20、追従部30および調整部40が一体成形された単一の部材であり、遮蔽部材Bを平面状に広げた形状は、ほぼ長方形である。また、取付部20、追従部30および調整部40に対応する部分を、平面状に広げたときの形状も、それぞれほぼ長方形である。
また、調整部40を構成する前記第2部材の厚みは、取付部20および追従部30を構成する前記第1部材の厚みよりも小さく設定されている。
【0022】
必要に応じて図1を参照しつつ、主に図3を参照すると、取付部20は、いずれも長手方向(図2参照)に沿って延びている第1取付部21および第2取付部22を有する。第1取付部21および第2取付部22は、軸線方向に直交する方向(すなわち、径方向)、この実施形態では上下方向に重ね合わされた状態で下バイザー3bに取り付けられている。各取付部21,22は、取付手段としての固定手段により、収容室R2(図1参照)において開口5よりも奥で、下バイザー3bに対して移動不能に取り付けられる。前記固定手段は、合成樹脂製の下バイザー3bに一体成形された凸部の熱カシメなどによる圧着、接着、ネジなどの締付具による締結など、周知の手段である。
【0023】
取付部20に対して軸線方向に移動可能な追従部30は、遮蔽部材Bの自由端であると共に湾曲形状の折返し部33と、第1取付部21と折返し部33とを連結している第1可撓壁31と、第2取付部22と折返し部33とを連結する第2壁としての第2可撓壁32とを有する。そして、いずれも可撓性の第1,第2可撓壁31,32および折返し部33は、二重壁構造を構成する。第1,第2可撓壁31,32は、両取付部21,22に対して、軸線方向で同じ側、すなわちステアリングホイール10側で第1,第2取付部21,22とそれぞれ連結されている。
【0024】
第1可撓壁31は、追従部30において第2可撓壁32に対して軸線方向でステアリングホイール10側に位置すると共に、その追従側当接部31aにおいてカバー側当接部19と当接することで上部間隙C1を塞ぐ。また、折返し部33に連なる第2可撓壁32は、折返し部33から第1,第2取付部21,22に近づく方向に延びていている。追従側当接部31aは、上下方向で折返し部33と第1,第2取付部21,22との間に位置する。
【0025】
このため、追従部30は、左右方向または長手方向(図2参照)から見たとき、概略、滴状の形状、または取付部20で閉じた袋状の形状を呈する。また、この実施形態では、追従部30は、長手方向(または左右方向)の任意の位置において閉断面を構成し、両可撓壁31,32の間に、かつ折返し部33と第1,第2取付部21,22との間に、該閉断面による柱状の空間35が形成される。
【0026】
第1可撓壁31は、カバー側当接部19との当接により生じる撓み弾性変形に基づく前記押付け力により、テレスコピック操作およびチルト操作により調整されるステアリングホイール10の任意の位置において、カバー側当接部19と常時当接する。
また、第2可撓壁32により、追従部が、単一の可撓壁単独、または単一の可撓壁および折返し部のみで構成されて第2可撓壁32を有していない場合に比べて、追従部30の剛性が高められる。
【0027】
さらに、第2可撓壁32の剛性を利用して、第1可撓壁31の形状を変更することができる。具体的には、第2可撓壁32により、第1可撓壁31における軸線方向でステアリングホイール10側に凸となる湾曲形状の曲率半径を変更できる。そして、該曲率半径をより小さくすることにより、ステアリングホイール10(したがって、シャフトカバー18)が最大押込み位置(図3に細い二点鎖線で示される。)から引出し方向に移動するときに、第1可撓壁31がカバー側当接部19を乗り越えて挿入部18aに乗り上げることが抑制される。
また、第2可撓壁32により、第2可撓壁32がない場合に比べて、例えばステアリングホイール10(したがって、シャフトカバー18)の最大引出し位置(図3に太い二点鎖線で示される。)での追従側当接部31aのように、軸線方向での追従側当接部31aの位置を第1取付部21よりも開口5側(または、ステアリングホイール10側)に位置させることができる。このように、第2可撓壁32により、最大引出し位置での追従側当接部31aの、軸線方向での位置を変更できる。
【0028】
調整部40は、軸線方向でのステアリングホイール10の引出し方向へのシャフトカバー18の移動時に、引出し方向とは反対方向の力(すなわち、少なくとも該反対方向に平行な分力を意味する。)である戻し力を追従部30に作用させる。第2取付部22と第2可撓壁32とを連結している調整部40は、その基端部40aにおいて、第1取付部21または第2取付部22に対して、第1可撓壁31が第1取付部21と連結される位置および第2可撓壁32が第2取付部22と連結される位置とは、軸線方向で反対側の位置で、第1取付部21と連結され、その先端部40bにおいて、第2可撓壁32の、第1,第2取付部21,22よりも折返し部33に近い部位32aと、接着などの固着手段により連結されている。
調整部40は、第1取付部21または第2取付部22に対して、軸線方向で第1,第2可撓壁31,32とは反対側またはステアリングホイール10とは反対側(すなわち、反ステアリングホイール10側)の位置で、第1取付部21と一体成形により連結されている。
【0029】
前記戻し力は、調整部40が重力以外の外力が作用していない状態からの弾性変形により発生する弾性力に基づくもので、第1可撓壁31を挿入部18aに乗り上げさせようとする第1,第2可撓壁31,32の撓み弾性変形に基づく前記押付け力を減少させる。
この戻し力は、シャフトカバー18の最大押込み位置では発生せず、シャフトカバー18が、最大押込み位置の付近から最大引出し位置までの、軸線方向での所定範囲で発生する。この実施形態において、前記戻し力は、シャフトカバー18が、最大押込み位置から基本位置の間の特定位置を占めるときに発生し始める。そして、前記戻し力の大きさは、最大引出し位置を占めるシャフトカバー18のカバー側当接部19に対して、第1可撓壁31が、前記戻し力により減少した前記押付け力を作用させて、カバー側当接部19と可撓壁31との当接が維持される大きさに設定される。
このように、調整部40が前記押付け力を減少させることで、第1可撓壁31がカバー側当接部19に引っ掛かった状態でシャフトカバー18が引き出された際に、前記押付け力により追従部30がカバー側当接部19を乗り越えて挿入部18aに乗り上げた状態になることを防止する。
【0030】
主に図3を参照して、テレスコピック操作によるステアリングホイール10の位置調整の際の、遮蔽部材Bの機能について説明する。
シャフトカバー18(したがって、ステアリングホイール10)が、図3に実線で示される基本位置を占めるとき、第1可撓壁31において、第1取付部21付近部分では、曲げによる撓み弾性変形が生じ、追従側当接部31aおよびその周辺では、凹んだ状態に撓み弾性変形する。また、第2可撓壁32において、第2取付部22付近部分で、曲げによる撓み弾性変形が生じる。そして、第1,第2可撓壁31,32におけるこれら撓み弾性変形による弾性力で、第1可撓壁31がカバー側当接部19を押し付けている。
調整部40は、シャフトカバー18の最大押込み位置と基本位置との間で発生した比較的小さな前記戻し力を追従部30に作用させている。
【0031】
図3に細い二点鎖線で示されるように、基本位置からシャフトカバー18(したがって、ステアリングホイール10)が、軸線方向で押込み方向に押し込まれると、カバー側当接部19が第1,第2可撓壁31,32をさらに撓ませて、第1可撓壁31は、基本位置のときよりも大きな前記押付け力でカバー側当接部19に当接する。そして、シャフトカバー18が最大押込み位置を占めるとき、調整部40は前記戻し力を追従部30に作用させず、第1可撓壁31は第1,第2可撓壁31,32の撓み弾性変形に基づく前記押付け力でカバー側当接部19に当接し、カバー側当接部19が第1可撓壁31に引っ掛かった状態になる。
【0032】
最大押込み位置を占めるシャフトカバー18が、軸線方向で引出し方向に引き出される過程で、カバー側当接部19での引っ掛かりおよび追従部30の前記押付け力により、第1可撓壁31が小さな曲率半径で屈曲してカバー側当接部19を乗り越えようとしても、調整部40が伸張して弾性変形することによる前記戻し力により前記押付け力が減少するので、第1可撓壁31がカバー側当接部19を乗り越えることが防止され、ひいては追従部30が挿入部18aに乗り上げることが防止される。
【0033】
また、シャフトカバー18が最大引出し位置を占めるとき、第1可撓壁31において、第1取付部21付近部分では、小さい曲げによる撓み弾性変形が生じ、追従側当接部31aおよびその周辺では、やや撓み弾性変形が生じる。また、第2可撓壁32において、第2取付部22付近部分で、小さい曲げによる撓み弾性変形が生じる。そして、第1,第2可撓壁31,32におけるこれら撓み弾性変形に基づく前記押付け力は、調整部40の最大になった前記戻し力より減少するものの、第1可撓壁31は、この減少した前記押付け力でカバー側当接部19を押し付けている。
なお、位置調整機構13によるチルト操作によりステアリングホイール10が上下方向で調整された任意の位置においても、図3に示されるシャフトカバー18の基本位置における最大押込み位置および最大引出し位置での遮蔽部材Bの機能と同様の機能がなされる。
【0034】
次に、前述のように構成された実施形態の作用および効果について説明する。
シャフトカバー18と、インストルメントパネル1と、その開口5に挿入されたシャフトカバー18とインストルメントパネル1の下バイザー3bとの間に形成された間隙Cの上部間隙C1を塞ぐ可撓性の遮蔽部材Bとから構成されるステアリング調整用間隙遮蔽構造において、遮蔽部材Bの可撓性の追従部30は、遮蔽部材Bの自由端である折返し部33と、第1取付部21と折返し部33とを連結している第1可撓壁31と、折返し部33に連なる第2可撓壁32とを有し、第1可撓壁31は、追従部30において軸線方向でステアリングホイール10側に位置すると共に、シャフトカバー18のカバー側当接部19と当接することで上部間隙C1を塞ぎ、第2可撓壁32は、折返し部33から第1取付部21に近づく方向に延びていて第2取付部21と連結されている。
この構造により、遮蔽部材Bにおいて、シャフトカバー18に追従して移動する追従部30が、いずれも折返し部33に連結された第1,第2可撓壁31,32を有し、第2可撓壁32が第2取付部22と連結されていることで、第1可撓壁31と第2可撓壁32とが二重壁構造を構成する。このため、追従部が単一の可撓壁単独で構成されていて第2可撓壁32を有していない場合に比べて、追従部30の剛性が高められる。さらに、第2可撓壁32により可撓性の第1可撓壁31の形状を変更することができるので、追従部が単一の可撓壁単独で構成されていて該可撓壁が平面状に垂下している場合に比べて、第1取付部21に対する軸線方向での第1可撓壁31の追従側当接部31aの位置の設定の自由度が大きくなり、したがって軸線方向での第1可撓壁31の配置の自由度が大きくなる。
この結果、第2可撓壁32による追従部30の高剛性化により、第1可撓壁31がシャフトカバー18のカバー側当接部19に引っ掛かった状態でシャフトカバー18が引出し方向に移動したとしても、第1可撓壁31が小さい曲率半径で屈曲することを抑制できるので、追従部30がシャフトカバー18の挿入部18aに乗り上げることが抑制されて、遮蔽部材Bによる見栄え向上の効果が高められる。さらに、第2可撓壁32により軸線方向での第1可撓壁31の配置の自由度が大きくなるので、遮蔽部材Bの適用性が高められて、種々の構造のシャフトカバー18およびインストルメントパネル1に対して遮蔽部材Bによる見栄え向上の効果を発揮させることができる。
【0035】
第1可撓壁31は、カバー側当接部19との当接により生じる弾性変形に基づく弾性力によりカバー側当接部19と常時当接することにより、第1可撓壁31は、カバー側当接部19との当接により生じる第1可撓壁31の弾性変形に基づく弾性力からなる前記押付け力によりカバー側当接部19を押し付けて、第1可撓壁31の追従側当接部31aがカバー側当接部19に常時当接することから、ステアリングホイール10の位置調整によりシャフトカバー18が軸線方向に移動する場合にも、第1可撓壁31とカバー側当接部19との間での軸線方向間隙(すなわち、軸線方向での間隙)の形成が防止される。この結果、該軸線方向間隙を通じてインストルメントパネル1の背後の収容室R2内に配置された部材が見えることが防止されるので、遮蔽部材Bによる見栄え向上の効果が高められ、そのうえ、振動により第1可撓壁31とカバー側当接部19とがぶつかることが防止されるので、該ぶつかりに起因する雑音の発生が防止される。
【0036】
遮蔽部材Bは、ステアリングホイール10の引出し方向へのシャフトカバー18の移動時に、引出し方向とは反対方向の前記戻し力を追従部30に作用させる調整部40を有することにより、調整部40が追従部30に作用させる前記戻し力の分だけ、第1可撓壁31がカバー側当接部19を押し付ける前記押付け力が減少するので、カバー側当接部19との当接により生じる第1可撓壁31の弾性変形が大きくなる場合に、前記押付け力が必要以上に大きくなることに起因して追従部30が挿入部18aに乗り上げることを防止できる。
【0037】
第1取付部21と第2可撓壁32とを連結している調整部40は、第1取付部21または第2取付部22に対して、軸線方向で第1,第2可撓壁32とは反対側の位置で、第1取付部21と連結されているので、追従部30が撓んだときに調整部40と第1,第2可撓壁31,32との干渉が防止される。この結果、調整部40が追従部30の弾性変形を阻害することを回避できるので、挿入部18aへの追従部30の乗り上げを防止し、かつカバー側当接部19への第1可撓壁31の常時当接を維持するための追従部30の設計が容易になる。
【0038】
第1取付部21および第2取付部22は軸線方向に直交する方向に重ね合わされた取付部20を構成し、遮蔽部材Bは、ゴム状弾性を有する弾性材から形成されていることにより、第1,第2可撓壁31,32を下バイザー3bにそれぞれ取り付ける第1,第2取付部21,22が重ね合わされるので、第1,第2可撓壁31,32を有する追従部30を小型化できて、遮蔽部材Bのコンパクトな配置が可能になる。そして、第1,第2可撓壁31,32を有する遮蔽部材Bが、ゴム状弾性を有する弾性材から形成されるので、追従部30を小型化した場合にも、移動するシャフトカバー18に対する追従部30の良好な追従性を容易に確保できる。
【0039】
以下、前述した実施形態の一部の構成を変更した実施形態について、変更した構成に関して説明する。
取付部20、追従部30および調整部40において、少なくとも1つが他とは別個の部材により構成されてもよく、また追従部30の第1可撓壁31、第2可撓壁32、第1取付部21,第2取付部22および折返し部33において、少なくとも1つが他とは別個の部材で構成されてもよい。例えば、取付部20および追従部30が一体成形されている単一の部材により構成され、調整部40が該単一の部材とは別個の部材により構成されてもよい。
第2可撓壁32は、第1可撓壁31における追従側当接部31aよりも第1取付部21寄りで第1可撓壁31と連結されてもよい。
第2可撓壁32は、長手方向において追従部30の全長に渡って第2取付部22と連結されている必要はなく、追従部30において長手方向での一部の範囲で(または局部的に)第2取付部22と連結されていてもよい。この場合の例として、例えば、第2可撓壁32が、長手方向に間隔を置いた複数の箇所において、第2取付部22と連結されていていてもよい。
追従部の第2壁は、第1可撓壁31よりも剛性が高い壁であってもよく、第1可撓壁31とは別個の部材により構成されてもよく、さらに、第2取付部22付近を除いて、大部分が非可撓性の部材により構成されてもよい。
第2取付部22が第1取付部21と一体成形されて、第1取付部21が第2取付部22を兼ねることにより、第1取付部21および第2取付部22が共通の取付部20を構成していてもよい。
第1取付部21と第2取付部22が、軸線方向で異なる位置(例えば、軸線方向に間隔を置いた位置)で下バイザー3bまたはインストルメントパネル1に、直接または別の部材を介して取り付けられてもよい。
取付部20は、下バイザー3bに対して、軸線方向に移動可能(例えば、摺動による。)に取り付けられてもよい。
調整部40は、その基端部40aにおいて、第1取付部21または第2取付部22に対して、軸線方向で第1可撓壁31の連結位置および第2可撓壁32の連結位置とは反対側の位置で、第2取付部22、または、第1,第2取付部21,22を介することなく下バイザー3bと連結していてもよい。
調整部40は、前記弾性材から形成されると共に、長手方向に間隔を置いて設けられた複数の部材、例えば複数の帯状部材により構成されてもよい。
調整部は、弾性部材、例えばバネから構成されてもよい。
遮蔽部材Bは、調整部を有していなくてもよい。
カバー側当接部19を構成する先端部18bは、周方向リブにより構成されていなくてもよい。
ステアリング調整用間隙遮蔽構造が備えられる対象物は、車両以外の乗り物であってもよく、乗り物以外の装置であってもよい。
【符号の説明】
【0040】
1 インストルメントパネル
5 開口
10 ステアリングホイール
11 ステアリングシャフト
16 ステアリングコラム
18 シャフトカバー
21,22 取付部
30 追従部
31,32 可撓壁
33 折返し部
40 調整部
B 遮蔽部材
C1 間隙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハンドルにより操作されるステアリングシャフトを覆うシャフトカバーと、前記ステアリングシャフトの軸線方向での位置が調整可能な前記ハンドルと一緒に前記軸線方向に移動可能な前記シャフトカバーが挿入される開口が設けられたパネル状部材と、前記開口に挿入された前記シャフトカバーと前記パネル状部材との間に形成された間隙を塞ぐ可撓性の遮蔽部材とから構成されるステアリング調整用間隙遮蔽構造において、
前記遮蔽部材は、前記パネル状部材に取り付けられた第1取付部と、前記軸線方向に移動する前記シャフトカバーに追従して移動する追従部とを有し、
前記追従部は、前記遮蔽部材の自由端である折返し部と、前記第1取付部と前記折返し部とを連結している第1可撓壁と、前記折返し部に連なる第2壁とを有し、
前記第1可撓壁は、前記追従部において前記軸線方向で前記ハンドル側に位置すると共に、前記シャフトカバーと当接することで前記間隙を塞ぎ、
前記第2壁は、前記折返し部から前記第1取付部に近づく方向に延びていて、前記パネル状部材に取り付けられた第2取付部と連結されているか、または前記第1可撓壁における前記シャフトカバーとの当接部よりも前記第1取付部寄りで前記第1可撓壁と連結されていることを特徴とするステアリング調整用間隙遮蔽構造。
【請求項2】
請求項1記載のステアリング調整用間隙遮蔽構造において、
前記第1可撓壁は、前記シャフトカバーとの当接により生じる弾性変形に基づく弾性力により前記シャフトカバーと常時当接することを特徴とするステアリング調整用間隙遮蔽構造。
【請求項3】
請求項2記載のステアリング調整用間隙遮蔽構造において、
前記遮蔽部材は、前記ハンドルの引出し方向への前記シャフトカバーの移動時に、前記引出し方向とは反対方向の戻し力を前記追従部に作用させる調整部を有することを特徴とするステアリング調整用間隙遮蔽構造。
【請求項4】
請求項3記載のステアリング調整用間隙遮蔽構造において、
前記調整部は、前記第1取付部または前記第2取付部または前記パネル状部材と、前記第2壁とを連結しており、
前記調整部は、前記第1取付部または前記第2取付部に対して、前記軸線方向で前記第1可撓壁および前記第2壁とは反対側の位置で、前記第1取付部または前記第2取付部または前記パネル状部材と連結されていることを特徴とするステアリング調整用間隙遮蔽構造。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項記載のステアリング調整用間隙遮蔽構造において、
前記第2壁は、前記第2取付部と連結され、
前記第1取付部および前記第2取付部は、共通の取付部または前記軸線方向に直交する方向に重ね合わされた取付部を構成し、
前記遮蔽部材は、ゴム状弾性を有する弾性材から形成されていることを特徴とするステアリング調整用間隙遮蔽構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−57004(P2011−57004A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−206666(P2009−206666)
【出願日】平成21年9月8日(2009.9.8)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】