説明

ステム付きウェブを製造する装置、およびこの装置を通じて得ることのできるステム付きウェブ

ベース・ストリップと、ストリップから突き出て、ストリップの一部を形成する少なくとも1つのステム、特に、ストリップと同じ材料製の少なくとも1つのステムとによって構成される、ステム付きウェブであって、少なくとも1つのステムが、真直軸と、真直軸に垂直な一定の断面またはベースからステムの先端へと縮小する断面とを有する、ステム付きウェブにおいて、少なくとも1つのステムが、その軸に沿って測定される高さと、ストリップの平面に平行に測定されるその最大寸法に相当する幅とを有しており、幅が、0.05mm〜0.250mmの間にあり、ステムの高さとその幅との比が、少なくとも2よりも大きく、好ましくは3以上であることを特徴とする、ステム付きウェブ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウェブ、特に、ストリップの形態のウェブ、特に、熱可塑性材料のウェブであって、ステム、特に、ストリップと同一材料のステム、特に、ストリップの一部を形成するステムがその片側から突き出ているウェブを製造する装置に関する。本発明は、また、ウェブ、特に、ベース・ストリップの形態のウェブ、特に、熱可塑性材料のウェブであって、ステム、特に、ストリップと同一材料のステム、特に、ストリップの一部を形成するステムがその片側から突き出ているウェブに関する。ステムは、フックではない。それらは、真直な長手軸と、この真直な長手軸に垂直な一定の断面またはベースからステムの先端へと縮小する断面とを有する。
【背景技術】
【0002】
このタイプのステム付きウェブを得るための装置およびいわゆるモールディング方法は、従来技術ですでに知られている。従来技術のこの装置および方法では、得たいステムに相補的な形態のキャビティを含むモールディング・ローラが実現される。熱可塑性材料は、それがキャビティに注入され、冷却後、装置から出ていくときにキャビティの形態に相補的な形態のステムを有するウェブが得られるように、液体または融解状態でローラの表面上に移される。従来技術のこの装置および方法では、キャビティは、ゴムなどの柔軟な材料にレーザ・エッチングすることによって形成される。
【0003】
従来技術のこの方法および装置には、以下の欠点がある。モールディングを通じてステムを形成するので、また特に、これらのステムがキャビティ内に形成された後でそれらのステムをそれらのキャビティから引き抜く必要があるという事実から、ステムが微細でステムの高さが大きいステム付きウェブを得ることが不可能である。
【0004】
特定の寸法、特に、特定の深さで形成されたモールディング・キャビティの場合、熱可塑性材料が注入され、次いで通常はキャビティの形態に相補的な形態をしたステムの形態で引き抜かれた後、そこからステムが離型されたキャビティの深さよりもはるかに小さい高さのステムが得られる。さらに、円錐形態(本願の用語「円錐形」は、先端部に向かってその断面が縮小する形態と理解される)の微細なステムを得ようとする場合、小さな深さのキャビティしか実現することができない。また、装置の出口のところで、すべてがほぼ同一の高さのステムを得ることも困難である。最後に、他の欠点は、レーザ・エッチングに関係した製造公差の理由から、特にゴムでは、装置の出口のところで、少なくとも一方向でステムが互いに非常に近接しているステム付きウェブを得ることが不可能なことである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このタイプのステム付きウェブ、すなわち、高さの大きい微細なステムを有するステム付きウェブを、好ましくは大規模生産を容易にする製造方法にしたがって得られるようにすることが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、そこからステムが突き出るベースを有するステム付きウェブを形成するデバイスであって、それらのステムが、熱可塑性材料製で、真直軸を有しており、ベースの平面に平行な平面内でのステムの断面が、一定であり、またはベースからウェブの先端に向かって縮小しており、デバイスが、形成されるべきステムの形態に相補的な形態のキャビティがその中に形成されたモールディング・ローラを含むデバイスにおいて、モールディング・ローラが、少なくとも一部、特に、層の形態の部分が、開孔を備えた多孔質材料製であり、多孔度が、空気分子は通過できるが、熱可塑性材料の分子は通過できないように選択されており、配置が、多孔質材料の前記部分が各キャビティを少なくとも部分的に、特に、各キャビティの底部の一部を境界画定するようなものであることを特徴とする。
【0007】
ゆえに、この多孔質材料を用いると、従来技術のシステムではステムを形成するためにキャビティに注入された熱可塑性材料によって該キャビティの底部で捕捉されて、この熱可塑性材料が底部に到達するのを妨げた空気が、微細で大きな高さのステムを得ることを不可能にした。
【0008】
本発明の一発展形態によれば、モールディング・ローラは、第1の材料の少なくとも1つの上層と、第2の材料の1つの下層とを含んでおり、第1の材料は、刳り抜き加工または機械加工されていてよく、第2の材料は、多孔質材料であり、キャビティは、それが第2の材料を終端とすることによりその底部の少なくとも一部を形成するまで、第1の材料を刳り抜き加工または機械加工することによって形成される。
【0009】
本発明の一発展形態によれば、下層は、例えば多孔質セラミック製とすることのできるローラ自体の外表面(上層を除く)によって、例えば、ローラのハブによって構成される。
【0010】
ゆえに、熱可塑性材料をキャビティに注入することによってステム付きウェブが形成されるときには、特に、材料がキャビティに進入する時点での流動性指数(fluidity index)が9〜150g/10分のときには、この材料は、空気によって「阻止」されず、空気は、多孔質材料を通って抜け出ることができる。その結果、融解したまたは液体の熱可塑性材料は、非常に微細および/または非常に深いキャビティの場合でも、キャビティの底部に到達することができ、引抜き後に得られるステムは、キャビティの深さにほぼ等しい高さ寸法を有する。
【0011】
本発明の一実施形態によれば、機械加工または刳り抜き加工は、レーザ・エッチングによって実現され、下層の外表面は、レーザ・ビームが第2の材料の表面に到達するときにそのレーザ・ビームのための停止面の働きをする(例えば、そこでレーザ・ビームを不活性化させる、ペリスコープ式ファインダ(periscopic finder)とともにレーザを使用する)(それは、代わりに、反射を通じて過剰なエネルギーを受け取る)。
【0012】
好ましい一実施形態によれば、多孔度は、孔隙が50マイクロメートル未満の相当直径(孔隙と同じ断面積の円形断面の直径)を有するような形で、特に、相当直径が10〜40マイクロメートルの間にくるような形で選択される。
【0013】
本発明の一発展形態によれば、キャビティは、微小穿孔(micro piercing)、特に、プラスチック材料の層の微小穿孔による、または、電気浸食(electro erosion)、特に、金属材料の層の電気浸食による、材料の機械加工を通じて形成される。
【0014】
多孔質材料の使用と、電気浸食または微小穿孔を通じた機械加工とを組み合わせると、特に微細で高さの大きいステムを、また高い再現性で得られるようになり、ステムの最終高さは、ほぼ正確にキャビティの高さに一致する。
【0015】
さらに、キャビティの形状は、任意に選択することができる。具体的には、今では、円筒形の下側部分と、円錐の形態の少なくとも1つの上側部分とを備えた、高い微細度および大きなステム高さをもつステムを得ることが可能である。
【0016】
一発展形態によれば、本発明のデバイスは、モールディング・ローラの出口において第1の厚さと、第1の長さと、第1の幅とを有するステム付きウェブを形成するものであって、モールディング・ローラの下流に長さの方向(機械方向)に順々に配置された上流ローラと下流ローラとを含んでおり、下流ローラは、上流ローラよりも大きな回転速度を有しており、2つのローラ間の距離は、デバイスの出口において得られるウェブが第1の厚さよりも小さい第2の厚さと、第1の長さよりも大きい第2の長さとを有するように、小さい。さらに、そのウェブは、第1の幅とほぼ同一の幅を有しており、それによって、変動が小さく、幅は、例えば、400mmから370mmになる。
【0017】
ゆえに、このデバイスによって、大きな高さの非常に微細なステムを、非常に薄いベースとの組合せで得られるようになり、これは、諸用途で確認可能である。
【0018】
下流ローラは、好ましくは、低温、すなわち、延伸された熱可塑性材料の軟化温度未満の温度、例えば25℃程度であり、上流ローラは、好ましくは、高温、すなわち、ウェブの熱可塑性材料の軟化温度(ビカット(Vicat)軟化点)以上の温度である。
【0019】
ゆえに、低温の下流ローラの後、その幅がその長さに沿ってわずかしかまたはまったく変化しないストリップを得ることが可能である。ゆえに、最終ストリップの幅の変動は、従来技術に対して明らかに改善される。
【0020】
ローラ間の距離は、好ましくは、ステム付きウェブの初期の全厚の約1倍に等しい。
【0021】
好ましい一実施形態によれば、ローラ間の距離は、0.5mm〜10mmの間、例えば、0.7mm〜3mmの間である。
【0022】
有利な一実施形態によれば、ステム付きウェブは、延伸前に、ステムとは反対側のストリップの側部を加熱される。
【0023】
したがって、本発明は、また、布地を損傷することなくウェブと布地との間で特に効率的な滑り止め機能を得るために、非常に微細なステムを有する、特に布地と併せて使用できるステム付きウェブを提案することによって、従来技術の欠点を克服することを目指す。具体的には、そのようなステム付きウェブは、本発明による方法およびデバイスによって非常に簡単に得ることができる。
【0024】
本発明によれば、ステム付きウェブは、請求項4〜14のうちの一項で定義されるようなものである。
【0025】
本発明の一態様によれば、ステム付きウェブは、ストリップと、ストリップから突き出る、ストリップの一部を形成する少なくとも1つのステム、特に、ストリップと同じ材料製の少なくとも1つのステムとによって構成されており、少なくとも1つのステムは、真直軸と、真直軸に垂直な一定の断面またはベースからステムの先端へと縮小する断面とを有しており、該ステム付きウェブは、少なくとも1つのステムが、その軸に沿って測定される高さと、ストリップの平面に平行に測定されるその最大寸法に相当する幅とを有しており、幅が、0.05mm〜0.250mmの間、特に0.071mm〜0.250mmの間、例えば、0.15mm〜0.23mmの間、より詳細には0.071mm〜0.185mmの間、より好ましくは0.075mm〜0.185mmの間にあり、ステムの高さとその幅との比が、少なくとも2よりも大きく、好ましくは3以上であることを特徴とする。
【0026】
本発明の他の形態によれば、ステム付きウェブは、ストリップと、ストリップから突き出る、ストリップの一部を形成する少なくとも1つのステム、特に、ストリップと同じ材料の少なくとも1つのステムとによって構成されており、少なくとも1つのステムは、真直軸と、真直軸に垂直な一定の断面またはベースからステムの先端へと縮小する断面とを有しており、該ステム付きウェブは、少なくとも1つのステムが、その軸に沿って測定される高さと、ストリップの平面に平行に測定されるその最大寸法に相当する幅とを有しており、少なくとも1つのステムの少なくとも先端部は、円錐形態であり、ステムの高さとその幅との比が、少なくとも2よりも大きく、好ましくは3以上であることを特徴とする。
【0027】
本発明の一発展形態によれば、少なくとも1つのステムの高さは、0.2mm〜0.8mmの間、特に0.3mm〜0.8mmの間、好ましくは0.4mm〜0.6mmの間である。
【0028】
好ましくは、円錐形態をもつこの実施形態では、少なくとも1つのステムの幅は、0.05mm〜0.250mmの間、例えば、0.15mm〜0.23mmの間、特に0.071mm〜0.250mmの間、より詳細には0.075mm〜0.250mmの間、より好ましくは0.075mm〜0.23mmの間である。
【0029】
好ましくは、ストリップは、少なくとも1つのステムの軸の方向に測定される、0.1mm未満の厚さ、特に0.03mm〜0.09mmの間の厚さを有する。
【0030】
厚さの小さいストリップと、微細で長いステムとのこの組合せは、滑り止めシステムの特に効率的な作用を保証する。
【0031】
本発明の一発展形態によれば、少なくとも1つのステムは、第1の下側円錐形部分と、少なくとも1つの第2の上側円錐形部分、特に、その円錐度(conicity)(その上部半角(upper half angle)によって定義される)が第1の部分よりも大きい、特に3°〜20°の間である円錐形先端部とを含む。
【0032】
この少なくとも2つの円錐度は、滑り止めシステムの特に効率的な作用を保証する。
【0033】
本発明の他の発展形態によれば、少なくとも1つのステムは、第1の下側真直円筒形部分と、少なくとも1つの第2の上側円錐形部分、特に、その円錐度(その上部半角によって定義される)が3°〜20°の間である円錐形先端部とを含む。
【0034】
本発明の好ましい一実施形態によれば、少なくとも1つのステムは、ドーム、特に、球形のドーム、特に、曲率半径が0.025mm〜0.080mmの間、特に0.033mm〜0.054mmの間のドームの形態の自由端を有する。
【0035】
少なくとも1つのステムの軸は、好ましくは、ベースの平面に対して70°〜110°の間、特に、ほぼ90°に等しい角度にある。
【0036】
好ましくは、少なくとも1つのステムの外表面の少なくとも一部、特に、少なくとも1つのステムの先端部は、400nm未満、好ましくは300nm未満、より好ましくは250nm未満の、ISO標準にしたがって測定される算術粗さ(Raまたは平均粗さ距離、すなわち、基準長さ内の輪郭データすべての算術平均)を有する。
【0037】
こうして、布地(特に、編布地または織布地)の非常に限られた損傷しか引き起こさない、布地と協働して滑り止め作用を生み出すステム付きウェブが得られる。
【0038】
好ましくは、少なくとも1つのステムの外表面の少なくとも一部、特に、少なくとも1つのステムの先端部は、450nm未満、好ましくは350nm未満、より好ましくは275nm未満の統計的粗さRmsを有する。
【0039】
本発明は、また、請求項1に記載のユニットに関し、発展形態は、従属請求項2、3、および7〜14で定義される。
【0040】
ここで、本発明の一実施形態について、単に一例として諸図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明によるステム付きウェブの側面図である。
【図2】図1の線A−Aに沿った断面図である。
【図3】本発明による生産装置の全体図である。
【図4】図3の装置のモールディング・ローラをより詳細に示す略図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
図1では、熱可塑性材料、例えば、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン、もしくは類似の材料のストリップまたはベース1を含み、ストリップまたはベース1から同じ材料のステム2が突き出てストリップ1の一部を形成している、長手方向(すなわち、ストリップが装置から除去される方向)のステム付きウェブの断面を見ることができる。
【0043】
ステム2は、基本的に円筒形で、ドームの形態の先端を有する。ステム2は、先端での半角が約3°である、円錐度の低い下側部分(この部分は、また、真直とすることもできる)と、先端でのその半角が15°である上側円錐形部分とを有する。その半角は、例えば、3°〜20°の間とすることができる。ステムは、横列(rows)および縦列(columns)に配置される。横列の間隔、すなわち、横列内の連続する2つのステム間の距離は、縦列の間隔よりも小さく、縦列の間隔に等しく、または縦列の間隔よりも大きくなるように選択することができる。
【0044】
連続した2つのステムの間の中心間距離として縦列方向で測定されたとき、ステムの間隔またはステム間距離は、横方向(CD:cross direction)では0.23mm、機械方向(MD:machine direction)では0.23mmに少なくとも等しい。
【0045】
ステムの高さは、好ましくは、0.300〜0.800mmの間、特に0.400〜0.600mmの間である。図1では、0.441mmである。
【0046】
ベースにおけるステムの幅は、機械方向(ストリップが巻き広げられる方向であり、延伸が実施される方向)では0.100〜0.200mmの間、特に0.197mmであり、横断方向(CD)では0.180mmであり、ステムの断面は、ここではわずかに長円形である。ステムの幅は、特に0.15mm〜0.23mmの間とすることができる。
【0047】
ステムの高さとそのベースにおけるステムの幅との比は、2.39に等しい。その比は、2よりも大きい。その比は、好ましくは3または4以上である。
【0048】
ステムを除いたストリップの厚さは、0.034mmである。その厚さは、特に0.02mm〜0.15mmの間、好ましくは0.03〜0.09mmの間とすることができる。
【0049】
図3は、本発明によるステム付きウェブのための生産装置を示す。供給ノズルから出ていく液体または溶融した熱可塑性材料は、装置から出るときに得たいステム(図1および2のものなど)の形態に相補的な、円筒円錐形態のキャビティ11を含むモールディング・ローラ10に移される。材料は、モールディング・ローラの周りで、該モールディング・ローラと、溶融した材料を過剰にキャビティ内に押し込む圧力ローラとの間を通る。圧力及び場合によっては補助冷却デバイスによる冷却が除去された後、2つのローラ間の隙間に基本的に一致する厚さのストリップと、キャビティの形態にほぼ正確に一致する形態をもつステムとを備えるウェブが得られる。ここは、約0.2mmのストリップ厚と、約0.85mmの全厚(ステムを含む)が得られる。
【0050】
本発明によれば、ローラから出ていくとき、また、ステム付きウェブは、一方向、特に、機械方向またはウェブの巻き広げ方向に延伸され、これは、いわゆる「短い(short)」延伸にしたがう。
【0051】
モールディング・ローラから出ていくと、こうして形成されたステム付きウェブは、第1のローラ30、いわゆる上流ローラを通り、第2のローラ40、いわゆる下流ローラを通る。下流ローラは、ウェブをその長手方向に延伸させるために、上流ローラよりも高い速度で回転させられる。「短い」延伸は、2つのローラ間の距離dが小さいことを意味するものとする。その距離は、ここでは0.9mmに等しくなるように選択される。これは、基本的に、ステム付きウェブの初期全厚に相当する(すなわち、ウェブの初期厚さ0.2mm+ステム高さ0.65mm、すなわち0.85mmであり、0.05mmの差は、単に、ウェブを2つのローラ間に通すことが可能でなければならないという事実による)。
【0052】
加熱デバイス50が、上流ローラ30の上流に配置され、延伸を容易にするために、巻き広げられたウェブの裏面を予熱する。
【0053】
第1のローラの速度は、第2のローラの速度の2〜4倍を上回る。上流ローラ30は、熱可塑性材料の軟化温度(ビカット軟化点)以上の温度まで加熱され、下流ローラ40は、低温であり、すなわち、この軟化点温度を下回る。
【0054】
こうして、滑り止め機能を保証するようにステムが布地と完璧にうまく協働する、特に柔軟なストリップが得られる。さらに、ストリップの長さの方向(MD)での該ストリップの幅(CD)の変動は、非常に小さい。
【0055】
モールディング・ローラ10は、図3に断面で示されており、図3は、原寸に比例していない。ローラは、レーザによってエッチング加工できる材料、特に、ゴム、特に、熱硬化性のもの、またはプラスチック材料もしくは金属の、外周環状層20を含む。この層は、やはり環状である、レーザ・エッチングに耐えられるように十分に硬質な材料、例えば、ステンレス鋼または銅である下層21と接触している。ただし、この材料は、空気を透過して通常の熱可塑性材料を透過しないように実現され、それゆえ、この材料は、直径0.050mm未満、特に0.01〜0.04mmの間の開孔を備えた、いわゆる微小多孔質材料とされる。このタイプの材料は、例えば、GKN Sinter Metals Filtersから標準Seamless Filterチューブとして市販されているSIKA−R100ISである。それを作り出すために圧縮モールドが使用される。
【0056】
ゆえに、モールディング・ローラを作り出すときには、キャビティは、レーザにより、下層に到達するまで外層の材料をエッチングすることによって形成され、下層でエッチングが「停止」される。下層は、ゆえに、キャビティの底部の一部を形成することになり、熱可塑性材料がキャビティ内に押し込まれるときには、非常に微細な円錐形キャビティの場合でも、熱可塑性材料は、底部に空気が溜まることによって底部に到達するのを妨げられることがなく、空気は、多孔質材料の孔隙を通って排出される。こうして、非常に微細な円錐形ステムを得ることができる。
【0057】
粗さを測定するためには、原子間力顕微鏡である、Digital Instrumentから得られるDimension3000を使用することができる。
【0058】
本発明によるユニットでステム付きウェブを使用するときには、ウェブのステムは、布地に貫入することによって、例えば、布地を構成する糸によって形成された隙間に挿入されることにより、または、非常に密なパターンの場合、特に織布の場合には接触する2つの糸の間にステムの端部を挿入することにより、その布地と協働する。こうして、一方ではステム付きウェブと他方では布地との間に、滑り止め効果が得られる。ステムが非常に微細であるので、この貫入または挿入は、布地を損傷しない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
布地、特に、編布地または織布地と、ステム付きウェブとを含む滑り止めユニットであって、前記ステム付きウェブが、ベース・ストリップと、前記ストリップから突き出て前記ストリップの一部を形成する少なくとも1つのステム、特に、前記ストリップと同じ材料の少なくとも1つのステムとによって構成されており、前記少なくとも1つのステムが、真直軸と、前記真直軸に垂直な一定の断面または前記ベースから前記ステムの先端へと縮小する断面とを有する、前記滑り止めユニットにおいて、前記少なくとも1つのステムが、その軸に沿って測定される高さと、前記ストリップの平面に平行に測定されるその最大寸法に相当する幅とを有しており、前記ステムの前記高さとその幅との比が、少なくとも2よりも大きく、好ましくは3以上であることを特徴とする、滑り止めユニット。
【請求項2】
前記少なくとも1つのステムの少なくとも1つの先端部が円錐形態であることを特徴とする、請求項1に記載の滑り止めユニット。
【請求項3】
前記少なくとも1つのステムの前記幅が、0.05mm〜0.250mmの間、特に0.071mm〜0.250mmの間、好ましくは0.15mm〜0.23mmの間であることを特徴とする、請求項1または2に記載のユニット。
【請求項4】
ベース・ストリップと、前記ストリップから突き出て、前記ストリップの一部を形成する少なくとも1つのステム、特に、前記ストリップと同じ材料の少なくとも1つのステムとによって構成されるステム付きウェブであって、前記少なくとも1つのステムが、真直軸と、前記真直軸に垂直な一定の断面または前記ベースから前記ステムの先端へと縮小する断面とを有する、前記ステム付きウェブにおいて、前記少なくとも1つのステムが、その軸に沿って測定される高さと、前記ストリップの平面に平行に測定されるその最大寸法に相当する幅とを有しており、前記幅が、0.071mm〜0.185mmの間にあり、前記ステムの前記高さとその幅との比が、少なくとも2よりも大きく、好ましくは3以上であることを特徴とする、ステム付きウェブ。
【請求項5】
ベース・ストリップと、前記ストリップから突き出て、前記ストリップの一部を形成する少なくとも1つのステム、特に、前記ストリップと同じ材料の少なくとも1つのステムとによって構成されるステム付きウェブであって、前記少なくとも1つのステムが、真直軸と、前記真直軸に垂直な一定の断面または前記ベースから前記ステムの先端へと縮小する断面とを有する、前記ステム付きウェブにおいて、前記少なくとも1つのステムが、その軸に沿って測定される高さと、前記ストリップの平面に平行に測定されるその最大寸法に相当する幅とを有しており、前記少なくとも1つのステムの少なくとも先端部が円錐形態であり、前記ステムの前記高さとその幅との比が、少なくとも2よりも大きく、好ましくは3以上であることを特徴とする、ステム付きウェブ。
【請求項6】
前記少なくとも1つのステムの前記幅が、0.05mm〜0.250mmの間、特に0.071mm〜0.250mmの間、好ましくは0.15mm〜0.23mmの間であることを特徴とする、請求項5に記載のウェブ。
【請求項7】
前記少なくとも1つのステムの前記高さが、0.2mm〜0.8mmの間、特に0.3mm〜0.8mmの間、好ましくは0.4mm〜0.6mmの間であることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載のユニット、または請求項4から6のいずれか一項に記載のウェブ。
【請求項8】
前記ストリップが、前記少なくとも1つのステムの前記軸の方向に測定される、0.1mm未満の厚さ、特に0.03mm〜0.09mmの間の厚さを有することを特徴とする、請求項1から3もしくは7のいずれか一項に記載のユニット、または請求項4から7のいずれか一項に記載のウェブ。
【請求項9】
前記少なくとも1つのステムが、第1の下側円錐形部分と、少なくとも1つの第2の上側円錐形部分、特に、その円錐度(その上部半角によって定義される)が第1の部分よりも大きい、特に3°〜20°の間である円錐形先端部とを含むことを特徴とする、請求項1から3もしくは7から8のいずれか一項に記載のユニット、または請求項4から8のいずれか一項に記載のウェブ。
【請求項10】
前記少なくとも1つのステムが、第1の下側真直円筒形部分と、少なくとも第2の上側円錐形部分、特に、その円錐度(その上部半角によって定義される)が3°〜20°の間である円錐形先端部とを含むことを特徴とする、請求項1から3もしくは7から9のいずれか一項に記載のユニット、または請求項4から9のいずれか一項に記載のウェブ。
【請求項11】
前記少なくとも1つのステムが、ドーム、特に、球形のドーム、特に、曲率半径が0.025mm〜0.080mmの間、特に0.033mm〜0.054mmの間のドームの形状の自由端を有することを特徴とする、請求項1から3もしくは7から10のいずれか一項に記載のユニット、または請求項4から10のいずれか一項に記載のウェブ。
【請求項12】
前記少なくとも1つのステムの前記軸が、前記ベースの平面に対して70°〜110°の間、特に、ほぼ90°に等しい角度にあることを特徴とする、請求項1から3もしくは7から11のいずれか一項に記載のユニット、または請求項4から11のいずれか一項に記載のウェブ。
【請求項13】
前記少なくとも1つのステムの外表面の少なくとも一部、特に、前記少なくとも1つのステムの先端部が、400nm未満、好ましくは300nm未満、より好ましくは250nm未満の、ISO標準にしたがって測定される算術粗さ(Raまたは平均粗さ距離、すなわち、基準長さ内の輪郭データすべての算術平均)を有することを特徴とする、請求項1から3もしくは7から12のいずれか一項に記載のユニット、または請求項4から12のいずれか一項に記載のウェブ。
【請求項14】
前記少なくとも1つのステムの外表面の少なくとも一部、特に、少なくとも1つのステムの先端部が、450nm未満、好ましくは350nm未満、より好ましくは275nm未満の統計的粗さRmsを有することを特徴とする、請求項1から3もしくは7から13のいずれか一項に記載のユニット、または請求項4から13のいずれか一項に記載のウェブ。
【請求項15】
そこからステムが突き出るベースを有するステム付きウェブを形成するデバイスであって、前記ステムが、熱可塑性材料製で、真直軸を有しており、前記ベースの平面に平行な平面内での前記ステムの断面が、一定であり、または前記ベースから前記ステムの先端へと縮小しており、前記デバイスが、形成されるべき前記ステムの形態に相補的な形態のキャビティがその中に形成されたモールディング・ローラを含む、前記デバイスにおいて、前記モールディング・ローラが、少なくとも一部、特に、層の形態の部分が、開孔を備えた多孔質材料製であり、多孔度が、空気分子は通過できるが、熱可塑性材料の分子は通過できないように選択されており、配置が、多孔質材料の前記部分が各キャビティの少なくとも一部、特に、各キャビティの底部の一部分の境界を定めるようなものであることを特徴とする、デバイス。
【請求項16】
前記モールディング・ローラが、少なくとも上層と下層とを含んでおり、前記上層が、刳り抜き加工または機械加工されうる第1の材料製であり、第2の材料が多孔質材料であり、前記キャビティは、それが前記第2の材料を終端とすることによりその底部の少なくとも一部を形成するまで、前記第1の材料を刳り抜き加工または機械加工することによって形成されることを特徴とする、請求項15に記載のデバイス。
【請求項17】
前記機械加工または刳り抜き加工が、ペリスコープ式ファインダを用いたレーザ・エッチングによって実現され、レーザ・ビームが、前記第2の材料の表面に到達したときに不活性化されるような形で制御されることを特徴とする、請求項15または16のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項18】
前記多孔度が、前記孔隙が50マイクロメートル未満の相当直径(前記孔隙と同じ断面積の円形断面の直径)を有するような形で、特に、前記相当直径が10〜40マイクロメートルの間にくるような形で選択されることを特徴とする、請求項15から17のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項19】
前記キャビティが、微小穿孔、特に、プラスチック材料の層の微小穿孔による、または、電気浸食、特に、金属材料の層の電気浸食による、前記材料の機械加工によって形成されることを特徴とする、請求項15から18のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項20】
前記デバイスは、前記モールディング・ローラから出ていくときに第1の厚さと、第1の長さと、第1の幅とを有するステム付きウェブを形成するものであって、前記モールディング・ローラの下流に長さの方向(機械方向)に順々に配置された上流ローラと下流ローラとを含んでおり、前記下流ローラが、前記上流ローラよりも大きな回転速度を有しており、2つの前記ローラ間の距離を小さくして、前記デバイスから出ていくときに前記ウェブが前記第1の厚さよりも小さい第2の厚さと、前記第1の長さよりも大きい第2の長さとを有するようにしたことを特徴とする、請求項15から19のいずれか一項に記載のデバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2010−533244(P2010−533244A)
【公表日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−515553(P2010−515553)
【出願日】平成20年7月15日(2008.7.15)
【国際出願番号】PCT/FR2008/001029
【国際公開番号】WO2009/027602
【国際公開日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【出願人】(596170996)
【氏名又は名称原語表記】APLIX
【Fターム(参考)】