ステージ装置、露光装置及び露光方法
【課題】ステージを移動面に沿って移動させる。
【解決手段】移動面を移動するステージに対して用力を供給する用力供給装置(155)が、第1軸部(232)、第1支持部(234,235)、第2軸部(238)及び第2支持部(239)を備え、第1軸部は第1支持部により第1軸の方向及び第1軸回りに移動可能に支持され、第2軸部は第2支持部により第2軸の方向及び第2軸回りに移動可能に支持されている。このように用力供給装置を少なくとも4自由度を有する機構とすることにより、ステージが2次元面内で、第1、第2軸方向、及び各軸回りの回転方向に移動しても、用力供給装置がその移動の妨げとなることがないので、流体の供給にチューブなどの配管を用いる場合と比較して、チューブを引きずることによるステージの位置制御性の低下を完全に回避することができる。
【解決手段】移動面を移動するステージに対して用力を供給する用力供給装置(155)が、第1軸部(232)、第1支持部(234,235)、第2軸部(238)及び第2支持部(239)を備え、第1軸部は第1支持部により第1軸の方向及び第1軸回りに移動可能に支持され、第2軸部は第2支持部により第2軸の方向及び第2軸回りに移動可能に支持されている。このように用力供給装置を少なくとも4自由度を有する機構とすることにより、ステージが2次元面内で、第1、第2軸方向、及び各軸回りの回転方向に移動しても、用力供給装置がその移動の妨げとなることがないので、流体の供給にチューブなどの配管を用いる場合と比較して、チューブを引きずることによるステージの位置制御性の低下を完全に回避することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はステージ装置、露光装置及び露光方法に係り、更に詳しくは、移動面を移動するステージを有するステージ装置、該ステージ装置を備える露光装置及び前記ステージ上の基板を露光してパターンを形成する露光方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体素子、液晶表示素子等の製造におけるリソグラフィ工程では、半導体等の高集積化に伴い、高いスループットで微細パターンを精度良く感光物体上に形成可能なステップ・アンド・リピート方式の縮小投影露光装置(いわゆるステッパ)や、ステップ・アンド・スキャン方式の走査型投影露光装置(いわゆるスキャニング・ステッパ(スキャナとも呼ばれる))などの逐次移動型の露光装置が主として用いられている。
【0003】
この種の露光装置では、ウエハ又はガラスプレートなどの感光物体(以下、「ウエハ」と呼ぶ)を駆動する駆動装置として、定盤上にエアベアリング等により浮上支持され、2軸リニアモータによって2次元面内で駆動されるXYステージと、該XYステージ上でウエハを保持してボイスコイルモータなどによりZ軸方向及び傾斜方向に微小駆動されるウエハテーブルとを有する粗微動構造のウエハステージ装置が用いられていた。また、最近では、リニアモータやボイスコイルモータにより6自由度方向に駆動される単一のステージを備えたウエハステージ装置の開発も行われている。
【0004】
しかるに、上述のウエハステージ装置では、リニアモータやボイスコイルモータに用いられる配線あるいはエアベアリングに用いられる配管(チューブ)等が、ステージに外部から接続されているため、ステージの駆動に伴って、これらの配線、配管(チューブ)等が引きずられ、これがウエハの位置制御性を低下させる要因となっていた。
【0005】
かかる不都合を改善するためには、例えば、ステージを駆動するリニアモータをムービングマグネット型とし、かつステージを定盤上で浮上支持するための加圧気体の供給を定盤側から行うことによりステージに接続される配管・配線等をなくすことが考えられる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−20951号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載の定盤側からステージ側へ加圧気体を供給する構成は、スキャナのレチクルステージのように一軸方向(例えばスキャン方向)へ走査されるステージには比較的容易に採用できるが、2次元移動が不可欠なウエハステージには採用することが困難である。このため、ウエハステージ装置では、前記加圧気体供給用の配管をステージに接続しなければならず、この配管の引きずりが依然としてステージの位置制御性の低下要因になっている。勿論、レチクルステージ装置でも、レチクルステージに必然的に配管等を接続しなければならない場合には、同様に、位置制御性の低下が懸念されることになる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上述した事情の下になされたものであり、第1の観点からすると、移動面を移動するステージと、前記ステージに対して用力を供給する用力供給装置とを有するステージ装置において、前記用力供給装置が、前記移動面の第1軸の方向に伸びる第1軸部と;前記第1軸部を前記第1軸の方向及び前記第1軸回りに移動可能に支持可能に支持する第1支持部と;前記第1軸と交差する第2軸の方向に伸びる第2軸部と;前記第2軸部を前記第2軸の方向及び前記第2軸回りに移動可能に支持する第2支持部と;を備えていることを特徴とする第1のステージ装置である。
【0009】
これによれば、移動面を移動するステージに対して用力を供給する用力供給装置が、第1軸部、第1支持部、第2軸部及び第2支持部を備え、第1軸部は第1支持部により移動面内の第1軸の方向及び第1軸回りに移動可能に支持され、第2軸部は第2支持部により第1軸と交差する第2軸の方向及び第2軸回りに移動可能に支持されている。従って、ステージの移動に伴って用力供給装置に前記4自由度方向(第1軸の方向及び第1軸回りの回転方向、並びに第2軸の方向及び第2軸回りの回転方向)のいずれの方向の力が作用しても用力供給装置はその力に応じて位置・姿勢を変化させることでその力を吸収する。従って、ステージに用力供給装置を接続することで、用力の供給にチューブなどの配管を用いる場合のようにチューブの引きずりによる位置制御性の低下がなく、ステージの位置制御性を良好に確保することができる。
【0010】
この場合において、前記用力供給装置は、前記第1軸と前記第2軸とに交差する第3軸の方向に伸びる第3軸部と;前記第3軸部を前記第3軸の方向及び前記第3軸回りに移動可能に支持する第3支持部と;を更に備えていることとすることができる。かかる場合には、ステージの移動に伴って用力供給装置にいかなる方向の力が作用しても用力供給装置はその力に応じて位置・姿勢を変化させることができるので、一層良好にステージの位置制御性を確保することができる。
【0011】
本発明は、第2の観点からすると、移動面に移動可能に支持されたステージと;前記ステージを駆動する第1駆動装置と;前記第1駆動装置により前記ステージを駆動した際の反力により前記ステージと反対方向に移動するカウンタマスと;前記カウンタマスを介して用力を前記ステージへ供給する用力供給装置と;を備えていることを特徴とする第2のステージ装置である。
【0012】
これによれば、移動面に移動可能に支持されたステージが第1駆動装置により駆動された際の反力により前記ステージと反対方向に移動するカウンタマスを介して、用力をステージへ供給する用力供給装置を備えているので、ステージの近くにあるカウンタマスを中継してステージへの用力の供給が行われる。このため、ステージ装置の外部からチューブ等の配管を介して用力(流体)がステージへ直接供給される場合と比べ、チューブの引きずりに伴う抵抗力を低減させることができ、これにより、ステージの位置制御性を向上させることが可能となる。
【0013】
本発明は、第3の観点からすると、ステージ装置に載置されたマスクのパターンを基板に転写する露光装置において、前記ステージ装置として本発明の第1、第2のステージ装置のいずれかを用いることを特徴とする第1の露光装置である。
【0014】
これによれば、本発明の第1、第2のステージ装置のいずれかがマスクを移動するステージ装置として用いられるので、マスクの位置制御性の向上が可能となり、結果的に、マスクに形成されたパターンと基板との位置合わせ(ないしは重ね合わせ)が良好となり、パターンの基板への高精度な転写が可能となる。
【0015】
本発明は、第4の観点からすると、ステージ装置に載置された基板にパターンを転写する露光装置において、前記ステージ装置として本発明の第1、第2のステージ装置のいずれかを用いることを特徴とする第2の露光装置である。
【0016】
これによれば、本発明の第1、第2のステージ装置のいずれかが基板を移動するステージ装置として用いられるので、基板の位置制御性の向上が可能となり、結果的に、パターンの基板への高精度な転写が可能となる。
【0017】
本発明は、第5の観点からすると、2次元平面内に移動するステージに用力を供給する用力供給装置を備える装置で、前記ステージ上の基板を露光してパターンを形成する露光方法において、前記用力供給装置を前記2次元平面内の第1軸方向及び前記第1軸回りに移動させ、前記用力供給装置を前記第1軸と交差する第2軸方向及び前記第2軸回りに移動させることを特徴とする露光方法である。
【0018】
これによれば、2次元平面内に移動するステージに用力を供給する用力供給装置が、4自由度方向(第1軸の方向及び第1軸回りの回転方向、並びに第2軸の方向及び第2軸回りの回転方向)に移動することで、ステージが移動しても追従できるので、ステージに用力を供給するチューブなどを接続する場合のようにチューブの引きずりによる位置制御性の低下がなく、ステージの位置制御性を良好に確保することができる。これにより露光精度を向上することが可能となる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、ステージの位置制御性を良好に確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】第1の実施形態に係る露光装置を示す概略図である。
【図2】図1のウエハステージ装置12を示す斜視図である。
【図3A】ウエハステージを示す斜視図である。
【図3B】図3Aのウエハステージが移動体ユニットを構成する固定子と係合した状態を示す図である。
【図4】ウエハステージ装置12を示す平面図である。
【図5】図5は、固定子ユニットMYと、該固定子ユニットMYに移動可能に係合したウエハステージWST及びチューブキャリアTCとを含む構成部分のXZ断面図である。
【図6】ウエハステージ装置内で発生する力を模式的に示す図である。
【図7】Yリニアモータの内部構成を概略的に示す斜視図である。
【図8】第1の実施形態の制御系を示すブロック図である。
【図9】第1の実施形態に係る用力供給装置がウエハステージに取り付けられた状態を示す斜視図である。
【図10】第1の実施形態に係る用力供給装置を示す斜視図である。
【図11】第1の実施形態に係る用力供給装置の分解斜視図である。
【図12A】第1の実施形態に係る用力供給装置のYZ断面図である。
【図12B】第1の円柱状部材及び円筒状部材の拡大断面図である。
【図13】第2の実施形態に係るウエハステージ装置12’を示す斜視図である。
【図14A】図13のウエハステージ装置12’からカウンタマス及び該カウンタマスに取り付けられたウエハステージを取り出して示す斜視図である。
【図14B】図14Aの構成部分のXZ断面図である。
【図15】ウエハテーブルを取り外した状態のウエハステージ装置12’を示す平面図である。
【図16】変形例に係る用力供給装置を示す斜視図である。
【図17】図16の用力供給装置の分解斜視図である。
【図18】用力供給装置を一部断面した図(その1)である。
【図19】用力供給装置を一部断面した図(その2)である。
【図20】用力供給装置内の気体の流れを説明するための図(その1)である。
【図21】用力供給装置内の気体の流れを説明するための図(その2)である。
【図22】変形例に係る用力供給装置が組み込まれた状態のウエハステージ及びカウンタマスの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
《第1の実施形態》
以下、本発明の第1の実施形態を図1〜図12Bに基づいて説明する。
【0022】
図1には、第1の実施形態に係る露光装置100の概略構成が示されている。この露光装置100は、ステップ・アンド・スキャン方式の走査型露光装置、すなわち、いわゆるスキャニング・ステッパである。
【0023】
この露光装置100は、光源及び照明光学系を含み、エネルギビームとしての照明光(露光光)ILによりマスクとしてのレチクルRを照明する照明系10、レチクルRを保持するレチクルステージRST、投影ユニットPU、物体としてのウエハWが載置されるステージとしてのウエハステージWSTを含むステージ装置としてのウエハステージ装置12、前記レチクルステージRST及び前記投影ユニットPUなどが搭載されたボディBD、及びこれらの制御系等を備えている。
【0024】
前記照明系10は、不図示のレチクルブラインドで規定されたレチクルR上のスリット状の照明領域を照明光ILによりほぼ均一な照度で照明する。ここで、照明光ILとしては、一例としてArFエキシマレーザ光(波長193nm)が用いられている。
【0025】
前記レチクルステージRSTは、後述する第2コラム34の天板を構成するレチクルベース36上に、その底面に設けられた不図示のエアベアリングなどによって例えば数μm程度のクリアランスを介して浮上支持されている。このレチクルステージRST上には、レチクルRが、例えば真空吸着(又は静電吸着)により固定されている。レチクルステージRSTは、ここでは、リニアモータ等を含むレチクルステージ駆動部11により、後述する投影光学系PLの光軸AXに垂直なXY平面内で2次元的に(X軸方向、Y軸方向及びXY平面に直交するZ軸回りの回転方向(θz方向)に)微少駆動可能であるとともに、レチクルベース36上を所定の走査方向(ここでは、図1における紙面左右方向であるY軸方向とする)に指定された走査速度で駆動可能となっている。なお、レチクルステージRSTは、周知の粗微動構造としても良い。
【0026】
本実施形態の場合、レチクルステージRSTの駆動時(特に走査駆動時)のリニアモータの固定子に作用する反力に起因する振動の影響を極力低減するための対策が講じられている。具体的には、前述のリニアモータの固定子は、例えば特開平8−330224号公報及びこれに対応する米国特許第5,874,820号などに開示されるように、ボディBDとは別に設けられた不図示の支持部材(リアクションフレーム)によってそれぞれ支持され、レチクルステージRSTの駆動の際にリニアモータの固定子に作用する反力は、それらのリアクションフレームを介してクリーンルームの床面Fに伝達される(逃がされる)ようになっている。この他、例えば、特開平8−63231号公報及びこれに対応する米国特許第6,246,204号などに開示される運動量保存則を利用した反力キャンセル機構をレチクルステージRSTの反力キャンセル機構として採用しても良い。本国際出願で指定した指定国(又は選択した選択国)の国内法令が許す限りにおいて、上記各米国特許における開示を援用して本明細書の記載の一部とする。
【0027】
レチクルステージRSTのステージ移動面内の位置は、レチクルレーザ干渉計(以下、「レチクル干渉計」という)16によって、移動鏡15を介して、例えば0.5〜1nm程度の分解能で常時検出されている。この場合、投影ユニットPUを構成する鏡筒40の側面に固定された固定鏡14を基準として位置計測が行われる。ここで、実際には、レチクルステージRST上にはY軸方向に直交する反射面を有するY移動鏡とX軸方向に直交する反射面を有するX移動鏡とが設けられ、これらの移動鏡に対応してレチクルY干渉計とレチクルX干渉計とが設けられ、更に、これに対応して、X軸方向位置計測用の固定鏡と、Y軸方向位置計測用の固定鏡が設けられているが、図1ではこれらが代表的に移動鏡15、レチクル干渉計16、固定鏡14として示されている。
【0028】
レチクル干渉計16の計測値は、主制御装置20に送られている。主制御装置20では、レチクル干渉計16の計測値に基づいてレチクルステージ駆動部11を介してレチクルステージRSTを駆動制御する。
【0029】
前記投影ユニットPUは、レチクルステージRSTの図1における下方でボディBDの一部に保持されている。このボディBDは、クリーンルームの床面F上に設置されたフレームキャスタFC上に設けられた第1コラム32と、この第1コラム32の上に固定された第2コラム34とを備えている。
【0030】
前記フレームキャスタFCは、床面F上に水平に置かれたベースプレートBSと、該ベースプレートBS上に固定された複数本、例えば3本(又は4本)の脚部39(但し、図1における紙面奥側の脚部は図示省略)とを備えている。
【0031】
前記第1コラム32は、上記フレームキャスタFCを構成する複数本の脚部39それぞれの上端に個別に固定された複数、例えば3つ(又は4つ)の第1の防振機構56によって、ほぼ水平に支持された鏡筒定盤(メインフレーム)38を備えている。
【0032】
前記鏡筒定盤38には、そのほぼ中央部に不図示の円形開口が形成され、この円形開口内に投影ユニットPUが上方から挿入され、その外周部に設けられたフランジFLGを介して保持されている。鏡筒定盤38の上面には、投影ユニットPUを取り囲む位置に、複数本、例えば3本の脚41(但し、図1における紙面奥側の脚は図示省略)の一端(下端)が固定されている。これらの脚41それぞれの他端(上端)面は、ほぼ同一の水平面上にあり、これらの脚41それぞれの上端面に前述のレチクルベース36の下面が固定されている。このようにして、複数本の脚41によってレチクルベース36が水平に支持されている。すなわち、レチクルベース36とこれを支持する3本の脚41とによって第2コラム34が構成されている。レチクルベース36には、その中央部に照明光ILの通路となる開口36aが形成されている。
【0033】
前記投影ユニットPUは、円筒状でその外周部の下端部近傍にフランジFLGが設けられた鏡筒40と、該鏡筒40に保持された複数の光学素子から成る投影光学系PLとによって構成されている。
【0034】
前記投影光学系PLとしては、例えばZ軸方向の共通の光軸AXを有する複数のレンズ(レンズエレメント)から成る屈折光学系が用いられている。この投影光学系PLは、例えば両側テレセントリックで所定の投影倍率(例えば1/4倍又は1/5倍)を有する。このため、照明系10からの照明光ILによってレチクルRの照明領域が照明されると、このレチクルRを通過した照明光ILにより、投影光学系PLを介してその照明領域内のレチクルRの回路パターンの縮小像(回路パターンの一部の縮小像)が表面にレジスト(感光剤)が塗布されたウエハW上に形成される。ここで、ウエハWは、例えば半導体(シリコンなど)又はSOI(Silicon Insulator)などの円板状の基板であり、その上にレジストが塗布されている。
【0035】
前記ウエハステージ装置12は、図2の斜視図に示されるように、前記ベースプレートBS上に配置された複数(例えば3つ)の第2の防振機構(図示省略)によってほぼ水平に支持されたステージベース71、該ステージベース71の上面の上方に配置されたウエハステージWST、該ウエハステージの+Y側に設けられたチューブキャリアTC、及びこれらウエハステージWST及びチューブキャリアTCを駆動するステージ駆動部などを備えている。ステージ駆動部は、図2に示される一対のY軸リニアモータLY1、LY2を含む複数のモータを含んで構成されるが、図1では、図示の便宜上から単なるブロックにて、ステージ駆動部27として示されている。
【0036】
ここで、ウエハステージ装置12について、図2〜図7に基づいて詳細に説明する。
【0037】
前記ステージベース71は、定盤とも呼ばれ、平面視(上方から見て)矩形状の平板から成る。このステージベース71は、ベースプレートBSのX軸方向一側と他側の端部近傍にそれぞれ設けられたY軸方向に延びる凸部BSa,BSbに挟まれた領域上に配置されている。ステージベース71の上面は平坦度が非常に高く仕上げられ、ウエハステージWSTの移動の際の移動面とされている。
【0038】
前記ウエハステージWSTは、ウエハステージWSTを取り出して斜視図にて示す図3Aから分かるように、直方体状のウエハステージ本体28と、該ウエハステージ本体28上面に真空吸着により固定されたウエハテーブルWTBとを備えている。
【0039】
前記ウエハステージ本体28には、+X側の端面から−X側の端面に至る3つの断面長方形の開口28a、28b、28cが貫通形成されている。
【0040】
前記開口28aの内側の上下の対向面には、Y軸用の移動子である一対の永久磁石22A,22Bがそれぞれ固定されている。
【0041】
前記開口28b,28cの内側の左右の対向面には、それぞれX軸用の移動子である磁極ユニット(永久磁石群)23A〜23Dが固定されている。
【0042】
更に、ウエハステージ本体28の底面の四隅近傍には、断面略三角形状の磁極ユニット(永久磁石)29A〜29D(ただし、紙面奥側の磁極ユニット29Dは不図示)が設けられている。これら磁極ユニット29A〜29Dに関しては、更に後述する。
【0043】
前記ウエハステージ本体28は、図2及び図3Bの斜視図に示されるように、X軸方向に伸びる複数の固定子(電機子コイル)と係合した状態とされている。
【0044】
これを更に詳述すると、前記複数の固定子(電機子コイル)としては、図3B及び図4(ウエハステージ装置を示す平面図)に示されるように、Y軸固定子187、X軸固定子61A,61B,161、及びZ軸固定子89A、89Bが設けられている。これら6つの固定子それぞれの−X側の端面は、YZ面にほぼ平行に配置された板状のスライダ46に固定され、それぞれの+X側の端面はYZ面にほぼ平行に配置された板状のスライダ44に固定されている(図2、図4等参照)。すなわち、スライダ44、46と、上記6つの固定子とによって固定子ユニットMYが構成されている。
【0045】
本実施形態では、Y軸固定子187と一対の永久磁石22A,22Bとによって、ウエハステージWSTを固定子ユニットMYに対してY軸方向に微小駆動するムービングマグネット型のY軸ボイスコイルモータVYが構成されている(図5、図8、及びウエハステージ装置12内で発生する力を模式的に示す図6の両矢印(双方向矢印)a1参照)。
【0046】
また、固定子61Aと一対の磁極ユニット23A,23BとによってウエハステージWSTを固定子ユニットMYに対してX軸方向に駆動するムービングマグネット型のX軸リニアモータLX1が構成され、固定子61Bと一対の磁極ユニット23C,23Dとによって、X軸リニアモータLX2が構成されている(図5、図8参照)。
【0047】
この場合、X軸リニアモータLX1,LX2それぞれの発生するローレンツ力を同一とすることにより、ウエハステージWSTがこれらのX軸リニアモータLX1,LX2によってX軸方向に駆動され、またX軸リニアモータLX1,LX2それぞれの発生するローレンツ力を僅かに異ならせることにより、ウエハステージWSTがこれらのX軸リニアモータLX1,LX2によってZ軸回りの回転方向(θz方向)に駆動されるようになっている(図6の両矢印a2参照)
【0048】
更に、前記Z軸固定子89A、89Bのそれぞれには、図5に示されるように、ウエハステージ本体28の底面に固定された前述の磁極ユニット29A,29B、磁極ユニット29C,29Dがそれぞれ係合状態とされている。Z軸固定子89A、89Bのそれぞれは、YZ断面逆T字状の形状を有しており、それぞれの内部には、不図示の電機子コイルが設けられている。
【0049】
磁極ユニット29AとZ軸固定子89BとによってウエハステージWSTにZ軸方向の駆動力を与えるZ軸ボイスコイルモータVZ1(図5、図8参照)が構成され、同様に、磁極ユニット29BとZ軸固定子89BとによってウエハステージWSTにZ軸方向の駆動力を与えるZ軸ボイスコイルモータVZ2(図8参照)が構成されている。
【0050】
同様に、磁極ユニット29CとZ軸固定子89AとによってウエハステージWSTにZ軸方向の駆動力を与えるZ軸ボイスコイルモータVZ3(図5、図8参照)が構成され、同様に、磁極ユニット29DとZ軸固定子89AとによってウエハステージWSTにZ軸方向の駆動力を与えるZ軸ボイスコイルモータVZ4(図8参照)が構成されている。
【0051】
すなわち、Z軸ボイスコイルモータVZ1〜VZ4を適宜制御することによって、ウエハステージWSTを固定子ユニットMYに対して、Z、θx、θy方向に駆動することができるようになっている(図6の両矢印b参照)。
【0052】
ところで、ウエハステージWSTの自重は、図5に示されるように、ウエハステージWSTの底部に設けられた自重キャンセラ101の支持力によりステージベース71の移動面71a上で非接触支持されている(図6の両矢印c参照)。この自重キャンセラ101としては、一例としてウエハステージ本体28の底部に下向きに固定されたシリンダと、該シリンダの内部に下方から挿入されたピストンとを有し、ピストンの底面に、シリンダとピストン上端面との間に形成されたシリンダ内部の陽圧空間に連通した気体静圧軸受(スラスト軸受)が設けられた構造のものを用いることができる。この場合、ピストンの外周面とシリンダの内周面との間には、気体静圧軸受けから成るラジアル軸受を設けることが望ましい。なお、自重キャンセラ101として、例えばベローズ型の自重キャンセラを用いることとしても良い。
【0053】
前記固定子161は、図3B及び図5に示されるように、+X側(又は−X側)から見て矩形枠状のチューブキャリアTCが係合している。チューブキャリアTCの開口部TCaの内側の+X側及び−X側の内面には、前述の磁極ユニット23A、23Bと同様の磁極ユニット123A,123Bがそれぞれ固定されている。本実施形態では、固定子161と一対の磁極ユニット123A,123Bとによって、チューブキャリアTCを、固定子ユニットMYに対してX軸方向に駆動するムービングマグネット型のX軸リニアモータRX(図5、図8参照)が構成されている。なお、上記のX軸リニアモータRXとして、ムービングコイル型のリニアモータを採用することとしても良い。
【0054】
前記チューブキャリアTCには、図3B及び図5に示されるように、給気管203、排気管204の一端が、コネクタCNをそれぞれ介して接続されている。
【0055】
チューブキャリアTCとウエハステージWST(ウエハステージ本体28)との間には、用力供給装置155が設けられ、該用力供給装置155を介してチューブキャリアTCは、ウエハステージWSTに接続されている。なお、用力供給装置155の構成等については、ウエハステージWSTに対する加圧気体の供給系及びバキューム用力の供給系(真空排気系)の構成等とともに後に詳述する。
【0056】
前記スライダ44、46それぞれの底面には、図4に示されるように、板状部材188A,188Bが設けられている。これらの板状部材188A,188Bの底面には、不図示のエアベアリングがY軸方向に沿って複数設けられている。これら複数のエアベアリングを介してスライダ44、46が、ステージベース71の移動面71aに対して数μm程度のクリアランスを介して非接触で浮上支持されている。また、複数のエアベアリングはY軸方向に沿って配設されていることから、各エアベアリングの浮上力を異ならせることにより、スライダ44,46それぞれにX軸回りの回転方向(θx方向)の力を作用させることができ、またスライダ44,46それぞれの浮上力を異ならせることにより、固定子ユニットMY全体をY軸回りの回転方向(θy方向)に微小駆動することが可能となっている(図6の両矢印g参照)。
【0057】
前記Y軸リニアモータLY1,LY2は、図4及び図2を総合するとわかるように、電機子ユニットから成るY軸可動子48A、48Bと、磁極ユニットから成るY軸固定子86,87とから構成されている。
【0058】
前記一方のY軸可動子48Aは、Y軸リニアモータLY1内部の構成を模式的に示す図7から分かるように、図中に二点鎖線で示される板状の筐体196と、該筐体196の内部にY軸方向に沿って所定間隔で配置されたX軸方向に細長い長方形状の複数の第1の電機子コイル190と、該複数の第1の電機子コイル190の+X側に配置されY軸方向に細長く伸びる長方形の第2の電機子コイル195と、を有している。他方のY軸可動子48Bは、Y軸可動子48AとY軸に関して対称であるが同様に構成されている。これらのY軸可動子48A、48Bは、図2に示されるように、Y軸固定子86、87の内部空間にそれぞれ挿入されている。
【0059】
前記Y軸固定子86,87は、図2に示されるように、固定子ヨーク88Aと永久磁石90,95とを備え、その下面に設けられた不図示の気体静圧軸受、例えばエアベアリングによって前述の凸部BSa,BSbの上面に対して所定のクリアランスを介して浮上支持されている。また、Y軸固定子86、87は、不図示の気体静圧軸受、例えばエアベアリングによって、凸部BSa,BSbに対して、X軸方向及び、θx、θy、θzの移動が制限されている(図6の両矢印f参照)。また、図2では、図示が省略されているが、Y軸固定子86、87をY軸方向にそれぞれ駆動するY軸トリムモータ92A、92Bが設けられている(図8、図6の両矢印e参照)。
【0060】
他方のY軸固定子87も、Y軸に関して対称ではあるが、前記Y軸固定子86と同様に構成されている。
【0061】
Y軸リニアモータLY1,LY2が上述したような構成となっていることから、各第1の電機子コイル190に電流が供給されることにより、その電流と上述の交番磁界との間の電磁相互作用により、Y軸可動子48A、48BをY軸方向に駆動するローレンツ力が発生する。また、第2の電機子コイル195に電流が供給されることにより、その電流と第2の永久磁石群95によって形成された上述の磁界との間の電磁相互作用により、Y軸可動子48A、48BをX軸方向に駆動するローレンツ力が発生する。従って、本実施形態では、Y軸リニアモータLY1,LY2により、固定子ユニットMYのY軸方向の駆動及びX軸方向の微小駆動が可能であるとともに、リニアモータLY1,LY2それぞれが発生するY軸方向の駆動力を僅かに異ならせることにより、固定子ユニットMY(ひいてはウエハステージWST)をZ軸回りの回転方向(θz方向)に駆動することが可能となっている(図6の両矢印d参照)。
【0062】
これまでの説明からわかるように、本第1の実施形態では、Y軸ボイスコイルモータVYと、X軸リニアモータLX1,LX2と、Y軸リニアモータLY1,LY2と、Z軸ボイスコイルモータVZ1〜VZ4と、Y軸トリムモータ92A,92Bとにより、ウエハステージWSTを駆動するウエハステージ駆動部27が構成されている(図8参照)。このウエハステージ駆動部27を含むウエハステージ装置12を構成する各モータ、各エアベアリングなどの軸受などは、主制御装置20によって制御されるようになっている(図8参照)。
【0063】
図1に戻り前記ウエハステージWSTのXY面内の位置情報は、その上部(より具体的にはウエハテーブルWTBの上面)に固定された移動鏡17を介してウエハレーザ干渉計(以下、「ウエハ干渉計」という)18によって、例えば0.5〜1nm程度の分解能で常時検出されている。このウエハ干渉計18は、鏡筒定盤38に吊り下げ状態で固定され、投影ユニットPUを構成する鏡筒40の側面に固定された固定鏡57の反射面を基準とする移動鏡17の反射面の位置情報を、ウエハステージWSTの位置情報として計測する。
【0064】
ここで、ウエハテーブルWTB上には、実際には、図3Aに示されるように、走査方向であるY軸方向に直交する反射面を有するY移動鏡17Yと非走査方向であるX軸方向に直交する反射面を有するX移動鏡17Xとが設けられ、これに対応してレーザ干渉計及び固定鏡も、X軸方向位置計測用とY軸方向位置計測用のものがそれぞれ設けられているが、図1ではこれらが代表的に移動鏡17、ウエハ干渉計18、固定鏡57として図示されている。なお、例えば、ウエハテーブルWTBの端面を鏡面加工して反射面(移動鏡17X、17Yの反射面に相当)を形成しても良い。また、X軸方向位置計測用のレーザ干渉計及びY軸方向位置計測用のレーザ干渉計は、ともに測長軸を複数有する多軸干渉計であり、ウエハテーブルWTBのX、Y位置の他、回転(ヨーイング(θz方向の回転)、ピッチング(θx方向の回転)、ローリング(θy方向の回転))も計測可能となっている。従って、以下の説明ではウエハ干渉計18によって、ウエハテーブルWTBのX、Y、θz、θy、θxの5自由度方向の位置が計測されるものとする。
【0065】
ウエハステージWSTの位置情報(又は速度情報)は、主制御装置20に送られ、主制御装置20では、ウエハステージWSTの位置情報(又は速度情報)に基づいて、ウエハステージ駆動部27を介してウエハステージWSTのXY面内の位置を制御する(図8参照)。
【0066】
次に、ウエハステージWSTに対する加圧気体の供給系、バキューム系及び用力供給装置155の構成などについて、図5及び図9〜図12Bに基づいて詳細に説明する。
【0067】
前記用力供給装置155の+Y端部は、図5に示されるように、チューブキャリアTCの−Y側面に固定され、−Y端部はウエハステージ本体28の+Y側面に固定されている。
【0068】
前記チューブキャリアTCの内部には、不図示の給気管路及び排気管路が形成されている。これら給気管路及び排気管路それぞれの一端には、コネクタCNをそれぞれ介して給気管203、排気管204の一端が接続されている。給気管203、排気管204それぞれの他端は、ウエハステージ装置12の外部に設けられた気体供給装置201及び真空吸引装置202(図8参照)にそれぞれ接続されている。
【0069】
前記チューブキャリアTCの内部に形成された給気管路及び排気管路それぞれの他端には、供給管241b、バキューム管241aそれぞれの一端が不図示のコネクタをそれぞれ介して接続されている。供給管241b、バキューム管241aそれぞれの他端は、用力供給装置155にそれぞれ接続されている。
【0070】
用力供給装置155は、気体供給装置201から給気管203、チューブキャリアTC、及び供給管241bを介して供給された流体(加圧気体)を、供給管270Aを介してウエハステージWSTに供給するとともに、真空吸引装置202から排気管204、チューブキャリアTC、及びバキューム管241aを介して供給された負圧を、バキューム管270Bを介してウエハステージWSTに供給する。
【0071】
本実施形態では、チューブキャリアTCによって、気体供給装置201からウエハステージWSTに対する加圧気体(例えば加圧空気)の供給が中継され、真空吸引装置202で発生した負圧のウエハステージWSTに対する供給が中継される。
【0072】
これまでの説明から明らかなように、本実施形態では、チューブキャリアTCには、供給管及びバキューム管などのチューブが接続されているが、ウエハステージWSTには外部からの配管(供給管270A、バキューム管270BのようなウエハステージWSTに一体的に固定されている配管を除く)が一切接続されないようになっている。すなわち、本実施形態のウエハステージWSTはチューブレスステージとなっている。
【0073】
図9には、ウエハステージWSTを構成するウエハステージ本体28の+Y側の面に用力供給装置155が取り付けられた状態が示されている。この図9に示されるように、用力供給装置155は、複数の円柱状の部材と複数の直方体状の部材とが組み合わされて構成されている。
【0074】
これを更に詳述すると、用力供給装置155は、この用力供給装置155を取り出して拡大して示す図10及び用力供給装置155の分解斜視図である図11に示されるように、ウエハステージ本体28の+Y側の端面に固定される一対の板状の固定部材231A,231B及び該固定部材231A,231Bがその長手方向の両端にそれぞれ固定されたX軸方向を長手方向とする第1軸部としてのX軸円柱状部材232から成る第1ユニット251と、前記X軸円柱状部材232の外周に取り付けられた円筒状部材234を含む第2ユニット252と、該第2ユニット252に順次連結された第3ユニット253と、Z支持部材239と、を備えている。このため、第1軸部としてのX軸円柱状部材232は、ウエハステージWSTのX方向の移動に応じて移動する移動部でもある。
【0075】
前記第1ユニット251を構成するX軸円柱状部材232の表面には、図11に示されるように、所定深さ(例えば10μm程度の深さ)の表面絞り溝232pがその長手方向(X軸方向)に沿って所定間隔で複数形成されている。また、このX軸円柱状部材232の+X側の端面には、そのX軸方向の中央近傍まで達する2つの丸穴232d、232bが、それぞれ形成されている。用力供給装置155のYZ断面図である図12A及び該図12AのX軸円柱状部材232及び円筒状部材234部分を拡大して示す図12Bに示されるように、一方の丸穴232dは、その断面の中心よりもやや+Z側の位置に形成され、他方の丸穴232bは、その断面の中心よりもやや−Z側の位置に形成されている。
【0076】
また、X軸円柱状部材232の上面のX軸方向の中央部には、図11に示されるように、Z軸方向の丸穴232cが形成されている。この丸穴232cは、図12Bに示されるように、丸穴232dに連通している。丸穴232d及び丸穴232cによって、L字状の管路が形成され、この管路が第1の流体供給用管路とされている。
【0077】
また、X軸円柱状部材232の下面のX軸方向の中央部には、図12Bに示されるように、丸穴232bに連通する丸穴232aが形成されている。丸穴232b及び丸穴232aによって、L字状の管路が形成され、この管路が第1のバキューム用管路とされている。なお、図11においては、表面絞り溝232pを丸穴232c部分にも設けることとしたが、図12からも明らかなように丸穴232cの反対側には前述の第1のバキューム管路を形成する丸穴232bが形成されている。このため、丸穴232b(及び丸穴232c)及びその近傍を避けて表面絞り溝232pを設けることが好ましい。
【0078】
前記一方の固定部材231Aには、図11に示されるように、前述の丸穴232d及び丸穴232bそれぞれに連通するように、X軸方向を長手方向とする丸孔から成る流路231Aa,231Abが貫通形成されている。流路231Aaには、図9に示されるように、供給管270Aの一端が不図示のコネクタを介して接続され、流路231Abには、バキューム管270Bの一端が不図示のコネクタを介して接続されている。供給管270A、バキューム管270Bそれぞれの他端はウエハステージ本体28の一部に接続されている。前記他方の固定部材231Bは、前記一方の固定部材231Aと異なり、管路が形成されていない板状の部材から構成されている。
【0079】
前記第2ユニット252は、図10に示されるように、前記円筒状部材234と、該円筒状部材234の長手方向の中央部の外側に固定された取り付け部材235と、該取り付け部材235の+Y側端面にその一端部(−Y側の端部)の先端の一部が埋め込み状態で固定されたY軸方向に伸びる第2軸部としてのY軸円柱状部材236とを含んで構成されている。なお、第2軸部としてのY軸円柱状部材236は、ウエハステージWSTのY方向の移動に応じて移動する移動部でもある。
【0080】
前記円筒状部材234は、図10に示されるように、前記X軸円柱状部材232の直径よりも僅かに大きな内径を有し、その内部にX軸円柱状部材232が挿入された状態となっている。この場合、図12Bに示されるように、円筒状部材234の内周面とX軸円柱状部材232の内周面との間には、全周にわたって所定のクリアランスが形成されている。このため、X軸円柱状部材232は、円筒状部材234に対してX軸方向及びX軸回りの回転方向に相対移動可能な状態となっている。すなわち、X軸円柱状部材232をX軸の方向及びX軸回りに移動可能に支持する第1支持部が、円筒状部材234によって構成されている。
【0081】
前記円筒状部材234には、図12Bに示されるように、その内周面にX軸方向に所定角度間隔で複数(例えば8つ)の凹溝234c1、234c2、…、234cnがそれぞれ形成されている。このうちの1つの凹溝234c1は、図12Bに示されるように、X軸円柱状部材232の丸穴232cに対向して位置し、その凹溝234c1の底面の一部には、円筒状部材234の外面に達する丸孔234bが貫通形成されている。また、凹溝234c1に対向する円筒状部材234内面の位置には、前述の丸穴232aに対向して凹溝234cnが位置し、該凹溝234cnの底面の一部には、丸孔234aが円筒状部材234の外面に達する孔234bが貫通形成されている。なお、この凹溝234c1、234c2、…、234cnは、円筒状部材234の内周面ではなく、X軸円柱状部材232の外周面に設けても良い。更に、これらの凹溝234c1、234c2、…、234cnは、必ずしもX軸方向に沿って設ける必要はなく、X軸円柱状部材232の外周面にX軸方向に所定の間隔で複数設けるようにしても良い。
【0082】
前記取り付け部材235は、例えば図11に示されるように、ほぼ立方体の外形を有し、その+X側の端面から−X側の端面に至る円形の貫通孔235aが形成され、該貫通孔235a内部に円筒状部材234が挿入され、その円筒状部材234のX軸方向の中央部の外側に取り付け部材235が両者間に隙間がない状態で取り付けられている。
【0083】
取り付け部材235の内部には、図12Aに示されるように、円筒状部材234に形成された丸孔234b、丸孔234aのそれぞれに、それぞれの一端が連通した状態で、管路235c、235bがそれぞれ形成されている。以下においては、便宜上、丸孔234bと管路235cとを纏めて第2の流体供給用管路と呼び、丸孔234aと管路235bとを纏めて第2のバキューム用管路と呼ぶものとする。
【0084】
取り付け部材235の+Y側の端面には、図12Aに示されるように、浅い円形凹部235dが形成され、この凹部235dにY軸円柱状部材236の−Y側の先端部が嵌合した状態で、Y軸円柱状部材236がX軸円柱状部材232に直交するように取り付け部材235に固定されている。なお、Y軸円柱状部材236は必ずしもX軸円柱状部材232に直交する必要はなく交差していれば良い。
【0085】
前記Y軸円柱状部材236の内部には、図12Aに示されるように、それぞれの一端が、前述した取り付け部材235に形成された前述の管路235c、235bの他端にそれぞれ連通する断面L字状の第3の流体供給用管路236b、第3のバキューム用管路236aがそれぞれ形成されている。また、Y軸円柱状部材236の表面には、図11に示されるように、所定深さ(例えば10μm程度の深さ)の複数の表面絞り溝236pがその長手方向(Y軸方向)に沿って所定間隔で形成されている。なお、Y軸円柱状部材236の表面に形成される複数の表面絞り溝236pもY軸円柱状部材236の表面の丸穴236a(及び丸穴236b)部分を避けて設けることが好ましい。
【0086】
前記第3ユニット253は、図10に示されるように、Y軸円柱状部材236の+Y側端部近傍の外周側に設けられたほぼ立方体の外形を有するY支持部材237、該Y支持部材237の下面(−Z側面)にX軸円柱状部材232及びY軸円柱状部材236と直交するように固定された第3軸部としてのZ軸円柱状部材238とを含んで構成されている。第3軸部としてのZ軸円柱状部材238は、ウエハステージWSTのZ方向の移動に応じて移動する移動部でもある。なお、Z軸円柱状部材238は、必ずしもX軸円柱状部材232及びY軸円柱状部材236と直交するようにY支持部材237に取り付ける必要はない。
【0087】
前記Y支持部材237には、その+Y側の端面から−Y側の端面に至る円形の貫通孔237aが形成され(図11参照)、該貫通孔237a内部にY軸円柱状部材236が全周に渡って所定のクリアランスを介して挿入されている。このため、Y軸円柱状部材236は、Y支持部材237に対してY軸方向及びY軸回りの回転方向に相対移動可能な状態となっている。すなわち、Y軸円柱状部材236をY軸の方向及びY軸回りに移動可能に支持する第2支持部が、Y支持部材237によって構成されている。
【0088】
Y支持部材237の内周面には、図12Aに示されるように、Y軸方向に伸びる複数の凹溝237bj(j=1〜n、nは例えば8)が、前述した円筒状部材234の凹溝234c1、234c2、…、234cnと同様に、所定角度間隔で形成されている(但し、図12Aでは、2つの凹溝237b1、237bnのみを図示、図11参照)。このうちの最も−Z側に位置する凹溝237bnに連通した状態で、Y支持部材237には、第4のバキューム用管路237cが形成されている。また、最も+Z側に位置する凹溝237b1に連通した状態で、Y支持部材237には、流体供給用管路237d2が形成されている。この流体供給用管路237d2は、流体供給用管路237d3を介してY支持部材237の下半部に形成された流体供給用管路237d1に連通されている。ここで、流体供給用管路237d3は、Y支持部材237内部の図12Aにおける紙面奥側半部に形成された半円弧状の管路である。以下では、流体供給用管路237d1,237d2及び237d3を纏めて「第4の流体供給用管路237d」とも呼ぶものとする。なお、複数の凹溝237bjは、Y支持部材237の内周面ではなく、Y軸円柱状部材236の外周に設けても良く、また、必ずしもY軸方向に沿って設ける必要もない。
【0089】
前記Z軸円柱状部材238には、図11に示されるように、その外周面の長手方向の中央部に所定深さ(例えば10μm程度の深さ)の表面絞り溝238pが長手方向(Z軸方向)に沿って所定間隔で形成されている。また、このZ軸円柱状部材238は、Y支持部材237の下端面に形成された浅い円形凹部237e内にその上端が嵌合した状態で固定されている。このZ軸円柱状部材238の内部には、図12Aに示されるように、前述したY支持部材237に形成された第4のバキューム用管路237cに連通した状態でZ軸方向の第5のバキューム用管路238aが貫通状態で形成されている。また、Z軸円柱状部材238の内部には、第5のバキューム用管路238aの−Y側に、前記第4の流体供給用管路237dに連通した状態でZ軸方向の第5の流体供給用管路238bが形成されている。第5のバキューム用管路238aの−Z側の端部には、前述のバキューム管241aの一端が不図示のコネクタを介して接続され、流体供給用管路238bの−Z側の端部には、前述の供給管241bの一端が不図示のコネクタを介して接続されている。
【0090】
Z軸円柱状部材238には、第5のバキューム用管路238aのZ軸方向ほぼ中央部から+Y方向に向かう分岐管路238cが形成されており、この分岐管路238cの先端は、Z軸円柱状部材238の外周面の外側に開放されている(図11参照)。Z軸円柱状部材238には、第5の流体供給用管路238bのZ軸方向ほぼ中央部から−Y方向に向かう分岐管路238dが形成されており、この分岐管路238dの先端は、Z軸円柱状部材238の外周面の外側に開放されている。なお、Z軸円柱状部材238に形成される表面絞り溝238pは、分岐管路238cおよびその近傍を避けて形成することが好ましい。
【0091】
前記Z支持部材239は、図10、図12等に示されるように、概略直方体状の外形を有し、その+Y側端面239cがチューブキャリアTCの−Y端面に固定されている(図12A参照)。
【0092】
Z支持部材239には、その+Z側の端面から−Z側の端面に至る円形の貫通孔239aが形成され(図11参照)、該貫通孔239a内部にZ軸円柱状部材238が全周に渡って所定のクリアランスを介して挿入されている。このため、Z軸円柱状部材238は、Z支持部材239に対してZ軸方向及びZ軸回りの回転方向に相対移動可能な状態となっている。すなわち、Z軸円柱状部材238をZ軸の方向及びZ軸回りに移動可能に支持する第3支持部が、Z支持部材239によって構成されている。
【0093】
Z支持部材239の内周面には、図12Aに示されるように、Z軸方向に伸びる複数の凹溝239bi(i=1〜n、nは例えば8)が、前述した円筒状部材234の凹溝234c1、234c2、…、234cnと同様に、所定角度間隔で形成されている(但し、図12Aでは、2つの凹溝239b1、239bnのみを図示、図11参照)。なお、複数の凹溝239biは、Z支持部材239の内周面ではなく、Z軸円柱状部材236の外周に設けても良く、また、必ずしもZ軸方向に沿って設ける必要もない。
【0094】
また、X軸円柱状部材232、円筒状部材234、Y軸円柱状部材236及びZ軸円柱状部材238の材料としてセラミックやアルミニウムを用いることができる。
【0095】
次に、上述のようにして構成された用力供給装置155の作用について簡単に説明する。
【0096】
前述の如く、気体供給装置201から給気管203を介してチューブキャリアTCに供給された流体(加圧気体)は、チューブキャリアTC内の給気管路、供給管241bを介して、用力供給装置155のZ軸円柱状部材238内の第5の流体供給用管路238bに供給される。次に、この第5の流体供給用管路238b内に供給された加圧気体は、分岐管路238dを介してZ軸円柱状部材238の外周面の外側にその一部が排出され、残りの大部分は、第5の流体供給用管路238bを通ってY支持部材237に形成された前述の第4の流体供給用管路237dに向かう。
【0097】
ここで、Z軸円柱状部材238の外周面の外側に排出された加圧気体は、Z支持部材239内周面に形成された溝239b1〜239bnをそれぞれ介してZ軸円柱状部材238とZ支持部材239との間の隙間のZ軸方向全体に速やかに行き渡るとともに、Z軸円柱状部材238外周面の表面絞り溝238pの間に入り込んでZ軸円柱状部材238とZ支持部材239との間の隙間の周方向全域にも行き渡る。これにより、Z軸円柱状部材238が、表面絞り溝238pに入り込んだ加圧気体の静圧(いわゆる隙間内圧力)によりZ支持部材239に対して非接触で支持される。すなわち、このようにして、表面絞り溝238pの全域に、一種の気体静圧軸受けが構成されている。この場合、Z軸円柱状部材238の表面絞り溝238pはZ軸円柱状部材238の外面の全周に形成されていることから、その加圧気体の静圧は全周に渡ってほぼ均等の圧力となるので、Z軸円柱状部材238の周方向の全体に渡って同一のクリアランスが形成される。この結果、Z軸円柱状部材238は、Z支持部材239に対してZ軸方向及びZ軸回りの回転方向の移動が許容された状態となっている。
【0098】
一方、前記第4の流体供給用管路237dに向かって流れた加圧気体は、流体供給用管路237d1,237d3、237d2を順次経由して凹溝237b1の内部底面に形成された流体供給用管路237d2の開口端からY軸円柱状部材236とY支持部材237との間の僅かな隙間にその一部が排出されるとともに、残りの大部分は、Y軸円柱状部材236内に形成された第3の流体供給用管路236bを介して取り付け部材235内に形成された第2の流体供給用管路(235c、234b)に向かう。
【0099】
ここで、Y軸円柱状部材236とY支持部材237との間の僅かな隙間に排出された加圧気体は、Y支持部材237内周面に形成された溝237b1〜237bnをそれぞれ介してY軸円柱状部材236とY支持部材237との間の隙間のY軸方向全体に速やかに行き渡るとともに、Y軸円柱状部材236外周面の表面絞り溝236pの間に入り込んでY軸円柱状部材236とY支持部材237との間の隙間の周方向全域にも行き渡る。これにより、Y軸円柱状部材236が、表面絞り溝236pに入り込んだ加圧気体の静圧(いわゆる隙間内圧力)によりY支持部材237に対して非接触で支持される。すなわち、このようにして、表面絞り溝236pの全域に、一種の気体静圧軸受けが構成されている。この場合、Y軸円柱状部材236の表面絞り溝236pはY軸円柱状部材236の外面の全周に形成されているので、その加圧気体の静圧は全周に渡ってほぼ均等の圧力となり、これにより、Y軸円柱状部材236の周方向の全体に渡って同一のクリアランスが形成される。この結果、Y軸円柱状部材236は、Y支持部材237に対してY軸方向及びY軸回りの回転方向の移動が許容された状態となっている。
【0100】
一方、第2の流体供給用管路(235c、234b)に供給された加圧気体は、その第2の流体供給用管路のうち、円筒状部材234に形成された丸孔234bから凹溝234c1を介して円筒状部材234とX軸円柱状部材232との間の僅かな隙間内にその一部が排出されるとともに、残りがX軸円柱状部材232内部に形成された第1の流体供給用管路(232c、232d)に供給される。
【0101】
ここで、円筒状部材234とX軸円柱状部材232との間の僅かな隙間に排出された加圧気体は、円筒状部材234内周面に形成された溝234c1〜234cnをそれぞれ介して円筒状部材234とX軸円柱状部材232との間の隙間のX軸方向全体に速やかに行き渡るとともに、X軸円柱状部材232外周面の表面絞り溝232pの間に入り込んでX軸円柱状部材232と円筒状部材234との間の隙間の周方向全域にも行き渡る。これにより、X軸円柱状部材232が、表面絞り溝232pに入り込んだ加圧気体の静圧(いわゆる隙間内圧力)により円筒状部材234に対して非接触で支持される。すなわち、このようにして、表面絞り溝232pの全域に、一種の気体静圧軸受けが構成されている。この場合、X軸円柱状部材232の表面絞り溝232pはX軸円柱状部材232の外面の全周に形成されているので、その加圧気体の静圧は全周に渡ってほぼ均等になり、これにより、X軸円柱状部材232の周方向の全体に渡って同一のクリアランスが形成される。この結果、X軸円柱状部材232は、円筒状部材234に対してX軸方向及びX軸回りの回転方向の移動が許容された状態となっている。
【0102】
一方、第1の流体供給用管路(232c、232d)に供給された加圧気体は、該第1の流体供給用管路、固定部材231Aに形成された流路231Aa(図11参照)、及び供給管270A(図9参照)を順次介して、ウエハステージ本体28の内部に送られる。このウエハステージ本体28の内部に送られた加圧気体は、ウエハステージ本体28の内部の不図示の気体供給管路を通って、ウエハステージWSTの種々の機構に供給されて用いられる。本実施形態では、ウエハステージ本体28の内部に送られた加圧気体は、例えば前述した自重キャンセラ101に供給されるようになっているとともに、ウエハホルダ25に設けられたウエハWを昇降するための不図示の上下動ピン(センタアップ)を昇降する不図示の昇降機構にも供給されるようになっている。
【0103】
一方、真空吸引装置202による真空吸引(バキューム)が開始されると、真空吸引装置202で発生した負圧が、排気管204、チューブキャリアTC、バキューム管241a、用力供給装置155、及びバキューム管270Bを介してウエハステージ本体28の内部のバキューム管路に供給される。
【0104】
このとき、ウエハステージ本体28側からバキューム管270B及び固定部材231Aに形成された流路231Ab、X軸円柱状部材232内部の第1のバキューム用管路(232b、232a)、円筒状部材234に形成された凹溝234cnを順次介して、円筒状部材234及び取り付け部材235に形成された第2のバキューム用管路(234a、235b)に向かう気体の流れが生じる。この気体の流れによる負圧により、X軸円柱状部材232と円筒状部材234との間の隙間に供給された加圧気体が吸引され、この吸引力により、前記加圧気体がX軸円柱状部材232の周方向の全体に速やかに行き渡るとともに、前記の隙間内には、常に一定量の加圧気体が維持されるようになっている。
【0105】
また、Y軸円柱状部材236及びY支持部材237の内部には、Y軸円柱状部材236に形成された第3のバキューム用管路236aからY支持部材237に形成された凹溝237bnを介して第4のバキューム用管路237cに向かう気体の流れが生じる。この気体の流れによる負圧により、Y軸円柱状部材236とY支持部材237との間の隙間に供給された加圧気体が吸引され、その加圧気体がY軸円柱状部材236の周方向の全体に速やかに行き渡るとともに、前記の隙間内には、常に一定量の加圧気体が維持されるようになっている。
【0106】
また、Z軸円柱状部材238に形成された第5のバキューム用管路238aの内部には、バキューム管241aに向かう気体の流れが生じる。この気体の流れによる負圧により、Z軸円柱状部材238とZ支持部材239との間の隙間に供給された加圧気体が分岐管路238cを介して吸引され、これによりその加圧気体がZ軸円柱状部材238の周方向の全体に速やかに行き渡るとともに、前記の隙間内には、常に一定量の加圧気体が維持されるようになっている。
【0107】
また、バキューム管241a、チューブキャリアTC、排気管204の内部には、真空吸引装置202に向かう気体の流れが生じている。
【0108】
本実施形態では、真空吸引装置202で発生した負圧による、上述したような気体の流れにより、ウエハステージWSTの内部では、例えばウエハホルダ25によるウエハWの真空吸着、ウエハステージ本体28によるウエハテーブルWTBの真空吸着や、前述の不図示の上下動ピン(センタアップ)の先端部によるウエハの真空吸着などが行われるようになっている。
【0109】
また、国際公開第2004/053953号パンフレットに記載されているように、投影光学系PLとウエハWとの間に液体(例えば純水)を供給した状態でウエハにパターンを投影する液浸型露光装置においては、ウエハWの裏面に液体が回りこむ虞がある液体を吸引することが開示されている。このため、例えば排気管270Bに加えて新たな吸引管を設け、ウエハホルダ25の裏面に回りこみそうな液体を真空を用いて吸引しても良い。これに加え、ウエハステージWSTに液体が回りこむ虞のある部分は用力供給装置155を用いて適宜吸引すれば良い。なお、液体の吸引により振動などの外乱が発生し、露光精度に影響を与えそうな場合には、露光動作を行っていないとき(例えば、露光動作の終了後のウエハの交換中)に液体の吸引を行えば良い。なお、本国際出願で指定して指定国(又は選択した選択国)の国内法令が許す限りにおいて、国際公開第2004/053953号パンフレットに対応する米国出願における開示を援用して本明細書の記載の一部とする。
【0110】
なお、用力供給装置155は、温調された液体をウエハステージWSTに供給しても良い。具体的には、供給管270Aとは独立した供給管を設け、ウエハステージ本体28に設けられた永久磁石22A,22B、23A〜23D、及び29A〜29Dに温調された液体を供給しても良い。これにより、渦電流による永久磁石22A,22B、23A〜23D、及び29A〜29Dの発熱を低減することができる。また、温調された液体をウエハホルダ25に供給することにより、ウエハホルダ25を温調することができる。
【0111】
なお、供給管や排気管の数が増えた場合には、用力供給装置155を複数設けるようにしても良い。例えば、用力供給装置155を2つ設ける場合には左右対称もしくは上下対称に設ければ良い。
【0112】
露光動作の間、主制御装置20は、ウエハステージWSTのステップ移動方向と同一方向に、チューブキャリアTCをX軸リニアモータRXを介して駆動し、チューブキャリアTCをウエハステージWSTにラフに追従させる。このとき、本実施形態では、主制御装置20は、X軸リニアモータRXにチューブキャリアTCが等速移動するような駆動力を作用させることとしている。本実施形態においては、チューブキャリアTCがウエハステージWSTに対してX、Yのそれぞれの方向に精度良く追従しなくても、円筒状部材234がX軸円柱状部材232を移動可能に支持するとともに、Y支持部材237がY軸円柱状部材236を移動可能に支持している。このため、ウエハステージWSTに用力供給装置155からの力が加わることはない。同様に、ウエハステージWSTがZ方向に駆動した場合でも、Z支持部材239がZ軸円柱状部材238を移動可能に支持しているので、ウエハステージWSTに用力供給装置155からの力(例えばテンション)が加わることはない。
【0113】
以上詳細に説明したように、本実施形態に係るウエハステージ装置12によると、ステージベース71の上面71a上を移動するウエハステージWSTに接続され、該ウエハステージWSTに対して加圧気体(流体)や真空を供給する用力供給装置155が、X軸円柱状部材232(第1軸部)、円筒状部材234(第1支持部)、Y軸円柱状部材236(第2軸部)、Y支持部材237(第2支持部)、Z軸円柱状部材238(第3軸部)及びZ支持部材239(第3支持部)を含んで構成され、X軸円柱状部材232は円筒状部材234によりX軸方向及びX軸回りに移動可能に支持され、Y軸円柱状部材236はY支持部材237によりY軸方向及びY軸回りに移動可能に支持され、Z軸円柱状部材238はZ支持部材238によりZ軸方向及びZ軸回りに移動可能に支持されている。従って、ウエハステージWSTの移動に伴って用力供給装置155に6自由度方向のいずれの方向の力が作用しても用力供給装置155はその力に応じて位置・姿勢を変化させることでその力を吸収するので、用力供給装置155がステージの移動を妨げることがない。従って、流体の供給にチューブなどの配管を用いる場合のようにチューブの引きずりによる位置制御性の低下がなく、ウエハステージWSTの位置制御性を良好に確保することができる。
【0114】
また、X軸円柱状部材232と円筒状部材234との間、Y軸円柱状部材236とY支持部材237との間、Z軸円柱状部材238とZ支持部材239との間のそれぞれには、第1、第2、第3の気体静圧軸受が設けられているので、X軸円柱状部材232と円筒状部材234との間、Y軸円柱状部材236とY支持部材237との間、Z軸円柱状部材238とZ支持部材239との間のそれぞれを非接触の構成にすることができ、これにより、ウエハステージWSTの移動に伴って6自由度方向のいずれの方向の力が作用しても用力供給装置155は抵抗力を発生することなく、その位置・姿勢を変化させる。従って、用力供給装置155起因のウエハステージの位置制御性の低下をほぼ完全に回避することができる。
【0115】
また、本実施形態では、用力供給装置155は、X軸方向に沿って等速運動するチューブキャリアTCに設けられているので、チューブキャリアTCを、ウエハステージWSTのX軸方向の移動にラフに追従させることにより、用力供給装置155のX軸方向の移動許容範囲を小さく設計することができ結果的にウエハステージ装置12の小型化及びその小型化によるリニアモータの発熱量の低減を図ることが可能となる。
【0116】
また、本実施形態の露光装置100によると、上述したウエハステージ装置12が基板としてのウエハWを移動するステージ装置として用いられているので、ウエハW上の複数のショット領域にレチクルRのパターンを転写するステップ・アンド・スキャン方式の露光動作の際のウエハW(ウエハステージWST)の位置制御性の向上が可能となり、結果的に、レチクルRのパターンのウエハWへの高精度な転写が可能となる。
【0117】
なお、上記実施形態では、チューブキャリアTCを等速運動させる場合について説明したが、チューブキャリアTCに反射面を設け、チューブキャリアの位置を干渉計やエンコーダなどを用いて計測し、該計測結果に基づいて、ウエハステージWSTに追従するようにチューブキャリアTCを駆動することとしても良い。
【0118】
なお、上述の実施形態においては、Z軸円柱状部材238に対してY軸円柱状部材236を取り付けたが、Z軸円柱状部材238に対して円筒状部材234、X軸円柱状部材232を取り付けても良い。
【0119】
また、上述の実施形態においては、X軸円柱状部材232を移動部としたが、円筒状部材234を移動部とする構成にしても良い。同様に、Y軸円柱状部材236およびZ軸円柱状部材238を移動部としたが、Y軸円柱状部材236及びZ軸円柱状部材238のそれぞれを包囲する部材を移動部とする構成にしても良い。
【0120】
《第2の実施形態》
次に、本発明の第2の実施形態を図13〜図15に基づいて説明する。ここで、前述した第1の実施形態と同一若しくは同等の部分については、同一の符号を用いるとともにその説明を簡略にし、若しくは省略するものとする。この第2の実施形態の露光装置は、ウエハステージ装置(ステージ装置)の構成が一部異なるのみで、その他の部分の構成は前述した第1の実施形態の露光装置100と同様になっている。
【0121】
図13には、本第2の実施形態に係るウエハステージ装置12’の構成が斜視図にて示されている。この図13と図2とを比べると、本第2の実施形態のウエハステージ装置12’は、Y軸リニアモータLY1,LY2によってY軸方向に駆動される部分が、第1の実施形態に係るウエハステージ装置12と相違していることがわかる。すなわち、ウエハステージ装置12’では、前述した固定子ユニットMYに代えて、移動体ユニットMY’が設けられ、固定子ユニットMYに取り付けられたチューブキャリアTCに代えて、ウエハステージWSTがその内部に組み込まれたカウンタマス30が設けられている。以下では重複説明を避ける観点から、これらの相違点を中心として説明する。なお、本実施形態のウエハステージ装置12’の基本構成は先に出願された特願2004−116043号の明細書にも記載されている。
【0122】
図14Aには、ウエハステージ装置12’からカウンタマス30及び該カウンタマスに取り付けられたウエハステージWSTが取り出され斜視図にて示され、図14Bには、図14AのX−Z断面図が示されている。また、図15には、ウエハステージWSTからウエハテーブルWTBを取り外した状態のウエハステージ装置12’の平面図が示されている。
【0123】
前記カウンタマス30は、図15から分かるように、その上面の中央部に矩形の開口が形成され、四方の側壁、特にY軸方向の両側の側壁の肉厚が厚い箱のような形状を有している。このカウンタマス30の内部空間にウエハステージ本体28が収容された状態でウエハステージWSTがカウンタマス30に対して相対移動可能に取り付けられている(図14B参照)。
【0124】
カウンタマス30の+X側の側壁に形成された開口30a及びこれに対向する−Y側の側壁の開口には、前述のY軸固定子80と同様の構成の電機子ユニットから成るY軸固定子480の長手方向の一端と他端がそれぞれ挿入され、固定されている。Y軸固定子480は前述のY軸固定子80と同様に、ウエハステージ本体28に設けられた一対の永久磁石22A,22B相互間の空間に挿入されており、Y軸固定子480と一対の永久磁石22A,22BとによりウエハステージWSTをY軸方向に沿って微小駆動するリニアモータを構成している。
【0125】
また、カウンタマス30に形成された開口30b及び30cには、前述のX軸固定子61A、61Bと同様の構成の電機子ユニットから成るX軸固定子461A,461Bの長手方向の一端と他端がそれぞれ挿入され、固定されている(図14A参照)。X軸固定子461A,461Bのそれぞれは、前述のY軸固定子61A、61Bと同様に、ウエハステージ本体28に設けられた磁極ユニット23A、23B相互間の空間、磁極ユニット23C,23D相互間の空間に、それぞれ挿入されている。すなわち、X軸固定子461A,461Bと磁極ユニット23A〜23Dとにより、ウエハステージWSTをX軸方向に沿って駆動する一対のリニアモータを構成している。
【0126】
前記カウンタマス30に形成された開口30d,30eそれぞれの内部には、図14Aに示されるように、X軸方向に伸びる各一対の磁極ユニット(永久磁石群)から成るX軸可動子24A、24Bが、それぞれ設けられている。X軸可動子24A、24Bそれぞれの内部空間には、後述するように移動体ユニットMY’を構成するX軸方向に伸びる電機子ユニットから成るX軸固定子(電機子コイル)26A、26Bがそれぞれ挿入されている。X軸可動子24A,24BとX軸固定子26A,26BとによりカウンタマスをX軸方向に沿って駆動するリニアモータ(第2駆動装置)を構成している。
【0127】
前記移動体ユニットMY’は、図15に示されるように、前述したX軸固定子26A,26Bと、該X軸固定子26A,26BのそれぞれからY軸方向に関して等距離の位置でかつカウンタマス30の下方に配置され、XY面に平行にかつX軸方向に伸びる第1の板状部材184と、該第1の板状部材184のY軸方向一側と他側にそれぞれ配置されたX軸方向を長手方向とするZ軸固定子89A,89Bと、X軸固定子26Bの+Y側に配置されX軸方向を長手方向とする第2の板状部材186と、これらX軸固定子26A,26B、第1の板状部材184、Z軸固定子89A,89B、及び第2の板状部材186それぞれの長手方向一端(+X側端)及び他端(−X側端)に固定されたスライダ44,46と、を備えている。スライダ44,46によって、X軸固定子26A,26B、第1の板状部材184、電機子ユニット89A,89B、及び第2の板状部材186が所定の位置関係に維持されている。
【0128】
前記第1の板状部材184は、その上面(+Z側面)が平坦に加工され、図15に示されるように、カウンタマス30の底面の下方に配置されている。一方、カウンタマス30の底面のY軸方向中央部には、不図示の複数の気体静圧軸受(例えばエアベアリング)がその底面にX軸方向に沿って所定間隔で設けられた部材83が固定されている。カウンタマス30は、これら複数のエアベアリングから第1の板状部材187に対して吹き付けられる加圧気体の静圧により、移動体ユニットMY’の各部に対して非接触で支持されている。
【0129】
前記ウエハステージWST(ウエハステージ本体28)の底面には、図14Bに示されるように自重キャンセラ101が設けられている。図14Bに示されているように、カウンタマス30のうち自重キャンセラ101と対向する面がウエハステージWSTの移動面となっている。カウンタマス30がウエハステージWSTの移動面を有しているのでステージベース71を安価に作成することができる。
【0130】
カウンタマス30とウエハステージ本体28との間には、図15に示されるように、第1の実施形態と同様の構成の用力供給装置155が設けられている。この用力供給装置155は、カウンタマス30に接続された供給管203を介してウエハステージ装置外部に設けられた不図示の気体供給装置から供給される加圧気体や、カウンタマス30に接続されたバキューム管204を介してウエハステージ装置外部に設けられた不図示の真空吸引装置で発生した負圧をウエハステージWSTに供給する際の中継機構として用いられる。
【0131】
ウエハステージ装置12’のその他の構成は、前述した第1の実施形態のウエハステージ装置12と同様になっている。従って、移動体ユニットMYとY軸リニアモータLY1,LY2と定盤71とフレームキャスタFCとの間には、第1の実施形態と同様の力が作用するようになっている。
【0132】
上述のようにして構成された本第2の実施形態の露光装置では、前述した第1の実施形態と同様の動作が行われる。但し、本第2の実施形態では、カウンタマス30を備えていることから、ウエハステージWSTがX軸方向の一方向(+X方向(又は−X方向))に駆動されると、その反力を受けて、カウンタマス30がそれとは逆の方向(−X方向(又は+X方向))に駆動される。また、主制御装置20は、カウンタマス30の移動ストロークを小さくするために第2駆動装置を構成するX軸可動子24A,24BとX軸固定子26A,26Bとによりカウンタマス30に対してウエハステージWSTと同じ方向に駆動するように初速を与えている。
【0133】
なお、ウエハステージ装置12’のウエハステージWSTで用いられるウエハホルダ25のバキュームや自重キャンセラ101への加圧気体の供給、ウエハ昇降用のセンタアップの昇降に用いられる加圧気体の供給は、カウンタマス30及びカウンタマス30とウエハステージ本体28との間に設けられた用力供給装置155を介して行われる。この場合、第1の実施形態で説明した円筒状部材234がウエハステージ本体28とカウンタマス30とのX方向に沿った相対移動量に応じてX軸円柱状部材232をX方向に沿って移動可能に支持すれば良い。同様に、ウエハステージ本体28のY方向、Z方向の移動に応じて、Y支持部材237とZ支持部材239のそれぞれがY軸円柱状部材236とZ軸円柱状部材238を移動可能に支持している。
【0134】
以上説明したように、本第2の実施形態に係るウエハステージ装置12’によると、ステージベース71の上面71a上を移動するウエハステージWSTに接続された前述の用力供給装置155を備え、この用力供給装置155がカウンタマス30に設けられているので、前述した第1の実施形態と同様に用力供給装置155起因のウエハステージの位置制御性の低下をほぼ完全に回避することができる。また、本第2の実施形態では、用力供給装置155は、ウエハステージWSTがX軸方向に駆動された際の反力により該ステージと反対方向に移動するカウンタマス30を介して、流体(加圧気体)をウエハステージWSTへ供給する、すなわちウエハステージWSTの近くにあるカウンタマス30を中継してウエハステージWSTへの流体供給を行うので、ステージ装置の外部からチューブ等の配管を介して流体がウエハステージへ直接供給される場合と比べ、チューブの引きずりに伴う抵抗力を低減させることができ、これにより、ウエハステージWSTの位置制御性を向上させることが可能となる。
【0135】
また、本第2の実施形態の露光装置によると、上述したウエハステージ装置12’が基板としてのウエハWを移動するステージ装置として用いられているので、ウエハW上の複数のショット領域にレチクルRのパターンを転写するステップ・アンド・スキャン方式の露光動作の際のウエハW(ウエハステージWST)の位置制御性の向上が可能となり、結果的に、レチクルRのパターンのウエハWへの高精度な転写が可能となる。
【0136】
なお、上記第2の実施形態では、カウンタマス30としてウエハステージWSTを取り囲む状態とされる、いわゆる「ローカルカウンタマス」を採用した場合について説明したが、本発明がこれに限られるものではなく、ウエハステージWSTの駆動による反力によりウエハステージWSTと反対方向に移動するのであれば、その構成は問わない。
【0137】
《変形例》
次に、用力供給装置の変形例について図16〜図22に基づいて説明する。
【0138】
図16には、本変形例の用力供給装置155’の斜視図が示され、図17には、用力供給装置155’の分解斜視図が示されている。また、図18には、用力供給装置155’のY軸方向のほぼ中央におけるXZ断面で断面した斜視図が示され、図19には、用力供給装置155’のX軸方向のほぼ中央におけるYZ断面で断面した斜視図が示されている。また、図20、図21には、用力供給装置155’内の気体の流れを説明するための図がそれぞれ示されている。このうち、図20は、用力供給装置155’を図18と同一のXZ断面に沿って断面した断面図に相当し、図21は、用力供給装置155’を図19と同一のYZ断面に沿って断面した断面図に相当する。
【0139】
用力供給装置155’は、図17に示される第1軸部としての第1部材103、第2部材105、第3部材107及び第4部材111の4つの部材の組み合わせによって構成されている。この用力供給装置155’は、前述した第2の実施形態と同様、カウンタマス30を有するステージ装置に組み込まれる(図22参照)。なお、図17は、用力供給装置155’として組み立てられた状態(図16の状態)の第1〜第4部材のそれぞれを取り出して示すもので、実際には、第3部材107、第4部材111は、他の部材の組み付けが可能となるように、それぞれ複数の部品から構成されていることは言うまでもない。
【0140】
前記第1部材103は、図17に示されるように、X軸方向を長手方向とする円柱状の部材から成り、その長手方向の両端部を除く中央部分の外周面には、所定深さ(例えば、10μm程度)の複数の表面絞り溝103bが所定間隔で形成されている。この第1部材103の+X側端部には、コネクタ部103aが設けられ、−X側端部には、コネクタ部103aと同様のコネクタ部103cが設けられている(図17では不図示、図18参照)。コネクタ部103aには、不図示の給気管の一端が接続され、この給気管の他端には前述した気体供給装置201(図8参照)が接続されている。コネクタ部103cには、不図示のバキューム管の一端が接続され、このバキューム管の他端は、前述した真空吸引装置202に接続されている。
【0141】
第1部材103の内部には、図18に示されるように、コネクタ部103aの端面からX軸方向中央より僅かに−X側の部分に達する給気管路211a、コネクタ部103cの端面からX軸方向中央より僅かに+X側の部分に達するバキューム管路211cが、それぞれ形成されている。
【0142】
前記給気管路211aの+X側の端部は、他の部分より幾分小径に形成されている。この給気管路211aの−X側の端部近傍には、図20及び図21に示されるように、第1部材103の外周面まで達する7本の分岐管路211b1〜211b7が放射方向に形成されている。これらの分岐管路211b1〜211b7のそれぞれは、外周側の端部が他の部分に比べて小径に形成されている。
【0143】
前記バキューム管路211cの+X側端部近傍からは、図21に示されるように、1本の分岐管路211dが下側(−Z側)に分岐し、かつ第1部材103の外部まで連通した状態で形成されている。
【0144】
前記第2部材105は、図17に示されるように、概略直方体状の形状を有する第1支持部104aと、該第1支持部104aの上下面(±Z側面)にそれぞれZ軸方向に一体的に突設された一対の第2軸部104b,104cとを有する。
【0145】
前記第1支持部104aには、+X側の端面から−X側の端面まで達する円形の貫通孔105aが形成され、この貫通孔105aの内部に第1部材103が挿入されるようになっている。第1支持部104aの貫通孔105aの内周面には、図17、図20及び図21に示されるように、第1部材103に形成された7本の分岐管路211b1〜211b7に対応して、7本の溝部105b1〜105b7が形成されている。また、第1支持部104aの貫通孔105aの内周面には、第1部材103に形成されたバキューム管路211c側の分岐管路211dに対応して、1本の溝部105cが形成されている。
【0146】
前記一方の(+Z側に位置する)第2軸部104bには、図17に示されるように、表面絞り溝114aが形成されている。この表面絞り溝114aは、第2軸部104bの外周面に沿って形成された1本の第1の溝と、該第1の溝に連通する状態で第2軸部104bの外周面に沿って所定間隔で形成されZ軸方向に延びる複数本の第2の溝とから構成されている。前記他方の(−Z側に位置する)第2軸部104cも第2軸部104bと上下対称ではあるが、同様に構成されおり、その外周面には表面絞り溝114bが形成されている。
【0147】
この第2部材105の内部には、図20及び図21に示されるように、第2軸部104aの上端面(+Z端面)の中央部から溝部105b1に連通する貫通孔105dが形成されている。この貫通孔の105dの溝部105b1に連通する下端部近傍部分は他の部分に比べて径が小さく形成されている。
【0148】
また、第2部材105には、第2軸部104bの下端面(−Z端面)の中央部から開口105aまで貫通した状態で貫通孔105eが形成されている。この貫通孔105eは、その上端部近傍で径が小さく設定されており、溝部105cに連通した状態となっている。
【0149】
前記第3部材107は、図17に示されるように、+X側の面から−X側の面まで貫通する矩形(ほぼ正方形)の開口107aが形成された直方体状の外形を有する第2支持部108aと、該第2支持部108aのX軸方向の両側面(±X側面)にそれぞれX軸方向に一体的に突設された一対の第3軸部108b,108cとを有している。第3軸部108b,108cの外周面には、表面絞り溝109a,109bがそれぞれ形成されている。
【0150】
前記第2支持部108aには、図20及び図21に示されるように、前述の開口107aの上壁面に上下方向を軸方向とする円形開口107bが形成されるとともに、該円形開口107b上端に連通する中空部が第2支持部108aの内部に形成されている。本変形例では、円形開口107b内に前述の第2軸部104bが下方から挿入され、この挿入状態では、第2軸部104bと円形開口107bの内周面との間に、所定のクリアランスが形成されるようになっている。また、この第2軸部104bが円形開口107b内に挿入された図20、図21等の状態で、第2支持部108aの内部の第2軸部104bの上側に気体室となる空間80が形成されている。以下では、この空間80を気体室80とも呼ぶ。
【0151】
また、第2支持部108aには、図20及び図21に示されるように、前述の開口107aの下側壁面に上下方向を軸方向とする円形開口107cが形成されるとともに、該円形開口107c下端に連通する中空部が第2支持部108aの内部に形成されている。本変形例では、円形開口107c内に前述の第2軸部104cが上方から挿入され、この挿入状態では、第2軸部104cと円形開口107cの内周面との間に、所定のクリアランスが形成されるようになっている。また、この第2軸部104cが円形開口107c内に挿入された図20、図21等の状態で、第2支持部108aの内部の第2軸部104cの下側に真空室となる空間81が形成されている。以下では、この空間80を真空室81とも呼ぶ。
【0152】
図21に示されるように、前記第3部材107の一方の第3軸部108bの内部には、通気路107f、107hが上下に所定距離隔ててそれぞれ形成され、他方の第3軸部108cの内部には、通気路107g、107iが上下に所定距離隔ててそれぞれ形成されている。前記通気路107f、107gのそれぞれは、Z軸方向に延びる通気管路107j,107kをそれぞれ介して気体室80に連通されている。また、前記通気路107h、107iのそれぞれは、Z軸方向に延びる通気管路107n、107oをそれぞれ介してバキューム室81に連通されている。また、第3軸部108bには、通気路107fと第3軸部108bの外周面の外部とを連通する通気管路107l、及び通気路107hと第3軸部108cの外周面の外部とを連通する通気管路107pが形成されている。また、第3軸部108cには、通気路107gと第3軸部108cの外周面の外部とを連通する通気管路107m、及び通気路107iと第3軸部108cの外周面の外部とを連通する通気管路107qが形成されている。
【0153】
前記第4部材111は、図17に示されるように、上下が開口した平面視(上方から見て)矩形枠状の筒状部材から成り、そのX軸方向両側の壁には、第1の径の円形開口111b,111cがそれぞれ形成され、Y軸方向両側の壁には、第2の径(>第1の径)の円形開口111d,111eが形成されている。
【0154】
前記円形開口111d,111eには、図21から分かるように、前述した第3部材107の第3軸部108b、108cがそれぞれ挿入されるようになっている。一方、残りの2つの円形開口111b,111cには、図20に示されるように、第1部材103が所定の隙間をあけて挿入される。
【0155】
第4部材111の円形開口111eの内壁面の下側には、図17及び図21に示されるように、前述の通気管路107qに対向する位置に上下に連通するバキューム管路111fが形成されている。また、第4部材111の円形開口111dの内壁面の下側には、図21に示されるように、前述の通気管路107pに対向する位置に凹部111gが形成されている。これらの凹部111gとバキューム管路111fは、第4部材111内部に形成された通気管路111h(図20参照)を介して連通状態とされている。バキューム管路111fには、図17に示されるように、第4部材の下面側に設けられたコネクタ115が接続されている。
【0156】
また、第4部材111の円形開口111eの内壁面の下側には、図17及び図21に示されるように、前述の通気管路107mに対向する位置に上下に連通する給気管路111iが形成され、この給気管路111iに第4部材111の上面側に設けられたコネクタ116が接続されている。
【0157】
以上のような構成を有する用力供給装置155’は、図22に示されるようにカウンタマス30のX軸方向の一側と他側の側壁に第1部材103の長手方向の一端部と他端部が接続され、ウエハステージ本体28の底部に、第3部材の上端部が接続された状態で、カウンタマス30及びウエハステージWSTに取り付けられる。そして、この取り付け後の状態では、前述したコネクタ115が不図示のバキューム用の配管を介してウエハステージWST上に設けられたウエハホルダ25を構成する真空チャックに接続され、前述したコネクタ116が、不図示の配管を介してウエハステージ本体28の内部の不図示の気体供給管路に接続される。
【0158】
次に、上述のように構成された用力供給装置155’の作用について、図20,図21に基づいて説明する。なお、図20、図21において、白抜き矢印は、加圧気体の供給による気体の流れを示し、黒矢印は真空吸引(バキューム)により生じる気体の流れを示している。
【0159】
気体供給装置201から、不図示の供給管及びカウンタマス30に接続されたコネクタ部103aを介して第1部材103の内部の給気管路211a内に図20中の矢印Aで示されるように加圧気体が供給されると、その加圧気体は、分岐管路211b1内を矢印B方向に流れる(上昇する)とともに、その他の分岐管路211b2〜211b7内についても図21に示されるように、第1部材103の外周面の外部に向かって矢印B方向に流れる。そして、分岐管路211b1内を流れる加圧気体は、大部分が図20に示されるように、貫通孔105dを矢印D方向に流れ、前述の気体室80に供給されるとともに、残部が図20に示されるように、第2部材105に形成された溝部105b1内を矢印C方向に流れ、その加圧気体が溝部105b1と第1部材103とにより形成される空間内に充
填される。また、溝部105b2〜1057内にも矢印Cと同一方向に加圧気体が流れ、溝部105b2〜105b7と第1部材103とにより形成される空間内に加圧気体が充填される。そして、この加圧気体は、第1部材103の表面に形成された表面絞り溝103b内にも流れるようになっている。この場合、前述の第1の実施形態と同様に、表面絞り溝103bと第2部材105との間の隙間の加圧気体の静圧により第1部材103が、第2部材105の第1支持部104aに対して非接触で支持される。すなわち、このようにして、表面絞り溝103bの全域に、一種の気体静圧軸受けが構成されている。この結果、第1部材103は、第1支持部104aに対してX軸方向の移動及びX軸回りの回転が許容された状態となっている。
【0160】
一方、前記気体室80内部には、前述の如くして供給された加圧気体が充填され、その充填された加圧気体の一部は、図20に示されるように、第3部材107(第2支持部108a)に形成された開口107bと第2部材105の第2軸部104bとの間の微小な隙間内を、矢印E方向に流れる(漏れ出す)。これにより、前述と同様にして、第2軸部104bに形成された表面絞り溝114aの全域に、一種の気体静圧軸受が構成され、第2軸部104bが第2支持部108aに対してZ軸方向の移動及びZ軸回りの回転が許容された状態となっている。
【0161】
気体室80内部に充填された加圧気体の一部は、図21に示されるように、通気管路107j、107k内を矢印F方向(−Z方向)に流れ、通気路107f,107g及び通気管路107l,107mを順次経由して、第3部材107の第3軸部108b,108cの外部の第4部材111との間の隙間に流れ出す。この加圧気体は、第3部材107の第3軸部108b,108cにそれぞれ形成された表面絞り溝109a,109b(図17参照)内を流れる。これにより、前述と同様にして、第3軸部108b,108cにそれぞれ形成された表面絞り溝109a,109bの全域に、一種の気体静圧軸受がそれぞれ構成され、第3軸部108b,108cが第4部材111に対してY軸方向の移動及びY軸回りの回転が許容された状態となっている。
【0162】
また、通気管路107mを介して第3軸部108cの外部に流れ出した加圧気体は、該通気管路107mに対向して第4部材111に形成された給気管路111iを介して、ウエハステージ本体28の内部に送られ、例えば前述した自重キャンセラ101に供給されるとともに、ウエハホルダ25に設けられたウエハWを昇降するための不図示の上下動ピン(センタアップ)を昇降する不図示の昇降機構にも供給される。
【0163】
真空吸引装置202によるバキューム動作が開始され、負圧が発生すると、その負圧が第1部材103のコネクタ部103cに接続されたバキューム管を介してバキューム管路211cに供給され、バキューム管路211cの内部に図20中の矢印A’で示される気体の流れが生じる。この気体の流れによって生じる負圧により、前述した真空室81内部の気体がバキューム管路211c側に吸引され、貫通孔105e内に図20中の矢印D’で示される気体の流れが生じるとともに、第1部材103と第2部材105に形成された溝105cとにより形成される空間内には図20中の矢印C’で示される方向の気体の流れが生じる。後者の気体の流れにより、前述の如く、第1部材103と第2部材105との間の隙間に溝105b1〜105b7を介して流れ出した加圧気体が第1部材103の表面絞り溝104bに沿って吸引され、その表面絞り溝104b全周に渡って加圧気体が速やかに行き渡るとともに、溝105cに達した加圧気体が回収される。
【0164】
上述の貫通孔105e内に図20中の矢印D’で示される気体の流れに起因して真空室81が負圧(真空状態)となり、この負圧により、図20,図21に示されるように、第2部材105の第2軸部104cと第3部材107(第2支持部108a)に形成された円形開口107cとの間に矢印E’方向の気体の流れが生じ、第2軸部104cに形成された表面絞り溝114b内を気体が流れることにより、第2軸部104cに形成された表面絞り溝114bの全域に、一種の気体静圧軸受が構成され、第2軸部104cが第2支持部108aに対してZ軸方向の移動及びZ軸回りの回転が許容された状態となっている。従って、この変形例の用力供給装置155’では、6自由度方向の位置・姿勢の変化が可能な構成となっている。
【0165】
また、真空室81内部の負圧により、通気路107f、107h内部の気体が真空室81に吸引され、通気管路107n、107o内部に図21中の矢印F’で示される気体の流れが生じる。この気体の流れにより、通気路107f、107h内部が負圧となり、この負圧により第4部材111に形成されたバキューム管路111fの内部及び該バキューム管路111fに通気管路111hを介して連通された凹部111gに内部に図21中に矢印G’で示される気体の流れが生じるとともに、第4部材111の円形開口111dと第3軸部108bとの隙間、及び円形開口111eと第3軸部108cとの隙間に、図21中に矢印H’で示される気体の流れが生じる。後者の気体の流れにより、前述の如く、第3軸部108bと円形開口111dとの隙間、第3軸部108cと円形開口111eとの隙間に、通気管路107l、107mからそれぞれ流れ出した加圧気体が第3軸部108b、108cの表面絞り溝109a、109bにそれぞれ沿って吸引され、それらの表面絞り溝109a、109b全周に渡って加圧気体が速やかに行き渡るとともに、表面絞り溝109a、109bの最下部に達した加圧気体が回収される。
【0166】
前述の矢印G’で示される気体の流れにより、通気管路111f内部が負圧となり、その負圧により、ウエハホルダ25のバキュームチャックと第4部材111とを接続するバキューム管内に図21中の矢印I’で示される気体の流れが生じ、バキュームチャックによってウエハWが吸着される。
【0167】
以上説明したように、本変形例に係る用力供給装置155’は、6自由度を有し、この用力供給装置155’により流体(加圧気体)の供給をカウンタマスを介して行うことができるので、前述した第2の実施形態と同等の効果を得ることができる。
【0168】
なお、上記変形例においても、第1の実施形態と同様のチューブキャリアを設ける構成を採用することとしても良い。
【0169】
なお、上記変形例では、用力供給装置155’の第4部材111を設けなくても良い。この場合、用力供給装置の自由度が4自由度となるが、配管(チューブ)を採用する場合に比べれば、高精度なステージ制御を行うことが可能である。
【0170】
なお、上記各実施形態及び変形例では、本発明のステージ装置がウエハステージ装置に採用された場合について説明したが、レチクルステージRSTを含むレチクルステージ装置として採用することとしても良い。
【0171】
なお、上記各実施形態及び変形例では、本発明が、スキャニング・ステッパに適用された場合について例示したが、本発明の適用範囲がこれに限定されるものではなく、本発明は、マスクと基板とを静止した状態で露光を行うステッパ等の静止型の露光装置にも好適に適用できるものである。また、ステップ・アンド・スティッチ方式の露光装置にも本発明は好適に適用できる。
【0172】
また、露光装置の露光対象である物体は、上記の実施形態のように半導体製造用のウエハに限定されることなく、例えば、液晶表示素子、プラズマディスプレイや有機ELなどのディスプレイ装置の製造用の角型のガラスプレートや、薄膜磁気ヘッド、撮像素子(CCDなど)、マスク又はレチクルなどを製造するための基板であっても良い。
【0173】
また、上記各実施形態及び変形例では、露光装置の照明光ILとしては波長100nm以上の光に限らず、波長100nm未満の光を用いても良いことはいうまでもない。例えば、近年、70nm以下のパターンを露光するために、SORやプラズマレーザを光源として、軟X線領域(例えば5〜15nmの波長域)のEUV(Extreme Ultraviolet)光を発生させるとともに、その露光波長(例えば13.5nm)の下で設計されたオール反射縮小光学系、及び反射型マスクを用いたEUV露光装置の開発が行われている。さらに、例えば国際公開WO99/49504号パンプレットなどに開示される、投影光学系PLとウエハとの間に液体(例えば純水など)が満たされる液浸型露光装置などにも本発明を適用することができる。
【0174】
また、電子線又はイオンビームなどの荷電粒子線を用いる露光装置も、本発明は適用できる。なお、電子線露光装置は、ペンシルビーム方式、可変成形ビーム方式、セルプロジェクション方式、ブランキング・アパーチャ・アレイ方式、及びマスク投影方式のいずれであっても良い。
【0175】
なお、本発明に係るステージ装置は、露光装置に限らず、その他の基板の処理装置(例えば、レーザリペア装置、基板検査装置その他)、あるいはその他の精密機械における試料の位置決め装置、ワイヤーボンディング装置等にも広く適用できる。
【0176】
なお、複数のレンズ等から構成される照明ユニット、投影光学系などを露光装置本体に組み込み、光学調整をする。そして、上記のX軸固定子、X軸可動子、Y軸固定子、ウエハステージ、レチクルステージ、並びにその他の様々な部品を機械的及び電気的に組み合わせて調整し、更に総合調整(電気調整、動作確認等)をすることにより、上記実施形態の露光装置100等の本発明に係る露光装置を製造することができる。なお、露光装置の製造は温度およびクリーン度等が管理されたクリーンルームで行うことが望ましい。
【0177】
なお、半導体デバイスは、デバイスの機能・性能設計を行うステップ、この設計ステップに基づいたレチクルを製作するステップ、シリコン材料からウエハを製作するステップ、前述した調整方法によりパターンの転写特性が調整される上記実施形態の露光装置で、マスクに形成されたパターンを感光物体上に転写するリソグラフィステップ、デバイス組み立てステップ(ダイシング工程、ボンディング工程、パッケージ工程を含む)、検査ステップ等を経て製造される。この場合、リソグラフィステップで、上記実施形態の露光装置が用いられるので、高集積度のデバイスを歩留り良く製造することができる。
【産業上の利用可能性】
【0178】
以上説明したように、本発明のステージ装置は、ステージを移動面に沿って移動させるのに適している。また、本発明の露光装置及び露光方法は、基板を露光してパターンを形成するのに適している。
【符号の説明】
【0179】
100・・・露光装置、155・・・用力供給装置、232・・・第1軸部、234、235・・・第1支持部、238・・・第2軸部、239・・・第2支持部
【技術分野】
【0001】
本発明はステージ装置、露光装置及び露光方法に係り、更に詳しくは、移動面を移動するステージを有するステージ装置、該ステージ装置を備える露光装置及び前記ステージ上の基板を露光してパターンを形成する露光方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体素子、液晶表示素子等の製造におけるリソグラフィ工程では、半導体等の高集積化に伴い、高いスループットで微細パターンを精度良く感光物体上に形成可能なステップ・アンド・リピート方式の縮小投影露光装置(いわゆるステッパ)や、ステップ・アンド・スキャン方式の走査型投影露光装置(いわゆるスキャニング・ステッパ(スキャナとも呼ばれる))などの逐次移動型の露光装置が主として用いられている。
【0003】
この種の露光装置では、ウエハ又はガラスプレートなどの感光物体(以下、「ウエハ」と呼ぶ)を駆動する駆動装置として、定盤上にエアベアリング等により浮上支持され、2軸リニアモータによって2次元面内で駆動されるXYステージと、該XYステージ上でウエハを保持してボイスコイルモータなどによりZ軸方向及び傾斜方向に微小駆動されるウエハテーブルとを有する粗微動構造のウエハステージ装置が用いられていた。また、最近では、リニアモータやボイスコイルモータにより6自由度方向に駆動される単一のステージを備えたウエハステージ装置の開発も行われている。
【0004】
しかるに、上述のウエハステージ装置では、リニアモータやボイスコイルモータに用いられる配線あるいはエアベアリングに用いられる配管(チューブ)等が、ステージに外部から接続されているため、ステージの駆動に伴って、これらの配線、配管(チューブ)等が引きずられ、これがウエハの位置制御性を低下させる要因となっていた。
【0005】
かかる不都合を改善するためには、例えば、ステージを駆動するリニアモータをムービングマグネット型とし、かつステージを定盤上で浮上支持するための加圧気体の供給を定盤側から行うことによりステージに接続される配管・配線等をなくすことが考えられる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−20951号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載の定盤側からステージ側へ加圧気体を供給する構成は、スキャナのレチクルステージのように一軸方向(例えばスキャン方向)へ走査されるステージには比較的容易に採用できるが、2次元移動が不可欠なウエハステージには採用することが困難である。このため、ウエハステージ装置では、前記加圧気体供給用の配管をステージに接続しなければならず、この配管の引きずりが依然としてステージの位置制御性の低下要因になっている。勿論、レチクルステージ装置でも、レチクルステージに必然的に配管等を接続しなければならない場合には、同様に、位置制御性の低下が懸念されることになる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上述した事情の下になされたものであり、第1の観点からすると、移動面を移動するステージと、前記ステージに対して用力を供給する用力供給装置とを有するステージ装置において、前記用力供給装置が、前記移動面の第1軸の方向に伸びる第1軸部と;前記第1軸部を前記第1軸の方向及び前記第1軸回りに移動可能に支持可能に支持する第1支持部と;前記第1軸と交差する第2軸の方向に伸びる第2軸部と;前記第2軸部を前記第2軸の方向及び前記第2軸回りに移動可能に支持する第2支持部と;を備えていることを特徴とする第1のステージ装置である。
【0009】
これによれば、移動面を移動するステージに対して用力を供給する用力供給装置が、第1軸部、第1支持部、第2軸部及び第2支持部を備え、第1軸部は第1支持部により移動面内の第1軸の方向及び第1軸回りに移動可能に支持され、第2軸部は第2支持部により第1軸と交差する第2軸の方向及び第2軸回りに移動可能に支持されている。従って、ステージの移動に伴って用力供給装置に前記4自由度方向(第1軸の方向及び第1軸回りの回転方向、並びに第2軸の方向及び第2軸回りの回転方向)のいずれの方向の力が作用しても用力供給装置はその力に応じて位置・姿勢を変化させることでその力を吸収する。従って、ステージに用力供給装置を接続することで、用力の供給にチューブなどの配管を用いる場合のようにチューブの引きずりによる位置制御性の低下がなく、ステージの位置制御性を良好に確保することができる。
【0010】
この場合において、前記用力供給装置は、前記第1軸と前記第2軸とに交差する第3軸の方向に伸びる第3軸部と;前記第3軸部を前記第3軸の方向及び前記第3軸回りに移動可能に支持する第3支持部と;を更に備えていることとすることができる。かかる場合には、ステージの移動に伴って用力供給装置にいかなる方向の力が作用しても用力供給装置はその力に応じて位置・姿勢を変化させることができるので、一層良好にステージの位置制御性を確保することができる。
【0011】
本発明は、第2の観点からすると、移動面に移動可能に支持されたステージと;前記ステージを駆動する第1駆動装置と;前記第1駆動装置により前記ステージを駆動した際の反力により前記ステージと反対方向に移動するカウンタマスと;前記カウンタマスを介して用力を前記ステージへ供給する用力供給装置と;を備えていることを特徴とする第2のステージ装置である。
【0012】
これによれば、移動面に移動可能に支持されたステージが第1駆動装置により駆動された際の反力により前記ステージと反対方向に移動するカウンタマスを介して、用力をステージへ供給する用力供給装置を備えているので、ステージの近くにあるカウンタマスを中継してステージへの用力の供給が行われる。このため、ステージ装置の外部からチューブ等の配管を介して用力(流体)がステージへ直接供給される場合と比べ、チューブの引きずりに伴う抵抗力を低減させることができ、これにより、ステージの位置制御性を向上させることが可能となる。
【0013】
本発明は、第3の観点からすると、ステージ装置に載置されたマスクのパターンを基板に転写する露光装置において、前記ステージ装置として本発明の第1、第2のステージ装置のいずれかを用いることを特徴とする第1の露光装置である。
【0014】
これによれば、本発明の第1、第2のステージ装置のいずれかがマスクを移動するステージ装置として用いられるので、マスクの位置制御性の向上が可能となり、結果的に、マスクに形成されたパターンと基板との位置合わせ(ないしは重ね合わせ)が良好となり、パターンの基板への高精度な転写が可能となる。
【0015】
本発明は、第4の観点からすると、ステージ装置に載置された基板にパターンを転写する露光装置において、前記ステージ装置として本発明の第1、第2のステージ装置のいずれかを用いることを特徴とする第2の露光装置である。
【0016】
これによれば、本発明の第1、第2のステージ装置のいずれかが基板を移動するステージ装置として用いられるので、基板の位置制御性の向上が可能となり、結果的に、パターンの基板への高精度な転写が可能となる。
【0017】
本発明は、第5の観点からすると、2次元平面内に移動するステージに用力を供給する用力供給装置を備える装置で、前記ステージ上の基板を露光してパターンを形成する露光方法において、前記用力供給装置を前記2次元平面内の第1軸方向及び前記第1軸回りに移動させ、前記用力供給装置を前記第1軸と交差する第2軸方向及び前記第2軸回りに移動させることを特徴とする露光方法である。
【0018】
これによれば、2次元平面内に移動するステージに用力を供給する用力供給装置が、4自由度方向(第1軸の方向及び第1軸回りの回転方向、並びに第2軸の方向及び第2軸回りの回転方向)に移動することで、ステージが移動しても追従できるので、ステージに用力を供給するチューブなどを接続する場合のようにチューブの引きずりによる位置制御性の低下がなく、ステージの位置制御性を良好に確保することができる。これにより露光精度を向上することが可能となる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、ステージの位置制御性を良好に確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】第1の実施形態に係る露光装置を示す概略図である。
【図2】図1のウエハステージ装置12を示す斜視図である。
【図3A】ウエハステージを示す斜視図である。
【図3B】図3Aのウエハステージが移動体ユニットを構成する固定子と係合した状態を示す図である。
【図4】ウエハステージ装置12を示す平面図である。
【図5】図5は、固定子ユニットMYと、該固定子ユニットMYに移動可能に係合したウエハステージWST及びチューブキャリアTCとを含む構成部分のXZ断面図である。
【図6】ウエハステージ装置内で発生する力を模式的に示す図である。
【図7】Yリニアモータの内部構成を概略的に示す斜視図である。
【図8】第1の実施形態の制御系を示すブロック図である。
【図9】第1の実施形態に係る用力供給装置がウエハステージに取り付けられた状態を示す斜視図である。
【図10】第1の実施形態に係る用力供給装置を示す斜視図である。
【図11】第1の実施形態に係る用力供給装置の分解斜視図である。
【図12A】第1の実施形態に係る用力供給装置のYZ断面図である。
【図12B】第1の円柱状部材及び円筒状部材の拡大断面図である。
【図13】第2の実施形態に係るウエハステージ装置12’を示す斜視図である。
【図14A】図13のウエハステージ装置12’からカウンタマス及び該カウンタマスに取り付けられたウエハステージを取り出して示す斜視図である。
【図14B】図14Aの構成部分のXZ断面図である。
【図15】ウエハテーブルを取り外した状態のウエハステージ装置12’を示す平面図である。
【図16】変形例に係る用力供給装置を示す斜視図である。
【図17】図16の用力供給装置の分解斜視図である。
【図18】用力供給装置を一部断面した図(その1)である。
【図19】用力供給装置を一部断面した図(その2)である。
【図20】用力供給装置内の気体の流れを説明するための図(その1)である。
【図21】用力供給装置内の気体の流れを説明するための図(その2)である。
【図22】変形例に係る用力供給装置が組み込まれた状態のウエハステージ及びカウンタマスの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
《第1の実施形態》
以下、本発明の第1の実施形態を図1〜図12Bに基づいて説明する。
【0022】
図1には、第1の実施形態に係る露光装置100の概略構成が示されている。この露光装置100は、ステップ・アンド・スキャン方式の走査型露光装置、すなわち、いわゆるスキャニング・ステッパである。
【0023】
この露光装置100は、光源及び照明光学系を含み、エネルギビームとしての照明光(露光光)ILによりマスクとしてのレチクルRを照明する照明系10、レチクルRを保持するレチクルステージRST、投影ユニットPU、物体としてのウエハWが載置されるステージとしてのウエハステージWSTを含むステージ装置としてのウエハステージ装置12、前記レチクルステージRST及び前記投影ユニットPUなどが搭載されたボディBD、及びこれらの制御系等を備えている。
【0024】
前記照明系10は、不図示のレチクルブラインドで規定されたレチクルR上のスリット状の照明領域を照明光ILによりほぼ均一な照度で照明する。ここで、照明光ILとしては、一例としてArFエキシマレーザ光(波長193nm)が用いられている。
【0025】
前記レチクルステージRSTは、後述する第2コラム34の天板を構成するレチクルベース36上に、その底面に設けられた不図示のエアベアリングなどによって例えば数μm程度のクリアランスを介して浮上支持されている。このレチクルステージRST上には、レチクルRが、例えば真空吸着(又は静電吸着)により固定されている。レチクルステージRSTは、ここでは、リニアモータ等を含むレチクルステージ駆動部11により、後述する投影光学系PLの光軸AXに垂直なXY平面内で2次元的に(X軸方向、Y軸方向及びXY平面に直交するZ軸回りの回転方向(θz方向)に)微少駆動可能であるとともに、レチクルベース36上を所定の走査方向(ここでは、図1における紙面左右方向であるY軸方向とする)に指定された走査速度で駆動可能となっている。なお、レチクルステージRSTは、周知の粗微動構造としても良い。
【0026】
本実施形態の場合、レチクルステージRSTの駆動時(特に走査駆動時)のリニアモータの固定子に作用する反力に起因する振動の影響を極力低減するための対策が講じられている。具体的には、前述のリニアモータの固定子は、例えば特開平8−330224号公報及びこれに対応する米国特許第5,874,820号などに開示されるように、ボディBDとは別に設けられた不図示の支持部材(リアクションフレーム)によってそれぞれ支持され、レチクルステージRSTの駆動の際にリニアモータの固定子に作用する反力は、それらのリアクションフレームを介してクリーンルームの床面Fに伝達される(逃がされる)ようになっている。この他、例えば、特開平8−63231号公報及びこれに対応する米国特許第6,246,204号などに開示される運動量保存則を利用した反力キャンセル機構をレチクルステージRSTの反力キャンセル機構として採用しても良い。本国際出願で指定した指定国(又は選択した選択国)の国内法令が許す限りにおいて、上記各米国特許における開示を援用して本明細書の記載の一部とする。
【0027】
レチクルステージRSTのステージ移動面内の位置は、レチクルレーザ干渉計(以下、「レチクル干渉計」という)16によって、移動鏡15を介して、例えば0.5〜1nm程度の分解能で常時検出されている。この場合、投影ユニットPUを構成する鏡筒40の側面に固定された固定鏡14を基準として位置計測が行われる。ここで、実際には、レチクルステージRST上にはY軸方向に直交する反射面を有するY移動鏡とX軸方向に直交する反射面を有するX移動鏡とが設けられ、これらの移動鏡に対応してレチクルY干渉計とレチクルX干渉計とが設けられ、更に、これに対応して、X軸方向位置計測用の固定鏡と、Y軸方向位置計測用の固定鏡が設けられているが、図1ではこれらが代表的に移動鏡15、レチクル干渉計16、固定鏡14として示されている。
【0028】
レチクル干渉計16の計測値は、主制御装置20に送られている。主制御装置20では、レチクル干渉計16の計測値に基づいてレチクルステージ駆動部11を介してレチクルステージRSTを駆動制御する。
【0029】
前記投影ユニットPUは、レチクルステージRSTの図1における下方でボディBDの一部に保持されている。このボディBDは、クリーンルームの床面F上に設置されたフレームキャスタFC上に設けられた第1コラム32と、この第1コラム32の上に固定された第2コラム34とを備えている。
【0030】
前記フレームキャスタFCは、床面F上に水平に置かれたベースプレートBSと、該ベースプレートBS上に固定された複数本、例えば3本(又は4本)の脚部39(但し、図1における紙面奥側の脚部は図示省略)とを備えている。
【0031】
前記第1コラム32は、上記フレームキャスタFCを構成する複数本の脚部39それぞれの上端に個別に固定された複数、例えば3つ(又は4つ)の第1の防振機構56によって、ほぼ水平に支持された鏡筒定盤(メインフレーム)38を備えている。
【0032】
前記鏡筒定盤38には、そのほぼ中央部に不図示の円形開口が形成され、この円形開口内に投影ユニットPUが上方から挿入され、その外周部に設けられたフランジFLGを介して保持されている。鏡筒定盤38の上面には、投影ユニットPUを取り囲む位置に、複数本、例えば3本の脚41(但し、図1における紙面奥側の脚は図示省略)の一端(下端)が固定されている。これらの脚41それぞれの他端(上端)面は、ほぼ同一の水平面上にあり、これらの脚41それぞれの上端面に前述のレチクルベース36の下面が固定されている。このようにして、複数本の脚41によってレチクルベース36が水平に支持されている。すなわち、レチクルベース36とこれを支持する3本の脚41とによって第2コラム34が構成されている。レチクルベース36には、その中央部に照明光ILの通路となる開口36aが形成されている。
【0033】
前記投影ユニットPUは、円筒状でその外周部の下端部近傍にフランジFLGが設けられた鏡筒40と、該鏡筒40に保持された複数の光学素子から成る投影光学系PLとによって構成されている。
【0034】
前記投影光学系PLとしては、例えばZ軸方向の共通の光軸AXを有する複数のレンズ(レンズエレメント)から成る屈折光学系が用いられている。この投影光学系PLは、例えば両側テレセントリックで所定の投影倍率(例えば1/4倍又は1/5倍)を有する。このため、照明系10からの照明光ILによってレチクルRの照明領域が照明されると、このレチクルRを通過した照明光ILにより、投影光学系PLを介してその照明領域内のレチクルRの回路パターンの縮小像(回路パターンの一部の縮小像)が表面にレジスト(感光剤)が塗布されたウエハW上に形成される。ここで、ウエハWは、例えば半導体(シリコンなど)又はSOI(Silicon Insulator)などの円板状の基板であり、その上にレジストが塗布されている。
【0035】
前記ウエハステージ装置12は、図2の斜視図に示されるように、前記ベースプレートBS上に配置された複数(例えば3つ)の第2の防振機構(図示省略)によってほぼ水平に支持されたステージベース71、該ステージベース71の上面の上方に配置されたウエハステージWST、該ウエハステージの+Y側に設けられたチューブキャリアTC、及びこれらウエハステージWST及びチューブキャリアTCを駆動するステージ駆動部などを備えている。ステージ駆動部は、図2に示される一対のY軸リニアモータLY1、LY2を含む複数のモータを含んで構成されるが、図1では、図示の便宜上から単なるブロックにて、ステージ駆動部27として示されている。
【0036】
ここで、ウエハステージ装置12について、図2〜図7に基づいて詳細に説明する。
【0037】
前記ステージベース71は、定盤とも呼ばれ、平面視(上方から見て)矩形状の平板から成る。このステージベース71は、ベースプレートBSのX軸方向一側と他側の端部近傍にそれぞれ設けられたY軸方向に延びる凸部BSa,BSbに挟まれた領域上に配置されている。ステージベース71の上面は平坦度が非常に高く仕上げられ、ウエハステージWSTの移動の際の移動面とされている。
【0038】
前記ウエハステージWSTは、ウエハステージWSTを取り出して斜視図にて示す図3Aから分かるように、直方体状のウエハステージ本体28と、該ウエハステージ本体28上面に真空吸着により固定されたウエハテーブルWTBとを備えている。
【0039】
前記ウエハステージ本体28には、+X側の端面から−X側の端面に至る3つの断面長方形の開口28a、28b、28cが貫通形成されている。
【0040】
前記開口28aの内側の上下の対向面には、Y軸用の移動子である一対の永久磁石22A,22Bがそれぞれ固定されている。
【0041】
前記開口28b,28cの内側の左右の対向面には、それぞれX軸用の移動子である磁極ユニット(永久磁石群)23A〜23Dが固定されている。
【0042】
更に、ウエハステージ本体28の底面の四隅近傍には、断面略三角形状の磁極ユニット(永久磁石)29A〜29D(ただし、紙面奥側の磁極ユニット29Dは不図示)が設けられている。これら磁極ユニット29A〜29Dに関しては、更に後述する。
【0043】
前記ウエハステージ本体28は、図2及び図3Bの斜視図に示されるように、X軸方向に伸びる複数の固定子(電機子コイル)と係合した状態とされている。
【0044】
これを更に詳述すると、前記複数の固定子(電機子コイル)としては、図3B及び図4(ウエハステージ装置を示す平面図)に示されるように、Y軸固定子187、X軸固定子61A,61B,161、及びZ軸固定子89A、89Bが設けられている。これら6つの固定子それぞれの−X側の端面は、YZ面にほぼ平行に配置された板状のスライダ46に固定され、それぞれの+X側の端面はYZ面にほぼ平行に配置された板状のスライダ44に固定されている(図2、図4等参照)。すなわち、スライダ44、46と、上記6つの固定子とによって固定子ユニットMYが構成されている。
【0045】
本実施形態では、Y軸固定子187と一対の永久磁石22A,22Bとによって、ウエハステージWSTを固定子ユニットMYに対してY軸方向に微小駆動するムービングマグネット型のY軸ボイスコイルモータVYが構成されている(図5、図8、及びウエハステージ装置12内で発生する力を模式的に示す図6の両矢印(双方向矢印)a1参照)。
【0046】
また、固定子61Aと一対の磁極ユニット23A,23BとによってウエハステージWSTを固定子ユニットMYに対してX軸方向に駆動するムービングマグネット型のX軸リニアモータLX1が構成され、固定子61Bと一対の磁極ユニット23C,23Dとによって、X軸リニアモータLX2が構成されている(図5、図8参照)。
【0047】
この場合、X軸リニアモータLX1,LX2それぞれの発生するローレンツ力を同一とすることにより、ウエハステージWSTがこれらのX軸リニアモータLX1,LX2によってX軸方向に駆動され、またX軸リニアモータLX1,LX2それぞれの発生するローレンツ力を僅かに異ならせることにより、ウエハステージWSTがこれらのX軸リニアモータLX1,LX2によってZ軸回りの回転方向(θz方向)に駆動されるようになっている(図6の両矢印a2参照)
【0048】
更に、前記Z軸固定子89A、89Bのそれぞれには、図5に示されるように、ウエハステージ本体28の底面に固定された前述の磁極ユニット29A,29B、磁極ユニット29C,29Dがそれぞれ係合状態とされている。Z軸固定子89A、89Bのそれぞれは、YZ断面逆T字状の形状を有しており、それぞれの内部には、不図示の電機子コイルが設けられている。
【0049】
磁極ユニット29AとZ軸固定子89BとによってウエハステージWSTにZ軸方向の駆動力を与えるZ軸ボイスコイルモータVZ1(図5、図8参照)が構成され、同様に、磁極ユニット29BとZ軸固定子89BとによってウエハステージWSTにZ軸方向の駆動力を与えるZ軸ボイスコイルモータVZ2(図8参照)が構成されている。
【0050】
同様に、磁極ユニット29CとZ軸固定子89AとによってウエハステージWSTにZ軸方向の駆動力を与えるZ軸ボイスコイルモータVZ3(図5、図8参照)が構成され、同様に、磁極ユニット29DとZ軸固定子89AとによってウエハステージWSTにZ軸方向の駆動力を与えるZ軸ボイスコイルモータVZ4(図8参照)が構成されている。
【0051】
すなわち、Z軸ボイスコイルモータVZ1〜VZ4を適宜制御することによって、ウエハステージWSTを固定子ユニットMYに対して、Z、θx、θy方向に駆動することができるようになっている(図6の両矢印b参照)。
【0052】
ところで、ウエハステージWSTの自重は、図5に示されるように、ウエハステージWSTの底部に設けられた自重キャンセラ101の支持力によりステージベース71の移動面71a上で非接触支持されている(図6の両矢印c参照)。この自重キャンセラ101としては、一例としてウエハステージ本体28の底部に下向きに固定されたシリンダと、該シリンダの内部に下方から挿入されたピストンとを有し、ピストンの底面に、シリンダとピストン上端面との間に形成されたシリンダ内部の陽圧空間に連通した気体静圧軸受(スラスト軸受)が設けられた構造のものを用いることができる。この場合、ピストンの外周面とシリンダの内周面との間には、気体静圧軸受けから成るラジアル軸受を設けることが望ましい。なお、自重キャンセラ101として、例えばベローズ型の自重キャンセラを用いることとしても良い。
【0053】
前記固定子161は、図3B及び図5に示されるように、+X側(又は−X側)から見て矩形枠状のチューブキャリアTCが係合している。チューブキャリアTCの開口部TCaの内側の+X側及び−X側の内面には、前述の磁極ユニット23A、23Bと同様の磁極ユニット123A,123Bがそれぞれ固定されている。本実施形態では、固定子161と一対の磁極ユニット123A,123Bとによって、チューブキャリアTCを、固定子ユニットMYに対してX軸方向に駆動するムービングマグネット型のX軸リニアモータRX(図5、図8参照)が構成されている。なお、上記のX軸リニアモータRXとして、ムービングコイル型のリニアモータを採用することとしても良い。
【0054】
前記チューブキャリアTCには、図3B及び図5に示されるように、給気管203、排気管204の一端が、コネクタCNをそれぞれ介して接続されている。
【0055】
チューブキャリアTCとウエハステージWST(ウエハステージ本体28)との間には、用力供給装置155が設けられ、該用力供給装置155を介してチューブキャリアTCは、ウエハステージWSTに接続されている。なお、用力供給装置155の構成等については、ウエハステージWSTに対する加圧気体の供給系及びバキューム用力の供給系(真空排気系)の構成等とともに後に詳述する。
【0056】
前記スライダ44、46それぞれの底面には、図4に示されるように、板状部材188A,188Bが設けられている。これらの板状部材188A,188Bの底面には、不図示のエアベアリングがY軸方向に沿って複数設けられている。これら複数のエアベアリングを介してスライダ44、46が、ステージベース71の移動面71aに対して数μm程度のクリアランスを介して非接触で浮上支持されている。また、複数のエアベアリングはY軸方向に沿って配設されていることから、各エアベアリングの浮上力を異ならせることにより、スライダ44,46それぞれにX軸回りの回転方向(θx方向)の力を作用させることができ、またスライダ44,46それぞれの浮上力を異ならせることにより、固定子ユニットMY全体をY軸回りの回転方向(θy方向)に微小駆動することが可能となっている(図6の両矢印g参照)。
【0057】
前記Y軸リニアモータLY1,LY2は、図4及び図2を総合するとわかるように、電機子ユニットから成るY軸可動子48A、48Bと、磁極ユニットから成るY軸固定子86,87とから構成されている。
【0058】
前記一方のY軸可動子48Aは、Y軸リニアモータLY1内部の構成を模式的に示す図7から分かるように、図中に二点鎖線で示される板状の筐体196と、該筐体196の内部にY軸方向に沿って所定間隔で配置されたX軸方向に細長い長方形状の複数の第1の電機子コイル190と、該複数の第1の電機子コイル190の+X側に配置されY軸方向に細長く伸びる長方形の第2の電機子コイル195と、を有している。他方のY軸可動子48Bは、Y軸可動子48AとY軸に関して対称であるが同様に構成されている。これらのY軸可動子48A、48Bは、図2に示されるように、Y軸固定子86、87の内部空間にそれぞれ挿入されている。
【0059】
前記Y軸固定子86,87は、図2に示されるように、固定子ヨーク88Aと永久磁石90,95とを備え、その下面に設けられた不図示の気体静圧軸受、例えばエアベアリングによって前述の凸部BSa,BSbの上面に対して所定のクリアランスを介して浮上支持されている。また、Y軸固定子86、87は、不図示の気体静圧軸受、例えばエアベアリングによって、凸部BSa,BSbに対して、X軸方向及び、θx、θy、θzの移動が制限されている(図6の両矢印f参照)。また、図2では、図示が省略されているが、Y軸固定子86、87をY軸方向にそれぞれ駆動するY軸トリムモータ92A、92Bが設けられている(図8、図6の両矢印e参照)。
【0060】
他方のY軸固定子87も、Y軸に関して対称ではあるが、前記Y軸固定子86と同様に構成されている。
【0061】
Y軸リニアモータLY1,LY2が上述したような構成となっていることから、各第1の電機子コイル190に電流が供給されることにより、その電流と上述の交番磁界との間の電磁相互作用により、Y軸可動子48A、48BをY軸方向に駆動するローレンツ力が発生する。また、第2の電機子コイル195に電流が供給されることにより、その電流と第2の永久磁石群95によって形成された上述の磁界との間の電磁相互作用により、Y軸可動子48A、48BをX軸方向に駆動するローレンツ力が発生する。従って、本実施形態では、Y軸リニアモータLY1,LY2により、固定子ユニットMYのY軸方向の駆動及びX軸方向の微小駆動が可能であるとともに、リニアモータLY1,LY2それぞれが発生するY軸方向の駆動力を僅かに異ならせることにより、固定子ユニットMY(ひいてはウエハステージWST)をZ軸回りの回転方向(θz方向)に駆動することが可能となっている(図6の両矢印d参照)。
【0062】
これまでの説明からわかるように、本第1の実施形態では、Y軸ボイスコイルモータVYと、X軸リニアモータLX1,LX2と、Y軸リニアモータLY1,LY2と、Z軸ボイスコイルモータVZ1〜VZ4と、Y軸トリムモータ92A,92Bとにより、ウエハステージWSTを駆動するウエハステージ駆動部27が構成されている(図8参照)。このウエハステージ駆動部27を含むウエハステージ装置12を構成する各モータ、各エアベアリングなどの軸受などは、主制御装置20によって制御されるようになっている(図8参照)。
【0063】
図1に戻り前記ウエハステージWSTのXY面内の位置情報は、その上部(より具体的にはウエハテーブルWTBの上面)に固定された移動鏡17を介してウエハレーザ干渉計(以下、「ウエハ干渉計」という)18によって、例えば0.5〜1nm程度の分解能で常時検出されている。このウエハ干渉計18は、鏡筒定盤38に吊り下げ状態で固定され、投影ユニットPUを構成する鏡筒40の側面に固定された固定鏡57の反射面を基準とする移動鏡17の反射面の位置情報を、ウエハステージWSTの位置情報として計測する。
【0064】
ここで、ウエハテーブルWTB上には、実際には、図3Aに示されるように、走査方向であるY軸方向に直交する反射面を有するY移動鏡17Yと非走査方向であるX軸方向に直交する反射面を有するX移動鏡17Xとが設けられ、これに対応してレーザ干渉計及び固定鏡も、X軸方向位置計測用とY軸方向位置計測用のものがそれぞれ設けられているが、図1ではこれらが代表的に移動鏡17、ウエハ干渉計18、固定鏡57として図示されている。なお、例えば、ウエハテーブルWTBの端面を鏡面加工して反射面(移動鏡17X、17Yの反射面に相当)を形成しても良い。また、X軸方向位置計測用のレーザ干渉計及びY軸方向位置計測用のレーザ干渉計は、ともに測長軸を複数有する多軸干渉計であり、ウエハテーブルWTBのX、Y位置の他、回転(ヨーイング(θz方向の回転)、ピッチング(θx方向の回転)、ローリング(θy方向の回転))も計測可能となっている。従って、以下の説明ではウエハ干渉計18によって、ウエハテーブルWTBのX、Y、θz、θy、θxの5自由度方向の位置が計測されるものとする。
【0065】
ウエハステージWSTの位置情報(又は速度情報)は、主制御装置20に送られ、主制御装置20では、ウエハステージWSTの位置情報(又は速度情報)に基づいて、ウエハステージ駆動部27を介してウエハステージWSTのXY面内の位置を制御する(図8参照)。
【0066】
次に、ウエハステージWSTに対する加圧気体の供給系、バキューム系及び用力供給装置155の構成などについて、図5及び図9〜図12Bに基づいて詳細に説明する。
【0067】
前記用力供給装置155の+Y端部は、図5に示されるように、チューブキャリアTCの−Y側面に固定され、−Y端部はウエハステージ本体28の+Y側面に固定されている。
【0068】
前記チューブキャリアTCの内部には、不図示の給気管路及び排気管路が形成されている。これら給気管路及び排気管路それぞれの一端には、コネクタCNをそれぞれ介して給気管203、排気管204の一端が接続されている。給気管203、排気管204それぞれの他端は、ウエハステージ装置12の外部に設けられた気体供給装置201及び真空吸引装置202(図8参照)にそれぞれ接続されている。
【0069】
前記チューブキャリアTCの内部に形成された給気管路及び排気管路それぞれの他端には、供給管241b、バキューム管241aそれぞれの一端が不図示のコネクタをそれぞれ介して接続されている。供給管241b、バキューム管241aそれぞれの他端は、用力供給装置155にそれぞれ接続されている。
【0070】
用力供給装置155は、気体供給装置201から給気管203、チューブキャリアTC、及び供給管241bを介して供給された流体(加圧気体)を、供給管270Aを介してウエハステージWSTに供給するとともに、真空吸引装置202から排気管204、チューブキャリアTC、及びバキューム管241aを介して供給された負圧を、バキューム管270Bを介してウエハステージWSTに供給する。
【0071】
本実施形態では、チューブキャリアTCによって、気体供給装置201からウエハステージWSTに対する加圧気体(例えば加圧空気)の供給が中継され、真空吸引装置202で発生した負圧のウエハステージWSTに対する供給が中継される。
【0072】
これまでの説明から明らかなように、本実施形態では、チューブキャリアTCには、供給管及びバキューム管などのチューブが接続されているが、ウエハステージWSTには外部からの配管(供給管270A、バキューム管270BのようなウエハステージWSTに一体的に固定されている配管を除く)が一切接続されないようになっている。すなわち、本実施形態のウエハステージWSTはチューブレスステージとなっている。
【0073】
図9には、ウエハステージWSTを構成するウエハステージ本体28の+Y側の面に用力供給装置155が取り付けられた状態が示されている。この図9に示されるように、用力供給装置155は、複数の円柱状の部材と複数の直方体状の部材とが組み合わされて構成されている。
【0074】
これを更に詳述すると、用力供給装置155は、この用力供給装置155を取り出して拡大して示す図10及び用力供給装置155の分解斜視図である図11に示されるように、ウエハステージ本体28の+Y側の端面に固定される一対の板状の固定部材231A,231B及び該固定部材231A,231Bがその長手方向の両端にそれぞれ固定されたX軸方向を長手方向とする第1軸部としてのX軸円柱状部材232から成る第1ユニット251と、前記X軸円柱状部材232の外周に取り付けられた円筒状部材234を含む第2ユニット252と、該第2ユニット252に順次連結された第3ユニット253と、Z支持部材239と、を備えている。このため、第1軸部としてのX軸円柱状部材232は、ウエハステージWSTのX方向の移動に応じて移動する移動部でもある。
【0075】
前記第1ユニット251を構成するX軸円柱状部材232の表面には、図11に示されるように、所定深さ(例えば10μm程度の深さ)の表面絞り溝232pがその長手方向(X軸方向)に沿って所定間隔で複数形成されている。また、このX軸円柱状部材232の+X側の端面には、そのX軸方向の中央近傍まで達する2つの丸穴232d、232bが、それぞれ形成されている。用力供給装置155のYZ断面図である図12A及び該図12AのX軸円柱状部材232及び円筒状部材234部分を拡大して示す図12Bに示されるように、一方の丸穴232dは、その断面の中心よりもやや+Z側の位置に形成され、他方の丸穴232bは、その断面の中心よりもやや−Z側の位置に形成されている。
【0076】
また、X軸円柱状部材232の上面のX軸方向の中央部には、図11に示されるように、Z軸方向の丸穴232cが形成されている。この丸穴232cは、図12Bに示されるように、丸穴232dに連通している。丸穴232d及び丸穴232cによって、L字状の管路が形成され、この管路が第1の流体供給用管路とされている。
【0077】
また、X軸円柱状部材232の下面のX軸方向の中央部には、図12Bに示されるように、丸穴232bに連通する丸穴232aが形成されている。丸穴232b及び丸穴232aによって、L字状の管路が形成され、この管路が第1のバキューム用管路とされている。なお、図11においては、表面絞り溝232pを丸穴232c部分にも設けることとしたが、図12からも明らかなように丸穴232cの反対側には前述の第1のバキューム管路を形成する丸穴232bが形成されている。このため、丸穴232b(及び丸穴232c)及びその近傍を避けて表面絞り溝232pを設けることが好ましい。
【0078】
前記一方の固定部材231Aには、図11に示されるように、前述の丸穴232d及び丸穴232bそれぞれに連通するように、X軸方向を長手方向とする丸孔から成る流路231Aa,231Abが貫通形成されている。流路231Aaには、図9に示されるように、供給管270Aの一端が不図示のコネクタを介して接続され、流路231Abには、バキューム管270Bの一端が不図示のコネクタを介して接続されている。供給管270A、バキューム管270Bそれぞれの他端はウエハステージ本体28の一部に接続されている。前記他方の固定部材231Bは、前記一方の固定部材231Aと異なり、管路が形成されていない板状の部材から構成されている。
【0079】
前記第2ユニット252は、図10に示されるように、前記円筒状部材234と、該円筒状部材234の長手方向の中央部の外側に固定された取り付け部材235と、該取り付け部材235の+Y側端面にその一端部(−Y側の端部)の先端の一部が埋め込み状態で固定されたY軸方向に伸びる第2軸部としてのY軸円柱状部材236とを含んで構成されている。なお、第2軸部としてのY軸円柱状部材236は、ウエハステージWSTのY方向の移動に応じて移動する移動部でもある。
【0080】
前記円筒状部材234は、図10に示されるように、前記X軸円柱状部材232の直径よりも僅かに大きな内径を有し、その内部にX軸円柱状部材232が挿入された状態となっている。この場合、図12Bに示されるように、円筒状部材234の内周面とX軸円柱状部材232の内周面との間には、全周にわたって所定のクリアランスが形成されている。このため、X軸円柱状部材232は、円筒状部材234に対してX軸方向及びX軸回りの回転方向に相対移動可能な状態となっている。すなわち、X軸円柱状部材232をX軸の方向及びX軸回りに移動可能に支持する第1支持部が、円筒状部材234によって構成されている。
【0081】
前記円筒状部材234には、図12Bに示されるように、その内周面にX軸方向に所定角度間隔で複数(例えば8つ)の凹溝234c1、234c2、…、234cnがそれぞれ形成されている。このうちの1つの凹溝234c1は、図12Bに示されるように、X軸円柱状部材232の丸穴232cに対向して位置し、その凹溝234c1の底面の一部には、円筒状部材234の外面に達する丸孔234bが貫通形成されている。また、凹溝234c1に対向する円筒状部材234内面の位置には、前述の丸穴232aに対向して凹溝234cnが位置し、該凹溝234cnの底面の一部には、丸孔234aが円筒状部材234の外面に達する孔234bが貫通形成されている。なお、この凹溝234c1、234c2、…、234cnは、円筒状部材234の内周面ではなく、X軸円柱状部材232の外周面に設けても良い。更に、これらの凹溝234c1、234c2、…、234cnは、必ずしもX軸方向に沿って設ける必要はなく、X軸円柱状部材232の外周面にX軸方向に所定の間隔で複数設けるようにしても良い。
【0082】
前記取り付け部材235は、例えば図11に示されるように、ほぼ立方体の外形を有し、その+X側の端面から−X側の端面に至る円形の貫通孔235aが形成され、該貫通孔235a内部に円筒状部材234が挿入され、その円筒状部材234のX軸方向の中央部の外側に取り付け部材235が両者間に隙間がない状態で取り付けられている。
【0083】
取り付け部材235の内部には、図12Aに示されるように、円筒状部材234に形成された丸孔234b、丸孔234aのそれぞれに、それぞれの一端が連通した状態で、管路235c、235bがそれぞれ形成されている。以下においては、便宜上、丸孔234bと管路235cとを纏めて第2の流体供給用管路と呼び、丸孔234aと管路235bとを纏めて第2のバキューム用管路と呼ぶものとする。
【0084】
取り付け部材235の+Y側の端面には、図12Aに示されるように、浅い円形凹部235dが形成され、この凹部235dにY軸円柱状部材236の−Y側の先端部が嵌合した状態で、Y軸円柱状部材236がX軸円柱状部材232に直交するように取り付け部材235に固定されている。なお、Y軸円柱状部材236は必ずしもX軸円柱状部材232に直交する必要はなく交差していれば良い。
【0085】
前記Y軸円柱状部材236の内部には、図12Aに示されるように、それぞれの一端が、前述した取り付け部材235に形成された前述の管路235c、235bの他端にそれぞれ連通する断面L字状の第3の流体供給用管路236b、第3のバキューム用管路236aがそれぞれ形成されている。また、Y軸円柱状部材236の表面には、図11に示されるように、所定深さ(例えば10μm程度の深さ)の複数の表面絞り溝236pがその長手方向(Y軸方向)に沿って所定間隔で形成されている。なお、Y軸円柱状部材236の表面に形成される複数の表面絞り溝236pもY軸円柱状部材236の表面の丸穴236a(及び丸穴236b)部分を避けて設けることが好ましい。
【0086】
前記第3ユニット253は、図10に示されるように、Y軸円柱状部材236の+Y側端部近傍の外周側に設けられたほぼ立方体の外形を有するY支持部材237、該Y支持部材237の下面(−Z側面)にX軸円柱状部材232及びY軸円柱状部材236と直交するように固定された第3軸部としてのZ軸円柱状部材238とを含んで構成されている。第3軸部としてのZ軸円柱状部材238は、ウエハステージWSTのZ方向の移動に応じて移動する移動部でもある。なお、Z軸円柱状部材238は、必ずしもX軸円柱状部材232及びY軸円柱状部材236と直交するようにY支持部材237に取り付ける必要はない。
【0087】
前記Y支持部材237には、その+Y側の端面から−Y側の端面に至る円形の貫通孔237aが形成され(図11参照)、該貫通孔237a内部にY軸円柱状部材236が全周に渡って所定のクリアランスを介して挿入されている。このため、Y軸円柱状部材236は、Y支持部材237に対してY軸方向及びY軸回りの回転方向に相対移動可能な状態となっている。すなわち、Y軸円柱状部材236をY軸の方向及びY軸回りに移動可能に支持する第2支持部が、Y支持部材237によって構成されている。
【0088】
Y支持部材237の内周面には、図12Aに示されるように、Y軸方向に伸びる複数の凹溝237bj(j=1〜n、nは例えば8)が、前述した円筒状部材234の凹溝234c1、234c2、…、234cnと同様に、所定角度間隔で形成されている(但し、図12Aでは、2つの凹溝237b1、237bnのみを図示、図11参照)。このうちの最も−Z側に位置する凹溝237bnに連通した状態で、Y支持部材237には、第4のバキューム用管路237cが形成されている。また、最も+Z側に位置する凹溝237b1に連通した状態で、Y支持部材237には、流体供給用管路237d2が形成されている。この流体供給用管路237d2は、流体供給用管路237d3を介してY支持部材237の下半部に形成された流体供給用管路237d1に連通されている。ここで、流体供給用管路237d3は、Y支持部材237内部の図12Aにおける紙面奥側半部に形成された半円弧状の管路である。以下では、流体供給用管路237d1,237d2及び237d3を纏めて「第4の流体供給用管路237d」とも呼ぶものとする。なお、複数の凹溝237bjは、Y支持部材237の内周面ではなく、Y軸円柱状部材236の外周に設けても良く、また、必ずしもY軸方向に沿って設ける必要もない。
【0089】
前記Z軸円柱状部材238には、図11に示されるように、その外周面の長手方向の中央部に所定深さ(例えば10μm程度の深さ)の表面絞り溝238pが長手方向(Z軸方向)に沿って所定間隔で形成されている。また、このZ軸円柱状部材238は、Y支持部材237の下端面に形成された浅い円形凹部237e内にその上端が嵌合した状態で固定されている。このZ軸円柱状部材238の内部には、図12Aに示されるように、前述したY支持部材237に形成された第4のバキューム用管路237cに連通した状態でZ軸方向の第5のバキューム用管路238aが貫通状態で形成されている。また、Z軸円柱状部材238の内部には、第5のバキューム用管路238aの−Y側に、前記第4の流体供給用管路237dに連通した状態でZ軸方向の第5の流体供給用管路238bが形成されている。第5のバキューム用管路238aの−Z側の端部には、前述のバキューム管241aの一端が不図示のコネクタを介して接続され、流体供給用管路238bの−Z側の端部には、前述の供給管241bの一端が不図示のコネクタを介して接続されている。
【0090】
Z軸円柱状部材238には、第5のバキューム用管路238aのZ軸方向ほぼ中央部から+Y方向に向かう分岐管路238cが形成されており、この分岐管路238cの先端は、Z軸円柱状部材238の外周面の外側に開放されている(図11参照)。Z軸円柱状部材238には、第5の流体供給用管路238bのZ軸方向ほぼ中央部から−Y方向に向かう分岐管路238dが形成されており、この分岐管路238dの先端は、Z軸円柱状部材238の外周面の外側に開放されている。なお、Z軸円柱状部材238に形成される表面絞り溝238pは、分岐管路238cおよびその近傍を避けて形成することが好ましい。
【0091】
前記Z支持部材239は、図10、図12等に示されるように、概略直方体状の外形を有し、その+Y側端面239cがチューブキャリアTCの−Y端面に固定されている(図12A参照)。
【0092】
Z支持部材239には、その+Z側の端面から−Z側の端面に至る円形の貫通孔239aが形成され(図11参照)、該貫通孔239a内部にZ軸円柱状部材238が全周に渡って所定のクリアランスを介して挿入されている。このため、Z軸円柱状部材238は、Z支持部材239に対してZ軸方向及びZ軸回りの回転方向に相対移動可能な状態となっている。すなわち、Z軸円柱状部材238をZ軸の方向及びZ軸回りに移動可能に支持する第3支持部が、Z支持部材239によって構成されている。
【0093】
Z支持部材239の内周面には、図12Aに示されるように、Z軸方向に伸びる複数の凹溝239bi(i=1〜n、nは例えば8)が、前述した円筒状部材234の凹溝234c1、234c2、…、234cnと同様に、所定角度間隔で形成されている(但し、図12Aでは、2つの凹溝239b1、239bnのみを図示、図11参照)。なお、複数の凹溝239biは、Z支持部材239の内周面ではなく、Z軸円柱状部材236の外周に設けても良く、また、必ずしもZ軸方向に沿って設ける必要もない。
【0094】
また、X軸円柱状部材232、円筒状部材234、Y軸円柱状部材236及びZ軸円柱状部材238の材料としてセラミックやアルミニウムを用いることができる。
【0095】
次に、上述のようにして構成された用力供給装置155の作用について簡単に説明する。
【0096】
前述の如く、気体供給装置201から給気管203を介してチューブキャリアTCに供給された流体(加圧気体)は、チューブキャリアTC内の給気管路、供給管241bを介して、用力供給装置155のZ軸円柱状部材238内の第5の流体供給用管路238bに供給される。次に、この第5の流体供給用管路238b内に供給された加圧気体は、分岐管路238dを介してZ軸円柱状部材238の外周面の外側にその一部が排出され、残りの大部分は、第5の流体供給用管路238bを通ってY支持部材237に形成された前述の第4の流体供給用管路237dに向かう。
【0097】
ここで、Z軸円柱状部材238の外周面の外側に排出された加圧気体は、Z支持部材239内周面に形成された溝239b1〜239bnをそれぞれ介してZ軸円柱状部材238とZ支持部材239との間の隙間のZ軸方向全体に速やかに行き渡るとともに、Z軸円柱状部材238外周面の表面絞り溝238pの間に入り込んでZ軸円柱状部材238とZ支持部材239との間の隙間の周方向全域にも行き渡る。これにより、Z軸円柱状部材238が、表面絞り溝238pに入り込んだ加圧気体の静圧(いわゆる隙間内圧力)によりZ支持部材239に対して非接触で支持される。すなわち、このようにして、表面絞り溝238pの全域に、一種の気体静圧軸受けが構成されている。この場合、Z軸円柱状部材238の表面絞り溝238pはZ軸円柱状部材238の外面の全周に形成されていることから、その加圧気体の静圧は全周に渡ってほぼ均等の圧力となるので、Z軸円柱状部材238の周方向の全体に渡って同一のクリアランスが形成される。この結果、Z軸円柱状部材238は、Z支持部材239に対してZ軸方向及びZ軸回りの回転方向の移動が許容された状態となっている。
【0098】
一方、前記第4の流体供給用管路237dに向かって流れた加圧気体は、流体供給用管路237d1,237d3、237d2を順次経由して凹溝237b1の内部底面に形成された流体供給用管路237d2の開口端からY軸円柱状部材236とY支持部材237との間の僅かな隙間にその一部が排出されるとともに、残りの大部分は、Y軸円柱状部材236内に形成された第3の流体供給用管路236bを介して取り付け部材235内に形成された第2の流体供給用管路(235c、234b)に向かう。
【0099】
ここで、Y軸円柱状部材236とY支持部材237との間の僅かな隙間に排出された加圧気体は、Y支持部材237内周面に形成された溝237b1〜237bnをそれぞれ介してY軸円柱状部材236とY支持部材237との間の隙間のY軸方向全体に速やかに行き渡るとともに、Y軸円柱状部材236外周面の表面絞り溝236pの間に入り込んでY軸円柱状部材236とY支持部材237との間の隙間の周方向全域にも行き渡る。これにより、Y軸円柱状部材236が、表面絞り溝236pに入り込んだ加圧気体の静圧(いわゆる隙間内圧力)によりY支持部材237に対して非接触で支持される。すなわち、このようにして、表面絞り溝236pの全域に、一種の気体静圧軸受けが構成されている。この場合、Y軸円柱状部材236の表面絞り溝236pはY軸円柱状部材236の外面の全周に形成されているので、その加圧気体の静圧は全周に渡ってほぼ均等の圧力となり、これにより、Y軸円柱状部材236の周方向の全体に渡って同一のクリアランスが形成される。この結果、Y軸円柱状部材236は、Y支持部材237に対してY軸方向及びY軸回りの回転方向の移動が許容された状態となっている。
【0100】
一方、第2の流体供給用管路(235c、234b)に供給された加圧気体は、その第2の流体供給用管路のうち、円筒状部材234に形成された丸孔234bから凹溝234c1を介して円筒状部材234とX軸円柱状部材232との間の僅かな隙間内にその一部が排出されるとともに、残りがX軸円柱状部材232内部に形成された第1の流体供給用管路(232c、232d)に供給される。
【0101】
ここで、円筒状部材234とX軸円柱状部材232との間の僅かな隙間に排出された加圧気体は、円筒状部材234内周面に形成された溝234c1〜234cnをそれぞれ介して円筒状部材234とX軸円柱状部材232との間の隙間のX軸方向全体に速やかに行き渡るとともに、X軸円柱状部材232外周面の表面絞り溝232pの間に入り込んでX軸円柱状部材232と円筒状部材234との間の隙間の周方向全域にも行き渡る。これにより、X軸円柱状部材232が、表面絞り溝232pに入り込んだ加圧気体の静圧(いわゆる隙間内圧力)により円筒状部材234に対して非接触で支持される。すなわち、このようにして、表面絞り溝232pの全域に、一種の気体静圧軸受けが構成されている。この場合、X軸円柱状部材232の表面絞り溝232pはX軸円柱状部材232の外面の全周に形成されているので、その加圧気体の静圧は全周に渡ってほぼ均等になり、これにより、X軸円柱状部材232の周方向の全体に渡って同一のクリアランスが形成される。この結果、X軸円柱状部材232は、円筒状部材234に対してX軸方向及びX軸回りの回転方向の移動が許容された状態となっている。
【0102】
一方、第1の流体供給用管路(232c、232d)に供給された加圧気体は、該第1の流体供給用管路、固定部材231Aに形成された流路231Aa(図11参照)、及び供給管270A(図9参照)を順次介して、ウエハステージ本体28の内部に送られる。このウエハステージ本体28の内部に送られた加圧気体は、ウエハステージ本体28の内部の不図示の気体供給管路を通って、ウエハステージWSTの種々の機構に供給されて用いられる。本実施形態では、ウエハステージ本体28の内部に送られた加圧気体は、例えば前述した自重キャンセラ101に供給されるようになっているとともに、ウエハホルダ25に設けられたウエハWを昇降するための不図示の上下動ピン(センタアップ)を昇降する不図示の昇降機構にも供給されるようになっている。
【0103】
一方、真空吸引装置202による真空吸引(バキューム)が開始されると、真空吸引装置202で発生した負圧が、排気管204、チューブキャリアTC、バキューム管241a、用力供給装置155、及びバキューム管270Bを介してウエハステージ本体28の内部のバキューム管路に供給される。
【0104】
このとき、ウエハステージ本体28側からバキューム管270B及び固定部材231Aに形成された流路231Ab、X軸円柱状部材232内部の第1のバキューム用管路(232b、232a)、円筒状部材234に形成された凹溝234cnを順次介して、円筒状部材234及び取り付け部材235に形成された第2のバキューム用管路(234a、235b)に向かう気体の流れが生じる。この気体の流れによる負圧により、X軸円柱状部材232と円筒状部材234との間の隙間に供給された加圧気体が吸引され、この吸引力により、前記加圧気体がX軸円柱状部材232の周方向の全体に速やかに行き渡るとともに、前記の隙間内には、常に一定量の加圧気体が維持されるようになっている。
【0105】
また、Y軸円柱状部材236及びY支持部材237の内部には、Y軸円柱状部材236に形成された第3のバキューム用管路236aからY支持部材237に形成された凹溝237bnを介して第4のバキューム用管路237cに向かう気体の流れが生じる。この気体の流れによる負圧により、Y軸円柱状部材236とY支持部材237との間の隙間に供給された加圧気体が吸引され、その加圧気体がY軸円柱状部材236の周方向の全体に速やかに行き渡るとともに、前記の隙間内には、常に一定量の加圧気体が維持されるようになっている。
【0106】
また、Z軸円柱状部材238に形成された第5のバキューム用管路238aの内部には、バキューム管241aに向かう気体の流れが生じる。この気体の流れによる負圧により、Z軸円柱状部材238とZ支持部材239との間の隙間に供給された加圧気体が分岐管路238cを介して吸引され、これによりその加圧気体がZ軸円柱状部材238の周方向の全体に速やかに行き渡るとともに、前記の隙間内には、常に一定量の加圧気体が維持されるようになっている。
【0107】
また、バキューム管241a、チューブキャリアTC、排気管204の内部には、真空吸引装置202に向かう気体の流れが生じている。
【0108】
本実施形態では、真空吸引装置202で発生した負圧による、上述したような気体の流れにより、ウエハステージWSTの内部では、例えばウエハホルダ25によるウエハWの真空吸着、ウエハステージ本体28によるウエハテーブルWTBの真空吸着や、前述の不図示の上下動ピン(センタアップ)の先端部によるウエハの真空吸着などが行われるようになっている。
【0109】
また、国際公開第2004/053953号パンフレットに記載されているように、投影光学系PLとウエハWとの間に液体(例えば純水)を供給した状態でウエハにパターンを投影する液浸型露光装置においては、ウエハWの裏面に液体が回りこむ虞がある液体を吸引することが開示されている。このため、例えば排気管270Bに加えて新たな吸引管を設け、ウエハホルダ25の裏面に回りこみそうな液体を真空を用いて吸引しても良い。これに加え、ウエハステージWSTに液体が回りこむ虞のある部分は用力供給装置155を用いて適宜吸引すれば良い。なお、液体の吸引により振動などの外乱が発生し、露光精度に影響を与えそうな場合には、露光動作を行っていないとき(例えば、露光動作の終了後のウエハの交換中)に液体の吸引を行えば良い。なお、本国際出願で指定して指定国(又は選択した選択国)の国内法令が許す限りにおいて、国際公開第2004/053953号パンフレットに対応する米国出願における開示を援用して本明細書の記載の一部とする。
【0110】
なお、用力供給装置155は、温調された液体をウエハステージWSTに供給しても良い。具体的には、供給管270Aとは独立した供給管を設け、ウエハステージ本体28に設けられた永久磁石22A,22B、23A〜23D、及び29A〜29Dに温調された液体を供給しても良い。これにより、渦電流による永久磁石22A,22B、23A〜23D、及び29A〜29Dの発熱を低減することができる。また、温調された液体をウエハホルダ25に供給することにより、ウエハホルダ25を温調することができる。
【0111】
なお、供給管や排気管の数が増えた場合には、用力供給装置155を複数設けるようにしても良い。例えば、用力供給装置155を2つ設ける場合には左右対称もしくは上下対称に設ければ良い。
【0112】
露光動作の間、主制御装置20は、ウエハステージWSTのステップ移動方向と同一方向に、チューブキャリアTCをX軸リニアモータRXを介して駆動し、チューブキャリアTCをウエハステージWSTにラフに追従させる。このとき、本実施形態では、主制御装置20は、X軸リニアモータRXにチューブキャリアTCが等速移動するような駆動力を作用させることとしている。本実施形態においては、チューブキャリアTCがウエハステージWSTに対してX、Yのそれぞれの方向に精度良く追従しなくても、円筒状部材234がX軸円柱状部材232を移動可能に支持するとともに、Y支持部材237がY軸円柱状部材236を移動可能に支持している。このため、ウエハステージWSTに用力供給装置155からの力が加わることはない。同様に、ウエハステージWSTがZ方向に駆動した場合でも、Z支持部材239がZ軸円柱状部材238を移動可能に支持しているので、ウエハステージWSTに用力供給装置155からの力(例えばテンション)が加わることはない。
【0113】
以上詳細に説明したように、本実施形態に係るウエハステージ装置12によると、ステージベース71の上面71a上を移動するウエハステージWSTに接続され、該ウエハステージWSTに対して加圧気体(流体)や真空を供給する用力供給装置155が、X軸円柱状部材232(第1軸部)、円筒状部材234(第1支持部)、Y軸円柱状部材236(第2軸部)、Y支持部材237(第2支持部)、Z軸円柱状部材238(第3軸部)及びZ支持部材239(第3支持部)を含んで構成され、X軸円柱状部材232は円筒状部材234によりX軸方向及びX軸回りに移動可能に支持され、Y軸円柱状部材236はY支持部材237によりY軸方向及びY軸回りに移動可能に支持され、Z軸円柱状部材238はZ支持部材238によりZ軸方向及びZ軸回りに移動可能に支持されている。従って、ウエハステージWSTの移動に伴って用力供給装置155に6自由度方向のいずれの方向の力が作用しても用力供給装置155はその力に応じて位置・姿勢を変化させることでその力を吸収するので、用力供給装置155がステージの移動を妨げることがない。従って、流体の供給にチューブなどの配管を用いる場合のようにチューブの引きずりによる位置制御性の低下がなく、ウエハステージWSTの位置制御性を良好に確保することができる。
【0114】
また、X軸円柱状部材232と円筒状部材234との間、Y軸円柱状部材236とY支持部材237との間、Z軸円柱状部材238とZ支持部材239との間のそれぞれには、第1、第2、第3の気体静圧軸受が設けられているので、X軸円柱状部材232と円筒状部材234との間、Y軸円柱状部材236とY支持部材237との間、Z軸円柱状部材238とZ支持部材239との間のそれぞれを非接触の構成にすることができ、これにより、ウエハステージWSTの移動に伴って6自由度方向のいずれの方向の力が作用しても用力供給装置155は抵抗力を発生することなく、その位置・姿勢を変化させる。従って、用力供給装置155起因のウエハステージの位置制御性の低下をほぼ完全に回避することができる。
【0115】
また、本実施形態では、用力供給装置155は、X軸方向に沿って等速運動するチューブキャリアTCに設けられているので、チューブキャリアTCを、ウエハステージWSTのX軸方向の移動にラフに追従させることにより、用力供給装置155のX軸方向の移動許容範囲を小さく設計することができ結果的にウエハステージ装置12の小型化及びその小型化によるリニアモータの発熱量の低減を図ることが可能となる。
【0116】
また、本実施形態の露光装置100によると、上述したウエハステージ装置12が基板としてのウエハWを移動するステージ装置として用いられているので、ウエハW上の複数のショット領域にレチクルRのパターンを転写するステップ・アンド・スキャン方式の露光動作の際のウエハW(ウエハステージWST)の位置制御性の向上が可能となり、結果的に、レチクルRのパターンのウエハWへの高精度な転写が可能となる。
【0117】
なお、上記実施形態では、チューブキャリアTCを等速運動させる場合について説明したが、チューブキャリアTCに反射面を設け、チューブキャリアの位置を干渉計やエンコーダなどを用いて計測し、該計測結果に基づいて、ウエハステージWSTに追従するようにチューブキャリアTCを駆動することとしても良い。
【0118】
なお、上述の実施形態においては、Z軸円柱状部材238に対してY軸円柱状部材236を取り付けたが、Z軸円柱状部材238に対して円筒状部材234、X軸円柱状部材232を取り付けても良い。
【0119】
また、上述の実施形態においては、X軸円柱状部材232を移動部としたが、円筒状部材234を移動部とする構成にしても良い。同様に、Y軸円柱状部材236およびZ軸円柱状部材238を移動部としたが、Y軸円柱状部材236及びZ軸円柱状部材238のそれぞれを包囲する部材を移動部とする構成にしても良い。
【0120】
《第2の実施形態》
次に、本発明の第2の実施形態を図13〜図15に基づいて説明する。ここで、前述した第1の実施形態と同一若しくは同等の部分については、同一の符号を用いるとともにその説明を簡略にし、若しくは省略するものとする。この第2の実施形態の露光装置は、ウエハステージ装置(ステージ装置)の構成が一部異なるのみで、その他の部分の構成は前述した第1の実施形態の露光装置100と同様になっている。
【0121】
図13には、本第2の実施形態に係るウエハステージ装置12’の構成が斜視図にて示されている。この図13と図2とを比べると、本第2の実施形態のウエハステージ装置12’は、Y軸リニアモータLY1,LY2によってY軸方向に駆動される部分が、第1の実施形態に係るウエハステージ装置12と相違していることがわかる。すなわち、ウエハステージ装置12’では、前述した固定子ユニットMYに代えて、移動体ユニットMY’が設けられ、固定子ユニットMYに取り付けられたチューブキャリアTCに代えて、ウエハステージWSTがその内部に組み込まれたカウンタマス30が設けられている。以下では重複説明を避ける観点から、これらの相違点を中心として説明する。なお、本実施形態のウエハステージ装置12’の基本構成は先に出願された特願2004−116043号の明細書にも記載されている。
【0122】
図14Aには、ウエハステージ装置12’からカウンタマス30及び該カウンタマスに取り付けられたウエハステージWSTが取り出され斜視図にて示され、図14Bには、図14AのX−Z断面図が示されている。また、図15には、ウエハステージWSTからウエハテーブルWTBを取り外した状態のウエハステージ装置12’の平面図が示されている。
【0123】
前記カウンタマス30は、図15から分かるように、その上面の中央部に矩形の開口が形成され、四方の側壁、特にY軸方向の両側の側壁の肉厚が厚い箱のような形状を有している。このカウンタマス30の内部空間にウエハステージ本体28が収容された状態でウエハステージWSTがカウンタマス30に対して相対移動可能に取り付けられている(図14B参照)。
【0124】
カウンタマス30の+X側の側壁に形成された開口30a及びこれに対向する−Y側の側壁の開口には、前述のY軸固定子80と同様の構成の電機子ユニットから成るY軸固定子480の長手方向の一端と他端がそれぞれ挿入され、固定されている。Y軸固定子480は前述のY軸固定子80と同様に、ウエハステージ本体28に設けられた一対の永久磁石22A,22B相互間の空間に挿入されており、Y軸固定子480と一対の永久磁石22A,22BとによりウエハステージWSTをY軸方向に沿って微小駆動するリニアモータを構成している。
【0125】
また、カウンタマス30に形成された開口30b及び30cには、前述のX軸固定子61A、61Bと同様の構成の電機子ユニットから成るX軸固定子461A,461Bの長手方向の一端と他端がそれぞれ挿入され、固定されている(図14A参照)。X軸固定子461A,461Bのそれぞれは、前述のY軸固定子61A、61Bと同様に、ウエハステージ本体28に設けられた磁極ユニット23A、23B相互間の空間、磁極ユニット23C,23D相互間の空間に、それぞれ挿入されている。すなわち、X軸固定子461A,461Bと磁極ユニット23A〜23Dとにより、ウエハステージWSTをX軸方向に沿って駆動する一対のリニアモータを構成している。
【0126】
前記カウンタマス30に形成された開口30d,30eそれぞれの内部には、図14Aに示されるように、X軸方向に伸びる各一対の磁極ユニット(永久磁石群)から成るX軸可動子24A、24Bが、それぞれ設けられている。X軸可動子24A、24Bそれぞれの内部空間には、後述するように移動体ユニットMY’を構成するX軸方向に伸びる電機子ユニットから成るX軸固定子(電機子コイル)26A、26Bがそれぞれ挿入されている。X軸可動子24A,24BとX軸固定子26A,26BとによりカウンタマスをX軸方向に沿って駆動するリニアモータ(第2駆動装置)を構成している。
【0127】
前記移動体ユニットMY’は、図15に示されるように、前述したX軸固定子26A,26Bと、該X軸固定子26A,26BのそれぞれからY軸方向に関して等距離の位置でかつカウンタマス30の下方に配置され、XY面に平行にかつX軸方向に伸びる第1の板状部材184と、該第1の板状部材184のY軸方向一側と他側にそれぞれ配置されたX軸方向を長手方向とするZ軸固定子89A,89Bと、X軸固定子26Bの+Y側に配置されX軸方向を長手方向とする第2の板状部材186と、これらX軸固定子26A,26B、第1の板状部材184、Z軸固定子89A,89B、及び第2の板状部材186それぞれの長手方向一端(+X側端)及び他端(−X側端)に固定されたスライダ44,46と、を備えている。スライダ44,46によって、X軸固定子26A,26B、第1の板状部材184、電機子ユニット89A,89B、及び第2の板状部材186が所定の位置関係に維持されている。
【0128】
前記第1の板状部材184は、その上面(+Z側面)が平坦に加工され、図15に示されるように、カウンタマス30の底面の下方に配置されている。一方、カウンタマス30の底面のY軸方向中央部には、不図示の複数の気体静圧軸受(例えばエアベアリング)がその底面にX軸方向に沿って所定間隔で設けられた部材83が固定されている。カウンタマス30は、これら複数のエアベアリングから第1の板状部材187に対して吹き付けられる加圧気体の静圧により、移動体ユニットMY’の各部に対して非接触で支持されている。
【0129】
前記ウエハステージWST(ウエハステージ本体28)の底面には、図14Bに示されるように自重キャンセラ101が設けられている。図14Bに示されているように、カウンタマス30のうち自重キャンセラ101と対向する面がウエハステージWSTの移動面となっている。カウンタマス30がウエハステージWSTの移動面を有しているのでステージベース71を安価に作成することができる。
【0130】
カウンタマス30とウエハステージ本体28との間には、図15に示されるように、第1の実施形態と同様の構成の用力供給装置155が設けられている。この用力供給装置155は、カウンタマス30に接続された供給管203を介してウエハステージ装置外部に設けられた不図示の気体供給装置から供給される加圧気体や、カウンタマス30に接続されたバキューム管204を介してウエハステージ装置外部に設けられた不図示の真空吸引装置で発生した負圧をウエハステージWSTに供給する際の中継機構として用いられる。
【0131】
ウエハステージ装置12’のその他の構成は、前述した第1の実施形態のウエハステージ装置12と同様になっている。従って、移動体ユニットMYとY軸リニアモータLY1,LY2と定盤71とフレームキャスタFCとの間には、第1の実施形態と同様の力が作用するようになっている。
【0132】
上述のようにして構成された本第2の実施形態の露光装置では、前述した第1の実施形態と同様の動作が行われる。但し、本第2の実施形態では、カウンタマス30を備えていることから、ウエハステージWSTがX軸方向の一方向(+X方向(又は−X方向))に駆動されると、その反力を受けて、カウンタマス30がそれとは逆の方向(−X方向(又は+X方向))に駆動される。また、主制御装置20は、カウンタマス30の移動ストロークを小さくするために第2駆動装置を構成するX軸可動子24A,24BとX軸固定子26A,26Bとによりカウンタマス30に対してウエハステージWSTと同じ方向に駆動するように初速を与えている。
【0133】
なお、ウエハステージ装置12’のウエハステージWSTで用いられるウエハホルダ25のバキュームや自重キャンセラ101への加圧気体の供給、ウエハ昇降用のセンタアップの昇降に用いられる加圧気体の供給は、カウンタマス30及びカウンタマス30とウエハステージ本体28との間に設けられた用力供給装置155を介して行われる。この場合、第1の実施形態で説明した円筒状部材234がウエハステージ本体28とカウンタマス30とのX方向に沿った相対移動量に応じてX軸円柱状部材232をX方向に沿って移動可能に支持すれば良い。同様に、ウエハステージ本体28のY方向、Z方向の移動に応じて、Y支持部材237とZ支持部材239のそれぞれがY軸円柱状部材236とZ軸円柱状部材238を移動可能に支持している。
【0134】
以上説明したように、本第2の実施形態に係るウエハステージ装置12’によると、ステージベース71の上面71a上を移動するウエハステージWSTに接続された前述の用力供給装置155を備え、この用力供給装置155がカウンタマス30に設けられているので、前述した第1の実施形態と同様に用力供給装置155起因のウエハステージの位置制御性の低下をほぼ完全に回避することができる。また、本第2の実施形態では、用力供給装置155は、ウエハステージWSTがX軸方向に駆動された際の反力により該ステージと反対方向に移動するカウンタマス30を介して、流体(加圧気体)をウエハステージWSTへ供給する、すなわちウエハステージWSTの近くにあるカウンタマス30を中継してウエハステージWSTへの流体供給を行うので、ステージ装置の外部からチューブ等の配管を介して流体がウエハステージへ直接供給される場合と比べ、チューブの引きずりに伴う抵抗力を低減させることができ、これにより、ウエハステージWSTの位置制御性を向上させることが可能となる。
【0135】
また、本第2の実施形態の露光装置によると、上述したウエハステージ装置12’が基板としてのウエハWを移動するステージ装置として用いられているので、ウエハW上の複数のショット領域にレチクルRのパターンを転写するステップ・アンド・スキャン方式の露光動作の際のウエハW(ウエハステージWST)の位置制御性の向上が可能となり、結果的に、レチクルRのパターンのウエハWへの高精度な転写が可能となる。
【0136】
なお、上記第2の実施形態では、カウンタマス30としてウエハステージWSTを取り囲む状態とされる、いわゆる「ローカルカウンタマス」を採用した場合について説明したが、本発明がこれに限られるものではなく、ウエハステージWSTの駆動による反力によりウエハステージWSTと反対方向に移動するのであれば、その構成は問わない。
【0137】
《変形例》
次に、用力供給装置の変形例について図16〜図22に基づいて説明する。
【0138】
図16には、本変形例の用力供給装置155’の斜視図が示され、図17には、用力供給装置155’の分解斜視図が示されている。また、図18には、用力供給装置155’のY軸方向のほぼ中央におけるXZ断面で断面した斜視図が示され、図19には、用力供給装置155’のX軸方向のほぼ中央におけるYZ断面で断面した斜視図が示されている。また、図20、図21には、用力供給装置155’内の気体の流れを説明するための図がそれぞれ示されている。このうち、図20は、用力供給装置155’を図18と同一のXZ断面に沿って断面した断面図に相当し、図21は、用力供給装置155’を図19と同一のYZ断面に沿って断面した断面図に相当する。
【0139】
用力供給装置155’は、図17に示される第1軸部としての第1部材103、第2部材105、第3部材107及び第4部材111の4つの部材の組み合わせによって構成されている。この用力供給装置155’は、前述した第2の実施形態と同様、カウンタマス30を有するステージ装置に組み込まれる(図22参照)。なお、図17は、用力供給装置155’として組み立てられた状態(図16の状態)の第1〜第4部材のそれぞれを取り出して示すもので、実際には、第3部材107、第4部材111は、他の部材の組み付けが可能となるように、それぞれ複数の部品から構成されていることは言うまでもない。
【0140】
前記第1部材103は、図17に示されるように、X軸方向を長手方向とする円柱状の部材から成り、その長手方向の両端部を除く中央部分の外周面には、所定深さ(例えば、10μm程度)の複数の表面絞り溝103bが所定間隔で形成されている。この第1部材103の+X側端部には、コネクタ部103aが設けられ、−X側端部には、コネクタ部103aと同様のコネクタ部103cが設けられている(図17では不図示、図18参照)。コネクタ部103aには、不図示の給気管の一端が接続され、この給気管の他端には前述した気体供給装置201(図8参照)が接続されている。コネクタ部103cには、不図示のバキューム管の一端が接続され、このバキューム管の他端は、前述した真空吸引装置202に接続されている。
【0141】
第1部材103の内部には、図18に示されるように、コネクタ部103aの端面からX軸方向中央より僅かに−X側の部分に達する給気管路211a、コネクタ部103cの端面からX軸方向中央より僅かに+X側の部分に達するバキューム管路211cが、それぞれ形成されている。
【0142】
前記給気管路211aの+X側の端部は、他の部分より幾分小径に形成されている。この給気管路211aの−X側の端部近傍には、図20及び図21に示されるように、第1部材103の外周面まで達する7本の分岐管路211b1〜211b7が放射方向に形成されている。これらの分岐管路211b1〜211b7のそれぞれは、外周側の端部が他の部分に比べて小径に形成されている。
【0143】
前記バキューム管路211cの+X側端部近傍からは、図21に示されるように、1本の分岐管路211dが下側(−Z側)に分岐し、かつ第1部材103の外部まで連通した状態で形成されている。
【0144】
前記第2部材105は、図17に示されるように、概略直方体状の形状を有する第1支持部104aと、該第1支持部104aの上下面(±Z側面)にそれぞれZ軸方向に一体的に突設された一対の第2軸部104b,104cとを有する。
【0145】
前記第1支持部104aには、+X側の端面から−X側の端面まで達する円形の貫通孔105aが形成され、この貫通孔105aの内部に第1部材103が挿入されるようになっている。第1支持部104aの貫通孔105aの内周面には、図17、図20及び図21に示されるように、第1部材103に形成された7本の分岐管路211b1〜211b7に対応して、7本の溝部105b1〜105b7が形成されている。また、第1支持部104aの貫通孔105aの内周面には、第1部材103に形成されたバキューム管路211c側の分岐管路211dに対応して、1本の溝部105cが形成されている。
【0146】
前記一方の(+Z側に位置する)第2軸部104bには、図17に示されるように、表面絞り溝114aが形成されている。この表面絞り溝114aは、第2軸部104bの外周面に沿って形成された1本の第1の溝と、該第1の溝に連通する状態で第2軸部104bの外周面に沿って所定間隔で形成されZ軸方向に延びる複数本の第2の溝とから構成されている。前記他方の(−Z側に位置する)第2軸部104cも第2軸部104bと上下対称ではあるが、同様に構成されおり、その外周面には表面絞り溝114bが形成されている。
【0147】
この第2部材105の内部には、図20及び図21に示されるように、第2軸部104aの上端面(+Z端面)の中央部から溝部105b1に連通する貫通孔105dが形成されている。この貫通孔の105dの溝部105b1に連通する下端部近傍部分は他の部分に比べて径が小さく形成されている。
【0148】
また、第2部材105には、第2軸部104bの下端面(−Z端面)の中央部から開口105aまで貫通した状態で貫通孔105eが形成されている。この貫通孔105eは、その上端部近傍で径が小さく設定されており、溝部105cに連通した状態となっている。
【0149】
前記第3部材107は、図17に示されるように、+X側の面から−X側の面まで貫通する矩形(ほぼ正方形)の開口107aが形成された直方体状の外形を有する第2支持部108aと、該第2支持部108aのX軸方向の両側面(±X側面)にそれぞれX軸方向に一体的に突設された一対の第3軸部108b,108cとを有している。第3軸部108b,108cの外周面には、表面絞り溝109a,109bがそれぞれ形成されている。
【0150】
前記第2支持部108aには、図20及び図21に示されるように、前述の開口107aの上壁面に上下方向を軸方向とする円形開口107bが形成されるとともに、該円形開口107b上端に連通する中空部が第2支持部108aの内部に形成されている。本変形例では、円形開口107b内に前述の第2軸部104bが下方から挿入され、この挿入状態では、第2軸部104bと円形開口107bの内周面との間に、所定のクリアランスが形成されるようになっている。また、この第2軸部104bが円形開口107b内に挿入された図20、図21等の状態で、第2支持部108aの内部の第2軸部104bの上側に気体室となる空間80が形成されている。以下では、この空間80を気体室80とも呼ぶ。
【0151】
また、第2支持部108aには、図20及び図21に示されるように、前述の開口107aの下側壁面に上下方向を軸方向とする円形開口107cが形成されるとともに、該円形開口107c下端に連通する中空部が第2支持部108aの内部に形成されている。本変形例では、円形開口107c内に前述の第2軸部104cが上方から挿入され、この挿入状態では、第2軸部104cと円形開口107cの内周面との間に、所定のクリアランスが形成されるようになっている。また、この第2軸部104cが円形開口107c内に挿入された図20、図21等の状態で、第2支持部108aの内部の第2軸部104cの下側に真空室となる空間81が形成されている。以下では、この空間80を真空室81とも呼ぶ。
【0152】
図21に示されるように、前記第3部材107の一方の第3軸部108bの内部には、通気路107f、107hが上下に所定距離隔ててそれぞれ形成され、他方の第3軸部108cの内部には、通気路107g、107iが上下に所定距離隔ててそれぞれ形成されている。前記通気路107f、107gのそれぞれは、Z軸方向に延びる通気管路107j,107kをそれぞれ介して気体室80に連通されている。また、前記通気路107h、107iのそれぞれは、Z軸方向に延びる通気管路107n、107oをそれぞれ介してバキューム室81に連通されている。また、第3軸部108bには、通気路107fと第3軸部108bの外周面の外部とを連通する通気管路107l、及び通気路107hと第3軸部108cの外周面の外部とを連通する通気管路107pが形成されている。また、第3軸部108cには、通気路107gと第3軸部108cの外周面の外部とを連通する通気管路107m、及び通気路107iと第3軸部108cの外周面の外部とを連通する通気管路107qが形成されている。
【0153】
前記第4部材111は、図17に示されるように、上下が開口した平面視(上方から見て)矩形枠状の筒状部材から成り、そのX軸方向両側の壁には、第1の径の円形開口111b,111cがそれぞれ形成され、Y軸方向両側の壁には、第2の径(>第1の径)の円形開口111d,111eが形成されている。
【0154】
前記円形開口111d,111eには、図21から分かるように、前述した第3部材107の第3軸部108b、108cがそれぞれ挿入されるようになっている。一方、残りの2つの円形開口111b,111cには、図20に示されるように、第1部材103が所定の隙間をあけて挿入される。
【0155】
第4部材111の円形開口111eの内壁面の下側には、図17及び図21に示されるように、前述の通気管路107qに対向する位置に上下に連通するバキューム管路111fが形成されている。また、第4部材111の円形開口111dの内壁面の下側には、図21に示されるように、前述の通気管路107pに対向する位置に凹部111gが形成されている。これらの凹部111gとバキューム管路111fは、第4部材111内部に形成された通気管路111h(図20参照)を介して連通状態とされている。バキューム管路111fには、図17に示されるように、第4部材の下面側に設けられたコネクタ115が接続されている。
【0156】
また、第4部材111の円形開口111eの内壁面の下側には、図17及び図21に示されるように、前述の通気管路107mに対向する位置に上下に連通する給気管路111iが形成され、この給気管路111iに第4部材111の上面側に設けられたコネクタ116が接続されている。
【0157】
以上のような構成を有する用力供給装置155’は、図22に示されるようにカウンタマス30のX軸方向の一側と他側の側壁に第1部材103の長手方向の一端部と他端部が接続され、ウエハステージ本体28の底部に、第3部材の上端部が接続された状態で、カウンタマス30及びウエハステージWSTに取り付けられる。そして、この取り付け後の状態では、前述したコネクタ115が不図示のバキューム用の配管を介してウエハステージWST上に設けられたウエハホルダ25を構成する真空チャックに接続され、前述したコネクタ116が、不図示の配管を介してウエハステージ本体28の内部の不図示の気体供給管路に接続される。
【0158】
次に、上述のように構成された用力供給装置155’の作用について、図20,図21に基づいて説明する。なお、図20、図21において、白抜き矢印は、加圧気体の供給による気体の流れを示し、黒矢印は真空吸引(バキューム)により生じる気体の流れを示している。
【0159】
気体供給装置201から、不図示の供給管及びカウンタマス30に接続されたコネクタ部103aを介して第1部材103の内部の給気管路211a内に図20中の矢印Aで示されるように加圧気体が供給されると、その加圧気体は、分岐管路211b1内を矢印B方向に流れる(上昇する)とともに、その他の分岐管路211b2〜211b7内についても図21に示されるように、第1部材103の外周面の外部に向かって矢印B方向に流れる。そして、分岐管路211b1内を流れる加圧気体は、大部分が図20に示されるように、貫通孔105dを矢印D方向に流れ、前述の気体室80に供給されるとともに、残部が図20に示されるように、第2部材105に形成された溝部105b1内を矢印C方向に流れ、その加圧気体が溝部105b1と第1部材103とにより形成される空間内に充
填される。また、溝部105b2〜1057内にも矢印Cと同一方向に加圧気体が流れ、溝部105b2〜105b7と第1部材103とにより形成される空間内に加圧気体が充填される。そして、この加圧気体は、第1部材103の表面に形成された表面絞り溝103b内にも流れるようになっている。この場合、前述の第1の実施形態と同様に、表面絞り溝103bと第2部材105との間の隙間の加圧気体の静圧により第1部材103が、第2部材105の第1支持部104aに対して非接触で支持される。すなわち、このようにして、表面絞り溝103bの全域に、一種の気体静圧軸受けが構成されている。この結果、第1部材103は、第1支持部104aに対してX軸方向の移動及びX軸回りの回転が許容された状態となっている。
【0160】
一方、前記気体室80内部には、前述の如くして供給された加圧気体が充填され、その充填された加圧気体の一部は、図20に示されるように、第3部材107(第2支持部108a)に形成された開口107bと第2部材105の第2軸部104bとの間の微小な隙間内を、矢印E方向に流れる(漏れ出す)。これにより、前述と同様にして、第2軸部104bに形成された表面絞り溝114aの全域に、一種の気体静圧軸受が構成され、第2軸部104bが第2支持部108aに対してZ軸方向の移動及びZ軸回りの回転が許容された状態となっている。
【0161】
気体室80内部に充填された加圧気体の一部は、図21に示されるように、通気管路107j、107k内を矢印F方向(−Z方向)に流れ、通気路107f,107g及び通気管路107l,107mを順次経由して、第3部材107の第3軸部108b,108cの外部の第4部材111との間の隙間に流れ出す。この加圧気体は、第3部材107の第3軸部108b,108cにそれぞれ形成された表面絞り溝109a,109b(図17参照)内を流れる。これにより、前述と同様にして、第3軸部108b,108cにそれぞれ形成された表面絞り溝109a,109bの全域に、一種の気体静圧軸受がそれぞれ構成され、第3軸部108b,108cが第4部材111に対してY軸方向の移動及びY軸回りの回転が許容された状態となっている。
【0162】
また、通気管路107mを介して第3軸部108cの外部に流れ出した加圧気体は、該通気管路107mに対向して第4部材111に形成された給気管路111iを介して、ウエハステージ本体28の内部に送られ、例えば前述した自重キャンセラ101に供給されるとともに、ウエハホルダ25に設けられたウエハWを昇降するための不図示の上下動ピン(センタアップ)を昇降する不図示の昇降機構にも供給される。
【0163】
真空吸引装置202によるバキューム動作が開始され、負圧が発生すると、その負圧が第1部材103のコネクタ部103cに接続されたバキューム管を介してバキューム管路211cに供給され、バキューム管路211cの内部に図20中の矢印A’で示される気体の流れが生じる。この気体の流れによって生じる負圧により、前述した真空室81内部の気体がバキューム管路211c側に吸引され、貫通孔105e内に図20中の矢印D’で示される気体の流れが生じるとともに、第1部材103と第2部材105に形成された溝105cとにより形成される空間内には図20中の矢印C’で示される方向の気体の流れが生じる。後者の気体の流れにより、前述の如く、第1部材103と第2部材105との間の隙間に溝105b1〜105b7を介して流れ出した加圧気体が第1部材103の表面絞り溝104bに沿って吸引され、その表面絞り溝104b全周に渡って加圧気体が速やかに行き渡るとともに、溝105cに達した加圧気体が回収される。
【0164】
上述の貫通孔105e内に図20中の矢印D’で示される気体の流れに起因して真空室81が負圧(真空状態)となり、この負圧により、図20,図21に示されるように、第2部材105の第2軸部104cと第3部材107(第2支持部108a)に形成された円形開口107cとの間に矢印E’方向の気体の流れが生じ、第2軸部104cに形成された表面絞り溝114b内を気体が流れることにより、第2軸部104cに形成された表面絞り溝114bの全域に、一種の気体静圧軸受が構成され、第2軸部104cが第2支持部108aに対してZ軸方向の移動及びZ軸回りの回転が許容された状態となっている。従って、この変形例の用力供給装置155’では、6自由度方向の位置・姿勢の変化が可能な構成となっている。
【0165】
また、真空室81内部の負圧により、通気路107f、107h内部の気体が真空室81に吸引され、通気管路107n、107o内部に図21中の矢印F’で示される気体の流れが生じる。この気体の流れにより、通気路107f、107h内部が負圧となり、この負圧により第4部材111に形成されたバキューム管路111fの内部及び該バキューム管路111fに通気管路111hを介して連通された凹部111gに内部に図21中に矢印G’で示される気体の流れが生じるとともに、第4部材111の円形開口111dと第3軸部108bとの隙間、及び円形開口111eと第3軸部108cとの隙間に、図21中に矢印H’で示される気体の流れが生じる。後者の気体の流れにより、前述の如く、第3軸部108bと円形開口111dとの隙間、第3軸部108cと円形開口111eとの隙間に、通気管路107l、107mからそれぞれ流れ出した加圧気体が第3軸部108b、108cの表面絞り溝109a、109bにそれぞれ沿って吸引され、それらの表面絞り溝109a、109b全周に渡って加圧気体が速やかに行き渡るとともに、表面絞り溝109a、109bの最下部に達した加圧気体が回収される。
【0166】
前述の矢印G’で示される気体の流れにより、通気管路111f内部が負圧となり、その負圧により、ウエハホルダ25のバキュームチャックと第4部材111とを接続するバキューム管内に図21中の矢印I’で示される気体の流れが生じ、バキュームチャックによってウエハWが吸着される。
【0167】
以上説明したように、本変形例に係る用力供給装置155’は、6自由度を有し、この用力供給装置155’により流体(加圧気体)の供給をカウンタマスを介して行うことができるので、前述した第2の実施形態と同等の効果を得ることができる。
【0168】
なお、上記変形例においても、第1の実施形態と同様のチューブキャリアを設ける構成を採用することとしても良い。
【0169】
なお、上記変形例では、用力供給装置155’の第4部材111を設けなくても良い。この場合、用力供給装置の自由度が4自由度となるが、配管(チューブ)を採用する場合に比べれば、高精度なステージ制御を行うことが可能である。
【0170】
なお、上記各実施形態及び変形例では、本発明のステージ装置がウエハステージ装置に採用された場合について説明したが、レチクルステージRSTを含むレチクルステージ装置として採用することとしても良い。
【0171】
なお、上記各実施形態及び変形例では、本発明が、スキャニング・ステッパに適用された場合について例示したが、本発明の適用範囲がこれに限定されるものではなく、本発明は、マスクと基板とを静止した状態で露光を行うステッパ等の静止型の露光装置にも好適に適用できるものである。また、ステップ・アンド・スティッチ方式の露光装置にも本発明は好適に適用できる。
【0172】
また、露光装置の露光対象である物体は、上記の実施形態のように半導体製造用のウエハに限定されることなく、例えば、液晶表示素子、プラズマディスプレイや有機ELなどのディスプレイ装置の製造用の角型のガラスプレートや、薄膜磁気ヘッド、撮像素子(CCDなど)、マスク又はレチクルなどを製造するための基板であっても良い。
【0173】
また、上記各実施形態及び変形例では、露光装置の照明光ILとしては波長100nm以上の光に限らず、波長100nm未満の光を用いても良いことはいうまでもない。例えば、近年、70nm以下のパターンを露光するために、SORやプラズマレーザを光源として、軟X線領域(例えば5〜15nmの波長域)のEUV(Extreme Ultraviolet)光を発生させるとともに、その露光波長(例えば13.5nm)の下で設計されたオール反射縮小光学系、及び反射型マスクを用いたEUV露光装置の開発が行われている。さらに、例えば国際公開WO99/49504号パンプレットなどに開示される、投影光学系PLとウエハとの間に液体(例えば純水など)が満たされる液浸型露光装置などにも本発明を適用することができる。
【0174】
また、電子線又はイオンビームなどの荷電粒子線を用いる露光装置も、本発明は適用できる。なお、電子線露光装置は、ペンシルビーム方式、可変成形ビーム方式、セルプロジェクション方式、ブランキング・アパーチャ・アレイ方式、及びマスク投影方式のいずれであっても良い。
【0175】
なお、本発明に係るステージ装置は、露光装置に限らず、その他の基板の処理装置(例えば、レーザリペア装置、基板検査装置その他)、あるいはその他の精密機械における試料の位置決め装置、ワイヤーボンディング装置等にも広く適用できる。
【0176】
なお、複数のレンズ等から構成される照明ユニット、投影光学系などを露光装置本体に組み込み、光学調整をする。そして、上記のX軸固定子、X軸可動子、Y軸固定子、ウエハステージ、レチクルステージ、並びにその他の様々な部品を機械的及び電気的に組み合わせて調整し、更に総合調整(電気調整、動作確認等)をすることにより、上記実施形態の露光装置100等の本発明に係る露光装置を製造することができる。なお、露光装置の製造は温度およびクリーン度等が管理されたクリーンルームで行うことが望ましい。
【0177】
なお、半導体デバイスは、デバイスの機能・性能設計を行うステップ、この設計ステップに基づいたレチクルを製作するステップ、シリコン材料からウエハを製作するステップ、前述した調整方法によりパターンの転写特性が調整される上記実施形態の露光装置で、マスクに形成されたパターンを感光物体上に転写するリソグラフィステップ、デバイス組み立てステップ(ダイシング工程、ボンディング工程、パッケージ工程を含む)、検査ステップ等を経て製造される。この場合、リソグラフィステップで、上記実施形態の露光装置が用いられるので、高集積度のデバイスを歩留り良く製造することができる。
【産業上の利用可能性】
【0178】
以上説明したように、本発明のステージ装置は、ステージを移動面に沿って移動させるのに適している。また、本発明の露光装置及び露光方法は、基板を露光してパターンを形成するのに適している。
【符号の説明】
【0179】
100・・・露光装置、155・・・用力供給装置、232・・・第1軸部、234、235・・・第1支持部、238・・・第2軸部、239・・・第2支持部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動面を移動するステージと、前記ステージに対して用力を供給する用力供給装置とを有するステージ装置において、
前記用力供給装置が、
前記移動面内の第1軸の方向に伸びる第1軸部と;
前記第1軸部を前記第1軸の方向及び前記第1軸回りに移動可能に支持する第1支持部と;
前記第1軸と交差する第2軸の方向に伸びる第2軸部と;
前記第2軸部を前記第2軸の方向及び前記第2軸回りに移動可能に支持する第2支持部と;を備えていることを特徴とするステージ装置。
【請求項2】
請求項1に記載のステージ装置において、
前記用力供給装置は、
前記第1軸と前記第2軸とに交差する第3軸の方向に伸びる第3軸部と;
前記第3軸部を前記第3軸の方向及び前記第3軸回りに移動可能に支持する第3支持部と;を更に備えていることを特徴とするステージ装置。
【請求項3】
請求項2に記載のステージ装置において、
前記第1軸部と前記第1支持部との間、前記第2軸部と前記第2支持部との間、前記第3軸部と前記第3支持部との間のそれぞれには、第1、第2、第3の気体静圧軸受が設けられていることを特徴とするステージ装置。
【請求項4】
請求項1に記載のステージ装置において、
前記用力供給装置は、前記第1軸の方向に沿って等速運動するキャリアに設けられていることを特徴とするステージ装置。
【請求項5】
請求項1に記載のステージ装置において、
前記第1軸部と前記第1支持部との間、及び前記第2軸部と前記第2支持部との間には、第1、第2の気体静圧軸受が設けられていることを特徴とするステージ装置。
【請求項6】
請求項1に記載のステージ装置において、
前記用力供給装置は吸引装置を有していることを特徴とするステージ装置。
【請求項7】
請求項6に記載のステージ装置において、
前記吸引装置は、前記ステージ上の液体を吸引することを特徴とするステージ装置。
【請求項8】
請求項1に記載のステージ装置において、
前記ステージを駆動する駆動装置を更に備え、
前記用力供給装置は、前記駆動装置に当該駆動装置を温調する温調流体を供給することを特徴とするステージ装置。
【請求項9】
請求項8に記載のステージ装置において、
前記駆動装置は、前記ステージの開口部に設けられた磁石を有していることを特徴とするステージ装置。
【請求項10】
請求項1に記載のステージ装置において、
前記用力供給装置が複数設けられていることを特徴とするステージ装置。
【請求項11】
移動面に移動可能に支持されたステージと;
前記ステージを駆動する第1駆動装置と;
前記第1駆動装置により前記ステージを駆動した際の反力により前記ステージと反対方向に移動するカウンタマスと;
前記カウンタマスを介して用力を前記ステージへ供給する用力供給装置と;を備えていることを特徴とするステージ装置。
【請求項12】
請求項11に記載のステージ装置において、
前記移動面は前記カウンタマスに形成されていることを特徴とするステージ装置。
【請求項13】
請求項11に記載のステージ装置において、
前記カウンタマスを駆動する第2駆動装置を更に備えるステージ装置。
【請求項14】
請求項11に記載のステージ装置において、
前記用力供給装置は、前記ステージの移動に応じて移動する移動部を備えていることを特徴とするステージ装置。
【請求項15】
ステージ装置に載置されたマスクのパターンを基板に転写する露光装置において、
前記ステージ装置として請求項1〜14のいずれか一項に記載のステージ装置を用いることを特徴とする露光装置。
【請求項16】
ステージ装置に載置された基板を露光してパターンを形成する露光装置において、
前記ステージ装置として請求項1〜14のいずれか一項に記載のステージ装置を用いることを特徴とする露光装置。
【請求項17】
2次元平面内を移動するステージに用力を供給する用力供給装置を備える装置で、前記ステージ上の基板を露光してパターンを形成する露光方法において、
前記用力供給装置を前記2次元平面内の第1軸方向及び前記第1軸回りに移動させ、
前記用力供給装置を前記第1軸と交差する第2軸方向及び前記第2軸回りに移動させることを特徴とする露光方法。
【請求項18】
請求項17に記載の露光方法において、
前記用力供給装置は前記ステージに実質的に抵抗力を与えないことを特徴とする露光方法。
【請求項19】
請求項17に記載の露光方法において、
前記用力供給装置が前記第1軸方向と前記第2軸方向とに交差する第3軸方向及び前記第3軸回りに移動することを特徴とする露光方法。
【請求項20】
請求項17に記載の露光方法において、
前記用力供給装置は、前記ステージ上の液体を吸引することを特徴とする露光方法。
【請求項21】
請求項20に記載の露光方法において、
前記液体の吸引は、露光動作終了後に行われることを特徴とする露光方法。
【請求項22】
請求項17に記載の露光方法において、
前記用力供給装置は前記ステージを駆動する駆動装置に該駆動装置を温調する温調流体を供給することを特徴とする露光方法。
【請求項1】
移動面を移動するステージと、前記ステージに対して用力を供給する用力供給装置とを有するステージ装置において、
前記用力供給装置が、
前記移動面内の第1軸の方向に伸びる第1軸部と;
前記第1軸部を前記第1軸の方向及び前記第1軸回りに移動可能に支持する第1支持部と;
前記第1軸と交差する第2軸の方向に伸びる第2軸部と;
前記第2軸部を前記第2軸の方向及び前記第2軸回りに移動可能に支持する第2支持部と;を備えていることを特徴とするステージ装置。
【請求項2】
請求項1に記載のステージ装置において、
前記用力供給装置は、
前記第1軸と前記第2軸とに交差する第3軸の方向に伸びる第3軸部と;
前記第3軸部を前記第3軸の方向及び前記第3軸回りに移動可能に支持する第3支持部と;を更に備えていることを特徴とするステージ装置。
【請求項3】
請求項2に記載のステージ装置において、
前記第1軸部と前記第1支持部との間、前記第2軸部と前記第2支持部との間、前記第3軸部と前記第3支持部との間のそれぞれには、第1、第2、第3の気体静圧軸受が設けられていることを特徴とするステージ装置。
【請求項4】
請求項1に記載のステージ装置において、
前記用力供給装置は、前記第1軸の方向に沿って等速運動するキャリアに設けられていることを特徴とするステージ装置。
【請求項5】
請求項1に記載のステージ装置において、
前記第1軸部と前記第1支持部との間、及び前記第2軸部と前記第2支持部との間には、第1、第2の気体静圧軸受が設けられていることを特徴とするステージ装置。
【請求項6】
請求項1に記載のステージ装置において、
前記用力供給装置は吸引装置を有していることを特徴とするステージ装置。
【請求項7】
請求項6に記載のステージ装置において、
前記吸引装置は、前記ステージ上の液体を吸引することを特徴とするステージ装置。
【請求項8】
請求項1に記載のステージ装置において、
前記ステージを駆動する駆動装置を更に備え、
前記用力供給装置は、前記駆動装置に当該駆動装置を温調する温調流体を供給することを特徴とするステージ装置。
【請求項9】
請求項8に記載のステージ装置において、
前記駆動装置は、前記ステージの開口部に設けられた磁石を有していることを特徴とするステージ装置。
【請求項10】
請求項1に記載のステージ装置において、
前記用力供給装置が複数設けられていることを特徴とするステージ装置。
【請求項11】
移動面に移動可能に支持されたステージと;
前記ステージを駆動する第1駆動装置と;
前記第1駆動装置により前記ステージを駆動した際の反力により前記ステージと反対方向に移動するカウンタマスと;
前記カウンタマスを介して用力を前記ステージへ供給する用力供給装置と;を備えていることを特徴とするステージ装置。
【請求項12】
請求項11に記載のステージ装置において、
前記移動面は前記カウンタマスに形成されていることを特徴とするステージ装置。
【請求項13】
請求項11に記載のステージ装置において、
前記カウンタマスを駆動する第2駆動装置を更に備えるステージ装置。
【請求項14】
請求項11に記載のステージ装置において、
前記用力供給装置は、前記ステージの移動に応じて移動する移動部を備えていることを特徴とするステージ装置。
【請求項15】
ステージ装置に載置されたマスクのパターンを基板に転写する露光装置において、
前記ステージ装置として請求項1〜14のいずれか一項に記載のステージ装置を用いることを特徴とする露光装置。
【請求項16】
ステージ装置に載置された基板を露光してパターンを形成する露光装置において、
前記ステージ装置として請求項1〜14のいずれか一項に記載のステージ装置を用いることを特徴とする露光装置。
【請求項17】
2次元平面内を移動するステージに用力を供給する用力供給装置を備える装置で、前記ステージ上の基板を露光してパターンを形成する露光方法において、
前記用力供給装置を前記2次元平面内の第1軸方向及び前記第1軸回りに移動させ、
前記用力供給装置を前記第1軸と交差する第2軸方向及び前記第2軸回りに移動させることを特徴とする露光方法。
【請求項18】
請求項17に記載の露光方法において、
前記用力供給装置は前記ステージに実質的に抵抗力を与えないことを特徴とする露光方法。
【請求項19】
請求項17に記載の露光方法において、
前記用力供給装置が前記第1軸方向と前記第2軸方向とに交差する第3軸方向及び前記第3軸回りに移動することを特徴とする露光方法。
【請求項20】
請求項17に記載の露光方法において、
前記用力供給装置は、前記ステージ上の液体を吸引することを特徴とする露光方法。
【請求項21】
請求項20に記載の露光方法において、
前記液体の吸引は、露光動作終了後に行われることを特徴とする露光方法。
【請求項22】
請求項17に記載の露光方法において、
前記用力供給装置は前記ステージを駆動する駆動装置に該駆動装置を温調する温調流体を供給することを特徴とする露光方法。
【図1】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12A】
【図12B】
【図13】
【図14A】
【図14B】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12A】
【図12B】
【図13】
【図14A】
【図14B】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【公開番号】特開2011−77528(P2011−77528A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−245715(P2010−245715)
【出願日】平成22年11月1日(2010.11.1)
【分割の表示】特願2006−514487(P2006−514487)の分割
【原出願日】平成17年6月6日(2005.6.6)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年11月1日(2010.11.1)
【分割の表示】特願2006−514487(P2006−514487)の分割
【原出願日】平成17年6月6日(2005.6.6)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】
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