説明

ストッカ

【課題】コンベアを停止させることなくFOUPを移送する。
【解決手段】このストッカ1は、製造過程にあるFOUP2を搬送するコンベア3に隣接して配置される。このストッカ1は、コンベア3上を移動するFOUP2を摘出し、且つ、コンベア3上にFOUP2を載置するピックアップロボット40と、FOUP2の搬入用及び搬出用のポート30と、FOUP2を保管する棚10a及び10bと、ポート30に載置されるFOUP2を棚10a又は10bに移送し、且つ、棚10a又は10bに保管されるFOUP2をポート30に移送するスタッカクレーン20とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ストッカに関し、特に、製造過程にある被搬送物を搬送するコンベアに隣接して配置されるストッカに関する。
【背景技術】
【0002】
ストッカは、半導体製造過程において、次の工程待ちのウエハが収容されるFOUP(Front-Opening Unified Pod)を一時的に保管する設備である。半導体製造工場において、FOUPは所定の半導体製造装置での処理の後、OHT(Over head Hoist Transport)、OHS(Over Head Shuttle)、AGV(Automated Guided Vehicle)などの無人搬送台車によってストッカに搬入して保管される。そして、次工程を実施する半導体処理装置から搬送要求が出されると、当該半導体処理装置で次の処理を受けるため、ストッカから上記した無人搬送台車により搬出され、当該半導体処理装置まで搬送される。
【0003】
一方、最近の半導体製造工場では、生産能力アップの要請が強く、従来のOHT、OHS、AGVなどの無人搬送台車より更に搬送効率を向上させ得るコンベア搬送装置が実用化されている。コンベア搬送を適用した搬送システムの工場の一例を図11に示す。図11は、環状の工程間ローラコンベアと環状の工程内ローラコンベアを有するローラコンベア搬送システム全体の平面図である。図11を参照して、従来の一例によるローラコンベア搬送システム100について説明する。
【0004】
従来のローラコンベア搬送システム100は、環状の工程間ローラコンベア101の周囲に4つの環状の工程内ローラコンベア102が設けられている。工程間ローラコンベア101と工程内ローラコンベア102とはポート103で結ばれる。また、各ポート103には、工程間ローラコンベア101上にターンテーブル101aが設けられるとともに、工程内ローラコンベア102上にターンテーブル102aが設けられる。そして、ターンテーブル101a及び102aにおいて、輸送されるFOUP104の輸送方向が変更される。
【0005】
また、工程間ローラコンベア101の4隅には、4つのターンテーブル101bが設けられるとともに、工程内ローラコンベア102の4隅には、4つのターンテーブル102bが設けられている。そして、FOUP104は、このターンテーブル101b及び102b上で90度方向転換され工程間ローラコンベア101及び工程内ローラコンベア102上を周回輸送される。
【0006】
また、FOUP104を一時的に保管するストッカ105が工程間ローラコンベア101と接続する接続部分にもターンテーブル101c及び101dが設けられるとともに、半導体処理装置106が工程内ローラコンベア102と接続する接続部分にもターンテーブル102c及び102dが設けられている。ターンテーブル101cは、工程間ローラコンベア101上を搬送するFOUP104をストッカ105内に搬入させるために、FOUP104の搬送方向を90度回転させる。また、ターンテーブル101dは、ストッカ105から搬出するFOUP104の搬送方向を90度回転させて、工程間ローラコンベア101の搬送方向と一致させ、工程間ローラコンベア101上に送り出す。
【0007】
ところで、上記したローラコンベア搬送システム100に設置されるストッカとして、例えば特許文献1に記載のものがある。この特許文献1に開示されたストッカは、チェーンコンベアで搬送されたチェーンコンベア上の被搬送物(FOUP)を、ダブルリーチシャトルフォークでピックアップして、入庫ステーションに移載する。その後、スタッカクレーンが入庫ステーションのFOUPを棚に移送して保管する。
【0008】
【特許文献1】特開2000−264406号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
図11に示した従来のローラコンベア搬送システム100には次の問題がある。即ち、工程間ローラコンベア101からストッカ105のポートに引き込むには、工程間ローラコンベア101上のFOUP104をターンテーブル101c上で一旦静止させた後、当該ターンテーブル101cを90度回転させることにより、FOUP104の方向を転換してストッカ105のポートに引き込む。また、ストッカ105から工程間ローラコンベア101上にFOUP104を載置する場合にも、ターンテーブル101d上で一旦停止させた後、当該ターンテーブル101dを90度回転させることにより、FOUP104の方向を転換して工程間ローラコンベア101上に載置する。しかしながら、この工程間ローラコンベア101の停止とターンテーブル101c及び101dの回転動作は、搬送効率を著しく低下させ、本来高速搬送を目的としたコンベア搬送においては致命的な弱点になる。
【0010】
また、特許文献1に開示されたストッカを図11に示したローラコンベア搬送システム100に適用した場合でも、チェーンコンベアにFOUP104を引き込む場合に、コンベア上のFOUP104をターンテーブル101c上で一旦静止させた後、当該ターンテーブル101cを90度回転させて、チェーンコンベアにFOUP104を引き込む必要がある。また、特許文献1のストッカからコンベアにFOUP104を載置する場合に、チェーンコンベア上のFOUP104をターンテーブル101dで一旦停止させた後、当該ターンテーブル101dを90度回転させて、コンベアに載置する必要がある。その結果、搬送効率が著しく低下するという問題がある。
【0011】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、コンベアを停止させることなく被搬送物を移送することが可能なストッカを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0012】
上記目的を達成するために、この発明のストッカは、製造過程にある被搬送物を搬送するコンベアに隣接して配置されるストッカであって、コンベア上を移動する被搬送物を摘出し、且つ、コンベア上に被搬送物を載置する摘出・載置手段と、被搬送物の搬入用及び搬出用のポートと、被搬送物を保管する棚と、ポートに載置される被搬送物を棚に移送し、且つ、棚に保管される被搬送物をポートに移送する移送手段とを備えている。
【0013】
上記構成によれば、コンベア上を移動する被搬送物を棚に保管する場合に、摘出・載置手段を用いることにより、コンベア上を移動する被搬送物を摘出してポートに載置することができる。これにより、移送手段を用いて、ポートに載置された被搬送物を棚に保管することができる。また、棚に保管される被搬送物をコンベア上に載置する場合に、移送手段を用いることにより、棚に保管される被搬送物を移送してポートに載置することができる。これにより、摘出・載置手段を用いて、ポートに載置された被搬送物をコンベア上に載置することができる。これらの結果、コンベアを停止させることなく被搬送物を摘出及び載置して移送することができる。
【0014】
上記ストッカにおいて、好ましくは、摘出・載置手段は、被搬送物を把持する把持部と、把持部をコンベアの上方の位置及び前記ポートの上方の位置に配置する伸縮部と、把持部及び伸縮部を上下方向に移動させる昇降部とを有している。このように構成すれば、コンベア上を移動する被搬送物を棚に保管する場合に、把持部をコンベアの上方の位置に配置して、当該把持部でコンベア上の被搬送物を把持した後、当該把持部及び伸縮部を上方に移動させることにより、コンベアを停止させることなく、コンベア上の被搬送物を摘出することができる。また、棚に保管される被搬送物をコンベア上に載置する場合に、被搬送物を把持した把持部をコンベアの上方の位置に配置して、当該把持部及び伸縮部を下方に移動させた後、把持した被搬送物を放すことにより、コンベアを停止させることなく、コンベア上に被搬送物を載置することができる。
【0015】
上記摘出・載置手段が把持部、伸縮部及び昇降部を有するストッカにおいて、好ましくは、把持部は、平面視コの字状のフィンガを含み、コンベア上の被搬送物を摘出する場合には、平面視コの字状のフィンガの開口部をコンベア側に配置した状態で、当該フィンガをコンベアの上方の位置に移動させ、コンベア上に被搬送物を載置する場合には、平面視コの字状のフィンガの開口部をコンベア側に配置した状態で、当該フィンガをコンベアの上方の位置から退避させる。このように構成すれば、コンベア上の被搬送物を摘出する場合に、把持部をコンベアの上方の位置に移動させるだけで、コンベア上の被搬送物がフィンガの開口部に入り込み、当該被搬送物が把持部に把持される。その結果、コンベアを停止させることなく、被搬送物を把持することができる。また、コンベア上に被搬送物を載置する場合に、把持部をコンベアの上方の位置から退避させるだけで、コンベア上を移動しようとする被搬送物がフィンガの開口部から放出され、当該被搬送物がコンベア上に載置される。その結果、コンベアを停止させることなく、被搬送物をコンベア上に載置することができる。
【0016】
上記摘出・載置手段が把持部、伸縮部及び昇降部を有するストッカにおいて、好ましくは、把持部は、平面視コの字状のフィンガを含み、コンベア上の被搬送物を摘出する場合には、平面視コの字状のフィンガの開口部をコンベアの上流側に配置して、コンベア上に被搬送物を載置する場合には、平面視コの字状のフィンガの開口部をコンベアの下流側に配置する。このように構成すれば、コンベア上の被搬送物を摘出する場合に、コンベア上を上流側から下流側に搬送される被搬送物がフィンガの開口部に入り込み、当該被搬送物が把持部に把持される。その結果、コンベアを停止させることなく、被搬送物を把持することができる。また、コンベア上に被搬送物を載置する場合に、コンベア上を上流側から下流側に搬送される被搬送物がフィンガの開口部から放出され、被搬送物が下流側に搬送される。その結果、コンベアを停止させることなく、被搬送物をコンベア上に載置することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0018】
図1及び図2は、それぞれ本発明の一実施形態に係るストッカとコンベアとを示した平面図及び側面図である。図3は、図1に示したストッカのピックアップロボットの斜視図である。また、図4及び図5は、それぞれFOUPを搬送するコンベアの正面図及び側面図である。そして、図6は、コンベアからFOUPを摘出する動作を説明するための平面図であり、図7は、コンベアにFOUPを載置する動作を説明するための平面図である。
【0019】
本実施形態に係るストッカ1は、図1及び図2に示すように、半導体製造過程にある複数のウエハを収容するFOUP2を搬送するローラ式コンベア3に隣接して配置されている。このコンベア3は、FOUP2に収容されるウエハに各種処理(洗浄、成膜、レジスト、CVD(Chemical Vapor Deposition)、検査など)を施す装置間を接続して、所定の処理(例えば、洗浄処理)が施されたウエハを収容したFOUP2を、次工程の処理(例えば、CVD処理)を施す装置へ順次搬送する。この際、次の工程待ちのウエハを収容するFOUP2は、ストッカ1に一時的に保管される。
【0020】
ストッカ1は、図1及び図2に示すように、コンベア3に隣接し、且つ、コンベア3と平行に設置されている。このストッカ1は、棚10a及び10bと、棚10a及び10bの間をA1方向及びA2方向に移動するスタッカクレーン20と、FOUP2の搬入用及び搬出用のポート30と、ピックアップロボット40とを備えている。
【0021】
棚10a及び10bは、工程待ちのウエハが収容されるFOUP2を一時的に保管するために設けられている。この棚10a及び10bは、対向配置されており、コンベア3に平行に配置されている。また、各棚10a・10bは、複数段及び複数列からなり、複数個のFOUP2を保管することができるように構成されている。
【0022】
スタッカクレーン20は、ポート30に載置されるFOUP2を棚10a又は10bの所定の箇所に移送し、且つ、棚10a又は10bの所定の箇所に保管されるFOUP2をポート30に移送する。このスタッカクレーン20は、棚10a及び10bの間に敷設されるレール4に沿って走行する走行車21と、当該走行車21に設けられるスタッカロボット22とを備えている。
【0023】
走行車21は、コンベア3の搬送方向(A1方向)及びその反対方向(A2方向)に移動可能に構成されている。この走行車21は、スタッカロボット22が設けられる車体部21aと、レール4上を走行するための車輪21bとを有している。これにより、走行車21がレール4上を走行することにより、車体部21aに設けられるスタッカロボット22をA1方向及びA2方向に移動させること可能となる。
【0024】
スタッカロボット22は、走行車21の車体部21aを垂直方向(B方向)に移動可能に構成されている。このスタッカロボット22は、車体部21aを垂直方向(B方向)に移動する昇降機22aと、当該昇降機22aに設けられるリニアスライダ22bとを有している。そして、昇降機22aは、リニアスライダ22bを上昇させることにより、棚10a・10b又はポート30に載置されるFOUP2をすくい取らせる。これにより、リニアスライダ22bにすくい取られたFOUP2を、走行車21のA1方向及びA2方向への移動とスタッカロボット22の垂直方向B方向への移動とを組み合わせることにより、棚10a・10b又はポート30の所望の箇所に移送することが可能となる。
【0025】
ピックアップロボット40は、コンベア3上を移動するFOUP2を摘出してポート30に載置し、且つ、ポート30に載置されるFOUP2をコンベア3上に載置する。このピックアップロボット40は、図3に示すように、リニアスライダ41と、フィンガ42と、昇降機43とを備えている。
【0026】
リニアスライダ41は、1段アーム41a、2段アーム41b及び3段アーム41cを含み、各アーム41a〜41cがコンベア3の搬送方向(A1方向)と直交する方向(C方向)にスライドする。これにより、リニアスライダ41の先端に設けられるフィンガ42がコンベア3の上方の位置に配置される。
【0027】
フィンガ42は、平面視コの字状であって、コンベア3側に開口部42aが設けられている。そして、フィンガ42は、開口部42aの間隔を変化させるようにA方向に開閉可能に構成されている。そして、コンベア3上のFOUP2を摘出する場合には、フィンガ42の開口部42aをコンベア3側に配置した状態で、そのフィンガ42をコンベア3の上方の位置まで移動させる。これにより、開口部42aを介してフィンガ42とFOUP2のフランジ部2a(図4参照)とが係合して、FOUP2がフィンガ42に把持される。また、コンベア3上にFOUP2を載置する場合には、FOUP2を把持したフィンガ42の開口部42aをコンベア3側に配置した状態で、そのフィンガ42をコンベア3の上方の位置から退避させる。これにより、開口部42aを介してフィンガ42とFOUP2のフランジ部2aとの係合が解除されて、FOUP2がコンベア3上に載置される。
【0028】
昇降機43は、リニアスライダ41及びフィンガ42を垂直方向(B方向)に移動させるために設けられている。したがって、フィンガ42がFOUP2を把持した状態で、昇降機43を上昇させることにより、コンベア3上のFOUP2がすく上げられる。また、FOUP2を把持したフィンガ42を下降させた後、リニアスライダ41をC1方向にスライドさせることにより、コンベア3上にFOUP2が載置される。
【0029】
コンベア3は、図1及び図2に示すように、平行に設置された2本のコンベアレール3a及び3bを有し、コンベアレール3a及び3b上に載置されたFOUP2を矢印A1方向に搬送する。このコンベア3のコンベアレール3a及び3bは、複数個並列に配置されたコンベアブロック50から構成されている。各コンベアブロック50は、図4及び図5に示すように、主として支持フレーム21a側に設けられる5つの駆動ローラ51と、支持フレーム21aに対向配置される支持フレーム21bに設けられる5つの従動ローラ52と、駆動ローラ51の駆動源となる駆動モータ53と、図示しないコンベア制御装置とから構成されている。
【0030】
コンベアブロック50を構成する5つの駆動ローラ51は、図5に示すように、同一水平面上、且つ、一直線上に配置され、互いにFOUP2が落下しないような間隔で配置されている。この駆動ローラ51は、支持フレーム21aに対して回転可能に支持されるローラ軸51aと、当該ローラ軸51aに取り付けられる荷受部51b及びスプロケット51cとを有している。
【0031】
荷受部51bは、図4に示すように、ローラ軸51aに取り付けられるローラ部材51dと、FOUP2の底部が当接するウレタンゴム51eとを有している。ローラ部材51dは、外周にウレタンゴム51eが取り付けられる取付部51f及び鍔部51gが一体的に形成されている。この鍔部51gは、ウレタンゴム51e上を移動するFOUP2がコンベア軌道上から逸脱しないように外側への移動を強制的に規制する機能を有している。
【0032】
スプロケット51cは、荷受部51bの内側に取り付けられている。このスプロケット51cは、図5に示すように、駆動モータ53のモータ軸53aに取り付けられるスプロケット53bと同一平面上に配置されている。5つの駆動ローラ51のそれぞれに設けられたスプロケット51c及び駆動モータ53のモータ軸53aに取り付けられたスプロケット53bには、タイミングベルト54が装着されている。そして、タイミングベルト54の内周面に設けられる歯部54aと、スプロケット51c及び53bの外周面に設けられる歯部とが噛合している。これにより、駆動モータ53が駆動することにより、駆動モータ53のモータ軸53aに取り付けられるスプロケット53b及び駆動ローラ51のスプロケット51cが同期して回転する。
【0033】
また、支持フレーム21aには、2つのテンションローラ55が設けられており、当該テンションローラ55の外周面とタイミングベルト54の歯部54aが形成されない外周面とが当接している。このテンションローラは、タイミングベルト54に張力を与えるために設けられている。
【0034】
また、従動ローラ52は、上記した駆動ローラ51とほぼ同様の構成を有しているが、上記した駆動ローラ51と異なりスプロケットを有さず、タイミングベルトも装着されない。また、従動ローラ52が設けられる支持フレーム21bには、駆動源となるモータやテンションローラなどは設けられていない。
【0035】
コンベアレール3a及び3bにおけるFOUP2の搬送速度は、コンベアブロック50の駆動モータ53の回転を制御することによって、コンベアブロック50毎に制御可能である。したがって、上記したストッカ1に保管すべきFOUP2がポート30の対向区間に侵入すると、当該対向区間に該当するコンベアブロック50では、駆動モータ53の回転が低下されて、ピックアップロボット40による摘出を容易にする搬送速度に減速される。また、ピックアップロボット40がFOUP2をコンベア3上に載置する場合にも、コンベアレール3a及び3bの搬送速度は減速される。
【0036】
次に、図6及び図7を参照して、コンベアレール3aからFOUP2を摘出する動作、及び、コンベアレール3aにFOUP2を載置する動作について説明する。
【0037】
まず、コンベアレール3aからFOUP2を摘出する場合には、図6(a)に示すように、ストッカ1に一時的に保管されるFOUP2がコンベアレール3a上をA1方向に搬送される。そして、FOUP2がストッカ1のポート30に対向する位置まで搬送されたとき、当該FOUP2が載置されるコンベアブロック50の駆動モータ53の回転を低下させて、搬送速度を低下させる。これと同時に、ピックアップロボット40は、図6(b)に示すように、リニアスライダ41の1段アーム41a、2段アーム41b、3段アーム41cをC2方向に伸長させ、FOUP2のフランジ部2aとフィンガ42とを係合させた後、フィンガ42を閉じることにより、FOUP2がフィンガ42に把持される。そして、昇降機43を上昇させることにより、FOUP2がコンベアレール3aの僅か上方に持ち上げられる。そして、図6(c)に示すように、リニアスライダ41の各アーム41a〜41cをC1方向に縮退させ、FOUP2をポート30上の載置位置に位置合わせし、昇降機43を下降させFOUP2をポート30に載置する。
【0038】
この後、スタッカクレーン20のスタッカロボット22がポート30に載置されるFOUP2を摘出した後、棚10a又は10bの所定の位置までFOUP2を搬送し載置することにより、棚10a又は10bの所定の箇所にFOUP2が保管される。上記のようにして、コンベアレール3a上からFOUP2が摘出されて、棚10a又は10bに保管される。
【0039】
次に、コンベアレール3aにFOUP2を載置する場合には、図7(a)に示すように、フィンガ42がFOUP2を把持した状態で、リニアスライダ41の1段アーム41a、2段アーム41b、3段アーム41cをC2方向に伸長させる。この際、フィンガ42に把持されたFOUP2の下方に対応するコンベアブロック50の駆動モータ53の回転を低下させて、搬送速度を低下させる。そして、図7(b)に示すように、昇降機43を下降させることにより、FOUP2がコンベアレール3a上に載置される。これと同時に、図7(c)に示すように、リニアスライダ41の各アーム41a〜41cをC1方向に縮退させ、FOUP2とフィンガ42との係合を解除して、コンベアレール3a上にFOUP2を載置する。
【0040】
この後、コンベアレール3a上のFOUP2は、次の工程の処理が施される装置まで搬送される。上記のようにして、コンベアレール3a上にFOUP2が載置されて、当該コンベアレール3aによりFOUP2が次の工程の処理を施す装置に搬送される。
【0041】
ここでは、コンベアレール3a上のFOUP2を摘出する場合と、コンベアレール3b上にFOUP2を載置する場合とについて説明したが、コンベアレール3b上のFOUP2を摘出する場合も、コンベアレール3b上にFOUP2を載置する場合も同様の手順で行うことができる。
【0042】
本実施形態では、上記のように、コンベアレール3a及び3b上を移動するFOUP2を棚10a及び10bに保管する場合に、ピックアップロボット40を用いることにより、コンベアレール3a及び3b上を移動するFOUP2を摘出してポート30に載置することができる。これにより、スタッカクレーン20を用いて、ポート30に載置されたFOUP2を棚10a及び10bに保管することができる。また、棚10a及び10bに保管されるFOUP2をコンベアレール3a及び3b上に載置する場合に、スタッカクレーン20を用いることにより、棚10a及び10bに保管されるFOUP2を移送してポート30に載置することができる。これにより、ピックアップロボット40を用いて、ポート30に載置されたFOUP2をコンベアレール3a及び3b上に載置することができる。これらの結果、コンベアレール3a及び3bを停止させることなくFOUP2を摘出及び載置して移送することができる。
【0043】
また、本実施形態では、ピックアップロボット40を少なくともリニアスライダ41とフィンガ42と昇降機43とから構成することによって、コンベアレール3a及び3b上を移動するFOUP2を棚10a及び10bに保管する場合に、フィンガ42をコンベアレール3a及び3bの上方の位置に配置して、当該フィンガ42でコンベアレール3a及び3b上のFOUP2を把持した後、当該フィンガ42及びリニアスライダ41を上方に移動させることにより、コンベアレール3a及び3bを停止させることなく、コンベアレール3a及び3b上のFOUP2を摘出することができる。また、棚10a及び10bに保管されるFOUP2をコンベアレール3a及び3b上に載置する場合に、FOUP2を把持したフィンガ42をコンベアレール3a及び3bの上方の位置に配置して、当該フィンガ42及びリニアスライダ41を下方に移動させた後、把持したFOUP2を放すことにより、コンベアレール3a及び3bを停止させることなく、コンベアレール3a及び3b上にFOUP2を載置することができる。
【0044】
また、本実施形態では、コンベアレール3a及び3b上のFOUP2を摘出する場合には、平面視コの字状のフィンガ42の開口部42aをコンベアレール3a及び3b上を移動するFOUP2側に配置した状態で、フィンガ42をコンベアレール3a及び3bの上方の位置に移動させる。また、コンベアレール3a及び3b上にFOUP2を載置する場合には、平面視コの字状のフィンガ42の開口部42aをコンベアレール3a及び3b上を移動するFOUP2側に配置した状態で、フィンガ42をコンベアレール3a及び3bの上方の位置から退避させる。このように構成すれば、コンベアレール3a及び3b上のFOUP2を摘出する場合に、フィンガ42をコンベアレール3a及び3bの上方の位置に移動させるだけで、コンベアレール3a及び3b上のFOUP2がフィンガ42の開口部42aに入り込み、当該FOUP2がフィンガ42に把持される。その結果、コンベアレール3a及び3bを停止させることなく、FOUP2を把持することができる。また、コンベアレール3a及び3b上にFOUP2を載置する場合に、フィンガ42をコンベアレール3a及び3bの上方の位置から退避させるだけで、コンベアレール3a及び3b上を移動しようとするFOUP2がフィンガ42の開口部42aから放出され、当該FOUP2がコンベアレール3a及び3b上に載置される。その結果、コンベアレール3a及び3bを停止させることなく、FOUP2をコンベアレール3a及び3b上に載置することができる。
【0045】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0046】
例えば、上記実施形態では、ピックアップロボット40は、コンベアレール3a及び3b側に開口部42aが設けられたフィンガ42をC方向に移動させることにより、コンベアレール3a又は3b上のFOUP2を把持したり、コンベアレール3a又は3bにFOUP2を載置したりしたが、本発明はこれに限らず、図8に示した変形例に係るピックアップロボット140を用いてもよい。具体的には、ピックアップロボット140のフィンガ142は、開口部142aがコンベアレール3aの上流側、且つ、コンベアレール3bの下流側に配置される。そして、コンベアレール3a又は3b上のFOUP2を摘出する場合には、図9(a)及び(b)に示すように、平面視コの字状のフィンガ142の開口部142aをコンベアレール3a及び3bの上流側に配置して、コンベアレール3a又は3b上にFOUP2を載置する場合には、図10(a)及び(b)に示すように、平面視コの字状のフィンガ142の開口部142aをコンベアの下流側に配置する。このように構成すれば、コンベアレール3a又は3b上のFOUP2を摘出する場合に、コンベアレール3a又は3b上を上流側から下流側に搬送されるFOUP2がフィンガ142の開口部142aに入り込み、当該FOUP2がフィンガ142に把持される。その結果、コンベアレール3a又は3bを停止させることなく、FOUP2を把持することができる。また、コンベアレール3a又は3b上にFOUP2を載置する場合に、コンベアレール3a又は3b上を上流側から下流側に搬送されるFOUP2がフィンガ142の開口部142aから放出され、FOUP2が下流側に搬送される。その結果、コンベアレール3a又は3bを停止させることなく、FOUP2をコンベアレール3a又は3b上に載置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の一実施形態に係るストッカとコンベアとを示した平面図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るストッカとコンベアとを示した側面図である。
【図3】図1に示したストッカのピックアップロボットの斜視図である。
【図4】FOUPを搬送するコンベアの正面図である。
【図5】FOUPを搬送するコンベアの側面図である。
【図6】図1に示したストッカのピックアップロボットがコンベアからFOUPを摘出する動作を説明するための平面図である。
【図7】図1に示したストッカのピックアップロボットがコンベアにFOUPを載置する動作を説明するための平面図である。
【図8】本発明の一実施形態の変形例に係るピックアップロボットの斜視図である。
【図9】図8に示した変形例に係るピックアップロボットがコンベアからFOUPを摘出する動作を説明するための平面図である。
【図10】図8に示した変形例に係るピックアップロボットがコンベアにFOUPを載置する動作を説明するための平面図である。
【図11】工程間ローラコンベアと工程内ローラコンベアを有する従来の一例のローラコンベア搬送システム全体の平面図である。
【符号の説明】
【0048】
1 ストッカ
2 FOUP(被搬送物)
3 コンベア
10a、10b 棚
20 スタッカクレーン(移送手段)
30 ポート
40、140 ピックアップロボット(摘出・載置手段)
41 リニアスライダ(伸縮部)
42、142 フィンガ(把持部)
42a、142a 開口部
43 昇降機(昇降部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
製造過程にある被搬送物を搬送するコンベアに隣接して配置されるストッカであって、
前記コンベア上を移動する被搬送物を摘出し、且つ、前記コンベア上に被搬送物を載置する摘出・載置手段と、
前記被搬送物の搬入用及び搬出用のポートと、
前記被搬送物を保管する棚と、
前記ポートに載置される被搬送物を前記棚に移送し、且つ、前記棚に保管される前記被搬送物を前記ポートに移送する移送手段とを備えることを特徴とする、ストッカ。
【請求項2】
前記摘出・載置手段は、
前記被搬送物を把持する把持部と、
前記把持部を前記コンベアの上方の位置及び前記ポートの上方の位置に配置する伸縮部と、
前記把持部及び前記伸縮部を上下方向に移動させる昇降部とを有していることを特徴とする、請求項1に記載のストッカ。
【請求項3】
前記把持部は、平面視コの字状のフィンガを含み、
前記コンベア上の被搬送物を摘出する場合には、前記平面視コの字状のフィンガの開口部を前記コンベア側に配置した状態で、当該フィンガを前記コンベアの上方の位置に移動させ、
前記コンベア上に被搬送物を載置する場合には、前記平面視コの字状のフィンガの開口部を前記コンベア側に配置した状態で、当該フィンガを前記コンベアの上方の位置から退避させることを特徴とする、請求項2に記載のストッカ。
【請求項4】
前記把持部は、平面視コの字状のフィンガを含み、
前記コンベア上の被搬送物を摘出する場合には、前記平面視コの字状のフィンガの開口部を前記コンベアの上流側に配置して、
前記コンベア上に被搬送物を載置する場合には、前記平面視コの字状のフィンガの開口部を前記コンベアの下流側に配置することを特徴とする、請求項2に記載のストッカ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2008−174357(P2008−174357A)
【公開日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−9836(P2007−9836)
【出願日】平成19年1月19日(2007.1.19)
【出願人】(302059274)アシスト テクノロジーズ ジャパン株式会社 (146)
【Fターム(参考)】