説明

スロットル制御装置

【課題】スロットル制御装置において、アクセル操作を一定に保つのが苦手な運転者にでも、一定の車両速度を容易に維持させることにある。
【解決手段】エンジン制御手段(3)は、アクセル操作量検出手段(7)に連絡するとともに、地図データ記憶手段(3A)と、自車位置情報取得手段(3B)と、地図データと自車位置情報とから自車両走行中の道路が高速道路走行中かどうかを判定する高速道路走行判定手段(3C)と、アクセル操作量に基づいてスロットル開度量を変更するスロットル開度制御手段(3D)とを備えている。このスロットル開度制御手段(3D)は、自車両が高速道路走行中と判定された時に、スロットル開度変化率を変更するスロットル開度変化率制御(なまし制御)を実施する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、スロットル制御装置に係り、特にカーナビゲーション装置から高速道路走行中かどうかの情報をエンジン制御手段(ECU)が受け取ってスロットル開度を制御するスロットル制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両には、車両走行状態やエンジン運転状態に応じて電子的に操作されるスロットルバルブを開閉動作し、スロットル開度を制御するスロットル制御装置を設けているものがある。このスロットル制御装置においては、アクセルペダルの踏み込み状態であるアクセル操作量の変化に対して、スロットル開度を変化させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−249053号公報
【特許文献2】特開平10−9013号公報 特許文献1に係る車両用制御装置は、カーナビゲーション装置の経路誘導機能を使用している場合に限り、自車位置に対応した制御パターンへの自車切替えを行うとともに、自動変速機のみならず、スロットルアクチュエータとブレーキの制御パターンも自動的に切り替えるものである。 特許文献2に係る内燃機関のスロットル制御装置は、アクセル操作量の遷移状態に応じてスロットル開度変化率を可変制御し、加減速時のドライバビリティ等を向上するものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記の特許文献1に係る車両用制御装置においては、自車位置の道路情報に対応してスロットルアクチュエータを制御しているが、高速道路走行時のスロットル開度制御について具体的に開示されていない。また、上記の特許文献2に係る内燃機関のスロットル制御装置においては、動力性能及びドライバビリティを得るとともにエミッション悪化を抑止する目的で、スロットル開度をなます制御を実施しているが、高速道路走行中の制御については言及していない。更に、従来のスロットル制御装置においては、アクセル操作量の変化に対するスロットル開度の変化特性が、1種類(固定)であった。
このため、従来では、特に、高車速領域では、運転者によっては一定の車両速度に維持することが難しかった。
【0005】
そこで、この発明の目的は、自車両が高速道路走行中に、アクセル操作を一定に保つのに苦手な運転者にでも、一定の車両速度に容易に維持させることができるスロットル制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、車両に搭載されたエンジンを制御するエンジン制御手段によりスロットル開度を制御するスロットル制御装置において、前記エンジン制御手段は、アクセル操作量を検出するアクセル操作量検出手段に連絡するとともに、地図データを記憶する地図データ記憶手段と、自車位置情報を取得する自車位置情報取得手段と、前記地図データ記憶手段に記憶された地図データと前記自車位置情報取得手段により取得された自車位置情報とから自車両走行中の道路が高速道路走行中かどうかを判定する高速道路走行判定手段と、前記アクセル操作量検出手段により検出されたアクセル操作量に基づいてスロットル開度量を変更するスロットル開度制御手段とを備え、このスロットル開度制御手段は、前記高速道路走行判定手段により自車両が高速道路走行中と判定された時にスロットル開度変化率を変更するスロットル開度変化率制御を実施することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
この発明のスロットル制御装置は、自車両が高速道路走行中に、アクセル操作に対して通常のスロットル制御よりもスロットル開度が遅れて制御されるので、アクセル操作を一定に保つのが苦手な運転者にでも、一定の車両速度を容易に維持させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1はスロットル制御装置のシステム構成図である。
【図2】図2はスロットル制御のフローチャートである。
【図3】図3はスロットル開度の変化状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
この発明は、高速道路走行中に、アクセル操作を一定に保つのが苦手な運転者にでも、一定の車両速度を容易に維持させる目的を、アクセル操作に対してスロットル開度を通常のスロットル制御よりも遅らせて実現する。
以下、図面に基づいてこの発明の実施例を詳細且つ具体的に説明する。
【実施例】
【0010】
図1〜図3は、この発明の実施例を示すものである。
図1において、1は車両に搭載されるエンジン、2はスロットル制御装置、3はエンジン1を制御するエンジン制御手段(ECU)である。
エンジン1には、エンジン制御手段3で電子的に操作された開閉動作するスロットルバルブ4が設けられている。
エンジン制御手段3には、地図データや車両走行状態の情報が入力されるカーナビゲーション装置5と、アクセルペダル6の踏み込み量であるアクセル操作量を検出するアクセル操作量検出手段7と、スロットルバルブ4の開閉状態であるスロットル開度量を検出するスロットル開度検出手段8とが連絡している。
【0011】
エンジン制御手段3は、カーナビゲーション装置5から取得した地図データを記憶する地図データ記憶手段3Aと、カーナビゲーション装置5からの自車位置情報を取得する自車位置情報取得手段3Bと、地図データ記憶手段3Aに記憶された地図データと自車位置情報取得手段3Bにより取得された自車位置情報とから自車両走行中の道路が高速道路走行中かどうかを判定する高速道路走行判定手段3Cと、アクセル操作量検出手段7により検出されたアクセル操作量に基づいてスロットル開度量を変更するスロットル開度制御手段3Dとを備えている。
【0012】
このスロットル開度制御手段3Dは、図3に示すように、アクセル操作があった場合に(時間t1)(図3の一点鎖線で示す)、自車両が一般道の走行中では、そのアクセル操作に基づいてスロットル開度が直ぐに大きくなり(時間t2)、そして、アクセル操作があった時(時間t1)から所定時間(T1)経過した時に(時間t3)、スロットル開度が所定値(TH)到達する、いわゆる通常のスロットル制御(図3の破線で示す)を実施する一方、高速道路走行判定手段3Cにより自車両が高速道路走行中と判定された時には、上記の通常のスロットル制御(図3の破線で示す)と比べて、アクセル操作に対してスロットル開度変化率を変更するように、つまり、アクセル操作があった時(時間t1)から所定時間(T2)経過した時(時間t4)にスロットル開度が所定値(TH)に到達させる、いゆわるスロットル開度変化率制御(なまし制御)(図3の実線で示す)を実施する。ここで、T1<T2の関係がある。
また、スロットル開度制御手段3Dは、スロットル開度が50%を超えている時に、運転者に加速の意思があると判断し、自車両が高速道路走行中であっても、スロットル開度変化率制御(図3の実線で示す)を通常のスロットル制御(図3の破線で示す)に戻すものである。
【0013】
次に、この実施例に係るスロットル制御を、図2のフローチャートに基づいて説明する。
図2に示すように、エンジン制御手段3のプログラムがスタートすると(ステップA01)、先ず、自車両が高速道路上かどうかを判断する(ステップA02)。
このステップA02がYESで、自車両が高速道路上の場合には、スロットル開度が50%以下か否かを判断し(ステップA03)、このステップA03がYESで、スロットル開度が50%以下の場合には、スロットル開度変化率を変更するスロットル開度変化率制御(なまし制御)を実施する(ステップA04)。
これにより、自車両が高速道路走行中の時に、アクセル操作に対してスロットル開度が通常のスロットル制御よりも遅れて制御されるため、アクセル操作を一定に保つのが苦手な運転者にでも、つまり、アクセルペダル6を一定の踏み込み量に維持できず常に動かしている車両の走行状態でも、一定の車両速度を容易に維持させることできる。
一方、前記ステップA02がNOで、自車両が高速道路上でない場合、及び、前記ステップA03がNOで、スロットル開度が50%を超えている場合には、運転者に加速の意思があると判断し、通常のスロットル制御に戻す(ステップA05)。
これにより、自車両が高速道路走行中でも、スロットル開度が50%を超えている時には、運転者に加速の意思があると判断して通常のスロットル制御に戻すので、加速遅れをなくし、ドライバビリティを悪化させるおそれをなくすることができる。
前記ステップA04の処理後又は前記ステップA05の処理後は、プログラムをリターンする(ステップA06)。
【0014】
この結果、この実施例においては、カーナビゲーション装置5から自車両が高速道路を走行中かどうかの情報をエンジン制御手段(ECU)3が受け取ってスロットル開度を制御することから、自車両が高速道路を走行中に、スムーズな車両走行を確保することができる。
【産業上の利用可能性】
【0015】
この発明のスロットル制御装置を、カーナビゲーション装置以外の機器を備えた車両にも適用可能である。
【符号の説明】
【0016】
1 エンジン
2 スロットル制御装置
3 エンジン制御手段
3A 地図データ記憶手段
3B 自車位置情報取得手段
3C 高速道路走行判定手段
3D スロットル開度制御手段
4 スロットルバルブ
5 カーナビゲーション装置
6 アクセルペダル
7 アクセル操作量検出手段
8 スロットル開度検出手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載されたエンジンを制御するエンジン制御手段によりスロットル開度を制御するスロットル制御装置において、前記エンジン制御手段は、アクセル操作量を検出するアクセル操作量検出手段に連絡するとともに、地図データを記憶する地図データ記憶手段と、自車位置情報を取得する自車位置情報取得手段と、前記地図データ記憶手段に記憶された地図データと前記自車位置情報取得手段により取得された自車位置情報とから自車両走行中の道路が高速道路走行中かどうかを判定する高速道路走行判定手段と、前記アクセル操作量検出手段により検出されたアクセル操作量に基づいてスロットル開度量を変更するスロットル開度制御手段とを備え、このスロットル開度制御手段は、前記高速道路走行判定手段により自車両が高速道路走行中と判定された時にスロットル開度変化率を変更するスロットル開度変化率制御を実施することを特徴とするスロットル制御装置。
【請求項2】
前記スロットル制御手段は、スロットル開度が50%を超えている時に、前記スロットル開度変化率制御を通常のスロットル制御に戻すことを特徴とする請求項1に記載のスロットル制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−280318(P2010−280318A)
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−136072(P2009−136072)
【出願日】平成21年6月5日(2009.6.5)
【出願人】(000002082)スズキ株式会社 (3,196)
【Fターム(参考)】