説明

ズームレンズ及び撮像装置

【課題】カメラの厚み方向が薄く、全長が短いながらもFナンバーの明るさを維持し、更に諸収差が良好に補正されたズームレンズ。
【解決手段】物体側より順に、正の屈折力を有する第1レンズ群、負の屈折力を有する第2レンズ群、正の屈折力を有する第3レンズ群、正の屈折力を有する第4レンズ群、及び負の屈折力を有する第5レンズ群を有し、各レンズ群の間隔を変えることにより変倍を行うズームレンズにおいて、前記第1レンズ群は、負レンズを有し、以下の条件式を満足することを特徴とするズームレンズ。
1n>1.90
ν1n<25
但し、n1n:前記負レンズのd線における屈折率、ν1n:前記負レンズのアッベ数

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、CCD(電荷結合素子)やCMOS(相補型金属酸化物半導体)を備えたデジタルカメラやビデオカメラ等に好適であり、変倍比が2.5以上で広角端の画角が60度程度であって、カメラの厚み寸法を薄くすることが可能なズームレンズ、及び該ズームレンズを備えた撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
CCDやCMOSを用いたデジタルスチルカメラやビデオカメラにおいては、カメラの厚みが薄くできるズームレンズの需要が高まっている。厚みが薄いタイプのカメラには、プリズム等の反射光学素子を用いて光軸を90度折り曲げる屈曲光学系が多く用いられており、特許公報に開示されている(例えば、特許文献1,2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−34064号公報
【特許文献2】特開2007−219316号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1,2においては、3群構成と簡素ではあるが、プリズムが厚く広角端のFナンバーが暗かったり、4群構成でFナンバーが比較的明るいが、やはりプリズムが厚く光学全長が長かったりし、コンパクト性や明るさを同時に満たすことが困難であった。
【0005】
本発明はかかる問題に鑑みてなされたものであり、カメラの厚み方向が薄く、全長が短いながらもFナンバーの明るさを維持し、更に諸収差が良好に補正されたズームレンズ及び該ズームレンズを備えた撮像装置を提供することを発明の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的は、下記に記載した発明により達成される。
【0007】
1.撮像素子の撮像面に被写体像を結像させるためのズームレンズであって、物体側より順に、正の屈折力を有する第1レンズ群、負の屈折力を有する第2レンズ群、正の屈折力を有する第3レンズ群、正の屈折力を有する第4レンズ群、及び負の屈折力を有する第5レンズ群を有し、前記第2レンズ群、前記第4レンズ群、及び前記第5レンズ群を光軸に沿って移動させることにより変倍を行うズームレンズにおいて、
前記第1レンズ群は、光線を反射させることで光路を折り曲げる作用を有する反射光学素子と、正レンズと、以下の条件式を満足する負レンズとを有することを特徴とするズームレンズ。
【0008】
1n>1.90 (1)
ν1n<25 (2)
但し、
1n:前記負レンズのd線における屈折率
ν1n:前記負レンズのアッベ数
2.前記負レンズは、以下の条件式を満足することを特徴とする前記1に記載のズームレンズ。
【0009】
1n>1.93 (3)
ν1n<20 (4)
但し、
1n:前記負レンズのd線における屈折率
ν1n:前記負レンズのアッベ数
正負正正4群構成からなるズームレンズは正レンズ群先行の代表的なレンズタイプであるが、このタイプのズームレンズでは第2レンズ群の移動のみで変倍を行う場合が多い。この方式では単一群のみに変倍負荷がかかり、ズームレンズをコンパクトにしようとすると変倍群のパワーが増大する傾向がある。これにより、ズームレンズの光学性能劣化や誤差感度増加が起こる恐れがある。この光学性能劣化や誤差感度増加を避ける為に、変倍時のレンズ群の移動量を増加させると、今度はズームレンズのコンパクト性が失われてしまう虞がある。
【0010】
前記1.の構成のように、2つ以上のレンズ群の移動による変倍を行えば、それぞれのレンズ群に変倍機能を分担させることができるので、レンズ群のパワーが大きくなり過ぎたり、変倍時のレンズ群の移動量が多くなり過ぎたりせず、コンパクト性と良好な光学特性を両立させることが可能である。また、第2レンズ群と第4レンズ群の移動によって変倍時に生じるピント移動を、他のレンズ群の移動で補正させることができ、コンパクト且つ良好な光学特性を備えたズームレンズが達成できる。
【0011】
また、前記1.の構成のように、第1レンズ群内に反射光学素子を配置させ、光路を折り曲げることで、第2レンズ群以降のレンズ群により光路を折り曲げるよりも、カメラの厚み方向を薄くすることができる。
【0012】
また、第1レンズ群内に負レンズと正レンズを配置することで、第1レンズ群で発生する非点収差や倍率色収差などを小さく押さえることが可能である。
【0013】
上記負レンズを、条件式(1)を満たすようにすれば、比較的緩い曲率半径で所望の負の屈折力を得ることができるため、歪曲収差等の発生を小さく抑えることができたり、前玉径を小さくしたりすることが可能である。また、第1レンズ群は正の屈折力を有するため、条件式(2)のように、このレンズ群内の負レンズに比較的大きい色分散を持たせることで、第1レンズ群内の色消しが効果的に行われ、良好な光学性能を得ることができる。更に、前記2.のように条件式(3),(4)を満たせば、前記効果はより高まる。
【0014】
3.前記第1レンズ群は、前記反射光学素子より物体側に負レンズを有し、以下の条件式を満足することを特徴とする前記1又は2に記載のズームレンズ。
【0015】
3<dL1PR/(2Y/f)<7 (5)
但し、
L1PR:前記負レンズの物体側の頂点から前記反射光学素子の反射面までの光軸上の距離
2Y:前記撮像素子の対角長
:広角端における全系の焦点距離
4.前記第1レンズ群は、前記反射光学素子より物体側に負レンズを有し、以下の条件式を満足することを特徴とする前記1又は2に記載のズームレンズ。
【0016】
4<dL1PR/(2Y/f)<6 (6)
但し、
L1PR:前記負レンズの物体側の頂点から前記反射光学素子の反射面までの光軸上の距離
2Y:前記撮像素子の対角長
:広角端における全系の焦点距離
上記3、4の構成のように反射光学素子より物体側に負レンズを配置することにより、軸外光線角度を小さくすることができるので、反射光学素子の口径を小さくすることができ、カメラの厚みを薄くすることが可能である。
【0017】
条件式(5)は、第1レンズ群において、反射光学素子より前に位置する負レンズの物体側面から反射光学素子の反射面までの光軸上の距離dL1PRと、撮像素子の対角長2Yと、広角端におけるレンズ全系の焦点距離fの関係を規定したものである。条件式(5)の値が下限値以上であれば、広角端の画角に対して、反射光学素子より前に位置する負レンズの物体側面から反射光学素子の反射面までの距離が小さ過ぎないので、広角端の前玉径を小さくするために軸外収差補正に無理が生じず、良好な光学性能を保つことができる。条件式(5)の値が上限値以下であれば、カメラの厚み寸法が大きくなり過ぎることによってコンパクト性を損なうことがない。更に、条件式(6)を満たすと前記効果がより高まる。
【0018】
5.前記第2レンズ群は、以下の条件式を満足する正レンズと、負レンズとを有することを特徴とする前記1〜4の何れかに記載のズームレンズ。
【0019】
2p>1.90 (7)
ν2p<25 (8)
但し、
2p:前記正レンズのd線における屈折率
ν2p:前記正レンズのアッベ数
上記5.の構成のように、第2レンズ群内に負レンズと正レンズを配置し、正レンズに光屈折率高分散硝材を用いることで、このレンズ群で発生する非点収差や倍率色収差等を小さく抑えることが可能である。特に、正レンズに関しては条件式(7),(8)を満たすことが望ましい。このように正レンズに屈折率の高い硝材を使用することにより、正のペッツバール和が小さくなり、像面湾曲を抑えることも可能である。
【0020】
6.撮像素子の撮像面に被写体像を結像させるためのズームレンズであって、物体側より順に、正の屈折力を有する第1レンズ群、負の屈折力を有する第2レンズ群、正の屈折力を有する第3レンズ群、正の屈折力を有する第4レンズ群、及び負の屈折力を有する第5レンズ群を有し、前記第2レンズ群、前記第4レンズ群、及び前記第5レンズ群を光軸に沿って移動させることにより変倍を行うズームレンズにおいて、
前記第1レンズ群は、光線を反射させることで光路を折り曲げる作用を有する反射光学素子を有し、
前記第2レンズ群は、以下の条件式を満足する正レンズと、少なくとも1枚の負レンズとを有することを特徴とするズームレンズ。
【0021】
2p>1.90 (7)
ν2p<25 (8)
但し、
2p:前記正レンズのd線における屈折率
ν2p:前記正レンズのアッベ数
7.前記正レンズは、以下の条件式を満足することを特徴とする前記6に記載のズームレンズ。
【0022】
2p>1.93 (9)
ν2p<20 (10)
但し、
2p:前記正レンズのd線における屈折率
ν2p:前記正レンズのアッベ数
前記6.の構成のように、2つ以上のレンズ群の移動による変倍を行えば、それぞれのレンズ群に変倍機能を分担させることができるので、レンズ群のパワーが大きくなり過ぎたり、変倍時のレンズ群の移動量が多くなり過ぎたりせず、コンパクト性と良好な光学特性を両立させることが可能である。また、第2レンズ群と第4レンズ群の移動によって変倍時に生じるピント移動を、他のレンズ群の移動で補正させることができ、コンパクト且つ良好な光学特性を備えたズームレンズが達成できる。
【0023】
また、上記6.の構成のように、第1レンズ群内に反射光学素子を配置させ、光路を折り曲げることで、第2レンズ群以降のレンズ群により光路を折り曲げるよりも、カメラの厚み方向を薄くすることができる。
【0024】
また、上記6.の構成のように、第2レンズ群内に負レンズと正レンズを配置し、正レンズに光屈折率高分散硝材を用いることで、このレンズ群で発生する非点収差や倍率色収差等を小さく抑えることが可能である。特に、正レンズに関しては条件式(7),(8)を満たすことが望ましく、更に、条件式(9),(10)を満たすと前記効果がより高まる。このように正レンズに屈折率の高い硝材を使用することにより、正のペッツバール和が小さくなり、像面湾曲を抑えることも可能である。
【0025】
8.前記第1レンズ群は正レンズと以下の条件式を満足する負レンズとを有することを特徴とする前記6又は7に記載のズームレンズ。
【0026】
1n>1.90 (1)
ν1n<25 (2)
但し、
1n:前記負レンズのd線における屈折率
ν1n:前記負レンズのアッベ数
上記8.の構成のように、第1レンズ群内に負レンズと正レンズを配置することで、第1レンズ群で発生する非点収差や倍率色収差などを小さく押さえることが可能である。
【0027】
上記負レンズを、条件式(1)を満たすようにすれば、比較的緩い曲率半径で所望の負の屈折力を得ることができるため、歪曲収差等の発生を小さく抑えることができたり、前玉径を小さくしたりすることが可能である。また、第1レンズ群は正の屈折力を有するため、条件式(2)のように、このレンズ群内の負レンズに比較的大きい色分散を持たせることで、第1レンズ群内の色消しが効果的に行われ、良好な光学性能を得ることができる。
【0028】
9.前記ズームレンズは、以下の条件式を満足することを特徴とする前記1〜8の何れか1項に記載のズームレンズ。
【0029】
0.4<|f/f|<1.0 (11)
但し、
:前記第2レンズ群の焦点距離
:広角端における全系の焦点距離
10.前記ズームレンズは、以下の条件式を満足することを特徴とする前記1〜8の何れか1項に記載のズームレンズ。
【0030】
0.5<|f/f|<0.9 (12)
但し、
:前記第2レンズ群の焦点距離
:広角端における全系の焦点距離
第2レンズ群の焦点距離が条件式(11)を満たすようにすることで、次のような利点が得られる。即ち、条件式(11)の下限値を上回ることで、適度に第2レンズ群の負の屈折力を維持することができ、所望のズーム比を得る上で、第2レンズ群の移動量を小さくすることができる。これにより、ズームレンズの全長を短くすることができる。また、条件式(11)の上限値を下回ることで、第2レンズ群の負の屈折力が大きくなり過ぎず、第2レンズ群での収差の発生や偏芯・形状誤差による収差変動を抑えることができる。更に、条件式(12)を満たすと前記効果がより高まる。
【0031】
11.前記第3レンズ群は、その近傍に開口絞りが配置され、少なくとも1面に非球面を有し、変倍に際し固定されていることを特徴とする前記1〜10の何れか1項に記載のズームレンズ。
【0032】
開口絞りを本ズームレンズの略中央部にあたる第3レンズ群近辺に設けることによって、軸外収差をバランスよく補正でき、前玉径と後玉径に大きな差が生じ難くなるため、カメラ厚み方向のレンズユニット形状を平坦にし易く、カメラのレイアウトをし易くしたりする等の利点がある。更に、第3レンズ群付近は撮像素子から充分に離れて位置しているので、CCD・CMOS光学系で要求されるテレセントリック性も充分に確保し易い。
【0033】
また、第3レンズ群は開口絞り近辺に位置するため、球面収差、コマ収差等への影響が大きいが、このレンズ群に非球面を配置することで、これらの収差を良好に補正することが可能である。特に、Fナンバーの明るい光学系にしようとすると、ここを通過する光束径は太くなるが、その際にも非球面による収差補正効果は大きい。
【0034】
12.前記第3レンズ群は、正レンズ1枚から構成されていることを特徴とする前記1〜11の何れか1項に記載のズームレンズ。
【0035】
上記12.の構成のように、第3レンズ群を正レンズ1枚から構成することにより、第3レンズ群の占める体積が小さくて済み、第2レンズ群及び第4レンズ群の変倍時の可動領域を確保し易い。
【0036】
13.前記第4レンズ群の最も物体側に位置するレンズは、少なくとも1面に非球面を有することを特徴とする前記1〜12の何れか1項に記載のズームレンズ。
【0037】
本発明の光学系では、第3レンズ群を通過した軸上光束は、略平行光となって第4レンズ群に入射しているため、第4レンズ群の最も物体側のレンズ面に非球面を配置することによっても、球面収差等を良好に補正することができる。特に、Fナンバーの明るい光学系にしようとすると、ここを通過する光束径は太くなるが、その際にも非球面による収差補正効果は大きい。
【0038】
14.前記ズームレンズは、以下の条件式を満足することを特徴とする前記1〜13の何れか1項に記載のズームレンズ。
【0039】
1.0<f/f<2.0 (13)
但し、
:前記第4レンズ群の焦点距離
:広角端における全系の焦点距離
15.前記ズームレンズは、以下の条件式を満足することを特徴とする前記1〜13の何れか1項に記載のズームレンズ。
【0040】
1.2<f/f<1.8 (14)
但し、
:前記第4レンズ群の焦点距離
:広角端における全系の焦点距離
第4レンズ群の焦点距離を条件式(13)を満たすようにすることで、次のような利点が得られる。即ち、条件式(13)の値が下限値を上回ることで、第4レンズ群の正の屈折力を適度に維持することができる。これにより、所望のズーム比を得る上で、第4レンズ群の移動量を小さくすることができるので、ズームレンズの全長を短くすることができる。また、条件式(13)の値が上限値を下回ることで、第4レンズ群の正の屈折力が大きくなり過ぎず、第4レンズ群での収差の発生や偏芯・形状誤差による収差変動を抑えることができる。更に、条件式(14)を満たすと前記効果がより高まる。
【0041】
16.前記ズームレンズは、前記第5レンズ群を移動させて無限遠から有限距離への合焦を行うことを特徴とする前記1〜15の何れか1項に記載のズームレンズ。上記構成においては、無限遠物体から近距離物体へ合焦する際に第5レンズ群を移動させている。フォーカシングを第2レンズ群や第4レンズ群で行おうとした場合、前者では像側へ、後者では物体側へ群移動を行う必要があるため、特に望遠端では共に第3レンズ群と第2レンズ群や第4レンズ群との空気間隔を確保する必要が生じる。その結果、レンズ系のコンパクト性を維持することが困難になってしまう。一方、第5レンズ群においては、光学全長に影響を与えずに、フォーカシングに必要な空気間隔を得ることが比較的容易であるため、電力消費が少なく、簡略な構造で、コンパクト性に優れたレンズを実現することができる。
【0042】
17.前記第5レンズ群は、負のプラスチックレンズ1枚から構成され、以下の条件式を満足することを特徴とする前記1〜16の何れか1項に記載のズームレンズ。
【0043】
|f/f|<0.8 (15)
但し、
:広角端における全系の焦点距離
:前記第5レンズ群の焦点距離
18.前記第5レンズ群は、負のプラスチックレンズ1枚から構成され、以下の条件式を満足することを特徴とする前記1〜16の何れか1項に記載のズームレンズ。
【0044】
|f/f|<0.5 (16)
但し、
:広角端における全系の焦点距離
:前記第5レンズ群の焦点距離
上記17、18の構成では、第5レンズ群が1枚の負レンズのみから構成されており、駆動機構への負荷を最小限に抑えることができる。
【0045】
第5レンズ群内のレンズを、プラスチックレンズとすることで、非点収差等の補正に効果的な非球面付加が容易となり、また少なくともズーミング時に可動である第5レンズ群を軽量化できるので、駆動機構への負荷を小さく抑えることができる。また、プラスチックレンズは射出成形による大量生産が可能であり、コストダウンにも寄与する。プラスチックレンズは温度変化により屈折率・形状が変化するが、プラスチックレンズの屈折力を条件式(15)の範囲内に抑えれば、前記屈折率・形状変化による光学性能の変化を小さくすることが可能である。条件式(16)を満たすことができればより好ましい。
【0046】
19.前記ズームレンズは、前記第5レンズ群の像側に配置され正の屈折力を有する第6レンズ群をさらに有し、前記第6レンズ群は、正のプラスチックレンズ1枚から構成され、以下の条件式を満足することを特徴とする前記1〜18の何れか1項に記載のズームレンズ。
【0047】
/f<0.15 (17)
但し、
:広角端における全系の焦点距離
:前記第6レンズ群の焦点距離
20.前記ズームレンズは、前記第5レンズ群の像側に配置され正の屈折力を有する第6レンズ群をさらに有し、前記第6レンズ群は、正のプラスチックレンズ1枚から構成され、以下の条件式を満足することを特徴とする前記1〜18の何れか1項に記載のズームレンズ。
【0048】
/f<0.10 (18)
但し、
:広角端における全系の焦点距離
:前記第6レンズ群の焦点距離
上記19、20の構成においては、正の第6レンズ群の収斂作用によりズームレンズのテレセントリック性が良好に保てるという利点がある。
【0049】
また、第6レンズ群においても、プラスチックレンズ1枚で構成することで、レンズユニットの軽量化・ローコスト化に寄与することができる。更に条件式(17)を満たすことで、温度変化による光学性能の変化を小さく抑えることが可能である。条件式(18)を満たすことができればより好ましい。
【0050】
21.前記1〜20の何れか1項に記載のズームレンズと、撮像素子とを備えたことを特徴とする撮像装置。
【0051】
上記構成によれば、上記1〜20に記載のズームレンズと同様の効果を得ることができる。
【発明の効果】
【0052】
本発明によれば、搭載するカメラの厚み方向が薄くなり、全長が短いながらもFナンバーの明るさを維持することができ、更に諸収差を良好に補正することができるズームレンズ及び該ズームレンズを備えた撮像装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】撮像装置のブロック図である。
【図2】携帯電話機の内部構成を示すブロック図である。
【図3】実施例1における広角端のレンズ構成図である。
【図4】実施例1における広角端の収差図である。
【図5】実施例1における中間焦点距離の収差図である。
【図6】実施例1における望遠端の収差図である。
【図7】実施例2における広角端のレンズ構成図である。
【図8】実施例2における広角端の収差図である。
【図9】実施例2における中間焦点距離の収差図である。
【図10】実施例2における望遠端の収差図である。
【図11】実施例3における広角端のレンズ構成図である。
【図12】実施例3における広角端の収差図である。
【図13】実施例3における中間焦点距離の収差図である。
【図14】実施例3における望遠端の収差図である。
【図15】実施例4における広角端のレンズ構成図である。
【図16】実施例4における広角端の収差図である。
【図17】実施例4における中間焦点距離の収差図である。
【図18】実施例4における望遠端の収差図である。
【図19】実施例5における広角端のレンズ構成図である。
【図20】実施例5における広角端の収差図である。
【図21】実施例5における中間焦点距離の収差図である。
【図22】実施例5における望遠端の収差図である。
【図23】実施例6における広角端のレンズ構成図である。
【図24】実施例6における広角端の収差図である。
【図25】実施例6における中間焦点距離の収差図である。
【図26】実施例6における望遠端の収差図である。
【発明を実施するための形態】
【0054】
本発明のズームレンズを搭載した撮像装置の実施の形態について、図1及び図2を参照して説明する。図1は撮像装置のブロック図である。
【0055】
図1において、撮像装置100は、ズームレンズ101、撮像素子102、A/D変換部103、制御部104、光学系駆動部105、タイミング発生部106、撮像素子駆動部107、画像メモリ108、画像処理部109、画像圧縮部110、画像記録部111、表示部112、及び操作部113より構成される。
【0056】
ズームレンズ101は、被写体像を撮像素子102の撮像面に結像させる機能を有する。
【0057】
撮像素子102は、CCD(電荷結合素子)やCMOS(相補型金属酸化物半導体)からなり、入射光をRGB毎に光電変換し、そのアナログ信号を出力する。
【0058】
A/D変換部103は、アナログ信号をデジタルの画像データに変換する。
【0059】
制御部104は、撮像装置100の各部を制御する。制御部104は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)を含み、ROMから読み出されてRAMに展開された各種プログラムとCPUとの協働で各種処理を実行する。
【0060】
光学系駆動部105は、制御部104の制御により、変倍、合焦、露出等において、ズームレンズ101を駆動制御する。
【0061】
タイミング発生部106は、アナログ信号出力用のタイミング信号を出力する。
【0062】
撮像素子駆動部107は、撮像素子102を走査駆動制御する。
【0063】
画像メモリ108は、画像データを読み出し及び書き込み可能に記憶する。
【0064】
画像処理部109は、画像データに各種画像処理を施す。
【0065】
画像圧縮部110は、JPEG(Joint Photographic Experts Group)等の圧縮方式により、撮像画像データを圧縮する。
【0066】
画像記録部111は、図示しないスロットにセットされた、メモリカード等の記録メディアに画像データを記録する。
【0067】
表示部112は、カラー液晶パネル等であり、撮影後の画像データ、撮影前のスルー画像、及び各種操作画面等を表示する。
【0068】
操作部113は、レリーズボタン及び各種モード等を設定するための各種操作キーを含み、ユーザにより操作入力された情報を制御部104に出力する。
【0069】
ここで、撮像装置100における動作を説明する。撮影時に、被写体のモニタリング(スルー画像表示)と、画像撮影実行とが行われる。モニタリングにおいては、ズームレンズ101を介して得られた被写体の像が、撮像素子102の受光面に結像される。撮像素子102は、タイミング発生部106及び撮像素子駆動部107によって走査駆動され、一定周期毎に結像した光像に対応する光電変換出力としてのアナログ信号を1画面分出力する。
【0070】
このアナログ信号は、RGBの各原色成分毎に適宜ゲイン調整された後に、A/D変換部103でデジタルデータに変換される。そのデジタルデータは、画像処理部109により、画素補間処理及びY補正処理を含むカラープロセス処理が行なわれて、デジタル値の輝度信号Y及び色差信号Cb,Cr(画像データ)が生成されて画像メモリ108に格納され、定期的にその信号が読み出されてそのビデオ信号が生成されて、表示部112に出力される。
【0071】
この表示部112は、モニタリングにおいては電子ファインダとして機能し、撮像画像をリアルタイムに表示することとなる。この状態で、随時、ユーザの操作部113を介する操作入力に基づいて、光学系駆動部105の駆動によりズームレンズ101の変倍、合焦、露出等が設定される。
【0072】
このようなモニタリング状態において、ユーザが操作部113のレリーズボタンを操作することにより、静止画像データが撮影される。レリーズボタンの操作に応じて、画像メモリ108に格納された1コマの画像データが読み出されて、画像圧縮部110により圧縮される。その圧縮された画像データが、画像記録部111により記録メディアに記録される。
【0073】
なお、上述の撮像装置100は本発明に好適な撮像装置の一例であり、これに限定されるものではない。
【0074】
即ち、ズームレンズを搭載した撮像装置としては、デジタルスチルカメラ、ビデオカメラ、撮像機能付の携帯電話機、PHS(Personal Handyphone System)、PDA(Personal Digital Assistant)等であってもよい。
【0075】
次に、図2を参照して、撮像装置100を搭載した携帯電話機300の例を説明する。図2は携帯電話機の内部構成を示すブロック図である。
【0076】
携帯電話機300は、各部を統括的に制御すると共に各処理に応じたプログラムを実行する制御部(CPU)310と、番号等をキーにより操作入力するための操作部320と、所定のデータの他に撮像した映像等を表示する表示部330と、アンテナ341を介して外部サーバ等との間の各種情報通信を実現するための無線通信部340と、撮像装置100と、携帯電話機300のシステムプログラムや各種処理プログラム及び端末ID等の必要な諸データを記憶している記憶部(ROM)360と、制御部310によって実行される各種処理プログラムやデータ、処理データ、若しくは撮像装置100による撮像データ等を一時的に格納する作業領域として用いられる一時記憶部(RAM)370とを備えている。
【0077】
なお、撮像装置100の制御部104と、携帯電話機300の制御部310とは通信可能に接続されており、かかる場合に図1に示す表示部112や操作部113等の機能を携帯電話機300側に持たせることができるが、撮像装置100自体の動作は基本的に同様である。より具体的には、撮像装置100の外部接続端子(不図示)は、携帯電話機300の制御部310と接続され、携帯電話機300側から撮像装置100側にレリーズ信号が送信され、撮像により得られた輝度信号や色差信号等の画像信号は撮像装置100側から制御部310側に出力する。かかる画像信号は、携帯電話機300の制御系により、記憶部360に記憶され、或いは表示部330で表示され、更には、無線通信部340を介して映像情報として外部に送信されることができる。
【0078】
その他に、ズームレンズを搭載した撮像装置としては、基板上に実装された撮像素子のみを有し、コネクタ等により制御部、画像処理部及び表示部等を備えた外部機器と接続可能なカメラモジュールであってもよい。
【実施例】
【0079】
上述した実施の形態に好適なズームレンズの実施例について説明する。但し、これらの実施例により本発明が限定されるものではない。
【0080】
図3、7、11、15、19、23に、実施例1〜6のズームレンズの構成図を示す。各実施例におけるレンズ構成図において、ズームレンズは広角端にあるものとする。
【0081】
各実施例におけるレンズ構成図において、L1は第1レンズ群、L2は第2レンズ群、L3は第3レンズ群、L4は第4レンズ群、L5は第5レンズ群、L6は第6レンズ群、Sは開口絞り、Fiはローパスフィルターとカバーガラス、Pは結像面である。第1レンズ群L1中のReは反射光学素子である。また、矢印は広角端からの変倍時におけるレンズ群の移動方向を示す。
【0082】
実施例1、2、4、5、6のズームレンズは正負正正負正の6レンズ群から構成され、変倍時には第2レンズ群L2が像側へ、第4レンズ群L4、第5レンズ群L5が物体側へ移動する。
【0083】
また、実施例3のズームレンズは正負正正負の5レンズ群から構成され、変倍時には第2レンズ群L2が像側へ、第4レンズ群L4、第5レンズ群が物体側へ移動する。
【0084】
各実施例のように、2つ以上のレンズ群の移動による変倍を行えば、それぞれの群に変倍機能を分担できるので、群パワーが大きくなり過ぎたり、変倍移動量が多くなり過ぎたりせず、コンパクト性と良好な光学特性を両立させることが可能である。特に、第2レンズ群L2の移動量が抑えられることで、第1レンズ群L1から絞りSまでの距離が小さくなり、前玉径、ひいてはプリズム径も小さくすることができ、カメラの厚みを薄くすることが可能となる。また、第2レンズ群L2と第4レンズ群L4の移動による変倍時に生じるピント移動を、他のレンズ群の移動で補正させることにより、高変倍でありながらコンパクト且つ良好な光学特性を備えたズームレンズが達成できる。
【0085】
各実施例において、第1レンズ群L1は正の屈折力を有し、物体側から順に、負レンズと、光軸を90度折り曲げる反射光学素子Reと、正レンズから構成される。
【0086】
第1レンズ群L1において、光線を反射させることで光路を折り曲げる作用を持つ反射光学素子Reとして、プリズムが配置されているが、反射光学素子はこれに限定されるものではなく、例えばミラーであってもよい。反射光学素子をプリズムにより構成することで、反射光学系内を通過する光束径が小さくなり、よってプリズムを小型にでき、カメラの厚みを薄くすることができる。また、プリズムの屈折率を高くすることにより、プリズムを通過する光線高さを低く抑えることができ、やはりカメラの厚みを薄くすることができる。プリズムの前方に負レンズを配置することにより、軸外光線角度を小さくすることができるので、プリズム径を更に小さくすることができ、カメラの厚みも更に薄くすることが可能である。
【0087】
上記負レンズは条件式(1)、(2)を満たす。上記負レンズを、条件式(1)を満たすようにすれば、比較的緩い曲率半径で所望の負の屈折力を得ることができるため、歪曲収差等の発生を小さく抑えることができたり、前玉径を小さくしたりすることが可能である。また、第1レンズ群L1は正の屈折力を有するため、条件式(2)のように、このレンズ群内の負レンズに比較的大きい色分散を持たせることで、第1レンズ群L1内の色消しが効果的に行われ、良好な光学性能を得ることができる。更に、条件式(3),(4)を満たせば、前記効果はより高まる。
【0088】
各実施例のズームレンズは条件式(5)を満たす。条件式(5)は、第1レンズ群L1において、反射光学素子より前に位置するレンズの物体側面から反射光学素子の反射面までの距離dL1PRと、撮像素子の対角長2Yと、広角端におけるレンズ全系の焦点距離fの関係を規定したものである。一例として、図3にdL1PRの距離を示す。条件式(5)の下限値以上であれば、広角端の画角に対して、反射光学素子より前に位置するレンズの物体側面から反射光学素子の反射面までの距離が小さ過ぎないので、広角端の前玉径を小さくするために軸外収差補正に無理が生じず、良好な光学性能を保つことができる。条件式(5)の上限値以下であれば、カメラの厚み寸法が大きくなり過ぎることによってコンパクト性を損なうことがない。更に、条件式(6)を満たすと前記効果がより高まる。
【0089】
また、各実施例において、第2レンズ群L2は負の屈折力を有し、負レンズと、負レンズと正レンズからなる接合レンズとから構成される。
【0090】
第2レンズ群L2を、2枚の負レンズと1枚の正レンズで構成することで、負のパワーを2枚のレンズに分割でき、特に広角時に発生する歪曲収差や非点収差の抑制が可能である。また、負レンズと正レンズを接合させ、正レンズに高屈折率高分散硝材を用い、一方の負レンズに正レンズより屈折率が低く分散の小さい硝材を用いることで、両レンズ間に大きな屈折率差や分散差を与えることができるため、このレンズ群で発生する色収差や単色収差を小さく抑えられ、変倍時のこれら諸収差変動も小さくすることができる。特に、正レンズに関しては条件式(7),(8)を満たすことが望ましく、更に、条件式(9),(10)を満たすと前記効果がより高まる。このように正レンズに屈折率の高い硝材を使用することにより、正のペッツバール和が小さくなり、像面湾曲を抑えることも可能である。
【0091】
第2レンズ群L2の焦点距離が条件式(11)を満たすようにすることで、次のような利点が得られる。即ち、条件式(11)の下限値を上回ることで、適度に第2レンズ群L2の負の屈折力を維持することができ、所望のズーム比を得る上で、第2レンズ群L2の移動量を小さくすることができるので、ズームレンズの全長を短くすることができる。また、条件式(11)の上限値を下回ることで、第2レンズ群L2の負の屈折力が大きくなり過ぎず、第2レンズ群での収差の発生や偏芯・形状誤差による収差変動を抑えることができる。更に、条件式(12)を満たすと前記効果がより高まる。
【0092】
第3レンズ群L3は正の屈折力を有し、正レンズ1枚から構成される。また、第3レンズ群L3は変倍に際し固定されている。
【0093】
各実施例においては、第3レンズ群は他のレンズ群に比べてパワーが弱いため、1枚の正レンズのみという簡素な構成でも球面収差、コマ収差、軸上色収差等の発生を小さく抑えられる。従って、第3レンズ群の占める体積が小さくて済み、第2レンズ群L2及び第4レンズ群L4の変倍時の可動領域を確保し易い。また、開口絞りSを本ズームレンズの略中央部にあたる第3レンズ群L3近辺に設けることによって、軸外収差をバランスよく補正でき、前玉径と後玉径に大きな差が生じ難くなるため、カメラ厚み方向のレンズユニット形状を平坦にし易く、カメラのレイアウトをし易くしたりする等の利点がある。更に、第3レンズ群L3付近は撮像素子Pから充分に離れて位置しているので、CCD・CMOS光学系で要求されるテレセントリック性も充分に確保し易い。各実施例では、このレンズ群が最も絞りSに近いため、非球面を用いることにより球面収差やコマ収差等を良好に補正することができる。また、ここを通過する光束は軸上・軸外とも比較的太いため、本ズームレンズ中、レンズ面形状誤差の影響を受け易い箇所となっており、モールド非球面レンズで発生し易い面のうねり誤差(非球面誤差)を十分に小さく抑えておくことが好ましい。第3レンズ群L3を変倍時固定とすることで、第3レンズ群L3と絞りSを一体で移動させずに済み、駆動機構の簡略化が可能となる。
【0094】
各実施例において第4レンズ群L4は正の屈折力を有し、条件式(13)を満たす。
【0095】
第4レンズ群L4の焦点距離を条件式(13)を満たすようにすることで、次のような利点が得られる。即ち、条件式(13)の下限値を上回ることで、適度に第4レンズ群L4の正の屈折力を維持することができ、所望のズーム比を得る上で、第4レンズ群L4の移動量を小さくすることができるので、ズームレンズの全長を短くすることができる。また、条件式(13)の上限値を下回ることで、第4レンズ群L4の正の屈折力が大きくなり過ぎず、第4レンズ群L4での収差の発生や偏芯・形状誤差による収差変動を抑えることができる。更に、条件式(14)を満たすと前記効果がより高まる。
【0096】
各実施例においては、第5レンズ群L5は負の屈折力を有し、無限遠物体から近距離物体へ合焦する際に第5レンズ群を像側へ移動させる。また、第5レンズ群が1枚の負のプラスチックレンズのみから構成されており、駆動機構への負荷を最小限に抑えることができる。もしフォーカシングを第2レンズ群L2や第4レンズ群L4で行おうとした場合、前者では像側へ、後者では物体側へ群移動を行う必要があるため、特に望遠端では共に第3レンズ群との空気間隔を確保する必要が生じる。その結果、レンズ系のコンパクト性を維持することが困難になってしまう。一方、第5レンズ群L5においては、光学全長に影響を与えずに、フォーカシングに必要な空気間隔を得ることが比較的容易であるため、電力消費が少なく、簡略な構造で、コンパクト性に優れたレンズを実現することができる。第5レンズ群内のレンズを、プラスチックレンズとすることで、非点収差等の補正に効果的な非球面付加が容易となり、またズーミング時及びフォーカシング時に可動である第5レンズ群を軽量化できるので、駆動機構への負荷を小さく抑えることができる。また、プラスチックレンズは射出成形による大量生産が可能であり、コストダウンにも寄与する。プラスチックレンズは温度変化により屈折率・形状が変化するが、プラスチックレンズの屈折力を条件式(15)の範囲内に抑えれば、前記屈折率・形状変化による光学性能の変化を小さくすることが可能である。条件式(16)を満たすことができればより好ましい。
【0097】
実施例1、2、4、5、6において、ズームレンズはさらに正の屈折力を有する第6レンズ群L6を有し、正負正正負正の6群構成を実施している。第6レンズ群L6は正のプラスチックレンズ1枚から構成される。
【0098】
正負正正負の5群構成と正負正正負正の6群構成とを比較した場合、後者の方が正の第6レンズ群の収斂作用によりテレセントリック性が良好に保てるという利点がある。
【0099】
同様に第6レンズ群L6においても、プラスチック非球面レンズ1枚で構成することで、簡素な構成ながら歪曲収差等を効果的に補正し、またレンズユニットの軽量化・ローコスト化に寄与することができる。更に条件式(17)を満たすことで、温度変化による光学性能の変化を小さく抑えることが可能である。条件式(18)を満たすことができればより好ましい。実施例1,2、4、5、6では第6レンズ群はズーミング中に固定なので、撮像素子近辺の密閉性を高め、ゴミや埃等の進入を防ぐ効果がある。
【0100】
第5レンズ群L5、第6レンズ群L6ともプラスチック非球面以外にも、ガラスモールド非球面やガラスと樹脂の複合(ハイブリッド)非球面を用いても良好な光学性能を得ることができる。
【0101】
また、各実施例において、赤外カットフィルターを、ローパスフィルター表面にコート処理を施した反射型とすれば、吸収型の赤外カットフィルターガラスを別途挿入する必要がないので、光軸方向の厚みを薄くすることができ、コンパクト性に有利な構成とすることが可能となる。
【0102】
また、各実施例においては、特に広角端において負の歪曲収差を比較的大きく発生させることにより、レンズ系のさらなる小型化を達成している。このとき、画像の品位を保つために、電子的な歪曲収差補正を行うことが好ましい。
【0103】
以下、各実施例のレンズデータを示す。
【0104】
各実施例における各符号の意味は以下の通りである。
【0105】
f:全系の焦点距離
F:Fナンバー
ω:半画角
R:曲率半径
d:レンズ間隔
:d線に対する屈折率
ν:アッベ数
2Y:撮像素子の対角線長(固体撮像素子の矩形実効画素領域の対角線長)
*:非球面
非球面の形状は、面の頂点を原点とし、光軸方向にX軸を取り、光軸と垂直方向の高さをhとして、以下の数1で表す。
【0106】
【数1】

【0107】
但し、
:i次の非球面係数
R:曲率半径
K:円錐定数
(実施例1)
面データを以下に示す。
面番号 R(mm) d(mm) n ν
1 ∞ 0.60 1.94595 18.0
2 17.447 1.08
3 ∞ 7.25 1.84666 23.8
4 ∞ 0.20
5(*) 11.178 2.49 1.80139 45.4
6(*) -18.709 d1(可変)
7 -19.212 0.50 1.90366 31.3
8 9.863 0.90
9 -26.012 0.50 1.72916 54.7
10 5.918 1.08 1.94595 18.0
11 14.138 d2(可変)
12(絞り) ∞ 0.94
13 14.860 0.90 1.80518 25.4
14 73.122 d3(可変)
15(*) 6.319 1.43 1.58332 59.3
16(*) 64.519 0.89
17 14.673 0.55 1.90366 31.3
18 4.378 2.48 1.49700 81.6
19 -8.677 d4(可変)
20(*) 14.207 0.95 1.60700 27.0
21(*) 5.404 d5(可変)
22(*) 9.740 1.60 1.53048 55.7
23(*) 11.682 1.50
24 ∞ 1.20 1.51633 64.2
25 ∞
非球面係数を以下に示す。
第5面
K=0,A4=-1.70736E-04,A6=-1.47541E-06,A8=1.55312E-07,A10=-7.62058E-09
第6面
K=0,A4=-2.11701E-06,A6=2.69375E-06,A8=-4.41401E-08,A10=-3.63105E-09
第15面
K=0,A4=-2.14515E-04,A6=3.53922E-05,A8=-5.45867E-06,A10=3.65419E-07
第16面
K=0,A4=5.43332E-04,A6=3.64851E-05,A8=-6.48052E-06,A10=4.59435E-07
第20面
K=0,A4=8.20665E-04,A6=-2.33247E-05,A8=6.62358E-06,A10=2.58481E-07
第21面
K=0,A4=1.06019E-03,A6=-1.58835E-05,A8=-5.54102E-07,A10=1.23587E-06
第22面
K=0,A4=-1.96443E-03,A6=1.98594E-04,A8=-2.04302E-05,A10=9.87164E-07,
A12=-1.45318E-08
第23面
K=0,A4=-4.11467E-03,A6=3.07054E-04,A8=-2.69047E-05,A10=1.21210E-06,
A12=-1.73429E-08
変倍時の各種データを以下に示す。
ズーム比 2.85
広角 中間 望遠
焦点距離 6.84 11.50 19.52
Fナンバー 4.01 4.66 5.59
半画角 29.7 18.8 11.3
像高 3.32 3.70 3.76
レンズ全長 44.27 44.25 44.27
バックフォーカス 4.10 4.08 4.10
d1 0.450 2.426 4.085
d2 5.017 3.041 1.382
d3 4.485 2.599 0.500
d4 3.269 3.435 3.000
d5 2.619 4.339 6.873
ズームレンズ群データを以下に示す。
群 始面 焦点距離
1 1 11.06
2 7 -4.71
3 13 23.00
4 15 9.86
5 20 -14.98
6 22 85.92
プラスチックレンズの温度変化によるピント移動量を以下に示す。
【0108】
広角 中間 望遠
f 6.84 11.50 19.52
ピント移動量 -0.027 -0.039 -0.061
また、図3は広角端におけるレンズ構成図、図4は広角端における収差図、図5は中間焦点距離における収差図、図6は望遠端における収差図である。
【0109】
なお、レンズ面20、21からなる第10レンズ、レンズ面22、23からなる第11レンズはプラスチックレンズである。また、撮像素子の対角長2Yは7.812である。
(実施例2)
面データを以下に示す。
面番号 R(mm) d(mm) n ν
1 ∞ 0.60 1.94595 18.0
2 17.450 1.08
3 ∞ 7.24 1.84666 23.8
4 ∞ 0.20
5(*) 11.212 2.45 1.80139 45.4
6(*) -19.301 d1(可変)
7 -19.930 0.50 1.90366 31.3
8 9.774 0.92
9 -24.206 0.50 1.72916 54.7
10 5.522 1.16 1.94595 18.0
11 14.450 d2(可変)
12(絞り) ∞ 0.94
13(*) 10.943 0.90 1.80892 40.5
14 25.943 d3(可変)
15(*) 8.620 1.18 1.58313 59.4
16 -95.693 1.24
17 12.190 0.55 1.90366 31.3
18 4.705 2.10 1.49700 81.6
19 -10.199 d4(可変)
20(*) 10.665 0.95 1.60700 27.0
21(*) 4.834 d5(可変)
22(*) 10.946 1.54 1.53048 55.7
23(*) 12.692 2.82
24 ∞ 1.10 1.51633 64.2
25 ∞
非球面係数を以下に示す。
第5面
K=0,A4=-1.79454E-04,A6=-4.53630E-06,A8=5.85513E-07,A10=-2.46516E-08,
A12=4.01958E-10
第6面
K=0,A4=-6.34659E-06,A6=-5.68418E-06,A8=1.19784E-06,A10=-6.70188E-08,
A12=1.34680E-09
第13面
K=0,A4=-1.59570E-04,A6=3.28915E-05,A8=-1.19704E-05,A10=1.29497E-06
第15面
K=0,A4=-4.29528E-04,A6=-5.87287E-06,A8=3.90181E-06,A10=-4.27847E-07
第20面
K=0,A4=3.45535E-04,A6=7.80149E-05,A8=-1.23397E-05,A10=1.51306E-06
第21面
K=0,A4=3.38841E-04,A6=1.19397E-04,A8=-2.88552E-05,A10=3.14864E-06
第22面
K=0,A4=-2.98757E-03,A6=2.95357E-04,A8=-2.68969E-05,A10=1.63830E-06,
A12=-3.59111E-08
第23面
K=0,A4=-5.68030E-03,A6=4.81696E-04,A8=-4.11415E-05,A10=2.32371E-06,
A12=-4.76451E-08
変倍時の各種データを以下に示す。
ズーム比 2.85
広角 中間 望遠
焦点距離 6.87 11.54 19.57
Fナンバー 4.04 4.76 5.63
半画角 29.6 18.7 11.3
像高 3.32 3.70 3.78
レンズ全長 44.30 44.28 44.30
バックフォーカス 4.12 4.10 4.12
d1 0.450 2.385 4.141
d2 5.070 3.135 1.379
d3 4.512 2.463 0.500
d4 3.282 3.333 3.018
d5 2.809 4.807 7.085
ズームレンズ群データを以下に示す。
群 始面 焦点距離
1 1 11.30
2 7 -4.78
3 13 22.79
4 15 9.84
5 20 -15.52
6 22 114.92
プラスチックレンズの温度変化によるピント移動量を以下に示す。
【0110】
広角 中間 望遠
f 6.87 11.54 19.57
ピント移動量 0.005 -0.012 -0.033
また、図7は広角端におけるレンズ構成図、図8は広角端における収差図、図9は中間焦点距離における収差図、図10は望遠端における収差図である。
【0111】
なお、レンズ面20、21からなる第10レンズ、レンズ面22、23からなる第11レンズはプラスチックレンズである。また、撮像素子の対角長2Yは7.812である。
(実施例3)
面データを以下に示す。
面番号 R(mm) d(mm) n ν
1 -31.051 0.60 1.94595 18.0
2 38.191 0.57
3 ∞ 7.25 1.84666 23.8
4 ∞ 0.20
5(*) 11.772 2.68 1.80139 45.4
6(*) -15.869 d1(可変)
7 -17.080 0.50 1.90366 31.3
8 9.873 0.75
9 -16.080 0.50 1.72916 54.7
10 5.890 1.21 1.94595 18.0
11 19.710 d2(可変)
12(絞り) ∞ 0.94
13(*) 12.112 1.28 1.69350 53.2
14(*) 103.878 d3(可変)
15(*) 7.244 2.79 1.58332 59.3
16(*) -20.372 0.66
17 153.686 0.55 1.90366 31.3
18 5.506 1.85 1.49700 81.6
19 -8.596 d4(可変)
20(*) -143.316 1.67 1.53048 55.7
21(*) 11.262 d5(可変)
22 ∞ 1.20 1.51633 64.2
23 ∞
非球面係数を以下に示す。
第5面
K=0,A4=-9.60158E-05,A6=1.72395E-06,A8=-1.13804E-07,A10=2.01990E-09
第6面
K=0,A4=1.61581E-04,A6=2.84909E-06,A8=-2.22540E-07,A10=4.75485E-09
第13面
K=0,A4=7.78907E-04,A6=-3.78182E-05,A8=1.78935E-05,A10=-1.64883E-06
第14面
K=0,A4=9.68317E-04,A6=-5.32543E-05,A8=2.27607E-05,A10=-1.86224E-06
第15面
K=0,A4=-2.62866E-04,A6=-5.04618E-06,A8=-1.28224E-07,A10=1.55000E-07
第16面
K=0,A4=4.24610E-04,A6=4.38495E-05,A8=-1.32002E-05,A10=1.35719E-06
第20面
K=0,A4=9.97729E-04,A6=1.43661E-04,A8=-2.00891E-05,A10=1.70862E-06
第21面
K=0,A4=1.18287E-03,A6=1.84810E-04,A8=-2.59074E-05,A10=2.48461E-06
変倍時の各種データを以下に示す。
ズーム比 2.85
広角 中間 望遠
焦点距離 6.84 11.50 19.52
Fナンバー 4.01 4.61 5.61
半画角 29.7 18.8 11.3
像高 3.32 3.87 4.03
レンズ全長 43.83 43.83 43.83
バックフォーカス 5.75 7.92 11.89
d1 0.500 2.484 4.035
d2 4.931 2.947 1.397
d3 4.640 2.894 0.500
d4 4.003 3.580 2.000
d5 4.356 6.525 10.500
ズームレンズ群データを以下に示す。
群 始面 焦点距離
1 1 10.78
2 7 -4.66
3 13 19.66
4 15 10.67
5 20 -19.61
プラスチックレンズの温度変化によるピント移動量を以下に示す。
【0112】
広角 中間 望遠
f 6.84 11.50 19.52
ピント移動量 -0.015 -0.025 -0.051
また、図11は広角端におけるレンズ構成図、図12は広角端における収差図、図13は中間焦点距離における収差図、図14は望遠端における収差図である。
【0113】
なお、レンズ面20、21からなる第10レンズはプラスチックレンズである。また、撮像素子の対角長2Yは7.812である。
(実施例4)
面データを以下に示す。
面番号 R(mm) d(mm) n ν
1 45.294 0.60 2.14350 17.8
2 14.737 1.38
3 ∞ 7.24 1.84666 23.8
4 ∞ 0.20
5(*) 11.730 2.12 1.80139 45.4
6(*) -40.551 d1(可変)
7 -37.715 0.50 1.90366 31.3
8 7.535 1.13
9 -24.873 0.50 1.72916 54.7
10 9.249 1.00 2.14350 17.8
11 32.789 d2(可変)
12(絞り) ∞ 0.20
13(*) 8.805 0.90 1.80892 40.5
14 16.182 d3(可変)
15(*) 6.932 1.29 1.58313 59.4
16 2909.424 1.65
17 9.206 0.51 1.90366 31.3
18 3.827 2.00 1.49700 81.6
19 -15.871 d4(可変)
20(*) -123.033 1.23 1.60700 27.0
21(*) 9.107 d5(可変)
22(*) 13.630 1.59 1.53048 55.7
23(*) 16.844 2.93
24 ∞ 0.84 1.51633 64.2
25 ∞
非球面係数を以下に示す。
第5面
K=0,A4=-1.08007E-04,A6=-5.87970E-06,A8=5.77649E-07,A10=-2.94665E-08,
A12=3.70983E-10
第6面
K=0,A4=-3.56499E-05,A6=-6.87056E-06,A8=9.18136E-07,A10=-5.49404E-08,
A12=9.83355E-10
第13面
K=0,A4=-1.82051E-04,A6=-2.67038E-06,A8=4.23975E-07,A10=-6.60600E-08
第15面
K=0,A4=-2.49413E-04,A6=4.70675E-07,A8=-4.82434E-07,A10=6.48394E-08
第20面
K=0,A4=-1.59508E-03,A6=1.78728E-05,A8=-5.53224E-06,A10=1.77901E-06
第21面
K=0,A4=-7.20235E-04,A6=5.98285E-05,A8=-1.60392E-05,A10=1.92352E-06
第22面
K=0,A4=-1.57926E-03,A6=3.74602E-04,A8=-3.42983E-05,A10=1.77168E-06,
A12=-4.76967E-08
第23面
K=0,A4=-4.23329E-03,A6=4.63625E-04,A8=-3.61759E-05,A10=1.68228E-06,
A12=-4.32667E-08
変倍時の各種データを以下に示す。
ズーム比 2.85
広角 中間 望遠
焦点距離 6.87 11.50 19.57
Fナンバー 4.04 4.77 5.63
半画角 30.6 19.4 11.7
像高 3.41 3.62 3.68
レンズ全長 44.40 44.40 44.40
バックフォーカス 4.07 4.08 4.08
d1 0.450 3.260 5.537
d2 6.387 3.577 1.300
d3 4.605 2.669 0.500
d4 2.084 2.893 4.057
d5 2.760 3.887 4.892
ズームレンズ群データを以下に示す。
群 始面 焦点距離
1 1 16.51
2 7 -5.92
3 13 22.64
4 15 9.79
5 20 -13.92
6 22 114.99
プラスチックレンズの温度変化によるピント移動量を以下に示す。
【0114】
広角 中間 望遠
f 6.87 11.50 19.57
ピント移動量 -0.035 -0.044 -0.053
また、図16は広角端における収差図、図17は中間焦点距離における収差図、図18は望遠端における収差図である。
【0115】
なお、レンズ面20、21からなる第10レンズ、レンズ面22、23からなる第11レンズはプラスチックレンズである。また、撮像素子の対角長2Yは7.812である。
(実施例5)
面データを以下に示す。
面番号 R(mm) d(mm) n ν
1 -63.201 0.60 1.90681 21.2
2 23.245 0.84
3 ∞ 7.24 1.84666 23.8
4 ∞ 0.20
5(*) 12.736 2.31 1.80139 45.4
6(*) -22.156 d1(可変)
7 -44.307 0.50 1.90366 31.3
8 7.549 1.28
9 -12.799 0.50 1.72916 54.7
10 8.085 1.23 1.90681 21.2
11 -937.000 d2(可変)
12(絞り) ∞ 0.20
13(*) 11.203 0.92 1.80892 40.5
14 31.415 d3(可変)
15(*) 7.081 1.23 1.58313 59.4
16 119.136 1.16
17 11.573 0.50 1.90366 31.3
18 4.374 1.88 1.49700 81.6
19 -15.916 d4(可変)
20(*) 8.383 0.90 1.60700 27.0
21(*) 4.642 d5(可変)
22(*) 9.112 1.59 1.53048 55.7
23(*) 10.062 2.84
24 ∞ 0.85 1.51633 64.2
25 ∞
非球面係数を以下に示す。
第5面
K=0,A4=-1.00612E-04,A6=-5.65833E-06,A8=6.71358E-07,A10=-3.13811E-08,
A12=5.28309E-10
第6面
K=0,A4=3.10282E-05,A6=-6.37579E-06,A8=9.60967E-07,A10=-5.17969E-08,
A12=9.91337E-10
第13面
K=0,
A4=-1.16542E-04,A6=-5.86821E-06,A8=1.27237E-06,A10=-1.54113E-07
第15面
K=0,A4=-3.29922E-04,A6=7.12583E-06,A8=-1.35164E-06,A10=1.33919E-07
第20面
K=0,A4=-3.00500E-04,A6=2.34037E-05,A8=-1.45128E-05,A10=1.92611E-06
第21面
K=0,A4=-3.41301E-04,A6=6.74802E-05,A8=-3.29495E-05,A10=3.53626E-06
第22面
K=0,A4=-3.23229E-03,A6=3.54187E-04,A8=-3.02748E-05,A10=1.57904E-06,
A12=-3.82727E-08
第23面
K=0,A4=-5.88641E-03,A6=5.07681E-04,A8=-4.02984E-05,A10=1.96042E-06,
A12=-4.37830E-08
変倍時の各種データを以下に示す。
ズーム比 2.85
広角 中間 望遠
焦点距離 6.87 11.50 19.57
Fナンバー 4.04 4.77 5.63
半画角 30.6 19.4 11.7
像高 3.42 3.74 3.80
レンズ全長 44.39 44.38 44.39
バックフォーカス 4.00 3.99 4.01
d1 0.450 2.909 5.012
d2 5.769 3.310 1.207
d3 5.035 2.840 0.500
d4 2.523 2.878 3.161
d5 3.526 5.365 7.423
ズームレンズ群データを以下に示す。
群 始面 焦点距離
1 1 14.06
2 7 -5.57
3 13 21.10
4 15 10.96
5 20 -18.85
6 22 115.00
プラスチックレンズの温度変化によるピント移動量を以下に示す。
【0116】
広角 中間 望遠
f 6.87 11.50 19.57
ピント移動量 -0.023 -0.034 -0.048
また、図20は広角端における収差図、図21は中間焦点距離における収差図、図22は望遠端における収差図である。
【0117】
なお、レンズ面20、21からなる第10レンズ、レンズ面22、23からなる第11レンズはプラスチックレンズである。また、撮像素子の対角長2Yは7.812である。
(実施例6)
面データを以下に示す。
面番号 R(mm) d(mm) n ν
1 -40.544 0.60 1.92110 22.4
2 29.995 0.69
3 ∞ 7.24 1.84666 23.8
4 ∞ 0.20
5(*) 13.820 2.32 1.80139 45.4
6(*) -19.944 d1(可変)
7 -41.166 0.50 1.90366 31.3
8 7.616 1.30
9 -12.754 0.50 1.72916 54.7
10 8.089 1.27 1.92110 22.4
11 -180.221 d2(可変)
12(絞り) ∞ 0.20
13(*) 10.571 0.93 1.80892 40.5
14 28.627 d3(可変)
15(*) 7.369 1.24 1.58313 59.4
16 -244.489 0.87
17 12.582 0.50 1.90366 31.3
18 4.284 1.85 1.49700 81.6
19 -21.061 d4(可変)
20(*) 5.218 0.89 1.60700 27.0
21(*) 3.556 d5(可変)
22(*) 11.492 1.83 1.53048 55.7
23(*) 13.377 2.47
24 ∞ 0.78 1.51633 64.2
25 ∞
非球面係数を以下に示す。
第5面
K=0,A4=-1.06012E-04,A6=-5.40796E-06,A8=7.12809E-07,A10=-3.23538E-08,
A12=5.97394E-10
第6面
K=0,A4=2.74851E-05,A6=-5.88210E-06,A8=9.66924E-07,A10=-4.98151E-08,
A12=9.83116E-10
第13面
K=0,A4=-1.28727E-04,A6=-5.95887E-06,A8=1.12441E-06,A10=-1.28753E-07
第15面
K=0,A4=-3.18593E-04,A6=9.83999E-06,A8=-1.43800E-06,A10=1.37381E-07
第20面
K=0,A4=3.26510E-04,A6=6.85861E-06,A8=-1.64181E-05,A10=1.89533E-06
第21面
K=0,A4=-2.46990E-04,A6=1.19056E-06,A8=-4.31224E-05,A10=3.70871E-06
第22面
K=0,A4=-3.52353E-03,A6=3.39536E-04,A8=-3.09308E-05,A10=1.66310E-06,
A12=-3.65145E-08
第23面
K=0,A4=-6.55134E-03,A6=5.13038E-04,A8=-3.99815E-05,A10=1.91978E-06,
A12=-3.80232E-08
変倍時の各種データを以下に示す。
ズーム比 2.85
広角 中間 望遠
焦点距離 6.87 11.50 19.57
Fナンバー 4.04 4.77 5.63
半画角 30.6 19.4 11.7
像高 3.42 3.81 3.87
レンズ全長 44.42 44.40 44.42
バックフォーカス 3.58 3.56 3.58
d1 0.450 2.962 5.170
d2 5.913 3.401 1.193
d3 5.232 2.918 0.500
d4 3.010 3.051 3.000
d5 3.314 5.587 8.056
ズームレンズ群データを以下に示す。
群 始面 焦点距離
1 1 14.38
2 7 -5.79
3 13 20.25
4 15 12.11
5 20 -23.03
6 22 115.01
プラスチックレンズの温度変化によるピント移動量を以下に示す。
【0118】
広角 中間 望遠
f 6.87 11.50 19.57
ピント移動量 -0.014 -0.023 -0.035
また、図24は広角端における収差図、図25は中間焦点距離における収差図、図26は望遠端における収差図である。
【0119】
なお、レンズ面20、21からなる第10レンズ、レンズ面22、23からなる第11レンズはプラスチックレンズである。また、撮像素子の対角長2Yは7.812である。
【0120】
実施例1〜6の各条件式に対応する値を以下に示す。
【0121】
【表1】

【符号の説明】
【0122】
L1 第1レンズ群
L2 第2レンズ群
L3 第3レンズ群
L4 第4レンズ群
L5 第5レンズ群
Re 反射光学素子
S 開口絞り
Fi ローパスフィルターとカバーガラス
P 結像面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像素子の撮像面に被写体像を結像させるためのズームレンズであって、
物体側より順に、正の屈折力を有する第1レンズ群、負の屈折力を有する第2レンズ群、正の屈折力を有する第3レンズ群、正の屈折力を有する第4レンズ群、及び負の屈折力を有する第5レンズ群を有し、前記第2レンズ群、前記第4レンズ群、及び前記第5レンズ群を光軸に沿って移動させることにより変倍を行うズームレンズにおいて、
前記第1レンズ群は、光線を反射させることで光路を折り曲げる作用を有する反射光学素子と、正レンズと、以下の条件式を満足する負レンズとを有することを特徴とするズームレンズ。
1n>1.90
ν1n<25
但し、
1n:前記負レンズのd線における屈折率
ν1n:前記負レンズのアッベ数
【請求項2】
前記負レンズは、以下の条件式を満足することを特徴とする請求項1に記載のズームレンズ。
1n>1.93
ν1n<20
但し、
1n:前記負レンズのd線における屈折率
ν1n:前記負レンズのアッベ数
【請求項3】
前記第1レンズ群は、前記反射光学素子より物体側に負レンズを有し、以下の条件式を満足することを特徴とする請求項1又は2に記載のズームレンズ。
3<dL1PR/(2Y/f)<7
但し、
L1PR:前記負レンズの物体側の頂点から前記反射光学素子の反射面までの光軸上の距離
2Y:前記撮像素子の対角長
:広角端における全系の焦点距離
【請求項4】
前記第1レンズ群は、前記反射光学素子より物体側に負レンズを有し、以下の条件式を満足することを特徴とする請求項1又は2に記載のズームレンズ。
4<dL1PR/(2Y/f)<6
但し、
L1PR:前記負レンズの物体側の頂点から前記反射光学素子の反射面までの光軸上の距離
2Y:前記撮像素子の対角長
:広角端における全系の焦点距離
【請求項5】
前記第2レンズ群は、以下の条件式を満足する正レンズと、負レンズとを有することを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載のズームレンズ。
2p>1.90
ν2p<25
但し、
2p:前記正レンズのd線における屈折率
ν2p:前記正レンズのアッベ数
【請求項6】
撮像素子の撮像面に被写体像を結像させるためのズームレンズであって、
物体側より順に、正の屈折力を有する第1レンズ群、負の屈折力を有する第2レンズ群
、正の屈折力を有する第3レンズ群、正の屈折力を有する第4レンズ群、及び負の屈折力を有する第5レンズ群を有し、前記第2レンズ群、前記第4レンズ群、及び前記第5レンズ群を光軸に沿って移動させることにより変倍を行うズームレンズにおいて、
前記第1レンズ群は、光線を反射させることで光路を折り曲げる作用を有する反射光学素子を有し、
前記第2レンズ群は、以下の条件式を満足する正レンズと、少なくとも1枚の負レンズとを有することを特徴とするズームレンズ。
2p>1.90
ν2p<25
但し、
2p:前記正レンズのd線における屈折率
ν2p:前記正レンズのアッベ数
【請求項7】
前記正レンズは、以下の条件式を満足することを特徴とする請求項6に記載のズームレンズ。
2p>1.93
ν2p<20
但し、
2p:前記正レンズのd線における屈折率
ν2p:前記正レンズのアッベ数
【請求項8】
前記第1レンズ群は正レンズと以下の条件式を満足する負レンズとを有することを特徴とする請求項6又は7に記載のズームレンズ。
1n>1.90
ν1n<25
但し、
1n:前記負レンズのd線における屈折率
ν1n:前記負レンズのアッベ数
【請求項9】
前記ズームレンズは、以下の条件式を満足することを特徴とする請求項1〜8の何れか1項に記載のズームレンズ。
0.4<|f/f|<1.0
但し、
:前記第2レンズ群の焦点距離
:広角端における全系の焦点距離
【請求項10】
前記ズームレンズは、以下の条件式を満足することを特徴とする請求項1〜8の何れか1項に記載のズームレンズ。
0.5<|f/f|<0.9
但し、
:前記第2レンズ群の焦点距離
:広角端における全系の焦点距離
【請求項11】
前記第3レンズ群は、その近傍に開口絞りが配置され、少なくとも1面に非球面を有し、変倍に際し固定されていることを特徴とする請求項1〜10の何れか1項に記載のズームレンズ。
【請求項12】
前記第3レンズ群は、正レンズ1枚から構成されていることを特徴とする請求項1〜11の何れか1項に記載のズームレンズ。
【請求項13】
前記第4レンズ群の最も物体側に位置するレンズは、少なくとも1面に非球面を有することを特徴とする請求項1〜12の何れか1項に記載のズームレンズ。
【請求項14】
前記ズームレンズは、以下の条件式を満足することを特徴とする請求項1〜13の何れか1項に記載のズームレンズ。
1.0<f/f<2.0
但し、
:前記第4レンズ群の焦点距離
:広角端における全系の焦点距離
【請求項15】
前記ズームレンズは、以下の条件式を満足することを特徴とする請求項1〜13の何れか1項に記載のズームレンズ。
1.2<f/f<1.8
但し、
:前記第4レンズ群の焦点距離
:広角端における全系の焦点距離
【請求項16】
前記ズームレンズは、前記第5レンズ群を移動させて無限遠から有限距離への合焦を行うことを特徴とする請求項1〜15の何れか1項に記載のズームレンズ。
【請求項17】
前記第5レンズ群は、負のプラスチックレンズ1枚から構成され、以下の条件式を満足することを特徴とする請求項1〜16の何れか1項に記載のズームレンズ。
|f/f|<0.8
但し、
:広角端における全系の焦点距離
:前記第5レンズ群の焦点距離
【請求項18】
前記第5レンズ群は、負のプラスチックレンズ1枚から構成され、以下の条件式を満足することを特徴とする請求項1〜16の何れか1項に記載のズームレンズ。
|f/f|<0.5
但し、
:広角端における全系の焦点距離
:前記第5レンズ群の焦点距離
【請求項19】
前記ズームレンズは、前記第5レンズ群の像側に配置され正の屈折力を有する第6レンズ群を有し、前記第6レンズ群は、正のプラスチックレンズ1枚から構成され、以下の条件式を満足することを特徴とする請求項1〜18の何れか1項に記載のズームレンズ。
/f<0.15
但し、
:広角端における全系の焦点距離
:前記第6レンズ群の焦点距離
【請求項20】
前記ズームレンズは、前記第5レンズ群の像側に配置され正の屈折力を有する第6レンズ群を有し、前記第6レンズ群は、正のプラスチックレンズ1枚から構成され、以下の条件式を満足することを特徴とする請求項1〜18の何れか1項に記載のズームレンズ。
/f<0.10
但し、
:広角端における全系の焦点距離
:前記第6レンズ群の焦点距離
【請求項21】
請求項1〜20の何れか1項に記載のズームレンズと、撮像素子とを備えたことを特徴とする撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公開番号】特開2010−191413(P2010−191413A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−4757(P2010−4757)
【出願日】平成22年1月13日(2010.1.13)
【出願人】(303000408)コニカミノルタオプト株式会社 (3,255)
【Fターム(参考)】