説明

ズームレンズ及び撮像装置

【課題】焦点調整による収差変動が少なく、被写体の大きさの変化も少ない、高倍率で小型軽量なズームレンズを提供する。
【解決手段】物体側から、変倍に際し移動しない正の第1レンズ群、変倍に際し移動する少なくとも2群を含む変倍レンズ群、開口絞り、変倍に際し移動しない正のリレーレンズ群を有し、第1レンズ群は、物体側より順に正の第11レンズ群、負の第12レンズ群、正の第13レンズ群で構成され、第13レンズ群は、可動な正の第13fレンズ群を含み、第12レンズ群及び第13fレンズ群を物体側へ繰り出して近距離物体へ焦点調整を行い、次の条件を満足する。-2.5<f12/f13f<-0.4、0.05<δx13f/δx12<5.0但し、f12:第12レンズ群の焦点距離、f13f:第13fレンズ群の焦点距離、δx12:第12レンズ群の焦点調整における繰り出し量、δx13f:第13fレンズ群の焦点調整における繰り出し量

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テレビカメラや映画用カメラ、ビデオカメラ、写真用カメラ、デジタルカメラに好適なズームレンズに関し、高倍率、小型軽量、且つ焦点調整による収差変動が少ないズームレンズ、及びそれを有する撮像装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、変倍レンズ群よりも物体側に位置するレンズ群により焦点調整を行うズームレンズにおいて、フォーカシングに伴い複数のレンズ群が移動する所謂フローティングフォーカス方式が種々提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1では、第1レンズ群が負の屈折力の第11群、正の屈折力の第12群、正の屈折力の第13群から構成され、無限遠物体から近距離物体への焦点調整時に第12群、第13群がともに物体側へ移動するズームレンズが開示されている。
【0004】
また、特許文献2では、第1レンズ群が負の屈折力の第11群、正の屈折力の第12群、正の屈折力の第13群から構成され、無限遠物体から近距離物体への焦点調節時に第12群は像側に、第13群は物体側へ移動するズームレンズが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平7−151966号公報
【特許文献2】特開平9−258102号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
テレビカメラ、映画用カメラ等に用いるズームレンズにおいては、機動性の確保と撮影自由度の向上のために、更なる高倍率と小型軽量化の両立が望まれている。また、焦点調整に伴う収差変動の少ない高性能なズームレンズが要求されている。更に映画撮影やCM撮影に用いられるレンズにおいては焦点調整による被写体の大きさの変化(以下、ブリージングと呼ぶ)を抑制することが望まれている。
【0007】
特許文献1の焦点調整方式ではブリージングを抑制することは困難である。
【0008】
特許文献2の焦点調整方式では広角ズームレンズに適しているが、小型軽量化と高倍率化を両立することが困難である、
そこで本発明の目的は、高倍率と小型軽量の両立が可能であり、且つ焦点調整による収差変動が少なく、更にブリージングの少ない焦点調整方式を有するズームレンズ及びそれを有する撮像装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明に係るズームレンズ及びそれを有する撮像装置は、物体側から順に、変倍中固定の正の屈折力を有し変倍のためには移動しない第1レンズ群と、変倍に際し移動する少なくとも2群を含む変倍レンズ群と、開口絞りと、正の屈折力を有し変倍のためには移動しないリレーレンズ群とを有し、該第1レンズ群は、物体側より順に正の屈折力を有する第11レンズ群と、負の屈折力を有する第12レンズ群と、正の屈折力を有する第13レンズ群とを有し、該第13レンズ群は、正の屈折力を有し可動である第13fレンズ群を含み、該第12レンズ群及び該第13レンズ群をそれぞれ物体側へ繰り出すことにより近距離物体へ焦点調整を行い、以下の条件を満足することを特徴とする。
【0010】
−2.5 < f12/f13f < −0.4
0.05 < δx13f/δx12 < 5.0
但し、f12は第12レンズ群の焦点距離、f13fは第13fレンズ群の焦点距離、δx12は第12レンズ群の焦点調整における繰り出し量、δx13fは第13fレンズ群の焦点調整における繰り出し量を示す。
【0011】
本発明の更なる目的又はその他の特徴は、以下、添付の図面を参照して説明される好ましい実施例等によって明らかにされるであろう。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、高倍率、小型軽量且つフォーカスによる収差変動が少なく、更にブリージングの少ないズームレンズを達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の原理を示す図である。
【図2】実施例1の広角端における、無限遠距離(A)及び至近(B)でのレンズ断面図である。
【図3】実施例1の望遠端における、物体距離無限(A)及び至近(B)における光路図である。
【図4A】実施例1の広角端における、物体距離7.0m(a)、無限遠(b)、至近(1.5m)(c)での収差図である。
【図4B】実施例1の望遠端における、物体距離7.0m(a)無限遠(b)、至近(1.5m)(c)での収差図である。
【図5】実施例2の広角端における、無限遠距離(A)及び至近(B)でのレンズ断面図である。
【図6A】実施例2の広角端における、物体距離7.0m(a)、無限遠(b)、至近(1.8m)(c)での収差図である。
【図6B】実施例2の望遠端における、物体距離7.0m(a)、無限遠(b)、至近(1.8m)(c)での収差図である。
【図7】実施例3の広角端における、無限遠距離(A)及び至近(B)でのレンズ断面図である。
【図8A】実施例3の広角端における、物体距離7.0m(a)、無限遠(b)、至近(1.8m)(c)での収差図である。
【図8B】実施例3の望遠端における、物体距離7.0m(a)、無限遠(b)、至近(1.8m)(c)での収差図である。
【図9】実施例4の広角端における、無限遠距離(A)及び至近(B)でのレンズ断面図である。
【図10A】実施例4の広角端における、物体距離12.0m(a)、無限遠(b)、至近(3.5m)(c)での収差図である。
【図10B】実施例4の望遠端における、物体距離12.0m(a)、無限遠(b)、至近(3.5m)(c)での収差図である。
【図11】実施例5の広角端における、無限遠距離(A)及び至近(B)でのレンズ断面図である。
【図12A】実施例5の広角端における、物体距離7.0m(a)、無限遠(b)、至近(1.8m)(c)での収差図である。
【図12B】実施例5の望遠端における、物体距離7.0m(a)、無限遠(b)、至近(1.8m)(c)での収差図である。
【図13】実施例6の撮像装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明の実施の形態を添付の図面に基づいて詳細に説明する。
まず、本発明のズームレンズの特徴について、各条件式に沿って説明する。
本発明の高倍率、小型軽量且つ焦点調整による収差変動の少なく、更にブリージングの少ないズームレンズを達成するための第1レンズ群の構成及び、焦点調整方式について規定する。焦点調整による収差変動とは、主には物体距離無限遠から至近にかけた像面湾曲の変動を意味する。
【0015】
本発明のズームレンズは、物体側から順に、正の屈折力を有し変倍のためには移動しない第1レンズ群と、変倍に際し移動する少なくとも2群を含む変倍レンズ群と、開口絞りと、正の屈折力を有し変倍のためには移動しないリレーレンズ群とから構成される。第1レンズ群は、物体側より順に正の屈折力を有する第11レンズ群、負の屈折力を有する第12レンズ群、正の屈折力を有する第13レンズ群で構成される。第13レンズ群は、正の屈折力を有し可動である第13fレンズ群を含む。第12レンズ群及び第13fレンズ群をそれぞれ物体側へ繰り出すことにより近距離物体へ焦点調整を行う。
【0016】
更に第1レンズ群の焦点距離をf1、第11レンズ群の焦点距離をf11、レンズ全系における望遠端の焦点距離をft、δx12を第12レンズ群の焦点調整における物体側への繰り出し量、δx13fを第13fレンズ群の焦点調整における物体側への繰り出し量としたとき、以下の条件式を満足している。
−2.5 < f12/f13f < −0.4 ・・・(1)
0.05 < δx13f/δx12 < 5.0 ・・・(2)
【0017】
本発明の光学的作用について図1を用いて説明する。
図1は、任意のズーム位置における物体距離無限遠(A)及び最至近物体距離(B)における第1レンズの軸外光路概念図である。図1において、左側が物体側、右側が像面側であり、物体側から順に、正の屈折力の第11レンズ群U11、負の屈折力の第12レンズ群U12、正の屈折力の第13レンズ群U13を示している。物体距離が無限遠での第11レンズ群U11における軸外光線の高さをh11infとし、至近での第11レンズ群U11における軸外光線の高さをh11modとすると、以下の関係が成り立つ。
h11inf > h11mod ・・・(6)
【0018】
つまり、第11レンズ群U11を通過する軸外入射光線の高さは物体距離が無限遠の場合より至近の場合の方が低い。この効果により、物体距離が無限遠から至近に向けて変化すると像面湾曲はオーバー側に変化する。また、第12レンズ群U12が、物体距離が無限遠から至近に向けて物体側に繰り出すとき、至近側で像面湾曲はアンダー側に変化する。更に、第13レンズ群U13が、物体距離が無限遠から至近に向けて物体側に繰り出すとき、至近側で像面湾曲はオーバー側に変化する。以上により、第11レンズ群U11の入射光線高さの変化による像面湾曲をオーバーにする寄与分と、第12レンズ群U12が物体側に繰り出すことによる像面湾曲をアンダーにする寄与分と、第13レンズ群U13が物体側に繰り出すことによる像面湾曲をオーバーにする寄与分が全て相殺し、焦点調整による像面湾曲の変動を抑制することが可能となる。
【0019】
但し、第11レンズ群U11のパワーの増大により、第12レンズ群U12の繰り出し量が増大するため、第11レンズ群U11のパワーを適切に設定することが必要となる。
【0020】
次に、第12レンズ群U12と第13レンズ群U13の2つのレンズ群を移動する所謂フローティングフォーカス方式によるブリージングの抑制について説明する。第12レンズ群U12が物体距離が無限遠から至近に向けて物体側に繰り出すとき、全系の焦点距離は広角側にシフトする。一方で、第13レンズ群U13が物体距離が無限遠から至近に向けて物体側に繰り出すとき、全系の焦点距離は望遠側にシフトする。
【0021】
以上より、第12レンズ群U12と第13レンズ群U13の繰り出し量の比を適切に設定することにより、ブリージングを相殺することが可能となる。
【0022】
次に、前述の条件式(1)及び(2)に関して説明する。
【0023】
(1)式は、第12レンズ群U12の焦点距離f12と、第13レンズ群U13に含まれる正の屈折力を有し可動である第13fレンズ群の焦点距離f13fとの比を規定する。
−2.5 < f12/f13f < −0.4 ・・・(1)
【0024】
(1)式の上限が満たされないと、第12レンズ群U12の負の屈折力に対して第13fレンズ群の正の屈折力が大きくなり過ぎ、物体距離が無限遠から至近に向けて第12レンズ群U12と第13fレンズ群を物体側に繰り出すとき、物体距離至近側における像面湾曲の変動がオーバー側に過補正となってしまう。逆に、(1)式の下限が満たされないと、第12レンズ群U12の負の屈折力に対して第13fレンズ群の正の屈折力が小さくなり過ぎ、物体距離が無限遠から至近に向けて第12レンズ群U12と第13fレンズ群を物体側に繰り出すとき、物体距離至近側における像面湾曲の変動がアンダー側に過補正となってしまう。更に次の如く条件式を設定することがより好ましい。
−1.8 < f12/f13f < −0.6 ・・・(1a)
【0025】
(2)式は、第12レンズ群U12の焦点調整における繰り出し量と第13レンズ群U13、もしくは第13レンズ群U13内の正の屈折力を有するレンズ群の繰り出し量の比を規定する。
0.05 < δx13f/δx12 < 5.0 ・・・(2)
【0026】
(2)式を満たすことで、焦点調整による収差変動の抑制とブリージングの抑制の両立が可能となる。(2)式の上限が満たされないと、第12レンズ群U12の焦点調整による繰り出し量に対して第13fレンズ群の焦点調整による繰り出し量が大きくなり過ぎ、物体距離至近側における像面湾曲の変動がオーバーに過補正となってしまう。また、物体距離至近側における焦点距離が長焦点化してしまい、ブリージングの抑制が困難となる。(2)式の下限が満たされないと、第12レンズ群U12の焦点調整による繰り出し量に対して第13fレンズ群の焦点調整による繰り出し量が小さくなり過ぎ、物体距離至近側における像面湾曲の変動がアンダーに過不足となってしまう。また、物体距離至近側における焦点距離が短焦点化してしまい、ブリージングの抑制が困難となる。更に次の如く条件式を設定することがより好ましい。
0.13 < δx13f/δx12 < 2.2 ・・・(2a)
【0027】
(3)式は、第1レンズ群U1の焦点距離と第11レンズ群U11の焦点距離の比を規定する。
0.07 < f1/f11 < 0.35 ・・・(3)
【0028】
(3)式を満たすことで、焦点調整による収差変動の抑制が可能となる。(3)式の上限が満たされないと、第1レンズ群U1に対する第11レンズ群U11のパワーが強くなり過ぎてしまい、第12レンズ群U12の繰り出し量が増大してしまう。これにより焦点調整による収差変動の抑制、小型軽量化が困難となってしまう。(3)式の下限が満たされないと、第1レンズ群U1に対する第11レンズ群U11のパワーが弱くなり過ぎてしまい、第11レンズ群U11の焦点調整における像面湾曲変動の抑制効果がなくなってしまう。更に次の如く条件式を設定することがより好ましい。
0.11 < f1/f11 < 0.28 ・・・(3a)
【0029】
(4)式は、第1レンズ群の焦点距離とレンズ全系における望遠端の焦点距離の比を規定している。
0.2 < f1/ft < 1.0 ・・・(4)
【0030】
(4)式を満たすことで、高倍率と高性能化の両立が可能となる。(4)式の上限が満たされないと、レンズ全系における望遠端の焦点距離に対する第1レンズ群U1の焦点距離が長くなり過ぎてしまう。第1レンズ群U1の長焦点化により、変倍レンズ群の物点位置が遠ざかるため、変倍のための移動量が増大してしまい、高倍率化が困難となる。(4)式の下限が満たされないと、レンズ全系における望遠端の焦点距離に対する第1レンズ群U1のパワーが強くなり過ぎてしまい、第1レンズ群U1に起因する諸収差の抑制が困難となる。更に次の如く条件式を設定することがより好ましい。
0.35 < f1/ft < 0.7 ・・・(4a)
【0031】
さらに本発明は、上記の特徴を有するズームレンズと、該ズームレンズによって形成された像を受光する所定の有効撮像範囲を有する固体撮像素子と、を有する撮像装置において、レンズ全系における広角端の焦点距離をfw、イメージサイズをISとしたとき、ズームレンズを特に有効に利用するための以下の条件を規定する。
0.7 < fw/IS < 2.4 ・・・(5)
【0032】
(5)式の上限が満足されないと、レンズ全系における広角端の焦点距離が長くなり過ぎてしまう。(5)式の下限が満足されないと、レンズ全系における広角端の焦点距離fwが短くなり過ぎ、第11レンズ群U11の軸外光線の入射高さが増大し、レンズ外径が大型化してしまう。
更に次の如く条件式を設定することがより好ましい。
0.85 < fw/IS < 1.20 ・・・(5a)
【0033】
尚、本発明のズームレンズが特に有効に利用されるズームレンズの変倍比としては、変倍比が4倍以上であることが好ましい。
【0034】
以下に本発明のズームレンズ及びそれを有する撮像装置の実施例について説明する。
【実施例1】
【0035】
図2は本発明の第1の実施例(数値実施例1)であるズームレンズにおいて、広角端における物体距離が無限遠(A)、至近(B)におけるレンズ断面図である。
図2において、物体側(左側)から順に、第1レンズ群U1としての正の屈折力を有するフォーカスレンズ群、第2レンズ群U2としての変倍用の負の屈折力のバリエータ、第3レンズ群U3としての負の屈折力のコンペンセータ、絞りSP、第4レンズ群U4としての結像作用を有する正の屈折力のリレ−群、撮像面Iである。本実施例においては、第2レンズ群U2と第3レンズ群U3とで変倍レンズ群を構成する。第2レンズ群U2(バリエータ)は、光軸上を像面側へ単調に移動させることにより、広角端から望遠端への変倍を行う。第3レンズ群U3(コンペンセータ)は、変倍に伴う像面変動を補正するために光軸上を非直線的に移動する。
【0036】
本実施例における第1レンズ群U1の構成は第1面から第17面までに対応する。第1レンズ群U1は、正の屈折力の第11レンズ群U11、物体距離無限遠から至近にかけて物体側に16.16mm移動する負の屈折力の第12レンズ群U12、物体距離無限遠から至近にかけて物体側に4.85mm移動する正の屈折力の第13レンズ群U13より構成される。本実施例においては、第13レンズU13全体が第13fレンズ群U13fに対応する。
【0037】
図3に、本発明の実施例1の第1レンズ群U1の光路図を示す。第11レンズ群U11において物体距離無限遠(A)における軸外入射光線高さが至近(B)における軸外入射光線高さよりも高くなっていることが分かる。
【0038】
図4Aに数値実施例1の広角端における物体距離7.0m(a)、無限遠(b)、至近(1.5m)(c)の収差図を、図4Bに数値実施例1の望遠端における物体距離7.0m(a)、無限遠(b)、至近(1.5m)(c)の収差図を示す。但し、物体距離は像面を基準とした値である。尚、各実施例における収差図において、球面収差はe線(実線)、g線(2点鎖線)を示している。非点収差はe線のメリディオナル像面(meri)(点線)とサジタル像面(sagi)(実線)を示している。倍率色収差はg線(2点鎖線)によって表している。FnoはFナンバー、ωは半画角を表す。また、球面収差は0.4mm、非点収差は0.4mm、歪曲は5%、倍率色収差は0.05mmのスケールで描かれている。
【0039】
本実施例の各条件対応値を表1に示す。また、本実施例のブリージングを、広角端の物体距離無限遠における全系の焦点距離に対する至近における全系の焦点距離変化の比率と定義した場合の値を表2に示す。本実施例は条件式(1)〜(5)を満足しており、高倍率、小型軽量且つフォーカスによる収差変動が少なく、ブリージングの少ないズームレンズを達成している。
【0040】
以下に本発明の第1の実施例に対応する数値実施例1を示す。以後、記載する各数値実施例において、いずれもiは物体側からの面の順序を示し、riは物体側より第i番目の面の曲率半径、diは物体側より第i番目と第i+1番目の間隔、ndi,νdiは第i番目の光学部材の屈折率とアッべ数である。BFは空気換算のバックフォーカスである。
【0041】
非球面形状は、光軸方向にX軸、光軸と垂直方向にH軸、光の進行方向を正としたとき、近軸曲率半径R、円錐常数k、非球面係数A4,A6、A8、A10、A12によって、次式で表される。
【数1】

【0042】
また、以下の数値実施例の数値内で、「e−z」は「×10−z」を意味する。
【0043】
(数値実施例1)
単位 mm

面データ
面番号 r d nd vd 有効径
1 -2169.523 9.00 1.51633 64.1 140.17
2 -314.385 17.12 138.65
3 -1314.817 3.00 1.69680 55.5 106.32
4 256.027 16.35 102.86
5 -135.450 3.00 1.77250 49.6 102.49
6 214.527 10.00 1.80809 22.8 105.84
7 -4416.376 2.00 106.31
8 265.280 16.00 1.60311 60.6 108.39
9* -204.953 0.20 108.40
10 470.288 3.00 1.84666 23.8 105.34
11 133.708 0.78 103.29
12 140.997 17.00 1.43387 95.1 103.37
13 -320.050 0.20 103.38
14 182.418 12.00 1.59240 68.3 101.75
15 -590.022 0.20 100.97
16 149.424 8.00 1.59240 68.3 96.43
17 486.995 (可変) 95.40
18 89.717 1.80 1.77250 49.6 48.24
19 31.533 10.06 41.62
20 -118.868 1.50 1.60311 60.6 41.38
21 86.401 0.15 40.17
22 49.488 6.24 1.80518 25.4 40.06
23 -15259.953 3.00 39.23
24 -68.145 1.50 1.77250 49.6 39.12
25 -3979.779 (可変) 38.54
26 -85.815 1.50 1.80400 46.6 35.00
27 321.459 3.50 1.92286 18.9 36.14
28 -700.345 (可変) 36.88
29(絞り) ∞ 2.00 38.21
30 1156.972 4.20 1.62041 60.3 39.26
31 -118.359 0.20 39.91
32 1169.967 4.20 1.62041 60.3 40.40
33 -103.147 0.20 40.67
34 135.391 6.50 1.43875 94.9 40.54
35 -71.283 1.60 1.84666 23.8 40.30
36 -253.564 0.20 40.46
37 40.391 6.50 1.61800 63.3 40.10
38 170.242 30.53 39.05
39 -157.350 1.20 2.00330 28.3 23.85
40 37.528 0.90 23.85
41 61.846 3.35 1.92286 18.9 23.95
42 -1434.512 21.54 24.31
43 -23.105 2.00 1.90366 31.3 29.49
44 -29.181 0.15 31.82
45 -1389.536 5.00 1.61800 63.3 34.54
46 -51.387 0.15 35.25
47 52.270 5.00 1.48749 70.2 36.08
48 143.875 35.63
像面 ∞
【0044】
非球面データ
第9面
K =-3.69523e+000 A 4=-1.63293e-008 A 6= 1.65333e-012 A 8=-2.91145e-016 A10= 4.33793e-020 A12=-3.27158e-024

各種データ
ズーム比 8.0

焦点距離 30.00 60.00 90.00 120.00 240.00
Fナンバー 2.80 2.80 2.80 2.80 2.80
画角 27.40 14.53 9.80 7.38 3.71
像高 15.55 15.55 15.55 15.55 15.55
レンズ全長 397.08 397.08 397.08 397.08 397.08
BF 43.65 43.65 43.65 43.65 43.65

d17 0.70 48.07 68.46 80.51 102.64
d25 107.72 49.84 25.57 13.22 5.48
d28 2.50 13.01 16.89 17.19 2.80

入射瞳位置 121.39 212.72 281.69 337.22 485.52
射出瞳位置 -216.79 -216.79 -216.79 -216.79 -216.79
前側主点位置 147.94 258.90 340.59 401.93 504.36
後側主点位置 13.65 -16.35 -46.35 -76.35 -196.35

ズームレンズ群データ
群 始面 焦点距離 レンズ構成長 前側主点位置 後側主点位置
1 1 150.19 117.84 93.74 15.23
2 18 -41.06 24.24 7.07 -10.78
3 26 -130.63 5.00 -0.50 -3.15
4 29 68.89 95.42 40.89 -116.21
【実施例2】
【0045】
図5は本発明の第2の実施例(数値実施例2)であるズームレンズにおいて、広角端における物体距離が無限遠(A)、至近(B)におけるレンズ断面図である。
図5において、物体側(左側)から順に、第1レンズ群U1としての正の屈折力を有するフォーカスレンズ群、第2レンズ群U2としての変倍用の負の屈折力のバリエータ、第3レンズ群U3としての負の屈折力のコンペンセータ、絞りSP、第4レンズ群U4としての結像作用を有する正の屈折力のリレ−群、撮像面Iである。本実施例においては、第2レンズ群U2と第3レンズ群U3とで変倍レンズ群を構成する。第2レンズ群U2(バリエータ)は、光軸上を像面側へ単調に移動させることにより、広角端から望遠端への変倍を行う。第3レンズ群U3(コンペンセータ)は、変倍に伴う像面変動を補正するために光軸上を非直線的に移動する。
【0046】
本実施例における第1レンズ群U1は第1面から第17面までに対応する。第1レンズ群U1は、正の屈折力の第11レンズ群U11、物体距離無限遠から至近にかけて物体側に19.18mm移動する負の屈折力の第12レンズ群U12、物体距離が無限遠から至近にかけて物体側に3.84mm移動する正の屈折力の第13レンズ群U13より構成される。本実施例においては、第13レンズ群全体が、第13fレンズ群U13fに対応する。
【0047】
図6Aに、数値実施例2の広角端における物体距離7.0m(a)、無限遠(b)、至近(1.8m)(c)の収差図を、図6Bに、数値実施例2の望遠端における物体距離7.0m(a)、無限遠(b)、至近(1.8m)(c)の収差図を示す。但し、物体距離は像面を基準とした値である。
【0048】
本実施例の各条件対応値を表1に示す。また、本実施例のブリージングを、広角端の物体距離無限遠における全系の焦点距離に対する至近における全系の焦点距離変化の比率と定義した場合の値を表2に示す。本実施例は条件式(1)〜(5)を満足しており、高倍率、小型軽量且つフォーカスによる収差変動の少ない高性能なズームレンズを達成している。
【0049】
(数値実施例2)
単位 mm

面データ
面番号 r d nd vd 有効径
1 -650.810 8.00 1.51633 64.1 139.91
2 -319.344 24.19 137.49
3 -328.288 3.30 1.77250 49.6 109.64
4 157.776 10.68 1.80809 22.8 105.12
5 993.077 9.79 104.52
6 -206.150 3.20 1.88300 40.8 104.05
7 -941.784 6.56 104.94
8 367.686 14.61 1.60311 60.6 106.12
9* -198.164 0.20 105.94
10 248.955 3.00 2.00069 25.5 102.59
11 120.008 0.32 99.68
12 121.240 14.00 1.43387 95.1 99.73
13 -4296.582 0.20 99.37
14 149.314 12.00 1.43387 95.1 97.77
15 -932.824 0.20 96.93
16 147.522 9.62 1.59240 68.3 92.17
17 1515.868 (可変) 90.48
18* 219.701 1.50 1.81600 46.6 41.88
19 30.528 9.87 36.41
20 -50.291 1.30 1.61800 63.3 36.21
21 153.783 0.15 36.54
22 63.436 8.50 1.72047 34.7 36.99
23 -47.429 1.13 36.75
24 -38.906 1.30 1.61800 63.3 36.45
25 -229.319 (可変) 36.05
26 -79.137 1.50 1.78800 47.4 37.16
27 169.160 4.00 1.80809 22.8 38.76
28 -419.524 (可変) 39.54
29(絞り) ∞ 2.00 42.93
30 266.917 6.00 1.62041 60.3 44.45
31 -84.540 0.20 44.95
32 169.157 5.00 1.62041 60.3 45.22
33 -226.121 0.20 45.06
34 133.617 8.00 1.49700 81.5 44.31
35 -69.585 1.50 2.00069 25.5 43.59
36 1244.843 0.15 43.45
37 48.963 7.00 1.61800 63.3 43.35
38 554.491 28.23 42.46
39 473.327 1.00 1.90366 31.3 26.80
40 41.037 3.84 26.43
41 50.158 4.50 1.92286 18.9 27.90
42 -206.901 11.71 27.73
43 -44.189 1.00 2.00330 28.3 24.75
44 59.859 2.55 25.39
45 -133.347 3.50 1.51633 64.1 25.86
46 -55.998 0.15 27.35
47 95.351 5.00 1.51633 64.1 29.32
48 -88.263 5.01 30.11
49 106.784 4.50 1.48749 70.2 32.25
50 -98.105 32.42
像面 ∞
【0050】
非球面データ
第9面
K =-2.18399e+000 A 4=-3.07579e-009 A 6= 2.42180e-013 A 8=-1.76920e-016 A10= 7.90680e-020 A12=-1.42366e-023

第18面
K = 6.98145e+001 A 4=-2.76274e-007 A 6=-6.04505e-010 A 8=-8.68550e-013 A10= 1.27664e-015 A12=-2.80810e-018

各種データ
ズーム比 10.00

焦点距離 30.00 60.00 90.00 120.00 300.00
Fナンバー 2.80 2.80 2.80 2.80 3.53
画角 27.40 14.53 9.80 7.38 2.97
像高 15.55 15.55 15.55 15.55 15.55
レンズ全長 407.46 407.46 407.46 407.46 407.46
BF 41.49 41.49 41.49 41.49 41.49

d17 1.72 48.61 68.64 80.39 106.80
d25 108.04 50.99 26.89 14.29 7.06
d28 6.05 16.21 20.28 21.13 1.95

入射瞳位置 124.11 222.91 301.03 366.97 638.27
射出瞳位置 -127.39 -127.39 -127.39 -127.39 -127.39
前側主点位置 148.78 261.60 343.07 401.70 405.34
後側主点位置 11.49 -18.51 -48.51 -78.51 -258.51

ズームレンズ群データ
群 始面 焦点距離 レンズ構成長 前側主点位置 後側主点位置
1 1 151.36 119.87 91.34 6.26
2 18 -38.53 23.75 1.59 -16.79
3 26 -127.28 5.50 -0.77 -3.83
4 29 59.42 101.04 17.74 -102.10
【実施例3】
【0051】
図7は本発明の第3の実施例(数値実施例3)であるズームレンズにおいて、広角端における物体距離無限遠(A)、至近(B)におけるレンズ断面図である。
図7において、物体側(左側)から順に、第1レンズ群U1としての正の屈折力を有するフォーカスレンズ群、第2レンズ群U2としての変倍用の負の屈折力のバリエータ、第3レンズ群U3としての負の屈折力のコンペンセータ、絞りSP、第4レンズ群U4としての結像作用を有する正の屈折力のリレ−群、撮像面Iである。本実施例においては、第2レンズ群U2と第3レンズ群U3とで変倍レンズ群を構成する。第2レンズ群U2(バリエータ)は、光軸上を像面側へ単調に移動することにより、広角端から望遠端への変倍を行っている。第3レンズ群U3(コンペンセータ)は、変倍に伴う像面変動を補正するために光軸上を非直線的に移動する。
【0052】
本実施例における第1レンズ群U1は第1面から第17面までに対応する。第1レンズ群U1は、正の屈折力の第11レンズ群U11、物体距離無限遠から至近にかけて物体側に9.68mm移動する負の屈折力の第12レンズ群U12、正の屈折力の第13群レンズ群U13より構成される。また、物体距離無限遠から至近にかけて第13レンズ群U13内の正の屈折力のレンズ群U13pが物体側に3.87mm移動する。従って、本実施例においては、レンズ群U13pが第13fレンズ群U13fに対応する。
【0053】
図8Aに、数値実施例3の広角端それぞれにおける物体距離7.0m(a)、無限遠(b)、至近(1.8m)(c)の収差図を、図8Bに、数値実施例3の望遠端における物体距離7.0m(a)、無限遠(b)、至近(1.8m)(c)の収差図を示す。但し、物体距離は像面を基準とした値である。
【0054】
本実施例の各条件対応値を表1に示す。また、本実施例のブリージングを、広角端の物体距離無限遠における全系の焦点距離に対する至近における全系の焦点距離変化の比率と定義した場合の値を表2に示す。本実施例は条件式(1)〜(5)を満足しており、高倍率、小型軽量且つフォーカスによる収差変動の少ない高性能なズームレンズを達成している。
【0055】
(数値実施例3)
単位 mm

面データ
面番号 r d nd vd 有効径
1 -6789.500 10.50 1.60311 60.6 138.74
2 -343.710 14.71 136.28
3 -266.492 3.30 1.69680 55.5 115.61
4 162.714 1.08 109.44
5 142.133 8.50 1.80809 22.8 109.30
6 291.958 13.88 108.47
7 -211.816 3.20 1.77250 49.6 108.01
8 815.467 1.10 109.08
9 208.910 19.00 1.60311 60.6 110.87
10* -174.951 0.20 110.72
11 217.741 3.10 1.84666 23.8 104.22
12 112.077 2.32 100.76
13 133.853 14.64 1.43387 95.1 100.78
14 -707.405 5.00 100.26
15 161.107 9.76 1.43387 95.1 95.88
16 -22208.830 0.20 94.90
17 106.014 10.19 1.49700 81.5 88.93
18 512.264 (可変) 87.34
19* 227.378 1.50 1.77250 49.6 42.76
20 29.039 11.27 36.47
21 -49.662 1.20 1.61800 63.3 35.74
22 139.946 0.15 35.82
23 62.790 8.20 1.72047 34.7 36.13
24 -48.295 1.07 35.82
25 -38.287 1.20 1.61800 63.3 35.73
26 -220.222 (可変) 35.28
27 -74.007 1.50 1.75500 52.3 34.44
28 377.371 3.50 1.92286 18.9 35.73
29 -570.601 (可変) 36.54
30(絞り) ∞ 1.80 42.36
31 177.912 6.20 1.61800 63.3 43.96
32 -82.278 0.20 44.33
33 194.410 4.50 1.60311 60.6 44.29
34 -172.682 0.20 44.12
35 98.865 7.50 1.48749 70.2 42.88
36 -68.090 1.50 2.00069 25.5 42.25
37 189.781 0.20 41.75
38 43.490 7.50 1.58913 61.1 42.01
39 -2545.279 22.85 41.28
40 -236.294 1.00 1.88300 40.8 27.70
41 40.169 5.00 1.92286 18.9 26.77
42 6060.276 12.05 26.06
43 -42.798 1.00 1.88300 40.8 23.46
44 47.570 3.85 24.49
45 60.216 6.41 1.51633 64.1 29.07
46 -58.866 2.43 30.30
47 116.213 5.61 1.48749 70.2 32.68
48 -61.471 6.77 33.08
49 81.277 5.08 1.48749 70.2 33.14
50 -87.099 2.63 32.90
51 -46.195 1.30 1.80518 25.4 32.40
52 -101.262 32.76
像面 ∞
【0056】
非球面データ
第10面
K =-1.89696e+000 A 4= 4.04225e-009 A 6= 5.23730e-013 A 8= 8.64765e-016 A10=-2.63688e-019 A12= 2.72307e-023

第19面
K = 6.87039e+001 A 4= 2.43632e-007 A 6=-6.90320e-010 A 8= 6.83337e-013 A10=-2.58097e-015 A12= 1.85224e-018

各種データ
ズーム比 8.00

焦点距離 30.00 60.00 90.00 120.00 240.00
Fナンバー 2.80 2.80 2.80 2.80 2.82
画角 27.40 14.53 9.80 7.38 3.71
像高 15.55 15.55 15.55 15.55 15.55
レンズ全長 407.85 407.85 407.85 407.85 407.85
BF 44.83 44.83 44.83 44.83 44.83

d18 0.70 43.30 61.50 72.16 91.46
d26 95.35 43.12 21.48 10.61 4.11
d29 11.12 20.74 24.19 24.39 11.60

入射瞳位置 125.25 222.84 300.65 367.20 575.78
射出瞳位置 -153.52 -153.52 -153.52 -153.52 -153.52
前側主点位置 150.71 264.69 349.82 414.61 525.39
後側主点位置 14.83 -15.17 -45.17 -75.17 -195.17

ズームレンズ群データ
群 始面 焦点距離 レンズ構成長 前側主点位置 後側主点位置
1 1 142.08 120.68 87.27 1.12
2 19 -36.47 24.59 2.17 -17.06
3 27 -123.50 5.00 -0.59 -3.26
4 30 64.32 105.59 26.44 -108.63
【実施例4】
【0057】
図9は本発明の第4の実施例(数値実施例4)であるズームレンズにおいて、広角端における物体距離無限遠(A)、至近(B)におけるレンズ断面図である。
図9において、物体側から順に、第1レンズ群U1としての正の屈折力を有するフォーカスレンズ群、第2レンズ群U2としての変倍用の負の屈折力のバリエータ、第3レンズ群U3としての正の屈折力のコンペンセータ、絞りSP、第4レンズ群U4としての結像作用を有する正の屈折力のリレ−群、色分解プリズムと等価なガラスブロックP、撮像面Iである。本実施例においては、第2レンズ群U2と第3レンズ群U3とで変倍レンズ群を構成する。第2レンズ群U2(バリエータ)は、光軸上を像面側へ単調に移動することにより、広角端から望遠端への変倍を行う。第3レンズ群U3(コンペンセータ)は、変倍に伴う像面変動を補正するために光軸上を物体側へ移動する。
【0058】
本実施例における第1レンズ群U1は第1面から第17面までに対応する。第1レンズ群U1は、正の屈折力の第11レンズ群U11、物体距離無限遠から至近にかけて物体側に4.67mm移動する負の屈折力の第12レンズ群U12、正の屈折力の第13レンズ群U13より構成される。また、物体距離無限遠から至近にかけて第13レンズ群U13内の正の屈折力のレンズ群U13pが物体側に9.33mm移動する。従って、本実施例においては、レンズ群U13pが第13fレンズ群U13fに対応する。
【0059】
図9に、数値実施例4の広角端、望遠端それぞれにおける物体距離12.0m、無限遠、至近(3.5m)の収差図を示す。但し、物体距離は像面を基準とした値である。
【0060】
本実施例の各条件対応値を表1に示す。また、本実施例のブリージングを、広角端の物体距離無限遠における全系の焦点距離に対する至近における全系の焦点距離変化の比率と定義した場合の値を表2に示す。
本実施例は条件式(1)〜(5)を満足しており、高倍率、小型軽量且つフォーカスによる収差変動の少ない高性能なズームレンズを達成している。
【0061】
(数値実施例4)
単位 mm

面データ
面番号 r d nd vd 有効径
1 -2350.524 17.00 1.60311 60.6 227.97
2 -460.033 10.29 224.48
3 -1487.959 4.50 1.69680 55.5 189.59
4 232.002 0.18 173.66
5 186.833 16.00 1.80809 22.8 171.86
6 373.507 24.72 168.63
7 -251.578 4.48 1.77250 49.6 168.08
8 675.623 1.54 165.66
9 329.716 34.00 1.60311 60.6 171.44
10* -239.056 0.28 172.99
11 335.084 4.34 1.84666 23.8 170.95
12 161.470 3.33 166.34
13 180.933 29.00 1.43387 95.1 166.67
14 -1007.581 11.00 166.83
15 244.710 19.00 1.43387 95.1 165.95
16 -4667.505 0.28 165.06
17 142.602 19.00 1.49700 81.5 156.35
18 370.276 (可変) 153.91
19 125.846 2.00 1.83481 42.7 44.34
20 50.861 7.45 40.10
21 -111.873 1.90 1.81600 46.6 38.12
22 81.295 5.50 37.22
23 -65.760 1.90 1.81600 46.6 37.42
24 87.235 8.32 1.92286 21.3 40.52
25 -79.376 0.67 41.73
26 -89.729 2.20 1.88300 40.8 41.96
27 -408.148 (可変) 43.41
28 -453.539 10.50 1.59240 68.3 61.17
29 -84.689 0.20 63.37
30 310.071 9.00 1.48749 70.2 64.85
31 -162.832 4.25 65.06
32 -80.000 2.50 1.72047 34.7 64.99
33 -120.000 0.20 66.39
34 110.608 2.50 1.84666 23.9 67.42
35 71.952 10.00 1.49700 81.5 66.16
36 29725.425 0.20 66.05
37 177.665 9.00 1.48749 70.2 65.79
38 -149.331 (可変) 65.38
39(絞り) ∞ 4.50 35.95
40 -73.418 1.80 1.81600 46.6 34.56
41 76.284 0.20 34.14
42 37.966 5.70 1.80809 22.8 34.75
43 109.139 4.97 33.84
44 -66.390 2.00 1.88300 40.8 33.34
45 -530.397 30.00 1.80518 25.4 33.63
46 -143.721 5.50 35.83
47 -208.261 5.00 1.62041 60.3 35.44
48 -72.261 0.20 35.52
49 -1120.488 1.50 1.83400 37.2 34.87
50 42.660 10.00 1.62041 60.3 34.15
51 -53.539 0.20 33.99
52 75.978 7.00 1.48749 70.2 31.56
53 -35.421 1.50 1.83400 37.2 30.64
54 -122.470 5.00 29.88
55 ∞ 55.50 1.51633 64.2 40.00
56 ∞ 40.00
像面 ∞
【0062】
非球面データ
第10面
K =-1.32497e+000 A 4= 3.88103e-010 A 6=-1.90763e-014 A 8= 6.09570e-017 A10=-8.18397e-021 A12= 3.57731e-025

各種データ
ズーム比 59.06

焦点距離 10.00 24.81 66.23 325.00 590.61
Fナンバー 1.80 1.80 1.80 2.00 3.63
画角 28.81 12.50 4.75 0.97 0.53
像高 5.50 5.50 5.50 5.50 5.50
レンズ全長 673.01 673.01 673.01 673.01 673.01
BF 10.00 10.00 10.00 10.00 10.00

d18 2.00 72.00 117.00 153.30 159.50
d27 239.71 160.59 101.50 31.00 2.99
d38 3.50 12.62 26.71 60.90 82.72

入射瞳位置 189.06 373.78 722.18 2433.71 4900.33
射出瞳位置 -257.05 -257.05 -257.05 -257.05 -257.05
前側主点位置 198.69 396.28 771.98 2363.17 4184.71
後側主点位置 -0.00 -14.81 -56.23 -315.00 -580.61

ズームレンズ群データ
群 始面 焦点距離 レンズ構成長 前側主点位置 後側主点位置
1 1 221.00 198.94 130.55 -11.70
2 19 -27.50 29.93 7.36 -14.59
3 28 67.50 48.35 18.07 -16.77
4 39 87.80 140.57 66.05 9.57
【実施例5】
【0063】
図11は本発明の実施例5(数値実施例5)であるズームレンズにおいて、広角端における物体距離無限遠、至近におけるレンズ断面図である。
図11において、物体側から順に、第1レンズ群U1としての正の屈折力を有するフォーカスレンズ群、第2レンズ群U2としての変倍用の負の屈折力の第1バリエータ、第4レンズ群U4としての正の屈折力のコンペンセータ、絞りSP、第5レンズ群U5としての結像作用を有する正の屈折力のリレ−群、撮像面Iである。本実施例においては、第2レンズ群U2と第3レンズ群U3と第4レンズ群U4とで変倍レンズ群を構成する。第2レンズ群U2(第1バリエータ)は、光軸上を像面側へ単調に移動することにより、広角端から望遠端への変倍を行う。第3レンズ群U3(第2バリエータ)は、光軸上を移動することにより、広角端から望遠端への変倍を行う。第4レンズ群U4(コンペンセータ)は、変倍に伴う像面変動を補正するために光軸上を非直線的に移動する。尚、第3レンズ群U3がコンペンセータ、第4レンズ群U4が第2バリエータであっても良い。
【0064】
本実施例における第1レンズ群U1は第1面から第17面までに対応する。第1レンズ群U1は、正の屈折力の第11レンズ群U11、物体距離無限遠から至近にかけて物体側に9.18mm移動する負の屈折力の第12レンズ群U12、正の屈折力の第13レンズ群U13より構成される。また、物体距離無限遠から至近にかけて第13レンズ群U13内の正の屈折力のレンズ群U13pが物体側に1.38mm移動する。従って、本実施例においては、レンズ群U13pが第13fレンズ群U13fに対応する。
【0065】
図12Aに、数値実施例5の広角端における物体距離7.0m(a)、無限遠(b)、至近(1.8m)(c)の収差図を、図12Bに、数値実施例5の望遠端における物体距離7.0m(a)、無限遠(b)、至近(1.8m)(c)の収差図を、示す。但し、物体距離は像面を基準とした値である。
【0066】
本実施例の各条件対応値を表1に示す。また、本実施例のブリージングを、広角端の物体距離無限遠における全系の焦点距離に対する至近における全系の焦点距離変化の比率と定義した場合の値を表2に示す。 本実施例は条件式(1)〜(5)を満足しており、高倍率、小型軽量且つフォーカスによる収差変動の少ない高性能なズームレンズを達成している。
【0067】
(数値実施例5)
単位 mm

面データ
面番号 r d nd vd 有効径
1 -6789.500 10.50 1.60311 60.6 134.64
2 -316.819 13.29 132.30
3 -273.538 3.30 1.69680 55.5 111.09
4 148.689 1.08 104.53
5 130.544 8.05 1.80809 22.8 104.31
6 237.359 15.90 103.09
7 -175.038 3.20 1.77250 49.6 101.98
8 940.865 1.10 102.92
9 219.161 19.57 1.60311 60.6 104.90
10* -164.924 0.20 104.95
11 209.351 3.10 1.84666 23.8 99.71
12 112.342 2.14 96.37
13 133.373 15.29 1.43387 95.1 96.41
14 -421.039 2.50 95.94
15 161.872 10.10 1.43387 95.1 94.94
16 -1920.492 0.20 94.53
17 101.420 11.24 1.49700 81.5 91.37
18 513.546 (可変) 90.18
19* 225.182 1.50 1.77250 49.6 42.22
20 29.043 10.32 36.09
21 -44.737 1.20 1.61800 63.3 35.95
22 164.036 0.15 36.27
23 65.711 10.74 1.72047 34.7 36.66
24 -44.484 0.96 36.17
25 -36.749 1.20 1.61800 63.3 36.10
26 -183.639 (可変) 35.74
27 -89.025 1.50 1.75500 52.3 37.60
28 369.683 3.50 1.92286 18.9 38.78
29 -603.636 (可変) 39.47
30 -604.961 4.86 1.61800 63.3 41.71
31 -70.764 0.20 42.31
32 185.252 3.69 1.60311 60.6 42.80
33 -508.303 (可変) 42.75
34(絞り) ∞ 2.00 41.98
35 56.310 8.59 1.48749 70.2 41.46
36 -83.084 1.50 2.00069 25.5 40.81
37 131.700 0.20 40.28
38 42.831 6.67 1.58913 61.1 40.75
39 657.022 22.84 40.17
40 611.381 1.00 1.88300 40.8 29.41
41 58.046 3.85 1.92286 18.9 28.70
42 -404.813 9.41 28.21
43 -44.692 1.00 1.88300 40.8 23.15
44 47.466 3.30 23.79
45 58.023 5.64 1.51633 64.1 27.01
46 -52.816 0.15 27.86
47 130.273 5.42 1.48749 70.2 28.73
48 -50.737 5.41 29.06
49 68.955 2.41 1.48749 70.2 28.19
50 111.123 6.08 27.83
51 -34.252 1.30 1.80518 25.4 27.41
52 -50.630 28.05
像面 ∞
【0068】
非球面データ
第10面
K =-1.83956e+000 A 4=-1.10900e-009 A 6= 1.13486e-012 A 8= 4.72225e-016 A10=-1.63366e-019 A12= 1.77698e-023

第19面
K = 7.90027e+001 A 4= 1.53253e-007 A 6=-1.38868e-009 A 8= 1.52527e-012 A10=-2.14292e-015 A12=-1.78341e-018

各種データ
ズーム比 8.00

焦点距離 30.00 61.17 89.34 121.04 240.01
Fナンバー 2.80 2.80 2.80 2.80 2.80
画角 27.40 14.26 9.87 7.32 3.71
像高 15.55 15.55 15.55 15.55 15.55
レンズ全長 400.53 400.53 400.53 400.53 400.53
BF 45.51 45.51 45.51 45.51 45.51

d18 0.70 41.31 56.70 67.36 86.02
d26 94.10 37.62 15.33 4.60 16.13
d29 11.12 23.76 28.03 27.43 3.76
d33 1.80 5.02 7.65 8.32 1.79

入射瞳位置 121.66 214.82 280.55 348.43 591.43
射出瞳位置 -78.95 -78.95 -78.95 -78.95 -78.95
前側主点位置 144.43 245.93 305.76 351.75 368.60
後側主点位置 15.51 -15.66 -43.83 -75.53 -194.50

ズームレンズ群データ
群 始面 焦点距離 レンズ構成長 前側主点位置 後側主点位置
1 1 131.30 120.74 87.74 4.22
2 19 -37.06 26.07 1.59 -18.43
3 27 -154.83 5.00 -0.70 -3.38
4 30 81.94 8.74 3.53 -1.95
5 34 150.79 86.76 8.03 -70.47
【0069】
【表1】

【0070】
【表2】

【実施例6】
【0071】
図13は実施例1乃至5のズームレンズを撮影光学系として用いた実施例6である撮像装置の概略図である。
図13において、撮像装置125は、実施例1乃至5のいずれかのズームレンズ101と、ズームレンズ101に着脱可能なカメラ124を含む。ズームレンズ101は、焦点調整用レンズ群を含む第1レンズ群F、変倍レンズ群LZ、結像用レンズ群Rを有する。SPは開口絞りである。第1レンズ群F及び変倍レンズ群LZはそれぞれヘリコイドやカム等の駆動機構114,115によって光軸方向に駆動される。駆動機構114、115及び開口絞りSPは電動駆動するモーター(駆動手段)116〜118によって電動駆動される。第1群レンズFや変倍レンズ群LZの光軸上の位置や、開口絞りSPの絞り径はエンコーダやポテンショメータ、あるいはフォトセンサ等の検出器119〜121によって検出される。カメラ124は、光学フィルタや色分解光学系に相当するガラスブロック109、ズームレンズ101によって形成された被写体像を受光するCCDセンサやCMOSセンサ等の固体撮像素子(光電変換素子)110を含む。また、CPU111、122は、カメラ124及びズームレンズ101の各種の駆動を制御する。このように本発明のズームレンズをテレビカメラに適用することにより高い光学性能を有する撮像装置を実現することができる。
【0072】
以上、本発明の好ましい実施例について説明したが、本発明はこれらの実施例に限定されないことは云うまでもなく、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
【符号の説明】
【0073】
U1 第1レンズ群
U2 第2レンズ群
U3 第3レンズ群
U4 第4レンズ群
SP 絞り
U5 第5レンズ群
U11 第11レンズ群
U12 第12レンズ群
U13 第13レンズ群
U13p 第13レンズ群内の正の屈折力のレンズ群

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体側から順に、正の屈折力を有し変倍のためには移動しない第1レンズ群と、変倍に際し移動する少なくとも2群を含む変倍レンズ群と、開口絞りと、正の屈折力を有し変倍のためには移動しないリレーレンズ群とを有し、
該第1レンズ群は、物体側より順に正の屈折力を有する第11レンズ群と、負の屈折力を有する第12レンズ群と、正の屈折力を有する第13レンズ群とを有し、
該第13レンズ群は、正の屈折力を有し可動である第13fレンズ群を含み、
該第12レンズ群及び該第13fレンズ群をそれぞれ物体側へ繰り出すことにより近距離物体へ焦点調整を行い、
以下の条件を満足することを特徴とするズームレンズ。
−2.5 < f12/f13f < −0.4
0.05 < δx13f/δx12 < 5.0
但し、f12:第12レンズ群の焦点距離
f13f:第13fレンズ群の焦点距離
δx12:第12レンズ群の焦点調整における繰り出し量
δx13f:第13fレンズ群の焦点調整における繰り出し量
【請求項2】
以下の条件を満足することを特徴とする請求項1に記載のズームレンズ。
0.07 < f1/f11 < 0.35
但し、f1:第1レンズ群の焦点距離
f11:第11レンズ群の焦点距離
【請求項3】
以下の条件を満足することを特徴とする請求項1又は2に記載のズームレンズ。
0.2 < f1/ft < 1.0
但し、ft:レンズ全系の望遠端における焦点距離
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか1項に記載のズームレンズと、
該ズームレンズによって形成される像を光電変換する撮像素子と、
を有することを特徴とする撮像装置。
【請求項5】
以下の条件式を満足することを特徴とする請求項4に記載の撮像装置。
0.7 < fw/IS < 2.4
但し、fw:前記ズームレンズの全系の広角端における焦点距離
IS:イメージサイズ

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9】
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【図10A】
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【図10B】
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【図11】
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【図12A】
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【図12B】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−203297(P2012−203297A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−69565(P2011−69565)
【出願日】平成23年3月28日(2011.3.28)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】