説明

セキュリティシステムおよび記憶媒体

【課題】低いコストで高いセキュリティが得られるセキュリティシステムおよび記憶媒体の提供を目的としている。
【解決手段】本発明の一実施形態に係るセキュリティシステム1は、複数のユニット20A,20B,20C,20D・・・と、これら複数のユニットにより記憶内容が読み取られるとともに、複数のユニットに共通の少なくともPINコードを含む識別情報を記憶する記憶媒体10とを備えている。各ユニット20A,20B,20C,20D・・・は、共通の識別情報を記憶する記憶手段と、前記記憶媒体に記憶されている前記共通の識別情報を読み取るための情報読み取り手段と、前記情報読み取り手段により読み取られる前記識別情報が前記記憶手段に記憶された識別情報であるか否かを判定する判定手段とを有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、PINコードを含む共通の識別情報を用いて記憶媒体を複数のユニット間で共通に使用できるようにしたセキュリティシステムおよび当該セキュリティシステムで使用される記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、スマートカード、マネーカード、IDカードなどの記憶媒体においては、セキュリティを確保するためにPIN(個人識別番号)コードが利用されている。すなわち、PINコードを記憶媒体に記憶させ、そのPINコードが認識された後でなければ記憶媒体に記憶されている情報にアクセスできないようにすることで、個人情報や機密情報の流出などを妨げる安全対策が各分野において図られている。
【0003】
これに関連して、特許文献1には、本人のみしか知らないPINコードを複数覚える必要性や記憶忘れを無くすとともに、複数枚のカードを所持することによる嵩張りを無くすために、1枚のスマートカードに複数のPINコードを格納し、それを検索により使用可能とする方法および装置が開示されている。
【0004】
【特許文献1】特表2003−500781号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の構成では、複数のPINコードを1枚のスマートカードに格納する必要性から、それに相当するメモリ容量をスマートカードが有していなければならず、また、複数のPINコードの中から1のPINコードを選択する必要があるため、そのために必要なスマートカードの内部構成が複雑化してしまうといった問題がある。その結果、1枚のカードにかかるコストが高くなり、量産することが難しくなる。
【0006】
本発明は前記事情に着目してなされたものであり、低いコストで高いセキュリティが得られるセキュリティシステムおよび記憶媒体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、請求項1に記載されたセキュリティシステムは、複数のユニットと、前記複数のユニットにより記憶内容が読み取られるとともに、前記複数のユニットに共通の少なくともPINコードを含む識別情報を記憶する記憶媒体とを備え、前記各ユニットは、前記共通の識別情報を記憶する記憶手段と、前記記憶媒体に記憶されている前記共通の識別情報を読み取るための情報読み取り手段と、前記情報読み取り手段により読み取られる前記識別情報が前記記憶手段に記憶された識別情報であるか否かを判定する判定手段とを有していることを特徴とする。
【0008】
この請求項1に記載されたセキュリティシステムによれば、PINコードを含む共通の識別情報を用いて記憶媒体を複数のユニット間で共通に使用できるため、すなわち、複数のユニットに共通の識別情報を記憶媒体に記憶させるだけで、複数のユニットの安全管理等を行なえるため、低いコストで高いセキュリティが得られる。また、複数のユニットに共通の識別情報を記憶媒体に記憶させるだけで済むため、記憶容量を小さくして構造を簡略化することができ、したがって、記憶媒体の製造コストを低く抑えることができる(言い換えると、単一の記憶媒体にかかるコストを低くしても、高いセキュリティが得られる)。そのため、記憶媒体の大量生産も可能になる。
【0009】
また、請求項2に記載されたセキュリティシステムは、請求項1に記載されたセキュリティシステムにおいて、前記ユニットは、前記記憶媒体を鍵として用いることにより開閉することを特徴とする。
【0010】
この請求項2に記載されたセキュリティシステムによれば、請求項1に記載されたセキュリティシステムと同様の作用効果を得ることができるとともに、記憶媒体に機械的な作用を与えることができ、記憶媒体の汎用性が高まる。前記鍵としては、例えば家の鍵などを挙げることができる。そのような場合、例えばクレジットカードやマネーカードとして機能し得る単一の記憶媒体を所持するだけで、家の玄関の扉を開閉することができ、利便性が高まるとともに、財布やポケットの中の嵩張りを無くすことができる。
【0011】
また、請求項3に記載されたセキュリティシステムは、請求項1に記載されたセキュリティシステムにおいて、前記ユニットは、前記記憶媒体を鍵として用いることにより始動することを特徴とする。
【0012】
この請求項3に記載されたセキュリティシステムによれば、請求項1に記載されたセキュリティシステムと同様の作用効果を得ることができるとともに、記憶媒体に機械的な作用を与えることができ、記憶媒体の汎用性が高まる。前記鍵としては、例えば、自動車の鍵などを挙げることができる。そのような場合、例えばクレジットカードやマネーカードとして機能し得る単一の記憶媒体を所持するだけで、自動車のエンジンをかけることもでき、利便性が高まるとともに、財布やポケットの中の嵩張りを無くすことができる
【0013】
また、請求項4に記載された記憶媒体は、複数のユニットにより記憶内容が読み取られるとともに、前記複数のユニットに共通の少なくともPINコードを含む識別情報を記憶することを特徴とする。
【0014】
この請求項4に記載された記憶媒体によれば、記憶媒体にかかるコストを低くしても、高いセキュリティが得られる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、PINコードを含む共通の識別情報を用いて記憶媒体を複数のユニット間で共通に使用できるようにしているため、低いコストで高いセキュリティが得られるセキュリティシステムを提供できる。つまり、単一の記憶媒体にかかるコストを低くしても、高いセキュリティが得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図面を参照しながら、本発明の一実施形態について説明する。
図1には、1つのPINコードを複数のユニットに共通に使用する本発明の一実施形態に係るセキュリティシステムの一例が概念的に示されている。図示のように、セキュリティシステム1は、様々な情報を記憶するカードを使用してサービスを提供する例えばクレジットカード会社2、銀行3のみならず、そのようなカードで商品の作動を行なうことが一般的ではない様々な産業、例えば遊技機業界4や自動車業界(自動車会社5)におけるユーザ使用媒体(クレジットカードや銀行カード、あるいは、自動車の始動キーや遊技機を作動させるための媒体など)を1つのセキュリティ会社6が統合してこれらの産業主体2,3,4,5・・・の機器(以下、ユニットという)において共通に利用できる記憶媒体としてのカード10を発行することにより構築される。これは、既存のクレジットカード等や鍵などをセキュリティ会社6が一旦回収して新たにカード10を発行しても良いが、1つのカード10を当初から複数のユニットで利用することを目的としてセキュリティ会社6が産業主体2,3,4,5との提携に基づき発行しても良い。
【0017】
具体的には、カード10には、前記産業主体2,3,4,5・・・が扱う様々な複数のユニット20、例えば、自動車20A、家屋の自動式開閉ドア20B、遊技機(パチンコやスロットマシンなど)20C、キャッシュディスペンサ20D間で共通に使用できる1つのPINコードが記憶されており、ユーザ12がカード10をこれらの複数のユニット10A,20B,20C,20Dにおいて使用することにより、各ユニット10A,20B,20C,20DでPINコードが読み取られ、各ユニット10A,20B,20C,20Dの作動が可能になる(各ユニットを使用できる)。すなわち、自動車であるユニット20Aは、カード10を鍵として用いることにより始動し、あるいは、家屋の自動式開閉ドア20Bは、カード10を鍵として用いることにより開閉し、また、遊技機であるユニット20Cは、カード10を例えば遊技媒体貸し出しカードとして用いることにより、遊技媒体の提供を可能にし、キャッシュディスペンサ20Dであるユニット20Dは、カード10をそのままクレジットカードや銀行カードとして用いることにより紙幣等の出し入れを可能にする。なお、以上のような利用形態を可能する記憶媒体は、カードに限らず、例えば、遊技媒体を構成するチップ(カード10と同様、チップの中にはPINコードが記憶されるとともに、遊技価値情報が記憶される)として形成されていても構わない。
【0018】
より具体的には、図2の(a)に示されるように、カード10は、所定の情報を記憶する情報記憶部11と、共通の前記PINコードを含む識別情報が記憶される共通PINコード記憶部12と、これらの記憶部11,12に記憶される情報の外部への供給或いは記憶部11に対する外部からの情報記憶を可能にするためのインタフェース14と、これらの構成要素11,12,14を制御するための制御ドライバ13とを少なくとも有しており、特に、制御ドライバ13は、ユニット20が共通PINコードの認証を行なってその正当性を判別した場合にのみ情報記憶部11の情報へのアクセスをユニット20に許容するように動作制御する。
【0019】
一方、ユニット20は、ユニット20の作動に関与する様々な情報を記憶する記憶手段としてのメモリ23と、ユニットの駆動要素を駆動させるための駆動部24と、カード10に記憶された情報を読み取るための情報読み取り部(情報読み取り手段)21と、これらの構成要素21,23,24を制御するための制御部22とを少なくとも有している。この場合、メモリ23は、前記PINコードを含む識別情報が記憶される共通PINコード記憶部23aを有しており、また、制御部22は、情報読み取り部21により読み取られるカード10のPINコード(識別情報)がメモリ23の共通PINコード記憶部23aに記憶されたPINコードであるか否かを判定する判定手段として機能する。
【0020】
なお、本実施形態において、複数のユニット20において共通に使用される識別情報は、1つのPINコードのみに限らない。例えばPINコードを含む様々な1または複数の識別コードを複数のユニット20の共通識別情報として使用しても良く、それによりセキュリティ性を高めることもできる。
【0021】
以上のように、本実施形態のセキュリティシステムによれば、共通の1つのPINコードを用いてカード10を複数のユニット20間で共通に使用できるため、すなわち、複数のユニット20に共通のPINコードをカード10に記憶させるだけで、複数のユニット20の安全管理等を行なえるため、低いコストで高いセキュリティが得られる。また、複数のユニット20に共通のPINコードをカード10に記憶させるだけで済むため、記憶容量を小さくして構造を簡略化することができ、したがって、カード10の製造コストを低く抑えることができる(言い換えると、単一のカード10にかかるコストを低くしても、高いセキュリティが得られる)。そのため、カード10の大量生産も可能になる。
【0022】
また、本実施形態では、カード10を鍵として用いることによりユニット20を開閉または始動させることができるため、すなわち、カード10に機械的な作用を与えることができるため、カード10の汎用性が高まる。この場合、例えばクレジットカードやマネーカードとして機能し得る単一のカード10を所持するだけで、家の玄関の扉を開閉することができ、また、自動車のエンジンをかけることもでき、利便性が高まるとともに、財布やポケットの中の嵩張りを無くすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】1つのPINコードを複数のユニットに共通に使用する本発明の一実施形態に係るセキュリティシステムの一例の概念図である。
【図2】(a)はセキュリシステムを構成するカードの内部構造を示す概略ブロック図、(b)はセキュリシステムを構成するユニットの内部構造を示す概略ブロック図である。
【符号の説明】
【0024】
1 セキュリティシステム
10 カード(記憶媒体)
20 ユニット
21 情報読み取り部(情報読み取り手段)
22 制御部(判定手段)
23 メモリ(記憶手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のユニットと、
前記複数のユニットにより記憶内容が読み取られるとともに、前記複数のユニットに共通の少なくともPINコードを含む識別情報を記憶する記憶媒体と、
を備え、
前記各ユニットは、
前記共通の識別情報を記憶する記憶手段と、
前記記憶媒体に記憶されている前記共通の識別情報を読み取るための情報読み取り手段と、
前記情報読み取り手段により読み取られる前記識別情報が前記記憶手段に記憶された識別情報であるか否かを判定する判定手段と、
を有していることを特徴とするセキュリティシステム。
【請求項2】
前記ユニットは、前記記憶媒体を鍵として用いることにより開閉することを特徴とする請求項1に記載のセキュリティシステム。
【請求項3】
前記ユニットは、前記記憶媒体を鍵として用いることにより始動することを特徴とする請求項1に記載のセキュリティシステム。
【請求項4】
複数のユニットにより記憶内容が読み取られるとともに、前記複数のユニットに共通の少なくともPINコードを含む識別情報を記憶することを特徴とする記憶媒体。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−70148(P2009−70148A)
【公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−238000(P2007−238000)
【出願日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【出願人】(598098526)アルゼ株式会社 (7,628)
【Fターム(参考)】