説明

ターゲットまでの距離を測定するためのシステムを有する画像走査装置

走査対象のターゲットまでの距離(Z0)を測定するためのシステム(404、604)を含む画像走査装置(12)が提供される。画像走査装置は、光ビームを集束させてターゲットを画像化するための光学システム及び画像センサアレイ(403、603)を含む。この装置は、好ましくは焦点を調節してターゲットの画像を画像センサアレイ上に結像するために、光学システムの位置を調節するための自動焦点システムを含む。画像走査装置の1つの実施形態において、光ビームをコリメイトすることにより形成されるコリメイトされた照準パターンを分析することによって距離が測定される。別の実施形態において、光ビームがターゲットに当たった時のスペックル効果によって生じたスペックルパターンを分析することによって距離が測定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学コード読取装置における画像化に関する。本発明は、特に、ターゲットコードに対して不定の方向及び距離に配置され、信頼性の高いコード取り込み及び復号のためにピントがシャープに合ったコード画像が望まれる半導体2次元画像センサ式のハンドヘルドコード読取装置に有用である。
【背景技術】
【0002】
物品のラベル又は表面に見えるバーコードシンボルのような指標を読み取るために、これまで種々の光学式読取装置及び光学式走査システムが開発されてきた。バーコードシンボル自体は、種々の幅の境界スペースによって相互に隔てられた種々の幅の一連のバーで構成された指標のコード化パターンであり、バーとスペースとは、異なる光反射特性を有する。読取装置及び走査システムは、図形指標を電気−光学的に電気信号へ変換し、この電気信号は、物品又はその一部の特徴を記述することが意図された英数文字に復号される。そのような文字は、典型的にはデジタル形式で表現され、店頭販売処理、在庫管理等の用途のためのデータ処理システムへの入力として利用される。
【0003】
このような走査システムの1つの実施形態は、ユーザが保持するハンドヘルド式の携帯型レーザー走査ヘッドであり、ユーザがヘッド、詳細には光ビームを読み取られることになるターゲット又はシンボルに向けることができるように構成されている。
【0004】
レーザースキャナのバーコード読取装置の光源は、一般にはガスレーザー又は半導体レーザーである。走査システムの光源として半導体装置を使用することは、その小さなサイズ、安いコスト、及び低い電圧要求のために特に望ましい。レーザービームは、一般的には集束光学組立体によって光学的に変更され、ターゲット距離に関して特定の寸法のビームスポットを形成するようになっている。ターゲット距離におけるビームスポットの断面は、異なる光反射率を有する各領域の間、即ちシンボルのバーとスペースとの間の最小幅とほぼ同じであるのが好ましい。
【0005】
バーコードシンボルは、様々な可能性のある幅を有する一般には矩形のバー又は要素で形成される。これらの要素の特定の配列は、使用されるコード又は「シンボル方式(symbology)」によって指定される一組の規則及び定義に従って表現される文字を規定する。バーとスペースとの相対的な寸法は、使用されるコード体系のタイプによって決まり、バーとスペースの実際の寸法も同様である。バーコードシンボルによって表される所定面積当たりの文字数は、シンボル密度と呼ばれる。所望の文字列をコード化するために、要素配列の集合が連結されて完全なバーコードシンボルを形成するが、メッセージの各々の文字は、それ自体の対応する要素群によって表される。特定のシンボル方式において、バーコードがどこで始まりどこで終わるのかを表すために、固有の「開始」及び「終了」文字が使用される。多数の異なるバーコードシンボル方式が存在する。これらのシンボル方式としては、UPC/EAN、Code39、Code128、Codabar、及びInterleaved 2of5を挙げることができる。
【0006】
説明の目的で、シンボル方式によって認識及び規定される文字を正当的文字と呼び、そのシンボル方式によって認識及び規定されない文字を非正当的文字と呼ぶことにする。つまり、所定のシンボル方式によって復号できない要素配列は、そのシンボル方式にとって非正当的文字に該当する。
【0007】
本技術分野で公知のレーザービーム走査システムにおいて、レーザー光ビームは、レンズ又は類似の光学部品によって光路に沿ってターゲットに向かって方向付けされ、ターゲットとしては、表面のバーコード又は他のシンボルを挙げることができる。移動ビームスキャナは、光源自体又は光ビームの経路内に配置されたミラー等の走査構成部品の動きによって、シンボルを横切って単一又は一連のラインの光ビームを繰り返し走査することによって作動する。走査構成部品は、シンボルを横切ってビームスポットを掃引して走査ラインをトレースするか又はスキャナの視野を走査すること、又はこれらの両方を行うことができる。
【0008】
また、バーコード読取システムは、シンボルからの反射光又は散乱光を検出するように機能するセンサ又は光検出器を含む。光検出器又はセンサは、シンボルから反射又は散乱して検出されると共に電気信号に変換される光の一部を確実に取り込むための視野を有するように、スキャナの光路に配置される。電子回路又はソフトウエアは、この電気信号を、走査されたシンボルによって表されるデジタル表現のデータに復号する。例えば、光検出器によって検出されたアナログ電気信号は、バー及びスペースの物理的な幅に対応した幅を有するパルス幅変調されたデジタル信号に変換することができる。次に、このデジタル信号は、シンボルに使用される特定のシンボル方式に基づいて、シンボルに関してコード化された2進数表現のデータに復号され、その後、英数文字を表すように復号される。
【0009】
移動ビームレーザースキャナは、バーコードシンボルを読み取ることのできる唯一の形式の光学装置ではない。本発明に特に関連する別の形式のバーコード読取装置は、電荷結合素子(CCD)技術に基づく検出器を組み込んだ装置である。このような先行技術による読取装置において、検出器の寸法は、CCD前方の対物レンズによる画像縮小のために、一般には読み取られることになるシンボルよりも小さい。シンボル全体は、読取装置の発光ダイオード(LED)等の光源からの光で照らされ、その後、各々のCCDセルが読み取られ、バー及びスペースの存在が判定される。
【0010】
ターゲット指標までの距離を測定するための方法を組み込んだ自動焦点システム及び可動又は可変フォーカス光学部品を、CCD又は他の画像ベースの走査装置に組み込むことは、システムの汎用性及び動作範囲を広げるための方法として想定されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の全体的な目的は、従来の読取装置の制約を受けない改良された光学コード読取装置を提供することである。
【0012】
本発明の別の目的は、ターゲット指標までの測定距離に応じて光学コード読取装置の自動焦点光学組立体を制御するための手段を提供することである。
【0013】
本発明の更に別の目的は、ターゲット指標までの距離を測定するために光パターンを形成して分析し、その後、光学組立体に焦点調節制御信号を供給するためのシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、光学コード読取装置、特に画像化コード読取装置のコード取得を改善するための方法及び装置に関する。画像化コード読取装置の自動焦点光学組立体を制御するために、ターゲット指標までの距離の測定に適用可能な技術が開示される。本発明は、距離を測定するために、コリメイトされた照準パターン及びスペックルパターンを利用する。
【0015】
距離を測定するためにコリメイトされた照準パターンが使用される光学コード読取装置の第1の実施形態において、レーザービームはターゲット指標に向けられる。指標に入射したビームは、その後光学コード読取装置に反射され、検出器、即ち光検出器、CCD、又はその他の画像化素子アレイのセグメントによって検出される。反射ビームは、ターゲット指標までの距離に基づいて検出器の別のセグメントを照射する。コード読取装置内の構成部品の既知の位置と基本方程式とを使用して、ターゲット指標までの距離を測定することができる。距離測定は、検出器からのデータに基づいて距離を計算するためのプロセッサを使用するか、又は検出器データをそれに対応する距離値と相互参照する参照テーブルのようなデータ構造を使用することによって、リアルタイムに実行できる。
【0016】
距離を測定するためにスペックルパターンが使用される光学コード読取装置の別の実施形態において、レーザービームはターゲット指標を照射し、画像センサ上にスペックルパターンが生じる(本技術分野ではスペックル効果として知られている)。画像センサがターゲット指標に近づくように移動されると、スペックルパターンを形成するスペックルノイズ又はスペックルは小さくなり、画像センサ上により高い空間分布周波数が生じ、逆に画像センサがターゲット指標から遠ざかるように移動されると、スペックルは大きくなり空間分布周波数は低下する。ターゲット指標までの距離とスペックルの空間分布周波数との間の関係は、複数の空間分布値がそれらに対応する距離値と相互参照される参照テーブルのようなデータ構造を使用して相関させることができる。もしくは、プロセッサは、アルゴリズム又はアプリケーションソフトウエアを使用して、スペックル空間分布データからターゲット指標の距離を計算する。
本発明の種々の実施形態は、添付図面を参照して以下に説明される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明において、画像化エンジンを有する光学コード読取装置が設けられている。光学コード読取装置は画像センサを含む。そのような画像センサは、2次元又はエリア電荷結合素子とすることができ、視野に関する2次元アレイの画素情報に対応する電気信号を生成するため関連の回路が設けられている。また、本発明の光学コード読取装置は、反射干渉光の特性を利用して、測定された距離に応じて画像センサに当たる画像の焦点特性を調節することによって、ターゲットまでの距離を測定することができる。
【0018】
図1は、ハンドヘルド光学コード読取装置12及び本発明の種々の画像化機能のために使用できるホスト端末26の概略図である。ハンドヘルドコード読取装置12は、概して細長いハンドル又は握り部16を有するハウジング14と、画像化エンジン10を収納するための上部18とを含む。画像化エンジン10の前面部15は、ハンドヘルド光学コード読取装置12の上部18の前端にある。ハンドル部16の断面の大きさ及び全体的寸法は、光学コード読取装置12をユーザが片手で好都合に保持できるような大きさである。
【0019】
光学コード読取装置12は、画像データを取得するために、光学コード読取装置12の視野内の対象物(対象物は複数であってよい)から反射された入射光を検出する。対象物は、バーコードのような光学コードであってもよく、又はコードではない対象物であってもよい。手動式引金20のような画像化作動手段は、光学コード読取装置12の前方領域において、ハンドル部16上に可動式に取り付けられている。通常、ユーザの人指し指は、引金20を押すことによって光学コード読取装置12を作動させて対象物を検出及び画像化するために用いられる。
【0020】
フレキシブル電気ケーブル22は、光学コード読取装置12をホスト端末26に接続するために設けられている。別の実施形態において、ケーブル22は、読取装置12に電力を供給することもできる。更に別の実施形態において、ケーブル22は、無線周波数通信、光通信、又はセルラー通信手段のような無線通信手段で部分的に又は完全に置き換えることができる。好適な実施形態において、光学コード読取装置12は、画素信号を処理するための手段を含み、処理情報は、ケーブル22を経由して光学コード読取装置12からホスト端末26へ伝送できる。
【0021】
復号モジュールは、光学コードに対応した画像データを復号するために、光学コード読取装置12内、及び/又はホスト端末26内に設けることができる。画像データ圧縮モジュール27は、画像データを圧縮するために設けることができる。
【0022】
ホスト端末26は、少なくとも1つのデータプロセッサを含み、少なくとも1つのデータプロセッサは、ビデオモニタ及び/又はネットワークのような、1つ又はそれ以上の周辺装置又は計算装置に接続することができる。圧縮された画像データは、電気ケーブル22を経由してホスト端末26へ伝送することができる。ビデオデータの伝送は、引金20を押すことによって又は光学コード読取装置12上の他のスイッチを操作することによって引き起こすことができる。その後、画像データはホスト端末26に供給される。ホスト端末26としてパソコンのような装置が使用される場合、圧縮された画像データは、パソコンのシリアル通信ポートのようなホスト端末26のシリアル通信ポートに供給される。画像データは、パソコン内のデータプロセッサ(図示せず)により処理されて、モニタ(図示せず)上で選択的に表示される。カラービデオ画像を取得することができる。
【0023】
図2は、光学コード読取装置12の内部構成部品の断面図である。これらの内部構成部品としては、自動焦点光学組立体、距離測定構成部品、画像化エンジン、及びハンドヘルド光学コード読取装置12に組み込まれたその他の種々のサポートシステムを挙げることができる。読取装置12は、選択された特定の無線プロトコルの動作範囲内で、大幅な無制約の移動性を可能にする複数の標準無線技術の1つによって、データ記憶システム、即ちコンピュータ式在庫管理データベース又は現金出納器に接続することができる。
【0024】
無線式の実施形態において、好適には再充電可能な電源は、ハンドヘルドコード読取装置12に組み込まれる必要があり、ハンドヘルド装置を再充電するために再充電クレードルを設けることができる。クレードルは、光学コード読取装置12からデータをダウンロードするために、及びデータをアップロードするためにデータ記憶システムに接続することができる。
【0025】
図2を参照すると、光学コード読取装置12は、人間工学的な拳銃式のハンドル50を有する拳銃式のハンドヘルド装置である。オペレータが画像取得構成部品54及び距離測定手段構成部品56を起動できるように、可動式引金52が用いられる。ハウジング14は、光源、自動焦点システム、画像センサ、及び信号処理回路58を含み、信号処理回路は、復号アルゴリズム及び参照テーブルデータ検索機能を実行するCPUを含む。また、光パターンパラメータを距離値と相関させる参照テーブルデータを記憶するための記憶部59も含まれている。
【0026】
バッテリ形の電源60が設けられている。コード読取装置12の前端にある透光窓62は、出射光ビームがハウジング14から出ていき、入射反射光がハウジング14に入ってくることを可能にすると同時に、精巧な光学部品を埃や掻き傷から保護する。無線送受器64及びアンテナ66は、オペレータがより自由に動くことを可能にする。
【0027】
再充電可能な電源60は、コード読取装置12を、グリップ50の底部に配置されたコネクタ68を介してそのベース部上で再充電が必要となるまで、好都合な期間だけ作動可能にする十分な電力を提供する。典型的に、この形式のコード読取装置12は、光学コード又は指標から数インチの範囲内で作動するように設計されている。
【0028】
また、本発明の態様は、従来のハンドヘルドスキャナ又はガン内に配置されていない画像化エンジンにも適用できることを理解されたい。例えば、画像化エンジンは、固定ロケーション又は回転タレットにおいてコンピュータ端末装置に組み込むことができる。このような構成は、画像化エンジン及び距離測定構成部品を、コンピュータのディスプレイ、処理、及び入出力機能もまた使用するテレビ電話システムの一部として使用するのに特に適している。
【0029】
本発明の光学コード読取装置12は、この装置によって生成された画像を端末モニタ上に表示するビデオ信号を供給するための、フレーム取り込み回路を更に含むことができる。この場合、既存の端末のハードウエアを変更する必要はない。
【0030】
もしくは、画像化エンジン10は、PDAのような携帯情報端末、及びSymbol Technologies社から入手可能なPDA6800シリーズ及びPDT8100シリーズ携帯型データ端末のようなハンドヘルドコンピュータ装置に取り付けるか又は一体化することができ、又はSymbol Technologies社から入手可能な携帯型走査システム又は端末に取り付けるか又は一体化することができる。このようなシステムは、以下に説明する走査機能及び他の画像化機能と統合するために、ローカルエリアネットワーク、セルラーネットワーク、又は広域ネットワークの一部として組み込むことができる。
【0031】
バッテリから電力が供給される携帯型用途においては、エネルギーを節約することが特に重要である。電源管理技術としては、電力を節約するために画像をより低い解像度又はフレームレートに切り換えることが含まれる。もしくは、画像化エンジン又はその他の光学コード読取回路、又はそれらの一部は、定期的にシャットダウンさせたり、スリープモードに入れたり、又はバッテリの充電レベルが所定レベル以下に低下したことをシステムが検出した場合にはシャットダウンさせることができる。
【0032】
図3を参照すると、画像化エンジン310は、光センサに入射する光を集束させるための少なくとも1つのレンズを有するレンズ組立体302を含み、レンズ組立体302はレンズ案内組立体303上に取り付けられており、レンズ組立体302の焦点距離を変えるために、レンズ組立体302の少なくとも1つのレンズをレンズ案内組立体303に沿って移動させるレンズ調節機構304が設けられている。レンズ調節機構304は、レンズ組立体302の1つ又はそれ以上の光学レンズをレンズ案内組立体303に沿って移動させるために、レンズ組立体302に作動的に連結されている。レンズ調節機構304は、画像化エンジン310の内部に配置してもよく又は外部に配置してもよい。
【0033】
画像化エンジン310は、光検出、アナログ−デジタル変換、タイミング発生、及び自動利得制御(AGC)のための回路及び上記の構成部品を制御するための周辺回路を含む、画像306を取り込むための回路を更に含む。画像306を取り込むための回路は、エリア式画像センサ308、好ましくは電荷結合素子(CCD)を含む。別の実施形態において、画像センサ308は、CMOS素子、CMD(電荷変調素子)、又はCID(電荷注入素子)センサであってもよい。レンズ組立体302の少なくとも1つのレンズがレンズ案内組立体303に沿って移動されると、画像306は画像センサ308上で結像する。
【0034】
光学コード読取装置の第1の実施形態において、ターゲット光学コード又は指標までの距離は、照射源から発生されるコリメイトされた照準パターンを使用して測定される。コリメイトされた照準パターンは、ターゲット指標から画像センサへ反射される。その後、ターゲット指標までの距離は、ターゲット上に入射するコリメイトされた照準パターンの反射角を利用して測定することができる。
【0035】
図4a及び図4bは、この方法の実施形態を示す。図4aでは、2つのレーザービーム源401が使用されているが、図4bは、パターン発生器409を使用した変形例を示す。この実施形態において、照射組立体のレーザーダイオード401から発生されたビーム405aは、コード読取装置のハウジング406からターゲット指標402aに向けて放出される。その後、入射ビーム405aは、指標で反射されて反射ビーム405bを形成する。反射ビーム405bは、ハウジング406に戻り、対物レンズ407を通過して検出器403、即ち光検出器又はCCDセルの一部に当たる。プロセッサ404は、検出器403の活性領域の寸法を、以下に例示するような参照テーブルに記憶された距離データと相関させる。以下のデータを得るために使用されるアルゴリズムは、次式で表される。

ここで、Z0は、レーザー401からターゲット402までの距離、ZSは、レンズ407からセンサ403までの距離、Pは、2本のビームの離隔距離(図4a)又はパターンの寸法(図4b)、Sは、センサ403上におけるパターンの高さである。
【0036】
次に、図3に示すレンズ調節機構304に関連して前述したように、距離データは、プロセッサ404によって検出器403上に画像を結像させるための関連の自動焦点光学組立体408を制御するのに使用可能な形態に変換することができる。

【0037】
第2の実施形態は、距離を測定するためにスペックル効果によって生じたスペックルパターンを利用する。スペックル効果は、粗面を照らすと散乱光内で干渉するレーザー光に観察される現象である。その名が示すように、スペックル効果は、干渉の結果として明暗領域を有するスペックルパターンを生じる。画像センサが表面から離れる方向へ移動させられると、スペックルのサイズが大きくなり相互に結合する。
【0038】
結果として得られる距離に関連するスペックル空間分布周波数の変化は、図5に示すように、ターゲット指標までの距離を測定するために使用される。画像センサ603は、指標602を照射するレーザー601で生じたスペックルパターンを検出する。スペックルパターンデータは、空間分布周波数を分析するために、画像プロセッサ604へ伝送される。空間分布周波数が求まると、コード読取装置のメモリ605に記憶された以下に示す例示的な参照テーブルのような、所定の空間分布周波数−距離データ対を含む参照テーブルから、対応する距離値を検索することができる。距離データは、次式で求めることができる。

ここで、Z0は、レーザー601からターゲット602までの距離、fは、センサ603上での空間分布周波数、Pは、ビームの直径、λは、波長である。
【0039】
その後、対応する距離値は、プロセッサ604によって、図3に示すレンズ調節機構304に関連して前述したように、レンズ組立体の少なくとも1つのレンズの移動を制御して画像センサ603に画像を結像させる自動焦点光学組立体608を制御するために使用される。

【0040】
前述の光学コード読取装置は、ターゲット指標までの距離を測定して、引用によってその開示内容が本明細書に組み込まれている同時係続中の米国特許出願番号10/425,344に説明されている自動焦点組立体等の自動焦点組立体を制御するために、コリメイトされたパターン及びスペックルパターンのような光パターン、及び参照テーブル、又は他のデータ構造を利用する。距離測定構成部品は、ターゲット指標から反射され検出されたパターンを参照テーブルに記憶された距離値と相関させる。
【0041】
前述の本発明の実施形態は、限定的ではなく例示的なものであり、更に本発明の全ての実施形態を示すものではない。特許法上同一に又は均等に認識される、種々の変更例及び変形例は、請求項に記載されている本発明の精神又は範囲から逸脱することなく作り出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】ハンドヘルド光学コード読取装置及びホスト端末の概略図である。
【図2】図1のハンドヘルド光学コード読取装置の概略ブロック図であり、本発明による、自動焦点光学組立体及び距離測定(測距)構成部品を含む内部構成部品を示す。
【図3】画像化エンジンを更に詳細に示す。
【図4a】本発明によるターゲットまでの距離を測定するための、コリメイトされた照準パターン手法の実施形態のブロック図である。
【図4b】本発明によるターゲットまでの距離を測定するための、コリメイトされた照準パターン手法の実施形態のブロック図である。
【図5】スペックル効果によって生じるスペックルパターンを使用した、ターゲットまでの距離を測定する実施形態のブロック図である。
【符号の説明】
【0043】
401 レーザービーム源
402 ターゲット
402a ターゲット指標
403 検出器
404 プロセッサ
405a 入射ビーム
405b 反射ビーム
406 コード読取装置のハウジング
407 対物レンズ
408 自動焦点光学組立体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像センサを含む光学コード読取装置であって、
ターゲットに向けて照射信号を放出するための照射組立体と、
ターゲットから反射された放出照射信号を検出するための組立体と、
前記ターゲットまでの距離を測定するために、前記放出照射信号の反射によって生じたパターンに関連した特徴を分析するためのプロセッサと、
を備え、前記パターンが、コリメイトされたパターン及びスペックルパターンの1つから選択されることを特徴とする光学コード読取装置。
【請求項2】
前記測定された距離に応じて前記ターゲットの画像の焦点を合わせるための、前記プロセッサによって制御される自動焦点光学組立体を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の光学コード読取装置。
【請求項3】
前記プロセッサが、前記ターゲットから反射されたコリメイトされたパターンによって照射された、前記光学コード読取装置の前記画像センサ上の領域間の離隔距離を測定するための手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の光学コード読取装置。
【請求項4】
前記プロセッサが、前記測定された離隔距離を前記ターゲットまでの距離と相関させるための手段を備えることを特徴とする請求項3に記載の光学コード読取装置。
【請求項5】
前記相関させるための手段が、画像センサ上のコリメイトされたパターンの領域間の複数の離隔距離の各々を、ターゲットまでのそれぞれの距離と相関させるデータ構造を含むことを特徴とする請求項4に記載の光学コード読取装置。
【請求項6】
前記プロセッサが、ターゲットによる照射信号の反射によって生じたスペックルパターンを分析するための手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の光学コード読取装置。
【請求項7】
前記プロセッサが、
前記分析されたスペックルパターンからスペックル空間分布周波数を求めるための手段と、
前記求めたスペックル空間分布周波数を前記ターゲットまでの距離と相関させるための手段と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の光学コード読取装置。
【請求項8】
前記相関させるための手段が、複数のスペックル空間分布周波数の各々を、前記ターゲットまでのそれぞれの距離と相関させるデータ構造を含むことを特徴とする請求項7に記載の光学コード読取装置。
【請求項9】
前記スペックルパターンを検出するための、前記画像センサの前記画像化アレイの基準平面に実質的に沿って配置された少なくとも1つの光検出器を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の光学コード読取装置。
【請求項10】
ターゲットまでの距離を測定するための、光学コード読取装置のための組立体であって、
ターゲットを照射するための、少なくとも1つのコリメイトされた光ビームを放出する照射組立体と、
前記ターゲットによる前記コリメイトされた光ビームの反射によって生じたコリメイトされたパターンを検出するための組立体と、
前記ターゲットまでの距離を測定するために、前記検出されたコリメイトされたパターンを分析するプロセッサと、
を備えることを特徴とする組立体。
【請求項11】
前記測定された距離に応じて前記ターゲットの画像の焦点を合わせるための、前記プロセッサによって制御される自動焦点光学組立体を更に備えることを特徴とする請求項10に記載の組立体。
【請求項12】
前記プロセッサが、前記ターゲットから反射されたコリメイトされたパターンによって照射された、前記光学コード読取装置の前記画像センサ上の領域間の離隔距離を測定するための手段を備えることを特徴とする請求項10に記載の組立体。
【請求項13】
前記プロセッサが、前記測定された離隔距離を前記ターゲットまでの距離と相関させるための手段を備えることを特徴とする請求項12に記載の組立体。
【請求項14】
前記相関させるための手段が、画像センサ上のコリメイトされたパターンの領域間の複数の離隔距離の各々を、ターゲットまでのそれぞれの距離と相関させるデータ構造を含むことを特徴とする請求項12に記載の組立体。
【請求項15】
ターゲットまでの距離を測定するための、光学コード読取装置のための組立体であって、
前記ターゲットを照射するための光を放出する照射組立体と、
前記ターゲットから反射された光によって生じたスペックルパターンを検出するための組立体と、
前記ターゲットまでの距離を測定するために、前記検出されたスペックルパターンを処理するためのプロセッサと、
を備えることを特徴とする組立体。
【請求項16】
前記測定された距離に応じて前記ターゲットの画像の焦点を合わせるための、前記プロセッサによって制御される自動焦点光学組立体を更に備えることを特徴とする請求項15記載の組立体。
【請求項17】
前記プロセッサが、
前記スペックル空間分布周波数を求めるために、前記検出されたスペックルパターンを分析する手段と、
前記スペックル空間分布周波数を前記ターゲットまでの距離と相関させるための手段と、
を備え、前記相関させるための手段が、複数のスペックル空間分布周波数の各々をターゲットまでのそれぞれの距離と相関させるデータ構造を含むことを特徴とする請求項15に記載の組立体。
【請求項18】
指標の電気−光学的な画像化及び読み取りの間に距離を測定する方法であって、
コリメイトされた光ビームを放出して前記指標を照射する段階と、
前記指標による前記コリメイトされた光ビームの反射によって生じたコリメイトされたパターンを検出する段階と、
前記検出されたコリメイトされたパターンを分析して前記指標までの距離を測定する段階と、
を含むことを特徴とする距離測定方法。
【請求項19】
前記距離を測定する段階が、前記光学コード読取装置の光軸と前記コリメイトされたパターンとの間に形成される角度を測定することを含むことを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記指標が、光学コード、英数文字、絵柄、及び手書き表記からなる群から選択されることを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項21】
指標の電気−光学的な画像化及び読み取りの間に距離を測定する方法であって、
入射光ビームによって前記指標を照射する段階と、
前記指標による前記入射光ビームの反射によって生じたスペックルパターンを検出する段階と、
前記指標までの距離を測定するために、前記検出されたスペックルパターンを分析する段階と、
を含むことを特徴とする距離測定方法。
【請求項22】
前記分析する段階が、
前記検出されたスペックルパターンに基づいて、スペックル空間分布周波数を計算する段階と、
前記計算されたスペックル空間分布周波数を前記ターゲットまでの距離と相関させる段階と、
を含むことを特徴とする請求項21に記載の方法。
【請求項23】
画像センサを含む光学コード読取装置のための光学システムであって、
光学コードの画像を前記画像センサ上に自動的に焦点を合わせるための手段と、
前記光学コードによる照射信号の反射によって生じたパターンを分析することにより、前記光学コードまでの距離を測定するための手段と、
前記測定された距離に応じて焦点合わせ手段を制御するために、前記自動的に焦点を合わせるための手段に対して少なくとも1つの制御信号を供給するための手段と、
を含み、前記パターンが、コリメイトパターン及びスペックルパターンからなる群から選択されるパターンであることを特徴とする光学システム。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像センサを含む光学コード読取装置であって、
ターゲットに向けて照射信号を放出するためのレーザービーム組立体と、
ターゲットから反射された放出照射信号を検出するための組立体と、
前記ターゲットまでの距離を測定するために、前記放出照射信号の反射によって生じたパターンに関連した特徴を分析するためのプロセッサと、
を備え、前記パターンが、コリメイトされたパターン及びスペックルパターンの1つから選択されることを特徴とする光学コード読取装置。
【請求項2】
前記測定された距離に応じて前記ターゲットの画像の焦点を合わせるための、前記プロセッサによって制御される自動焦点光学組立体を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の光学コード読取装置。
【請求項3】
前記プロセッサが、前記ターゲットから反射されたコリメイトされたパターンによって照射された、前記光学コード読取装置の前記画像センサ上の領域間の離隔距離を測定するための手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の光学コード読取装置。
【請求項4】
前記プロセッサが、前記測定された離隔距離を前記ターゲットまでの距離と相関させるための手段を備えることを特徴とする請求項3に記載の光学コード読取装置。
【請求項5】
前記相関させるための手段が、画像センサ上のコリメイトされたパターンの領域間の複数の離隔距離の各々を、ターゲットまでのそれぞれの距離と相関させるデータ構造を含むことを特徴とする請求項4に記載の光学コード読取装置。
【請求項6】
前記プロセッサが、ターゲットによる照射信号の反射によって生じたスペックルパターンを分析するための手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の光学コード読取装置。
【請求項7】
前記プロセッサが、
前記分析されたスペックルパターンからスペックル空間分布周波数を求めるための手段と、
前記求めたスペックル空間分布周波数を前記ターゲットまでの距離と相関させるための手段と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の光学コード読取装置。
【請求項8】
前記相関させるための手段が、複数のスペックル空間分布周波数の各々を、前記ターゲットまでのそれぞれの距離と相関させるデータ構造を含むことを特徴とする請求項7に記載の光学コード読取装置。
【請求項9】
前記スペックルパターンを検出するための、前記画像センサの前記画像化アレイの基準平面に実質的に沿って配置された少なくとも1つの光検出器を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の光学コード読取装置。
【請求項10】
ターゲットまでの距離を測定するための、光学コード読取装置のための組立体であって、
ターゲットを照射するための、少なくとも1つのコリメイトされた光ビームを放出するレーザービーム組立体と、
前記ターゲットによる前記コリメイトされた光ビームの反射によって生じたコリメイトされたパターンを検出するための組立体と、
前記ターゲットまでの距離を測定するために、前記検出されたコリメイトされたパターンを分析するプロセッサと、
を備えることを特徴とする組立体。
【請求項11】
前記測定された距離に応じて前記ターゲットの画像の焦点を合わせるための、前記プロセッサによって制御される自動焦点光学組立体を更に備えることを特徴とする請求項10に記載の組立体。
【請求項12】
前記プロセッサが、前記ターゲットから反射されたコリメイトされたパターンによって照射された、前記光学コード読取装置の前記画像センサ上の領域間の離隔距離を測定するための手段を備えることを特徴とする請求項10に記載の組立体。
【請求項13】
前記プロセッサが、前記測定された離隔距離を前記ターゲットまでの距離と相関させるための手段を備えることを特徴とする請求項12に記載の組立体。
【請求項14】
前記相関させるための手段が、画像センサ上のコリメイトされたパターンの領域間の複数の離隔距離の各々を、ターゲットまでのそれぞれの距離と相関させるデータ構造を含むことを特徴とする請求項12に記載の組立体。
【請求項15】
ターゲットまでの距離を測定するための、光学コード読取装置のための組立体であって、
前記ターゲットを照射するための光を放出する照射組立体と、
前記ターゲットから反射された光によって生じたスペックルパターンを検出するための組立体と、
前記ターゲットまでの距離を測定するために、前記検出されたスペックルパターンを処理するためのプロセッサと、
を備えることを特徴とする組立体。
【請求項16】
前記測定された距離に応じて前記ターゲットの画像の焦点を合わせるための、前記プロセッサによって制御される自動焦点光学組立体を更に備えることを特徴とする請求項15記載の組立体。
【請求項17】
前記プロセッサが、
前記スペックル空間分布周波数を求めるために、前記検出されたスペックルパターンを分析する手段と、
前記スペックル空間分布周波数を前記ターゲットまでの距離と相関させるための手段と、
を備え、前記相関させるための手段が、複数のスペックル空間分布周波数の各々をターゲットまでのそれぞれの距離と相関させるデータ構造を含むことを特徴とする請求項15に記載の組立体。
【請求項18】
指標の電気−光学的な画像化及び読み取りの間に距離を測定する方法であって、
レーザービーム組立体を準備する段階と、
前記レーザービーム組立体によってコリメイトされた光ビームを放出して前記指標を照射する段階と、
前記指標による前記コリメイトされた光ビームの反射によって生じたコリメイトされたパターンを検出する段階と、
前記検出されたコリメイトされたパターンを分析して前記指標までの距離を測定する段階と、
を含むことを特徴とする距離測定方法。
【請求項19】
前記距離を測定する段階が、前記光学コード読取装置の光軸と前記コリメイトされたパターンとの間に形成される角度を測定することを含むことを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記指標が、光学コード、英数文字、絵柄、及び手書き表記からなる群から選択されることを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項21】
指標の電気−光学的な画像化及び読み取りの間に距離を測定する方法であって、
入射光ビームによって前記指標を照射する段階と、
前記指標による前記入射光ビームの反射によって生じたスペックルパターンを検出する段階と、
前記指標までの距離を測定するために、前記検出されたスペックルパターンを分析する段階と、
を含むことを特徴とする距離測定方法。
【請求項22】
前記分析する段階が、
前記検出されたスペックルパターンに基づいて、スペックル空間分布周波数を計算する段階と、
前記計算されたスペックル空間分布周波数を前記ターゲットまでの距離と相関させる段階と、
を含むことを特徴とする請求項21に記載の方法。
【請求項23】
画像センサを含む光学コード読取装置のための光学システムであって、
光学コードの画像を前記画像センサ上に自動的に焦点を合わせるための手段と、
前記光学コードによる照射信号の反射によって生じたパターンを分析することにより、前記光学コードまでの距離を測定するための手段と、
前記測定された距離に応じて焦点合わせ手段を制御するために、前記自動的に焦点を合わせるための手段に対して少なくとも1つの制御信号を供給するための手段と、
を含み、前記パターンが、コリメイトパターン及びスペックルパターンからなる群から選択されるパターンであることを特徴とする光学システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4a】
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【図4b】
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【図5】
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【公表番号】特表2006−511895(P2006−511895A)
【公表日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−502640(P2005−502640)
【出願日】平成15年12月17日(2003.12.17)
【国際出願番号】PCT/US2003/040458
【国際公開番号】WO2004/057520
【国際公開日】平成16年7月8日(2004.7.8)
【出願人】(599101597)シンボル テクノロジーズ インコーポレイテッド (68)
【Fターム(参考)】