説明

ターボ機械

【課題】比較的コンパクトなターボ機械を提供すること。
【解決手段】ターボ機械はロータ組立体、ステータ組立体、及びトロイダルインダクタを備える。ロータ組立体はインペラを備え、インダクタはロータ組立体を取り囲む。更にインダクタは、インペラとステータ組立体との間に配置され、更にインペラが発生する又はインペラ上に作用する空気流に晒されるようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はターボ機械に関する。
【背景技術】
【0002】
ターボ機械の回路組立体は電流リップルを平滑するためのインダクタを含むことができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
多くの場合、インダクタの物理的寸法は比較的大きく、ターボ機械の全体寸法に影響を与えてしまう。
【課題を解決するための手段】
【0004】
第1の態様において、本発明はロータ組立体、ステータ組立体、及びトロイダルインダクタを備えるターボ機械を提供し、ロータ組立体はインペラを備え、インダクタは、ロータ組立体を取り囲み、インペラとステータ組立体との間に配置され、更にインペラが発生する又はインペラ上に作用する空気流に晒されるようになっている。
【0005】
ロータ組立体を取り囲みステータ組立体とインペラとの間に配置されるトロイダルインダクタを採用することで、比較的コンパクトなターボ機械を得ることができる。更に、インダクタはインペラが発生する又はインペラ上に作用する空気流に晒されるので、銅損を低減できる。
【0006】
ロータ組立体は、ロータコア、ベアリング組立体、及びインペラが取り付くシャフトを備えることができる。ベアリング組立体は、ロータコアとインペラとの間に配置され、インダクタは、ベアリング組立体を取り囲む。インペラ及びロータコアをベアリング組立体の反対側に取り付けることで、比較的コンパクトなロータ組立体が得られる。ベアリング組立体を取り囲むトロイダルインダクタを採用することで、ベアリング組立体の周りの利用可能な空間を有効利用できる。
【0007】
ターボ機械はインダクタが電気的に接続される回路基板を備えることができ、ステータ組立体は回路基板とインダクタとの間に配置できる。このように回路基板を配置することで、所望であれば回路基板は空気流から隔離できる。もしくは、回路基板は、空気流に晒されることができるが、その位置のおかげで、空気流を妨げる又は制限することはない。
【0008】
ターボ機械は、インペラを覆うシュラウドを備えることができ、インダクタはシュラウドを取り囲むことができる。シュラウドを取り囲むことで、インダクタはシュラウドの周りの利用可能な空間を有効利用できる。インダクタの内径は、インペラの外径よりも小さくすることができる。その結果、インダクタは、半径方向にコンパクトなままでシュラウドを取り囲む。
【0009】
第2の態様において、本発明は、インペラ、インペラを覆うシュラウド、及びシュラウドを取り囲むトロイダルインダクタを備えるターボ機械を提供する。
【0010】
本発明を容易に理解できるように、本発明の実施形態を例示的に添付の図面を参照して以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明によるターボ機械の断面図である。
【図2】ターボ機械の分解組立図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1及び2のターボ機械は、ハウジング2、ロータ組立体3、ステータ組立体4、及び回路組立体5を備える。
ハウジング2は、本体6、上部カバー7、及び下部カバー8を備える。本体6は、ロータ組立体3、ステータ組立体4、及び回路組立体5を支持する内部フレームを備える。上部カバー7は、本体6の第1の端部に固定され、作動空気流が入る吸気口9を備える。下部カバー8は、本体6の第2の端部に固定され、ディフューザ羽根10及び作動流体が排出される排気口11を備える。
【0013】
ロータ組立体3は、シャフト12、ロータコア13、ベアリング組立体14、インペラ15、及びシュラウド16を備える。ロータコア13、ベアリング組立体14、及びインペラ15の各々はシャフト12に取り付けられる。シュラウド16は、インペラ15を覆うようにベアリング組立体14に取り付けられる。ロータ組立体3は、ベアリング組立体14及びシュラウド16においてハウジング2の本体6に取り付けられる。詳細には、ロータ組立体3は、O−リングによって各箇所においてソフトマウントされる。
【0014】
ステータ組立体4は、ロータコア13の対向側に配置された一対のステータコア18を備える。導線19はステータコア18の周りに巻かれ、一緒になって相巻線を形成する。相巻線は、回路組立体5に電気的に結合される。
【0015】
回路組立体5は回路基板20及び複数の電気構成部品21を備える。回路基板20はインペラ15より遠位のステータ組立体4の一方側に配置される。つまり、ステータ組立体4は、回路基板20とインペラ15との間に配置される。回路基板20は、ロータ組立体3の回転軸に直交する平面に横たわるので、軸方向にコンパクトな構造がもたらされる。電気構成部品21のうちの1つはトロイダルインダクタ22である。インダクタ22はロータ組立体3を取り囲み、ステータ組立体4とインペラ15との間に配置される。インダクタ22の巻線は、ステータ組立体4を通り越して回路基板20に電気的に結合する。
【0016】
ターボ機械1の作動時、インペラ15は、ハウジング2の内部を通って吸気口9から排気口11へ空気を引き出す。インペラ15が発生する空気流はステータ組立体4を通過して冷却する。ハウジング2の内部は、ステータ組立体4を通過した後の空気流がシュラウド16の入口に案内されるように形作られる。このために、ハウジング2の本体6は、外壁から内向きの延びる半径方向フランジ23を備える。インダクタ22は、このフランジ23の下に配置されるので、比較的少ない空気流がインダクタ22を通過する。それにも関わらず、インダクタ22は空気流に晒されるので(つまり、インダクタ22は空気流から隔離されないので)、空気流によってある程度冷却される。インダクタ22の更なる冷却が必要な場合、インダクタ22の位置及び/又はハウジング2の内部の形状は、インダクタ22がより多くの空気流に晒されるようすることができる。例えば、半径方向フランジ23は短くすること又は完全に取り除くことができる。ステータ組立体4及びインダクタ22は空気流に晒されるので、銅損が低減して効率の高いターボ機械1が得られる。
【0017】
ロータ組立体3を取り囲みステータ組立体4とインペラ15との間に配置されるトロイダルインダクタ22を採用することで、比較的コンパクトなターボ機械1が得られる。対照的に、従来のターボ機械の回路組立体は、回路基板に直接実装されるインダクタ(例えば、E−コアインダクタ)を含む場合がある。インダクタの物理的寸法により、ターボ機械の全体寸法は大きくなる。実際に、インダクタの寸法により、回路組立体は、ターボ機械の残余部から離れて配置することが必要となる場合もある。一方で、本発明のターボ機械1は、トロイダルインダクタ22を配置するために、ステータ組立体4とインペラ15との間の利用可能な空間を有効利用できる。その結果、更にコンパクトなターボ機械1が得られる。更に、回路組立体5は、ターボ機械1のハウジング2内に取り付けることができる。これにより、製品内にターボ機械1を取り付けることが簡単になる。特に、ターボ機械及び回路組立体を別々に製品内に取り付けること、及び両者を電気的に結合する必要がない。
【0018】
ベアリング組立体14はロータコア13とインペラ15との間に配置される。その結果、ロータ組立体3は軸方向に比較的コンパクトになる。この配置の別の利点は、ロータ組立体3は、ハウジング2内に取り付ける前に完成品一式として動的にバランスをとることができる点にある。インダクタ22は、ベアリング組立体14の周りの利用可能な空間を占めることができる。ステータ組立体4及びインペラ15は、ベアリング組立体14よりも半径方向に大きいので、インダクタ22の導入により、ターボ機械1の全体寸法(つまり、軸長又は最大外径)は増大しない。
【0019】
インダクタ22は、ベアリング組立体14だけでなくシュラウド16を取り囲む。インペラ15の外径は、入口から出口に向かって大きくなる。同様に、シュラウド16の外径は、入口から出口に向かって大きくなる。シュラウド16を取り囲むことで、インダクタ22はシュラウド16の周りの利用可能な空間を有効利用できる。更に、インダクタ22の内径はインペラ15の外径よりも小さい。その結果、インダクタ22は、半径方向にコンパクトなままでシュラウド16を取り囲む。
【0020】
回路基板20は、インペラ15及びインダクタ22より遠位のステータ組立体4の一方側に配置される。つまり、ステータ組立体4は、回路基板20とインペラ15(インダクタ22)との間に配置される。このように回路基板20を配置することで、回路基板20は、ハウジング2を通る空気流を妨げない。回路基板20は空気流を妨げないが、それでも回路組立体5は空気流に晒されるので、回路基板20に実装される電気構成部品21を冷却することができる。所望であれば、回路基板20は、空気流から隔離することができる。このことは、例えば、空気流が回路基板20上の電気構成部品21を短絡させる又はそうでなければ損傷を与える液体を運ぶ場合に必要となるであろう。回路基板20の位置により、回路基板20は、ステータ組立体4及びインダクタ22が空気流に引き続き晒される状態で隔離できる。
【0021】
前述の実施形態において、インペラ15は空気流を発生するのでターボ機械1は圧縮機として作用する。もしくは、空気流はターボ機械1がタービンとして作用するようにインペラ15上に作用することができる。
【符号の説明】
【0022】
1 ターボ機械
3 ロータ組立体
4 ステータ組立体
15 インペラ
22 トロイダルインダクタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロータ組立体、ステータ組立体、及びトロイダルインダクタを備えるターボ機械であって、前記ロータ組立体はインペラを備え、前記インダクタは、前記ロータ組立体を取り囲むと共に前記インペラと前記ステータ組立体との間に配置され、前記インペラが発生する又は前記インペラに作用する空気流に晒されるようになった、ターボ機械。
【請求項2】
前記ロータ組立体は、ロータコア、ベアリング組立体、及びインペラが取り付けられるシャフトを備え、前記ベアリング組立体は、前記ロータコアと前記インペラとの間に配置され、前記インダクタは、前記ベアリング組立体を取り囲む、請求項1に記載のターボ機械。
【請求項3】
前記ターボ機械は回路基板を備え、前記インダクタは前記回路基板に電気的に接続され、前記ステータ組立体は前記回路基板と前記インダクタとの間に配置される、請求項1又は2に記載のターボ機械。
【請求項4】
前記ターボ機械は前記インペラを覆うシュラウドを備え、前記インダクタは前記シュラウドを取り囲む、請求項1から3のいずれかに記載のターボ機械。
【請求項5】
前記インダクタの内径は、前記インペラの外径よりも小さい、請求項4に記載のターボ機械。
【請求項6】
インペラ、該インペラを覆うシュラウド、及び該シュラウドを取り囲むトロイダルインダクタを備えるターボ機械。
【請求項7】
前記インダクタの内径は、前記インペラの外径よりも小さい、請求項6に記載のターボ機械。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−46570(P2013−46570A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−199867(P2012−199867)
【出願日】平成24年8月24日(2012.8.24)
【出願人】(508032310)ダイソン テクノロジー リミテッド (286)
【Fターム(参考)】