説明

ダイヤモンドソーワイヤの製造方法及びその製造装置

【課題】ダイヤモンドを確実にソーワイヤ素線に固着できるダイヤモンドソーワイヤの製造方法及び装置を提供する。
【解決手段】表面にめっき金属が覆われ、めっき金属にダイヤモンド粉が付着しているソーワイヤを製造する方法であって、磁石に吸着する材料を付着したダイヤモンド粉を用意する工程と、第1の金属めっきをした、磁化可能な材料からなるソーワイヤ素線を磁化する工程10と、前記ダイヤモンド粉を、磁化した前記ソーワイヤ素線に磁力で吸着させる工程20と、ダイヤモンド粉を吸着したソーワイヤ素線の第1の金属めっきを、めっき金属の融点より5℃低い温度から融点より5℃高い温度範囲内で加熱する工程30と、加熱後の第1の金属めっきにダイヤモンド粉をめり込ませる工程40と、ダイヤモンド粉がめり込んだソーワイヤ素線を冷却する工程50と、脱磁処理する工程60と、を具備したダイヤモンドソーワイヤを製造する方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、太陽光発電、半導体用結晶シリコンやサファイヤ、水晶などのスライス用に使用するダイヤモンドソーワイヤの製造方法及びその製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
シリコンウェファーなどのスライスには従来ブラスめっきピアノ線が専ら使用されて来た。最近太陽光発電などに使用されるシリコンウェファーの需要が急速に伸びてきたが、従来のブラスめっきピアノ線では、加工速度が遅くて生産性が低い問題があった。
【0003】
この問題を解決するために、近年、ダイヤモンドソーワイヤが注目され、以下の特許文献は、ダイヤモンドソーワイヤの製造方法及びその装置を開示している。
【0004】
特許文献1は、長寿命で生産性の高い固定砥粒式ワイヤーソーを得るために、ワイヤーをロー材等の金属材用ルツボ、ダイヤモンド用ルツボに連続的に通過させ、ワイヤーにロー材等である金属層を介してダイヤモンドを固着させるソーワイヤの製造方法及びその装置を開示している。
【0005】
特許文献2は、固定砥粒式ワイヤーソーにおいて、ダイヤモンドとワイヤーの接合構造の改善によりワイヤー素線としてステンレス鋼が使用できるようにするために、ワイヤーの外周にロー材を介して多層コーティングを施したコーティング・ダイヤモンドの第1層がTi等の遷移金属をふくみ、ダイヤモンド素線と化学結合している層であり、第2層がロー材に対する濡れ性改善層からなり、場合によりさらにロー材に対する濡れ改善層のための第3層を施し、ワイヤーがロー材によってコーティング・ダイヤモンドを固着する際の熱処理時において実質的に強度低下を来たさないステンレス鋼材とした、ワイヤーソーの製造方法及びその装置を開示している。
【0006】
特許文献3は、製造時の金属材の溶融時間を短くし、金属材の劣化を防止し、さらに製造設備が大掛かりとならず、各種調整や交換・補充作業も容易に行うために、金属材の溶融温度以下の温度で乾燥する仮付け用の液状接着材と多数の超砥粒とを混入した収納容器を設け、該収納容器内の接着材の液中にワイヤーを軸方向に通過させて超砥粒をワイヤー外面に仮付けし、その後、金属材を加熱溶融させて超砥粒をワイヤー外周にろう付けして作製される、ワイヤーソーの製造方法及びその装置を開示している。
【0007】
特許文献4は、微妙な超砥粒の付着量、付着密度の調整を確実に行い、優れた切断加工性を有する高品質のワイヤーソーを安定供給し、製造時の金属材の溶融時間を短くし、金属材の劣化を防止し、さらに製造設備が大掛かりとせず、各種調整や交換・補充作業も容易に行うために、ワイヤーの外面に金属材の溶融温度以下の温度で乾燥する仮付け用の接着材を、間隔をあけて複数領域に付着させ、該接着材により超砥粒を各領域に仮付けした後、金属材を加熱溶融させ、超砥粒をワイヤー外周にろう付けしてなる、ワイヤーソーの製造方法及びその装置を開示している。
【0008】
特許文献5は、ピアノ線等からなる芯線の周囲に、樹脂を主成分とする緩衝層を設け、この緩衝層の外周に砥粒を金属めっきで固着した砥粒層を形成することにより、ワイヤーソー加工時の面精度を高め、砥粒保持力を維持しつつ、ワイヤーソーの柔軟性を高めて、切断性能に優れたワイヤーソーが開示されている。
【0009】
特許文献6は、ピアノ線等からなる芯線の周囲に、砥粒を紫外線硬化樹脂からなるレジンボンドで固定した砥粒層を形成して、柔軟性を維持しつつ、砥粒の食い込みを向上して、高精度、高能率での切断が可能なレジンボンドワイヤソーが開示されている。
【0010】
これらの文献に記載された発明には、砥粒(ダイヤモンド粒)を仮付けした後、ろう付けする方法を開示したものがある。しかし、機器との接触や振動などで、位置ずれが生じたり、ダイヤモンド粒が脱落したりしやすく、これら文献に記載した仮付け方法では安定して確実に固着させることは困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2006-123024号公報
【特許文献2】特開2008-221406号公報
【特許文献3】特開2010-583号公報
【特許文献4】特開2010-584号公報
【特許文献5】特開2006-231479号公報
【特許文献6】特開2007-253268号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
これらの文献に開示されたソーワイヤの製造方法は、いずれも、ソーワイヤ素線に被覆されためっき金属等に砥粒(ダイヤモンド粉末)を固着させる技術である。
【0013】
本発明は、ソーワイヤ素線に被覆されためっき金属にダイヤモンド粉末を固着させる際に、磁力による吸着力を利用して、仮付して、ダイヤモンド粒の位置ずれや落下を防止して、ソーワイヤ素線に、より確実にダイヤモンド粉末を固着させることができる方法及び装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記の課題を解決するために、本発明は、表面にめっき金属に覆われ、めっき金属にダイヤモンド粉(微粒子)が付着しているソーワイヤを製造する方法であって、磁石に吸着する材料を付着(例えばNiめっき)したダイヤモンド粉を用意する工程と、第1の金属めっき(好適には、錫、亜鉛)をした、磁化可能な材料(好適には鋼)からなるソーワイヤ素線を磁化する工程と、前記ダイヤモンド粉を、磁化した前記ソーワイヤ素線に磁力で吸着させる工程と、ダイヤモンド粉を吸着したソーワイヤ素線の第1の金属めっきを、めっき金属の融点より5℃低い温度から融点より5℃高い温度範囲内で加熱する工程と、加熱された第1の金属めっきにダイヤモンド粉をめり込ませる工程と、ダイヤモンド粉がめり込んだソーワイヤ素線を冷却する工程と、ソーワイヤ素線を脱磁処理する工程とを具備したダイヤモンドソーワイヤを製造する方法及びその方法を実施するための装置である。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、磁力による吸着力を利用し、ソーワイヤ素線にダイヤモンド粉が既に付着した状態で、加熱している。すなわち、ソーワイヤ素線にダイヤモンドを付着させる工程と、付着したダイヤモンドとをめっき層に固着する工程とを別にすることにより、確実に所望の密度でダイヤモンド粉末をソーワイヤ素線に固着させることができる効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施態様を示すダイヤモンドソーワイヤの製造装置の概略図である。
【図2】本発明の他の実施態様を示すダイヤモンドソーワイヤの製造装置の概略図である。
【図3】本発明の実施例の結果を示し、ソーワイヤ素線を磁化する磁場の強さと付着したダイヤモンドの粒数(1200μm:1.20mmの長さ当りの粒数)との関係を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
【0018】
図1は、本発明に係るダイヤモンドソーワイヤの製造装置の一実施態様を示す。この装置は、ダイヤモンドソーワイヤ素線Wの処理工程に沿って、下から順に、鋼線の磁化手段である電磁コイル(10)、ダイヤモンド粉吸着槽(20)、加熱手段である誘導加熱装置(30)、ダイス(40)、冷却装置(50)、脱磁化装置(60)、巻き上げ装置(70)を配置している。
【0019】
この実施態様では、まず、金属めっきしたソーワイヤ素線Wを用意する。
【0020】
このソーワイヤ素線は、例えば、鋼母線に金属めっきをした後、伸線加工をして所望の線径することにより得られる。ソーワイヤ素線の材質は、磁化可能な材質であればよいが、従来公知の磁化可能な鋼、例えばJIS G 3502, JIS G 3506などを有効に適用することができ、特に好適には、炭素含有量:0.70以上のJISG3502ピアノ線(強度は3000 N/m2〜3500 N/m2の高強度)である。ソーワイヤ素線の線径は、例えば、0.1mmφ〜0.2mmφ程度のものが挙げられる。金属めっきの材質は、特に限定するものではないが、錫、亜鉛が一般的である。金属めっき層の厚さは、金属めっき層表面にダイヤモンド粉を充分に固着させることができる厚みが必要で、少なくとも3μm以上が好ましく、3〜5μmが一般的である。
【0021】
ついで、ソーワイヤ素線Wを電磁コイル(10)に通して、ソーワイヤ素線を磁化する。
【0022】
磁化されたソーワイヤ素線をダイヤモンド粉吸着槽(20)に導入する。ダイヤモンド粉吸着装置(20)には、磁力により吸着可能な材料を付着したダイヤモンド粉Dが浮遊しており、これらダイヤモンド粉が磁化されたソーワイヤ素線に吸着する。
【0023】
ダイヤモンド粉の径は、たとえば10〜30μm程度で、ソーワイヤの砥粒となるものである。このダイヤモンド粉に付着する、磁力により吸着可能な材料としては、例えばニッケルが好適に適用でき、ダイヤモンド粉にニッケルを付着させる手法として、無電解めっき法を有効に使用することができる。ニッケルめっきダイヤモンド粉は、東名ダイヤモンド工業(例えば製品名IRV-NP等)、イルジンジャパン等から市販品として入手することができる。一般的にダイヤモンドのニッケル厚みは、5〜10μm程度であるが、本発明では3〜5μmで十分である。
【0024】
ダイヤモンド粉を浮遊させるには、例えば、ダイヤモンド粉吸着槽(20)内にエアー或いは窒素などの不活性ガスを吹き込むことにより可能である。
【0025】
ソーワイヤ素線に付着するダイヤモンド粉の密度は、ダイヤモンド粉吸着槽(20)内で浮遊するダイヤモンド粉の密度、ソーワイヤ素線に付加する磁力、ソーワイヤ素線の走行速度などを制御することにより、適切に調整することができる。
【0026】
ダイヤモンド粉が付着したソーワイヤ素線を、誘導加熱装置(30)に導入する。この装置では、ソーワイヤ素線の金属めっきを加熱して、ダイヤモンド粉が金属めっき層にめり込むのに十分な軟らかさとする。したがって、金属めっきの加熱温度の下限は、溶融点よりも5℃低い温度(溶融温度−5℃)とし、また、上限は、溶融するめっき金属が垂れ落ちない程度の温度、即ち、溶融点より+5℃迄加熱する。この温度範囲内に加熱すれば、ダイヤモンド粉が金属めっき層にめり込むのに十分な軟らかさとし、かつ、溶融しても、めっき金属が垂れ落ちない温度なので、好適である。
【0027】
次いで、ダイヤモンド粉が付着したソーワイヤ素線を、ダイス(40)の穴(42)に通して、ダイヤモンド粉を金属めっき層にめり込ませる。穴(42)の大きさは、ソーワイヤ素線の径よりも大きいが、ダイヤモンド粉の粒径を考慮して、このダイヤモンド粉を金属めっき層にめり込ませるのに十分小さな径である。ダイスの穴(42)は、ソーワイヤ素線の入口側から出口側にかけて、その径がより次第に小径となっているものが好ましい。
【0028】
ついで、ダイヤモンド粉がめり込んでいるソーワイヤ素線を冷却装置(50)に導入して、めっき金属を固化し、めっき金属層にめり込んだダイヤモンド粉をめっき金属層に固着させる。
【0029】
冷却は、水冷でおこなっているが、他の冷却媒体を使用することもできる。空冷も可能である。
【0030】
その後脱磁化装置(60)に通してソーワイヤ素線の脱磁処理をおこなう。そして、得られたソーワイヤ素線を巻き上げ装置(70)に巻き上げて、本発明に係るダイヤモンドソーワイヤが製造される。
【0031】
図2は、本発明に係るダイヤモンドソーワイヤの製造装置の他の実施態様を示す。
【0032】
この装置は、ダイヤモンドソーワイヤ素線Wの処理工程に沿って、下から順に、素線の磁化手段である電磁コイル(10)、ダイヤモンド粉吸着槽(20)、加熱手段である誘導加熱装置(30)、冷却装置(50)、脱磁化装置(60)、銀またはニッケルの電気めっき装置(80)、水洗装置(90)及び巻き上げ装置(70)を配置している。
【0033】
図1の装置との共通点は、電磁コイル(10)、ダイヤモンド粉吸着槽(20)、加熱手段である誘導加熱装置(30)、冷却装置(50)、脱磁化装置(60)、水洗装置(90)及び巻き上げ装置(70)を備えている点である。これらの共通点については、図1の実施態様と同様なので、その説明は省略する。
【0034】
一方、相違点は、ダイス(40)を配置していない点、及び、脱磁化装置(60)の後に新たに銀またはニッケルの、及び水洗装置(90)を配置し、その後に巻き上げ装置(70)を配置している点である。
【0035】
すなわち、この実施態様では、電気めっき装置(80)により、ソーワイヤ素線の錫又は亜鉛めっき層の上に更に銀又はニッケルめっき層を形成する。この銀又はニッケルめっき層は、ダイヤモンド粉を強固に固着するために3〜5μmの層厚が好ましい。この実施態様では、ダイヤモンド粉を銀又はニッケルめっき層で強固に固着することができるので、ダイヤモンド粉をソーワイヤ素線の錫又は亜鉛めっき層にめり込ませるためのダイス(40)を配置する必要がない。
【0036】
特に、銀は他の材質との摩擦性能が非常に優れ、シリコンウエハの切削後の仕上がり面が綺麗である。 この点で、高性能の仕上げが可能になる。また、銀の電気めっきの析出速度はニッケルの3倍もあり、同じ厚みのめっきをおこなう場合、めっき層の長さは3分の1ですみ、設備費用を安くできるとともに、作業性も向上する。
【0037】
一方、ニッケルは硬い材質なので、ダイヤモンド粒の固着力が高く、シリコンウエハ等の切削効率を高め、その生産性を向上することができる。
【実施例】
【0038】
図1の装置を用いて、ダイヤモンドソーワイヤを製造した。
【0039】
すなわち、錫めっきしたソーワイヤ素線(線径:0.12mmφ)を加熱し、磁場の強さを変えて磁化し、これを粉霧状に浮遊しているダイヤモンド雰囲気中を通過させ、磁場の強さと付着した単位長さ1.20mm当たりのダイヤモンド固着数を光学顕微鏡100倍で測定した。
【0040】
製造条件及び製造方法は以下のとおりです。
【0041】
(ソーワイヤ素線)
材質:JIS G 3522 SWPKB
線径:0.12mmφ
めっき金属
材質:錫
層厚:5μm
(磁化処理)
ソーワイヤ素線の磁化量:1000,2000,又は3000エルステッド
(ダイヤモンド粉末)
径:10μm〜30μm
ニッケルめっきの層厚:2μm
ダイヤモンド雰囲気中のダイヤモンド粒数:1cm3当たり約10
(加熱)
めっき金属の加熱温度:230℃(錫の融点は231.8℃)
(ダイス)
ダイスの出口径:0.14μm
(試験結果)
磁場の強さと付着するダイヤモンドの数は、概ね比例関係にあることが確認された。この結果を表1及図3に示す。
【表1】

【0042】
したがって、ダイヤモンドの目標固着数を長さ1200μm(1.20mm)当り75個とする場合、ダイヤモンド雰囲気を10/1cmとし、磁化する強さを1500エルステッドとしてダイヤモンド雰囲気中を1秒間通過させるようにすればよいことが分かる。
【符号の説明】
【0043】
10…電磁コイル、20…ダイヤモンド粉吸着槽、30…加熱手段である誘導加熱装置、40…ダイス、42…ダイスの穴、50…冷却装置、60…脱磁化装置、70…巻き上げ装置、80…銀またはニッケルの電気めっき装置、90…水洗装置、W…ソーワイヤ素線、D…ダイヤモンド粉

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面にめっき金属が覆われ、めっき金属にダイヤモンド粉が付着しているソーワイヤを製造する方法であって、
磁石に吸着する材料を付着したダイヤモンド粉を用意する工程と、
第1の金属めっきをした、磁化可能な材料からなるソーワイヤ素線を磁化する工程と、
前記ダイヤモンド粉を、磁化した前記ソーワイヤ素線に磁力で吸着させる工程と、
ダイヤモンド粉を吸着したソーワイヤ素線の第1の金属めっきを、めっき金属の融点より5℃低い温度から融点より5℃高い温度範囲内で加熱する工程と、
加熱後の第1の金属めっきにダイヤモンド粉をめり込ませる工程と、
ダイヤモンド粉がめり込んだソーワイヤ素線を冷却する工程と、
脱磁処理する工程と、
を具備したダイヤモンドソーワイヤを製造する方法。
【請求項2】
表面にめっき金属が覆われ、めっき金属にダイヤモンド粉が付着しているソーワイヤを製造する方法であって、
磁石に吸着する材料を付着したダイヤモンド粉を用意する工程と、
第1の金属めっきをした、磁化可能な材料からなるソーワイヤ素線を磁化する工程と、
前記ダイヤモンド粉を、磁化した前記ソーワイヤ素線に磁力で吸着させる工程と、
ダイヤモンド粉を吸着したソーワイヤ素線の第1の金属めっきを、めっき金属の融点より5℃低い温度から融点より5℃高い温度までの温度範囲内で加熱する工程と、
ソーワイヤ素線を冷却する工程と、
脱磁処理する工程と、
脱磁処理後のソーワイヤ素線に、銀及びニッケルからなる群から選択される成分又はこの成分を含む合金をめっきして、第2のめっき金属を被覆する工程と、
第2のめっき金属被覆後のソーワイヤ素線を冷却する工程と、
を具備したダイヤモンドソーワイヤを製造する方法。
【請求項3】
ダイヤモンド粉に付着する材料はニッケルまたはニッケル合金であり、ソーワイヤ素線の材料は鋼である請求項1又は2記載のダイヤモンドソーワイヤを製造する方法。
【請求項4】
ダイヤモンド粉を吸着した第1の金属めっきを加熱する工程は、誘導加熱処理工程を備えている請求項1〜3のいずれかに記載のダイヤモンドソーワイヤの製造方法。
【請求項5】
第1の金属めっきにダイヤモンド粉をめり込ませる工程は、ソーワイヤ素線をダイスの穴に通す工程を備えている請求項1又は3又は4に記載のダイヤモンドソーワイヤの製造方法。
【請求項6】
第1のめっき金属は、錫及び亜鉛からなる群から選択される成分又はこの成分を含む合金である請求項1〜5のいずれかに記載のダイヤモンドソーワイヤの製造方法。
【請求項7】
表面にめっき金属に覆われ、めっき金属にダイヤモンド微粒子が付着しているソーワイヤを製造する装置であって、
第1の金属めっきをした、磁化可能な材料からなるソーワイヤ素線を磁化する手段と、
磁石に吸着する材料をめっきしたダイヤモンド粉を、磁化した前記ソーワイヤ素線に磁力で吸着させる手段と、
ダイヤモンド粉を吸着したソーワイヤ素線の第1の金属めっきをめっき金属の融点より5℃低い温度から融点より5℃高い温度範囲内で加熱する手段と、
加熱された第1の金属めっきにダイヤモンド粉をめり込ませる手段と、
ダイヤモンド粉がめり込んだソーワイヤ素線を冷却する手段と、
ソーワイヤ素線を脱磁処理する手段と、
を具備したダイヤモンドソーワイヤを製造する装置。
【請求項8】
表面にめっき金属が覆われ、めっき金属にダイヤモンド粉が付着しているソーワイヤを製造する方法であって、
第1の金属めっきをした、磁化可能な材料からなるソーワイヤ素線を磁化する手段と、
磁石に吸着する材料をめっきしたダイヤモンド粉を、磁化した前記ソーワイヤ素線に磁力で吸着させる手段と、
ダイヤモンド粉を吸着したソーワイヤ素線の第1の金属めっきを、めっき金属の融点より5℃低い温度から融点より5℃高い温度範囲内で加熱する手段と、
加熱後のソーワイヤ素線を冷却する手段と、
ソーワイヤ素線を脱磁処理する手段と、
脱磁処理後のソーワイヤ素線に、銀及びニッケルからなる群から選択される成分又はこの成分を含む合金を電気めっきして、第2のめっき金属を被覆する手段と、
第2のめっき金属被覆後のソーワイヤ素線を冷却する手段と、
を具備したダイヤモンドソーワイヤを製造する方法。
【請求項9】
ダイヤモンド粉を吸着したソーワイヤ素線の第1の金属めっきを加熱する手段は、誘導加熱装置を備えている請求項7又は8に記載のダイヤモンドソーワイヤの製造装置。
【請求項10】
ソーワイヤ素線の加熱された第1の金属めっきにダイヤモンド粉をめり込ませる手段は、ソーワイヤ素線を通す穴を備えたダイスを備えている請求項7又は9に記載のダイヤモンドソーワイヤの製造装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2012−213843(P2012−213843A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−81990(P2011−81990)
【出願日】平成23年4月1日(2011.4.1)
【出願人】(599025776)有限会社 関西エンジニアリング (4)
【Fターム(参考)】