説明

ディスプレイ装置及び軟性部材

【課題】簡単な構造を用いて表示パネルに更に多量の駆動電流を容易に供給できるディスプレイ装置を提供する。
【解決手段】本発明によるディスプレイ装置は、表示パネル、回路基板、及び軟性部材を有する。表示パネルは表示領域と周辺領域とを含む。表示領域には有機発光層が形成されている。周辺領域は表示領域の外側の領域であり、基準電圧パッドが形成されている。回路基板は基準電圧とパネル駆動信号とを生成する。軟性部材は、軟性フィルム、データ駆動部、及び基準電圧リードを含む。軟性フィルムは表示パネルと回路基板とを連結する。データ駆動部は、軟性フィルムの上に装着され、パネル駆動信号に従って有機発光層を駆動する。基準電圧リードは軟性フィルムの上に形成され、基準電圧を回路基板から基準電圧パッドに伝達する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はディスプレイ装置に関し、特に、表示パネルと外部の回路基板との間の連結部材に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、平板ディスプレイ装置の中でもOLED(organic light emitting diode:有機ELディスプレイ装置)が脚光を浴びている。OLEDは、低電圧駆動、軽量・薄形、広視野角、そして高速応答などの長所を持つ。
【0003】
OLEDの表示パネルは一般に、表示領域とその外側の周辺領域とに分かれている。
表示領域ではゲート線とデータ線とが縦横に走り、それらで区分けされた各領域に画素が形成されている。表示領域には更に、駆動電圧線と共通電極とが設けられている。各画素には、有機発光層、駆動トランジスタ、及びスイッチングトランジスタが設けられている。有機発光層はアノードとカソードとで挟まれている。一般に、アノードは駆動トランジスタを通して駆動電圧線に連結され、カソードは共通電極に連結されている(またはその一部である)。駆動トランジスタの制御端子はスイッチングトランジスタを通してデータ線に連結され、スイッチングトランジスタの制御端子はゲート線に連結されている。外部からゲート信号がゲート線を通してスイッチングトランジスタの制御端子に印加されるとスイッチングトランジスタがターンオンする。そのとき、外部からデータ信号がデータ線とスイッチングトランジスタとを通して駆動トランジスタの制御端子に対して印加される。駆動トランジスタはそのデータ信号に応じてターンオンし、駆動電圧をアノードに対して印加する。それにより、データ信号のレベルに応じた駆動電流が有機発光層を流れるので、有機発光層がその駆動電流の量に応じた強度で発光する。
【0004】
表示パネルの周辺領域では、ゲート線とデータ線との各端部が軟性部材(好ましくはFPC(Flexible Printed Circuit))に連結され、それを通して外部の駆動回路に連結されている。その駆動回路は一般に、表示パネルとは別のPCB(Printed Circuit Board)に実装されている。その駆動回路は、ゲート信号とデータ信号とを直接、または、途中のFPC若しくは表示パネルの周辺領域に設けられた専用の回路により、ゲート線とデータ線とのそれぞれに対して印加する。
【0005】
表示パネルの周辺領域には更に、基準電圧パッドが形成されている。基準電圧パッドには、共通電極に対して印加されるべき共通電圧と、駆動電圧線に対して印加されるべき駆動電圧とが外部の電源回路から供給される。その電源回路は一般に、表示パネルとは別のPCBに実装され、上記の軟性部材(FPC)とは別の軟性部材(FPC)によって基準電圧パッドに連結されている。
【特許文献1】韓国特許出願公開第2006−020805号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ディスプレイ装置(特にOLED)に対しては更なる大画面化/高精細化が望まれている。その要求を満たすには、画素の総数を更に増加させねばならない。画素の数が多いほど多量の駆動電流が必要であるので、表示パネルの周辺領域に接着されるべき軟性フィルムの幅及び数を増大させねばならない。しかし、従来のOLEDでは、駆動電圧や共通電圧を伝達するための軟性部材が、ゲート信号やデータ信号を伝達するための軟性部材とは別に設けられている。従って、表示パネルの周辺領域に接着されるべき軟性フィルムの幅や数を更に増大させることは困難である。
本発明の目的は、簡単な構造を用いて表示パネルに更に多量の駆動電流を容易に供給できるディスプレイ装置、を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によるディスプレイ装置は、表示パネル、回路基板、及び軟性部材を有する。表示パネルは表示領域と周辺領域とを含む。表示領域には有機発光層が形成されている。周辺領域は表示領域の外側の領域であり、基準電圧パッドが形成されている。回路基板は基準電圧とパネル駆動信号とを生成する。軟性部材は、軟性フィルム、データ駆動部、及び基準電圧リードを含む。軟性フィルムは表示パネルと回路基板とを連結する。データ駆動部は、軟性フィルムの上に装着され、パネル駆動信号に従って有機発光層を駆動する。基準電圧リードは軟性フィルムの上に形成され、基準電圧を回路基板から基準電圧パッドに伝達する。
【0008】
好ましくは、基準電圧が駆動電圧を含み、表示パネルが表示領域内に駆動電圧線をさらに含み、基準電圧パッドが、駆動電圧線に対して駆動電圧を印加するための駆動電圧パッドを含む。
その上、基準電圧が共通電圧を含み、表示パネルが有機発光層の上部に共通電極をさらに含み、基準電圧パッドが、共通電極に対して共通電圧を印加するための共通電圧パッドを含んでいても良い。
【0009】
表示パネルが表示領域に、互いに交差するゲート線とデータ線とをさらに含む場合、軟性部材が軟性フィルムの上に、回路基板をゲート線に連結するゲートリード、及び、データ駆動部をデータ線に連結するデータリードをさらに含んでいても良い。
【発明の効果】
【0010】
本発明によるディスプレイ装置では従来の装置とは異なり、表示パネルを回路基板に連結する同じ軟性部材の上に、データ駆動部と基準電圧リードとが実装されている。従って、従来の装置に比べ、表示領域に供給されるべき駆動電流の総量を十分に大きく維持したまま、軟性部材の総数を大幅に削減でき、かつ、表示パネルの周辺領域の構造を単純にできる。その結果、ディスプレイ装置の更なる大画面化や高精細化に必要な部品点数の更なる増大が抑えられ、製造工程の更なる複雑化が軽減される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、添付の図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について説明する。
《第1実施形態》
図1に、本発明の第1実施形態によるディスプレイ装置の平面図を示す。このディスプレイ装置は、データ回路基板210、ゲート回路基板220、表示パネル100、及び複数の軟性部材300、400を含む。
【0012】
データ回路基板210は好ましくは、電圧生成部とタイミングコントローラとを含む(図1には示さず)。電圧生成部はデータ信号及び駆動電圧を生成する。好ましくは、データ信号の電圧レベルが表示パネル100の各画素の輝度を示す。駆動電圧は各画素の有機発光層の駆動に利用される。タイミングコントローラはデータ制御信号を出力する。データ制御信号は後述のデータ駆動部により、データ信号を各画素に出力すべきタイミングの制御に利用される。尚、データ回路基板210が、階調電圧を生成する部分と、外部から映像信号を受ける部分とに分離され、各部分が別の回路基板に設けられていても良い。つまり、データ回路基板210は複数枚、設けられていても良い。
【0013】
ゲート回路基板220はゲート信号とゲート制御信号とを生成する。ゲート信号は、各画素のスイッチングトランジスタをターンオンさせるゲートオン電圧と、ターンオフさせるゲートオフ電圧とから成る。ゲート制御信号は後述のゲート駆動部により、ゲート信号を各ゲート線110に対して印加すべきタイミングの制御に利用される。
【0014】
表示パネル100は表示領域Aとその外側の周辺領域Bとに分かれている。軟性部材300、400は表示パネル100の周辺領域Bと各回路基板210、220との間を連結し、パネル駆動信号(データ信号とゲート信号)及び駆動電圧を各回路基板210、220から表示パネル100へ伝達する。
【0015】
表示パネル100の表示領域Aには、ゲート線110、データ線120、駆動電圧線(図1には示さず)、共通電極20、及び複数の画素Pが形成されている。ゲート線110は表示領域Aの横方向に延び、ゲート信号を画素Pに伝達する。データ線120は表示領域Aの縦方向に延び、データ信号を画素Pに伝達する。駆動電圧線はデータ線120と平行に延び、駆動電圧を画素Pに伝達する。ゲート線110とデータ線120とで区切られている四角形状の各小領域に画素Pが一つずつ含まれている。各画素Pの上部には有機発光層(図1には示さず)が形成されている。共通電極20は表示領域Aの全面にわたり、有機発光層の上部を覆っている。共通電極20は外部の電源(図1には示さず)に連結され、その電圧が一定値(共通電圧)に維持されている。
【0016】
図2に各画素の等価回路を示す。各画素は、有機発光層に加え、スイッチングトランジスタTsw、駆動トランジスタTdr、及び画素電極を含む。スイッチングトランジスタTswのゲート電極Gはゲート線GLに連結され、ソース電極Sはデータ線DLに連結され、ドレイン電極Dは駆動トランジスタTdrのゲート電極Gに連結されている。駆動トランジスタTdrのソース電極Sは駆動電圧線DVLに連結され、ドレイン電極Dは画素電極に連結されている。画素電極は有機発光層を隔てて共通電極の一部と対向している。有機発光層を間に挟んで対向する画素電極と共通電極とが発光ダイオードLLと等価である。図2の場合、画素電極が発光ダイオードLLのアノードであり、共通電極20が発光ダイオードLLのカソードである。尚、それらが逆であっても良い。
【0017】
ゲート線GLと各トランジスタTsw、Tdrのゲート電極Gとは同じ金属層(以下、ゲート金属層という)から成る。ゲート金属層は単一層であっても、多重層であっても良い。ゲート金属層は絶縁膜で覆われている。その絶縁膜の上には別の金属層(以下、データ金属層という)が形成されている。データ線DL、及び各トランジスタTsw、Tdrのドレイン電極Dとソース電極Sとはそのデータ金属層から成る。データ金属層は絶縁膜によってゲート金属層から絶縁されている。スイッチングトランジスタTswでは特に、ゲート電極Gがゲート線GLの一部から成り、ソース電極Sがデータ線DLから分枝している。駆動電圧線DVLは好ましくはデータ金属層に形成されている。各トランジスタTsw、Tdrでは更に、ドレイン電極Dとソース電極Sとの間に半導体層が形成され、絶縁膜を隔ててその下地にあるゲート電極Gと対向している。
【0018】
外部からゲート線GLを通してゲートオン電圧がゲート信号としてスイッチングトランジスタTswのゲート電極Gに伝達されるとき、スイッチングトランジスタTswがターンオンする。それにより、データ信号がデータ線DLからスイッチングトランジスタTswのソース電極Sとドレイン電極Dとを通じて駆動トランジスタTdrのゲート電極Gに対して印加される。駆動トランジスタTdrは好ましくは、ゲート電極Gに対して印加されるデータ信号の電圧レベルと駆動電圧との間の差に応じ、ドレイン電極Dとソース電極Sとの間を流れる駆動電流の量を調節する。一方、有機発光層は、その駆動電流の量に応じた強度で発光する。従って、データ信号の電圧レベルを画素ごとに調節することにより、各画素の有機発光層の輝度を調節できる。
【0019】
図1に示されているように、表示領域Aの横辺(図1では上側の辺)に沿った周辺領域Bには複数の第1軟性部材300の一端が接着されている。各第1軟性部材300の他端はデータ回路基板210に連結されている。表示領域Aの縦辺(図1では左側の辺)に沿った周辺領域Bには複数の第2軟性部材400の一端が接着されている。各第2軟性部材400の他端はゲート回路基板220に連結されている。各軟性部材300、400は表示パネル100と各回路基板210、220とのそれぞれに、好ましくは異方性導電膜(図1には示さず)によって接着されている。
【0020】
ゲート線110の端部は表示領域Aから周辺領域Bに延び、第1軟性部材300に連結されている。その連結部分には好ましくはゲートファンアウト部115が形成されている。ゲートファンアウト部115の各配線はゲート線110の延長方向に対して斜めに傾き、ゲート線110の間隔と第1軟性部材300の配線の間隔とを合わせている。
データ線120の端部は表示領域Aから周辺領域Bに延び、第2軟性部材400に連結されている。その連結部分には好ましくはデータファンアウト部125が形成されている。データファンアウト部125の各配線はデータ線120の延長方向に対して斜めに傾き、データ線120の間隔と第2軟性部材400の配線の間隔とを合わせている。
【0021】
第1軟性部材300が接着されている周辺領域Bには更に、駆動電圧パッド130が形成されている(図1参照)。駆動電圧パッド130は第1軟性部材300の一端を駆動電圧線に連結し、データ回路基板210から第1軟性部材300を通じて印加される駆動電圧を駆動電圧線に伝達する。駆動電圧パッド130は好ましくはデータ金属層(すなわち、駆動電圧線)とは異なる金属層に形成され、特にデータ線120とデータファンアウト部125との両方から絶縁されている。駆動電圧パッド130は更に好ましくはゲート金属層に形成されている。駆動電圧パッド130はその他に、ITO(Indium Tin Oxide)またはIZO(Indium Zinc Oxide)から形成されていても良い。
【0022】
第1軟性部材300は軟性フィルム310を含む。軟性フィルム310の上には、データ駆動部320が装着され、第1データリード321と第2データリード323とが形成されている。軟性フィルム310は好ましくは、フレキシブルなプラスチック素材から成る。データ駆動部320は第1データリード321と第2データリード323とに連結されている。第1データリード321はデータ回路基板210に連結され、第2データリード323は、表示パネル100の周辺領域Bに設けられたデータパッド(図1には示さず)に連結されている。データパッドは、データファンアウト部125の端部に形成され、第2データリード323のそれぞれをデータ線120に連結している。データ駆動部320は第1データリード321を通してデータ回路基板210からデータ信号とデータ制御信号とを受信し、それらに従い、第2データリード323を通して各データ線120にデータ信号を出力する。
【0023】
軟性フィルム310の上には更に駆動電圧リード330が形成されている。好ましくは、データ駆動部320、第1データリード321、及び第2データリード323が軟性フィルム310の中央部に配置され、駆動電圧リード330がデータリード321、323を間に挟んで軟性フィルム310の両側に配置されている。駆動電圧リード330はデータ回路基板210と表示パネル100の駆動電圧パッド130との間を連結している。データ回路基板210は駆動電圧リード330を通じて駆動電圧パッド130に伝達する。それにより、駆動電圧が駆動電圧線に伝達される。
【0024】
第1実施形態ではこのように、データ駆動部320が装着されている軟性フィルム310の上に駆動電圧リード330が集約されている。それにより、従来の装置に比べ、表示領域Aに供給されるべき駆動電流の総量を十分に大きく維持したまま、表示パネル100と外部の回路との間を連結する軟性部材の総数を大幅に削減できる。その結果、表示パネル100の構造が単純になるので製造工程が単純になり、かつ部品点数が減少するので製造費用が減少する。
【0025】
第2軟性フィルム400は軟性フィルム410を含む。軟性フィルム410の上にはゲート駆動部420が装着され、二種類のゲートリード430が形成されている。一方のゲートリード430はゲート駆動部420をゲート回路基板220に連結し、他方のゲートリード430は、表示パネル100の周辺領域Bに設けられたゲートパッド(図1には示さず)に連結されている。ゲートパッドは、ゲートファンアウト部115の端部に形成され、ゲートリード430のそれぞれをゲート線110に連結している。ゲート駆動部420は一方のゲートリード430を通してゲート回路基板220からゲートオン/オフ電圧とゲート制御信号とを受信し、それらに従って他方のゲートリード430を通して各ゲート線110にゲート信号を出力する。
【0026】
《第2実施形態》
図3に、本発明の第2実施形態によるディスプレイ装置の平面図を示す。このディスプレイ装置では第1実施形態によるディスプレイ装置の構成に加え、表示パネル100が周辺領域Bに共通電圧パッド140をさらに含み、第1軟性部材300が共通電圧リード340をさらに含む。共通電圧リード340はデータ回路基板210を共通電圧パッド140に連結している。共通電圧パッド140は共通電極20の端部に、好ましくは接触孔または異方性導電膜によって連結されている。データ回路基板210は共通電圧を生成し、共通電圧リード340を通して共通電圧パッド140に対して印加する。それにより、共通電極20の電圧が共通電圧に維持される。
【0027】
図3に示されているように、共通電圧パッド140は好ましくは、隣接する二つの第1軟性部材300の間に、駆動電圧パッド130と重ならないように設けられている。共通電圧パッド140は更に好ましくは、ゲート線110及び駆動電圧パッド130と共に、ゲート金属層に形成されている。この場合、共通電圧パッド140は駆動電圧パッド130から分離されている。尚、共通電圧パッド140がデータファンアウト部125とは重なっていても良い。共通電圧パッド140の形状及び位置は図3に示されたものには限定されない。特に、共通電圧パッド140が駆動電圧パッド130とは異なる層に形成されていても良い。この場合、共通電圧パッド140が駆動電圧パッド130と重なっていても両者の間を絶縁できるので、共通電圧パッド140のパターニングがより容易である。
【0028】
各第1軟性部材300では好ましくは、駆動電圧リード330が軟性フィルム310の片側に形成され、共通電圧リード340が同じ軟性フィルム310の反対側に形成されている。すなわち、共通電圧リード340はデータリード321、323を間に挟んで駆動電圧リード330と対向している。
【0029】
第2実施形態ではこのように、駆動電圧リード330に加え、共通電圧リード340が、データ駆動部320の装着されている第1軟性部材300に集約されている。従って、第1軟性部材300とは別の軟性部材を用いることなく、共通電極20に外部から共通電圧を提供できる。すなわち、従来の装置に比べ、表示領域Aに供給されるべき駆動電流の総量を十分に大きく維持したまま、表示パネル100と外部の回路との間を連結する軟性部材の総数を大幅に削減できる。その結果、表示パネル100の構造が単純になるので製造工程が単純になり、かつ部品点数が減少するので製造費用が減少する。
【0030】
《第3実施形態》
図4に、本発明の第3実施形態による第1軟性部材の正面図を示す。この第1軟性部材300は第2実施形態によるもののように、同じ軟性フィルム310の上に駆動電圧リード330と共通電圧リード340とが形成されている。しかし、それらの配置が第2実施形態によるものとは異なる。この第1軟性部材300では、駆動電圧リード330と共通電圧リード340とがデータリード321、323の両側に一対ずつ設けられている。好ましくは、共通電圧リード340が軟性フィルム310の最も外側に形成され、共通電圧リード340の内側に駆動電圧リード330が形成されている。このように、第1軟性部材300の上での各リード330、340の配置を工夫することにより、駆動電圧及び共通電圧の各伝達経路の抵抗(インピーダンス)を最小化できる。従って、駆動電圧及び共通電圧を表示パネル100にさらに速やかに伝達できる。
【0031】
好ましくは、第1軟性部材300の上での共通電圧リード340と駆動電圧リード330との配置に合わせ、共通電圧パッド140と駆動電圧パッド130との各形状が工夫される。更に好ましくは、共通電圧リード340と駆動電圧リード330との各形状が、線状ではなく、一定の幅の帯状であっても良い。駆動電圧リード330及び共通電圧リード340の各幅、及びそれらの間での幅の比率は、必要な駆動電圧及び共通電圧の各高さに応じて適切に設計される。
【0032】
《第4実施形態》
図5に、本発明の第4実施形態によるディスプレイ装置の平面図を示す。このディスプレイ装置では前述の実施形態による装置とは異なり、ゲート回路基板がデータ回路基板230に統合され、ゲート駆動部420が表示パネル100の周辺領域Bに装着されている。ゲートオン/オフ電圧及びゲート制御信号はデータ回路基板230で生成され、ゲート駆動部420に最も近い第1軟性部材300aと、表示パネル100の周辺領域Bに設けられた配線(ゲート信号パターン)440とを通してゲート駆動部420に伝達される。
【0033】
ゲート駆動部420に最も近い(図5では左端の)第1軟性部材300aは、データリード321、323、駆動電圧リード330、及び共通電圧リード340に加え、ゲートリード350をさらに含む。ゲートリード350は好ましくは、データリード321、323に対して対称的に形成されている。更に好ましくは、ゲートリード350の外側に、駆動電圧リード330と共通電圧リード340とが形成されている。このように、ゲートリード350を、複数の第1軟性部材300のうち、ゲート駆動部420に最も近い第1軟性部材300aに形成することにより、ゲート信号パターン440の長さを最小限に抑え、ゲート信号を効率的に伝達できる。尚、ゲートリード350がその他の第1軟性部材300bに形成されていても良い。但し、その場合はゲート信号パターン440が多少複雑になる。
【0034】
ゲート駆動部420は好ましくは、COG(chip on glass)方式で表示パネル100に直接装着されている。その他に、ゲート駆動部420のうち、シフトレジスタが表示パネル100の周辺領域Bに直に集積化され、各ゲート線110の端部に連結されていても良い。その場合、シフトレジスタを構成する複数のトランジスタが、表示パネル100の各信号配線の形成工程の中で、表示パネル100の上に直接形成される。このように、ゲート駆動部420を表示パネル100に直接実装することにより、部品点数の削減、製造工程の簡素化、ディスプレイ装置の軽量化/薄型化が図れる。
【0035】
尚、軟性フィルム300の上でのゲートリード350、駆動電圧リード330、及び共通電圧リード340の各配置は前述のものには限定されず、多様に変更可能である。例えば、データリード321、323の両側に、駆動電圧リード330、共通電圧リード340、及びゲートリード350をそれぞれ、対称的に配置しても良い。その他に、必要に応じてそれらの一部のみが選択的に配置されていても良い。
【0036】
《第5実施形態》
図6に本発明の第5実施形態による第1軟性部材の正面図を示す。この第1軟性部材は図5に示されているゲート駆動部420に最も近い第1軟性部材300aである。この第1軟性部材300aでは図5に示されているものとは異なり、ゲート駆動部420に近い側の軟性フィルムの端部にのみ、ゲートリード350が形成されている。一方、軟性フィルムの反対側の端部に駆動電圧リード331と共通電圧リード341とが形成されている。それにより、ゲート信号パターン440を最短化でき、かつ、ゲート信号パターン440を他のパッド130、140から容易に、かつ確実に絶縁できる。こうして、ゲート信号を迅速に、かつ確実に伝達できる。尚、駆動電圧リード331と共通電圧リード341との各形状は好ましくは、線状ではなく、所定の面積の帯状である。従って、各リード331、341の面積が十分に広いので、駆動電圧及び共通電圧がさらに速やかに伝達される。
【0037】
《第6実施形態》
図7に、本発明の第6実施形態によるディスプレイ装置の平面図を示す。このディスプレイ装置では、表示パネル100が周辺領域Bに増設駆動電圧パッド135と増設共通電圧パッド145とをさらに含む。増設駆動電圧パッド135には第3軟性部材510の一端が連結され、増設共通電圧パッド145には第4軟性部材520の一端が連結されている。第3軟性部材510の他端には、駆動電圧を生成する駆動電圧生成部(図7には示さず)が連結され、第4軟性部材520の他端には、共通電圧を生成する共通電圧生成部(図7には示さず)が連結されている。駆動電圧は駆動電圧生成部から第3軟性部材510を通じて増設駆動電圧パッド135に伝達され、共通電圧は共通電圧生成部から第4軟性部材520を通じて増設共通電圧パッド145に伝達される。
【0038】
増設駆動電圧パッド135は好ましくは、表示領域Aに対して第1軟性部材300の接着された周辺領域Bとは反対側の周辺領域Bに沿って延び、駆動電圧線(図7には示さず)の端部に連結されている。第3軟性部材510から増設駆動電圧パッド135に対して印加された駆動電圧は駆動電圧線によって各画素に伝達される。
増設共通電圧パッド145は好ましくは、表示領域Aに対してゲート駆動部420の実装された周辺領域Bとは反対側の周辺領域Bに沿って延び、共通電極20の端部に連結されている。第4軟性部材520から増設共通電圧パッド145に対して印加された共通電圧は共通電極20によって各画素に伝達される。ここで、共通電極20と増設共通電圧パッド520との間は直接連結されていても、ブリッジ電極(好ましくはITOから成る)で連結されていても良い。
【0039】
表示パネル100を更に大型化するには、表示パネル100に供給可能な駆動電流の総量を増加させなければならない。第6実施形態によるディスプレイ装置では、駆動電流が第1軟性部材300に加え、第3軟性部材510と第4軟性部材520とを流れる。従って、必要な軟性部材の総数を最小限に抑えたまま、表示パネル100のサイズに見合った駆動電流量を確実に表示パネル100に供給できる。
【0040】
以上、本発明の好適な実施形態について説明した。しかし、当業者であれば、本発明の原理や精神から外れずに、上記の実施形態を変形可能であろう。従って、それらの変形も当然に、本発明の技術的範囲に属すると解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の第1実施形態によるディスプレイ装置の部分平面図
【図2】本発明の第1実施形態によるディスプレイ装置の画素の等価回路図
【図3】本発明の第2実施形態によるディスプレイ装置の部分平面図
【図4】本発明の第3実施形態による軟性部材の正面図
【図5】本発明の第4実施形態によるディスプレイ装置の部分平面図
【図6】本発明の第5実施形態による軟性部材の正面図
【図7】本発明の第6実施形態によるディスプレイ装置の平面図
【符号の説明】
【0042】
100 表示パネル
110 ゲート線
120 データ線
210 データ回路基板
220、230 ゲート回路基板
300、400 軟性部材
310、410 軟性フィルム
320 データ駆動部
321、323 データリード
330 駆動電圧リード
340 共通電圧リード
350、430 ゲートリード
420 ゲート駆動部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機発光層が形成されている表示領域、及び、前記表示領域の外側の領域であり、基準電圧パッドが形成されている周辺領域、を含む表示パネル、
基準電圧とパネル駆動信号とを生成する回路基板、並びに、
前記表示パネルと前記回路基板とを連結している軟性フィルム、前記軟性フィルムの上に装着され、前記パネル駆動信号に従って前記有機発光層を駆動するデータ駆動部、及び、前記軟性フィルムの上に形成され、前記基準電圧を前記回路基板から前記基準電圧パッドに伝達する基準電圧リード、を含む軟性部材、
を有するディスプレイ装置。
【請求項2】
前記基準電圧が駆動電圧を含み、
前記表示パネルが前記表示領域内に駆動電圧線をさらに含み、
前記基準電圧パッドが、前記駆動電圧線に対して前記駆動電圧を印加するための駆動電圧パッドを含む、
請求項1に記載のディスプレイ装置。
【請求項3】
前記基準電圧が共通電圧を含み、
前記表示パネルが前記有機発光層の上部に共通電極をさらに含み、
前記基準電圧パッドが、前記共通電極に対して前記共通電圧を印加するための共通電圧パッドを含む、
請求項1に記載のディスプレイ装置。
【請求項4】
前記表示パネルが前記表示領域に、互いに交差しているゲート線とデータ線、をさらに含み、
前記軟性部材が前記軟性フィルムの上に、前記回路基板を前記ゲート線に連結するゲートリードをさらに含む、
請求項1に記載のディスプレイ装置。
【請求項5】
前記軟性部材が前記軟性フィルム上に、前記データ駆動部を前記データ線に連結するデータリードをさらに含む、請求項4に記載のディスプレイ装置。
【請求項6】
前記基準電圧リードが前記データリードを間に挟んで前記軟性フィルムの両側に形成されている、請求項5に記載のディスプレイ装置。
【請求項7】
前記ゲートリードを通じてゲート信号を前記回路基板から受信し、前記ゲート信号を前記ゲート線に伝達するゲート駆動部を、前記表示パネルが前記周辺領域に含む、請求項4に記載のディスプレイ装置。
【請求項8】
前記ゲート駆動部がシフトレジスタを含む、請求項7に記載のディスプレイ装置。
【請求項9】
前記表示パネルが前記周辺領域に増設駆動電圧パッドをさらに含み、
前記ディスプレイ装置が、前記増設駆動電圧パッドに駆動電圧を供給するための増設軟性部材をさらに有する、
請求項1に記載のディスプレイ装置。
【請求項10】
前記表示パネルが前記周辺領域に増設共通電圧パッドをさらに含み、
前記ディスプレイ装置が、前記増設共通電圧パッドに共通電圧を供給するための増設軟性部材をさらに有する、
請求項1に記載のディスプレイ装置。
【請求項11】
互いに交差しているゲート線とデータ線とを含む表示領域、及び前記表示領域の外側の領域であり、基準電圧パッドが形成されている周辺領域、を含む表示パネルを回路基板に連結する軟性部材であり、
前記表示パネルを前記回路基板に連結する軟性フィルム、
前記軟性フィルムの上に形成され、前記基準電圧パッドに連結されている基準電圧リード、
前記軟性フィルムの上に形成され、前記データ線に連結されているデータリード、及び、
前記軟性フィルムの上に形成され、前記ゲート線に連結されているゲートリード、
を有する軟性部材。
【請求項12】
前記基準電圧リードが共通電圧リードと駆動電圧リードとの少なくともいずれかを含む、請求項11に記載の軟性部材。
【請求項13】
前記軟性フィルムに装着され、前記データリードに連結されているデータ駆動部、をさらに有する、請求項11に記載の軟性部材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−52248(P2008−52248A)
【公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−127892(P2007−127892)
【出願日】平成19年5月14日(2007.5.14)
【出願人】(390019839)三星電子株式会社 (8,520)
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
【Fターム(参考)】