説明

ディーゼル排ガスを浄化する方法及び装置

本発明は、過給タービンを有するディーゼルエンジンにより発生される排ガスの浄化方法及び前記方法を実施するための特別な装置を目的とする。前記装置は、排ガスの流動方向で、還元剤溜め(2)からの還元剤溶液用の調量装置、SCR触媒コンバータ(3)、酸化触媒コンバータ(4)及びディーゼル微粒子フィルタ(5)を含んでなる。前記システムは、ターボチャージャー(過給タービン(1))を有するエンジン及び排ガス再循環装置が使用されるディーゼル車両の排ガスの浄化に特に適しており、前記エンジンは、一酸化炭素、炭化水素及び微粒子に加え、0.3〜0.7のNO2/NOx比を有する窒素酸化物を含有する排ガスを発生する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、過給タービン(charging turbine)を有するディーゼルエンジンにより発生される排ガスの浄化方法、並びにこの方法を実施するための、排ガスの流動方向で還元剤用の調量装置、SCR触媒コンバータ、酸化触媒コンバータ及びディーゼル微粒子フィルタを含んでなる特別な装置に関する。
【0002】
ディーゼルエンジンの未処理排ガスは、一酸化炭素CO、炭化水素HC及び窒素酸化物NOxに加え、15体積%までの相対的に高い酸素含量を含有する。そのうえ、前記未処理排ガスは、主にすす残留物及び場合により有機凝集物からなり、かつシリンダー中の燃料の部分不完全燃焼に起因する微粒子排出物を含有する。
【0003】
将来、欧州、北米及び日本において適用されるディーゼル車両についての法的排ガス極限値を遵守するには、排ガスから微粒子及び窒素酸化物を同時に除去することが必要である。汚染ガスである一酸化炭素及び炭化水素は、リーン排ガスから、適した酸化触媒コンバータ上での酸化により容易に無害にされることができる。追加の触媒活性コーティングを有するか又は有しないディーゼル微粒子フィルタは、微粒子排出物の除去に適た装置である。窒素酸化物から窒素への還元(排ガスの"脱硝(denitrogenization)")は、高い酸素含量のためにより難しい。知られた1つの方法は、SCR触媒コンバータとも略す、適した触媒コンバータ上での窒素酸化物の選択接触還元(選択接触還元SCR)である。前記方法は、現在、ディーゼルエンジン排ガスの脱硝に好ましい。排ガス中に含まれる窒素酸化物の減少は、SCR法において、外部源から排出部(exhaust section)中へ調量される還元剤の助けを借りて行われる。還元剤として、好ましくはアンモニア又はアンモニアを遊離する化合物、例えば尿素又はカルバミン酸アンモニウムが使用される。場合により前駆物質化合物からその場で(in situ)発生されるアンモニアは、SCR触媒コンバータ上で排ガスからの窒素酸化物と、均化反応(comproportionation reaction)において反応して窒素及び水を形成する。
【0004】
現在、来たるべき法的規制を満足するためには、異なる排ガス浄化装置の組合せが不可避である。ディーゼルエンジン排ガスを浄化する装置は、少なくとも1つの酸化活性触媒コンバータと、脱硝のために、還元剤(好ましくはアンモニア又は尿素溶液)を導入する上流の装置及び外部還元剤源(例えば尿素溶液を有する補助タンク又はアンモニア貯蔵物)を備えたSCR触媒コンバータとを有する。エンジン燃焼の最適化によっては、微粒子排出物が酸素での直接酸化により酸化触媒コンバータによって除去されることができるように微粒子排出物を十分に低く維持することが不可能である場合には、微粒子フィルタの使用が追加的に必要である。
【0005】
相応する排ガス浄化システムは既に記載されており;幾つかは、現在、実用試験の段階にある。
【0006】
例えば、欧州特許(EP-B)第1 054 722号明細書には、NOx及び微粒子含有ディーゼル排ガスの処理システムが記載されており、前記システム中で、酸化触媒コンバータは、微粒子フィルタの上流に接続されている。微粒子フィルタの流出側に、還元剤源と、還元剤用の調量装置と、並びにSCR触媒コンバータとが配置されている。
【0007】
米国特許出願公開(US)第2007/0044456号明細書には、排ガス後処理システムが記載されており、このシステムは、尿素−SCR触媒コンバータ(好ましくは、200〜500℃の温度範囲内で最適NOx転化値を有する遷移金属/ゼオライト配合物)の流入側に酸化触媒コンバータ(白金含有貴金属触媒コンバータ)を、及びSCR触媒コンバータの流出側にディーゼル微粒子フィルタを有する。尿素用の調量装置は、酸化触媒コンバータとSCR触媒コンバータとの間に配置されている。
【0008】
双方のシステムは、前記エンジンにより発生される未処理排ガスが、第一の後処理工程において酸化触媒コンバータに導かれることが共通している。本発明者らは目下、第一の排ガス後処理段階として酸化触媒コンバータを含んでなるこの種のシステムが、例えばEU−VI車両に設けられている最新型のディーゼルエンジンの排ガスを、所定の酸化窒素排出物極限値が遵守されることができる程度に浄化するには、追加の補助手段を含めずには適していないことを立証した。
【0009】
本発明の課題は、過給タービンを有する最新型のディーゼルエンジンの排ガスが、将来的な法的排出物極限値でさえも、追加の補助手段なしで遵守されることができる程度に浄化されることができる、排ガス浄化システム(方法及び装置)を提供することである。
【0010】
この課題は、過給タービンを有するディーゼルエンジンにより発生され、かつ一酸化炭素、炭化水素及び微粒子に加え、0.3〜0.7のNO2/NOx比を有する窒素酸化物を含有する排ガスの浄化方法によって達成され、その際に前記排ガスは、前記窒素酸化物を窒素に還元するためのSCR触媒コンバータを経て、一酸化炭素及び炭化水素をCO2に酸化するための酸化触媒コンバータを経て、かつ微粒子を除去するためのディーゼル微粒子フィルタに導かれる。本方法は、SCR反応用の還元剤として尿素溶液又はアンモニアを遊離する一部の他の水溶性化合物の溶液を使用し、かつこの還元剤を過給タービンの上流の排出部中へ調量することにより特徴付けられている。本発明による方法を実施するために、これらの排ガスの浄化装置が提供される。この装置は、排ガスの流動方向へ配置され、還元剤溜めからの還元剤溶液用の調量装置、窒素酸化物を還元するためのSCR触媒コンバータ、一酸化炭素及び炭化水素を酸化するための酸化触媒コンバータ及びディーゼル微粒子フィルタを含んでなる。
【0011】
SCR触媒コンバータに最適なNO/NO2比は、現在知られた全てのSCR触媒コンバータについて約1である。NO2/NOx比として明記される、最適な比は0.3〜0.7である。この比が欧州特許(EP-B)第1 054 722号明細書によるかもしくは米国特許出願公開(US)第2007/0044456号明細書によるシステム中のSCR触媒コンバータの上流で得られるかどうかは、排ガス温度、ひいては前記エンジンの運転状態及び酸化触媒コンバータの活性に依存する。欧州特許(EP-B)第1 054 722号明細書に記載されたシステムの場合には、別の有力要因として、酸化触媒コンバータに下流に接続されたディーゼル微粒子フィルタの設計及びすすローディングがさらに加わる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】欧州の標準運転試験サイクルである、New European Driving Cycle NEDCにおける相応するエンジンの未処理排出物のNOx中のNO2割合及び排ガス温度プロフィルを示すグラフ。
【図2】北米の標準運転試験サイクルFTP−75における運転についての同じエンジンの関連した排出物データ及び排ガス温度データを示すグラフ。
【図3】酸化触媒コンバータの上流(図3a)及び下流(図3b)での最新型のディーゼルエンジンの排ガス中のNO2濃度の比較を示すグラフ。
【図4】本発明の方法を実施するための請求項6記載の装置の略示図。
【0013】
最新型のディーゼルエンジンは、これまで常用のディーゼルエンジンとは、かなりより高い排ガス再循環率により相違する。これは、平均排ガス温度の明らかな低下と同時に、未処理排出物のNOx中のNO2割合の上昇をまねく。多くの規則的な運転点では、0.3〜0.7のNO2/NOx比が存在する。図1aは例示的に、欧州の標準運転試験サイクルである、New European Driving Cycle NEDCにおける相応するエンジン(4−シリンダーコモンレールディーゼルエンジン;行程容積2.2l)の未処理排出物のNOx中のNO2割合を示す;図1bは、付随する排ガス温度プロフィルを示す。図2には、北米の標準運転試験サイクルFTP−75における運転についての同じエンジンの関連した排出物データ及び排ガス温度データが示されている(a:未処理排出物中のNO2割合;b:排ガス温度水準)。
【0014】
変更された境界条件は、第一の排ガス後処理段階における最新型のディーゼルエンジンの未処理排ガスの酸化触媒コンバータへの導通が、欧州特許(EP-B)第1 054 722号明細書に記載されるように、NOからNO2への少なくとも部分酸化、ひいてはNO2/NOx比の増大をもはやまねかないという結果を有する。本発明者らは、実際のところ、酸化触媒コンバータが、生じる運転条件下でNO2を費消する(deplete)ように作用することを見出した。図3は、酸化触媒コンバータの上流(図3a)及び下流(図3b)での最新型のディーゼルエンジンの排ガス中のNO2濃度の比較を示す。NO2含量が、酸化触媒コンバータを通ってかなり減少されることが明らかにわかる。このNO2還元は、しかしながら排ガスの脱硝に、すなわち排ガス中の全NOx含量の有意な減少に付随していない。より低い排ガス温度水準のために、酸化触媒コンバータを通って費消されたNO2は、欧州特許(EP-B)第1 054 722号明細書により排ガスシステムの終わりに配置されたSCR触媒コンバータを通る酸化により、もはや再発生されることができないので、下流のSCR触媒コンバータは、最適な脱硝作用をもはや有しない。こうして、低負荷運転点及び部分負荷運転点では、しばしば大量のNOx突破が起こり;将来のより厳しい酸化窒素排出物極限値を超える。
【0015】
本発明による排ガス浄化システムにおいて、過給タービンを有するディーゼルエンジンに由来する排ガスは、まず最初にSCR触媒コンバータを導通することにより、意図的に窒素酸化物を含まない。これらの新しいエンジンの排ガスは、平均して、SCR反応について0.3〜0.7のほぼ最適なNO2/NOx比を有するので、前記エンジンの全ての運転点で、排ガス温度が200℃を下回るコールドスタート点及び低負荷点でさえも、最適な脱硝率が得られることができる。SCR反応における還元剤として、尿素又はアンモニアを遊離する他の水溶性化合物が使用される。この還元剤溶液は、過給タービンの上流の排出部中へ調量されるので、過給タービンが還元剤及び排ガスの均質化のための混合構成要素として使用されることができ、かつ還元剤からアンモニアへの加水分解反応が、前記エンジンの全ての運転点で、この点で少なくとも180℃の高められた温度水準のために、保証されることができる。
【0016】
前記の手段により、本発明によるシステムの第一の排ガス後処理段階における効率的な脱硝性能が保証される。このこと及びディーゼル微粒子フィルタが、排ガス導通管の終わりに、ひいては最も冷たい位置に配置されているという事実は、本発明によるシステムにおいて、その場で行われるNO2でのすすの焼き切りが280℃を上回る温度で行われるディーゼル微粒子フィルタの受動再生が補助されないことをまねく。その結果、臨界排ガス逆圧値を超える際に、ディーゼル微粒子フィルタは能動的に再生されなければならない。その際、前記フィルタ上に堆積されたすすの焼き切りに必要とされる温度は、排出部中への燃料後噴射及び燃料の触媒燃焼により発生される。好ましい一実施態様において、燃料後噴射は、SCR触媒コンバータの流入側で行われる。噴射された燃料は、SCR触媒コンバータの流出側に配置された酸化触媒コンバータ上で触媒燃焼される。生じる発熱反応は、下流に接続されたディーゼル微粒子フィルタ中の温度を、すす着火温度を上回る値に高めるのに十分である。選択的な実施態様において、燃料後噴射は、酸化触媒コンバータとディーゼル微粒子フィルタとの間で行われる。燃料の触媒燃焼は、例えばディーゼル微粒子フィルタ上へ施与されている酸化触媒活性コーティング上で行われることができる。選択的に、加熱触媒コンバータとして作用する第二の酸化触媒コンバータが、ディーゼル微粒子フィルタの上流に直接接続されることができる。最後の2つの実施態様は、能動的な微粒子フィルタ再生に必要とされる燃料量が、SCR触媒コンバータを通って炭化水素夾雑物(ballast)として引きずられる必要がないという利点を有する。そのために、SCR触媒コンバータの汚染リスクは明らかに減少される。さらに、そのような実施態様において、ディーゼル微粒子フィルタの触媒活性コーティング並びに場合により上流に接続される加熱触媒コンバータの触媒活性コーティングは、他の排ガス浄化課題との目的の矛盾を受け入れる必要なく、排ガスの微粒子浄化及び前記微粒子フィルタ再生の必要条件に最適に適合されることができる。
【0017】
図4は、前記の方法を実施するための請求項6記載の装置の略示図を示す。排ガスの流れ方向が矢印により特徴付けられている、最新型のディーゼルエンジンにより発生される排ガスは、前記装置中への入口で、通常の排出物である一酸化炭素、炭化水素及び微粒子に加え、0.3〜0.7のNO2/NOx比を有する窒素酸化物を含有する。排ガスは過給タービン(1)を通過する前になお、排ガスに、還元剤溶液は還元剤溜め(2)から調量装置を経て供給される。還元剤溶液として、好ましくは尿素溶液、又はアンモニアを遊離する一部の他の水溶性化合物の溶液が使用され、この溶液は相応するタンクから常用の噴射装置を経て供給される。過給タービンの通過の際に、還元剤溶液の加水分解に加え、還元剤及び排ガスのほぼ完全な均質化が行われる。過給タービンの流出側に、エンジン近くの位置で、排ガス中に含有している窒素酸化物を、前記還元剤溶液の加水分解から発生されるアンモニアで、窒素に還元するSCR触媒コンバータ(3)が配置されている。その後はじめて、流出側に配置される酸化触媒コンバータ(4)中で一酸化炭素(CO)及び炭化水素(HC)は、二酸化炭素(CO2)に酸化されることにより無害にされる。場合により排ガス中になお含有している、SCR触媒コンバータ中で消費されなかったアンモニアは、酸化触媒コンバータ中で酸化により同様に除去される。排ガスシステム全体での温度損失をできる限り僅かに維持し、かつこうしてできるだけ高いCO及びHC転化率を保証するために、酸化触媒コンバータは、好ましくは同様にエンジン近くに、好ましくはSCR触媒コンバータ(3)と同じハウジング中に配置されている。このハウジングを去る排ガスは、無害な成分に加え、わずかにのみ微粒子を含有する。前記排ガスは、さらに組立空間(installation space)の理由から、好ましくは車両の底部領域に配置されるディーゼル微粒子フィルタ(5)に流れ、前記排ガスが前記ディーゼル微粒子フィルタ(5)を通過する際に微粒子は濾過分離されるので、前記システムの終わりで法的要求を満たす排ガスが大気中へ排出される。
【0018】
本発明による装置をできるだけ効果的にかつ高い排ガス浄化効率で運転できるように、的確な応用設計に加え、適した触媒コンバータの選択が幾つか重要である。
【0019】
こうして、前記装置の流入側の終わりのエンジン近くのSCR触媒コンバータの配置は、使用されるSCR触媒コンバータが、炭化水素に対するできるだけ高い汚染耐性を、800℃までの温度での十分な熱老化安定性に加え有するべきであることを要求する。全ての常用のSCR触媒コンバータ技術は、これらの要求を満たすことができない。こうして、例えば米国特許(US)第4,961,917号明細書に記載されているような、常用のゼオライトSCR触媒コンバータは、それらの大きなゼオライト孔幅に基づき、ゼオライト骨格中へ炭化水素を挿入する傾向があり、このことは、これらの触媒コンバータの機能様式に本質的なアンモニア貯蔵サイト及び触媒遷移金属反応中心の閉塞をまねき、かつこれらの触媒の活性は明らかに低下しうる。常用の五酸化バナジウムをベースとするSCR触媒コンバータはたいてい、十分な熱老化安定性を有しない。
【0020】
故に、本発明による装置中で、例えば国際公開(WO)第2008/049491号に記載されているような、好ましくは酸化セリウムをベースとするSCR技術が使用される。最大下部チャネル幅(greatest lower duct width)が2.6〜4.2オングストローム(Å)であり、好ましくは最大下部チャネル幅が4.0±0.1Åの値を超えない遷移金属交換されたゼオライト化合物又はゼオライト類似材料をベースとするSCR触媒コンバータが特に好ましい。このタイプのSCR触媒コンバータは好ましくは、SAPO−34、フェリエライト、SAPO−11、チャバザイト、エリオナイト及びそれらの混合物からなる群から選択されるゼオライト又はゼオライト類似材料を含有し、これらはゼオライトもしくはゼオライト類似材料の質量を基準として0.1〜10質量%の遷移金属含量を有し、その際に前記遷移金属は、特に好ましくは鉄、銅及びそれらの混合物から選択されている。
【0021】
SCR触媒コンバータの流出側に配置される酸化触媒コンバータのためには、とりわけ技術水準による装置中よりもより冷たい排ガス温度水準により通常特徴付けられる取り付け位置は、前記触媒コンバータが、最大150℃の炭化水素酸化及び一酸化炭素酸化についての着火温度(ライトオフ温度)を有するべきであることを要求する。これらの要求を満たすには、酸化触媒コンバータ中で、技術水準によるシステム中に比べて高められた貴金属含量を使用することが有利である。本発明による装置中で、酸化触媒コンバータを貫流する排ガスは既に脱硝されているので、良好なNO転化率を省くことが可能である。それゆえ、全体的に高くなりすぎる貴金属量によりまず最初に予測されうる考えられる多数のコストが、さもなければ通常の高い割合の白金の代わりに、より多量のより安価なパラジウムが触媒活性成分として使用されることにより補償されることができる。好ましくは、本発明による装置中で使用される酸化触媒コンバータは、前記触媒コンバータ体積を基準として、貴金属を1リットルあたり0.35〜7グラム[g/L]、特に好ましくは3〜5g/L含有する。前記貴金属は、白金、パラジウム、ロジウム、イリジウム、ルテニウム及びそれらの混合物からなる群から選択されているべきである。好ましくは、白金は、パラジウムとの組合せで使用されるが、しかしながらコストの理由から、ロジウムは使用されない。白金:パラジウム比は、10:1〜1:5、好ましくは8:1〜1:1、特に好ましくは5:1〜2:1であるべきである。
【0022】
酸化触媒コンバータの良好なライトオフ挙動を保証するために、酸化触媒コンバータが、触媒コーティングの形で、迅速にウォームアップする担体上に存在する場合が有利である。そのような担体は、例えば、標準セル密度(cell densities)(1平方センチメートルあたり62〜124セル)を有する金属ハニカム体又はセラミック薄壁ハニカム体(壁厚:0.06〜0.1ミリメートル)を含みうる。
【0023】
ディーゼル微粒子フィルタとして、本発明による装置中で、好ましくは、セラミック材料又は炭化ケイ素製の触媒コーティングされたウォールフローフィルタ基材が使用される。前記触媒コーティングは、これが一方ではすす着火温度をできる限り効率的に低下させ、他方では炭化水素酸化においてできるだけ低い着火温度を示して、能動的な微粒子フィルタ再生の際に、場合によりフィルタ入口中に存在している未燃焼炭化水素をできる限り迅速に焼き切り、かつそれによりすす着火温度の達成に必要な発熱反応の発生のためにできる限り効率的に寄与できるようであるべきである。能動的なフィルタ再生段階の間のディーゼル微粒子フィルタの規則運転のためには、前記触媒コーティングが、場合により酸化触媒コンバータを突破する炭化水素と、過剰のアンモニアの過剰酸化から生じる窒素酸化物とが互いに窒素、二酸化炭素及び水に反応されることができるようである場合にさらに有利である(いわゆる"HC−脱NOx特性")。これらの機能性を達成するために、前記触媒活性コーティングは、白金、パラジウム及びそれらの混合物からなる群から選択される貴金属を、ディーゼル微粒子フィルタの体積を基準として好ましくは1リットルあたり0.15〜2グラム[g/L]含有する。貴金属0.35〜1g/Lが特に好ましい。
【0024】
例示的に、本発明による装置は、次のものを備えていることができる:
・1平方センチメートルあたり62セルのセル密度及び0.17ミリメートルのセル壁厚を有するハニカム体を含んでなるSCR触媒コンバータ、V=3.0L、前記コンバータには、最大4.2Åの下部チャネル幅を有する銅5質量%で交換されたフェリエライト型ゼオライトを含んでなる触媒活性コーティングが設けられている;
・1平方センチメートルあたり62セルのセル密度及び0.1ミリメートルのセル壁厚を有するセラミックハニカム体を含んでなる酸化触媒コンバータ、V=2.0L、前記コンバータには、200m2/gの活性表面積(BET)を有する均質な二酸化ケイ素−酸化アルミニウム混合酸化物及びγ−酸化アルミニウムの混合物上に、酸化触媒コンバータの体積を基準として、2:1の比の白金及びパラジウム4g/Lを含んでなる触媒活性コーティングが設けられている;及び
・1平方センチメートルあたり48セルのセル密度及び50%の多孔度を有するセラミックウォールフローフィルタ基材を含んでなる4.0Lの体積を有する触媒活性化されたディーゼル微粒子フィルタ、前記基材の壁中には、ディーゼル微粒子フィルタの体積を基準として0.9g/Lの貴金属含量及び1:1の白金:パラジウム比を有する触媒活性コーティングが導入されている。
【0025】
本発明による装置は、ディーゼル車両の排ガスの浄化に、特にターボチャージャー(過給タービン)及び排ガス再循環装置を有するエンジンが使用されるディーゼル乗用車の排ガスの浄化に適している。
【符号の説明】
【0026】
1 過給タービン、 2 還元剤溜め、 3 SCR触媒コンバータ、 4 酸化触媒コンバータ、 5 ディーゼル微粒子フィルタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
過給タービンを有するディーゼルエンジンにより発生され、かつ一酸化炭素、炭化水素及び微粒子に加え、0.3〜0.7のNO2/NOx比を有する窒素酸化物を含有する排ガスの浄化するにあたり、前記排ガスを、前記窒素酸化物を窒素に還元するためのSCR触媒コンバータを経て、一酸化炭素及び炭化水素をCO2に酸化するための酸化触媒コンバータを経て、かつ微粒子を除去するためのディーゼル微粒子フィルタに導く浄化方法であって、
SCR反応用の還元剤として、尿素溶液、又はアンモニアを遊離する他の水溶性化合物の溶液を使用し、前記還元剤を過給タービンの上流の排出部中へ調量する
ことを特徴とする、排ガスの浄化方法。
【請求項2】
過給タービンを、還元剤及び排ガスの均質化のための混合構成要素として使用する、請求項1記載の方法。
【請求項3】
ディーゼル微粒子フィルタを、臨界排ガス逆圧値を超える際に、能動的に再生し、その際に前記フィルタ上に堆積されたすすの焼き切りに必要とされる温度が、排出部中への燃料後噴射及び燃料の触媒燃焼により発生される、請求項1及び/又は2記載の方法。
【請求項4】
燃料後噴射がSCR触媒コンバータの流入側に、及び燃料の触媒燃焼が、SCR触媒コンバータの流出側に配置された酸化触媒コンバータ上で、行われる、請求項1から3までの1項又はそれ以上に記載の方法。
【請求項5】
燃料後噴射が、酸化触媒コンバータと、ディーゼル微粒子フィルタとの間で、及び燃料の触媒燃焼が、ディーゼル微粒子フィルタ上へ施与されている酸化触媒活性コーティング上で、又はディーゼル微粒子フィルタの上流に直接接続され、かつ加熱触媒コンバータとして作用する第二の酸化触媒コンバータ上で、行われる、請求項1から3までの1項又はそれ以上に記載の方法。
【請求項6】
過給タービンを有するディーゼルエンジンにより発生され、かつ一酸化炭素、炭化水素及び微粒子に加え、0.3〜0.7のNO2/NOx比を有する窒素酸化物を含有する排ガスを浄化するための装置であって、排ガスの流動方向へ配置され、
還元剤溜めからの還元剤溶液用の調量装置、
窒素酸化物を還元するためのSCR触媒コンバータ、
一酸化炭素及び炭化水素を酸化するための酸化触媒コンバータ及び
ディーゼル微粒子フィルタ
を含んでなる、排ガス浄化装置。
【請求項7】
還元剤溶液用の調量装置は、過給タービンの流入側に配置されている、請求項6記載の装置。
【請求項8】
還元剤溶液として、尿素溶液、又はアンモニアを遊離する他の水溶性化合物の溶液が使用される、請求項6及び/又は7記載の装置。
【請求項9】
SCR触媒コンバータ及び酸化触媒コンバータが、エンジン近くの位置で及び同じハウジング中に配置されている、請求項6から8までの1項又はそれ以上に記載の装置。
【請求項10】
SCR触媒コンバータが、2.6〜4.2オングストロームの最大下部チャネル幅を有する1つ又はそれ以上の遷移金属交換されたゼオライト化合物又はゼオライト類似材料を含んでなる、請求項6から9までの1項又はそれ以上に記載の装置。
【請求項11】
酸化触媒コンバータが、触媒コーティングの形で、迅速にウォームアップする担体上に存在し、かつ触媒体積を基準として貴金属0.35〜7g/Lを含有し、その際に貴金属が、白金、パラジウム、ロジウム、イリジウム、ルテニウム及びそれらの混合物からなる群から選択されている、請求項6から9までの1項又はそれ以上に記載の装置。
【請求項12】
貴金属として白金がパラジウムとの組合せで使用され、かつ白金:パラジウム比が10:1〜1:5である、請求項11記載の装置。
【請求項13】
ディーゼル微粒子フィルタが、セラミック材料又は炭化ケイ素製の触媒コーティングされたウォールフローフィルタ基材であり、かつ触媒活性コーティングが、ディーゼル微粒子フィルタの体積を基準として、白金、パラジウム及びそれらの混合物からなる群から選択される貴金属0.15〜2g/Lを含有する、請求項6から8までの1項又はそれ以上に記載の装置。
【請求項14】
ディーゼル車両の排ガスを浄化するための、請求項6から13までのいずれか1項記載の装置の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2011−525950(P2011−525950A)
【公表日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−515198(P2011−515198)
【出願日】平成21年6月24日(2009.6.24)
【国際出願番号】PCT/EP2009/004543
【国際公開番号】WO2009/156134
【国際公開日】平成21年12月30日(2009.12.30)
【出願人】(501399500)ユミコア・アクチエンゲゼルシャフト・ウント・コムパニー・コマンディットゲゼルシャフト (139)
【氏名又は名称原語表記】Umicore AG & Co.KG
【住所又は居所原語表記】Rodenbacher Chaussee 4,D−63457 Hanau,Germany
【Fターム(参考)】