説明

デジタル画像提供システム

【課題】顧客の権利(肖像権)である画像データそのものと、写真事業者の権利(著作権)である画像の処理技術及び処理情報を適切に守りつつ、顧客が満足する品質の写真プリントを何度でも得られるようにする。
【解決手段】デジタルカメラ10からオリジナル画像を取得するとともに、画像処理装置20からオリジナル画像を画像処理(絵作り)するための処理情報を取得する。暗号化/復号化装置50は、前記取得した処理情報を暗号化鍵により暗号化し、これをオリジナル画像に埋め込んで、CD−ROM等の記録メディア52に記録して顧客72に提供する。即ち、顧客72は自分のオリジナル画像(デジタル画像)を入手することができるが、そのオリジナル画像に対して写真館で施された画像処理を示す処理情報は暗号化されているため、入手することができず、これにより写真館の権利(著作権)が保護される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はデジタル画像提供システムに係り、特に写真館や撮影スタジオでの撮影で得られたデジタル画像を顧客に提供する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
図7は従来の顧客登録から写真プリントのプリント出力までの写真館のワークフローを示す図である。
【0003】
図7に示すように、顧客は写真館の受け付けで顧客登録が行われたのち(ステップS10)、デジタルカメラでデジタル撮影が行われ、デジタルカメラ又はデジタルカメラの記録メディアから撮影画像を画像データベースに取り込む(ステップS12)。その後、デジタル撮影によって得られた画像を写真館内のディスプレイに表示させ、写真プリントする画像を顧客に選択して貰うためのプレゼンテーションが行われる(ステップS14)。
【0004】
写真館の画像処理装置では、前記プレゼンテーションによって選択されたデジタル画像を控えておき、その後、画像処理ソフトを用いて前記選択したデジタル画像に対して色補正、トリミング処理、レイアウト合成(テンプレートへの画像嵌め込み)等の画像処理(絵作り)を行う(ステップS16)。そして、この画像処理済のデジタル画像は、写真館のプリンタ1に出力され、プリンタ1によって作成された写真プリントは、顧客に提供される。
【0005】
また、写真事業者により撮影された画像をネット上で閲覧できるようにし、ネット上でプリント注文して写真プリントを購入するシステムが提案されている(特許文献1)。
【0006】
ところで、従来のネガフイルムなどによるフイルム撮影では、撮影されたネガフイルムは「著作物」として写真館で保管し、これにより顧客がネガフイルムを他の写真館や取次店に持ち込んでプリントを依頼することができないようになっている。また、このような利権を含めてネガフイルムを販売するようなケースも存在している。
【0007】
一方、図7に示したようにデジタル撮影になってからは、画像の即時閲覧が可能となり、顧客のプリント購入喚起に大きな利点になると同時に、顧客が写真館で撮影したデジタル画像を入手し、顧客自身が画像加工などの楽しみを享受したいという要求が大きくなりつつある。
【0008】
また、特許文献2のように、顧客に画像編集見本やメニューを提供して選択させ、プリントを発注させ課金するような画像編集システムも提案されている。
【特許文献1】特開2002−49798号公報
【特許文献2】特開2002−109248号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献2に記載の画像編集システムの場合、顧客は受動的又は半受動的な選択肢の中から画像加工とプリントの提供を受けられるが、一度、写真館の労力により得たオリジナリティの高いお気に入りの仕上がりプリントをいつでも繰り返し得ることは難しい。
【0010】
一方、写真館から安易に顧客に画像処理済みのデジタル画像、又はオリジナル画像に対する処理情報を渡した場合、写真館側の「著作権」としての画像加工技術が同時に渡ることになり、写真館側の権利が守れないとともに、自館での2次的なプリントビジネスのチャンスを逃すことになる。
【0011】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、顧客の権利(肖像権)である画像データそのものと、写真事業者の権利(著作権)である画像の処理技術及び処理情報を適切に守りつつ、顧客が満足する品質の写真プリントを何度でも得られる利便性と写真事業者のビジネスを守ることができるデジタル画像提供システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記目的を達成するために請求項1に係るデジタル画像提供システムは、写真撮影所での撮影により得られた顧客のオリジナル画像に対して所要の画像処理を行なうための処理情報を取得する処理情報取得手段と、前記取得した処理情報を暗号化する暗号化手段と、前記暗号化された処理情報を復号化する復号化手段と、前記顧客のオリジナル画像と該オリジナル画像の暗号化された処理情報とを関連付けて顧客に提供する記録メディアに記録し、又は顧客がアクセス可能なサーバにアップロードする手段と、を備えたことを特徴としている。
【0013】
写真撮影所でのデジタル撮影、又はフイルムのデジタイズにより得られた顧客のオリジナル画像に対し、プリントを前提とした色補正処理、トリミング処理、及びレイアウト合成処理等の画像処理(絵作り)が行なわれるが、オリジナル画像と絵作りのための処理情報とを分離して取得し、前記取得した処理情報を暗号化する。そして、顧客のオリジナル画像とそのオリジナル画像の暗号化された処理情報とを関連付けて顧客に提供する記録メディアに記録して顧客に提供し、又は顧客がアクセス可能なサーバにアップロードし、顧客が閲覧又はダウンロードできるようにしている。
【0014】
即ち、顧客は自分のオリジナル画像を入手することができるが、そのオリジナル画像に対して写真撮影所で施された画像処理を示す処理情報は暗号化されているため、入手することができず、これにより写真撮影所の権利(著作権)を保護するようにしてる。
【0015】
請求項2に示すように請求項1に記載のデジタル画像提供システムにおいて、前記暗号化した処理情報を復号化するための復号化鍵を顧客を識別するための顧客情報に関連付けて管理するデータベースを有し、前記暗号化手段は、前記取得した処理情報を顧客別に異なる暗号化鍵で暗号化し、前記復号化手段は、前記データベースから顧客情報に基づいて対応する復号化鍵を取り出して前記暗号化された処理情報を復号化することを特徴としている。顧客別に異なる暗号化/復号化処理を行なうことで、より処理情報の保護を確実にしている。
【0016】
請求項3に示すように請求項1に記載のデジタル画像提供システムにおいて、前記復号化手段によって復号化された処理情報に基づいて対応する顧客のオリジナル画像を処理する画像処理手段と、前記画像処理されたオリジナル画像を出力する出力手段と、を更に備えたことを特徴としている。
【0017】
即ち、写真撮影所側では、暗号化された処理情報を復号するための復号化鍵を有するため、この復号化鍵を使用して処理情報を入手することができ、これにより再プリント時に同じ仕上がりの写真プリントを作成することができる。
【0018】
請求項4に記載のデジタル画像提供システムは、写真撮影所での撮影により得られた顧客のオリジナル画像に対して所要の画像処理を行なうための処理情報を取得する処理情報取得手段と、前記取得した処理情報を対応する顧客のオリジナル画像に関連付けて所定の格納場所に格納する第1のデータベースと、前記処理情報の格納場所を示す情報を暗号化する暗号化手段と、前記暗号化された格納場所を示す情報を復号化する復号化手段と、前記顧客のオリジナル画像と該オリジナル画像の処理情報の格納場所を示す暗号化された情報とを関連付けて顧客に提供する記録メディアに記録し、又は顧客がアクセス可能なサーバにアップロードする手段と、を備えたことを特徴としている。
【0019】
即ち、請求項1に係る発明では、処理情報を暗号化するようにしたが、請求項4に係る発明は、処理情報が格納された格納場所を示す情報を暗号化している点で異なる。
【0020】
請求項5に示すように請求項4に記載のデジタル画像提供システムにおいて、前記暗号化した格納場所を示す情報を復号化するための復号化鍵を顧客を識別するための顧客情報に関連付けて管理する第2のデータベースを有し、前記暗号化手段は、前記処理情報の格納場所を示す情報を顧客別に異なる暗号化鍵で暗号化し、前記復号化手段は、前記第2のデータベースから顧客情報に基づいて対応する復号化鍵を取り出した前記暗号化された格納場所を示す情報を復号化することを特徴としている。
【0021】
請求項6に示すように請求項4に記載のデジタル画像提供システムにおいて、前記復号化手段によって復号化された格納場所を示す情報に基づいて前記第1のデータベースから対応する処理情報を取り出す手段と、前記取り出した処理情報に基づいて対応する顧客のオリジナル画像を処理する画像処理手段と、前記画像処理されたオリジナル画像を出力する出力手段と、を更に備えたことを特徴としている。
【0022】
請求項7に示すように請求項1又は4に記載のデジタル画像提供システムにおいて、前記オリジナル画像に対する画像処理は、オリジナル画像の色補正処理、トリミング処理、及びレイアウト合成処理のうちの少なくとも1つを含むことを特徴としている。
【0023】
請求項8に示すように請求項1又は4に記載のデジタル画像提供システムにおいて、前記暗号化された情報は、前記オリジナル画像に電子透かしとして埋め込まれることを特徴としている。
【0024】
請求項9に示すように請求項1又は4に記載のデジタル画像提供システムにおいて、前記暗号化された情報は、前記オリジナル画像が格納される画像ファイルのヘッダーに記録されることを特徴としている。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、オリジナル画像と絵作りのための処理情報とを切り離し、処理情報又は処理情報の格納場所の情報を暗号化し、顧客のオリジナル画像と暗号化された情報とを顧客に提供する記録メディアに記録して顧客に提供し、又は顧客がアクセス可能なサーバにアップロードするようにしたため、顧客は自分のオリジナル画像(デジタル画像)を入手することができるとともに、写真事業者の権利(著作権)である画像の処理情報を保護することができる。また、暗号化された情報を復号するための復号化鍵を有する写真事業者は、必要に応じて処理情報を取り出すことができ、再プリント時に同じ写真プリントを顧客に提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下添付図面に従って本発明に係るデジタル画像提供システムの好ましい実施の形態について詳説する。
【0027】
図1は本発明に係るデジタル画像提供システムの実施の形態を示す構成図であり、写真館/スタジオに設けられたシステムに関して示している。
【0028】
このシステムは、主としてデジタルカメラ10と、画像処理装置20、30と、写真プリンタ40と、暗号化/復号化装置50と、顧客情報データベース60とから構成されている。
【0029】
デジタルカメラ10は、スタジオで顧客をデジタル撮影する毎にIEEE1394等のインターフェースを介してオリジナル画像データを画像処理装置20に送出する。
【0030】
画像処理装置20は、各種の画像処理及びプリント注文等の処理に対応するソウトウエアが組み込まれたパーソナルコンピュータ(パソコン)から構成されており、デジタルカメラ10から取り込んだオリジナル画像の画像データを、内蔵の又は外部の記憶装置22に保存する。
【0031】
尚、オリジナル画像の画像データは、デジタルカメラ10のCCDやCMOS等の撮像素子から出力された未処理のRAWデータ、又はデジタルカメラ10で現像処理されているが、画像処理装置20による画像処理前の画像データである。また、フイルム撮影された場合には、ネガ画像をスキャナで読み取ってデジタイズした画像データである。
【0032】
画像処理装置20では、顧客によってプリント注文が行なわれたオリジナル画像に対して色補正、階調補正、トリミング処理、及びレイアウト合成(テンプレート合成)等の画像処理(絵作り)を行なうための処理情報が操作者によって適宜入力され、また、オリジナル画像に対して入力された処理情報は、オリジナル画像に関連付けて一時記憶手段等に保存される。また、プリント注文時には、画像処理装置20では、プリントサイズ、プリント枚数等を示すプリント注文内容の確認、及び指示入力が行なわれ、プリント注文内容を示す注文データは、前記処理情報と同様にオリジナル画像に関連付けて一時記憶手段等に保存される。
【0033】
尚、画像処理装置20は、各処理情報を入力するための補助機能として、オリジナル画像に対して入力した処理情報による処理結果を示すビュー画像を作成し、このビュー画像をディスプレイに表示する機能を有している。
【0034】
その後、画像処理装置20から画像のプリント指示入力があると、プリント指示されたオリジナル画像と、そのオリジナル画像に対する処理情報及び注文データとが画像処理装置30に出力される。
【0035】
画像処理装置30は、入力するオリジナル画像と、そのオリジナル画像に対する処理情報及び注文データとに基づいてオリジナル画像の画像処理を行なってプリント用画像を作成し、この処理済みのプリント用画像とプリントサイズ、プリント枚数等の注文データを写真プリンタ40に送る。尚、画像処理装置20と画像処理装置30とは同一のものでもよい。
【0036】
写真プリンタ40は、画像処理装置30から入力した処理済みのプリント用画像に基づいて銀塩方式のカラーペーパーにR,G,Bレーザーで走査露光して画像をプリントする。
【0037】
上記のようにして作成された写真プリント70は、顧客72に提供される。
【0038】
次に、デジタル画像を顧客に提供する場合について説明する。
【0039】
暗号化/復号化装置50は、処理情報を暗号化鍵により暗号化し、又は暗号化した処理情報を復号化鍵により復号化するもので、暗号化した処理情報をオリジナル画像に埋め込み、オリジナル画像とともに顧客に提供するCR−ROM等の記録メディア52に記録する。また、オリジナル画像に埋め込まれた暗号化された処理情報を復号するための復号化鍵は、顧客の住所、氏名、電話番号等の顧客情報を管理する顧客情報データベース60によって顧客別に管理される。
【0040】
尚、暗号方式は、秘密鍵暗号、公開鍵暗号のいずれでもよい。即ち、暗号化鍵と復号化鍵とを同一にし、これらの暗号化鍵と復号化鍵の両方を秘密にする暗号(秘密鍵暗号)としてもよいし、暗号化鍵を公開しても復号化鍵が分からない暗号(公開鍵暗号)としてもよい。
【0041】
写真館は、上記写真プリント70と同時にオリジナル画像が記録された記録メディア52を顧客72に提供(販売)する。これにより、顧客72は、記録メディア52に記録されたオリジナル画像(デジタル画像)を自由に利用することができる。
【0042】
次に、図2を参照しながら再プリントする場合について説明する。尚、図1と共通する部分には同一の符号が付されている。
【0043】
図2に示すように、顧客72は、オリジナル画像が記録された記録メディア52を、該記録メディア52を作成した写真館と同じ写真館に持ち込み、再プリントの注文を行なう。
【0044】
再プリントの注文を受け付けた写真館の暗号化/復号化装置50は、顧客情報データベース60から顧客情報に紐付けられた復号化鍵を取り出し、記録メディア52のオリジナル画像に埋め込まれた暗号化された処理情報を抽出するとともに、前記取り出した復号化鍵により暗号化された処理情報を復号化する。そして、記録メディア52から読み出したオリジナル画像の画像データととともに、復号化した処理情報を画像処理装置30に出力する。
【0045】
その後は、図1でのプリント時の説明と同様に画像処理装置30及び写真プリンタ40を介して写真プリント70が作成され、顧客72に提供される。この場合、前回のプリント時に使用した処理情報と同じものを使用するため、再プリントされた写真プリント70は、前回の写真プリントと同じ仕上がりのものとなる。
【0046】
図3は記録メディア52を作成した写真館とは異なる写真館に記録メディア52を持ち込んだ場合に関して示している。
【0047】
この写真館では、暗号化/復号化装置50がなく、または顧客72の顧客情報に紐付けられた復号化鍵がないため、記録メディア52から処理情報を抽出して復号化することができない。
【0048】
従って、画像処理装置30は、記録メディア52から読み出したオリジナル画像の画像データ、またはオリジナル画像の画像データとその写真館で新たに絵作りを行なった処理情報に基づいてプリント用画像を作成して写真プリンタ40に送り、写真プリンタ40は、画像処理装置30から入力したプリント用画像に基づいて写真プリントを作成する。この場合、オリジナル画像は画像処理が施されていないか、又は異なる処理情報による画像処理が施されるため、顧客72は、同じ仕上がりの写真プリントを得ることができない。
【0049】
図4は本発明に係るデジタル画像提供システムの他の実施の形態を示す構成図であり、写真館/スタジオに設けられたシステムに関して示している。尚、図1に示したシステムと共通する部分には同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0050】
即ち、図4のシステムは、図1に示したシステムと比較して、暗号化/復号化装置50′の機能が異なるとともに、新たに処理情報データベース80を有する点で相違する。
【0051】
図4において、画像処理装置20での絵作りによりオリジナル画像に対して入力された処理情報は、オリジナル画像に関連付けてネット上の処理情報データベース80に格納される。
【0052】
暗号化/復号化装置50′は、処理情報データベース80に格納された処理情報の格納場所アドレスを暗号化鍵により暗号化し、又は暗号化した格納場所アドレスを復号化鍵により復号化するもので、暗号化した格納場所アドレスをオリジナル画像に埋め込み、オリジナル画像とともに顧客に提供するCR−ROM等の記録メディア52に記録する。また、オリジナル画像に埋め込まれた暗号化された格納場所アドレスを復号するための復号化鍵は、顧客情報データベース60により顧客別に管理される。
【0053】
写真館は、写真プリンタ40で作成された写真プリント70と同時にオリジナル画像が記録された記録メディア52を顧客72に提供(販売)する。これにより、顧客72は、記録メディア52に記録されたオリジナル画像(デジタル画像)を自由に利用することができる。
【0054】
次に、図5を参照しながら再プリントする場合について説明する。尚、図4と共通する部分には同一の符号が付されている。
【0055】
図5に示すように、顧客72は、オリジナル画像が記録された記録メディア52を、該記録メディア52を作成した写真館と同じ写真館に持ち込み、再プリントの注文を行なう。
【0056】
再プリントの注文を受け付けた写真館の暗号化/復号化装置50′は、顧客情報データベース60から顧客情報に紐付けられた復号化鍵を取り出し、記録メディア52のオリジナル画像に埋め込まれた暗号化された格納場所アドレスを抽出するとともに、前記取り出した復号化鍵により暗号化された格納場所アドレスを復号化する。
【0057】
暗号化/復号化装置50′は、復号化した格納場所アドレスに基づいてネット上の処理情報データベース80からその格納場所アドレスに格納されている処理情報を取り込んで画像処理装置30に出力するとともに、記録メディア52から読み出したオリジナル画像の画像データを画像処理装置30に出力される。
【0058】
その後は、図4でのプリント時の説明と同様に画像処理装置30及び写真プリンタ40を介して写真プリント70が作成され、顧客72に提供される。この場合、前回のプリント時に使用した処理情報と同じものを使用するため、再プリントされた写真プリント70は、前回の写真プリントと同じ仕上がりのものとなる。
【0059】
図6は記録メディア52を作成した写真館とは異なる写真館に記録メディア52を持ち込んだ場合に関して示している。
【0060】
この写真館では、暗号化/復号化装置50′がなく、または顧客72の顧客情報に紐付けられた復号化鍵がないため、記録メディア52から格納場所アドレスを抽出して復号化することができず、その結果、ネット上の処理情報データベース80からオリジナル画像に対応する処理情報を取り込むことができない。
【0061】
従って、画像処理装置30は、記録メディア52から読み出したオリジナル画像の画像データ、又はオリジナル画像の画像データとその写真館で新たに絵作りを行なった処理情報に基づいてプリント用画像を作成して写真プリンタ40に送り、写真プリンタ40は、画像処理装置30から入力したプリント用画像に基づいて写真プリントを作成する。この場合、オリジナル画像は画像処理が施されていないか、又は異なる処理情報による画像処理が施されるため、顧客72は、同じ仕上がりの写真プリントを得ることができない。
【0062】
尚、この実施の形態では、顧客別に異なる復号化鍵を管理するようにしているが、これに限らず、写真館で1つの復号化鍵(秘密鍵)を有し、この復号化鍵を暗号化された情報の復号化に共通に使用するようにしてもよい。
【0063】
また、この実施の形態では、暗号化した処理情報、又は格納場所アドレスを、オリジナル画像に電子透かしにより埋め込むようにしたが、これに限らず、各オリジナル画像が格納される画像ファイルのヘッダーに記録するようにしてもよい。
【0064】
更に、オリジナル画像(デジタル画像)は、記録メディアを介して顧客に提供するようにしたが、これに限らず、例えば、ネットサーバ上にオリジナル画像等をアップロードし、顧客にパスワードと顧客IDを知らせることで、自分のオリジナル画像を閲覧したり、ダウンロードできるようにしてもよい。
【0065】
更にまた、図4に示した処理情報データベース80はネット上に設けられているが、写真館内に設けた写真館専用の処理情報データベースでもよい。
【0066】
また、1つのオリジナル画像に対して施される種々の画像処理を示す複数の処理情報、又は複数の処理情報がそれぞれ格納される格納場所アドレスをそれぞれ異なる暗号化鍵で暗号化し、前記暗号化した各処理情報をそれぞれ復号化するための複数の復号化鍵を、顧客情報や顧客のオリジナル画像に関連付けてデータベースで管理するようにしてもよい。これによれば、画像処理の著作権の細分化(例えば、色補正のみ、色補正とシャープネス処理のみ、トリミング処理のみ権利等)が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】図1は本発明に係るデジタル画像提供システムの実施の形態を示す構成図である。
【図2】図2は再プリントする場合に機能する図1に示したシステムの要部構成図である。
【図3】図3は他の写真館で再プリントする場合の不具合を説明するために用いた要部構成図である。
【図4】図4は本発明に係るデジタル画像提供システムの他の実施の形態を示す構成図である。
【図5】図5は再プリントする場合に機能する図4に示したシステムの要部構成図である。
【図6】図6は他の写真館で再プリントする場合の不具合を説明するために用いた要部構成図である。
【図7】図5は従来の顧客登録から写真プリントのプリント出力までの写真館のワークフローを示す図である。
【符号の説明】
【0068】
10…デジタルカメラ、20、30…画像処理装置、40…写真プリンタ、50、50′…暗号化/復号化装置、52…記録メディア、60…顧客情報データベース、70…写真プリント、72…顧客、80…処理情報データベース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
写真撮影所での撮影により得られた顧客のオリジナル画像に対して所要の画像処理を行なうための処理情報を取得する処理情報取得手段と、
前記取得した処理情報を暗号化する暗号化手段と、
前記暗号化された処理情報を復号化する復号化手段と、
前記顧客のオリジナル画像と該オリジナル画像の暗号化された処理情報とを関連付けて顧客に提供する記録メディアに記録し、又は顧客がアクセス可能なサーバにアップロードする手段と、
を備えたことを特徴とするデジタル画像提供システム。
【請求項2】
前記暗号化した処理情報を復号化するための復号化鍵を顧客を識別するための顧客情報に関連付けて管理するデータベースを有し、
前記暗号化手段は、前記取得した処理情報を顧客別に異なる暗号化鍵で暗号化し、前記復号化手段は、前記データベースから顧客情報に基づいて対応する復号化鍵を取り出して前記暗号化された処理情報を復号化することを特徴とする請求項1に記載のデジタル画像提供システム。
【請求項3】
前記復号化手段によって復号化された処理情報に基づいて対応する顧客のオリジナル画像を処理する画像処理手段と、前記画像処理されたオリジナル画像を出力する出力手段と、を更に備えたことを特徴とする請求項1に記載のデジタル画像提供システム。
【請求項4】
写真撮影所での撮影により得られた顧客のオリジナル画像に対して所要の画像処理を行なうための処理情報を取得する処理情報取得手段と、
前記取得した処理情報を対応する顧客のオリジナル画像に関連付けて所定の格納場所に格納する第1のデータベースと、
前記処理情報の格納場所を示す情報を暗号化する暗号化手段と、
前記暗号化された格納場所を示す情報を復号化する復号化手段と、
前記顧客のオリジナル画像と該オリジナル画像の処理情報の格納場所を示す暗号化された情報とを関連付けて顧客に提供する記録メディアに記録し、又は顧客がアクセス可能なサーバにアップロードする手段と、
を備えたことを特徴とするデジタル画像提供システム。
【請求項5】
前記暗号化した格納場所を示す情報を復号化するための復号化鍵を顧客を識別するための顧客情報に関連付けて管理する第2のデータベースを有し、
前記暗号化手段は、前記処理情報の格納場所を示す情報を顧客別に異なる暗号化鍵で暗号化し、前記復号化手段は、前記第2のデータベースから顧客情報に基づいて対応する復号化鍵を取り出した前記暗号化された格納場所を示す情報を復号化することを特徴とする請求項4に記載のデジタル画像提供システム。
【請求項6】
前記復号化手段によって復号化された格納場所を示す情報に基づいて前記第1のデータベースから対応する処理情報を取り出す手段と、前記取り出した処理情報に基づいて対応する顧客のオリジナル画像を処理する画像処理手段と、前記画像処理されたオリジナル画像を出力する出力手段と、を更に備えたことを特徴とする請求項4に記載のデジタル画像提供システム。
【請求項7】
前記オリジナル画像に対する画像処理は、オリジナル画像の色補正処理、トリミング処理、及びレイアウト合成処理のうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1又は4に記載のデジタル画像提供システム。
【請求項8】
前記暗号化された情報は、前記オリジナル画像に電子透かしとして埋め込まれることを特徴とする1又は4に記載のデジタル画像提供システム。
【請求項9】
前記暗号化された情報は、前記オリジナル画像が格納される画像ファイルのヘッダーに記録されることを特徴とする請求項1又は4に記載のデジタル画像提供システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−33751(P2006−33751A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−213486(P2004−213486)
【出願日】平成16年7月21日(2004.7.21)
【出願人】(000005201)富士写真フイルム株式会社 (7,609)
【Fターム(参考)】